教科書検定の改善に向けてのご意見(全国特別支援学校長会)
平成20年5月19日
教科用図書検定調査審議会長殿
全国特別支援学校長会
会長 三苫 由紀雄
「生きる力」を支える「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」の調和を重視した幼稚園並びに小中学校の新学習指導要領が公示され、言語活動の充実や理数教育の充実等が主な改善事項として示されました。
特別支援学校の学習指導要領の改訂については、今秋になるものと予定されていますが、特別支援教育の充実のためには、小中学校での共同学習やセンター的役割としての組織的連携等が課題としてあげられます。
このような時にあたり、教科書検定の在り方についての改善に関してご意見を述べ、要請させていただくことに感謝申し上げます。つきましては、下記の点に関しまして、ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
記
1.検定手続きの改善方策に関して
(1)教科書記述の正確性の確保に関して
- 国民の関心事項である教科書の内容について、教科書センター等の展示機関を公立図書館等へ拡充し、その期間についても長期間にしていく。
- 検定意見についても、一定期間公開し、パブリックコメント等を募集し、専門的見地からの意見収集も多く得られるようにする。
(2)静ひつな環境での公正・中立な審議の確保
- 調査審議会は、専門的見地からの審議及びパブリックコメント等を募集後の2期に分けて行い、現在並びに将来に向けての両面性をもった視点から審議を行う。
- 審議状況は公表せず、理論的根拠等を明確に示すことができるようにする。
2.新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善方策について
(1)基礎・基本の確実な習得
- 学校あるいは家庭学習での反復練習を児童生徒が主体的に重ねることができるような練習問題等の増加及び発展的学習へと続く内容の配列
- 学習内容の構造図や視覚的資料を活用して、内容の理解を図りやすくする。
(2)言語活動の充実を図るための国語教材の工夫
- 文章に親しみやすくするために、リズム感のある文章を多く学習内容として取り上げ、表現力を高める教材として取り込む。
3.その他
(1)特別支援学校に在籍する児童生徒の実態に応じた教科書の工夫
- 視覚教育を必要とする特別支援学校の教科書会社を多く、開拓、支援し、視覚障害児童生徒の教科書の在り方の充実を図る。
- 身体的並びに知的に障害の重い重度重複児童生徒の教科書についての選択肢をDVD等の視覚教材を含むようにし、家庭学習での活用にまで広げることができるようにする。
以上