総括部会 教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第3回)・新教育課程に対応した教科書改善に関するワーキンググループ(第3回)合同会議 議事要旨

1.日時

平成20年5月28日(水曜日)9時30分~12時

2.場所

虎ノ門パストラル 新館1階 「鳳凰 西」

3.議題

  1. 「教科書検定手続きの改善方策」及び「新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善方策」に関する関係団体からのヒアリングについて
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、安彦委員(新教育課程WG主査)、天笠委員、伊藤委員、浦野委員、小幡委員、勝方委員、栗田委員、榊原委員、杉原委員、高倉委員(検定手続きWG主査)、谷坂委員、富岡委員、西沢委員、橋本委員、長谷川委員、波多野委員、濱口委員、広瀬委員、廣部委員、茂手木委員、山本委員、若井田委員

文部科学省

布村審議官、伯井教科書課長、串田教科書企画官 他

5.議事要旨

  • 審議に先立ち、合同ワーキンググループの進行は高倉主査が行うこととされ、高倉主査から、資料1-1、1-2について確認の依頼があった。
  • 本審議会の二つの審議事項(教科書検定手続きの改善方策及び新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善方策)に関係のある団体のうち、全日本中学校長会及び社団法人教科書協会からのヒアリングを行い、質疑応答等を行った。また、事務局から、事前に文書意見の提出があった関係団体の意見紹介を行った。
  • 事務局より、第2回教科書検定手続き改善に関するワーキンググループにおいて委員から指摘のあった点から、両ワーキンググループに関係する指摘に関する資料の説明を行った。

主な意見等は以下のとおり。

1.全日本中学校長会のヒアリング概要

資料3「関係団体からの文書意見」に沿って発言。その後、質疑が行われた。

<教科書の内容・記述に関することについて>

【委員】
 課題や問題を探究する力が求められる中で、レポート作成などの学習方法の具体例を教科書に例示すればするほど、子どもたちの思考力・判断力の育成につながらないという指摘もあるが、この点はどうか。

【ヒアリング団体】
 基礎・基本は徹底的に身に付ける努力が必要であり、その上で次のステップに進むべきである。きちんとステップを分ければ、体験や探究を妨げるものではない。現状は基礎・基本の定着が不十分な面がある。

【委員】
 「探究の結果得た新しい事実を体系的に理解し、定着を図るためのモデル化等を行う」とあるが、具体的なイメージは何か。

【ヒアリング団体】
 子どもたちが学習して得た知識は断片的になりがちなので、そうした知識が全体の学習内容の中でどのように位置づけられてるのかを示すという趣旨である。

【委員】
 「教科書の最後の単元で、3年間の学習の成果を活用して課題に取り組むような内容の記述が必要である」との指摘については、各学年ごと、あるいは理科以外の教科ではどうか。

【ヒアリング団体】
 各学年の最後に行うことも考えられる。他教科については、理科が行いやすいことから想定したが、社会科などでも可能ではないか。

【委員】
 「他教科の学習内容との関連や小学校の学習内容との関連の明確化を図る」とあるが、中学校と高等学校の学習内容の関連は考えていないのか。

【ヒアリング団体】
 小学校と中学校は学習内容がスパイラル構造であり進めやすいが、中学校と高等学校では学習レベルの段差が大きく現状では難しい。

2.社団法人教科書協会のヒアリング概要

資料3「関係団体からの文書意見」に沿って発言。その後、質疑が行われた。

<教科書の内容・記述に関することについて>

【委員】
 「教科書の記載内容を選択的に取り扱ってよいという教科書観への転換」について、現行でも課題探究学習として、選択的な取り扱いがあると認識しているが、この点を更に拡大するという趣旨か。

【ヒアリング団体】
 教科書の補足的な内容のコラムなどを授業で扱わなかった場合に保護者からクレームが出るといったことや、「発展的な学習」を導入した際に、「全ての児童・生徒が扱う必要はない」といった取り扱いの理解が行き届いていなかったということを念頭においている。

【委員】
 検定基準の個別の規定の見直しなどに言及しているが、内容をどこまで大胆に変えたいと考えているのか。

【ヒアリング団体】
 新しい学習指導要領に示されている方向性の中で、例えば言語活動については各教科横断的に扱う必要があるなど、従来と異なる面がある。

<教科書の体様に関することについて>

【委員】
 教科書協会としては教科書が厚くなることを肯定的に捉えているのか、否定的に捉えているのか。

【ヒアリング団体】
 新しい学習指導要領の趣旨を踏まえ、諸課題に対応した場合、教科書は厚くならざるを得ないと考えている。

【委員】
 ページ数については目安が必要としながら、教科書作成に影響がでないように配慮を求めるなど、矛盾を感じるが、どういうことか。

【ヒアリング団体】
 新しい学習指導要領の趣旨を反映したり、学習活動を深め、学びやすい教科書の作成するには記述の追加が必要だが、どの程度増やすかの判断は難しい。「発展的な学習」には運用上、量的な目安があるので同様のものがあればと考えている。

<教科書の記述の正確性の確保について>

【委員】
 教科書発行者自身で完成度の高い教科書をつくるような仕組みづくりも必要ではないか。

【ヒアリング団体】
 教科書協会としては、決められたことに則って取り組んでいきたい。

【委員】
 審議会では誤記・誤植などケアレスミスのチェックに追われ、本質的な審議ができていないといった問題意識を持っている。正確性の確保に関してはどうか。

【ヒアリング団体】
 全体のレベルアップのため、編修担当者を対象として研修会を行っているが、ご指摘の点は真摯に受け止め、これからの教科書づくりに反映させていきたい。

【委員】
 正確性に関しては教科書協会が具体的な方策を検討すべきである。新しい学習指導要領は新たに盛り込まれた内容が多いので、これに対応した教科書検定では、教科書調査官や審議会は誤記・誤植のチェックではなく、内容の審議に集中すべきである。

【委員】
 監修者を置いている教科書発行者が多いが、この監修者の役割をもっと明確にすべきであるし、誤記・誤植に関しても関わるようにすべきである。

【ヒアリング団体】
 各教科書発行者によってやり方があるが、間違いのない教科書をつくるため、それぞれの立場でチェックを行っている。

3.関係団体からの意見全体について意見交換

ヒアリングや関係団体からの文書意見等を踏まえて、教科書協会も交えて、意見交換を行った。

<教科書の内容・記述に関することについて>

【委員】
 執筆者が学習指導要領改訂の趣旨など、文部科学省の方針を十分理解すれば、よい教科書作りにつながると思うが、現実には発行者と執筆者の関係はどのような状況にあるか。

【ヒアリング団体】
 学習指導要領を読み込み、理路整然とわかりやすいものになるよう、執筆者も合わせて編集会議で議論をしながら進めている。学校現場での教科書の取り上げ方なども、編集側から執筆者に情報を提供している。

【委員】
 教科書の内容は、基礎的・基本的な部分はほとんど画一的に感じる。教科書協会としてはプラスα部分でそれぞれの教科書の個性を出せると考えているのか。また、執筆者には教え方の専門家は少ない。その点の工夫はどうか。

【ヒアリング団体】
 新教育課程では繰り返し学習など様々な課題があり、各発行者の工夫のしどころであると認識している。また、教え方については、各発行者とも現場の先生方が入っており、児童・生徒に分かりやすいように十分に検討した上で取り組んでいる。

【委員】
 執筆者の中で検定制度に関する理解は十分なものとなっているのか。

【ヒアリング団体】
 十分理解した上で執筆していただいている。

【委員】
 「教科書を教える」は教科書に記載されている内容、基礎・基本を重点的に教えることであり、「教科書で教える」とは、基礎・基本の上に立ち、応用力をつけた形で教えると認識している。その点に関して、教科書協会はどのような認識か。

【ヒアリング団体】
 親切過ぎた教科書記述ではよくないため、情報をどこまで教科書に盛り込むべきか難しいところ。

【委員】
 関係団体からの意見の中で、これからの教科書に求められる内容・記述・体様等のあり方は重要である。中教審でも教科書については薄い、教師がいないと学べない、といった議論が出ている。現在の薄い教科書ではなく、子どもたちが家に持ち帰り、家庭でも学習ができるような教科書が望ましい。基本的性格として教科書をどのようにしていこうかと考えることが必要である。中教審での議論も踏まえて検討を行いたい。

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初等中等教育局教科書課