Ⅱ調査結果の概要

1. 学習費総額
 
(1) 学校種別の学習費総額及び構成比 (表1及び図1参照)
 
 幼稚園は,公立23万8千円(対前回調査伸び率2.2パーセント),私立50万9千円(同マイナス1.9パーセント),小学校は公立のみ調査しており,31万4千円(同7.5パーセント),中学校は公立46万9千円(同7.2パーセント),私立127万5千円(同3.5パーセント),高等学校(全日制,以下同じ。)は公立51万6千円(同マイナス2.2パーセント),私立103万5千円(同0.4パーセント)となっている。
 また,学習費総額について推移をみると,「学校教育費」は私立中学校で増加傾向にある。一方,私立幼稚園及び私立高等学校では増加傾向にあったが,今回減少に転じている。「学校外活動費」は,公私立幼稚園で減少傾向にあるが,公立小学校及び公私立中学校では前回より増加している。
 なお,学習費総額全体としてみるとほぼ横這いである。
 「学習費総額」の「学校教育費」,「学校給食費」及び「学校外活動費」の構成比は,授業料を必要としない公立小学校及び公立中学校においては「学校外活動費」の構成比が高く,それぞれ60パーセントを超えており,私立幼稚園,私立中学校及び公私立高等学校では「学校教育費」が高く,私立幼稚園及び公立高等学校で60パーセントを超え,私立中学校及び私立高等学校で70パーセントを超えている。

(2) 学校種別の公私比較
 
 幼稚園では私立が公立の2.1倍(前回調査2.2倍),中学校では2.7倍(同2.8倍),高等学校では2.0倍(同2.0倍)となっている。

表1 学校種別子どもの学習費総額

図1-1 学校種別学習費総額の推移
図1-1 学校種別学習費総額の推移

図1-2 学校種別にみた学習費総額
図1-3 学校種別にみた学習費総額の構成費
(3) 学年別の状況  (表2及び図2参照)
 
 学年別にみると,公私立を問わず最も高いのは,私立中学校第1学年の158万6千円(対前回調査伸び率1.9パーセント)であり,公立のうち最も高いのは,高等学校第1学年の57万5千円(同マイナス2.7パーセント)となっている。
表2 学年別の学習費総額
図2 学年別にみた学習費総額

(4) 人口規模別の状況(学習費の地域的な特性)  (表3及び図3参照)

1  学校教育費
 私立幼稚園では人口規模が大きくなるほど高くなっており、公立小学校及び公立中学校では人口規模が大きくなるほど低くなっている。

2  学校外活動費
 私立幼稚園及び公立小学校,公立中学校では,いずれも人口規模が大きくなるほど高くなっている。

表3 市町村の人口規模別学習費総額

図3-1 人口規模別にみた学習費総額
図3-2 人口規模別にみた学校教育費
図3-3 人口規模別にみた学校外活動費
2. 学校教育費 (表4及び図4参照)
 
(1) 幼稚園
 
 幼稚園の「学校教育費」は,公立12万9千円(対前回調査伸び率3.7パーセント),私立34万1千円(同マイナス1.4パーセント)となっている。
 この内訳の構成比で最も高いのは,公私立とも「授業料」(公立:59パーセントの7万6千円,私立:68.5パーセントの23万4千円)であり,次いで公立は「通学用品費」の9.4パーセント(1万2千円),私立は入学金等が含まれる「その他の学校納付金」の11.6パーセント(4万円)となっている。
表4-1 幼稚園の学校教育費の支出構成
図4-1 幼稚園の学校教育費の支出構成
(2) 小学校
 
 公立小学校の「学校教育費」は5万5千円(対前回調査伸び率2パーセント)となっている。
 この内訳の構成比で最も高いのは,「学用品・実験実習材料費」の30.5パーセント(1万7千円)であり,次いで「通学用品費」の20.3パーセント(1万1千円)となっている。学年別では,第2学年から第5学年は全学年平均と同様に「学用品・実験実習材料費」が最も高くなっているが,第1学年は「通学用品費」の43.5パーセントが,第6学年は「修学旅行・遠足・見学費」の27.1パーセントがそれぞれ最も高くなっている。
表4-2 公立小学校の学校教育費の支出構成
図4-2 小学校の学校教育費の支出構成
(3) 中学校
 
1  公立中学校の「学校教育費」は13万3千円(対前回調査伸び率2.7パーセント)となっている。
 この内訳の構成比で最も高いのは,「修学旅行・遠足・見学費」の19.5パーセント(2万6千円)であり,次いで「教科外活動費」の19.1パーセント(2万5千円)となっている。
 学年別では,各学年共通して「教科外活動費」及び「学用品・実験実習材料費」が比較的高い比率を示しているが,最も高いのは第1学年が「制服」の23.7パーセント,第2学年が「教科外活動費」の25.5パーセント,第3学年が「修学旅行・遠足・見学費」の33.9パーセントとなっている。

2  私立中学校の「学校教育費」は95万6千円(対前回調査伸び率2.9パーセント)となっている。
この内訳の構成比で最も高いのは,「授業料」の43.6パーセント(41万7千円)であり,次いで「その他の学校納付金」の23.3パーセント(22万3千円)となっている。
表4-3 中学校の学校教育費の支出構成
図4-3 中学校の学校教育費の支出構成

(4) 高等学校
 
1  公立高等学校の「学校教育費」は34万2千円(対前回調査伸び率0.8パーセント)となっている。
 この内訳の構成比で最も高いのは,「授業料」の32.2パーセント(11万円)であり,次いで「通学費」の12.5パーセント(4万3千円)となっている。学年別では,どの学年も「授業料」が最も高くなっているが,次いで第1学年は「制服」の13パーセントが,第2学年は「修学旅行・遠足・見学費」の17.6パーセントが,第3学年は「通学費」の14.7パーセントがそれぞれ高くなっている。

2  私立高等学校の「学校教育費」は76万9千円(対前回調査伸び率マイナス2.1パーセント)となっている。
 この内訳の構成比で最も高いのは,「授業料」の41.8パーセント(32万2千円)であり,次いで「その他の学校納付金」の24.3パーセント(18万7千円)となっている。この傾向は学年別でも同様である。
表4-4 高等学校の学校教育費の支出構成
図4-4 高等学校の学校教育費の支出構成

3. 学校外活動費
 
(1) 「補助学習費」と「その他の学校外活動費」の構成  (表5及び図5参照)
 
 「学校外活動費」は,幼稚園では公立9万3千円(対前回調査伸び率マイナス1.2パーセント),私立14万2千円(同マイナス2.5パーセント),公立小学校は21万9千円(同9.7パーセント),中学校では公立29万9千円(同9.2パーセント),私立31万5千円(同5.5パーセント),高等学校では公立17万4千円(同マイナス7.7パーセント),私立26万5千円(同8.4パーセント)となっている。
 公立学校について学年別にみると,「補助学習費」は,小学校第1学年を除き,幼稚園4歳児から中学校第3学年まで学年とともに高くなっており,「その他の学校外活動費」は,幼稚園4歳児から小学校第4学年までは学年とともに高くなっているが,第5学年以降高等学校第2学年まで学年とともに低くなっている。
 また,「学校外活動費」に占める「補助学習費」と「その他の学校外活動費」の割合についてみると,前回調査と同様,公立は小学校第6学年を境にして「補助学習費」の割合が,「その他の学校外活動費」の割合を上回っている。

表5 学年別学校外活動費の内訳
図5-1 公立学校の補助学習費とその他の学校外活動費の状況

図5-2 私立学校の補助学習費とその他の学校外活動費の状況

(2) 学年別にみた「補助学習費」の状況  (表6及び図6参照)
 
 公立幼稚園の4・5歳及び公立小学校第1学年では「家庭内学習費」が最も高く,公立小学校第2学年以上の学年段階では「学習塾費」が最も高くなっている。

1  「家庭教師費等」(通信教育を含む。)
 「家庭教師費等」を学校種別にみると,幼稚園では公立2千円(対前回調査伸び率4.5パーセント),私立3千円(同マイナス3.8パーセント),公立小学校では1万2千円(同47.9パーセント),中学校では公立3万1千円(同マイナス9.6パーセント),私立4万円(同マイナス12.3パーセント),高等学校では公立1万9千円(同マイナス16.8パーセント),私立3万円(同3.2パーセント)となっている。
 学年別にみると,どの学年も公立より私立の方が高くなっており,公立学校については,幼稚園4歳児から中学校第3学年まで,学年が進むにつれてほぼ高くなっている。なお,公私立を問わず最も高いのは,私立中学校第3学年の4万5千円(同マイナス7.8パーセント)となっている。

2  「学習塾費」
 「学習塾費」を学校種別にみると,幼稚園では公立8千円(同マイナス17.4パーセント),私立1万5千円(同マイナス23.9パーセント),公立小学校では5万8千円(同14.4パーセント),中学校では公立17万5千円(同8.5パーセント),私立12万2千円(同15.6パーセント),高等学校では公立6万8千円(同マイナス7.3パーセント),私立12万3千円(同12.8パーセント)となっている。
 中学校では私立より公立が高く,幼稚園,高等学校では公立より私立が高くなっており,公立学校については,幼稚園4歳児から中学校第3学年まで,学年が進むにつれて高くなっている。なお,公私立を問わず最も高いのは,公立中学校第3学年の25万円(同8.1パーセント)となっている。

表6 学年別補助学習費の状況
図6-1 学年別にみた補助学習費の支出構成(公立)

図6-2 学年別にみた補助学習費の支出構成(私立)
(3) 学年別にみた「その他の学校外活動費」の状況  (表7及び図7参照)
 
 全体として「芸術文化活動費」への活動費が高く,幼稚園では公立2万1千円,私立3万1千円,公立小学校では4万4千円,中学校では公立2万2千円,私立5万1千円,高等学校では公立1万6千円,私立2万7千円となっている。
 この「芸術文化活動費」を学年別にみると,公私立を問わず最も高いのは,私立中学校第2学年の5万6千円(対前回調査伸び率37.2パーセント)となっている。
表7 学年別その他の学校外活動費の状況

図7-1 学年別にみたその他の学校外活動費の支出構成(公立)
図7-2 学年別にみたその他の学校外活動費の支出構成(私立)

(4) 支出した金額の状況(実際に支出した金額の分布)  (表8及び図8参照)
 
1 補助学習費
  <家庭教師費等>(通信教育を含む。)
 どの学校種においても「0円」が最も多く,60パーセント以上を占めている。1円以上支出している場合,すべてにおいて「1万円以上5万円未満」が最も多く,次いで,公私立の幼稚園では「1円以上1万円未満」が,公立小学校,公私立の中学校及び公私立の高等学校では「5万円以上10万円未満」がそれぞれ多くなっている。
 「家庭教師費等」に年間1円以上支出した者の平均額は,幼稚園では公立1万8千円(対前回調査伸び率4.3パーセント),私立2万1千円(同マイナス19.6パーセント),公立小学校では4万1千円(同28.5パーセント),中学校では公立8万4千円(同マイナス15.3パーセント),私立11万8千円(同マイナス9.2パーセント),高等学校では公立9万4千円(同6.4パーセント),私立12万6千円(同9.4パーセント)となっている。

表8-1 家庭教師費等の金額分布の状況

図8-1 家庭教師費等の金額分布の状況
    <学習塾費>
 公私立の中学校を除く学校種においては「0円」が最も多く,50パーセント以上を占めている。
 「0円」の割合は,公私立幼稚園,公立中学校及び公私立高等学校では前回調査より増加しており,公立小学校及び私立中学校では前回調査より減少している。
 1円以上支出している場合,公私立の幼稚園では「1万円以上5万円未満」が最も多くなっている。公立小学校では「1万円以上5万円未満」と「10万円以上20万円未満」が,最も多くなっている。中学校及び高等学校では公私立ともに,教科数や週当たり通塾日数など個々の状況により支出金額が広い区分に分布しているが,公私立の中学校及び公立高等学校では「10万円以上20万円未満」が,私立高等学校では「40万円以上」が最も多くなっている。
 「学習塾費」に年間1円以上支出した者の平均額は,幼稚園では公立5万2千円(対前回調査伸び率マイナス9.2パーセント),私立8万8千円(同マイナス23.1パーセント),公立小学校では14万円(同8.1パーセント),中学校では公立23万5千円(同9.4パーセント),私立22万2千円(同15.1パーセント),高等学校では公立19万4千円(同1.3パーセント),私立28万円(同16パーセント)となっている。

表8-2 学習塾費の金額分布の状況
図8-2 学習塾費の金額分布の状況
2 その他の学校外活動費
    <芸術文化活動>
 どの学校種においても「0円」が最も多くなっている。1円以上支出している場合,すべての学校種において「1円以上1万円未満」が最も多く,次いで公立幼稚園及び公立小学校では「5万円以上10万円未満」が,その他の学校種では「1万円以上5万円未満」がそれぞれ多くなっている。
 「芸術文化活動費」に対して年間1円以上支出した者の平均額は,幼稚園では公立5万円(対前回調査伸び率8パーセント),私立5万5千円(同マイナス16パーセント),公立小学校では7万3千円(同8.9パーセント),中学校では公立4万8千円(同マイナス2.7パーセント),私立8万1千円(同9.5パーセント),高等学校では公立4万6千円(同マイナス13.6パーセント),私立6万3千円(同44.7パーセント)となっている。

表8-3 芸術文化活動の金額分布の状況
図8-3 芸術文化活動の金額分布の状況

    <教養・その他>
 公私立の幼稚園,公立小学校,公立中学校及び私立高等学校では「1円以上1万円未満」が,私立中学校では「1万円以上5万円未満」が,公立高等学校では「0円」がそれぞれ最も多くなっている。
 「教養・その他」に対して年間1円以上支出した者の平均額は,幼稚園では公立2万3千円(対前回調査伸び率マイナス7.3パーセント),私立3万4千円(同マイナス1.3パーセント),公立小学校では,3万7千円(同6.2パーセント),中学校では公立2万4千円(同2.8パーセント),私立3万5千円(同19.6パーセント),高等学校では公立3万円(同マイナス20.6パーセント),私立3万円(同マイナス11.5パーセント)となっている。

表8-4 教養・その他の金額分布の状況
図8-4 教養・その他の金額分布の状況

4. 幼稚園から高等学校卒業までの14年間の学習費総額 (表9参照)
   幼稚園4歳から高等学校第3学年までの14年間について,各学年ごとの「学習費総額」をケース別に単純合計すると,ケース1のすべて公立の場合は531万3千円(対前回調査伸び率4パーセント)となっている。また,ケース2の幼稚園だけ私立の場合は586万2千円(同2.8パーセント),ケース3の高等学校だけ私立の場合は685万7千円(同3.7パーセント),ケース4の幼稚園及び高等学校が私立の場合は740万7千円(同2.9パーセント)、ケース5の小学校だけ公立の場合は982万円(同2.4パーセント)となっている。
表9 幼稚園4歳から高等学校第3学年までの14年間の学習費総額

-- 登録:平成21年以前 --