令和2年度教科用図書検定調査審議会総会(第1回) 議事録

1.日時

令和2年9月17日(木曜日)14時00分~15時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 教科書検定の改善について(審議要請)
  2. 会長等の選出について
  3. その他

4.出席者

委員

安達委員,荒川委員,荒木委員,家近委員,五十嵐委員,大池委員,小野寺委員,金子委員,上沼委員,川窪委員,黒沢委員,氣多委員,河野委員,斎藤委員,重原委員,清水委員,鈴木委員,高山委員,東委員,宮本委員,森委員,森下委員,山内 進委員,山内 豊委員

文部科学省

矢野大臣官房審議官,神山教科書課長,高見教科書企画官 ほか

5.議事録

【山内(進)会長】   所定の時刻となりましたので、ただいまから、教科用図書検定調査審議会総会を開会いたします。本日は御多用の中、総会に御出席いただきありがとうございます。
 本日の出席者は、お配りしております座席表のとおりであります。定足数である過半数を満たしております。
 本日の会議は、「教科用図書検定調査審議会の会議等の公開について」第1に基づき、人事に係る案件を除き公開することとなりますが、新型コロナウイルス感染症拡大の防止を図る必要があるため、一般の方の傍聴については御遠慮いただき、あらかじめ申出のあった報道関係者に限り、傍聴を許可しております。
 録音の申出についてもこれを許可しております。またカメラ撮影については、議事の冒頭まで許可しておりますことを申し添えます。委員の皆様におかれましては、御承知おきのほどよろしくお願い申し上げます。
 傍聴される報道関係者の方々におかれましては、人事に係る案件となる議題2に入る前のタイミングで御退席いただくことになりますので、あらかじめ御承知おきお願いします。
 それでは、まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
【高見教科書企画官】   お手元の議事次第を御覧ください。本日の配布資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1-1から資料4、また参考資料1から参考資料3を紙でお配りしております。また、机上配布資料といたしまして、義務教育諸学校教科用図書検定基準、高等学校教科用図書検定基準、教科用図書検定規則、教科用図書検定規則実施細則の4点が、お手元の緑色のフラットファイルにつづってございますので、適宜、審議の過程で御確認をいただければと思います。
【山内(進)会長】  どうもありがとうございます。資料に不足等がありましたら、事務局のほうにお申し出ください。

議題1
 それでは議事に入ります。本審議会に対して、文部科学大臣より審議要請がございます。ついては、事務局から審議要請の内容と、その理由の説明をお願いいたします。
【矢野大臣官房審議官】  初等中等教育局の担当審議官の矢野と申します。教科用図書検定調査審議会の審議要請理由の御説明を申し上げたいと思います。
 教科書は、児童生徒の教育にとって極めて重要な役割を果たしている主たる教材でございます。これまでも、児童生徒によりよい教科書が提供されるよう、随時、教科書検定をはじめとする教科書制度やその運用の改善を図ってきたところでございます。
直近では、平成28年9月8日、文部科学大臣から本審議会に対しまして、教科書検定の改善について審議要請を行い、翌29年5月には本審議会において、次期学習指導要領の実施に向けた教科用図書検定基準等の改善、デジタル教科書の導入の検討に関連した教科用図書検定基準の改善、検定手続を改善するための教科用図書検定規則等の改善について、提言を取りまとめていただきました。
 この提言に基づき、文部科学省においては、平成29年8月以降、順次制度改正を行い、いずれも一昨年度の小学校の教科書の検定から適用されているところでございます。本審議会の委員の皆様方の御尽力に対しまして、この場をお借りしまして改めて御礼を申し上げたいと思います。
 それでは、お手元にお配りしております資料1-1を御覧いただきたいと思います。
 今回、本審議会におきましては、「教科書検定制度の改善について」といたしまして、まず(1)教科書検定手続の改善方策について、(2)教科用図書検定基準の改正について、御審議をお願いしたいと思います。
 1枚おめくりください。資料1-1の別紙を御覧いただきたいと思います。
前回の制度改正から3年が経過いたしまして、この間の、「1.趣旨」に書いてあるような状況を踏まえまして、教科書検定手続の改善方策について御検討いただきたいと考えております。
 具体的には、「2.検討事項」に記載されておりますとおり、1つ目は新型コロナウイルス感染症対策としての教科書検定手続の改善方策について、2つ目に社会情勢の変化を適時反映するための手続の改善方策について、3つ目に申請図書等の適切な情報管理のための改善方策について、4つ目に検定審査不合格に関する手続の改善方策について、最後にその他関連する制度等の改善方策について、御審議をお願いするものでございます。
 もう1点は、現在、中央教育審議会の初等中等教育分科会におきまして議論されている、新しい時代の初等中等教育の在り方との連動を図り、児童生徒に言語能力及び情報活用能力を育成する上で、教科書における資料の内容を児童生徒が適切に読み取れるようにするため、教科用図書検定基準の改正について御審議をお願いしたいと考えております。
 今後のスケジュールについてでございますが、文部科学省といたしましては、本審議会からの御提言を基に、検定手続の改善につきましては可能な限り早く制度改正を行い、施行してまいりたいと考えているところでございます。このため、本年11月中をめどに、本審議会の審議の報告を取りまとめていただきますと大変ありがたいと考えております。
 私からの理由説明は以上となります。どうか御審議のほどよろしくお願いいたします。
【山内(進)会長】  ありがとうございました。矢野審議官は所用のため、ここで退席されます。どうもありがとうございました。
 また、恐縮ですがカメラ撮影はここまでとさせていただきます。御了解をお願いいたします。

 それでは、ただいまの審議要請を受けまして、本審議会での検討体制について御提案をしたいと考えております。説明をお願いいたします。
【高見教科書企画官】  それでは、お手元の資料2を御覧ください。こちらは、教科書検定制度の改善に関する検討体制についての案としてお示しさせていただいております。
 ただいま矢野審議官から申し上げました、この審議要請を受けまして、教科書検定の手続及び教科書検定基準に関する諸課題について、具体的な改善方針を検討するため、教科用図書検定調査審議会の第1部会から第10部会までの各部会の分担事項の総括的事項を御担当いただきます総括部会というものを開催して御検討いただいてはどうかと考えてございます。
 総括部会には、別紙のとおり、第1部会から第10部会に分属し、各部会の議論を取りまとめてくださっている委員の皆様にメンバーとなっていただいてはどうかと考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
【山内(進)会長】  どうもありがとうございました。以上のとおりであります。
 検討体制をまず決めて、その上で審議をしていく、検討していくということでありまして、そのために総括部会を開きたいということです。総括部会のメンバーについては資料2の別紙のとおりであります。
 このことにつきまして、皆様のほうから質問ないし御意見がありましたらどうぞ。
 よろしいでしょうか。それでは、原案どおりの検討体制で了承されたということにしたいと思います。どうもありがとうございます。検討体制についてはこれで進めたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、第1回総括部会は、本日15時30分より開催いたしますので、総括部会委員におかれましては、総会終了後、本会場にお残りいただきますようにお願いいたします。
 続いて、本審議会での検討事項につきまして、資料に基づき、事務局から御説明をお願い申し上げます。
【高見教科書企画官】  それでは引き続きまして、先ほど御説明申し上げました資料1-1、及び1-2を御覧ください。
資料1-2は、先ほど審議官より御説明申し上げました審議要請の内容を記しました資料1-1の補足資料として作成したものでございます。資料1-1、別紙の「2.検討事項」、ここに掲げた項目ごとに、現状と課題、検討事項の詳細についてまとめてございます。
 まず(1)教科書検定手続の改善方策について。こちらにおきましては5つの検討事項を挙げております。
 1つ目、新型コロナウイルス感染症対策としての教科書検定手続の改善方策ですが、現状と課題といたしまして、現行制度において、教科書発行者は検定申請に当たり、申請書や申請図書、添付書類を直接文部科学省に持ち込みまして、教科書課の職員が立ち会い、受理を行うとともに、同時に審査料の納付を行っていただいているという状況でございます。
検討事項にございますとおり、新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえますとともに、今後の対策の観点から、また行政手続の簡素化といった観点からも、対面での申請書等の受理の在り方、及び検定審査料の納付の在り方を見直すべきではないかと考えております。
 2つ目、社会情勢の変化を適時反映するための手続の改善方策といたしまして、想定していることが2点ございます。(1)は、平成29年8月に、申請図書中にウェブページのアドレスやQRコードを掲載する場合の基準として、検定基準の2-(18)というものを作りました。こちらは、先ほど御紹介した緑色のファイルの教科用図書検定基準を御覧いただきますと入ってございます。
 検定基準の、教科共通の条件の「2.選択・扱い及び構成・配列」の(18)ということで、ページにしますと3ページ目の一番下でありますが、ウェブページのアドレス等ということで、検定基準に規定をしてございます。
 こちらが新設されまして、令和元年8月以降は、ウェブページの内容等に関する変更を行う場合には、教科書発行者からあらかじめ報告を受けることにより確認をしている状況でございます。
 こうしたウェブページやQRコードの参照先は、教科書そのものではないということなのですが、このような報告は教科書の内容と密接な関連を有する情報といたしまして、最新の情勢を反映する観点から有用な手続でございますので、当該報告を検定規則上明確に規定すべきではないかと考えてございます。
 (2)は、教科書の内容につきまして、客観的な事情の変更等によって訂正がなされた際、現行制度上は、教科書を使用している学校あるいは教育委員会に対して通知をすることとなっております。ただし、訂正の件数が大変多いため、逐一通知するのが困難な状況になっているということでございます。
 このため、多数の訂正の内容を学校現場等に迅速かつ確実に周知する観点から、より適切かつ簡便な方策は考えられないか、検討することが必要ではないかと考えております。
 2ページを御覧ください。3つ目の検討事項、申請図書等の適切な情報管理のための改善方策ですが、現行制度上、教科書発行者と文部科学省は、全ての図書の検定審査の結果公表までの間、当該申請図書等の内容について適切に管理しなければならないとされております。一方で、適切な情報管理が行われなかった場合であっても、特段の対応を行う制度とはなっていないという状況です。
 そのような中、昨年度、情報管理を適切に行わないで、検定に係る静謐な環境の確保が困難となる事案が発生いたしました。
検討事項といたしまして、今後一層適切な情報管理を徹底する観点から、どのような改善方策を講じるべきか、御検討をいただきたいと考えております。
 4つ目の検討事項、検定審査不合格に関する手続の改善方策においては、2点につき御検討をお願いしたいと思っております。まず(1)は、机上の緑色のフラットファイルの、教科用図書検定規則を御覧いただければと思います。
こちらの第7条の第2項、1ページ目の一番下に入ってございます。こちらに関する内容ですが、本規定は、検定、採択または発行に関して、不公正な行為をした申請者に対して、当該申請者が同一の種目に属する図書を次に申請した場合には、文部科学大臣は検定審査不合格とするという制度になってございます。
 ただし、これが現行の規定ぶりでは、例えば同じ図書の再申請を行った場合、あるいは当該検定審査中に不公正な行為をした場合にどうなるのか、どの申請について検定審査不合格となるのかが、必ずしも明確ではないという状況です。
 このため、検定審査不合格となる申請の範囲を明確にするため、検定規則の見直しを図るべきではないかと考えてございます。
 もう1点は(2)、不合格となった場合に、現行制度では再申請できる回数に上限がございません。教科書の編集や校閲といった、本来、教科書発行者が行うべきものについて、実際上、検定が本来の趣旨から離れて利用されているといった事態も発生してきております。また、不合格図書の2回目以降の再申請につきましても、年度内再申請を認める規定ともなっております。
このため、不合格図書の再申請の回数に上限を定めるとともに、2回目以降の再申請の期間は翌年度としてはどうかと考えておりまして、この点につきましても御検討をお願いしたいと思っております。
 次に3ページを御覧ください。5つ目の検討事項でございます。その他関連する制度等の改善方策では、主に3点について御検討をお願いしたいと考えております。
 (1)ですが、昨年度、新元号「令和」の発表が4月1日にございました。施行は5月1日ということでございましたが、申請図書は4月になる前に大方刷り上がっているという状況でございまして、教科書発行者はその段階の発表を踏まえた内容で申請図書を作成することは困難といった状況がございました。
 こういった、新元号の制定や、あるいは市町村合併があって、市町村名が変更されることまでは分かっているけれど、その名称が決まっていない段階とか、申請後にならないと正確に記述できないことがあらかじめ分かっている事項の、申請図書における書き方につきまして、現行制度上特段の決まりがございませんので、こうしたことについて検定規則の実施細則というのがございます。こちらも緑のフラットファイルにつづっておりますが、かなり運用上の詳細な規定がございますので、この中で明確にしてはどうかというのが(1)でございます。
 (2)は、教科書検定におきましては、申請図書に使用する写真や資料等につきましては、適切に権利処理がなされているとの前提に立って検定を行っているという状況ですが、近年、適切な権利処理がなされないままに申請をされ、検定を行っていく中で懸念が指摘されるとか、あるいは検定後に、写真に写った権利者との間で問題になるなどといったケースが増えてきています。
このため、申請時に添付資料で求めている出典一覧表というのがございますが、この中で、権利処理済みであるということを確認する仕組みを設けてはどうかと考えております。
 手続に関しては最後になりますが、(3)、今後、教科書検定につきましても、デジタル対応の在り方について検討を進める必要がございます。とりわけ外国語は、新出語のリストの電子データでの提供を既に要請し協力いただいているところなのですが、今後、申請書等の電子データでの提出も求めて、デジタル化への対応を順次図っていくこととしてはどうかと考えております。以上が、検定手続の改善方策に関することでございます。
 1枚おめくりいただきまして4ページ目を御覧ください。教科用図書検定基準に係る改正事項といたしまして、2点想定してございます。
 1つは、先ほど審議官からも御説明申し上げましたが、中央教育審議会のほうで、新しい時代の初等中等教育の在り方について議論をしているところであり、今後、児童生徒が主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造できる人となるように、言語能力・情報活用能力を育成していくのが重要であるとされております。
その中で、教科書を含めた教材自体についても、資料の内容を適切に読み取れるような工夫を施すべきであるということが言われております。
 このことを受けまして、検定基準におきましても、引用資料に係る基準というものがございます。先ほどの緑色のフラットファイルの検定基準の、先ほど2-(18)を御紹介いたしましたが、2-(9)から(11)といったところで、引用資料というのが規定してございます。これは義務も高校も同じなのですが、ここの規定の中で、「児童生徒が資料の読み取りや活用を的確に行うことができるよう」との趣旨を追加することが考えられるのではないかと考えてございます。
 基準に関してはもう1点、表記の基準というのが、基準の最後のほうにございます。別表といたしまして、表記の基準がございまして、その中に、用語・記号等ということで、基準の最後から2枚目のページの下のほうに、用語・記号等に係る表記の基準が最後のページにかけて書いてございますが、その中に、学術用語集に示すものについてはこれによる旨、規定がなされております。
 ただ、学術用語集の状況を申し上げますと、大半が絶版になっているというようなこと、あるいは最新の学術動向が必ずしも反映されていないのではないかという指摘もあることを踏まえますと、表記の基準から削除することも考えられるのではないかと考えておりまして、こうした点につきましても御検討をいただきたいと考えております。
 以上、審議要請に関する補足的な説明をさせていただきました。
 以上のような検討事項につきまして、今後開催が予定されている部会においては、お時間を少し取らせていただきまして、部会に属する委員の皆様の御意見を伺う機会を設けさせていただきたいと考えております。具体的な進め方につきましては、各部会長の皆様にお出しする資料とともに御相談をさせていただきたいと考えております。開催されない部会につきましては、事務局より、意見集約の仕方につきまして、改めて御相談を申し上げたいと思っております。
総括部会に分属された委員の皆様におかれましては、各部会で御審議いただいた内容について、これを10月頃に予定しております総括部会に持ち寄っていただいて、御審議を深めていただきたいと考えております。
 私からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
【山内(進)会長】  どうもありがとうございました。ただいまの御説明で、検討事項が幾つかあったわけでありますが、これについて、これから検討を進めていくことになります。各部会での意見も踏まえて、総括部会で具体的な内容を固めていきます。
本日は、こういう趣旨で、このようなことを考えていますということを、御説明いただきました。議論は今後進めていくことになります。今回ここに出てきているのは、ここで今すぐ何か決めるとかいうことではなくて、何か御質問や御意見などがありましたらたくさん出していただいて、それを踏まえて議論を進めていこうという趣旨ですので、どうぞ自由に、御意見などいただければと思います。
【森下委員】  質問よろしいですか。森下と申します。ちょっと教えていただきたい点が2点ほどありますので、よろしくお願いします。
 資料1-2、先ほど読み上げられたところですが、その最初の、申請図書等の適切な情報管理のための改善方策の、一番最後の行のところで、困難となる事案が発生したということですが、これがどういうことなのかお聞きしてもよろしいのかどうかという点が第1点です。
 2点目は、そのページのちょうど真ん中辺りに、「不公正な行為」というのが二度出てきますが、具体的にこれはどういう行為を指すのか、教えていただけますでしょうか。
【山内(進)会長】  では、お願いします。
【高見教科書企画官】  ありがとうございます。まず、静謐な環境の確保が困難となる事案ということですが、昨年度、検定の結果公表の前の段階で、申請図書の内容が世の中の皆様に伝わるような記者発表を、著者を含む関係者が行ったという事案がございまして、申請図書の内容につきましては、全ての図書の検定が終わります、通常ですと3月末頃までは、対外的にはお示しできないという状況にあるわけなのですが、その前の段階で内容が公になってしまったといった事案がございました。これが事案の内容でございます。
 また、不公正な行為ということで、ここで想定しておりますのは、現行の規定の中で、検定規則の7条2項を御紹介いたしましたが、これを規定した際には、教科書の採択におきまして、採択期間中に、例えば金銭の授受をするとか、白表紙本を見せて現場の先生の意見を伺うといった事案が以前ございましたことを踏まえて、そうしたことをもって不公正な行為ということで規定をしているところでございます。
【森下委員】  ありがとうございました。
【高見教科書企画官】  ただし、今回のこの「不公正な行為をした申請者に対して」というところは、幅広く読み得るものと考えておりますので、例えば先ほど申し上げたような不適切な情報管理があったという場合も、この不公正な行為に該当するのではないかと考えているところでございます。
【山内(進)会長】  よろしいでしょうか。趣旨はそういうことでありまして、内容については今後、具体的に検討していくということになると思いますが、問題提起の趣旨はそういうことだと御理解いただければと思います。
ほかにございますでしょうか。どうぞ。
【清水委員】  御説明ありがとうございました。検定審査不合格に関する手続の改善方策というところで1つ御質問させていただきます。
 (2)の現状と課題というところで、非常に、教科書として求められる水準に遠く及ばない図書が申請されたという例が、昨年度私の属する部会でそのようなことがあったかと思います。
 一方、私たちは多分、1つの部会にしか所属していないので、それぞれの教科でこういうことがどのように起こっているのかというのは計り知ることができません。例えば、「教科書として求められる水準に遠く及ばない図書」というのは、第2部会以外の、例えば数学や英語や音楽とかではないとは思うのですが、科目ごとに、あるいは扱っている教科書の内容ごとに、こういう状態が起きているという状況は異なるかと思いますし、そうであるとすれば、それぞれの科目でこういう事案が多く起きているところの意見をより多く集める、あるいは、全くこういうことはこの科目では起きていないということであれば、それはそれなりに対処するということで、かなり差があるかと存じます。その辺りについての情報を教えていただけましたら幸いです。
【高見教科書企画官】  1点は、清水委員がおっしゃったように、昨年度、第2部会で御確認をいただいた図書ということでございます。とにかく欠陥の箇所が非常に多く、ここに「編集や校閲」と書きましたが、非常に単純な書き間違いといったものも多く含むような申請図書というのが上げられたという状況であり、昨年度に関して申し上げれば、第2部会で御議論いただいたものというのがメインになってございます。
 先生の御趣旨は、教科ごとに異なる内容というのを把握した上で改善策を講じるべきといった御趣旨でございますね。
【清水委員】  付け加えますと、同じく、写真などの使い方、あるいは情報の取扱いといったことに関しては、恐らく第2部会が関わることが一番多いのではないかと推察いたします。
 その上で御質問させていただきたいのは、総括部会の委員名簿ですが、私はこの委員名簿の中で、恐らくいろいろな部会の方を1人ずつお選びになったのかなという気がいたしますが、今回の検討事項に関わる内容というのは、多くが第2部会に関するものであるとすれば、ある程度、第2部会に関わる委員の先生方を多くするなどしないと、つまり、総括の委員会で検討するときに、自分の部会はあまりこういうことには関係ないと思っていらっしゃる方と、すごく問題意識はあるけれど、そういう発言をされる方が1人しかいないということであるとすれば、正しく検討内容に関しての審議が行われないのではないかと、若干憂慮しております。
【高見教科書企画官】  すみません、ちょっと補足をさせていただきまして、先ほどの私の御説明で1点訂正をさせていただきたいのが、昨年度もう1つ、技術に関しても、欠陥箇所が多くて不合格という事例がございました。そちらも、先ほど申し上げたような誤記や誤植といったものがかなり多かったという事例でございます。
 昨年度はそうしたことでございましたし、またここ数年間を見たときにも同様に、誤記・誤植が多く含まれるような申請図書というのが散見されますので、今回、こうした御審議の内容をお願いしたいと考えておりまして、先ほどは、少し第2部会に偏ったような御説明をしてしまったのですが、そこは訂正をさせていただきたいと思っております。
 それから、今、御発言いただいたことも同じなのですが、御審議いただきたい内容というのが、決してこれは特定の部会に偏っているものではないと考えておりまして、ほかの部会においてもぜひ御意見、御議論をいただいた上で、お考えをお寄せいただきたいと考えております。
【山内(進)会長】  よろしいですか。第2部会のほうの審議につきましては、慎重にやりまして、正確に伝えるように努力したいと思いますので、よろしくお願いします。
【清水委員】  はい。よろしくお願いいたします。
【山内(進)会長】  ほかに何か、御質問等ありますでしょうか。どうぞ。
【重原委員】  重原です。2点ほどございます。1点目は、今ちょうど議論になっていたことと関係するのですが、ちょっと確認しますと資料1-2の2ページ目、真ん中より下の丸括弧2の現状と課題の3行目辺り、教科書の編集や校閲といった、本来教科書発行者が注意深く行うべき、また創意工夫を凝らすべきものについて云々とあります。
 これ、簡単に言いますと、てにをはの訂正からやらされているのですよね。誤字脱字とか。そういうことだと時間も取られるし、非常に委員の力もそがれるのです。ここに書いてあるのは検定審査不合格の場合だけなのですが、検定審査不合格まで行かなくても、そういうのがものすごく多いので、それに対して何らかの手当てをするべく、実際に罰則とか、金を多く取るでもいいと思う。
 これから先どんどん増えてきたら、本当に委員会が困りますので、そのことを考えておくべきではないかなと思います。第1点はそれです。
 第2点は、私は化学なのですが、サイエンスのほうからすると、この資料1-2の4ページの最後、学術用語集を削除しましょうというのは賛成なのですが、じゃあどうするのだという問題があります。裏づけを何かお考えでしょうかということです。これは、これからの議論になるかもしれません。
【山内(進)会長】  そうですね。
【重原委員】  ついでに申し上げておきますと、実際にサイエンスで困るのは、学術用語、高校だけで使われているへんてこな用語、それから産業界で使われている特殊な用語、同じ省庁、特に経産省ですが、その辺が使う学術用語と違う用語などが、ネットで蔓延するものだから、それがもう学会や大学と対立してしまっている。これらがごちゃ混ぜになっていて、今、非常にひどい状態です。だから、どれを裏づけにするのかというのは非常に大事なことだと思います。
【高見教科書企画官】  ありがとうございます。御指摘のとおり、ここでは不合格に関する手続の中で挙げさせていただいておりますが、実際には合格している図書につきましても、てにをはですとか、編集でミスしてしまったというようなケースがかなり散見されている状況がございます。ここを、我々も何とかして、本来的な内容面での検定意見というのを付していただけるような環境も整えたいということも常々考えながらやっているのですが、なかなか、これをやれば実効性があるというものも見つけ切れていないようなところもあるので、ぜひ、今後の御審議の中でも、こんなことができないのかといったアイディア等がございましたら、教えていただきたいと考えております。
【山内(進)会長】  もう1つ、学術用語集のほうはいかがでしょうか。
【高見教科書企画官】  学術用語集は、こちらは課題に挙げさせていただきましたが、削除してはどうかという検討事項として書かせていただいたのですが、今御発言のありましたとおり、ではその後どうするのかというところが、内部で相談したときにも懸念点としては出てきているところでございます。
 ですので、規定の仕方として、ではその後何によるべきなのかというのを、何か別のものをお示しできるのか、それとも数あるものの中から、それこそ学説として成立して、近年だとこの用語を使うことが多いとかを一つ一つ判断していくのが適切なのか、こういった辺りもぜひ、これは先生方の御意見をいただきながら考えたいと思っております。
【山内(進)会長】 どうもありがとうございます。なかなか大変な話ではありますが、よろしいでしょうか。てにをはの問題については前から問題になっていて、いろいろ努力していて、少しはよくなったのではないかと思っておりますが、そのことについてももう少し検討するようにということでよろしいかと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
【五十嵐委員】  五十嵐です。資料1-2の(1)の一番上の新型コロナの文章ですが、これは直接的で、かつ正直で大変分かりやすいと感じました。一方、最近はICTあるいは電子化技術が発展して来ておりますので、対応策がこれに代わる、直接面談しなくてもいい可能性もあると考えます。
 私の考えとしては、コロナのことは確かに歴史的なことですので、公的な文章に残すことはよろしいと思いますが、「ICTあるいは電子化技術の発展を踏まえ、また行政手続の簡素化の観点からも」と、そのように表現するのも1つの方法ではないかと思います。御検討いただければ幸いです。
【山内(進)会長】  どうもありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、大変貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。このことにつきましては、今たくさん意見をいただきましたし、今後も議論がいろいろな形で行われていくことと思いますので、それに対応がきちんとできるように話を進めることにしたいと考えます。よろしくお願いいたします。
 それでは、この方向で行くということで御理解いただきましたので、次に進ませていただきます。続いて、教科用図書検定審査要項の改正について審議したいと存じますので、まずは事務局から御説明をお願いいたします。
【高見教科書企画官】  それでは、お手元の資料3を御覧ください。こちらは、本審議会において御決定をいただいております教科用図書検定審査要項の改正案になります。
 背景から御説明を申し上げますと、検定における意見は、これまで運用上、4月から5月にかけての申請時点の学説状況等を踏まえて付すということを基本としてきております。一方で、社会の変化が著しく早くなっている中、児童生徒に対し、可能な限り最新の情勢変化を反映した正確な内容の図書を提供できるようにするために、検定申請後の学説の変化等を根拠として意見を付すように、今年度から運用の変更を図りたいと考えております。
 今申し上げた点は運用でございますので、こちらの審査要項の中には規定はございません。こちらはあくまで事務局の運用の変更になります。
 ただ、この際、検定申請後に発生した事象が申請図書に反映されていないと。これは当たり前というか、申請者の責めに帰するものではございませんので、申請者の不利益とならないように、本審査要項の改正案をお示ししているところでございます。
 審査要項の第1、申請図書の審査の3に、合格または不合格の判定方法が規定されております。(2)に、不合格の判定要件といたしまして、①検定意見相当箇所の数が申請図書100ページ当たりに換算して100以上あるもの、こういった規定をしております。
この3の(5)といたしまして、資料で赤字のアンダーラインをしているところですが、先ほど申し上げたように、申請後の事象に基づき検定意見を付したことが申請者の不利益とならないように、(2)の①における検定意見相当箇所の数には、検定申請後に発生した事象に基づく検定意見相当箇所の数を含まないといった旨を規定してはいかがかと考えているところでございます。
 加えて、1枚おめくりいただきまして2枚目を御覧いただきたいのですが、こちらには附則といたしまして、この改正後の要項を10月1日から施行することとして、一定の周知期間を設けるのが望ましいのではないかと考えております。
 私からの御説明は以上になります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
【山内(進)会長】  どうもありがとうございました。以上のとおりであります。変化が激しい時代なので、それに対応するようにするけれど、その変化のゆえに申請者が不利益を被ることがあってはいけないということで、それを配慮して新たに説明のように改正するということでありますが、何か御意見、御質問などございますでしょうか。
 よろしいですか。それでは、これで御了解いただいたと考えたいと思います。どうもありがとうございます。それでは、本改正案については原案のとおり可決ということを改めて確認いたします。
 議題1につきましてはこれで終了であります。次は議題2になりますが、会議冒頭で申し上げましたように、これ以降は人事に係る案件となりますので、報道関係者の方々におかれましては御退室をお願いいたします。

議題2
 会長の選出等について、以下のように議事が進められた。
 1. 会長から教科用図書検定調査審議会会長については、教科用図書検定調査審議会令で委員の互選により選任するものとされている旨の説明がされた。
 2. 会長に五十嵐委員が推薦され、決定した。
 3. 会長から教科用図書検定調査審議会会長代理については,教科用図書検定調査審議会令で会長が指名することとされている旨の説明がされた。
 4. 会長代理に高山委員が指名された。

議題3
【山内(進)会長】  最後に事務局から、今後の予定について御説明をお願いいたします。
【高見教科書企画官】  ありがとうございました。それでは、資料4を御覧ください。今後のスケジュールでございますが、本総会の後、引き続き、少し間は開きますが15時半より総括部会を開催し、部会長の選任等を行うことを予定しております。
 その後、9月下旬から10月中旬と書かせていただきましたが、この後開催される各部会におきまして、本日の審議要請の内容につき御審議をいただきまして、10月下旬頃になるかと思っておりますが、次の総括部会を開催、ここでは各部会で議論された内容につきまして共有化を図り、審議要請のテーマにつき御審議を深めていただきたいと考えております。
 その上で、11月下旬には総括部会の締めくくりの会を行っていただきまして、報告案を取りまとめていただく。その後、総会に御報告をいただくということで考えてございます。
 今後の具体的な日時につきましては、改めて日程調整をさせていただきたいと思いますので、御協力くださいますよう引き続きよろしくお願い申し上げます。
【山内(進)会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、本日の議事は全て終了いたしました。これで教科用図書検定調査審議会総会を閉会いたします。どうも御苦労さまでした。

 

お問合せ先

初等中等教育局教科書課