前章では,地方教育費調査の結果について解説したが,本章では,平成15会計年度の文教費全体を取り上げ,これが国内総支出・国民所得や行政費とどのような関係にあるかなどについて概観する。
ここでいう文教費とは,国,都道府県及び市町村の公財政から支出された教育費(文部科学省(平成11年度以前は文部省)所管の一般会計歳出決算額を含む。)の総額であり,財源には,授業料,入学金等及び公費に組み入れられた寄付金を含めている。また,国立及び公立の大学・短大等の経費には,附属病院経費及び研究費を含めている。
なお,前章で取り扱った地方教育費の範囲とは次の点で異なっている。
(1) | 本章の地方教育費は,都道府県及び市町村の歳出決算額として計上された経費(公費)であり,前章で含めていたPTA・その他の団体等からの寄付金を財源として支出された教育費は含まない。 |
(2) | 前章の地方教育費では除かれていた公立の大学・短期大学等の経費及び都道府県・市町村が支出した私立学校補助にかかる経費を本章では含んでいる。 |
(3) | 本章では,国と地方の負担関係をみる場合,国が地方財政の均衡化を図る目的等により交付する地方交付税のうちの教育費充当額(推計)を,「国が負担した教育費」として考察する場合がある(第16表(Excel:56KB),付・第2表(Excel:35KB),付・第4表(Excel:38KB)等)。 また,昭和46会計年度以前の全国数値には,沖縄県分が含まれていない。 |
1 | 文教費の推移と国内総支出・国民所得に対する比率の状況 昭和24年度以降の文教費と国内総支出・国民所得,それらの対前年度伸び率並びに国内総支出・国民所得に対する文教費の比率をみると,第15表(Excel:46KB)のとおりである。 これによると,平成15年度の国及び地方の文教費の純計は23兆6,358億円であり,対前年度伸び率は ![]() 一方,国内総支出及び国民所得はそれぞれ501兆2,535億円,368兆6,591億円であり,対前年度伸び率はそれぞれ0.8パーセント,1.8パーセントとなっている。 なお,国内総支出・国民所得に対する文教費総額の比率の推移は,第10図のとおりである。 |
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第10図 国内総支出及び国民所得に対する文教費総額の比率
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2 | 総行政費に占める文教費の割合の状況 文教費と総行政費との関係をみると,それぞれの実額,対前年度伸び率及び総行政費に占める文教費の割合は第15表(Excel:46KB)のとおりである。 なお,ここでいう総行政費とは,国と地方の歳出決算額の純計である(ただし,国の行政費は,一般会計と国立学校特別会計の歳出決算額の純計であり,地方の行政費は,都道府県及び市町村の公営事業会計を除いた普通会計歳出決算額の純計である。以下,本項でとりあげる行政費についても同じ。)。 平成15年度の総行政費は145兆6,631億円であり,対前年度伸び率は ![]() 一方,総行政費に占める文教費総額の割合は16.2パーセントとなっている。 |
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3 | 文教費にみる国・地方の負担関係の推移 文教費は「国が負担した教育費」と「地方が負担した教育費」に大別されるが,両者の実額とその負担割合をみると,第16表(1),(2)(Excel:56KB)のとおりである。 なお,ここでは,国が地方に交付した地方交付税のうち,教育費に充当した部分(推計)を「国が負担した教育費」とみなしているので,他の項における国又は地方の教育費とは一致しない。 平成15年度において,国が負担した教育費は10兆8,253億円(文教費総額に占める割合45.8パーセント),地方が負担した教育費は12兆8,105億円(同54.2パーセント)となっている。 |
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4 | 国と地方別にみた教育費のそれぞれの行政費に占める割合の状況 ここでは,文教費総額と総行政費の関係を,国と地方の各財政主体別に解説することとする。
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5 | 教育分野別にみた文教費総額の推移 文教費が学校教育,社会教育及び教育行政の各教育分野別にどれだけ支出されているかを年次別にみると,第19表(1),(2)(Excel:73KB)のとおりである。 これによると,文教費総額の75.3パーセントを学校教育費が占めており,その中でも,義務教育諸学校(小学校,中学校,盲・聾・養護学校及び中等教育学校)の経費が文教費総額の46.1パーセントを占めている。 また,教育分野別に在学者・国民一人当たり文教費をみると,第19表(3)(Excel:73KB)のとおりである。 このうち,学校教育費についてみると,幼稚園が70万3千円(対前年度伸び率 ![]() ![]() ![]() |
-- 登録:平成21年以前 --