総括部会 教科書検定手続き改善に関するワーキンググループ(第2回) 議事要旨

1.日時

平成20年4月22日(火曜日)10時~12時

2.場所

霞が関コモンゲート西館37階 霞山会館「牡丹の間」

3.議題

  1. 教科書検定手続きの現状と課題
  2. その他

4.出席者

委員

秋山委員、天笠委員、浦野委員、小幡委員、勝方委員、榊原委員、高倉委員(主査)、高橋委員、西沢委員、波多野委員、濱口委員、広瀬委員、廣部委員、山本委員

文部科学省

布村審議官、伯井教科書課長、串田教科書企画官 他

5.議事要旨

  1. 主査から、資料1について確認の依頼があった。
  2. 事務局から、資料2に基づき教科書検定手続きの検討課題について説明が行われ、質疑があった後、自由討議が行われた。主な意見は以下のとおり。
    1. 教科書検定手続きの透明性の一層の向上
      •  検定については審議会においてどのように議論がなされ、結論が出たかというプロセスを明らかにしていくことが重要であり、委員についても、どのような形で選任され、選任された委員がしっかり審議しているということを国民に知らせることは重要である。
      •  政府の審議会全体としては、透明性を図る観点から、審議会での委員の発言内容も原則公表となっているが、一方で公表することにより委員任命に支障が生じる等の事情があるかどうかなど、個々の審議会の持つ事情についても十分考慮すべきである。
      •  会議自体を公開していなくとも、事後に議事概要を公表することなどにより、透明性は確保できる面もある。
      •  外部からの指摘を見ていると、審議会の委員がどのように選ばれたかについても関心が高いように思われる。
      •  委員がどんな発言をしたのか、公表しても構わないと思う反面、国語の場合など審議内容によっては申請図書に掲載されている作品の記述に対する批評等がある場合もあり、著者等への影響を考慮すると一概に公表するというのはどうか。
      •  検定を実質的に行っている小委員会の議事については、例えば昨年の訂正申請の際の日本史小委員会の報告における対応のように、概要を作成し公表すべきである。
      •  委員の分属については、調べれば専門分野がわかり、どの部会に属するか推測できるので、はっきりと公表した方がよい。
      •  現在では検定意見は公開されており、公開の取組みは増してきているが、それでもなお検定意見の形成過 程には不透明さが残る。
      •  検定を全て終えるまで外部に漏らすべきでない情報もあり、何でも逐次公開していくことを求めるのではなく、事後的に公表すればよいとも考えられる。
      •  審議内容の公開については、どの時点でどの内容を公表するのかが問題である。
    2. 専門的見地からのきめ細やかな審議の確保
      •  沖縄戦の訂正申請の審議については日本史小委員会を7回、第2部会を1回開催したが、専門的な見地からきめ細やかな審議を行うことにも現実的には限界がある。一方で申請図書に軽微なミスが多い。例えば審議に先立ち、何を重点的に議論するかについて委員間で意思の確認を行うなどによって、メリハリのきいた審議を行う方策が必要である。
      •  検定意見の中で特に専門的な審議を要する事項をピックアップして審議することは必要である。科目の性格に応じて観点が異なるだろうが、過去の事例や経験を参考にしながら、部会ごとに事項を洗い出していけばよいのではないか。
      •  審議委員も申請図書を厳密にチェックしてきている。審議会は調査官の意見案を議論もせずに素通りしているわけではないので、誤解があれば残念なことだと思う。
      •  例えば特定事項に対する専門委員の活用のあり方や、調査官が審議会に提出する資料のあり方に改善の余地があると考える。
    3. 静ひつな環境における公正・中立な審議の確保
      •  透明性の確保と静ひつな環境の確保については、相反する面があり、そのバランスが重要である。
      •  申請図書等の情報管理に関し、どのような対応を求めるかについては、教科書会社、執筆者、審議会委員によって分けて考える必要がある。
      •  審議会の委員は正委員・臨時委員を問わず非常勤の国家公務員であることから、議事を公開していない以上、審議内容については守秘義務がある。
      •  発行者サイドから情報が流れた場合には何らかの「制裁」を加えることも考えてよいのではないか。
      •  現状として、マスコミは検定に不明なところがあるゆえに委員等から情報を得ようとする。その結果、静ひつな環境が乱される状況にあるのではないか。公開性を高めれば、静ひつな環境の確保や専門性も高められるのではないか。
    4. 教科書記述の正確性の確保
      •  誤植や単純な誤りについても一定数で不合格とするなど、教科書会社側が自ら努力するような、インセンティブの働くシステムづくりが必要ではないか。
      •  執筆担当者としての責任を自覚してもらうためにも、執筆担当者名を明記するなどの手段も考えられる。
      •  校正の体制ができていない発行者も多い。例えば基本的な編集体制を義務付けることも必要ではないか。
      •  これまでも、正確性の確保については審議会としても求めてきたが、改善されていない状況にある。教科書の持つ社会的責任の大きさを考えれば、審議会としては教科書会社に編集体制等の強化を要求し、場合によっては、何らかの制度的措置を講ずる必要もあるのではないか。
      •  例えば、ミスの数に応じて手数料を支払うとか、国が編集体制をチェックするとか、それが難しければ教科書会社同士で編集体制のピアレビューを行うとか、編集体制をユーザーにも広く公表するなどの手段も考えられるのではないか。
  3. 事務局から、資料3に基づき説明が行われ、質疑が行われた。
    【委員】
     中央省庁再編後の審議会の見直しの中で、本審議会については政令及び検定規則における「諮問」に関する規定がなくなっているのはなぜか。文部科学大臣と本審議会との権限関係を明確にし、外からもわかりやすくするという観点から、法令上、明記したほうがよいのではないか。

    【文部科学省】
     審議会の審議事項については、学校教育法や同法施行令等に規定がされているところである。諮問、答申といった文言は政省令からなくなったが、これは検定の申請に係る教科用図書に関し調査審議することが、必要的付議事項として法律で定められているとの整理の下、法令において明記しなかったものである。したがって、文部科学大臣と検定審議会との関係が変更されたものではない。一方で、法令を読むだけでは、大臣が検定の全てを行うかのように誤解されるおそれがあり、今後何らかの形で明確にする方法もあろうかと思う。

    【委員】
     審議会の審議結果に大臣がどのように拘束されるのかなどに関する規定を整備することは、審議会の権限を明確に示すものでもあり、重要である。

    ※審議の中で、委員から教科書の編集・校正体制や研修の現状等について資料の提供を求められた。

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