国立研究開発法人審議会(第20回) 議事録

1.日時

令和3年4月27日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 会長及び会長代理の選出について【非公開】
  2. 第4期の審議の進め方について
  3. 今後の主務大臣評価において留意すべき事項等について
  4. 令和2年度国立研究開発法人調査委託事業について

4.出席者

委員

栗原会長、中川会長代理、浅見委員、五十嵐委員、江川委員、国崎委員、古城委員、佐々委員、篠藤委員、高木委員、髙橋委員、波多野委員、ベントン委員、山口委員、山田委員、  小林臨時委員、鈴木臨時委員、角南臨時委員
 

文部科学省

 板倉科学技術・学術政策局長、梶原大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、佐野科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、植田評価・研究開発法人支援室室長補佐
 

5.議事録

議題1(会長及び会長代理の選出について)において、文部科学省国立研究開発法人審議会運営規則第4条第1項に基づき、委員の選挙により、栗原委員が会長に選任され、また同第4条第3項の規定に基づき、中川委員が会長代理に指名された。
(会長の決定その他の人事に係る案件に該当するため、文部科学省国立研究開発法人審議会運営規則第7条に基づき非公開)

 以降、運営規則第7条の規定に基づき議事録を公開。

【栗原会長】 それでは,これより先は会議を公開とします。
では,第4期の開始に当たりまして,梶原大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)より一言お願いいたします。
【梶原大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)】 大臣官房審議官の梶原でございます。今日は第4期国立研究開発法人審議会の初回となりますので,一言御挨拶申し上げます。
委員の先生方におかれましては,御多忙のところ,委員をお引き受けいただき,誠にありがとうございます。
国立研究開発法人審議会は,独法制度改革における評価制度の見直しを受けて,主務大臣が国立研究開発法人に係る評価等について専門的見地から御助言を頂くために設置された審議会で,これまで3期6年にわたり調査・審議が行われてきました。
第4期は,新制度の下で初めて中長期目標が一巡する節目となる期となります。本審議会で審議する8つの法人のうち5つの法人においては,中長期目標を策定する等の多くの審議がこれから予定されています。
また,現在,COVID-19の感染拡大により,社会全体が厳しい環境にございます。そのような中,科学技術イノベーションの源泉たる国立研究開発法人がその強みを生かして課題解決に貢献することが重要となってきております。
本審議会における法人の目標設定や評価等の審議においても,このような国研の役割を踏まえて御審議いただければと思っております。
新しく始まる今期第4期の国立研究開発法人審議会におきましては,それぞれの国研がその役割を社会の中で十分に果たしていけるよう,委員の皆様方には高い見識を生かした御助言を積極的に頂けますようお願い申し上げ,開会の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
【栗原会長】 どうもありがとうございました。
それでは私からも一言御挨拶させていただきたいと思います。
今,御紹介いただきましたように,本審議会では,我が国の研究開発の非常に大事な部分を担っている国立研究開発法人に関して,中長期目標の策定,業務実績の評価,組織・業務全般の見直しなどに当たりまして,科学的知見などに即して主務大臣に助言させていただいております。
特に評価などを通じ,法人の活動や成果が,法人にとっても,また,社会にとっても,より分かりやすく共有・発信されるよう,また,研究開発成果の最大化に向けて法人の活動がよりよい形で推進されるよう,この審議会でお手伝いできればと願っております。
当審議会ではこれまでも委員の意見交換により法人の活動や評価について非常に幅広い観点から議論してきました。今後の多様化する法人の活動の中で,皆様の議論は大変大事なものと思っております。最初の皆様の御挨拶で大変心強く感じておりますけれども,部会での審議を含め,活発な御議論や御知見の共有を,今期もどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
中川会長代理からも一言お願いできますでしょうか。
【中川会長代理】 時事通信の中川でございます。また引き続き栗原会長をお支えさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様からもお話がありましたが,独法時代に日本の研究開発は一体どこに向かうのかというようなことがずっと言われ,先人の皆さんの御苦労を経て,研発の制度ができ,「研究開発成果の最大化」という言葉が生まれました。その言葉を背負いながら,研究開発成果の最大化とは一体何なのかということを,私たちは考えていかなくてはいけないのだと思っています。
各部会が各法人に対して,どういうことをやっているのかということをきちんと把握し,そこの法人がしっかりと日本社会又は国際社会の役に立つことをやっていることを評価していただいく。その中で共通的な話をこの審議会で議論し,私たちがどういうことを評価していくことによって,この国ないし社会全体がよくなっていくのか,そういうお手伝いを評価という面からさせていただきたいと思っています。
引き続き,栗原会長を支えていきますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【栗原会長】 どうもありがとうございました。
それでは,議題2に移ります。議題2は「第4期の審議の進め方について」です。第4期審議会における審議を進めるに当たり,まずは事務局から本審議会の各種規定及び本審議会の趣旨や役割等について御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
【植田評価・研究開発法人支援室室長補佐】 その前に,文部科学省側の出席者が参りましたので,御紹介させていただければと思います。文部科学審議官の松尾でございます。
【松尾文部科学審議官】 松尾です。どうぞよろしくお願いいたします。
【植田評価・研究開発法人支援室室長補佐】 それでは私から,運営に関する規定類に関しまして,資料2-1から資料2-6に基づきまして簡単に御説明を差し上げます。
まず資料2-1でございますが,特記事項といたしまして,委員等の任命に関し,外国人を任命できるというものがございます。これにより国際水準を踏まえた審議ができることとなっております。
次に,資料2-2について御説明させていただきます。こちらは運営規則となっておりまして,特記事項が3つございます。1つが,書面による議決が可能であること。2つ目が,議決権の特例として,審議の対象となる国立研究開発法人の役職員等に関しましては,評価に関する意見の全部又は一部についての議決権を有しないというものでございます。3つ目が,会議の公開でございまして,本審議会は,人事に係る案件,また,評価に係る案件を除き,原則として公開となっております。
次に,資料2-3です。こちらは議決権の特例でございまして,先ほど申し上げた役職員以外に,法人経営又は事業運営に関する企画及び立案並びに評価に関する会議等に出席し,謝金を受けている者,法人が実施する講演等に講師等として出席し,継続的に報酬を受けている者,所属機関の常勤の役員であり,当該所属機関に対して当該国立研究開発法人から金銭授受がある者,自ら研究申請者となって法人から研究費の配分を受けている者について,利害関係を有する者とされております。
資料2-4でございます。こちらは公開に関する規則でございまして,本会議は原則公開であるとともに,会議資料と議事録についても公表することとなっております。
資料2-5でございますが,本審議会におきましては8つの国立研究開発法人の審議をすることになっておりまして,そのための部会の設置となっております。8つの国立研究開発法人の概要に関しては資料2-6にまとめてございますので,こちらを御参考いただければと思います。
私からは以上です。
【佐野科学技術・学術戦略官】 それでは私から,資料2-7に従いまして御説明をさせていただきます。こちらにつきましては,国立研究開発法人審議会についての概要をまとめたものでございます。
まず資料2ページ目でございます。こちらは制度についての概要が書いてございます。国立研究開発法人といいますのは,独立行政法人の中の1つということになってございまして,この独立行政法人といいますのは,資料の一番上にございます,国が直接実施する必要はないが民間の主体に委ねると実施されないおそれがあるものなどを実施するということになってございます。
この資料の下の方に3つの類型がございます。その中の真ん中が国立研究開発法人であり,先ほどの先生方のお話にもありましたように,研究開発成果の最大化を目的とする法人ということになってございます。
資料の3ページ目に移ります。この審議会の概要について記載がございます。先ほど植田から説明がありましたように,国立研究開発法人審議会の下に,8つの部会が設置されているというものでございます。
右側に「目的・評価のサイクル」ということを記載しておりまして,中長期目標を策定し,中長期計画を認可し,それに基づきまして業務実績の評価をするということで,評価につきましても年度評価等,幾つかの種類があるということになってございます。
それからその次のページでございます。「第4期の主な審議事項」ということになってございます。こちら,ちょっと混んでおりますので,よろしければその次の5ページの,「文部科学省所管国立研究開発法人の中長期目標期間表」という表を御覧いただければと思います。こちらはそれぞれの法人の中長期目標について記載してございます。この中で,R3,R4,つまり令和3年度,令和4年度のところが第4期審議会の期間とほぼ重なるところになってございます。
こちらを御覧いただきますと,令和3年のところ,ピンク色になってございますのが見込評価等の予定があるものということでございまして,本年度はJST(科学技術振興機構),それからJAEA(日本原子力研究開発機構),この2つが予定されているところでございます。
それから令和4年度,来年度でございますが,こちらも同様に3つの法人,つまりNIMS(物質・材料研究機構),防災科研(防災科学技術研究所),QST(量子科学技術研究開発機構)の3つが予定されております。また,オレンジ色で書かれているところでございますが,こちらは中間評価ということでございます。これは,その後継続するか否かに関わらず,理事長の在任期間が終了したところで中間評価をすることが規定上求められているというものでございます。
それから,本年度見込評価を行ったところにつきましては,来年度期間実績評価を行うことになっており,第4期につきましては,前期に比べ審議事項が多くなってございます。
その次の2ページでございますが,こちらは令和3年度,令和4年度それぞれのスケジュールが記載されているものとなってございまして,今申し上げたとおりのことが書かれているというところでございます。
8ページ目の「審議の進め方のイメージ」に移らせていただければと思います。審議の進め方につきましては,まず部会委員に事前に資料を送付させていただき,それぞれの部会で審議をしていただいた後,本審議会で審議をしていただいた後に,文部科学大臣による決定をするという流れとなっております。
少し飛びまして,10ページ目に参ります。こちらは参考といたしまして,総務省の独立行政法人評価制度委員会における見直し対象法人に係る審議についてのスケジュールが書いてございます。これは先ほど申し上げました2法人が見直し対象法人となりまして,総務省の評価委員会ともいろいろとコミュニケーションがあるということになってございます。
それから11ページ目が,文部科学省が所管する国立研究開発法人の評価の基準でございます。この評価でございますが,S,A,B,C,D評価となってございます。Bが標準となってございまして,この評価に当たりましては,目的・業務,中長期目標等に照らしまして評価を頂くということで,標準的なもの,つまり着実な業務運営がなされているというものにつきましてはB,顕著な成果が創出されたというものについてはA,更に特に顕著な成果が創出されたというものについてはSをつけていただくということが基本になっているところでございます。
12ページ目には,NIMSにおきまして実際に書かれた評価書を抜粋させていただいておりまして,例えば一番下,B(標準)というところでは,「着実に取り組んでいる」とアンダーライン付きで記載されております。このような書き方のところについてはBという形で記載していただいているところでございます。
それから13ページ目,14ページ目でございます。14ページ目から先に見ていただければと思うのですが,これは総務省で平成31年度に評価指針が新しく改定されてございます。これは既に適用されているものでございますが,一部,新しく目標がつくられてから,つまり,この標記でまいりますと,(1)①のところ,「指針の改定後,直近の新目標期間の開始時から適用する」とされているものがございます。これは具体的にこの審議会で言うと,来年度から新しく目標期間が始まりますJAEA,JSTに対して適用されるというものでございます。
内容につきましては,前後して申し訳ございませんが,13ページ目に書かれているところでございまして,この評価基準の見直しにより,従来「難易度」と言っていた「困難度」というものについて,評価基準に困難度の視点を導入して,困難度が高い目標が達成されたとき,初期の目標を上回る成果を上げた場合の評定であるA以上の評価がされる。つまり,通常であればBであるけれども,困難度指定をされたものについては,A以上の評価ができるということでございます。
それからその下のところのアンダーラインのところでございますが,評価の時点で達成が困難だったものが判明したとものにつきましては,困難度が指定されていなくても一段階引上げを考慮することができるということになりました一方,この下のところ,評価の時点で達成が困難でなかったことが判明した場合,これは評価の一段階引上げを認めないという形で,困難度が高くない場合と同等の評定をするということになっているところでございます。
私の説明は以上でございます。
【栗原会長】 どうもありがとうございました。丁寧に御説明いただきました。ただいまの説明について,御意見,御質問等ありますでしょうか。いかがですか。特に新たに加われた方等で御質問があれば。
【山口委員】 山口ですけれども,質問してもよろしいでしょうか。
【栗原会長】 どうぞ。
【山口委員】 御説明ありがとうございました。質問は,最後に御説明いただいた,困難度の考え方についてです。困難度をどうやって決めるかというのは,それぞれの部会で一任して決めればよいのか,あるいは共通のガイドラインのようなものがあるのか,その辺りの困難度の具体的な定め方について少し御説明を頂ければと思います。よろしくお願いします。
【佐野科学技術・学術戦略官】 御質問ありがとうございます。困難度につきましては,まず目標設定のところから困難度指定をしていただくことになります。目標を策定するところでございますので,当然部会の中で御議論いただいた上で決めていただく形になります。
【栗原会長】 よろしいですか。
【山口委員】 山口ですけれども,そうしますと,それは完全に部会の判断ということで,共通のガイドライン的なものは特に用意はされないということでよろしいでしょうか。
【佐野科学技術・学術戦略官】 困難度につきまして,何を困難度指定するのかということにつきましては,まず部会の方で御議論いただくということでお願いしたいと思います。
【山口委員】 分かりました。ありがとうございました。
【栗原会長】 最終的には中長期目標をこの審議会でも議論する中で,ある程度,困難度についての共通認識みたいなものをつくっていくという考え方でよろしいですか。
【佐野科学技術・学術戦略官】 困難度につきましては,もちろんそういう形でそれぞれの部会で御議論いただいた形につきましては,総会で御議論いただくことになるかと思いますので,そういう中で,もし何か共通的な考え方が出てくるようでしたら,その形で御議論いただければと思います。
【栗原会長】 ありがとうございました。
困難度については,次に目標を定めたときからということですと,例えば現在進んでいるものについては,そういう観点は特に考えないということになるのでしょうか。それとも,ある程度議論の中で,これは困難だということを少し先取り的に入れていくということも可能なのでしょうか。
【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。新しい指針,困難度というものは中長期目標が新しくできてからになりますが,現在の指針の中でも難易度という考え方は既に導入されてございます。ただ,現在の中長期目標の中で難易度という形で指定されているものにつきましては,現在のところは特段ないと理解しております。
【栗原会長】 今の13ページの書きぶりを拝見すると,評価の時点で非常に達成が困難なものであったことが判明した場合という書き方があるので,場合によっては非常に困難だったということが評価の時点で明確であれば,先ほどおっしゃった難易度という考え方でもいいのかもしれませんが,考慮するということはあるのかなと思いますが,いかがでしょう。
【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。この困難度という考え方につきましては,新しい指針が適用になります新しい中長期目標からになってございます。
【栗原会長】 分かりました。そういう考え方が取り入れられているということで,実質的には目標の中で実行していくものだというふうに御説明いただきました。ありがとうございます。
ほかにありますでしょうか。
【中川会長代理】 すいません,中川でございます。1点,かつて難易度と言っていたものが困難度となり,よりはっきりした形で評価に組み入れることができるようになると考えます。これは「次期の目標期間以降ならば当然困難度というものになっていくよね」などと前提を置きつつ,今の評価も考えるということは,是非各部会でしていただいた方がいいと思います。それによって次の目標に対する困難度をどうとらえるかという議論になっていくのかと理解していました。評価にどう入れるかは,部会ないしここで議論していくことだと思っています。
以上です。
【栗原会長】 ありがとうございました。今,中川委員のおっしゃったような観点もありまして私も御質問させていただきましたが,実際にこの言葉が出てきてから,部会においてもやっぱり困難度を見るとどうだろうという意見が結構出ていまして,少し先取りする形で委員の意見交換がされているところがあります。
それで,非常に明確であれば,こういうところで非常に難しいものが達成できたというような評価の書きぶりは,現在の段階でもできるのだろうと思っております。
中川先生,どうもありがとうございます。
ほかに何かありますでしょうか。
【植田評価・研究開発法人支援室室長補佐】 失礼いたします。事務局から1点,文部科学省から参加者がございましたので,御紹介させていただきます。大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官,行松でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】 行松です。今後ともよろしくお願いいたします。
【栗原会長】 どうぞよろしくお願いします。
それでは,御説明どうもありがとうございました。今期はたくさん審議項目があるということなので,なるたけ要領よく審議を進められたらと思います。皆さんどうぞよろしくお願いいたします。
では続いて,第4期における審議の進め方について,第3期審議会における議論について紹介いただきつつ,事務局より御説明をお願いいたします。
【植田評価・研究開発法人支援室室長補佐】 その前に私から1点,本日,システムの不具合により資料共有がうまくいっておりませんで,皆様に御不便をおかけして申し訳ございません。事前にお送りしております資料を御覧いただきまして,御議論に参加いただければと思います。
【佐野科学技術・学術戦略官】 それでは,大変申し訳ございません,資料共有がうまくいっていない状況でございますが,お手元の資料2-8,資料2-9の御説明をさせていただければと思います。
まず資料2-8につきましては,第3期の国立研究開発法人審議会においていろいろと御議論いただいた内容,法人運営,それから評価につきまして,事務局で指摘事項を整理し,委員の先生方に御確認の上,まとめさせていただいたところでございます。12ページにわたりまして,長いので,簡単に説明をさせていただければと思います。
まず1ページ目,真ん中のところでございます。指摘事項の中で,この審議会の議論の中で,法人評価はよいところを更に進展させ,遅れている点を改善するという目的が共有され,法人のミッションや特性を意識した評価,定量的な成果はもとより法人運営や目的を達成するためのプロセス評価の重要性も指摘されたというところでございます。
それから下の方のパラ,「なお」のところでございます。この資料の位置づけについて説明されておりまして,この資料につきましては,個別の法人の現状も踏まえて議論した結果を反映した内容となっており,部分的には矛盾する表現も混じっているというところでございます。その中で,各法人の特色に応じて必要な項目を抽出いただいて活用いただきたいという記載がございます。
それから2ページ目につきましては目次となってございまして,大きく分けますと,目標策定・法人運営に関する指摘事項,それから法人評価に関する指摘事項ということで記載がなされているというところでございます。
3ページ目,「1.目標策定・法人運営に関する指摘事項」というところでございます。「(1)目標策定に関する指摘事項」というところでございます。アンダーラインを中心に御説明させていただきたいと思いますが,1つ目の丸,各法人は高い目標設定にチャレンジしていただきたい,研発審等の審議においても,その点を十分に考慮した評価をすることが重要という記載がございます。
それから2つ目の丸のところでございます。同一の評価目標について高い自己評価を継続して付した場合,その少し下でございますように評価軸や中長期目標及び年度目標を評価結果に応じて見直し,適切な目標や水準に反映できるよう,審議会等において適切な助言を行うことが必要ではないかという記載がございます。
それから少し飛びまして,下から2つ目の丸のところでございます。成果の最大化に向けて,外部法人との連携を法人ミッションで明示することが重要ではないかということです。
それから最後の丸のところで,PDCAサイクルで重要なのは「P」というところで,次のページに飛びまして,一番上のところでございますが,各法人の「P」に当たる中長期目標に対する議論にもっと時間を割いてはどうか,それからその下のアンダーライン,各部会で十分審議し,審議会では各部会での審議概要を報告し議論してもらうというイメージかと思われるという記載がございます。
それから,「(2)法人運営に関する指摘事項」のところでございます。「(評価を見据えた法人運営)」というところでございます。少し飛びまして,丸の3つ目のところでございます。国立研究開発法人の評価をEBPMの推進と連動させる観点から,論文等に関する定量的な指標による成果の把握や評価だけでなく,研究開発の定性的な観点をうまく組み合わせて評価できるようにするというところ,それから,定性的な評価をする際には,measurableな視点を可能な限り生かし,分かりやすく具体的な観点で評価していくことが重要という記載がございます。また,国内とともに海外の研究機関との比較ができるようにして,自らの立ち位置や在り方を戦略的に検討する視点が重要ではないかという視点がございます。
それから,5ページに飛びます。「(財務運営や財政の多様化)」というところの2つ目の丸でございます。公的資金の獲得のみならず,民間資金を含めた外部資金の積極導入により,財源を図ることが重要ではないかという記載がございます。
それから,真ん中に「(法人官連携,外部連携)」というところがございます。この中で1つ目の丸のところに,機構間の連携及び協力が重要であり,このような取組を法人評価でも適切に取り上げることが重要ではないかという記載がございます。
それから次の「(人材の登用・育成)」というところ,1つ目の丸のところでございますが,人材登用や育成の視点も十分に考慮するとともに,外部登用のみならず内部登用による組織活性化の視点も十分に考慮することが重要ではないかという記載がございます。
それから2つ目の丸,ページの一番下のところでございますが,クロスアポイントメント制度等を活用し,次のページに参りますが,人材獲得をより積極的に進めることが重要という記載がございます。
それから「(科学技術コミュニケーション,アウトリーチ活動)」というところにつきまして,ちょうど真ん中の辺りでございますが,対象の設定や発信の仕方,発信後の一般の人の反応を発信内容や方法等の改善に生かす視点が重要であるという記載がございます。
それから7ページ目に飛ばせていただきまして,「2.法人評価に関する指摘事項」というところがございます。まず「(1)法人評価全般に関する指摘事項」というところでございまして,「(評価の効率化)」というところでございます。こちらにつきましては,評価のめり張りづけや質の確保を図るとともに,評価作業の簡素化・効率化・負担軽減に一層留意することが重要という記載がございます。
それから「(KPIの設定・プロセス評価)」というところにつきましては,1つ目の丸のところに,法人に共通するKPIはあってもよいのではないかということ,それから,法人自らがきちんとアピールしてもらうことは重要という記載がございます。
次に飛ばせていただきまして,8ページ目のところでございます。こちら,「(新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した評価)」という記載がございまして,新型コロナウイルス感染症につきまして,評価に当たりましては,各部会等における助言・審議においても十分に考慮することが重要という記載がございます。
それから「(その他)」というところでございます。1つ目のところでございまして,法人の自己評価と各委員の評価,それから委員間の評価にギャップがある場合につきまして,そのギャップについて十分な分析を行う必要があるという記載がございます。
それから,「(2)法人の自己評価に関する指摘事項」というところでございます。8ページ目の丸の1つ目のところで,自己評価につきましては,大事な位置づけであること,さらに,法人の自己評価のやり方については,各法人で工夫することが重要であるという記載がございます。
それから9ページ目の一番上のところでございまして,アンダーラインのところで,審議会や部会における評価は,自己評価・外部評価各々のよいところを生かして行えるとよいのではないかという記載があるところでございます。
それから9ページ目,「(3)主務大臣評価に関する指摘事項」というところでございます。1つ目の丸のところでございまして,審議を行う際には,法人の自己評価における個別評定及び総合評定に関して,これを変更する場合は丁寧な審議に努めるというところ。それから,各部会における効率的・効果的に審議ができる工夫については,積極的に部会間で共有する仕組みを考えてもよいのではないかという指摘がございます。
それから10ページ目でございます。少し飛ばせていただきまして,「(評価軸・評価指標に関する指摘事項)」というところにつきましては,当初設定した評価軸での評価がなじまない場合は,各法人により研究成果等に見合った評価軸や評価指標等を積極的にPRいただきたいという記載がございます。
それから,少し飛びまして,11ページ目,「(評価の仕組みに関する指摘事項)」というところで,丸がいろいろ飛びますが,1つ目の丸につきましては,中間評価につきましての記載が,次に見込評価についての記載が,それから3つ目のところには,複数年度全体をカバーするというやり方につきましても御指摘があり,さらに,少し長いスパンで評価を行うということについての記載もなされているというところでございます。
それから,「(サイトビジットに関する指摘事項)」というところでございまして,1つ目の丸で,サイトビジットというのは重要ではないかということ,それから11ページ目のところでございまして,可能な限り多くの委員が参加できるように計画的に実施していただきたいという記載があるというところでございます。
時間の関係で,大変簡単でございますが,次の資料2-9に移らせていただきたいと思います。資料2-9につきましては,それぞれ法人の方で法人評価をしていただいた後に,各部会から本総会に提出していただくフォーマットにつきましてお示しさせていただいております。
1枚目が,それぞれの部会名を記載いただきまして,主要な議論の内容,その他ということを簡単に御記載いただき,その次のページにつきましては,それぞれの法人につきまして,もう少し簡単な評価のポイントを御記載いただくということで,実績評価案,次のページが見込評価案のポイント,それから期間実績評価案のポイント等,フォーマットをお示しさせていただいております。
各部会ではそれぞれ非常に分厚い評価書で評価を頂くことになるかと思いますが,それらをまとめまして,部会の結果につきましてこの形で御報告を頂きたいというものでございます。
説明は以上でございます。
【栗原会長】 ありがとうございました。指摘事項は,それぞれの部会から気になった点等を指摘ということで,自分たちで指摘したものですけれども,改めて見ると大変長いものになってきています。今の御説明に対して,御意見,御質問等ありますでしょうか。
どなたか手を挙げられても,私は見切れないと思うので,声も一緒に出していただいて,御意見あれば。
【高木委員】 高木でございます。
【栗原会長】 どうぞ。
【高木委員】 新しく審議会に参加したということもあり,これまでの経緯を理解していないので,質問させてください。
資料2-8のページ1の下段にあります「法人評価の在り方は,依然としてプロセスの途中にあると言える。したがって,今後の第4期に当たっても,引き続き議論を重ねていく必要がある」とされておりまして,この内容は,7ページの2の方を指しているものと思いますが,今後どのような議論を進めていく必要があるとされているのか,詳しく説明していただけると有り難いと思います。
【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。この資料につきましては,1ページ目の上の方に書かせていただいておりますが,第1期から部会・審議会で様々に意見交換をしてきたというところで,期が変わるたびにメモとして次期に引き継いできたというところのものでございます。
この内容につきまして,非常に知見が積み重なってきたというところで,第3期はこれまでに比べてかなり分厚いものになって,この形でまとまってきたというところになってきております。
この内容につきましては,記載のとおりそれぞれの部会の内容を反映しているというところで,矛盾する内容があるということにつきましても認識があるところでございます。これからまた第4期が始まったところで,様々にまた部会等で御議論があるかと思ってございます。
この資料を見ていただきながら御審議等をしていただきまして,またいろいろ御意見が出てくるかと思ってございますので,それらの御意見につきまして,私ども事務局は改めて丁寧に拾っていきたいと思っているところでございます。
【栗原会長】 よろしいでしょうか。
【高木委員】 第4期で,過去のいろいろな指摘を踏まえて,更に議論をそれに上乗せという形で完成させていくというふうに理解しました。ありがとうございます。
【中川会長代理】 会長,よろしいですか。
【栗原会長】 どうぞ。
【中川会長代理】 中川でございます。高木委員の御指摘,今期から入られる方にとっては,多分,「これは何だろう」と思っておられるのではと思います。
研究開発法人が誕生して,研究開発成果の最大化という言葉は頂いたけれども,一体それはどういうことに対して評価すればいいのか。かつての独法において,経費を減らしてサービスを最大化しなさいということでは研究開発を潰す,という議論もなされて,それが研究開発法人を生み出したわけです。その中心になる「研究開発成果の最大化」という言葉というのが一体何を表すのかということも含め,個別の法人評価をしていくと,多様な視点が出てくるんです。
1期のときからそれについて少しずつメモをためてきて,今ここに至ったということなので,4期で完成するというものではなく,4期で中期計画がようやく一巡しますけど,一巡した後,その一巡がよかったのかとか,これが本当に長期的にちゃんと科学技術というものをうまく生かして研究開発成果が最大化されていくということなのだろうかということは,ずっと議論し続けなきゃいけないことではないかと私は思っていますので,個人的にはきっと完成はしないだろうと思います。ずっとやり続けるのがこの審議会のミッションなのかなと思っています。特に前期,幸いなことに議論する時間をたくさん頂けたということで,この資料が整理できたのかなと思っています。
是非新しい委員の方も,各部会で法人の研究者の方と議論し,この評価の仕方やこの計画の立て方は不都合であるとか,本当はこうなんだよなど,部会での議論をこの審議会に持ってきていただいて,各法人の特性のところで止まるのではなくて,全体の評価に生かしたものとしていく。今のところ,こういう指摘事項という格好になっているわけですが,もう一歩,例えば「評価とは一体何なのか」,「研究の評価とは一体何なのか」というところまで踏み込んでいく議論が期待されるのではないかと私は思っています。
そういうことで,是非私も栗原さんも同じように皆さんの御意見を聞きたいと思っていますし,各部会の議論がこれで活発になればと思っています。防災科研部会でも,この指摘事項については,今期新しい方もいらっしゃるので,部会の議論において丁寧に共有し,また,法人とも共有し,またそこでの疑問をこちらにフィードバックしていければと思っていますので,各部会でも是非有効に活用いただければと個人的には思っています。
以上です。
【栗原会長】 補足をどうもありがとうございました。いかがでしょうか,高木委員。
【高木委員】 レビューの大切さと,議論の継続により研究開発成果の最大化へ向けて,また新たな知見・評価視点を得るということ,そしてそれを繰り返し続けていくことの重要性,非常に分かりやすい説明で,良く理解することができました。ありがとうございます。私の担当部会でも,このような取り組みを含めて議論を進めてまいりたいと思います。
【栗原会長】 本当に長い間,審議会でずっとメモとして繰り越されてきたもの全体を議論する機会が,前期は年に1回ずつ,2回ありましたので,こういう形になっています。
ざっと見ていただいて,ここはどういう観点から考えるのだろうということがあれば,目次を使いながら観点を見て考える助けにしていただき,それでも,分からないことや,違う御意見があれば,またこの総会の中で意見交換できるといいと思います。
でも,随分長くなっているので,今度,逆にシンプルにする方も,ここはまとめられるのではないかという御意見も,大事と思います。
ほかに何か御意見ありますでしょうか。
【山田委員】 山田です。よろしいでしょうか。
【栗原会長】 よろしくお願いします。
【山田委員】 栗原先生がおっしゃったように,言わばランダムになりがちな議論を非常に整えていただきまして,ありがとうございます。
その中で,私が不足しているなと感じたのが,人材育成についての記述です。人材の登用・育成という部分はあり,そこでは幾分,法人内部の組織の強化という観点の記述はされていますが,広い意味での人材育成という観点が欠けているように感じました。
人材育成にはもちろんmeasurableな,何人をどうしたかというようなことも必要なのですが,それにも増して,法人が持っているミッションに沿って,どういう特別かつ固有の人材育成を考えているかということをお示しいただきたいと考えています。
以上です。
【栗原会長】 ありがとうございました。今期の評価の中でも各法人でいろいろ工夫いただけることだと思いますので,人材育成の観点や,あるいはどのような人材を育てているかというようなことを見えやすく御説明いただけると良いか,と思います。
それでは波多野委員,お願いします。
【波多野委員】 波多野でございます。ありがとうございました。非常に分かりやすい御説明を頂きまして感謝申し上げます。これだけ評価がまとまり,アクションアイテムも明確になっている状況であることを確認できました。
最初ですので少し広い視点からお伺いたいのですが,先ほど3ページ目の下から4ページ目で,研究開発成果の最大化に向け,外部機関との連携を法人ミッションで明示することが重要ではないかという記載がございました。確かに社会的な課題が地球規模になって,感染症も低炭素社会も地球規模の課題であり,企業もまた利益追求から公共的な利益を重視する変革点にございます。今回の対象の法人は文科省の8法人でございますが,考え方としましては,文科省の法人に限定せず,例えば経産省や総務省のAISTやNICTなどとの関連性や,連携による有効性などに拡張した評価も含まれますでしょうか?
【栗原会長】 これは主には法人間のミッションで,例えば理研(理化学研究所)とQSTとかこの審議会の評価の対象となる法人の連携が,具体的な事例として出てきておりましたけども,文科省の法人に限らず,そういう活動があれば,出していただければと思います。
【波多野委員】 ありがとうございます。
【栗原会長】 それでよろしいですか,波多野先生。
【波多野委員】 はい,分かりました。今後はもうちょっと広げた評価を行ってもよいということですね。ありがとうございます。承知いたしました。
【栗原会長】 実際に最大化のために似た活動を幾つかの法人で連携してされているという例も随分最近出てきていて,そういう部分を取り上げて評価させていただいているということがあります。
【波多野委員】 ありがとうございました。
【栗原会長】 ほかにありますか。
【佐野科学技術・学術戦略官】 先生,すいません,少し補足させていただきたいのですけれども。
【栗原会長】 どうぞ。
【佐野科学技術・学術戦略官】 今,波多野先生がおっしゃった評価ですが,私どものこの審議会におきましては,それぞれの部会でそれぞれの法人の活動を主として評価していくということになってございます。その法人の活動の中で,他法人の連携などにつきましては,ミッション,評価軸の中で見ていただくということになりますので,現在のところ,部会によっては他法人の共管になっているものにつきましては,他法人と評価を合同でやっているものもあると聞いてございますが,それぞれの法人の評価をしていただくという形になります。
すいません,補足でございます。以上でございます。
【栗原会長】 どうもありがとうございます。おっしゃるとおりで,個々の法人のポテンシャルが他の法人にどう貢献しているかという観点で見ていることが多いと思います。
それでは,ほかにありますでしょうか。
【篠藤委員】 篠藤です。よろしいでしょうか。今の指摘事項のまとめですけれども,これは各研究開発法人には事前にある程度,全てとは言いませんが,必要な部分はお知らせいただいているということでよろしいのでしょうか。
【栗原会長】 事務局からお伝えいただいていると思いますが,事務局,いかがですか。
【佐野科学技術・学術戦略官】 この指摘事項につきましては,まとまった時点で,それぞれ部会事務局を通じて法人には共有しているという状況でございます。
【篠藤委員】 承知いたしました。ありがとうございます。
【栗原会長】 ほかにございますか。
なければ,少し時間も押していますので,いろいろ活発な御質問どうもありがとうございました。このような意見交換のまとめと共有は非常に重要なものだと思っておりますので,今後も部会での議論等を共有のため,それぞれの部会の議論を総会へ持ってきていただきますようよろしくお願いいたします。
では,続いて議題3に入ります。「今後の主務大臣評価において留意すべき事項等について」,事務局より御説明をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。それでは,資料3-1,資料3-2につきまして御説明させていただきます。
資料3-1でございます。こちらは,第6期科学技術・イノベーション基本計画,全体につきましては参考資料で別途お配りしてございますが,この中の国立研究開発法人に関連する主な記述というものにつきまして,参考までにまとめたものを御提示させていただいております。
時間もないので,主な点ということで1ページ目だけ御説明させていただきます。1ページ目につきましては,「<国立研究開発法人に関する項目>」というところがございますが,第2章,2.(3)「(c)具体的な取組」というところで,ここだけ国立研究開発法人に特化したものについて記載がございます。「国立研究開発法人の機能・財政基盤の強化」というところにつきまして記載がされているところでございます。
それからその次のところ,「<国立研究開発法人の中長期目標に関連する記述>」というところで,これはこの審議会にも関係してくるところでございます。具体的には,第2章,1.(6)「(c)具体的な取組」というところでございます。この基本計画の中で1つ大きなことといたしまして,総合知というものが新しく出てきてございます。これは人文・社会科学と自然科学の融合によるものということでございまして,これを活用するというところでございます。そして,この下のアンダーラインのところでございますが,「各研究開発法人は,それぞれのミッションや特徴を踏まえつつ,中長期目標の改定において,総合知を積極的に活用する旨,目標の中に位置づける」という記載がございます。
以降につきましては,国立研究開発法人特別の記載というよりも,大学等の並びで記載があるものでございます。時間もございませんので,資料3-1は以上でございます。
資料3-2でございます。こちらにつきましては,新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえた今後の独立行政法人評価というところでございます。これは,昨年12月に開催されております第28回独法評価制度委員会の議事概要から抜粋しているところでございます。
概要につきまして,後ろの方の真ん中に取りまとめの発言というところがございます。この中でアンダーラインを引かせていただいているところでございますが,社会経済全体が厳しい環境にある中で,法人がその専門性や人材面の強みを生かして社会課題の解決に貢献することの重要性について,ますます高まっていると,そして,主務大臣においては,法人が能力を最大限発揮できるよう,法人とよくコミュニケーションを取るとともに,今後の評価の実施に当たっては,コロナ禍における法人の頑張りを適切に評価するよう御検討いただきたいというようなことにつきまして議事概要にございましたので,御紹介させていただきます。
時間の関係で,簡単ではございますが,説明は以上にさせていただきます。
【栗原会長】 時間を配慮いただき,どうもありがとうございました。第6期科学技術・イノベーション基本計画における記述と,コロナの影響ということで御説明いただきました。
御意見,御質問等あるでしょうか。
【山田委員】 山田です。
【栗原会長】 どうぞ。
【山田委員】 科技イノベ法に関連して,研究開発法人においてもいろいろな出資ができるようになり,それで中長期目標等を変えた法人もありますが,何か評価において留意すべき点があれば教えてください。
【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。科技イノベ法に基づきまして,目標変更等につきましては,昨年度開催されましたこの審議会におきまして御審議いただいておりまして,既に目標変更等がされているところでございます。ですので,この審議会の中では,その目標に基づきまして御審議いただくという形でお願いできればと思ってございます。
【山田委員】 ありがとうございます。
【栗原会長】 ほかに何かあれば,御質問をお願いします。
【中川会長代理】 中川です。よろしいですか。
【栗原会長】 どうぞ。簡単にお願いします。
【中川会長代理】 今の山田委員の御指摘について,今,事務局から説明があったとおりだと思いますが,是非いろいろな部会の議論もまたフィードバックしていただいて,この総会でどういう評価の在り方がいいかということを考えていくのがミッションだと思っております。以上です。
【栗原会長】 ありがとうございました。
ほかにございますか。
では続きまして,第3期JAXA(宇宙航空研究開発機構)部会において部会長を務められた髙橋委員及び部会事務局より,今後の主務大臣評価に向けてJAXA部会において行ってきた取組について御報告いただけるということですので,どうぞよろしくお願いいたします。
【髙橋委員】 髙橋です。初めに簡単に私から背景をお話ししたいと思います。
昨年度,JAXA部会におきまして,各委員より出されました意見や要望を整理いたしました。その中で,研究開発成果の最大化に資する評価の在り方に関する課題をまとめ,JAXA部会で議論してまいりました。
JAXAの研究開発やプロジェクトは,他の研究開発法人と同様に,成果と効果が創出されるまでに時間を要する項目が大半であるため,プロセスの評価が必要ではないかと考えています。また,成果や効果であるアウトプットとアウトカムについても,JAXAと共有できる分かりやすい評価基準が必要との認識の下,プロセス評価,アウトプット評価,アウトカム評価についての考え方を整理いたしましたので,今回御報告いたします。
では,事務局よりお願いします。
【渡邉宇宙開発利用課課長補佐】 宇宙開発利用課の渡邉です。資料について御説明いたします。
資料3-3を御覧ください。今,髙橋先生から御説明いただいたとおり,JAXAのプロジェクトはアウトカムが出るまでに長期間を要するというものもありまして,アウトカムが出るまでの途中段階のプロセスやアウトプットについても適切に評価していくべきではないかということで,その考え方を今回整理しております。
1ページ目の下の図にありますように,大きく当初の計画どおりに進捗したかというところのプロセス評価というのと,アウトプットからアウトカムをどの程度創出したかというところのアウトカム評価というものに大きく分けて,今後評価していってはどうかと考えております。アウトカム評価は,更にその中をアウトプットとアウトカムということで分けまして,大きくプロセス,アウトプット,アウトカムということで,3段階で整理しております。
次の2ページ目を御覧ください。まず,今回の整理の前提となるところですけれども,最初の米印に書いておりますとおり,JAXAの計画の中には,ローマ数字の4にあるような「業務運営の改善・効率化に関する事項」ですとか,また,5番にあるような「財務内容の改善に関する事項」,こういったものは「研究開発に係る事務及び事業以外」に整理しておりまして,今回のプロセス,アウトプット,アウトカムというものの評価方法の対象外としております。主に長期間を要するようなプロジェクト物を今回の定義で評価していくということで整理しております。
また,2つ目の矢印のところにありますとおり,次の3ページのところで示しております総務省の評価の指針を,変更ですとか,それに新たに評価の基準を規定するというものではなくて,あくまでも総務省の指針に沿って,JAXA部会として評価する上での参考となるものということで今回整理しております。
一番下の矢印にありますとおり,評価においては,アウトカム評価,アウトプット評価,プロセス評価という順番で優先して行うということで,最終的には総合的に判断を行うことにしております。
3ページ目は総務省の評価の指針ということで,御参考です。
次,4ページ目を御覧ください。4ページ目が,プロセス評価について整理をしたものです。プロセス評価というところで特徴的なのは,まず,プロセスということで,順調に進んでいるかということなのですけども,プロセスにおいてはS評価ということはないのではないかという整理にしております。おおむね計画どおり達成した,100%達成したというところがB,標準ということで,それに対して,特に困難だと考えられるような計画を達成した,又は,当初の計画に対して著しく上回る進捗を達成した,数値的な目安としては120%又は中長期目標期間中に1年以上短縮した等,そういった場合はA評価。一方で,当初の計画を下回る進捗ですとか中長期目標期間の達成が困難あるいは法人のマネジメントに原因があって改善すべき課題がある,こういった場合はC。業務の廃止を含めた抜本的な改善が必要という場合はDということで整理しております。
プロセス評価においては,スケジュールのみならず,下の米印のところですけれども,人的リソース,モノ,物品,情報の手当てが十分かどうか,マイルストーンの進捗管理体制が構築できているかといったような,総合的な法人としてのマネジメントが適切かどうかという観点で評価することにしております。
一番下のところですけれども,プロジェクトに遅延が生じた場合ですが,その遅延が,法人のマネジメントに改善すべき課題が生じている場合ですとか中長期目標期間中の達成が困難になる場合を除いては,単に遅延が生じたことをもって機械的にCやDの評価ということは望ましくないと判断しています。進捗に遅れが生じた場合は,マネジメントに係る情報を適切に法人から聴取した上で評価するということにしております。
次,5ページ目がアウトプット評価についてです。これはプロジェクト型事業とプロジェクト型以外というもので2つに大きく分けています。
プロジェクト型といったものは,括弧書きに書いているとおり,プロジェクトごとに個々にサクセスクライテリアを定めて実施しているプロジェクトということになります。サクセスクライテリアというのは,JAXA部会とはまた別に,科学技術・学術審議会の宇宙開発利用部会において,宇宙関係は各プロジェクトの実施前にそれぞれプロジェクトのサクセスクライテリアを定めております。例えば月探査の場合ですと,ミニマムサクセスとしては,探査機で月面着陸を実施する,そうするとミニマムサクセスで,フルサクセスですと,更に精度よく着陸するですとか,エクストラサクセスというのは,更にその先の探査活動を完了するというようなことで,ミニマムサクセス,フルサクセス,エクストラサクセスというのを3段階で各プロジェクト,設定しておりまして,それらをそれぞれ達成すると,B,A,Sに該当するということにしています。一方で,法人のマネジメントに原因があって改善すべき課題があるとCとか,業務の廃止を含めた抜本的な改善が必要な場合はDとしています。
下のプロジェクト型以外というところですけれども,こちらについては,Bはおおむね想定どおり,Cはそれを下回るもの,Dは業務の廃止を含めた抜本的な改善が必要ということにしています。SやAといったものは,サクセスクライテリアを設定しておりませんので,次のページ以降で説明するアウトカム評価で定めているSやAの基準に沿って評価するということにしています。
6ページのところがアウトカム評価について説明しているところです。まずS評価についてですけれども,この表に掲げております評価軸に沿って,特に顕著な成果の創出ですとか将来的な特別な成果の創出の期待があった場合にS評価と考えています。左側にある評価軸が①から⑥と,それを支えるための取組となっております。この分類は閣議決定文書である宇宙基本計画の柱に沿って立てております。
右にそれぞれもう少し細かくブレークダウンして書いておりますけども,例えば一番上の安全保障ですと,例として,研究開発成果による新たな知見が国や公的機関の基準・方針や取組などに反映され,我が国の安全保障政策の実現及び安全保障能力の向上に著しく貢献しているということを定めています。この例については,総務省の評価の指針に各S評価の具体例が掲げられておりまして,その記載を参考にしているものです。
一番下の支えるための取組というところですけれども,これはプロジェクト以外のものですが,国際協力や海外展開の推進ですとか調査分析,国民の理解増進,こういった評価項目がありまして,それぞれについて取組で貢献できているかどうかというのを,評価軸として立てております。
7ページのところがS以外の評価の考え方ですけれども,Sが特に顕著なとしていたところ,Aでは顕著な成果の創出としております。Bは標準ということで,成果の創出や将来的な成果の創出の期待がある,着実な業務運営を行ったということです。Cはより一層の工夫や改善を行う必要がある,Dは抜本的な見直しを含め特段の工夫,改善を行う必要があるということです。
その下の米印に書いておりますとおり,アウトカム評価においては,成果の社会的インパクトや政策目標への貢献度合いの観点によって,総合的・俯瞰(ふかん)的,かつ状況によっては重点的に,ある特筆すべき成果が出たという場合は,そこを重点的に見るということもあり得るということで,総合的に評価するということにしております。
下の囲いの部分ですけれども,参考で書いておりますが,ここまでプロジェクト型のアウトカム評価ということで,この中の一番下の③に相当するものを想定して説明してきましたけども,JAXAにおいてはそれ以外のアウトカムもあると考えておりまして,例えば①に示すようなイベント型のアウトカムというものです。これは個々のイベントなど単一の成果として評価されるべきものということで,例えばはやぶさ2による世界一・世界初の達成などです。はやぶさ2は今,地球にカプセルをようやく戻して,解析,分析が進んでいますけれども,そこに至るまでの途中の,小惑星の着陸ですとかタッチダウンですとか,そういった部分で出てきた途中段階の成果についても,特筆すべきものがあれば評価していくべきではないかと考えています。
また,②のような累積型アウトカム評価,これは複数年の努力や成果が蓄積された結果として,一定のレベル以上に達したことを成果として評価すべきものです。例えばISS,国際宇宙ステーションとか,そこへの物資補給のこうのとり,HTVを10年間運用してきた成果として,こうのとりは打ち上げが全て成功しましたし,それによって国際的な信頼ですとか,また,国際宇宙ステーションは民間企業の利用も進んできていますけども,そういったことが継続することで成果として結びついているというのも評価できるのではないかということで,このような考え方で今後評価を進めていこうと思っています。
この評価軸はJAXAとも共有しておりまして,次にまた法人からヒアリングをするときには,こういう考え方に沿って説明をしていただこうと思っています。
これで今年度評価をしまして,また改善などの意見が出てきましたら,柔軟に見直しをしてやっていきたいと考えています。
【栗原会長】 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。特に大規模な研究開発,長期のものに関して,プロセス評価というのを明確に示していただいたことや,それから法人と評価軸を共有するためこういう資料を作られたこと,大変貴重な活動と拝見いたしました。
ただいまの御説明について,御意見,御質問等あれば,二,三お受けしたいと思います。いかがでしょうか。
では,浅見委員,お願いします。
【浅見委員】 非常に参考になる,よいポイントをとらえた活動だと思います。私たちが(NIMS)部会で評価していても,アウトプットとアウトカムというのが問題になります。法人の側で達成した成果としてアピールされたアウトプットの評価をする際に,それは本当にアウトカムになるのかどうかが曖昧だとか,その辺がいつも悩ましいところです。この点について,ほかの,例えば私のいるNIMS部会でこういうアウトカムの重要性を展開していこうとしたときに,自己評価の考え方と,ずれが出てしまうとまずいと思います。こういう点はJAXAの事例として,ほかの法人にも全部紹介されていると思ってよろしいのでしょうか。
【栗原会長】 これはどなたにお答えいただくのが良いのでしょうか。
【佐野科学技術・学術戦略官】 事務局からお答えさせていただきます。この評価につきまして,大変申し訳ございませんが,私ども事務局では一括で展開しているというものではございません。ただ,本日の資料等,これは公開しているものでございますので,見ていただくことはできるかと思いますし,もし御要望がありましたら,ほかの部会に展開することも可能かと思います。
【浅見委員】 それは是非お願いしたいと思います。やはりイノベーションということがかなりクローズアップされて,社会において価値をどう創造するかということになると,アウトカムとして本当に価値があるのかというところはかなり重要な判断基準になってくると思いますので,そういうようなところは是非ほかの部会でも,法人と,それから評価する部会側とでできるだけすり合わせて議論を進めていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】 情報の訂正をさせていただきたいのですが,今,法人には参っていないと,連絡をしていないと申し上げましたが,現在,私どもで確認できるのが,部会事務局には資料につきましては展開しているというところでございます。ただ,部会事務局から先の法人まで伝わっているかどうか分かりませんので,そこにつきましては改めてリマインドさせていただきたいと思います。
【浅見委員】 分かりました。その辺事務局と相談しながら進めたいと思います。どうもありがとうございました。
【栗原会長】 それでは山口委員,簡単にお願いします。
【山口委員】 大変ありがとうございました。非常に関心のあるところは,アウトカム評価をイベント型と累積型とプロジェクト型というふうに整理していただいた点で,参考になりました。
それで質問ですが,累積型の場合には,もともと研究開発法人が長期的な問題を取り扱うという意味では,こういう評価の仕方というのは大変よいと思うんですが,アウトカムが出てくるまでのプロセスですね,途中の何年かかかる,その間についてはどういう考え方で評価されるのか,それを教えていただけますでしょうか。
【栗原会長】 髙橋委員か,担当の事務局の方か,どちらかいかがでしょうか。
【髙橋委員】 まず,そこが一番今回議論したところです。どうしても5年,10年かかるような場合については,アウトプット,アウトカムが出るまで評価できないというわけにいきませんので,何らかの物差しが必要であるということで,この4ページ目にもありますように,まず日程的な進捗だけではなくて,マネジメント自体がきちんとされているのかどうか,あるいはマイルストーンですとか,人,物,情報,あるいは予算とか,そういったものがきちんと管理されて,十分な手当てがあってなされているのか,そういったことも含めまして,アウトプット,アウトカムが出るまでの間のプロセスについても評価していこうということで,今回,1つの考え方といいますか,評価の物差しという形で整理いたしました。
今回の令和2年度実績の評価から始めますので,いろいろまたやってみて,改善していきたいと思っています。よろしいでしょうか。
【山口委員】 山口です。大変参考になります。是非我々もこういうことを考えていきたいと思います。また議論させていただければと思います。ありがとうございました。
【髙橋委員】 お願いします。
【栗原会長】 ありがとうございました。ほかの部会でもこういう活動を是非と思うところは数多いと思いますので,今後ともこのような部会の活動をされた場合には,審議会に共有いただければ,本会議における議論が深まると思いますし,各部会の活動の活性化に非常に重要だと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは議題4に移ります。令和2年度に実施した「国立研究開発法人による資金調達活動活性化のための人材育成手法開発に関する調査」について,委託先の特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会より御説明をお願いいたします。
冒頭に事務局より簡単に御説明いただいた後,日本ファンドレイジング協会により御報告いただきますので,よろしくお願いします。
【佐野科学技術・学術戦略官】 事務局でございます。今回の調査につきましては令和2年度の調査でございますが,前年度,令和元年度にも同様の調査をしてございますので,その後継ということでお願いしているというものでございます。
以上でございます。
【栗原会長】 それでは,日本ファンドレイジング協会の小川様,よろしくお願いします。
【小川事務局長】 皆様,こんにちは。日本ファンドレイジング協会の小川と申します。よろしくお願いいたします。
それでは,今年度実施いたしました国立研究開発法人による資金調達活動活性化のための人材育成手法開発に関する調査の概要について,御紹介させていただきたいと思います。
まずは次のページの「調査の背景と目的」でございます。背景といたしましては,皆様御存じのように,科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の成立によりまして,国研において法人発ベンチャー等への出資に関する業務が拡大されたのを受け,また,今後,運営費交付金の増額が期待しにくい中,国研にとっての財源の多様化や自己資金の増加が急務ということになっております。
それを受けまして,昨年度におきましては,国内外の公的研究機関の寄附等をはじめとする資金調達の活動についての調査が行われまして,こちらにありますような寄附受入れ活動はアウトリーチ活動と表裏一体であること,また,組織トップのコミットメントや持続的かつ適切な体制構築が必要であるというような結果が出ております。
それを受けまして,本年度の調査といたしましては,国研が各法人に適した資金調達の方法を選択し,組織として自己収入を増加させていくための効率的な手法についての検討を行いました。また,国研の皆様を対象といたしましたセミナーを複数回実施し,そこで得られた気づきを取り入れながら資金調達を実行できる人材育成に資する研修モデルの開発を行い,提言を差し上げた内容となっております。
調査を開始するに当たりまして,次のページにございますように,まず,日本における寄附及び投資の現状を見てまいりました。寄附につきましては,個人寄附及び法人寄附は近年,増加の傾向をたどっております。また,投資におきましても,社会課題解決に向けて,例えばESG投資やインパクト投資が注目を浴びており,また,増加もしておりまして,今後の期待が寄せられていることを調査の中から発見いたしました。
次のページに参りまして,その資金調達のためのファンドレイザーという専門家の資質を担保する必要があることも分かってきております。米国に倣いまして,日本でもファンドレイザーのための認定制度,また,組織化,そして互いに学び合う学びのエコシステムが出てきており,この3つを掛け合わせた中でファンドレイジング力が向上していくということが調査の中からも分かってきております。
それを受けまして,次のページにございますが,ファンドレイザーの学びの場といたしまして,ファンドレイジング能力強化の体系も整備されてきております。5ページ,次のページにも記させていただいておりますが,ファンドレイジングの育成の体系は,米国で行われています研修を基にいたしまして,決して資金調達の戦略だけではなく,市場を把握し,組織を把握し,分析した中で,事業戦略,組織戦略,そしてその中での財源戦略というような,相乗的発展を考慮した戦略策定が必要であることが分かってきております。
また,実際に資金調達の戦略を実行するときには,例えばですけれども,右の図にございますドナーピラミッドというような支援者の分析を行うツールなども用いながら分析を行い,そして発展させていくということも手法として取り入れられています。
また,今回の調査におきましては,次のページから数ページにわたって御報告させていただいておりますけれども,文部科学省所管の8つの法人における現在の資金調達の取組状況ですとか工夫,また,課題についての文献調査,そしてヒアリング調査を実施いたしました。30項目にわたる調査を各法人に行わせていただきまして,こちらにございますような特徴的な点というものも明らかになってきております。詳しくは割愛させていただきますが,例えば,やはり経常収益に対する寄附金の割合がまだ低いということ,組織内における知識・情報の共有,スキルの移転等がまだ課題であるということ,また,資金調達手法,また,取組に関しては,各法人様々な取組をされているということが調査の中から分かってまいりました。
これから数ページにわたりまして,具体的に各法人のお取組や現在のアウトリーチ活動についての御報告をさせていただいております。
このような状況を考慮いたしまして,また,昨年度の調査報告から,寄附受入れはアウトリーチ活動と表裏一体であるということと,また,組織トップのコミットメントが必要であるということを受けまして,10ページにありますように,4回にわたるセミナーを実施いたしました。
こちらにあります4回のセミナーですけれども,テーマを,各回,皆様の興味のあるところを中心といたしまして,ファンドレイジングの意義,価値を確認するもの,アウトリーチ活動を中心としたもの,また,科学を実践するための投資・融資,そして4回目は,科学技術・イノベーションの推進と自己資金調達ということで,シンポジウム・セミナーを実施いたしまして,合計延べ500人弱,478名の方に参加いただきました。毎回,参加者同士の小さなグループに分かれての意見交換,情報交換も行いまして,国研担当者のネットワークをつくるというような機会も設定させていただきました。
また,セミナーの実施に当たりましては,次のページにございますが,実施の効果を測定するために,ファンドレイジングに対する理解や,意義,価値に対する理解度がどれだけ変わったかということを確認するために,セミナーの前と後で同じ内容でのアンケートを採らせていただきました。そうしたところ,6項目にわたる設問全ての項目にわたりまして,セミナー受講後には数値が向上しております。特にファンドレイジングの課題を把握し,あるべき姿を描けているですとか,全体のトレンドを理解している,また,他の担当者とのネットワーキングを持っているというところでは,非常に高く向上しております。
しかし,アウトリーチ,ブランディング,投融資の基本的な知識があるというところだと,向上の幅がまだまだ限られておりますので,今後,こちらのさらなる具体的な知識の獲得が必要ではないかと理解しております。
こちらを受けまして,今後の提言といたしまして,2方向から報告書では提言をさせていただいております。12ページにて,提言を紹介させていただいておりますけれども,研発法人の担当者の方が,今回の研修を通しての気づきや学びを次の行動に移すということ,そして試行錯誤を含めた実践を積まれることの願い・期待を込めまして,この提言を差し上げています。
まずここの3項目にございますが,やはり経営層を中心とした組織的な資金調達活動が必要ではないかということ。また,縦割りの組織から部門間が共働する組織への変革が必要ではないかということ。また,法人内での資金調達人材の育成が継続的に行われる必要性があるのではないかということ。
また,次のページに参りまして,法人横断的な取組が必要であること。1法人に終わらず,法人連携が必要ではないかということ。また,国研の寄附受入れに対するインセンティブを高める取組が必要ではないかということ。そして,資金調達獲得戦略の策定とPDCAサイクルの確立が必要ではないかということを挙げさせていただいております。
また,次のページでは,今後の資金調達活動活性化に向けた研修デザインへの提言をさせていただいております。組織基盤の強化や人材育成は単年度で実施できることではないと理解しており,調査の冒頭でもこのように数年かけての段階的な実行が必要ではないかということで,今年度はフェーズ1と位置づけ取組を行ってまいりました。
その結果から,次のページにございますが,今後のセミナーへの提言といたしまして,4つの方向の提言をさせていただいております。新任担当の方々に対しての学びの整理を行っていくこと。また,経験を積まれた担当者の方に対しての戦略設計-実践力強化の研修が必要ではないかということ。また,今回一定の効果が見られました学び合い,ピアラーニングの機会を創出していくことが必要であること。そして学びを現場への実践に実装するために,経験者とともに伴走支援を行っていくのも有効な研修の方法ではないかということを提言させていただいております。
以上で調査の概要の御報告とさせていただきます。ありがとうございました。
【栗原会長】 ありがとうございました。本審議会における議論にも,本調査結果を活用していただきたいと思います。ただいまの御説明について,御意見,御質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
非常に具体的に御説明いただいたので,特に質問がないのかもしれませんが,ファンドレイジングはどこの組織にとっても非常に重要なことで,非常に具体的に御説明いただき,ありがとうございました。
【小川事務局長】 ありがとうございました。
【栗原会長】 それでは特に御質問ないようですので,本日の議論は以上といたします。調査の結果,いろいろ御説明いただきありがとうございました。
今後,委員の皆様には8つの国立研究開発法人に対する部会にそれぞれ分属いただくことになりますので,よろしくお願いいたします。本日の議論を踏まえまして,また各部会においても,法人との評価軸の共有なども含め,丁寧な御審議をお願いしたいと思います。
最後に事務局から連絡をお願いいたします。
【植田評価・研究開発法人支援室室長補佐】 事務局でございます。小林信一委員が参加されましたので,御紹介させていただきます。
【小林臨時委員】 小林と申します。前期から続いておりますけれども,今回,最後の時間になってようやく参加できたので申し訳なかったですが,今回もよろしくお願いいたします。
【栗原会長】 どうぞよろしくお願いいたします。御参加いただきましてありがとうございます。
【植田評価・研究開発法人支援室室長補佐】 では,引き続き御説明いたします。
今回の議事録については,事務局にて案を作成し,各委員に御確認いただいた後,ホームページにて公表させていただきます。
また,先ほど栗原会長よりお話のございました部会への分属につきまして,国立研究開発法人審議会令第5条第2項では,部会に属すべき委員,臨時委員及び専門委員は会長が指名することとなっております。つきましては,会議終了後,本日付で栗原会長名での分属指名文書をメールにてお送りいたしますので,よろしくお願いいたします。
なお,次回の開催は8月4日水曜日15時から17時を予定しております。各法人の主務大臣評価について御議論いただきたいと考えております。
事務局からは以上です。
【栗原会長】 ありがとうございました。
それでは以上で閉会いたします。大変活発に御議論いただきまして,どうもありがとうございました。

○議題4において,江川委員よりチャットにて以下の通り御意見を頂いた。
【江川委員】 ファンドレイジングに関して,東京大学での経験等を踏まえて発言します。現在の国研職員の人事制度で,ファンドレイジングをしっかり進められる人材を育成するのは困難だと思います。専門人材の育成を真剣に考える必要があると思います。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室)