令和2年度教科用図書検定調査審議会総会(第3回) 議事録

1.日時

令和3年1月18日(月曜日)11時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 教科用図書検定規則の一部改正に係るパブリックコメントの結果等について
  2. その他

4.出席者

委員

   荒川委員,荒木委員,家近委員,五十嵐委員,井川委員,大池委員,小方委員,小野寺委員,上沼委員,川窪委員,氣多委員,河野委員,斎藤委員,清水委員,鈴木委員,高山委員,中野委員,東委員,宮本委員,森下委員,柳委員,山内 豊委員

文部科学省

   神山教科書課長,高見教科書企画官 ほか

5.議事録

【五十嵐会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、教科用図書検定調査審議会総会を開催いたします。本日は、お忙しいところ総会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

本日の出席者は、お配りしております座席表のとおりです。定足数であります過半数を満たしております。

本日の会議は、原則公開ですけれども、新型コロナウイルス感染症拡大の防止を図るため、一般の方の会場での傍聴につきましては御遠慮いただいております。それから、オンラインで傍聴をお願いしております。また、あらかじめ申出のあった報道関係者に限り、会場での傍聴を許可しております。録音についても、これを許可しております。カメラ撮影については、会議冒頭の配付資料の確認が終了するまでの間は許可をしております。そのような状況でありますことを委員の先生方は御承知いただきたく、よろしくお願いいたします。

それでは、初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【高見教科書企画官】 本日の配付資料でございますが、お手元の議事次第にございますように、資料1から資料5-3がメインの配付資料になります。オンラインで御参加の委員の皆様には、予めお送りしております。説明の中で資料番号を明示して御説明をいたしますので、御参照いただければと思います。

また、「机上配付資料」と書いてございますが、本審議会において、12月2日にお取りまとめをいただきました「教科書検定制度の改善について(報告)」を、こちらは今朝方、皆様にメールでお送りしておりますので、必要に応じてこちらも御参照いただきながら説明を御聞きいただければと思います。もし資料の不足等ございましたら、お申し付けいただければと思います。

【五十嵐会長】 ありがとうございました。資料に不足等ありましたら事務局にお申し出いただきたいと思います。よろしいでしょうか。

それから、恐縮ですが、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。

それでは、議事に入りたいと思います。前回の総会にて取りまとめられました「教科書検定制度の改善について(報告)」を基に、広く国民の皆様から御意見をお伺いした教科用図書検定規則の一部改正に係るパブリックコメントの結果等につきまして、事務局から御説明をいただきます。

【高見教科書企画官】 では、よろしくお願いいたします。本審議会において、昨年12月2日に取りまとめていただきました「教科書検定制度の改善について(報告)」を受けまして、検定規則等の改正に取りかかっているところでございます。検定規則につきましては、本日は、資料2としてお示ししておりますが、省令案の概要をお示しして、昨年12月10日から1月8日までの30日間、パブリックコメントを行いました。合計50件の御意見を頂戴いたしましたので、まず、いただいた御意見の概要と文部科学省の考え方を御説明いたします。

資料1の2ページを御覧ください。左側に「分類番号」と書いてございますが、こちらはパブリックコメントでお示しをした分類番号になります。

②といたしまして、ウェブサイトのアドレスにより参照させる内容の変更をする際、発行者が文部科学大臣に報告することについて必要な規定の整備を行うというものですけれども、こちらに対しては、主な意見の概要を真ん中にお示ししております。QRコードなどで参照する内容が、「児童生徒にとって不適切な情報」であるかは、どのような基準で誰が判断するのか。また、教科書記述、URLで参照する情報、いずれも保守政党寄りにならないよう注意すべきだといった御意見を頂戴いたしました。

これに対する文部科学省の考え方を右側にお示ししております。ウェブサイトにより参照させる内容について、例えば課金を誘導するようなサイトなど、児童生徒にとって不適切なものではないことなどを文部科学省において確認をしているところでございます。こうした確認が確実にできるように、参照内容を変更する際、発行者はあらかじめ文部科学大臣に報告する旨を検定規則において明確に規定するものですとしてございます。

次に、③の分類番号のところです。申請図書等に関する不適切な情報管理等があった場合の措置に係る規定の整備ですけれど、3件に全体をまとめまして意見を御紹介いたします。

1件目は、著作編修関係者名簿で誓約書の受領などの適切な情報管理の対策を講じたかどうか確認するという点について、誓約書の受領を求めることで著作編修関係者を萎縮させてしまって、現場の声を生かした教科書づくりが衰退してしまうのではないかとの懸念が示されております。それに対しましては、教科書の著作編修関係者は、現在でも検定申請に関する資料等について適切な情報管理を行うこととされておりまして、誓約書の受領は現在でも一般的に行われているものと考えておりまして、今回の改正により著作編修関係者を萎縮させるというようなことにはならないというように文科省の考え方をまとめてございます。

資料の3ページを御覧ください。2件目、3件目ですけれども、こちらは結果公表前に審査状況が明らかにされることで、なぜ静ひつな環境の確保が困難となるのか。ある発行者に対する検定の終了後、内容公表することは違反に当たらず問題ない等の御意見でございましたけれども、こちらに対しましては、結果公表前に申請図書に関する情報等を公表することで外部から特定の事項に対する賛否等の意見表明がなされて、同様の記述を含む他の図書に関する公平な審査が困難となる事態を招きかねないと考えております。そのため、現在も検定規則実施細則のほうで禁止されておりまして、今回の改正は当該規範を実効性あるものとすることで静ひつな審議環境を確保するため、対応として規定するものでございます。

次に、④の不合格図書の再申請に係る規定の整備でございますけれども、再申請回数を一律上限2回までとすると、よい教科書を作ろうとする発行者の努力が生かされないことにならないかとの御意見を最初にまとめさせていただいておりますが、こちらにつきましては、検定がおおむね4年サイクルであること、そしてこれまでの実績も踏まえますと、再申請回数を2回までとしても、発行者が編集や校閲をしっかりと行っていれば大きな支障を生じるものではないというふうに考えております。

また、再提出は、同じ年度の採択に間に合うようにすべきとの御意見を2つ目にいただいておりますけれども、こちらにつきまして、1回目の再申請は、一定の要件を満たしていれば年度内再申請ができることとなっております。こちらは義務教育諸学校用の教科書でございますけれども、まず、そういった仕組みがあること。また、2回目の再申請と検定決定を年度内に行うというのは、こちらはやはり日程的な問題から困難と考えているというようにお示しをしてございます。

4ページを御覧ください。分類番号の⑤、その他といたしまして、1つ目は、意見提出期間を30日以上とする行政手続法の規定に反していたのではないかとの御意見をいただきましたけれども、冒頭御説明しましたとおり、12月10日から1月8日までの30日間を確保して実施したことをお示ししております。

また、2つ目に、示した「概要」では具体的な規則等が明確に理解できず、透明性には程遠いといった御意見もいただきましたが、こちらに対しては、規則改正の趣旨等は、併せてお示しをした審議会の報告で明示をしています。加えて、概要には規則改正の内容が分かるように記載をしておりまして、概要によるパブリックコメントは、行政手続法に基づき一般的に行われている方法であるということをお示ししております。

最後の御意見ですけれども、こちらは検定規則実施細則の関係ですけれども、肖像権等の権利処理の関係について、出版社の中には零細な社もあるので、「出典一覧表」における確認はチェック欄を設けるだけにするなど、負担軽減に努めてほしいという御意見でございますけれども、こちらにつきましても、申請図書に使用する写真や資料等については、適切に権利処理がなされた上で検定申請がなされるということが前提となっておりまして、今回の改正はそれを念のため確認する趣旨のものであることから、発行者の負担を増大させるものではないと考えております。

以上が、パブリックコメントの概要とそれらに係る文部科学省の考え方になります。こうした御意見も踏まえながら、現在、制度改正に取り組んでおりますが、次に、資料の2と3に基づきまして、検定規則の改正案の現状版を御覧いただきたいと思います。
資料3が具体的な新旧対照表になってございますので、そちらを御覧いただければと思います。全体を通じまして、審議会の御報告をいただいた内容から法制的な精査をしていく中で、当初想定していたものと規定の仕方が異なるようになったものがございますので、そうした部分を中心に御説明をいたします。

まず、第6条といたしまして、申請図書等の適切な管理に係る規定を新設しております。これはもともと検定規則実施細則に規定があったものでございますけれども、今回の不適切な情報管理に対するペナルティに係る規定の新設の前提となる当該規定を検定規則において新たに明示する必要があるため、細則から規則に引き上げて規定することとしております。

次に、第7条に第3項を新設することとしております。当初、審議会の御報告の中では、第7条第2項に基づいて検定審査不合格の決定を行う事由の1つとして「不適切な情報管理があった場合」というのを追加で細則上規定することを想定しておりましたけれども、その後、法制的な審査をする中で、第7条第2項で想定しているのが、教科書無償措置法や独占禁止法等の法令違反をした場合であるとか、採択関係者への不当な利益供与などがあった場合の規定であるのに対しまして、情報管理を適切に行わなかった場合というのは、行為の性質として比較的軽度であり、区別して規定をするのが適当であるとの方向になっておりまして、このため第2項と区別して第3項を新設する案となっております。

第3項におきましては、申請図書等の不適切な情報管理、その他の検定審査に重大な影響を及ぼすものとして、文部科学大臣が別に定める行為を「特定行為」として定めております。特定行為を行った申請者による申請図書を、検定審査不合格の決定を行う対象に加えるというようにしてございます。その際、特定行為が認められた期間に着目しまして、どの検定審査における申請図書が不合格となるかという対応関係が明確になるように、第1号から第3号として場合分けをして規定をしております。

第1号は、検定期間中に特定行為が認められた場合には、当該検定審査において不合格になる旨を規定しておりまして、第2号は、検定期間中以外の期間に特定行為が認められた場合には、同一種目の図書について、直近の1の年度に行われる検定審査において当該図書が不合格になることを規定し、最後、第3号としては、第2号と同様になるのですが、検定期間中以外の期間に特定行為が認められた場合であって、特定行為がなされた図書が不合格となっていて再申請が可能であった場合には、直近の再申請に基づいて行われる検定審査において不合格となる旨、規定をしております。

なお、この第7条第3項におきましては、特定行為が認められた期間に着目して、どの検定審査における申請図書が不合格となるのかという場合分けをしておりますけれども、これがかなり複雑でございまして、今後の精査の結果によって、多少規定ぶりを変更していく可能性がございます。趣旨は御覧の案でお示ししたところから大きくは変更いたしませんので、補足をさせていただきます。

次に、第12条を御覧いただければと思いますけれども、第1項についてですが、法令違反や採択関係者への不当な利益供与等があった場合に当該図書の再申請ができないというのが第7条第2項で想定をしていることですけれども、こちらに関しては、12条の再申請の対象にはなっていないというのが現行制度でございます。

これに対しまして、新たに7条の3項において規定する特定行為の性質を踏まえますと、再申請を禁止することまで求めるものではないと考えられますので、このため第12条の対象として7条の3項の場合を含める旨、規定をしております。

第2項、こちらは資料3の3ページになりますが、第2項のほうですけれども、こちらについては、不合格図書の再申請は2回までとする旨を規定しております。このほか、検定審査料につきまして、対面での納付をしないといった御報告をいただいたところですけれども、総じて第13条に検定審査料に係る規定を新たにしているところでございます。

また、ウェブサイトの内容の変更の手続に関しましては、第15条の2としまして、こちらも新たに規定をしております。

以上が、検定規則に関する概要の御説明でございますが、最後に細則でございますけれども、資料の5-1を御覧いただけますでしょうか。資料5-1の、こちらが細則の新旧対照表になりますけれども、こちらの7ページを御覧いただければと思います。先ほど、「特定行為」というのを省令上新たに規定いたしましたけれども、7ページの(4)のところに特定行為の定義を書いてございます。特定行為とは、検定結果公表前に申請図書等の内容を公表すること、その他、検定結果公表前における当該申請図書等の情報の管理が不適切であることなどにより、少し飛ばしまして、検定審査に重大な影響を及ぼしたと認められる行為、これを特定行為として規定をしております。

その上で、上から3行目ぐらいから括弧書きがございますけれども、その中では、再申請がなされた場合には、不合格図書の内容で再申請がなされた申請図書に同様の内容が記載されている場合に、その内容に係る検定審査の結果の是非に関する議論を惹起させる行為などによって、申請図書の情報管理が不適切であったのと同様の事態を生じさせたと認められる場合も含むということを書いてございます。

こちらが特定行為の定義に関することで、次に、12ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは不合格図書の再申請の期間について規定をしているところになりますけれども、その中で、翌年度の再申請に当たる場合というのを列挙しているところですけれども、こちらのウといたしまして、第7条第3項、今回規定する特定行為をした発行者による申請図書が不合格となる場合ということですが、第7条第3項に基づき不合格となった図書をウとして加えております。この場合には翌年度の再申請にするということです。

加えて、エといたしまして、こちらはちょっと規定ぶりが複雑ですけれども、要するに2回目の再申請は翌年度とするということについて規定をしております。

次に、最後ですが、資料5-3を御覧いただければと思います。資料5-3は細かくなりますけれども、検定申請に当たっての様々な別紙様式を集めた内容になります。こちらの2ページを御覧いただければと思います。2ページに「著作編修関係者名簿」をおつけしていますけれども、こちらの表の最後に、「適切な情報管理の対策状況」について欄を加えまして、誓約書の受領などの対策を講じたかどうかを確認するようにいたしました。

また、全体を見ていただきますと、様式全体を通じまして、今回の押印の廃止に伴う改正を行っているところでございます。

また、少し飛びまして、29ページを御覧いただければと思いますが、こちらは、「ウェブサイトのアドレス等が参照させる内容の変更報告書」の様式を新たに追加しております。

また、35ページを御覧ください。こちらは「出典一覧表」でございますけれども、備考の4の(1)といたしまして、写真等の肖像権の権利処理の確認を行ってくださいということを書きましたのと、(2)といたしまして、著作物の掲載に当たっては、許諾を得ている場合を除いて、著作権法の第33条に基づき対応する必要があることに留意をしてくださいということで、著作権の確認というのもしっかり提出前にしてくださいということを促す内容をここに付記してございます。備考4の内容について確認しましたというチェック欄を設ける改正としております。

以上が改正内容の御説明となります。こちら、改正した検定規則実施細則の施行日について、概要のほうでも2月1日(予定)としておりますけれども、法制的な精査に少し時間がかかっておりまして、施行まで少しお時間をいただくことになるかなというのが現在の見込みでございます。調整が整い次第、官報に掲載をいたしまして、施行の前に皆様には御連絡をさせていただきたいというふうに存じます。

本日の私からの御説明は、御審議いただいた報告を踏まえまして、その後のパブリックコメントや具体的な制度改正内容に関する御報告という趣旨でございます。この後、御質問や今後の運用に際しての御意見などがございましたら、ぜひ御発言をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【五十嵐会長】 詳細な御説明をいただきまして、ありがとうございました。

それでは、ただいま事務局からいただいた説明の内容につきまして、御意見、御質問をいただきたいと思います。御質問のある先生方いらっしゃいますか。

(特に意見なし)

それでは、委員の先生方からの御意見、御質問はありませんので、議題1については終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。

続きまして、議題2、その他ということで、事務局から何かございますか。

【高見教科書企画官】 どうもありがとうございます。今後の日程につきましては、改めて、必要に応じて皆様に調整をさせていただいて御連絡したいと存じます。

以上です。

【五十嵐会長】 それでは、以上をもちまして本日の議事は終了したいと思います。

これで教科用図書検定調査審議会総会を閉会いたします。ありがとうございました。
 

お問合せ先

初等中等教育局教科書課