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道徳教育xHERO なぜ 道徳教育xHERO? ドラマ出演者インタビュー イベントレポート

ドラマ出演者インタビュー

北川景子さん
麻木千佳役

これからいろいろな壁にぶつかっても、自分としっかり向き合い、最後まで自分を信じて前向きに生きていってほしいと思います。

北川景子さん 麻木千佳役

 北川さんはこの「HERO」というドラマで検察事務官・麻木千佳を演じられているわけですが、北川さんが子供時代にあこがれていたヒーロー像、ヒロイン像とはどういうものでしたか。具体的にあればその理由も含めてお聞かせいただけますでしょうか。

 私は幼稚園児とか小学生くらいの頃、体があまり丈夫ではなくて、風邪をこじらせて病院へ行くことが多かったんです。高熱が出ていたり、ぜんそくになっていたりして、すごく不安な気持ちになっているときに「大丈夫ですからね。」とか「必ずよくなりますからね。」と、お医者様がいつも声をかけてくださいました。そういう弱っている人や、心配事があって不安を感じている人に対して、「大丈夫ですからね。」と勇気づけてくださったり、人のために奔走して働いていらっしゃったりするような職業の方をかっこいいと思っていました。

 どちらかというと、ごく身近にいるような大人の方ということでしょうか。

 そうですね。私は女性なので、アメリカン・コミックに出てくるスーパーマンのように力持ちだからとか、すごい筋肉をしているからヒーローだとかというのは、元々考えてなかったかもしれないですね。
 やはり人のために自分は何ができるのかということを考えるきっかけになったのは、そういう身近なお医者さんであったり、悩んでいるときに道を開いてくださった恩師の方々だったりしたので、自分もそのような人間になっていけたらと思っています。

 学校の道徳の授業の中でこんなことをやったことを覚えているとか、こんなことが印象的だったというものがあれば教えていただけないでしょうか。

 道徳の教材をみんなで読んで、その内容についてみなさんはどう思いますかということを先生が問いかけられて、それぞれに挙手をして、自分の意見を発表したり、それに対して、僕はそうでないとか、私はこう思うとか、みんなで意見を活発に出し合ったりしていたことを覚えています。
 小学校の低学年のときの先生で、クラスの中で起こったもめ事などを題材として、このときどちらが悪くて、どうするのが正しいやり方だったのかを子供たちに考えさせ、クラスの中で起こったことはクラスの中で解決していこうというような、人の和や、心の対話というものを大切にされている先生がいらっしゃいました。
 杓子(しゃくし)定規なことにとらわれるのではなく、この今回のドラマとも通ずる部分だと思うんですが、人と人が向き合うことの大切さというものを伝えようとしてくださった先生の授業が印象に残っています。

 世の中にはいろいろな人がいて、その考え方も人によって様々なんだということを、そのような授業を通じて子供なりに感じ取っていくということなんでしょうね。

 人が100人いたら、100人みんな違った育ち方や生活の仕方があるでしょうから、物事の考え方も100通りあって、必ずしも全てがうまく行かないこともあるわけですよね。ですから、「どうしてこの人はこういうふうに言うのかな?」と、心が通い合わないときがあるということも当然のことなのでしょうけど、かと言ってそれが全く悪いことではない。心が通い合わなくなったときに、どうやって通わせていけばいいのかなということこそすごく大切なのではないかと思います。

 北川さんがお仕事をしたり、日常の生活を送ったりしていく上で大きな影響を受けた方はどなたでしょうか。

 やはり、人が育っていくときに、一番初めに身近に見る人っていうのは、親や家族の人であると思うんですね。だから、一番身近な大人である両親の背中を見て育ってきたと思っていますし、一番初めにお手本にしてきたのも両親だと思います。子供や家族のためであったら、自分のことは我慢して後回しにしても、家族のためにいろんなことをしてくれた母の姿や、「真面目に働く」というと当たり前のことのように思えますが、実は大変なことを当たり前にできていた父の姿を私は小さい頃から見てきました。ですから、自分も父親のように当たり前のことが当たり前にできる人間になりたいと思ってきましたし、母親のように人のために自分には何ができるかということを考えながら生きてきました。

 御両親の生き方に学んできたものが大きかったということですね。

 はい。父がよく言っていたのは、「みんなと同じである必要はない。なぜなら同じっていうことは難しいし、不可能なんじゃないか。自分が信じた道を行きなさい。」ということでした。学校のクラスや職場やコミュニティなど、何かに所属してしまうと「みんなと足並みをそろえないといけないのかな」と思うことがあったり、「みんなはこう言っているけど、自分がそう思わないことはおかしいのかな」と不安になったりすることもありますが、やはりいろんな考えをもった人がいるのが当たり前で、そういう考えの違う人たちとどういうふうに共存していけるのかが大切なのではないでしょうか。「和して同ぜず」と言いますか、そういったふうに生きていければいいのかなと思います。

 何度か撮影現場を拝見させていただきましたが、張り詰めた緊張感がある一方で、非常に和気あいあいとした雰囲気や一体感もあるように思いました。撮影中や休憩時間中、何か気を配られていることや、大切にされていることなどがあれば教えていただけないでしょうか。

麻木千佳
 役柄の上では、麻木千佳という検察事務官は久利生検事をサポートするのが仕事ですから、久利生検事の言ったことには何が何でも従わないといけません。コンビを組んで最初の頃は、「そのやり方ってどうなんだろう?」と、少し反目するところもあるんですが、だんだんと久利生検事のやり方を理解できたり共感できたりするようになっていきます。久利生検事のやり方というのは、法律の条文だけで物事を判断するのではなく、人ときちんと話をして、その人が言ったことをしっかり聞いてから判断するために、相手の目を見て話すことを大切にしているんですけど、そのやり方にどんどん影響されていくところを丁寧に演じていきたいなと思っています。
 千佳は「事務官は検事をサポートするのが仕事」と何度も自分で言っていますが、実は大切なことを逆に久利生さんから教えてもらったり、自分との違いに気付かされたりしながら成長していく様子が見所の一つでもあると思います。だからこそ、私自身がまず木村拓哉さんを尊敬し、「木村さんはどのようなシーンを創りたいのかな」、「木村さんはどうしてこういうお芝居をされたのかな」、ということが理解できるように、とにかく木村さんの姿やどういう意図で行動していらっしゃるのかを観察しながら、心に寄り添って撮影を進められたらいいなと思っています。

 北川さんと麻木千佳という役が一体化しているようにも感じられるのは、そのような意識で取り組まれているからなのですね。ドラマを見ている人たちにも、そういう面ではとても感情移入しながら見てもらえるのではないでしょうか。
 最後に、子供たちや学校の先生方に向けてメッセージをいただけますか。

 子供たちはこれからいろいろなことを教科書や教材で学んで、知識というものがどんどん増えていくと思います。勉強していくということは大切ですが、人生というものは難しくて、時として教科書に載っていたことが通じないということも起こってくるでしょうし、これからいろいろな壁にぶつかることもあると思います。そういうときに、まず、自分はどうしたいんだろうとか、自分が思う正義とか、自分が思う真実とか、自分の信念って何なんだろうって、自分と向き合うことが必要になってくるはずです。私は、自分を信じられない人が他人のことを信じられるはずがないと思っているので、みなさんも自分のことを見損ないそうになったり、自分のことを情けないと思ったりするときがあったとしても、自分だけは自分のことを見捨てないで、最後まで信じて前向きに生きていってほしいなと思います。これからの日本を担っていく人材ですからね。
 先生方にお願いしたいのは、1つのクラスに子供たちが30人いるとすれば、30通りの個性をもった子供たちの集まりなのですから、それを頭ごなしに束ねてしまうのではなく、一人一人の個性をしっかり育てていってあげてほしいなということです。先生方は大人ですから、「これが正しいやり方ですよ」ということを教えてあげるのは簡単だろうと思いますが、まずは子供たちに考えさせ、見守って、それから導いたり諭してあげたりすることが大事なのではないでしょうか。すぐに「こうなんですよ」と決めつけずに、一人一人の才能を伸ばしていくようにすることが、これからの日本には大切になってくるのではないかと思います。

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