審議会委員と教科書調査官の役割や選任について

1.審議会委員について

〔根拠法令等〕

○学校教育法(昭和22年法律第26号)

第34条 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学大臣が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
2 前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。
3 第1項の検定の申請に係る教科用図書に関し調査審議させるための審議会等(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条に規定する機関をいう。以下同じ。)については、政令で定める。

○学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)

(法第34条第3項の審議会等)

第41条 法第34条第3項(法第49条、第62条、第70条第1項及び第82条において準用する場合を含む。)に規定する審議会等は、教科用図書検定調査審議会とする。

○文部科学省組織令(平成12年政令第251号)

(設置)

第85条 法律の規定により置かれる審議会等のほか、本省に、次の審議会等を置く。
中央教育審議会
教科用図書検定調査審議会
大学設置・学校法人審議会

(教科用図書検定調査審議会)

第87条 教科用図書検定調査審議会は、学校教育法の規定に基づきその権限に属させられた事項を処理する。
2 前項に定めるもののほか、教科用図書検定調査審議会に関し必要な事項については、教科用図書検定調査審議会令(昭和25年政令第140号)の定めるところによる。

○教科用図書検定調査審議会令(昭和25年政令第140号)

(組織)

第1条 教科用図書検定調査審議会(以下「審議会」という。)は、委員30人以内で組織する。
2 審議会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 審議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

(委員等の任命)

第2条 委員は、学識経験のある者のうちから、文部科学大臣が任命する。
2 臨時委員は、当該特別の事項に関し学識経験のある者のうちから、文部科学大臣が任命する。
3 専門委員は、当該専門の事項に関し学識経験のある者のうちから、文部科学大臣が任命する。

(委員の任期等)

第3条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
4 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
5 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。

※選任については、各年度において検定が実施される学校種なども勘案しつつ、各専門分野ごとのバランスにも配慮しながら、学識、経験に優れた候補者の中から文部科学大臣が任命。

2.教科書調査官について

〔根拠法令等〕

○文部科学省組織規則(平成13年文部科学省令第1号)

(企画官、教科書調査官及び視学官)

第22条 初等中等教育局に、企画官二人、教科書調査官五十七人及び視学官十三人を置く。
2 企画官は、命を受けて、初等中等教育局の所掌事務に係る重要事項についての企画及び立案に当たる。
3 教科書調査官は、命を受けて、検定申請のあった教科用図書の調査に当たる。
4 教科書調査官のうち文部科学大臣が指名する者十四人を、担当する教科を定めて主任教科書調査官とし、主任教科書調査官は、命を受けて、その担当する教科について、教科書調査官の職務の連絡調整に当たる。
5 教科書調査官の職務については、教科書課長が総括する。
6 視学官は、命を受けて、初等中等教育(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校における教育をいう。以下同じ。)に係る専門的、技術的な指導及び助言(スポーツ・青少年局の所掌に属するものを除く。)に当たる。
7 視学官のうち文部科学大臣が指名する者一人を主任視学官とし、主任視学官は、視学官の職務の連絡調整に当たる。

○教科用図書検定審査要項(平成13年1月15日教科用図書検定調査審議会決定)

第1 申請図書の審査(教科用図書検定規則(以下「規則」という。)第7条関係)

1.調査の方法
(1) 申請図書の調査は教科書調査官が行う。ただし、当該図書に関し、専門の事項を調査させるため専門委員が置かれている場合には、教科書調査官に加え専門委員が調査を行う。
(2) 教科書調査官は、自らの調査の結果に基づき、教科用図書検定調査審議会(以下「審議会」という。)の審査に必要な資料を作成する。ただし、(1)ただし書きの場合には、教科書調査官は、専門委員の調査を参考として、審議会の審査に必要な資料を作成するものとする。

2.審査の方法
 教科書調査官は、3の合格又は不合格の判定方法に基づき判定案を作成し審議会に提出する。ただし、必要な修正が行われた後に合格又は不合格の判定を行うことが適当と認められる申請図書については、教科用図書検定基準に照らして教科用図書として不適切な箇所(以下「検定意見相当箇所」という。)について調査意見書(別紙様式)を作成し、検定意見書(教科用図書検定規則実施細則(以下「実施細則」という。)別紙様式2)の案として審議会に提出する。
 なお、不合格の判定案を提出する場合は、検定審査不合格となるべき理由書(実施細則別紙様式3)の案を併せて提出する。

第2 不合格となるべき理由に対する反論書の審査(規則第8条関係)

(1) 教科書調査官は、不合格となるべき理由に対する反論書の調査を行い反論の認否の判定案及び第1の2の合格又は不合格の判定案等の必要な資料を作成し、審議会に提出する。

第3 検定意見に対する意見申立書の調査(規則第9条関係)

(1) 教科書調査官は、検定意見に対する意見申立書の調査を行い、申し立てられた意見の認否の判定案を作成し、審議会に提出する。

第4 修正表により修正が行われた申請図書の審査(規則第10条関係)

(1) 教科書調査官は、修正表の調査を行い、(2)の判定方法に基づき合格又は不合格の判定案を作成し、修正表とともに審議会に提出する。

第5 検定済図書の訂正(規則第13条関係)

(1) 客観的事情の変更等に伴い学習を進める上に重大な支障となる記載や専門的な事項で重要な判断を要する記載等の訂正の承認を行おうとする場合、教科書調査官は、必要な資料を作成し、審議会に提出する。
(2) 規則第13条第4項の規定に基づき文部科学大臣が発行者に対し訂正の申請の勧告をした場合は、その結果を審議会に報告する。なお、文部科学大臣は訂正の申請の勧告を行おうとする場合、必要に応じ資料を作成し、審議会に提出する。当該資料は教科書調査官が作成する。

※ 教科書調査官は、検定の審査において、事務局として申請図書の調査に当たり、調査意見書をはじめ必要な資料を提出することとされている。
 その選任については、国家公務員法及び人事院規則に基づき、競争試験ではなく選考基準に基づき、選考により採用を行っている。
 候補者については、現任の担当教科書調査官や審議会委員等からの推薦があった者について、研究・教育業績等に基づき慎重な選考を行った上で文部科学大臣が任命。

(参考)

○国家公務員法(昭和二十二年十月二十一日法律第百二十号)

(採用の方法)

第三十六条 職員の採用は、競争試験によるものとする。ただし、人事院規則で定める場合には、競争試験以外の能力の実証に基づく試験(以下「選考」という。)の方法によることを妨げない。

○人事院規則八-一二(職員の任免)(昭和二十七年五月二十三日人事院規則八-一二)

(選考の方法)

第四十四条 選考は、選考される者の当該官職の職務遂行の能力の有無を選考の基準に適合しているかどうかに基づいて判定するものとし、人事院が定める場合にあつては、その定める方法を用いるものとするほか、必要に応じ、経歴評定、実地試験、筆記試験その他の方法を用いるものとする。

○「教科書調査官選考基準」(昭和44年4月1日初等中等教育局長裁定)

 教科書調査官となることのできる者は、次の各号に該当する者とする。

  1. 大学の学部を卒業した者又はこれと同等以上の学力があると認められる者。
    ただし、音楽、美術、職業、家庭などの特殊の教科を担当するものについては、旧制の高等学校若しくは専門学校を卒業した者又はこれと同等以上の学力があると認められる者。
  2. 大学若しくは高等専門学校又は旧制の高等学校若しくは専門学校において、教授若しくは助教授の経歴がある者又は経歴、業績等からみて調査官として担当すべき事項に関し、これらと同程度の専門の学識があると認められる者。
  3. 初等中等教育に関し、理解と見識を有する者。
  4. 視野が広く、かつ、人格が高潔で円満である者。
  5. 思想が穏健中性で、身体健全である者。
  6. 原則として年齢35才以上55才未満の者。
  7. 現に発行されている教科用図書及びその教師用指導書の著者、編集に従事していない者、その他教科書発行者と密接な関係のない者。

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初等中等教育局教科書課