元文科教第226号 令和元年7月8日 各都道府県知事 各指定都市市長 各都道府県教育委員会教育長 各指定都市教育委員会教育長 構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 各国公私立大学長 各国公私立高等専門学校長 各大学共同利用機関法人機構長 各文部科学省独立行政法人の長 殿 文部科学省総合教育政策局長 清水明 (印影印刷) 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律の施行について(通知) この度,「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第49号)」が令和元年6月28日に公布,施行されました。 本法の概要及び留意事項は下記のとおりですので,十分に御了知の上,本法の趣旨を踏まえた取組に努めていただきますようお願いします。 また,厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長より各都道府県等宛に同旨の通知が発出されておりますので,各地方公共団体の障害保健福祉部局とも連携の上,視覚障害者等の読書環境の整備のより一層の推進に取り組んでいただくようお願いします。 都道府県教育委員会におかれては所管の学校及び図書館その他の関係機関並びに域内の市町村教育委員会(指定都市教育委員会は除く。)に対し,都道府県知事及び指定都市教育委員会におかれては所管の学校及び図書館その他の関係機関に対し,構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては所管の学校設置会社及び当該会社が設置する学校に対し,附属学校を置く国公立大学長におかれては管下の附属学校に対し,下記について周知をお願いします。 なお,本通知は関係資料と併せて文部科学省のホームページに掲載しておりますので,お知らせいたします。 記 第1法律の概要 1目的(第1条関係) この法律は,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し,基本理念を定め,並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに,基本計画の策定その他の視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により,視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し,もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とすること。 2 総則 (1)定義(第2条関係) @この法律において「視覚障害者等」とは,視覚障害,発達障害,肢体不自由その他の障害により,書籍(雑誌,新聞その他の刊行物を含む。以下同じ。)について,視覚による表現の認識が困難な者をいうこと。 Aこの法律において「視覚障害者等が利用しやすい書籍」とは,点字図書,拡大図書その他の視覚障害者等がその内容を容易に認識することができる書籍をいうこと。 Bこの法律において「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等」とは,電子書籍その他の書籍に相当する文字,音声,点字等の電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。4の(3)のA及び4の(4)のAにおいて同じ。)であって,電子計算機等を利用して視覚障害者等がその内容を容易に認識することができるものをいうこと。 (2)基本理念(第3条関係) 視覚障害者等の読書環境の整備の推進は,次に掲げる事項を旨として行われなければならないこと。 ア視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み,情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及が図られるとともに,視覚障害者等の需要を踏まえ,引き続き,視覚障害者等が利用しやすい書籍が提供されること。 イ視覚障害者等が利用しやすい書籍及び視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「視覚障害者等が利用しやすい書籍等」という。)の量的拡充及び質の向上が図られること。 ウ視覚障害者等の障害の種類及び程度に応じた配慮がなされること。 (3)国の責務(第4条関係) 国は,(2)の基本理念にのっとり,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定し,及び実施する責務を有すること。 (4)地方公共団体の責務(第5条関係) 地方公共団体は,(2)の基本理念にのっとり,国との連携を図りつつ,その地域の実情を踏まえ,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し,及び実施する責務を有すること。 (5)財政上の措置等(第6条関係) 政府は,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならないこと。 3基本計画等 (1)基本計画(第7条関係) @文部科学大臣及び厚生労働大臣は,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならないこと。 A基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとすること。 ア視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策についての基本的な方針 イ視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 ウア及びイに掲げるもののほか,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 B文部科学大臣及び厚生労働大臣は,基本計画を策定しようとするときは,あらかじめ,経済産業大臣,総務大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならないこと。 C文部科学大臣及び厚生労働大臣は,基本計画を策定しようとするときは,あらかじめ,視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること。 D文部科学大臣及び厚生労働大臣は,基本計画を策定したときは,遅滞なく,これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならないこと。 EBからDまでは,基本計画の変更について準用すること。 (2)地方公共団体の計画(第8条関係) @地方公共団体は,基本計画を勘案して,当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ,当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならないこと。 A地方公共団体は,@の計画を定めようとするときは,あらかじめ,視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。 B地方公共団体は,@の計画を定めたときは,遅滞なく,これを公表するよう努めなければならないこと。 CA及びBは,@の計画の変更について準用すること。 4基本的施策 (1)視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係) @国及び地方公共団体は,公立図書館,大学及び高等専門学校の附属図書館並びに学校図書館(以下「公立図書館等」という。)並びに国立国会図書館について,各々の果たすべき役割に応じ,点字図書館とも連携して,視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実,視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援の充実その他の視覚障害者等によるこれらの図書館の利用に係る体制の整備が行われるよう,必要な施策を講ずるものとすること。(第1項関係) A国及び地方公共団体は,点字図書館について,視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実,公立図書館等に対する視覚障害者等が利用しやすい書籍等の利用に関する情報提供その他の視覚障害者等が利用しやすい書籍等を視覚障害者が十分かつ円滑に利用することができるようにするための取組の促進に必要な施策を講ずるものとすること。(第2項関係) (2)インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関係) 国及び地方公共団体は,視覚障害者等がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため,次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとすること。 ア点字図書館等から著作権法第37条第2項又は第3項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「特定電子書籍等」という。)であってインターネットにより送信することができるもの及び当該点字図書館等の有する視覚障害者等が利用しやすい書籍等に関する情報の提供を受け,これらをインターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援 イ視覚障害者等が利用しやすい書籍等に係るインターネットを利用したサービスの提供についての国立国会図書館,アのネットワークを運営する者,公立図書館等,点字図書館及び特定電子書籍等の製作を行う者の間の連携の強化 (3)特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援(第11条関係) @国及び地方公共団体は,著作権法第37条第1項又は第3項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい書籍(以下「特定書籍」という。)及び特定電子書籍等の製作を支援するため,製作に係る基準の作成等のこれらの質の向上を図るための取組に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。(第1項関係) A国は,特定書籍及び特定電子書籍等の効率的な製作を促進するため,出版を行う者((4)及び5において「出版者」という。)からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。(第2項関係) (4)視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等(第12条関係) @国は,視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等が促進されるよう,技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進,著作権者と出版者との契約に関する情報提供その他の必要な施策を講ずるものとすること。(第1項関係)  A国は,書籍を購入した視覚障害者等からの求めに応じて出版者が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため,その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。(第2項関係) (5)外国からの視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の入手のための環境の整備(第13条関係) 国は,視覚障害者等が,盲人,視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の枠組みに基づき,視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等であってインターネットにより送信することができるものを外国から十分かつ円滑に入手することができるよう,その入手に関する相談体制の整備その他のその入手のための環境の整備について必要な施策を講ずるものとすること。 (6)端末機器等及びこれに関する情報の入手の支援(第14条関係) 国及び地方公共団体は,視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するための端末機器等及びこれに関する情報を視覚障害者等が入手することを支援するため,必要な施策を講ずるものとすること。 (7)情報通信技術の習得支援(第15条関係) 国及び地方公共団体は,視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するに当たって必要となる情報通信技術を視覚障害者等が習得することを支援するため,講習会及び巡回指導の実施の推進その他の必要な施策を講ずるものとすること。 (8)研究開発の推進等(第16条関係) 国は,視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等及びこれを利用するための端末機器等について,視覚障害者等の利便性の一層の向上を図るため,これらに係る先端的な技術等に関する研究開発の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとすること。 (9)人材の育成等(第17条関係) 国及び地方公共団体は,特定書籍及び特定電子書籍等の製作並びに公立図書館等,国立国会図書館及び点字図書館における視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援に係る人材の育成,資質の向上及び確保を図るため,研修の実施の推進,広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとすること。 5協議の場等(第18条関係) 国は,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の効果的な推進を図るため,文部科学省,厚生労働省,経済産業省,総務省その他の関係行政機関の職員,国立国会図書館,公立図書館等,点字図書館,4の(2)のアのネットワークを運営する者,特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者,出版者,視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとすること。 6施行期日(附則関係) この法律は,公布の日から施行すること。 第2留意事項 1国においては,基本計画を策定し,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を実施していくこととしているが,各地方公共団体においても,当該地域における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ,第1の3の(2)の地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を策定し関連施策を推進するよう努められたいこと。 2視覚障害者等の読書環境の整備を推進する上で,国,地方公共団体,国立国会図書館,公立図書館等,点字図書館,第1の4の(2)のアのネットワークを運営する者,特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者,出版者,視覚障害者等その他の関係者の相互の連携及び協働が重要であり,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に当たっては,関係者相互の連携及び協働により積極的に努められたいこと。 文部科学省総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課 障害者学習支援推進室 電話:03−5253−4111(内線3613) FAX:03−6734−3719 別紙1 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)概要 目的(1条) 視覚障害者等(=視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者)の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進 障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与 基本理念(3条) ・アクセシブルな電子書籍等(デイジー図書・音声読上げ対応の電子書籍・オーディオブック等)が視覚障害者等の利便性の向上に著しく資することに鑑み、その普及が図られるとともに、視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続き、アクセシブルな書籍(点字図書・拡大図書等)が提供されること ・アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上が図られること ・視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮がなされること 国・地方公共団体の責務(4条・5条) ・国は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定・実施 ・地方公共団体は、国との連携を図りつつ、地域の実情を踏まえ、施策を策定・実施 基本的施策(9条〜17条) @視覚障害者等の図書館利用に係る体制整備等(9条) ・アクセシブルな書籍・電子書籍等の充実 ・円滑な利用のための支援の充実 ・点字図書館における取組の促進 など Aインターネットを利用したサービス提供体制の強化(10条) ・アクセシブルな書籍・電子書籍等の利用のための全国的ネットワーク(サピエ図書館を想定)の運営への支援 ・関係者間の連携強化 など B特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(11条) ・製作基準の作成等の質の向上のための取組への支援 ※特定書籍・特定電子書籍等:著作権法37条により製作されるアクセシブルな書籍・電子書籍等 ・出版者から製作者に対するテキストデータ等の提供促進のための環境整備への支援 など アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(12条) ・技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進 ・著作権者と出版者との契約に関する情報提供 ・出版者から書籍購入者に対するテキストデータ等の提供促進のための環境整備に関する検討への支援 など D外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(13条) ・相談体制の整備 など E端末機器等・これに関する情報の入手支援(14条) F情報通信技術の習得支援(15条) ・講習会・巡回指導の実施の推進 など Gアクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(16条) H製作人材・図書館サービス人材の育成等(17条) ※地方公共団体は、Bのテキストデータ等の提供促進部分・C・D・Gを除き、国と同様に施策を講ずる。 文部科学大臣・厚生労働大臣が定める基本計画で具体化(7条)、地方公共団体は計画策定の努力義務(8条)、政府に対し、施策の実施に必要な財政上の措置等を義務付け(6条) 協議の場等(18条) 文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省等の関係行政機関の職員、国会図書館、公立図書館、大学等の図書館、学校図書館、点字図書館、上記Aのネットワークの運営者、特定書籍・特定電子書籍等の製作者、出版者、視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設ける等 別紙2 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第四十九号) 目次 第一章 総則(第一条―第六条) 第二章 基本計画等(第七条・第八条) 第三章 基本的施策(第九条―第十七条) 第四章 協議の場等(第十八条) 附則 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化(文字・活字文化振興法(平成十七年法律第九十一号)第二条に規定する文字・活字文化をいう。)の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「視覚障害者等」とは、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍(雑誌、新聞その他の刊行物を含む。以下同じ。)について、視覚による表現の認識が困難な者をいう。 2 この法律において「視覚障害者等が利用しやすい書籍」とは、点字図書、拡大図書その他の視覚障害者等がその内容を容易に認識することができる書籍をいう。 3 この法律において「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等」とは、電子書籍その他の書籍に相当する文字、音声、点字等の電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第十一条第二項及び第十二条第二項において同じ。)であって、電子計算機等を利用して視覚障害者等がその内容を容易に認識することができるものをいう。 (基本理念) 第三条 視覚障害者等の読書環境の整備の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。 一 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及が図られるとともに、視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続き、視覚障害者等が利用しやすい書籍が提供されること。 二 視覚障害者等が利用しやすい書籍及び視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「視覚障害者等が利用しやすい書籍等」という。)の量的拡充及び質の向上が図られること。 三 視覚障害者等の障害の種類及び程度に応じた配慮がなされること。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (財政上の措置等) 第六条 政府は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。 第二章 基本計画等 (基本計画) 第七条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(以下この章において「基本計画」という。)を定めなければならない。 2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策についての基本的な方針 二 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 三 前二号に掲げるもののほか、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣、総務大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。 4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 5 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 6 前三項の規定は、基本計画の変更について準用する。 (地方公共団体の計画) 第八条 地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の計画を定めようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 3 地方公共団体は、第一項の計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 前二項の規定は、第一項の計画の変更について準用する。 第三章 基本的施策 (視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等) 第九条 国及び地方公共団体は、公立図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館並びに学校図書館(以下「公立図書館等」という。)並びに国立国会図書館について、各々の果たすべき役割に応じ、点字図書館とも連携して、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援の充実その他の視覚障害者等によるこれらの図書館の利用に係る体制の整備が行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、点字図書館について、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の充実、公立図書館等に対する視覚障害者等が利用しやすい書籍等の利用に関する情報提供その他の視覚障害者等が利用しやすい書籍等を視覚障害者が十分かつ円滑に利用することができるようにするための取組の促進に必要な施策を講ずるものとする。 (インターネットを利用したサービスの提供体制の強化) 第十条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。 一 点字図書館等から著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第二項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「特定電子書籍等」という。)であってインターネットにより送信することができるもの及び当該点字図書館等の有する視覚障害者等が利用しやすい書籍等に関する情報の提供を受け、これらをインターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援 二 視覚障害者等が利用しやすい書籍等に係るインターネットを利用したサービスの提供についての国立国会図書館、前号のネットワークを運営する者、公立図書館等、点字図書館及び特定電子書籍等の製作を行う者の間の連携の強化 (特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援) 第十一条 国及び地方公共団体は、著作権法第三十七条第一項又は第三項本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい書籍(以下「特定書籍」という。)及び特定電子書籍等の製作を支援するため、製作に係る基準の作成等のこれらの質の向上を図るための取組に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、特定書籍及び特定電子書籍等の効率的な製作を促進するため、出版を行う者(次条及び第十八条において「出版者」という。)からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等) 第十二条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等が促進されるよう、技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進、著作権者と出版者との契約に関する情報提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、書籍を購入した視覚障害者等からの求めに応じて出版者が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (外国からの視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の入手のための環境の整備) 第十三条 国は、視覚障害者等が、盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の枠組みに基づき、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等であってインターネットにより送信することができるものを外国から十分かつ円滑に入手することができるよう、その入手に関する相談体制の整備その他のその入手のための環境の整備について必要な施策を講ずるものとする。  (端末機器等及びこれに関する情報の入手の支援) 第十四条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するための端末機器等及びこれに関する情報を視覚障害者等が入手することを支援するため、必要な施策を講ずるものとする。  (情報通信技術の習得支援) 第十五条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等を利用するに当たって必要となる情報通信技術を視覚障害者等が習得することを支援するため、講習会及び巡回指導の実施の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。  (研究開発の推進等) 第十六条 国は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等及びこれを利用するための端末機器等について、視覚障害者等の利便性の一層の向上を図るため、これらに係る先端的な技術等に関する研究開発の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。  (人材の育成等) 第十七条 国及び地方公共団体は、特定書籍及び特定電子書籍等の製作並びに公立図書館等、国立国会図書館及び点字図書館における視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援に係る人材の育成、資質の向上及び確保を図るため、研修の実施の推進、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。 第四章 協議の場等 第十八条 国は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の効果的な推進を図るため、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省その他の関係行政機関の職員、国立国会図書館、公立図書館等、点字図書館、第十条第一号のネットワークを運営する者、特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者、出版者、視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。 附則 この法律は、公布の日から施行する。