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宇宙開発委員会

2001/10/31議事録
第40回宇宙開発委員会議事録

第40回宇宙開発委員会  議事録

1. 日時  平成13年10月31日(水)14:00〜15:13
   
2. 場所  宇宙開発委員会会議室(文部科学省別館  11階)
   
3. 議題
(1) 「我が国の宇宙開発利用の在り方」について
(2) その他
   
4. 資料
委40-1 有人宇宙輸送の課題とアプローチの方法
委40-2-1 宇宙開発の現状報告(平成13年10月24日〜10月30日)
委40-2-2 第39回宇宙開発委員会議事要旨(案)
   
5. 出席者
宇宙開発委員会委員長   井口  雅一
宇宙開発委員会委員   川崎  雅弘
  栗木  恭一
  澤田  茂生
文部科学省開発局長   今村  努
文部科学省調査国際室   北村  武紀
文部科学省研究開発局宇宙政策課長   芝田  政之
   
6. 議事内容

【井口委員長】  きょうは、五代委員が九州に御出張ですし、審議官はお出になれないということと、それから澤田委員が少し遅れるという御連絡がありましたので、もう始めさせていただきます。
  第40回宇宙開発委員会でございます。
  最初に、「我が国の宇宙開発利用の在り方」について、きょうは、宇宙科学研究所、稲谷教授に、有人宇宙輸送の課題とアプローチの方法と題しましてお話を承り、また、少し時間をとって議論をさせていただきたいと思います。
  我々が今、一番知りたいと思っておりますのは、日本で有人宇宙輸送をやるのかやらないのか、やるとすればどういう理由でやるのか、そのあたりを一番教えていただきたいと考えておりますので、もしできればお話の中でも、また後の議論の中でも結構でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
  では、先生よろしくお願いします。

【稲谷教授】  最近、今、井口先生がおっしゃったような意味で、輸送の将来とか、あるいは3機関の連携と、いろいろな場面で将来の輸送についてお話しさせていただく場面もあり、我々のやっていることも含めてではありますが、きょうは個人の考えも話していいと私は理解いたしましたので、考えていることも含めて申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
  井口先生がおっしゃったように、何でやるのかの部分については資料の中にはあまりないかと思いますが、私のお話を申し上げた上で、その辺の議論をさせていただきたいと思います。
  この5年とかロケットをどういうふうに変えていくんだということについて、短期的な将来だけではなくて、長期の目標というのをどうしたらいいかということを考えてまいりました。ついては、ロケットそのものだけで宇宙の仕事ができるわけではありませんので、それが何の役に立つかとか、何のためにロケットがあるかと、そういうことを考えなければいけないということです。
  この5年、10年ということではなくて、どういうところに我々の次のロケットのゴールを設定するかというところから考えなければならない。ではそのとき、運んでくれというお客さんはどういう人たちだろうか、そういうことから出発したわけです。これはアメリカでもやはり同じことでして、調査の結果なんですけれども、横軸が輸送コストです。一番左が現在の輸送コストです。真ん中辺が1けた下がる。一番右端が2けた下がる。そういうふうに御覧いただきたい。縦軸は輸送コストで、こちらはロケットの側が頑張らないといけないわけですけれども、それが実現したときにどれぐらいの輸送量が期待されるであろうか、果たしてその中身は何だろうかということが書いてあります。この絵で大事なことは、これからロケットが頑張って、輸送コストを1けた下げました。それでどれぐらい需要が増えるでしょうか、あるいはどれぐらいの数のロケットを打てという仕事が発生するでしょう、2けたではどうか、そういう見方をしていただいて、1けたより向こうのところですごく大きな需要の盛り上がりといいますか、発生がある。その中身は何か。いろいろ書いてありますけれども、その1つは太陽発電衛星、つまり大規模構造、これはエネルギー問題で、最近ではその研究活動もかなり盛んになっています。
  それから、もう1つの定量化されている例として、ツーリズムということがある。これは宇宙旅行です。この宇宙旅行はどういうものかと申しますと、先日来、ステーションにロシアのロケットを使って行ったというお金持ちの人がいましたけれども、そういう旅行ではなくて、一般の人が切符を買って行ける、そういう旅行。その他、衛星の修理であるとか、燃料の補給であるとか、月の資源を使う、いろいろなことが経済的に成り立つ状態になるというのは、1けたより向こうのコストダウンの世界であると思います。
  この絵を少し、ロケットの立場で書いてみるとこういうことになろうかと思います。現在の需要と未来の需要と書いていますけれども、今後10年、あるいは15年とかいう需要の予測を、それは今からの延長としてやるわけですけれども、それは今のように、例えば通信放送、ステーションの輸送とか、そういう輸送は少し特殊な例としてありますけれども、一般的にビジネスとして成り立っているのは、要するに電波を薄くばらまいて、1人1,000円ずつ集めてロケット1発のお金になれば商売が成り立ちますという、そういう仕事であります。その需要をこの後、エクストラポレートしても、これから先の10年、15年、それほど大きく増えるわけではない。
  あとで申しますが、ロケットを繰り返し使えるようにするためには、ものすごい大きな開発投資が要るわけですけれども、この10年、15年は、例えばアリアンロケットであるとか、そういう商売として動いている仕事を凌駕して、大規模投資をするという状況にはない。アメリカは、スペースシャトルが古くなったので新しくしよう、そういう動機はあります。そのための開発投資はある。ですから、今の需要の延長、あるいは今の需要を賄うために全く新しいロケットを作るという動機は、現在の時点ですぐにやれということではない。
  もう1つ申し上げたいのは、今、申し上げましたように、需要が膨らむのはもっと先の、先というのはコストダウンの目標が1けた以上のところにありますから、そういうところで発生する需要、これをここでは未来の需要と呼んでおりますけれども、そういう世界をマネージするというのが新しいロケットですけど、そういうふうにとらえますと、ゴールをこの辺に定めるとすれば、我々はロケットを新しくするという研究開発、それから使い捨てロケットをどこまで維持するか、そういう図式で見ますと、研究する立場としては、このところでどういう状況を作っていればいいかということが、今の課題なんだろうというふうに、この絵は見ていただきたい。ここでクエスチョンマークをつけましたが、ここでどういう状況を作っていればいいかということであります。
  旅行の仕事については、先日来、利用部会でもお話しさせていただきましたので、簡単に触れますけれども、そういう背景のもとに旅行ということはまじめに考える。片や、太陽発電衛星というのは、宇宙開発事業団、宇宙研、それから最近は経済産業省の中でも研究委員会ができて研究されておりますが、そちらを参考にしていただく。旅行の方はどんなことをやっているかということを少しお話しさせていただきます。数年前まで旅行のことというのは、研究の仕事としてやっていいかどうか、そんな議論がありましたので、この仕事は日本ロケット協会という学会、ある種の任意団体のボランティアの集まりとして、技術の話だけではなくて、先ほど申しましたような経済性であるとか、社会的な側面、インターフェース、それからどういう人が使うのだろうか、そういうことをいろいろ考えていく。きょうは詳細に申し上げる時間がありませんけれども、一応マーケティングというのをやって、どれぐらい需要があるということをやって、その結果として、どういうロケットを作ればいいということをやっております。アンケート調査で行きたいと言った人が全部行くというような楽観的な仮定をしますと、年間に100万人のお客さんに、切符を1枚100万円で売って商売をすれば、年間に1兆3,000億円の収入がある。例えば現在の航空輸送というものの規模というのはもう少し大きいですけれども、それに匹敵するぐらいのビジネスチャンスはある、そういうことをここで示しています。これがわかりますと、どんなロケットを何機作ればいいかということがわかりますので、それで設計をしてみたロケットは、「観光丸」という名前なんですけど、このロケットであります。
  きょうはこの詳細というよりも、これをいろいろ検討するに当たって考えたことの一面を少しお話しします。
  1つは、運行のための費用のことであります。3つ棒がありますけれども、一番下は使い捨てロケットの一発の打上げにかかる費用の内訳です。真ん中の線はスペースシャトルの運行経費の内訳であります。一番上が先ほどの旅行をするためのという運行経費であります。一番下のロケットは、もちろん今のロケットは1発打ちと1機の製造費がかかるわけですから、かなりの部分がロケットの生産。射場運用、これもかなりお金がかかっているんですが、ポーションとしては小さい。これを繰り返し使うようになると、ロケット1機で10回飛びます、100回飛びますということで、全くの商売としてやるセンスで言いますと、借金をしてロケットを作って、あるいはロケットを買って、その減価償却をする。そういう概念が複数回飛行ということでは発生してきますけれども、スペースシャトルはそういうことをやったわけですけれども、御存じのように、年間飛行回数が当初予定した、これは需要との関係がもちろんあるわけですけれども、今、この仮定の場合は年6回の飛行ということで、1回当たり400億円。大体1万2,000人ぐらいの人を年間、コントラクトでキープしておいてやっているような仕事の規模でありますので、これぐらいの規模の運用のためにかかる費用が当然必要になるということは、その数字から算定できます。それでは、先ほどの観光丸に切符を1枚100万円で提供して、年間100万人運ぶとどうなるかというと、1回のフライトを1億円でやらなければいけない。そのために必要な経費はというと、これはエアラインの飛行機をボーイングから買って、日本航空が運行するというようなイメージでここに書いてありますけれども、減価償却分というのは約1割ないし2割になる。それから、運行費、燃料費、あるいはその地上の直接・間接経費と、こういうものがほとんどを占めている。
  要するに、2けたダウンとか1けたダウンとか簡単に言いますが、その中身というのは本当に正真正銘の1けたダウン、正真正銘の2けたダウンというのは、中身というのはこういうものである、あるいはこういう世界であるということを理解した上で話をするということが必要ではないか。これはその比較のためにその主張をしているわけです。したがいまして、ここで指摘されているもう1つ大事なことは、飛行回数というのがないと、いくらいい再使用のロケットを作っても、使う人がいなければ1回当たりのコストというのは当然下がらないわけで、先ほどの需要との連携、あるいは需要との関係においてロケットを考えるということの重要さは御理解いただければ、ここで言いたい部分のかなりは理解していただけると思います。
  それからもう一つ、違う話になりますけれども、ロケットの信頼性を上げよう、これはこの1年、2年のロケットの失敗をもとにして盛んに言われているわけですけれども、再使用のロケットというのは、そういう信頼性を上げるという、単純に99を99.99にするという路線の延長にあるのかというと実はそうではない。それはもちろん必要ではあるけれども、必要な条件のうちの1つであって、例えば飛行機とかほかの乗り物を見ると、故障しても何とかなるようにしておきなさいというシステムを作るということで、全体としての安全を確保していくということになります。したがいまして、単に故障しないものを作るのではなくて、故障しても大丈夫なものを作るということですね。システムの構築方法というのが全然違う、そういうことを申し上げている。ですから、再使用、再使用と一言で言っても、その内容は今、私が経済的内容で申し上げたこと、それから安全、あるいは信頼性の意味で申し上げた、今のロケットとは違う考えでやらないといけない。その一端を、我々が旅行の研究としてやった結果をお見せしているわけです。
  したがいまして、ここから人が乗る話になるわけですけれども、当然のことながら、左側の欄の、故障を想定した設計、あるいは失敗しない、再使用が効率的にできる、その延長として人が乗るという話は自然に当然出てくる話。これをどういう順序で物事を進めることが合理的であるかということが次に考えられることでであります。
  したがいまして、旅行というと、あるいは人を乗せるというとフワフワした仕事かというイメージでとらえられがちなんですが、我々は極めてまじめにやっているつもりでありまして、将来必要な、あるいはゴールのイメージを明確にして、そこで必要なものを1つ1つ抽出して今の仕事につないでいく。そういう立場であると御理解いただければ、この仕事の意味がわかっていただけるかと。そういう意味で、2けたダウンと言ってもフワフワいっているだけではだめで、かなり現実は今と違う世界を作らないといけない。考えを変えよう、それに近いのが我々の主張ではあります。
  それはそれでゴールのイメージを明らかにするという仕事でありますが、片や、我々、これは研究所の仕事として民間投資とかそういうのではなくて、税金を使った研究開発としてさせていただいているわけですけれども、頭にそういうイメージを置いて、ではどうアプローチしたらいいか、とりあえずできることからやろう、こういう実験をやっております。きょうは、この実験のことを申し上げるのがもちろん目的ではありませんが、例えば先ほどの使い捨てロケットと再使用のロケットとの相違ということを非常に強く意識して、ここを設定する。要するに、効率的に繰り返しする、あるいは何かあっても下りてくる、そういうことを実践してみると、さらに問題が具体化するであろうという意味であります。そのつもりでこういうことをやっています。
  その中で1つ感じたことを少し、きょうの話の関係で申し上げます。これは何をやっているか、その実験の準備をしているところで、実は燃料の液体水素を注入しているところであります。現在、ロケットの仕事は、H−2ロケットでもそうですけれども、液体水素を燃料にしているわけですけれども、燃料を充てんする間は、危ないので皆さんどいてください、立ち入り禁止です、水素は恐ろしいものだから近寄ってはいけません、そういう形でロケットの仕事をしています。
  次の絵をごらんください。実はこれは、BMWが液体水素を燃料に車をもう既に走らせています。当然のことながら、液体水素は取り扱いの仕方によっては非常に危ないわけですけれども、もちろん人が乗る車です。それから、次の絵にもありますけれども、燃料を補給しないとならない。この絵は資料に入ってはいないかもしれません。ガソリンスタンドみたいなことをどうやるか。
  こういう例をお見せしたのは、1つは水素のエネルギーというのは、これから燃料電池のやり方にしろ何にしろ、これから一般的になってくる。そのときに、ロケットの人は水素をずっともう何十年もやってきていまして、何か皆さんの役に立っていますか。先ほどの例のように、ロケットは特別だから、世の中とはちょっと違うやり方をしてもいいんだということではなくて、安全の切り口で、例えば、これは車のとおりやれというために言っているのではないんすけれども、むしろロケットの人が考え方を変えたらどうかということの例として申し上げたいわけですけれども、当然、人が乗るやつに水素というのは相入れないものだとかいうようなことでやっていると、世の中からはどんどん遅れていってしまうのではないか。むしろ古い考えを捨てて、もちろんこの車の仕事というのは先ほど申し上げた経済活動として回転する仕事の場面ではあるわけですから、古い考えに固まってロケットは特別だという世界に閉じこもっているのがよくなくて、そこから出ないと、先ほどのような未来の姿が寄ってこないのではないか。そういう例としてお見せしました。車の真似をしろと言っているわけでは決してない。ただし、我々が実際、先ほどのような小さな実験機を運用してみると、こんなものがあったらいいなというのは当然思うわけですけれども、やはりそのための投資というのが必要で、車の場合はそういう投資をする資金が潤沢にあると。あるいは競合他社に負けないようにしないといけない、そういう動機がもちろんあるわけですけれども、ロケットの場合、そういう場面にさらされないということも、ある意味でよくならない理由の1つと。私自身もロケットをずっとやっていますので、それを言っているばかりではだめだと。
  それからもう1つ、この絵は甚だふざけた絵で申しわけないんですけれども、1回飛ぶものを作ってみると、どうやったら人が乗れるか考えるという人は当然出てきます。この絵を書いて、ではこういう状況を本当に作ればいいかというと、今のこの実験機ではそんなことは当然、危なくてできないわけですけれども、どうしたらいいかというのを考える場面は、やっぱりものをやってみると提供されるという意味で、実際ものをやると、つまり具体的にそういうものを考える場面が得られてきます。そういう意味で、やはり実証なり、あるいは頭の中だけではなくてものでやるということの大事さというのは、我々としても実感していますし、全体のプロモーションとしてはそういうことをできれば前に進めていただきたいと、これは希望でございます。
  そういう、我々のゴールのイメージの考察、それから実践としてできることからやろう、あるいはそれをこう発展させたいというときに、学んだことを参考にして、今から、例えば有人をどう進めるかということを考えるのであれば、その中で出てくる問題というのは多分こういうことであろう。黄色の中は、システム構築の仕方が使い捨てロケットとは全然違うんだと。そこは飛行機を参考にするなり、車を参考にするなり、今まで普通の乗り物のシステム構築によく学んで、ロケットの古い世界から抜け出た形で構築手法を考えなければいけない。それから、安全については、先ほどのような、水素のそばに人がいるというようなときに、どういう状況を作れば乗っていいと言えるかというのは、今はそのロケットについて安全基準がない。高圧ガスの基準というふうなことはありますけれども、それをそのまま適用するわけにもいかない。そういうところで、そこをどうやるか、そこについて非常に幅広い考察が、あるいは検討が要るであろう。
  それから、人間をどういうふうな役割で乗せるか。究極はお客さんですから、電車や飛行機の役割というのにはなると思いますが、役割ということなんですけれども、開発段階でどういう形で人間を乗せていくか。実は、この話をいろいろ進める過程で、飛行機会社のテストパイロットの人にいろいろ意見を聞いたりしたんですけれども、やはり、最初の開発段階は何かあったら人間を救うという場面は飛行機にかなりよる。救えるようなシステムを作る。要するに人間をその機械のループの中に入れろということになると、これはまた、今のロケットの制御にしろ飛行の仕方にしろ、違った考えで設計をしなければなりません。この辺の考察を十分にしないと、要するに、実験機にしろ何にしろ、人が乗るシステムの仕様を作るということすら今はできない。そういう検討を十分する。我々の検討がその取っかかりになれば一番いいと思います。
  それで、その次に入ります。ここは、開発ステップというつもりで書いたわけですけれども、横軸は時間と思って見ていただきたい。上に行くほどゴールに近づいていく、そういうイメージで御覧いただければと思います。先ほどのような未来の需要が成熟して、それからロケットもよくなってという時代は、この5年とか10年では来ないであろうことは先ほどのお話のとおりであります。そうしますと、例えば20年の計画を1本今から起こして、1から20を全部コミットしろという形の計画というのは多分難しいであろう。そうするとどうやるかというと、段階的にやらざるを得ない。そのときにどういう段階を踏むべきかというのの1つの試案であります。
  最初は左の1段で、ここはいきなり人というわけにもいかないので、とにかくロケットが安全で繰り返し飛ばせることを示す。そういう実証を1回やったらどうか。それからその次に、先ほど来、有人の仕様を決めるために考えることはいっぱいあると申しましたけれども、そういう考察の結果を入れて、とりあえず有人の仕様のロケットを作ってみて、これがうまくいけば幸い、人が乗って試験をする。そういう形を2段目ではどうか。3段目、4段目とあるわけですが、1番最後は、先ほどの未来の需要に対応するような状況を作ればいいということで、3段目あたりから私の提案も具体性が欠いてくる。3段目あたりが、かなりどういう規模、内容にするか難しい選択になるかとは思います。最初の1段、2段で、例えば10年、5年終わって2段まで終わっているというのは厳しいかもしれません。それぐらいの時間かなと。3段目をどうするかは、いろいろ実際の利用、だれが使いたいか、それから、3段目は軌道に行くという機体になると、かなりの大規模開発になると思います。何千億円とか、場合によっては1兆円とかいう規模になるかもしれません。その場合、そこをどういう動機づけ、あるいはリーズンをもって有人仕様にしていくか。今、一生懸命将来について考えるという場面で、私はこういう形で主張をさせていただく。それから、一番下に青い欄がありますけれども、と同時に、これはその実証というような形で何か飛ばすものを作れということでやるという形ですけれども、その基盤技術の研究というのはもちろん重要で、それがないとだめだという感じ。それからもう1つは、この階段状にしたということの、例えば5年で1つのゴールを設けて、そのゴールが満たされたら次が加速されるといいますか、ここまでできたのなら次をやれという形で、世の中のサポートといいますか、そういうものができる形の段階のつけ方、そういうものが必要ではある。そのために、このやり方で十分かどうかはわかりませんけれども、例えばの提案としてこういうのがある。
  2段目の最後というのは、これは、単にイメージですけれども、昔、アメリカはX15という機体を飛ばして、これは宇宙に行く機体ではなく高度百何十キロまで上がって下りてくる実験機でありましたが、これは実は、1950年代から60年代にアメリカに登場するんですが、実はこれは200回近く飛行実験をした。私がイメージする先ほどの二段目の階段の終わりというのはこんなイメージで、要するに人がいるということで、いろいろ今の状態と全然違うだろうと。写真だけですけれども、ある種のイメージとしてほうふつさせるということであります。
  私が用意してまいりました資料としては以上ですけれども、先ほど井口先生がおっしゃったように、何で有人をやるかというようなところの疑問には答える資料としてはありません。1つは、もし申し上げるとすれば、先ほどの一番最初の方にあります矢印が並んでいた絵のように、未来の需要というのは必ずやってくると、私たちとしては思いたい。そのときに、レディーになっていることは日本として必要だと、それは1つのリーズンになるか。当然のことながら経済的な回転の仕方をする仕事としてやらないといけないわけですが、そのときに、国の研究投資が、先ほどの階段の何段目までが国でやるべきか。とりあえずは1段、2段というところをやって、先は見えてくるという、ちょっとそれは刹那的かもしれませんけれども。少なくとも1段、2段は国の投資としてやらなければいけないのだろうと思います。そこまでをコミットされたとして、先が開けるというような図式を皆さんに見せる。時間は20年あるわけですから、僕としては足りないのではなくてむしろ十分にある、上手にやればトップになる、そういう意気込みが必要なのではないか、私個人としてはそういうふうに考えます。
  ちょっと、漫画なんですけれども、違うものを持ってきました。これは先ほどお見せした実験機ですけれども、今、飛び上がりますけれども、例えば100キロぐらい上がって下りてくるというものを作って、ましてこれに人が乗っていれば、アクティビティーとしては、我々としては元気の出る仕事になるのではないか。これは20年、30年後の世界ですけれども。ですから、最初の1歩もこれだけしか、我々今、まだやっていませんが、これを次のステップ、次のステップと進めていくのはいかがでしょうかというのが先ほどの黄色い階段の絵であります。
  以上です。

【井口委員長】  どうもありがとうございます。
  それでは少し時間をいただいて、いろいろ議論をさせていただきます。

【栗木委員】  稲谷先生のアプローチが、ちょうど現在、中国が「神舟」という有人システムの開発を進めていて、従来の欧米の開発というのが人工衛星のカプセルの中に人間を入れて、それを地上にパラシュートかそういったもので取り戻していたという、それとは違ったアプローチ、私も大変これに賛同するところが多くて、是非これを実現したいものだと思っておりますが、そのようなアイデアというのは今回のロケット協会の中の輸送研究委員会というところで、特に、航空の事業をやっている人たちを輸送をやっている人たちの集団としていろいろ考えておられるということで、もしそうだとすると、仮に軍事というところが航空の歴史の中でかなり大きく介在しておりましたけれども、航空の発達の歴史を見ますと、いわゆるカーゴとパッセンジャー、両方あると思うんです。1つ伺いたいのは、現在のカーゴとパッセンジャーというのは同じ航空機を使って空を飛び交っているか。もし、今後の調査の中に入れていただければ。今、御存じでしたら大まかな割合も知りたいと思います。
  それからもう1つは、どうしてかといいますと、どちらかというと航空機の発達を見ると、命がややないがしろにされて、アメリカの大陸横断の郵便事業でかなりこれは発達して、命知らずのパイロットが輸送に携わってきた、そのときの生存確率なんていうのはかなり乱暴なものだったのではないかと思います。それでもビジネスとしてそれが展開してきた。カーゴとして展開してきた。そういうシナリオがあり得るのかというのが1つです。
  それからもう1つは、有人、仮に今度はパッセンジャーだけに限ってみましても、2番目の話は航空の観光に連なる最近のかなり高度な発展を見たわけですが、その最初の出だしのところを見ますと、どちらかというとかなり高いコスト、つまり、運賃であっても、ビジネスとか、サイエンティストとか、それからアーティストといったような人たちがかなりそれを支払って乗ったのではないか。したがって、アンケートも今後とられることがあれば、ビジネスのグループに声をかけて、あなただったら少し高くても使いますか、そうするともう少し早い時期に利用者が出てくるかなというので、今後やられる範囲に、カーゴの件と、それからビジネスの点を加えていただきたいと。
  特にそれを強く感じましたのは、1番最後の方のチャートで、有人仕様弾道ロケット実験機というのがあって、逆にこっちの方がひょっとするとビジネスの展開が早いかな、地球の裏側に1.5時間で行けますとかいうようなことになりますと、周回軌道だと宇宙での技術者のサポートなんかができると思うんですけれども、いわゆるビジネス展開だとすると、いわゆるサブオービタルフライトというのも極めて早い時期に展開するという可能性もありますので、是非、調査の対象にしていただければ。

【稲谷教授】  ちょっと全部に今お答えできる状況にありませんが、ハードから有人へというのは当然あり得る。ただし、今、本当に大量に運べという人が、どんな人がいるかということで、先ほどの定量化されている、これは我々が全部やるわけではありませんが、太陽発電衛星、有人。太陽発電衛星の場合は、規模は今の旅行のよりももっと大きくて、これをカーゴが先のときに太陽発電衛星を先に持ってくると、ロケットとしては難しいものが先に来ているという形に多分なってしまう。そうではないカーゴはどんなものがあるか、そこを考えるとどういう形になるか。
  それから、ちょっと話が御質問とぴったりかどうかわかりませんけれども、現在、航空輸送の人に聞くと、今の切符を買って飛行機に乗っている人の8割は自分のために乗っていまして、要するにビジネスじゃない。会社からお金をもらって乗っている人は2割しかいない。ゴールという意味で、そうなったときに、民間あるいは自分で100万円払って乗る人がどれぐらいかということで、この仕事をやってきました。おっしゃるように、それに至るまでに、やっぱり高くても仕事で乗る人はいる。それはどれぐらいの数か。それで客の成長というか、乗客数の成長、そういうことと横軸が時間のやり方というのは当然考えられる。

【栗木委員】  極端な例が、チトーさんがこっち側にいるので、それと今回アンケートをとられた方との間に、ビジネスだったら使おうかというような潜在的なモチベーションがもう1つあるのではないか。

【稲谷教授】  実は、このアンケートは92年にとって93年にまとめたというもので、多少バブルの時代のアンケートということで、今やるともっと少ないのではないかという意見もあります。あまり少なかったら、ちょっと恐ろしいんですけれども。今おっしゃった視点は大事だと思いますので、検討させていただきます。
  それから弾道のビジネスという、これもやはり、荷物として宅急便的なものなのか、何かちょっとよくわかりませんが、ただし1つの例として、アメリカ空軍がこの手の再使用を引き続きやっているというのはあるらしいんですね。DODでまだエンカレッジされている状態は死んでいない。それは多分、一発有事のときに、30分で落ちてくると、わかりませんけれども、どんと展開する、そういうポテンシャルというのはかなりある。ですから、軍事とそれとの区別は当然しなければなりませんけれども、そういう需要は弾道でもいいと、ただし30分で行けるということはあり得ると思いますが、その辺でもちょっと利用は考えてもいい。

【澤田委員】  安くなれば安くなるほどいいんでしょうけれども、先生が想定されておられる100万円で宇宙のどの辺まで行ってくるんですか。

【稲谷教授】  これは軌道に入る能力を与えるべきですので、低軌道ですね。ですから、この場合は400キロとかそのぐらいの軌道です。そこから上の月に行けとか静止軌道に行けとかいうのは想定はしておりません。

【澤田委員】  100キロぐらい、1回ぐるっと回って、はい、終わりと。

【稲谷教授】  1回だけでなく何回でも回れます。ただし、そこがまた旅行でもいろいろ議論があったんですけれども、最初の旅行の機体をどうするべきかという、上にホテルがあることを前提にして、じゃあ、ホテルに泊まりましょうというのを前提にしようか、あるいは何周か回って体験をして下りてくることにしようか。もちろん、ホテルもまだない状態で、どういう状況でビジネスの設定をするか、そこは問題の設定によると思いますけれども、ホテルはだれかほかの人が作ってくれるので、私たちは行くことだけに専念すればいいという状況はまず最初は来ないでしょうから、とにかく地球を何周かして下りてくる。
  それから、話を簡単にするために、上で何日という滞在にすると、上で生活するとか、病気になる人が出てくる。それに対応しなければいけない。二、三時間、地球2周、3周なら、多少のことは我慢しろというわけではありませんが、ある種のジェットコースターに乗るものの大規模なものというか延長と、そういうことでも需要はあるのではないか。その辺はいろいろ議論をして、こういう問題設定にしようと。ですから、これはあくまで問題設定の問題ですので、能力的には地球を回る軌道に入れるという能力でロケットは決まってしまう。そういう状況で話はいたしました。

【澤田委員】  乗るときに、特別な訓練みたいなのが必要になるんですか。

【稲谷教授】  今、宇宙飛行士がどういう訓練をしているかというと、ほとんどは非常事態に備えた訓練。ノーマルオペレーションでは逆にほとんどやることがない。それは、機体をどう安全に、何かあっても安全に作るかということと対応する。それから、3GというGに耐えるとか、それから無重力に耐える。そこを非常に短時間であれば、非常に簡単化した検査、当然病気の人はだめだとか、年齢がどうのとかいうことはあるのかもしれませんけれども、短時間の飛行にしたというのは、そこを簡単にしたいということも思っている節がある。当然のことながら、名古屋大学の環境医学研究所というところに何人か先生がおられて、そういう環境に対して適応するかしないとか、どういう条件を満たす必要があるかとか、その辺も具体的にまとめてあるんですけれども、そこも非常に大事。ただし、ただ飛んで環境に耐えるということだけであれば、ある種の簡単なチェックで済むのではないかというふうなことで、多少の楽観も入っていますが、思っています。
  例えば、冗談で言うんですけれども、まず最初にちょっと厳しい、きついジェットコースターに乗ってもらって、それで大丈夫な人がまだ次に行きたいと言ったら次に乗せる。そこでダウンしそうな人はそこでだめという。ディズニーランドの後ろにこれを作ったらどうと、冗談半分ではありますが、一般の人という意味では、そういう人相手のことをいっぱい考えなければいけない。もともと我々はロケット屋ですので、その辺をいいかげんにやっているという印象を持たれるだろうということは容易に想像できますので、その辺こそしっかりやらないといけないと思っています。

【川崎委員】  今の先生のお話とは少し外れるのかもわかりませんけれども、最後の紙に関連して、人的資源で現在の時点でどのぐらい、今、現におられる数はどれぐらいいるか。

【稲谷教授】  残念ながら有人のことを今まじめに考えている人は非常にマイノリティーで、大変だ大変だと言う人はいっぱいおられます。そこを何か束ねて、目標をうまくしてみんなをまとめていくには何が要るかというと、やはりさっきの雰囲気を作るのもステップワイズではないかという気がするんです。ですから、最初の段階で全ての世の中のサポートなり、そういう技術者の集団も全部レディーにならないと進められないというか、多分進まない。まず、易しい階段を何歩か上ったあとに、みんながそういう雰囲気になっていけば、頑張りましょうというふうに出てくると思います。先ほど来、車との比較で、ロケットはしょぼいというお話でしたけれども、現在ロケットの開発に携わっている人にこういうお話をすると、そんなのはできっこないと言われる。古いロケットのやり方からなかなか抜け出てくれない。飛行機のようにロケットをするということについて来れない人のほとんどはロケット屋さんだというのが、残念ながら今の現実ではある。我々としては、そうではない世界があって、それに近づくには古い考えではだめですよということの認知といいますか、そのためにもやはり話とか絵だとかだけではなくて、こうやれば繰り返しのロケットができるじゃないですか、何であんたがやらないんですか、そういう状況を作るのが、僕は一番、今、必要なことではないかと思います。
  だから、世間の認知も集団としての能力がつくのもステップワイズという意味で、そのステップワイズは考える、そういうふうに御理解いただければ。もちろん技術者が何人いるからできる、あるいはほかの何かを作るのに技術者が何人キープできるかという意味の技術者はもうちょっとたくさんおられると思いますけれども。やる気のある集団といいますか、そういうものを構成する、あるいはベクトルのそろった集団を構成するという意味では、やはり今の時点でみんなこっち向いて走るときに、いや、そんな私はという人がいることも多分事実です。そうなるようには、やっぱりちゃんとみんなで合意できるゴールを作ることと、それに向かって進むために第1歩や第2歩進んだ上で、もう一度周りを見てどうなっているか、そういう形のアプローチではないかと。あえて私はそういう状況をわかっていながらとんがっていることを言っているのは、それが目的でもあるということもあります。

【澤田委員】  夢が実現するというのは一番楽しいことだと思います。夢を持っちゃいかんということではないんだけれども、現実を見ると片道のロケットを上げるのにヒーヒー言っているというのが日本の現状なんですね。飛行機もできなかった、ロケットもあまり上がらないでという日本で、パッと集めて、往復の有人観光旅行ができるロケット、観光丸が日本でできる。そんなに商売になるなら世界中どこでも、何十年も前から人を上げているところがあるわけで、勝てるという見込みというのはどれぐらいお持ちなんですか。

【稲谷教授】  1つ例、違うことですり抜けちゃうかもしれませんが、アメリカが飛行機の世の中を支配していたときに、これではいかんということで、ヨーロッパがエアバス・インダストリーというのを作りました。当時ヨーロッパもドイツが戦争に負けて、日本も同じで、フランスはまあ元気で、イギリスはああいう感じで。そこを束ねて、ゆくゆくはアメリカに対向しようと頑張った結果、現在どうなっているかといいますと、アメリカはボーイング1つになっちゃって、それを凌駕するぐらいにエアバスは商売に成功します。それに20年の時間がかかっています。
  先ほども申し上げたように、成熟を今、全然していないですから、今作れと言っているのではないですけれども、将来のウェルネスといいますか、技術的なマチュリティーを20年後に作っておくためにというプロモーションが、今、打上げに四苦八苦しているから排除されるかというと、私はその立場をとらなくて、例えばエアバス・インダストリーの成功、あるいはアリアンスペースですね。アメリカが将来だ、将来だと言って、シャトルのようなものを作っている間に、わっとビジネスでとっちゃったと。やり方の問題があって、それは文部科学省ではないかもしれない、ほかの役所かもしれないですけれども、そこはディシジョン・メーキングなりポリシーなり、その範疇の仕事ではある。ですから、技術屋がしょぼくれていて、ディシジョン・メーキングがしょぼくれるとやっぱり何もできません。ディシジョン・メーキングを頑張ってください、技術屋はこんなにやりますよというのは、私たちは精神としては健全ではないかと。ですから、できるかできないかの判断、これだけではもちろんありませんけれども、私はそういう例もあるし、やり方の話であって、ゴールに向けて頑張ることを否定するということは。ただそのゴールなしに、やみくもに研究費だけ出せというのではないというところを私は強調すべきではないかと、そういうふうに思いますけれども。
  すいません、お答えに多分1割も答えてないかもしれないですけれども、考えとしてはそういう考えでございます。

【川崎委員】  例えばスペインのガウディの教会とか、構想してからでき上がるのにはかなり時間がかかりますよね。彼らにはそういう下地がある。弊国は、そういう意味でいうと20世紀に、遺物と言うと悪いですけれども、モニュメントとして21世紀に何を残したかというような構想はだれもなかったでしょう。そういう意味でいうと、大事なんだけど、ゴールセッティングと、そのディシジョンと、それを10年かかっても20年かかってもメインテンしていくというのを、アリアンスペースなりエアバスのようなスタミナが、政府を含めて、国会も含めてあるかなというところで、僕はやりたいけれども悲観的ですね。5年ならばもつんですけどね、日本は。

【稲谷教授】  そこを小から中から大へというふうに。ちょっと今の一つ前の御質問に対する、これは手前味噌になるかもしれませんが、旅行の仕事はロケット協会でやっていることは、国内よりはむしろ外国の方が先に進展。アメリカは連邦航空局が、日本はこんなことをやっているらしいと。日本に日本宇宙輸送協会というのがあるんですが、そこが少し動いて連邦航空局に働きかけたんだそうですが、先ほどの耐空性審査要項、あるいは安全基準みたいなものを先に作りだそうと、いろんな経過はあるんですけれども、ある意味でロケット協会で旅行についてまじめにやっている仕事が、これはビジネスになるというふうに向こうにとられて、それでやり出したものだと。
  ある種の、こういう未来の需要に対する研究というのは、太陽発電衛星もそうですし、日本もこれから頑張ろうというところもあります。旅行も、今でき上がっている世界では、当然そのままで勝負しようというのは無理。ない世界をどう見るか。それは正しいと説得させて、そこでまだ頑張る余地がある。それもなければ先のことをやる元気が出ない。我々としては、そういった立場はとりたくない。そんなことですから、わからないからやらないのではなくて、わからないからやるんだと、あるいは自分たちでイニシアチブをとると。その余地は10年は無理かもしれませんが、20年、30年という時間。もちろんどうせ国際協力になるだろうからという話はあります。だから部分だけやれと。それはまた、いつも議論になりますけれども、やはりワンセットのシステムを作れるというポテンシャルを持つ。そのためにやる方向で頑張るというのは、我々としてはいいと思うと。

【井口委員長】  いくつか伺いたいんですけれども、今のお話で、先生のようなこういう形での有人化というのは先生だけですか、世界で。アメリカでもやってませんか。アメリカでは、もう別に、有人というのは何もこんなことしなくたってということなのでしょうか。

【稲谷教授】  そうですね。スペースシャトルというのがありますし、アポロ以前から歴史があります。今、アメリカとロシアはでき上がった世界を持っています。今から始める立場としてはヨーロッパ、日本、中国。ヨーロッパは、今、有人とは言っていないです。ただし、先ほど来の話で、虎視たんたんというか。

【井口委員長】  やりたいとは思っていると思いますけれども。

【稲谷教授】  オフィシャルにはなっていない。
  それから、先ほど井口先生がおっしゃったように、中国との差別化という、差別化が目的ではありませんけれども、やはり古い使い捨てロケットに人を乗せるというスタイルで新しいことをやっています、ただ人は行きました、ロケットは無理ですというよりも、ロケットの将来の姿と有人がタイアップしたプロモーションをするというのは、私だけというとちょっと何か変ですけれども、そういう環境に置かれているのが日本とかヨーロッパですね。そういう意味で、今からどうキャッチアップしていくかというところで、このアプローチというのは、これは大きな声では言えませんけれども、今、表に出ている話としては、こういう段階でやった状態では確かに日本に私1人というと変ですけど、この提案だけかもしれません。もちろんバックグラウンドのところではいろいろ考えております。

【井口委員長】  幾つかほかに伺いたいんですけれども、日本が今、宇宙開発でもって世界をリードする立場にはない。日本とは無関係に欧米は、ほかもそのうち参加するかもしれませんけれども、宇宙開発というのは進んでいくわけです。その中で、もう既に有人はあるんだけれども、ビジネスも含めて、宇宙旅行というのはどのぐらいで立上がっていくのか。それが急速に立上がっていくのであれば、こういう方式で呼びかけるというのはプラスなのか、あるいはもうどんどん進んじゃうんだったら、遅れてこういうことをやったってしようがないということになるのか、世界の趨勢というのはどんな感じですか。

【稲谷教授】  アメリカが今どういう状況かといいますと、スペースシャトルが今、運行していますけれども、あれは先ほど言ったように、コスト的には全然当初の目標を達していない。ただシャトルが古くなるので、シャトルリプレースメントなんかして、この5年、10年前からその議論が多かったんですけれども。もう少しチャレンジングなことをやろうとして失敗して、計画がつぶれちゃって、次、どうするか。やっぱりシャトルリプレースメントがないと、シャトルがなくなったらアメリカは有人の手段を持たない。これは読みになるかもしれませんが、2010年ぐらいに、今、シャトルリプレースメントを本気でやらないといけない。そのとき作るものはどんなものかと考えたときに、20年、30年先のゴールをあえて進むのではなくて、もう少し手前の近いステーションに物を運んでいく。やはり、僕は、先ほどの未来と現在の需要を世界別に見ると、現在の需要に対して何かやるようなシステムを安く提供するという形で多分出てくるんだろうと思います。
  ですから、それが一たんできるとまた何十年も使うわけですから、その次というのはまたその次のサイクルがかなり後になる。そうすると、人のサイクルの合間に、何かこそっとやるというようなセンスではないんですけれども、やはりこういう開発はアメリカであっても、そんなに頻度が高くできるわけではない。ゴールをどこと見るか、いつと見るか。よそがこういうサイクルで動こうとしているから、我々はこのサイクルで動こうと。そういう時間軸のずれみたいなものを利用するというと変なんですけれども、そういう考えでものをとらえる。要するに、外国がこうだからそれと同じのを追いかけるのではなくて、ちょっと姑息なやり方かもしれませんが、逆にそのサイクルがこうだったら、我々はこの先のこのサイクルのこの時点ではここでこんなものができていると、そういう考えは私は難しいと。その意味で、時間軸が書いていないんですが、何年後というのは、20年、30年で今ではないということを多分言いたいだけの20年、30年という言い方をしますが、ここは私は非常に難しいと思う。
  それから、太陽発電衛星はどうやったら実現するかというのは、やっばりエネルギー問題はどう進むかということですね。ほかのエネルギー源がどうなるかですね、環境の問題とか、原子力がどうとか、そういう関係でも決まってくると思いますので、この時間軸をつけろと言われると、もう本当に単なる未来予測、目先の未来予測に近いものになるかもしれませんが、やっぱりやればあるんだということは、多分、現実のものになると思うんですね。私としては、どこかの席でも申しましたけれども、21世紀になったら何か考えようという、去年ぐらいまでは一生懸命みんな言っていたんですけれども、21世紀になったら途端にだれも言わなくなった。21世紀はまだ100年もあるので、次22世紀になるときにまた同じことを言っていたらつまらないので、やっぱり何かやっていないと、100年の仕事の区切りというか。

【井口委員長】  NASAのリユーサブル・ランチ・ビークル・プロジェクトですか、忘れましたけれども、あれは2020年ぐらいの計画で安全度が今の100倍でしたか。

【稲谷教授】  そうですね。

【井口委員長】  値段が幾らと言いました?

【稲谷教授】  コストは第1世代、第2世代というのがあって、10年で第1世代、25年で第2世代というんですが、その値段が10分の1、100分の1と。

【井口委員長】  20年後は。

【稲谷教授】  20年後は、100分の1になるためには、需要がないと、絶対100分の1にならないというのが先ほど申しましたとおりですね。ですから、そこがロケットだけで閉じて話をしている人たちは、どうも考えが足りないか、わかっていて言わないか、勘違いしているかであって、ここはやっぱり全体の図式を、私の方から全体とは言いません、それ以外にもちろんもっといっぱいあるわけですが、そういう広い視点で1けた、2けたという数字は言わないと、正確ではないし、正直ではないというのが私の意見です。需要と供給はやっぱりこういう関係を保つということです。スペースシャトルが去年なんて年4回しか飛んでいないですね、400億よりもたくさんかかって。そこをできちゃったからいくら高くてもいいやという立場はもちろんあるかもしれませんし、国がそうなった状態でも補てんして。そこを正真正銘の商売ですという状況はアリアンでもないということです。アリアンでも通常の投資というのは税金を使ってやっているということで、そこら辺を正真正銘で行くのか。そこは何かないと、アメリカさえ、ヨーロッパですら100%の商売と言っていますけれども僕はできていないと思っています。

【井口委員長】  我々も30年ぐらい先を見たビジョンを考えているんですけれども、そのころの世界はどうなっているか。30年ではまだ不足かもしれませんけれども、40年、50年になれば、ある程度の宇宙旅行というのは実現しているのではないだろうか。また、ことしの初め、21世紀に入ったマスコミの論調を見ても、21世紀は宇宙の時代だという論調もありますし、また、その子供たちも早く宇宙へ行きたいというニーズがありますから、あとは安全性とコストですよね。もちろんニーズとのバランスが必要ですけれども。だからコストというのはもちろん数によりますけれども、ニーズよりは我々は技術屋だから、何となく見通しがつけられそうな感じ、感じですがしますよね。

【稲谷教授】  技術的にはいくらでもお金をつっこんでいいという環境がもしあれば、それは何でもできるというのは、我々技術のスタンスとしては持っておるわけですし、現にそれはできると。

【井口委員長】  それは現実の問題を踏まえなければ、いくらでも金をつぎ込んでいいなんてことは。日本から比べれば、NASAだとかアメリカはいくらでも金をつぎ込んでいる感じがしますけれども。それでも30年たてば、100分の1ぐらい、あるいはそれ以上、それ以下というか、なり得るのか。そうするとある程度の需要が出てきて、ある部分の宇宙旅行というのは可能になるのか。そうであるならば、日本は今、先生がおっしゃったように、一番最後は見えにくいですけど、一番下のグリーンのあたり、今からもう有人宇宙はやめちゃおうかなんていう、そんなことはないじゃないかと、先生も言っておられるし。だから今は、先生がおっしゃったように、10年後とか20年後に完全に決断しましょう。それまではコツコツと基礎的な勉強をしておきましょうと。それが1つの考え方だと思いますけれども。私の方はそんな考えを持っておりますけれども。そういうビジョンかなという。どうですかね、それは。

【川崎委員】  それだと学生が来ない。

【井口委員長】  来たって就職先ないですよ、それは。

【稲谷教授】  税金を使ってやる仕事だから、世の中のサポートというか、我々今まで、この何年か、いろいろな宇宙研とかがあるし、基礎研究にもかけなくてはいけない。その充実だけで、こんなのを研究中だからやらせろ、やらせろと。結局それで何が加速されたかというと、今の規模の研究は続けられるかもしれないけど、もう1段加速といいますか、世の中の認知というんですか、サポートというんですか、もうちょっとやってみろというような雰囲気が、いくら上等の研究を実験室でやっても、いくら上等の計算をシミュレーションをやっても、1発出るのは、飛んでみせるとかですね、何か違う、今までより進んだんだということを形で見せる。そのためには僕らとしては、飛ばして見せるのが一番いいというのが一つの考え。ないお金でさっきのようなこともやっているわけですけど、あれで進めるのかどうかしりませんが、ああいうことの積み重ねなんだろうと。今、井口先生がおっしゃるように、基礎研究ももちろん大事で必要条件の一番大きな部分ですけれども、それだけで前に加速することに対して十分かというと、やはり外から見える形で、デモンストレーションというとただのサーカスみたいなことになるんですけれども、僕らのやっていることも、あれはただ危ないことだけやっているだけだから何の意味もないという方もおられますし、違う意見も出てきますけれども、少なくとも、何割かの人がサポートしてくれているんだなというので、頑張っているということもありますので、それはそれで、黄色の段をいつ始めるか、どの規模で始めるか。小規模ならハザードが低いということであれば小規模でも、あるいは予算的に少額でも始めることがあれば意味のあることというのは、それはできるだろう。今、ロケットの人たちと話をしているのは、今の輸送系のH−2も含めた全体予算の10%とか、そういうのはこういうのをやれと言われればこんな形状にしますよというようなことは、条件さえ当てはめれば作れるというふうなお話もしています。ですから基礎技術と実証といいますか、両輪でいきたいなと私個人は思っております。

【川崎委員】  やり方として、1人でやっていないで、騒いで作ってというようなことが一番いい。僕は「あすか」のように既存の胴体を半分にして、あとはみんな生かして、変えるべきエレメントのエンジンであるとか、フロッパーだとか、ああいうところだけを改造して、それでとにかく実験機に曲がりなりにも仕立てたという、ああいうやり方を考えていただくという。

【稲谷教授】  お言葉かもしれませんが、中国との比較で、中国がいきなり長征ロケットで行くときに、ドーンと1発軌道に乗せた。これは、小さいのでもある仕事を小から中から大へと、こういう発展の仕方をさせるということですから、わりと最初のハザードを低く、だんだんというのがいいのかと。僕らはふだん扱わないので、そういう発想しかできないということがあるかもしれませんけれども、下からだんだんにというアプローチがとれて、最後はゴールが宇宙でしたと、そういうアプローチだというふうに御覧いただければ、大きなコミットメントでどんとやれというよりも、少しずつおまえらやってみろと。その次、ここまでちょっとやってみろと。それ式で、例えば高度をどんどん上げていって、何回目かに宇宙に行くという、そういうアプローチが自然ではないかと。再使用の機体というのはまさにそういうことができる機体なんで、ロケットなら1発でドーンで終わりですから、次また新品を作ればいい。繰り返し使える機体というのはそういう開発の進め方にフィットするということもあるので、小から中から大へ、下から上へ。上に行くによっては、すごく大きな決心が要る。入り口を易しくしていくということ。

【井口委員長】  これは私は知らなかった。先生のと違うんですか。

【稲谷教授】  違うと思います。

【井口委員長】  そうですか。では、こういう関係のことをほかにやっておられる方がおられたら、いいですね。これは、ただ、アイデアだけかもしれない。つまり、世の中まだまだ、日本だって広いはずですよ。

【稲谷教授】  そうですね。今後に向けて輸送系の委員会の中では、その話は出てきていません。それはどこかの系列と、どなたがやっておられるかも、間接的にはお伺いしていますが。

【澤田委員】  輸送系をどうするかというのは、これからの宇宙開発にとって1つの大きなテーマだと思うんです。それが有人と結びつくというのは、私はちょっと納得がいかない。たとえ人間が乗ったとしても、観光旅行といっても100キロ、熱海ぐらいまでですね。映像は、人間が見るよりもっといろんな正確なものをとろうと思えば100キロからのものは見れるわけです。シミュレーションで体感もさせようと思ったら、いろいろできるでしょうね。
  それと広大な宇宙というときに、人間が行ける距離なんていうのはたかが知れているんですね。100キロが1,000倍になろうと、宇宙を探検するには、宇宙を知るには人間が行かなければできないということは、これは人間が行けるところしかわからないという宇宙だとすれば、非常に情けないと思います。ですからむしろ、太陽電池を作るとかいう話だって、人間が行ってトンカチやらなけれはできないという話ではなくて、ロボットで当然そういうものが変わっていくべき話でしょう。ですから、遠い将来を眺めた場合に、有人というのが目標というのではなくて、それはあったっていいと思いますけど、観光を否定するものではないけれども、それが何か一つの大きな目標だというものにはなり得ないんじゃないのかなという、これは私の個人的な見解ですけれども。だから観光はする必要はないんだとまでは言いません。だけどそれは、それのために輸送系がかくあらねばならんというか、どういう段階でという話に結びつくのかなというと、その辺に私はクエスチョンマークがあるんですよ。

【川崎委員】  リアリストとロマンティストの違いでしょう。

【澤田委員】  いえいえ、だから意味はいいんです。

【稲谷教授】  我々、ロケット屋が次のロケットをどう開拓していくべきかというのが最初の切り口で、ここまで来ちゃったわけですけれども、やはり、ロケットは普通の乗り物のようになれるかということと違いはないと思います、人が乗っている、乗っていないという話は。目的に合理性を持たせるのは、最後は感性の話だったり、個人の考えの話になってくる。何が大事かも価値観の違いだと思うんですけれども。ロケット屋としては、そういうロケットになっていくべきだし、やればできると思っていて、行く必要があるかどうかの議論を多分我々がすると、水掛け論になったりする。価値観のところで合意形成というのは、多分ない。やっぱりならないと思っちゃうと進まないと思うと、なると思って頑張るという人はいないと困るかなと。

【澤田委員】  僕は否定するのではなくて、途中、遠い将来の宇宙開発ということを眺めていけば、そのプロセスの中でおのずと出てくる問題だろうな、解決される問題。そのためにやるというにはちょっと目標が少し。

【井口委員長】  ただ、自動車技術、あるいは生産でも、日本は一応世界を席巻しているんですよ。最近ちょっと落ち目かもしれませんけれども。例えば、今世紀の中ごろの未来にちゃんと宇宙旅行の需要が出てきた、存在するようになったときに、飛行機と同じように、今、日本の航空というのはボーイングとエアバスから飛行機を買ってきて飛んでいるわけですね。それでもいいよというようなわけでなくて、ロッキードのロケットと、それからエアバスかどうかわかりませんけれども、外からのものに乗ればいいよということなのか、少しは日本で飛行機の二の舞を踏まないで、自分で何かやろうよという、そのあたりのことなんだと思うんです。時間もかけるから、今、あきらめちゃわないで、少しずつ勉強しておいて、ある時点で先生のおっしゃった、ある程度の将来の見通しが来たときに決断できるんじゃないか。そのときまで、何もやめることはないではないか。相当いろいろと時間がかかりますからね。そういうのが私の発想で、決断は先延ばしするということでもあるんですけれども。

【澤田委員】  ですから、効率的な安い輸送系をどうするかというテーマなんですよね。日本は今、たまたまH−2だとかといってやっている段階であって、それをあたかも別の問題のためにやりますという話にはならないのではないのか。やはり段階というものがあって、それが全く別のために、有人のために別のロケットが必要だという、そのためには必要だろうけれども、目標はそうではないのではないかということなんです。もちろん無人で性能のいいやつで、安いのが出れば、それは機材を乗っけるかわりに人間がたまたま乗っていたっていいですよねという世界になるだろうということです。ですから何を重点にやっていくのかということをやっぱりちゃんと踏まえておかないと、一番の問題は優先度の問題なんですよね。要らないとはだれも言わない。

【井口委員長】  多分その話は、来週か再来週ぐらい、ここでちゃんとやることになるだろうと思います。

【川崎委員】  問題は時間軸ですよね。時間軸をどこに置いた目標をセッティングをするかという。

【稲谷教授】  おっしゃっていることは、これが何かはわからないですよね。ここでどれだけ頑張るかという話で、横でこいつらを、これはR&Dの世界です。小から大へというふうに、もしこの時代まで目標にするんだったら、ここをどういうふうに進めますか。例えばさっきのストックはいかがでしょうと。

【栗木委員】  たまたま、私も同じ宇宙研の出身で、糸川さんの血が流れているかどうか知りませんけれども、ペンシルロケットを飛ばしたというのは、基礎研究でバルブをコチコチやったあげく、あれが出てきたのではなくて、デモンストレーションをやったんですね。あれからカッパーになりミューになりという、デモンストレーションと初めて世の中に実証の証といいますか、それを立ててきた、それは確かにステップだった。ただ、ずっと基礎研究をやればそれが結実して、ある日突然M−V(ミュー・ファイブ)が出てくるかというとそうはいかない。ですから、今のシナリオでも、やっぱりそのステップごとのデモンストレーションが大事ではないか。それを言っておられるのではないか。
  この前、NASDAの人たちの意見も聞くと、OREX、HYFLEXとやってきたと。あれは部分、部分でつなぎつなぎの一部分のパスだけを試験してきました。しかし通してやりたいという極めて強い要望があって、それはやはりオービットまで達して、それが地上に戻ってきたということをデモンストレーションとして、今までせっかく部分、部分をやってきたんだから、通してやりたい。極めて私も何のためにあれを投資してきたのかなということもありまして、もうあそこまで来ているではないか。あれを是非やってもらうべきじゃないかな、そう思います。ですから、大事なのは、デモンストレーションの積み重ねということ。それから研究室における地道な技術基盤の蓄積というのがあると思いますけれども、やはり表に向けてここまできましたという証を出すということは私は大事ではないか。
  それから、澤田先生がさっきおっしゃっておられたようなことも、カーゴとして使ってきたという航空の歴史があるじゃないかというのをやはり私も稲谷先生にサーベイをお願いして。近未来の目標というのはそちらから入ってくるのではないかということを私も感じています。しからばおれも乗ってみようかという、そういうことは確かに時の流れとして考えられるのではないかと。したがって、そこをやはりサーベイしてくださいというのが私の最初の要望なんですけれども。

【川崎委員】  いろいろ目標の問題があると思うんですけれども、日本国全体の産業構造のことを考えたときに、ハイテクと言われる、3メジャーといいますね、製薬会社の製薬と航空機、それから今、宇宙なんですよ。日本はどれもだめなんです、2つはね。ここで宇宙もやめたら日本の将来の製造業はないですよ。そういう危機意識が私にはあります。現在の就業人口が第2次産業が800万ぐらいなので、22%ぐらいですしね。だから、もの作り日本のシンボルは、ハイテクはだめなんですねということになる、そこは防ぎたいというのは副次的な目標として考えたいなと思っています。

【井口委員長】  来週から我々の中で、少し御指導お願いします。

【川崎委員】  はい、少し議論させていただきたいと思います。

【井口委員長】  特にほかにございませんか。よろしいですか。
  先生どうも長時間ありがとうございました。また、何度もいろいろお願いしていてお願いしにくいんですけれども、お願いすることもあるかもしれませんが。

【稲谷教授】  どの辺までお願いされていいかわかりませんけれども、よろしくお願いします。

【井口委員長】  ありがとうございます。
  それでは、その他の宇宙開発の現状報告を調査国際局の北村さんお願いします。

【北村】  それでは駆け足で御説明をいたしますが、この1週間の現状報告をさせていただきます。
  宇宙開発委員会につきましては、こちらの本委員会以外の活動はございませんでした。国内の動向ですが、月曜日、御存じのとおり、宇宙3機関統合準備会議の第2回が行われています。
  それから、宇宙開発に関します海外の動向でございますけれども、少々古いニュースで恐縮なんですが、これまでに報告していなかったものですから、追加させていただきます。18日でございますけれども、GPSの信号精度につきまして、アメリカの国防総省の方から新しい標準が発表されております。実態上、2000年5月に大統領からそれまで発せられていました選択的利用性(SA)、こちらの民生用の利用に限って信号精度を起こすという措置でございますけれども、こちらが解除されておりましたけれども、これをきちんと利用をDODとして成文化した標準が発表されております。これによりまして、旧標準におきまして、精度100メートルあったのを36メートルというふうに改善されております。
  それから10月24日(水)でございますけれども、まさに先週のこの会議のときに井口先生の方から御指摘がありました、2001マーズ・オデッセイの方ですけれども、火星周回軌道に無事到達しております。こちら、今現在かなり長いライン軌道を回っておりますけれども、今後、火星大気薄いんですが、そちらによりますブレーキ作用によりまして、徐々に円軌道に移行するという予定になっています。
  それから、昨日になりますけれども、一番最初の画像を取得したようでございまして、こちらはまだデータの加工等、分析をしている最中でございまして、公開はされておりませんが、近日発表するというような状況になっております。
  それから、25日(金)でございますが、ロシアの方から軍事用の通信衛星が打上げられております。
  それから、本日でございますけれども、ISSの方からソユーズ宇宙船が切り離しをされまして、一応ここの紙は、世界標準時の4時58分ですから、日本時間で言いますと午後1時58分になりますけれども、帰還予定というふうにしておりましたが、まだ正式に連絡が来たわけではないのですが、報道によりますと、若干遅れまして帰還が成功しているというような情報も入っております。また、正確な情報が入り次第、御連絡することにいたします。

【井口委員長】  どうもありがとうございます。
  それでは前回の議事要旨につきましては、後ほど御確認をお願いいたします。
  以上で第40回の宇宙開発委員会を閉会にさせていただきます。ありがとうございました。

─── 閉 会 ───


(研究開発局宇宙政策課)

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