資料4 令和3年度までの取組及び令和4年度に講ずる施策について (1ページ・表紙) 省庁等 事務局(厚生労働省/文部科学省) 所属 社会・援護局障害者保健福祉企画課自立支援振興室/総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室 役職・氏名 室長 奥出 吉規 /室長 鈴木 規子 基本計画@総論(1)都道府県等への計画策定の働きかけ 令和3年度までの取組 【都道府県の計画策定の働きかけ】 ・地方公共団体の計画策定を促すため、策定にあたっては地方公共団体内の関係部署の連携のみならず、地域における関係者・関係団体との連携が必要となることや施策の方向性の勘案事項など、策定にあたっての留意事項について地方公共団体に周知した(令和2年度まで)。 ・視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画策定状況調査(令和4年2月1日現在)を実施し概要及び自治体の計画策定状況をHPで公開。調査対象:都道府県、指定都市、中核市計129自治体【資料:事―1】 主要な成果 ・状況調査結果:策定済み計13自治体、策定作業中12自治体、策定に向けて検討中42自治体。(計51%策定又は策定に向けて作業・検討中(前回比11%増) ◎文部科学省:https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_01134.html ◎厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sanka/bunka_00003.html?msclkid=47bd4113b0c611ec8b1c3d9090ff7a8c 令和4年度(から)の取組 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画策定状況調査(令和5年2月1日現在)の継続。 目標 次回(令和4年度)調査で51%→66%(15%増) 最終目標:100% 資料番号 事ー1 A総論(2)国民等への周知 令和3年度までの取組 ・令和3年6月〜令和4年5月までに発出した周知等の事務連絡について【資料:事―2】 資料番号 事ー2 (2ページ) 事ー1 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画の策定状況 概要 T 令和3年度視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画の策定状況について 調査対象:都道府県、指定都市、中核市(計129、回答率100%) 調査時点:令和4年2月1日現在 1.計画の策定について (1)策定状況※全体の51%が策定及び策定に向けて作業・検討中 1.既に策定済み 回答:都道府県6、指定都市2、中核市5、全体13 2.現在策定作業中 回答:都道府県8、指定都市1、中核市3、全体12 3.策定に向けて検討中 回答:都道府県22、指定都市7、中核市13、全体42 4.策定する予定なし(未定も含む) 回答:都道府県11、指定都市10、中核市41、全体62 (2)策定時期【1(1)で1〜3と回答】 1.令和2年度 回答:都道府県5、指定都市2、中核市3、全体10 2.令和3年度 回答:都道府県6、指定都市0、中核市3、全体9 3.令和4年度 回答:都道府県5、指定都市1、中核市2、全体8 4.令和5年度以降 回答:都道府県8、指定都市2、中核市8、全体18 5.未定 回答:都道府県12、指定都市5、中核市5、全体22 (3)計画の位置づけ【1(1)で1〜3と回答】 1.単独の計画として策定 回答:都道府県13、指定都市1、中核市4、全体18 2.障害者政策の計画の一部に位置づけ 回答:都道府県7、指定都市2、中核市8、全体17 3.その他の計画の一部に位置づけ 回答:都道府県5、指定都市2、中核市5、全体12 4.未定 回答:都道府県11、指定都市5、中核市4、全体20 2.連絡会等の開催について (1)開催状況※全体の37%が開催及び開催に向けて準備・検討中 1.既に開催済み 回答:都道府県20、指定都市7、中核市5、全体32 2.開催に向けて準備・検討中 回答:都道府県9、指定都市4、中核市4、全体17 3.開催する予定なし(未定も含む) 回答:都道府県18、指定都市9、中核市53、全体80 (2)開催時期【(1)で1,2と回答】 1.令和2年度 回答:都道府県8、指定都市2、中核市0、全体10 2.令和3年度 回答:都道府県15、指定都市6、中核市5、全体26 3.令和4年度 回答:都道府県3、指定都市0、中核市1、全体4 4.令和5年度以降 回答:都道府県1、指定都市0、中核市0、全体1 5.具体的な開催時期は未定である 回答:都道府県2、指定都市3、中核市3、全体8 3.外部関係者を含めた会議の開催について (1)開催状況※全体の32%が開催及び開催に向けて準備・検討中 1.既に開催済み 回答:都道府県11、指定都市4、中核市4、全体19 2.開催に向けて準備・検討中 回答:都道府県10、指定都市5、中核市7、全体22 3.開催する予定なし(未定も含む) 回答:都道府県26、指定都市11、中核市51、全体88 (2)開催時期【(1)で1,2と回答】 1.令和2年度 回答:都道府県3、指定都市0、中核市1、全体4 2.令和3年度 回答:都道府県8、指定都市4、中核市3、全体15 3.令和4年度 回答:都道府県5、指定都市1、中核市3、全体9 4.令和5年度以降 回答:都道府県3、指定都市0、中核市1、全体4 5.具体的な開催時期は未定である 回答:都道府県2、指定都市4、中核市3、全体9 (3ページ) U 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画の策定状況の推移について 1.計画の策定状況の推移(%) 都道府県 令和2年度は、策定検討中が約40%、策定作業中が約15%、策定済みが0% 令和3年度は、策定検討中が約47%、策定作業中が約17%、策定済みが約13% 指定都市 令和2年度は、策定検討中が35%、策定作業中が5%、策定済みが0% 令和3年度は、策定検討中が35%、策定作業中が5%、策定済みが10% 中核市 令和2年度は、策定検討中が25%、策定作業中が約3%、策定済みが0% 令和3年度は、策定検討中が約21%、策定作業中が約5%、策定済みが約8% 全体 令和2年度は、策定検討中が約32%、策定作業中が約8%、策定済みが0% 令和3年度は、策定検討中が約33%、策定作業中が約9%、策定済みが約10% 2.連絡会等の開催状況の推移(%) 都道府県 令和2年度は、開催準備・検討中が約34%、開催済みが約28% 令和3年度は、開催準備・検討中が約19%、開催済みが約43% 指定都市 令和2年度は、開催準備・検討中が30%、開催済みが15% 令和3年度は、開催準備・検討中が20%、開催済みが35% 中核市 令和2年度は、開催準備・検討中が約13%、開催済みが0% 令和3年度は、開催準備・検討中が約6%、開催済みが約8% 全体 令和2年度は、開催準備・検討中が約24%、開催済みが約13% 令和3年度は、開催準備・検討中が約13%、開催済みが約25% 3.外部関係者を含めた会議の開催状況の推移(%) 都道府県 令和2年度は、開催準備・検討中が約32%、開催済みが約11% 令和3年度は、開催準備・検討中が約21%、開催済みが約23% 指定都市 令和2年度は、開催準備・検討中が25%、開催済みが10% 令和3年度は、開催準備・検討中が25%、開催済みが20% 中核市 令和2年度は、開催準備・検討中が約13%、開催済みが0% 令和3年度は、開催準備・検討中が約11%、開催済みが約6% 全体 令和2年度は、開催準備・検討中が約22%、開催済みが約6% 令和3年度は、開催準備・検討中が約17%、開催済みが約15% ※各地方公共団体からの調査回答をもとに、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室において作成。 (4ページ) 事−2 読書バリアフリーに係る通知、事務連絡一覧 (1)著作権法施行令第2条第1項第1号ロに規定する「大学等の図書館及びこれに類する施設」の解釈について(周知) 発出日:令和3年6月10日(文化庁・文部科学省) 発出先:各国公立大学法人担当課、各文部科学大臣所轄学校法人担当課、大学を設置する各学校設置会社担当課、各国公私立高等専門学校担当課 内容:著作権法施行令第2条第1項第1号ロに規定する「大学等の図書館及びこれに類する施設」は、大学又は高等専門学校の図書館のほか、これに類する施設として、図書等の資料を備え置いて、視覚障害者等に資料の貸出等の情報提供を行う機能を担う施設(例えば、障害学習支援室や学生支援センター等)が該当する旨を周知。 【資料:事―2(1)】 (2)視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)に係るリーフレットの発送等について(事務連絡) 発出日:令和3年8月6日(文部科学省・厚生労働省) 発出先:各都道府県・指定都市基本計画策定担当課 内容:令和3年4月にwebで公開済みであったリーフレット「誰もが読書をできる社会を目指して〜読書のカタチを選べる「読書バリアフリー法」〜」について、9月末から10月上旬に紙媒体で配布する旨を連絡。 掲載URL: 文部科学省ホームページ) https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/1421441.htm (厚生労働省ホームページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sanka/bunka_00003.html (サピエ図書館ホームページ) https://www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW 【資料:事―2(2)】 (3)視覚障害等のある児童生徒の読書環境の整備の推進に関するウェブサイトの公開について(周知) 発出日:令和4年3月30日(文部科学省) 発出先:各都道府県教育委員会担当課、各指定都市教育委員会担当課、各都道府県私立学校、附属学校を置く各国公立大学法人附属学校担当課、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課 (5ページ) 内容:東京大学先端科学技術研究センターを主体とした「学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム」を設置し、アクセシブルな書籍・電子書籍等の製作・共有に関する情報提供や先進的な取組事例の紹介を行うウェブサイト「進めよう、豊かな読書活動」を周知。 掲載URL: <ウェブサイト:進めよう、豊かな読書活動> https://accessreading.org/conso/ <啓発用リーフレット:誰もが読書をできる社会を目指して〜読書のカタチを選べる「読書バリアフリー法」〜> https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_01304.h 【資料:文―2 参照】 (6ページ) 事−2(1) 事務連絡 令和3年6月10日 各国公立大学法人担当課 各文部科学大臣所轄学校法人担当課 大学を設置する各学校設置会社担当課 各国公私立高等専門学校担当課 御中 文化庁著作権課 文部科学省高等教育局学生・留学生課 著作権法施行令第2条第1項第1号ロに規定する「大学等の図書館及びこれに類する施設」の解釈について(周知) 著作権法(昭和45年法律第48号。以下「法」という。)第37条第3項では、視覚障害者等のための書籍の音訳等を権利者の許諾なく行うことができる場合について定めており、これについて、「視覚障害その他の障害により視覚による表現の認識が困難な者(中略)の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるもの」が行うことができることとされています。また、著作権法施行令(昭和45年政令第335号。以下「施行令」という。)第2条第1項第1号ロでは、法第37条第3項で規定する「政令で定めるもの」として、「大学等の図書館及びこれに類する施設」を設置して「視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者」を規定しています。 この度、施行令第2条第1項第1号ロに規定する「大学等の図書館及びこれに類する施設」の解釈について下記のとおり示しますので、貴担当課におかれては、貴所管内の関係者に対し、本件について周知されるようよろしくお願いいたします。 記 施行令第2条第1項第1号ロに規定する「大学等の図書館及びこれに類する施設」は、大学又は高等専門学校の図書館のほか、これに類する施設として、図書等の資料を備え置いて、視覚障害者等に資料の貸出等の情報提供を行う機能を担う施設が該当すること。このため、例えば、こうした機能を有すれば、障害学生支援室や学生支援センターも該当しうること。 (7ページ) (参照条文) ○著作権法(昭和45年法律第48号) (視覚障害者等のための複製等) 第三十七条 (略) 2 (略) 3 視覚障害その他の障害により視覚による表現の認識が困難な者(以下この項及び第百二条第四項において「視覚障害者等」という。)の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものは、公表された著作物であつて、視覚によりその表現が認識される方式(視覚及び他の知覚により認識される方式を含む。)により公衆に提供され、又は提示されているもの(当該著作物以外の著作物で、当該著作物において複製されているものその他当該著作物と一体として公衆に提供され、又は提示されているものを含む。以下この項及び同条第四項において「視覚著作物」という。)について、専ら視覚障害者等で当該方式によつては当該視覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において、当該視覚著作物に係る文字を音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製し、又は公衆送信を行うことができる。ただし、当該視覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者若しくはその複製許諾若しくは公衆送信許諾を得た者により、当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。 ○著作権法施行令(昭和45年政令第335号) (視覚障害者等のための複製等が認められる者) 第二条 法第三十七条第三項(法第八十六条第一項及び第三項並びに第百二条第一項において準用する場合を含む。)の政令で定める者は、次に掲げる者とする。 一 次に掲げる施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者(イ、ニ又はチに掲げる施設を設置する者にあつては国、地方公共団体又は一般社団法人等、ホに掲げる施設を設置する者にあつては地方公共団体、公益社団法人又は公益財団法人に限る。) イ (略) ロ 大学等の図書館及びこれに類する施設 ハ〜チ (略) 二・三 (略) 2 (略) <本件連絡先> ○著作権法の解釈について 担当:文化庁著作権課法規係 電話:03-5253-4111(内線4824) ○障害学生支援について 担当:文部科学省高等教育局学生・留学生課厚生係 電話:03-5253-4111(内線2522) (8ページ) 事―2(2) 事務連絡 令和3年8月6日 各都道府県・指定都市 基本計画策定担当課 殿 文部科学省総合教育政策局 地域学習推進課図書館・学校図書館振興室 男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 企画課自立支援振興室 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)に係るリーフレットの発送等について 日頃から読書バリアフリーの推進に御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)に係るリーフレットの周知の依頼について」(令和3年4月13 日付け文部科学省・厚生労働省連名事務連絡)でもお知らせしたとおり、昨年度、文部科学省と厚生労働省が連携し、障害者の方やその御家族の方に公立図書館や点字図書館等でどのようなサービスが行われているのか、またどのような本があるのかを知ってもらうためのリーフレット「誰もが読書をできる社会を目指して〜読書のカタチを選べる「読書バリアフリー法」〜」を作成し、その電子媒体を文部科学省及び厚生労働省のホームページに掲載しています。 紙媒体については、令和3年7月を目途に全都道府県・指定都市及び市町村に発送する予定と連絡しましたが、事情により、(下線開始)令和3年9月中旬から10 月初旬までの間に発送(下線終了)することとなりました。 また、全国視覚障害者情報提供施設協会と日本点字図書館に御協力いただき、(下線開始)サピエ図書館にリーフレットの点字版及び合成音声のマルチメディアデイジー版が公開(下線終了)されていますので、これらも活用してください。 ついては、各都道府県におかれては、障害福祉、公立図書館、学校図書館、特別支援教育等の関連部署や管内の市町村に対し、各指定都市におかれては、障害福祉、公立図書館、学校図書館、特別支援教育等の関連部署に対し、下記URL に掲載されたリーフレットを今後の読書バリアフリー推進の取組に御活用するよう周知をお願いいたします。 (9ページ) (文部科学省ホームページ) https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/1421441.htm (厚生労働省ホームページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sanka/bunka_00003.html (サピエ図書館ホームページ) https://www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW 今後とも読書バリアフリーの推進に御理解・御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 【本件担当】 (公立図書館・学校図書館における読書バリアフリー推進に関すること) 文部科学省総合教育政策局地域学習推進課図書館・学校図書館振興室 TEL:03-5253-4111(内線2093) E-mail:tosyo@mext.go.jp (読書バリアフリー法・同基本計画に関すること) 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室 TEL:03-5253-4111(内線3613) E-mail:sst@mext.go.jp (点字図書館・サピエ図書館等その他福祉施策に関すること) 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室 TEL:03-5253-1111(内線3076) E-mail:SGJIRITU@mhlw.local (10ページ) 省庁等 文部科学省 所属 地域学習推進課 役職・氏名 社会教育振興総括官 安彦 広斉 基本計画@総論(2)国民等への周知 令和3年度までの取組 1.障害当事者、視覚障害支援者、司書など図書館関係者、地方公共団体、教員、出版関係者などを対象とした文字・活字文化推進機構によるフォーラム「読書バリアフリーと図書館の役割〜誰もが読める環境づくり〜」を令和3年2月13日に無観客開催し、3月1日よりインターネット配信を開始した。 https://www.mojikatsuji.or.jp/news/2021/03/01/4598/ 2.令和3年9月5日(日)開催の独立行政法人 国立青少年教育振興機構によるオンラインシンポジウム「本と多様な立場の読者をつなぐために」について、都道府県・指定都市の読書バリアフリー担当課に通知し周知を図った。【資料:文ー1】 https://www.mojikatsuji.or.jp/news/2021/09/22/5011/ 3.障害者やその家族等に公立図書館や点字図書館等でどのようなサービスが行われているのか、またどのような本があるのかを知ってもらうための啓発用リーフレットを作成し、HPで公開した(令和3年4月)。 令和3年9月、印刷したリーフレットを都道府県、市町村の図書館所管担当等に配布した。【(関連資料:事-2(2)】 成果 1.事前申込者 454名、再生回数1,748回(令和4年5月25日現在) 2.再生回数1,158回(令和4年5月25日) 3.配布先1,799 箇所 令和4年度(から)の取組 読書バリアフリーに関するフォーラム、シンポジウム等について、情報を収集し各都道府県・指定都市に通知し、周知を図る。 資料番号 文ー1 (11ページ) 基本計画AV.1 視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等(第9条関係) 令和3年度までの取組 1.都道府県から推薦のあった、公立図書館における読書バリアフリーに関する取組事例をホームページに掲載するとともに、各都道府県・指定都市図書館担当課に周知し、各地方公共団体の公立図書館・学校図書館における促進方策の参考とした。 https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_01461.html 2.「図書館における障害者利用の促進事業(読書バリアフリーコンソーシアム事業)」において、公立図書館、学校図書館、大学図書館、点字図書館等が連携した読書バリアフリーコンソーシアムを組織し、各館の物的・人的資源の共有、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化等のモデル的な取組を行う地方公共団体を支援した。【資料:文ー2】 3.「図書館における障害者利用の促進事業(読書バリアフリーコンソーシアム事業)」において、東京大学先端科学技術研究センターを主体とした「学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム」を設置し、アクセシブルな書籍・電子書籍等の製作・共有に関する情報提供や先進的な取組事例の紹介を行うウェブサイト「進めよう、豊かな読書活動」を都道府県・指定都市等の学校及び公共図書館所管課に周知した。【資料:文ー3】 https://accessreading.org/conso/ また、学校・学校図書館等で製作された電子書籍等の所在情報の把握・共有(リポジトリ)の在り方を検討した。 4.平成30年度「社会教育統計」、令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」により公共図書館、学校図書館における点字図書、拡大図書等多様な蔵書の整備状況を把握した。【資料:文ー4】 成果 「読書バリアフリーコンソーシアム事業」受託団体 〇令和3年度:3件 ・東京大学先端科学技術研究センター ・佐賀県 ・鳥取県教育委員会 令和4年度(から)の取組 1.「図書館における障害者利用の促進事業(読書バリアフリーコンソーシアム事業)」において、公立図書館、学校図書館等によるコンソーシアムを構築することにより、アクセシブルな書籍等の充実を図るための各館の資源の共有や人材の交流等を行うとともに、引き続き、図書館の優れた取組の収集や周知を行う。 2.「図書館における障害者利用の促進事業(読書バリアフリーコンソーシアム事業)」において、公立図書館、学校図書館、大学図書館、点字図書館等が連携した読書バリアフリーコンソーシアムを組織し、各館の物的・人的資源の共有、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化等のモデル的な取組を行う地方公共団体を支援する。 3.視覚障害等のある児童生徒が必要とする学習参考書、問題集、資格試験類のアクセシブルな書籍等の整備が不十分であり、実効的な施策の検討が必要なため、「図書館における障害者利用の促進事業(読書バリアフリーコンソーシアム事業)」の中で、学校・学校図書館等で製作された電子書籍等の所在情報の把握・共有(リポジトリ)の在り方を検討する。 4.公共図書館、学校図書館における点字図書、拡大図書等多様な蔵書の整備状況について図書館関係者に周知を行うとともに、さらなる整備を促す。 目標 「読書バリアフリーコンソーシアム事業」受託団体1件以上 資料番号 文ー2 文ー3 文ー4 (12ページ) 基本計画BV.8(第17条関係)(1)司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上 令和3年度までの取組 1.「図書館における障害者利用の促進事業(読書バリアフリーに向けた図書館サービス研修事業)」において、司書、司書教諭、学校司書、職員、ボランティアが障害者サービスの内容を理解し、支援方法を習得するための研修や、読書支援機器(拡大読書器、DAISY再生機など)の使用方法に習熟するための研修等を行った。  障害当事者でピアサポートができる司書・職員の育成や環境の整備を行った。  製作人材の育成が効果的に実施出来るようにするため、関係団体や各省庁との協議を実施した。【資料:文ー2】 2.令和2年度に司書や司書教諭等の養成課程を置く大学及び講習を実施する大学その他の教育機関に対し、視覚障害者等に対する図書館サービスの内容を学習できるようにする旨の連絡をした。  令和3年度の取組状況について、実態把握を行うこととしている。 成果 「読書バリアフリーに向けた図書館サービス研修事業」受託団体 〇令和2年度:2件  ・公益社団法人日本図書館協会  ・公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会) 〇令和3年度:2件  ・大阪教育大学  ・埼玉県教育委員会 令和4年度(から)の取組 1.「図書館における障害者利用の促進事業(読書バリアフリーに向けた図書館サービス研修事業)」において、司書、司書教諭・学校司書、職員、ボランティアが障害者サービスの内容を理解し、支援方法を習得するための研修や、読書支援機器(拡大読書器、DAISY再生機など)の使用方法に習熟するための研修等を行う。 また、 製作人材の育成が効果的に実施出来るようにするため、関係団体や各省庁との協議を実施する。 2.令和3年度に視覚障害者に対する図書館サービスの内容を学習できるように努めたかどうかについて、令和4年度に実態把握を行う。 目標 「読書バリアフリーに向けた図書館サービス研修事業」受託団体2件以上 資料番号 文ー2 (13ページ) 文ー1 読書活動推進事業 フォーラム オンライン配信 あなたも読書サポーター! 本と多様な立場の読者をつなぐために 読書バリアフリー法(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)は誰もが読書をできる社会の実現を目指しています。多様な立場の読者が必要なサポートを受けたり、便利な道具やソフトウェアについての知識を得ることによって、本はもっと身近なものになります。このイベントでは、読書サポートを求めている人たちには、どのような人たちがいるのか、どんな支援方法があるのかを知るシンポジウムを生配信。ご関心のある方は、ぜひご視聴ください。 生配信日時 2021年9月5日(日)シンポジウム13:30〜15:00(予定) 申込・詳細については文字・活字機構ホームページをご覧ください。 http://www.mojikatsuji.or.jp/news/2021/7/30/4813 シンポジウムは後日アーカイブ配信予定です。ぜひご視聴ください。 参加費 無料※生配信視聴にはお申し込みが必要です。詳しくは裏面をご覧ください。 フォーラムプログラム オンラインシンポジウム13:30〜15:00(予定)「本と多様な立場の読者をつなぐために」 パネリスト 熊谷 晋一郎さん(東京大学 先端科学技術研究センター准教授)、平林 ルミさん(学びプラネット代表)、丸山 正樹さん(作家) コーディネーター 宇野 和博さん(筑波大学附属視覚特別支援学校教諭) 主催/独立行政法人 国立青少年教育振興機構 主管/公益財団法人 文字・活字文化推進機構 後援/活字文化議員連盟、学校図書館議員連盟、子どもの未来を考える議員連盟、株式会社中日新聞社、公益社団法人 日本図書館協会、公益社団法人 全国学校図書館協議会、一般社団法人 日本新聞協会、一般社団法人 日本書籍出版協会、一般財団法人 出版文化産業振興財団、学校図書館整備推進会議、日本児童図書出版協会 協力/有限会社読書工房、公益財団法人 伊藤忠記念財団、株式会社ポニーキャニオン (14ページ) シンポジウム 本と多様な立場の読者をつなぐために パネリスト 熊谷 晋一郎さん 東京大学 先端科学技術研究センター准教授 山口県生まれ。生後まもなく脳性麻痺により電動車いすを使用。小学校から高校まで普通学校に通い、東京大学卒業後、小児科医として10年間勤務。病院で働く中で、「当事者研究」に興味をもち、研究を始める。著書に『リハビリの夜』『小児科の先生が車椅子だったら−私とあなたの「障害」のはなし』、共著に『当事者研究の研究』などがある。 パネリスト 丸山 正樹さん 作家 東京都生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒。シナリオライターとして映画やドラマ、舞台、官公庁の広報ビデオなどの脚本を手がけ、2011年、聴覚障害を題材にした社会派ミステリー『デフ・ヴォイス』(松本清張賞最終候補作)で小説家デビュー。障害を負ったご家族の介助生活を続ける中で、様々な障害がある人とも交流する機会を持ち、障害・社会的少数者をテーマに小説を書いたことがデビュー作のきっかけ。著書に『ワンダフル・ライフ』、共著に『病と障害と、傍らにあった本。』など。8月末に『デフ・ヴォイス』シリーズ4作目『わたしのいないテーブルで』発刊予定。 コーディネーター 宇野 和博さん 筑波大学附属視覚特別支援学校 教諭 東京学芸大学教育学部卒業後、東京都中学校教諭を経て現職。日本弱視者ネットワークの教育担当役員として弱視者のための教育環境の改善に関する活動を展開。拡大教科書の普及にも取り組み、著作権法改正や教科書バリアフリー法制定を実現し、教育に関わるテキストのバリアフリー化にも尽力。その後、障害者の読書環境を整備するためのマラケシュ条約批准や読書バリアフリー法制定など、長年、障害者の読書環境の整備にかかわってきた。NHKラジオ「視覚障害ナビ・ラジオ」レギュラーコメンテーター。 パネリスト 平林 ルミさん 学びプラネット代表 特別支援教育、特に学習に困難のある人へのテクノロジーを用いた学習保障・環境調整、読み書き評価の開発、読み書きの指導法開発が専門。言語聴覚士・臨床発達心理士である立場から様々な学習に遅れのある子ども達のテクノロジー・ICTを使った新しい学び方を提案、活躍中。2020年9月より、学びプラネット代表社員、2021年4月より、東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター教育学研究員。 申込方法 以下の必要項目を明記のうえ、WEBフォーム、メール等で「読書活動推進事業」事務局までお送りください。 @お名前(ヨミガナ) Aご職業 Bメールアドレス C今後、関連するご案内の要・不要 ●WEBフォーム http://www.mojikatsuji.or.jp/news/2021/7/30/4813 ●メール dokusho@mojikatsuji.or.jp ▲開催前までに、メールにて、視聴URLをお送りいたします。いただいた個人情報は、本事業及び主管団体からの読書推進事業のお知らせにのみ使用いたします。 ▲やむを得ず開催を中止する可能性、またはプログラムを変更する可能性があります。その場合は、ホームページ等でご案内いたします。 ▲本事業で撮影した写真や映像については、広報等の目的で使用することがあります。 新型コロナウイルス感染拡大防止対策について オンライン配信にあたっては新型コロナウイルス感染予防対策を講じた上で開催します。 <お問い合わせ> 「読書活動推進事業」事務局〒101-0051東京都千代田区神田神保町2-2-30 文字・活字文化推進機構内 [HP]http://www.mojikatsuji.or.jp/ [メール]dokusho@mojikatsuji.or.jp [FAX]03-5211-7285 (15ページ) 文ー2 図書館における障害者利用の促進 令和4年度予算額14百万円(前年度予算額17百万円) 趣旨 令和元年6月に成立した「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)は、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としている。また、読書バリアフリー法に基づき、令和2年7月に決定された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(読書バリアフリー基本計画)では、具体的な施策として、視覚障害者等の円滑な利用のための支援の充実、司書、司書教諭・学校司書等の資質向上、組織の枠を超えた取組や関係者間で連携した取組が行える体制構築などが具体的な施策としてあげられている。 このため、先導的な読書バリアフリーに関する研修や関係者が連携した取組を支援するとともに、これらの取組の成果を全国に普及することにより、地域の実情を踏まえた効果的な読書バリアフリーの取組を推進する。 事業内容 1.障害者サービス検討委員会の設置等6,167千円 視覚障害者等の図書館利用に係るサービスの充実を図るため、有識者、自治体、公立図書館、学校図書館、大学図書館等の関係者で構成される委員会を設置し、振興方策の検討を行うとともに、実態調査や事例の収集等を行う。 2.司書・職員等の支援人材、ピアサポート人材の育成1,840千円 司書、司書教諭・学校司書、職員、ボランティアが障害者サービスの内容を理解し、支援方法を習得するための研修や、読書支援機器(拡大読書器、DAISY再生機など)の使用方法に習熟するための研修等を行う。また、障害当事者でピアサポートができる司書・職員の育成や環境の整備を行う。【2箇所】 3.読書バリアフリーコンソーシアムの設置等6,080千円 公立図書館、点字図書館、学校図書館、大学図書館等によるコンソーシアムを構築することにより、各館の資源の共有や人材の交流等を図るとともに、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化を図る。また、これらの成果の普及及び読書バリアフリーの理解促進を目的としたフォーラムを開催する。【2箇所】 【対象者・事業種別等】 1 国(本省直轄事業) 2.3 国→ 地方公共団体・民間団体(委託事業) 成果の普及:@研修のプログラム・教材について文部科学省及び関係団体等のホームページで公開する。       A地域において構築されたコンソーシアムの成果をフォーラム等で発信するとともに、ネットワークが恒常的なものとなるよう多様な資金調達の方法等を検討する。(例:図書館基金の設立、ファンドレイザーの配置、ふるさと納税の活用等) (16ページ) 文ー3 事務連絡 令和4年3月30日 各都道府県教育委員会担当課 各指定都市教育委員会担当課 各都道府県私立学校主管部課 附属学校を置く各国公立大学法人附属学校担当課 構造改革特別区域法第12 条第1項の認定を受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課 御中 文部科学省総合教育政策局地域学習推進課 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 視覚障害等のある児童生徒の読書環境の整備の推進に関するウェブサイトの公開について(周知) 日頃から読書バリアフリーの推進に御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。 令和元年6月に施行された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第49号。以下「読書バリアフリー法」という。)」を踏まえ、文部科学省において、学校図書館、公立図書館及び点字図書館等の連携を図りながら、視覚障害、発達障害及び肢体不自由等の障害により読書活動が困難な児童生徒(以下「視覚障害等のある児童生徒」という。)が利用しやすい書籍・電子書籍等(以下「アクセシブルな書籍・電子書籍等」という。)や図書館の利用支援の充実により、視覚障害等のある児童生徒が在籍する学校における読書環境を保障していく取組を進めております。 「図書館における障害者利用の促進」事業では、視覚障害等のある児童生徒の読書環境を保障していくため、東京大学先端科学技術研究センターを主体として、「学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム」を設置し、アクセシブルな書籍・電子書籍等の製作・共有に関する情報提供や先進的な取組事例の紹介を行うウェブサイトを、下記のとおり公開したところです。 ついては、各都道府県教育委員会担当課におかれては所管の学校、公共図書館及び域内の市区町村教育委員会担当課に対して、各指定都市教育委員会担当課におかれては所管の学校及び公共図書館に対して、各都道府県私立学校担当課及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体におかれては所轄の学校及び学校法人等に対して、附属学校を置く各国公立大学法人附属学校担当課におかれては設置する附属学校に対して、それぞれ周知いただくとともに、活用いただきますようお願いします。 記 「学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム」では、視覚障害等のある児童生徒が在籍する学校における読書環境を保障することを目指し、学校図書館等において、アクセシブルな書籍・電子書籍等(図書・教材)を効率的に製作、共有する仕組み等の検討や、図書・教材のアクセシビリティ保障に関する先進的な取組の集約を行い、その成果をウェブサイト(進めよう、豊かな読書活動)で公開しております。 このウェブサイトでは、主に以下の3つのテーマについてわかりやすく解説されておりますので、学校や学校図書館における読書バリアフリーの取組の参考にぜひご活用ください。 (1)著作権法第37条によるアクセシブルな書籍・電子書籍等の複製・翻案・提供に関する情報提供 (2)読書バリアフリーに関する先進的な取組事例の紹介 (3)図書・教材のアクセシブル化や学校図書館間の共有に関するFAQ <ウェブサイト:進めよう、豊かな読書活動> https://accessreading.org/conso/ また、アクセシブルな書籍・電子書籍等の種類や、図書館やインターネットで利用できるサービスについては、啓発用リーフレットで紹介しておりますのでこちらもご活用ください。 <啓発用リーフレット:誰もが読書をできる社会を目指して〜読書のカタチを選べる「読書バリアフリー法」〜> https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_01304.html 【本件担当】 公立図書館・学校図書館に関すること 総合教育政策局地域学習推進課 図書館・学校図書館振興室 電話:03-5253-4111(内線2093) E-mail:tosyo@mext.go.jp 読書バリアフリー法に関すること 総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課 障害者学習支援推進室 電話:03-5253-4111(内線3613) E-mail:sst@mext.go.jp 特別支援教育に関すること 初等中等教育局特別支援教育課 電話:03-5253-4111(内線3193) E-mail:tokubetu@mext.go.jp (17、18ページ) 文ー4 図書館における障害者サービスの現状 <図書館における障害者サービスの現状> 図書館の設置及び運営上の望ましい基準(平成24年12月19日文部科学省告示第172号)(抄) 第二公立図書館一市町村立図書館(※都道府県立図書館に準用) 1 管理運営(六)施設・設備 A 市町村立図書館は、高齢者、障害者、乳幼児とその保護者及び外国人その他特に配慮を必要とする者が図書館施設を円滑に利用できるよう、傾斜路や対面朗読室等の施設の整備、拡大読書器等資料の利用に必要な機器の整備、点字及び外国語による表示の充実等に努めるとともに、児童・青少年の利用を促進するため、専用スペースの確保等に努めるものとする。 3 図書館サービス(四)利用者に対応したサービス 市町村立図書館は、多様な利用者及び住民の利用を促進するため、関係機関・団体と連携を図りながら、次に掲げる事項その他のサービスの充実に努めるものとする。 ウ(障害者に対するサービス) 点字資料、大活字本、録音資料、手話や字幕入りの映像資料等の整備・提供、手話・筆談等によるコミュニケーションの確保、図書館利用の際の介助、図書館資料等の代読サービスの実施 カ(図書館への来館が困難な者に対するサービス) 宅配サービスの実施 <障害者関係設備の保有状況> ※( )内の数値は全体の図書館数に対する割合 ○拡大読書器・拡大鏡のいずれかを所有1,755館(52.2%) ○点字による案内1,081館(32.2%) ○スロープ2,082館(62.0%) ○障害者用トイレ2,916館(86.8%) ○障害者用駐車場2,587館(77.0%) <障害者関係資料の保有状況> ○大活字本1,812,110冊/2,542館(75.7%) ○点字図書等390,168冊/1,525館(45.4%) ○録音図書733,868本/724館(21.5%) ※図書館数(N):3,360館 ※平成30年度社会教育統計 (19ページ) 学校図書館における読書障害者サービスの現状 <学校図書館における障害者サービスの現状> 学校図書館ガイドライン(平成28年11月29日初等中等教育局長通知) (5)学校図書館における図書館資料 @図書館資料の種類 ○発達障害を含む障害のある児童生徒や日本語能力に応じた支援を必要とする児童生徒の自立や社会参画に向けた主体的な取組を支援する観点から,児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた様々な形態の図書館資料を充実するよう努めることが望ましい。 例えば,点字図書,音声図書,拡大文字図書,LLブック,マルチメディアデイジー図書,外国語による図書,読書補助具,拡大読書器,電子図書等の整備も有効である。 <児童生徒等の読書環境の整備に資する多様な蔵書等の整備状況> ○令和2年度学校図書館の現状に関する調査(令和元年度末時点) 小学校 学校数 18,849 所蔵している学校数の割合 電子書籍 0.2% 点字図書 42.5% 拡大図書・大活字図書 15.5% 録音図書(音声デイジー含む) 5.2% マルチメディアデイジー図書 1.3% LLブック 6.2% 外国語の図書 67.0% 映像資料 12.0% 中学校 学校数 9,120 所蔵している学校数の割合 電子書籍 0.3% 点字図書 19.6% 拡大図書・大活字図書 16.5% 録音図書(音声デイジー含む) 5.7% マルチメディアデイジー図書 1.0% LLブック 4.0% 外国語の図書 69.7% 映像資料 15.3% 高等学校 学校数 3,436 所蔵している学校数の割合 電子書籍 1.4% 点字図書 12.3% 拡大図書・大活字図書 8.7% 録音図書(音声デイジー含む) 10.9% マルチメディアデイジー図書 0.6% LLブック 2.2% 外国語の図書 66.1% 映像資料 44.6% 特別支援学校 小学部 学校数 860 所蔵している学校数の割合 電子書籍 2.8% 点字図書 20.7% 拡大図書・大活字図書 22.3% 録音図書(音声デイジー含む) 17.9% マルチメディアデイジー図書 25.8% LLブック 10.8% 外国語の図書 22.2% 映像資料 40.9% 中学部 学校数 854 所蔵している学校数の割合 電子書籍 2.5% 点字図書 15.8% 拡大図書・大活字図書 16.2% 録音図書(音声デイジー含む) 14.2% マルチメディアデイジー図書 21.0% LLブック 9.4% 外国語の図書 21.1% 映像資料 37.7% 高等部 学校数 891 所蔵している学校数の割合 電子書籍 2.4% 点字図書 13.8% 拡大図書・大活字図書 14.1% 録音図書(音声デイジー含む) 13.9% マルチメディアデイジー図書 19.6% LLブック 9.4% 外国語の図書 21.8% 映像資料 36.9% 義務教育学校 前期課程 学校数 100 所蔵している学校数の割合 電子書籍 0.0% 点字図書 41.0% 拡大図書・大活字図書 19.0% 録音図書(音声デイジー含む) 8.0% マルチメディアデイジー図書 1.0% LLブック 13.0% 外国語の図書 74.0% 映像資料 15.0% 後期課程 学校数 100 所蔵している学校数の割合 電子書籍 0.0% 点字図書 19.0% 拡大図書・大活字図書 17.0% 録音図書(音声デイジー含む) 10.0% マルチメディアデイジー図書 0.0% LLブック 7.0% 外国語の図書 77.0% 映像資料 18.0% 中等教育学校 前期課程 学校数 33 所蔵している学校数の割合 電子書籍 3.0% 点字図書 9.1% 拡大図書・大活字図書 12.1% 録音図書(音声デイジー含む) 15.2% マルチメディアデイジー図書 0.0% LLブック 0.0% 外国語の図書 75.8% 映像資料 36.4% 後期課程 学校数 31 所蔵している学校数の割合 電子書籍 6.5% 点字図書 3.2% 拡大図書・大活字図書 12.9% 録音図書(音声デイジー含む) 12.9% マルチメディアデイジー図書 0.0% LLブック 0.0% 外国語の図書 80.6% 映像資料 38.7% 合計 学校数 34,274 所蔵している学校数の割合 電子書籍 0.6% 点字図書 31.2% 拡大図書・大活字図書 15.2% 録音図書(音声デイジー含む) 6.7% マルチメディアデイジー図書 2.7% LLブック 5.5% 外国語の図書 64.3% 映像資料 18.3% (20ページ) 省庁等 文部科学省 所属 研究振興局参事官(情報担当) 役職・氏名 参事官補佐 大鷲 正和 基本計画@V.1 視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等(第9条関係) 令和3年度までの取組 【大学図書館等における取組】 国立情報学研究所において、大学図書館等の関係者や一般社団法人全国高等教育障害学生支援協議会(AHEAD JAPAN)の意見も踏まえつつ、読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮称)を構築した【資料:文−5】。また、国立国会図書館のデータベースとの連携について検討した。 大学図書館関係者の会議等において、同取組や学内の障害学生支援担当部局等の関係部局との連携強化について周知を図った。 主要な成果 読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮称)を構築し、大学図書館等の関係者やAHEAD JAPANの意見も踏まえ、音声読み上げ機能に対応した画面表示など、視覚障害者等へ配慮したインターフェースを設け、利用者が活用しやすい機能の整備を進めている。 令和4年度(から)の取組 令和4年度中にシステムの正式運用を目指し、読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮称)の試験運用を複数の大学図書館と連携して行うとともに、国立国会図書館のデータベースとの連携について引き続き検討していく。 引き続き、大学図書館関係者の会議等において、同取組や学内の障害学生支援担当部局等の関係部局との連携強化について周知を図る。 目標 令和4年度中に読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮称)の運用を開始し、大学図書館関係者等の意見や運用状況を踏まえ、引き続きシステム機能の改善を図る。 資料番号 文ー5 (21ページ) 文ー5 読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(イメージ) ●大学等で製作した視覚障害者等用データのメタデータ(所在情報等)を登録・共有するシステムを国立情報学研究所(NII)において構築。 ●同システムにより、視覚障害者等用データが大学等の間で活用されることを期待。 (同システムを活用したデータ提供依頼やデータ提供の流れ図) (各図の説明) 読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮) (上段中央に記載) A大学図書館(上段左側に記載) B大学図書館(上段右側に記載) 最寄りの公共図書館等(下段左側に記載) (大学に所属していない)視覚障害者等(下段中央左側に記載) (B大学所属)視覚障害者等(下段中央右側に記載) (各図をつなぐ矢印と説明文) A大学図書館から読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮)へ矢印 視覚障害者等用データのメタデータ(所在情報等)を登録 (B大学所属)視覚障害者等から読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮)へ矢印 メタデータ検索 (B大学所属)視覚障害者等からB大学図書館へ矢印 依頼 B大学図書館から読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮)へ矢印 メタデータ検索 B大学図書館からA大学図書館へ矢印 データ提供依頼 A大学図書館からB大学図書館へ矢印 データ提供 B大学図書館から(B大学所属)視覚障害者等 提供 (大学に所属していない)視覚障害者等から読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮)へ矢印 メタデータ検索 (大学に所属していない)視覚障害者から最寄りの公共図書館等へ矢印 依頼 最寄りの公共図書館等から読書バリアフリー法対応メタデータ共有システム(仮)へ矢印 メタデータ検索 最寄りの公共図書館等からA大学図書館へ矢印 依頼 A大学図書館から最寄りの公共図書館等へ矢印 提供 最寄りの公共図書館等から(大学に所属していない)視覚障害者へ矢印 提供 (22ページ) 省庁等 文化庁 所属 著作権課 役職・氏名 課長 吉田光成 基本計画@V.5 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(第13条関係) 令和3年度までの取組 【中心的な役割を果たす機関に係る周知等】 外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の円滑な入手を促進するため、国内外の連絡・相談窓口として中心的な役割を果たす機関の連絡先や入手に当たっての手続・留意事項等について引き続き丁寧な周知を行った。 (参考) 現在、文化庁のホームページにおいて、国立国会図書館、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会の連絡先や関連ホームページ等が記載されている。また、国立国会図書館のホームページでは、@国内在住の個人及び図書館等向けに、外国で製作された視覚障害者等用データの国内(日本)への取寄せ方法、A外国在住の個人及び図書館等向けに、同館が所蔵する視覚障害者等用データの外国への提供について、詳細に案内が記載されている。 ・文化庁ホームページ: https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/marrakesh/ ・国立国会図書館ホームページ: http://www.ndl.go.jp/jp/support/index.html 成果 文化庁ホームページにおいて周知を行うとともに、著作権セミナー・講習会(15回)の受講者に対しても周知を行った。 令和4年度(から)の取組 外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の円滑な入手を促進するため、国内外の連絡・相談窓口として中心的な役割を果たす機関の連絡先や入手に当たっての手続・留意事項等について引き続き丁寧な周知を行う。また、その運用状況も踏まえつつ、必要に応じて更なる環境整備を行う。 (参考) 現在、文化庁のホームページにおいて、国立国会図書館、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会の連絡先や関連ホームページ等が記載されている。また、国立国会図書館のホームページでは、@国内在住の個人及び図書館等向けに、外国で製作された視覚障害者等用データの国内(日本)への取寄せ方法、A外国在住の個人及び図書館等向けに、同館が所蔵する視覚障害者等用データの外国への提供について、詳細に案内が記載されている。 ・文化庁ホームページ: https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/marrakesh/ ・国立国会図書館ホームページ: http://www.ndl.go.jp/jp/support/index.html 目標 文化庁ホームページに掲載している情報を必要に応じて更新するとともに、引き続き、著作権に関する講習会等、機会をとらえて周知を行う。 (23ページ) 省庁等 厚生労働省 所属 社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室 役職・氏名 室長 奥出 吉規 基本計画@総論(2) 国民等への周知 令和3年度までの取組 障害者やその家族等に公立図書館や点字図書館等でどのようなサービスが行われているのか、またどのような本があるのかを知ってもらうための啓発用リーフレット※を作成し、HPでの公開や、自治体を通じて地方公共団体の障害福祉、公立図書館、学校図書館、特別支援教育等の関連部署や域内の行政機関窓口、福祉施設、公立図書館、学校図書館、特別支援学校等を利用する障害児・者及びその家族などに周知した。 ※啓発用リーフレットの内容:  ・読書バリアフリー法の紹介  ・公立図書館、点字図書館、サピエ図書館、国立国会図書館等で利用できるサービス  ・アクセシブルな書籍・支援機器の種類  ・関係団体からのメッセージ  等 令和4年度(から)の取組 引き続き、HPやリーフレット等を通じて、図書館における各種サービス、インターネットを介した図書の利用など、関連施策の紹介について定期的に発信するとともに、関係団体や地方公共団体に対しても積極的な周知を依頼する。 基本計画AV.1 視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等(第9条関係) 令和3年度までの取組 【点字図書館における取組の充実】  点字図書館【資料:厚ー1】におけるアクセシブルな書籍等の充実や視覚障害者等の円滑な利用を図るため、地方公共団体等に対する支援を実施した。また、各都道府県・指定都市・中核市に対して、点字図書館における視覚障害以外の障害者の利用促進を図るため、読書環境に関する相談、情報機器の貸出、サピエの利用登録等について視覚障害以外の障害者の支援が可能となるよう依頼するとともに、既に視覚障害以外の障害者を受け入れている点字図書館等について周知した。 更に、アクセシブルな書籍等の円滑利用のために実施する支援の内容や視覚障害以外の者も含めた利用状況等、点字図書館における提供体制及び点字出版施設や公立図書館等も含めた点訳・音訳図書の製作状況についての実態調査を行った。【資料:厚−2】 令和4年度(から)の取組 令和3年度に実施した実態調査の報告書に基づき、点字図書館における取組を促進する。 資料番号 厚ー1 厚ー2 (24ページ) 基本計画BV.1 視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等(第9条関係) 令和3年度までの取組 【各図書館間の連携強化】 各都道府県・指定都市・中核市に対して、協議会の設置やノウハウの提供など、点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、活用するよう好事例も含めて周知した。 成果 「地域における読書バリアフリー体制強化事業」【資料:厚−3】実施自治体 ・令和2年度:13自治体 ・令和3年度:20自治体    (新規:10自治体) 令和4年度(から)の取組 点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、引き続き好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。 目標 令和6年度までに「地域における読書バリアフリー体制強化事業」を全自治体で実施 資料番号 厚ー3 基本計画CV.2 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関連) 令和3年度までの取組 【サピエ図書館への支援強化】 サピエ図書館の安定的な運営・利用者の増加に資するよう、令和3年度予算における国庫補助事業において広報活動強化等に係る経費の拡充を行った。【資料:厚−4】 令和4年度(から)の取組 引き続き、サピエ図書館の運営団体と定期的に協議を実施しつつ、サピエ図書館に対する支援を着実に実施する。 資料番号 厚ー4 基本計画DV.2 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関連) 令和3年度までの取組 【各インターネットサービスの連携強化】 各都道府県・指定都市・中核市に対して、協議会の設置やノウハウの提供など、点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、活用いただくよう好事例も含めて周知した。※再掲 成果 「地域における読書バリアフリー体制強化事業」実施自治体※再掲 ・令和2年度:13自治体 ・令和3年度:20自治体    (新規:10自治体) 令和4年度(から)の取組 点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、引き続き好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。※再掲 目標 令和6年度までに「地域における読書バリアフリー体制強化事業」を全自治体で実施 基本計画EV.3(第11条第1項関係)(1)製作基準の作成等の質の向上のための取組への支援 令和3年度までの取組 【サピエ図書館への支援強化】  製作手順の明確化、研修等による音訳者・点訳者等の質の向上のための取組を促進させるため、サピエ図書館の運営団体と協議を実施した。 また、点訳・音訳の実施方法の統一・質の向上に資するよう、令和3年度予算における国庫補助事業においてサピエ図書館の運営団体による点訳奉仕員及び音訳奉仕員向け研修やマニュアルの作成等に係る経費の拡充を行った。 令和4年度(から)の取組 引き続き、サピエ図書館の運営団体と定期的に協議を実施しつつ、サピエ図書館に対する支援を着実に実施する。※再掲 基本計画FV.3(第11条第1項関係)(1)製作基準の作成等の質の向上のための取組への支援 令和3年度までの取組 【点字図書館・公立図書館等の連携強化】 各都道府県・指定都市・中核市に対して、協議会の設置やノウハウの提供など、点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、活用するよう好事例も含めて周知した。※再掲 成果 「地域における読書バリアフリー体制強化事業」実施自治体※再掲 ・令和2年度:13自治体 ・令和3年度:20自治体    (新規:10自治体) 令和4年度(から)の取組 点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、引き続き好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。※再掲 目標 令和6年度までに「地域における読書バリアフリー体制強化事業」を全自治体で実施※再掲 (25ページ) 基本計画GV.3(第11条第1項関係)(1)製作基準の作成等の質の向上のための取組への支援 令和3年度までの取組 【書籍の製作状況の調査】 アクセシブルな書籍等の円滑利用のために実施する支援の内容や視覚障害以外の者も含めた利用状況等、点字図書館における提供体制及び点字出版施設や公立図書館等も含めた点訳・音訳図書の製作状況についての実態調査を行った。※再掲 令和4年度(から)の取組 令和3年度に実施した実態調査の報告書に基づき、点字図書館における取組を促進する。※再掲 基本計画HV.5 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(第13条関係) 令和3年度までの取組 【マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスの実施】 マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスを開始した(特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会)。 令和4年度(から)の取組 引き続き、マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスを着実に実施する。(特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会)。 基本計画IV.6 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、情報通信技術の習得支援(第14条・第15条関係) 令和3年度までの取組 【点字図書館における取組の充実】 点字図書館における端末機器等に関する情報の入手支援、ICTの習得支援の充実を図るため、地方公共団体に対する支援を実施した。 また、各都道府県・指定都市・中核市に対して、点字図書館が端末機器等に関する情報の入手支援、ICTの習得支援を行うにあたり、ICTサポートセンターと連携するよう周知した。 さらに、アクセシブルな書籍等の円滑利用のために実施する支援の内容や視覚障害以外の者も含めた利用状況等、点字図書館における提供体制及び点字出版施設や公立図書館等も含めた点訳・音訳図書の製作状況についての実態調査を行った。※再掲 令和4年度(から)の取組 令和3年度に実施した実態調査の報告書に基づき、点字図書館における取組を促進する。※再掲 基本計画JV.6 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、情報通信技術の習得支援(第14条・第15条関係) 令和3年度までの取組 【障害者ICTサポート総合推進事業の着実な実施】 各都道府県・指定都市・中核市に対して、障害者ICTサポートセンターの設置及び支援対象とする障害種別の拡大、市町村等と連携した出張教室や相談会等の開催、アウトリーチ支援、相談・貸出体制の強化について実施するよう周知した。【資料:厚−5】 成果 ICTサポートセンター設置都道府県 ・令和3年度:28都道府県 令和4年度(から)の取組 各自治体が設置するICTサポートセンターの活動を支援する「ICTサポートセンター連携事務局」を設置し、ICTサポートセンターにおける取組の好事例の横展開、情報の共有機会の提供等により、地域における障害者のICT機器利用に関する相談体制等の充実を図る。【資料:厚−6】 目標 令和6年度までに全都道府県にICTサポートセンターを設置 資料番号 厚ー5 厚ー6 (26ページ) 基本計画KV.6 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、情報通信技術の習得支援(第14条・第15条関係) 令和3年度までの取組 【日常生活用具等給付事業の推進】 地方公共団体による、アクセシブルな電子書籍等を利用するための点字ディスプレイ、デイジープレイヤー等の端末機器等の適切な給付が実施されるようにするため、通知・全国会議を通じて、法や基本計画の理念、障害者のニーズや地域の特性等を踏まえた日常生活用具給付等事業の実施を促した。 令和4年度(から)の取組 引き続き、通知・全国会議等を通じて、法や基本計画の理念、障害者のニーズや地域の特性等を踏まえた日常生活用具給付等事業の実施を促す。 基本計画LV.8 製作人材・図書館サービス人材の育成(第17条関係) 令和3年度までの取組 【司書等を対象とした研修の実施】 各地方自治体や点字図書館等が実施主体となり、図書の製作人材である点訳・音訳をする者の養成研修を実施している。 令和4年度(から)の取組 引き続き、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。 基本計画MV.8 製作人材・図書館サービス人材の育成(第17条関係) 令和3年度までの取組 【点字図書館における取組の充実】 点字図書館における製作人材等の育成の充実を図るため、図書等の点字・音声・テキストデータ化ができる人材養成を行う事業を実施した。 成果 「地域における読書バリアフリー体制強化事業」実施自治体※再掲 ・令和2年度:13自治体 ・令和3年度:20自治体    (新規:10自治体) 令和4年度(から)の取組 引き続き、点字図書館における製作人材等の育成の充実を図るため、図書等の点字・音声・テキストデータ化ができる人材養成を行う事業について、引き続き好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。 目標 令和6年度までに「地域における読書バリアフリー体制強化事業」を全自治体で実施※再掲 基本計画NV.8 製作人材・図書館サービス人材の育成(第17条関係) 令和3年度までの取組 【各図書館等との連携強化】 各都道府県・指定都市・中核市に対して、協議会の設置やノウハウの提供など、点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、活用するよう好事例も含めて周知した。※再掲 令和4年度(から)の取組 点字図書館や公共図書館等の連携促進を図る事業について、引き続き好事例等を普及の上、地方公共団体に対する支援を着実に実施する。※再掲 基本計画OV.8 製作人材・図書館サービス人材の育成(第17条関係) 令和3年度までの取組 【製作人材育成の調査】 アクセシブルな書籍等の円滑利用のために実施する支援の内容や視覚障害以外の者も含めた利用状況等、点字図書館における提供体制及び点字出版施設や公立図書館等も含めた点訳・音訳図書の製作状況についての実態調査を行った。※再掲 令和4年度(から)の取組 令和3年度に実施した実態調査の報告書に基づき、点字図書館における取組を促進する。※再掲 (27ページ) 厚ー1 点字図書館の概要 ○ 点字図書館においては、点字刊行物や視覚障害者用の録音物の製作や貸出のほか、情報機器の貸出、視覚障害者に関する相談等に係る事業及び点字刊行物の出版に係る事業を実施しており、その運営に要する費用を国が負担している。 事業内容、設置基準等 設置数  76施設(令和3年4月1日時点) ※うち公立50ヶ所、私立26ヶ所 事業内容 ・無料又は低額な料金で、点字刊行物、視覚障害者用の録音物など視覚障害者が利用するものを製作する。 ・点訳(文字を点字に訳すことをいう。)等を行う者の養成・派遣、点字刊行物等の普及促進、視覚障害者に対する情報機器の貸し出し、視覚障害に関する相談等を行う。 根拠法 身体障害者福祉法第34条 設置基準 ・閲覧室、録音室、印刷室、聴読室、発送室、書庫、研修室、相談室、事務室を設ける他、点字刊行物及び視覚障害者用の録音物の利用に必要な機械器具 人員基準 ・施設長1、司書1以上、点字指導員1以上、貸出閲覧員又は情報支援員1以上、校正員又は音声訳指導員1以上の他、その他運営に必要な職員 費用負担 ・身体障害者保護費負担金により、国1/2を負担。 ・令和4年度予算額19.5億円(聴覚障害者情報提供施設分も含む) ※設置数は身体障害者保護費負担金における交付対象施設数 (28ページ) 厚ー2 「点字図書館等におけるアクセシブルな書籍等の提供体制及び製作状況に関する調査研究」事業について 1.事業名 「点字図書館等におけるアクセシブルな書籍等の提供体制及び製作状況に関する調査研究」事業 2.事業実施期間 令和3年6月から令和4年3月末まで 3.事業の背景と目的 令和元年6月に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(通称:読書バリアフリー法)が公布・施行され、令和2年7月には、同法第7条に基づき、施策の一層の充実を図るため、文部科学省と厚生労働省が共同で「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(通称:読書バリアフリー基本計画)を策定した。 この基本計画では、令和2〜6年度に国が講ずる施策の方向性として、視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備、アクセシブルな書籍等の製作の支援、端末機器に関する情報の入手支援及び情報技術の習得支援、アクセシブルな図書等の製作人材の育成などが示されている。 これを受けて、同年 10 月に開催された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第6回)」において、点字図書館において実施されている支援の内容や視覚障害以外の者も含めた利用状況、点字図書館・点字出版施設・公共図書館等におけるアクセシブルな書籍等の製作状況や製作人材の育成の実情、点字図書館における端末機器等に関する情報の入手支援や ICT の習得支援の実施状況等の調査を実施することとなった。 本事業は、上記を受けて、点字図書館、点字出版施設、公立図書館等を対象としたアンケート調査やヒアリング調査等を行うことで実態を明らかにし、社会調査、障害福祉、教育等の専門家による検討委員会等を開催して、調査結果の分析や活用に向けた論点の整理等を行うことを目的としている。 4.事業実施体制 本会理事長・竹下 亘の下、副理事長の川崎 弘が中心になって、検討委員会の開催、アンケート調査項目のとりまとめ、調査票の発送等を行った。 アンケート回答の集計は外部機関に委託したが、集計結果をもとに検討委員会で意見交換を行った。また、大学図書館や点字出版施設等については、検討委員がヒアリング調査を行った。 これらの調査結果とともに、分析・提言を報告書としてとりまとめた。 5.事業の内容 (1)検討委員会の開催 検討委員会委員(9名、50 音順) 安藤 一博(国立国会図書館関西館) 川崎 弘(全視情協 理事、視覚障害者総合支援センターちば) 佐藤 聖一(日本図書館協会障害者サービス委員会、埼玉県立久喜図書館) 竹下 亘(全視情協 理事長、日本ライトハウス情報文化センター) 成松 一郎(有限会社読書工房) 野口 武悟(専修大学図書館情報学) 原田 敦史(日本盲人社会福祉施設協議会情報サービス部会、堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター点字図書館) 宮城 愛美(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター) 三宅 隆(日本視覚障害者団体連合) 第1回検討委員会 日時:2021 年6月 18 日(金)13:30 〜 15:00 方法:ZOOM によるオンライン会議 議題:1.本検討委員会の任務と、年間スケジュールについて(確認)    2.アンケート項目について(提案・検討)    3.その他 第2回検討委員会 日時:2021 年8月4日(水)10:00 〜 12:00 方法:ZOOM によるオンライン会議 議題:1.アンケート調査項目について    2.大学への調査について    3.学校図書館への調査について    4.その他、意見交換 第3回検討委員会 日時:2022 年2月 22 日(火)10:00 〜 12:00 方法:ZOOM によるオンライン会議 議題:1.アンケート結果について    2.点字出版所へのヒアリング報告    3.大学図書館へのヒアリング調査について    4.報告書作成について    5.今後のスケジュール ※ 第3回、第4回(実施せず)については、オンラインではなく、委員が一同に会して意見交換を 行う予定であったが、コロナ禍が収束せず、すべての会合がオンライン開催となった。 ※ メーリングリストを活用し、日常的に情報共有を行い、意見交換できる環境を整えた。 (2)アンケート調査 検討委員会での意見交換等をふまえ、公立図書館向けのアンケート調査項目、視覚特別支援学校 (盲学校)向けのアンケート調査項目を確定した。 調査項目の柱は以下のようなものである。 @ アクセシブルな図書等の製作状況(点字出版施設を含む) A サービス提供の状況(サピエの利用状況、図書館の貸出数、等) B ボランティア等(製作人材)の養成・活動状況 C ICT 機器の情報提供や利用支援の状況等 それぞれ、10 月末に全国の公立図書館 343 館と全国の視覚特別支援学校(盲学校)67 校宛に発送した。回答締切を 11 月末として依頼したが、年内(12 月末まで)に回答があったものを有効とした。結果、公共図書館からは 310 館(回収率 90.4%)、視覚特別支援学校(盲学校)からは 58 校(回収率 86.6%)の回答を得ることができた。 なお、本来であればこの時期の調査は前年度(2020 年度)の実態について問うべきであるが、2020年2月に端を発する新型コロナウイルス感染症の拡大防止で、2020 年度は「3密(密集・密接・密閉)回避」生活を余儀なくされ(いわゆる「コロナ禍」。2022 年3月現在も収束に至っていない)、特に点字図書館ではボランティア活動が制限されるという大きな影響があった。 このため、2020 年度を調査対象にすると、平常年での回答との大きな差異が懸念され、あえて調査対象を 2019 年度として行ったものである。 一方、点字図書館では、(社福)日本盲人社会福祉施設協議会の情報サービス部会が毎年、実態調査を行っており(内部資料「日本の点字図書館」)、2019 年度の調査はすでに行われていたので、これを参考にさせていただくこととした。また、今回の新たな調査項目については、その部分のみを「2019 年度分追加調査」として協力いただいた。 (3)ヒアリング調査 大学図書館については、「アクセシブルな書籍等の提供体制」をもつのは、視覚障害学生が在籍する場合等に限定されてしまうことから、調査件数が限られてくる。そのため、個別のヒアリング調査として実施した。 また、点字出版物についても調査対象とし、点字出版業界の現状についてはヒアリングで話を伺った。 ヒアリング調査実施状況 @ 大学図書館 国立 A 大学図書館 調査日時:2022 年1月 27 日(木) 私立 B 大学障害学生支援室 調査日時:2022 年3月7日(月)10:00 〜 11:00 A 点字出版関係 東京点字出版所 理事長 肥後 正幸 氏 調査日時:2022 年 1 月 19 日(水)14:00 〜 16:00 (4)報告書の作成と配布 本事業により、アクセシブルな書籍の提供体制と製作状況について、まとまった調査を実施することができ、また、アンケートやヒアリングの結果について、社会調査や図書館、障害者教育の専門家と関係団体で構成する検討委員会メンバーで意見をいただきながら報告書としてまとめることができた。 この報告書は、特に全国の公立図書館(都道府県立ならびに市町村立図書館)に配布することで、「アクセシブルな書籍等」について理解を深めていただき、点字図書館をはじめとする関係機関との連携を進めていただくことを願うものである。 なお、アクセシブルであることに配慮し、活字版(冊子)だけでなく、点字・テキスト等のデータを収めたCDも同時に作成し、活字版冊子に封入している。 また、本会ホームページ等にも掲載し、広く周知を図る。 まとめ 令和3年度障害者福祉推進事業「点字図書館等におけるアクセシブルな書籍等の提供体制及び製作状況に関する調査研究」(以下、本事業)の成果と今後の課題をまとめる。 本事業では、従来から(社福)日本盲人社会福祉施設協議会情報サービス部会が実施している「日本の点字図書館(点字図書館実態調査)」の 2019 年度の調査対象(86 館)に加えて、全国の公共図書館のうち「サピエ図書館」の加盟館ないしは障害者サービスを実施していると考えられる館あわせて 343 館を抽出し、また、全国の視覚特別支援学校(盲学校)の学校図書館(以下、盲学校図書館)67 館に対して、アンケート調査を実施した。調査にあたっては、それぞれの館に合致した設問項目を検討し、主に 2019 年度実績を問う形で調査した(新型コロナの影響を受けていないことを考慮した措置)。さらに、点字出版施設、大学図書館に対しても、ヒアリング調査を実施した。その結果、点字図書館は 86 館(100%)、公共図書館は 310 館(90.4%)、盲学校図書館は 58 館(86.6%)の回答を得た。 まず、本事業においては、調査対象を点字図書館に限定せず、ともに「読書バリアフリー」を推進している公共図書館、盲学校図書館にアンケート調査を、そして点字出版所と大学図書館にヒアリング調査を行ったことで、「サピエ図書館」への加盟状況や「連携」の状況などの相互の関係性が明らかとなったことは大きい。アンケートの自由記述回答からは、それぞれの課題も確認でき、そこには共通する課題が少なくないことも把握できた。 次に、館種別に特徴的な点をみると、点字図書館に対しては、これまでの「日本の点字図書館」の調査項目には含めていなかった ICT 支援に関する調査を追加で実施した。あわせて、アクセシブルな書籍の製作に携わる点訳、音訳等のボランティアに関する詳細な調査を抽出した 5 館のみであるが調査した。その結果からは、これまで「感覚」として捉えてきた点訳者、音訳者等の高齢化問題(点訳、音訳等を始める年齢自体も上がっている、経験年数も減少している)がエビデンスとして導き出されたことは大きな収穫であった。 公共図書館については、本事業では、「サピエ図書館」に加盟するなど障害者サービスを実施していると考えられる図書館を抽出しての調査であった。障害者サービスを実施していると考えられる図書館だけを対象とした調査は初めての試みであり、その実態が明らかとなった意義は大きいといえる。ただし、その結果からは、「特定録音物等発受施設指定」を受けている館が2 割にとどまるなど、サービスの提供は決して十分とは言い難い面も明らかとなった。残りの公共図書館の状況は、いかばかりか、想像に難くないだろう。 盲学校図書館については、これまで行われてきた調査では把握されてこなかった自館でのアクセシブルな書籍の製作状況、ボランティアの状況、「サピエ図書館」や国立国会図書館の「視覚障害者等用データ送信サービス」の状況が初めて詳らかとなった。かねてより指摘されてきた通り、職員配置や年間資料購入費の面で厳しい状況が改めて確認できた。この点が「サピエ図書館」への加盟や「連携」等のネックになっているものと考えられる。 どの館種にも共通する課題を整理したい。まずは、アクセシブルな書籍の製作についてである。著作権法第 37 条の権利制限に基づく点訳、音訳、テキストデータ化については、ボランティアの協力が不可欠であるが、点訳、音訳、テキストデータ化のボランティアのいずれもが 60 歳以上が多くを占めており、資料製作の維持が困難になる状況がいずれくる可能性があることが示されたといえる。資料製作能力の維持・拡大のために、新しい方法による人材育成が必要になるが、点字図書館の正職員数は平均で約 6 人、公共図書館でも障害者サービス担当職員 5 人以下が約 75% を占める状況であり、図書館側に新しいボランティアの育成や新しい方法を模索する人的余裕がない状況も推察される。大学との連携により、ボランティアの活動を大学の単位として認定することによって学生の参加を促し、当面の人材を確保するなど、社会リソースの幅広い活用も視野に入れた対策の検討が必要だろう。視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(以下、読書バリアフリー法)に基づく省庁や出版社の取り組みにより、アクセシブルな書籍が商業的に出版されるようになったとしても、大量部数を同時に刊行する商業出版の性格上、様々な障害を理由に読書が困難な方一人一人に対応するような、きめ細やかな対応は現実的には難しいと思われる。そのため、著作権法第 37 条の権利制限に基づく資料製作の重要性は今後も変わらない。当然のことではあるが、中長期的な資料製作体制の維持・充実のためには、点字図書館、公共図書館、盲学校図書館、大学図書館の職員体制の整備が求められる。 次に、アクセシブルな書籍の共有についてである。「サピエ図書館」や国立国会図書館の「視覚障害者等用データ送信サービス」がシステム連携だけではなく、収集範囲の点で役割を分担することで、全国の公共図書館、点字図書館、盲学校図書館、大学図書館等が著作権法第 37 条に基づいて製作したデータの全国的な共有が形としては実現している。しかし、両者ともまだ加盟館ないし送信承認館となっている館は公共図書館、盲学校図書館では限られている。盲学校図書館にあっては、年間資料購入費の規模があまりにも小さく、「サピエ図書館」の年会費 4 万円の捻出が困難な盲学校図書館が少なくないものと推察される。一方、年会費の支払いを求めていない国立国会図書館の「視覚障害者等用データ送信サービス」は、盲学校図書館にとって有力な選択肢になるべきはずだが、送信承認館はわずか5館(8.6%)に止まっている。まだ「サピエ図書館」と「視覚障害者等用データ送信サービス」を知らない図書館もあり、より一層の広報、周知の取り組みも必要といえよう。 繰り返しになるが、これまでは図書館の種類ごとに調査や議論が行われるきらいがあった。しかし、本事業により、図書館の枠を超えて調査を行えたことは、読書バリアフリー法の目的である「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現」に向けた大きな一歩であるといえよう。本事業の成果が、これからの行政の施策や、各図書館の取り組みに生かされることを願っている。 (29〜33ページ) 厚ー3 地域における読書バリアフリー体制強化事業 ※地域生活支援促進事業(国庫補助率:1/2)の一つとして実施。 ※令和4年度予算額:地域生活支援事業費等補助金(518億円)の内数 事業概要 1 目的 視覚障害者等(=視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者)が、地域においてより身近に読書が楽しめるよう、読書バリアフリーに向けた地域における環境整備のための取組を総合的に実施することにより、視覚障害者等の読書環境の整備を図ることを目的とする。 2 実施主体 都道府県、指定都市及び中核市(令和3年度実施主体:10都道府県、5指定都市、5中核市) 3 事業内容 (1) 点字図書館と公共図書館等の連携強化 点字図書館と公共図書館等が連携できるよう、協議会の場を設けるほか、点字図書館から公共図書館等に対して対面朗読サービスやサピエの利用にあたっての支援に関するノウハウの提供やサービス実施の充実に向けた研修会等を実施する。 (2) 視覚障害以外の障害者に対する利用促進に対する支援 視覚障害のみならずその他の障害(上肢障害や識字障害など)のある者のサピエ等の利用促進にかかる取組(障害者団体との協議会の設置など)や、視覚障害以外の障害に関する接遇や留意点等の研修を実施。 (3) 地域における図書等の点字・音声・テキストデータ化ができる人材養成の強化 点字図書館と公共図書館の連携に併せて、地域における点訳奉仕員・音訳奉仕員の養成の推進にも取り組む。 (4) その他読書バリアフリー体制の強化に資する取組 4 留意事項 事業の実施に当たっては、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」等を踏まえ、地域の関係機関等(公立図書館や学校図書館、障害者団体等)と連携を図りながら取り組むこと。 (34ページ) 厚ー4 視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」 ○ 「サピエ」は、視覚障害者及び視覚による表現の認識に障害のある者に対して点字、デイジーデータ(音声、テキストを利用したデータ)の情報を提供するITネットワークであり、日本点字図書館がシステムを管理し、全国視覚障害者情報提供施設協会が運営を行っている。 ○ 国は事業に要する経費の一部を助成している。(令和4年度予算額:1.2億円) 視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」と点字図書館等の関係図 (各図の説明) サピエ(上段中央に記載) システム管理:日本点字図書館 運営:全国視覚障害者情報提供施設協会 マラケシュ条約加盟国のAE(Authorized Entity)(上段左側に記載) 電子データの国間で交換 国会図書館「視覚障害者用データ送信サービス」(上段右側に記載) ・学術文献録音図書DAISY資料 ・公共図書館が製作し国会図書館が収集した音声DAISYデータ・点字データ 全国の点字図書館(中断左側に記載) 視覚障害者用図書の貸出・製作 全国の視覚障害者(約31万人)(下段に記載) (各図をつなぐ矢印と説明文) サピエと国会図書館の双方向矢印 サピエとマラケシュ条約加盟国のAEの双方向矢印(点線) 電子データの国間で交換 サピエから全国の点字図書館へ矢印 全国の視覚障害者から全国の点字図書館へ矢印 来館、電話、手紙、FAXによる貸出申し込み 全国の点字図書館から全国の視覚障害者へ矢印 来館または郵送にて貸出 全国の視覚障害者からサピエへ矢印 サピエは全国の点字図書館と書誌データ及び貸出状況を共有しており、サピエ経由での貸出依頼が可能。 サピエから全国の視覚障害者へ矢印 点字、デイジーデータを無料でダウンロードすることができ、パソコン等で視聴が可能。 「「サピエ」は、インターネットを通して、全国の視覚障害者等、ボランティア、情報提供施設・団体をつなぐ「知識」(Sapientia サピエンティア= ラテン語)の広場。全国の会員施設・団体が製作または所蔵する資料の目録ならびに点字・音声図書出版目録からなる、点字図書や録音図書の全国最大の書誌データベース(約77万件)として広く活用されている。23万タイトルの点字データを保有し、10万タイトルの音声デイジーデータのダウンロードやストリーミングが可能であり、個人会員はこの点字・デイジーデータを全国どこからでも、あるいは海外にいてもダウンロードが可能で、読みたい本を自由に選べ、直接入手でき、視覚障害者等の読書の自由が広がっている。 (「サピエ」視覚障害者情報総合ネットワークHPから)(一部数値は更新) (35ページ) 厚−5 障害者ICTサポート総合推進事業の概要 令和4年度予算額:地域生活支援事業費等補助金(※)(518億円)の内数国庫補助率:1/2 (※)地域の特性や利用者の状況に応じ、実施主体が柔軟な形態により様々な事業を実施する。 目的 障害者等の情報通信技術(ICT)の利用機会の拡大や活用能力の向上を図り、情報へのアクセスを円滑に行えるよう支援することにより、障害者の自立と社会参加の促進を目的とする。 実施主体 都道府県、指定都市及び中核市(令和3年度実施自治体:40都道府県、5指定都市、2中核市) 事業内容 障害者の情報アクセシビリティの向上のため、以下の事業を実施する。 (1) 障害者に対するICT機器の紹介や貸出、また利用に係る相談等を行う総合的なサービス拠点(「ICTサポートセンター」等)を設置し運営する事業 ◆例・・・聴覚障害者が参加する会議などへヒアリングループの貸出、障害者のパソコン利用に関する相談会の開催等 (2) 障害者に対し、サピエ(※)等のインターネットを通じたサービスの利活用や、ICT機器の操作についての支援を行うパソコンボランティアの養成・派遣を行う事業 ◆例・・・パソコンボランティアが障害者の自宅へ訪問し、実際に使用する機器を使用しながらの利用支援地域の住民を対象としたパソコンボランティアの養成研修会の開催等 (3) 視覚障害者等の地域生活を支援するため、地域の広報誌やイベント案内などの地域情報を音声や点字などの利用しやすい媒体に加工しサピエ(※)等の障害者がアクセスしやすいネットワークにアップロードする事業 ◆例・・・視覚障害者情報提供施設と連携し、地域生活において必要な情報をサピエへアップロードを行う等 (※)・・・視覚障害者情報総合ネットワーク (36ページ) 厚−6 障害者等のICT機器利用支援事業 障害者等のICT機器の利用機会の拡大や活用能力の向上を目的として、各自治体が設置するICTサポートセンター( ICT機器の紹介や貸出、利用に係る相談等を行う拠点:地域生活支援事業等)の活動を支援する「ICTサポートセンター連携事務局」を設置し、ICTサポートセンターにおける取組の好事例の横展開、情報の共有機会の提供等により、地域における障害者のICT機器利用に関する相談体制等の充実を図る。 事業のイメージ ICTサポートセンター設置自治体(市町村障害担当への窓口支援、障害者、そのご家族等への支援) ○身近な相談窓口支援 ○ICT機器の紹介・貸出 ○WEBによる情報提供 ○ICT機器利用相談 ○ICT機器の展示、体験利用 ○利用支援団体の紹介 ICTサポートセンター連携事務局(ICTサポートセンター設置自治体の後方支援) ○ 全国連絡会議の実施 ○ ICTサポートセンターに対する支援 ○ ICT機器に関する情報収集・発信 ○ 関係機関との連携 ○ センター未設置自治体への支援 ○ その他必要な取組 視聴覚障害者情報提供施設、障害当事者団体、メーカー、パソコンボランティア等(ICTサポートセンター設置自治体と連携) 市町村障害担当(障害者、そのご家族等への支援 (37ページ) 省庁等 総務省 所属 情報流通行政局情報流通振興課情報活用支援室 役職・氏名 課長補佐 田中 智大 基本計画@V.7 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(第16条関係) 令和3年度までの取組 ICT分野の情報バリアフリー促進支援事業を通じて、アクセシブルな電子書籍等・端末機器等を含む障害者等の利便の増進に資するICT機器・サービスの技術開発の促進や、技術的な課題の解決に資する調査研究等を実施。【資料:総ー1】 成果 令和3年度のICT分野の情報バリアフリー促進支援事業を通じて、障害者等の利便の増進に資するICT機器・サービスの技術開発等を実施(助成件数9件)。 令和4年度(から)の取組 引き続き、ICT分野の情報バリアフリー促進支援事業通じて、アクセシブルな電子書籍等・端末機器等を含む障害者等の利便の増進に資するICT機器・サービスの技術開発の促進や、技術的な課題の解決に資する調査研究等を実施予定。 目標 障害者等の利便の増進に資するICT機器・サービスの技術開発の成果の社会実装による情報バリアフリー環境の整備(先進的なICT機器の社会実装、サービス高度化等) 資料番号 総ー1 (38ページ) 総−1 通信・放送分野における情報バリアフリー促進支援事業 令和4年度予算額130百万円 デジタル・ディバイドを解消し、障害者や高齢者を含めた、誰もがICTによる恩恵を享受できる情報バリアフリー環境を実現するため、以下の助成を実施。 @デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発 本省:高齢者・障害者の利便の増進に資する通信・放送サービスの充実に向けた、新たなICT機器・サービスの研究開発を行う者に対し、経費の2分の1(最大3000万円)を上限として助成金を交付。 A 情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助成金 NICT:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を通じ、身体障害者の利便の増進に資する通信・放送役務の提供を行う者に対し、経費の2分の1を上限として助成金を交付。 (参考)助成事例 駅構内を想定した視覚障害者の歩行誘導サービスの研究開発 地下鉄の駅構内に設置したQRコードからの情報とメガネ型ウェアラブルデバイスから得た情報をスマートフォンで統合し、クラウドサービスを利用しながら、道案内、駅構内情報、危険回避、さらには広告の提示などを実現 shikiシステム概要 (駅の構内で眼鏡をかけた男性がQRCodeが付いた点字ブロックの後ろに立ち、白線を白状でつき、SmartPhoneを持っているイラストで説明) (イラストは当該ページの左下に記載) (主なイラストの配置) QRCode(左上に記載) Smartphone(左下に記載) Cloud(中央上に記載)(物体情報、距離情報とイラストの右隣に記載 男性(中央下に記載) Glasses(男性がかけている)(カメラ、骨伝導とイラストの右隣に記載 骨伝導(男性の右上に記載)(吹き出しで道案内、駅構内情報、危険回避、公告とイラストの下に記載) (各図をつなぐ矢印と説明文) QRCodeからSmartPhoneへ矢印(Cameraと矢印の左隣に記載) CloudとSmartphoneが双方向矢印(Wi-Fi、4Gと矢印の右隣に記載) 男性とSmartPhoneが双方向矢印(Wi-Fiと) モバイル型情報保障サービス(e-ミミ) 聴覚障害者の学びを支援するため、高等学校・大学及び講習会・セミナーへの、遠隔地からのパソコン文字通訳(要約筆記)による文字情報の配信提供。 @スマートフォンを通して送られた会場内の音声を文字へ変換。 Aインターネットを使って、会場内の利用者が持っているスマートフォンやタブレット端末に字幕として表示。 (一人の話し手、複数の聴覚障害者・健聴者、遠隔情報保障センターの職員2名のイラストで説明) (当該イラストは当該ページの右下に記載) (イラストの内容) 話し手が「田中さんこんにちは。」と発言(マイクBluetoothを通じて) 遠隔情報センターの職員2名が字幕データ「田中さん、」、「こんにちは」と入力 聴覚障がい者及び健聴者のスマートフォンに「田中さん、こんにちは」と表示 R3年度採択事業 デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発 1 日本ユニシス株式会社   AIを用いた手話動画認識による手話学習支援アプリの研究開発 2 イースト株式会社     機械学習を活用した非アクセシブルなPDF 文書の構造化とテキスト抽出に関する研究開発 3 株式会社ポニーキャニオン 視覚障害者・ディスレクシアのための音声を使った読書方法の研究開発※ 4 エヴィクサー株式会社   ユーザー操作ゼロを目指した音声ガイド機の研究開発 情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助成金 1 株式会社アイエスゲート    がん・がん検診に関する聴覚障害者向けプッシュ型情報提供システムの開発及び環境構築 2 株式会社アイセック・ジャパン 聴覚障害者向けライブ字幕サービス 3 合同会社シーコミュ      聴覚障害者向け字幕電話 4 株式会社SowonSoft   らくらくトーク音声認識 5 特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター 映画・映像・舞台芸術・防災等に対応したクラウド型情報保障サービスの提供 ※視覚障害者等の読書環境整備推進に係る助成事例 (39、40ページ) 省庁等 国立国会図書館 所属 総務部 役職・氏名 主任参事 小澤弘太 基本計画@V.1(第9条関係)(1)アクセシブルな書籍等の充実 令和3年度までの取組 【国立国会図書館での製作及び他機関製作分の収集】 ・他機関では製作が困難な学術文献について、視覚障害者等向け録音図書やテキストデータを製作 ・公共図書館、大学図書館等のデータ提供館から視覚障害者等用データを収集 ・デジタル化資料のOCRテキスト化事業の実施 ・オープンソースで公開可能なOCRの研究開発も併せて実施 成果 令和3年度について、視覚障害者等向け録音図書(DAISY仕様)を11タイトル(390時間分)製作した。また、テキストデータの製作を本格的に開始し、51タイトルの校正済テキストデータと123タイトルの未校正テキストデータを製作した。また、公共図書館、大学図書館等のデータ提供館114館から、計4,037件の視覚障害者等用データを収集した。 結果、令和3年度末時点では、34,757件のデータを提供している。内訳は以下のとおり。 ・音声DAISY 30,604件 ・マルチメディアDAISY 661件 ・電子書籍(EPUB)101件 ・音声付き電子書籍(EPUB)1件 ・透明テキスト付PDF 253件 ・Word(DOCX)214件 ・プレーンテキスト(TXT)482件 ・点字データ 2,378件 さらに、令和2年度補正予算(第3号)により、当館がこれまでにデジタル化した資料のOCRによる全文テキストデータ作成を行った(図書、雑誌、博士論文等約247万冊分が対象)。また、今後のテキスト化の精度を高めるためにデジタル化資料に特化したOCRの研究開発を行い、プログラムを公開した。 令和4年度(から)の取組 他機関では製作が困難な学術文献について、視覚障害者等向け録音図書(DAISY仕様)及びテキストデータの製作を継続する。令和4年度予算は55百万円。 OCRにより作成した全文テキストデータの視覚障害者等サービスへの利活用について、現在関係者と調整中【別添資料1】。また、デジタル化資料に特化したOCRの研究開発は、令和3年度補正予算(第1号)により継続して実施する想定である。 目標 <令和4年度の目標> ・視覚障害者等向け録音図書(DAISY仕様)を360時間分、校正済テキストデータを50タイトル製作 ・公共図書館等のデータ提供館から3,000件の視覚障害者等用データを収集 ・全文テキストデータの視覚障害者等サービスへの利活用の開始 資料番号 国図ー1 基本計画AV.1(第9条関係)(1)アクセシブルな書籍等の充実 令和3年度までの取組 【図書館等におけるテキストデータ製作支援の実験の取組】 国立国会図書館の共同校正システムを用いて、日本点字図書館等の参加機関がテキストDAISY等を製作(アクセシブルな電子書籍製作実験プロジェクト) 成果 令和3年度について、国立国会図書館の共同校正システムを用いて、日本点字図書館等の参加機関が489点のテキストDAISY等を製作した。 令和4年度(から)の取組 引き続き、参加機関によるテキストデータ製作を支援するとともに、公共図書館等におけるテキストデータ製作支援の枠組みを検討する。 目標 <令和4年度の目標> 公共図書館におけるテキストデータ製作に関するヒアリングを実施 基本計画BV.2 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関連) 令和3年度までの取組 【各インターネットサービスの周知】 国立国会図書館が提供するインターネットサービス、サピエ図書館等について、研修等の機会を通じて周知 成果 令和3年度について、視覚障害者等用データ送信サービスへの参加の促進及び参加館による同サービスのさらなる活用を図るため、公共図書館職員を対象とした説明会を初めて開催した。参加者は88館から107名。 また、公共図書館、大学図書館等で障害者サービスを担当する司書・職員を対象とした障害者サービス担当職員向け講座を、オンライン形式で実施した(日本図書館協会と共催)。本講座は講義及び体験講座からなり、国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービス及び国立国会図書館サーチ障害者向け資料検索、サピエ図書館について周知を図った。参加者は講義223名、体験講座47名。 さらに、国際子ども図書館において、公共図書館関係者、学校図書館関係者を対象とした講演「デジタル化で進める読書のバリアフリー ―児童サービスの現場にできること」のオンライン配信を11月に開始した。視覚障害者等用データ送信サービスやサピエ図書館の概要も紹介している。 令和4年度(から)の取組 公共図書館、大学図書館等で障害者サービスを担当する司書・職員を対象とした障害者サービス担当職員向け講座を引き続き実施予定。 目標 <令和4年度の目標> 障害者サービス担当職員向け講座を昨年と同規模の定員(講義200名、体験講座40名)で実施 (41ページ) 基本計画CV.4 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(第12条関連) 令和3年度までの取組 【民間電子書籍サービスについて、図書館における適切な基準の整理】 令和3年度に「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」を立ち上げ 成果 令和3年度について、基準(ガイドライン)の検討に先立ち、障害者団体やベンダーからのヒアリング等により、出席者間で基礎的な情報を共有することを目的として、計4回(6月22日、10月5日、1月25日、3月11日)の会議を開催した。4回の検討会での議論を通じ、「令和3年度報告書(案)」 をまとめた。 令和4年度(から)の取組 以下のように想定 <令和4年度> ・「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」の継続開催 ・令和3年度の検討を踏まえ、基準(ガイドライン)の素案作成 ・基準(ガイドライン)の周知・普及方法について検討 <令和5年度> ・素案を適宜見直し、成案として一般公開、周知・普及 <令和6年度> ・基準(ガイドライン)を更新 目標 <令和4年度の目標> 民間電子書籍サービスについて、図書館における適切な基準(ガイドライン)の素案作成 資料番号 国図ー2 基本計画DV.5 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(第13条関係) 令和3年度までの取組 【マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスの実施】 外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の円滑な入手及び国内で製作されたアクセシブルな電子書籍等の外国への提供を促進 成果 令和3年度について、2個人の依頼を受けて、外国で製作された点字データ、音声DAISY等7タイトルを2か国から収集した。 令和4年度(から)の取組 引き続き、マラケシュ条約に基づく視覚障害者等用データの国際交換サービスを着実に実施する。 目標 <令和4年度の目標> 研修等を通じた、図書館等に対する国際交換サービスの周知 基本計画EV.8(第17条関係)(1)司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上 令和3年度までの取組 【司書等を対象とした研修の実施】 国立国会図書館が提供するインターネットサービス、サピエ図書館等について、研修等の機会を通じて周知 成果 各種図書館で障害者サービスを担当する司書・職員を対象とした講座・講演を実施・提供した。 ※詳細はBを参照。 令和4年度(から)の取組 公共図書館、大学図書館等で障害者サービスを担当する司書・職員を対象とした障害者サービス担当職員向け講座を引き続き実施予定。 目標 <令和4年度の目標> 障害者サービス担当職員向け講座を昨年と同規模の定員(講義200名、体験講座40名)で実施 (42ページ) 国図ー1 視覚障害者等用データ送信サービスを通じた視覚障害者等への全文テキストデータの提供 趣旨: 国立国会図書館(以下「当館」という。)では、読書バリアフリー法に掲げるアクセシブルな電子書籍等の量的拡充に資するため、以下のとおり、当館のデジタル化資料から作成する全文テキストデータ(以下「全文テキストデータ」という。)について、当館のサービスを通じて視覚障害者等に提供する方向で検討・調整中である。 事業内容: 1.全文テキストデータの概要 当館が「国立国会図書館デジタルコレクション」を通じて提供するデジタル化資料(画像データ)からOCR(光学的文字認識)処理を行い、作成したテキストデータ。テキストデータの作成対象となったデジタル化資料は、図書、雑誌、博士論文等約247万冊分。下記はそのうちの代表的な資料群。 ・図書:1968年までに受け入れた図書のほか、震災・災害関係資料の一部(1968年以降に受け入れたものを含む)約97万点 ・雑誌:明治期以降に刊行された雑誌(刊行後5年以上経過したもの)約1万タイトル(約133万点) 2.全文テキストデータの視覚障害者等への提供方法(想定) (1) 提供プラットフォーム視覚障害者等用データ送信サービス(図を参照)で提供する想定。同サービスは、著作権法第37条に基づき、当館と図書館等が視覚障害者等のために製作した電子データ(DAISYデータ、点字データ及びテキストデータ)を、インターネットを通じて送信するサービス。平成26年1月に開始した。 (図の説明) 国立国会図書館、公共図書館、大学図書館、学校図書館、ボランティア団体などから国立国会図書館へ矢印 データ収集 国立国会図書館から承認を受けた図書館等へ矢印 送信 承認を受けた図書館等から視覚障害者等利用者へ矢印 提供 国立国会図書館から視覚障害者等利用者へ矢印 送信 (2) 提供方法 OCR処理を行ったものを、未校正のまま提供する。 全文テキストデータの冒頭には、同データが著作権法第37条第3項の規定に基づき、視覚障害者等に限定して提供するために製作されたものであり視覚障害者等以外への提供はできないこと及び校正されていないテキストデータである旨の文言を挿入する。 (3) サービスの利用対象者 @ 視覚障害者等に該当する者として当館が確認した上で同サービスの利用者登録をした個人 A 視覚障害者等へのサービス提供体制が整備されていることを書面により当館が確認し、サービスを利用することを承認した図書館等 (4) 提供対象からの除外【調整中】 著作権法第37条第3項ただし書に基づき、下記の除外基準・確認手続きにより提供対象から除外する。 <除外基準> スクリーンリーダーによる読み上げ(Text to Speech(TTS))に対応している等、視覚障害者等が利用する支援技術を通じて利用できる方式で当該資料又は同内容の著作物の電子書籍が、電子書籍市場、出版者のホームページ等で流通している場合等に、除外することを想定。 <ただし書き該当データの確認に係る手続> 当館による入手可能性調査(日本出版インフラセンター出版情報登録センター(JPRO)が公開しているデータベースを用いる想定)、出版者による事前確認手続き等を経て提供を開始する。提供開始後も、出版者から該当データに関する申出を受け付ける。 *事前・事後確認手続に用いる「提供(候補)資料リスト」を当館ホームページで公開する。 (43、44ページ) 国図ー2 「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」における令和3年度の検討状況について 趣旨: 国立国会図書館では、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」に定められた担当施策「音声読み上げ機能(TTS)等に対応したアクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスについて、関係団体の協力を得つつ図書館における適切な基準の整理等を行い、図書館への導入を支援する。」を進めるために、令和3年度に「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」を立ち上げ、検討を進めてきた。来年度も検討を継続する。 事業内容: 1.検討会の概要 (1) 目的 サービス事業者側及びユーザ側の関係者の相互理解を踏まえ、公共図書館、大学図書館、学校図書館がアクセシブルな民間の電子図書館を調達・導入する際に参照し、電子図書館ベンダーがサービスを開発する際に参照しうる基準(ガイドライン)を作成する。 (2) 運営 ・参加メンバーは別紙参照。サービス事業者側、ユーザ側の各関係団体の代表からなる。座長は近藤武夫東京大学先端科学技術研究センター准教授(R4年度以降教授)、座長代理は植村八潮専修大学教授が務める。 ・検討会の庶務は、文部科学省総合教育政策局地域学習推進課及び同省研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室と連携して、国立国会図書館総務部企画課が行う。 ・検討会の進捗状況は、適宜事務局から視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会に報告する(本日)。 2.令和3年度の開催・検討状況 基準(ガイドライン)の検討に先立ち、障害者団体やベンダーからのヒアリング等により、出席者間で基礎的な情報を共有することを目的として、計4回(6月22日、10月5日、1月25日、3月11日)の会議を開催した。4回の検討会での議論を通じ、「令和3年度報告書」をまとめた。 3.今年度の検討会の活動により得られた知見・課題(「令和3年度報告書」の要約) (1) 電子図書館の現状・課題(図書館関係者からのヒアリング及びサービス提供事業者を対象として実施したアンケートから得られた知見) ・電子図書館を導入済みの館の中には、様々な工夫をしつつ障害者への提供を試みている館もあった。 ・ただし、現状の電子図書館には、アクセシビリティ対応という点で各種の課題がある。   Webサイトが十分にアクセシブルではなく、探している資料に行き着くのが難しい。また、電子書籍に適切なメタデータが付与されていないため、アクセシブルな資料であるか否かが事前には分からず、絞り込み等もできない。   ビューアのアクセシビリティ機能は、全ての利用環境(ブラウザ/アプリ)、全てのコンテンツで利用できる訳ではない。スクリーンリーダーでは操作できない機能もある。 提供されているコンテンツのうち、音声読み上げ可能なタイトルはごく一部である。 (2) 障害者のニーズ(視覚障害者等を対象として実施したアンケートから得られた知見) ・障害者の読書ニーズは、紙媒体から電子書籍、オーディオブックに移りつつある。   「これまでに読んだ本の形式」と「これから読みたい本の形式」を比較したところ、「紙に印刷されている本」「紙の点字」については、これまでにこの形式で読んだ人数に比べて、今後この形式で読みたいと答えた人数が少なかった。逆に、「電子書籍(EPUB等)」及び「オーディオブック」については、今後この形式で読みたいと答えた人数の方が多かった。 ・ビューアのアクセシビリティ機能のうち、音声読み上げ機能は、障害の種別を問わず、障害者の要望が最も高い。   アクセシビリティ機能ごとに見ると、全ての障害種別において、音声読み上げが、「備えて欲しい」と回答した人数が最も多かった。次点は障害種別によって異なり、全盲では詳細読み、ロービジョン及び上肢障害・全身障害では文字の拡大、ディスレクシアでは文字間・行間の調整となった。なお、全体的にはニーズが必ずしも高くない機能(ハイライト、縦横の変換、分かち書き、点字ディスプレイへの表示等)であっても、特定の障害種別においては一定の割合でのニーズがあることには注意が必要である。 (3) 電子図書館の利用促進 電子図書館の障害者による利用を促進するためには、図書館による電子書籍への理解と対応(選書基準、契約モデル等)、他機関との連携、広報等が必要である。 4.課題整理とロードマップ (1) ビューアのアクセシビリティ機能の優先度 既述のように、令和3年度に実施した調査の結果、アクセシビリティ機能のうち重要度、優先度において音声読み上げに対するニーズが最も高いことが判明した。そこで、短期的目標としてまずは音声読み上げについて取り組むこととし、その他のアクセシビリティ機能については中長期的目標とする。 (2) ロードマップ 令和4年度は、検討会を継続し(年4回程度開催予定)、令和3年度の成果から得た知見を踏まえ、基準(ガイドライン)の素案を作成する。 ・令和4年度   「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」の継続開催   令和3年度の検討を踏まえ、基準(ガイドライン)の素案作成   基準(ガイドライン)の周知・普及方法について検討 ・令和5年度   素案を適宜見直し、成案として一般公開、周知・普及 ・令和6年度   基準(ガイドライン)を更新 ⇒令和3年度報告書は、https://ndl.go.jp/jp/support/report2021.html に掲載済み。 【別紙】図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会関係者名簿 <有識者・関係者団体> 阿部 一彦 日本身体障害者団体連合会会長 粟野 健一 日本発達障害ネットワーク理事 植村 八潮 専修大学教授(座長代理) 宇野 和博 日本弱視者ネットワーク教育担当役員 近藤 武夫 東京大学先端科学技術研究センター准教授(座長) 佐藤 聖一 日本図書館協会障害者サービス委員会委員長 鈴木 直人 電子出版制作・流通協議会事務局長 田中 敏隆 日本書籍出版協会AB(アクセシブル・ブックス)委員会委員 冨倉 由樹央 日本電子書籍出版社協会法務委員会委員長(第1回〜第3回)        一般社団法人デジタル出版者連盟協会法務委員会委員長(第4回) 三宅 隆  日本視覚障害者団体連合組織部長 見形 信子 DPI日本会議会員 <事務局> 国立国会図書館総務部企画課 <関係省庁等(オブザーバー)> 横井理夫文部科学省総合教育政策局地域学習推進課長(第1回、第2回) 根本幸枝文部科学省総合教育政策局地域学習推進課長(第3回、第4回) 三宅隆悟文部科学省研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室長 高木美香経済産業省商務情報政策局コンテンツ産業課長 (45〜48ページ) 省庁等 経済産業省 所属 商務情報政策局コンテンツ産業課 役職・氏名 課長補佐 冨田智 基本計画 @V.3(第11条第1項関係)(2)出版者からの製作者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備への支援 AV.4 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(第12条関連) BV.4(第12条関連)(3)出版者から書籍購入者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備に関する検討への支援 令和3年度までの取組 1.令和2年度に策定したロードマップ及びアクションプランの実行 (1)総合的なデータベースの構築 (2)電子書籍(リフロー形式)の基準の検討 (3)サポートセンターの設置・運営 (4)テキストデータ抽出等に関する基準の検討 2.電子書籍等の製作及び販売等の促進、出版者からのテキストデータ等の提供促進を図るための方策に関する調査 (1)書籍等印刷データからテキストデータ等の作成に関する実証事業 (2)視覚障害者等へのヒアリング (3)読書バリアフリー環境整備のための電子書籍市場等の拡大に関する検討会の実施 3.読書バリアフリーに関する国や出版業界の取組の普及・啓発 成果 1.令和2年度に策定したロードマップ及びアクションプランの実行 ・関係主体により読書バリアフリー環境に向けて具体的に検討されており、各アクションが実現に向けて取り組まれていることが確認できた。 2.電子書籍等の製作及び販売等の促進、出版者からのテキストデータ等の提供促進を図るための方策に関する調査 ・実証事業やヒアリング調査、先行事例との意見交換を通じて、特に第12条関連の電子データの提供においては、視覚障害者等へのきめ細やかなサービスの提供のためにもABSCと視覚障害者等の間に受け皿機関が必要ではないかとの結論に至った。 3.読書バリアフリーに関する国や出版業界の取組の普及・啓発・啓発事業として令和4年3月25日よりオンラインイベント「出版業界による読書バリアフリー対応のいまとこれから」を開催し、配信。 令和4年度(から)の取組 1.ロードマップ及びアクションプランの実行 (1)総合的なデータベースの構築 ・各出版社へのデータベースへのデータ入力の協力要請 ・JPROデータベース自体のアクセシビリティ改善 (2)電子書籍(リフロー形式)の基準の検討 ・TTS推進会議においてTTS読み上げの課題の整理 (3)サポートセンターの設置・運営 ・関係団体との連携の協議及び規約・契約などの策定 (4)テキストデータ抽出等に関する基準の検討 ・基準のプロトタイプの作成を目指す 2.調査・検討会の継続実施 ・読書バリアフリー環境の整備に向けて、出版関係者の意見を集約し、施策を推進していくための場を引き続き設置・運営する。 ・令和2年度に策定したロードマップ・アクションプランの進捗状況を確認するとともに、読書バリアフリー環境の一層の整備に向けて、出版関係者の検討課題となっている項目について調査するとともに、検討会において議論。必要に応じてロードマップ・アクションプランを見直す。 目標 1.ロードマップ及びアクションプラン (1)総合的なデータベースの構築 令和4〜5年度:データベース内の段階的なコンテンツの充実 (2)電子書籍(リフロー形式)の基準の検討 令和5年度:基準案の作成 (3)サポートセンターの設置・運営 令和5年度:ABSCを設置し、出版者からの電子データ等の提供を開始 (4)テキストデータ抽出等に関する基準の検討 令和5年度:電子データ抽出やその運用に関する基準の整備 資料番号 経ー1 課題・補足 ・法第12条関連のABSCから視覚障害者等への電子データの提供においては、視覚障害者等へのきめ細やかなサービスの提供のためにもABSCと視覚障害者等の間に受け皿機関が必要であり、受け皿機関の設置については、関係者協議会において出版関係者を超えた議論が必要 (49ページ) 経−1 令和4年6月 経済産業省 「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」(令和3年度) 令和2年度に引き続き、電子書籍等の製作及び販売等の促進並びに出版者からのテキストデータ提供の促進を図るため、その障壁となる様々な課題を抽出するための調査を実施し取りまとめるとともに、読書バリアフリーに関する国や出版業界の取組について、出版関係者や視覚障害者等をはじめとした一般消費者等への普及・啓発を実施した。 1.ロードマップ・アクションプランの進捗状況 「読書バリアフリー環境整備のための電子書籍市場等の拡大に関する検討会」において、令和2年度に策定したロードマップ及び各アクションプランの進捗状況を確認した。 (1)総合的なデータベースの構築 ・日本出版インフラセンター(JPO)が有する出版情報登録センター(JPRO)データベースの改修により、電子書籍・オーディオブックなどのアクセシブルな書籍のデータが紐付けられ、Books に反映できるように改修を実施。 ・令和3年12 月9 日にJPO による出版関係者への説明会が実施され、令和4年1 月20 日より運用開始。 (2)電子書籍(リフロー形式)の基準の検討 ・出版業界として令和3年度に立ち上げたアクセシブルブックサポートセンター(ABSC)準備会内に「TTS推進ワーキンググループ」(権利者・出版者・配信事業者、研究者等によって構成される会議体)を設置。 ・TTS の読み上げにおける課題も多いことも確認されたため、令和4年度には、@本文中の外字・異字体の取り扱い方、A図表の取り扱い方、B数式等の高度な専門性がある表現の取り扱い方と段階を区切って整理を行うこととなった。 (3)サポートセンターの設置・運営 ・令和3年6月にJPO 総会で出版業界によってABSC の設立に向けたABSC 準備会を立ち上げることが承認され、ABSC 準備会の活動を開始。 ・令和3年10月にはABSC 準備会から各出版社に対して、「読書バリアフリー法に対応する<ABSC 連絡窓口>設置のお願い」を案内。 ・ABSC の実現化に向けて、経済産業省の検討会において、電子データの提供方向性 (案)を取りまとめた。 (4)テキストデータ抽出等に関する基準の検討 ・基準策定に向けた情報収集と課題抽出として、テキストデータ等の作成に関する実証事業及び視覚障害者等へのヒアリングを実施。(2.(1)(2)参照) ・経済産業省の検討会において、先行事例として、教科書協会より「教科書バリアフリー法」での教科書の電磁的記録の提供等の対応状況について発表いただいた。 2.電子書籍等の製作及び販売等の促進、出版者からのテキストデータ等の提供促進を図るための方策に関する調査 出版社におけるテキストデータの抽出方法やそれにかかる人的・金銭的コストを算出するための実証事業を実施。また、視覚障害者等の団体より読者の立場からの現状と課題、今後さらに利用しやすい電子書籍等の普及・提供を推進するために求められることについてヒアリング調査を実施した。 (1)書籍等印刷データからテキストデータ等の作成に関する実証事業 ・出版者からの協力を得て、様々なレイアウトの書籍等の印刷データからテキストデータ化に関する実証事業を実施。テキストデータ等の作成に係る作業時間や費用等の評価(データ抽出、校正、構造化の一連の作業時間や費用等の測定、作業場の課題の整理)を実施した。 ・出版社各社やレイアウトにより、テキストデータ等の抽出に係る人的・金銭的コストに大きな違いがあるということが明らかとなった。 (2)視覚障害者等へのヒアリング ・読者の立場から現状と課題、今後さらに利用しやすい電子書籍等の普及・提供を推進するために求められること等について視覚障害者等当事者団体や図書館等にヒアリング調査を実施した。 ・ヒアリングの結果から、視覚障害者等というくくりの中でも、障害の種類によってニーズが大きく異なることが明らかとなった。 ・他方で、視覚障害においては既にTTS のユーザーもおり、データベースの期待感などもあり、上肢障害においてもタッチで読めることやディスレクシアにとってもフォントや背景色を選択できるといった観点からリフロー型電子書籍の要望も高いということも明らかとなった。 (3)読書バリアフリー環境整備のための電子書籍市場等の拡大に関する検討会の実施 ・基本的にはリフロー型の電子書籍の拡大を基本としつつ、対応できないものは電子データの提供が必要であるとの結論に至った。 ・また、電子データの提供については、「電子データ提供の方向性(案)」として取りまとめ、出版者と特定(電子)書籍製作者や視覚障害者等を取り次ぐ機関として出版業界によりABSC の設立に向けて準備を進めることとなった。ただし、法第12条関係の書籍購入者への電子データの提供においては、視覚障害者等へのきめ細やかなサービスの提供のためにもABSC と視覚障害者等の間の受け皿機関が必要ではないかとの結論に至った。 【電子データ提供の方向性(案)】 ・読書バリアフリー法第11 条第2 項(特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援)・第12 条(視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等における電磁的記録の提供)に基づく電子データ(電磁的記録) の提供は、以下の流れを想定する。 ・第11 条第2 項では、特定(電子)書籍等製作者がABSC に連絡し、ABSC から各出版社に電子データ等の取次をする。第12 条では、視覚障害者等が受け皿機関(※要検討)に連絡し、受け皿機関が一元的にABSC に各出版社への取次を依頼することを想定する。 ・いずれの場合でも、@市場、国立国会図書館及びサピエ図書館に視覚障害者等への資料等が存在しないこと、A提供されたデータは視覚障害者等用の資料作成にのみ用いられること、Bデータ提供を依頼する書籍等の購入が前提となる。 ・出版社、ABSC から障害者団体等への提供様式は「電子データ(電磁的記録)」とする。電子データの流出を抑制するため、第11 条第2 項では、特定(電子)書籍等製作者との契約、第12 条では、出版社-ABSC-受け皿機関との契約、受け皿機関と障害者の間での覚書を締結することで担保する。 図表1:読書バリアフリー法第11条第2項に基づく電子データの提供スキーム (図の説明) 著者と出版者の双方向矢印 許諾 印刷会社と出版者の双方向矢印 データ作成・提供 出版者から書店へ矢印 書籍購入 出版者からABSC(アクセシブルブックスサポートセンター)へ矢印 データ提供 出版者から出版情報登録センター(JPRO)DBへ矢印 書誌登録 ABSCと特定(電子)書籍等製作者(視覚障害者等用データを製作))(*)の双方向矢印 *著作権法第37条により製作できる者(大学図書館、学校図書館、公共図書館、点字図書館、ボランティア団体など) データ提供契約 ABSCから特定(電子)書籍等製作者へ矢印 専用データ提供 ABSCから出版情報登録センター(JPRO)DB及び国立国会図書館、サピエ図書館へ矢印 既存データ照会 ABSCから出版者へ矢印 データ提供依頼 書店から特定(電子)書籍等製作者へ矢印 特定(電子)書籍等製作者から視覚障害者等へ矢印 データ提供 特定(電子)書籍等製作者から国立国会図書館、サピエ図書館へ矢印 データ登録 国立国会図書館、サピエ図書館から視覚障害者等へ矢印 データ提供(特定(電子)書籍等製作者経由の場合もあり) 図表2:読書バリアフリー法第12条に基づく電子データの提供スキーム (図の説明) 著者と出版者の双方向矢印 許諾 印刷会社と出版者の双方向矢印 データ作成・提供 出版者から書店へ矢印 書籍購入 出版者からABSC(アクセシブルブックスサポートセンター)へ矢印 データ提供 出版者から出版情報登録センター(JPRO)DBへ矢印 書誌登録 ABSCと視覚障害者等の受け皿機関(視覚障害者等のスクリーニング、視覚障害者等のニーズに合わせてデータを加工)(※要検討)の双方向矢印 データ提供契約 ABSCから視覚障害者等の受け皿機関へ矢印 専用データ提供 ABSCから出版情報登録センター(JPRO)DB及び国立国会図書館、サピエ図書館へ矢印 既存データ照会 ABSCから出版者へ矢印 データ提供依頼 書店から視覚障害者等へ矢印 視覚障害者等の受け皿機関から視覚障害者等へ矢印 データ提供 視覚障害者等の受け皿機関から国立国会図書館、サピエ図書館へ矢印 データ登録【P】 視覚障害者等から視覚障害者等の受け皿機関へ矢印 障害者登録、データ提供依頼 3.読書バリアフリーに関する国や出版業界の取組の普及・啓発 ・令和4年3月25日よりオンラインイベント「出版業界による読書バリアフリー対応のいまとこれから」(主催:経済産業省、協力:(公財)文字・活字文化推進機構、(一社)出版文化産業振興財団)を開催し、Youtube などで配信。 【参考】 経済産業省「令和3年度 読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査報告書」 (URL) https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/report/dokubarireport2022.pdf (50〜54ページ)