令和2年度教科用図書検定調査審議会総括部会(第3回) 議事録

1.日時

令和2年12月2日(水曜日)14時30分~15時15分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 教科書検定制度の改善について(報告案)
  2. その他

4.出席者

委員

   安達委員,五十嵐委員,小野寺委員,金子委員,氣多委員,河野委員,斎藤委員,重原委員,高山委員,東委員,松井委員,宮本委員,柳委員,山内 進委員,山内 豊委員

文部科学省

   神山教科書課長,高見教科書企画官 ほか

5.議事録

【五十嵐部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから教科用図書検定調査審議会総括部会を開催いたします。本日は、お忙しい中御出席をいただき、ありがとうございます。
本日の出席者は、お配りしております座席表のとおりです。定足数の過半数を満たしておりますことを御報告させていただきます。

本日の会議は公開で行いますが、新型コロナウイルス感染症拡大の防止を図る必要がありますため、一般の方の会場での傍聴につきましては御遠慮をいただいております。あらかじめ申出のあった報道関係者の方に限り、会場での傍聴を許可しております。カメラ撮影につきましては、議事の冒頭までといたします。録音につきましては、会議を通じて許可をしております。そのように御承知おきください。

それではまず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【高見教科書企画官】 本日の配付資料でございますけれども、お手元の議事次第にございますとおり、資料1といたしまして、「教科書検定制度の改善について(報告案)」をお配りしております。机上参考資料ということで幾つか書いてございますが、本日オンラインで御参加の先生方にはあらかじめメールでお送りさせていただいておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【五十嵐部会長】 ありがとうございました。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

それでは、議事に入りたいと思います。第2回の総括部会にて、各委員から審議要請内容について御質問や御意見を頂戴いたしました。事務局において報告案としてそれらを考慮し取りまとめておりますので、これから御紹介をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【高見教科書企画官】 では、お手元の報告案の内容につきまして御説明申し上げます。

それでは、報告案の1ページを御覧ください。「はじめに」という部分でございます。本年9月17日、文部科学大臣より「教科書検定手続の改善方策について」、及び「教科用図書検定基準の改正について」審議要請がありました。これを受けまして、9月17日の総会において、総会の下に本件について中心的に審議をする総括部会が設置されました。その後、各教科の申請図書について審議する各部会において本件についての審議を行うなど部会に所属する委員の皆様の意見集約を図っていただき、それを基に総括部会において審議を深めていただいた結果を本報告案としてお示ししてございます。

報告案の2ページを御覧ください。1、教科書検定手続の改善方策について、(1)新型コロナウイルス感染症対策としての教科書検定手続の改善方策です。これまで検定申請に当たり、対面による申請書等の提出と審査料の納付を行ってきたところ、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策を徹底する観点から、また、ICTの発展を踏まえた行政手続の簡素化の観点から、教科用図書検定規則実施細則を改正し、申請書等については郵送での提出も可能とするとともに、検定審査料については納入告知書による納付に切り替える方向で調整を進めることが適当であるとしています。

次に、(2)社会情勢の変化を適時反映するための手続の改善方策、①ウェブページアドレス、二次元コードが参照させる内容についてです。紙の教科書においても、動画や音声等を含めて教科書の内容と関連のある様々な教材にアクセスするためのURLやQRコード等が紙面に掲載される例が見受けられたため、文部科学省においては、教科用図書検定基準上に、申請図書中にURLやQRコードを掲載する場合の基準を新設いたしました。その上で、3ページのほうですけれども、URLやQRコードが参照させる内容は教科書そのものではないものの、教科書の内容と密接な関連を有する情報として最新の情勢を反映させる有用な手法であるため、URLやQRコードで参照させる内容を変更しようとする場合には、あらかじめ文部科学省に報告することとする規定を置くことが適当であるということで改善の方向性に書いてございます。

次に、②教科書の訂正に係る周知の方法についてでございます。発行者が検定済み図書の訂正を行った場合に、検定規則第15条第3項に基づき、速やかに訂正の内容を学校長や所管の教育委員会等に通知することとされています。ですが、検定済み図書の1年間の訂正件数は、こちら、5行目辺りに書かせていただきましたが、2万5,000件を上回るというのが現状でございます。こちら、発行者ごとに通知の方法も様々なので、学校現場に過度の負担をかけずに、必要な事項を確実に、かつ分かりやすく周知するにはどうしたらよいかという問題になります。

これについては、まず訂正の内容について発行者のホームページにおいて公表することが適当とした上で、学校現場において必要性の高いものを優先的に確認できるようにするなど、ホームページ上の掲載の仕方について各発行者において工夫することが望まれるとしています。その際、発行者ごとに掲載の仕方が多様になり、学校現場等において支障が生じないよう、文部科学省から各発行者に対してホームページ掲載の留意点を示していくことが必要であるとしています。さらに、訂正内容を確実に学校現場等に周知する観点から、発行者においてホームページに掲載した旨を学校現場等に対して一斉に通知する方法あるいは時期については、文部科学省において示すことが望まれるとしてございます。

次に、(3)申請図書等の適切な情報管理のための改善方策になります。現行制度上、文部科学省が申請図書の検定審査の結果を公表するまでは、当該申請図書や当該申請図書の審査に関する資料等の内容を適切に管理しなければならないとされています。一方で、申請者が適切な情報管理を行わなかった場合、特段の対応は制度化されていません。そのような中、令和元年度に検定申請を行った発行者が、文部科学省による申請図書の検定審査の結果公表前に、自らの申請図書に関する情報を外部の者に対して公表し、その結果、当該年度の検定に係る調査審議を行う上で静ひつな環境の確保が困難となる事案が発生いたしました。

改善の方向性を御覧ください。検定規則第7条第2項、これは脚注のほうに付してございますけれども、ここにおきましては、文部科学大臣は、図書の検定、採択または発行に関して文部科学大臣が別に定める不公正な行為をした申請者による同じ種目の申請図書について、当該不公正な行為が認められたときから直近の一の年度に限り、検定審査不合格の決定を行うというふうに規定されてございます。

文部科学大臣が別に定める不公正な行為については、同じく脚注8のほうに付しておりますけれども、細則に規定されております。具体的には、検定審査終了前の申請図書を採択関係者に対して開示し、対価を伴う意見聴取を行ったことが認められた場合などが列挙されています。

6ページを御覧いただければと思います。この列挙されている中に、文部科学省による検定審査の結果公表前に申請図書等の内容を当該申請者以外の者の知るところとすることその他検定審査の結果公表前における当該申請図書等の情報管理が不適切であることにより、検定審査に重大な影響を及ぼしたと認められた場合、これを追加することが適当であるとしています。また、発行者に加えて著作編修関係者に対しても適切な情報管理を徹底するという観点から、「著作編修関係者名簿」に、適切な情報管理のための対策を講じたかどうか確認する欄を設けることが適当であるとしています。

次に、(4)検定審査不合格に関する手続の改善方策、①不合格となる申請の範囲の明確化といたしまして、こちらは18行目の辺りを御覧いただければと思いますが、現行の検定規則第7条第2項、先ほど参照いただいた部分ですけれども、こちらは、検定審査合格後の採択の時期に不公正な行為が行われることを想定した規定ぶりとなっておりますため、この規定を改正いたしまして、27行目の辺りからですけれども、申請者が検定審査不合格となった後に不公正な行為をし、その後、年度内または翌年度の再申請を行った場合には、4年後等の次のサイクルの申請ではなく、当該再申請がなされた図書について不合格決定を行うこと、また、申請者が検定審査中に不公正な行為をした場合に当該検定において不合格とすること、これらが明確になるように検定規則の改正を行うことが適当であるとしています。

なお、不公正な行為といたしましては、5ページのほうの先ほどの脚注8の①から④に加えまして、検定審査に重大な影響を及ぼしたと認められるような情報の不適切な管理を想定しております。

次に、②不合格図書の再申請回数の上限の設定等です。近年、教科書として求められる水準に遠く及ばない図書が申請され、教科書の編集や校閲に係る部分について検定が利用されているような事態が生じています。このような申請図書が検定審査不合格となった場合でも、現行制度上、再申請できる回数に上限はありません。加えて、7ページの9行目、不合格図書の2回目の再申請についても、重大な欠陥がなく、欠陥箇所数が著しく多くなければ、年度内に再申請することができる仕組みとなっています。

これに対しまして、発行者に対して申請図書の質の向上を促す観点から、また、同一種目に関する検定申請の受理は基本的に4年に1度行うようになっているといったことも踏まえまして、不合格図書の再申請は2回までとすることが望ましいとしています。また、年度内の再申請は、義務教育諸学校用教科書に関して、採択の前年に行われる検定において不合格となった場合に特有の仕組みでありますので、2回目の再申請の期間は翌年度とすることが適当であるとしています。

20行目の辺りで、なお、発行者による申請図書の誤記、誤植、校正漏れ、こういったことを低減する方策につきましては、発行者及び文部科学省において引き続き有効な方策を検討していくことが求められるとしております。

次に、(5)その他関連する制度等の改善方策、①についてです。新元号の制定や市町村合併に伴う市町村名の変更など、近い将来に客観的事情が変更されることが確実である事項の書き方については、申請図書中でどのように記述しておけばよいかにつきまして細則上明確にすることが求められるといたしまして、その上で、客観的事情の内容については限定的に列挙することが望ましいという方向性にまとめております。

②権利処理済みであることの確認でございます。申請図書に使用する写真や資料等につきましては、適切に権利処理がなされた上で申請がなされているという前提で審査を行ってきているところ、適切な権利処理がなされないまま申請がなされるケースが増加しています。

これに対しては、申請時の添付資料である「出典一覧表」において権利処理済み等の状況を確認することが適当であるとした上で、25行目の辺りですけれども、あくまで写真や資料の権利処理は発行者において責任を持って行うべきであるとの前提は変更せずに、申請時にいま一度発行者において、権利処理が済んでいる、または権利者との間で調整がつく見込みであるということを確認してもらう趣旨であるとしています。さらに、29行目、権利者との間で調整がつく見込みであった写真や資料について、調整がついたことの確認方法及び調整がつかなかった場合の対処方策につきましては、文部科学省において検討した上で明示していくことが求められるとしてございます。

③検定における申請書等のデジタル化でございますけれども、9ページの改善の方向性の部分を御覧いただければと思います。検定においても可能なものからデジタル化を進めるべきであるとした上で、ただし、といたしまして、文部科学省及び発行者において紙ベースでの申請を前提とした検定システムが構築されていることから、本格的な検定のデジタル化については、今後文部科学省において発行者と協議の上で対応案を作成した上で、本審議会において改めて確認を行うことが必要であるとしてございます。

④押印廃止でございます。こちらについては、24行目の辺りですが、政府全体の動きを踏まえて、教科書検定においても行政手続の簡素化を進める観点から、押印制度を抜本的に見直すべく、文部科学省において押印が必要な手続を洗い出し、廃止する方向で細則の必要な改正を行うことが適当であるとしています。

以上が検定手続の見直しに関することでございまして、ページをおめくりいただいて、10ページ、検定基準については、2点改正事項を挙げております。(1)の①児童又は生徒が資料の読み取りや活用を的格に行うことができるようにするための検定基準の見直しといたしまして、今後児童生徒に言語能力と情報活用能力の育成を図ることが重要であるというふうに中教審において議論されている中で、「教材自体についても、資料の内容を適切に読み取れるような工夫を施すべきである」とされたことを受けまして、15行目の辺りですが、検定基準の引用資料に係る規定、こちら、脚注につけさせていただいております。これについて、「児童又は生徒が資料の読み取りや活用を的確に行うことができるよう」との趣旨が反映されるように規定を見直すことが適当であるとしてございます。

最後、②学術用語集の位置付けでございます。表記の基準として、学術用語集が原則的な取扱いとなっておりますけれども、11ページの3行目の辺りですが、現在は大半が絶版となっており、また、最新の学術動向が反映されていないとの指摘もあるところです。このことを受けまして、各部会等において御議論をいただき、8行目の辺りですけれども、用語・記号等に関する表記の基準としての原則的な取扱いは改めるべきであるとの意見が分野横断的に多数でありましたが、その上で、学術用語集に代わるものにつきましては、用語・記号等の拠り所が一通りに定めることが難しい分野も多く見られました。

このことから、結論として、学術用語集の原則的な取扱いは改め、必要に応じて参照できるようにする取扱いとすることが望ましい。また、何をもって適切な用語・記号等の拠り所とするかにつきましては、分野ごとに学術動向を見極めながら判断していくことが適切と考えられるというふうにしてございます。

最後、12ページを御覧ください。「おわりに」といたしまして、1段落目の中では、文部科学省において、検定規則、細則、検定基準の速やかな改正、運用を望むこと。2段落目では、発行者に対しまして、本報告を踏まえ、教科書の著作・編集に当たっていただきたいということ。3段落目は、本審議会として、教科書検定制度に係る様々な要請に応え、検定に対する国民の信頼を高めるため、今後とも専門的な調査審議を徹底して行い、公正な検定審査を行っていくこととするとして締めくくってございます。
私からの報告案の御説明は以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【五十嵐部会長】 御説明どうもありがとうございました。それでは、これから意見交換に入りたいと思います。ただいまの事務局からの御説明に対しまして、御意見、御質問等をいただきたいと思います。自由におっしゃっていただきたいと思います。御感想あるいは将来に向けての御提案等でも結構ですので、何なりと御発言していただきたいと思います。いかがでしょうか。御発言の方は、ミュートを解除されて、お声をかけてください。お願いします。

いかがですか。それでは、部会長代理の高山先生、いらっしゃいますか。

【高山部会長代理】 高山です。

【五十嵐部会長】 もしよろしければ、御意見いただけませんか。

【高山部会長代理】 はい。最後の学術用語集の件なんですけれども、今の既存の学術用語集、それを使わなくていいというんですか、なったとして、その代わるものが欲しいという意見もあったと思うんですね。それで、今、分野が多岐にわたるので、一通りに定めることが難しいということなんですけれども、教科書で使う用語というのは教育に携わる方々が拠り所にする場面というのがやはり多いと思いますので、何かしら現代バージョンの学術用語集というものというんですかね、ぜひそういうものが出来るといいのではないかと私は思っております。

【五十嵐部会長】 ありがとうございます。よろしいですか。

そのほかいかがでしょうか。それでは、山内豊先生はいかがでしょうか。

【山内(豊)委員】 山内と申します。報告案の8ページから9ページにかけまして、検定における申請書等のデジタル化という項目がございます。そこに、検定のデジタル化についての改善の方向性について記載されております。具体的には、行政のデジタル化やデジタル教科書の普及促進に向けた動きに合わせて、検定においても可能なものからデジタル化を進めるべきであるということがございます。

現在の教科用図書の検定の現状を踏まえまして、今後の検定のデジタル化ということについてコメントをさせていただいてもよろしいでしょうか。

【五十嵐部会長】 どうぞ、お願いします。

【山内(豊)委員】 現在は、先生方御存じのように、教科用図書の検定の審議の流れとしまして、まず紙の申請図書が教科書会社から文部科学省へ提出されまして、文部科学省から審議会委員に送られるわけです。そして、審議委員は、申請図書を調査して文科省に送り返す。そして、審議会で議論をし、検定意見書が作成されます。そして、その検定意見書を基に発行者が作成した修正表を審議するというような流れになっていると思います。

たとえば、英語の場合には、教科用図書の内容そのものに加えて、音声のチェックが必要になります。つまり、申請図書と同時に、図書の本文に対応する音声を、実際そのCDをかけて聴いてチェックをすることが必要になる。これはかなり手間と時間がかかるわけです。

また、修正表のほうにつきましては、発行者の方々が紙の図書を切り貼りしながら作成なさるわけですが、これがもうすごい力作といいますか、大変な手間と時間がかかっているのではないかと思います。

このような手間と時間を解決できる方法としまして、現在の紙中心の検定を段階的にデジタル化できるような文部科学省の検定専用のデジタルサイト、デジタル検定システムを作り上げたらどうかと考えます。たとえば検定専用のウェブサイトにアクセスできるのは、審議委員、教科書調査官、文科省のスタッフだけで、IDとパスワードで堅固なセキュリティシステムの中でアクセスをする。アクセスをしたら、デジタルの共有ファイルのような中にコメントを書ける。しかも、そのコメントは誰がいつ書き込んだのかというのがちゃんと記録されて、そのコメントについてもさらに応答ができるというようなシステムにすることができる。

さらにコメントを色別にしたりしますと、コメントもいろいろな種類があるわけで、教科書の内容の誤りを指摘したコメント、学習者に誤解を与えるような不明確な部分を指摘するコメント、それから、学習指導要領に書いてある方針に対して不適切な部分に対するコメントもあります。こういうものを色別に分類して、しかもデジタル上ですので、例えば誤っている部分のコメントが幾つあるのかというのを自動的に集計することができると、ある一定数以上の誤りのコメントがついた申請図書というのは不合格の候補対象になるというようなことも自動的にできるようになるわけです。

また、文字と画像と音声を同時に扱ってチェックをしなければいけないところでは、音声をチェックするのが、今までCDと突き合わせていたのが、そういう必要がなくて、すぐにチェックをすることができますので、かなり効率的にできるようになると思います。
修正表につきましても、デジタルで編集ができれば負担が少なくなると思いますし、また、審議のときには、修正表にある部分だけでなくて、デジタルの共有フォルダーの中で、申請図書の中でその修正部分がどうなっているのかというのをすぐに閲覧することができますので、全体を考えながら修正も考えることができ、かなり効率的に扱うことができるのではないかと。そして、紙中心の申請図書の検定を今申しましたような検定用のデジタルシステムが構築できれば、将来的に、教科書を紙版からデジタル版を中心にする場合に、デジタル教科書を検定するときも、今回構築するような検定専用の巨大な共有システムを有効に使うことができると思います。このような教科用図書のデジタル検定システムの構築と活用を考えます。

以上です。

【五十嵐部会長】 どうもありがとうございました。教科書検定作業において、デジタルシステムを構築して、それをうまく利用していただきたいという、具体的な御提案をいただきました。8ページの一番最後の40行目にあるところがそれに相当する御指摘ではないかと理解しました。どうもありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

【河野委員】 よろしいですか。

【五十嵐部会長】 河野先生ですか。どうぞ。

【河野委員】 河野と申します。最後にありました学術用語の件です。音楽の教科書では、その昔は学術用語というと、例えばモデラートとかアンダンテとか音楽に使われる用語が説明されていました。これは教科書でちゃんと説明がされるようになって問題ないですけれども、この何年間は原語で歌うという流れで、ドイツ歌曲だとかイタリア歌曲だとかフランス歌曲だとか、いろいろな国の音楽を原語で歌う、原語で親しむというふうな流れになっています。

英語に関しては中学校から英語を習っているので、英語の授業での発音というのがあって、下地にあるからも問題ないと思うんですけれども、イタリア語だとかドイツ語だとかフランス語に関しては授業がないので、教科書には片仮名でルビが振ってあります。各教科書のルビの振り方が不統一で、多分これ、外国語の先生方が読まれると本当に失笑されるぐらいのレベルの書き方だと思うんですね。すみません、これ全て僕の個人的な意見と思っていただければいいと思うんですけれども。今後、QRコードつきの教科書が出れば、そこを当てれば、ネーティブの発音もしくはメロディーに乗った発音が出てくることだと思います。もちろんデジタル化になれば、それは簡単だと思うんです。

ただ、そこまでかかる間の時間には、ほかの分野の学術用語集ではないんですけれども、やっぱり発音に対する指針というか、そういうものが音楽の教科書にもあっていいんではないかなと僕はこの担当になってからずっと言っているんですが、なかなかそれが進まないんですね。だから、そういう意味での、学術用語ではないですけれども、そういう統一された方針が出ると、音楽の教科書も充実するのかなというのが僕の10年間やってきた感想です。どうもすみませんでした。

【五十嵐部会長】 どうもありがとうございました。特に歌曲等の発音の仕方が不統一であるとの御指摘をいただきました。これは今後の検討事項になると思います。ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

そうしますと、先生方から御意見いただきましたけれども、今回の報告案の内容を大きく修正するような御提案ではないと理解してよろしいでしょうか。

ありがとうございます。いただいた御意見につきましては、今後、文部科学省におきまして十分に考慮していただきまして、検討していただくという方向にしたいと思います。

そのほか御意見ございますか。よろしいですか。

それでは、審議はこれまでとしたいと思います。本報告案につきましては、ただいまの御意見も踏まえまして、特に修正を行わず、本審議会における報告として了承することについて、先生方、御同意いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【五十嵐部会長】 特に御異議はないようですので、それでは、本報告案を本審議会の報告とさせていただきます。

では、この後の総会でこの報告案をもう一度御審議をいただきたいと思います。ありがとうございました。

続いて、審議の2、その他ですけれども、これにつきまして、事務局から何かありましたら、お願いいたします。

【高見教科書企画官】 御審議ありがとうございました。今後の総括部会の日程につきましては、必要に応じましてまた事務局より日程調整をさせていただきたいと存じます。引き続きよろしくお願いいたします。

【五十嵐部会長】 ありがとうございました。

では、以上をもちまして本日の議事は全て終了いたしましました。これで教科用図書検定調査審議会総括部会を閉会いたします。

引き続いて、15時15分から総会を開催いたします。事務局はその準備をお願いいたします。

どうもありがとうございました。

 

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初等中等教育局教科書課