総括部会 新教育課程に対応した教科書改善に関するワーキンググループ(第2回) 議事要旨

1.日時

平成20年4月25日(金曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館3階 「3F2特別会議室」

3.議題

  1. 新教育課程に対応した教科書改善について
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、安彦委員(主査)、伊藤委員、浦野委員、甲田委員、榊原委員、杉原委員、高倉委員、谷坂委員、富岡委員、西沢委員、橋本委員、長谷川委員、濱口委員、廣部委員、茂手木委員、若井田委員

文部科学省

布村審議官、伯井教科書課長、串田教科書企画官、藤原教育課程企画室長補佐 他

5.議事要旨

(1)主査から、資料1について確認の依頼があった。
(2)事務局から、資料1~3に基づき、新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善方策や、最近の教科用図書検定基準の改正経緯等などについて説明が行われ、質疑があった後、自由討議が行われた。主な意見は以下のとおり。

  1. 学習指導要領と発展的な学習の時間について
    •  中教審から示された答申では、「教科書の質・量の充実」が求められている。現在でも学習指導要領に記載されている内容を教えることでも大変な状況であるが、発展的な学習を指導することをどのようにとらえたらよいか、考えるべきである。
    •  教科書には多様な発展の記述が求められているが、発展的な学習のページを増やすことには制約がある。発展的な学習と教科書の体様に関連した議論を行うべきである。
    •  先に進めていく学習と横に広げる学習という、「発展的な学習」を導入した役割や目的を改めて確認するべきである。
    •  今回の学習指導要領の改訂は、教育基本法や学校教育法の改正により、共通教養としての義務教育が強調されている。発展的な学習に対する意見や各教科に関する意見も重要だが、この強調されている義務教育の部分をどれだけ押さえているか、といった観点が重要。
  2. これからの教科書に求められる内容・記述・体様のあり方について
    •  資料2の「改善の観点(例)」の4つの柱について、この4つは相互に関連しており難しい問題であると思う。知識・技能を活用していく際には、問題解決能力が大切になってくるが、探究する態度を促すような教科書づくりが重要になり、単に発展的な学習を盛り込むだけで促されるものではない。
    •  参考資料1のP16下に記載のある6つの柱の観点を教科書に取り入れると同時に、言語活動の指導も行わなければならない。当面は教科書作成場面と教科書検定場面において、両者をどのように取り入れるか、バランスをどのように保つのかについて検討すべきである。
    •  知識・技能を修得させることはもちろん、それを活用させるような教科書、さらには、探究する態度を育てる教科書が出てくると、学習指導要領の趣旨を生かすものになるのではないか。
    •  教科書の質・量の充実については、内容を増やし、充実させることを指しており、即ページ数の増加を想定しているものではない。
    •  今回挙げられている改善の観点は、教科書発行者側から見たものである。児童生徒の立場では、読み進めることが面白い教科書を通して自学自習できるものがよいが、現在の教科書は骨のみの構成になっており、生徒が興味・関心を持って読み進められるものではない。
    •  最近の教科書は、子どもの興味・関心を引き付けさせる手段として、イラストやマンガが多く、子どもに媚びているように感じる。教科書は学問の書であることを自覚すべきである。
    •  理科では、小学校から高等学校にかけて、理科が大切であること、世の中の役に立っているという認識が減少する傾向にある。発展的な学習についても、身近な現象と最先端の研究を関連付けるなど、弾力的に記載されることが望ましい。また、現在の教科書はエッセンスのみの記載で魅力が少ない。
    •  英語においても、日本語の扱いを注意深く確認すべきである。言葉は常に変化しているという事実があるが、例えば、口語的なやりとりや流行の言葉など、生徒に媚を売るような取り上げ方をされており、日本語がぞんざいに扱われている。ある程度の歯止めは必要ではないか。
    •  地方の学校からの要望として、現在の教科書の内容は精選されすぎているということ。地方は塾等も少ないことなどから教科書で指導するしかなく、子どもたちも教科書に頼っているので、教科書は丁寧に、手厚く書いてほしいという要望が多い。
  3. 教科用図書検定基準の改正等について
    •  理科などの実験・実習が多い教科・科目は安全性の観点が重要であるが、家庭科及び技術・家庭科のように、「安全性」の問題を検定基準に盛り込んでいくべきである。
    •  今回の学習指導要領においてはスパイラル教育が盛り込まれたが、現在の検定基準では「不必要な重複はないこと」となっており、反復学習と現行基準の関係を整理する必要がある。
  4. その他
    •  検定申請がなされた申請図書に編集段階で普通に確認していればあり得ないような誤植が目立ち、審議会で申請図書の校正を行っているようである。一定数以上の明らかなミスや誤字があれば、検定対象としないということも考えられる。
    •  正確性で判断できないような部分については、審議会としてどう判断するべきか。表現が不自然などは基準で規制するのは困難であるため、もう少し自由競争に任せるなど、採択側が望ましい記述ぶりを判断できるようにしたらどうか。
    •  検定意見をつけた趣旨がより正確に理解されるよう、検定意見の伝達の場などでの発行者とのコミュニケーションを工夫すべきである。

以上

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初等中等教育局教科書課