国立研究開発法人審議会(第11回) 議事録

1.日時

平成29年12月20日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室

3.出席者

委員

門永会長、栗原会長代理、浅見委員、ヴィーツォレック委員、江川委員、古城委員、三枝委員、篠藤委員、髙橋委員、永井委員、中川委員、廣崎委員、宮内委員、山口委員、山田委員、若林委員、角南臨時委員

文部科学省

藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官、佐野科学技術・学術政策局長、信濃大臣官房審議官、勝野科学技術・学術総括官、工藤科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、岡村大臣官房政策課長、鎌田大臣官房政策課評価室長、山之内宇宙開発利用課企画官、長田基礎研究振興課長補佐、鈴木評価・研究開発法人支援室長補佐ほか

4.議事録

【門永会長】  それでは、定刻となりましたので、これより文部科学省国立研究開発法人審議会、11回目を開会いたします。
 本日の議題は、議事次第のとおりです。本日は、議題は全て公開することといたします。
 まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【鈴木評価・研究開発法人支援室長補佐】  配付資料について確認をさせていただきます。本日は、ペーパーレスで進めさせていただきます。お手元のタブレットに資料1から6と、参考資料の1から5を御用意しております。もし端末に不都合がございましたら事務局にお申し付けください。

【門永会長】  分厚いキングファイルがないのは大進歩だと思います。本日の議題は、次期中長期目標について、理化学研究所と宇宙航空研究開発機構について議論します。
 もう一つ、その他となっていますが、ここでは2つ議題があります。1つは、評価対象年度ではない年度に発生した事象について、前回も幾つか御意見ありましたので、これについてフォローアップの議論をするということと、去年から進めています理事長のマネジメントに関する調査。これについて、調査は終わったわけですが、その後、何か変化があったかどうか、進歩があったかどうかということも含めて、皆さんからの御意見を共有化したいと思います。以上がその他のところのテーマです。
 では、まず議題1の次期中長期目標・評価軸等(案)についてです。来年度、平成30年4月からの年度ですが、新しい中長期目標期間が始まる法人が2つありまして、1つは理化学研究所、もう1つは宇宙航空研究開発機構です。
 この新しい中長期目標と、どう評価するかという評価軸等についての(案)を議題とします。事務局と担当課から説明を受けた後にまとめて議論したいと思います。
 まず事務局から説明をお願いします。工藤戦略官、お願いします。

【工藤科学技術・学術戦略官】  それでは、資料1を開いていただけますでしょうか。
 次期中長期目標の策定につきましては、まず独立行政法人通則法に基づきまして、中長期目標期間が終了するそれぞれ国立研究開発法人については、次期目標の策定に当たって、主務大臣が業務及び組織を見直すこととされております。
 これに対して、総務省独立行政法人評価制度委員会が意見を述べるという二段構えの構成をとっております。今年度につきましては、目標期間が終了する理化学研究所については8月25日に、宇宙航空研究開発機構につきましては、8月31日にそれぞれ文部科学大臣として見直し内容を決定公表しておりまして、総務省の独立行政法人評価制度委員会においても12月4日に意見を取りまとめたところでございます。
 さらに、特定国立研究開発法人である理化学研究所につきましては、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法に基づきまして、理化学研究所につきましては総合科学技術・イノベーション会議が去る12月1日に意見を取りまとめてございます。これも別紙4という形で付けさせていただいております。
 今後のスケジュールにございますが、来年2月に総務省独立行政法人評価制度委員会が開催されまして、その間、中長期目標の指示というものを行い、3月以降ですけれども、文部科学省で行い、更に中長期計画の認可とする形で開かれることになってございます。
 別紙それぞれについては、この後の各法人担当課からの説明に代えさせていただきたいと存じます。
 以上です。

【門永会長】  ありがとうございます。
 引き続き、理化学研究所と宇宙航空研究開発機構の2法人、それぞれの担当課から説明をお願いします。
 最初は、理化学研究所、お願いします。

【長田基礎研究振興課長補佐】  理化学研究所担当の基礎研究振興課の長田と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 資料2-1を御覧いただけますでしょうか。国立研究開発法人理化学研究所、次期中長期目標及び評価軸等(案)の概要というパワーポイント資料でございます。こちらに基づき、本日は説明をさせていただきます。
 まず左肩に書いておりますけれども、新中長期目標期間は来年4月からの7年ということにしております。
 まず現状・課題のところを御説明させていただきますと、先ほども御紹介がありましたように、理化学研究所は特定国立研究開発法人に指定されておりますので、特定法人として、我が国のイノベーションシステムを牽引する中核機関としての役割が求められます。このため、他の研究開発法人の模範となるような法人運営システムの改革を、理事長のリーダーシップの下で推進するため、「科学力展開プラン」という、現在の松本理事長が掲げられております経営方針になりますけれども、こういったものの実現を加速化していくような取組が必要です。
 2点目ですけれども、Society5.0の実現等に向けまして、科学技術基本計画をはじめとした国家戦略などに基づく戦略的な研究開発に一層取り組む必要があります。また、研究開発の評価に当たっては、得られた研究成果のみならず、研究開発の進捗に係るマネジメントについても適切に評価することが重要と考えております。
 こういったことを踏まえまして、中長期目標及び評価軸等の案のポイントについて御説明させていただきます。
 まず1点目、イノベーション創出のための研究所運営システムの改革等の重点化です。理化学研究所は様々なセンターから構成される研究所ではございますけれども、研究所全体としてイノベーション創出に向けた取組が推進されるように、理事長のリーダーシップによる研究所全体の運営を支える体制機能の強化、また、関係機関との連携強化による社会還元の推進、さらに、持続的なイノベーション創出を支える新たな科学の開拓や創成、また、現在、理化学研究所で進めております、研究者が中長期的視点を持って研究に専念できるようにするための、任期付き研究員の任期の長期化や、無期雇用化を含めた人事制度改革、そのような研究環境の整備など、研究者運営システム改革について中長期目標の方で規定し、特定法人として目指すべき方向性を明確化しております。
 このような取組について、目標案では一番上に書かせていただいた後に、その次に戦略的な研究開発、研究開発基盤について記載しておりますが、そこの評価の視点の見直しというところが2点目でございます。世界最高水準の研究成果の創出のみならず、達成すべき目標に向けた研究開発の進捗状況、また、その進捗に係るマネジメントについても評価することを中長期目標の中で明記しております。
 さらに、その研究開発の中身ですけれども、科学技術基本計画をはじめとした国家戦略などに基づき、研究所が戦略的に研究開発を推進すべき事項あるいは領域、こういったものを明確化しております。
 具体的には、事例としてここに書いていますが、Society5.0の実現に資するIoTやビッグデータ解析を支えるような人工知能研究、また、省エネルギー社会や量子コンピュータに資する光・量子技術、また、健康長寿の延伸の実現に向けたライフサイエンス研究など、国や社会からの要請をしっかりと明記しまして、それに対応した目標を研究領域ごとに設定し、科学技術基本計画をはじめとした国家戦略等を実現する研発法人としての役割を記載しております。
 最後に、理化学研究所は、スーパーコンピュータ「京」ですとかバイオリソース基盤、SPring‐8、SACLA等の研究開発基盤を有しておりますけれども、そういった世界最先端の研究開発基盤の構築・運営・高度化、そのような観点についても目標の方で記載させていただいております。
 今申し上げたようなことの項目立てを一覧にまとめたものが次の2ページ目になります。まず2ページ目の1と2は、法人の位置付けと中長期目標期間ですので割愛しますが、研究開発の成果の最大化その他業務の質の向上に関する事項というところの3.1として、一番初めに、先ほど申し上げました、研究開発成果を最大化しイノベーションを創出する研究所全体の運営システムの構築・運用について位置付けております。
 そこでは理事長のリーダーシップを支える体制・機能の強化ですとか、研究環境の整備、また、関係機関との連携強化、更に新たな科学の創成といった研究所全体として、新たに行う取組を記載しております。
 評価軸につきましては、このような法人運営システムを構築・運用できたかというところをポイントとしております。
 また、その次の3.2で、国家的・社会的ニーズに基づく戦略的な研究開発として、ここに書いております1から9の領域を設定しております。順に、革新的知能統合研究ということで、こちらはAI関係の研究。また、2つ目は、数理創造ということで、数理に関する研究。(3)から(5)がライフサイエンス系ですけれども、生命医科学研究、また、生命機能科学研究、また、脳神経科学研究ということで、医科学、生命機能の関係では、生命の仕組みの解明や加齢等の研究、また、脳神経科学はヒトの脳の構造や機能の理解に向けた研究、そのようなことを位置付けています。(6)は環境資源科学研究ということで位置付けておりますし、(7)は創発物性科学研究ということで、例えばここでは省エネルギー関連技術の研究開発などを位置付けております。(8)が光量子工学ということで、レーザー等の研究。(9)が加速器科学研究でございます。
 こちらの評価軸につきましては、右にございますけれども、こういった研究開発を我が国や社会からの要請に対応するための研究開発を戦略的に推進できているか。また、成果が創出されているか。社会還元が実施できているか。さらに、成果を最大化するための研究開発マネジメントが適切に図られているかという点でございます。
 次に、3.3、こちらが研究基盤の構築・運営・高度化ですけれども、こちらは3つの領域がございます。1つが計算機科学研究ということで、スーパーコンピュータ「京」の着実な共用の推進及びポスト「京」への円滑な移行です。(2)が放射光関連でございまして、SPring‐8やSACLAの共用の促進、性能の高度化などです。最後がバイオリソースの整備・提供及び保存技術等の開発です。こちらの評価軸につきましても、右手にございますけれども、このような取組を着実に推進できているか。また、研究開発成果が創出されているか。社会還元が実施できているか。これらは理化学研究所としてちゃんとできているかということと、外部への共用等を通じて、何らかの貢献する成果を創出できたかという点の両方です。最後に、研究開発マネジメントは適切に図られているかという点を評価軸にしております。
 4、5、6の項目については、典型的なものも多く含みますので、説明は省略させていただきますが、6の中の括弧書きでございますが、情報セキュリティの強化、このような項目は今回新たに追記しております。
 最後に、3ページ目が今まで御説明したことのおさらいになりますが、理化学研究所に係る政策体系図でございます。一番上に国の政策という枠囲みがありますが、まず科学技術基本計画など国の政策がありまして、特定国立研究開発法人としての使命としましては、イノベーションを強力に牽引する中核機関としての役割等がございます。このようなことを総合的に踏まえまして、本法人としての取組として、まずは研究所運営システムの構築・運営をしっかりと行うこと、あとは戦略的な研究開発、研究基盤の構築・運営・高度化、このようなあたりをやっていくということで、主な取組として位置付けております。
 以上、意見の中長期目標及び評価軸の(案)の御説明です。

【門永会長】  ありがとうございます。部会長、何か補足ありますか。

【永井委員】  永井でございます。特にございませんが、今回は特にオープンイノベーションということが議論されまして、理化学研究所を国の中核的なオープンイノベーションとして機能できるように、そういうことを目指すという議論でございました。基本的にはこれでよろしいかと思います。

【門永会長】  ありがとうございます。
 続きまして、宇宙航空研究開発機構について説明お願いします。

【山之内宇宙開発利用課企画官】  宇宙開発利用課の山之内でございます。よろしくお願いいたします。資料2-2を御覧いただければと思います。
 まず1ページでございますが、宇宙航空研究開発機構も理化学研究所と同じく目標期間としては、7年間とさせていただいております。
 宇宙航空研究開発機構の中長期目標では、現状の課題とその課題を解決するための取組の方針、最後に、その取組方針を踏まえた宇宙航空研究開発機構がやるべき具体的な目標という構成になっていますので、その順に説明させていただければと思います。
 まず現状・課題でございますが、現状として、1つ目は、宇宙空間の安全保障上の重要性増大ということで、宇宙デブリが増えまして、人工衛星への衝突リスクが高まっていること、気候変動問題といった地球規模課題への対応が必要となっている状況であることが書かれております。2つ目として、宇宙産業拡大への期待の高まり・国際競争激化でございまして、ここにも書いてあるとおり、宇宙活動法などが整備されまして、民間が参入しやすくなりました。そういったことも踏まえて、産業活動が活発化していることや、それに伴う宇宙航空研究開発機構の成果の民間への橋渡し、そういった期待が高まっている状況であるということを書いております。
 3つ目といたしましては、宇宙科学・探査分野における世界最高水準の成果創出及び国際的プレゼンス維持・向上の必要性増大でございますが、これは中国やインドなどの新興国の台頭によって、我が国の存在感や技術的優位性が不安定化している状況を書いております。
 4つ目でございますが、航空産業発展への貢献の必要性増大ということで、世界の航空機市場の飛躍的な成長などが上げられているところでございます。
 こういった状況を踏まえまして、宇宙航空研究開発機構が取り組むべき方針というのを4つ挙げております。
 1つ目は、上の状況のマル1に対応しているのですが、安全保障の確保及び安全・安心な社会の実現ということで、安全保障分野におけるニーズに応えた取組や防災・災害対策などの安全・安心な社会の実現に資する研究開発を推進していくというものでございます。
 2つ目といたしましては、宇宙利用拡大と産業振興でございます。宇宙利用拡大に向けた取組だとか、宇宙産業における国際競争力の強化に資する研究開発を推進していくことを掲げております。
 3つ目でございますが、宇宙科学・探査分野における世界最高水準の成果創出及び国際的プレゼンスの維持・向上でございます。宇宙科学研究、宇宙探査活動、それと有人宇宙活動、こういったものを推進していくことを挙げております。
 4つ目といたしましては、航空産業の振興、国際競争力強化でございますが、これは航空機の安全性などの向上について研究開発を推進していくというものでございます。
 これらの4つの取組方針を踏まえまして、宇宙航空研究開発機構は具体的に何を目標としていくのかというのを示したのが一番下の箱になります。
 まず、宇宙航空プロジェクトの実施でございますが、青い字で代表的なプロジェクトを書いております。まず測位衛星では、衛星測位基盤技術の研究開発などによって、測位システムの高度化や高精度測位配信サービス実現に貢献していくというものでございます。この横に書いてある「取組方針」というのは、上の取組方針のどれを踏まえているのかというのを示しております。
 次に、衛星リモートセンシングでございますが、光学衛星やレーダー衛星、あとはCO2を測定できるGOSATシリーズ、そういった衛星の開発により、防災・災害対策、気候変動対策に貢献していくということが書いてございます。
 次に、宇宙輸送システムでございます。基幹ロケットであるH3、イプシロン、こういったものを開発し、性能の向上はもちろん、打ち上げたいときに打ち上げるという能力を維持していくこと、また、これら2つの基幹ロケットを民間に移管を完了させるということが書いてございます。
 次は、宇宙状況把握、SSAでございます。宇宙航空研究開発機構には宇宙デブリを観測するために光学望遠鏡やレーダーの施設があります。これらの高度化と、今後防衛省がSSAのためのレーダー施設を作ろうとしていますが、その施設と一体となって、SSA全体の能力の向上を図るということが書いてございます。
 次に、宇宙科学・探査でございますが、これは「はやぶさ2」などの探査機です。こういったものに代表される探査機の開発・運用により、新たな宇宙開発利用を開拓し、科学的成果を創出していくということが書いてございます。
 次に、国際宇宙ステーション、ISSでございますが、これは補給機である「こうのとり」の高度化、それと実験棟である「きぼう」の利用促進、こういったものを通じて国際的プレゼンスを向上させ、産業を振興していくというものでございます。
 次は、国際有人宇宙探査でございますが、これは先日、文部科学省の宇宙開発利用部会でもその在り方について取りまとめられたのですが、その中で宇宙航空研究開発機構がやっていくべきことが書いてございまして、米国が構想する月近傍の有人拠点構築への参画や日本の計画を検討し深宇宙における我が国のイニシアチブを発揮していくことが掲げられてございます。
 最後、航空科学技術でございますが、これは研究開発を通して、航空機の環境適合性、いわゆる騒音対策や経済性・安全性を向上していくことを掲げております。
 2ページ目でございますが、分野横断的な研究開発の取組というものを掲げております。
 大きく2つありまして、1つは、(1)民間事業者との協業等の宇宙利用拡大及び産業振興に資する取組ということで、宇宙航空研究開発機構の研究成果の社会還元を促進し、新たな事業を創出することや、宇宙実証機会の提供、これは民間などの衛星をH-IIAに無料あるいは格安で相乗りさせるという制度がございますが、こういった取組を通じて、民間事業者の自立化を支援していくというものでございます。
 2つ目として、(2)新たな価値を実現する宇宙産業基盤・科学技術基盤の維持・強化でございますが、これはスペース・デブリ対策技術だとか太陽光発電システムなどの挑戦的な研究開発や、プロジェクト化していないその手前の段階の要素技術の研究開発を進めていくことが書いてございます。
 3ポツでございますが、その他ということで、国際協力・海外展開の推進や、調査分析としていろいろ海外の動向、宇宙分野に対する動向を調べて、政府などに発信していくこと、それから、国民の増進、次世代を担う人材の育成などを書いてございます。
 以上が中長期目標の概要でございます。
 次に、評価軸の概要でございますが、評価軸は、先ほど中長期目標で説明いたしました4つの取組方針に沿って設定しております。評価指標は、成果についての指標である成果指標と、成果に至るプロセス、こういったものを評価するための指標であるマネジメント等指標の2つを設定してございます。
 下の表につきましては、評価軸を、取組方針マル2の宇宙利用拡大と産業振興に合わせたものだけ抜粋させていただいております。評価軸が真ん中に書いてございますが、ここでは新たな事業の創出、宇宙利用の拡大、産業振興、宇宙産業の国際競争力に貢献するための立案・検討・マネジメントが適切に行われたか、また、これと対応するものとしては、左側になるのですが、先ほど説明した中長期目標の項目で該当するものが載っています。
 右側の方でございますが、評価指標は、成果指標とマネジメント指標の2つを設定しておりまして、成果指標としては、宇宙利用の拡大など、こういった取組の成果だとか、マネジメント等指標としては、研究開発の実施に係る事前検討の状況、あるいはマネジメントの状況などを挙げております。
 その下にモニタリング指標とあるのですが、これについては、上にも書いてあるとおり、評価の参考値ですので、数値で評価できるものを書いております。
 私からの説明は以上でございますが、部会長から補足がありますので、部会長、よろしくお願いします。

【髙橋委員】  よろしいですか。

【門永会長】  お願いします。

【髙橋委員】  私からは、宇宙航空研究開発機構の中長期目標の設定に当たって、まとめ方の留意点と、部会で特に議論になった点についてお話ししたいと思います。
 まず、まとめ方の留意点ですが、宇宙航空研究開発機構を取り巻く環境変化を整理して、解決すべき課題は何かということを明らかにし、その課題から目標を導き出し、目標の必然性、合理性を明確にするように留意いたしました。2つ目は、目標と計画を区別して、目標は目指す姿や達成レベルを示し、計画は目標を実現するための具体的なアクションを示すように留意いたしました。
 まとめ方の留意点は、資料4-4、目標達成に向けたフローチャートで御確認いただけると思います。
 次に、宇宙航空研究開発機構部会で、特に議論になった3つの点についてお話ししたいと思います。宇宙航空研究開発機構の目標というのは、閣議で決められた宇宙基本計画に基づかなければならないと定められていますが、あくまでも基本計画であって、全てが網羅されているわけではありません。そこで、宇宙航空研究開発機構部会では、宇宙基本計画に基づきつつ、宇宙航空研究開発機構の課題を議論し、モディファイしてまいりました。プロジェクトリーダーの育成や、開発手法そのものの研究など、新たな視点を追加いたしました。
 議論の2つ目ですが、安全保障や産業振興など、役割が増え続けていますが、本当にやり切れるのかという懸念であります。マンパワーや予算は限られておりますので、民間の力をいかに活用するかがポイントだ、ということを認識いたしました。
 議論の3つ目ですが、評価指標、モニタリング指標が示されると、研究開発法人にとっては、指標全てが目標となり、現場の負担が増えるのではないかという懸念がなされました。そこで、評価指標、モニタリング指標については、柔軟に対応すべきという意見や、宇宙航空研究開発機構の本質的な役割を踏まえた目標達成に重点的に取り組んでほしいなどの意見がなされました。
 私からは以上です。

【門永会長】  ありがとうございました。
 それでは、今、2つの方針案の説明がありましたので、これについて御意見、御質問等ありましたら御発言お願いします。はい、どうぞ。

【浅見委員】  よろしいでしょうか。最初の理化学研究所の目標の方についてですが、今回「イノベーション創出のための」ということがかなり強調されているように受け止めました。イノベーションというのはいろいろな意味で使われているものの、最終的には社会における価値をどう創出するかということになると思います。その点で理化学研究所という位置付けでいうと、研究としては、基礎的・基盤的な研究が基本だと思うのですが、そことの関係ですね。例えば宇宙航空研究開発機構の場合には産業振興ということで、すぐ社会価値につながるようなことが分かりやすいのですが、理化学研究所の場合はどういう視点でこのイノベーション創出ということに取り組むのかということをもう少し説明いただけたらと思います。

【長田基礎研究振興課長補佐】  ありがとうございます。御指摘いただきましたように、理化学研究所はかなり広範な研究をやっておりますが、非常に基礎的・基盤的な部分の研究を担っているものも大きいです。したがって、理化学研究所単独で社会還元に持っていけるものはいいのですけれども、必ずしも理化学研究所だけでは難しいものもあるだろうということで、今回、理化学研究所の全体のマネジメント運営体制の中に外部機関との連携といったところを大きく位置付けておりまして、大学、産業界、そういったところと連携をしながら、先ほど永井先生からもオープンイノベーションというキーワードがありましたけれども、理化学研究所のすぐれたシーズをそういった外部との連携によって成果の社会還元につなげていくという考えで、目標等を整理しております。
 また、理化学研究所の研究領域ごとですけれども、そちらは今後の7年間で全てが社会還元に行けということは書いているわけではないのですが、将来の成果の波及など、そこはタイムスパンで7年を超えて、将来の成果の波及を見据えた上で、今後7年間、若しくは各年度、どういったところまで研究をやっていくかというところをしっかり中長期計画で考えていこうということで、7年というスパンではなくて、非常に中長期のスパンで捉えて、最終的な社会への波及、どういったところがあるかというところを目標では位置付けて書かせていただいております。
 それと同時に、新たな科学を生んでいくような基礎的な部分の重要性も理化学研究所は非常に重要だと思っていますので、先ほども申し上げましたように、新たな科学の創成という、非常にベーシックな部分を生み出していくというところも別途目標では位置付けております。
 以上です。

【浅見委員】  どうもありがとうございました。

【門永会長】  ほかにありますか。廣﨑委員。

【廣﨑委員】  今の議論とも通ずるところはありますが、まず一番目の質問は理化学研究所の方の中長期目標案の内容についての確認です。1番目の革新的知能統合研究から9番目の加速器科学研究まで、これは非常によく分類されていると思うのですが、今、世界的にいろいろな科学の領域の融合が起こって、今までとは全く異なった不連続な成果があちこちから生まれつつある時代になっていると思います。そういった意味で、ここに挙げられた9つの研究領域、これを国際的な視点からベンチマーキングをした結果、ここに至っているのか。それともそれはこれからなのかということを御説明いただければ有り難いと思います。
 例えば最近話題になっておりますAIについても、一皮むくと、数十年前からずっと積み上げてきているオントロジーの流れ、ニューロ研究の進展から急速に発展してきたディープラーニング、それから、最近非常にホットになっている脳科学。そういういろいろな流れがある中で、各トップレベルの世界の研究機関が一体どういうところにイノベーションエコシステムを設定してやっているのかといったことを、ベンチマーキングをした上で、この中長期計画が出ているのかどうか。特に中長期計画の期間が7年というロングスパンで想定される以上、そこを踏まえた計画作りが必要じゃないかなと思いますので、補足していただきたいというのが1番目の質問です。
 2つ目の質問は、宇宙航空研究開発機構についてです。中長期目標の考え方が非常に分かりやすい設定になっておりまして、大いに頑張っていただきたいと思うのですが、この日本の宇宙科学は、先ほど御説明があったように、非常にミッションが重くなって、今のマンパワーでやり切れるのかといった問題もございます。それに加えて、そもそも日本が得意な領域、ここに集中してこれをもっと取り込んだ計画作りがなされているかどうか教えて頂きたいと思います。多分議論があったと思うのですが、例えば日本が世界的に非常に高いシェアを持っているセンサですね。二酸化炭素のセンサであるとか赤外センサであるとか、非常にすぐれた技術、それから、実用的にも産業的にもマーケットシェアの大きなもの。これが宇宙科学と相まって様々なビッグデータを作り出す可能性があること。またこうした宇宙科学で得られたデータに基づくデータサイエンスみたいなものに対する取組の方向性など、こういう議論があったのかどうか、それを教えていただきたいと思います。
 以上です。

【門永会長】  理化学研究所の方の質問からお願いします。

【長田基礎研究振興課長補佐】  それでは、理化学研究所に対する質問の方からお答えさせていただきます。御指摘いただきましたように、7年という長い中長期目標のスパンではございますが、現状、ここで定めております1から9の分野に関しましては、まず世界的な潮流でどのような研究が進められていて、また、理化学研究所の方でどのような研究成果をこれまで出してきているかを考慮し、そのような中で理研が強みを発揮して、世界的にも影響を与えられるような領域、又はその研究の内容等について、理化学研究所とも議論しながら個別に定めているものでございます。
 例えば御指摘のありました革新的知能統合研究、こちらにつきましては、実は理化学研究所だけではなく、政府全体、文部科学省以外の役所も含めて、全体の中で戦略を考えておりますが、理化学研究所は例えば先ほど御指摘あったディープラーニング等では、海外では非常にビッグデータの収集とかその活用が進んでいると承知しておりますが、そういったところを欧米では企業が中心にばく大なお金を掛けてやっている中で、理化学研究所はどこを狙っていくかということで、例えばまばらで質の悪いデータからでも質の高い推論をできるような技術ですとか、そういう基盤的な技術開発、アイデアが生かされるような部分というのを、海外に比べれば少規模ですけれども、少数精鋭で狙っていこうということで、基盤技術の実現に向けた研究をまず第一義的な目標としておいています。また、それを実社会に応用するに当たっては、例えば再生医療など、我が国が個別の強みを有しているような分野、そういったところとAIの連携をまずは進めていこうということにしています。各領域、そのように一定の戦略ですとか、現在の研究が持っている資源とか、そういったものを鑑みながら、領域等を設定しているところでございます。
 ただ、いずれにしましても、今後7年間というと、かなり長いですので、その中で大きな変化等、事情の変更がありましたら、またそのときは柔軟に目標及び計画、特に計画になると思いますが、そのタイミングでまた都度議論して、修正をしていくのかと思っております。
 以上です。

【門永会長】  それでは、宇宙航空研究開発機構に関して、お願いします。

【山之内宇宙開発利用課企画官】  先ほどの御質問で、データサイエンス等の議論があったかということでございますが、もちろんありました。先ほどは紹介できなかったのですが、衛星リモートセンシングの項目の中で、ちょっと本文を見るのが大変なので、簡単に読ませていただくと、AI等の革新技術も活用しつつ、衛星データの処理・分析、こういった研究開発を行っていくこと、衛星データの利便性を向上させることで、衛星データの利用を促進するということも書いてございます。おっしゃるとおり、ビッグデータとかそういったマーケットのことも考慮しまして、産業促進をする意味でも、こういったことを進めていく必要があるということが書かれてございます。
 もう一点、先ほど説明した2ポツの(1)民間事業者との協業による産業振興に資する取組というところもございますが、この中でも宇宙航空研究開発機構の中で新しい事業として、民間のアイデア等と宇宙航空研究開発機構のデータ、こういったのをうまくミックスさせた新しい事業ができないかということも書いてございます。
 以上でございます。

【門永会長】  ヴィーツォレック委員。

【ヴィーツォレック委員】  ありがとうございます。廣﨑委員がおっしゃったこととも少し関係があると思いますが、理化学研究所の委員会のときに、私も文部科学省にお願いしたのですが、全体的に日本のイノベーションシステムは、どのような日本のエコシステムを作ればよいかをもっと戦略的に考えなければならないと思います。今は理化学研究所だけではなく、国立研究開発法人を全体的に考えなければならないと思います。だから、大学との関係と企業との関係など。今、オープンイノベーションがキーワードになりましたが、それでも、それぞれの団体によってオープンイノベーションの意味が違ってくると思います。理化学研究所は7年間の中長期計画ですが、文部科学省が7年間の間でどのようなイノベーションシステムを作るべきかも非常に重要だと思います。国際的な面から見ても非常に重要だと思います。
 ドイツではいろんな面で、特に研究の方では、これまでの10年間で競争力が上がったと思います。これは特に、大学以外の研究所と、大学の連携が非常によくなったということが理由の一つですが、あとは企業との関係も非常によくなったと思います。ドイツのイノベーションシステムは日本のイノベーションシステムとは違いますが、文部科学省の方にこのようなことの検討のお願いをしています。またもう一度そのお願いをしたいと思います。

【門永会長】  工藤戦略官、お願いします。

【工藤科学技術・学術戦略官】  貴重な御意見ありがとうございます。先生方も御案内のとおり、この国立研究開発法人審議会におきましては、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構など、個別の研究機関がどのようにあるかというようなことを御議論いただく機関ではあるのですが、まさに今御指摘を頂いたように、企業とか大学という、ある意味、政府の力の及ぶ範囲の非常に限定されている団体がある一方で、国立研究開発法人というのは政府の力が及ぶ範囲がかなりあるものです。
 国立研究開発法人制度が始まって2年たち、7年ごとの目標等を策定しつつありますけれども、こういったものをやりながら、お互いの形とか、どういう機能を担うのかというのをもう少し見直しながら、力が及ぶ範囲が比較的限定されているところに対して、どういった力を逆に及ぼすこと、レバレッジを掛けることができるのかみたいなことも少し今後考えていきたいなというふうには考えております。難しいですね。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【ヴィーツォレック委員】  すみません、失礼かもしれませんが、いつもそういうことを言われると思います。ですから、この形が足りないと思います。これからの国際的面で見ますと、2年間ごとにじっくり考えて、もう少し大きなビジョンがないといけないと思います。本当に時間的には足りないと思いますし、どういう形がいいかは分かりませんが、 大きなビジョンを持って、全体的なエコシステムのために目標を考える方がいいと思います。

【工藤科学技術・学術戦略官】  もちろんそういう意味において、全体のエコシステムを考えるときに、政府として、パワーが及ぶ範囲、及ばない範囲というのを当然念頭に置きながら、何を、どういう段階を、具体的に踏まえて進めていけば、エコシステムが完成するかということも考えながらやっていきたいと思っておりますので、御指導、御激励を頂ければというふうに考えております。
 以上です。

【ヴィーツォレック委員】  はい。

【門永会長】  要するに、文部科学省でしっかりとビッグピクチャーが描けているのか、それを各法人が役割分担をして作っていくという構図にならないと駄目なのではないかという御意見ですね。

【ヴィーツォレック委員】  はい。

【門永会長】  はい。栗原委員。

【栗原会長代理】  私の質問も似たようなところなのですが、今回、最初に工藤戦略官から、文部科学大臣の要請であるという御紹介があって、内容も簡単に御紹介いただいたわけですけれども、それと実際に作られている計画との関係、どういうキャッチボールをしていくのかとかが大事だとおもいます。それから、実際には理化学研究所ですと、国際的なベンチマークとしては、RACというようなアドバイザリーボードもあるし、それぞれの評価の部会もそうですけれども、そういうものをどういうふうにキャッチボールが今回やられていて、今後のまだ足りないところはどうなのかと考えながらうかがっていました。
 私の質問としては、そこの要請というような形でそれぞれの法人にリクエストが今回されたというところは新しいのかなと思いますが、そこをどうキャッチボールしていったか。形としては、そこにいろいろな余地があると思うので、そこのところはどうなのでしょうかというのが質問です。意見としましては、特に今回、理化学研究所の評価軸のところに、非常にマネジメントを評価するというところが強く出ていると思いまして、これもまた新しい試みで、実際に具体的にどうやっていくのかは大変かもしれないけれども、以前からこの委員会も含めて、マネジメント評価であるべきで、あんまり細かい評価というのは、大きな法人を細かい数値みたいな達成目標だけでは見られないのではないかということは繰り返し出ていたと思うので、そういう意味では、方向としては従来の議論も踏まえた上で、法人評価としては適切な形を提示していただき始めているのではないかと思っています。

【門永会長】  はい。1点目について。

【工藤科学技術・学術戦略官】  次期中長期目標の策定に当たって、主務大臣が見直し内容を決定するというのが、プロセスとして組み込まれているものです。今の各国立研究開発法人の役割というのは、例えばドメインスペシフィックに構築されたものであったり、若しくは、国家基幹技術的なもののようにロングタームの計画をなし遂げるようにデザインされた組織であったりというのがそれぞれあって、それぞれに対して必要なことの評価について各部会において御議論いただいているのが今の形になっています。先ほど重要な御指摘を頂いたように、全体のエコシステムを考えたときに、部分最適だけでやっていけるかどうかは、まさに真摯に考えなければいけない状況になっていると思っております。今後その辺について、我々としても検討させていただければと考えております。

【栗原会長代理】  ありがとうございます。やり方としていろいろまだ工夫できるところがあるのではないかと思います。

【門永会長】  他にいかがですか。山田委員。

【山田委員】  ありがとうございます。理化学研究所と宇宙航空研究開発機構の2つの法人を並べて気付いたことがあります。例えば理化学研究所の中長期目標の中の項目として、4ポツに「業務運営の効率化に関する事項(経費の合理化・効率化、人件費の適正化)」とありますが、予算やファンドが絞られる中、当然このようなことは考えていかないとなりませんが、これは緊急避難的に考えることであって、過去20年、これからもしばらくそういった状況は続くと思います。ですから、新しい考え方と言いますか、パラダイムを打ち出していかないといけないと思います。
 それで、そういった点で、宇宙航空研究開発機構の方は、自力ではできないところを民間と一緒にやる。特に産業振興に取り組むということを組織として考えられているのは、非常に新しいことだと私は思います。いわゆる産学連携というのは、特定の課題について、それとマッチする特定の企業との間ではうまくいってきたと思いますが、組織として産業振興を図るということは非常に大きな一つのパラダイムシフトだと思いますので、そういう意味で、残念ながら理化学研究所ではまだそういうことが見えていないというのが、感想です。本審議会でもそこを大事に見ていかないといけないなと感じました。

【門永会長】  どうぞ。

【長田基礎研究振興課長補佐】  言葉足らずのところがありまして申し訳ございません。理化学研究所部会でもそういったところの議論がありまして、今、理化学研究所も産業界とも、例えば大型の共同研究等が徐々に開始されてきておりまして、財政基盤の強化という意味でも、また、連携して社会に成果を出すという意味でも、そういった産業界と戦略的な連携が必要だろうということで、そういった外部、産業界と特に組織対組織の連携をしっかり強化していこうというところはまず中長期目標の方に明記させていただいております。
 また、理化学研究所では、まだ構想段階ですけれども、部会の中では例えば議論が出たのですが、まだ法律等の問題もありますので、すぐに実現できるかというのはあるんですけれども、理化学研究所の様々なシーズ等を外とマッチングするような、例えば共同研究のマッチングや、あとは知財の戦略的な扱いについて企画立案していくような、そういったことをもう少し民間の力をかりて、例えば外部の民間会社の力をかりてやっていくと、より効率にできるのではないかと、そういったような議論もあります。そういった様々な問題意識は今、理化学研究所自身も非常に持っていますし、我々も持っていますので、更なる取組についてより深く検討していこうと思っているということでございます。

【門永会長】  関連してですか。

【栗原会長代理】  はい。理化学研究所部会では、業務運営について効率化だけではないだろうということで、これも何回も議論になっておりますが、研究開発に適した業務運営ということも、むしろそういうことが研究計画の前の方に書かれた構成に、今なっていると私は理解しています。

【門永会長】  ありがとうございます。
 宮内委員。

【宮内委員】  理化学研究所の方について、少し感想を話させていただきたいと思います。先ほどヴィーツォレック委員の御発言にもありましたように、政策決定の問題と、特定国立研究開発法人それぞれの性格の問題を考えていくときに、形の上では政策決定ですので、決定権は政府側にあることは間違いないのですが、そのアイデアが全面的に政府の中に内在しているかというと、それは無理だろうということは、この制度改革を行ったときから言われており、そういう意味で、特定が付く前の研究開発法人の段階でも、いわゆるアウトカムの設定みたいなものは各法人の側(がわ)から出ていくような仕組みというのが考えられてしかるべきである。
 アウトカムはもともと政策の段階で考えられるべきであり、法人がそれを達成するために努力はするものの、基本的には、アウトプットに対して責任を持つのではないかという議論が、総務省の方で制度研究をやっているときにございました。そういう意味では、必ずこれは出てくるのですけれども、少なくとも研究開発法人においてはアウトカムを意識し、自ら決定し、政策にも影響を与えるような情報を提供していくことが重要になるだろうと、もともと考えられていることですので、是非、理化学研究所においてもその役割を認識していただいた方がよろしいのかなと思っております。
 1ページの1に、「研究所運営システム改革について」とありますが、これがかなり広範な意味合いを持っているのだろうというふうに理解しておりますが、もう一つ、視点として付け加えていただければと思うのは、オープンイノベーションにしろ、何にしろ、それを進めていくと理化学研究所はひたすら巨大化していきます。本当にただ一方的に巨大化していくのが組織論として適切なのかどうかというのは、常に考えながらいかなければならないのではないかと思っております。
 そういう意味では、研究をどこで、手放すというのは適切な言い方かどうか分かりませんが、どこで手放して、どこで適切な団体に渡していって、その後の発展を図っていくのかと、そのような観点からもう少し見ていただくということがあってよいのかなというふうに感じております。
 以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 今の御意見に対して何かありますか。はい、どうぞ。

【長田基礎研究振興課長補佐】  ありがとうございます。理化学研究所の関係で、最初の感想めいたこととおっしゃった前段のところは、今回、理化学研究所の中長期目標を作るに当たって、最初にこういうマネジメントシステムみたいなものを入れたのは、これは結構チャレンジングな内容も含んでいます。まさしくどういうふうに評価していけばいいのかとか、どこまで行けば成功なのかというような内容も含めて書いています。
 ただ、理化学研究所という研究所は、これまでも例えば、いち早く国際化を進めたりですとか、女性が働ける環境をいち早く作ったりですとか、いろんな先鋭的なモデルとなるようなシステムというものを作ってきている実績があります。
 今回、こういうシステム改革を前面に打ち出したのは、そういうシステム改革の中で理化学研究所もしっかりといろんな工夫をしていただいて、良いものができてきたら、我々もしっかりと前向きに評価をして、理化学研究所でいいモデルが出たので、例えばほかの法人等にも生かせないか、ですとか、将来の例えば法人の運営モデルの一個になるようなものも出てくるのではないかと、そういったところも期待して、理研に対して示しております。
 また、その中で、例えば研究領域につきましても、新たな科学の創成というところはある程度、理化学研究所の本当に知恵とか能力が試されるところで、現在、例えば国家戦略に位置付けられていないかもしれないけれども、将来そういったものになり得るような研究の領域そのものが生まれる可能性もあると思っていますので、実は理化学研究所には今の国家戦略で求められていることに加え、そういったある程度チャレンジングな取組は工夫を凝らしてやっていただいて、例えば新たに我々のフィードバックになり得るようなもの、そういったものを生み出していただくことも含めて、今、期待して、このような目標設定をさせていただいているところです。
 2点目の巨大化というところもおっしゃるとおりなのですけれども、そこはやはり外部への社会還元をいつやって、どこで手放すかということも含めてですけれども、そういったところは非常に意識をこれまで以上に、財源が政府全体として頑張ってはいるところですけれども、必ずしも今後どうなるかというところもありますので、そういったところは様々な検討をしながら進めていくという問題意識は持っていますので、そこはよく意見交換をしながら進めていきたいと思っています。

【門永会長】  角南委員。

【角南臨時委員】  理化学研究所に話が集中しているので、宇宙航空研究開発機構についてお伺いします。分野横断的な研究開発の取組の後に、その他目標を支えるための重要事項ということで、国際協力・海外展開の推進及び調査分析という項目が上がっていて、それを資料に書かれている第4期中長期目標について、調査分析のところには、これは宇宙航空研究開発機構の企画運営のためにこういった分析機能の強化を図って、その成果を宇宙航空研究開発機構の戦略策定に活用するというのは従来もそうだったのかなと思うのですが、その後に、政府等に調査分析情報や提言など、積極的に提供発信することにより、戦略的かつ効果的な政策と事業の企画立案に貢献するという。これは何か宇宙航空研究開発機構がもう一歩踏み出した、シンクタンクじゃないのですけれども、我が国の宇宙政策の立案そのものにも専門的知見から積極的に議論に関わっていくと、こういう理解でよろしいのかどうか。まずはこれに関する議論がもしかしたらあって、今までの宇宙航空研究開発機構よりかなり踏み出したような印象があるのですけど、その辺はいかがでしょうか。

【山之内宇宙開発利用課企画官】  ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、今、宇宙政策委員会でいろいろ議論していますが、そこに活用されるような情報あるいは企画とか、そういったのを積極的に宇宙航空研究開発機構の方でやっていこうという思いを込めて入れております。

【門永会長】  私から何点かあります。一つは、今回の資料の作り方が、とても分かりやすいと思いました。私も独立行政法人のときは科学技術分科会の座長をやっていましたが、十数年前と比べると格段に分かりやすくなっていると思います。
 例えば宇宙航空研究開発機構で、これは内容的な話ですけれども、課題を分析して、それを解決するためにはどういうアウトカムが必要なのかと。そのアウトカムに結び付けるためにどんなアウトプットが出てくればいいのかと、こういう順番で計画を作っていくというのも大変に良いと思いました。
 質問は理化学研究所に関してです。2つあります。1つは、研究の領域が、基盤の構築も含めると12ありますね。評価軸の方で、世界最高水準の成果が創出されているか、それを見ますよとありますが、理化学研究所の予算の規模で12の分野それぞれがクリティカルマスに果たして達しているのかどうか。12個やると、3勝9敗かもしれないけど、6個に絞ってくれれば5勝1敗で行けますというような、そういう議論がなかったのかというのが質問の1番目です。
 その背景としては、プログラム評価という観点から、研究をさせる側も評価しなければならないわけで、12個させるのが果たして適切なのか。それぞれクリティカルマスに達しているのでオーケーということであればいいのですが、そういう観点からどうかというのが私の質問の背景です。
 2点目は、特定の研究開発法人になったわけですが、たしかそれに関する法律があって、その中で、国としては、文言は忘れましたけれども、特別措置などでサポートしていきますという一節があったと思います。理化学研究所としては一生懸命こういうことをやっていきますというふうに計画を立てているわけですが、国というか、文部科学省は何をしてくれるのかと。「How can you help us?」というところが知りたいというのが2点目です。

【長田基礎研究振興課長補佐】  ありがとうございます。まず1点目、領域の数の問題ですけれども、こちらは、理化学研究所の、例えば今持っている資源ですとか、あとは研究能力等に鑑みて、適切なものとして設定したものと考えております。大きな議論自体は部会ではなかったのですが、例えばその議論の前提として、例えばライフサイエンス系の研究では、今まで領域が1つ多かったのですけれども、よりそれを効果的、効率的にやるために、より新しいサイエンスの潮流に合わせた形で、1つの領域にまとめており、それは実際の理化学研究所の組織上も恐らくセンターとしてまとまっていくということになると思います。そういったところについて、部会での議論に入る前段階から検討していって、その形で部会でも掛けさせていただいて、そこから大きな御議論等なく、適正なものとして、このような形になっているというところでございます。
 あとは、国としてこういったところに何をやっていけるのかというところですけれども、こちらは様々な面があると思っております。例えば当然予算の面もそうですけれども、あとはそれ以外でしたら、今、理化学研究所も実際の現場で様々な細かい制度等で、よりこういった制度ができないかとかそういった提案はあります。ものによっては法律改正が必要なものもございます。そういったものを私の部局だけではなくて、省内の研究開発法人全体を担うような、工藤戦略官のところですとかそういったところと相談しながら、随時、理化学研究所との意見交換をしながら、必要な制度改正、細かいことも含めてできるようなことをしっかりと進めていきたいと思っています。

【門永会長】  そこのところが意味のあるサポートがないと、期待値ばかり上がって、大変になるだけだと思うのです。まだ始まったばかりですが、1年、2年たって振り返って、やっぱり特定はいろいろとそういうサポートを得られて、成果が出しやすいから自分のところも特定になりたいなと他の法人が言うような、そういうものでないといけないだろうと思います。意見です。
 それでは、いろいろ御意見いただきましたが、調整中になっているところを除いて、基本的には、この原案の内容で行きたいと思いますが、よろしいですか。はい。ありがとうございます。
 それでは、議題2、その他ですが、先ほど申し上げましたように、一つは、評価対象年度ではない年度に発生した事象についてという議題と、もう一つは、理事長マネジメントに関してのフォローアップの議論です。
 それでは、工藤戦略官、お願いします。

【工藤科学技術・学術戦略官】  それでは、資料5を開いていただけますでしょうか。第10回国立研究開発法人審議会における評価対象年度ではない年度に発生した事象の扱いに関する主な意見というタイトルの資料です。
 表の1枚目は、前回、各先生方から頂いた御意見を抽出させていただいたものでございます。主な方向性としては2つございまして、ある事象が発生したときに、前年度の評価をしているので、議論の対象ではないというのが前提であるとき、何か物事が起こったのには原因があるので、前の年についてもその影響を勘案した評価を行う方がいいのではないかという御意見と、評価制度そのものはやはり前年度のことを評価するので、議論している最中に実際に事象が起こったとしても、それについては何か別途追記する形とするべきではないかという、大体2方向の議論ございました。
 1枚おめくりください。過去において具体的にどのような評価を実際行ったのか、国立研究開発法人になる前の制度も含めて御紹介させていただきますと、まずこれはまさに本年度のものでございますが、日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センターにおけます燃料研究棟における汚染につきましては、今年の夏に御議論いただいた際にCという形で評価が付いております。
 他方、平成28年の熊本地震における対応につきまして、これは起こった年度の前のことも評価対象に入れて、評定をSという形で、27年度評価を行い、かつ、当該事象が発生した28年度の評価についてもSという形で評価がされております。
 また、反対側のページになりますけど、5年ぐらい前の出来事になりますが、J-PARCにおきまして、ハドロン実験施設における放射性物質の漏えいという事案がございました。このときにつきましては、むしろここは評価が割れておりまして、起こった年度については、起こった年度というか、まさにその事象が発生している段階においては、過去の出来事としてそこを切り離し、評定はAと付け、実際の事象が発生した年については、その次の年に評定を行うときにBという形の評定になっております。
 私としましては、この点につきまして、先生方からの御意見を頂きまして、来年度以降、同様な事態が起こったときに一つの指針になるようなものとして考えをまとめていければというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【門永会長】  具体例は頂きましたが、ここに書いてあるのは一般論なのですぐイメージできないものもあると思います。いずれにしろ、意見は分かれると思いますが、いろいろ御意見を頂きたいと思います。
 議論しにくいところですね。答えはひとつではないはずです。それぞれの事象にはそれぞれの事情があって、それを一般化して書くと、こういうふうに並びますが、共通で、この方がいいということは多分言えないのではないかと思いますが。
 宮内委員。

【宮内委員】  リアルに私どもの方で起きた事象です。要するに、5月とか4月に起きると、このように1回の事案が2つにまたがって評価し得る状況が生まれます。これが11月、12月に起きてくれれば全く影響がありませんが、同じ事態が起きて、片方は両方とも2年間C評価になり、片方は単年度のC評価になる。そうすると、事後的にこれを法人の評価、特に役職員の退職に伴う退職金の算定評価において影響が出てくるという状況になるのが本当に適切なのだろうかと思います。
 私は評価せざるを得ないので、評価し、両方とも駄目という格好で言いました。それはなぜかといいますと、結局、コンプライアンス等に関わる、内部統制に関わるものは前からあったのではないかという意見が現場においても強かったために、それはそう言わざるを得ないということで、整理したわけですけれども、後々になって、その退職金支給の問題まで及んでくることに気が付いたときに、これで本当にそうなのだろうかという思いに駆られまして、特に矛盾に駆られたというふうな状況でございます。

【門永会長】  今、御説明いただいた例はとてもよく分かりました。要するに、3月で年度が閉まっているのに、4月、5月に何かが起こって、評価の話をしているところが6月だとすると、もう起こってしまったことが分かっているけれども、それを知らないふりして、3月の時点で評価をするのはいかがなものかと、こういうことですよね。

【宮内委員】  そういうことです。

【門永会長】  分かったのですが、難しい問題です。

【中川委員】  もう一方の事例の防災科学技術研究所でございますが、まさに熊本地震が4月に起きたことで、単に「現地に行きました」という程度の話だけであれば違うかもしれませんが、評価すべき年度の中で積み重ねていた具体的なことに対する評価として、この28年度に入って発生した熊本地震への対応ができた。次年度になって熊本地震対応ができたことのトリガーになる事柄を評価する際に、具体的に書き込んで評価しました。
 この法人がやはり研究開発法人として研究開発成果の最大化し、具体的な貢献をやろうとして取り組んでいたことが、次年度ではあるものの実際に成果になったことは評価の時点で明らかなのだから、そこでそれを書かないというのはやはりまたおかしいだろうと。現実的な事柄として、熊本地震は起きてしまっていますし、こういう書き方でまとめさせていただいたと。
 翌年度は、当然のことながら、起きた事柄を内部できちんと評価し、それに対して自己評価してくるわけですが。
 何で熊本地震でこのような対応ができたかということですが、例えば、「内閣府(防災)との取決めを交わしたことは、非常に高くできる」だけで終わってしまったら、何で非常に高いのかということが分からない。それは起きた事柄は結果として翌年度だけど、熊本地震で対応できたこととは切り離して書けないので、両方こういう評価をさせていただいたわけです。
 でも、本当に今、門永会長がおっしゃったように、評価する根拠をどこに求めていくのかというのは、さっきの悪い方の話でもやはりそこに原因があるだろうということがコンセンサスとしてあれば、2年続けての評価にならざるを得ないし、それは余りにもアクシデントに近いような事柄というのであれば、やはり単年度という考え方もあるのかなというふうに、聞いていて思いました。

【門永会長】  ありがとうございます。

【浅見委員】  大変難しいお話ですが、やはり最初のお話にあったように、起きたことが、前に根があるとか構造的に問題があるということであれば、それは多年度にわたって影響を及ぼすということはしようがないのかなというふうに思います。ですから、まずその事象はどういうことであったのかというのをしっかり客観的に、できるだけ客観的に分析して、本質はどうなんだということを見ていくのが非常に重要ではないかと考えます。
 それから、発生した時期によって、評価を下げられてしまう、下げられずに済む、というのが出てしまうというのは、これは致し方ないと言うと問題かもしれませんが、民間企業でも不祥事が発生したときにたまたまそこで責任者であれば引責しなければいけないということがあります。そこをいろいろ勘案し出すとかえって収拾が付かなくなってしまうということもありますので、やはり事象の性格が多年度にわたる構造的な問題を含んでいるかどうかというところを客観的に見るというのが一番公平なように思います。

【宮内委員】  よろしいですか。

【門永会長】  はい。

【宮内委員】  今、いろいろな問題がコンプライアンスの問題として取り上げられるようになってしまっており、ほとんどがアクシデントだというよりも、その前からの準備が足りなかったという結論に陥りやすいという状況に、今の世の中はなっているのではないかと思います。一昔前は事故で済んだ話が、事故で済まないという状況になってきており、そうすると、ほとんど複数年度にまたがるような評価をせざるを得ない。これは評価する側の立場として、これをアクシデントだと言って、言い張るというのがなかなかつらい状況に置かれてしまうという問題が、実際に自分がやってみてもそういう状況はございますので、そういう意味では、何らかの対応策を考えておく必要があるのではないかというので、前回もお出ししたところです。
 一つの方法としては、評価としては影響させない。ただし、コメントを付して言及するというような方法があるのであれば、そこは評価と評価年度との関係がパラレルに解決させていくことができるのではないかというふうにも感じているところではあります。それが許されるのかどうかというところなのかなというふうに感じております。

【門永会長】  浅見委員。

【浅見委員】  今のお話、確かにそのとおりだと思います。何となくこう、風評というか、時代の風潮を勘案して、悪い方へ持っていくというのは、これはやはりよくないと私も思います。ですから、そこのところが許されるケースも、許されないケースも事例として複数あり、この問題については、前々からの構造を問題にせざるを得ないけれども、この問題についてはそうではないという例が幾つかあれば、そのどちらにするのかということで、片方に寄せるということにはならないと思います。やはりこれはその場その場で議論を尽くして、どちらなのかということを徹底できるような議論をするしかないのかなと思います。私としても、より厳罰方向にずらすのがいいというふうには思ってはいませんので、そこだけコメントさせていただきます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 はい。江川委員。

【江川委員】  今回、委員になったばかりですので、ほかの委員の先生方に比べて理解が足りないかもしれませんが、何のために評価をしているのかという原点に立ち戻ると、やはり自分の組織をちゃんと振り返って、よい方向に改善していくということが重要なので、それに即したレベルの評価ということを考えてもいいのではないかと思いました。
 つまり、評価は一定のルールに従って行いますが、今おっしゃったように、世間の考え方が揺れ動く中で、不当に厳しい評価になってしまって、やっている人たちもやる気を失うというほど厳しくなってしまってもよくないし、一方、余り甘くなって、改善につながらないというのもまずいので、最終的にはやはりケース・バイ・ケースで考えていかざるを得ないと思います。

【門永会長】  ありがとうございます。
 はい、どうぞ。

【山口委員】  何点かあるのですが、まず一つは、この法人評価では任意性があってはならないと思います。明確なルールに従って、きちんと客観的に評価をする。もう一つは、構造的な問題というものをどう見るかということでは、この審議会なり、評価のための集まりは、そういう構造的な問題を調査するような仕組みになっていないわけです。それから、ヒアリングにしても、そういう構造的な問題に対して議論をするというだけの素材がないわけですし、したがって、私はコメントを付けるにしても、評価そのものは客観的にルールに従って任意性のないようにするべきであるというふうに考えます。

【門永会長】  ありがとうございます。
 ほかに御意見ありますか。私も含めてまだ意見はあると思いますが。

【工藤科学技術・学術戦略官】今、山口委員がおっしゃったように、任意性のないという考え方もございますし、若しくは浅見委員がおっしゃったように、本当に客観的に事案ごとにそれを考えていく。最終的な方向に向けていただける議論があれば、ある分だけ頂ければと思います。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【中川委員】  防災科学技術研究所のケースは、今、議論されていることと違うなと感じているのは、そのコンプライアンスというような構造的な問題ではなくて、具体的なファクトとしてあったこと、評価できることが次年度の結果につながっていると。因果関係があるような形になっているので、それはありなのかなというのは、お話をお伺いしていて思ったところです。

【門永会長】  私の意見も言わせていただくと、前回も同じようなところに収れんしていったと思いますが、原則をどうするのかというのは決めておかないと、毎回ケース・バイ・ケースというのは私もよくないと思います。
 やはり原則は事象が起こった年の評価に加えて、ポジティブなのか、ネガティブなのか分かりませんけれども、必要があればコメントを付ける。
 これに対して、例外があってもいいと思います。コメントだけではやはり足りないと。さかのぼって褒めるべき事例だと皆さんが判断すれば、ケース・バイ・ケースであってもいいのかなと私は思います。そこでは材料は足りないかもしれないので、ケースによっては材料を取ってきてもらうということも含めて。
 原則だけですと、毎回申し上げていますが、ここに皆さんが集まる理由がなくなってきて、ロボットが判断すればいいわけです。最近、ロボットと言うと語弊があって、AIと言うべきか。もっともAIの方がよい判断をするかもしれないですね。ちょっとニュアンスが変わってきていますが、やはり皆さんの意見、知恵を基に例外というのはあってもいいかなと。
 ただ、山口委員がおっしゃったことは大変重要で、それを判断するのに足る材料があるかどうかということもありますので、必要があれば、材料は追加で取ってくるということになるのかなというのが私の意見です。

【工藤科学技術・学術戦略官】  部会から御意見を頂いて、我々の文部科学省の中でも議論があって、是非こういった場で議論いただきたいという形で我々も付託を受けて、先生方にお諮りした内容でございますので、御意見をまとめて何か提出できるものがあれば御用意させていただきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
 引き続き、資料6を御紹介させていただきたいと思います。
 既に6月のこの会議におきまして御報告させていただいてございますけれども、先ほど冒頭、門永会長から頂きましたように、マネジメント事例がどのように行われてきているのか、新しいような要素があるのかということを御紹介いただければということを踏まえまして、前回の調査結果について、もう一度この場にお示しさせていただいているものでございます。
 資料8ページ目、5ポツというのがございまして、ここからが各マネジメント事例というページになります。表題も、色も、青色に変わっておりますので、そこまでページをめくっていただけますでしょうか。まず一つのマネジメント事例といたしまして、ビジョン・戦略の策定に際しまして、組織内パブコメを通じた意見集約というのをしているという事例がございます。特にこの場合におきましては、全構成委員会で意見を募集し、建設的な意見を可及的に将来戦略に反映する。採用しなかった内容につきましても適宜フィードバックを実施したり、既に実施している法人があるという御報告を頂いています。
 また、次のページに、組織内の研究管理体制に係るマネジメント事例としまして、課題に対応した組織体制の見直しと部会の設置というのを掲げさせていただいております。
 例えばこれは実際の取組内容といたしましては、分野横断的な課題別組織を設置する。それから、基礎研究だけではなく、応用・実装研究を一気通貫でカバーできる体制へ見直しを行ったということを御報告いただいております。
 続きまして、組織外とのコネクションの確保という形で、民間企業とのオープンラボラトリーの構築。これは法人を中核に産業界と大学を糾合したような、ある種、ドリームチームによるオープンプラットフォームを形成し、企業側のニーズを的確に把握することが可能になるとともに、各社が参画可能な研究テーマを設定するというような形で、より効率的な体制を組んだというのを御報告いただいております。
 その次に、これは国際的な関係の一つ、研究者の採用・活用の内容でございますけれども、国際的に卓越した人材の確保と育成環境を提供するということを行う法人もございますし、また、更に次のページになると、同じように、今度は、国際ポスドク、研究者人材の多様性を確保する取組として、海外から研究者を受け入れるということを行っているところもございます。
 また、新たな研究領域を創造する取組として、理事長のリーダーシップによるファンドを設定したという御報告もございますし、ほかにこれはアワード方式で、イノベーションアワードというのも、またこれも研究領域の創造のために設定して、通常のファンディングでも取れないようなテーマ、こういったものを理事長の判断で決定しているというような事例も御紹介いただいております。
 最後に、既存の研究領域の融合という形で、バーチャルラボの設置と。この拠点同士が、法人間でいろんな拠点ございますけれども、ここが異なっている場合でも融合領域みたいなものができますように、バーチャルにラボを設置したと。具体的な内容については、この中には余り触れられておりませんが、そういった取組を行っているところもございますし、適正・公正な評価を行うためのミッションについては、研究の特性に対応した評価を実施するために、ミッション型研究と個人型研究という、いわば、若干その法人としての中で取組の方向が分かれるようなものについても何らかの糾合していく方式を考えておられるところ。最後に、これは雇用問題でございますけれども、無期雇用研究職員の比率というのを拡大して、任期制研究者の研究従事期間というのを延長するというような取組を行った事例の方も御報告いただいております。
 以上、この幾つかの事例と、これは昨年度の調査で、我々の方で聴取している、御報告をさせていただいたものでございますけれども、この点につきまして、付け加えること等あれば御議論いただければと思います。
 以上です。

【門永会長】  これというのは、その前の年の話をヒアリングしてきて、まとめたものですよね。

【工藤科学技術・学術戦略官】  そのとおりです。

【門永会長】  それで、これがシェアされたわけですね。その結果どうだったか、各理事長が、これは役に立ったのか、立たなかったのか。何が役に立って、どうしたらどうなったのか、そこが知りたいところです。

【工藤科学技術・学術戦略官】  そこについては、我々文部科学省の内部で、担当課を通して事例をシェアしております。ただし、それについて各法人でこういう取組をしていてよかったとか、これをうちでもやってみたということについては、我々としても把握してはいないというのが現状でございます。

【門永会長】  それは放っておいても戻ってこないので、聞きに行かなくてはいけないのでは。まずは届いたか、次、読んだか。読んでどうだったか。読んだ結果、何かしたのかと。して、どうだったと、こういう単純な5つの質問をして回らないと集まらないですね。

【工藤科学技術・学術戦略官】  分かりました。

【門永会長】  はい。中川委員。

【中川委員】  そこは本当にそのとおりだと思いますし、是非そういうことをしていただきたいと思います。マネジメントに対する評価をするときに、こういうグッドプラクティスをみんなで共有して、何かあなたのところも考えなさいよということを各法人に投げて、それでどういうことを考えたかの答えをもらうことによって、我々が評価するときに議論の材料とすることにつながっていけるはずです。
 もう一つ、少し話がずれて申し訳ないのですが、今回、2法人の話もお伺いし、防災科学技術研究所部会でも悩んでいるのが「連携」という事柄への評価です。「理事長のマネジメント」は、グッドプラクティスも参考に考えてもらい、こちらも評価しやすくなることが期待されますよね。一方で、「連携」という言葉は常に出てきますし、私もいろんなところに関わってきてよく使いますが、では、国立研究開発法人として、具体的にどういうことをしたら連携の実践としてよりよい評価ができるのか。特に研究開発法人は、自らの組織の最大化ではなく研究開発成果の最大化が目的ですから、政府や研究開発法人、大学、民間などとの関わりで、どういうような形にすればよりお互いがWin-Winになるような「連携」が図れるのか。
 理事長のマネジメントと同じように「連携」のベストプラクティス、グッドプラクティスを集めてみることはできませんか。小さいことから大きいことまでいっぱい隠れていると思います。
 今日、この理事長のマネジメントが改めて話題になったので申し上げましたが、一つの法人でうまくやったことをそこにとどめておくのではなくて、研究開発法人で共有して、研究開発法人だからこそできる大学との連携もあると思います。何かそんなグッドプラクティス、ベストプラクティス集めみたいなこともできないかなと、改めてこれを見ながらちょっと感じました。

【門永会長】  おっしゃるとおりだと思います。それで、もともと、この調査をしたときにいらっしゃらなかった委員の方もおられるので、少し背景をお話ししたいと思います。
 ところで、新しい委員の方の紹介というのはどこかでされましたか?

【工藤科学技術・学術戦略官】  6月の会議で、その最初の立ち上げのときに御挨拶いただいたのですけれども、御欠席されている方がいらっしゃったかなと思います。

【門永会長】  国立研究開発法人になったときに、理事長のマネジメントが大事だという話があって、きちんとやっているかどうか評価をしようという大きな軸が入りました。
いきなり評価といっても、それは酷だろうということで、まずはいかにサポートするかという視点で有用な情報を理事長の方々に与えて、そこでいろいろ工夫して頂く。しばらくたってから、どうでしたか、ちゃんとやっていますかという評価をしましょうということになりました。この審議会は、臨時委員の方が、私も含めて4人いますが、この臨時委員が中心になって、理事長にヒアリングをし、それから、調査会社も使ってアンケートに答えていただいて、既にやっておられるベストプラクティスを集めてきたと。この法人ごとのベストプラクティスを理事長が全部共有化すれば、そこから何か学んでいただけるかもしれない、それを基に新しい取組等が始められれば、それは役に立つのではないかということで始めました。
 ですから、しばらくこれで回し、先ほど中川委員がおっしゃったように、ほかの部分でもいろいろ共有できるものがあるでしょうと。そういうことも共有していき、理事長に対して情報量を増やし、先に進めていこうということでやっています。ですから、まだ共有フェーズだと思います。
 したがって、この軸、今、事例が幾つか紹介されましたが、この軸に沿って何か評価しようというつもりは毛頭ありません。それよりはこれが役に立ったのかどうか、何かこれを参考にまた新しいことを始めたのかどうか、そういうことを知りたい。
 加えて、ここには表れていないですが、やはり理事長それぞれのキャラクターでマネージの仕方が違いますよね。人との接し方、研究員との接し方、みんなの持ち上げ方、叱り方ですね。そういうソフトの話も含めて共有化できたらいいなというふうに私は思いました。
 では、そういうことを共有化する仕組みがあるかというと、理事長が集まる会議体があると1年ぐらい前に聞いたのですが、そういう類のものを使って、事務局がそういうディスカッションを促進していけばいいのではないかと思います。未来永ごう、臨時委員の人が走り回って、これを普及していくということはあり得ないですから、そちらの方を進めていただけると良いなと思います。理事長たちの自発的なイニシアチブでもって、こういう教育が進むと良いなとも私は思います。

【工藤科学技術・学術戦略官】  理事長が集まる会としては、国立研究開発法人協議会という、今は理化学研究所の方で事務局をやっていただいている会合がございます。このグッドプラクティスの話というのを紹介する時間的に余りなかったのですが、国立研究開発法人をめぐる制度改革の話が今動いておりまして、今、内閣府の方を中心に準備しております。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【栗原会長代理】  こういうよいプラクティスを集めていただいたのは大変ありがとうございます。いろいろな形で事例をシェアするというのは、いろんな意味で有効だと思います。ただ、私は複数の法人の評価に携わっているのですが、個性的な理事長がそれぞれにいらっしゃって、もう私たちの横軸は超えている法人もあるかもしれないので、横串を刺すというようなことよりは、どういうことをリーダーシップでされているかとか、例えばリーダーシップでやるのであれば、どういうふうにボトムアップがされるとかですね。横串の通し方も少しずつ違ってくるのではないかと思います。個性的な多くの理事長の方々にどういうふうに評価したかというようなことを申し上げて、更にプラクティスということになると、この委員会もしっかりしていかないといけないのではないかという気がしています。
 同じ表現でも、例えば研究内容についても非常にポジティブな自己評価をするところと、非常に厳しく自己評価をするところがあって、例えば単純な数値目標などというものではもう評価できなくて、その自己評価軸そのものがマネジメントになっていると感じました。そうしますと、ここではもっとマネジメントそのものに対してとか、全体の法人の目標に対してどう全体が動いているかとか、今までの議論を超えたようなマネジメント評価も少し必要なのではないかと思っています。具体的な内容としていい評価の案があるわけではないのですが、個性的な運営というのはやはり求めていたものだと思うので、そういう非常に力強い形でリーダーシップをとられている理事長がたくさんいらっしゃるということは法人にとっては幸いな状況なのではないかと拝見しています。
 以上です。

【門永会長】  ありがとうございます。グッドニュースだと思います。
 はい。浅見委員。

【浅見委員】  私は1つしか出ていないのですが、かなり個性的な理事長が運営されておりまして、今のお話は確かにそのとおりだなと思います。例えば、今回の調査結果の5ページに、研究開発のプロセスの全体像というのがあって、その重要なポイントについてのマネジメントはどうかという形でヒアリングをまとめていただいていると思います。これはマネジメントを議論する最初の段階ではいいと思うのですが、こういうことについて、やはり理事長御自身がマネジメントというものをどう捉えているのか、とか、あるいは研究開発のプロセスというのはどういうふうに重点を置いてやると考えているのかという、多分正解のない話ではありますが、理事長の方々が話合いをするような場があるのであれば、そういう意見交換も非常に重要だと思います。
 この全体図はいろいろと評価をしていく視点が全部入っていますので、そんなに簡単に変えられるものではないとは思いますが、やはり、どういうふうにマネジメントを捉えるのかとか、どういうふうに研究開発を評価するのかということについては、絶えず議論しながら、よりよい方向にすべく評価する側(がわ)でも考えていかなくてはいけないと思っています。
 ですから、特にマネジメントについてはそれぞれの法人の目指している姿とか、何に力点を置くとか、いろいろ違うとは思いますので、できるだけフレキシブルにいろいろな議論がなされたまとめのようなものがあって、そういうものをバックグラウンドとして評価がなされるというのがいいのかなというように思ったわけです。ただ、現実にお忙しい理事長の方たちがどれぐらい議論される場があるのかというのは分からないのですが、そういう機会ができるだけあるといいなと思います。

【門永会長】  はい。廣﨑委員。

【廣﨑委員】  先ほど栗原委員がおっしゃったとおり、各機関の理事長はそれぞれ大変な個性の持ち主といいますか。それ以上にやはりいろんな人生を経験して、こういう立場になられているわけですから、さあ、こういう事例があるから勉強しなさいというような持っていき方には馴染まないのではないかという気がします。一つの提案ですが、各事例の背景にある各理事長の基本的な考え方をセットにして情報提供することが重要ではないかと思います。
 例えば理化学研究所でファンドを付けたというのであれば、それは理事長のどういう基本思想に基づいてこういうファンドを付けたのかと。あるいは今までなかった連携プロジェクトを作ったというのであれば、それを支える基本思想は何なのかというように、基本理念と併せて紹介するような。それを各理事長がそしゃくして、自分の考えとこれは合うと。あるいは自分の領域にこれは適用できるといったそれぞれの御判断に委ねると、そういった持っていき方が必要だと思います。
 先ほど中川委員の方から、理事長のマネジメント以外に、例えば連携、連携と言っているけれども、連携も非常に幅広くて、いろんな種類の連携があると。これも事例を集めるときに、ただ単にこういう連携ラボがあるとかないとか、そういう事実の羅列ではなく、この機関の理事長はこういう思想の下に、こういう連携ラボを設定したのだという、やはり基本思想ですね。これをセットにしてお示しするというのがこれだけの見識を持った理事長の方に対する示し方だと思います。

【門永会長】  ありがとうございます。今の廣﨑委員の御意見に関してですが、それぞれの理事長のキャラクターとか顔を思い浮かべると、そのとおりだと思います。それで、私が声を大にして申し上げているのは、このレポートを持っていったら役に立ちませんでしたということであれば、そういう報告でもいいですが、それ以前のところで止まっているのではないかと。理事長のマネジメントが大事、大事といって、鳴り物入りで始まって、この調査をやって、レポートまとめて、はいおしまい。では次のこと、考えましょうというようなフォロースルーのなさに非常に違和感を覚えていまして、そのことを指摘しています。
 実はこの調査は、ヒアリングをやったときには法人ごとにレポートがまとまっていまして、それは背景から思想から、全部お伺いした上で、今こういうことやっていますという、非常に貴重な情報は得られたのですが、それをそのままシェアするわけにいかないという事情もあり、サニタイズされた形でこのように無味乾燥な形にまとまっています。
 ですから、一つ一つのヒアリングからは非常に中身の濃い、深いものが得られているので、そういうものは書類にして残すと多分いろいろ問題もあると思うので、やはり全員とは言わなくても、何人か集まって、いや、実はこうなんだ、ああなんだという話ができるような仕組みを作るのがいいと思います。
 その中には、自分は自分のやり方でやるから放っておいてくれという人もいるかもしれませんし、何か得るものがあって、相乗効果があるかもしれない。それはやってみないと分からないですが、やることが大事だと思います。

【栗原会長代理】  そういうプラクティスの仕組みのシェアであれば、必ずしも理事長ではなく、理事の方々でもいいと思います。それはこういうふうなことをやりたいという、例えばリーダーシップがあったときに、どういうプラクティスの形に落としてやるのかという、その形がここにいろいろ出ているので、その形は議論の中で取り入れられるものだと思いますから、それは必ずしも理事長に働き掛けるということだけが唯一のシェアの仕方ではないと思います。幾らリーダーシップといっても、1人で全部のディティールをお決めになるわけではなく、理事長は大きな意味でのポリシーをお示しになるのだと思いますから、そういうポリシーが提示されたときに、たくさんの選択肢があるということが現場をより進めるのだという考え方でもいいのだと思うのですが、いかがでしょう。

【門永会長】  いろいろ意見が出ました。

【工藤科学技術・学術戦略官】  臨時委員の先生方にも御相談差し上げて、このようなことが更にやっているとかなどについても検討させていただきたいというふうに考えております。

【中川委員】  ちょっとよろしいですか。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【中川委員】  他省庁でも評価軸としては同じようにマネジメントのところはまとめられていて、そういうところをどうしようかというような話をしているとかの事例は把握されたりはしておられませんか。私、農林水産省の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の評価のお手伝いもしているのですが、大きな法人になったときにとても分かりやすい日本語で「ミッションステートメント」を作っているのが面白いなと思ったりしました。文部科学省だけの研究開発法人だけではなくて、いろんなところでもよい事例があれば、事務局で把握していただき、我々に情報として提供していただくことができればよいように思いますが、いかがでしょうか。

【工藤科学技術・学術戦略官】  現状では、他府省のケースについて我々の方で取りまとめてはおりませんけれども、国立研究開発協議会の場もあるので、逆に農林水産省、経済産業省にお伺いするということも考えていきたいと思います。

【門永会長】  はい、どうぞ。

【栗原会長代理】  前期の総務省の委員会では、批判するだけではなく、グッドプラクティスをプロモーションするようにというような意見が強かったと思います。

【鈴木評価・研究開発法人支援室長補佐】  総務省の委員会においても、法人のグッドプラクティスを紹介するという取組をしていただいております。前回は厚生労働省の法人のグッドプラクティスについて委員会で紹介がありました。また、総務省から各法人に対して紹介できるような事例があれば教えてほしいという依頼もあったところでございます。理事長によるマネジメントに関する調査については、文科省の法人に配付するにとどまらず、総務省さんにも情報提供差し上げているところでございます。

【栗原会長代理】  ありがとうございます。

【門永会長】  はい、どうぞ。では、最後の御意見ということで。

【廣﨑委員】  先ほど文部科学省としてのミッションステートメントというお話があり、中川委員からも幾つか資料を見せていただきました。一般論になりますが、我が国のいろんな領域での問題の一つに、多かれ少なかれ、縦割り構造を引きずり過ぎているというのがございます。このようなものに対して、一つ一つ解決策を与える上でも、例えば文部科学省としての研究開発に関する大きなミッションステートメントは何ですかと問いかける。同様に各省庁も高いレベルのミッションステートメントを明示する。これらを併せたときに国のミッションステートメントは何ですかという議論にまで高まっていけば、好むと好まざるとにかかわらず、縦割り構造の弊害を打破した新しい構造が生まれるのではないかと思います。
 リーダーのマネジメントから話がずれてしまいますが、そのようなことも含めて、こういう研究開発法人のリーダーの方には一緒に考えていただくという機会を作るべきじゃないかなと思いました。

【門永会長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。
 意見は十分に出たのではないかと思いますので、事務局にまた次のステップを考えていただきたいと思います。
 最後に何か事務局から御連絡ありますか。

【鈴木評価・研究開発法人支援室長補佐】  次回の審議会でございますが、議題、日程については、後日、事務局より御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

【門永会長】  きょうはこれで閉会いたします。長時間ありがとうございました。皆さん、よいお年を。


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