宗教法人審議会(第155回) 議事録

1.日時

平成20年5月12日(月曜日) 午前10時30分~

2.場所

中央合同庁舎第7号館12階共用第2特別会議室

3.議題

  1. 宗教法人冠纓神社の規則変更不認証決定に係る審査請求について
  2. 最近の宗務行政について
  3. その他

4.出席者

委員

池端委員、井田委員、打田委員、大石委員、清重委員、黒住委員、氣多委員、小林委員、齋藤委員、佐藤(禎)委員、佐藤(典)委員、島薗委員、滝口委員、田中委員、長谷川委員、深澤委員、深田委員、山岸委員、山北委員、芳村委員

オブザーバー

(文化庁)
 尾山文化部長、舟橋宗務課長、その他関係官

5.議事録

1.開会

【会長】

 ただいまから第155回宗教法人審議会を開会いたします。
 まず、開会に当たりまして、尾山文化部長から一言ごあいさつをお願いしたいと存じます。

【文化部長】

 文化部長の尾山でございます。
 第155回宗教法人審議会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。委員の先生方におかれましては、本日はお忙しいところをご出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、この4月から新たに委員にご就任いただきました深澤委員、深田委員には、改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。
 本日は、去る3月17日の本審議会で文部科学大臣より諮問させていただきました宗教法人の規則変更不認証処分に係る審査請求に対する裁決案につきましてご審議いただき、ご答申をいただきたく考えているところでございます。また、併せまして、最近の宗務行政の状況についてご報告申し上げたいと考えております。
 委員の先生方の闊達なご審議を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、ごあいさつとさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【会長】

 ありがとうございました。
 最初に、委員の異動のご紹介をいたします。
 3月末をもちまして、池田行信委員、田中佐和委員及び島薗進委員が任期満了となられました。このうち島薗委員は、4月1日付けで再任されていらっしゃいますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 また、先ほど尾山部長からのごあいさつにもございましたとおり、池田委員のご後任として、財団法人全日本仏教会事務総長の深澤信善委員、また田中委員のご後任として円応教恵主の深田惠子委員が4月1日付でそれぞれ新たに就任されておりますので、ご紹介いたします。
 それでは、深澤委員及び深田委員から一言自己紹介をお願いしたいと存じます。

(委員自己紹介)

○ 全日本仏教会の寄附行為によりまして、4月1日付けで事務総長を拝命いたしました。池田前事務総長についで2年間本審議会の委員に4月1日付で委嘱されました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○ 新日本宗教団体連合会から田中佐和先生と交代いたしまして本日この場でまた新しく勉強させていただきたいと思っております。若輩者でございますが、正しく物を見るように努めて、そして心を穏やかにして努めてまいりたいと思います。至りませんが、どうぞご指導くださいますよう、よろしくお願いいたします。

【会長】

 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、審議に入ります前に、事務局から本日の配付資料の確認をお願いしたいと存じます。

【宗務課長】

 お手元の封筒の中の資料をご確認いただきたいと存じます。

(配付資料の確認)

【会長】

 続きまして、定足数の確認をいたします。
 宗教法人審議会規則第6条によりまして、総委員の5分の3以上の出席がなければ議事を開き議決することができないとされております。本日は20名の総委員中19名の出席が今ございますので、定足数を充足していることを確認いたします。
 ここで、本日の審議内容の公開に関する取扱いについて確認したいと存じます。当審議会の申し合わせによりまして、会議自体は非公開でございますけれども、後日不服審査に係る審議の内容については議事要旨を、またその他の審議の内容につきましては議事録を作成して公開することとしております。議事録・議事要旨につきましては各委員の自由な討議を確保するために、委員の氏名は匿名として表示しております。さらに個別の宗教法人の名前、氏名、名称は議事録等では公開しないということとされておりますけれども、答申の中で記載された法人名につきましてはこの限りではないというふうになっておりまして、公開されることになります。
 以上の点、念のため申し添えますので、よろしくお含みおきくださいますようお願い申し上げます。

2.議事

議題(2)

【会長】

 本日の議事に入りたいと思います。
 議事次第によりますと、議題(1)宗教法人冠纓神社の規則変更不認証決定に係る審査請求についてとなっておりますけれども、議事の都合上、議題(2)及び(3)を先に行いたいと思いますので、ご了承いただきたく存じます。
 まず、議題(2)の最近の宗務行政につきまして事務局から報告がございます。幾つか多岐にわたりますので報告を2回ほどに分けまして、その都度区切りますので、ご質問等をいただきたく存じます。

【宗務課長】

 最近の宗務行政について、ご報告をさせていただきます。
 資料は5から12でございますが、まず資料の5から7までをご報告させていただきたいと思います。
 最初に、宗教法人の書類提出状況につきまして、資料5でご説明をさせていただきたいと思います。ご案内のとおり、宗教法人法が平成7年に改正されまして、各宗教法人においては、財務、会計等の書類について毎会計年度終了後の4カ月以内に所轄庁に提出をしなければならないという義務付けが行われたところでございます。この制度は平成8年度の会計年度から適用されておりまして、おおむね10年を経過しているわけでございますが、ここに掲げておりますとおり、文部科学大臣所轄の宗教法人、それから、都道府県知事所轄の宗教法人、それぞれ非常に高い提出率となっております。これはいずれも18年中に提出期限が来る分ということで、17会計年度の分でございますが、それぞれ9割を超える高い提出率になっておるところでございます。制度が10年経過しましておおむね定着したと考えているわけでございますが、引き続きこの制度の適正な執行、徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
 17年提出分の数字が括弧の中に書いてございまして、これに比べると少し率が下がっているように見えますけれども、これは調査時点での数値が少し下がっているということであり、この後にも提出をいただける予定のものがございますので、18年提出分についても、最終的には前年同様高い提出が見込まれると考えております。
 それから、参考で、過料事件通知書の発送件数を掲げております。これは法律に基づきまして、この書類が提出されない場合には10万円以下の過料に処するという規定がございます。所轄庁においては提出がない場合に、提出を督促いたしますが、相当期間が経ってもご提出いただけない場合に裁判所に対してこの通知書を発出するという扱いになっております。国におきましては実際上は残念ながら提出を拒否される法人について裁判所に通知書を出すという扱いをしておりまして、この18年提出期限分について4件発出をしているということでございまして、これは前年の17年提出分と同じ法人になっているということでございます。一部こういう残念なケースがございますけれども、全体として高い提出率を見ておりますので、今後とも制度の徹底に努めてまいりたいと考えております。
 以上が資料5でございまして、次に資料6をご覧いただきたいと思いますが、情報公開に対する対応状況でございます。ただいま資料5でご覧いただきました提出書類を始めといたしまして、宗教法人関係の行政機関で保有している文書につきまして、情報公開法あるいは条例に基づいて所轄庁に開示請求があった場合の取扱いでございます。これまでもこの審議会でご説明しておりますように、宗教法人関係の資料につきましてはそれを開示することによりまして宗教法人あるいはその関係者の信教の自由が害される恐れがあることから、公になっている事項を除きましては原則として不開示とするという取扱いにいたしております。そして、その取扱いについては国から各都道府県の知事に対しまして処理基準という形で通知をいたしまして、各都道府県においても同様の扱いとするように求めておるところでございます。その状況をまとめたのがこの表の1でございますが、特に1の提出書類、先ほど資料5で提出状況をご覧いただきました提出書類につきましては、ここにございますようにすべて不開示の扱いにしております。この数字は情報公開法が施行された平成13年から今年の3月までの累計の数字でございますけれども、12件の請求に対してすべて12件とも不開示とさせていただいているわけでございます。特に提出書類の不開示でございますけれども、この表の1の下の※を3つ打っておりますけれども、その3つ目のところに不開示には存否応答拒否を含むと書いてございます。この存否応答拒否とは、この下に書いてございますように文書を保有しているか否かを明らかとせず不開示とするものでございまして、提出書類については、先ほど申しましたように法律で義務づけられておりますので、その提出がないため不存在であるということを答えることによりまして当該法人が不活動宗教法人であるという、そういう疑いを持たれる懸念があります。そうしますと法人格の売買ですとか、悪用につながるおそれがあるということで、国においてはそもそも提出があるかないかも含めて、保有しているか否かを含めてそれを明らかにしないで不開示にする、そういう対応をさせていただいておるところでございます。
 そのほか、2から5までいろいろな書類の分類がございますが、いずれにいたしましても公けになっているもの以外は原則として不開示とする、そういう対応にさせていただいている状況でございます。
 表の2は文部科学省全体の開示請求に対する対応状況をまとめたものでございます。
 それから、表の3は、情報公開に関します不服申立ての件数を書いておりますが、宗務課の関係が不服申立て件数2件、それから決定済み件数2件というふうになっております。これはいずれも同じ宗教法人についての同じ方からの請求に関するものでございますけれども、ある特定の宗教法人の宗会の議事録を求められたわけでございますが、当然それらは公けになっていない情報ですので不開示の決定をいたしましたことに対して異議申立てがございましたが、棄却するという決定を行っているというものでございます。
 以上が資料6のご説明でございます。
 それから、続きまして資料7に基づきまして、公益法人制度改革の状況のご報告をさせていただきたいと思います。公益法人制度改革の状況につきましては、これまでもこの審議会でご報告をさせていただいております。3月の審議会におきまして、内閣府において公益認定のガイドラインを作成してパブリックコメントに付している途中であるというご報告をいたしましたが、そのパブリックコメントを経まして去る4月11日付けでガイドラインが最終的に決定をされましたので、本日は資料7-2ということで、その本体をお配りさせていただいております。特にこの資料7-2の37ページ以降におきまして公益目的事業のチェックポイントが掲げられておりまして、各事業の区分ごとにどういったものが公益目的事業として不特定かつ多数の利益の増進に寄与するものと認定されるかというチェックポイントが掲げられておるところでございます。
 この中で、資料の50ページをご覧いただきますと、横断的注記事項がございまして、(3)のアのところで、機会が、一般に開かれているかどうかというところにつきまして、但書きにおきまして機会が限定されている場合であっても合理的な理由がある場合にはそれは不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するという事実認定をし得るということになっております。これは3月にご報告したところから変わっておりません。したがいまして、宗教関係で特定の宗派ですとか、対象者が限られるような法人が、財団法人、社団法人とあるわけでございますけれども、今後個別の法人ごとに公益認定等委員会での審査を受けて、合理的な理由であると認められれば、それが不特定多数の利益の増進に係るものだと認定を受けられる可能性があるということでございます。
 以上で資料の5から7までのご説明を終わらせていただきます。

【会長】

 資料5では宗教法人の書類の提出状況につきまして、資料6が情報公開の関係、資料7が公益法人制度改革についてということでございますが、ただいまの事務局からのご報告につきまして、何かご意見、ご質問等ありましたらお願いしたいと存じます。
 資料5ですけれども、大臣所轄では例年変わらない件数なんですが、都道府県知事の所轄ではかなり数字が動くということ、これからはそう見えますが、その点いかがですか。

【宗務課長】

 都道府県については私どもに報告をいただいているのが6月と12月の年に2回ということになっておりますので、19年12月末現在でご報告を受けた段階では特に過料事件のところで数字に変動がございますけれども、その後状況が変わっている、数字が変わっている可能性もございます。あとは都道府県によって、督促をした後書類が提出されるのを比較的長期間待っている場合もありますし、他方では、ある程度催促して提出されなければ過料事件通知書を発出する場合もあるなど、多少都道府県によって対応が違うようでございますので、その違いも少しこの数字にあらわれている可能性があるかと思います。

【会長】

 いかがでしょうか。資料5から資料7までで何かございませんか。
 特にご意見、ご質問等ないようでしたら、説明を続けていただきたいと思います。

【宗務課長】

 次に、資料8以降をご説明させていただきたいと思います。
 資料8は、宗教法人制度の運用等に関する調査研究についてでございます。この調査研究につきましてもこれまでこの審議会で何度かご報告をさせていただいておりますが、資料8-1にございますように、平成17年の文化庁次長決定によって設置されておりまして、平成17年度からこれまで3年度実施をさせていただいております。目的のところにございますように、宗務行政を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、宗教法人制度の運用に関する諸課題及びその他関連する事項について調査研究を行うということでございます。これまでも申し上げておりますように、これは制度の運用に関する研究ということでございますので、この研究成果を踏まえて法律を改正しようとか、そういうことを考えているものではございません。これまで3年度行っているわけでございますが、資料9の「主な意見等の概要」が昨年の3月にまとめられております。資料9、白表紙を1枚めくっていただきますと目次がございますけれども、ここに1、2、3とございますように、これまでこの3つの事項についてご審議をいただいておるわけでございます。1つが宗教及び宗教団体の社会的意義や役割について、2といたしましては宗教及び宗教団体の憲法、法律における位置づけについて、3が宗教法人制度をめぐる諸制度の意義とその運用についてということで、各宗教法人のガバナンスですとか、透明性の確保、それから宗教法人が行う事業についてご議論をいただいてまいりました。
 平成19年度につきましては、この資料8-1の3枚目をご覧いただきますと、19年度の開催状況をまとめております。19年度においては4回会議を開催しておりまして、諸外国における宗教法人法制について、また、具体的に個別の宗教法人から実態についてのご報告をいただくということで、浄土真宗本願寺派、それから神社本庁からそれぞれの宗教法人における運用の状況についてご報告をいただいたところでございます。
 この調査研究は今年度、20年度も継続をさせていただく予定にしておりまして、資料8-2をご覧いただきたいと思いますけれども、20年度はこの調査協力者会議の調査の一環としまして、宗教法人が行う事業に関する調査を実施したいと考えております。これは目的のところにございますように、宗教法人が行う公益事業や公益事業以外の事業につきまして、その動機、形態、管理運営等の実態を調査把握することによりまして、宗務行政上の基礎資料を得るということを目的としております。宗教法人については、ご案内のとおり本来の宗教活動に加えまして、公益事業及び収益事業ともいわれる公益事業以外の事業を行うことができるとなっているわけでございます。この実態について調査をするものでございまして、過去に2回、おおむね20年ごとに実施をしております。前回が昭和63年から平成元年までに行っておりますので、ちょうどこの平成20年で20年がたちますので、この機に実施をさせていただこうというものでございます。
 対象としては、全国の宗教法人の約1万8,000法人として、全宗教法人の約1割ということでございます。調査方法も、単位法人については無作為で10パーセントの法人を抽出する。20年度に調査票を送りまして、21年度に集計、分析を行うというものでございます。調査事項は、そこに掲げさせていただいておるものでございます。詳細については今後調査協力者会議でさらにご検討いただきたいと思っておりますが、各宗教法人のご協力をいただきましてこういった調査を20年度は実施をさせていただきたいというふうに考えております。
 それから、次に資料の10をご覧いただきたいと思います。もう一つ調査関係でございまして、海外の宗教事情に関する調査を実施させていただいております。これは諸外国における宗教団体における法制度、税制度あるいは宗教と社会のかかわり等の宗教事情について調査をするという目的で実施をしておりまして、こちらも平成17年度から19年度までの3カ年間実施させていただきました。対象としては、アメリカ、ヨーロッパ等の地域について実情調査を行ったということでございます。このメンバーにつきましては資料10の2枚目に協力者の先生方のお名前を掲げさせていただいておりますが、本審議会の会長でいらっしゃいます大石先生に座長をお願いいたしております。3枚目に17年から19年の調査の具体的な調査対象である期間等について掲げさせていただいております。その成果物が資料11ということで、各欧米諸国における宗教団体における法制度あるいは税制度について詳しくご調査をいただいた内容になっているところでございます。
 それから、ご報告の最後といたしまして資料12をご覧いただきたいと思います。こちらは行政不服審査法案の概要でございます。去る4月11日に総務省から行政不服審査法案、現在の行政不服審査法を全面改正する法案が国会に提出をされております。まだ国会におけるご審議は行われておりませんが、この法律が可決され成立いたしますと宗教法人関係の不服申立てに大きな影響がございますし、宗教法人法も一部改正になるということでございますので、この段階でご報告をさせていただきます。
 この法案の趣旨でございますけれども、1の手続の一元化等というところに説明がございます。現在、行政不服審査につきましては、処分庁に上級行政庁がある場合の審査請求と上級行政庁がない場合の異議申立てと二本立てになっております。審査請求については審査の過程で弁明書あるいは反論書を提出させるとか、処分庁から物件の提出をさせるといった、そういった手続保障がございますが、異議申立てについてはそれがないということで、手続保障のレベルが低い異議申立てについて、これを審査請求に一元化いたしまして、一元化された後の新たな審査請求についてはさらに手続保障のレベルを向上させる、こういった趣旨となっております。
 そのほか審理の一段階化ということで、再審査請求を廃止するという改正案になっております。
 2の審理の客観性・公正性の確保というところにございますように、具体的には審理員を置きまして、審理員による審理手続を導入するというのが一点ございます。審理をより公正なものとするために大臣等の審査庁は処分に関与した者以外の者の中から審理員を指名いたしまして、審理員が審査請求の審査を行う。そして大臣に対して裁決の意見書を提出するということでございます。審理員を審査庁に置き、審査請求人と処分庁の双方から主張や証拠の提出を求めて整理を行うということで、いわば対審構造といいますか、裁判のような構造がここで設けられるということになりまして、より公正な審理が行われる、そういったことが目指されているものでございます。
 それから、2点目といたしまして、行政不服審査会等への諮問手続の導入ということで、大臣等が審理員から意見書を受けた後に裁決をするに当たって行政不服審査会、また都道府県においてはそれに類する第三者機関を設けましてそこに諮問をして答申を得て、その答申を踏まえて裁決を行うという形にすることによりまして、より客観的・公正な判断が得られるようにする、こういった改正案の内容とされております。
 そのほか審理の迅速化ということで、標準処理期間の設定が努力義務として規定されていることでございますとか、審理手続の計画的な遂行、あるいは審査請求期間の延長ということで、現在は処分があったことを知った日から60日間を経過すると不服申立てができないということになっているわけですが、その期間を3カ月に延長する、こういった案の内容になってございます。
 施行期日は公布日から2年以内で政令で定める日ということですが、整備法において関連する法律の規定の整備を行うということで、この中で宗教法人法も一部改正するという案になっております。
 2枚目をおめくりいただきますと、本法案が成立した場合、具体的に宗教法人関係の不服申立てではどういう影響があるかということでございますが、まず現在、宗教法人法に基づく不服申立ては文部科学大臣が行った処分に対する不服申立てと都道府県知事が行った処分に対する不服申立てと2つあるわけでございます。前者の文部科学大臣自身が行った処分に対する不服申立て、これは現行では文部科学大臣自身に対する異議申立てとなっているわけですけれども、この法案が成立・施行されますとこれが異議申立てではなく審査請求ということになるわけでございます。それに伴いまして整備法において宗教法人法の一部が改正されまして、現在異議申立てとか決定という文言がございますけれども、これが審査請求とか裁決という文言に変わるということになります。
 この資料の3枚目をご覧いただきますと、宗教法人法関係の改正案と現行の対照表になってございます。80条の2や87条をご覧いただきますと、現在異議申立てでございますとか、決定という言葉があるわけですけれども、それが審査請求あるいは裁決という言葉に統一をされるという改正案になってございます。
 それから、2ページにお戻りいただきますと、国の処分に対する不服申立てが審査請求に変わり、先ほどご覧いただきましたような審理員が設けられることになります。これについては具体的にどういう者が審理員になるかというのは法案に定めはありませんが、大臣が処分に関与した者以外の者の中から審理員を指名するということでございますので、文部科学省の場合ですと、例えば文部科学省大臣官房総務課などの職員が審理員として指名をされて、私ども宗務課職員のような処分そのものに関与した者以外の者から審理員が選ばれる、そういったようなことになるのではないかと考えられます。
 なお、3番目の行政不服審査会への諮問ということでございますが、これについてはこの法案におきまして裁決に当たって他の法律において審議会等の議を経るべき旨の定めがある場合は行政不服審査会の諮問は適用がないという規定がございますので、宗教法人関係の不服申立てにつきましては引き続きまして本宗教法人審議会に諮問させていただくという取扱いは変わらないということでございます。したがいまして、宗教界の先生方にもご参加いただいて信教の自由を十分踏まえた形でご審査をいただくという、このスキームはこの法案が成立しましても変わらないということでございます。
 その他、標準処理期間の設定等について取扱いが変わってくるということになります。
 2番目の都道府県知事の処分に対する不服申立てでございますが、これは、現行は文部科学大臣に対する審査請求となっているわけでございます。宗教法人法に基づく都道府県知事の処分は地方自治法上の法定受託事務になっております。これは本来国が果たすべき役割に関する事務である、そういう位置付けでございまして、この法定受託事務としての都道府県知事の処分に不服がある場合には、地方自治法で知事そのものではなくてその法律を所轄する大臣である文部科学大臣に審査請求を行うことができる、そういう規定になっているわけでございます。この法定受託事務に関する不服申立ての扱いにつきましては、行政不服審査制度の検討会の報告におきましても、不服審査の観点だけではなくて、国と地方の関係のあり方についても視野に入れた議論が必要という結論になっております。これを踏まえ、この法案においては附則において経過措置ということで、法定受託事務に係る処分についての不服申立てについては新しい法律の規定は適用せずに、改正前の行政不服審査法の規定が当分の間効力を有することとされております。このため、本法案においては、都道府県知事が行う処分についての不服申立ては現行の法律のままで変わらない。したがって、引き続き文部科学大臣への審査請求が行われ、宗教法人審議会でご審議をいただく。また審理員等は置かれない、そういう案となっているところでございます。
 ご説明は以上でございます。

【会長】

 以上、資料8から12に基づきまして2つの調査研究について及び不服審査のあり方についての改正案が出ているということで詳しくご説明をいただきました。何かこの点について質問等ございませんでしょうか。

○ 行政不服審査法案、これでよくわかりましたけれども、行政訴訟との関係は特段の変更はないと理解してよろしいでしょうか。

【宗務課長】

 こちらの審査請求をしてからではないと裁判ができない、訴訟ができないということは宗教法人法に規定しておりまして、その扱いに変更はございません。資料12の3枚目、第87条の規定でございますけれども、ここにございますように訴訟との関係ということで、審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起することができない、この扱いは変わらない予定でございます。

【会長】

 私の記憶ですと、4月11日に国会に提出されて、今の国会のような状況ですので、まだですね。

【宗務課長】

 はい、まだ審議が行われていません。

【会長】

 よろしいでしょうか。
 それでは、質問がないようですので、次に進みたいと思います。

議題(3)

 次に議題3その他というふうになっておりますが、こちらでは特に用意してはございません。委員の先生方で何かご意見、ご発言等ありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、ないようでございますので、先ほど申しました議題1に戻りたいと存じます。議題1は、宗教法人冠纓神社の規則変更不認証決定に係る審査請求についてということでございまして、これについて審議したいと思います。

(小林委員出席)

議題(1)

● 宗教法人冠纓神社の規則変更不認証決定に係る審査請求についての議事要旨は以下のとおりである。

  •  田中委員及び打田委員から、審査請求の案件に係る宗教法人の関係者であるとして、退席の申し出があり、了承された。

(田中委員及び打田委員退席)

  •  平成20年3月17日、4月21日、4月28日に開催された小委員会における検討結果の報告が行われた。
  •  審議の結果、審査請求を棄却する旨の裁決をすることを適当とする旨の答申が行われた。

3.閉会

【会長】

 本日の議事につきましては以上でございますが、最後に全体を通してご発言はございませんでしょうか。
 ご発言が特になければ、これで閉会いたしたいと存じます。

お問合せ先

文化庁文化部宗務課宗教法人室

(文化庁文化部宗務課宗教法人室)

-- 登録:平成21年以前 --