「教科書検定の見直し」に関する意見発表について(全日本中学校長会)
平成20年5月28日
教科用図書検定調査審議会総括部会長
杉山 武彦 様
全日本中学校長会会長
草野 一紀
1.現在の教科書の内容・記述・体様等についての課題
- 基礎的な知識・技能の習得は大切であるものの、これに偏りすぎている。
- 基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習について、具体的な記述が不十分
- 小学校の学習内容を中学校で繰り返し学習しているが、活用したり発展的な学習に取り組んだりする内容・構成が不十分
- 日常生活との関連を重視したり、生徒の興味・関心を高めたりするような導入や理解を助ける工夫が不十分
<教科書の内容・記述に関する改善について>
(1)内容について
- 基礎的・基本的な知識を習得することや習得した知識を活用する思考力について、両者をしっかり分けて記述することが必要である。その際、知識や技能はわかりやすい表現に留意し、活用や発展的な内容については日常生活との関連を図る。
- 学習内容としての基礎・基本だけではなく、学習の仕方や活用の仕方としての基礎・基本の記述が必要。(思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、観察・実験、レポートの作成、論述など知識・技能を活用する学習活動を発達の段階に応じて充実させる必要がある。)
例)
- 調べ方
- 情報処理の仕方
- 表現の仕方(グラフ化、図の作成、映像の活用、まとめ方、発表の仕方等)
- 相互の学びあいの仕方
(2)記述について
- 思考の仕方(考え方)を学ぶための具体的な学習場面を設定する。
一つの事象や問題を異なった観点から考えたり、異なった解決方法で回答したりする学習場面を明確に記述する。
- 表現をさせたり、説明をさせたりする課題の設定と生徒が作成するレポートの書き方や発表の仕方についてより詳しい記述をする。
- 体験的な活動や探究的な活動を行う際の具体的な場面設定と学習課題を明確にする記述が必要である。
- 探究の結果得た新しい事実を体系的に理解し、定着を図るためにモデル化等の工夫を行う。
- 知識を問う評価問題とともに考え方を大切にする評価問題を重視する。
- 教科書の最後の単元で、3年間の学習の成果を活用して課題に取り組むような内容の記述が必要である。
- 他教科の学習内容との関連や小学校の学習内容との関連の明確化を図る。
(3)その他
かなり重い教科書がある。副教材等を入れると生徒が持ち運びする重量はかなりのものである。分冊の方法等の工夫をして生徒が持ち運びしやすくなるようにして欲しい。