令和2年度教科用図書検定調査審議会総括部会(第2回) 議事録

1.日時

令和2年11月10日(火曜日)10時00分~11時10分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館 3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 教科書検定の改善について
  2. その他

4.出席者

委員

安達委員,五十嵐委員,大池委員,金子委員,氣多委員,河野委員,斎藤委員,重原委員,高山委員,東委員,山内 進委員,山内 豊委員

文部科学省

神山教科書課長,高見教科書企画官 ほか

5.議事録

【五十嵐部会長】  皆さん、おはようございます。これから教科用図書検定調査審議会総括部会を開会いたします。

 お忙しいところ総括部会に御出席をいただきありがとうございます。

 本日の出席者は、お配りしております座席表のとおり、定足数である過半数を満たしております。

 本日の会議は公開で行いますが、新型コロナウイルス感染症拡大の防止を図る必要がありますため、一般の方の会場での傍聴については御遠慮いただいております。あらかじめ申出のあった報道関係者に限り傍聴を許可しております。カメラ撮影につきましては議事の冒頭まで、録音については会議を通じて許可をいたしております。

 それでは、まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【高見教科書企画官】  配付資料については、お手元の議事次第にございますとおり、資料1から資料3、参考資料1から参考資料3を、紙の資料としてお配りしております。

 加えまして、机上の参考資料として、教科書制度の概要の冊子、黄色い紙ファイルの検定基準、検定規則、前回9月17日に行いました教科用図書検定調査審議会総会・総括部会の資料を、青いファイルにとじさせていただいておりますので、御確認ください。

 もし資料に不足等ございましたら、事務局までおっしゃっていただければと思います。

【五十嵐部会長】  ありがとうございました。カメラの撮影はここまでとさせていただきたいと思います。

 では、早速議事に入ります。

 前回の総括部会開催後、各部会において審議要請内容の共有を図った上で御質問あるいは御意見を頂きました。たくさんの御意見を頂きましてありがとうございました。事務局において取りまとめておりますので、これから御紹介いただきます。

【高見教科書企画官】  それでは、資料1と2に基づきまして、私のほうから御説明をさせていただきます。

 まず、各部会の先生方におかれましては、申請図書に関する審議に加え、本件につきましても御議論いただきまして誠にありがとうございます。

 各部会の委員の先生から出た御意見を資料2としてまとめておりますので、御紹介をさせていただきます。

 まず1つ目の課題になりますけれども、新型コロナウイルス感染症対策としての教科書検定手続の改善方策といたしまして、資料1の四角囲みのほうを御覧ください。こちら、各部会で御覧いただいたものと同じ内容になっており、四角囲みの中身が、検討事項に係る事務局としての御提案の方向性ということになってございます。

 教科書検定の申請書等につきましては、原則として郵送での受理も可能とするとともに、検定審査料については、納入告知書による納付に切り替えることとしてはどうかという提案につきまして、頂いた御意見を資料2の冒頭にまとめております。

 各部会から、主な意見の1つ目の○にございますとおり、郵送での受理及び納入告知書による納付等、簡略化できる方向で検討したほうがよいという御意見を多く頂戴をいたしました。

 その一方で、一番下の○のように、検定に係る手続については、教科書発行者に対して、対面でないと困る手続がないかどうかしっかりと確認をすることが重要である。また、新型コロナウイルス感染症対策だといって性急に決定し、不具合を起こさないようにしないといけない、といった御指摘も頂戴したところでございます。

 資料1を1枚おめくりいただき、資料2も1枚おめくりいただけますでしょうか。

 2つ目の課題は、社会情勢の変化を適時反映するための手続の改善方策ということで、現在、各教科書におきまして、ウェブページのアドレスや二次元コードで教科書の内容と密接に関連する内容を参照させることができることとなってございます。これに関して、この内容の変更について、検定規則上、特段の手続が規定されていないという状況がございます。

 資料1の2ページの上側ですけれども、その点に関しまして、検定規則第14条において検定済図書の訂正について規定されているところですが、ウェブページのアドレスや二次元コードで参照させるものは教科書そのものではないので、これまでは規定がなかったんですけれども、新たに第4項といたしまして、図書の内容と密接な関連を有するとともに、内容として適切であるという旨を報告することとする規定を新設してはどうかという御提案内容となってございます。

 それに対して、資料2のほうですけれども、各部会の先生方からは、2つ目の○のところでございます。教科書そのものではなくても、リンクが貼られて子供たちに表示される以上、事実上は教科書の内容と同等であり、本来は検定と同様の基準が求められると。明確に規定すべきだといった御意見がございます。

 それから、その次の○ですけれども、児童または生徒に不適切であることが客観的に明白な情報という、こういうものをリンクさせないとなっていますが、こういった情報が具体にどういう情報なのかという具体的な例などを示す必要があるのではないか、といった御意見を頂戴しているところでございます。

 規定の新設につきましては、賛成という御意見が多数でございました。

 その次の資料1の(2)番というところです。資料2は3ページを御覧ください。教科書の訂正に関する通知についてでございます。

 先ほど申しました検定規則第14条に基づく訂正がなされた場合でございます。現在、その訂正の件数がかなり多いという状況になっておりますが、これがなかなか学校現場に届いていないというようなことがございまして、資料1の四角の囲みの中でございます。訂正がなされた場合には、発行者のホームページにおいて公表することとし、学校現場において最新の訂正状況が確認できるようにしてはどうかといった提案です。また、訂正の内容は重大な訂正から非常に形式的な軽微な訂正まで様々ございますので、ホームページ上の掲載の仕方につきましては、各発行者において工夫するよう求めることとしてはどうか、こういった提案の内容になってございます。

 それに対して、資料2、3ページですけれども、主な意見の1つ目の丸でございます。教科書の訂正について、発行者のホームページでの公表は必要と考える。その一方で、学校現場等への周知が課題であると。学校現場は、非常に多忙であるので、ホームページを見に行けというのは現場の実態を踏まえていないのではないかといった御趣旨の御意見をたくさん頂きまして、例えば一斉メールによる通知も必要だろうということで、文部科学省のほうから現場に届くようなプッシュ型の通知の在り方についても検討すべしと御意見を頂きました。

 また、3ページの真ん中の少し下の辺りですけれども、ホームページ上の掲載の仕方を各発行者において工夫するよう求めることとしてはどうかというところにつきましては、各発行者の工夫に委ねた場合の情報の信頼性の保証が必要と書いてございます。どのような内容をどういうふうに掲載するのかといったことについても、やはり一定の考え方みたいなものを示したほうがよいのではないかといった趣旨の御意見も幾つか頂戴いたしました。

 その次でございます。次の課題として、申請図書等の適切な情報管理のための改善方策という点でございます。資料1の3ページを御覧いただければと思います。

 改めての説明になりますが、昨年度、申請図書の適切な情報管理がなされなかったという事案がございました。これに対し、情報管理が不適切だったことに対する対応は、これまで規定がございません。資料1、3ページの上にありますとおり、検定規則実施細則第2の1の(3)1の申請図書の審査、(3)といたしまして、規則第7条2項の規定による検定審査不合格の決定ということで、申請者が下記のいずれかに該当する場合は、規則第7条2項の規定により検定審査不合格の決定を行うものとするとございまして、①から④まで、その事由を規定しております。

 こちらの中に、これまでは規定がないところでございますが、検定結果公表前に申請図書等の内容を当該申請者以外の者の知るところとすること、その他、検定結果公表前における当該申請図書等の情報の管理が不適切であることにより、検定審査に重大な影響を及ぼしたと認められた場合というのを、例えば⑤などとして、追加することとしてはどうかというのが1つ目の提案です。

 もう一つは、この細則の別紙様式の第2号に著作編修関係者名簿がございますが、この中に適切な情報管理のための対策を講じたかどうか確認する欄を設けてはどうかというのが2つ目の提案でございます。

 それに対する御意見ですけれども、資料2の4ページの主な意見の2つ目の○というところで、情報管理を徹底する意味で必要と思われるので、実施細則への追加が必要だと思います、という御意見、また、その次の○ですけれども、関係者から誓約書を取るなど直接のペナルティーがない措置だけでは不十分であるといったような御意見も頂戴いたしまして、全体としては、この罰則を設けるのが適当なのではないかといった趣旨の御意見を頂戴しております。

 その次でございます。資料1の3ページ、検定審査不合格に関する手続の改善方策という点でございます。

 現在、検定規則第7条2項におきまして、検定、採択、発行に関して不公正な行為をした申請者は、四角囲みの中ですけれども、「当該行為が認められた時から直近の一の年度に限り、検定審査不合格の決定を行い」と規定されております。当該申請書が同一の種目に属する図書を次に申請した場合に検定審査不合格とする趣旨ですけれども、これが少し読みにくいと。検定申請の範囲がどこまでなのかというのが読みにくいので、4年後等の次のタームの申請があった場合に不合格とすることのみならず、当該申請者が年度内あるいは翌年度の再申請を行った場合に不合格とする、あるいは当該申請者が検定審査中に不公正行為をした場合に当該検定において不合格とする、こういったところも明確に読み取れるように規定の改正をすることとしてはどうかという提案でございます。

 それにつきましては、資料2の5ページですけれども、範囲の明確化はぜひしたほうがいいといった御意見と、主な意見の下から3つ目です。ペーパーレス化を進めることと情報管理の強化はセットだと思うので、誓約書を取るという予防的な統制とともに違反した場合の罰則強化も必要であるといった御意見をいただいております。

 また、一番下の○ですけれども、基本的に賛成。ペナルティを具体的にすると、一方で「不公正な行為」のレベルも問題になるということで、想定される「不公正な行為」は現在の規定と同程度という理解でよいか確認が必要、こういった御意見も頂戴いたしました。

 現在、この不適切な情報管理ということについて規定をしておりますのが、黄色い冊子の実施細則の13ページになります。第5、申請図書等の公開の(3)番、申請図書等の適切な情報管理という定めがございます。この①、②で、文部科学省及び申請者の適切な情報管理について規定をしていると。ここに違反した場合を不公正な行為と整理しているわけですけれども、これを何か改めるということは現段階では想定をしておりませんで、ここに規定されるような適切な情報管理が守られなかった場合に関する罰則を設けるということで考えているところでございます。

 その次でございますけれども、資料1の4ページのほうを御覧いただければと思います。不合格図書の再申請につきましてですけれども、現状、現行制度上は再申請できる回数に上限がないという状況に対しまして、四角囲みの中ですが、不合格図書の再申請は2回までとしてはどうかということです。また、2回目以降の再申請につきまして、年度内再申請を認めずに、これはもう翌年度としてはどうかという内容の御提案になってございます。

 それに対しましては、資料2の5ページ下のほうでございますけれども、主な意見2つ目の辺りでございます。こちら、不合格図書の再申請の回数の話でございましたけれども、多く頂戴いたしましたのが、検定で本の校正をしているようであるといった御意見でございます。瑣末な誤記や参照ページが正しいかなどに時間を取られて本質的な検討に時間が取れなくなっていると。質的に良くない本に対して何か警告できるようなシステムがつくれないのかどうかといった御意見です。

 それから、もう一枚おめくりいただき6ページ目の下から3つ目の○の辺りですけれども、こちら不合格図書の再申請の回数のことです。基本的に回数制限を設けることに賛成だが、2回までとする根拠をどう説明するか。検定の趣旨から離れているような申請が繰り返されることを避けるためとはいえ、きちんと説明できることが重要であるという御意見も頂戴いたしました。

 事務局のほうで、この再申請2回までという御提案をさせていただいている趣旨といたしましては、例えば初めて申請してきた発行者にあることなのですが、教科書の基本的な構成に係る重大な欠陥が図書全体に対してあるといったようなケースがございます。全体的に資料が足りていないとか、きちんと主体的・対話的で深い学びができるような課題の設定が全体に対してなされていないといったことがありますので、そうした図書全体に係る大きな欠陥の指摘を、例えば1回目でする。それに基づき再申請の1回目は直してくるんだけれども、今度は詳細に各記述に関する欠陥を指摘するプロセスが想定されます。それを2回目に指摘した上で、2回目の再申請を出していただき、合格に至るというような流れが想定されるかと考え、不合格図書の再申請は2回までとしたらどうかということです。

 教科書の検定サイクルも4年に1回、小学校、中学校、高校とも新しい申請図書の受理を行うことになりますので、2回を超えて再申請を認めるとなりますと、毎年同じ図書の再申請または申請を受け付けるというようなことにもなるので、そうした観点からも2回までとしたいと考えているところでございます。

 根拠といたしましてはそのようなことですが、この点につきまして御意見を頂戴できればと思っております。

 あと、その他関連する制度ということですが、新元号の制定や市町村合併に伴う市町村名の変更等、申請後にならないと正確に記述できないことがあらかじめ分かっている事項の書き方を実施細則上明確にしておくことはどうかというのが1つ目でございます。

 2つ目は、検定申請の際の添付資料として、検定申請の際の申請図書の中にある写真や資料につきまして、これは検定においては当然、権利処理、著作権や肖像権の処理はなされた上で申請がされているという前提に立っているところですが、それが権利者との間で問題になったりするケースが増えているという状況を踏まえまして、こうした資料について、権利処理済みであるということを「出典一覧表」において確認できるようにしてはどうかという課題です。

 3つ目は、デジタル対応を今後しっかりと図っていくというようなことで御提案をしているところでございます。これらにつきましては、おおむね賛成の御意見を頂いておりまして、1つ目の、あらかじめ分かっている事項の書き方については、客観的な事情が拡大解釈されないように細則にきちんと規定をする必要があるといった趣旨の御意見を頂戴いたしました。

 また、権利処理済みであることの確認のところは、資料2の7ページの上から4つ目の○、写真や資料の権利処理について、賛成だけれども、著作権処理に時間がかかる場合もあるので、どうしても時間がかかる著作権の場合には理由を付記するなど、処理に時間がかかる事情も含めて認めるようにしてはどうかといった御意見です。

 その次の○ですが、著作権の処理は検定においてそこまで確認する必要があるものなのか。発行者が責任を持って行うということでよいのではないかといった御意見も頂戴いたしました。

 この点につきましては、検定の中で一つ一つ著作権や肖像権の処理を確認するということではなくて、あくまで発行者においてきちんとやっていますねということを、提出の前にいま一度確認を求めるという趣旨で、この出典一覧表に確認の欄を設けたいということでございますので、検定の中でそこまで踏み込むという趣旨ではないというところは御理解をいただければと思っております。

 またデジタル対応のところは、現在の検定においても語彙検索とか事項検索が行えなくて、仮にこれが行えるようになると、非常に効率的にできるんじゃなかろうかといった御意見を頂戴いたしました。

 7ページの一番下の○ですけれども、これはデジタル対応と直接的な関係がないのですが、これまでの手続の中で簡素化できることは簡素化していくべきだといった御意見で、押印制度に象徴されるような手続があるとすれば、この際になくすか簡素化するべきだといった御意見も頂戴しているところでございます。

 これについては、資料1の5ページに(4)番といたしまして、これは皆様に御覧をいただくのは初めてになりますけれども、押印廃止に向けた手続についても、改めて必要な改正を行いたいという御提案をさせていただいております。

 今年の7月に閣議決定されました規制改革実施計画において、行政手続における書面規制・押印、対面規制、これを抜本的に見直すべしという方向性が掲げられ、政府全体として、まず押印の廃止に向けた検討を進めております。

 このことを踏まえ、教科書検定においても押印が必要な手続がたくさんございまして、これを洗い出して、廃止する方向で、検定規則実施細則等の必要な改正を行うこととしてはどうかといった御提案を新たに、追加させていただいているところでございます。

 それから、最後になりますが、資料1の6ページに検定基準の改正についての論点を挙げております。1点目は言語能力、情報活用能力の育成に向けた検定基準の改正といたしまして、引用資料に係る規定について、「児童生徒が資料の読み取りや活用を的確に行うことができるよう」との趣旨が読み取れるよう規定を見直すといった提案です。この点につきまして、資料2の8ページに主な御意見を記載しておりますが、手軽に情報入手できる環境が整った現在、これまで以上に参考文献、引用文献等資料を的確に活用できるよう、教科書においても工夫を施すことは重要だといった御意見を頂戴しておりまして、おおむね賛成の御意見だったかと思っております。

 最後に学術用語集が検定基準別表の表記の基準に盛り込まれていますが、これが最新の学術動向が反映されていないとの指摘もございます中、削除してはどうかといった御提案をさせていただいております。8ページから11ページまで、この学術用語集に関する御意見を頂戴したところでございます。

 分野としては、特に理科や専門科目の先生方から多くの御意見を頂戴したところでございます。全体といたしまして、現状追認ということでもありますし、賛成だといった御趣旨の御意見を多数頂きました。

 一方で、完全にこの学術用語集を参照できなくなるのは困るといった御意見も頂いております。

 9ページ以降、理科の中で物理と化学と生物と地学、それぞれ分けて御意見をつけさせていただいておりますけれども、学術用語集に代わるものとして、化学のように方針を一つに定められるという分野もある一方で、よりどころが一通りに定まらないといった分野もあったというのが実態でございます。

 こうした状況を踏まえますと、「学術用語集に示すものは、これによる。」というのが今の規定ぶりでございますけれども、この原則的な取扱いは、改めさせていただいた上で、必要に応じ参照できるというような取扱いとするのはどうかということで考えております。その上で、各分野において何を適切な用語のよりどころとするのかというのは、これは分野ごとに違いもございますので、適宜御判断いただくのがよいのではないかというのが、頂いた御意見を踏まえた現時点の考え方として持っているところでございます。

 一旦、私のほうからの資料の御紹介及び方向性につきましての御説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

【五十嵐部会長】  詳しい説明をしていただきました。ありがとうございました。

 それでは、意見交換にこれから入りますが、その前に申し上げることがあります。この件につきましては、文部科学大臣から今年の12月頃までに審議をしていただいて本審議会としての報告を出すように依頼が出ております。ということで、来月までに答申案を出すため今日、御審議をいただきたいと思います。

 まず、事務局からの御説明をいただきました。分科会から何か補足的な説明がありましたら御披露いただきたいと思いますが、いかがですか。

 よろしいですか。特にございませんか。それでは、補足的な説明は特にないということでよろしいですね。

 では、これまでの議論、それから今日おまとめいただいた資料を基に御意見、御質問を頂きたいと思います。大きく(1)と(2)がありますので、今日は、まず教科書検定手続の改善方策について、この(1)について、初めに御意見、御質問頂きたいと思います。いかがでしょうか。

 ウェブで御参加されている方も、御意見がありましたら、どうぞお願いいたします。どうぞ。

【高山部会長代理】  確認をさせていただきたいんですけれども。

【五十嵐部会長】  では、高山委員、お願いします。

【高山部会長代理】  すみません。申請書等については原則として郵送での受理も可能とするという、その申請書等の等のところには申請図書も含まれているという解釈でよろしいでしょうか。

【高見教科書企画官】  はい。おっしゃるとおりです。

【高山部会長代理】  はい、分かりました。ありがとうございます。

【五十嵐部会長】  そのほか、いかがですか。事務局の御提案に対しまして分科会の先生方から御意見を頂いていますけれども、強い反対は特になかったと思いますが、改めて、何か御意見はありませんか。

 それでは、事務局の御提案を基本的に御承認いただけたのではないかと思います。ありがとうございます。

 では続きまして、資料1の6ページです。教科書用図書検定基準の改正について御意見、御質問頂きたいと思います。これについては先ほど御説明ありましたように、分科会によっては、特にこの学術用語集の取扱いについて非常に意見が分かれていると御説明いただきました。何かここで特段、御意見、御質問がありましたら、ぜひお願いしたいと思います。

  分野によりましては進歩が非常に速いために、学術用語集を学会単位で作っていても、新しいものに改変するのが大変で、実際には最新版を作れていない状況も多々あると伺っています。先生方の分野に限ってでのお話でも結構ですけれども、この取扱いについて、いかがでしょうか。

 現在ある学術用語集を基礎とするということについては削除するけれども、必要に応じて参照はしてもよろしいし、それから、それぞれの分野ごとの審議会で判断をされることでいいのではないかとの、先ほどの御説明でしたけれども、いかがでしょうか。どうぞ。【山内(進)委員】  基本的に、このスタイルで賛成だと思いますが、第2部会は学術用語集というのはかなり微妙なところがあって、それぞれ、いろいろな形の用語を使っていますので、逆に言えば、本当は統一的であるほうがいいんですが、統一的にすると、やはり問題も逆に出てくるということがありますので、もう古くて駄目であるということであれば、これはもうなくすということで構わないと思いますが。

 ただ、各分野ごとに参考資料としてこういうのがありますねというのを示しましょうかということが語られておりましたけれども、そういう方向で、各分野で相談して、こういうものがある程度基準になるようなものですということを伝えること自体は悪くないと思いますので、そういうものも併せて考える形で、こういう方向で進めるというのはよろしいのではないかと思います。

【五十嵐部会長】  御意見ありがとうございます。

 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【重原委員】  第4部会からですが、第4部会、物理、化学、生物、地学、物化生地の4つがあるわけなんですけれども、基礎以降、例えば化学基礎とか物理基礎以降、その上に化学や物理があるわけですけれども、それらは完全に、この4つの小委員会で分かれちゃっていますので、各小委員会ごとに違う基準であっても構わないと思います。

 問題は科学と人間生活ですが、これについては、今出ている各々の小委員会の意見を基に、最初のうちは結構すり合わせをしながらやっていかなきゃいけないところも多いだろうと思います。なぜならば、同じ学術用語といいますか、単語について、各々の分野で違う定義になっているというのはよくあるんですね。それをどうすり合わせするかというようなところも確かにありますけど、原則的には、そのように4つ、別に統一されていなくてもいい。

 ただ、例えば生物などで、よくお分かりのように日進月歩で、とてもじゃないが1986年の学術用語集第2版に従っているということは、もはや現実的でないというようなところもありますので、学術用語集は、もう根本的な基準からは外そうじゃないかというのは、4つの小委員会で一致しております。

 物理と生物と地学については、どれに一本化するかというところまでは、まだ議論が行われていないようですけど、それは今後の議論でどうにかなるのかなとは思っています。

 大体そんなところです。意見ともつかないことですけれども、そんなふうな意見です。

【五十嵐部会長】  ありがとうございます。科学は、ほかの分野に比べると比較的まとまっているとはいうものの、やはりそれぞれ多様性があると、そういう御指摘でよろしいですね。

【重原委員】  科学サイエンスですね。サイエンスは、今申し上げたとおり、ちょっと4つの小委員会で違うところありますけど、おっしゃるとおりだと思います。

【五十嵐部会長】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

 取りあえず学術用語集の削除に関しては、基本的にはよろしいとの御意見です。ただし、それに代わるものがある場合とない場合があるので、それぞれの部会で、あるいは審議会で御判断いただくという柔軟な方針をとることでよろしいでしょうか。

  特に反対の御意見はないようです。それでは、基本的には事務局が今日お示しいただいた方針でいきたいと思います。よろしいですか。

 ほかに何か御意見ございますでしょうか。どうぞ、お願いします。

【山内(進)委員】  資料1の4ページのところになるんですが、肖像権、著作権等々の問題について、出典一覧表をつけましょうということが書かれているんですが、先ほどの御説明ですと、未定の場合でも一覧表に載せておけば、それはそれでよいんだというようにも聞こえたんですけれども、全部済ませていなきゃいけないという趣旨なのか、ただ単に、これはあくまでも、こういう済んでいますということを確認する作業なので、これからちゃんとやりますということであれば、受け付ける時点では、それで、それを理由としてはねることはしないという意味なのかどうなのかということを、ちょっと確認しておければいいと思います。

【高見教科書企画官】  ありがとうございます。先ほど御紹介した御意見の中で、申請時点で全てが全て、承諾を取り切れていないというケースもあることは想定されるのでという御趣旨の御意見を頂いたので、そこは何らかの工夫をした上で、ただ、いずれ許諾が取れる見込みであるということを確認するようなやり方がいいかなと考えているところです。

【山内(進)委員】  はい、結構です。

【五十嵐部会長】  ありがとうございます。表にして、取得済みだったら取得済み、今取得の交渉中とかと、そういう明記をするということと理解してよろしいですか。

【高見教科書企画官】  はい。

【五十嵐部会長】  ありがとうございます。

【重原委員】  すみません。

【五十嵐部会長】  はい、どうぞ。

【重原委員】  今のことですけど、今交渉中でもって、結局駄目だった場合どうなるんですか。非常に困るんじゃないですか。

【高見教科書企画官】  ある程度の確証を持った見込みであるというところは、発行者のほうで確認を取ってもらうということかなと思っているんですけれども。

【重原委員】  失礼ですけど、私は、そういうものは排除すべきだと思っているので。やっぱり最終的に駄目ということ、あるわけですよ。9割9分まで大丈夫だと思っていても。そうした場合、検定というのは、それを見ながらやっているわけですから、まるっきり変わっちゃうわけですよね。検定内容が変わっちゃうわけですね。我々の検定作業がね。

 その資料なり何なり、多分通るだろうという見込みで出している。それについても説明がある。それが駄目となったら、全部変わっちゃうわけですよ。作業に非常に影響しちゃうと思うんですが、それ、どうなんですか。

【高見教科書企画官】  まず、許諾を取るということすらやっていなかったような図書も実はありましたので、そこはきちんと、それぞれに関する許諾は取り付けていますよねということを確認するのが、まず第1ステップだと思っておりました。その上で今、重原先生から御指摘のあった点は、仮にその許諾が取れなかった場合というのは、これは発行者のほうで対応すべき話になってまいりますので、検定がそれを許可したというよりは、検定の中では、あくまで許諾が取れる見込みであることを確認したということであって、仮にそれが取れなかったら発行者のほうで違う写真に差し替えるなりというのは、訂正申請の手続の中でやっていくのが適当かなと考えております。

【重原委員】  今の御説明だと、そういうふうに最終的に駄目になった場合は、必ず訂正申請がなされるということでいいんですね。

【高見教科書企画官】  そうならないとおかしいと思っております。ただ、その責任を負うのは、あくまで発行者であって、検定においてはちゃんと確認しているということ、ちゃんと許諾が取れている、ないし許諾が取れる見込みだということを発行者が確認しているのを検定の中で確認するというのが必要かなと。そこまでかなと思っております。

【重原委員】  分かりました。

【五十嵐部会長】  よろしいですか。ありがとうございます。

 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ、山内先生。

【山内(豊)委員】  山内です。本日は授業と会議の関係で、オンラインの参加になることを、どうぞお許しください。

 質問なんですけれども、資料2のところにデジタル対応というのがございまして、このデジタル対応のところでは、紙の申請は原則廃止すべきでというような、結構デジタルをかなり強調したような発言もございます。またデジタル庁のほうが、教科書は今後デジタル中心でいくべきだというような報道もあるようです。

 質問なんですけれども、検定において、これから紙とデジタルの扱い方というのは、どういう形になっていくのか。私は外国語、英語を担当しております。特に外国語の場合、音声であるとか、また単語の発音に関する発音記号であるとか、そういうところが、このデジタルを中心にするのと紙を中心にするのとでは大分扱い方が違ってくる可能性があります。紙を中心にしていきますと、細かい発音記号を細かく見て一つ一つを訂正していくような必要がかなり出てきておりまして、今、部会長をはじめ、大変それに時間とエネルギーがかかっている状態です。

 一方、デジタルを中心にするという形になりますと、デジタルでは音声そのものが、タッチすれば聞こえるという状態ですので、発音記号の訂正云々というのは、かなり二義的なものになってくる可能性があるのではないかなと思います。

 また、教科書検定で、いわゆる新出単語についてデジタルで提出すべきだということは確かに名案だと思うんですけれども、外国語部会では、新出単語だけではなくて、全ての英文をデジタルで提出したほうがいいのではないかという意見もございました。

 もしも全文を出した場合には、その新出単語をチェックするときも、どういう前後関係で、この新出単語が使われているのか、これをコンピューター上で素早く検索をして確認することができるだろう。これを工学的な手法と言いますけれども、これを使いますと、かなり時間を短縮し、また正確な確認ができるかと思います。

 外国語の場合だけではなくて、恐らく、ほかの国語であるとか、ほかの教科にも関連するかと思いますけれども、質問といいますか、今後の検定における紙とデジタルのこの扱い方の見通し、その辺で、差し支えない範囲で教えていただけますと大変ありがたいんですけれども。

【神山教科書課長】  今、デジタル教科書の関係ですとか、あるいはデジタルでの申請について、検定におけるデジタルの扱いということでございましたけれども、まず、今回提案をさせていただいた話は、例えば申請書のような手続的な面に関しましては、郵送などと同じように、できる限り対面ではなくてデジタルでもできるようなものにしていったらどうかという趣旨が主でございます。

 他方、教科書そのもののほうの電子化、デジタル化に関しましては、今、別の検討会議で議論をさせていただいておりますので、それの検討を待たないと確たることは言えないというのが現状ではございますけれども、その検討会議自体は年度内の3月ぐらいまでには中間まとめをして、来年の7月ぐらいには最終まとめをしたいと思っておりますので、その議論を待ちたいと思っております。

 これまでの当該検討会議での議論の状況を踏まえますと、基本的には小学校の次の改訂が令和6年でございますので、令和6年に向けてどうするかということを中心に議論をしてございます。

 令和6年の改訂と申しましても、それは実際に発行者さんが、その令和6年に実際に使われ始める教科書を作り始めるのは来年度、令和3年に作り始めますし、それについての検定というのは令和4年にするというスケジュール感になってまいりますので、検討会議での議論の中では、令和6年の段階では、いわゆるデジタル、動画みたいなものをどんどん取り込んで、それを全部検定してというところまでは、なかなかスケジュール的に厳しいのではないかというような御意見もあるというような状況でございます。その意味でいきますと、令和6年に使用される教科書の検定を大きく変える、検定をデジタル中心にするといったことは、なかなか難しいところがあるのかなという、議論の流れの中で話がされています。先ほど申し上げた通り、最終的にはもう少し議論を待ってということになりますけれども、今そんな状況でございます。

 ただ、今お話がございましたように、例えば外国語の中で音声の部分といったものをどう扱うかというところも、恐らく今後議論がなされていくかと思います。全ての教科において動画ですとかをたくさん取り入れていくといったのは、先ほど言ったように、スケジュール的に難しいものがあるかもしれませんけれども、例えば英語において、肉声といいましょうか、ネーティブスピーカーの発音を取り入れるみたいなことが特に重要だといった議論があれば、それも議論の中で、そこについてはデジタル教科書に取り入れてはどうかといった検討というのはあり得る話かなと思っております。そういった個別の教科の特性を踏まえたときに、では、そこの検定をどうするかという話は、検討会議の中で方向性が示された後で、さらに詰めていただくところかなと思ってございます。教科書全体という意味でいきますと、令和6年の改訂を目指すとしても大きく変えることは難しいけれども、そうした個別の話というのは、検討会議での議論によっては対応することがあり得ないわけではないのかなと。ただ、大幅というのはなかなか難しいのかなという状況かなと思ってございます。

 あとは、電子データでもらったときに検索がしやすいといった検定のしやすさと効率化という点については、できる限り、効率化が図れるようにしていきたいとは考えてございます。ただ、発行者さんがそもそも印刷用に作ったデータをそのままもらったときに、普通のパソコンで普通に検索がうまくかけられるかといった技術的な問題は、これからちゃんと詰めないといけないと思っておりまして、方向性としては、そういう調整をした上で、なるべく効率化が図れるような電子化をしていきたいと思っておりますが、細部については、これから調整をしていきたいと考えているところでございます。

 私のほうから取りあえず以上でございます。

【五十嵐部会長】  山内先生、いかがですか。よろしいですか。

【山内(豊)委員】  はい。どうも大変丁寧な御説明ありがとうございました。教科書の英語の本文をコンピューターの工学的な手法を使って分析するためには、テキストファイルで文書を提出していただくということが必要になってきますし、また音声のチェックをするにしましても、現実のそれはWAVファイルという形式で提出をしていただく。最低でもMPEG3という形で提出していただくとか、そういう細部を詰めていく必要とかがあるかと思います。

 どうも大変詳しい御回答ありがとうございました。感謝しております。

【五十嵐部会長】  どうもありがとうございました。

 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【金子委員】  すみません、1点だけ、ちょっと確認なんですけれども。資料1の2ページ目のところの訂正内容を迅速かつ確実に、適切に、簡便にということでホームページ掲載ということなんです。これは、私もとてもよいと思うんですけれども、幾つか御意見の中にもあるように、必ずしも、そのホームページの内容を常にチェックしているわけではないというようなこともありますので、それについてはメールを送るだけでいいのか、あるいは特に重要な箇所だけは、きちっとこれまでどおりの形で伝えて、それ以外のものをホームページに掲載するのか、あるいはホームページ上で何かこれが、この点に関しては特に重要という形で、注意を促すような形での表記にするのか。その辺について、ちょっと確認したいなと思いました。

【高見教科書企画官】  ありがとうございます。まず現状なんですけれども、訂正がなされた場合に通知をするという規定になっているんですが、その通知の仕方が、かなり発行者によって様々な方法を取っているというのが現状でございまして、訂正がなされた箇所を全部、紙で送っているというようなイメージではなくて、恐らく必要に応じて、ここはぜひ学校現場に把握してもらいたいという点を抽出して、紙でやっている場合もあれば、メールでやっている場合もあれば、ホームページ掲載で、そこを見てくださいというやり方をしている場合もあるという状況がございます。そこが様々になってしまっているというのを、先生御指摘のように、特にやっぱりここは学校現場に知っておいてもらいたいというものは確実に届ける必要がございますので、ホームページで掲載した上で、メールだけだと不十分なのかもしれないのですが、そこも含めて、やり方をきちんと精査したいと思います。

 送るタイミングとしても、都度都度送っては学校現場で見る手間も大変なので、例えば学期が始まる前に、こういう訂正がありましたということを通知するとか、少しその辺りのやり方は統一的に、ある程度方針を示して御対応いただけるようにしたいなと思っております。かつ、重大な訂正なのか、軽微な訂正なのかということもございますので、ここはぜひ見てくださいというところと、こういう修正もございましたという御参考のようなものも、きちんと分けて現場が参照できるように、とにかく現場の先生にとって見やすい、子供にとっても見やすいようなやり方で周知を図りたいと考えております。

【金子委員】  ありがとうございました。

【五十嵐部会長】  そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、本日は貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。議題に関する審議は、これで終了したいと思います。

 今後の予定につきまして、簡単に御報告したいと思います。次回の会合は12月頃に開催することを予定しております。本日の御意見等も踏まえまして、事務局と相談をして報告案を準備していただきます。それを基に、確認の作業として12月の会を開きたいと考えている次第です。

 最後に事務局から、これからの予定について御説明をお願いしたいと思います。

【高見教科書企画官】  ただいま部会長のほうから御説明いただいたとおりなんですが、資料3に今後のスケジュール案といたしまして書いてございますけれども、12月初旬頃に次の総括部会を開催させていただきたいということで、日程調整が整い次第、委員の皆様には御連絡をさせていただきたいと思います。

【五十嵐部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、これで本日の総括部会は閉会といたします。御協力どうもありがとうございました。


 

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