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道徳教育xHERO なぜ 道徳教育xHERO? ドラマ出演者インタビュー イベントレポート

ドラマ出演者インタビュー

角野卓造さん
牛丸豊役

私は、ヒーローというのは特定の個人のことを指すのではなく、誰かが一生懸命、真剣に頑張っている、努力して生きている、その姿がヒーローの姿なんじゃないかと思います。

角野卓造さん 牛丸豊役

 角野さんは、このドラマ「HERO」で東京地検次席検事・牛丸豊を演じておられるわけですが、角野さんが子供の頃に思い描いていたヒーロー像というようなものはありますでしょうか。もしあれば、その理由も含めて教えていただけますでしょうか。

角野卓造 牛丸豊役 私が子供の頃というのはテレビが普及し始めた時代でした。実家が大阪で喫茶店をやっていたこともあり、家には比較的早くからテレビがありました。当時は、「月光仮面」とか「鞍馬天狗」とか、「正義の○○」みたいなものが人気を博していましたが、私はそういうものにあまり憧れるということはありませんでしたね。家にテレビが来る前は、街頭テレビを電器屋さんの店頭で見ていたこともありました。当時は力道山などが私たちの時代のヒーローと称されていましたが、私はスポーツ自体にあまり興味がなかったので、そういうこともありませんでした。ただ、小学生の頃に見た映画俳優の嵐寛寿郎さんにすごく感銘を受けたことを覚えています。

 今回、道徳教育とドラマ「HERO」がタイアップをすることになりましたが、どのようにお感じになりましたか。

 戦時中とは違って、現在のように民主主義が広がり、個人主義も進んでいる中で、みんなの精神性を高めるような教育を行うというのはなかなか難しいものがあるでしょうね。しかし、私はこういう仕事に関わりながら、「人間とは何なのか。どう生きれば生きたと実感を持てるのか。」、「人のためには何をなしたらいいのか。」ということを、ある種の感動をもって伝えたいなと思っています。それも堅苦しい教え方でなく、笑いもあり、ユーモアもありながら、でも胸を打つというような伝え方でね。それは前シリーズの「HERO」でもそうだったと思うのです。主人公の久利生公平は普通ではありえないような検事だし、事務官たちも「お前らふざけてんのか」というような連中ばかりなのですが、締めるべきところはぐっと締めていくんですよね。

 角野さんが受けた道徳の授業で印象に残っていることなどがありましたら教えていただけないでしょうか。

 私は道徳の時間でどういうことをやったかは、正直なところほとんど覚えていません。しかし、教師が「これはこうなんだぞ」と上から教え込もうとしても、多分、うまく伝わらないのではないでしょうか。子供たちに何かを学び取ってほしいときには、先ほど申し上げたような要素も必要なのではないかと思いますし、映画や本やテレビなどを通して触れることでうまく伝わるものもあるのではないでしょうか。
 ただ、最近のバラエティ番組の中には、「面白ければいい」という感じで、弱いものいじめ的な番組があったりしますが、私はそういうのは好きじゃないですね。人間は元々そういう要素をもっている生き物ですから、それを助長するようなことはいけない。あんまり堅いこと言うと、年寄りが何言っているんだと思われるかもしれませんがね(笑)。

 道徳教育という言葉を聞くと、どうしても礼儀とかマナーに気を付けるというような部分に目が行きがちになるかもしれませんが、今回のタイアップは、「人間としてどうあるべきなのか。自分はどう生きていくのか。」ということをドラマのストーリーと絡めて考えてもらおうということでお受けしたものなのです。

 確かにそれは大切なことでしょう。しかし、日常生活で回りを見渡してみると、精神性の問題に行く前に、社会のルールを守らない人たちが多すぎると思います。例えば、電車などでも、降りようとしている人がいるのに、お構いなしで我先にと乗り込んでくるような人をよく見かけます。昔の東京じゃそういうことは考えられなかった。いかにそういう教育が生きていく上で必要かということを、学校だけで学ぶのではなく、親が率先してそういう姿を見せていかないといけないのではないでしょうか。

 確かに、道徳教育は学校だけでなく、家庭を含め社会全体で取り組んでいくことが求められますね。
 さて、角野さんが、お仕事や日常生活を通じて、こういう人に大きな影響を受けたとか、こういう言葉を大切にしているというものはありますでしょうか。

角野卓造 牛丸豊役 「この人と出会っていなかったら」とか、「この作品に出ていなければ」とか、そういうポイントがたくさんあって、今の自分があるのは全て人のおかげだと思っています。自分が全く努力をしてこなかったというわけではありませんが、やはり、人や作品との出会いというのが私にとってはとても貴重なものですね。私は人生というものは「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」、玉と石が入り混じっているものだと思っているんです。つまり、良いことばかりじゃない、だけど悪いことばかりでもないよと。ですからプラスマイナスゼロみたいな感じで、物事を見たほうがいいんじゃないかと思っています。

 前シリーズでもそうでしたが、今回のシリーズでも胸が熱くなるようなシーンがたくさんありましたね。

 そうですね。図らずも泣かせようと思っているシーンではないところでちょっとぐっとくるところもありましたね。それは、このドラマの脚本を書いている福田さんの腕によるところもあるでしょうし、監督のねらいにみんなが一生懸命応えたからだと思いますよ。所々は逆らっているかもしれないけど(笑)。半分以上新しいメンバーになりましたが、撮影の合間も控室でずっと一緒に過ごしているから、強い絆でつながった仲間だと思っています。

 前シリーズに比べると、牛丸さんが胃薬を飲むシーンが減っているような気がします。

 胃が痛いことは痛いんですよ(笑)。ありがたいことに、配役の上では出世をいたしましたが、上に行けば行くほど、軋轢(あつれき)も逆に強いですからね。私は普段、本庁のほうにいるという設定なので、城西支部にはよほどのことがないと行きません。何かあると川尻部長が私のところに相談に来るという体制ですから、まずみんなと一緒にならない。前シリーズでは、「何やってんだ、お前たちは」と言いながらも、一緒に苦労したという感じがあるんですが、今回は心配はしますけれど、一緒に苦労しているという感じがないので、これは非常に寂しいことですね。

 最後に、子供たちや先生方、保護者の方に向けて何かメッセージをいただけますでしょうか。

 私は教育者じゃないので、そういうメッセージというのはあまりうまく言えないのですが、やはり作品を見ていただいて、何かを感じ取っていただければと思います。
 私は舞台でお芝居をやるにしても、テレビのドラマ番組で役を演じるにしても、「人間というのは、捨てたものじゃないよ。いろんなマイナスの面が目立つことがあったとしても、どこか必ず素晴らしいところがある。」という思いで演じています。それは、この「HERO」というドラマに限ったことではなく、他の舞台や作品でも同じです。
 私は、ヒーローというのは特定の個人のことを指すのではなく、誰かが一生懸命、真剣に頑張っている、努力して生きている、その姿がヒーローの姿なんじゃないかと思います。「人間」というものをもっと愛してほしいですね。
 生きていく上ではいろいろとしんどいこともありますが、明日からまためげずに頑張っていきたいなと思えるような、そんな作品を作っていくことができればうれしいなと思いながらやっています。

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