国立研究開発法人審議会(第33回) 議事録

1.日時

令和7年3月5日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室(対面参加の場合)及び Web会議形式(オンライン参加の場合)で開催

3.議題

  1. 第5期文部科学省国立研究開発法人審議会各法人の評価等を踏まえた御意見について
  2. その他

4.出席者

委員

栗原会長、中川会長代理、浅見委員、有馬委員、五十嵐委員、伊地知委員、折茂委員、国崎委員、古城委員、篠藤委員、髙橋委員、ベントン委員、横田委員

文部科学省

井上科学技術・学術政策局長、髙谷大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、先﨑科学技術・学術総括官、伊藤科学技術・学術戦略官、仲科学技術・学術戦略官付補佐

5.議事録

【栗原会長】  それでは、定刻となりましたので、これより第33回文部科学省国立研究開発法人審議会を開会いたします。
 本日は13名の委員に御出席いただき、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 本日の議題はお手元の議事次第のとおりでございます。議事は全て今御案内があったように公開にて行います。
 まず、事務局より配付資料の確認や注意事項の説明をお願いいたします。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】  本日の配付資料につきましては、配付資料一覧のとおりとなっております。資料は文部科学省のウェブサイト上に掲載してございますが、会場では資料を紙で配付しておりますので、不足等ございましたらお申し出ください。
 本日のハイブリッド形式による会議の開催に当たりまして、委員の皆様にお願いがございます。会場にお越しの委員におかれましては、iPadのカメラはオンの状態としてください。音声は会場に設置したマイクで拾いますので、iPadのマイクとスピーカーはオフで結構です。
 オンラインで御参加の委員におかれましては、カメラはオン、マイクはオフの状態としてください。御発言の際には、手のマークの挙手ボタンを押していただき、会長に指名されましたら、マイクをオンにして御発言ください。発言後は再度挙手ボタンを押して挙手を取り消すようお願いいたします。
 以降は会場・オンライン共通となりますが、会場及びオンライン上で聞き取りやすいように、御発言の都度お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。また、発言の際に資料を参照する場合には、資料番号、ページ番号またはページ内の該当箇所などをお示しいただくなど御配慮いただければ幸いです。
 最後となりますが、オンラインの通信状態等に不具合が生じるなど続行できなかった場合、会長の御判断によって審議会を一時中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
 以上です。
【栗原会長】  ありがとうございました。何か今の御説明に対して御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 私のスクリーンは全員の方が見えないので、気がつかない場合には、声を出して、手を挙げているということをお伝えいただければと思いますので、お願いいたします。
 では、議事に入りますので、報道関係の方はここで御退出ください。
【栗原会長】  それでは、議事に入ります。議題1は、第5期文部科学省国立研究開発法人審議会各法人の評価等を踏まえた御意見についてです。本日は、これまでの議論で出てきた留意事項を確認して取りまとめるとともに、次期審議会への申し送り事項を取りまとめていきたいと思います。
 初めに、これまで委員の皆様の御発言を取りまとめてきた留意事項について、今年度開催した審議会における御発言を追記するほか、過去の記載内容についても見直しておりますので、まずは事務局よりこの資料について御説明いただき、その後、意見交換の時間を設けさせていただきます。では、事務局より御説明をお願いいたします。指摘事項について、資料1-1になります。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局でございます。これより、資料1-1について御説明いたします。総ページで12ページございます。今回はこちらをメインに御議論いただきますので、直していないところも簡単に御紹介しながら御説明いたします。今回のこちらの資料は、前回の第32回までの審議会において皆様からいただいた御意見を取りまとめたものでございます。
 法人の評価に関する事項が、1ページ目から9ページ目まであります。その後、法人運営に関する事項というふうに二つに分かれております。法人の評価に関する事項につきましては、また別途それぞれパートが分かれてございまして、年度評価と見込み評価等の関係について、S評価、A評価の考え方等について、社会実装の評価について、外部環境の変化やリスクへの対応について、業務運営の効率化等に関する評価について、プロセス評価への取組、各部会における議論の横展開と分かれております。
 まず法人の評価に関する事項につきましては、見直し時の留意点として五つございます。研究開発者のモチベーションを下げない、評価プロセスの工夫をしましょうという話や、社会実装達成に対する高い評価軸の設定、長期テーマのプロセス評価、国内外の他研究機関との比較評価の追加等が挙げられております。
 そして、評価軸につきまして、その法人のミッションにふさわしい評価軸、モニタリング指標を是非自分たちで考えてほしいという御意見でございます。
 2ページ目に参りますが、法人のアウトカムにつきまして、できるだけ第三者の見解や合理的なエビデンスを提示してほしいという御意見でございます。
 後半は今回新たに追記されたところでございますが、評価結果がCになった項目について、評価の段階でまだ改善の途中段階の場合には、主務大臣評価実施の時点において対応等が精査の途上である旨を評価書にきちんと記載することが必要であるということを追記しております。
 そして、サイトビジットにつきましては非常に大事であるという御意見でございます。
 続きまして、エンカレッジするような評価がなされれば、よりモチベーションが上がって、研究者や機関の更なる評価の高みというところで正のスパイラルにつながっていくという御意見でございます。
 次は新たに記載したところですが、国の大綱的指針、また、文科省の評価指針等がありまして、そちらのほうで研究力をできるだけ幅広く評価することが極めて重要である。また、研究力の評価においては、論文の価値に加えて企業と共同で申請した特許数や企業連携による研究資金の獲得、上司や同僚からの評価などの様々な要素を入れた多面的な評価を実施し、優秀な研究者にはそれにふさわしい待遇が与えられるよう、納得感のある評価を法人自身が構築していくことが必要であるということ、そして頭脳循環という観点からは、流動性と雇用の安定のバランスから、比率や職の転換などへの配慮が必要だと考えるということでございます。
 引き続きましては、ミッションを超えてすばらしい成果が出たら、ミッションを超えた大きな活動ということで評価してきた。大きな議論とか社会に対する貢献といった観点を踏まえて、なるべくポジティブに法人の努力が正当に評価されることが大事という御意見でございます。
 続きましては、長期性・不確実性等といった研究開発の特性にも留意しつつ、審議会の枠を超えて調査審議を行うというふうに基本的考え方に記載されておりますので、達成度に加えて、その先の計画や展望あるいは課題を将来に向けてどう取り組んでいくかという観点も評価の中に取り込んで法人評価を行うことになるのではないかという御意見です。
 続きまして、重要なのはサイテーションということで、世界から見ても研究の新しい領域を開いているという指標になることを論文のことで述べておられます。
 続きまして、総務省では国全体の研究開発成果の最大化を意識した調査審議を行うという方向がありますので、省庁を超えた包括的取組を今後の評価に生かしていきましょうと。法人からはそういったところをアピールしていただきたいということです。
 続きまして、理事長のマネジメント、リーダーシップにつきましては、理事長との対話等の地道な努力が理事長にも現場の人々にもあるべきで、理事長のマネジメント、リーダーシップのためにも、現場の経営力、企画力、戦略的能力も評価したい。人材育成についても、特に研究運営の能力の向上、リーダー育成、次世代養成などについても言及していただきたいという御意見でございます。
 続きまして、中長期計画において、研究は時間がかかるということで、フェーズに応じて評価の仕方を見直し、時間の進展や進捗に応じて評価軸を見直すと、整合が取れる評価になるのではないかという御意見でございます。
 続きまして、評価制度の趣旨からして、次期中長期目標につながる見込み評価が一番大事である。見込み評価において期間実施評価につながるような深い議論をするための準備やパーツとして考えられないかということでございます。
 次が新たに記載したところでございます。年度実績評価案のポイントを取りまとめる表については、B評価以外については記載することになっていたのですが、B評価になった場合、どのように評価してB評価になったのか分からないので、総合評定の欄にはB評価であっても記載していただきたいということでございます。
 続きまして、ここも新たに加えたところでございます。7年という期間の長期性や予見不可能性、担当する研究開発分野の特性、国から求められる活動範囲など、評価項目の設定を困難にする要素が多い。評価項目の区分の仕方や目標を計画としてどのように表現していくのかが重要である。そのために、評価項目をよく整理することで、研究開発そのものと支援活動、インフラ整備等の観点が明確になり、しっかりと評価ができると考える。併せて、新しい事業を開始する場合には、評価の観点が明確になるように位置付けることを要望したい。曖昧な表現では達成すべき姿が法人と評価者で共有できないことから、達成すべき目標を計画の中で具体化することが必要である。そして、「特に顕著」や「顕著」という言葉の根拠を定量的に示すことは困難ですが、部会でもほぼ一致した結果であることを考えると、審議会としては共通の認識ができており、審議会での質疑・意見交換が重要である。評価の判断を集約してきた指摘事項のまとめを今後もアップデートし、評価の質の向上を目指していただきたい。
 続いても新規でございます。基礎的、基盤的なボトムアップの研究分野では、具体的な目標を示すことは難しい。特に未踏領域に挑戦する研究開発は目標設定を十分に検討する必要がある。ただし、エンジニアリングという観点からは、工程表を作成するために具体的な目標設定が必要であり、活動を具体的な言葉で表現することは大切なことであるという御意見です。
 続いては、年度評価と見込み評価等の関係についてということでございます。こちらは最終年度の評価を重視する考え方と、年度評価や成果が期待できる体制の構築状況を勘案する考え方、そして評価項目別の考え方という三つのパートに分かれてございます。
 まず、最終年度の評価を重視する考え方のところです。こちらは元々三つのパートに分かれてございましたが、内容が重複しているところがございましたので、今回一つにまとめる形に変更しました。具体的には、後半の部分に追記いたしました。最終年度の評価に当たっては、事業の特性や目標の立て方により、期間の平均が適切な場合、到達点が重要な場合などが考えられる。機械的に平均や最終年度の評価を用いるのではなく、事業の性格を考えた上での評価となるべきである。具体的な例として、1番目として、最終年度がSで、ほかの年度がAやBの場合であっても、到達レベルがすばらしいものであれば、期間評価をSと評価する。2番目としては、研究の評価としてはAを積み重ねてもそれらがSということにはならず、少なくとも最終年度はSでなければならないだろうという御意見でございます。
 続いて、年度評価や成果が期待できる体制の構築状況を勘案する考え方です。こちらでは、年度評価は年度内の達成を評価する。最終年度の年度評価がSでなくても、今後十分期待できる体制が整っているということが見込み評価をSとする十分な理由なのではないか。そして、ゼロから法人の新しいアイデンティティーになるような学術分野を立ち上げ、研究開発の成果としてはまだでも、体制が十分整えられた場合、見込み評価をS評価とする理由として十分であると考えるという御意見ございます。
 続いて、評価項目の考え方としては、中期目標期間評価をSとするケースとして三つ挙げられております。複数年度においてS評価を達成した場合、前人未到の成果でかつ従来の概念を覆し国際的に極めて影響力の大きい成果である場合、そして目標達成レベル(Sレベル)に最終年度に達した場合というものでございます。
 評価軸に、研究開発マネジメントについて触れられている場合として、年度評価はマネジメントレベルを評価する。常に改善を繰り返し、最高到達レベルというものはないので、基本的にA評価、B評価が妥当。中長期目標期間評価はマネジメントレベルに加え、マネジメントレベルの向上の継続性、成果への影響、他機関への波及効果、組織の統合直後など、中期目標期間の実績を総合的に判断し評価するということになっております。
 そして、S評価、A評価の考え方につきましては、高いレベルの評価を何年もの間、長期継続して達成している研究所・研究チームについては、現状レベルに満足することなく、更なる高みを目指し、かつ世界の強豪に対して競争優位性を更に確実なものにしていくために、今後、評価軸の見直し・工夫による評価の明確化に取り組む必要があると感じるということになっております。
 次の国際経営開発研究所のランキングの話ですけれども、こちらの数字が今40になっております。こちらは2024年のデータを踏まえて、40位ぐらいと修正させていただきました。
 ちょっと時間がかかり過ぎるようですので、ちょっとスピードアップしていきます。
 その後は、研究モチベーションの話、S・A評価の話、そして基礎研究についての話、あと、外因による困難を克服した場合の話、そして研究開発成果の最大化のためには社会実装が必要であるというお話。
 そして、6ページ目の最後について、項目全体として見た場合に課題が散見される場合や、トップダウンで始まった構想がボトムまで浸透して具体的な成果が出ている段階にまで達していない場合などは、幅広く総合的に評価した結果、法人の自己評価と審議会としての評価が異なる場合もある。どのような観点で判断したのかを明確にして評価書を作成していくべきというものでございます。
 続いては、社会実装の評価について。こちらでは、社会的価値の高さや、すぐには社会実装につながらないが長期的に重要となる研究は、しっかりと見定める必要があるという御意見でございます。
 3ポツ目の「国立」につきましては、記載の統一ということで追記いたしました。
 次いで、外部環境の変化やリスクへの対応についてということです。リスク体制やそのレジリエンスに対する備えが重要。外部環境の変化に対する見込みを常に考えることが重要。そして、7年という中長期目標期間においては、AIの利用に伴う倫理的な課題など科学技術の進歩や最近の国際的な懸念が顕在化してくる。こうした点について取り組めているかを意識していきましょうという御意見でございます。
 続いて、業務運営の効率化に関する評価についてということになります。こちらでは、業務運営の効率化については、この評価項目において、A(あるいはS)をつけるに足る基準について相当に議論されているので、横断的な議論に展開してほしいというもの。
 あと、業務運営の効率化は普通に評価するとBしか付かないが、より効率化を図るとか業務の実績が上がるような環境を整える工夫がなされていた場合は、積極的に評価していくのもよいのではないかという御意見でございます。
 そして、最後の部分に追記しておりますが、業務運営は標準だが顕著な成果が出ている場合など、業務運営と成果がマッチしていないケースがあるが、こういった場合の評価のポイントを明確にできるとよいのではないかということでございます。
 そして、プロセス評価への取組でございます。こちらは新しく追記したところを簡単に御説明します。2番目はファンディングに対する評価についての記載でございます。法人が作り出した成果を出すための制度設計や運用上の工夫、仕組みについて、成果の創出にどの程度裨益したかという観点から深掘りして評価に結びつけることが重要ではないかということでございます。
 続きましては、事務手続の煩雑さを軽減するなど、研究環境の整備という面から評価するのもよいのではないかということでございます。
 3番目は評価基準の明確化ということで、どのプロセスを評価対象とするか、それをどのように評価するかというところは、計画段階で明確化すべきではないかというところでございます。
 そして5番目になりますが、先端の研究開発はいわゆるデュアルユースにつながるものが多い。研究開発の対象については、これまでなかったものが登場してきており、経済安全保障や研究クリアランス、情報セキュリティなどが絡み合う難しい運用となることから、一般的な研究開発の評価の方法をそのまま流用するのはふさわしくない。そして、政府全体で基準について考えてほしいという御意見でございました。
 このパートの最後ですが、部会における議論の横展開として、長期戦略や長期のプロジェクトにおける現在位置を明確にするような業務実績報告書の仕方や評価をすることが必要でないかという御意見などがございます。
 続きまして、法人運営に関する事項のほうに参ります。こちらは、3番目に新たに追記いたしました。こちらは、前回の議論の中で研究セキュリティ・研究インテグリティのお話がありましたので追記いたしました。新たに政府申合せや当省の科学技術・学術政策局のペーパーが出ましたので、現場に浸透させるためには丁寧なコミュニケーションが必要で、ケース・バイ・ケースの知見を積み上げながら必要な取組を実施していくという意味で、研究開発法人の研究マネジメントが従来以上に重要になってくるだろうというものでございます。
 また、コンプライアンスとか内部統制、リスクマネジメントについての記載をしていただいております。
 そして、このページ10ページ目の最後に、研究セキュリティ・研究インテグリティを含む内部統制を制度として整えて組織文化として根づかせていくことは非常に難しい。そのためには、規程等を整えることも重要度だが、制度を運用して組織文化として定着させていくかというところまで評価していくことが必要だろう。現場からの声や研究マネジメントを実施していく中で出てくる議論を報告していただきながら、審議会として議論を丁寧に進めていくことが大事だろうという御意見でございます。
 次が、情報セキュリティの話です。文部科学省がどのように考え、どのレベルまで評価として求めていくべきなのかを示すべきではないかという御意見でございます。
 そしてその次は、研究セキュリティ・インテグリティにつきまして、国の指針等が示されて認可等の手続が必要な場合には、できるだけ短時間で、ワンストップでできるように配慮してほしいという御意見でございます。
 また、理事長のマネジメントに係る事例は参考となるものが多いので、各部会で各法人が事例をどのように参考にしているかを法人から聴取することで、評価の議論に有効になるのではないかという御意見でございます。
 次の、法人の業務が非常に多くなってきているので、法人全体として成果を上げていくためにはマネジメントを強化することが非常に重要。経営層が業務量と人的リソースを把握し、それを適切にコントロールしていくことがマネジメントの第一歩だろうという御意見でございます。
 最後のほうは、女性比率の話で、指導的地位に占める女性の割合が低いため、それを増やしていくために研究機関なども注力すべき。また、共通の問題として把握して、アウトリーチ活動において、女子学生にサイエンス、エンジニアリングの楽しさを伝えることが重要。
 また、複雑な世界の中では、多様な研究分野のプロジェクトの連携が重要。
 最後に、総合知について部会できちんと議論してほしいという御意見でございます。
 非常に駆け足で恐縮ですが、御紹介は大体以上になります。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。時間が限られる中で全体を御説明いただきまして、ありがとうございます。
 それで、意見交換に入りますが、まずは、これまで指摘事項をまとめるに当たり、長い期間御意見をいただいてまいりました委員から、今期、大勢の委員が退任されるので、それぞれ御発言いただけたらと思います。五十音順で行くので、突然で申し訳ないのですが、浅見委員からお願いできますでしょうか。
【浅見委員】  
 私も長らく10年近く務めさせていただき、今回退任することになったのですけれども、改めて振り返ってみますと、随分いろいろな議論をして評価をしてきたなと思います。その中でやはり一番大事なポイントは、評価をするということを通じて、いかに成果を上げるような組織になってもらうかということかなと思います。個別具体的に見ると評価の仕方とか考え方について結構細かい議論もあるのですけれども、やっぱり大本の目標としては、こういう評価を通じて評価部会と法人の理事長はじめ研究を統括する方々との間でインタラクティブなやり取りがいろいろありますから、そういうものを通じて法人がより高い成果を上げるようなマネジメントをしていっていただきたいという、そういう気持ちが非常に強かったです。
 そういう意味で幾つか意見があって、昔から議論のあるところは措いておきまして、最近の議論のところで3点ほど補足させていただきます。
まず、2ページ目の研究者の評価について新しく入れた部分がございます。これは私が前回か前々回かに言わせていただいたところなのですが、これは厳密に言うと、研究者の評価をするという法人の人材マネジメントについてどう考えるかということになります。伊地知先生のほうからコメントいただきましたように、研究者の評価は法人がやるので、部会のほうで直接研究者の評価はしないわけです。
 では、何でこういう観点を述べさせていただいたかというと、私の場合はNIMSとかなり長くいろいろ議論してきたのですけれども、ここ数年のNIMSの一番の懸念事項というのは、優秀な研究人材を採れなくなるということにあります。これは国際的な競争とか、ほかの法人・大学との競争で採れなくなるということが非常に大きいリスクであると、そういうことを考えていて、そのために最近研究者の評価の仕方をかなり変えてきています。具体的には年功評価の比率を下げて、研究者自身の能力をきちんと評価するという方向にかなり大きく舵を切っているのですね。部会のほうの議論では、やはり優秀な研究者を集めるということをやっていくためにはそのやり方は非常に重要な観点だろうということで、マネジメントとして高く評価できるという、そういう議論をさせていただきました。
 ですから、そういうことをできるだけ研発審の場などでほかの法人の評価とも対比させた議論をお願いしたい。日本ではどうしても年功序列社会というのがかなりしみついていますので、そういう中で優秀な人間がきちんと評価されて、研究で言えば、給与の他にも高い裁量とか研究資金を扱えるように処遇を上げていくということに変えていかないと、日本全体としてやはり問題だろうと思います。そういう人材マネジメントを、NIMSではかなり明確に打ち出しておりますので、その点を是非ほかの法人のほうにも知っていただきたいと、そういう気持ちで挙げさせていただきました。
 それから次に、大きいところでいうと、これは何回も言っているのですけれども、S評価、A評価、B評価という評価についてです。評価の場で、業績内容を密に議論していると、どうしてもこれはすごい評価だなと思って、Sをつけるべきじゃないかという気持ちも出てきます。ですが、Sの評価が非常にたくさんあって法人全体としてもSの評価がどんどん蓄積していったとして、その一方で日本の研究競争力が決して高い水準にあるわけではなく、むしろどんどん落ちているということが起きてしまっている。ここのところのギャップは非常に問題ではないかと思っています。
 ですから、やはりSの評価をしていったら、そのSの評価が世界でも評価されて、日本の研究力が評価されるというところにつながるというようにするためにはどうしたらいいのか、そういうところを考えながら評価のAとかSとかを悩んでいくということになるのかなと思います。やはり日本全体の研究レベルを上げるということに対してこの評価がどう使われるかというところがポイントだと考えております。
 それからあと、最後1点なのですけれども、これは前回申し上げたJAXAの評価の中長期目標についてのところで、プロジェクトマネジメントというのがいろいろ出てくるのですけれども、ほかの法人に比べてJAXAは多分、プロジェクトとしての規模とか難度はかなり高いのではないかと思います。ですから、そういうところを見ながらプロジェクトマネジメントがどうなのかという議論はしていくのですが、私が気になっているのは、これは民間の企業でもそうなのですけれども、プロジェクトマネジメントのやり方をきちんと体系的に教育してプロジェクトリーダーを育てていくということがなかなかできていません。
 仮にあったとしても、かなり形式的にやるというような話で、実際のところ現実のプロジェクトというのは本当に予期しないことが次から次へ起きる状況にどう対処していくか、そのときに何を一番優先して対処していくのだとか、そういうことの訓練をしていくということをきちんと考えていかないといけない。これはJAXAに限らず、日本の科学技術のプロジェクトを成功させていくために、そういう人材を育てていくというのは、国として極めて重要な課題だと思います。特にJAXAのプロジェクトを題材に考えると、様々課題が見えてくると思いますので、そういうところを、例えばこういう研発審の場でいろいろ議論して、少しでも政策などに反映して何か出てくるといいなと思ったという次第でございます。
 私のほうで考えているところは大体以上でございます。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。JAXAについては、以前プロジェクトマネジメントの考え方を髙橋委員長のほうから御紹介していただいたことがあったと思うので、後で御意見いただくときに、そういうような話題についても触れていただければと思います。
 また、日本の研究力の評価を上げるという意味では、やはり研究者に国際的な研究の位置づけをきちんと考えていただくということが、個人的にはすごく大事だと思っています。そういうような議論が今、科学研究費の運営に関しても、国際的な位置付けをきちんと考えて申請してもらおうという方向性の議論がJSPSなどの場では行われていると理解しています。私もそうコメントしている一人ですが、全体的にそういう方向性が今、議論されているところです。ですから、今回のこのまとめのところにも一部書いてあったと思いますが、国際的な位置付けをきちんと意識して評価すべきともう少しはっきりと書くというのはあると思います。
 それでは、次に、五十嵐委員、お願いします。今回ペーパーまで御準備いただき、ありがとうございます。資料1-2を御覧いただければと思います。
【五十嵐委員】  ここに書かれていることは、昨年7月にこの審議会で篠藤部会長代理も発言しているところです。是非今日は皆さんから御意見をいただきたいと、このペーパーを準備させていただきました。早速ですけれども、資料1-2の上から3ポツ目までが今日御議論したい観点です。実はここのところは、先ほど浅見委員がおっしゃっていた、日本の研究レベル全体の底上げのためにはどうすればいいかというところ、そこには、やはりファンディング・エージェンシーの役割が非常に大きいだろうと、そう考えてこのペーパーを作りました。
 読ませていただきますけれども、JSTは、研究主体ではなくて、一義的にはファンディング・エージェンシー、FAと略しますが、FAとしての成果、それを評価すべきであると考えています。JSTのファンディング事業については、JSTがFAとして制度や運用に関してどのような助言や工夫を行ったか、あるいはどのような仕組みを作ったか、それらのプロセスがどのように成果の創出に裨益したかといった観点、すなわち、制度設計や公募、課題採択を経て、研究者や研究機関による成果創出までのプロセスに法人がどう貢献したかという観点から評価すべきであろうと考えます。これは昨年7月に篠藤部会長代理から話があったとところです。
 例えば、大学・研究機関・研究者の成果をもって、事業自体の成果、法人自体の成果として高く評価すべきなのかどうか。あるいは、浅見委員もおっしゃっていました、S評価、A評価といった高評価としている項目や、複数年高評価が続いている項目について、本来これはJSTの中ではモニタリング指標になっているのですけれども、Top10%論文数など高インパクトの成果のみをもって事業の成果とすべきなのかどうか、そういった議論があると思っています。
 この辺に関しまして、これは昨年も議論させていただいたのですけれども、改めてこの観点、先ほど浅見委員、栗原会長がおっしゃっていた、日本の研究レベル全体を底上げするためにはどうすればいいかというところ、これはJSTが多分一番近いところにいると思っています。こういった仕組みづくりとか、そのために、なぜ、どういう考えでどういう仕組みにするのかと、そういったところをより深く議論して評価できればいいと。これはこの6年間感じたところです。
 よろしければ、御意見をいただければと思っているのですけれども。
【栗原会長】  この観点は、今の指摘事項の中にもう既に入っているものでありますので、今ここで議論するかですね。一わたり皆さんから御意見いただいてから、特にあればいただければと思います。
【五十嵐委員】  そうですね。
【栗原会長】  それで、御退任されるわけではないのですが、今日御都合により途中退席されるということで、むしろ引き継いでいただく側なのですけれども、有馬先生から御発言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【有馬委員】  いろいろたくさんのことが書いてあって大変勉強になります。私はまだ1期目なのですけれども。
 私がこれを全体的に読んでいて、気になったわけじゃないのですけれども、意識しなければいけないなと思っているのは、一番初めの資料1-1でも一番初めに、「研究成果の最大化」という言葉が出ます。大体いつも「最大化」という言葉が出るのですけれども、どのぐらいの期間で最大化するというのが本当の最大化だというのを割とちゃんと意識しないと、これは法人ごとによって多分違うと思うのですけれども、割と短期の最大化だけを目指すと実は日本の研究力が低下するという可能性もあるので、そこはいつも注意していろいろ見ていきたいなとは思っているということがあります。
 あとは、いろいろな御意見があって、私としては大変勉強になりましたし、ちゃんと引き継がせていただければと思っております。
 簡単ですが、まずこのぐらいにしておきます。
【栗原会長】  ありがとうございました。大変心強いお言葉をいただきまして、ありがとうございます。
 研究成果最大化については、この資料1-1だけでなく資料1-3のほうにも最後のところに記載されています。この審議会は、個別の法人の活動がよくなるだけでなく、この審議会を通じて、法人間の連携や法人の間のグッドプラクティスの共有とか、あるいは活動を全体から見て、より良い活動をできるように、評価を通じて貢献をするということもミッションであろうということで書かせていただいております。
 今、有馬委員の言っていただいたことは、非常に大事なことだと思います。個別最適化ではなく、やはり全体として、日本の研究力の向上に、あるいは社会の向上に、研究開発法人だけでなく他の組織も含めて連携して貢献していきたいということがまず根底にあると思いますので、その点、ペーパーにも反映させていると、理解しております。紙に落としただけでは駄目なので、先生、今のように言っていただいて、本当にありがとうございます。よろしくお願いします。
 ほかにはよろしいですか。御退席になるということなので、もしほかの点もあれば、今言っていただければと思いますが。
【有馬委員】  いえいえ、どんどん進めてください。
【栗原会長】  では、どうもありがとうございました。
 それでは元に戻りまして、古城委員、お願いできますでしょうか。
【古城委員】  私も今期で退任いたしますけれども、これまで長いこと携わってきたので、感想から述べます。最初の頃から比べて非常にいろいろな点で詰まってきて、特に私は研究者なものですから、やっぱり大学でも研究者の評価を受けていますので、評価がすごく重荷になって逆に研究を阻害するというようなこともしばしばあるのを見てきました。そういうことにならないような評価をすることがすごく重要だと思っていましたので、この審議会での議論がそういう方向をいつも確認しながら進められてきたということについては非常によかったのではないかと思っています。
 その中では、アウトプットとアウトカムの考え方の違いとか、あるいはもう述べられていますけれども、プロセスをいかに評価していったらいいのかというようなこと、そういうことについても、ほかの法人の方の意見を聞きながら、よりよい評価にするにはどうしたらいいかという点を重視したことが、曲がりなりにも少しはお役に立てたかなと思っています。
 私は髙橋部会長と共にJAXAの部会で評価していたわけですけれども、JAXAはほかの法人と違って4府省庁が関わっているという非常に難しい、そもそも難しい評価であるということと、それからもう一つは、課せられる役割が、いろいろな状況、特に国際情勢等の状況の変化によってかなり変化してきたので、それに合わせて多様な役割が途中で課せられ、どんどん増えていくということで、予算もやや増えてはいると思うのですけれども、人員や予算がどのぐらいそれに追いついていけるのかというのがいつも課題だったのではないかと思います。
 そのような制約の中で多岐にわたるプロジェクトをやっていかなければいけないという非常に難しいところがあり、いろいろな問題も出ているわけです。私が気づいた点を少し言いますと、一つは、JAXAは非常に目立つ法人でありますので、何か起こるとガバナンスの問題ということが常に言われているわけです。ガバナンスが非常に重要だということもこの審議会で本当に重点を置いてきたことなのでそれはいいのですけれども、形式的にガバナンスを整えても、実際にそれがうまくいくかどうかというのは、このペーパーの中にもありますけれども、組織の文化がどのぐらい変わっていくのかということに依存している点があります。
 絶え間なく法人で確認しながら、リーダーが常にいろいろな現場の人たちにもそれが行き渡るような形でコミュニケーションを取っていかないと、なかなかガバナンスがプロジェクトの成果につながるというところまで行かないで、むしろガバナンスが規制とらえられ重荷だと考えられるとちょっと困るなと思っています。ですので、よりよいガバナンスがよりよい成果を生むようなそういう土台を、これからもこの審議会で応援して作っていっていただければと思います。
 それから、中長期計画の期間が結構先ほども問題になっていたのですけれども、期間の途中で状況や課題の変化があるので、当初立てた中長期目標がどのぐらいそれが状況にマッチしているかどうかというのを判断するということも今後いろいろ出てくるのではないかと思います。それで、先ほど、長期的に見ないと成果が出ないという、長期にわたって見ていかなければいけないプロジェクトと、それから、やっぱり臨機応変に変えていってどういうアウトカムを出していかなければいけないのかという両方が課せられてくると思うのですね。そのときにそれらをどのように見分けて、中長期目標も途中で変えざるを得ないようなことも出てくると思いますので、そういうことは臨機応変にやっていかれるのを評価のほうも応援していくということも重要じゃないかと思っています。
 以上です。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。より良いガバナンスを現場までというのは前回も議論になったのですけが、この研発法人審議会が始まった頃は、リーダーシップということを非常に強く言って、どの法人もリーダーシップの利いたマネジメントをするようになってきて、今度、ボトムアップというか、現場とのつながりがより重要になってきたのではないと私も感じているところでございます。
 また、7年というのは、今のこの変化の早い時代ではかなり長い期間になりますので、実際には長期間必要な事業もたくさんあるのですが、それと同時に臨機応変ということも非常に重要だと思っています。この審議会ではそういう点からも、型にはまった評価ということではなく、やはり原点に戻って良い活動をしていただくという観点から常に物事を議論していくという立場だったと思いますので、この点も指摘事項あるいはメッセージの中にきちんと伝えられると、残せると良いと思っております。ありがとうございました。
 ベントン委員が今手挙げていらっしゃるということなので、では次、髙橋委員の前に、ベントンさん、どうぞ御発言ください。
【ベントン委員】  ありがとうございます。評価制度についての在り方を検討することはとても重要だと思います。よいことだと思います。また、実際に各法人から評価制度について意見を集めていると存じています。実際に研究法人からのすべての意見に対応することは難しいと思います。例えば多くの法人から同じような意見で、対応できてないものはどのようなものがありますか。あるいは、なかったのか、あるいはまだ対応できていないもの、はどのようなものがありますか。
 つまり、法人から意見を集めていると思います。法人から同じような意見が多いものもあると思いますので、その中で対応がまだ難しいものはありますか。まだ対応できてないもの。
【栗原会長】  法人のほうが運営の課題と思っているような項目について、この審議会で意見交換ができてない課題としてどんなものがあるかという御質問ですか。
【ベントン委員】  はい。対応できていない、対応が難しいもの。
【栗原会長】  この間、法人にアンケートを取りました。そのときに、それぞれの法人の活動についてまとめて、法人のほうの理解とこの審議会の理解が非常に異なるというような齟齬があるという印象は受けなかったのですが。
【ベントン委員】  それだけを確認したかったのです。
【栗原会長】  そうですよね。
【中川会長代理】  そうですね。あえて言えば、事務局のほうで何かそういうことを把握されていることがあればということですかね。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局です。現時点で重要な課題として認識しているものはないと思っております。この間の委託調査の中で出てきたものについては、個別にまた順番に対応すべきものがあれば対応していきたいと思います。
【ベントン委員】  分かりました。
【栗原会長】  どちらかというと意識が共有できていると調査に関しては受け止めました。
【ベントン委員】  ありがとうございます。
【栗原会長】  それでは、次、髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】  ありがとうございます。私から幾つかコメントをしたいと思います。私はこの審議会の委員として10年、その審議会の前身の評価委員会というのがございまして、それも7年間務めましたので、評価に関わることとしては17年間、特にJAXAの評価ということで携わってまいりました。JAXAが第1期で三つの組織が合体した直後から見ておりましたので、この20年近くのJAXAの進展ぶりには目を見張るばかりといいますか、感慨深いものがございます。国際的には、キャッチアップの時代から、今やもう世界に対して国際的に不可欠な存在になるというところまでJAXAが成長・発展したということをずっと一緒に見てまいりました。
 そういった感想も含めて、先に、先ほど栗原会長からのマネジメントに関する話ということで御紹介という話がありましたので。
【栗原会長】  非常に早くからまとめていただいたと思っておりますので。
【髙橋委員】  はい。以前この場でもお話ししたと思うのですけれども、JAXAでプロセスをしっかりと評価しようということで、プロセス評価のSABCDというものの考え方をある程度明文化したのです。それはまさにマネジメントそのものでして、例えばスケジュールに関するものとか、あるいは人的リソース、物や情報の手当てが十分かどうか、それからマイルストーンなどの進行管理体制が構築されているかというようなことを法人全体の総合的なマネジメントとして適切に評価しましょうということを部会で議論して、一応明文化して、それに基づいて評価しているということであります。
 ただ、御指摘のように、マネジメントに関して、体系的に人材を育成していくかという観点についてはまだ議論されていません。体系的な人材育成については今後の課題といいますか取組事項になるかと思います。
 次ですけれども、今回の評価の在り方のまとめを見ると、まさにこのとおりだなという感じはしているのですが、いわゆるPDCA、Plan、Do、Check、Actionというサイクルで見ると、この評価はCのCheckに相当するのかなと思います。常々思っているのですけれども、どうしてもDoに対するCheckが非常に多くなっております。それは実績評価として、年度評価、期間評価等がありますのでしようがないのですけれども、Checkで一番大事なのはPに対してではないかなと思っています。P、いわゆる戦略とか計画とか作戦とか目標とかそういったところのCheckがまさに大事であって、それに基づいてDはほぼ決まってくるのかなと思います。ですから、最初の目標の設定の在り方とか構えとかいろいろなものに対するチェックといいますか評価を、もう少し審議会や部会の中でも時間を割いていくということもこれから取り組んでいくべきではないかなということが私としては今感じております。
 以上です。
【栗原会長】  ありがとうございました。今回JAXAの評価の中で、特に人材の充足が大事だという御意見を出されたというところが、今のお話を聞いてもよく分かりました。ありがとうございます。そういう意味では、中長期計画に関して理研部会では、夏の評価のときから次のプランを御紹介いただいて、夏に意見交換をやり、さらに秋に2回部会を開催しました。このようなプラクティスも今後参考にしていただけるのかなと思います。随分、委員の意見を計画の中に反映していただいたと思っております。
 大変貴重な御意見ありがとうございました。やはりまとめて伺うと、ふだんの意見交換と少し違う形で意見をいただけるので大変よかったと思っております。
 では次、横田委員、お願いします。
【横田委員】  ありがとうございます。私はあまりここでの年数がたっていないのでいつも勉強させていただいているばかりなのです。今回指摘事項を拝読させていただいて、大変網羅的だと思いました。長期的な研究に対してどうやって、単年度ごとに区切って評価をすればいいのかという意識がいつもあったので、長期的な7年という期間が一応ある中で試行錯誤して毎年評価することをこの審議会の中でも常に考えるということが分かり大変よかったなと思っています。
 原子力関係のところでいきますと、基礎研究に加えて実装ということも重要な業務です。一方、世の中からの風当たりが物すごく強くなったときがありまして、そこへの対応、社会へのアナウンスも結構大事だと思うのです。同じ組織の中においても、業務によって評価すべき適切な期間や成果が大分違ってくるので、そこが大変難しいところではないかなと思いました。
 あと、裏方的な業務については、いつもまあBだよね、みたいなことになってしまいがちで、研究の最前線のところのことがSになったりAになったりということが当然ありがちです。しかし裏方と言ったらあれなのですけれども、研究を黒子として支えている方たちも社会へのアナウンスのような場面で頑張ってくださっているので、どこかで評価ができるといいなと思っています。
 もう一つは、先ほどもお話が出ていたのですけれども、原子力に関心をもつ人材も限られていて、社会的な風当たりから、研究をやりたいという人も少なくなってきていると聞いています。そういう方たちをどうやって育成するかについてはもちろん既に努力はされているのですけれども、評価というところでどうやってそれを育成というところとつなげるのだろうかというのは問題意識としてはございます。どうしたらいいという答えは全然ありませんが、どうしても社会とか政治にも引っ張られるような分野ですので、そういったところに揺れないで研究を深めていただくためにどう評価したらいいのかという点が悩んでいるところでもありました。
業務を支える方たちも、研究を真摯に進めている方々も両方とも評価できるようなものであったらいいなという感想でございます。
 以上です。
【栗原会長】  ありがとうございました。人材育成は非常にいろいろな法人が多面的になさっているので、なかなかシンプルにはこの一つの形というのはないと思うのですけれども、私は今まで見聞いた中で先行的にやられたのでは、ICYSというNIMSの中の若手の人を育成する制度は、全部提案・公募制で雇用する。シニアの人は共同研究者ではなくてメンターとして入り、そこで2年だか3年間研究をしてもらって、場合によるとパーマネント職等でNIMSの中で雇用する、また外国人の方もかなり多くて、非常に長くやっているわけですけれど、最初の頃はメルティングポットと言ってすごくアピールされていたのですが、今はもう定常活動になっていますが、先行的な活動であると思います。
 話を伺うと、当人が提案したテーマでメンターが入るというのは、長期的に見ると非常に成長するのだとおっしゃっていたのが非常に印象に残っております。いろいろな法人でフェローシップとして理研等もやっているし、いろいろな形があるのですけれども、ICYSはセンターのような形でやってきて、非常に組織的だったので、印象に残っています。
【浅見委員】  実績としても、屋内外で活躍する人材が育っているというというのはデータとしても出てきていますよね。
【栗原会長】  外国にも随分戻っているし、それから、NIMSに雇用する前のステップとしても良く機能しているということで、フェローシップ的なものだと点になるのですが、それがある程度面で活用されてきているというのは印象に残っています。ただ人材育成は組織や研究テーマによっても違いますよね。個別研究する材料研究のような分野。ロケットを作る分野など、いろいろ分野によっても違うのだと思いますけれども。
【横田委員】  ありがとうございます。
【栗原会長】  それで、今期御退任になるのが、あと三枝委員と山本委員と伺っていますが、お二人は今日御欠席ですので、あと中川委員も御退任、私栗原も退任ですけれど、私たちは間に意見を言わせていただいているので、これでひと区切りとさせていただきます。
 資料1-2で五十嵐委員からまとめていただいたものの中で、ファンディング事業としての評価というので、折に触れていろいろ考えることが多かったというような御意見だったのですが、これは他の法人においても、マネジメント軸というのは重要性が以前にも増して強くなってきていると思いますので、そういうところも踏まえて、何か御意見があればいただければと思います。伊地知委員、いかがでしょう。
【伊地知委員】  これを拝見させていただきまして、JSTをどう捉えるのか、と。私自身もJSTのプログラムに関わっていますが、今日は評価ではないので、利害関係者ではないと思い発言させていただきます。
 既に、これは法人の自己点検・評価、それから実際の部会での評価もされているところ、書かれている書類の中でもあろうかと思うのですけれども、トップ・マネジメントの後の具体的なプログラムの運営に当たるところが、実はここに大きく書かれているのだろうというように思っておりまして、そのことについても、JSTからもいろいろな記述がされているところではないかと思っています。
 このファンディング・エージェンシーですけれども、例えば、文科省の中では、国立研究開発法人ではないですが、JSPSは、独立行政法人です。そうではなくて国立研究開発法人であるということは、国全体としての研究開発成果の最大化といったところを、この法人としてもその一翼を担われている。そのときに、いろいろな活動がされていると思うのですが、資金を配分するという見方もあるかと思うのですが、一方で、バーチャルな研究機関を運営されているという見方も取ることができる。
 そうであるからこそ、例えば、プログラム・ディレクターに当たる方、あるいはプログラム・オフィサーにある方、そういった方がいて、実際にプログラムをどのようにデザインして実際運営をするのか。かつ、そのことを、国のほうから様々な方針とか計画が出てきていることに対応しつつ行っていく。
 他方、ファンディング・エージェンシーとしてこういうことを狙いとしたいというように思ったとしても、公募制を取っていると、結局それに手を挙げる研究者がいないことには、いくらそのプログラムに掲げている目的・目標を実現したいと思っても、それはできない。
 そういったいろいろと制約条件がある中で、どういうことをされているのかということかと思います。そういったところからすると、プログラムの運営に関わるところ、それから、プログラムを運営した結果として各プロジェクトがどのような成果を上げられたこと、こういったところを特に、国側の条件、それから、一方で、関わっている研究者側の条件、外部環境とかそういった条件と照らし合わせながら、JSTとして特有のところでどういった取組をされているのかということを丁寧に見ていくということが考えられるのではないかというように拝見したところです。
 ですので、ここに挙げられているポイントとして、研究開発成果に関わるアウトプットもあるのですが、単にアウトプットだけではなくて、どのようなアウトカムをもたらし得るのか、そういうアセスメントの観点もあります。それから、我が国の中においてはかなり規模の大きい有力な資金配分機関ということからすると、研究そのものだけではなくて、ここにあるような研究公正、科学コミュニケーション、ELSI、あるいは研究インテグリティ等もそうですけれども、そういったところにどれだけ先導的に取り組まれているのか、それを進めるに当たって、関わっている研究者もそうですが、JSTの中の方々の専門性等をどのように生かしてこれを進められているか、そういったことも見ていくということになるといいのではないかというように思いながら拝見したというところでございます。
【栗原会長】  JSTは純粋なファンディング・エージェンシーというよりはバーチャルラボの性格が非常に強くて、例えば、研究者のモニタリングが非常に強力にしていて、毎年、例えばERATOにしても、CRESTにしても、さきがけにしても、領域会議の回数が非常に多い。サイトビジットも毎年のようにされていて、進まなければ。アドバイザーも全員で研究が進むようなアドバイスをするというようなところが、研究開発法人よりも、大学よりも研究推進への尽力マネジメントは強力かもしれないです。
 公募制であるというところはやっぱりファンディングなのですが、またある程度枠の広いものと狭いものといろいろあるのですが、バーチャルラボ的なところは非常に強いと思って、研究者として向き合っていますけれども。
 客観性の担保というのは、JSTの組織が大きくなって、プログラムも大きくなっているので、以前のほうが、更にテーマもJST側の運営の裁量度が高かったと思うのですが、今はいろいろな意味で客観性というのが求められているのでバーチャルラボとしての運営はより丁寧にされていると思います。
【浅見委員】  今の点、よろしいですか。私もCRESTのアドバイザーとかを幾つかやった経験があって、今の何をもってJSTの評価にするかというところの意見ですけれども。
 例えば、重要なのは、CRESTなどでいうと、戦略的な研究領域をいかに設定するか、そのときにどういう目的を持って研究領域を設定するかというところは、最初にかなり議論されるのですけれども、それと公募で応募してくる研究者との間に齟齬があるというか、せっかく非常に重要な研究戦略、それを実行していく研究領域というものを設定しても、そこが研究者、応募してくる人に伝わっていないケースというのが結構採択のときに見られます。
 研究者の側にしてみれば、どうしても自分のやっている研究で競争的資金を獲得したい。資金を得られるチャンスをあちこち探していったときに、ちょっとでも引っかかればそこは応募してみようかといった人もいるので、どういう目的で戦略的な領域を決めているのだということをもう少し個々の研究者に伝わるようにして、優秀な研究者をできるだけ拾い上げるというようなことにつながれば、もっともっと成果は上がってくると思います。そこのところはJSTがかなり重要な役割を担っているのかなというふうに思います。
 実際に目指す研究戦略を説明されるのは総括の先生で、応募されるのは関連分野のアカデミアの先生が多いですが、そのアカデミアの先生に対してどういう方針でやろうというところの、先ほどの議論で言えばプランのところですね、戦略も含めたプランのところをしっかり伝えるというのは、まさにJSTの非常に重要な役割なのかなというふうには思います。
 ですから、そこがしっかりしているかどうかというのを一つ重要なポイントとして評価すれば、単に実際にやった研究者が偉いとか偉くないとかそういう話よりも、もう少し高次のところで評価できるのかなというふうには思います。
【栗原会長】  まさに、戦略目標があるからこそ、繰り返し領域会議があったり、サイトビジットをしたりして、きちっとその目標に向かってやっているのかどうか、また、それに加えて、より革新的なあるいはプラスアルファの研究成果が出ても、それもウエルカムという両側をうまくつないだマネジメントというのを心がけられているというふうに、私もアドバイザーをいろいろやっていて思いますけれども。
【五十嵐委員】  よろしいですか。今のお話をお聞きしていて、部会での議論ですけれども、JSTの戦略的創造研究推進事業ありますよね、ERATOやさきがけとか。あれは非常にいい成果が上がっている。JSTの自己評価でもS評価、かなり高い評価をつけてくる。その根拠として、それをやっている研究者の方々の論文がトップ10%にこれだけ入っていますという話を聞いてしまうと、それってJSTの成果なのでしょうかということが、去年議論になりました。
 今のお話を聞いていると、そういった研究者の方々を広くウオッチしていて、うまく見いだす。そして研究領域を、CRDSの知見を含めて適切に設置して、うまく伴走しながら成果を上げていく。ですから、ある意味でいうと、我々が昨年あるいはその前からよく認識していなかっただけで、成果が上がっているペーパーをたくさん出しているということはイコールJSTの成果、JSTがそれだけの評価を得るに値することをやっているのだと考えてもいいのかと、今お聞きしていたのですけれども。
 仕組みは、我々が昔からのその仕組みを深く理解していなかっただけで――評価委員のほうがですけれども。JSTは十分にそこのところはうまくやっている、だからこそ今たくさんの成果が上がっている。そういうふうにお聞きしたのですけれども、そこはいかがでしょうか。
【栗原会長】  それはそうだと思います。かなりずっと蓄積があり新しい活動でないので、そこを丁寧に御説明になっていないのではないかと思います。
 研究成果の評価シートにしても非常に丁寧です。5年で例えば終了すると評価するわけですが、そのときのシートの作り方も、非常に多面的に、戦略目標に合っているか、それ以外の成果として特筆するようなものが出ているかというように、研究評価に対して非常に幅広い視点で、少なくとも戦略のところ、ERATO、さきがけ、CRESTなどに関しては、非常に伝統あるプログラムとして、かなり確立しているのではないでしょうか。
【中川会長代理】  1点よろしいですか。防災部会のほうで議論の中で出ているわけじゃないのですけれども。幸いなことに今期の間にS評価をいただいたわけですが、そこに導かれたプロジェクトは、SIP防災の最初の1期のときには、JSTが受託して、SIP防災2期ではJST時代に担当した方が防災科研に来ていただいて、プロジェクトマネジメントを引き受けていただいていました。防災科研では、正直言ってマネジメントできる人材もいなかったというわけです。
 改めて感じたことは、JSTとしてただ単によい研究成果を出させるだけじゃなくて、そういうPMとかが出来る人材育成をどうやったらできるかが評価軸として考えられませんか。各法人にも、そういう方がいないと大きなプロジェクトを持ってこられないことを考えると、ただ単にJSTの中でどう育てるかだけではなく、他法人の内部人材もどうやって育てていけばいいか、研究開発成果の最大化の観点からも、そういうところがJSTとしての評価軸になってもいい気がします。
 我々がこの資料1-1の(1)の二つ目にしたモニタリング指標を自分たちで考えて欲しいという点にも関係しますが、是非そういうことをもJSTのモニタリング指標に入れていただいて自己評価し、他の法人の人材も育てていくとかも期待したいです。
 1個1個の研究プロジェクトがうまくいったというだけじゃない部分も、やっぱりJSTならではの評価だと実感しています。その辺りは、先ほどのお話があった、日本全体の研究レベルを上げるために、JSTが目の前でやっているプロジェクトだけではなく、そういう手法とか人材育成の方法を、どうやって他法人と共有しているかとか、大学と協議しているかとか、そういうところをお手伝いしているか、というような視点もあったらいいなというのは、防災部会で見てきて感じたことです。
【五十嵐委員】  本当にそのとおりで、冒頭にお話ししましたけれども、今、日本の研究レベルが落ちているところをどうやって底上げするかという中で、そこはJSTも指導的な役割を発揮できるのではないかなと思います。今の人材をプールしているというマネジメント人材の話もそうですし、昔から積上げている仕組みもそうです。実際に上がっている、目に見える成果だけではなくて、そういったところをモニタリング指標として作るとか、そういうことがあると横展開しやすくなるのではないかと思っています。御意見ありがとうございました。
【浅見委員】  そういう意味で、JSTに所属されている人材をどう継続的に高いレベルに保つかという課題も重要ですね。JSTのプロジェクト担当者は実際には大学の先生と一緒にやるのですけれども、研究のダイレクションをやれる力のある人をJSTに絶えず育てて、所属しておいてもらわないと全然駄目ですよね。だから、それが、かつて、数年前ですかね、年齢的な問題で一時期、一斉に定年というのか、人がなくなるリスクがあったりしたのですけれども、そういうところは、計画的にそういう高度な人材をきちんと育成したり、採用していくというのはJSTとしては非常に重要なポイントかなと思います。
【五十嵐委員】  実は今の話はJST部会の中でこの数年にわたって随分議論しているところです。一つあるのは、JSTが受けている事業が拡大してきている。いろいろな基金事業があります。創発的研究支援事業もそうです。そういう中で、今までの人材の手が回らなくなっているのではないかという話があって。そこのところはきちんと人材配置されているのですかという観点から、そういった人材の見取図のような、配置図を準備していただいています。それを見ながら、これは今手を打たないと将来的にまずいですねという話はしています。
 おっしゃるとおりで、人材を循環していく、JSTのそういったマネジメント人材を循環できればいいと思いながらも、JSTの中でも手が回らないという状況も、今、多くの事業を抱えているなかでありますので。
【栗原会長】  その点に関しては、JAXAの部会でも人材という話がありましたし、全体の研究開発法人が研究推進のハブとして、いろいろな多面的な活動を担うようになってきています。そういう意味で、どの法人もマネジメント人材はより必要になってきているのではないかと思いますので。
 そういうところの事務組織だけではなくて、より運営にアドバイスできたりする人を育てたり確保したりするということが大事だというような観点は、あるいは、この審議会の指摘事項の中に入れさせていただいてもいいかもしれないですね。
【浅見委員】  本当の意味での研究アドミニストレーターといいますか、そういう役割を担う人が日本としてはいろいろなところで不足しているのだと思います。形式上、アドミニストレーションというのをどう捉えるかにもよるのですけれども、研究をどういう戦略で、どういう方向性を持たせて、どういう手を打っていくのかということを、大学の先生とかそういう人と一緒になってプロジェクトを進めていくという、そういう力のある人というのをJSTに限らずどの法人にも確保していくということが重要なのかなと思います。
【栗原会長】  プロセスとかプロジェクトとかいうときは、立ち上げからある程度基盤を作って、その後伸ばしてできるだけ上へ上げていくという時間感覚ですよね。やらなくてはいけないステップをきちっと把握しながら推進できるというところが非常に重要だと思うのです。そういうような時間感覚とミッション感覚を持った人たちをうまく育てていけると良いかと。
 書くのは簡単なのですけれども、実際に進んでいたらオーケーだと思えるかという、そういうようなところが割と重要なのかなと思うのですが。
【中川会長代理】  研発審での議論もあったので、これをきっかけに、JSTが他法人も横串でどうやって育成しているかや、JSTがお手伝いしているプロジェクトも結構あると思うので、そういうところでどうしているかを、JSTが横串で議論するような場を作っていただき、各法人にフィードバックし、この審議会でも共有していただけると、とても有効な気がします。
 各法人でどこまでJSTと同じようなレベルに行けるかは、難しいと思うのですけれども。
【栗原会長】  JSTに全てを期待するのかも課題ですね。
【中川会長代理】  それもそうですね。
【栗原会長】  いろいろなところに、例えばセンター的な活動とかハブ的な活動をしている方々がいらっしゃるので、決して他の法人にそういう人材がいないわけではないと思うのですが。やはり推進のステップと時間軸をうまく把握して、少し先へ先へと見ながら推進できるような人というのが必要と思うので。
 それは、そういう経験をした方に活躍いただくのかと。
まず、このくらいでここの話は止めさせていただき、あと、指摘事項に関して、ここは気になるというようなことがあれば、お伝えいただければと思うのですけれども。ウェブで入っていらっしゃる委員の方、いかがでしょうか。折茂先生と国崎先生、いかがですか。
【国崎委員】  国崎です。ありがとうございます。
 実は、指摘事項といいますか、先ほどの中で、今回の評価の在り方のところで気になったところをお伝えできればと思うのですが。女性の研究者が少ないという点が非常に気になっておりますし、法人の中の役職にも女性が少ないという現実があり、何年も前から、男女共同参画の視点から、女性の科学者、研究者が増えていけばというふうに思っていたのですけれども、なかなか各法人に努力をしてもらうにも限界があるように思いますので、何かしら国が女性研究者の育成というところも含めて、重点的に対応していかないといけないというふうにも感じているのですが。
 一方で、女性研究者を増やすためには、評価軸にそれを据えるというやや強めに体制を整えていくということも必要なのかもしれません。ただ、評価項目に入れないと体制が整えられないというのは本当に情けない限りで、本来は男女関係なく優秀な研究員の確保という視点が必要なのですが、現状で言うと、このままでいくと100年たっても200年たっても変わらないのではないかというような感じもしますので、その研究体制が定着するまでは、強引に感じるかもしれませんが、女性研究者の方を増やしていくという体制を何かしら築いていくようなことを考えていく必要があるように思いました。
 すいません。まとまっていないのですが。以上です。
【栗原会長】  ありがとうございます。
 今、指摘事項の12ページのところに女性研究者についての記載がございますが、これは割と受け身的なプロモーションについて書いてあるのですが、ここに、指摘評価軸に入れることも検討されるべきと書くのか、あるいは、検討が必要であろうと書く、そういう御提案だと理解しました。
 「入れるべき」まではならないと思うので、「検討」くらいのところですかね。
【国崎委員】  そうですね。入れるべきということではなく、それも一つ、そのぐらいの意気込みというか、そのような表現でよろしいかと思います。ありがとうございます。私は個人的には、この国研発の審議会で栗原部長が女性ということが非常にすばらしいなと思っております。
【栗原会長】  ありがとうございます。なかなか足りないところも多いのですけれども、少しでも女性が増える方向に貢献できたらといつも思っております。とはいえ、強くはするのがふさわしくない場合もあるかもしれませんので、評価軸に女性の割合を入れるようなことも検討いただきたい、検討すべきというような、最後のまとめに関しては、今のニュアンスを考えながら、まとめの言葉を入れさせていただけたらと思います。
 よろしいでしょうか、皆さん。
【井上科学技術・学術政策局長】  会長、今の点に一応補足でございますけれども。文部科学省の井上でございますが。
【栗原会長】  局長のほうから補足をいただけると。
【井上科学技術・学術政策局長】  実は、特に独立行政法人などの役職員の女性割合というのは、政府でも第5次の男女共同参画基本計画というものがございます。これは令和2年に閣議決定されて、その後、随時更新もされているのですけれども。それで一応20%、いわゆる理事職、役員に占める割合は20%という目標が定められておりまして、実は研究開発法人も含め独立行政法人の理事の人事は、基本的に、一義的には、各法人でもいろいろ御検討されますけれども、最終的にはそれぞれの所管の省庁のほうでこの任命の審査などをしておりますが、そのときに、これは一応、その目標は今クリアをして、するようにやっている状況でございます。
【栗原会長】  現在はクリアされているのですか。
【井上科学技術・学術政策局長】  されています。今、20%を超えています。ちなみに、内閣府の男女共同参画室では、いわゆる理事等ではない管理職、部長さんとか課長さんとか管理職のも統計として取っておりまして、たしか昨年の4月ぐらいのデータで、17%ぐらいまで、今、女性のパーセンテージが上がってきている状況でございます。
【栗原会長】  今回、理研もセンター長、随分女性になられる予定ですが、全体の状況をご説明いただきました。文科省の委員会の女性比率は非常に高いのですが、なかなか現場で見えきれていないという感じがあるのですが。現場の女性研究者、それほど、20%までは多分いっていないと思うのですけれども。
【井上科学技術・学術政策局長】  研究者は分野にもよりますね。
【中川会長代理】  この「2020年代の可能な限り」というかぎ括弧に引いてきている文章は、現在、このままでいいのですか。以前に作った文章ですので、この根拠が現在変わっていないのかは確認が必要ですね。
【栗原会長】  最後のその関係のところは少し見てみます。
【中川会長代理】  それに合わせて。いただければ
【栗原会長】  今、企業も管理職における女性の割合は、評価されるということで、非常に積極的に取り組んでいるので、どちらかというと、むしろ大学等のほうが遅れているのではないかと思うところもありますので。
 そういう情報を今後、学生さんのところまで是非うまく伝えて、理系進学にしても、あるいは職業人としての自覚を女子学生に是非持ってもらいたいと思うところです。女子学生と話をすると、まだまだ将来に対する不安が非常に大きく全然変わっていないのです。うまく払拭できていないと残念だと思います。
 では、すいません、折茂委員、篠藤委員、順番に御発言ください。
【折茂委員】  折茂でございます。いろいろな議論を聞かせいただきまして、ありがとうございます。
 今の女性研究者割合あるいは女性管理職割合とも関係するのですけれども、シートの中に「研究環境の整備」という文言がありました。私はそれを非常に重要だと思っています。それは今の文脈で言いますと、女性研究者を増やしていくというところもありますでしょうし、あるいは、若手研究者を増やしていく、あるいは、今からは、国際的に対応していこうと思ったときには、ある程度、一定数の外国人研究者も非常に重要だと思っております。採用も重要だと思っています。
 広い意味でのそういったいろいろな研究者を増やしていくための研究環境の整備というのは、非常に法人評価の中でウェイトを高めてもいいのではないかなと考えるところでございます。これが1点でございます。
 もう一つは、法人そのものの評価、もちろん非常に重要でございますが、これまで議論があったと思いますけれども、その分野、法人がリードされている分野全体をどう盛り上げていっていらっしゃるか、あるいはどうリードしていらっしゃるかというところのちょっと引いたといいますか、高い視点で見たときの法人の機能性、あるいはその役割というものを、もっとウェイトを高めて評価項目に入れるのはどうかと思いました。
 恐らく5ページ目でしたかね。資料1-1の5ページ目。研究力あるいは競争力が1位から40位まで落ち込んでいるというところは、国際的な視点で、もちろん先に申し上げましたダイバーシティの視点でも、システムを大きく変えていかないといけないタイミングではないかなと思えます。
 そういう意味で、改めまして、広い意味での研究環境の整備とか、あるいは、分野をどうリードしていらっしゃるかというところの評価軸を、評価項目をもう少し重点的に取り上げていただくといいかなと思いました。
 私のコメントは以上でございます。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。
 日本の中でのその分野の研究をリードするというハブ的な法人の役割は非常に重くなってきていると思いますので、そういう点が読み取れるように指摘事項の中に入れられたらと思います。どこに入るのが一番いいのかというのは、また見直して検討させていただければと思います。
 次、篠藤委員、お願いします。
【篠藤委員】  では、私から二つほど。
 まずは、先ほど五十嵐委員から提出いただきました資料1-2についてなんですけれども、私もJSTの部会に属しておりますので、これは部会のところでこういった考えが出てきたところでございます。
 確かに、研究成果としてすばらしい成果が出ているということは、JSTの取組がよかったからだということで評価できるということは分かるのですけれども、やはりモニタリング指標の在り方というのはもう少し考えたほうがいいのかなという気がいたしました。仕組みのところですね、そういったところを何とかモニタリングできるような仕組みできないかなというところです。
 先ほど皆様からのお話を聞いていまして、今まで部会では見えていなかったようなJSTの役割や姿というものが感じられましたので、部会のほうで持ち帰ってお話しできたらなと思っております。
 それと最後に、取組をしているといいましても、限られた資金と限られた人材というそういったところもございますので、そういった限られた資源が研究成果の最大化に向けてJSTがうまく活用できているかという視点が持てるようにできたらなと思いました。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。
【篠藤委員】  もう一つよろしいですか。
【栗原会長】  どうぞ。
【篠藤委員】  もう一つは、8ページです。資料1-1の8ページなのですけれども、業務運営の効率化のところです。ここに関しては、いつも部会でも、割と御説明も評価の議論もさらりと済んでしまうところなのですけれども、業務運営の効率化の観点は、研究開発を進めていく上で法人の基礎とか基盤になる部分であると思いますので、もう少し時間をかけた議論を一度してみたいなという感想を持っております。
 以上です。
【栗原会長】  ありがとうございます。
 この業務運営の効率化に関しては、法人の側あるいは部会の側から観点を出していかないとなかなか難しいと思うのです。それで、今もういろいろなマネジメント的な視点が出ていますので、それを業務運営や評価の中でどう今後に反映しているのか、研究成果のほうから見るというのもあると思いますが、法人のマネジメントシステムをもう少し、事務作業の単純な効率化ではなく、もう少し観点を作ると良いのかと思いますし、法人のほうも、積極的にそういう部分をアピールしていただけるといいと思います。ありがとうございました。
 ほかに御意見ありますでしょうか。よろしければ、大分時間もたちましたので、資料の1-1のうち指摘事項に関してはこのぐらいにさせていただいて、また何かお気付きの点があれば、あとで御発言いただければと思います。
 また、本日いただいた意見を踏まえたペーパーの取りまとめについては、修正を委員の皆様に御確認いただき、最終的には資料1-1について会長に一任ということでお認めいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原会長】  特に御異議がなければ、そのように進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、次ですが、文部科学省国立研究開発法人審議会の第6期に対しての申し送り事項として、資料の1-3に、指摘事項の元になった考え方、今までの御発言と重なる部分もありますが、考え方を事務局がまとめてくださいましたので、御紹介いただいて、議論、意見交換をさせていただきます。
 案文に対して、事務局より御説明よろしくお願いいたします。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局でございます。お時間もあれですので、簡単に項目を中心に御説明させていただきます。
 第6期文部科学省国立研究開発法人審議会の申し送りについてということで、初めに、この10年間で33回の審議会を開催していただきました。そこで、本審議会の10年目の節目に当たりますので、これまで蓄積してきた知見等について、次期以降に継承すべきポイントを取りまとめることといたしました。個別具体的な内容を記載した、先ほど御議論いただいた指摘事項についてとともに、部会を含めた今後の審議に役立てられることを期待しております。
 審議のベースとなる考え方につきまして、四つポイントを挙げさせていただきました。一つは、判断の根拠についてということでございます。もう一つが、評価機関の考え方。そして、実績評価の観点について。そして最後に、研究開発成果の最大化のために注意することというふうな4点を挙げさせていただいております。
 そして、3番目には、特に注目すべき事項ということについて四つ、先ほどから話題になっております評価指標について、そして、こちらも話題になりましたが、プロセス評価について、そして内部統制について、前回からかなり議論していただきました研究セキュリティ・研究インテグリティにつきましては、今後とも十分に配慮した上で議論を進めるというよりも、法人のほうからもきっちり説明していただきたい点ということになります。
 そして、最後に「おわりに」ということでございますが、「これまで10年間にわたって、国立研究開発法人の実績評価等に対して各委員の有する専門的な視点を基に意見をいただいてまいりました。業務の実績及び進捗は数値のみで判断できるものではなく、常に新たな観点を加えながら法人の活動を見てきたが、それは今後とも変わらないと考えている。
 各部会は法人の活動について法人から直接情報を入手することから、年度実績評価等についての審議において非常に重要な立場にある。各部会長は、審議会において部会としての結果を報告するだけでなく、法人の状況を伝達し、全法人の活動の活性化や成果の最大化に貢献する役割を負っていることを認識し、法人と十分な議論を行うことに注意を払う必要がある。また、審議会での議論等を部会や法人にフィードバックする視点も重要である。
 社会の情勢並びに国立研究開発法人を取り巻く環境は常に変化しており、研究開発の最大化のためには、様々な視点からの柔軟な助言が必要であることはこれまでと変わりない。
 これまでの10年の経験を礎に、国立研究開発法人の組織としての活動のみならず、所属する研究者が更なる発展を遂げられるよう、次期以降の国立研究開発法人審議会の活動に期待したい」という締めの句として、本審議会の皆様の申し送りとさせていただければというふうに案を作成いたしました。
 以上です。
【栗原会長】  どうも御説明ありがとうございます。
 この内容に関して、もう少しここはこういう表現のほうが良いのではとか、あるいは、こういう観点がちょっと抜けているのではというような点がありましたら、御意見、御質問等いただければと思います。いかがでしょうか。
【五十嵐委員】  よろしいですか。
【栗原会長】  どうぞ。
【五十嵐委員】  前回説明いただいた研究セキュリティ・研究インテグリティなのですが、取組が始まったばかりであって、この間も説明いただきましたけれども、「あわせて、国としての方針が早期に」というところ。例えば、文科省になるのですけれども、ガイドラインはこれから作るのでしょうかとか、そういった話、前回も議論したのですが、ここの「早期に示されることを期待している」というのが審議会の意見として、そのままでいいのかなと思ったのですけれども。
 取組が本当に始まったばかりで、前回示していただいた資料に沿って対応をお願いしますという話があったのですけれども、そのときにも、ガイドラインというものは、これからどういうものが出てくるのでしょうかという話をしました。例えばですけれども、JSTの中で、研究セキュリティへの取組を一層強化しなければいけないという話があって、来週、研究セキュリティに関するシンポジウムを開きます。JSTでは、これまでも経済安保推進法に基づくKプログラムという事業を実施してきていて、そこでいろいろ苦労していますので、そういったことをもう少しこの辺りに織り込めないかなというふうに思って。この場で議論はしていないのですけれども。
【栗原会長】  そうしますと、各法人の活動をこういう審議会の場でも適切に情報交換とか意見交換し、さらに、あわせて国の方針が早期に示されることを期待しているというような感じにするのか。この早期に示させるというのは、むしろこの審議会としては取ってもいいと。これは書かなくても良いでしょうか。
【五十嵐委員】  どうでしょうかね。そこも審議会として、もっとガイドラインなりで分かりやすく示してくれということを申し送るわけですね。
【栗原会長】  指摘事項にはそれ書いているのですね。研究セキュリティ・研究インテグリティに関しては、シャープな物言いがなかなか難しいのではないかというのが前回の意見交換だったと思うので、この審議会だけで何か決められるものでもなく、そういう意味では、状況の把握と意見交換が非常に重要ということと、同時に、国としての方針を随時、こういう審議会の場に出していただいて、それに従って意見交換もしていくということも重要ということがここなのですけれども。
【五十嵐委員】  おっしゃるとおりで、ここにある表現よりは、今会長がおっしゃったような表現のほうが。この審議会の中でも、前回も議論したように、研発法人が集まって、今の状況を意見交換しながら十分に議論した上で、あわせて、国としてより分かりやすい方針、ガイドラインを示してくれることを期待するという話だと思います。
【中川会長代理】  確かに、最後の文章だけが、ポンッとある感じ。
【五十嵐委員】  ちょっと最後の文章だけがポンッとあると、待っていますよみたいな感じがありましたので。
【栗原会長】  それぞれの法人の状況を常に把握しながら、あるいは、常に把握しながらでしょうか。また、期待しているというような。
【五十嵐委員】  多分、いろいろな大学や研究者と意見交換やコミュニケーションを取りながらでないと、なかなか国としてのガイドラインというのも示しにくいところがあるかもしれません。大学での研究は、基本的には自由で透明でオープンなわけで、そういう中でセキュリティというのは相反するものなので、そこは十分なコミュニケーションが必要だということだと思います。
【栗原会長】  JSTの場合は、ここではファンディングなのですけれども、ファンディングを通じて大学の研究者等にも国の方針をうまく伝えることが重要でしょうし、普通の研発法人の場合は、組織としてこういう観点をしっかり持って運営していただきたいということだと思いますので、そこのところがきちっと伝わるといいですよね。
【中川会長代理】  少し工夫してもいい文章になっていますね。
【栗原会長】  少し考えて、事務局とも御相談しながらまとめます。今のような御意見をまとめて、またフィードバックをさせていただければと思います。
 ほかにありますでしょうか。伊地知委員、どうぞ。
【伊地知委員】  伊地知ですが、よろしいでしょうか。形式的なところで、細かいことで4点ほどあるのですけれども、それらは時間の関係で割愛させていただきまして、内容に関わるところで、先ほどまでの議論を踏まえたところで、ここの中では特に言及されていないので、もしかしたら、例えば、2ページの「研究開発成果の最大化のために」あたりに入り得るかどうかということで発言させていただきたいと思います。
 こういった評価をしているわけですが、それというのは、ひとえに、法人としてより良い活動をして成果を上げていただく。そうすると、Doもそうなのですけれども、P、つまり、計画がしっかりできているかどうかということが非常に重要ではないかという、そういう観点から捉えたかと思います。
 それが法人の計画の中で、例えばプログラムであるとか、あるいは個別のセンターであるとか、そういったことの中であれば、それはもう既に設定されている中長期計画の中でなされればよろしいかというところかと思うのですが、案件によっては、もしかしたら中長期目標、つまり、文部科学大臣が各法人に出す中で、この審議会に意見を求められる中で、この審議会として気をつけておくべきこともあるのではなかろうかというように考えました。
 そのときに、先ほど栗原会長のほうから理研部会についての御紹介があったように、夏の段階から理研としてどういう方向性を考えているかということを部会のほうにお示しいただいて、そこの議論を踏まえながら、中長期目標、それから中長期計画が立てられていくといったところもありました。
 そういったことを踏まえると、研究成果の最大化のためにというところで、評価だけではなく、目標の設定のところに関しても、この審議会においてそれが適切になるようにきちんと見ていくという趣旨のことが若干加わってもよいのではないかかというように思った次第です。
【栗原会長】  比較してというのではなくて、まず、中長期目標の中長期計画の設定に当たっての意見交換と、その後の評価というのが大事だということをもう少し明示的に書く。実際には、この審議会としてコメント、意見は出しているわけですけれども、そこのところは、毎年やっている評価のほうにどうしても意識が行くのです。
 ただ、今回は。理研の場合は、評価と同時に意見交換、非常に長い時間やったということがございますので、そういうプロセスを各法人でも取っていただけるような言葉をうまく入れられると良いのではないかと思います。ありがとうございます。
【中川会長代理】  よろしいですか。今の点、すごくよいことだと思いますし、入れたほうがいいと思いますし、また一方で、私たちは、7年という長期での計画と評価でここまでやってきたのですけれども、途中で計画とかを少し見直していくとか、そういう視点もとても大事だと思います。
 先ほど言ったPが一番大事ということでいうと、そのまま同じPでずっと評価していくだけじゃなく、そこをどうやって変えていくか、実質的に本当の狙いをちゃんと考えて、その先まで行くことができているのであれば、もっと評価したほうがいいと思うのですよ。そういうのが分かるような、計画に対する議論と同時に、それからの見直し、大きなビジョンが研究開発成果の最大化のためですから、確かにここにあればよりよいかなと思って、今の伊地知委員のコメント聞いて思いました。
【栗原会長】  様々な視点からの柔軟な助言というところの前に、PDCAとかいう言葉はちょっと機械的な、無機的な印象もあるのだけれども、そういう計画目標の変更を含むとか様々な視点からとかというふうに入れるとか、ちょっとそこに言葉を入れて、最大化のためのところにももう少し言葉を足すということでいかがかと思います。
【中川会長代理】  すいません。余計なことかもしれませんが。
【栗原会長】  PDCAは大事なのですけれども、PDCAとアルファベットで言われると、結構、すごく無機的な感じがするのですが、実際には、この柔軟な助言というところに、いろいろな段階で、あるいは、実際にもう活動が始まってからもやってきているわけですから、もう少しそこを入れるということですね。
 手を挙げていらっしゃる方いらっしゃいますか。15時55分過ぎました。すいません。ほかに何か絶対にここで言っておきたいということがおありでしたら、いただければと思いますが。
【ベントン委員】  ベントンです。
【栗原会長】  どうぞ。
【ベントン委員】  プロセス評価と内部統制はとても重要だと思います。研究開発法人の理事長は10年努めることもあるが、新理事長が就任した場合、参考になる国内外の研究開発法人のリーダーシップスタイルや内部統制の例や講演を聞く機会はあるのでしょうか。
【栗原会長】  そういう意味では、外国人の方に、理研では委員会を作ってアドバイスをいただいているから、一つの例になるのかもしれないですね。講演はしていただいていないかもしれないけれども。
【ベントン委員】  あるいは、実際に何人かの法人の理事長がアメリカなどに視察に行ったりすることはあるのでしょうか。
【栗原会長】  それは、特に視察という観点では行っていらっしゃらないかもしれませんが、一般的に研究者、あるいは、法人交流というのは、外国とも随分組織で交流をやっていらっしゃるから、そういう中で活動は当然御存じだと思います。
【ベントン委員】  そういうような形で。分かりました。
 それぞれが個別に行っているということですね。各リーダーが、別々に活動するより、一緒に海外視察での
意見交換をとおして、学んだりすることがあれば、もっと効果的だと思っていたところです。
【栗原会長】  私もそういう観点で、どう法人間の交流があるのかと以前質問させていただいたことがあります。理事長の全員がそろうような会議体はないのですが、部長レベルの方かしら、各法人のですね、そういう方が意見交換をする会議体はあるというふうに伺いました。
 これ私が答えるより、本来、事務局への質問ですね。
【伊藤科学技術・学術戦略官】  事務局でございます。
 文科省だけでなくて、他省庁の研発法人も集めた形でいろいろ意見交換を行っているという会議体がございます。また、文科省だけの研究開発法人を集めた中で、例えば、経営企画部長クラスの方とか、あるいは産学連携の部局同士でいろいろ意見交換をしているということを聞いております。
 また、毎年、文部科学省の私のところなのですけれども、調査報告書、何らかのテーマを作って行ってございます。その中で海外の事例なんかを調査するというようなこともしておりますので、そういった中でいろいろと意見交換、情報共有を今図っているというふうに認識しているところでございます。
【栗原会長】  ベントンさん、分かりましたでしょうか。
【ベントン委員】  ありがとうございます。もう時間がないので。もう一つ、最後に、プロセス評価もとても重要なので、今後是非、課題の認識を進めてください。皆様と今後検討していきたいと思います。よろしくお願いします。
【栗原会長】  よろしくお願いします。ベントンさんまだ多分お続けになるので、よろしくお願いします。
 ということで、ほかに是非ということがあればお伺いできればと思いますが、ありますでしょうか。
 今日は全員の方に御発言いただいたと思っております。どうもありがとうございました。このペーパーに対しましても、今、御意見いただいたところを検討して、委員の皆さんに確認していただいて、最終的には、会長一任とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原会長】  では、そのようによろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それで、ほぼ時間はもう過ぎて、一、二分過ぎてしまいましたので。本日予定しておりました議事を、無事に審議をすることができました。皆様、御協力にお礼申し上げます。
 第5期の文部科学省国立研究開発法人審議会、最後の会の閉会に当たりまして、文部科学省より井上科学技術・学術政策局長に御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
【井上科学技術・学術政策局長】  井上でございます。
 本日、第5期の最後の御審議ということで、令和5年の4月から2年にわたり、本審議会及び各部会で非常に熱心に御議論をいただきましたこと、感謝を申し上げます。
 この第5期におきましては、8回の審議会を開催していただきましたほか、各部会で御審議に御尽力をいただきました。この間に国立研究開発法人の、今日も御議論いただきましたが、研究開発成果の最大化という目的に向けまして、NIMSやNIED、またQSTの期間実績評価や、理研やJAXAの見込み評価、中長期目標の見直し、また、法人運営における内部統制の制度や研究セキュリティ・研究インテグリティの確保を組織文化として定着させることについて議論等を進めていただいたと思っております。
 この審議会は、この5期をもちましてちょうど満10年となります。特に栗原会長をはじめ8名の委員の方には、この審議会の創設当初から御尽力いただいております。まさにこの国立研究開発法人の評価に係る礎を築いていただいたと思っております。
 最後になりますけれども、栗原会長、中川会長代理をはじめ、委員の皆様のこれまでの御尽力に心より感謝を申し上げまして、挨拶とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
【栗原会長】  どうもありがとうございます。御挨拶ありがとうございました。
 事務局から御連絡いただく前に、私も中川会長代理も最後ですので、何か一言あれば、中川委員、お願いします。
【中川会長代理】  昭和の終わり頃から、科学記者として、科学で分かってきたことをつまみ食いして伝えているような仕事をしていて、個人的にはその反省も踏まえて、研究で分かったことをどうやって社会と共有していくか、そのために何をするのかという視点で、防災科学技術の報道に関わってきていましたが、もっと幅広い視点で研究を社会と共有するお手伝いが少しできたのかなと思っているところです。
 かつて、コストカットとサービス最大化の独法化で日本の研究開発力を弱くしたという指摘から、研発法人の制度が出来、「研究開発成果の最大化」という概念をいただいたわけで、私たちはそれをとても大事にしていかなきゃいけないと思っています。今日のお話にあったように、それが日本だけでなく人類のために必要であるとか、研究そのものが人類に必要であるというようなことを、どうやって社会と共有していくのがよいか、この場で少しでも役に立つ議論のお手伝いができていたとしたら幸いです。
 引き続き、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【栗原会長】  どうもありがとうございました。実は私も2006年から、NIMSと理研、放医研の三つの評価をするワーキンググループに入れていただきまして、それ以来、三つの法人の評価と非常に多くの評価に携わらせていただき、なかなかできない経験をさせていただいたことに、本当にお礼申し上げます。ありがとうございました。
 いろいろ思い浮かぶことがあったので、ここに1ページ書いてきたのですけれども、時間がないのでまとめさせていただくと、経験をさせていただきまして、評価に関しては、重要と意識しながら、型にはまり過ぎない、エビデンスときちんとした議論を踏まえてやって進めたいということで、委員の皆さんと、そして事務局の皆さんも含めて、御相談し、意見交換してきた蓄積がこの指摘事項でして、このような活動を皆様と進められたことを大変感謝しております。ありがとうございました。
 私自身の個人としても、私は力、相互作用を力から測るという非常に基礎的な研究をしていますが、審議会に参加させていただいたことで、機器の共用、産学連携とか、あるいは地域との連携とか、個人でも活動を幅広く進めることができ、活動の幅を広げていただいたという意味でも感謝しております。
 本当にお礼申し上げます。ありがとうございました。
 ということで、最後に、事務局から連絡をお願いいたします。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】  事務局でございます。
 今回の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、各委員に御確認いただいた後、ホームページにて公表いたしますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【栗原会長】  それでは、これで第33回文部科学省研究開発法人審議会を閉会いたします。
 本日をもちまして、第5期の文部科学省の国立研究開発審議会の最後ということになりますので、2年間にわたって御協力いただいたことにお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 

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科学技術・学術政策局研究開発戦略課評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局研究開発戦略課評価・研究開発法人支援室)