大学院ワーキンググループ(第1回)議事録

1.日時

令和6年11月28日(木)16時~17時半

2.出席者

委員

圓月委員、大橋委員、川嶋委員、兒玉委員、濱中委員、安井委員、和田委員

文部科学省

石橋大学教育・入試課長、片柳大学入試室 他

【片柳大学入試室長】  皆さんおそろいになりましたので,また定刻でもありますので,ここから始めさせていただければと思います。私は大学入試室長の片柳と申します。よろしくお願いいたします。
 ただいまより大学院入学者選抜ワーキングの第1回を開催させていただければと思います。委員の皆様におかれましては,御多用の中お集まりをいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日ですけれども,初回のワーキングということになりますので,冒頭は事務局の私のほうから進行させていただければと思っております。
 ではまず,最初に本日の資料を確認いたしますけれども,資料が,資料1-1で設置についてとありまして,資料1-2で名簿,資料1-3で運営要領,資料2-1にて入学者選抜の動向,資料2-2にて見直しの概要,資料2-3が,実施要項の案でございます。そのほか参考資料のほうを1から5まで準備をさせていただいておりまして,もしお手元過不足等あれば,また言っていただければすぐ事務局のほうで対応させていただきますので,基本的には画面を提示させていただきながら本日は進めさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 また,本日でございますけれども,ウェブ会議方式で会議の開催をさせていただいております。御発言の際でございますけれども,挙手ボタンを押していただきまして,示された後で御発言をいただくと。また,聞き取りやすい御発言をぜひお願いしたいなというところと,資料参照の際は,できれば,ページ番号も打たせていただいておりますので,ページ番号等をお示しいただく。また,ハウリング等を避けるために,御発言の後にはミュートの解除,ミュートの戻し等,よろしくお願いできればと思います。
 続きまして,議事に入る前にでございますけれども,事務局よりワーキングの設置と委員の皆様の御紹介をさせていただければと思います。
 資料1-1が設置のほうでございますけれども,画面共有を適宜お願いします。こちらの資料1-1の設置について,10月4日の第16回大学入学者選抜協議会,本WGの親会に当たる協議会のほうで決定をいただきまして,本日の開催となっているところでございます。
 構成員は,3の(2)でございますけれども,それぞれの団体から代表者を出していただきつつ,かつ有識者に御参画をいただくということでさせていただいているところでございます。
 また,このワーキングの結果でございますけれども,親会のほうで再度議論ということではなくて,5の(1)のところで書かせていただいておりますが,このワーキングに付託されている事項,まさに大学院入学者選抜実施要項につきましては,ワーキンググループでの協議結果をもって協議会の決定となるということとなっておりますので,その点御承知おきいただければと思います。
 また,主査でございますけれども,3の(1)のところで,主査については構成員の中から協議会の座長が指名するということで,今回の協議会の座長でもございます川嶋先生に御参画いただいておりますので,本ワーキングでも川嶋先生に座長をお願いさせていただきたいと思っておりまして,御本人にも御理解をいただいているところでございます。
 資料1-2でございます。今回の委員の皆様方の名簿でございます。上から順に御紹介させていただきますけれども,私大連のほうから圓月先生に御参画をいただいております。また,30分ぐらい遅れるということで今は御参加ではございませんけれども,公大協のほうから大橋先生に御参画をいただいております。親会の本会議のほうから川嶋先生が御参画いただいております。また,国大協のほうからは兒玉先生に御参画をいただいております。有識者として,中教審の大学院部会に御参画をいただいております濱中先生に御参画いただいておりまして,また,私大協のほうからは安井先生に御参画いただいております。また,最後ですけれども,中教審の大学部会のほうでも有識者として御参画いただいております,和田先生にも御参画をいただいているところでございます。皆様ありがとうございます。
 では,議事に入らせていただきたいと思いますので,ここからの進行につきましては川嶋主査にお願いをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【川嶋主査】  皆さん,こんにちは。ワーキング主査を拝命しました川嶋です。本日の会議の進行は,私のほうでこれから引き受けさせていただきたいと思います。適宜,事務局からの説明を挟みながら議事を進行していきたいと思いますので,御協力のほどよろしくお願いします。
 本日の議題は,次第にありますように,1つ目は「大学院入学者選抜ワーキンググループの運営について」,2つ目は「大学院入学者選抜実施要項の改定について」ということになっております。
 それでは,議題1のワーキンググループの運営について,先ほども少し室長より御説明ございましたけれども,改めて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。資料1-3でございます。
 運営要領でございますけれども,大きく2つでございまして,主査の設置と公開についてを定めさせていただければと思っております。
 主査につきましては,主査を置くことと,協議会の座長,親会のほうの座長が指名をするということでございまして,先ほど川嶋先生にお願いをさせていただいたところでございます。
 公開でございますけれども,こちらにつきましては,基本的には親会と同じ内容を定めさせていただいております。今回,入試に関するワーキングということでございまして,親会と同じ,このワーキングにつきましても原則は非公開で行わせていただきたいと考えております。
 他方で,(3)にもありますけれども,資料につきましては公開をしていくと。また,(4)にもありますけれども,議事録を作成させていただきまして,これを公開させていただくことで,一定の公共性を保っていきたいと思っております。
 このような形での運営要領を定めさせていただきまして,今後進めさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【川嶋主査】  御説明ありがとうございました。資料1-3にありますようなワーキングの運営要領について御説明ありましたが,何か御質問,御意見ございませんか。なければ,運営要領に従って,これからワーキングを進めたいと思っております。ありがとうございました。
 それでは,続いて,議題の2つ目,大学院入学者選抜実施要項の改定についてです。これについても事務局のほうより,本日に至る経緯を含めて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。まさに主査からもございました本日に至る経緯ということで,大学院の入学者選抜に関するところの周辺情報などを少しまとめさせていただいておりますので,御説明をさせていただきます。
 資料2-1の2ページでございますけれども,大学院入学者選抜実施要項につきましては,過去に定められてから,ここ3回の日付を載せさせていただいているところでございます。学部の入試要項とは違いまして,毎年改定しているものじゃないということは,見て一目瞭然かなというところでございますけれども,基本的には大きな動きがあったときに改定をしていっているというところでございます。
 次の3ページでございますけれども,ここで少し最近の流れに入ってまいりますけれども,大学院の関係で,まさに院部会のほうを中心に御検討いただいていました大学分科会での審議まとめでございますけれども,実はこの中の一番最後のところでございますけれども,大学院のほうももともとアドミッション・ポリシーの設定など義務づけられておりましたけれども,それ以外の部分も法令化などが進んできている中で,国のほうで大学院入学者選抜実施要項の見直しに着手する必要があるというところが提言されておりまして,ここからまた実は5年ぐらいたってしまっているところでございますけれども,こういった経緯もありまして,本日に至ってしまったところがございます。
 次の4ページでございますけれども,先ほどちらっとお話をしましたアドミッション・ポリシーに関しましては,大分前から公表等が義務づけされていたところでありますけれども,それ以外のディプロマポリシー,カリキュラムポリシー,これらに関しましても,令和元年に改正をされて,令和2年から大学院に関しても公表と策定の義務づけの両方がされておりまして,それぞれの大学でやらなければいけないとなっているところでございます。ただ,これらについては20年からその後改正されておりませんでしたので,今のところ,まだ何も,現行の大学院入学者選抜実施要項には入ってないというところでございます。
 次の5ページでございますけれども,これらの3つのポリシーに基づいてというところは,何となく皆様方の間でも通常のこととしてなじんでいるところでありますけれども,それらに基づいて選抜についてはやっていきましょうということが,要項上は書いていないんですけれども,例えば今回1枚つけさせていただいておりますのが,令和6年にまとめております博士人材活躍プラン,これらの中でも,3つのポリシーを踏まえた選抜の実施が大事ですということは書いているところでございます。
 次の6ページでございますけれども,法令関係というところでもう一つ動きがございます。今年の9月30日に公布されまして,施行自体は来年の4月1日からということになっておりますけれども,情報公表に関してさらに一歩進めようということで,学教法施行規則が改正されております。法案自体は,下の点線の中にありますけれども,入学者の選抜に関することが一つ盛り込まれまして,従前は入試に関しては,例えばその一つ下の五号のところで,入学者の数とかそういったところについてはもともと公表することになっておりましたけれども,そもそも入試に関すること自体は入っておりませんでした。これらを来年の4月1日から義務づけると。
 具体的に何を公表していくかというところでございますけれども,学力検査の内容とか試験問題に関することとか,合否判定の方法,基準,合理的配慮の提供に関することとか,こういったことについて,しっかり公表していきましょうと。当然学部のほうも同じことが義務づけられるわけでございますけれども,大学院についても対象となりますので,同様にやっていくことが求められるところになってございます。
 次の7ページでございますけれども,これまた令和6年度に大学入学者選抜・教務関係事項連絡協議会ということで教務の方々が集まっていたところで御説明させていただいた話でございますけれども,大学院の入試の中で,事前相談の中で不適切ではないかというようなところの事案が出てまいりまして,それを期に,事前相談について透明性をしっかり確保しつつやるべきですよねというところでの説明をさせていただいているところでございます。
 その際に申し上げていたところといたしましては,試験実施前の工夫といたしまして,事前相談のルールの明確化。事前相談をしてはいけないというわけではなくて,ルールをしっかり明確化しましょうと。明確化したものについてはちゃんと公表して,それに基づいた対応をしてくださいということ。また,当日から採点のときでございますけれども,特に大学院のほうは,それぞれの専門性があるからというところもありますけれども,1人の先生等が行って,そこがまた不透明になってしまう要因になっている部分もございましたので,複数による評価とか,事後検証ができるようにしていきましょうということを,注意喚起として御案内をさせていただいたところでございます。
 次の8ページでございます。こちらは学部,院,両者ともにということで申し上げているところでございまして,必ずしも大学院だけを対象とした通知ではありませんけれども,毎年文科省のほうから,ミスを防止するためのということで,注意喚起事項をまとめてお送りさせていただいているところでございます。
 次のページでございまして,ミスの数自体は減っているというよりはどちらかというと増えているという残念な状況がございまして,特に多いのが,出題に関するミスというところがございます。それ以外のところも結構ケアレスミスも含めて多くございまして,例えばでございますけれども,下のミスの事例の4つ四角ありますけれども,右上の試験実施に関するミスの3つ目の丸なんかを見ていただきますと,誤って回答例が記載された問題用紙を配付してしまうというような事例もあって,少し実施の際に注意をしながらやれば手前では止められるんじゃないかなというところもあったりして,こういったところは気をつけてやっていかなければいけないところでございます。
 次の10ページでございます。ここから幾つか,調査研究の中で,大学院の入試の実態について調べて把握できているところについて,参考までに御報告をさせていただければと思っております。
 各課程への入学試験ということでございますけれども,修士,博士,専門職とか,そういったところの課程ということで,全部ひっくるめて各課程ということで表現させていただいておりますけれども,学部とは違いまして,学力試験なんかを中心にということばかりではなくて,もちろん筆記試験なんかも,この後も紹介しますけれども,修士では行われているところではありますが,口頭試問とか進学後の研究計画書,こういったところをしっかり見つつ選抜が行われているところが学部との大きな違いかなと思います。
 次の11ページでございます。どういう選抜を課しているかというところについて,平成30年と令和2年の比較なので,さほど年限もたっていないので,大きくは正直変わっていないところではございますけれども,全体的に,筆記試験を除きますと,またその他を除きますと,いろいろな試験を課しているという,より課すようになっているという傾向にはございます。
 次の12ページでございます。課程別,これは修士,博士とか,5年一貫,博士後期,医学とか専門職といった,それぞれの課程別での調査の区分けでございますけれども,筆記試験のところを,真ん中右側ぐらいですけれども,見ていただきますと,筆記試験で多いのは,特に修士の前期なんかについては筆記試験が少し多いかなと目立つようなところではございます。また,進学後の研究計画書,左から2番目でございますけれども,こういったところも,より分かりやすい分野はむしろ少ない傾向にあるのかなということで,医学なんかは少し少ないようなところはありますけれども,他方で,独自の英語試験なんかにつきましては,医学分野なんかは特に目立つという形で多く課しているという状況がございます。
 次の13ページでございます。今度は分野別ということで見ていったときにどうかというところでございますけれども,これもまた幾つか傾向としてはありまして,例えば進学後の研究計画書を見てみますと,左から2番目でございますけれども,人文社会科学については,より多く選抜の中でも確認をするような状況でございまして,理工系の研究室なんかとの関係で,分かりやすい分野と,そこまで明確じゃないところでしっかり確認されるというところの違いなのかなと察せられるところではございます。また,先ほどの医学系の6年生の課程については,独自の英語試験をより課している傾向がありましたけれども,分野で保健分野は同じような多分位置づけになるかと思いますけれども,こちらでも独自の英語試験をより多く課しているところは同じになっている。
 データとしては少ないですけれども,こういったところが全体の大学院の入試の状況でございまして,このまま続けて,資料の2-2と資料2-3でございますけれども,もし紙でお手元にある方は,資料2-3と資料2-2を両方置きながら見ていただけるとよいのかなと思うんですけれども,今回の改正の内容の概要をまとめていますのが資料2-2でございます。ただ,資料2-2に書いてあることはが,ほとんど資料2-3にそのまま書いてあるような形になっておりますので,もしお手元に紙である方は,2つを見比べながら見ていただければ,より分かりやすくなるかなと思っております。
 今回大きく変える点としましては3点あるかなと思っておりまして,1つが3ポリに関するところです。これらが幾つか散りばめられておりますけれども,全体的に変えていかなきゃいけないかなと思っています。2つ目が情報公開の関係でございまして,来年の4月1日に施行されるものについてのところでございます。大きく3点目といたしましては,大学院入学者選抜実施要項自体は平成20年から変わっていないということで,3ポリとか情報公開もそうですけれども,それ以外の法令関係でいろいろ変わっている部分もありまして,そこを今の令和6年ないし7年にある程度フィットさせていかなきゃいけないというところでの時点更新と言っていいかと思いますけれども,修正の部分とか,学部入試のほうでの大きな傾向となっていっているところとの並び,こういったところが,大きく分けてでございますけれども,3点,改正の中身としてはあるかなと思っております。
 それぞれ少し御紹介をさせていただきますと,主な追記事項として,①,②のところが,資料2-3で言うと最初の上のほうのところに当たりますけれども,3ポリの話ですね。3ポリに基づいてちゃんと実施をしていきましょうということと,多様な背景を持った学生の受入れ,これも配慮していきましょうというところで,多様性のところは従前からも言われておりますけれども,特に学部のほうでも最近強く言われるようになっているところもありまして,これを大学院のほうにも入れております。大学院のほうですと,学部で言われている女子とかの多様性も大事ですけれども,ただ社会人の受入れなんかもこれから進めていくところがありますので,大事になってくるところかなと思います。
 次が,③,④のところ辺りが,資料2-3の1ページの下のほうの修正に該当しますけれども,先ほど申し上げたところと似ているところはありますが,能力とかというところを多面的・総合的に評価・判定していきましょうというところで,これまた学部のほうでも重々言われているところとの並びというところでございます。④の入試方法についてですけれども,多様性確保のためにも多様な入学者選抜の実施を工夫していくことが望ましいということを追記させていただいているところでございます。
 続きまして,⑤のところは,資料2-3の2ページの第5,募集要項等のところに当たりますけれども,アドミッション・ポリシーに基づいてやってくださいという話を具体的に書いているところと,学教法施行規則の改正の部分もありまして,しっかり公表していきましょうというところを追記しているところでございます。
 続きまして,⑥,⑦のところが資料2-3の2ページの中段からのところでございまして,障害のある者への配慮の項目の中で記載をさせていただいているところでございます。もともと障害者に関する配慮みたいなところは20年のものにも書いてあったんですけれども,それ以後,法改正等も行われていく中で,今使われている用語,例えば合理的配慮というような単語を積極的に用いて表していっているところがありますけれども,そういった用語の改定も含めて書いているところが⑥,⑦のところでございます。
 ⑧のところでございますけれども,こちらについては,資料2-3の2ページの一番下のところ,入試情報の取扱いというところで,情報公表のことを踏まえて,法令改正を踏まえて記載を追記させていただいているところでございます。
 また,⑨と⑩でございますけれども,合否判定の方法や基準をちゃんと公表しましょうということと,合否判定を1人でやるんじゃなくて,いろいろ会議体等でちゃんと諮ってやっていきましょうねということ,また事前相談のときのルールの明確化等,今,注意喚起を文科省のほうからもさせていただいているような内容について追記をしているところが,資料2-3の3ページの中段,4の入学者選抜の公平性・公正性の確保というところの中で追記をさせていただいているところがそれに当たるところでございます。
 そのほかというところで少し御紹介をしますと,資料2-3の3ページでございますけれども,備考がございます。第8で備考というのがございまして,学部のほうも,選抜実施要項は結構細かく相当書いてあるところでございまして,基本的なところは,今回大学院のほうは,こちらの大学院のほうで追記をして直接読める形にしていますけれども,その他細かいところ等につきまして,もしくは記載のないところについては,大学入学者選抜実施要項ということで,学部のほうも参考に対応してくださいということを追記させいただいているところでございます。
 順序が逆転して恐縮ですけれども,資料2-2に戻っていただきまして,今回御審議をいただいてお認めいただければという前提ではございますけれども,その場合の今後のスケジュールということで3番に書かせていただいておりますけれども,令和6年度中にまとめをさせていただいて,局長通知という形で,これは学部と同じですけれども,発出をさせていただきたいなと思っております。実際には,この発出させていただいたものを基に,次年度に行う令和8年度の大学院入学者選抜から順次適用いただくということで,スケジュール感としては考えたいなと思っております。
 またでございますけれども,これはもともと改定すべきということを大学院部会のほうでも中心に議論していただいた中教審のまとめで言われておりますので,大学院部会のほうに,このように変えましたということの御報告をさせていただきたいなと思っているところでございます。
 ずっと私が話をしてしまって恐縮でございますけれども,今までの流れと概況,そして今回の見直しの概要については,以上でございます。どうぞ御審議のほどよろしくお願いいたします。
【川嶋主査】  室長,御説明ありがとうございました。十数年ぶりの改定ということで,その間に大学院や高等教育をめぐる様々な変化があったということで,それらを踏まえて,今回新たに大学院入学者選抜実施要項を見直すということの御説明でございました。
 ただいまの御説明も踏まえながら,かつ委員の先生方の所属されている大学院や,あるいはそれぞれの御専門の大学院における入試等,事情はそれぞれ異なると思いますので,それらの御経験も踏まえまして,今,室長から御説明あった改正案について,御自由に御発言をお願いしたいと思いますが,冒頭に御説明ありましたように,挙手ボタンでお知らせいただければ,こちらから指名させていただきたいと思います。いかがでしょうか。
 兒玉委員,どうぞ。
【兒玉委員】  どなたも御発言にならないので,取りあえず無難なところからお話しさせていただきたいと思います。御説明ありがとうございました。20年ぶりということで,確かにそういうことができていないなというのがとてもよく分かる御説明でした。ありがとうございました。
 それで,座長のほうから少し大学の状況もということでございいますが,佐賀大学の例でございますけれども,問題の不備というような出題ミスのようなものというのは時々出てきているところでございます。あまり大きなことにはなっていないのが幸いではあるんですけれども,そういうことを防ぐためにということで, 10年前,問題や解答例とか,その辺りをきちんと提出させています。外向けには全部公開はしていないんですけれども,当該の研究科とか辺りではそれをきちんと見られるような形にしているということをしているんですけれども,号令をかけたときは一生懸命やるんですけれども,どうしても大学院の実施体制が研究科自身とかいう形になって,ふだん学部の入試ですと,本部のほうの入試課のほうがきちんと対応するというのがあるんですけれども,なかなかそういうことでうまく続いていかなかったりというのがございます。ですので,今回ここに明確にこれを書いていただけたのは大変ありがたいことかなと思っております。
 そこで御質問ですけれども,資料2-3の3ページの一番上のところに,解答,解答例,出題の意図とかの辺りに括弧して,少なくとも教科・科目ごとと書いてあると,学力試験の分だけを出せばいいのかな,みたいな。確かに面接とかはなかなか出しづらいところですけれども,出題の意図ぐらいはあるかなと思うんですけれども,先ほどの御説明ですと,大学院の入試方法は結構多様なというのがあるんですけれども,場合によってはどれも公表するものがないみたいなこと,教科・科目ごととなるとですね,面接して小論文書いて,何かグループワークするじゃないけれども,研究の評価をするみたいなことをやると,どれもこれは該当しないので何もしなくていいよということになるので,もう少し,面接の細かいものまで出せとまではもちろん言えないと思いますけれども,限定過ぎかなと感じました。
 あともう1件言わせていただきますと,そのページの真ん中より下のところですけれども,事前相談というものの内容はどういうものかというのをもう少し書かれてもいいのかなということも思いました。
 以上でございます。
【川嶋主査】  ありがとうございました。2つ御質問というか御意見ございましたが,室長,対応のほうがあればお願いします。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。先生におっしゃっていただいた資料2-3の2ページから3ページにかけてのところで,さっき御指摘をいただいたのは資料2-3のページの⑤のところかと思うんですけれども,こちらは情報公表の関係で,法令上義務づけということでお願いをさせていただくのは,学力検査におけるものということでの整理となってございまして,他方で,先生がおっしゃるように,それ以外のものは一切出さなくていいのかというところでいうと,もちろんある程度受験生等に対して外向けに公表することが望ましいのはもちろんでございます。ですので,資料で言いますと資料2-1の6ページのところで,その他公表が望ましいことということで,私どものほう,ここには直接には書いてございませんけれども,いろいろ御質問等いただく機会が,正直大学さんのほうからも問合せ等ございまして,もちろん例えば面接の一個一個の設問について公表してくださいとまでは申し上げませんけれども,どのようなことを伺われるのかというところは,できる限りのことについては,当然この公表の制度改正の趣旨を踏まえまして,できる限り出せるものについては出してくださいということでのお願いというか,指導とまで言うと言い過ぎかもしれませんけれども,させていただきたいなと思っているところでございます。
 もう1点,事前相談の関係でございますけれども,もう少し詳しく資料2-3の3ページは書いたほうがよいという御趣旨と受け止めました。前回の教務関係のところで御説明をさせていただきましたけれども,今日でいうと資料2-1の7ページで注意喚起させていただいているところ,内容については基本的にこれらを盛り込む形で入れているつもりではございますけれども,もう少し丁寧に変えたほうがいいという御趣旨であれば,もう少し文言を付け加えるのは可能かなと思うんですけれども,先生,御趣旨はそういったとこでよろしかったですか。
【兒玉委員】  ありがとうございます。事前相談って確かに募集要項とかで,他大学から受験する場合には事前に研究分野等について問合せをすることというような形のものだと思うんですけれども,実際には中でいろいろなことが行われているみたいなところもあるので,ルール化というのはもちろん必要,記載されているものだと思うんですけれども,事前相談とは何かというのはある程度限定してもいいのかなというところですね。確かに御説明のように,事前相談の前に,入学後の研究分野の確認などのための入学志願者に対する事前相談となっているんですけれども,実際にはどういうことでこれが実施されているのかというのが。私も詳しくは知らないところですけれども。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。実はもともと注意喚起をする発端となりましたのが,事例相談の中で,実質的には事前の選抜,方向性について,担当の教授から了解をもらった人が応募できるという形になっていて,実際事前相談が,一次面接ではないですけれども,それがその分野の相談ということであれば,駄目かどうかというのも非常に難しいところですけれども,ただ,実際そこで担当の先生の御了解をいただけないと応募ができないという取扱いがなされていたところがあったようでして,そういったことになりますと事前相談の域を超えてしまっているというところもありますので,しっかり公表させていただくことによって,どこまでやっていいのかどうかというところは当然ある程度分かっていくと思いますので,そういう意味でも透明性の確保というところが大事になってくるのかなと思っております。
【兒玉委員】  ありがとうございます。事例で挙げていただいた内容でございました。何となく言うのがはばかられましたので言っていませんでしたけれども,それがあって,例えばそれを通らないと出してもらえないみたいな,その中では何がされているか分からないみたいな,選抜は透明なところでやるべきだろうというのをきちんと示すのがいいかなと思いました。ありがとうございました。
 
【川嶋主査】  ありがとうございました。1点目の資料2-3の3ページの一番冒頭のところの括弧書きは,これは大学院入学者選抜実施要項をそのまま持ってきた面もあるので,教科・科目という言葉が残っているのかなと思いました。大学院,特に博士課程の選抜で教科・科目という試験があるかどうかは不明なところがあるかと思うので,もし可能なら,先ほど兒玉委員がおっしゃったようなことを踏まえて,もう少し表現を変えていただくほうがいいのかもしれません。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。そうするとあれですか,例えばですけれども,教科・科目と言われると,確かに,変な話,国語とは言わないまでも,大学で学んでいる法学とか,何かそういったイメージになってしまうので,実施している……。
【川嶋主査】  試験項目ですかね。
【片柳大学入試室長】  そうですね。試験項目みたいな言い方のほうが,より大学院ですと適切な表現かもしれません。
【川嶋主査】  ですね。紹介していただいた入学選抜の状況調査でいうと,入学試験の項目という立て方になっているので,そのほうがあれですかね。あるいは入学試験の項目。入学試験の項目ごと,できるだけ公表してくださいということですかね。
【片柳大学入試室長】  そうですね。そうしましたら,私どものほうでも再度この後確認させていただいて,適切な文言で修正をさせていただければと思います。
【川嶋主査】  お願いします。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。
【川嶋主査】  ほかの委員の方々,御質問とか御意見ございませんか。
 圓月委員,どうぞ。
【圓月委員】  圓月です。瑣末な点ですけれども,確認させていただきたいと思っています。資料2-3の1ページの入試方法のところですけれども,2行目のところに,入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定するとあります。資料2-3の2ページの障害のある方のところでしたら,3行目のところに,能力・意欲・適性,学修の成果等と,学修の成果というのがそれに追記されている形になるのは何か特別な意味があるんでしょうか。整合性の点で確認させていただきたいなと思いました。以上です。
【川嶋主査】  ありがとうございました。室長,いかがでしょうか。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。そこは確認しますけれども,特別な意味というよりは,この障害のところを学部とかも同じ文言を用いて持ってきているがゆえに,多分そのまま,この院要項の中での整合性以上に,そっちの学部からのものを持ってきてしまっているだけじゃないかなと思いますので,院要項の中で整合性が合う形に整理はさせていただきたいなと思います。
【圓月委員】  よろしくお願いいたします。
【片柳大学入試室長】  申し訳ありません。ありがとうございます。
【圓月委員】  ちなみに大学院のときには,前期課程でしたらよく卒業論文を提出させたり,後期課程のときには修士論文を提出させたりする場合もよくありますので,その場合でしたら学修の成果というのを明記しておいてもいいのかなと個人的には思いました。御参考までに。全てお任せいたします。
【片柳大学入試室長】  ありがとうございます。
【川嶋主査】  その場合は資料2-3の1ページの第4の入試方法のところに加筆するということですね。適正等の後に,学修成果等も。で,整合性を図るということですね。
【片柳大学入試室長】  承知いたしました。
【川嶋主査】  ありがとうございます。ほかの委員の方はいかがでしょうか。
 安井委員,どうぞ。
【安井委員】  ありがとうございます。試験のところが一番入り口のところなので気になります。学部の試験ですと,アドミッション・ポリシーを試験の形態や在り方として,どのように具現化するかが大切です。大学院においてもアドミッションポリシーを公表することが定められており,3ポリの中で大学院が一番早かったと思うのですけれども,アドミッション・ポリシーを厳格に履行するのであれば,試験の内容等をポリシーとマッチさせる必要があると思います。そこで,専門学力がアドミッション・ポリシーと一致するかどうかという観点からいくと,学力だけを測るという意識を持たせるよりは,選抜をする検査とアドミッション・ポリシーの表現のほうが大学院としては望ましいのではないかと思います。研究能力とか意欲とか,そういうところを多面的に,あるいは総合的に判断をするという視点から,学力検査という学部の入学試験に近い言葉というのはあまり大学院としては望ましくないので,そこは少し,学力検査とダイレクトに書かないで,選抜検査みたいな単語のほうが,もしかしたら大学院としては望ましいのかもしれない。少し広くとっておかれたほうがいいのかなという感じがいたします。
 これに伴って、試験を公表するといっても,基本的には紙で書いた試験問題ということになると思うので,ディスカッションをしたり,あるいは留学生の場合だと,語学力とかそういうことも総合的に判断しておりますので,そういう面ではあまりこういう試験が公表しなければならないという形だと少し苦しいかなという感じはいたしましたので,一応意見として述べさせていただきます。
 以上です。
【川嶋主査】  ありがとうございました。これはあれですか,先ほどの圓月委員と同様,入試方法の1行目のところの学力検査ということですね。
【片柳大学入試室長】  学力検査という用語がというところで,例えばですけれども,調査研究の方で使用していた筆記試験みたいな表現とかということですかね。単語がどういう形がいいかというのも少し検討させていただければと思います。
 一方で公表のほうでございますけれども,こちらは実は実施要項でというよりも,省令改正のほうで基本的には義務化されるというところがございまして,こちらについては既に9月30日付で公布もされておりますので,その点は確かに大学院のほうはいろいろ多様にそもそも動いていて,学部ほど画一的にも動いていなくてというところはあるんですけれども,院の選抜のほうも少し頑張って公表していただくということでお願いをさせていただければと思います。
【川嶋主査】  ありがとうございました。それでは,和田委員,どうぞ。
【和田委員】  ありがとうございます。お話しいただきまして,誠にありがとうございます。私自身も,ち大学院の重視,あるいは博士人材がこれだけの声高に叫ばれている中で,時宜を得た見直しなんだろうと感じております。ありがとうございます。全体としては,私も異論はございません。
 先ほど兒玉先生に御指摘いただいた解答または解答例及び出題の意図,少なくとも教科・科目ごと,ここが私も少し気になりました。大学院の入試が多様であるがゆえに,少し各論的になっている印象です。先ほど文言が修正されるということを聞いて,よろしくお願いしますと申し上げたいと思います。
 以上です。
【川嶋主査】  ありがとうございました。そのほか御意見ございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは,幾つか修正の御意見等いただきましたので,この御意見を参考にしながら事務局のほうで修正案をまとめさせていただきたいと思いますが,最終的な修正等については主査の私に一任していただければと思います。もちろん委員の方々にも確認をさせていただきたいとは思いますが,一任ということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは,最後,議題3ですが,その他というところになっておりますけれども,今もそれぞれの御経験や勤務先の状況に応じていろいろと御意見をいただきましたけれども,今後の大学院入学者選抜実施要項の在り方に関して,今,和田委員からもありましたけれども,大学院教育が非常に今後ますます重要性を増してくる中で,大学院の入学者選抜についてどういう方向に変わっていったらよいのかという点も含めて,委員の先生方の御所見を受け賜りたいと思いますので,どなたからでも結構ですので,また挙手ボタンで,あるいは画面で挙手していただければ,こちらから御指名させていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
 恐らく分野によっても全く選抜方法は違うという,先ほどの調査結果の例でも,医歯薬系では独自の外国語試験をやっているところが非常に多かったんですが,工学系ではTOEFLとかTOEICを英語試験に代えてという,それぞれ状況も違うようですが,いかがでしょうか。
 なお,我々が大学院を受けたときは,外国語は2科目受けなきゃいけなかったという,そういう時代でしたけれども,今はもうほぼほぼ英語だろうと思うんですけれども,いかがでしょうか,今後このように変えていったほうがいいのではないかというような御意見がありましたらお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。
【兒玉委員】  何でもよろしいですか。
【川嶋主査】  兒玉委員,どうぞ。
【兒玉委員】  変えていったらという方向性というわけではないんですけれども,なかなか大学院,最近少し学生募集に陰りがあるというか,なかなか,博士課程中心だと思うんですけれども,志願者が集まらないと。また修士課程でも,あるとき改組の話をしたときに,文科省から選抜は大体2倍ぐらいですよねみたいなことを言われたりしたんですけれども,とてもそこまではなかなかというのがございます。学生たちにとってはもちろん関門だとは思うんですけれども,例えば修士課程に行くとき,学部で勉強したことをおさらいをするとかということで,非常に重要なポイントだと思うんです。ですので,そこの選抜機能というのをもっと上げていかないといけないのかなと。何か受験していれば通っちゃうとか,面接受けたら通っちゃったとか,そういうのは,大学の事情でどうしてもそういうことがあるのかもしれないんですけれども,学部課程での学修のおさらいをする機会みたいなものはもう意識をしてやらないといけないなというのを,本学のことで思っていたりします。
 工学系なんかですと,ある程度学生が集まってきて,どうしても選抜試験になってしまうということがあるんですけれども,片や別の研究科では,学生が集まらなくて,もうとにかく誰でも来てくださいみたいな感じになっていて,それではせっかくのこういう課程に進んでいくのには不十分じゃないかなと思っています。どうしたらいいというのはもちろん全然ないですけれども,今,本学ではそれは課題かなと思っております。
 失礼します。
【川嶋主査】  ありがとうございます。大学部会でもこの辺は議論されていることかと思います。
 安井委員,どうぞ。
【安井委員】  ありがとうございます。これからだと,社会人大学院というか,産業界との連携というのも非常に重要になってくると思うので,これまでのように学部の上に乗っかっているというか,大学の上に乗っかっているというような大学院の在り方というのは社会制度としても改めていく必要があるのではないかなと思っております。そういう点では,あまり入り口を学力のみに強調すると,これから学んでいかなければいけない人たちを逆に引き止めてしまう可能性もあるので,実際に社会人として大学院にたくさん入ってきてもらったほうが,大学院としての経営的なところも非常にやりやすくなるわけですし,また産業界とのパイプも太くなるので,ぜひその辺を意識して,アドミッションの部分も少し広めに産業界との連携とかというようなことも考えていただいて,ぜひ産業界から送っていただきたい。学部からストレートに行くという人材はなかなか今難しいので,ぜひ会社組織の中で大学院に行ってこいよという雰囲気づくりをしていただければ大変ありがたいと思います。以上です。
【川嶋主査】  ありがとうございました。この辺りも大学院部会等で議論されているかと思いますが,安井委員がおっしゃるように,ストレートマスター以外にリターンドクターとかそういう方が入りやすい大学院の入試の在り方も,今後工夫する必要があるかもしれない。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  濱中でございます。よろしくお願いいたします。実施要項につきまして何も発言しませんで,失礼いたしました。とてもよくまとめていただいていると思いましたので,特に追加ということがございませんでした。
 今後の大学院に関しましてですけれども,実際に大学院入試,そして大学院生を教えている立場として,特に文系の場合に痛感いたしますのは,大学院生があまりにも多様で,その多様さにより,大学院教育なのかな,これはというような状況がどうしても繰り広げられているところがあるのではないかなと思われます。
 といいますのは,分野を変えての進学とか大学を変えての進学,これは全然ウエルカムではあるんですけれども,前提条件があまりにも多様過ぎてしまって,まずそこからかというようなことが実際問題としてあります。修士は2年間ですので,しかも修士論文はそんなに簡単に書けるものではないですから,果たして最初の半年で,どこまで足並みをそろえることができるのかだったり,そこの部分がかなり難しいところがございまして,そう考えると,実は大学院は学部以上にアドミッション・ポリシーが大事なのではないかなということを思ったりとかしております。
 ただ,アドミッション・ポリシーも実は研究室によって結構かなり異なっているというのが実際のところでして,隣の研究室と私の研究室では大事にしているところが違うだったりとか,これは教員それぞれの考えという以前にディシプリンの違いだったりとかもしますので,果たして組織として一体どのようにアドミッション・ポリシーを出していくのかというのは,大学院がこれから考えていかなければならないことではないかなということを考えております。
 取り留めもない話ですけれども,今考えていることを申し上げました。よろしくお願いいたします。
【川嶋主査】  ありがとうございました。大学院は,ほぼほぼ各研究科・専攻ごとに入試も含めて自律的に行われているのが日本の大学の現状ですけれども,これから,濱中委員御指摘のように,入試も含めた大学院教育の全学的なマネジメント体制をどう構築していくかというのは大きな課題なのかなと,私自身も日頃思っているところでございます。
 ほかにいかがでしょうか。圓月委員,どうぞ。
【圓月委員】  日本私立大学連盟でも,ここしばらく大学院教育についての部会等を開いて,いろいろと議論しております。安井委員がおっしゃったとおり,社会人の問題というのが一つあるのと,もう一つは,大学院になると留学生の比率が非常に大きくなってくることがよく話題になります。ですから大学院教育の場合ほど,グローバル化に対して地に足のついた方針が必要です。今日のところでも,どのように入れたらいいのかは分かりにくいですけれども,アドミッション・ポリシーのところでしっかりとクオリティーを保障しつつ,かつ門戸を広げるような,そのような手法なんかも考えていかないといけないと思います。もちろんダブルバインドでなかなか難しいですけれども,そのようなこともよく話題になっているということを紹介させていただくために発言いたしました。以上です。
【川嶋主査】  ありがとうございました。恐らく入り口のところだけではなくて,入学した後のDPとかCPとの関連性というんですかね,それも非常に,学部のみならず,大学院教育にも重要になってくるのかなと思います。
 遅参されました大橋委員,どうぞ。
【大橋委員】  遅刻して途中からということであれですけれども,大学院,かなり分野によっていろいろと対応が違って,理工系を見ていると,学部でかなり基礎をやって,本当に力をつけるのは大学院だよねという話を結構していて,しかもそれも,昔はドクターって研究者ばっかりだったけれども,今はスタートアップとか,いろいろと社会に出ていく,そのためのいろいろなサポートもあるので,だからもちろん入り口は大事ですけれども,大学院でどうやって教えるのかというところは,これからそっちのほうにある種比重をかなり移していくことを念頭に考えていくべきかなという気はしています。
 一方,文系のほう,人文とかいろいろ話をすると,特にドクターとかは3年じゃ絶対に終わんないよと言っていて,4年5年が当たり前で,そういうドクターがなかなかとれないという状況を改善しなきゃいけないというんだけれども,なかなか難しいなという実情もあって,そういう文理の違いをどうやって変えていくのかなというのも大事な課題かなと思います。
 以上です。
【川嶋主査】  御意見ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 いろいろ御意見出ましたけれども,濱中委員,和田委員,大学院部会のほうでも今日出た御意見等を反映させていただければと思います。ほかに何か全体を通して御意見,御質問ございませんか。
 和田委員,どうぞ。
【和田委員】  ありがとうございます。私も少しだけ発言させていただきたいと思います。
 こういったときに,大学院の場合は,より多様性が求められています。特に新規性とか独創性の研究をすればするほど,研究室によっても状況が少し異なってくるみたいなところがどうしてもあるんじゃないかと思います。その中で,インフラとしての共通項の中のポリシーをどうやって構築していくのか,それを大学全体としてどうやって表していくのかというところが,一つ難しさと思います。包括性というところが求められているのかなと思って伺っていました。
 その観点からいくと,先ほどもございましたように,グローバルで今後ますます国際頭脳循環ということが求められてくると思っています。ですので,このワーキングにおいても,どちらかというとドメスティック,国内の目だけではなく,国際的な目というところの視点をもう少し意識した文面ということが今後求められるのかなと思って伺っていました。
 以上です。
【川嶋主査】  ありがとうございました。学部のほうの入学者選抜実施要項には,いろいろ帰国子女とか留学生とか社会人入試について言及したところはあるんですけれども,大学院の場合は,これまでもそうでしたけれども,かなり各大学院の裁量に任せるというところがあったように思いますので,留学生とか社会人とか障害を持った方とか,いろいろな方が今後ますます大学院で学んで研究を続けていただくというところについては,現時点では各大学院の工夫に任せるというのが大学院の入学者選抜実施要項の趣旨ですけれども,何名かの委員の方々から,今後留学生や社会人,グローバル化というのが重要な観点になるというお話が出てきましたので,従来のように十数年に1回の改定ではなくて,今後,状況の変化に適切に応じて,また大学院入学者選抜実施要項も改定されるのかなとは私自身も思っております。
 ほかに御意見等ございませんか。なければ,今の委員の方々の御意見に対して,事務局のほうから何かレスがあればお願いしたいと思いますが,いかがですか。
【片柳大学入試室長】  いただきました意見も踏まえて,何十年に1回の改定ではなくて,かといって毎年毎年かと言われると,そういうものでもないかなとは思うんですけれども,ある程度,大学院部会なんかでも,中教審,全体の方向性なりまとまってくるタイミングで,どこまで書くのがいいのかというところは確かに今日も出ましたけれども,学部・学科,また研究室ごとにいろいろあるようなところではありますので,どう全体項目というか共通項目を捉えて,それを入試要項のほうまで入れるかというところをまた引き続き考えていきたいと思いますので,先生方の御知見をまたおかりできればと思っております。ありがとうございました。
【川嶋主査】  ありがとうございました。それでは最後に,事務局から今後の進め方等について御説明をお願いしたいと思います。
【片柳大学入試室長】  本日,また活発な御議論をいただきまして,ありがとうございました。今回,座長に御一任をいただきまして,全体としては多分方向性に御了解をいただいたかなと思っておりますけれども,先ほど申し上げましたとおり,年度内に改定をさせていただきまして,来年実施をしていかれる入試から,ぜひ適用をいただければなと思っております。
 とはいえ,今,大学がそれぞれやっていることを大きく抜本的に変えるようなことではないと思っておりますので,やっていただく上で,より注意していただく点などは少し詳細に書かせていただいたような入試要項の改定ということになるのかなとは思っております。
 最後に情報の取扱い等でございますけれども,今回実際御議論いただきました内容自体は特別秘密保持のようなところはございませんので,基本的には取扱いは適宜というところでございます。ないとは思うんですけれども,もし何か外部等から問合せがあれば,事務局のほうに御連絡を回していただければと思います。そういったところでお願いをさせていただければと思っております。
 これまで発言の機会を課長から奪い続けてしまったんですけれども,当課の課長,石橋課長,何かございますか。
【石橋大学教育・入試課長】  先生方,お忙しい中,今日もありがとうございました。大学院入試要項を大分変えていなかったものですから,問題意識を我々も持ちまして,今回このようなワーキングで川嶋座長には引き続き座長もやっていただいて開催できたことは大変ありがたかったなと思っております。
 本当に最後のところに先生方のいろいろなお考えをまた伺わせていただけまして,私も同じような問題意識を持っておりました。社会人を入れていくということを考えたとき,また留学生が増えてくるというときに,どういう入試の在り方がいいのか。もちろんそれは大学院教育にも関わることではありますけれども,入試のところを少し意識することを,大学界と,また文科省も,それからいろいろな議論の場でも意識していきたいなと思いましたので,今回,今いただいた御意見を反映した入試要項とはさせていただきますけれども,引き続きこういう議論ができる場をつくりながら,ぜひよりよい大学院教育につながるような入り口,そして出口というところを,また大学院部会ともしっかり連携をして議論を続けさせていただければ大変ありがたいかなと思っております。
 あともう一つの問題は,今朝も研究時間の確保というテーマで内閣府の会議に出ていたんですけれども,入試業務をどうするかというのが,これは別に大学院のみならず,学部も含めてではありますが,特に大学院は恐らく非常に小さな単位にされているからこその負担感というのもあるのではないかと危惧はしておりまして,この辺りを,もちろんそれぞれの大学で工夫されることもあるかなと思いますが,どういうやり方が本当にいいのかということは,もう少し先生方の御知見もかりながら横展開できることも大事かなと思っております。
 総合大学であればあるほど細かく入試がたくさんあって,先ほど室長が説明しましたミスのようなものも誘引してしまう部分もあるかと思っておりますので,その辺りはまた問題意識を持って,それぞれの大学ともお話をさせていただければと思っておりますので,今,各団体に先生方に所属していただいて,また代表としても出てきていただいている中だと思いますので,それぞれの団体の中でもそういう御議論をもししていただけたらありがたいかなと思っております。
 今日は本当にありがとうございました。
【川嶋主査】  ありがとうございました。本日はこれにて閉会しますけれども,最後に何か一言残したいことがあれば承りますけれども,いかがでしょうか。今の石橋課長の発言も含めて,いかがでしょうか。特にございませんか。
 なければ,本日の第1回,今年度はこれで終わりかと思いますけれども,多様な御意見をいただきまして,ありがとうございました。それでは,これにて閉会したいと思いますが,最後に,いただいた意見の文言と修正は,主査一任ということにさせていただきたいと思います。本日は御多用の中,大変活発な議論いただきまして,ありがとうございました。

── 了 ──

(高等教育局大学教育・入試課)