過去の検定手続きの改善方策の検討について

1.平成10年11月「新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善について(建議)」(抜粋)

第2 新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善

2 教科書の著作・編集の在り方

 我が国の教科書検定制度は、民間の著作・編集を前提とするものであり、よりよい教科書が作成されるためには、まず、著作者・編集者の創意工夫が求められるところである。すべての著作者・編集者は、第1部で述べたように、今回の教育課程の基準の改善の趣旨が適切に反映された質の高い教科書が作成されるよう、これまで以上の創意工夫を図らなければならない。
 教科書検定制度については、昭和62年の臨時教育審議会答申を踏まえ、適切な教育内容を確保し、個性豊かで多様な教科書が発行されることなどをねらいとして、平成元年に、検定手続と基準の大幅な簡素化・重点化を行うとともに、著作者・編集者に対し、よりよい教科書の作成に努めるよう求めたところである。著作者・編集者は、この検定制度の趣旨を改めて認識し、申請図書の完成度をより一層高めるなど、これまで以上に自覚をもって著作・編集に当たり、主体的に一層の創意工夫に努めることが強く期待される。
 さらに、学校教育において重要な役割を果たす教科書については、国民の関心も高く、教科書の信頼性を高めるためには、著作・編集に当たって、その責任の明確化が求められている。
 このため、特に、以下のような配慮を行うことが必要である。

(ア) 教育課程の基準の改善の趣旨が適切に反映された質の高い教科書の作成のために、教科書発行者は、今回の教育課程の基準の改善の趣旨を十分理解し、研究機関との連携も図りつつ、教科書の改善に向けた不断の研究に努め、その成果を教科書の著作・編集に反映させるとともに、より優れた著作者・編集者を確保するなど、著作・編集機能を一層向上させるよう努める。
(イ) 教科書においては、その著作者等の氏名を明らかにしなければならないこととされているが、これが実際の著作・編集等に対応していないのではないかとの指摘もあるところである。教科書の監修者・著作者・編集者としての自覚を高め、教科書の信頼性を確保する観点から、著作、編集等において果たした実際の役割、分担等の責任に応じた著作者名等を示すようにする。
 また、翻訳、翻案、編曲、採譜等が施されて引用、掲載された教材等においては、その旨を明らかにするようにする。

2.平成14年7月「教科書制度の改善について(検討のまとめ)」(抜粋)

3.教科書検定手続等の改善について

(2)改善の具体的な内容について

2. 申請図書の完成度を高めるための方策

 著作者・編集者によって申請図書の段階から完成度が一層高められるべきことについては、平成10年の本審議会建議でも指摘したところであるが、12年度・13年度の小・中・高等学校教科書の検定における検定意見の約6割が誤記や誤った事実の記載等の正確性に関するものであるなど、申請図書の完成度が依然として高いとは言えない状況にある。このような現状に鑑み、各申請者において申請図書の完成度を高めるために内部の編集チェック体制を一層強化すべきであるとともに、文部科学省において以下のような方策を講ずる必要がある。

ア.誤りや不正確な記述が特に多い申請図書について、申請者に対し改善方策について説明を求めること
イ.過去の検定における、誤りや不正確な記述例のデータベースを構築し、今後の申請図書の編集等の参考に供すること

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初等中等教育局教科書課