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宇宙開発委員会

2001/08/22 議事録
宇宙開発委員会 計画・評価部会(第8回)議事録


宇宙開発委員会 計画・評価部会(第8回)議事録

1.日時 平成13年8月22日(水)
  10:00〜12:30

2.場所 経済産業省別館10階T28会議室

3.議題 (1) 宇宙開発事業団が実施する計画の見直しに関する要望事項について
  (2) 審議結果のとりまとめについて
  (3) その他

4.資料 計画8−0−1 宇宙開発委員会計画・評価部会(第6回)議事録
  計画8−0−2 宇宙開発委員会計画・利用部会(第7回)議事録(案)
  計画8−1 宇宙開発事業団が実施する計画の見直しに関する要望事項について
  計画8−2 計画・評価部会審議結果(案)
 

5. 出席者
     部会長長 長柄喜一郎
     宇宙開発委員 井口雅一(委員長)、栗木恭一、五代富文
     特別委員 池上徹彦、上杉邦憲、黒川清、佐藤勝彦、澤岡昭、鈴木敏夫、高柳雄一、松野太郎、宮崎久美子、森谷正規

6.議事内容

 長柄部会長 

   おはようございます。それでは、定刻になりましたので、第8回の計画・評価部会を開催したいと思います。
   この悪天候の中を、宇宙開発委員、特別委員の先生方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は八坂先生なども参加される予定でございましたけれども、飛行機が飛ばないということで、先ほど欠席の連絡がありました。あと3人の先生がおいでの予定でございますけれども、こういう天候でございますので、遅れてお見えになるんじゃないかと思います。
   本日の議題に入ります前に、お手元の資料をご確認願いたいと思います。何か不足のものがございましたら、事務局まで申し出ていただきたいと思います。
   本日の資料のうち8−0−1という資料は第6回会合の議事録でございます。これは確定版でございます。それから8−0−2という資料は前回、第7回の議事録(案)でございます。これを御覧いただきまして、不都合な点がございましたら、事務局の方に連絡をお願いしたいと思います。次回のこの部会に確定版を配りたいと思います。
   それでは議題に入りたいと思いますが、最初の議題は宇宙開発事業団の計画変更についてという議題になっておりますが、ちょっと私の方から事前に説明申し上げておく方がいいかと思います。
   詳しくは、斎藤理事の方からお話があろうかと思いますが、8月10日ごろに予算の概算要求基準、いわゆるシーリングというのが閣議で決定されております。これについては新聞等でいろいろ出ておりますので、皆様も御存じかと思いますが、約48兆円の一般歳出、政策的な予算でございますけれども、これを約10%予算要求段階からカットするということで、約5兆円減ということをいっております。この5兆円減ということで、文部科学省に幾らの減がくるのか私も詳しく存じませんが、NASDA予算につきましては、文部科学省の中でいろいろ調整されて、120億円減、8%ぐらいの減ということに、これは8月12、3日ごろに決まったようでございます。特に、特殊法人の場合は、出資金、補助金は非常に厳しくやるというようなこともございまして、こういうことになったわけです。
   そういうことで、NASDAとしては、従来ならば、仮に新規がなかったとしても、既存の計画を継続的にやるだけで、約二百数十億円の増額が必要だといって説明を受けたわけですが、逆に約100億円の減になるということで、差し引き300億円分を何とかしなければいかん、こういう事態になりました。NASDAの方では、きょうこれから説明を伺います計画の変更といいますか、延期とか、一部は凍結するとか、一部は中止するとか、こういうふうな措置をとりたいということで、本件につきましては、本来ならばこの部会に事前にお諮りして、こういう案でいかがでしょうかというべきでございますが、前の部会でもお断りしましたように、ちょうどお盆の時期2日とか3日の間に、これを事実上決めなければいかんという事態でございまして、宇宙開発委員会の方では、井口委員長ほか委員が集まりまして、NASDAの方から計画変更の概要等について伺いまして、予定よりも300億円減ということで、この原案でやむを得ないだろう、こういう判断をしております。そういうことで、本日、各委員の先生方にもその点を御理解賜りたいと思います。
   それでは、私の言い足りなかった点も含めて、斎藤理事の方から説明願います。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   今、部会長からお話がございましたことの繰り返しになる部分もございますが、以前この場で、事業団の資金の確保と見通しにつきまして御説明してございますが、これまでに設定しております計画を予定どおりそのままやりますと、先ほど部会長からありましたように、14年度は13年度より約200億円ぐらい増える必要があるということでございますが、国の予算の考え方に基づきまして、現在、14年度の予算の最終段階ですが、かなり下がって、この辺に近い数字になるということを踏まえまして、どういうふうに計画を見直したらいいかにつきまして、いろいろと検討してきた結果を要望としてまとめましたので、御説明させていただきたいと思います。
   まず一番最初に考えなければいけないことは、当然のことながら、国が定められました基本的な方針がございます。このほかに考慮しなければいけないこととして、国の特殊法人改革の状況がございます。昨日も統合の問題についての発表がされておりますけれども、そうした状況、それからもう一つ、この後ろの方に出てまいりますけれども、宇宙開発委員会が定められました基本計画、及び総合科学技術会議の方で14年度の予算要求に当たりましてどういう分野を重点化するかという考え方が示されておりますので、そうした考え方を全体として認識した上で、宇宙開発事業団の考え方をまとめたものでございます。
   基本的な考え方といたしまして、今申し上げましたように、NASDAの事業というのはこの基本計画に基本的にのっとります。総合科学技術会議の重点4分野、重点4分野というのは環境の分野、情報通信の分野、ライフサイエンスの分野、ナノ・材料の分野でございますけれども、宇宙に関しましてはフロンティアの分野に分類されておりますが、この中では、大きく言いますと、国民の安全の確保と世界市場の開拓、国際的地位の確保・国際貢献等に分類されております。そこの考え方に従いまして優先度を置きまして、確実に実施するということが基本的な考え方のまず1番目でございます。
   こういう考え方に基づきまして、事業を重点化するに当たりましては、効果的で効率的な事業の実施のために、資源を重点的に配分するように、非常に厳しい状況の中で考えまして、関係機関、民間との連携・協力の強化を図るべく、私どものやれる範囲の中では最大限努力してまいりました。
   もう少しブレークダウンした形で重点の考え方を御説明いたしますと、H−2Aロケットの信頼性確保とともに、衛星の打上げを確実にするということが活動の基盤になりますので、これが一番上にあります。
   次に、先ほどありました総合科学技術会議及び宇宙開発委員会等々の分野であります安全・安心の確保、環境、情報通信に貢献する衛星の研究・開発・運用、3番目として、世界市場の開拓を目指せる衛星技術及び輸送技術を確実に開発して、競争力維持のための早期の技術実証、4番目といたしまして、これは用語として総合科学技術会議の用語がそこにリファーされておりますけれども、国際的地位と国民の夢と希望を抱ける国際プロジェクトである宇宙ステーション計画について、宇宙ステーションの関係は非常に多額な経費がかかりますが、JEMの確実な開発に重点化をするということと、もう一つは、総合科学技術会議での重点分野として指定されております分野へ、宇宙環境利用の面として期待ができる分野の領域へ重点化をしていくという考え方をここでとっております。
   次に、宇宙3機関の統合を視野に入れました連携強化によりまして、宇宙活動の基盤技術の確保と強化というのがまいります。
   一番下に書いてございますが、これは全体にかかわりますけれども、高度情報化、それから基盤技術の開発、将来ミッションの研究、設備整備、利用促進等においては、これにつきましても極力めり張りをつけて重点化をして、一方、事業運営におきましては、競争原理の拡大によりまして、可能な限り経費削減に努力するという考え方で、全体をまとめてございます。
   次に、個々のプロジェクトにつきまして、今申し上げました考え方をブレークダウンしますと、こういうような形になります。14年度の見直し要望でございますので、14年度に予定する衛星、ここに書いてございますが、現在三つの衛星がございます。確実な打上げとH−2Aロケットの開発強化、2番目として、安全・安心の確保に貢献する情報収集衛星の確実な開発、情報通信分野に貢献するETS−8、超高速インターネット衛星の確実な開発、4番目として、環境分野に貢献するADEOS−2の運用、この中には運用のためのデータ中継衛星の運用を含みます。5番目として、JEMの確実な開発と運用準備のための活動ということで、これも幅広くやるのではなくて、内容的に必要な、特化されたところに重点を置く分野というふうに考えてございます。
   次に、宇宙開発委員会が定められました基本計画の項立てに対応いたしまして、どういうふうにそれぞれのプロジェクト、プログラムが見直しになっているかという点について、個々に説明させていただきたいと思います。
   まず基盤技術の開発でございます。基盤技術の開発につきましては、平成13年度から3機関で運営本部を設置して、3機関連携を強化しているところでございますが、ここに書いてございますように、3機関統合を視野に入れて、さらに、これまでに加えまして、推進系、構造機構系、誘導制御系などの分野についても、一層の信頼性向上や基盤技術の強化に係る事業の強化を図っていきたいというものでございます。
   次に、輸送分野でございますが、H−2Aロケットの部分でございますが、標準型につきましては、この夏に試験機を打つ予定でございます。より確実な開発を行うため、宇宙開発委員会の助言等を踏まえまして、H−2Aの増強型につきましては、3機のLE−7Aを使うことになっておりますので、こうした信頼性向上のための試験とか解析とか、そうした一連のものを追加していきたいと考えております。
   また一方で、開発中の大型衛星の打上げ要求にこたえるとともに、H−2Aロケットの国際競争力を維持する方策として、LE−7Aの長ノズル化等による打上げ能力の向上を段階的に進める。以前も説明させていただきましたが、開発強化策をそのままとりますと、全体として工程が延びますので、段階的な能力向上を図りつつ、こうした打上げ需要への対応と国際競争力の維持をしていきたいというものでございます。
   一番下に書いてございますけれども、開発強化の結果として、液体ロケットブースターを装備した増強型の試験機につきましては、15年から延期し、17年度打上げに変えたいということでございます。
   次に、宇宙ステーション計画でございますが、宇宙ステーションにつきましては、この場でも宇宙ステーションの打上げスケジュールの変更の状況を御説明してございますが、日本の実験棟の打上げスケジュールにつきましては、まだきちっとした形にはなっていない部分があるわけです。しかしながら、既にこれまでの工程と日本が取りつけますノードの部分までのところが合意されておりまして、それを全体として後半のところを議論されておりますけれども、そうした議論とNASAの方の状況を踏まえると、現在として、打上げスケジュールをそれぞれ15、16年度の打上げから16、17年度の打上げに変更するというものでございます。これにつきましては、全体の宇宙ステーション計画のスケジュールとそれほど大きな不整合が生じなくて、大体整合をとりつつ開発を確実にするために、アメリカの実験モジュールと日本の実験棟との組み合わせ試験等に重点を置くものでございます。
   関連いたしまして、宇宙ステーションに対します補給システムの打上げ年度も1カ年度変更し、セントフリュージにつきましても、同様に18年度から19年度に変更するものでございます。
   次に、データ中継技術衛星でございますけれども、DRTS−Wにつきましては10年度打上げを目指しているわけですが、この打上げを確実に行うこと、それから、打上げて、このデータ中継衛星とADEOS−2のデータリンクを使いますので、こうしたデータの中継と今後発展が予定されておりますこうした技術の実証を確実に実施していくものでございます。
   次に、DRTS−Eにつきましては、平成16年に衛星全体として完成させて、DRTS−Wに何かがあったときに、それに備えるという考え方をとっておったわけですが、現在の厳しい財政的状況も踏まえつつ、衛星計画の重点化を図るため、開発を中止するものでございます。
   次に、地球観測分野にまいりますが、ALOS、陸域観測技術衛星でございますが、国の資源の重点的配分の方針を考慮しつつ、この地球観測分野におきましては、ADEOS−2の方を優先することとして、ALOSの打上げを15年度から16年度に変更します。
   次に、通信・放送・測位の分野でございますけれども、技術試験衛星8型でございますが、この分野は技術革新が非常に進歩が速いわけでございますが、早期にともかくこの衛星を打上げて、世界的な競争力を確保するということが、特にこの衛星のバス技術で期待されているところでございます。
   一方で、H−2Aロケットにつきましては、開発強化を図りつつ、段階的に能力向上をするということで先ほど御説明させていただいているわけですが、全体としてこうした状況を踏まえつつ、信頼性と能力の向上及びETS−8の軽量化に関する検討などを踏まえつつ、可能な限り早い時期の打上げを目指すこととして、現在のぎりぎりの選択として、打上げ年度を15年度から16年度に変更するものでございます。ちなみに当初計画は、15年度にH−2Aロケット増強型で、先ほどありましたLRBという液体ロケットブースタをつけたコンフィギュレーションでこの衛星を打上げる予定になっておりましたが、今御説明申し上げましたような考え方によりまして、ぎりぎりの選択として、15年度から16年度に変更して、できるだけ早期に打上げようというものであります。
   次に、宇宙ステーションの利用分野でございます。これまで宇宙ステーションの利用分野につきましては、可能性のある分野について、広範囲な利用の発掘作業をずっとしてきているわけでございますけれども、このたび総合科学技術会議で示されました重点4分野への貢献を図るべく、これは一気にはいかないわけですので、段階的にこの方向に向かっていくために、JEMを利用する前の実験機会の確保とか、有望な分野をより絞り込んでいくとか、そうしたための方策をとって、さらに重点化を進めるという考え方でございます。
   特にこの分野として二つ特徴的に出してございますのは、ゲノム創薬の関係が国全体として次の一つの大きなターゲットになっておりますけれども、そうした中で、たんぱく質の構造と機能解析に関します国のプロジェクトを支援するため、この分野に関します結晶化のための機会の確保とかそうした技術の蓄積に発展をしていって、将来の商業的ニーズに備えるものであります。
   もう1点は、これは過去もずっとやってきた材料の分野でございますけれども、次世代で国として必要とされている技術に対しまして、より技術開発の面でこの分野で貢献する部分につきまして、ここは物性の測定とか結晶育成というのを挙げてございますが、より重点化した形でもって材料科学研究を実施するという方向に段階的に進めていくというものでございます。
   次に、先端科学技術の分野でございますが、光衛星間通信実験衛星OICETSでございます。この衛星と光通信の実験をすることになっておりましたESAの衛星ARTEMISに、打上げのトラブルがございまして、現在3万1,000キロの軌道で正常に動いております。この9月の終わりから10月にかけまして、静止化するために、数カ月以上かけまして、段階的に軌道を上げていくと聞いております。そうした全体の関連もありまして、来年の夏ぐらいまではずっと軌道上の機能確認作業が行われると聞いておりまして、現在の状況では、来年の夏ぐらいまではこのOICETSを使って実験の確認ができる状況にはございません。
   一方、来年の冬期には、現在、情報収集衛星及びMTSATの打上げが予定されておりまして、射場作業も含めて非常にクリティカルな状態になっております。こんなこともございまして、OICETSにつきましては、13年度及び14年度の打上げを見合わせることとしたいと考えております。
   なお、ARTEMISの状況が、軌道上でデータ、この光通信の実験はもともと予定されていたものですが、衛星側の準備が整えば、光通信の地上用の試験モデルを用いて、ARTEMIS側と地上と静止軌道上での実験は行いたいと考えております。
   次に、宇宙科学の分野でございますが、月周回衛星SELENEでございますが、先ほど来御説明させていただいておりますが、衛星計画の重点化を図るため、打上げ年度を16年度から17年度に変更させていただきたいと思っております。
   概略は以上でございます。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   ただいまのように、かなりのプロジェクト、プログラムについて、凍結とか中止、延期とかいうことで、冒頭申し上げましたように、予定よりも300億円、もともと200億円ぐらい増やしてほしいというのが、逆に100億円ほどの減になりましたので、差し引き300億円ほどどうしてもひねり出さなければいかんということで、今のような変更をしたいという申し出でございます。
   何か質問か御意見ございましたら、どうぞ。

 鈴木特別委員 

   非常に厳しい予算の中で、重点事項に絞るということとプロジェクトの優先度を厳選するという今のお考えは十分理解できることでございまして、私も産業界の代表としまして、こういった状況はある程度受け入れないといかんのかなと思っております。
   ただ、国の予算は減るとはいいましても、世界の衛星のマーケットの動きというのはそれに関係なくどんどん進んでおりまして、特にここで申し上げたいのは、ETS−8につきましては、8ページにも世界市場での競争力ということを書いてございますが、これから世界のマーケットはやっぱり大型衛星に向かっていくという予測もかなりございまして、あるヨーロッパの調査機関のデータによりますと、96年から2000年まではこの大型衛星の比率が17%前後だったようでございますが、2001年から2005年はそれが54%ぐらいに上がるという予測がございます。また、2006年から9年以降は75%、非常にマーケット全体の中のウエートが大きくなってくるという予測も、調査機関のデータとして出ております。
   産業界としても、こういった大型の静止衛星バスの技術を持っているということは、世界市場でビジネスをやっていく上で必須の条件であるというぐあいに考えておりまして、一刻も早くこれの技術開発をやって、産業化に結びつけていきたいということで、既に2001年から2005年のマーケットにも、具体的に幾つかの商談の中で見えてきているのもございまして、一刻の猶予も許されないというような状況が既に出始めております。
   そういった観点を踏まえますと、本来ならば15年度でもぎりぎりと思っておりましたが、冒頭のようなお話もあって、16年度に変更するということでございますが、その影響を最小限にとどめて、限りなく15年度に近い時期に打上げるという御検討をお願いしたい、また、それに必要な産業界でやるべきことは全面的に我々も取り組んでいきたいと思っておりますので、スケジュールの点については是非そういうことでお願いしたいと思っております。
   また、このETS−8につきましては、情報通信、これからインフラとして非常に重要な役割があるということは申すまでもございませんが、その中で、やっぱり二つ大きな要因がありまして、一つはここにあります大型静止衛星バスということと、もう一つは大型アンテナということも、これは特に移動体通信が、今後あらゆる地域への移動体通信サービスということに対する衛星の果たす役割というのは非常に大きいと思っておりまして、そういった面から、地上側の設備を非常に経済的に実現するためにも、是非この大型アンテナの技術開発ということも早く確立していかないといかん重要な要素ではないかと思っております。非常に厳しい中ではありますが、できるだけETS−8の当初ねらいました意義を損なわないように、是非とも最善の御配慮をお願いしたいと思っております。以上でございます。

 長柄部会長 

   斎藤さん、何かございますか。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   おっしゃられる状況認識は我々も非常によくわかっておりまして、何とか技術的なソリューションがないか、今必死になって探しているところでございます。
   今おっしゃられました衛星の大型化というのは、衛星もそうなんですが、同じく打上げ手段でありますロケットの競争力も同じく必要となっておりますので、ロケットの能力の向上もここであわせて、単純に後ろにいくのではなくて、工夫できることがないかということを必死に考えることが大切と考えて、何とかこの時期にそういうものを達成するべく努力していきたいと思っております。

 長柄部会長 

   ほかにどなたか。

 澤岡特別委員 

   セントリフュージについて質問をさせていただきます。日本のモジュールをステーションに、NASAに打上げてもらう代償として、セントリフュージを提供するものであると聞いておりますが、日本にとって、これを作る関係者は遅れるということは大変かもしれませんが、全体から見ますと、遅れてもほかのものに比べて大きな影響はないと思うんですが、それを受け取る方のNASAの希望というものもあると思うんです。そのあたりについて、時期の約束というのは先方とあるんでしょうか。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   6ページ目に打上げ年度は19年度と書いてございますが、宇宙ステーションの先ほど言いましたノード2のところまでは各パートナー間で合意されています。その後は合意されてないんですが、議論としては大体それと大きな差はない形で、数カ月のいろんなずれというのは今後調整がいろいろ要るかと思いますが、年度的には今のところ大きな違いはございません。
   今問題になっているのは、ここにちょっと書いてございますが、技術的課題、実現性ですね。技術的課題をきちっと解決していかないと、科学要求だけではなかなか難しいということで、技術面、資金面あわせて、このスケジュール、この打上げ年度に向かって、国内はもとより、NASAと相当協力して調整して、問題解決を図っていかなければいけない状況にあると考えております。

 佐藤特別委員 

   簡単なことですが、300億円の削減といったときに、先ほどいろいろ出ましたが、どういうプロジェクトがこの300億円の中に寄与しているといいましょうか、何が主に300億円の削減にきいていることになっているんでしょうか。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   この資金をずっと見ていきますと、宇宙ステーションの部分がここに二つ書いてございます。少し緑がかったところとその上、ここの部分ですね。これを見ていただくとわかりますように、13年度、ここの数字ですが、14年度がこうなっておりまして、百数十億、200億近くのお金の増額になっております。13年度予算が確定したときに比べまして、先ほど御説明しておりますけれども、14年度の現在の予算の段階では、宇宙ステーション計画の打上げ年度が1カ年後ろに送ってございますので、一番大きい部分はここの部分でございます。そのほか、先ほど衛星計画の中でかなり衛星の打上げ年度を送ってございますが、そうした既定の衛星計画の部分の重点化を図っているというのと、あとは、下の方に書いてある経費を少しでも削れるところは削って、ただ設備は老朽化とかいろいろ進んでおりますので、そういう対応をめり張りをつけておりますが、金額全体としては、今申し上げましたのが一番大きなところでございます。

 長柄部会長 

   では、池上先生、きょう1回目でございますので、あいさつも兼ねて、ちょっとお願いします。

 池上特別委員 

   きょうは、台風が来ましたから出席することができました。
   先ほども既に御指摘があるんですけれども、正直言いまして、ISSがまた延びたというのは研究者にとっては非常にショックでありまして、優秀な研究者をここにできるだけ集めようということをやる上でも、非常にマイナスになるのではないかと思うんです。まあやむを得ないと言えばやむを得ないと思うんですが、いずれにしろ延びた分のつなぎをどうするかということは非常に重要だと思うんですね。
   一つは、供給サイドから言いますと、企業の方、提供する側の方はもつんですかね、延ばして。今企業の方も相当疲弊しているような状況で、ある程度の配慮が本当は必要なんじゃないかという感じがいたします。
   もう一つは、研究者のインセンティブをそぐことがないような何か施策みたいなものをやっていかなければいけないんじゃないか。
   それともう一つは、延びることによって、むしろよかったという部分もどうもあるようですね。このままいくとヤバかったかもしれない、延びたからと、よくそういう話があるんですけれども、それはそれでうまく説明をしていただかないと、本来計画がえらいずさんですねと言われる可能性がありますので、その辺はきちっと、ファクトベースとそれから理解をいただくための説明というものは分けておやりになった方がいいんじゃないかと思います。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   まず、製造企業がもつかどうかというお話でございますが、今回予算とか計画を全体に見直すに当たって、現場の状況をきちっと把握しなければいけないというのが一番大きな課題でございました。それぞれの現場が厳しい状況にあるということはもちろん間違いない事実でありますけれども、ただ、その結果として、確実な開発ができないようになってしまっては困るという、そこのぎりぎりの、それとトータル的な資金事情との関係で調整をしてきたものであります。まだ完全とは言えませんが、現在考えられることはいろいろ工夫をしてきたというのが1点でございます。
   2点目は研究者との関係でございますが、従来、全体として宇宙ステーションが新しい科学技術を作るということで、かなり広範囲にわたった、いろんな可能性のある分野の研究をしてございますが、現在のこの資金状態の中ということと、国全体がもう少し競争力を強くするために、もう少し重点化をした方がいいのではないかという議論がかなりございまして、先ほどこのOHPにも書いて説明させていただいておるんですが、そうした方向へ重点化を図るための議論をもう少しきちっとしなければいけないのではないか。これまでもいろんな地上研究で幾つかの成果が出てきているところもありますので、限られた資金を有効に活用するためにも、もう少し重点化のための議論が必要ではないかということと、宇宙ステーションの全部の打上げが遅れるために、結果として競争力を維持するためには、機会がないとだめだということはおっしゃるとおりでございまして、何らかの手を打つ、競争力を維持するためには、こうした方策をとるということは、同時に機会も確保しないと、大きな機会の確保というのは難しいかもしれないんですが、重点化された分野に対して機会を確保しなければ、とてもそうした状況は生れないということで、まさにぎりぎりのそういう方向を見出さなければいけない。そのために、例えば部分的にシャトルの一部を借りるとか、アメリカの実験モジュールの一部を借りるとか、いろんなことの工夫をこれからも入れ込んでいくという努力を継続したいということでございます。

 長柄部会長 

   よろしいでしょうか。

 森谷特別委員 

   14年度は大変厳しい状況になるというのはやむを得ないことだと思うんですが、それで先送りがかなりある。やめるというのは一つか、これは大変少ない。ということになりますと、15年度以降が気になるわけでありますが、これは全く見通しはつかないかもしれませんが、しかし、一応の想定は必要だと思うんです。14年度、横ばいのような状況で続くという想定なのか、いや、14年度は緊急避難的で、またやっぱり少し増やすべきなのか、その辺は基本的にこの宇宙開発というものの重要性にかかわるわけでありまして、緊急避難はしようがないとして、やはりこれはもっと増やすというような方向でいくのかどうなのか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   非常に私の方からお答えしにくいところもございますが、宇宙開発委員会が定められました基本計画等の中でも少しうたわれたり、いろんな宇宙開発委員会の議論、それから我々の中での議論を踏まえますと、我々なりに考えておりますのは、これまで事業団を中心とする、どちらかというと集中型の宇宙開発、お金が事業団に集中して、研究から開発から運用まで、一貫したものがどちらかというと組み込まれていたという形になってございます。全体として大きな流れとしては、集中型でできるところは、特にプログラムがまだ成熟してなくて、新しい芽を出して、新しい方向にいくというところについては当然必要でございますが、あるフェーズになったものにつきましては、民間への移転、それからユーザー機関への移転、それから競争的資金との連携、そうした総合的ないろんな方策をとった上で、全体として一番いい方法を多分編み出していかなければいけないのではないかと思っておりますが、14年度は厳しくて、現在の国の状況を考えれば、15年度以降が楽観できる状況ではございませんので、その辺、それぞれ単に延ばすだけではなくて、相当工夫した形でもってやる方法を、もう少し時間をかけて、先ほど申し上げました観点から進めていきたいと考えているところであります。

 長柄部会長 

   先ほど予算が約10%カットと言いましたけれども、あれは私の理解では8月に予算要求するものは10%カットなんです。科学技術振興費につきましては、若干プラスでもいいとかいうことが出ています。それは9月末までに20%を振興費については要求できるんです。失礼しました、20%までですかね。構造改革枠というのがありまして、ちょっと20%は間違いかもしれませんが、9月末までに要求できる予算枠があるようでございます。宇宙開発事業団用の予算と言っては多分要求できないはずですけれども、文部科学省とかその他の省庁もそうだと思うんですが、いろんなファンドがそこに置かれる。大型の科研費みたいなものが多分できるだろうと思います。ですから、それは宇宙事業団がそのお金をもらってくるというのではなくて、むしろ例えば研究者の方々、ユーザーの方々が、例えばたんぱくの結晶化なり機能解析等についてこういう研究をやりたいというふうなことで、たんぱくのファンドができれば、そこに各研究者の方がアプライされる。従来はそういうお金もかなりNASDAも用意していたわけですけれども、そういうのが今度別のファンドができますので、ユーザーの方々がそういうファンドを利用して、しかもNASDAのいろんなインフラストラクチャーを使って研究される、こういう姿が出てくるんじゃないかということでございます。ですから、科学技術振興費としては、12月末のでき上がりは若干プラスになるというふうに私は聞いております。

 池上特別委員 

   研究の性格から言いまして、ファンディングというのは長くてもせいぜい3年。やはりこれはディレイがあって、いつということになりますと、ユーザーサイドの方で科研費等々を応募するにしても、ちょっと難しいんですね。何かその間、例えば自由落下のところをもう少しうまく使うとか、今自由落下のあれは独立採算になっていないじゃないかとか言われていますね。下手すると、あんなのもつぶれてしまう。そういう今使えるものをもう一度ある意味では磨いて、より使いやすいような形にして、研究者をつなぎとめないと、じり貧になっていくような感じがするんですけどね。

 長柄部会長 

   ほかにございませんか。よろしゅうございますか。
   それでは、各委員の先生方、これでいいというわけでは、多分いろんな不満があろうかと思うのでございますけれども、こういう財政事情でございまして、予算要求の制約がございまして、ある程度のプロジェクトの延期等はやむを得ないという点で御理解願ったもの、こう考えたいと思います。
   それでは、次の議題で、この部会の審議のまとめに移りたいと思います。
   この審議のまとめの経緯を申し上げておきます。7月末の前回のこの部会で、審議結果のたたき台という、3ページだったか4ページだったか、非常に簡単なものをこの場に紹介いたしまして、それについて御意見をくださいということを申し上げたのでございますが、そのとき、いろいろ御意見をいただきました。特に大きかったのは、3枚、4枚ではなくて、ちゃんと審議したんだから、どういう審議をして、どういう現状になっていて、この部会としてはどういう意見であったかということをもう少し詳細に、この報告書だけ読めば、その結論だけじゃなくて、ある程度わかるように書いたらどうかという御意見が多かったと思います。
   そこで、各委員から、そのたたき台に対する意見があれば、Eメールかファクスで送ってくださいということを言いますと同時に、私の方も、審議結果のもう少し詳細なものを、本文が約10ページぐらいだったと思いますが、きょうのこの審議結果とほぼ同じようなボリュームのものを、8月10日前後に各先生方に、ちょうどお盆の前ですけれども、お送りいたしまして、コメントを8月15日か16日までにくださいということを申し上げました。数人の委員の方々からコメントをいただきました。そのコメントのかなりのものはきょうのこの原案には入れたつもりでございます、まだ不十分な点があろうかと思いますが。
   それから、先生方に8月10日前後にお送りいたしましたドラフトには、先ほど説明がございましたのNASDAの計画変更は含まれておりません。そういうことで、本日の審議結果(案)では、各先生方からいただいたコメントにNASDAの計画変更分を含めて、本日の案を提案してございます。
   そういうことで、この審議結果(案)について簡単に御説明したいと思います。
   本文は1ページから9ページまでのものでございまして、10ページ以降は附属の参考資料でございます。
   1ページ目の上半分は前文でございますけれども、この部会に対する付託事項、それから、この部会が8回の会合を開いたという経緯を書いてございます。
   1ページの後半からは本文になるわけですが、これは二つの部分に分かれておりまして、1ページから2ページにかけて、この部会における審議の方法、経過等を書いてございます。それから2ページ以降に、審議の結果が書いてございます。
   1の審議の方法につきましては、二つに分けて、宇宙開発活動全般の進捗状況、宇宙開発活動のレビューでございますけれども、このレビューと新規の計画、この二つに分けて書いてございまして、その方法が淡々と書いてございます。新規につきましては、本年度、今回は1件しかございません。2ページにまいりますが、金星探査計画1件でございまして、これにつきましては、佐藤先生を主査とする小委員会を開いて、審議を進めた、こういうことが書いてございます。
   2ページの後半でございますが、審議の結果は、2−1として全体の進捗状況、9ページにまいりまして、新規のものと分けてございます。
   全体の進捗状況としては、宇宙開発全般、それから個別ごとに書いてございますけれども、全体としては、NASDA、ISAS、いろいろ問題がございますけれども、人員とか予算の制約はありますけれども、いろんな問題に正面から取り組んで、解決に努力されていて、「その姿勢は評価に値する」ということになっております。
   個別分野では、2ページの下ですが、先端・基盤技術開発につきましては、これは長々と書いてございますけれども、3ページの真ん中くらいですけれども、「最重要課題の一つとして、積極的に取り組む必要がある」と。これにつきましては、宇宙3機関で、組織の壁を超えて現在共同研究されていますが、これについては「意義深いことである」というコメントをつけてございます。
   それから、輸送システムのロケットですけれども、まずH−2Aロケット標準型については、第1号機をこの8月に打ち、2号機をこの冬に打つということになって、まあまあ順調にいっているんですが、これを早く信頼性を確認して、民間にこの打上げ事業を移管するというために、NASDAは民間側の受け入れ態勢の整備に協力しなければならないということを3ページの下に書いてございます。
   4ページは増強型が書いてございますけれども、これは3トン級の増強型ですが、もともとは、先ほど斎藤理事から説明がございました、15年度に試験機の打上げが予定されておりました。これはETS−8を、3トンでございますので、これを打上げるために、平成15年度に予定されていましたが、標準型の開発経験、それからいろんな事故を踏まえて、開発をさらに強化しなければいかんということで、15年度に3トン衛星を打上げることは非常に困難で、延期せざるを得ない状況にある。
   そこで、先ほど鈴木委員の方からございましたように、ETS−8をどうするかという問題が出てまいりますが、非常に早く打上げなければいかんことは事実でございますけれども、失敗を再び繰り返さないというためには、必要な開発試験を十分行うということで、平成15年度の打上げということはあまり固執してはいけないということが、4ページの真ん中あたりに書いてございます。
   M−Vについては、現在カーボン−カーボンで試験されていまして、これは早く試験が終わって、早く復帰することを望むと。
   それからJ−1ロケットでございますけれども、1号機は大分前、平成8年に打っているんですが、2号機をOICETSという衛星を打上げるということで進めてきたのでございますけれども、斎藤さんから説明がございましたように、ARTEMISが打上げがうまくいかなくて、いつどう使えるようになるかまだわからないということがございますので、J−1の2号機につきましては開発を凍結する。ロケットをあまり早く作ってしまいますと、寿命がございますので、ロケットの開発はここで一たん中断するということでございます。これはやむを得ないことと判断しております。3号機以降につきましては、今のところ打上げ予定はございません。これは説明でもございましたが、そういうことで、今後このようなロケットを計画する場合に、国際的な価格動向とか需要見通し等をもっともっと重視して、計画を立てる段階で慎重にやらなければいかんということがコメントしてございます。
   4ページから宇宙ステーションがございますけれども、これはずっと事実が書いてございまして、5ページの真ん中あたりでございますけれども、これにつきましては、一つは、科学技術研究の方はNASDAはかなり準備されていますけれども、教育とか文化的利用、また商業利用についての準備があまり進んでいないということで、そういうことの利用条件、利用料金等を早く決めなさいということを言っております。
   それからセントリフュージについても、利用要求との関係で、最近ほぼ決まったということを伺ったんですが、米側との調整を急いで、基本設計を固める必要があるということを言っております。
   DRTSにつきましては、先ほど説明がございましたが、WESTは予定どおりですけれども、EASTを中止する。これによって、いろいろデータ量が減少するとか、もちろん二つのうち一つを中止しますので、実際の運用で当初予定どおりはまいらないのでございますが、これはやむを得ないものと考えております。
   地球観測につきまして、5ページから6ページでございます。6ページの真ん中あたりですけれども、松野先生のコメントですが、これは世界的に大きな役割を果たしておって、国際協力のもとに時機を失することなくやることが必要であると。ただ、取得されましたデータについて、さらに活用するために、利用機関との連携、協働体制の強化を図る必要があるということをコメントしてございます。
   それから通信放送でございますが、6ページの下の方にETS−8が書いてございますが、これは鈴木委員もおっしゃったように、早期実証が必要な衛星でございます。時期が非常に大切な衛星でございますが、一方、ロケットの方が増強型を待っていたのでは遅くなるということがございまして、7ページの上の方に、増強型の段階的開発スケジュール、それからETS−8、現在では3トンですが、少しでも軽くならないか、軽量化、こういうことを踏まえて早期打上げを目指す必要があるというようにしてございます。
   インターネット衛星については、ユーザー要求を重視した計画となっていまして、この点は従来の通信関係の衛星に比べて評価に値するということを言っております。
   情報収集衛星については、特にコメントはございません。
   宇宙科学については、日本は国際的に主導的な役割を果たしておりまして、今後とも国際協力を強力に進めるべきものである。ただ、ISASのプロジェクトの場合、プロジェクトが小さいせいもあるかもしれませんが、成功基準、サクセスクライテリアとか目標の優先度をNASDAと同じように設定しておいた方が、資源の配分とか評価のときに容易になるということで、そういうことをした方がいいということを言っております。
   NASDAの資金計画・人員計画でございますが、先ほどの説明のように、資金が非常に苦しいことがございますので、プロジェクトの重点化ということを今後ますますやらないといけないということ、人員計画についても、事業規模と人的資源のバランスが崩れているということで、民間にできることは極力民間企業に任せてしまうということを言っております。
   信頼性向上につきましては、これは不具合・事故の発生防止、それから宇宙開発の信頼性回復に必須の事柄でございますから、さらに強化する必要があると。
   教育普及活動についても、一応少ない人数ながら精力的にやっていることは認める。ただ、まだまだ改善の余地があって、それは例えば若者がもっと継続的に宇宙への関心を抱くとか、それから教育を受ける側のニーズをもっと把握してやる必要があるとか、人材育成に努める必要がある、このようなことを述べております。
   高度情報化でございますが、開発環境の高度情報化でございますけれども、これは大いに進めなければいかんわけですが、NASDAだけじゃなくて、関連企業・関連機関相互間にお互いに情報がやり取りできるようなシステムでなければ困りますので、これは関係機関とよく調整を図って進めてくださいということを言っております。
   9ページの真ん中あたりの金星でございますが、これは前回、佐藤先生の方から小委員会報告を受けたわけですが、その趣旨のとおり、金星探査計画は重要で、科学的にも非常に意義深いし、それからプロジェクトマネジメントの上からも適切なものであるから、この計画を進めることは妥当であるという結論になっております。
   最後に今後の打上げ計画、最後のページになろうかと思いますが、先ほどのNASDAの計画変更、それからISASの衛星とかその他の衛星、宇宙ステーション等もございますけれども、変更後の打上げ計画は参考5のとおりになるということでございます。以上でございます。
   このような審議結果のドラフトを作ったわけでございますが、どなたでも、質問なり御意見がございましたら、お願いしたいと思います。

 黒川特別委員 

   大変御苦労されているのはよくわかります。特に井口委員長にあっては大変御苦労されていると思いますが、幾つか中止したり、延ばさなければならないという事情はよくわかりますが、中止したのは、どこのステージまでいって、今までどこまでそれが目標に達していて、幾らスペンドして、これはやめたんだよという話は出てこれるわけですね。これは到達目標にその年度どのぐらい到達していたんだけれども、全体を見て、ここでやめることにしたという話をやっぱりわかるようにしておいた方がいいのではないかなという気がします。
   それから、何でも先延ばしですから、予算が削減されて、やめるわけにもいかないしというのもかなりあるので、何だかみんな元気が出なくなっちゃうような情勢なので、来週ですか、打上げがあるわけなので、何とかそれに期待をしたいとは思いますけれども、是非井口委員長に頑張っていただいて、めり張りをつけた、元気が出るような、何でも先延ばしで、何を言ってもただ同じで出ているわけにもいかないので、是非頑張っていただきたいなというのが感想でありました。

 長柄部会長 

   私が伺っているところでは、中止とか、DRTS−Eにしても、それからOICETSはやめるというんじゃなくて、もう衛星はほぼでき上がっている、ロケットもほぼでき上がっている、「ほぼ」ですね。斎藤さん、衛星はでき上がっているわけですか。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   衛星は今年度中には。

 長柄部会長 

   衛星はでき上がっていると、ロケットはまだですけれども。しかし、相手のARTEMISがございますので、それがちゃんとうまく機能するとなれば、これがもう一回、まあ中止が走り始めるかどうかわかりませんが、中止というのも、伺いますと、ただじゃございませんで、かなり企業の方では材料手配とかいろいろされていますので、中止したからといって、去年着手したものを中止するならよろしいんですけれども、もう五、六年やっておられるものを中止するということなのでというようなことでございます。斎藤さん、そのことはよろしいですか。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   はい。

 黒川特別委員 

   それから、例えばある程度重点のところは予算を請求していいよという話があって、たんぱくの構造とかバイオとかいう話があるのはそうなんですが、これもどこかに打上げてもらえる見込みがないと、幾ら申請してもしようがないのかなというような、JEMなんかではずっと話をしているわけですが、しかし、バイオの方もどんどん今進んでいますから、たんぱくをたくさん作らせるというバイオテクノロジーがあって、それを作って、今度結晶化するというのはまたいろんな方法があって、いろんなたんぱくによって適正がわからない。それの新しいベンチャーがどんどんできてきていますけれども、そういうことから言うと、研究者のインフラを作るというのもすごく大事ですけれども、研究者やたんぱくの構造を決めるのはすごく大事なんだけれども、本当に無重力だとそうじゃないところよりいいのができるのかねという話は、なかなか証明できないんですね。だから、そうすると、ある程度持っているたんぱくの結晶化というプロジェクトにどこかに乗せてもらってやるというのですけれども、少し手探り状態ながらやっていくというのはどうなのかなというのが一つあるんです。
   そのときに、今非常にうるさいのは、その知的所有権がどうなるのか、例えばNASDAかどこかに頼んで打上げて、たんぱくの新しいのができちゃって、おもしろい話になったときの知的所有権なんというのはどうなってくるのかなという話については、何かお考えはあるんでしょうか。

 長柄部会長 

   澤岡先生、何かわかります?澤岡先生はたんぱくの方の……。

 澤岡特別印意 

   今黒川先生がおっしゃられたプロジェクトの後押しチームを担当しておりますけれども、確かにたんぱくの結晶化の仕事は非常に速くて、ステーションができるころには肝心のところは終わっているんじゃないかという話があるくらい勢いがいいわけです。それで、とりあえず来年の7月か8月には上がるだろうというスペースハブ社を商業的に借りてやることに今なっておりまして、その中で、七つか八つのたんぱくについての実験をやるわけですが、四つについては企業中心で、企業秘密は守る、それから特許は日本のものですというやり方、安全審査は受けますけれども、その段階でNASDAには秘密については守っていただきたいという約束を得ております。そのほかの四つのテーマについては、オープンで、サイエンスとして公開でいきましょうといういき方で、来年の5月か6月か7月には一つめどが立っているんですが、その後、フライトチャンスがなかなかないので、これだけ急速に進んでいる分野がこれでいいのかというあたりが、関係者はいらいら状態です。
   それから、サイエンスになっていないということは事実で、なっていないから、名人が勘で宇宙実験をやったものについては、間違いなく4割から3割5分ぐらい、イチロークラスなんですけれども、地上よりいいものができる。それはなぜかということがわからないからいいんだ、わかってしまえば、地上でおそらくやられちゃうだろう、そういうことで、この命も長くてあと5年、この3年ぐらいが勝負で、その間にフライトチャンスをどうやって獲得するかというところが勝負だと思います。
   私も是非チャンスを何とか、ロシアでもどこでも、使えるものは使わせてもらって、ありがたいことにたんぱくの実験は非常に安くできるということで、ここ3、4年の間に数をたくさんやらせていただきたい、そういう希望を持っております。

 黒川特別委員 

   澤岡先生にちょっと伺いたいんですが、今遺伝子の解析をして、新しいたんぱく構造遺伝子もできて、試験管の中で、たんぱくを作らせますね。それを今度結晶化するというプロセスがすごく日本は弱いんですね。結晶化しないとNMRにかけられないんだけれども、結晶化するのはたんぱくによっていろんな性質があるから、どれが適正かわからないわけですね。そのプラットフォームを提供するようなベンチャーが出てきているんだけれども、日本の、まあ企業もそうだけれども、なかなかないですね。その辺のノウハウとインフラの弱さというのは非常に目についているので、宇宙どころじゃない、そこにいく前の方が弱いなという気もしているんですが、どうでしょうか。

 澤岡特別委員 

   全くそのとおりです。

 長柄部会長 

   ほかにどなたか、コメント、質問ございませんでしょうか。

 池上特別委員 

   これは好奇心もあって質問させていただきたいんですが、7ページの情報収集衛星計画がございますね。これは基本的にはこことは直接は関係ないわけですね。むしろ予算はこちらに食われちゃったというような感じなんですか。

 長柄部会長 

   情報収集衛星計画は、当初はNASDA予算が一部ございましたけれども、今はNASDA予算はございません。これは内閣官房の予算でございまして、ただ、衛星のスペースセグメント、上に上がる方、衛星のかなりの部分はNASDAが委託を受けています。経済省が一部受けているとか、旧郵政省が一部受けているとか、地上設備とかそういうものは内閣官房が直接おやりになっている、かなりの地上設備とか人員とかが必要ですけれども。ですから、NASDAが絡んでいるのは、内閣官房の方から衛星のかなりの部分の開発の委託を受けている。NASDAの方でいろいろ設計とかやられて、企業とやって、それを内閣官房に納める、こういう分担でございます。

 池上特別委員 

   やっぱりちゃんとNASDAが貢献しているわけですね、そのセキュリティーのために。

 斎藤(宇宙開発事業団) 

   基本的にこれまでに投資していただいた技術をもって、情報収集衛星は実用衛星でございますので、そういうものを開発し、初期運用の段階までは事業団というふうに今切り分けてございますが、そこまで我々が責任を持ってお渡しするという作業を請け負っております。ちなみに衛星の開発と地上設備につきましても、衛星の運用と直接つながる部分、管制する部分とかデータ処理とか、そういうところも受託をさせていただいております。

 長柄部会長 

   ほかにございませんか。

 松野特別委員 

   きょう遅れて来まして、前にお話のありました幾つかの計画の年度がずれるということは後で知りました。それに関連して、まとめのところの5ページ、地球観測の一番下のところですが、「前者についてはADEOS−2、後者についてはALOSが、それぞれ開発されている。」という文章になっておりまして、8月10日付で、前回事務局から見るようにと読ませていただいたものには、ADEOS−2、ALOSはそれぞれ平成13年度及び平成15年度に打上げを目標に開発されていると具体的な年次が書いてあって、今回は両方とも抜けてしまっているんです。ADEOS−2はもう13年度で決まっているから書かなくてもいいと、ALOSの方は今のような状況なので、年度を15を16に変えるというようなやり方でなしに、こういう「開発されている」という表現にしたというようなことなのでしょうか。それ以外のところでも同じようなことがいろいろあるのかと思うんですが、前回のドラフトと今回と、そういう点では何かある統一された考え方のもとに修正がされているんでしょうか。

 長柄部会長 

   前回、10日付でお送りしましたものは、NASDAの予算規模がまだ決まっていませんでしたので、ALOSが遅れるとか遅らさざるを得ないということがまだ決まっていない段階で作ったドラフトでございます。そのときには年度を全部、ALOS、ADEOSだけに限らず、ほかのものにもずっと書いてあったんですが、8月13日前後に予算がないということがわかりまして、そして、ずらさざるを得ないとなった場合に、一つの衛星が、これはもともとこうだったけれどもこうだ、これはどうだったけれどもこうだ、こういうふうに書くと何かわかりにくくなりますので、最後に表でまとめて、変更後はこうなりますよと。厳密に言うと、去年の案とこれと比べると、ここと1年ずれたなとか、これは去年のとおりだなとかわかるんですけれども、一々それは書きませんでした、変更後はこういう姿になりますということで。それで、特に重要な変更、内容的に変更のあるようなものはいろいろ書いてございますが、ADEOSの場合は変更なし、それからALOSの場合は単純に1年ずれるだけで、内容的には変更ないということで、特に変更したということはここに書いてございません。特に他意はございません。

 松野特別委員 

   はい、わかりました。

 長柄部会長 

   よろしゅうございますか。
   それでは、こういうことで審議結果(案)を、きょう実は宇宙開発委員会がございますので、宇宙開発委員会の方に、もうちょっと体裁を直して報告したい、こういうふうに思います。
   それでは、各先生方、この春から8回にわたりまして熱心に討議いただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げたいと思います。
   井口委員長、何か発言ございますか。

 井口委員長 

   先ほど黒川先生から大変的確な御助言をいただきました。私の理解では、宇宙開発委員会の最大の仕事というのは、日本の宇宙開発を健全に進展させるということだと思います。それは文学的な表現で、実質はいかに予算を獲得するかということだろうと思います。
   私は8カ月委員長を務め、ようやくわかりましたのは、どうも宇宙開発、特にNASDAの予算というのは、はっきりしているのは国債を原資とする出資金で、きょう先生方は科学技術的な話をなさいましたけれども、そういう部分も認められておりますが、世の中ではどうもそうではなくて、公共投資と言うと、違うと事務局から言われるんですけれども、それと並んだ位置で評価されているわけですね。したがって、新聞でも、道路公団の欠損金が幾ら、それに並んで宇宙開発事業団の欠損金が2兆何千億円、それだけの成果が上がったかと言われるわけです。それは基本的には科学技術ではないようなカテゴリーで評価されている可能性があるわけです。その辺の考え方を変えるということ、それからもう一つは、原資が国債であるならば、国債を政府が絞れば、直接資金が少なくなるというのは当たり前の話で、資金をどこに求めるのか、そのあたりのことがこれからの最大の課題なのではないかと思います。だから、今回のNASDAの斎藤さん初めいろいろの御苦労も、言うならばエンジニアリングの部分をサイエンスの部分に移していることで、全体としては何とか予算が少なくなることを食いとめようという努力をしておられるわけです。これからどうなるかわかりませんけれども、その辺のことも非常に大きなこれからの予算獲得の課題ではないかと思います。先生方からいいお知恵があれば、むしろ是非とも教えていただきたいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。

 長柄部会長 

   ありがとうございました。
   それでは、第8回の会合、これをもっておしまいにしたいと思います。どうもありがとうございました。
   次回はいつ開くかまだ何らありませんが、例えば補正予算が組まれるというようなことで、宇宙の方に何かいい話が可能性が出てくるとか、それから、いわゆる2兆円と言われている構造改革枠の中で、これは9月末までということになっていますけれども、こちらの方で、宇宙に関係して、多分宇宙の利用の方だと思うんですけれども、いいものが出てくるかどうか、そういうことを見ながら、各先生方の御都合を伺いながら、部会の開催を考えていくと思います。ひとつよろしくお願いいたします。

――了――





(研究開発局宇宙政策課)

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