教科用図書検定調査審議会 第3部会(算数・数学)報告

■主な審議内容

教科書検定手続きの改善方策について

<教科書検定手続きの透明性の一層の向上について>

○議事等の公開のあり方について
  •  透明性の観点は必要であるが静ひつ性の観点を考慮すると、全て公開することは難しい。
  •  審議を終えた段階で議事の概要を公表することで透明性を確保できるのではないか。
  •  会議自体を公開するとなった場合は、自由闊達な議論を行うことが難しくなるのではないか。
  •  会議自体を公開すると申請図書の内容が流出するといった問題が出てくるので、会議そのものの公開については慎重に検討すべきである。
○各部会・小委員会の委員分属の公開のあり方について
  •  部会の分属については、事後であれば公開しても構わないのではないか。

<専門的見地からのきめ細かな審議の確保について>

○専門委員等の活用のあり方について
  •  専門性については、現在において審査過程に支障を生じていると感じていないことから、専門委員等は必要に応じて活用していけばよい。

<教科書記述の正確性の確保について>

○正確性の確保を重視した検定手続きのあり方について
  •  発行者の編集・校正体制は不十分と言わざるを得ない。発行者におけるインセンティブがはたらくシステム作りが必要ではないか。
  •  申請図書の提出段階で単純ミスの多いものについては、検定を行わないといった基準があっても良いのではないか。

新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善方策について

<新教育課程に対応した教科書改善について>

○教科書のイラストやマンガの扱いについて
  •  教科書にキャラクターを使用しているものがあるが、学習とあまり関係ないものもある。
  •  子どもの学びにつながるもの、学習課題が見いだせるものであれば、イラストの利用も良いと思う。
○発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)について
  •  スパイラル学習については、基礎的・基本的な内容の定着に資するということのみならず、既習内容を基に類推するなど、既習内容を活用できることに気付くということも重要である。そのようなスパイラル学習を通して、数学的な見方や考え方を育成できるような教科書記述になることが重要である。
○発展的な学習内容について
  •  発展的な学習内容については、探究できる子どもたちが育てられるものであることが望ましい。
  •  発展的な学習内容については、学びたい児童・生徒が更に学びたいと思ったときの手助けになれば良い。教科書は厚くなっても良いので、好奇心や意欲を引き出すために利用してもらいたい。
○算数的活動、数学的活動について
  •  国際的な学力調査の結果によって課題のあることが分かっている数学的な表現力について、今後児童・生徒に身に付けさせる必要があるため、算数的活動・数学的活動が表現力の育成等の観点から、教科書上明確に記述されている必要がある。
○言語活動の充実について
  •  イラストのかわりに、思考の仕方を学ぶための具体的な学習場面を設定すること、表現をさせたり説明をさせたりする課題の設定、生徒が作成するレポートの書き方や発表の仕方について、教科書で充実することが望ましい。
○生活に活用しようとする態度の育成について
  •  数学についても、世の中で役に立っているという認識が減少する傾向にあるので、今後教科書上の取扱いについて工夫する必要がある。
○その他
  •  障害の有無などに関わらず、できるだけ多くの人にとって利用可能なようにするための、教科書のユニバーサルデザイン化について、全ての子どもたちにとって優しい学習環境に配慮することは大切なことである。

以上

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初等中等教育局教科書課