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道徳教育xHERO なぜ 道徳教育xHERO? ドラマ出演者インタビュー イベントレポート

ドラマ出演者インタビュー

八嶋智人さん
遠藤賢司役

子供たちには無限の可能性があると言われます。自分にうそをついてごまかしたりせず、いろいろなことにチャレンジしていってもらいたいですね。

八嶋智人さん 遠藤賢司役

 八嶋さんはこの「HERO」というドラマの中で、検察事務官・遠藤賢司を演じられているわけですが、八嶋さんが子供のころに憧れていたヒーロー像やヒロイン像などがありましたら、その理由も含めてお聞かせいただけますでしょうか。

 子供の頃は、父によく旅行に連れて行ってもらっていました。自分の出身である奈良県から和歌山県の親戚のところに行ったときのことですが、岩場で子供たちで遊んでいたら大きな波にさらわれたのです。そのときのことは今でもビジュアル的に記憶しています。大人たちが心配そうな顔でこちらを見ているのが水の中から見えたのですが、実際に海の中に飛び込んで助けに来てくれたのは自分の父親だけだったというのが、自分の中では何となく鼻が高かったという思い出がありますね。

 身近な存在であるお父さんが、まさに命を助けてくれたという面でもヒーローだったということですね。

 はい。すぐに海から上がろうとすると、岩場にたたき付けられて怪我(けが)をしてしまうので、ひとまず沖に出て、潮の流れを利用して移動し、安全な所から陸に上がりました。どうして父はあの状況で、そんな冷静な行動が取れたのか、今でもちょっとわからないですけどね。
 父はいつも身近にいるから、いいところだけではなく、悪いところや、何だかなあと思うところも子供なりにあったのでしょうが、そういう一番ピンチなときに自分のことを助けてくれたという大きな思い出があるから、父は自分にとってのヒーローなんだなと思えるようになりました。自分にも子供がいますが、そういう父親になれたらいいなと思っています。

 八嶋さんが小・中学生だった頃を振り返ってみて、道徳の授業の中でこんな話があったのを覚えているとか、思い出に残っている場面などがあれば教えていただけますか。

 人がよりよく生きていくために道徳教育を学ぶための授業はあった方がいいと思います。しかし、他の教科の授業の中でも、教師と子供たちがしっかりと向かい合っているならば、それはできることなのではないかとも思いますね。
 それと、算数では1+1=2というように、誰から見ても間違いのない明確な「正解」というものがあるでしょうが、道徳の授業では万人にとっての「正解」というものはないような気がします。それぞれの人にとっての「正解」を模索していく過程を学ぶことこそが重要なのではないでしょうか。

 八嶋さんがおっしゃったことは、まさに道徳教育で目指している本質的な部分だと思います。今回、タイアップする理由として掲げた「人としてどうあるべきか。自分はどう生きるべきか。」というテーマは、2001年の前シリーズからも一貫しているものであるような気がします。

 その当時は道徳教育なんて全く意識せずにやっていましたけどね(笑)。「人としてどうあるべきか。自分はどう生きるべきか。」ということへの答えは人によって違うと思いますし、差異があってもいいのではないでしょうか。自分のあり方や生き方を、世の中とどう擦り合わせていくのかということを学んだり考えたりする道徳の授業であってほしいなと思います。

 いろいろな人がいて、いろいろな考え方があって、それをお互いに尊重し合いながらも、自分の譲れないところはしっかり持っているという部分は、このドラマにも共通している部分かなと思います。八嶋さんが演じている遠藤賢司のこういうところに注目してほしいという部分はありますか。

遠藤賢司
 僕が演じている遠藤賢司という事務官は、検事のサポートをするということが日常の仕事になっています。前シリーズから13年の時が流れていますが、この遠藤と小日向文世さん演じる末次は、人としての変化や成長が全くありません。
 しかし、木村拓哉さん演じる久利生公平が城西支部に戻ってきて、愚直に正義を求める姿に触れたときに、改めてしんどい思いもさせられるのですが、携わってみると悪くないなとも思ってしまう。ふだんの生活では合コンばかりしているようなおちゃらけた男ですが、根っこの部分にはそういうものも持っているというところに注目してもらえればと思います。

 八嶋さんの目から見て、今の子供たちの様子や、子供たちを取り巻く状況などはどのように映っていますか。

 先日、ある学校の生徒さんたちからインタビューを受けた際に、学園祭のことが話題になりました。在学当時の僕は、「勉強は嫌だけど、お祭り騒ぎは大好き」というタイプでしたが、そういう学園祭のようなことをやろうとしたら、何を目指すのかというコンセプトをしっかり考える必要もあるし、いろいろな人とコミュニケーションも取っていかなければならないし、それなりに壁もあるわけです。でも、それを最後までやり遂げたときの達成感というものがありましたから頑張ることができました。
 しかし最近は、「学園祭なんてやるのは面倒。でも、学校の行事としてやるのであれば授業もサボれるからラッキー。」などととらえるような風潮も少なからずあるのではないかということを耳にしました。

 もしそうだとすると少し残念な気がしますね。今の日本の若者は、アメリカ、中国、韓国の若者と比べて自己肯定感が低いという統計データがあるのですが、これについてはどうお感じになりますか。

 「やる気」がある子とない子との間の温度差が極端に開いてしまうというのは余り望ましいことではないかもしれませんね。先ほどお話しした学園祭のようなイベントでさえもそういう状況に陥ってしまっているというのであれば、どんなに小さなことでもいいから、何かを貫徹してやり遂げるという経験をもっと積ませてあげた方がいいのではないかと思います。

 小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感や自信にもつながっていくのではないかということですね。

 今の子供たちは頭もいいし、要領もいいと思います。それに加えて情報量も多いので、上手に逃げるやり方を覚えてしまったり、いわゆる「逃げ癖」がついてしまったりすると、大人になってから相当苦労するのではないかと思いますし、「結局、自分は何も達成していないんだな。」と虚無感にさいなまれることにもなりかねない。さらには、そういう不安さえ感じないまま、将来親の立場になったとしたら、いったい子供に何を伝えていったらいいのだろうと思いますし、それは学校教育においても同じかもしれないという気がします。
遠藤賢司  そもそもドラマというものは架空のものですし、予定調和的なものでもありますが、そういうものの中からでも人生を送る上でのヒントのようなものが得られることはあると思うのです。ですから、このドラマの中の遠藤のようにおちゃらけた男でも、何かを達成するために努力したり、また、それを糧にしたりしながら、自分の人生を自分自身でどうプロデュースしていくのかということにつなげていけるならば、自分の人生を最後に振り返ったときに、「自分なりに全うできたな」と思えるのではないでしょうか。

 八嶋さんがお仕事の面や日常生活の面などで大きな影響を受けた方や、大切にしている言葉などがあれば教えていただけないでしょうか。

 今まで話してきたことと若干矛盾するところもあるかもしれませんが、僕は「ええい、ままよ!」という言葉が大好きなんです。
 自分がこれをやらなきゃいけないなというときは、とにかく飛び込んでみて、とりあえずやってみるようにしています。
 その根底にあるものは何かというと、「自分のことを信じてあげる」っていうことなのではないかと思います。ナルシストなのかもしれないですね(笑)。

 最後に、子供たちや先生、保護者の方にメッセージをお願いします。

 子供たちには無限の可能性があるということがよく言われます。でも、悪いことをしたり、自分にうそをついてごまかしたりして次に行こうとすると、それは必ず自分に返ってくると思います。ですから、やはり自分に正直に向き合いながら、いろいろなことにチャレンジしていってもらいたいですね。
 一人の人間を育てていくということは大変なことだと思います。先生方は、とても忙しい現状があると思いますが、やはり教育者・聖職者として子供たちとしっかり向かい合う時間を作っていただければと思います。また、保護者の方も学校に対していたずらに多くを求め過ぎるのではなく、子供と腹を割って話し合ったり、しっかりコミュニケーションを取ったりしていくことも大切なのではないかと思います。

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