資料3 令和8年度「特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループ」について 文部科学省・厚生労働省・経済産業省 1.概要 読書バリアフリー法第11条に基づき、特定書籍等の効率的な製作を促進するため、出版者から図書館等の特定書籍等製作者への円滑な電子データの提供体制について、実証事業を通じて検討を行うもの。 2.令和7年度の実証事業での課題と、令和8年度の対応について 令和7年度の実証調査は、初年度ということもあり、事業の設計に時間を要したことから、調査期間を8月1日〜12月19日の4か月間で設定して実施した。令和8年度は、課題等の検証に必要な事例をできる限り多く収集する必要があるため、実証調査の開始時期を6月からと前倒しするとともに、参加図書館を令和7年度より増やして実施した。 また、令和7年度の実証調査の運営については、WGにおいて複数の課題が指摘されたことから、令和8年度は以下の対応を行うこととした。 (1)データ提供管理事務の負担の軽減 (令和7年度の課題) 参加図書館とアクセシブル・ブックス・サポートセンター(以下、ABSC)との間におけるデータ提供管理事務については、エクセルデータをメールでやりとりすることで管理を行っていたが、 ・図書館ごとに提出されるエクセルデータの集計や出版者からの連絡事項を転記する作業に時間がかかる ・メールでのやり取りの間にも情報が更新されるなど、データ提供の進捗状況を正確に把握することが困難 という課題があった。 令和8年度以降、参加図書館を増やして実施する際は、更なる業務量の増大が見込まれることから、出版者側の窓口であるABSC及び参加図書館双方の業務負担軽減や入力ミスの防止等を図るため、エクセルデータをメールでやり取りする運用ではなく、クラウド上での管理・運用へ変更。 (令和8年度の取組と検討事項について) ・データ提供管理事務の負担軽減を図るため、クラウド(Share Point)を導入。進捗管理については、エクセルデータから転記作業が不要なAccessを使用したシステムへ変更して、進捗状況が随時更新・共有できるデータ提供管理システムを試験的に導入。 ・令和8年度の実証調査を通じて、クラウドを活用した効果及び有効性を検証するとともに、全国実装を見据えたデータ提供管理事務の仕組みづくりについて検討。 (2)出版者側への普及・啓発 (令和7年度の課題) ・令和7年度の実証調査では、データ提供依頼を行った書籍件数のうち、約3割についてのデータ提供があったが、提供不可や未回答もそれぞれ約3割であった。 (参考:令和7年度データ提供依頼の実績(令和7年8月1日〜12月19日) データ提供依頼の実施(全体) 323件 (内訳) @ データ提供あり 110件 A 提供の意思表示はあったがデータ未着 12件 B 「確認する」と回答(期限内に連絡あり) 26件 C データ提供不可 81件 D 未回答(回答期限内の回答なし) 96件 E (製作者側から)取り下げ 6件 「Cデータ提供不可」 の理由(複数回答) ・出版者で最終データを保有していない 28件 ・データ作成の経費が捻出できない 21件 ・著作者の許諾が必要と考えている 18件 ・データ作成にかなりの時間を要する 17件 ・データ流出の懸念がある 16件 ・このため、提供不可とした出版者などに向けて、実証調査の趣旨や、ABSCの役割、読書バリアフリー法の主旨や特定書籍等の製作における電子データ提供の意義について説明する等、出版者に読書バリアフリーに関する情報を正しく伝える必要がある。 (令和8年度の取組と検討事項について) ・実証調査開始前、ABSCが出版者を対象として、実証調査に関する説明会を実施 ・説明会では、実証調査の説明に加え、読書バリアフリー法及び著作権法の趣旨、電子データ提供の必要性等について説明 ・令和8年度のデータ提供件数及びデータ提供不可件数について、令和7年度と比較・分析を行うことで、出版者に対する効果的な普及・啓発を検討 (3)制作者への効率的な製作方法の普及 (令和7年度の課題) ・令和7年度の実証調査においては、出版者からデータ提供を受けたものの、当該データを特定書籍等の製作に活用できない事例があった。主な理由として、「提供されたデータ形式では特定書籍等の製作工程において利用することが困難」があげられた。 ・製作を担当する職員を対象として、EPUBからのテキスト抽出ツールの活用等に関する研修を実施。今後も職員の継続的な研修を実施する必要がある。 (令和8年度の取組と検討事項について) ・データを活用できなかった事例について、各製作工程における課題等に関する詳細なヒアリングを実施し、データの有効活用に向けた解決策を検討 ・また、製作が完了した特定書籍等について、各製作工程の作業時間やコスト等を分析し、効率的な製作方法の確立に向けて検討 3.令和8年度実証事業について  (1)目的 読書バリアフリー法第11条に基づき、特定書籍等の効率的な製作を促進するため、製作上の課題や代表窓口の必要性の有無・役割等を整理した上で、特に同条第2項について、出版者から特定書籍等製作者への円滑な電子データ提供体制等も含めたマニュアルを作成し、全国で電子データの提供促進を図る。 (2)概要 図書館においてアクセシブルな書籍を製作する際、ABSC(本実証事業における出版者側の窓口)を介して出版者に書籍の電子データ(テキストデータ・PDF)の提供を依頼し、出版者から電子データの提供を受けるまでの一連のスキームを実証することにより、円滑な電子データ提供体制の在り方や、電子データ提供における課題、特定書籍等製作者における代表窓口の必要性の有無・役割等を整理する。 (3)実証調査期間 令和8年6月1日(月)〜12月18日(金) ※令和7年度は令和7年8月1日(金)〜12月19日(金) (4)実証事業参加図書館 課題等の検証に必要なケースをできる限り多く収集する必要があることから、令和7年度より、参加図書館を増やして実施。 (令和7年度)  (令和8年度) 点字図書館 :5館  ⇒ 10館 公立図書館等 :6館  ⇒ 10館  【参加館一覧】※ 新規参加館は図書館名の前に(新規)をつけている 点字図書館 10館 社会福祉法人日本点字図書館 視覚障害者総合支援センターちば 視覚障害者生活情報センターぎふ 京都ライトハウス情報ステーション 日本ライトハウス情報文化センター (新規)函館視覚障害者図書館 (新規)川崎市視覚障害者情報文化センター (新規)島根ライトハウスライトハウスライブラリー (新規)福岡点字図書館 (新規)熊本県点字図書館 公立図書館 4館 名古屋市鶴舞中央図書館 豊田市中央図書館 千葉県立西部図書館 川越市立中央図書館 大学図書館 3館 立命館大学 (新規)国際基督教大学 学修アクセシビリティ支援室 (新規)慶應義塾大学日吉メディアセンター 学校図書館 3館 横浜市立盲特別支援学校図書館 (新規)筑波大学附属視覚特別支援学校 (新規)千葉県立千葉盲学校    (4)実施状況 ○データ提供依頼の実績 令和8年度(8月14日時点) 245件 【参 考】 令和7年度 324件 ※詳細の分析はWGで実施。次回以降の協議会にて報告予定。 4.今後のR8年度ワーキンググループ開催スケジュール(予定) 第7回(R8年度第2回) WG 9月下旬 <議題案> ・R8実証事業の中間報告 ・R8実証事業における課題の分析 第8回(R8年度第3回)WG 1月〜2月(予定) <議題案> ・R8実証事業結果の共有 ・R8実証事業の三省合同結果報告書の検討 ・R9実証事業に関する仕様書の検討及び課題の整理 第9回(R8年度第4回)WG 3月(予定) <議題案> ・R8実証事業の三省合同結果報告書の確認 ・R9実証事業に係る準備状況の共有 ※本ワーキンググループの検討状況については、読書バリアフリー関係者協議会において随時報告