令和7年1月30日(木曜日)15時00分~18時00分
文部科学省3階3F1特別会議室(対面参加の場合)及び Web会議形式(オンライン参加の場合)で開催
栗原会長、中川会長代理、浅見委員、五十嵐委員、伊地知委員、国崎委員、古城委員、三枝委員、篠藤委員、髙橋委員、ベントン委員、山本委員、横田委員
髙谷大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、先﨑科学技術・学術総括官、中澤基礎・基盤研究課長、宅間参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)、大慈弥防災科学技術調整官、阿部宇宙科学技術推進企画官、生方原子力課長補佐、長田参事官補佐(国際戦略担当)、伊藤科学技術・学術戦略官、仲科学技術・学術戦略官付補佐
【栗原会長】 それでは、定刻になりましたので、これより第32回文部科学省国立研究開発法人審議会を開会いたします。
本日は12名の委員に御出席いただき、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
本日の議題は、お手元の議事次第のとおりです。議事は全て公開にて行います。
まず、事務局より配付資料の確認や注意事項の説明をお願いいたします。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】 本日の配付資料につきましては、配付資料一覧のとおりとなっております。資料は、文部科学省のウェブサイト上に掲載してございますが、会場では資料を紙として配付しておりますので、不足等がございましたらお知らせください。
ここで、科学技術・学術戦略官として伊藤が9月に着任いたしておりますので、一言御挨拶させていただきます。
【伊藤科学技術・学術戦略官】 昨年9月より科学技術・学術戦略官としてこの審議会を担当させていただきます伊藤と申します。どうぞよろしくお願いします。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】 本日のハイブリッド形式による会議の開催に当たりまして、委員の皆様にお願いがございます。
会場にお越しの委員におかれましては、iPadのカメラはオンの状態としてください。音声は会場に設置したマイクで拾いますので、iPadのマイクとスピーカーはオフでお願いいたします。
オンラインで御参加の委員におかれましては、カメラはオン、マイクはオフの状態としてください。御発言の際には、手のマークの「挙手」ボタンを押していただき、会長に御指名されましたら、マイクをオンにして御発言ください。発言後は、再度「挙手」ボタンを押して挙手を取り消すようお願いいたします。
以降は会場、オンライン共通となりますが、会場及びオンライン上で聞き取りやすいように、御発言の都度、名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。また、御発言の際に資料を参照する場合には、資料番号、ページ番号又はページ内の該当箇所などをお示しいただくなど御配慮いただければ幸いです。
最後となりますが、オンラインの通信状態等に不具合が生じるなど続行できなかった場合、会長の御判断によって審議会を一時中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
事務局からは以上です。
【栗原会長】 ありがとうございます。
それでは、議事に入ります。議題1は次期中長期目標等についてです。今回は、理化学研究所と宇宙航空研究開発機構の次期中長期目標案が審議の対象になります。順番に審議していくこととしますけれども、令和6年3月に公表されています「国立研究開発法人の機能強化に向けた取組について」において、参考資料6として添付いただいているものですけれども、中長期目標・中長期計画においても研究セキュリティ・研究インテグリティの確保について明確に位置付けることが求められています。また、以前の審議会でも御質問が出たところですので、初めに事務局より研究セキュリティ・研究インテグリティの確保に係る取組について説明をお願いいたします。長田参事官補佐より御説明いただけるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
【長田参事官補佐】 文部科学省科学技術・学術政策局で国際戦略担当の参事官補佐をしております長田と申します。よろしくお願いします。
それでは、資料の1-3に基づきまして、御説明いたします。
1ページおめくりください。まず背景・課題のところですけれども、科学技術・イノベーションの創出・振興のためには、多様な相手との国際共同研究をしっかり推進していくということが必要不可欠であることは、もうこれは基本的な概念として各国とも、当然日本でも最大限尊重しているところでございますけれども、他方近年こういう研究活動の国際化が進むに従いまして新たなリスクが生じているケースがあると。例えば国際的な利益相反・責務相反、そういった形に意図しないうちに研究者等が巻き込まれてしまって、不当な研究の流用とか、意図をしない技術流出などに陥る危険性が指摘されてきているところでございます。
こうした問題意識から、国際的にどういった対応が必要か、各国、また、国際的な枠組みの中でも議論されておりますが、国際協力を健全な形でしっかり進めていくためにまず必要なものが、研究の健全性・公正性と書いています研究インテグリティです。これは研究者や大学、あと、研究機関が自らしっかりと自律的に確保していくべき規範と捉えられておりますけれども、こういったものをしっかりと確保して、国際的に信頼性のある研究環境を作っていこう、そういった中で信頼性のある国際協力を進めていこうと、こういったことになっております。
このような状況の下、令和3年4月に我が国におきましても、政府としての研究インテグリティ確保に関する対応方針、これが政府全体で定められております。
なお、資料の下に書いてある図ですけれども、研究インテグリティというと、元々、様々な不正行為への対応とかそういったことが従前求められておりましたが、私が今ここで申し上げる「研究インテグリティ」というのは、国際化・オープン化に伴う新たなリスクに対する対応の部分ということで御理解ください。
次のページに行ってください。ここは政府の方針でどういったことを求めているかということですけれども、まず丸1は、研究者自身が自らの研究活動の透明性を確保していきましょうということです。例えば自らがどういったところからお金をもらっているか、どういったところで兼業等の状況にあるか、そういったことを所属機関や研究資金配分機関に対して情報を適切に報告しましょうということでございます。
丸2が、それに基づきまして、大学・研究機関等が適切なマネジメントをしていきましょうということでございます。これは当然、研究者への説明会・セミナーを開催して、先ほど申し上げたような情報開示をちゃんとやってもらうということもそうですし、あとは研究者から報告のあった情報を適切に、必要なものがあれば、リスク軽減のためのマネジメントを組織としてしっかりやっていきましょうということでございます。
また、丸3として、公的資金配分機関が研究者からの研究資金申請時にちゃんと必要な情報が申告されているかを確認していく。このような丸1、丸2、丸3の対応を進めているところです。
基本的にここ数年この研究インテグリティ確保の取組は各機関で自律的な対応が進んでおりまして、内閣府を中心に、研究機関、また大学等に対してアンケートの形で取組状況のフォローアップをしておりますが、文科省の国研に関しましては、いずれの国研におきましてもこういった研究インテグリティの確保のための内部の体制整備とか取組がしっかりと着実に進んできていると、そういう状況にございます。
ここまでは研究インテグリティの話なのですけれども、昨今この研究インテグリティ確保という研究機関や研究者自身の自律的な自主性に基づく取組だけでは、やはり技術流出といった観点ではもうちょっと取組が要るのではないかというような指摘が、国内的にも国際的にもなされております。そういった中で研究セキュリティ、これは基本的に研究を保護するという概念で国際的にも捉えられておるものですけれども、この研究セキュリティの確保をしっかりしていこうということがあります。
例えば国内では産総研で令和5年7月に不正競争防止法違反で職員が起訴された事例等もありました。そういった中で、各国研が例えば国研協の中でもタスクフォースを設置し議論する、また、政府の中でも内閣府CSTI事務局が中心になって関係省庁も巻き込んだ形で様々議論がされまして、「国立研究開発法人の機能強化に向けた取組について」という令和6年3月の関係府省申合せの中で、研究セキュリティ・研究インテグリティをしっかり確保・徹底していくべしと、そういったことが政府文書として盛り込まれたと、そういう経緯でございます。
資料の1つ目の矢羽根にもありますが、先ほど申し上げたように、多様なパートナーと国際共同研究を進めることがまず不可欠と。そういった前提の上で、いかに研究のリスクを下げていくかということでございます。特に国研は国家的な重要課題に取り組むということですから、各法人は研究セキュリティ・研究インテグリティをしっかりと確保していきましょうと。その中でも特定国研につきましては早急に取り組むべしと、そういったことになっておりまして、中長期目標・中長期計画においても国研において明確に位置付けていくことが政府全体で求められているということでございます。
具体的な取組としてどういうことをすべきか、ということが資料下に書いてあります。これは例えば本日議論いただく国研でもかなりしっかりできてきている取組も多分にありますし、特に先行事例を多く積み上げていただいている国研もあると理解しています。
一つ目は研究セキュリティ・研究インテグリティ確保の基盤となる取組。これは組織横断的な体制整備とございますが、例えば研究者の様々な情報は、例えば国研の人事が持っていたり、国際共同研究を見ている部署が持っていたり、産学連携をしている部署が持っていたり、様々な部署がそれぞれの情報を持っておるわけですけれども、やはり様々な研究者の情報をしっかりと横串を通して見てリスクを把握できるような体制、こういったものが必要であろうということで、まず組織横断的な体制整備をしっかりしていこうということになっております。
これに基づいて各国研で、研究インテグリティを見る本部のようなものが出来ている国研とか、既存部署にそういう横串的に見る機能を足されたとか、そういったような取組が最近進んでいると承知しています。これをはじめとしまして、こういう基盤となる取組として、チェック機能の確立とか、定期的な自己点検、また、研修を多言語化するとか、そういった取組をしっかりしていこうということでございます。
右側が「研究セキュリティ確保に関する取組」ということで、どういった取組があるかですけれども、ここは、これまで研究セキュリティという観点、要は、外部からのものから研究を保護するという観点でいきますと、様々な枠組みが元々ございました。そういったものをしっかりやっていこうということが柱になっております。
その枠組みの一つ目が安全保障貿易管理です。これで機微技術の管理を徹底していくということでございます。これまでも当然求められておったことですが、これをしっかりやっていくべきということです。
また、二つ目ですが、各国研が持っている情報に関してもしっかりと情報の格付をしていきましょうということでございます。管理対象情報を明確に区分して、そういったものの中でしっかりと営業秘密として守るべきものがあるということであれば、ちゃんと不正競争防止法による保護もできるような形で管理をしていきなさいと、そういったことでございます。
三つ目が情報セキュリティ対策の徹底となっております。これは必ずしも研究セキュリティという観点だけにとどまるようなものではないと思いますけれども、近年非常に不正アクセス等が問題になっておりますので、内閣サイバーセキュリティセンターとも協力しながら情報セキュリティ対策をしっかりとやっていくというようなことが方針として打ち出されております。今回、御審議いただくような国研においてもこのような取組を進めていらっしゃると承知しておりますし、そういったことを中目・中計にも盛り込んでいくということでございます。
最後に、今までものは主に国研に関するものですけれども、ちょっと御参考で4ページ、5ページに、やはり大学等も様々、研究インテグリティや研究セキュリティという観点でもいろいろと悩みを持たれているような事案が発生しているということでございます。
そういったことを受けまして、政府が研究資金を大学や研究機関に出すときに、これは当然オープンな、研究成果を論文で公開することを前提とした研究費を念頭に置いているのですが、そういったものを出すときにおいても、しっかりとそういった研究の中で重要な技術に関しては、研究インテグリティにあった利益相反・責務相反、そういった観点からリスクを低減していこうというような方向が、今、各国でも同様のやり方を近年されているのですが、これは政府全体でも内閣等を中心に議論がされております。
そういった中で文科省としても、大学が様々悩まれておりますところ、昨年の12月に、集中的な議論をしまして、大学等の研究セキュリティ確保に向けた文科省施策の取組の方向性をまとめさせていただきました。ちょっとこちらも関連しますので、簡単に御紹介します。
背景・目的のところは、先ほど申し上げたことと同じでございます。国際連携の基盤として、やはり国際的に信頼ある研究環境を作っていかなければならないということで、研究インテグリティのみならず、研究セキュリティというものもしっかり各国取り組んでいくことが今後の国際連携において重要であると位置付けられてきております。
そういった中で、基本的考え方でございますが、共通の価値観に基づくような開かれた研究環境を守って国際連携を推進するために、研究セキュリティ確保をやっていく必要がありますよということ。また、リスクゼロを目指し、結局、国際共同研究をしないほうがいいということになってしまうと、研究力の観点から大きな影響が生じますので、あくまでこれは研究を前に進めることを目的としながら、リスクを適切な範囲で軽減するというような考え方を示しております。また、その際、人種や国籍等による差別はあってはならない。これも国際スタンダードの考え方ですが、明記しています。
そういった中で、次の5ページ目ですけれども、今後文科省から大学等に研究資金を提供する際にどういったことをやっていくかということで、研究開発のプログラムごとにそれぞれの性質に応じて必要なリスクマネジメントを図っていきたいという方針にしております。国際共同研究において、相手国と同等の対応を求められるような研究開発プログラム、また、経済安保上重要な分野で、特にセキュリティ確保が必要な研究開発プログラム、こういったところを対象に、一部のプログラムや一部の分野からまず試行的に取組をやってみて、段階的に改善、また、他分野等への展開も検討していくと、こういった方向性を一旦打ち出させていただいたところです。
また、(2)で大学等における取組を支える取組として、大学間が連携する場合の支援とか、大学等へのアドバイスをするための相談窓口を設置するとか、研修教材・プログラムを整備する、こういったこともしっかりしていこうと思っております。
これは大学等に研究資金を配分するときの主な研究セキュリティ確保の方針ですが、当然、国研も競争的研究費の受け手になり得ますので、こういった基本的な考え方は共通した形で取組をしていっていただこうと考えておるところです。
すみません、長くなりましたが、以上です。
【栗原会長】 どうも長田参事官補佐ありがとうございました。大変丁寧に御説明いただきましたが、今の御説明に対して御質問、御意見等ありましたら、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】 委員の五十嵐です。どうも説明ありがとうございました。
大変重要な話だと思います。言葉の使い方が難しいと思うのですけれども、例えば最後のページの「共通の価値観を有する国」。その前のページの基本的な考え方の、「共通の価値観に基づく開かれた研究環境」にもありますが、正直言うと、こういう先端的な機微技術の研究は、デュアルユースといいますか、将来の軍事転用等の可能性は避けて通れない。それを考慮して、「共通の価値観」と言っては変なのですけれども、例えば中国あるいはロシアといった、ああいう全体主義の国、そういうところとの違いを指していると思います。そこは表現的にはもちろんオブラートに包む表現で全然構わないと思うのですが、研究の区分で、基本的にデュアルユースにつながるかどうかというのは非常に難しい問題になってきます。実務の運用上、そこは何らかのより詳しいガイドラインはあるのでしょうか。それとも、作ろうとしているのでしょうか。
【長田参事官補佐】 ありがとうございます。今、内閣府や内閣官房を中心にしまして政府全体のガイドラインを今後作っていこうということで、当然そこには文部科学省も議論には参画しながら作っていく形としています。そういった中で、どういった技術を特にしっかりと見ていくべきか、とか、あと日本の中でも外為法の中で外国ユーザーリストが出ていますが、海外でも様々リスクのある機関がリスト化された形で出ているような国もあります。どういったものを参照にしながら、そういった各リスクを評価してマネジメントしていくべきかというような一定の方向性の手順書のようなものを政府全体として検討しているので、そういったものに基づいて今後文科省プログラムも見ていきます。
おっしゃるように基礎的な技術が何に使われるかというのは非常に難しいのですが、そういったものもやっぱり国際的な連携の中で伸びている、これも事実ですので、そういったところは協調しながら、一方で必要なところはリスク低減を図れるようにしっかりバランスを取ってやっていくべきということで、まずこういう考え方をまとめたというものでございます。
【五十嵐委員】 研究の根底にあるのは、オープンであるという話だと思います。オープンであるからこそ、世界の科学が進歩していると。それはそうだけれども、一方でこういう事情もあるという、そういう話だと思います。よく分かりました。ありがとうございました。
【栗原会長】 ありがとうございました。ほかに御質問。手を挙げていらっしゃる方いらっしゃるベントン委員ですね。どうぞ。
【ベントン委員】 ありがとうございます。ベントンです。ガイドラインを作ることはとても重要だと思います。このガイドラインを作成した後に、実際にこのガイドラインが各研究機関、そして機関の末端まで今後どのように浸透させるための計画が作られるのでしょうか。
【長田参事官補佐】 ガイドラインが出来た後の周知や徹底させる取組もしっかり必要だと思いますが、まず、今、文科省としてこういった方針を出すに当たっても、実は様々な大学等とも意見交換をしながらまとめましたし、また、まとめた後も様々な場でアウトリーチをしながら現場に浸透させていくということをしたいと思っています。
研究インテグリティ確保の取組も、現場に浸透させるためには大学等と丁寧なコミュニケーションが必要でした。今後こういったものを各機関・大学に根差す形で取り組んでいただくというのは時間もかかるものだと思いますので、そこは丁寧な形で様々な形でしっかりと浸透させていくことが必要かなと考えております。
【ベントン委員】 どうもありがとうございます。
【栗原会長】 実は東北大学でももう既に研究インテグリティは、動画のe-ラーニングを100%受講しないといけないという形で進んでいますし、従来から研究不正等についてもかなりの数のe-ラーニングを毎年やるという、そういう状態ですので、文科省のいろいろな御指示はかなりきちっと末端に届いていると思っております。ちょっと補足をしました。
国崎委員、お願いします。
【国崎委員】 国崎です。ありがとうございます。資料でいうと4枚目なのですけれども、書き方というか受け止め方について認識にそごがないかちょっとお伺いしたいのです。2ポツの基本的な考え方の中で、ゼロリスクを目指すものではないゆえに、その際に生じるリスクを適切な範囲で軽減するということで、リスクを適切な範囲で軽減するために行っていれば、多少の流出や多少の漏えいは致し方なし、ゼロリスクではないゆえに、その範囲でやり、軽減をすると。そこの「リスクを適切な」という適切な範囲というものがしっかりと意識を合わせていけるのかということと、それからそこに文科省や国だけでなく、社会通念上というか社会の受け止め方と合致しているのか、このぐらいは軽減範囲だよね、適切な範囲だよねと思うことが社会の意識と合っているかというところです。
何が言いたいのかというと、研究者が戦々恐々ともうおびえて何もできないというような状況ではなく、研究者を守ることができるのかと。5枚目のところにもあるのですけれども、研究開発プログラムごとにそれぞれの性質・内容に応じて必要なリスクマネジメントを図った。それで研究者が研究をした。そういった中でもし何かあった場合に、適切な範囲でリスク軽減に努めてやっていたつもりなのだけれども何かが生じたときには、その研究者を文科省として守ってあげるのだというような、何かそんな意気込みということで理解しておけばよろしいのでしょうか。その点教えていただければありがたいです。
【長田参事官補佐】 ありがとうございます。これは、お金を出すときも同じですし、例えば国研の中でやるときでもそうだと思うのですが、リスクと連携によるメリットを比較しながら、どういった研究体制が望ましいかとか、どういう研究の進め方が望ましいかというのは、これは非常にケース・バイ・ケースの問題でもありますが、ある程度知見も蓄積しながらしっかりと考えていくことが必要だと思っています。
そもそもこの研究インテグリティ・研究セキュリティとは、外為法のような法令上白黒つく世界じゃない中でのリスクマネジメントが中心になっていきます。リスクには、先生がおっしゃったような、例えばレピュテーションリスク、社会的にどう受け止められるかみたいなことも含めて、そういう法的に白黒つかない、曖昧模糊とした中でもありながらどう守っていくかということなので、そういった中でケース・バイ・ケースに知見を積み上げながらやっていくということです。
だから、それができなかったからといって、例えば虚偽のことをしていたとかそういったのは当然問題だと思いますが、ただ、お金を出す元と、お金を受ける機関の中でしっかりと意思疎通を図った上でやっていこうとなった範囲は、これはその中で仮に何らかが生じたとしても責められるものではないと思います。そういったことにならないようにということは非常に大事な視点だと思います。そのように御指摘としても受け止めましたし、そういった中でいろいろと知見を積み重ねていって、研究機関・大学等ともコミュニケーションを取っていけるということが大事かなと思いました。ありがとうございます。
【栗原会長】 よろしいでしょうか。これは非常にデリケートな文章だと思って拝見したのですけれども。
では、浅見委員、どうぞ。
【浅見委員】 浅見でございます。今、栗原先生のおっしゃられたように、非常に難しいデリケートな問題を含んでいるということに加えて、これまでの経緯と今後の予測というようなことを考えると、こういうリスクの発生については、例えば新しい技術が出来てきたときに新たなリスクの可能性が発生するとか、あるいは新しいパターンで何らかの不正が行われたときにそれに対する新しい対応を考えないといけないとか、多分そういうことが今後もいろいろと出てくるのではないかなと思います。
そういうような新しい技術とか新しい不正のパターンとか、新たに発生するリスクに対してどれだけフレキシブルに対応できるかというようなことも考えておかなければいけないと思うのですが、それについては、やり方は決まってないと思うのですけれども、新たなそういうリスクの状況についてはこういうふうに対応するとか、そういった議論は、政府の方ではされているのでしょうか。
【長田参事官補佐】 本件、実は国際的にも非常に試行錯誤がされている状況だと思っております。当面やっていくことは、研究インテグリティのある意味延長なのですけれども、研究者の利益相関・責務相反という形で、要は、研究の組んでいるパートナーやお金をもらっている者、そういったところから研究体制のリスクをちょっと見ていこうと。あとそれと、おっしゃるとおり、各技術がどれだけ先端的なものか機微なものかということで、そういった技術の重要度とそういったところから組み合わせてリスクを評価できないかというのが、今国際的な、各国がやろうとしている状況だと思います。
そういったことは、実際に知見を積み重ねていって、またその中で足りないものがあれば改善をするということだと思いますし、また、そういったもので感知できないリスクをどう感知するかというのは、これは国際的な枠組みでもやっぱり考えていくべきものだと思いますので、各国ともその辺り情報交換を適切にしながらしっかりと考えていくべき問題かなと思います。また、国研の間での様々な好事例の共有とかそういったことも必要になってくるのかなと思います。すみません、お答えになっているかどうかちょっとあれですが。
【浅見委員】 言いたかったのは、こういうふうにガイドラインを決めたからそれを守っていればそれでいい、というのではなくて、やはり日々新たなガイドラインを考えなくてはいけないというような状況が発生するであろうことに対して、やはり敏感に考えてもらわなければいけないのかなと、そういうことでございます。ありがとうございました。
【栗原会長】 ほかに御質問あるでしょうか。篠藤委員、どうぞ。
【篠藤委員】 篠藤です。この最後のページなのですけれども、5ページです。リスクを評価する、リスクマネジメントを行うときには、リスクの洗出しと評価というところが一番ポイントになってくると思います。研究というところで考えると、リスクの洗出しと評価というのは、常に新しいことが起こってくるのでなかなか難しいと想像しますが、この仕組みが一定のレベルになるには大体どのぐらいの年数を想定されているのでしょうか。また、リスクの洗出しと評価ということに関して、何か考えられている効果的な手法というのはあるのでしょうか。
【長田参事官補佐】 すみません、これは、いつまでにということが今の時点で期間的な見通しが必ずしもあるわけではないと思います。先ほど申し上げたように、非常に国際的に試行錯誤しながらやっておりますので、そういった中で、様々参照しながら、また、国内の事例も積み重ねて改善を図っていくということが大事かと思っております。
そういった中で当然、政府全体のガイドラインも出て、一定のやり方みたいなものは出てくるのですけれども、やっぱり一つ一つはケース・バイ・ケースになってくると思いますので、そういった中である意味相場感みたいなものをどういうふうに作っていくかということは今後やりながらの部分も一部ありますが、考えていくことかと思っております。すみません。
【栗原会長】 今の点ですが、やはり管理対象情報というのをどう決めて、それを進めていくのかという、その何回かの繰り返しがあれば、だんだんイメージが出来てくると思うのですけれども、これはある程度、政府全体で管理対象情報という大きな枠組みのようなものを決めて、まず見ていくところから始めるというお考えですか。
【長田参事官補佐】 やっぱりまず重要分野・技術みたいなものは政府全体の中である程度出てくるのだと思います。そういうふうにしている国もあります。ただ、一言に重要技術といいましても、結局その研究がどれだけ先端性があるか機微性があるかというのを一番分かっているのはある意味、研究者であり、研究機関でありますので、例えば研究費の申請を出すときに様々な審査もあると思いますので、そういった過程の中で研究者とコミュニケーションを取りながら、非常に重要な分野をある意味限定していくというイメージだと思います。
これは基本的に成果公開の世界なので、数年たったら論文等でメインのものは出ていくような世界。その前提の中で、それでもやっぱり当面ここはちょっとしっかりと見ておいたほうがいいねと、ある意味しっかりと厳選した上で、必要な取組をやっていくということだと思います。
【栗原会長】 そうすると、組織の研究マネジメントというのが非常に、従来以上に重要になってくるということですね。
【長田参事官補佐】 そうですね。当然研究インテグリティの確保ということで今まで各機関でやっていただいていますが、そういったものを引き続きしっかり徹底していただくということが重要だと思います。
【栗原会長】 何となくプロセスが我々も理解できたと思いますけれど、ほかに御意見、御質問等ありましたら。
大変新しい取組について丁寧に御説明いただきまして、どうもありがとうございました。特にもう御質問がないようでしたら、お礼を申し上げて、この議題を終わりたいと思います。
それでは、ただいまの御説明と議論も踏まえまして、本日の審議、研究セキュリティ・研究インテグリティのところが御説明に入っているのもありますので、進めたいと思います。
次に、理化学研究所の次期中長期目標案について、理研部会事務局より御説明をお願いいたします。中澤課長から御説明いただきます。よろしくお願いします。
【中澤基礎・基盤研究課長】 ありがとうございます。基礎・基盤研究課長をしております中澤と申します。よろしくお願いいたします。それでは、理研の中長期目標案ということで御説明させていただきたいと思います。20分程度と聞いておりますが、中長期目標自体が非常に大部になってございますので、最初にスライドのほうで10分ほど、それから本文のほうで10分ほど、合わせて20分ほど御説明させていただきたいと思います。
スライドにございますとおり、今回の中長期目標を決めるに当たって、社会的な情勢の変化ということで三つほど見ている部分がございます。資料1-1のページの1ページ目を御説明させていただいてございます。上のボックスのところでございますが、GX社会の到来ということで脱炭素・循環型社会というところ、それから社会全体でDXが進んでいるというところの社会構造の大きい変化があるというところ。
それから、これまでSDGsという言い方をしてきておりますが、地球温暖化、エネルギー問題、食料問題、そういった中で、地球システムを人類の共通財産、これはグローバル・コモンズという言い方を昨今しておりますが、こういったところをしっかり守っていくということが世界共通の課題となっているということ。
さらには3点目、先ほどの研究インテグリティの話もありましたが、世界的に科学技術・イノベーション、科学技術そのものが国家間の覇権争いの中核になってきているという中で、研究の強化、さらには技術流出の防止、こういったところも見ていく。そして、国として独自の優位性を持っているような部分、あるいは不可欠性というようなところを意識していく必要もあるということを前提にさせていただいてございます。
次のページに移って、2ページ目になります。こういった状況を踏まえた理研全体の目指すべき姿として、上のボックスでございますが、二つ考え方を挙げさせていただいてございます。上のボックスのポツの二つの1点目でございます。正に科学研究、その最前線でその発展を牽引し、基礎科学の学理を生み出し、その知を日本にとどまらず世界に拡げ、社会に欠かせない存在になるということ。そして2点目は、地球規模課題の解決を目指し、国民そして人類全体の将来社会の発展に貢献することにより、国民生活の発展や国際的地位の向上につなげるということで、理研自体がこれまで持ってきた基礎科学力、こちらのところを引き続き世界レベルで強めるとともに、その成果を国民生活、さらには地球規模課題の解決にしっかりと結びつけていく。こういったところを目指した上で、我が国の科学技術・イノベーションシステムを強力に牽引する中核機関として活躍するということを挙げさせていただいてございます。
この中長期目標、下のボックスの中に1、2、3と三つのボックスがあります。後ほど本体の方でもこれがどこに該当するのかというのを御説明させていただきたいと思いますが、今回の中長期目標の肝となるところがこの三つのボックスになります。
一つ目は、1ポツの戦略的経営の高度化というところでございます。理研の理事長のトップマネジメントの下、経営自体を高度化していくということを書かせていただいてございまして、三つあります。一つ目は、経営層と研究現場、研究分野を越えた組織間を円滑につなぎ、運営方針が組織全体に浸透する仕組みとして、研究領域を導入するというところでございます。後ほど研究領域はまた説明しますが、トップダウン、それからボトムアップを効果的につなげる中間的な部分として、これまでそれぞれの分野ごとに分かれていたものをある程度一定の枠の中で領域として結びつけるという部分でございます。それから、1ポツの二つ目のポツでございますが、事務的支援機能、こちらを高度化していく、強化していくというところ。それから、三つ目のポツでございますが、社会の成長に向けて変革を駆動する。このために、アカデミアと産業界、こういったところと連携をより一層進めていくというところでございます。
2ポツ目のところは、国際的な頭脳循環のハブ形成と研究環境に係る先端的な取組の実践ということで、こちらも三つポツがございます。一つ目は、理研が世界に開かれた日本の窓口として、ゲートウェイという形で世界の中の国際頭脳循環の一端を担い、世界と日本をつなげていくという役割を担う部分でございます。それから二つ目は、先進的な研究人事システムの整備ということで、優秀な研究者を採用し、そして育てていくというような人事システムの整備をしっかりとやっていくというところ。それから、三つ目は、先ほど長田補佐からも説明がありましたが、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保のために、社会状況、それから国際状況の変化にしっかりと対応していくということを挙げさせていただいてございます。
それから、三つ目でございます。3ポツの卓越した科学研究と総合力を発揮するための研究開発の推進というところで、ポツの一つ目、これはもう一度出てくる言葉でございますが、研究領域になります。学問の共通性を考慮しつつ、これまで培ってきた個別の研究分野を有機的に連携させた五つの研究領域ごとに卓越した研究を推進していくということでございます。それから、3ポツの真ん中でございますが、スーパーコンピュータ、大型放射光施設、バイオリソースといった大型研究基盤、これを理研のミッションとしては、これを整備し、共用していくというところがございますので、ここを進めていくというところ。そして最後は、3ポツの一番下でございますが、研究領域というものを更に越えて理研全体をつないでいく、つないで理研の総合力を発揮するためのものということで、横断的な研究の枠組みを導入し、総合力を発揮するための研究開発を推進していくというところでございます。
次のページを御覧いただきますと、先ほどお話しました研究領域というものをここで見ていただければと思います。丸が五つございますが、この五つが研究領域ということになってございまして、それにそれぞれ青字で何々センターというのが付いていると思います。理研には今現在14のセンターと研究本部等がございまして、この14のセンター等がそれぞれ研究を行っているわけです。これをある程度グルーピングして、その中でより一層の連携も進めていくことが必要ではないかというところで、こういった研究領域を導入させていただくとともに、今後この研究領域の領域ごとに領域総括をその業界の中ではマネジメント能力、それから研究者からの信頼の厚い者を配置しながら、このボトムアップの部分と理研全体としての経営戦略を結びつけていくというような形で研究を進めていくということを考えてございます。
それでは、今の説明について少し中長期目標案本体を見ながら御説明させていただきたいと思います。まず、目次を御覧ください。通しページだと5ページ目になります。先ほど三つのボックスという、三つのポイントというところは、3ポツの研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関わる事項ということで、3.1、3.2、3.3というところが対応してございます。先ほど概略を説明しましたが、これをもう少し俯瞰的にお話しするとすれば、3.1が理研全体に関わる経営戦略ということ、それから3.2が、理研というこの経営戦略の中の器の中で研究をいかに進めていくのかという研究の進め方の部分ということ、3.3が、研究の具体的な内容、こういう研究を進めていくというのが3.3ということで、ある種階層構造としては、3.1が一番ベースにあって、3.2、3.3という形が上に乗っかってきているというような形と考えてございます。
では、3.1を説明させていただきたいと思います。ページとしては、通しページの8ページ目になります。3.1、8ページ目の戦略的経営の高度化というところでございます。少し本文を見ていただければと思います。(1)研究運営システムの強化というところでございます。これが先ほどの研究領域のところを説明している部分でございますが、理研の総合力を一層強化し最大限生かせるよう、経営層と研究現場、さらには研究分野を越えた組織間を円滑につなぎ、運営方針が組織全体に的確に浸透する研究運営体制の仕組みとして、研究領域を導入するという形になってございます。
研究領域のところは、先ほど見ましたとおり、最後のところも出ていますので、一旦ページを少し飛ばさせていただいて、先に11ページ目を御覧ください。通しページでは11ページ目の3.3、卓越した科学研究と総合力を発揮するための研究開発の推進にありますが、この(1)に、今度は研究領域ごとに卓越した科学研究の推進をするという形で、研究領域自体が運営システムそのものの根幹をなすとともに、研究領域ごとにどのような研究をするのかということをこちらに書かせていただいてございます。
11ページ目の(1)の一番下のところでございますが、理研の総合力を生かすため、学問の共通性を考慮しつつ、これまで培ってきた個別の研究分野を有機的に連携させた、以下の丸1から丸5の研究領域ごとに科学研究を推進すると。2行ほど飛ばして一番下に、この研究領域に応じた研究開発マネジメントを実施するという形にしております。個別の研究領域ごとの研究内容そのものは、時間の関係もあるので割愛しますが、12ページ以降、五つの研究領域の内容が書いてございます。丸1が開拓科学、丸2が数理・計算・情報科学、丸3が生命科学、丸4が環境科学、丸5が物理科学となってございます。
一旦ページのほうは戻らせていただいて、再び3.1の戦略的経営の高度化の部分でございますが、8ページ目の(1)の後半でございます。段落でいうと、(1)の2段落目でございます。研究開発成果の最大化に向けて、研究者が存分に研究に専念できる研究環境を構築するため、事務的支援機能の高度化を実施するということでございます。国際連携、あるいは産学連携、さらには知財、企業支援、法務・コンプラ、こういったところに専門人材をしっかり理研として配置していくということをこの辺りで言及させていただいてございます。
それから、3.1の次のページ、通しページ9ページ目のところで、(4)というところがございます。社会の成長に向けた変革を駆動するアカデミア・産業界との連携ということでございます。丸1が理研とアカデミアの連携になりまして、丸2が産業界・関係機関との連携ということで社会との接点というところでございます。ともすれば、理研と産業界というところだけがフィーチャーされがちでございますが、やはり理研はアカデミアの触媒になっていくと。丸1の触媒という単語がございますが、アカデミア全体をうまい形で補完、関係していくというところも大事だと考えてございます。9ページ目の丸1の2行目からでございます。特にというところで、大学等に対して理研の持つ研究インフラの開放を通じた研究の場の提供、技術支援、先端的な重要技術研究等を対象にして研究に専念できるセキュアな研究環境の提供、こういったところを進めていくということでございます。
それから、丸2のところは、正に社会、産学連携というところになりますが、丸2の2行目、組織対組織の産学連携というところを進めていく。さらにはディープテックスタートアップ創出のエコシステム構築に向けて機能強化を図るというようなところを挙げさせていただいてございます。
それでは、次の3.2、10ページ目のところに移らせていただきます。3.2、国際的な頭脳循環のハブ形成と研究環境に係る先進的な取組の実践というところでございます。(1)がゲートウェイでございます。1行目、国際的な頭脳循環のハブとして先進的な科学研究に取り組み、日本と世界のトップレベルの研究機関をつなぐためのゲートウェイの構築の役割・機能を果たすということを書かせていただいてございます。
それから、(2)のところが人材育成・確保に係る先進的な取組の実践ということで、理研の研究者のことについて書いてございます。2行目でございますが、研究者が中長期的な視点にたって研究に専念できる環境が確保されるよう、安定性と流動性を高いレベルで両立した、他の研究機関の模範となる魅力的・先進的な人材システムを整備していくということでございます。さらには、若手研究者ポストを中長期的に増加させ、魅力的な人材育成を進めるとともに、卓越した研究者を持続的に確保するというようなことを掲げさせていただいてございます。
11ページ目、次のページでございます。(3)社会状況・国際状況の変化への対応でございます。こちらが先ほどありました研究セキュリティ・研究インテグリティの部分を明記させていただいてございます。(3)の2行目からですが、「国の方針を踏まえ」というところが冒頭にありますが、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保を徹底するための適切な対応を講じる。具体的にはということで、研究セキュリティ・研究インテグリティの基盤的な取組として、効果的・効率的に進める体制の整備や適切なフォローアップの実施などを行うということなどを書かせていただいてございます。
なお、理化学研究所ですが、例えば量子あるいはAIといったエマージングテクノロジーを抱えるとともに、国際共同研究というところはやはり多い部分がございますので、他の法人に先んじて、実は一昨年から研究インテグリティ・経済安全保障本部という本部を別途もう既に設置してございまして、研究セキュリティ・研究インテグリティ関連の取組というところは先進的に進めさせていただいているところでございます。
最後の3ポツの3.3でございます。これが理研としてやっていく具体的な研究の部分でございますが、卓越した科学研究と総合力を発揮するための研究開発の推進というところでございます。11ページ目の(1)のところは、研究領域ごとの研究でございますので、ここは先ほどの御説明のとおりでございます。
ページを進めさせていただきまして、13ページ目でございます。3.3の(2)のフラッグシップとなる大型研究基盤の整備・運営・高度化というところでございます。こちらは共用促進法という別の法体系にも基づきまして、施設としては「富岳」、それから放射光施設としてはSPring-8、それからSACLAといった大型共用施設の運営をしていくという部分でございます。中身については丸1から丸3まで三つございます。
丸1が特定高速電子計算機施設、正に今、「富岳」のことがこちらになってございます。共用促進法のことをなぞりつつ、14ページ目の丸1の後半ですけれども、今既に国全体の検討としては、「富岳」の後継機という次世代フラッグシップシステム、この検討が進んでおりますので、そこと足並みをそろえつつ、この次世代フラッグシップシステムの開発を推進するというようなところも書かせていただいてございます。
同様に、丸2は特定放射光施設でございます。引き続き、特定放射光施設としてSPring-8-Ⅱ、それからSACLA、こういったところの安定的な運用による共用を進めていくということに加えて、真ん中3行目辺りからございますが、こちらも国の議論が進んでおりますSpring-8の2の整備に向けても技術開発を進めていくということで書かせていただいてございます。
それから、共用のところは、これ以外に、バイオリソースもございます。これは共用促進法という法律とは別のものでございますが、日本のアカデミーに対して広く用いられているバイオリソースということで、世界最高水準のバイオリソース、これを社会的ニーズ・研究ニーズを捉えながら整備・提供するとともに、保存・利用技術等の基盤技術開発や利活用に資する研究開発等を推進すると記載させていただいてございます。
すみません、長くなりましたが、最後でございます。この14ページ目の(3)でございます。こちらも冒頭ポンチ絵でも御説明させていただきましたが、つなぐ科学、(3)総合力を発揮させる研究開発の推進というところ、これを現中長期目標期間からもトライアルでもう既に始めているところでございます。これは、研究領域を超えた知の糾合や新たな科学の創成により、社会課題の解決や将来社会への発展に貢献するため、理研の最先端の研究基盤等を活用し、総合力を発揮させるための研究開発(つなぐ科学)を推進するということで進めております。
3行ほど飛んでいただくと、研究領域横断的なプログラムの仕組みを導入し、データを基軸とした未来の予測制御の科学、科学研究向けのAI基盤モデルの開発、創薬・医療技術基盤の構築・提供等を推進すると書いてございます。正に今理研は、AIでは日本の最先端の研究、それから計算機ということでは、日本の最先端のスパコン「富岳」、量子コンピュータもございますし、さらには理研には膨大な研究データがあって、これに横串を通しながら理研の総合力を発揮していく。こういった取組を次期中長期目標期間はより強くしていきたいということでこういったところを挙げさせていただきました。
時間がちょうど20分になろうかと思いますが、説明は一旦以上になります。理研部会自体は、栗原会長に部会長として議論を進めていただきました。よろしければ、会長からも一言お願いできればと。
【栗原会長】 ありがとうございます。理研部会では、昨年の夏の中長期見込み評価のための部会、それから更に秋に2回の部会を開催しまして、次期中長期目標案についてハイブリッドで議論しました。夏に委員から出た意見の多くを目標の中に取り入れていただいたことを秋の部会では確認し、また更に意見交換をさせていただきました。部会で強く出た意見は、日本を代表する世界トップレベルの研究機関として一層存在感の向上を望むというものでして、今御説明いただきましたように、次期中長期目標は、それを実現するために多面的、また、層の厚いものになっていると思い、更なる大きな発展を期待しております。
具体的な点を幾つか御紹介しますと、現、五神理事長が就任以来提唱・推進されているTRIP構想という最先端科学を社会課題解決につなぐ科学では、部会では、トップダウンとボトムアップをつなぐことが重要ではないかという意見を申し上げました。今回、研究領域というものを導入し、効果的にトップダウンとボトムアップを組み合わせた運営をされることは、従来からずっと理事長のリーダーシップということを言われているわけですが、それを実現するボトムアップのための新しい形を入れたということだと考えております。
また、世界最先端の研究ネットワークの一角として、研究者の循環、すなわち頭脳循環のハブ形成に積極的に取り組まれること、これは日本の研究の長期的な存在感、世界をリードする研究者の育成という点から非常に重要なことと理解しております。
このように、従来からの大型基盤施設の運営などを含めまして、理研ならではの活動は非常に多く、国内外により存在感のある研究機関にという部会の委員一同の思いが今回の中長期目標計画の下で実現していくものというふうに我々は期待しているところでございます。
以上、補足させていただきました。
これらの説明に対して御質問、御意見等ありましたら、御発言をお願いいたします。浅見委員、どうぞ。
【浅見委員】 浅見でございます。詳しく説明いただいて、どうもありがとうございました。今回の(中長期目標の)狙いが非常に分かりやすかったと思います。
それで、質問としては2点ありまして、一つは、研究領域というものを設定するという、これはかなり大きな研究体制の変更ではないかと思うのですけれども、実際、従来の研究分野というのはかなり細かく分かれていたものを研究領域ということで五つに集約して、その中でマネージしていく。多分、縦割りの細分化とかサイロ化を避けるということがあるのと、新しい課題に対応していくためにいろいろな分野間をつないでいくということが狙いだと思いますが、非常に重要な方針と思います。
この研究領域ごとにマネージしていくという領域長みたいな役割といいますか、そういうマネジメントの役割、あるいはそれに匹敵する人材というのが従来どうだったのか、それを今後どうするのかというようなところがちょっと気になったので、それが一つ質問です。
それから、もう一点は、今、栗原会長の方からもありましたけれども、理研という組織は世界最高水準を期待されるという日本でもトップクラスの研究機関だと思うのですが、一方で、日本の研究力、研究競争力というのが世界的に見てどんどん下降しているという様々な指摘が内外からいろいろあるのですけれども、この最高水準に対してどういう位置付けにあるのか、伸びているのかあるいは停滞しているのかというようなことについて、どういうベンチマークで見ていくのか。
従来から引用のトップ10%論文数とかインパクトファクターとかいろいろな指標で見て評価されてきたのですが、それを何十年も続けているのだけれども、日本の存在感はだんだん下がっているのではないかと言われている。そうした中で、世界最高水準はやはり世界から見て最高水準と認めてほしいわけですが、何かそれを測るベンチマークとか、それについての新たなチェックの仕方とかいうものを今後の中長期で考えておられるのか。その2点についてお伺いしたいのですけれども。
【中澤基礎・基盤研究課長】 2点、いずれも最も重要な御指摘だと思います。我々もそこは意識をしております。
1点目、まず、研究領域の領域総括のマネジメントの部分というところでございます。これは研究領域総括の役割というところと、それから、どういう人がというところになろうかと思っているのですが、元々のセンターのセンター長経験などをやっている方で、それぞれの分野ではこの人が言うのであれば間違いないという研究者からの信頼も非常に厚い方、かつマネジメント経験がある方がこの間の中で入って領域ごとをうまくつなげていくとともに、それから、領域を超えた領域同士の間の話みたいなところも領域総括同士で進めていくというところを考えてございます。領域総括には、この業界の中では、彼であれば、あるいは彼女であればという方がなる予定です。
さらには、この研究領域総括自体は、理事ではございませんが、理事会との連動というところを組織上は密にする形で、正に浅見委員おっしゃっていただいたとおり、それまでの縦割りだったところの良さを維持しつつも、横串を通していく運営システムを入れていきたいという理解でございます。
それから、世界の中での日本の研究、トップレベルの研究というところをどういうふうにモニタリングしていくのか、そして、それが今あるのかというところでございますが、中長期目標の資料、資料1-1の11ページ目を見ていただければと思います。11ページ目の3.3というところのところに4行目でございますが、「世界トップレベルの研究機関と伍する世界最高水準の研究開発成果の創出を目指す」となってございまして、我々自体、単純な論文が増えた、減った、トップ10%論文がどうこうということだけではなくて、幾つかのトップ研究機関を、ここに明示はしておりませんが、モニタリングをさせていただいて、そことの比較をさせていただこうかなと思っております。
基本的には、例えば、固有名詞を挙げてしまうとあれですが、ドイツのマックス・プランク研究所だとかヘルムホルツ協会というようなところ、あるいは複数の欧米の研究所の研究動向というところを比較しながら、その研究の質をモニタリングしていくということを考えてございます。
【浅見委員】 ありがとうございました。後段のところは、多面的な評価というのは多分ほかの研究機関に対しても非常に参考になる部分だと思います。理研がトップクラスで引っ張るというのであれば、それが日本にどんどん波及していくようなところを期待していますので、是非よろしくお願いします。
【中澤基礎・基盤研究課長】 ありがとうございます。
【栗原会長】 今の点は部会でも繰り返し、評価指標というか、評価の観点を理研自体から提供いただきたいということで申し上げているところです。
それから、この部会にはマックス・プランク研究所のダイレクターの方が1人メンバーでして、その委員のおっしゃるには、理研は非常にレベルが高いと。一体日本の研究力が弱っているというのは何なのだと、理研を見ると全然弱っていないじゃないかというふうにおっしゃっています。
論文数のような数字としては減少かもしれないけれども、トップレベルの研究のクオリティーが下がっているのかという点に関しては、まだ反論の余地もあるのかという感じの御発言もありました。何回もおっしゃった意見ですので、ちょっと御紹介いたします。
【浅見委員】 論文みたいなそういう数字の比較だけではなくて、研究者自身が世界の中で信頼されてくれば、理研の誰それさんと一緒に研究したいというのが殺到すると思うのです。そういういろいろな、様々な多面的な研究成果といいますか、そういうものの評価の仕方というのはあると思いますので、それは大事だと思います。
【栗原会長】 そういう意味で、日本の研究を見たときに、理研はもちろん代表的な機関ですけれども、大学等も含めて全体的に、ドイツから見て、トップレベルの成果は必ずしも落ちていないという言い方でした。
ほかに御質問、御意見ありましたらお願いしたいと思います。どうぞ、五十嵐委員。
【五十嵐委員】 五十嵐です。どうも説明ありがとうございました。
今お話があったように、理研は日本のみならず世界トップレベルだと思っています。当然、すごく期待をするのですが、その中で特に期待をしたいのは、14ページの(3)の「つなぐ科学」の推進。ここにすばらしいことが書いてあります。下から4行目ぐらいでしょうか、「データを基軸にした未来の予測制御の科学」であるとか、「創薬・医療技術基盤の構築・提供」とすばらしいことがさらりと書いてありますが、ここは必ずしも日本が進んでいるところではないですよね。
例えばついこの間のDeepSeekの話。アメリカのビッグテックでなくても、ああいうものができるのだというようなこと。本当にあれが本物かどうか、まだ分かりませんが、日本の中でもそういう可能性があるのではないかと思えてきます。
理研は、例えばそういうものに関して、個別にそれに取り組めというわけではないのですけれども、触媒的な役割として、何かを果たすような方策というのでしょうか、そういうことを考えておられるのでしょうか。
【中澤基礎・基盤研究課長】 ありがとうございます。
正におっしゃるとおりでして、まず、理研自体は日本で確かにトップの研究ということに加えてなのですけれども、日本においてのオンリーワン、ナンバーワンが幾つか理研の中に既に存在しているというところが大きな強みでして。AI研究ではAIPセンターが日本の理研の中にあるAIトップレベルの研究所でありまして、さらには、計算機能としては「富岳」を使えるというところと、それから、さらには、国産初めての量子コンピュータの「叡」というものも理研の中に存在しております。
それに加えて、研究データ、様々な分野の質の高い研究データを、今、理研全体で集めてつなげようとしております。これ自体は、ほかの民間の例えば研究所だとかベンチャーだとかは、ここはまだ持てていないところになっていますので、その質の高い研究データというところと計算機能、それから人工知能、これに横串を通すというところが理研の強みだと思っていまして、そこは戦略性を持ってやっていきたいというところで考えます。
【五十嵐委員】 それはそうだと思うのですけれども、今、世界が大きく動いています。ここにあるような未来予測であるとか、あとは創薬ですよね、ペプチド医薬や抗体医薬とか。あれ日本はかなり遅れているのですが、それに対してキャッチアップできるような役割を理研が果たせればと思うのですけれども。そこに関してリソースを割く、割かないという話ももちろんあるのですけれども、ここの「つなぐ科学」の推進で、どういう役割を果たそうとしているのですか。
【中澤基礎・基盤研究課長】 そういう役割というところが、すいません、おっしゃるとおりで、理研自体はやっぱり基礎研究、学術研究のところなので、そこの部分は失わないというところがありますが、デジタルというところで全部つながるところで、それが社会実装までの距離が非常に近付いてきているというところはありますので、そこは強化していきたいということです。
【五十嵐委員】 その辺がさらりと書いてある感じがあるのですけれども、そこは強化していこうと。触媒的な役割、更にそれを超えるような役割を果たしていこうという話ですね。
【中澤基礎・基盤研究課長】 はい。
【五十嵐委員】 分かりました。
あと一点なのですけれども、先ほど事務局から研究セキュリティの話がありました。先ほどの説明で、理研の中に研究インテグリティ等に関する新しい本部を作ったという話はお聞きしました。その下のところですが、この11ページにELSIとRRIの話があります。「人文・社会科学との融合による総合知を活用する」、これもさらりと書いてあるのですが、これに関しては、何らかの部署か何か、あるいは教育システムとかがあるのでしょうか。
【中澤基礎・基盤研究課長】 ELSIのところは、これは分野ごとに進めているところがございまして、AIのところのELSIのところと、それから生命倫理のところのELSIというのは、理研全体でELSI本部という形ではなくて、分野ごとで進めているという状況ではございます。
【五十嵐委員】 研究者に一律にそういうELSIの教育をするとか倫理教育をするとかそういう話ではなくて、特に大事なものに関しては、そこも教育していると。
【中澤基礎・基盤研究課長】 そうですね。ただ、運用上、おっしゃるとおり、セキュリティの教育だとかいうのとともに、ELSIのところは、運用上は全体でしているかもしれませんが、ちょっとそこは、すみません、今手元になくて恐縮です。大事な部分だと思っております。
【五十嵐委員】 分かりました。ありがとうございました。
【栗原会長】 ほかにございますか。横田委員、どうぞ。
【横田委員】 御説明ありがとうございました。
10ページのところになりますけれども、世界的に最高水準の成果を出すための人を集めるために、先進的な人事システムの整備をするとあるのですが、人事システムの先進的というのがどういうものなのか私にはイメージがしにくいし、人事システムは世界共通かというとそうでもないし、研究者とそうでない人の違いなどもあると思いますが、ここで言っているのは、どういう意味で「先進的人事システム」という言葉をお使いになったか教えていただけますでしょうか。
【中澤基礎・基盤研究課長】 大事な御指摘でして、理研特有の事例もあるかもしれませんが、これが先進的な事例ですというのを簡潔に示すことはできないのですが、幾つか事例で御説明させていただきますと、理研は非常に若手の研究者が多いです。これは国際頭脳循環、特に日本の中での頭脳の循環という意味では、理研で若い時代を過ごした研究者が、次に海外の研究機関でPIとして研究する、あるいは日本の有力な研究大学で、そこで教授あるいは准教授になるというようなところの若いところをつなぐところがあります。
その上では、そういった若い人たちが理研で活躍した上で、それぞれの大学にまた出ていくタイミングで、いきなり卒業してしまったりすると理研とのつながりがなくなってしまう部分もあって、本人としては理研での研究機器を引き続き使いたいこともありますので、そういう場合は、積極的にクロスアポイントで、例えばですが、20%は理研の中にエフォートを残しつつ、大学でぜひ活躍してくれというような形を事例としては取らせていただいているというところであります。
全体を通して見れば、給与と任期についてはかなり、一律のものではなくてケース・バイ・ケースということで柔軟性を持たせているというところは、総論としては、理研はそういったところは取り組みましたので、例えば、海外から人を引っ張ってくるときも、本当に優秀な方であれば、ある種、理事長より高い金額で、といったことも含めて対応しているという、柔軟性の部分を入れつつあるというところはあると思います。
すいません。一言ではなかなか難しい部分で、先生御指摘のとおり、ここは難しい部分にはなりますが。
【横田委員】 ありがとうございました。
【栗原会長】 ほかに御質問等ありますでしょうか。ネットで入っていらっしゃる方々、よろしいですか。
それでは。ありがとうございました。特にここについて、中長期の目標案について、変更についての御意見がありませんでしたので、原案の内容でもってこの審議会としては了解したということで審議会の意見としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原会長】 では、異議なしということで、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
次に、宇宙航空研究開発機構の次期中長期目標案について、JAXA部会事務局より説明をお願いいたします。宇宙科学技術推進企画官の阿部様から御説明いただけるということでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
【阿部宇宙科学技術推進企画官】 よろしくお願いいたします。お手元の資料1-2になりますけれども、宇宙航空研究開発機構の次期中長期目標案の概要につきまして、御説明させていただきます。
まず、JAXAでございますけれども、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上、宇宙の開発及び利用を促進することを目的としている法人でございます。歴史的には3機関が統合してできている法人でして、それぞれの歴史的経緯がある中でやっているという部分がございます。
JAXAの目標につきまして、まず政策体系としましては、6ページ目のとおり、宇宙基本法、宇宙基本計画を踏まえていくという点と、航空については、科学技術・イノベーション基本計画を踏まえまして航空科学技術分野研究開発プランというものがございますので、それら2点を主に踏まえながら対応しているというところでございます。
ページ戻っていただきまして、1ページ目になります。まず、宇宙政策の目標というのが政府全体でございますけれども、宇宙安全保障の確保、国土強靱化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現、宇宙科学・探査における新たな知と産業の創出、宇宙活動を支える総合的基盤の強化というものが掲げられております。
また、航空におきましては、航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発、次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用に必要な研究活動、デザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発というのが政策的には整理されているというところでございます。
その上で、JAXAを取り巻く最近の環境の変化というところでございます。安全保障環境下における宇宙空間の利用が加速しているということ、経済・社会の宇宙システムへの依存度が高まってきているということ、宇宙産業の構造的な変化が起こっているということ、それから、月以遠の深宇宙を含めた宇宙探査活動が活発化してきているということ、そして、宇宙へのアクセスの必要性が増大し、また宇宙の安全で持続的な利用を妨げるリスク・脅威が増大しているということ。航空のほうでは、航空産業の重大性が増大、多種多様な官民ニーズが拡大しているということが背景としてございます。
こういったことを踏まえて、今回、中長期目標の策定に当たりましては、基本的にこういった軸で考えていこうというところを整理しております。民間宇宙ビジネスの進展や月等の国際動向など、官民の役割が大きく変化してきている中で、JAXAを取り巻く状況が大きく変化しているという点。我が国のサステイナブルな宇宙開発利用を実現するため、今後のJAXAの役割を大きく転換していくことが必要ではないかという点。
その上で、次期7年間の目標として、役割の転換ということも念頭にしつつ、JAXAによる先端・基盤技術開発能力のみならず、民間事業者・大学等に対する支援機能を強化するとともに、宇宙開発及び利用から価値を創出するための取組を主体的に取り組むことにより、我が国の宇宙産業を支える技術的優位性を持続的に創出し、その成果を国民に還元することで持続的な宇宙開発利用を実現していくというところを、最初に掲げております。
また、中長期目標の全体の構造としまして、これまで少し細分化し過ぎていた目標設定となっておりましたので、研究開発目標の大くくり化ということを今回させていただいております。
その上で、2ページ目を御覧ください。具体的な方向性というものでございます。個別の中身に入る前に、こういったところを念頭に置きながら、というところでございますけれども、まず、産学官の結節点としてJAXAの機能を強化し、民間の育成、大学等の活力を生かしたイノベーションの源泉を創出するという点。二つ目に、いまだ脆弱な国内宇宙産業基盤を踏まえ、宇宙資産からの価値創出と宇宙利用に関する需要の増大というものに対応していくという点。三つ目に、宇宙活動の持続可能性と我が国のイニシアチブの強化という点。四つ目に、求められる役割の多様化・増大への対応とマネジメント改革の推進というところを挙げております。
こうしたことを踏まえつつ、3ページ目を御覧ください。目標案のポイントというところでございます。
まず、政策体系における法人の位置付け及び役割というところで、宇宙開発等の中核機関と位置付けられますJAXAにおいて、産学官の結節点として、我が国の宇宙産業を支える技術的優位性を継続的に創出し、その成果を国民に還元することで持続的な宇宙開発利用を実現するということと、航空宇宙科学技術分野における研究開発の中心的な実施機関であるJAXAについて、既存形態での航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発、次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用に必要な研究開発及びデザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究活動を推進する役割が求められているというところを最初に位置付け、役割としております。
その上で、具体的な研究開発等の中身の部分でございます。本文で言いますと、9ページ目辺りからになります。
まず、一つ目になりますけれども、宇宙政策の目標達成に向けた宇宙プロジェクト及び研究活動の実施の中に、1から6までの項目がございます。
一つ目、1.1.宇宙安全保障への取組というところでございます。ここでは、情報収集衛星の機能強化、準天頂衛星システム、海洋状況把握や宇宙状況把握についての記載がございます。情報収集衛星や準天頂衛星システムにつきましては、政府からの受託した場合には着実に引き続き実施していくということ、我が国の測位システムを支える技術をしっかりと向上していくということ。それから、海洋状況把握につきましては、研究開発及び衛星データ利用の推進を通じ、我が国の海洋状況の継続的かつ詳細な把握、及び同盟国・同志国とのMDAに関する国際連携強化に貢献するということ。それから、宇宙状況把握につきましては、スペースデブリの脅威・リスクへの対処のための研究開発や政府の体制に貢献していくという旨を記載してございます。
次、1.2.地球観測・通信・測位につきましては、リターンを明確化した上での各種地球観測衛星の開発・運用、衛星通信・測位システム高度化といった中身を記載してございます。衛星データ利用を含めた研究開発・社会実装による成果創出や、民間事業者等への成果の橋渡しを含む官民連携を通じた我が国の技術基盤の維持・強化・拡充により、防災・減災、国土強靱化や地球規模課題の解決に貢献するという点と、地球観測・通信・測位に係る戦略的なインフラ構築への貢献、外交ツールとしての活用等を通じて、互恵的な国際協力体制といった宇宙開発利用における国際的なポジションや影響力の獲得・強化につなげるということを最初に掲げております。その上で具体的に、地球観測については、技術の持続的な高度化や、内閣府や国土交通省等の利用府省庁、地方自治体との連携体制の構築・強化というところを明確にしております。また、環境省や農林水産省等との協力といった中で、気候変動をはじめとする地球規模課題の解決に向けた国連等における国際的な議論、国連の持続可能な開発目標の目標達成に貢献するというところも書いております。また、衛星データ利用が非常に今社会的に進んできておりますけれども、その社会実装を進めるという点と、分野の成長市場への融合等により新たな価値を提供するイノベーション創出を貢献するというところを書いております。JAXAにおいては、関係機関との連携によって獲得する便益・リターン、これを明確化した上で、民間移転を含む官民連携や複数プロジェクトの組合せによる総合性、将来にわたる安定的な観測や切れ目のないデータ提供による継続性、国際的な立ち回りを含む効果的な働きかけによる戦略性といった観点を推進するというところで、特に重点的に推進すべきテーマというものを新たにしっかりと定めた上で、JAXAの中に推進体制を整えて、これを具現化するという旨を記載してございます。そのほか、衛星通信・衛星測位について引き続きしっかりと研究開発を進めていく旨を記載してございます。
続いて、1.3.宇宙科学・探査のところでございます。ここについては、各種宇宙科学・探査ミッション、それから観測ロケット、大学院教育等を通じた人材育成といった点に触れてございます。世界最高水準の科学的成果を創出するとともに、独創的・先鋭的技術を獲得することに加え、国際的プレゼンスを発揮し、世界に不可欠な宇宙機関としての立場を維持・向上させるということ、それから、次世代の宇宙分野等を担う優れた人材を育成するというところを最初に記載しております。具体的には、サンプルリターンや分析技術、宇宙・太陽・惑星観測技術をはじめとした数々のミッション等で蓄積してきました我が国の強み、これを維持・発展させるという点、それから、プラネタリーディフェンスのような新たな活動への貢献等も視野にしつつ、欧米等が主体の科学・探査ミッションにおいてもJAXAの貢献が不可欠とされるような国際的に確固たる立場を維持・向上させるというところを記載してございます。
続いて、1.4.地球低軌道・月面における持続的な有人活動の部分では、アルテミス計画への貢献やISS運用、ポストISSに向けた取組といったものを記載してございます。まず、アルテミス計画におきましては、ゲートウェイへの物資供給、有人与圧ローバの提供・運用等を通じて、米国人以外で初の日本人宇宙飛行士の月面着陸を目指すとともに、同計画への更なる貢献に向けた検討及び技術の獲得や、国際的な規範やルールの整備に関して積極的に国際調整を進めることで持続可能な月探査活動に貢献するといったこと、また、ポストISSの関係では、関係事業者への技術支援や国際的な枠組みを積極的な検討・国際調整を進めること、さらに、新たな宇宙環境利用技術を研究開発するとともに、民間企業・大学等との共創活動にも活用しつつ、持続的・自立的な地球低軌道活動を実現するといったことを記載してございます。
続いて、1.5.宇宙輸送のところでございます。ここでは基幹ロケットの高度化・高頻度化、次期基幹ロケットのことについての記載をしてございます。まず、基幹ロケットにつきましては、速やかな民間移管を達成するという点と、射場を含めた基幹ロケットの総合システムの維持及び運用を効率化し、信頼性を持続的に向上させるという点、また、高度化しながら持続的かつ段階的な開発プロセスを適用して、将来の需要変化へ迅速に対応して国際競争力を強化しつつ、技術・人材・産業基盤を維持・向上させるということを記載しています。また、次期基幹ロケットに関しましては、ミッションの明確化を含む必要な検討を進め、研究開発体制を構築し、開発に着手するという旨を明確に記載してございます。
続いて、1.6.新たな価値を実現する研究開発及び分野横断的に開発・運用を支える取組というところでございますが、ここにおきましては、各種基盤的研究開発、それからスペースデブリ対策、軌道上サービス分野における研究開発成果の創出といった内容を記載してございます。スペースデブリ対策につきましては、民間事業者との連携による研究開発成果を創出するという点と、政府における宇宙交通管理・スペースデブリ対策に係る国際的なルール形成活動を支援するといったことで、我が国の国際的な影響力の確保に貢献するということを記載してございます。
続きまして、2ポツ目、官民共創での宇宙利用拡大及び産業振興に関する研究開発等の取組というところでございます。ここは、各分野に裨益する官民共創の活動等をまとめて書いている項目ですので、少し割愛させていただきます。
続いて、3ポツ、宇宙戦略基金の活用というところでございます。民間事業者・大学等が主体の技術開発支援を通じて、宇宙関連市場の拡大、宇宙を利用した地球規模社会課題解決への貢献、宇宙における知の探査活動の深化、基盤技術等の強化に中心的に貢献する旨を記載しているというところでございますけれども、ここは法改正を踏まえてJAXAに新たに付加された役割・仕事でございまして、体制の強化も含めてしっかりとこれをやっていくということをここに記載しているというところでございます。
続いて、4ポツ目、航空産業振興及び社会課題解決に関する航空科学技術に関する取組というところでございます。日本の航空産業の振興及び災害対応といった社会課題の解決を見据え、GX技術等の研究開発を通じた国際標準化への貢献、高速輸送等の宇宙分野にも係る新技術を活用したソリューション創出及び試験・実証インフラ整備の刷新等についての記載をしてございます。
続きまして、最後、5ポツ目になります。宇宙航空政策の目標達成を支えるための取組というところで、システムエンジニアリングやプロジェクトマネジメントの推進、安全信頼性の確保といったことも記載と、国際協力・多様なプレーヤー間のグローバルな共創の推進及び調査分析というものがございます。特に国際的な観点のところですけれども、欧米等の宇宙先進国との各プロジェクト・プログラム等を通じた国際協力の円滑な推進に貢献するということと、アジア太平洋は中東等の地域における宇宙新興国との間で、産学官の多様なプレーヤーを含むグローバルな共創関係の構築に向けた機会を継続的に提供するということ、また、国際的な枠組みにおける政府の規範・ルール形成等の取組を支援するとともに、我が国との間での互恵的な関係の構築・維持及びグローバルな共創に資する人材の育成を戦略的に推進するといったことを記載してございます。
そのほか、後ろのほうになりますけれども、1点、情報セキュリティのところについて触れたいと思います。地政学的なリスクを含め、サイバー空間における国内外における脅威が高度化・多様化している現状を踏まえて、不断の検証の下、臨機応変に情報セキュリティ対策を強化・改善し続けていくということが必要だという中で、例えば、内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンターが実施する監査による助言や、サイバーセキュリティの技術動向・脅威動向、過去にJAXAが経験したセキュリティインシデントに対する原因究明の結果等を踏まえ、更に高度な攻撃に対応した最新の情報セキュリティ対策及び情報セキュリティ体制の強化を推進するという旨を明確に記載させていただいてございます。ポイントはこのようなところでございます。
概要資料の最初のほうのページに戻っていただきまして、5ページ目のところに、今回の目標の策定に当たりまして、細分化していた目標の大くくり化について、具体的にどのようなことをしたのかというのがこのページでございます。各法人の共通的な部分については大きく変えることができませんので、そこは残しておりますけれども、特にプロジェクト関係のところにつきましては、かなり細かくなってしまっていたところを、ここに記載のような形で再整理をしたということで、この整理につきましては、宇宙基本計画の項目との対応関係も踏まえた上でしているというところでございます。
それから、6ページ目は、冒頭に申し上げた政策体系図を記載しておりますので、御参照いただければと思います。
事務局からの説明は以上になります。
最後に、今回、このJAXAの中長期目標案の取りまとめをしていただきましたのは髙橋部会長でございますので、一言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【髙橋委員】 JAXA部会の髙橋です。
コメントさせていただきたいと思いますが、その前に、今、説明者の音声が少し聞こえにくくなるときが時々ありますので、それともう一つ、書類をめくる音がまだ改善されていないようですので、できましたら引き続き音声の改善をしていただけるとありがたいと思います。
まず、私のほうから、今回のJAXA次期中長期目標に関して、特徴的なことについてコメントをしたいと思います。
三つありまして、一つはJAXAのミッションの拡大ということです。令和5年6月に改定された宇宙基本計画において、JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化するという方針が打ち出されました。その方針に基づいて宇宙戦略基金という仕組みが創設され、JAXAが推進していくということになっております。従来から産業界や大学との宇宙開発支援は行ってきましたが、規模が全く異なりまして、またテーマも、国の宇宙技術戦略に挙げられた位置付けという認識をしております。
2点目ですけれども、説明ではあまり触れられていなかったのですけれども、マネジメントに関する項目の強化ということがあると思います。内部統制ですとかプロジェクトマネジメント、先ほどお話がありました情報セキュリティなどに関し、前期で発生した事案・課題に対し、リスクマネジメントの強化という観点から具体的な取組を記載しているというふうに思われます。
3点目ですけれども、これは内容ということではないのですが、7年前の中長期目標案の審議に比べますと、今回はJAXA部会の時間を十分取り、委員から多くの意見が出されました。それを反映していただいたというふうに思っております。
コメントは以上です。
【栗原会長】 それでは、ありがとうございました。ただいまの説明について御意見、御質問等ありましたら、御発言をお願いします。ベントン委員、どうぞ。
【ベントン委員】 私も宇宙産業の開拓は日本の国力を上げるためにとても重要であると思います。JAXAに期待します。
ここではあまりトピックスとして出てきていないのですが、JAXA単独ではなく、他の産業の参入もとても重要です。宇宙技術のコマーシャル化、また、社会に役立つものにするには、宇宙産業を育てなければならないです。JAXAは、経済産業省との連携でそのように宇宙産業を育てる計画があるのかをお聞きしたいです。よろしくお願いします。
【栗原会長】 よろしくお願いします。
【阿部宇宙科学技術推進企画官】 ありがとうございます。御指摘のとおり、JAXAにつきましては、内閣府、総務省、文部科学省、経産省の4府省の共管となりますので、様々な取組が進んでいると認識しております。
御指摘のあった産業面につきましては、特に今期、第4期の中で、JAXA自身がかなり幅広いプログラム・プロジェクトを立てながら進んできていたというところがあり、次期においては、少しそこも整理しながら更に強化しようという話をしているところでございます。
もう1点は宇宙戦略基金でございますが、これはJAXAが支援機関、宇宙戦略基金を活用して、ファンディングエージェンシー機能を持って分配していくということになりますけれども、これはJAXA自身が使う基金ではなく、民間企業・大学等が公募に手を挙げてやっていくということですので、産業界への波及効果も大きいものと思っております。
予算的にも政府として10年間で1兆円を積み上げていくということで、昨年12月の補正予算で第2弾の予算が措置されましたので、今、6,000億円が全体として措置されている状況にあります。これを活用しまして、宇宙産業を更に進めるための取組というものもこれから更に加速していきたいというふうに考えてございます。
【ベントン委員】 大企業、歴史ある企業の動きは結構時間がかかるので、アントレプレナーあるいはまだ若い企業をサポートすることはあるのでしょうか。それらの技術開発をサポートしているのでしょうか。
【阿部宇宙科学技術推進企画官】 ありがとうございます。JAXAの中ではJAXAベンチャーという取組もしておりまして、これまでも何社か実際にベンチャーとして立ち上がってきているというものもございます。また、先ほど御紹介しました戦略基金に関しましても、スタートアップ企業を含めて対応するような形になってございます。
加えて、JAXAの取組の中で、企業側、ベンチャー企業等が持っているニーズ、そういったものとJAXAが持っている知見・技術をどうマッチングさせる、そういったことを伴走しながら取り組んでいくというプログラムも走らせておりますので、こういった取組が更に、次期、強化できればと考えております。
【ベントン委員】 どうもありがとうございます。よろしくお願いします。
【栗原会長】 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ありましたらお願いします。浅見委員、お願いします。
【浅見委員】 浅見でございます。
先ほど部会長からのコメントの2点目にもあったように、マネジメントの強化というのが今回強調されているということ。これは非常に重要なところかなと思います。実際にJAXAが今後7年間で計画しているいろいろなプロジェクトをどう成功させていくか、成果を上げていくかということに関しては、多分、5ポツのところの5.1のところになると思うのですが、プロジェクトの規模がだんだん大きくて複雑化していったときにどうしても難度は高くなっていくと思います。システムズエンジニアリングとかプロジェクトマネジメントとかいうふうに書いてありますけれども、これをどうやって強化していくかというところは非常に重要で、民間なんかでも、プロジェクトの規模が大きくなると、こういうところは非常に苦労するところです。
しかも、JAXAが取り組むプロジェクトというのは、例えば、遠隔で全てやらないといけないとか、超高速運動を制御しないといけないとか、ますます難しくなっていると思うのですけれども、ここに挙げられているのは、推進しますとか取り組みますとかいうふうには書いてあるのですが、実際にどういうふうにこのシステムズエンジニアリングを強化していくか、あるいは、それを担う人材を育成していくかというのは、これは国としても非常に重要なことだと思うのですけれども、その辺について何か具体的に、こういうやり方で例えば人材を育成していくとかそういうようなことがもし計画であれば伺いたいと思います。
【阿部宇宙科学技術推進企画官】 ありがとうございます。御指摘いただいたマネジメントにつきましては、研究開発、プロジェクトマネジメントの観点のところかなと思いますけれども、御指摘があったとおり、本文のほうで言えば5.1の(1)の辺りになります。
ここの中では、担当部署から独立した立場での評価を行う、ということが記載しておりますけれども、JAXAは様々なプロジェクトを行っておりますので、ロケットの関係であったり衛星の関係であったり、または月等々のプロジェクトであったりということで、それぞれのプロジェクトによって性格が異なってくるところがございます。
一方で、具体的な計画については、JAXA自身がどうこれを捉えてやっていくのかというところがありますので、この場で詳細について申し上げることはなかなか難しいのですけれども、JAXAが最先端の研究をやる立場、宇宙開発等の中核的な機関としてやっていくという観点で、こういったマネジメントの推進という観点は非常に重要ですので、そこも含めてJAXAにおいて、色々な検討をしつつ、模索しながらやっていくことが必要かと思っております。
少し補足ですけれども、先ほど情報セキュリティの話もございましたので触れさせていただきますが、参考資料4の中で、JAXAの中長期目標期間終了時の業務及び組織の見直しの内容といった紙がございます。この中で具体的に次期中長期目標の方向性として指摘されている点が2点ございまして、一つが宇宙開発等の中核機関としての機能強化。ここは正に、プロジェクトマネジメントを含めていろいろな取組を強化するという研究開発機関としての機能強化という観点です。二つ目が、情報セキュリティ対策の強化を含む機構全体のマネジメント改革の推進ということで、こちらは研究開発マネジメントというよりは組織としてのマネジメントのような観点のところがございますけれども、JAXAは第4期において色々とありましたことを踏まえて、マネジメント改革に関する検討を開き、そのための報告書をまとめたということがございましたので、これをしっかりと次期、具現化していくということが重要だというところで、今回の目標の中でも、これを踏まえてということで記載をさせていただいております。
【浅見委員】 ありがとうございました。
【栗原会長】 髙橋委員から補足希望の手が挙がっています。
【髙橋委員】 JAXA部会の髙橋です。今の浅見委員の御質問に対してちょっと補足させていただきたいと思います。
直接プロジェクトマネジメントあるいはシステムエンジニアリング等の人材育成をどうするかということではないのですけれども、その背後にあるといいますか、その根本となるものが、業務量と人的リソースのマッチングにあるというふうに思っています。
今回、前期で様々な課題といいますか、プロジェクトの問題ですとかサイバー攻撃や、また研究不正ですとかそういった課題がありましたけれども、JAXAの中でマネジメント改革ということで、JAXAの中でいろいろ検証した結果挙がった声が、経営層が業務量とリソースをきちんと見ていなかったというような、そういった指摘がございました。
ですので、マネジメントの基本中の基本が、まずはベースとなる業務量と人的リソースをしっかりと経営層が把握して、そこを適切にコントロールしていくということからまず始めるということが、マネジメントの第一歩かなというふうに私は思っております。その上でいろいろなマネジメントに関する施策はあると思いますけれども、第一歩は業務量とリソースのマッチングから始めるべきではないかというふうに思っています。
【浅見委員】 ありがとうございました。
確かに、マネジメントが現場の実態とかけ離れた形で進んでいくと、これは問題が多々出てくると思いますので、そこのところはまず基本中の基本としてやるにして、プロジェクトマネジメントの高度化への対応については是非、非常に重要な項目として、単に後から評価して、評価項目で評価したら足らなかったですというのではなくて、難しいプロジェクトでも成果がきちんと出るような形で、マネジメントのスキル等の育成とも含めて政策等でもし支援できるのであれば、それは国の側からも考えていくべきことかなと思います。是非ここは重要なポイントだということで留意して進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【阿部宇宙科学技術推進企画官】 御指摘ありがとうございます。人のところは大変重要な点でございまして、これで十分かという議論はあるのですけれども、目標の中の21ページ目のところに、宇宙航空開発の基盤となる人的資源の拡充・強化を図るため、機構の人員拡充に着実に取り組むということを一言書き込ませていただいております。こういったことも踏まえて、国としてもしっかりJAXAを支援していくということかと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【栗原会長】 ありがとうございます。
実は、私も同じような点で、非常に業務が幅広くなっていて、従来の体制のままでこんなにたくさんのことができるのかと疑問に思っていましたので、今いろいろなコメントをいただいたところは非常に重要と思います。中長期目標に1行ぐらい足してもいいかとも思いますが。これに関しては、髙橋委員はいかがですか。でも、十分に御検討いただいたのですから、そういう議論はされているということですよね。
【髙橋委員】 中長期目標の内部統制のところに、私が先ほど述べた課題について触れている部分があるかと思いますけれども。内部統制、通しページでいくと27ページでしょうか。その他の業務に関する重要事項、1.内部統制というのがありますが、その1の内部統制の中に、3行目の後ろから、「その際、機構が実施する業務量を踏まえて、人的資源を含めた機構のリソース管理を適切に行いながらマネジメントを実施する」というのもありまして、これは実は当初なかったのですけれども、この文言を入れていただいて、JAXA自らがまず業務量とリソースのマッチングを図るということをしていただくということで、ここから第一歩を進めていきたいなというふうに思っています。
【栗原会長】 よく分かりました。今回、この部分がきちっと議論されたこと、実際の運営にも議論の結果をよく生かしていただくようにお伝えいただければと思います。ありがとうございます。
次、伊地知委員、お願いします。
【伊地知委員】 ありがとうございます。伊地知です。
今議論されているところと同じですけれども、一つ前の議題で理研についてありました。これはもちろん法人が違い、行っていることが違うので、当然、中長期目標の作られ方というものも、独立行政法人通則法の中であれば、違いはあるかなというところなのですけれども。ただ、理研の方では組織をどのように運営をしていくのかというようなところで一つ大きな項目が立てられているという中で、こちらのJAXAのほうは、研究活動の内容が非常に多岐にわたっていらっしゃるということで、それぞれ項目が立っているというところかなというように思います。
その中で、先ほど、資料で言うと2ページにあったところのマネジメント改革の推進といったことで、例えばコーポレート機能の強化などということで、その具体的な内容として部会長から御説明いただいたように、内部統制であるとか、あるいはプロジェクトマネジメントに関することが具体的に項目として立てられているというところかと思います。
この内部統制について、つまり、個々の研究開発そのもののところは、それぞれプロジェクトを進められているところはそうだと思うのですけれども、法人の中で、これらの活動をどう全体として取りまとめていくのかといった、理事長あるいはその周りの方々がどのように取り組まれているかということをどこで見ていくかということで言うと、今の内部統制ということで言うと、これはローマ数字6に当たる。ローマ数字6に当たると、別添2ということで、通し番号で言うと30ページから40ページにあるのですけれども、評価指標とかモニタリング指標だとかそういった項目が入ってこない。
そうすると、毎年活動されたときに、今の例えばローマ数字6のところがどのように進展をされているのかということを、法人としての自己評価、さらに、部会としての外部評価ということがしづらくなってしまうのではないかというようにも思われるのですが。そこで言うと、どうしても5.1のプロジェクトマネジメントのところで見るということになってくるかと思うのですけれども。法人として全体を見るというところをどのようにこの中長期目標の中で書いたらいいのだろうかというところを、冒頭申し上げた理研との比較ということを思ったものですから、発言させていただきました。
【栗原会長】 ありがとうございます。今の法人全体のマネジメントが非常に重要だという観点から、例えば、別添2の評価軸や評価指標の中にそういうような項目がどこに入っていて議論されるのかという御質問だったと思うのですけれども、それに対してはいかがでしょうか。
【阿部宇宙科学技術推進企画官】 ありがとうございます。プロジェクトマネジメント等々については、評価軸のところで言いますと通し番号38ページ目のところの5ポツということで、指標についても定めております。一方で、内部統制等々のところについて、直接的な記載は無いところでございますが、ただJAXAにつきましては、マネジメント改革の報告書を出した上でそれをしっかりやっていくということを明確にしておりますので、指標との対応ということとは別にしっかりとフォローしていく方向で事務局において考えてございます。
【栗原会長】 分かりました。そうすると、実質的にはそういう形でされている。ただ今、法人の目標の中には明示的には入ってないということですかね。今、髙橋委員から手が挙がりました。
【髙橋委員】 よろしいでしょうか。
【栗原会長】 どうぞ。
【髙橋委員】 JAXA部会の髙橋です。今、御指摘のとおり、中長期目標の中で、法人全体のマネジメントに関する項目ですとか、あるいはどう評価するかということは、記載は無く、個別の項目にわたっているわけですけれども、実際実務として、年度評価ですとか、期間評価の中において法人全体の評価というのがあるのです、個別の項目の最初に。法人全体の評価は、理事長の評価にもつながりまして、マネジメントですとか、リスクマネジメントに対して、どう理事長として全体をマネジメントしていきたかということは、当然評価の対象になると思っています。今までも対象として評価してまいりました。
ですから、確かに中長期目標の中に具体的な項目としては入ってはいませんけれども、今までのプロセスの中においては、きちんと法人全体の評価の中でマネジメント評価、さらに理事長のマネジメント評価ということを指摘してきておりますので、そこで補完してきたということで、これからもそのやり方でよければ踏襲してもいいのではないかというふうに思っておりますけれども。
【栗原会長】 いかがでしょうか。その考え方で、それぞれの法人で少しずつやり方が違いますが、全体としてここで御報告を伺っている今までの経験では、あまり違和感がなく、法人全体の活動も個別の活動も御報告いただいていると思います。今のような御説明で、JAXAはされていると。ただ、ファンディングに近いことから、社会貢献や技術開発と非常にJAXAの業務が広がってきているので、今回の議論等を踏まえて、次の準備をされるときには検討いただければと思います。
今の髙橋委員の御説明もありますし、特に今ここで大きく案を変えるということではないですが、新しい観点として今回議論したということで、今後、検討をお願いいたします。
ほかにあればお願いします。
【中川会長代理】 すみません、仕事を増やすような話をして大変申し訳ないのですが、究極の自然災害とも言えるような小惑星の衝突に対する活動、ここにプラネタリーディフェンスという言葉が書いてあります。まだ日本では政策的にはちゃんと位置付けられておらず、これまでアメリカとかヨーロッパを中心にやっていたと理解しています。そこに「はやぶさ」の成果等が生かせるという話も入ってきて、JAXAがやっている研究が地球を守っていくことに役立つ。そういうことも視野に入れつつという書き方をしていただいていて、防災を所管する法人を見ている部会としてちょっと気になったので、質問いたしました。国際的に確固たる立場を維持・向上させるためにはすごく大事なことを書いていただいていると思ったのですが、研究のところから、どうやって宇宙基本計画等に、どうやって入れていくのかとか、欧米だけでなく平和国家日本だからできる宇宙への貢献と言えるような検討テーマだと思います。何か部会で議論されたのか。それともJAXAさんの方で、文科の方で考えていることとか、今、これは文科だけでなくて全体で考えていることがありましたら、ちょっと防災の方に持って帰る話としてもお伺いできればと思ったのですが、いかがでしょうか。
【阿部宇宙科学技術推進企画官】 ありがとうございます。今、御指摘の部分は12ページの真ん中あたり、冒頭も少し触れさせていただきましたけれども、プラネタリーディフェンスについて記載をさせていただいております。JAXA自身としては、そういった国際的な取組の中に自分たちの知見、技術をいかに使えるか、貢献していくかというところかと思いますので、政府や世界的な枠組みの中でのミッションなり、本格的に検討すべきことが出てくれば、その中でしっかりとJAXAとしても、役割を果たしていくということになりますので、こういった点も視野に、国際的な立場、国際的な貢献というところを、今回この目標の中でも明確にさせていただいております。
【中川会長代理】 ありがとうございます。ニーズとして、JAXAにやれという話は当然だと思うのですけど、研究開発法人だからこそこういうことができるという話が言えたりするのではと思います。是非そういう研究分野でこれだけできる、日本の宇宙政策でこういう国際貢献ができるというようなことが、国民に対して見えるようになっているのは心強いことだと思います。そうなるとまた政府としての考え方も出てくるかと思います。日本らしい宇宙開発の成果、貢献だと思いますので、それがちょっと防災屋として気になったのでコメントしました。
以上です。すみません、時間延ばしました。
【栗原会長】 それでは、ほかにございますか。
特に御意見なければ、今いろいろ期待もたくさん出ましたが、この文案を特に変更というような修正の御意見はなかったというふうに考えますので、宇宙航空研究開発機構の次期中長期目標案に関しては、原案の内容をもって了解したことを審議会の意見としたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原会長】 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。御説明ありがとうございました。
以上で、議題1を終了いたします。実は、25分ぐらい遅れております。ということをちょっと頭に置いていただければ幸いでございます。
それでは、議題2、中長期目標の変更について、に入ります。今回は、物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、日本原子力研究開発機構の中長期目標の変更案が審議の対象になります。各部会事務局より御説明いただき、それぞれについて質問の時間を設けますので、よろしくお願いします。
まず、物質・材料研究機構の中長期目標変更案について、NIMS部会事務局より御説明をお願いいたします。御説明は、ナノ材の宅間参事官がしていただけるということです。よろしくお願いします。
【宅間参事官】 ナノテク・物質・材料担当参事官の宅間でございます。NIMS部会の事務局として御説明申し上げます。
国立研究開発法人物質・材料研究機構の中長期目標の一部変更につきまして、でございます。主といたしまして、そちらの資料にもございますとおり、研究セキュリティ・研究インテグリティの観点での変更となります。こちらにありますが、近年の研究活動の国際化、またオープン化等に伴う新たなリスクの顕在化や他法人におきます情報漏洩事案等の発生なども踏まえまして、研究セキュリティ・インテグリティ確保の対策の必要性が重要視されているところでございます。
3ポツにございますが、この状況を踏まえまして、内閣府において取りまとめられました国立研究開発法人の機能強化に向けた取組につきまして、関係省庁申合せといたしまして、各国立研究開発法人において、中長期目標・中長期計画に研究セキュリティ・研究インテグリティの確保に関する事項を位置付けるということが示されております。国際的に信頼性のある研究環境を構築するとともに、研究者が安心して研究できる環境を守るため、以前から進めてきた研究活動におきます不正行為への対応や安全保障貿易管理などを踏まえた対応に加え、機微技術・情報の漏洩への適切な取組をはじめとした研究セキュリティ・研究インテグリティの確保に関する対応などを行うことが不可欠というようにされております。
NIMSにおきましては、これまでも安全保障貿易管理への対応をはじめとしまして、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保に取り組んでまいっておりますけれども、今般のこの申合せを踏まえまして、特定研究開発法人としてしっかりと対応し、期待される世界トップレベルの成果を創出していくために一部変更をさせていただくものでございます。
具体的には新旧対照表も付けさせていただいておりますけれども、研究開発業務に関する項目でございます。ローマ数字の3の部分に具体的な取組を含めて明記いたしますとともに、業務運営に関する項目であるローマ数字の4の部分につきましても、同様に修正をさせていただいてございます。その他の用語の整理の修正も、この際に併せてさせていただいております。
説明につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。
【栗原会長】 ありがとうございました。
今の御説明に対して質問、御意見等あればお願いいたします。政府方針に非常に迅速に対応いただいてありがとうございます。
無いようですので、政府方針を踏まえた改定ということですので、これの変更に関して特に異議がないということで、この案を承認するということで審議会意見とさせていただきますが、よろしいでしょうか。
それでは、宅間参事官、ありがとうございました。
【宅間参事官】 ありがとうございました。
【栗原会長】 それでは、続いて防災科学技術研究所の中長期目標変更案について、防災科研部会事務局より御説明をお願いいたします。大慈弥防災科学技術調整官から御説明いただきます。よろしくお願いします。
【大慈弥防災科学技術調整官】 研究開発局地震火山防災研究課の大慈弥と申します。それでは、資料2-2の国立研究開発法人防災科学技術研究所の中長期目標の変更についてということで御説明させていただければと思います。
今回の変更ですけれども、3点ございます。一つ目ですけれども、火山調査研究推進本部(火山本部)の設置に伴う変更、そして二つ目、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保の徹底に伴う変更、こちら冒頭に御説明があったものの変更でございます。3点目、そのほか時点更新ということで、3点御説明させていただければというふうに思っております。
1点目でございますけれども、改正活動火山対策特別措置法ということで、これは議員立法でございまして、これに基づきまして、昨年令和6年の4月1日に文部科学省に火山調査研究推進本部(火山本部)が設置されたことを受けまして、火山本部への貢献及び火山本部の方針に基づき、防災科研が担う火山活動の調査観測・解析の役割を明確に位置付けるというものでございます。
参考で政府決定の該当箇所抜粋ということで掲載させていただいておりますけれども、特に火山の噴火が切迫した状況、あるいは火山が噴火したときというところに、機動的に調査観測の解析を行っていくのか、どういうことについて機動的な調査観測・解析の実施ができるのかというところで、火山調査研究推進本部の火山調査委員会の方針の下に、下の参考でございますけれども、下線にあるとおり防災科学技術研究所において、関係する機関と連携して「機動的な調査観測・解析グループ」を設置するということで、主たる役割を防災科研に担っていただくことが決定されたという状況でございます。
その次のページの参考にもございますけれども、そちらは調査観測計画の要点ということで、資料2-2の2ページのほうにも下線で載せていただいておりますけれども、一つ目の(1)のところにもございますとおり、ここでは常時観測点といった防災科研が持っている観測点等によって調査観測を実施するとか、下の下線でございますけれども、機動的な調査観測ということで、関係機関と連携して緊急時に即座に機動的な調査観測・解析を実施するための体制整備について決められたというような状況になっているということでございます。
この話を受けまして、次のページの3ページに新旧対照表を付けさせていただいております。資料2-2の3ページでございまして、資料2-2、3ページから三つほど追記している部分がありますので、順番に御説明させていただければと思います。
火山本部設置に伴うもので3か所追記しており、一つ目は、政策体系による法人の位置付け及び役割というところの赤文字の部分でございますけれども、令和6年の4月1日に設置された火山調査研究推進本部の方針の下で実施される我が国の火山調査研究ということで追記させていただいているというところと、もう一つ、ローマ数字3のところの赤文字の部分でございますけれども、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項、そしてレジリエントな社会を支える研究基盤の運用・利活用の促進というところでございますけれども、ここに火山調査研究推進本部を追記してはどうかということで記載させておいていただいております。
そしてもう一つ、これに関する記載がございまして、次のページの4ページ目でございますけれども、下のほうの赤文字の部分でございます。これは防災行政への貢献というところの部分でございますけれども、「平時においても地震調査研究推進本部」の後のところでございます。火山調査研究推進本部というところの部分を追記させていただき、そしてその下にあるとおり、火山調査研究推進本部の方針に基づき、関係機関と連携して機動的な調査観測や解析を実施する体制を整備するということで記載させていただいているという状況でございます。これが一つ目の改正の部分でございます。
また戻りまして、資料2-2の1ページの部分の説明をさせていただきます。2ポツ目の研究セキュリティ・研究インテグリティの確保の徹底に伴う変更ということで、会議のはじめの方で御説明ありましたとおり、「国立研究開発法人の機能強化に向けた取組について」ということで関係省庁の申合せにあったとおり、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保について中長期目標に明確に位置付けるということとされたことを踏まえまして、研究セキュリティ・研究インテグリティに関する追記を行ったというものでございます。
新旧対照表でございますけれども、資料の2-2の5ページのところを御覧いただければと思います。国民からの信頼の確保・向上の(4)で追記をさせていただいているということでございます。研究セキュリティ・研究インテグリティの確保、国の方針等を踏まえ、機微技術・情報の流出防止措置などの研究セキュリティ・研究インテグリティの確保を徹底するための適切な対応を講じるということで追記させていただいているというところでございます。
また資料戻りまして、1ページ目でございますけれども、そのほかの更新という部分でございます。内閣府が令和6年から新総合防災情報システムという、これはSOBO-WEBといって、災害情報を集約して整理してほかの機関に提供するというものでございますけど、これを新たに運用したことを受けまして、防災基本計画という、中央防災会議が決定しているものでございますけれども、これが令和6年6月28日に更新されたことに伴う修正を行ったというところで、位置付けをアップデートいたしまして、災害時の情報の集約をはじめとする関係機関への適切な情報提供を行うことということを書くということでございます。
これが新旧対照表で言うと4ページでございまして、4ページの上の部分の赤文字でございますけれども、防災行政への貢献ということで、「内閣府により、令和6年度からSIP4Dの主要機能を採用した新総合防災システム(SOBO-WEB)が運用開始され、防災基本計画に位置付けられたことも踏まえ」というところを追記させていただいているところでございます。SIP4Dの主要機能を採用したというふうに書いておりますけれども、右の方の(旧)の方を見ていただければ、当初、防災基本計画に総合防災システムと並んでSIP4Dもというところであったものを、ここの位置付けが、SIP4DがSOBO-WEBに実装化され、情報流通の機能の部分がこの中に取り入れられたというところから、このような記載にしたというような背景で記載させていただいています。
そして、赤文字の5行目下に「SOBO-WEB及び」というところで、災害情報収集の支援チームということで、指定機関として防災科研もやっていますけれど、その方々をはじめとする関係機関への適切な災害対応のための情報提供を行うということとしてはどうかということで、ここも更新して追記をしているという状況でございます。
以上が3点の変更点というふうになっておりますけれども、そのほかにもこういった取組をしていくに当たっては、予算的な措置も行っております。
もう一度1ページ目を御覧いただければというふうに思いますけれども、特に言葉としては書いていませんが、一つ目の改正の火山本部の連携に必要な人員体制の強化や、2つ目の研究インテグリティ確保のための組織体制の強化についても、令和7年の予算案に計上を行っているという状況でございます。
以上で説明となります。
【栗原会長】 どうもありがとうございました。
【中川会長代理】 補足させていただいていいですか。
【栗原会長】 では、どうぞ。
【中川会長代理】 部会長の中川でございます。ちょっと補足させていただきます。
今、事務局から大方の話をしてもらったのですが、実は部会でもその話になりまして、小さい防災科研という法人が、新しい火山本部の裏方をやれということを、計画になかったこと、議員立法で出たことですので、あんまり飲み込むのは無理であるということで、幸いなことに運営費交付金を、今、この時代なかなかあれですが増えているということで、我々も安心して更新をやるべきというふうに考えたところです。
なかなかこれまで火山というのは、大学とか研究所とかそれぞれがちょっと持ち山みたいなのがあって、あまりちゃんとみんなでやってこなかったところがあったのですが、防災科研も決してそこで立派な支えはできてなかったのですけれども、これで研究開発法人らしい、全国の火山観測を支えていく。御存じだと思いますけれども、気象庁が火山噴火予知連というやや中途半端なという言い方はおかしいですけど、権限がはっきりしていなかった組織機関をやめて全部こちらをこの火山本部に持ってきて、そこの実務的なことを防災科研が支えるための更新ということになっていますので、私もあれですけれども、皆さんもこういうことをちゃんとできているのかということで、注目していただければと思います。そういう意味での大きな変更でございます。
更新の三つ目も、御存じのとおりS評価をいただいたところが大きな背景にあります。法人が変わってちゃんとこういう国の政策のど真ん中に入ったということを、ようやく計画の方も書き換わったので、こういうふうにこちらの研発の計画のほうも書き換わったという形になっています。
私からの補足は以上です。
【栗原会長】 ありがとうございました。S評価が応援になったのは何よりです。
何かほかに御質問、御意見などありましたら。伊地知委員、お願いします。
【伊地知委員】 全く形式的なところで恐縮です。2点あるのですけれども。1点は単なるコメントです。通し番号の3ページのローマ数字1の中で付けられた赤線のところですが、火山調査研究推進本部という一種の組織のところが書いてあり、その前に令和6年4月1日に設置されたという、本文中にいつ設置されたというところがあります。何かそこは、こういった文章ではいつ設置されたかまでは書かなくてもいいのかなと思いつつ、それでも恐らくこの本部が置かれて、かつ防災科研で今御説明いただいたような役割があるという、そういった思いが反映されているのかなというように思いまして、そこはそうなのかなというように思ったというだけです。
2点目は、最後の通しページでいうと研究セキュリティ・研究インテグリティの確保なのですけれども、冒頭「国の方針」とあるのですが、先ほどの物材機構、それから後に原研でも、先ほど文言の調整で「政府方針」というようにされたということがあるので、これを合わせるのであるとすると「政府方針」と思うのですが、いかがでしょうか。
【栗原会長】 いかがですか。
【大慈弥防災科学技術調整官】 政府の方針と、こちら、そうですね。
【栗原会長】 例えば、さっきのNIMSの例ですと、政府方針を踏まえつつと。
【伊地知委員】 NIMSは政府になっていますね。物材機構で言うと資料2-1の2ページ目、3ページ目で御説明があったところ。
【浅見委員】 省の方針として「政府」との記載で統一するというふうに私は伺ったので、省の方針なのかなと。
【伊地知委員】 であるとすると、一貫して共通しているのかというように思ったところです。
【浅見委員】 別にどちらか決めてもらえればどちらでもいいと思います。
【栗原会長】 これはどうですか、事務局のほうで何かこっちのほうが適切な文言というのはあるのですか。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】 基本的には同じような書きぶりにしたいとは思いますけれども、ちょっとほかのところも確認した上で対応させていただければと思います。
【栗原会長】 どちらでも意味は分かると思うのですが、いろいろな表現だと何となく混乱しますので、よろしくお願いします。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】 承りました。
【中川会長代理】 せっかくいじるチャンスなので、そろえる方向でできればいいかなと防災科研のほうも思いますので、そこは承認していただくときに確認してという格好でしておいたらいいですかね。
【栗原会長】 はい。
【大慈弥防災科学技術調整官】 かしこまりました。そこは並びということでそろえたいと思います。
【栗原会長】 1点目の方はそう思って見てきたけれども、分かったということですね。1点目に日付が入っているのはちょっと違和感があったけれども、今回ここで御説明を聞いたら思いがよく納得できたので、これで結構でしょうという御意見だったと思います。
【大慈弥防災科学技術調整官】 こちら正に我々の思いで昨年設置されたというところがございまして、それにちゃんとしっかりとやっていただきたいという期待を込めまして、このような書き方にさせていただいております。
【栗原会長】 ほかに御意見後、御質問等ありますでしょうか。
今、社会的な様子ですとますます防災科研重要になってくるでしょう。
それでは、今、国の方針、政府方針とかいろいろありましたが、これは他の法人も含めて事務局で検討いただき、修正については会長一任とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。他の部分に関して御意見はなかったということで、審議会の意見としたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原会長】 では、ということで対応したいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうも御説明ありがとうございました。
【大慈弥防災科学技術調整官】 ありがとうございました。
【栗原会長】 続いて、日本原子力研究開発機構の中長期目標変更案について、JAEA部会事務局より御説明をお願いいたします。
【山本委員】 それでは、まずJAEA部会の山本から、概要について御紹介させていただきます。
今回の中長期目標の改定につきましては2点ありまして、一つが福島国際研究教育機構いわゆるF-REIに放射線モニタリング関係の業務を移管すること、これが1点目でありまして、もう1点目が、先ほどから議論がありました研究セキュリティ・研究インテグリティに関する追記ということになります。
内容につきましては委員会で議論いたしまして、妥当であろうということ。あとF-REIの連携につきましては、相乗効果を発揮するために福島県F-REIとJAEAがしっかり連携していただきたいと、そういう意見がありました。
詳細につきましては、事務局さんのほうから説明よろしくお願いいたします。
【栗原会長】 よろしくお願いします。
【生方原子力課長補佐】 ありがとうございます。それでは、資料2-3に基づきまして、事務局の研究開発局原子力課の生方ですけれども、私の方から御説明差し上げたいと思います。
資料1ページおめくりいただきまして、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の中長期目標の変更についてということでございます。こちらは変更の必要性が生じたため、令和6年度中に変更指示をすることとするとしてございますけれども、今回変更する2点、いずれも過年度に決定されております政府文書、あるいは申合せを基にして所要の変更を行うものということでございます。
まず、1点目でございますけれども、福島国際研究教育機構(F-REI)への機構業務の移管に伴う変更でございます。F-REIの方は、令和5年度に創設し、活動を開始してございます。これに先駆けて、令和4年3月29日に福島国際研究教育機構基本構想が策定されているというところでございます。JAEAにおきましては、従前、放射性物質の環境動態に関する研究及び環境モニタリングに関する研究、この二つの方を実施してきたというところでございます。このうち放射性物質の環境動態に関する研究がF-REIの方に統合されるということでございまして、統合の方が令和7年4月に行われるということでございますので、この業務に関する記載をF-REIに移管するために、JAEAの中長期目標から除くというふうな改正を実施するものでございます。
具体の変更内容は下に新旧の様式で示してございますけれども、具体的な変更箇所は、この資料の下の方でございます。変更前につきましては、森林、河川域などの広いフィールドを対象とした放射性物質の環境動態に関する研究を行うとともに、その成果を基に放射線量の可視化及び将来予測が可能なシステムを提供すると、これが環境動態とモニタリングそれぞれを指す文言になってございますけれども、このうち環境動態の方を除くという改正を行いまして、右側変更後にございます、避難指示区域解除や廃炉作業が進む中で、原子力発電所周辺環境等への影響評価や避難指示区域におけるモニタリングが今後より重要なものになることに鑑み、関係機関と連携しつつ、モニタリング技術の最適化及び地元自治体などへの情報発信等に取り組むという、こういった改正の方をさせていただきたいと思ってございます。
また、このほか用語の整理の方も併せてさせていただいているという趣旨でございます。
また、2点目の方につきましては、ページ2つおめくりいただきまして、これまで本日の物材機構でございますとか防災科学技術研究所の御説明でもございましたけれども、関係府省の申合せも踏まえまして、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保を追記するということでございます。
こちらも元々JAEAの方でも核物質を取り扱っているという都合、非常にセキュリティに関しては取り組んできたというところでございますけれども、また別の観点からの機微技術・情報の流出防止措置等を講じていくということを明確にするために、今回、目標にも位置付けるという改正を予定してございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
【栗原会長】 山本委員、生方課長補佐、どうも御説明ありがとうございました。
それでは、何か質問、御意見等ありましたらお願いします。
全体の体制変更の中で出てきた変更ということですので、特に御意見等なければ、原案どおりでよろしいでしょうか。
それでは、そのような背景で出てきた変更ですので、今の御説明の日本原子力研究開発機構の中長期目標変更案については、原案の内容をもって了解したことを審議会の意見としたいと考えますが、よろしいでしょうか。
では皆様、御異議がないということで、そのように対応させていただきたいと思います。どうも御説明ありがとうございました。
【生方原子力課長補佐】 ありがとうございました。
【栗原会長】 どうも皆様、御協力ありがとうございました。実はかなり時間回復しまして、ほぼ予定に近い時間になりました。御協力ありがとうございます。御説明簡略にいただきまして、ありがとうございました。
それでは、本日の議題全体に関する意見交換としてご意見ありましたら御発言をお願いいたします。議論の中でも共通のところに関する御意見もかなり出ていたと思うのですが、議題1及び議題2を通して法人共通の項目、評価する側の視点での目標設定に係る記載や研究セキュリティ・研究インテグリティの記載などについての御意見などもございましたら、今いただければと思いますので、よろしくお願いします。
【中川会長代理】 では、1点よろしいですか。
【栗原会長】 どうぞ。
【中川会長代理】 中川でございます。防災科研部会の方では、研究セキュリティ・研究インテグリティの項目は管理のところに入っているだけなのですけれども、当然のことながら、研究の現場の評価のところにも視点として入らなきゃいけないところで、実際に他法人の場合だとそういうような入れ方をしていたりするとか、そこでもちゃんと見ますよということを書かれていたりするので、そこは今後、実際にこれを評価軸の中に入ってくる中で、是非、情報共有していただいて、防災科研のような小さい法人だとどうしても管理のところに取りあえず書いておくだけになっているのですが、フィードバックして、自己評価にも生かしていけるといいかなと思っているのですけれども、その辺、御協力いただければ幸いという話を私の方から申し上げておいて、今後、次年度の評価には私はいないので、また皆さんからいい情報をいただきたいというお願いでございます。
【栗原会長】 今の御意見ですけれども、何か付け加えて、やっぱり研究セキュリティ・研究インテグリティのところをどう入れるのかはなかなか難しいところだと思いますが、組織としてまず重要性を、研究者のレベルから全部認知いただくことと、個別の課題を特定するところは研究現場でなかなか難しいところがあると思うが、具体的な検討の積み重ねで適切な形ができるのかと思います。
研究マネジメントが非常に重要だということが、この場合、非常に明示的に出てきていますので、特に特定法人の活動に先駆けて形をつくっていただくことを期待したい。
【山本委員】 山本ですけど、よろしいでしょうか。
【栗原会長】 どうぞ。
【山本委員】 研究セキュリティと研究インテグリティの話が出てまいりまして、私は専門分野が原子力ということもあって、多分取組としてはほかの分野に比べてかなり進んでいるというふうには思っています。一方で、やっぱり今後、ほかの分野もそういう取組をしっかり進めていった場合に、どのような形でクリアランスとか認可を取るかというところが実務上の課題になってくると予想します。原子力の場合だと、大雑把に言って年単位の時間がかかるのですね、やっぱり。そうすると、なかなか特に海外との研究の連携で機動的な動きをするというのは結構難しい状況になっています。ほかの分野にも多分類似の動きが波及していくとすると、国としてそういう認可をできるだけ短時間に効率的に取るという仕組みを整備していく必要があるかなと思います。
私の所感だと、例えば原子力、JAEAの場合だと、文部科学省と経産省と外務省にわたる交渉が必要になりまして、やっぱりちょっとそういうふうに省庁間に手続が渡るとどうしても時間がかかるのです。なので、研究者の立場からは、ワンストップでそういう手続ができるような仕組みを作っていただく、あるいは作る必要が今後生じるのかなというふうには思いました。ちょっと今後の課題だと思います。
以上です。
【栗原会長】 ありがとうございます。御意見、できればぜひ長田さんにもお伝えいただければと思います。ほかに何かありますでしょうか。
【中川会長代理】 すみません、中川です。今の多分、山本さんのような原子力の立場だと、すごくややブレーキ的に働くのだと思うのですけど、多分理研のようなところでは、もうちょっとドライブかけて国際的にいろんなことをやっていかなきゃいけないところにあるところで、是非、研発の中でのノウハウの共有とか、知恵の共有みたいなのをうまくやっていく、そんなことを多分、特定研発がどうしていくかを現場で知恵を出していただきながらお互い共有していく、そんなことも特定研発のところには是非旗振っていただけると、弱小研発としてうれしいなと思うところでもあります。これもコメントです。
【栗原会長】 技術的なところと、基礎研究のところで、同じような形ではなかなかできないのかなと思うので、何にでも活用できるとはいえ、あまり広げてしまうと基礎研究が非常にやりにくくなるかもしれないですし、技術課題に関しては割とはっきり分かると思いますが、境界のところは難しいですよね。
意見交換の時間もありますので、この話題に関しましてはまた再度、次回議論する時間もあるかと思いますので、このくらいにしておきたいと思います。貴重なご意見、ありがとうございました。本日の議論、担当の部署にもお伝えいただいて、また今後、研発法人審議会の中での議題として、やっぱり丁寧に扱っていくべきものだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上で、議題2は終了いたします。
最後に議題3、その他に入ります。本日の審議会を通じて、御意見や御要望がありましたら御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
この審議会はあと1回開催を予定していただいていますが、最後の1回は、毎期の最後にやっておりますように、今期の申し送り事項の議論をしたいと考えております。特に今期は、10年務められた委員の方が多くて、そういう方々が一斉に退任するという特殊な状況でございます。それで、特に研発法人が立ち上がったときから、この審議会でいろんな議論をしてきた委員の皆さんと、ぜひ次に残したいメッセージや、あるいはこんなところでこう考えてこういう評価をしたとか、例えばJAXAではプロセス評価についての議論を大分していただいたなどいろいろあり、そういうものも記録として残せないかと思っておりますので、各部会の委員の先生方、よろしくお願いします。
そういう意味では、引き継ぐ方々にもなるだけ御参加いただけるとありがたいなと思います。当審議会は、委員が意見交換して結論を出すということに非常にこだわって10年間やってきたと思いますので、それを是非きちんと引き継げるように、次の1回は皆様の御意見をまとめてきていただいて、時間の中でそういうメッセージがいい形で、伝えられるようにと願っておりますので、よろしくお願いいたします。
【中川会長代理】 1点いいですか。まさに同じ思いで、防災部会でも、ここに出てくるのは、私と、それから国崎さんの2人だけなのですけど、ほかの防災部会の委員の方にも引継ぎの紙をもう1回読んでもらって、この間やってきたことで、あそこに書き切れていること、書き切れてないことをちょっとコメントくれというふうに申し上げてあって、それを事務局と一緒にちょっとまとめて、また次に間に合うように、何らかの形で御報告しようと思っていますので、各部会ではやっぱり特に長くいらっしゃった先生方のところの、部会のほかのメンバーの方、きっと残っていかれる方も結構多いと思うので、そういう形でボールを投げていただいて、できるだけせっかくのいろんな形で議論した目標みたいなものを残していければなと思っています。
【栗原会長】 時と共に具体的な活動は変わり、重きを置くべき重点事項も変わると思うので、個別のことよりは、どっちかというときちっと事象を見ながら議論をして、より法人が発展するための評価という、シンプルな理念を実際の事例とともにお伝えして、方針を共有できれば、良い意見を持った委員の方々が参加されると思うので、新しい形もあると思いますが、形式的にならない評価というのを是非続けていただきたいと思っています。
何かほかにもありますか。全体について、次回こういうところをもう少し議論しておいたほうがいいのではないかという観点がありましたら、今出しておいていただければ皆さんに考えていただけると思うので、よろしくお願いします。五十嵐委員、ありますでしょうか。
【五十嵐委員】 いえ、栗原先生がおっしゃったことで。一つあるとすると、やはり研究インテグリティ・研究セキュリティの話ですかね。そこのところ、今日は各部会から全体までまとまった話が出てきました。今日お聞きしたところとそうでないところもあるので、そこのところの話が聞ければいいと思いました。
【栗原会長】 今日御説明を聞けて大変よかったと思うのですけど、それを踏まえて、何か意見交換があれば、またできればと思います。新しい話題ですので。
ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次回はよろしくお願いします。
それでは、最後に、事務局から連絡をお願いいたします。
【仲科学技術・学術戦略官付補佐】 長時間にわたりまして御審議いただきまして、ありがとうございました。
今回の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、各委員に御確認いただいた後、ホームページにて公表いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日、一部確認することがございますが、基本的に御了解いただきました次期中長期目標案並びに中長期目標変更案につきましては、独立行政法人通則法に基づきまして、2月中に総務省独立行政法人評価制度委員会への諮問、財務大臣への協議を行った上で、2月末までに文科大臣から各法人に指示し、それを受けて各法人が中長期計画を作成又は変更し、3月末までに文部科学大臣の認可を受けられるように作業を進めてまいります。
なお、特定国立研究開発法人であります物質・材料研究機構と理化学研究所につきましては、総合科学技術・イノベーション会議にも諮問を行います。
次回は第5期文部科学省国立研究開発法人審議会としての活動についての取りまとめ等を御議論いただくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。議題及び日程等につきましては、後日事務局よりお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
【栗原会長】 どうもありがとうございました。皆様の御協力によりまして、予定どおりちょっと早めに終了いたしました。それでは、これで第32回の文部科学省国立研究開発法人審議会を閉会いたします。皆様、御協力どうもありがとうございました。
科学技術・学術政策局研究開発戦略課評価・研究開発法人支援室