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5.成果の社会還元と社会とのチャンネル構築
   宇宙開発の成果が社会や国民の利益となるためには、宇宙開発活動が社会や国民のニーズに的確に応えるものでなければならない。そのためには、変化する時代の要請に的確に対応して、先導的な研究開発の成果を、産業の国際競争力の強化や国民生活の豊かさと質の向上に効率的かつ効果的につなげていかなければならず、利用ニーズの積極的な発掘が不可欠である。

   産学官連携に当たっては、それぞれがイコール・パートナーとしての関係を構築し、研究開発の成果が宇宙利用の促進や新産業の創出に結びつく活動に重点化する。このため、これまでの研究開発中心の活動から、研究開発成果を用いた新産業や雇用の創出による我が国経済の活性化を目指した活動に移行し、宇宙産業が将来の我が国の基幹産業に発展するよう、適切な官民の役割分担の下で、産学官の連携・協働体制を強化し、円滑な技術移転を行う。
   特に、我が国が得意としている分野や、将来有望であるが実利用に関する実証不足等による国際競争力が劣っている分野を中心として、継続的かつ迅速に宇宙実証が可能となる機会を提供する。さらに、宇宙への「しきい」を下げ、新たな参加者を増やし、宇宙活動を活発化し、新産業の創出を促進するため、中小型衛星や小型副衛星(ピギーバック衛星)を活用した宇宙実証や新興企業(ベンチャー)制度等の方策を積極的に推進する。

   また、地球観測データをはじめとする各種観測データは、学術的、政策的に有用な情報が含まれており、環境分野や災害分野等の種々の分野での活用が期待されており、必要とされる情報を適時的確に発信できるシステムの構築が不可欠である。このため、国際的な動向も踏まえ、利用者が容易にかつ効率的にデータを利用できるデータアーカイブシステムを、関係機関・利用者との適切な役割分担の下で構築し、衛星観測データの利用・流通の促進を図る。

   さらに、宇宙開発の推進に当たっては大きな資金を要するため、国民の理解と協力を得ることが不可欠である。また、宇宙開発の広報や啓蒙活動に当たっては、より分かりやすく具体的な内容となるように努め、幅広い層への浸透を図ることも必要である。このため、インターネットやマスメディア等の多様な手段を通じ、機構の活動内容や世界の宇宙開発活動の紹介を積極的に行うなど広報活動の充実を図る。

(重点的に取り組むプログラム)
   ニーズ先導型事業を創出するため、広く内外の優れた発想を活用し、宇宙への参加を容易にする仕組みである「オープンラボ」を構築するなど、利用ニーズと技術シーズを橋渡しする機能を強化する。また、産業競争力を強化するため、研究成果等の研究情報の発信機能を強化するとともに、産業界等と積極的に人材交流を行うなど、経済社会におけるニーズを的確に反映されるよう人的交流等を通じた連携を促進する。

   機構が保有する知的財産の利用を促進するため、休眠特許等を発掘し、シンポジウム等を通じて、利用者の発掘や技術の民間移転をさらに積極的に推進する。大型試験施設等については、産業界を含めた利用者の意向を十分に踏まえ、施設・設備の供用促進を図る。

   また、関係機関・利用者との適切な役割分担の下で、地球観測データを中心としたデータアーカイブシステムを開発・構築する。

   さらに、インターネットやマスメディア等を通じ、機構が行う事業の状況や成果を正確にかつ分かりやすい形で、積極的に広報活動を行い、国民の宇宙開発に対する理解を増進する。特に、宇宙開発を通じた人類の未知への挑戦と知的資産の拡大への取組みについて正しい認識を育むため、次世代を担う青少年に対する広報・教育支援活動などを充実する。


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