総括部会 教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第9回) 議事要旨

1.日時

平成20年12月4日(木曜日)10時~12時

2.場所

霞が関ビル33階 東海大学校友会館「阿蘇の間」

3.議題

  1. 教科書検定手続きの改善方策について
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、勝方委員、榊原委員、髙倉委員(主査)、高橋委員、西沢委員、濱口委員、広瀬委員

文部科学省

德久審議官、伯井教科書課長、串田教科書企画官、佐々木教科書課課長補佐他

5.議事要旨

○主査から、前回の第8回ワーキンググループにおける議事の概要案の確認依頼があった。
○資料2から参考資料1について、事務局より説明を行った後、資料3の「教科書検定手続き改善のための具体的な改善方策について(案)」を中心に、教科書検定手続きの改善方策について議論を行った。

主な意見等は以下のとおり。

1.教科書検定手続きの透明性の一層の向上

(検定における審査過程の一層の公開)
【委員】
 本審議会が行政処分の前提となる審査を行っているという性格を有することと、情報公開という今日的な状況とのバランスを考えると、調査意見書等は検定終了後に公開することが適当である。

(部会・小委員会の委員における議事の概要の作成・公表)
【委員】
 中央教育審議会の議事録等では、発言した委員の氏名まで記載しているが、教科用図書検定調査審議会は政策形成・立案を行う会議ではなく、行政処分を前提とした会議であることから、委員個々の意見のやりとりの公表には制約がかかる。

    【委員】
  議事録の作成・公表についての資料における書きぶりはこれでよい。ただ、どのくらい書き込むのか分かるひな形を、資料として添付していただきたい。

(委員分属の公表)
【委員】
  委員の分属についても、全体として統一した方法により、検定審査終了後に公表するのが適当である。

(審査過程における申請図書等の適切な情報管理)
【委員】
 審議会の調査審議を一時停止する措置については、部会等が判断するという前提があるため、規則等で一律に規制するのはどうかと思う。今までの出来事から具体的なケースを想定して、最も適切な対応策を考慮していただきたい。

    【委員】
 審査過程におけるということであれば、この文言で十分だと考える。ただ、ある会社が申請図書の内容を意図的に審査過程でマスコミに流したことが過去にあったと思うが、そういう事実も周知してほしい。また審査終了後に社会的な問題となって次回の審議にかなり影響を与える場合もある。審議会委員は自身の見識や専門的立場から発言するため、名前が出ても構わないという気持ちで審議しているが、他部会の審議事項で、直接の審議事項でないにもかかわらず、マスコミ等から議論が出てきたことにより、何らかの影響を受けることがある。そのようなことへの対応も考える必要がある。

    【委員】
 「静ひつな環境の確保」について、調査審議の一時停止は、申請図書についてだけでなく、訂正申請について審議する場合にも該当させるべき。また、訂正申請の情報管理については、特に罰則が無いため、教科書会社への強制力が無いのであれば、促すしかないということになる。

2.専門的見地からのきめ細やかな審議の確保

(より専門的できめ細やかな審査を行う場合の審議の方法)
【委員】
  専門委員の任命等を行う際は、部会等の判断に基づき行えることにより、部会の自主的な運営が担保されると考える。

(検定意見の伝達方法等)
【委員】
  教科書作成側から、検定意見の説明方法、必要な時間的余裕等、今までの問題点や不満について、意見を十分聴取する必要がある。発行者が、検定に対する意見を十分理解し、なぜ自分たちが著作・編修した教科書の記述が受け入れられないのかが相手側に納得できるような説明になるように、運用改善を図るのが望ましい。

3.文部科学大臣と審議会の関係及び審議会委員や教科書調査官の役割・選任の改善等

(文部科学大臣と審議会の関係及び教科書調査官の役割)
【委員】
  諮問した文部科学大臣自身が、答申に従った行政施策を実施せず、大臣としての主体的判断が入る余地があるということも考えられるが、検定は政治的介入ができない仕組みであるべきであり、専門的に中立に審議した、審議会の答申に基づいて検定決定を行っている。基本的にその方針を維持して対応していくことを、書くべきである。

(審議会委員の役割・選任)
【委員】
  「学校現場の経験豊かな人材の活用についても配慮」とあるが、現在の審議会構成でも、学校現場の経験豊かな方々が入っている。今回このような記述があることは、従来のあり方以上により徹底していくということか、あるいは現在の状態を位置付けているということか。

    【文部科学省】
  内容確認的な意味で記述している。

(教科書調査官の選任及び職歴等の公表等)
【委員】
  教科書調査官選考基準について、旧制の高校学校卒業や年齢要件等、客観的にみて古いと感じる。今日的に直面している問題に適切に対応できるような人材を確保する面からも見直しが必要。

【委員】
教科書調査官の職歴等について、公表の手段はどのようなものを検討しているか。

【文部科学省】
本省の幹部職員は文部科学省のホームページで公表されているが、公表方法については今後検討していく。

(教科書記述の正確性の確保)
【委員】
  改善方策についてはこの記述で十分であると思うが、何が誤記・誤植であるかを定義する作業は今後どのように行われるのか。

   【文部科学省】
  訂正申請について規定した検定規則第13条を参考にしながら、改正の内容を詰めていくことになると考えている。何を誤記・誤植とするかについては、客観的に見て本当に簡単な誤記、誤植、単純ミス、脱字等といったものを考えている。

   【委員】
  誤記・誤植の審査方法について、資料に示されたような改善がなされれば、内容面についてかなり慎重な審議ができるようになる。

(教科書検定手続き全体)
【委員】
  内容はこれで良いと思うが、発表する際、なぜこれをまとめたのかという説明が必要である。これまでは行政処分の対象にかかわる事柄であるということで、プロセスについて十分な公開を行ってこなかった。それを今度は公開の度合いを深めるわけで、重大な政策変更であり、政策変更の場合は、なぜそれを行うのかという説明がきちんと行われなければならないと考える。プロセスを公開すれば、全てが解決するわけではなく、プロセスが正しいのかという議論もこれまで以上に巻き起こる可能性がある。そうした議論に耐えられる議論の深さが求められる。今回の審議の目標は、教科書に対する信頼を高め、教科書の記述内容等の向上を図るところにある。そうしたねらいを明確に示す方向で、報告を発表してもらいたい。

    【委員】
  教育現場の経験豊かな人材の活用については、記述としてはこれで問題ない。教科書を「教材」ということで考えていくと、実際にこれを使って子供達を教え育てていく教員が、自信と誇りを持って使えるものを作っていくためにも、大事な視点だと考える。

以上 

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