【資料2-1】理化学研究所の中長期目標期間終了時の業務及び組織の見直し内容(案)

国立研究開発法人理化学研究所の見直し内容(案)

平成29年 月 日
文部科学省

1. 政策上の要請及び現状の課題

 国立研究開発法人理化学研究所は、科学技術に関する試験及び研究等の業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とする法人である。本法人は、これまでに幅広い分野において顕著な成果を創出してきた。これも踏まえ、平成28年10月に特定国立研究開発法人に指定され、世界最高水準の研究開発成果を創出し、その普及及び活用を促進することにより、我が国のイノベーションシステムを牽引する中核機関としての役割を担うことが政策上求められている。

 本法人がこのような任務を果たし、国民からの期待に応えていくため、これまでの取組を一層発展させ、以下に示すような課題に取り組む必要がある。
・自然科学に関する総合的な研究機関として、イノベーションの源泉となる革新的成果を引き続き創出するとともに、国のミッションに基づく研究開発を実施する国立研究開発法人として、現中長期目標期間中に決定された第5期科学技術基本計画を含め、昨今の状況に応じた国家的課題や社会的要請を踏まえ、Society 5.0の実現等に向け、戦略的な研究開発に一層取り組む。
・多数の拠点を抱え、幅広い分野で研究を行う特定国立研究開発法人として、法人の長がリーダーシップを発揮し、研究開発成果の最大化及び一体的かつ効率的な管理業務運営を実現するため、マネジメント機能をより一層強化する。
・研究開発成果の最大化やイノベーション創出の中核機関としての役割を実現するため、成果の実用化等に向けた機能を有する外部機関との連携を強化することで、研究開発成果の社会還元をより一層促進する。
・引き続き、国内外の優れた研究者の育成や輩出を実現し、国際的な頭脳循環のハブを担うとともに、多くの若手研究者等が短期間で業績を求められる現状を踏まえ、中長期的なビジョンを持って研究に専念できる環境を整備するため、我が国のイノベーションシステムを牽引する人事制度改革に取り組む。
・厳しい財政状況の中、財政基盤を強固にし、研究開発活動をさらに活性化させるために、競争的資金等の外部資金及び研究開発成果の活用による自己収入を増大させる。
・サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)に基づき策定された「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」(以下「統一基準群」という。)が平成28年度に改定され、独立行政法人も同基準群に沿った情報セキュリティ対策の徹底が求められることになった。さらに、「サイバーセキュリティ対策を強化するための監査に係る基本方針」(平成27年5月25日サイバーセキュリティ戦略本部決定)が一部改定され、独立行政法人は、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査の対象とされた。

 また、法人のガバナンスに必要な取組を適切に推進するため、引き続き研究不正防止に関する取組を行うとともに、内部統制などを推進する。

2.講ずるべき措置

 上記で述べた法人に求められる政策上の要請及び現状の課題を踏まえ、以下の措置を講ずる。

(1) 中長期目標期間

 本法人は、研究開発成果の最大化を第一目的とする国立研究開発法人であり、長期的視点を含む研究開発の特性を踏まえて中長期目標を策定する必要があることから、中長期目標期間を7年とする。

(2) 中長期目標の方向性

○国家戦略等に基づく戦略的な研究開発及び新たな科学の開拓・創成
 科学技術基本計画及び各研究分野に係る国家戦略等を踏まえ、社会的要請に対応するため、本法人が行う多様な分野の革新的な研究開発成果や、本法人が有する優れた人材や研究基盤・技術を活用し、これまでの取組の成果を更に発展させ、Society 5.0 の実現等に向け、戦略的な研究開発を実施する。
 あわせて、総合的な研究機関としての特色を最大限に活かし、異分野融合等による新たな科学の開拓・創成を志向した研究を実施し、将来のイノベーションにつながる革新的な研究開発成果を創出する。

〇世界最先端の研究基盤の構築・運営・高度化
 科学技術基本計画等の国家戦略を踏まえ、本法人が有する大型共用施設等の世界最先端の研究基盤について、産学官の幅広いユーザーへの共用や計画的な運用を行うとともに、革新的な成果を輩出していくために施設の高度化等の取組を、世界の研究開発動向を注視し、国内外の利用者のニーズも踏まえつつ適切に進める。

〇大学・産業界・地方自治体等との連携の強化
 イノベーション創出の中核機関及び総合的な研究機関としての本法人の強みを活かしつつ、外部機関との連携を強化し、オープンイノベーション推進のため、以下のような先駆的な取組を強化する。
 ・組織対組織の産業界との連携研究の更なる強化など、本法人が有する研究力、研究開発成果及び知的財産を有効に活用し、基礎から応用までの各研究段階に応じた産業界との連携や、ベンチャー育成・支援機能等を強化するとともに、それらを通じた自己収入の増大を図る。
 ・様々な分野において、大学等研究機関との組織間連携を強化し、相互の強みを活かした研究開発を実施することで研究力の強化を図るとともに、新たな革新的シーズの創出等に努める。また、当該大学等研究機関を通じ、地方自治体・地域産業界との連携を深め、研究開発成果の社会還元につなげる。

○特定国立研究開発法人としてのマネジメント体制の強化
 理事長を組織内外の多様な知見・経験により支える強固な体制の下、国内各地域にまたがる研究所としての活動が効果的・かつ一体的に運営されるとともに、特定国立研究開発法人として、理事長がリーダーシップを発揮し、他の国立研究開発法人のモデルとなる革新的な改革や、将来のイノベーションに向けた新たな価値の創造、組織横断的な柔軟な研究体制の構築を含めた分野融合的な研究の取組を推進し、研究開発成果の最大化を図ることができるよう、適切な事務組織の構築や理事長を支える機能の整備等を行う。

〇我が国のイノベーションシステムを牽引する人事制度改革
 また、国内外の優秀な研究者を任期付で任用し育成・輩出する取組の継続的な実施や、クロスアポイントメント制度の積極的な活用により、人材の流動性を確保し、国際的な頭脳循環のハブとしての機能を果たす。一方で、若手研究者等が中長期的なビジョンをもって研究に専念できる環境の整備のため、人材の安定性と流動性のバランスを加味しつつ、無期雇用職の整備等の人事制度の改革を進める。また、外国人研究者や女性研究者の登用を図るとともに、外部機関との一層の人材交流を図る。

○さらなる研究の活性化につなげる財源の確保・拡大
 本法人の研究開発活動の活性化や運営基盤の強化を図るため、産業界との共同研究の拡充や知的財産の有効活用等により、自己収入を増大させる。

○情報セキュリティ対策の推進
 引き続き、統一基準群に沿って策定した情報セキュリティ・ポリシーに基づき、情報セキュリティ対策を推進することに加え、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査において特定される課題を解決することを目標として位置付ける。
 

以上

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)