評価結果
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妥当 |
概ね妥当 |
疑問がある |
1.プロジェクトの目的(プロジェクトの意義確認) |
11 |
1 |
0 |
2.プロジェクトの目標 |
8 |
4 |
0 |
3.開発方針 |
8 |
4 |
0 |
4.システム選定及び設計要求 |
7 |
5 |
0 |
5.開発計画 |
5 |
7 |
0 |
6.リスク管理 |
5 |
7 |
0 |
1.プロジェクトの目的(プロジェクトの意義の確認)
BepiColombo(ベッピコロンボ)プロジェクトについては、平成15年の宇宙開発委員会 計画・評価部会において、太陽系探査科学において重要な科学的意義を有していると評価されました。また、平成16年の宇宙開発委員会 推進部会における進捗状況確認においても、プロジェクトの一部変更があるものの依然重要な科学的意義を有していると評価されています。
これら開発研究移行時の事前評価結果を踏まえた上で、JAXA(ジャクサ)担当分のプロジェクトの目的が、「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」(総合科学技術会議)及び「宇宙開発に関する長期的な計画」(以下、「長期計画」という。)において規定されている我が国における宇宙開発利用全体の意義、目標及び方針等に照らし、的確に詳細化、具体化されているかについて、これまでの経緯を考慮した評価をして下さい。
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妥当 |
概ね妥当 |
疑問がある |
プロジェクトの目的(プロジェクトの意義の確認) |
11 |
1 |
0 |
評価根拠のコメント
【妥当】
- 1 水星の周回軌道による探査は太陽に近いため困難であったが、本プロジェクトはESA(イサ)との共同プロジェクトとしてチャレンジするものである。日本担当探査機、MMOは日本の得意とする磁気圏探査であり大きな成果が期待できる。「基本戦略」「長期計画」に基づいたものである。
- 2 本プロジェクトは地球型惑星の環境を探り、その起源と進化を解明する科学的意義、太陽に近い水星周回軌道環境での高性能観測を実現する技術的意義、日欧共同作業推進による国際社会への貢献と社会が関心を持つ未知のフロンテイアを開く科学の営みとしての社会的意義を持っており、我が国における宇宙開発利用全体の意義に照らしても、的確に詳細化、具体化されたものに該当していると見なすことが出来る。
- 3 米国Messengerによる観測に加え、日欧が協力してさらに観測データを補足・補強するという国際的な枠組み構築は国際貢献の面からもとても好ましいものであり、本プロジェクトは科学的な有意義さだけでなく、時期的にも意味あるものと評価できる。
- 4 欧州宇宙機関(ESA(イサ))との国際協力のもとに、水星の磁場・磁気圏・内部・表層を総合的に観測することによって、惑星の磁場・磁気圏の研究を飛躍的に発展させ、かつ太陽に最も近い領域で形成された惑星である水星の起源と進化(過去)の解明を目指す本プロジェクトは、高い科学的意義を持つものであり、その目的とするところは、「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」、「宇宙開発に関する長期的な計画」等に照らして、極めて妥当である。最近の米国NASA(ナサ)のメッセンジャー水星到達という背景変化はあるが、メッセンジャーにおいて予想される科学成果はBepiColombo(ベッピコロンボ)が目指す総合的観測の可能性をより拡大するものと期待され、メッセンジャーの水星到達は、BepiColombo(ベッピコロンボ)に対する従来からの評価(平成15年の宇宙開発委員会計画・評価部会における評価、および平成16年の宇宙開発委員会推進部会における進捗状況確認など)の結果を特段に変えるものではないと認められる。
- 5 水星の大気や宇宙空間の観測理論的研究を行うのは意義がある。
- 6 これまで水星に接近した衛星はMercuryとMessengerのみであり、BepiColombo(ベッピコロンボ)が3つ目のミッションとなることが期待されている。一方、BepiColombo(ベッピコロンボ)MMOの観測ミッションは、最近初めて水星に接近したMessengerが搭載しているミッションとは大きく異っている。更にMessengerの初期観測データを見た科学者の印象は,水星に関する謎は益々深まったと言うもののようであり、BepiColombo(ベッピコロンボ)の研究開発を開始した時点および中間評価の時点から、ミッションの意義は聊かも減じていない。従って、当初計画どおりに開発を進めることは妥当であると考える。
- 7 プロジェクトの意義は十分あると思うが、計画が日を追って遅れる傾向にあるのが心配です。これ以上遅れることのないよう努力をして頂きたい。
- 8 本プロジェクトの科学的意義、技術的意義、および社会的意義は、共にあるものと認める。日欧の役割分担も妥当なものである。但し、本計画を進めるに当たっては、本プロジェクトが、我が国の厳しい財政状況の中での大型事業であるという点を、実行に関わるすべての関係者が意識の根幹に据え、常に緊張感を持って進めていただきたい。
- 9 プロジェクトの目的が、「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」及び「宇宙開発に関する長期的な計画」において規定されている我が国における宇宙開発利用全体の意義、目標及び方針等に照らし、的確に詳細化、具体化されている。
- 10 ESA(イサ)との国際協力の枠組みの下、水星の構造を知るための方法としてMMOを打ち上げることは惑星形成の起源と変化の過程を知る上で極めて有意義であると思われる。
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【概ね妥当】
- 11 欧州と共同の大型ミッションとなり、人類の新たなチャレンジとなる水星のさらなる解明に日本の技術で研究者が取り組めることは国際貢献にもなり、大いに期待したいところである。
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2.プロジェクトの目標
平成15年の宇宙開発委員会 計画・評価部会において、BepiColombo(ベッピコロンボ)プロジェクトにおける目標として水星磁場の成因の解明や水星磁気圏の解明等が挙げられていますが、これらは、日本の得意とする分野であり適切であると評価されました。
今回、開発移行にあたり、より具体的に目標を見直しています。
上記を踏まえ、
)設定された目標が具体的に(何を、何時までに、可能な限り数値目標を付してどの程度まで)明確となっているか、
)設定された目標が設定された目的に照らし、要求条件を満たしているかを含め的確であるか、
)その目標に対する成功基準が的確であるか、
について評価して下さい。
目標が複数設定される場合にはそれらの優先順位及びウェイトの配分が的確であるかを評価して下さい。
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妥当 |
概ね妥当 |
疑問がある |
プロジェクトの目標 |
8 |
4 |
0 |
評価根拠のコメント
【妥当】
- 1 科学目標としてMMOが解明を目指す水星環境として、水星磁場の成因を探る磁場計測の高い精度、水星磁気圏の構造・運動・高エネルギー現象の観測時間分解能、激変する希薄な大気を探る水星全球の大気分布・時間変動観測が上げられているが、いずれも明確に数値目標が定められており、本プロジェクトの目的に照らして要求条件を満たす成功基準となっている。また、太陽近傍惑星間環境の観測に関しては、高マッハ数衝撃波の観測をエクストラサクセスとし、MMOが果たす水星環境解明にさらなる期待を持たせており、目標の優先順位及びウエイト配分の点でも的確だと判断できる。
- 2 プロジェクトの科学目標は、水星磁場の成因の解明、水星磁気圏の解明、水星希薄大気の解明、太陽近傍の惑星間空間の観測等で構成され、それらのための観測に関して、目標は具体的、かつ明確に設定されていると認められる。特に水星磁場に関しては、MMOとMPOの同時観測が極めて重要であることが明瞭に提示、説明されている。
成功基準はMMOが単独で実現できること、という観点から設定されており、その意味では的確である。なお、メッセンジャーの観測はこの成功基準に基本的には影響しないとのことであるが、今後、この成功基準の扱いに関しては、多少の柔軟さを残しておいてもよいのではないかと考える。
また、磁場に関する内部起源・外部起源の分離と内部構造の推定は、MPOとの共同観測によって達成しうるものである(MMOが単独で実現できるものではない)ところから、エクストラサクセスとされているが、これは、国際協力ミッションであるBepiColombo(ベッピコロンボ)の最重点テーマの一つと見なされ、BepiColombo(ベッピコロンボ)国際協力ミッション達成の意義を大きく高めるものとして、その共同観測の確実な成功(エクストラでないサクセス)を期待したい。
- 3 ミニマムサクセスとしての磁場観測、磁気圏観測に関しては、観測すべきパラメータの変動範囲に基づいた観測計画が立てられている。またフルサクセス、エキストラサクセスミッションである希薄大気観測、衝撃波観測に関しては、アンノウンファクタが大きいが、一応可能な範囲での定量的検討に基づいてミッション機器の計画が行われている。以上のように目標および成功基準は明確である。
- 4 磁場惑星の水星本体と取り巻く環境を磁場の成因の解明と大気及び衝撃波等の観測により何を解明するのかが明確になっている。これまで水星に対する研究の取り組みが少ないため実際打ち上げてみてからの変更等がおこる可能性もあるだろうが、あえて日本の得意とする技術力を持ってチャレンジするのだろうから、現段階では目標設定は具体的といえる。
- 5 掲られてる目標は妥当なものだと思うが、成功基準が的確か否かはわからない。
但し「MESSENGER」が平成23年に送ってくるデータによっては目標の
優先順位及びサクセスクライテリアは柔軟に考えたら良いと思う。
- 6 本プロジェクトの目的に対して設定された目標は明確であり、その目標に対する成功基準も的確である。欧州との共同プロジェクトであり、計画等に不確定な要素を含むことは認めるが、是非ともエクストラサクセス目標の達成へ向けた最大限の努力をお願いしたい。
- 7 プロジェクトにおいて設定された目標が具体的に明確となっており、設定された目標が設定された目的に照らし、要求条件を満たし的確であり、その目標に対する成功基準が的確である。
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【概ね妥当】
- 8 水星磁場の成因、磁気圏の解明などが科学的目標としてかかげられ、大きな成果が期待される。観測精度、観測領域、観測時間などを定めた成功基準はおおむね妥当であるが科学ミッションは、科学的成果において評価されるものであり、従来の成功基準では表現しがたいと言う問題がある。先行するNASA(ナサ)の「MESSENGER」の結果をふまえて成功基準の弾力的変更も考えるべきであろう。
- 9 サクセスクライテリアにおけるエクストラサクセスの記載内容を見る限り、本開発プロジェクトの目標である観測データ取得ミッションと、そのデータを用いて水星を理解する科学研究ミッションとが混在しているように感じる。観測ミッション目標とサイエンティストの研究ミッション目標の区別を明確にすることが望まれる。
また、両者は表裏一体のものであり、サイエンティストが行う研究ミッションについても達成目標をより具体的に示すべきという意見に賛同する。
- 10 全球磁場マッピングを行うのは科学的意義がある。
- 11 目標設定の具体性、要求条件は明確である。また成功基準については、磁場計測器による88日間以上の観測など具体的に述べられており明確であるが、エクストラサクセスについては抽象的な表現になっており、より具体的な表現が好ましい。
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3.開発方針
BepiColombo(ベッピコロンボ)プロジェクトの開発活動全体を律する基本的な考え方ないし方針が設定された目標の達成に対し的確であるかを評価して下さい。
評価に当たっては、「衛星の信頼性を向上するための今後の対策について」で示された考え方を考慮して下さい。
評価根拠のコメント
【妥当】
- 1 GEOTAILなどこれまでの地球電磁気学衛星の経験を継承し進められ、全体として妥当であるが、本プロジェクトの正否はESA(イサ)との十分な連携に大きくよるものである。情報の共有の努力は行われているが、さらにいっそうの緊密な連携を期待する。
- 2 日本の科学衛星開発で得られた資産・運用経験を継承し、必要な改善を加え、開発リスク・コストの低減を図り、信頼度を高めつつ軽量化を目指す、研究・設計検討及び試験を十分行なう方針を基に、観測装置の世界最高レベルの維持、確実な開発を行なう体制と責任分担、国際共同ミッションの開発実施に不可欠な日欧の情報共有が考慮されており、開発方針は妥当だと思われる。
- 3 提示された、4項目からなるMMOの開発方針は、設定された目標の達成に対し的確とみなされる。水星近傍での環境条件が過酷であること、および水星到達まで長期間を要すること、などを踏まえての探査機の信頼性確保は、プロジェクトとして、開発に当たって、最重点課題と認識されていることと思う。また国際共同計画であるところから、ESA(イサ)側のプロジェクトとの深い連携が、開発過程において相互に大きなメリットを生じていくこととなることを期待したい。
- 4 未知の要素の大きなミッションをヨーロッパとの共同でお互いの得意分野を生かす計画となっている。またESA(イサ)担当の分野の審査会にわが国のメンバーも参加、わが国の担当分野の審査会にESA(イサ)側のメンバーも参加すると言った協力体制で開発を進める計画となっている。またミッション機器はこれまでの実績の延長線上で、国内の研究機関でそれぞれ得意な機器を分担開発する体制となっており、ミッションの目的達成および信頼性向上の上で有効である。以上のように開発方針は妥当である。
- 5 これまでの経験を継承し開発リスクを低減しながら方針を立ている。
- 6 プロジェクトの開発活動全体を律する基本的な考え方ないし方針が、設定された目標の達成に対し的確である。
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【概ね妥当】
- 6 「のぞみ」等の開発資産、運用、経験を継承するのは重要な点である。
- 7 本計画のようなプロジェクトにおいては、その観測性能は、世界最高レベルでなくては意味がない。開発に当たっては必要に応じて世界の知も積極的に導入し、常に世界の最先端のポテンシャルを持って進めていただきたい。そのためには、ESA(イサ)側との定期的な会合による情報交換はもちろんだが、個々の研究者間の日常的な連絡・討論の仕組みもしっかりと整備していく必要があると思われる。
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5.開発計画
スケジュール、資金計画、実施体制及び設備の整備計画等の開発計画が、設定された目標の達成に対し的確であるかを評価して下さい。
特に、共同開発機関や関係企業との責任分担関係及びJAXA(ジャクサ)のプロジェクトチームに付与される権限と責任の範囲が明確になっているかについて評価して下さい。
評価根拠のコメント
【妥当】
- 1 ESA(イサ)側の進行に対応したスケジュールの設定、特にレビューの時期、各種モデルのESA(イサ)への搬入時期等は、適切と見なされる。
熱環境に関わるMMOシステムの試験については、国内施設とESA(イサ)の施設の両者を適宜使い分けて行うことによって完結したものとする、との個別質問に対する回答を得ている。
開発体制に関しては、従来からのわが国の科学衛星と同じく、国内の多数の大学・研究機関の研究者がプロジェクトに深く関わっていくものと認められる。平成9年の水星探査ワーキンググループの形成から現段階までにおよそ10年を経過していることに加えて、今後、水星に到達し観測がなされるまでに10年強を要することから、サイエンスチームの、メンバーの世代交代を含めた維持・充実には、プロジェクトとして、また宇宙科学研究本部においても、十分留意されていることと思う。
- 2 従来からの実績に基づいて、JAXA(ジャクサ)宇宙科学研究本部が中心となって国内の宇宙科学研究コミュニュティと連携し、更に衛星開発に関してはJAXA(ジャクサ)の専門分野の能力を統合して開発を進める体制となっている。また適正なフロントローディング作業を実施することによって、開発期間は比較的短期間である4年程度となっており、従来実績を生かし、更に開発リスクをミニマムにする計画となっており、開発計画は妥当である。
- 3 スケジュール、資金計画、実施体制及び設備の整備計画等について、設定された目標に照らし的確である。
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【概ね妥当】
- 4 スケジュールに関しては留意点で上げられた課題はあるが、現時点では目標達成に対して的確である。資金計画・実施に伴う開発体制に関しても概ね妥当であると思われる。
- 5 搭載機器開発に多くの大学などの研究者が参画していることは、広くアイデアを得ることができるなど、科学衛星開発としてとても好ましいものである。ただ、開発に不慣れな研究者や職務位置づけが明確でない大学院生などが実務を行う場合でも問題が発生しないように開発設計チェック体制もしっかりしたものにしておいて頂きたい。
- 6 ESA(イサ)側のプロジェクトとお互いの進捗状況、問題点について情報を共有し、確実な開発を行える体制を当初の段階で構築していただきたい。
- 7 他ミッションとのコスト比較を提示されると一見分かりやすそうなのだが、ESA(イサ)が約800億円、JAXA(ジャクサ)が約150億円という数字はコスト削減の上、技術力が充分にあるという努力はわかるのだが、果たして適切な数字なのかがよくつかめない。
- 8 開発スケジュール、資金計画等は概ね妥当であると判断する。但し、開発計画の推進はESA(イサ)との共同推進体制の円滑化が一つの大きなポイントであり、協力体制のしっかりした構築と運用を行っていただきたい。
- 9 ESA(イサ)との共同開発であること、また、多種の観測機器を搭載すること、など調整箇所の多い観測衛星であるが、それぞれ中間段階に責任者(主任研究者)を置くなど、開発が円滑に実施されることに注意を払った計画であると思われる。
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6.リスク管理
プロジェクトの可能な限り定量的なリスク評価(リスクの摘出・同定とそれがどの程度のものかの評価、リスク低減のためのコストと成功基準との相対関係に基づく許容するリスクの範囲の評価)とその結果に基づくリスク管理について、採られた評価の手法及び評価の過程で抽出された課題への対処の方向性が明確であるかを評価して下さい。
なお、リスクを低減するための方法として、全てのリスクをそのプロジェクトで負うのではなく、プログラムレベルで、他のプロジェクトに分散し、吸収することも考慮して評価して下さい。
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妥当 |
概ね妥当 |
疑問がある |
リスク管理 |
5 |
7 |
0 |
評価根拠のコメント
【妥当】
- 1 リスク管理状況を示す一覧表に関して、探査機システムに関わる事項が多数取り上げられているが、それらは適切に処置ないし計画されていると認められる。
- 2 プロジェクトの定量的なリスク評価とその結果に基づくリスク管理について、評価の手法、プロジェクトの初期段階で抽出された開発移行前に処置するべきリスクへの対処の状況、実施フェーズ移行後に処置するリスクに対する対処の方向性が明確である。
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【概ね妥当】
- 3 リスク管理の方針、実施計画は妥当なものであるが、リスク管理状況のリスク項目に関しては、国際共同ミッションという中で生ずるESA(イサ)側の設計・計画変更による影響など多岐にわたっており、現時点では概ね妥当だとみたい。
- 4 技術面、スケジュールの面のリスクに加え、政治的なリスクや技術流出のリスク等、多面的なリスク評価を行うことを望む。
- 5 重要リスクは一応全てリストアップされているようであるが、熱設計と耐放射線対策に関しては一段の注意が必要と思われる。太陽電池がある程度高温化されることは避けられないと思われ、それに対して地上で実証試験を行う計画となっているが、地上試験では宇宙環境は必ずしも100パーセントはシミュレート出来ない。例えば地上試験では、試験設備の影響でVolatile物質の挙動は宇宙環境と必ずしも同じではない等が考えられる。衛星で最も多い問題は電源系であり、特にBepiColombo(ベッピコロンボ)衛星のように実績の無い環境下で作動する衛星に関しては、設計マージンを大きくとることが重要である。また耐放射線対策に関しては、既に実施されているかも知れないが、宇宙放射線による機器の故障確率の定量評価に基づいた放射線防護対策と冗長系設計が重要である。
- 6 主となるESA(イサ)の設計変更等でJAXA(ジャクサ)が影響を受けるのがリスクになるが、密にコミュニケーションを取る体制づくりもできている。地上局でのバックアップ体制の強化も重要となるだろうが、他の衛星の打ち上げが遅れることに連動し、MMO自体の打ち上げが遅れることもリスクとなるのではないか。
- 7 現段階で予想されるリスク要因の評価とその対処の方向性は概ね妥当であると考えられる。リスク管理体制として、プロジェクト内外の役割と責任を決定しリスク管理を実行する体制を構築することは重要であり、プログラムレベルでリスクを分散・吸収することも有効である。ただリスクを分散対処する場合でも、その内容に関しては、プロジェクト全体に情報開示し、意識の共有化を合わせて行うことが大切である。
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