資料５
第8回視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会資料構成員による読書バリアフリー　に関する活動について

日本視覚障害者団体連合　三宅隆
筑波大学附属視覚特別支援学校　教諭　宇野　和博
日本DAISYコンソーシアム　河村宏
調布市立図書館　小池　信彦
（公社）日本図書館協会　髙橋正名
全国視覚障害者情報提供施設協会　竹下　亘
（１ページ・表紙）

視覚障害者等当事者団体
団体名
日本視覚障害者団体連合
氏名
三宅隆

取組
弱視（ロービジョン）の会員への研修会の開催
令和３年７月３日（土）、本連合の弱視部会の委員総会において、「弱視者（ロービジョン）と読書」をテーマにした研修会を開催した。当日は、文部科学省及び文化庁の担当者にご出席いただき、読書バリアフリー法と著作権法の一部改正に関する講演、委員との意見交換を行った。

成果
まず、この研修会を開催した背景には、かねてより同法の普及活動を全国で進める中で、「弱視（ロービジョン）の視覚障害者の読書に対するニーズを把握していないこと」が課題になっており、そのニーズの掘り起こしが必要になっていたことが挙げられる。また、弱視者（ロービジョン）に話を聞くと、同法の存在を知らない者も多く、弱視者（ロービジョン）に対して同法を周知し、同法を上手く活用してもらうことも課題になっていた。
そのため、本連合の加盟団体の弱視（ロービジョン）の代表者が集まる弱視部会において、弱視者（ロービジョン）の読書に対するニーズの把握と、同法の仕組みや意義を伝えることを目的とした研修会を開催した。開催の結果、参加者からは「地域での取り組みを進めることの大切さを知った」、「弱視者（ロービジョン）も読みやすい本を求めていることを訴える必要がある」等の意見があった。
なお、この研修会の開催があったことも含め、本連合の加盟団体の一部においては、同法の基本計画づくりや同法による各種支援に対して、弱視者（ロービジョン）のニーズを含めた要望活動を行っている。例えば、要望活動を通して、日常生活用具の視覚障害者用ポータブルレコーダーの支給対象を弱視者（ロービジョン）が中心となる６級まで拡大した自治体がある。

今後の課題・計画
弱視者（ロービジョン）が求める読書については、まだまだ未整理な部分が多く、ニーズの整理が必要と感じていることから、本連合では、引き続き弱視（ロービジョン）の会員から意見を集めている。その中で、多くの弱視者（ロービジョン）からは「自身の見え方にあった本」が欲しいとの意見は多く、読む本の拡大や色の変更が可能となるアクセシブルなＰＤＦデータや電子書籍の普及が必要だと感じている。
特に、「文章に加え写真や図表が見やすくなるとよい」との意見もあることから、一般流通している書籍等のバリアフリー化が必要ではないだろうか。また、弱視（ロービジョン）は学齢期の者にも多いことから、教科書や副教材等のバリアフリー化も必要ではないだろうか。

添付資料
日視連　弱視部会　令和３年度委員総会　報告書
URL　http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/220307-jimu-2/
※添付は該当ページのみを切り取りました。
（２ページ）

日視連資料 弱視部会 令和３年度委員総会 報告書 ７ページより抜粋
３ 研修会① 弱視者（ロービジョン）と読書
研修会①は「弱視者（ロービジョン）と読書」をテーマに、文部科学省と文化庁より講師を招き、令和元年６月に成立した「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律（通称：読書バリアフリー法）」に関する文部科学省と文化庁の取り組みについての講義を行った。
読書バリアフリー法については、多くの委員から同法が分かりにくく勉強したいとの声があったことから、研修会のテーマとして取り上げた。また、国の関係者協議会において同法の議論を行う中で、弱視者（ロービジョン）の読書に対するニーズが未整理ではないかとの意見があったことから、弱視者（ロービジョン）のニーズを確認する目的も含めてテーマとした。
講義を聞いた参加者からは、地域での取り組みを進めることの大切さを知った、弱視者（ロービジョン）も読みやすい本を求めていることを訴える必要がある等の意見があった。
１．講師（敬称略）
文部科学省 総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室 室長補佐 宮本二郎
文化庁 著作権課 専門職 堂脇義音
２．主な内容
（１）読書バリアフリー法について
・読書バリアフリー法の背景と概要
・関係者協議会と基本計画の策定
・基本計画の概要
・文部科学省の取り組み
（２）著作権法の一部を改正する法律について
・図書館関係の権利制限規定の見直し
・放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化
（３ページ）

構成員個人・組織
団体名
筑波大学附属視覚特別支援学校
氏名
教諭　宇野　和博

取組
７月　視覚障害教科教育研究会講師
「読書バリアフリー法と視覚障害児の学習環境のこれから」
9月　文字・活字文化推進機構シンポジウムコーディネーター
「本と多様な立場の読者をつなぐために」
9月　読書バリアフリー研究会講師
「読書バリアフリー法ってどんな法律？」
10月　鳥取県読書バリアフリーフォーラム講師
「すべての県民に読書の喜びを　読書バリアフリーの現状と課題」
（４ページ）

構成員個人・組織
団体名
日本DAISYコンソーシアム
氏名
河村宏

取組
アクセシブルな電子出版の国際標準規格の開発と普及に取り組み、並行して日本電子出版協会(JEPA)と共同して、『デジタル社会に必要な情報 アクセシビリティ』と題する講演会を実施した。同講演会の記録は、Youtubeで視聴できる。
（https://www.youtube.com/watch?v=lvubIn6C3cw）

成果
国際DAISYコンソーシアム（https：//daisy.org/）の日本を代表する正会員である日本DAISYコンソーシアムは、技術委員会を設置して、日本からISOに提案したアクセシブルな電子出版の国際標準規格である「ISO/IEC 23761：2021 -Digital publishing ? EPUB accessibility」の発行に貢献した。
このISO規格化に引き続き、同規格のJIS化についても日本DAISYコンソーシアムは積極的に貢献し、「JIS X 23761　EPUBアクセシビリティ－ EPUB出版物の適合性及び発見性の要求事項」が近く発行される見込みである。
日本DAISYコンソーシアムは、この他に、ルビの読み上げに関する問題点の解決のためにW3C、グーグル、マイクロソフト、アップル等のWebブラウザーの仕様と実装に関与する主要な団体に問題解決を促す公開書簡を送り、現在それに応えるための関係者間の協議が進行中である。
ルビ問題の他にも、日本語の縦書き・横書きの切り替え、分かち書き等、日本語文書固有のアクセシビリティに関わる規格上の問題の解決についての取り組みも進めている。

今後の課題・計画
EPUBアクセシビリティのJIS化に引き続き、このJIS規格の社会実装に取り組み、読書バリアフリーの本質的な解決策であるボーン・アクセシブルな電子出版（アクセシブルな電子出版物の発行）の普及に取り組み、「読者よし」「著者よし」「出版者よし」の「三方よし」を実現することが次の課題である。
（５ページ）

構成員個人・組織
団体名
調布市立図書館
氏名
小池　信彦

取組
公共図書館は「すべての住民の学習権の保障」「いつでも・どこでも・だれでも利用できる図書館」を目標としています。印刷された資料を読むことができない，来館が難しいなど，利用するうえで図書館側にある障害を取り除き，誰もが使える図書館が実現することを目指しています。
中央図書館６階に利用支援コーナーを設け，見えない・見えにくい方や高齢・病気などで来館できない方，障害のある子どもたちを対象に，多くの市民の方の協力を得てサービスを行っています。
具体的には，音訳サービス，点訳サービス，大活字本の提供，宅配サービス，子どもたちへの布の絵本・布の遊具の提供，ウェブサイトなどを音声で読み上げさせるためのパソコンや拡大読書器の設置などがあります。『数字で見る図書館活動　令和２年度版』

成果
宅配：
　高齢化社会に伴い，一般資料を利用する宅配利用者は増加，利用支援サービス資料を利用する人は減少傾向にある。
録音図書：
　DAISY図書，雑誌の貸出は横ばい，サピエ，NDL送信サービスは増加傾向にある。

今後の課題・計画
音訳者，点訳者の活動継続と養成
　継続して活動する人が減少する傾向があり，養成講座を開催し，新規に活動する人を増やし，スキルアップ研修を実施していく。
利用支援サービスについての広報活動
　サービスを知ってもらうため，関係部署との連携により広報を行い，各種目録や利用案内を更新，配布していく。

添付資料
『数字で見る図書館活動　令和２年度版』「利用支援」
（６ページ）

５ 利用支援
公共図書館は「すべての住民の学習権の保障」「いつでも・どこでも・だれでも利用できる図書館」を目標としています。印刷された資料を読むことができない，来館が難しいなど，利用するうえで図書館側にある障害を取り除き，誰もが使える図書館が実現することを目指しています。
中央図書館６階に利用支援コーナーを設け，見えない・見えにくい方や高齢・病気などで来館できない方，障害のある子どもたちを対象に，多くの市民の方の協力を得てサービスを行っています。具体的には，音訳サービス，点訳サービス，大活字本の提供，宅配サービス，子どもた
ちへの布の絵本・布の遊具の提供，ウェブサイトなどを音声で読み上げさせるためのパソコンや拡大読書器の設置などがあります。
(1) 利用登録者数の推移
印刷された文字をそのままでは読むことができない方に使っていただける利用支援用資料（ＤＡＩＳＹ，マルチメディアＤＡＩＳＹ，布の絵本・布の遊具など）を貸し出すためには，利用支援サービスの登録が必要です。調布市立図書館では，このサービスを担当する部署名に「ハンディキャップサービス係」という名称を用いてきましたが，よりわかりやすい係名にするため，平成３１年４月に「利用支援係」に変更しました。
しかし，電算システム上は旧名称を引き継いでいるため，ＨＳ資料，ＨＳ利用者となっています。令和２年度の団体登録（ＨＳ団体）は，ありませんでした。高齢化社会に伴い，一般資料を利用する宅配利用者は増加してきましたが，利用支援サービス資料を利用する人は減少傾向にあります。

（表の説明）
個人利用登録者数の推移（人）
・HS利用者
H28:97
H29:95
H30:88
R1:86
R2:79
・HS宅配 ※1
※1 HS資料を利用する図書宅配利用登録者
H28:23
H29:19
H30:18
R1:15
R2:14
・一般宅配 ※2
※2 一般資料を利用する図書宅配利用登録者
H28:179
H29:186
H30:184
R1:189
R2:175
・合計
H28:299
H29:300
H30:290
R1:290
R2:268

(2) 音訳サービス
ア録音図書の作成・貸出し
録音図書とは，本を１冊まるごと音声にしたものです。録音図書はデジタル化が進み，テープ図書からＤＡＩＳＹ図書※3 へ移行しています。ＤＡＩＳＹ図書は，専用の
再生機で再生することで，しおりを付ける，章ごとに頭出しする，読みたいページに移動するなどの操作が可能です。
新しく出版された本の情報や利用者からのリクエストをもとに音訳する資料を選び，ＤＡＩＳＹ図書の作成・貸出しを行っています。調布市立図書館で所蔵のない録音図書は，全国の点字図書館などから取り寄せることができます。また，視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」※4を通して，ＤＡＩＳＹ図書データをダウンロードし，貸出しすることも可能です。サピエの利用は個人でも登録ができ，図書館を通さず直
接利用可能なため，調布市立図書館の録音図書貸出数が減少している一因となっています。
また，国立国会図書館の「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」からもＤＡＩＳＹ図書データをダウンロードし，貸し出すことができます。これは，平成２６年１月に開始されたサービスで，国立国会図書館や全国の公共図書館などで製作された点字図書，ＤＡＩＳＹ図書データをインターネットからダウンロードできるサービスです。調布市立図書館で作成したＤＡＩＳＹ図書データも試行の段階から提供しており，全国で利用されています。
イ対面朗読・プライベート音訳サービス
図書館の資料や新聞・雑誌・個人所有の資料など，希望の資料を音訳者が読む対面朗読のサービスを行っています。録音図書が一方向の利用であるのに比べて，内容や語句についての疑問をその場で辞書を引いて確認したり，複数の本から読みたい部分だけを比較しながら聞いたりできるというメリットがあります。また，希望の資料を音訳者が録音し，利用者に提供するプライベート音訳サービスも行っています。家電製品の取扱説明書や，趣味の資料など，幅広く利用されています。
ウマルチメディアＤＡＩＳＹの作成・貸出し
ディスレクシア（読み書きの困難）など，文字の認識が難しい方の読みを手助けするものとして，マルチメディアＤＡＩＳＹがあります。マルチメディアＤＡＩＳＹは電子書籍の一種で，パソコンなどで再生できます。音声に合わせて画面の文章や絵が色で強調されて，読んでいる箇所や読み方を目と耳で確認しながら読むことができます。利用支援コーナーでは，パソコンとタブレット端末を用意し，利用者の閲覧に供しています。購入や寄贈により収集しているほか，自館でも作成しています。
しかし，タイトル数の少なさや認知度の低さから，必要とする方へ十分に資料を届けられていない現状があり，広報活動が課題となっています。
※3 国際標準規格ＤＡＩＳＹ（Digital Accessible Information System）で作成したデジタル版の録音図書のことです。
※4 「サピエ」は，視覚障害者及び視覚による表現の認識に障害のある人に対して，点字やＤＡＩＳＹ図書のデータなど，さまざまな情報を提供するネットワークのことです。

（表の説明）
録音図書 所蔵数（タイトル）
※（ ）内は自館で作成し受入れしたもの。ほかに，購入や寄贈により受入れしたものがあります。
・録音図書（テープ図書）
H28:2,421（2,417）
H29:2,421（2,417）
H30:2,421（2,416）
R1:2,417（2,412）
R2:2,418（2,412）
・録音図書（ＤＡＩＳＹ図書）
H28:2,246（2,232）
H29:2,541（2,520）
H30:2,727（2,705）
R1:2,976（2,949）
R2:3,173（3,147）
・マルチメディアＤＡＩＳＹ図書
H28:213（3）
H29:237（8）
H30:236（7）
R1:254（25）
R2:262（33）

録音図書 貸出数（点）
・録音図書（テープ図書）
H28:44
H29:16
H30:27
R1:100
R2:72
・録音図書（テープ雑誌）
H28:0
H29:0
H30:0
R1:0
R2:0
・録音図書（ＤＡＩＳＹ図書）
H28:4,390
H29:3,948
H30:3,655
R1:3,408
R2:3,083
・録音図書（ＤＡＩＳＹ雑誌）
H28:386
H29:361
H30:256
R1:201
R2:193
・マルチメディアＤＡＩＳＹ図書
H28:35
H29:27
H30:25
R173
R2:0

サピエ利用状況（音声ＤＡＩＳＹ）（タイトル）
・ダウンロードしたタイトル数
※（ ）内はダウンロードしたタイトル数のうち，サピエ個人会員によるダウンロード数です。
H28:1,592（4）
H29:1,782（75）
H30:1,709（151）
R1:2,012（167）
R2:1,609（137）


国立国会図書館視覚障害者等用データの収集および送信サービス
・DAISY 図書データ提供数（タイトル）
H28:1,625
H29:1,839
H30:2,026
R1:2,303
R2:2,477
・提供データが利用された回数（回）
H28:61,265
H29:55,845
H30:50,388
R1:59,409
R2:66,838

対面朗読
・回数
H28:129
H29:135
H30:129
R1105
R2:37
・時間
H28:239
H29:274
H30:256
R1191
R2:55


(3) 点訳サービス
ア点訳図書の作成・貸出し
点訳図書は，調布市の地域資料を中心に作成し，蔵書としています。調布市立図書館に所蔵がないものは，全国の点字図書館などから取り寄せて貸し出します。
イ点訳プライベートサービス
学校だよりや家電製品の取扱説明書など，利用者の生活に関わる資料を点訳するプライベートサービスを行っています。また，「市報ちょうふ」（広報課），「市議会だより」（調布市議会），「調布市ごみリサイクルカレンダー」（ごみ対策課），「ふくしの窓」（調布市社会福祉協議会），「健康カレンダー」（健康推進課）などを定期的に点訳し，希望者へ送付しています。

（表の説明）
点訳サービス実施状況
※ 枚数は，点字で印刷した際の用紙の枚数です。
・H28
蔵書数（冊）:477
貸出数（冊）:4
点訳件数（件）:90
点訳枚数（枚）:3,096
校正枚数（枚）:3,153
点訳者（人）:25
・H29
蔵書数（冊）:489
貸出数（冊）:7
点訳件数（件）:88
点訳枚数（枚）:2,935
校正枚数（枚）:3,113
点訳者（人）:25
・H30
蔵書数（冊）:489
貸出数（冊）:10
点訳件数（件）:89
点訳枚数（枚）:2,804
校正枚数（枚）:3,166
点訳者（人）:25
・R1
蔵書数（冊）:508
貸出数（冊）:5
点訳件数（件）:83
点訳枚数（枚）:2,784
校正枚数（枚）:2,761
点訳者（人）:24
・R2
蔵書数（冊）:517
貸出数（冊）:8
点訳件数（件）:66
点訳枚数（枚）:2,915
校正枚数（枚）:2,915
点訳者（人）:22

(4) 大活字本の収集・貸出し
調布市立図書館では，平成元年度から大きな文字でよみやすい大活字本を収集しており，誰でも借りることができます。元来は弱視の方を対象とした出版物であったため，平成２８年４月１日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されたことにより，徐々に出版点数が増えてきました。現在は，高齢の方の利用も多くなっています。
中央図書館では４階一般室に，分館ではそれぞれの大活字本コーナーに置き，半年に一度分館間の資料の入替えを行っています。また，大活字本の所蔵目録を毎年作成し，希望者に配布しています。
令和元年１０月から，一般社団法人霞会館より定期的に拡大写本（大活字本）が寄贈されています。

（表の説明）
大活字本蔵書冊数（冊）
・H28
購入冊数:90
蔵書冊数:5,348
・H29
購入冊数:415
蔵書冊数:5,717
・H30
購入冊数:207
蔵書冊数:5,896
・R1
購入冊数:244
蔵書冊数:6,134
・R2
購入冊数:155
蔵書冊数:6,004

(5) 宅配サービス
平成１３年度から宅配サービスを開始しました。心身の障害で外出が困難な方や，高齢者，出産前後の方など，図書館を利用したくても来館できない市民を対象に，図書宅配協力員（登録している市民ボランティア）や職員・図書館専任職員が，最寄りの図書館から徒歩や自転車などで資料を直接届けています。
平成１４年９月からは郵送サービスも行っています。平成２４年度からは，急な怪我や体調不良で来館が困難な方を対象に，一回に限り宅配に伺うスポット宅配を開始しました。これまでのＰＲ活動の成果もあり，宅配件数は多くの館で増えていましたが，令和２年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり，減少しました。

（表の説明）
令和２年度 宅配サービス実施状況
※ 郵送サービスの利用者数は，中央または分館の宅配登録者に含まれます。
・登録者数（人）
中央:46
国領:16
調和:14
深大寺:19
神代:16
宮の下:23
緑ケ丘:11
富士見:7
若葉:11
染地:14
佐須:12
分館合計:143
郵送:-
合計:189
・宅配協力員数（人）
中央:15
国領:3
調和:5
深大寺:3
神代:5
宮の下:3
緑ケ丘:4
富士見:2
若葉:3
染地:5
佐須:4
分館合計:37
郵送:-
合計:52
・実施回数（回）
中央:261
国領:123
調和:58
深大寺:107
神代:107
宮の下:117
緑ケ丘:188
富士見:56
若葉:43
染地:100
佐須:71
分館合計:970
郵送:0
合計:1,231
・貸出資料（点）
中央:1,716
国領:967
調和:368
深大寺:616
神代:801
宮の下:350
緑ケ丘:795
富士見:371
若葉:442
染地:405
佐須:776
分館合計:5,891
郵送:0
合計:7,607

(6) 子どもへのサービス
ア布の絵本・布の遊具の収集・貸出し
平成２年度から，「公益財団法人ふきのとう文庫」や布のおもちゃ製作グループ「ぐるーぷ・もこもこ」製作の布の絵本・布の遊具の収集を始めました。平成１８年度に初めて布の絵本製作者の養成講座を行い，受講者は平成１９年度から「ふかふか屋」として活動を始めました。平成２４年度には２回目の養成講座を行い，現在では１８人の製作者が製作・修理を行っています。
丸洗いをすることが難しい布の絵本・布の遊具を清潔に保つため，平成２５年に書籍消毒機（紫外線と風により本の殺菌消毒ができる機械）を導入しました。布の絵本・布の遊具は，利用支援に登録している個人に貸出しを行っているほか，子ども発達センターや特別支援学級などに団体貸出しています。また，おはなし会（絵本の読み聞かせや手あそびなど）のプログラムに布の絵本を取り入れ，子どもたちの反応を見ることで布の絵本・布の遊具の資料としての価値を確認し，利用促進や製作に活かしています。

（表の説明）
布の絵本・遊具 所蔵数・貸出数（点）
・H28
所蔵数:352
貸出数:305
・H29
所蔵数:363
貸出数:243
・H30
所蔵数:385
貸出数:271
・R1
所蔵数:396
貸出数:256
・R2
所蔵数:415
貸出数:110

イマルチメディアＤＡＩＳＹ※（児童書）の収集・貸出し
マルチメディアＤＡＩＳＹ版の児童書を購入や寄贈により収集するほか，自館で作成するなどして貸出ししています。また，児童サービス係と連携して小学生へのガイダンスで紹介するなど，利用促進に努めています。
※ マルチメディアＤＡＩＳＹについては，「（2）音訳サービス ウ マルチメディアＤＡＩＳＹの作成・貸出し(p.56)」に詳しく記載しています。

(7) 広報活動
利用の拡大を目指し，毎年，市内在住の視覚障害者（障害者手帳１・２・３級をお持ちの方）で利用登録していない方や，しばらく利用がない方に対して，障害福祉課と協力して広報活動を行っています。利用支援の案内と「録音図書目録」の一部を編集・収録した「図書館のご案内」に加え，平成２８年度から，実際に録音図書を聞く体験をしていただく試みとして，録音図書の一部を抜粋し収録したＣＤを送付しています。
利用支援の登録者には，毎月，声のお知らせ「オカリナ通信」を作成し送付しています。また，「録音図書目録」を毎年改訂し，墨字版※だけでなく，音声版（ＤＡＩＳＹ版やカセットテープ版），テキストデータ版といった，利用者の要望に沿った媒体で送っています。これらの内容は図書館のホームページにも掲載しています。利用者からは「オカリナ通信」「録音図書目録」のほか，「新着図書案内」や「東京都公立図書館新作情報」などの情報から予約やリクエストが寄せられています。
また，利用支援コーナーでは季節ごとに展示を変更しています。市報などの広報誌への記事掲載や，地域のボランティアまつりでのＰＲなど，多くの市民に利用支援を知っ
てもらうために，広報活動を行いました。必要としている方にサービスが行き渡るように努めています。
※ 墨字とは，点字に対して，書かれた文字や印刷された文字のことを言います。

※ 調布市立図書館で使用している宅配専用バッグを持っています。
※ 左上には点字で「じろ」と書いてあります。

令和２年度 利用支援発行物及び送付物
名称
図書館のご案内（障害福祉課との共管事業）
内容
利用案内・録音図書目録及び録音図書のデモンストレーションＣＤの送付 年1 回対象：未登録で市内在住の1･2･3 級の視覚障害者，しばらく利用がない利用支援登録者
発行数・送付数等
音声版 137 人

名称
オカリナ通信
内容
図書館などからのお知らせ，新しい録音図書の案内，サピエ新作情報，新聞書評毎月発行
下記の発行物の音訳版も同封
・「新着図書案内」（調布市立図書館発行）
・「図書館だより」（調布市立図書館発行）
・「ぱれっと」（調布市文化・コミュニティ振興財団発行）
対象：送付を希望する利用支援登録者

発行数・送付数等
音声版 37 人　１施設

名称
東京都公立図書館新作情報
内容
都内公立図書館で新たに作成した録音・点訳図書の紹介
東京都立中央図書館発行 隔月発行
対象：送付を希望する利用支援登録者
発行数・送付数等
送付人数 20 人
媒体別送付数
音声版 16 人
墨字版 1 人
ﾃｷｽﾄﾃﾞｰﾀ版4 人

名称
録音図書目録
内容
調布市立図書館所蔵の録音図書の目録
毎年発行 市内各図書館で配布
対象：送付を希望する利用支援登録者
発行数・送付数等
墨字版 120 部
送付人数 67 人
媒体別送付数
音声版 45 人
墨字版 32 人
ﾃｷｽﾄﾃﾞｰﾀ版2 人

名称
大活字本目録
内容
調布市立図書館所蔵の大活字本の目録
毎年発行 市内各図書館で配布
発行数・送付数等
墨字版 190 部

名称
布の絵本目録※
内容
調布市立図書館所蔵の布の絵本・布の遊具の目録 蔵書の状況により改訂版を発行
市内各図書館で配布
発行数・送付数等
令和2 年度は新規発行なし
※ 「布の絵本目録」は，墨字版のほかに，全ページを写真で確認できる目録を作成し，市内の図書館などに置いています。

令和２年度 利用支援広報活動
事業名
関係機関発行物への記事掲載
内容
市報，『障害者福祉のしおり』，『くらしの案内シルバー編』，『元気に育て！調布っ子』に案内を掲載
回数等
4 回

事業名
イベントでのＰＲ
内容
利用支援サービスの説明や宅配サービス等のチラシ配布を実施
ボランティアまつり染地 5月
富士見ふれあいのつどい 6月
調布市福祉まつり 12月
調布市敬老会(資料配布のみ) 9月
回数等
※ 新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止となりました。

事業名
布の絵本展示
内容
市内各図書館で布の絵本・布の遊具の展示を実施
通年（中央図書館及び6 分館）
子ども家庭支援センターすこやかにおける展示会協力
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となりました。
回数等
市内7 箇所

(8) 音訳者・点訳者・布の絵本製作者向け講座・講習会
例年，調布市立図書館で活動してくださる音訳者（３１人），点訳者（２２人），布の絵本製作者（１８人）を対象にした講座を開催しています。これまでの講座修了者による自主勉強グループの活動も行われています。
令和２年度は，新型コロナウイルス感染拡大防止のため，音訳者養成講座及び布の絵本製作者養成講座は中止しました。点訳者養成講座は，新規に調布市立図書館の点訳者となっていただくための初級講座を１２年ぶりに開催しました。各グループの自主勉強会も，感染状況を見極めながらの実施となりました。


令和２年度 講座・講習会
講座名
音訳者養成講座(中級)(全1 回)
期日・対象・会場・参加人数
調布市立図書館登録の音訳者
文化会館たづくり
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止しました。
講師及び内容
講師：佐藤聖一氏
内容：公共図書館における音訳

講座名
点訳者養成講座(初級)(全10 回のうちの第1～4 回)
期日・対象・会場・参加人数
3 月4，11，18，25 日（毎週木曜日）
(令和2 年度から3 年度にかけて開催)
10 時00 分～12 時00 分
文化会館たづくり1001 学習室
受講者14 人
講師及び内容
講師：片岡和代氏
内容：新規の点訳者を養成する初級講座

令和２年度 音訳者・点訳者・布の絵本製作者による自主勉強グループの活動
グループ名
水曜会（音訳）
定例日・会員数・会場
第2 水曜日 30 人
文化会館たづくり601・602会議室ほか
内容
作成途中の録音図書の互評と音訳技術研さんのための学習

グループ名
調布ブライユ（点訳）
定例日・会員数・会場
第2・4 木曜日 2 人
中央図書館対面朗読室
内容
「市議会だより」（年4 回），「ふくしの窓」（隔月）などの点訳，点訳作業の打合せと校正

グループ名
点訳くすのき（点訳）
定例日・会員数・会場
第2・4 水曜日 20 人
文化会館たづくり601 会議室ほか
内容
「市報ちょうふ」（月2 回），行政資料などの点訳，点訳作業の打合せ

グループ名
ふかふか屋（布の絵本製作）
定例日・会員数・会場
第1・3 水曜日 16 人
文化会館たづくり601・602会議室
内容
布の絵本・遊具の製作及び修理

(9) その他事業
例年，４月に協力者（音訳者・点訳者・布の絵本製作者）との懇談会，１１月に利用者懇談会を開催し，利用支援に対する意見を伺っていますが，新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止としました。

令和２年度 その他事業
事業名
利用支援協力者懇談会
実施日・会場・参加人数等
令和2年4月7日(火) 10時00分～11時30分
文化会館たづくり601・602 会議室
令和元年度活動報告（利用支援係職員）
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止しました。

事業名
利用支援サービス利用者懇談会
実施日・会場・参加人数等
令和2年11月12日(木) 10時00分～11時30分
文化会館たづくり601・602 会議室
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止しました。

(10) 実習生・職場体験の受入れ
例年，日本図書館協会主催の「障害者サービス担当職員養成講座（基礎コース）」の実習館として，受講生を受け入れていますが，オンライン開催となったため，実習はありませんでした。
中学生の職場体験には，点字を打つ体験をしてもらうなど利用支援の仕事も組み入れていますが，新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止となりました。
(11) 利用支援用資料の収集
平成２５年度に作成した「調布市立図書館ハンディキャップサービス資料収集等に関する方針」に基づき，資料を収集しています。現在，調布市立図書館には自館作成の資料のほか，市販及び寄贈のＤＡＩＳＹ図書，マルチメディアＤＡＩＳＹ図書，点字資料，布の絵本・布の遊具，点字絵本，ＬＬ※ブックなどを所蔵しています。
※ ＬＬはスウェーデン語の（やさしく読みやすい）の略です。
（７～17ページ）

構成員個人・組織
団体名
（公社）日本図書館協会
氏名
髙橋正名

取組
（1）図書館の障害者サービスを進展させるための出版物の刊行
JLA図書館実践シリーズ「図書館利用に障害のある人々へのサービス　補訂版」上下巻
日本図書館協会障害者サービス委員会編　2021年11月（印刷版）、2022年5月（アクセシブルなEPUB版）
JLA図書館実践シリーズ「障害者サービスと著作権法　第2版」日本図書館協会障害者サービス委員会・著作権委員会共編　2021年1月（印刷版）、2021年5月（アクセシブルなEPUB版）
（2）図書館職員研修会の開催、全国の研修会への講師派遣
障害者サービス担当職員向け講座（国立国会図書館との共催）
障害者サービス担当職員養成講座（中級）
その他、全国の図書館等からの多数の講師依頼に対応。
（3）読書バリアフリー関連の実態調査・検討会等への委員派遣
全国公共図書館協議会「令和3・4年度調査研究事業　公共図書館における読書バリアフリー」
全国視覚障害者情報提供施設協会「点字図書館等におけるアクセシブルな書籍等の提供体制及び製作状況に関する調査研究」
東京大学先端科学技術研究センター「学校図書館等におけるアクセシブルな書籍等の共有を目指した読書バリアフリーコンソーシアム」
国立国会図書館「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」

成果
基本書の刊行や職員研修会の開催により図書館職員のスキルアップにつながった。
全国公共図書館協議会や全国視覚障害者情報提供施設協会による障害者サービスの全国実態調査の実施により、読書バリアフリーの現状把握のみならず、課題や今後の方向性を見つけることができた。

今後の課題・計画
引き続き職員等向け研修会を開催すると共に、今秋までに以下二つの関連資料を発表し、図書館の取り組みを推進していきたい。
（1）「障害者サービス基準（公共図書館編）」（館種別に行うべき障害者サービスを提示し、指標化するもの）
（2）「地方公共団体において「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画」を策定するための指針」
（18ページ）

構成員個人・組織
団体名
全国視覚障害者情報提供施設協会
氏名
竹下　亘

取組
「サピエ図書館」の利用拡大を図る取り組みについて
特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会
＊２０２１年度、厚生労働省の補助金を元に、視覚障害者等を対象とした「サピエ図書館」のＰＲ動画「サピエ図書館で読書の喜びを！」（２１分）を製作し、５月から公開を開始した。現在は、以下のページ（ＵＲＬは暫定）で閲覧可能。
　ＵＲＬ　https://youtu.be/1-ju1dnpF2U
７月中には、当協会が開設する新しいホームページに掲載して、公開予定。それに合わせて、この動画を紹介するチラシを製作し、全国の公共図書館等約１,５００館に送付して、利用対象者と家族、支援者等への広報を行う。
＊２０２２年度は、当協会の会員施設・団体（１０１ヶ所）中１０ヶ所程度で、全国各地域の公共図書館等を対象に、サピエ図書館の利用方法や活用の仕方などの実習を行う研修会を開催する予定である。
（19ページ）