国立研究開発法人審議会(第9回) 議事録

1.日時

平成29年6月1日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室

3.出席者

委員

門永会長、栗原会長代理、浅見委員、古城委員、三枝委員、髙橋委員、中川委員、廣﨑委員、山口委員、山田委員、若林委員、角南臨時委員、福井臨時委員

文部科学省

中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官、伊藤科学技術・学術政策局長、真先大臣官房審議官、勝野科学技術・学術総括官、松岡企画評価課長、工藤科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、伊藤科学技術・学術政策局企画官、鎌田大臣官房政策課評価室長、鈴木評価・研究開発法人支援室長補佐ほか

4.議事録

【門永会長】  最初に,科学技術・学術政策局,伊藤局長から一言お願いいたします。

【伊藤科学技術・学術政策局長】  科学技術・学術政策局長の伊藤でございます。第2期の研究開発法人審議会の初回になりますので,一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 委員の皆様方には,大変御多忙の中,今回の委員をお引き受けいただきまして,改めてお礼申し上げるところでございます。
 御案内のとおり,独立行政法人制度につきましては,平成27年4月から国立研究開発法人制度が新しく発足したところでございます。それまでの独立行政法人が行政の効率,業務の効率化というのを主眼に置かれている法人でありましたところ,国立研究開発法人につきましては,「研究開発成果の最大化」を目的に据えた制度へと変更されたところでございます。この新しい国立研究開発法人制度につきましては,主務大臣が行う評価につきまして,その研究開発の持つ様々な特性を踏まえるという意味から,外部の専門家による御意見を伺うということで,この審議会が発足したところでございます。
 第1期の2年間が終わりまして,今の国立研究開発法人に求められておりますところについて,申し上げますと,その成果を最大化するという上で,研究開発法人のマネジメントの重要性がこの審議会の場でも度々指摘されてきたところであります。また,国費以外の外部資金による経営基盤の強化,外部との連携といったことも国立研究開発法人に求められているところであります。このような国立研究開発法人を取り巻く状況も踏まえつつ,第2期審議会におきましては,多角的な観点から各独立行政法人の評価並びに今後の各法人の特性を踏まえた方向性について,御助言を頂ければ幸いでございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

【門永会長】  伊藤局長ありがとうございました。
 私からも一言申し上げます。第1期に続き,今期も会長を務めさせていただきます。独立行政法人のほぼ発足当時から,外部評価の委員を務めておりまして,恐らく15年ぐらいになるかと思うのですが,その間,独立行政法人から国立研究開発法人,そして,その中で今,特定国立研究開発法人をどのように評価していくかという議論が内閣府でなされていますが,そういう節目,節目で,評価の指針を作るワーキンググループに関わってまいりました。現在は,特定国立研究開発法人の指針を作る部会で座長をしております。
 私は,民間企業で変革を進めるという機会にたくさん接してきておりますが,民間企業に比べると,新しいことを取り入れて先に進むというのは官の世界ではそう簡単ではありません。一方,10年前,15年前と比べると,かなり前に進んだなという実感は持っております。そのスピードでいいのかというのは大きな課題でして,世の中の科学技術の変化のスピード,それを取り巻く環境の変化についていけるように,まず文部科学省が範を示すという形で先頭を切って進めていければと思っております。よろしくお願いいたします。
 栗原会長代理から一言お願いいたします。

【栗原会長代理】  私ももう10年近くやらせていただいて,非常に法人の活動が分かりやすく整理されてきたなという印象を持っております。国立研究開発法人になって,研究成果の最大化という言葉が出て,今までプロセス評価,研究計画を粛々とやるということだったものから,いろいろなプロセスの過程も見てくという形に変わったという一つのキーワードだと思っておりまして,これは評価側も被評価側も大変ではありますけれど,よい将来に続くような評価がここでできれば良いといつも考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【門永会長】  それでは,議題2に入ります。第2期国立研究開発法人審議会における審議を進めるに当たりまして,事務局からこの審議会や,関連する情報について説明をお願いします。

【工藤科学技術・学術戦略官】  それでは,お手元の資料3,資料4,資料5をまず御説明させていただきたいと思います。
 資料3につきましては,文部科学省国立研究開発法人審議会の運営規則でございます。これは設置法令でございます国立研究開発法人審議会令に基づきまして,運営をまとめたものでございます。
 内容といたしまして特記すべきところは2点ございます。1つは,書面による議決ということが可能であるということでございます。これは会長におきまして,やむを得ない理由により審議会の会議を開く余裕がない場合におきましては,事案の概要を記載した書面を委員及び当該事案に関係のある臨時委員に送付し,意見を頂戴し,又は賛否を問い,その結果をもって審議会の議決とすることができるということでございます。もし,諸般の事情によって,この会議を開くことがかなわない場合ということも多々あるかと思いますけれども,その際については,こちらによって議決いただくことになると思います。
 また,議決権の特例といたしまして,審議の対象となる国立研究開発法人の役職員等になっている場合については,意見の全部又は一部について議決権を有しないというケースがございます。この点がこの運営規則におけます特記事項でございます。
 次に,資料4は,先ほど申し上げた議決権の特例につきまして,より詳細にどのような方が議決権を有しないのかということについて定めたものでございます。法人経営又は事業運営に関する企画及び立案並びに評価に関する会議等に出席し,謝金を受けている者,法人が実施する講演等に講師として出席して,継続的に報酬を受けている者,所属機関の常勤の役員であり,その当該所属機関に対して当該国立研究開発法人から金銭提供がある者,研究費の配分を受けている研究者という方がこの場合,議決権を有しない方の対象になってございます。
 また,資料5につきましては,この会議は公開で開催されておりますけれども,会議の傍聴については,あらかじめ我々文部科学省科学技術・学術政策局企画評価課の登録を受けなければならないという旨,また,この会議の撮影,録画,若しくは録音につきましては,これも事前に許可を受けた場合ではなくてはいけないということが定められております。
 また,会議の資料,議事録につきましても,原則公開としてございまして,ただし,これについても,会長から特別の必要と認めるケースにつきましては,審議会に諮った上で,その一部又は全部を非公表とすることができる旨を定めてございます。
 こちらが審議会の運営に関する点でございます。
 続きまして,資料6も御説明差し上げたいと思います。
 国立研究開発法人審議会につきましては,既に先生方については御案内のことも多かろうと思いますけれども,簡単に御紹介させていただきますと,まず国立研究開発法人制度につきましては,この前提となる独立行政法人という制度がございます。かつて,独立行政法人は,国自ら主体となって実施しなければならないものであって,民間の主体に委ねては必ずしも実施されない恐れがあり,実施されないときは,国民生活及び社会経済の安定等に支障を生じるものを指し,このうち,研究開発に係る事務事業を主要業務とし,研究開発成果の最大化を目的とする法人が国立研究開発法人化の対象になってございます。
 次のページには,国立研究開発法人審議会の構成として,法人ごとに部会が設置してございます。また,目標・評価のサイクルにつきましても,まず中長期目標の策定というプロセスございます。さらに,それに沿った形で中長期計画の認可,その後,それぞれ年度評価,中長期目標の終了する時点における見込み評価,そして,最後に,中長期目標期間全ての5~7年の期間実績評価というのがございます。これを踏まえて,組織・業務全般の見直しを行って,サイクルを回していくという体制をとっております。
 1枚おめくりください。今後の国立研究開発法人審議会のスケジュールのイメージ図でございます。こちらにつきましては,後ほど,資料12で詳細説明いたしますが,基本的に文部科学大臣にどのようなことを行っていくか,この審議会でどのような業務を行うか,各部会で行うものというのがこの辺で図示してございます。
 そして,次のページですが,審議会の進め方のイメージですけれども,まず年度評価,中長期目標期間見込み評価,中長期目標期間の評価全てに共通する要素でございますが,まず事前送付として,各委員の先生方に法人が作成した自己評価書や補足説明資料が送付されます。これが部会におきまして,法人から自己評価書に基づいたヒアリングを行います。また,法人の自己評価書をベースにした文部科学省による評価案を御審議いただきまして,更に部会としての意見を取りまとめていただきます。
 そして,3ポツがこの国立研究開発法人審議会の総会の場に当たりますけれども,各部会長から上記意見についての説明を頂くとともに,審議会として,業務の実績評価への意見を決定いたします。その意見の決定をもちまして,文部科学大臣による評価案とさせていただきますので,それを審議会の意見を踏まえて,文部科学大臣が実績評価を決定するという運びになってございます。
 続きまして,事務・業務の見直し,中長期目標,中長期計画策定でございますが,こちらもほぼ同じような仕組みになっております。最初に,法人と文部科学大臣によって,中長期計画について原案を作成いたします。これについて,部会にお諮りし,各部会において,法人・文部科学省それぞれヒアリングを行い,意見を取りまとめるとともに,審議会として,各部会長から上記の意見を説明いただいた上,案に対する意見を定めます。最終的に,文部科学大臣によって,審議会の意見を踏まえ,各法人の事業計画の見直案,中長期目標,また中長期計画につきましては認可になりますけれども,こういったことが大臣によって決定されます。
 もう1枚おめくりください。文部科学省所管の国立研究開発法人の評価の基準でございますが,こちらは,文部科学省所管の独立行政法人評価に関する基準という,文部科学大臣決定の文書でございます。評定区分につきましては,S,A,B,C,Dの5段階ございます。Bが標準とさせていただいております。
 研究開発に係る事務事業についての評定区分につきましては,物質・材料研究機構のものを参考に,その裏のページに付けさせていただいていますけれども,まずSにつきましては,特に顕著な成果や,将来的に特別な成果の創出の期待等が認められるケースが想定されております。
 この中で,例えば「当該分野での世界初の成果の実用化への道筋の明確化による事業化に向けた大幅な進展」や,「研究成果による新たな知見が国や公的機関の基準・方針や取組などに反映され,社会生活の向上に著しく貢献」。こちらは研究成果によって,ある種の安全基準なり,建築物その他の基準等に生かされるなど,それが実際上,社会の仕組みに取り入れられて,発展する価値があるようなもの,また「国内外の大学・法人,民間事業との新たな連携構築による優れた研究成果創出への貢献」といったマネジメントや,人材評価に関する評価軸というものがございます。
 また,このSに対して,Aとなるものがあります。この場合,S評定に至らないけれども,成果の発見による想定程度の意義,成果,貢献が考えられる,いわゆる顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められるケースを想定してございます。
 Bについては,御案内のとおり,着実な業務運営。これはBが標準という形でやらせていただいております。Cにつきましては,それに満たないもの。より一層の工夫,改善が期待されるもの。Dについては,抜本的な見直しを含めて,当該項目について,工夫,改善が必要と考えられるものが挙げられてございます。
 今,全く1対1で対応しているかどうかという,いろいろ御議論あると思いますけれども,最後のページに,平成27年度における業務の実績に関する評価として,こちらは先ほど申し上げましたとおり,物質・材料研究機構のS,Aと,それから,Bの結果について,参考までにお借りして,記載してございます。後ほど御覧いただければと思います。
 資料7,資料8につきましては,個々の法人がどのような業務を行っているか,御参考までにそれぞれお配りして申し上げています。
 次回のこの国立研究開発法人審議会につきましては,この全ての法人について年度評価の結果をお持ちいただくことになりますので,それまでにこちらを御覧いただければと考えます。
 資料8につきましては,既に,前期の国立研究開発法人審議会におきまして,それぞれの部会の設置が決定されてございますので,御参考までに御覧いただければと存じます。

【鈴木評価・研究開発法人支援室長補佐】  では,次に資料9と資料11について,関連の情報ということで説明をさせていただきます。
 まず資料9「国の研究開発評価に関する大綱的指針」についてでございます。こちらは内閣府において,門永座長の下で議論をされまして,昨年の12月に改定がされました。大綱的指針につきましては,科学技術基本計画の策定のたびに,その趣旨に添った改定が実施されております。
 今回の改定では,平成28年度から32年度の5年間の第5期科学技術基本計画を踏まえまして,イノベーション創出を促進する評価手法が導入されておりますので,以下,改定のポイントを御紹介させていただきます。
 まず1点目でございます。実効性のある「研究開発プログラムの評価」のさらなる推進が挙げられております。第5期基本計画では,我が国の未来社会の姿の実現に向けた取組をSociety5.0として推進することとされておりますところ,こちらの指針においても,あるべき社会の姿を政策・施策等の目的として設定し,その実現に向けて必要な活動を組み合わせた「プログラム」単位で研究開発を推進することが記載されております。また,研究開発プログラムを始める前に,政策目的に対して現状がどうなっているのか,目的とのギャップを埋めるためにどのような活動を行うか,どのような効果が期待されるかについて,時間軸に沿って描いた「道筋」の作成を促すということが記載されております。
 2つ目のポイントに移ります。第5期基本計画では,アイデアの斬新さと経済・社会インパクトを重視した研究開発の促進がうたわれております。それを踏まえまして,チャレンジングな研究開発や実施期間の長い研究開発,イノベーションを生むためのマネジメントの評価に係る留意事項が新たに追加されております。
 また,3つ目のポイントとしましては,研究開発評価に係る負担の軽減についても記載されております。
 1つ目の記載にあった「道筋」につきまして,次のページのイメージ図で御説明させていただきたいと思います。次のページの左下,四角で囲っております部分を御覧ください。箱の中の左側,現在の状態と,右側のビジョンのギャップを埋めるものとして,研究開発プログラムの実施者自らが行うプロセスがございまして,その右側にある黄色の成果の受渡しを経て,期待される効果があるという図となっております。こちらは第1期の研究開発法人審議会で御議論いただいたフローチャートに通じるものですので,御紹介させていただきます。
 次に,資料11,特定国立研究開発法人特別措置法の概要という資料の説明をさせていただきます。
 まず,目的でございますけれども,世界最高水準の研究開発成果の創出,普及,活用の促進でございます。その下の対象法人は,3法人ございまして,文部科学省の法人としては,物質・材料研究機構,理化学研究所がございます。これら特定研発法人は,国際的に卓越した人材への報酬・給与の支給基準を柔軟化することができます。
 また,若年の研究者等の育成及び活躍の推進に配慮することとされております。
 また,内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の意見を法人運営に反映するといった取組により,国家戦略との連動性を高め,我が国の科学技術水準の著しい向上を図り,国際的な産業競争力の強化を実現することとされております。
 中長期目標に関して言えば,総合科学技術・イノベーション会議の意見を反映し,主務大臣が中長期目標を策定・変更することとなっており,昨年の審議会におきましても御意見を頂きまして,昨年の10月から特定研発法人としての目標がスタートしております。
 左下の評価のところでございますけれども,中長期目標期間の終了時の見込み評価等について,総務省に加えて,総合科学技術・イノベーション会議も通知することとなっておりまして,必要があるときは意見を頂くこととなっております。
 資料11の説明は以上でございます。

【工藤科学技術・学術戦略官】  引き続きまして,資料12について御説明差し上げたいと思います。先ほどスケジュールにつきましては,資料6に記載あった部分をこちらに書き写してございます。
 まず平成29年度の中長期目標策定及び法人評価スケジュールについて,本日,6月1日については,この第9回国立研究開発法人審議会を開催させていただいております。
 続きまして,6月末には,法人の自己評価がまず文部科学省へ提出されます。
 そして,それに引き続く6月から7月までの間,各研究開発法人部会におきまして評価案の内容全般の確認,それから,審議会としての意見の案について御議論いただきます。評価の審議に係る過程で抽出された課題と,改善事項,マネジメント等のグッドプラクティス,研究開発法人に共通する評価に関する意見等についても,各部会から出していただくということを考えております。
 そして,第10回国立研究開発法人審議会につきまして,評価の理由の関連性について,法人間で不合理な差異が生じていないことを確認の上,審議会としての意見を決定させていただきます。
 また,部会における議論を踏まえて,各法人の課題,改善策,マネジメント等のグッドプラクティス,それから,研究開発法人に共通する評価に関する意見については,各部会から上がってきたものについて御議論を頂きまして,審議会として取りまとめをやらせていただきたいと思います。そして,8月末には文部科学大臣による評価の決定という運びとさせていただきたいと思います。
 こちらまでが評価の今年度のサイクルでございます。その後,9月から12月につきましては,今年度におきましては,理化学研究所部会,それから,宇宙航空研究開発機構部会におきまして,中長期目標について御議論いただきたいということを考えております。中長期目標,それから,評価軸,内容全般の確認を頂くとともに,審議会としての意見を取りまとめていきます。また,中長期計画につきましては,中長期目標との整合性を考慮して,内容全般について個々の部会にて確認していただきます。
 12月以降におきましては,この研究開発法人審議会を再度開催いたしまして,審議会全体として意見を決定させていただきたいと考えております。
 これに基づきまして,平成30年2月末に新中長期目標の主務大臣,文部科学大臣決定,同じく3月末には新中長期計画の文部科学大臣の認可が予定されております。また,これに加えまして,理事長によるマネジメントの事例について,引き続き議論する場というのも,この審議会の下に設けさせていただきたいと考えております。
 資料12については以上です。
 続きまして,資料10,それから,資料13について御説明を差し上げたいと思います。
 まず資料10につきましては,こちらは,当国立研究開発法人審議会第1期におけます昨年と一昨年に主な指摘事項としてまとめられたものをお配りしてございます。これは前期に御議論された内容について,引き続き御議論いただくとともに,引継ぎ的な要素を持った事項として御紹介差し上げたいと思います。
 昨年の平成28年8月24日には,まず指摘事項としまして,大きく3つございますけれども,最初にフローチャート等を活用したPDCAの実施についてという項目でございます。
 アウトカムとの関連での達成度や達成スピード等の評価が重要でり,中長期目標をフローチャート化することによって,どのような取組が行われ,それがどのようなアウトプットを生み,それから,アウトカムが出る,このアウトカムのインパクト等を見える化することによって,達成度や達成スピードの評価が可能になるのではないかというようなお話を頂きました。
 また,このほかにも,フローチャートやロードマップの作成に当たりまして,評価の妥当性を裏付けるため,できる限り具体的な記載内容とすべきである。それから,当該記載にないような想定外の成果についても評価する。こういったことに加えて,成果のみならず,課題も提示する必要があるということを御指摘いただいております。
 続きまして,2つ目の事項としまして,評価手法の充実・改善についてでございます。これはこの国立研究開発法人審議会各部会における評価についての在り方について御議論いただいたと理解しておりますけれども,項目ごとに評価の判断基準等の基本的スタンスを明確化することが必要であるとともに,そういったものが委員会で共有して評価を行うべきであるという御意見いただきました。
 また,事務局として非常に重く受け止めておりますのは,文部科学省所管の8つの法人ごとやはりそれぞれミッションが違うこともあり,性格が異なってきます。ただ,そういった中におきましても,何らか共通する要素,その共通する要素の中でもどれぐらい評価が違うのかということについて,非常に大きな議論になったというふうに伺っております。
 ここに記載されていることも,法人全体の評価に対する各評価項目,例えば,研究成果の最大化や適正,それから,効果的かつ業務運営の効率化に関する項目につきまして,重み付けのバランス,それから,部会による評価に当たって,それぞれの部会の判断に過度な差異が生じないように注意していく必要があると伺っております。
 さらに,研究開発マネジメント,それから,他機関との連携も含めた法人全体のマネジメントが評価できる仕組みが必要と伺っております。これはマネジメントの評価項目案を作るなどということや,一定の方向性について御議論いただければという形を踏まえまして,この後,我々の委託調査の概要について発表する時間を設けてございますので,またこの点も併せて御議論いただければと考えております。
 それから,3ポツにつきましては,研究開発のタイプの違いによって,先ほども私から申し上げたように,法人の性格,それから,与えられたミッションが違います。これについて,研究成果の最大化の在り方を検討し,中長期目標・計画の作成や評価に反映するべきであり,国際的な観点を目標設定や評価に持ち込む必要があるということも書かれております。
 続きまして,平成27年の第1期の国立研究開発法人における主な指摘事項でございます。こちらについては,大きく分けて2つございまして,1つは,国立研究開発法人評価というのをどのように行ったらいいかということですけれども,やはり中でも,先ほどから申し上げているように,目標達成型の評価手法では評価がしづらいようなものとか,共同事業全体としての課題が発生した際に,どのような評価が適切であるか。複数の主体があるようなものについても,どのように扱っていったらいいのかなど,評価全体をやるときに,一様には評価項目として分かりづらいようなことについても,この場で明らかにしていったらいいのではないかということが御指摘いただいております。
 2ポツにつきましては,研究開発の推進に向けた制度の運用についてということで御指摘いただいており,こちらは我々事務局も含めてですけれども,国立研究開発法人制度をよりよくするような何らかの方向性についての議論を頂いています。例えば,社会ニーズや大学シーズを生かして開発を行うことで,基礎から応用へスムーズに移行することができると考えられるため,国立研究開発法人と大学や企業との幅広い連携方策を積極的に推進するべきということであったり,それから,国立研究開発法人施設設備の維持管理費に係る固定費の比率が高いので,運営費交付金が一律に削減される研究開発業務の実施に支障が出るということを配慮すべきであるとか,それから,会計基準の原則として業務達成基準とされたことについて,これは法人の特性を踏まえた弾力的な運用が必要であるといったことなど,国立研究開発法人制度がよりよくあるべきという形の御議論を頂いたと我々としては受け止めてございます。
 引き続きまして,資料13を説明させていただきたいと思います。こちらは一見してフォーマットになってございますけれども,先ほど資料6におきまして,S,A,B,C,Dの評価基準,評価評定の御説明を差し上げたところですが,各部会におきまして,これから各法人の評定を審査していただきます。その際に,この国立研究開発法人審議会,総会におきまして審議する上での一つのやり方について,このようなフォーマットをお配りして,ここに記載していただいて,出していただこうと考えております。最初に,研究開発法人評価に関する主な意見,どのような議論があったのか。特にマネジメント事項と,こういったことにつきまして,記載いただければと考えております。
 また,国立研究開発法人に共通する評価に関して,主な意見として,これまで,一昨年,昨年の評価におきまして,共通する事項について記載いただいておりましたけれども,これに類するようなこと,更にこれを深掘りしたような議論についても,この場に記載していただいて,各部会からこの総会,国立研究開発法人審議会に上げていただくようなことを考えております。
 また,次のページ以降は,フォーマットでございますけれども,こちらは一つの考え方を申し上げますと,先ほど評定について,Bについては標準とするというお話をさせていただいたかと思います。総会に持ってきていただくこのフォーマットにおきましては,Bの事項を除いております。これは標準とされていること,そのまま着実に行われた研究開発法人の業務運営につきましては,特段の評価の対象とするというよりも,SやAなどの顕著な成果。若しくはCといった,標準に及ばなかったこと。それから,あればですが,Dといった改善する必要があるもの。こういったB以外の事項について,それぞれ記載していただきまして,その記載した内容もそれぞれどのような理由において,S,A,それから,C,Dが付いたのかを記載していただくことで,この審議会の議論をよりスムーズに進めていきたいというふうに考えまして,我々事務局として,今,御提案させていただいているものでございます。
 大部の資料を大分駆け足で御説明させていただきましたけれども,事務局からは以上です。

【門永会長】  ありがとうございます。
 私から補足をします。1期の委員をされていた方には繰り返しになってしまいますが,新しい方もいらっしゃいますので,基本的なところを申し上げます。国立研発法人の評価は幾つものレイヤーになっていまして,部会が一つの単位になっています。部会は,各法人の自己評価結果を基に議論をしていただいています。ですから,自己評価と同じことを部会で議論するということのないように,部会ならではの視点というのを各部会で工夫されていると思います。
 その部会長に集まっていただいているのがこの審議会ですので,この審議会での議論というのは,部会のそれぞれ個別の話はほとんどいたしません。どういう話をするのかというのはこれからの皆さんの御意見もお伺いしたいと思いますが,前期は,部会を越えて話をして意味のあること,例えば評価の仕方において,こういうやり方は有効であったというようなグッドプラクティスを共有するとか,横に並べてみて,自分の部会で欠けていたものであるとかでした。そういうことを発見して,それをここで議論することを考えております。
 そういう視点と,もう一つは,文部科学省の研発法人が文部科学省に与えられたタスクをきちんと全うしているかどうかという,幅広い範囲から見る。これは難しい議論ですけれども,特に目標設定のとき等には,その目線で話をする。それも踏まえて,今後は目標設定にしても,評価のやり方にしても,こういうふうにしていったらいいのではないかという話をまとめて,先ほど最後の方に御紹介のあった審議会のアウトプットにするということを1期ではしてきました。
 そのアウトプットを1-2ページにまとめたわけですが,期待値としては,それをもって局長が大臣に説明するということを念頭に,1-2ページを作ったというのが第1期です。2期は,どうするべきかというのは,これから皆さんの御意見を伺って,また工夫をしていきたいと思います。
 2点目は,個別の話ですが,その審議会のアウトプットの中で,それぞれの部会で評価をするときに,何をやって,何を達成しようとしているのか。それはどういうステップになって,最後はどこにつながっているのか。それを見える化したフローチャートを使いましょうという話をこの文部科学省の審議会でしました。
 それに並行して,大綱的指針においても,プログラム評価でフローチャートが使われていまして,そういう意味で,文部科学省に限らず,各省庁の研発法人でもこういうものの見方,評価の仕方をしてくれという話になりましたので,更にそれを研ぎ澄ましうまく使っていくということにより文部科学省が先頭を走れるのではないかなと思います。
 それから,3点目は,御紹介はありませんでしたが,この審議会の中には臨時委員という方がいらっしゃいます。後で自己紹介と御意見いただくときに,一言いただけるかと思いますが,先ほど私が,ここに座ってらっしゃるのは各部会の部会長と申し上げましたが,それ以外に部会長をされていない臨時委員という方がいらっしゃいます。この臨時委員の方には,特にふかん的に,自分の部会に引っ張られないというスタンスで御意見を頂くとともに,1期目では,臨時委員だけが集まって,特に幾つかの話題にフォーカスして,議論をしました。1期では,理事長のマネジメントの評価という大きなテーマがありまして,まず評価する前に,それぞれの理事長がどういうふうにマネジメントをしていて,何に苦労をしていて,その中にも多分ベストプラクティス,グッドプラクティスがあって,それらをシェアする場というところから始めようではないかという議論をしました。その結果として理事長に話を聞くサーベイを行い,それをまとめるという作業を1期ではしました。この結果の説明を委託先の外部の調査機関にお願いしましたので,後ほど発表していただきます。
 その臨時委員の集まりは今後も続けます。まずは理事長のマネジメントの現状を情報として集めましたので,2期は,それを踏まえてどうするかという議論を臨時委員でしていけたらと私は思っています。後日,で臨時委員が集まったときにその議論をしたいと思っております。
 私からは以上ですが,何か御質問,御意見。はい。中川委員。

【中川委員】  中川です。今期もよろしくお願いいたします。1期で集まったときに会長がおっしゃっていたことですが,評価のやり方を大きく変えましたが,走りながら,動きながら考えていこうということでこの間やってきたように思います。現状は,少しずつ前に進んでいるとは思いますが,評価に関わってまだ数年の私からみてですが,過去の独立行政法人の評価が研究開発をしにくくしたことも含めたよくないところが,十分まだ一掃できていないように個人的に思います。そういう意味では,まだ走りながら変えていかなければいけないものをどのように見つけるかというプロセスにあるのかなと思っています。第2期が始まるに当たって,どのぐらいの感じを持ってらっしゃるのか,会長にお伺いしておきたいと思います。

【門永会長】  結論から申し上げますと,最後まで走りながらではないかと思います。走って,いろいろ変えていくうちに,後ろからまた新たな問題が追っ掛けてきます。放っておくと問題に追い越されてしまうので,1つでも,2つでも,解決しながら,前に進めるというのが現実的なところかなと思います。

【中川委員】  ありがとうございました。

【門永会長】  どうぞ。

【廣﨑委員】  廣﨑ですけれども,今,説明がありましたように,第1期でかなり見える化であるとか,全体のシナリオ,戦略の整理が進んだなという感じがしております。第2期,これからの議論では,せっかく個別の知の水準が高い研究開発法人がたくさんございますので,いわゆるオープンイノベーションであるとか,横の連携を戦略的に進めていく。あるいは戦略的に進める上での,見える化の工夫であるとかそういったことも是非これからの大きな課題として議論を深められたらいいなと思いますし,その結果が各機関の評価にもかなり具体的に反映されてくるのではないかなという気がしておりますけど,そのあたりの方向性を教えていただきたいと思います。

【門永会長】  実は先ほどレイヤーの話をさせていただきましたが,もうひとつ上に特定国立研究開発法人の評価に関する内閣府のCSTIのレイヤーがあります。オールジャパンの視点から適切な研究開発活動が行われているのかという観点からものを見ていくわけですが,どうやって見るかというのを議論している最中です。
 多分レイヤーは上でも下でも,考え方は一緒だと思います。縦に深く掘っていたもので中には非常にすぐれたものがある。これを横につなぐ,組み合わせる,若しくは,そうしてみると足りないものも見えてくる中で,成果を全体として最大化するのにはどうしたらいいか,更に深掘りした方がいいのか,横につなげていった方がいいのかという議論は,これからますますやっていかなければいけない議論であると思います。
 審議会のレベルで,オールジャパンの話というのはなかなかしにくいのですが,文部科学省の研発法人が与えられたミッションの中で,それがどこまでやるべきか,できるかという話は是非やっていきたいと思っています。

【工藤科学技術・学術戦略官】  若干補足させていただきますと,政策全体としては,研究開発法人単体ではなくて,大学,それから,民間企業,そのほかにいろんなプレーヤーがいると思いますが,こういったものが組織化されて,産学官連携の枠組みを作っていく議論というのを別途始めております。
 恐らくこういったものは,もう少しシェイプが明らかになってきたときに,国立研究開発法人がどのように主体的にそこに関わっていくのか,それはどのように評価されるべきなのかというのも,正に今新たに起こってきた議論でございまして,恐らくこの評価の中にどのような評価項目として考えていこうかというようなテクニカルな話というのも入ってくると思います。恐らくその辺の議論をまた近い将来,もう少し見えてきた段階で,事務局の方から御紹介差し上げていただければと考えております。

【門永会長】  ありがとうございます。
 中川審議官,どうぞ。

【中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは,2点,今,御議論なかった話でお伝えしたいのですが,私は政策評価担当の審議官ということで,文部科学省の官房で,文部科学省の全体の独法とか,文部科学省の全体の政策評価というものを担当している立場で,こちらで,局長の隣に座らせていただいております。
 そのことで,こちらの先ほどから御議論のあったことに関連して,2つの点をお伝えします。1点目は,第1期のときも議論になったフローチャート化とか,この大綱的指針にあるプログラム化とか,この参考資料8に入っている,例えば海洋研究開発機構がこういう中期目標をフローチャートにしましたと,このように,あることをやるのに,上位概念とか解決すべき課題を念頭におき,それを深めながらやるという考え方は,この国立研究開発法人に関する部会が先導し,あるいは門永先生がそれを内閣府とキャッチボールしながら進めてこられたのですが,実はそのやり方を,文部科学省全体の政策評価体系,具体的にはスポーツとか教育とか,こういうところの政策評価の中にも,ロジックモデルという考え方をいれようとしてやっております。例えば,「第5期科学技術基本計画」という全体計画があって,そのもとで政策目標や個々の事業のミッションがあるというようにみていくやり方は,恐らく研究開発分野で先導してきているのですが,霞が関の行政全体のやり方そのものを多分変えていくことであって,例えば新しい「スポーツ振興基本計画」というのができたときに,ある法人が何をやるかとかどういうミッションをもつかということを,上位の政策目標からおろしていく,というやり方をしております。このような政策評価のアプローチそのものは,研究開発という分野にとどまらない話で試みているということです。先ほど来,走りながら考えるというお話がございましたが,そこで大事な点は,恐らく走っているときに,ほかとキャッチボールし合うということだと思うのですが,これまでも,内閣府とのキャッチボールとか,ほかの評価とのキャッチボールというのもし続けてこられたので,今後,私どももそういう他との橋渡しを意識しながらやってまいりたいということで,これが1点目です。
 それから2点目は,小さい話ですが,工藤戦略官から,Bが標準というお話がございました。余りS,A,B,C,Dにとらわれるという必要はありませんが,ファクトだけ一つお伝えしますと,文部科学省全体の評価,独法評価をやったときに,明らかに研究開発法人はAが多くなっております。例えば幹部にレクするときに,研究開発は評価が甘いのではないか,あるいは研究開発コミュニティの内部の内輪の評価になっているのではないかということが時々言われます。 先ほどの参考資料6によれば,きちんと成果の創出,顕著な成果ということをしっかりと言った上で,Aを付ける,Sを付けるということで御議論いただいてきておりますが,一方,それについても,これもオールジャパンの話で,この部会でも御議論あったかもしれませんが,一昨年,総務省全体の独法評価のときに,研究開発法人は評価が高いという指摘,総務省の独法制度評価委員会の点検結果で,「顕著な成果の創出といったA評価以上の評価をしているけれども,その評価に至った根拠,理由等が分かりやすく記述されていない研究開発法人が見られた」ということを明示的に言われております。だから,Aを選択するなという意味ではなくて,研究開発フィールドにおける成果の,顕著な成果というのと,外から見たときの顕著な成果ということの説明責任については,より意を払って考える必要がある,ということで,なぜかと申し上げますと,今,研究開発投資全体を増やそうとか,研究開発法人を強化していこうと政府全体でやっておりますので,そのためにも,逆に,研究開発フィールド以外の方々の理解を得なくてはいけないという意味では,ここの「Bが標準」,「A以上は,顕著な成果についてしっかり説明していく」というのは,よく意を払いながら対応する必要がある,この点も念頭において御議論いただければと思っているところでございます。
 以上でございます。

【門永会長】  ありがとうございます。後ほどお1人ずつ,自己紹介も兼ねながら御意見を伺いたいと思います。その前にもう一つ,前期実施しました理事長のマネジメントに関しては,調査を外部機関の新日本有限責任監査法人にお願いしましたので,そのアウトプットの説明をお願いします。福井シニアマネージャー,お願いします。

【福井シニアマネージャー】  新日本有限責任監査法人の福井と申します。私から説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に,資料14のパワーポイントを御用意いただけますでしょうか。今回,国立研究開発法人の理事長によるマネジメントに関する調査ということで,調査を実施いたしました。
 まず3ページ目です。今回の調査の背景・目的でございますけれども,第5期科学技術基本計画にございますように,国立研究開発法人はイノベーションシステムの駆動力として,組織改革とその機能強化を図ることが求められています。その中で,法人の長は,適切な内部統制の整備・運用などのマネジメント力を最大限発揮することが求められているということで,内部統制に関しましては,理事長による効率化・効果的なマネジメントを行うために,理事長がリーダーシップを存分に発揮できる「環境の整備」が必要であろうという観点,もう一つは,国立研究開発法人がすぐれたパフォーマンスを発揮するためには,「理事長による効率化・効果的なマネジメント」が重要な要素であるという,マネジメントの観点。こちらが現状,どうなっているのかということと,グッドプラクティスを抽出して,それを参考となる事例として共有化していこうということを考えております。
 調査の目的としまして,今回,内部統制のシステム整備については,現在どうなっているのかという状況の調査ということと,理事長によるマネジメントについてはグッドプラクティスの調査を行って,それぞれの知見・事例を共有化することで,各法人の理事長が取捨選択して有効活用できるようにするということを目的としています。今後,研究開発法人審議会における法人のマネジメントの充実強化に向けた検討に生かしていただきたいというふうに考えております。
 今回,グッドプラクティスを抽出しましたけれども,マネジメントの良しあしについては評価をしておりません。理事長が問題意識をもってアクションを起こした事例を紹介しており,その趣旨は,その評価をするということで,今回事例を集めたわけではないということと,まだ今回,いろいろなマネジメントについては,成果の検証というのは行っておりません。始めたばかりの取組も多くございますので,今回はそういう事例を抽出して共有化していくということで,ミューチュアル・ラーニングという言葉で表されるように,相互に学び合うということを目的としているということです。同じ課題,問題意識を持っていても,法人ごとに状況が違いますので,取り得るアクション,ソリューションというのは異なる場合もあります。
 では,4ページ目に行きまして,どういう方法で調査を実施したかでございますけれども,調査を実施する上で委員会を組成させていただきまして,こちらにもいらっしゃいます門永様,角南様,福井様,また,長我部様に委員になっていただきまして,調査研究の方針や取りまとめに関して御指導いただいております。
 また,文献調査,アンケート調査,ヒアリング調査でございますけれども,アンケート調査につきましては,文部科学省所管の8法人すべてに対してそれぞれ内部統制とマネジメントに関して,分けて調査をしております。内部統制につきましては,総務,企画,財務の内部統制に関わる部門に御回答いただき,マネジメントにつきましては,理事長自らにお答えを頂きました。その上で内部統制につきましては,実際のアンケートで規程類の整備状況や運用状況を把握した上で,ヒアリング調査で既に運用整備がなされている法人の具体的な取組状況を聴取し,マネジメントに関しましては,実際にアンケートでお答えいただきましたマネジメントの取組事例について,深掘りをさせていただきまして,どういう課題,問題意識の上でそのようなマネジメントに取り組まれたのか。どういう工夫をしているのかということについて,それぞれ理事長に対してお話をお伺いしたということでございます。
 5ページに行きまして,今回その調査対象となる研究開発のプロセスというのを,この表のようにまとめさせていただきました。左から,ビジョン・戦略策定,体制整備というものが全体に関わるものとしてございますけれども,その上で,全般管理とか,人事・労務管理,研究支援活動,調達活動というような間接活動と,あとは直接的に調査研究の企画・テーマ創出から審査・選定,資源配分を経て,研究の実施,それを評価して,アウトリーチ・社会実装につなげていくというような,研究開発マネジメント全体も含めて,このような整理をさせていただいた上で,紹介するマネジメントの取組については,表中に番号を付けてございます。ビジョン・戦略策定とか体制整備とか,この1から5までの研究開発プロセスに分けて,マネジメント事例を整理させていただいております。
 6ページ目以降は具体的な調査結果でございます。まずは内部統制状況でございますけれども,独立行政法人では,業務方法書に内部統制の整備に関する事項を記載するということが,総務省行政管理局長の通知で定められております。それを参考に,法人の長がリーダーシップを発揮できる環境の整備に関係する33項目に関して,方針・指針等,規程・マニュアル類の有無や,どういうふうに成果が出ているのかどうかというところも含めて,調査をさせていただいております。
 「法人の長がリーダーシップを発揮できる環境の整備に関係する33項目の概要」として挙げておりまして,その中で特に赤字に書かせていただきましたものが「幾つかの法人で規程・マニュアル類の整備に遅れが認められる事項」ということで,評価結果を法人内部の予算配分等に活用する体制であるとか,人事管理体制,人材の確保・育成に関する体制について,これができているところにヒアリング調査をさせていただいております。
 7ページに行きまして,特に評価結果を法人の内部の予算配分等に活用する仕組みと,人材の確保・育成につきまして,運用実態を4法人にヒアリングをして,確認をしております。
 評価結果の予算配分等への活用につきましては,研究の種類・内容によって,研究の評価結果を予算配分等に活用する度合いには大小があること等,プロジェクトごとに予算が決まっていて,なかなか評価によって柔軟に予算額を増やしたり,減らしたりすることができないようなものもあれば,そうでないものもあるということですとか,その法人ごとの研究開発の内容であるとか,その性質によって,ここの部分は変わってくるということです。
 人材の確保・育成につきましては,限られた予算の中で優秀な人材を確保・育成するためにも,若手研究者の採用や育成を念頭に置いた人事制度を見直している事例が結構ございました。
 続きまして,8ページに行きまして,マネジメント事例でございます。マネジメント事例につきましては,人材や予算などの資源が限られた中で,研究開発成果最大化のために工夫をしている事例が見られました。やはりオープンイノベーションというものを実現するために,組織の内部の縦割りというものを廃して,横断的に研究ができる体制を作ったり,外部の機関,民間であるとか,研究機関,大学等と連携して,研究開発ができるように,理事長自らが動いて,そのような仕組みを作ったというような事例があります。
 マネジメント事例につきましては,全部で45個の事例として,報告書本文の中では整理していまして,今回,概要の中では10の事例を整理しています。マネジメントにつきましては,今回,個々の項目ごとに分けて整理していますけれども,本来,目的を達成するために全てのマネジメントの取組がつながっており,今回,分かりやすく紹介するということで,このように項目ごとに分けて紹介をしています。
 幾つか紹介をさせていただきます。8ページのビジョン・戦略の策定ということで,組織内パブコメを通じた意見収集の事例でございますけれども,これは職員を将来戦略の策定過程に巻き込んで,ビジョン・戦略というものを自分ごとにしてもらおうという,その理事長の意識があったということです。「理念」や「志」というのが単に共有するだけではなくて,実行に向けた戦略や施策とセットにすることで,初めて意味をなすということで,理事長による現状把握というものを組織全体に掛けた上で,理事による素案を作って,それを組織内パブコメに掛けて,全体から意見聴取したというものです。建設的な意見はすぐに将来戦略に反映させるということと,あと,採用しなかった内容についても,理事長自ら,どういうことで採用していないかをフィードバックしたということでございます。
 この将来戦略というのは,その中長期目標とか中長期計画とは別に,理事長としてこういうことを将来的にやっていかなければならないということで作った戦略ということでございます。
 続きまして,10ページに行きまして,組織外とのコネクション確保ということで,民間企業とのオープンラボラトリーの構築という事例でございます。これは民間企業がそれぞればらばらで,基礎研究を実施している状況というものを解決したいということで,同業他社が一緒になることで,そのうちの基礎研究部分を研究開発法人が担うというものです。業種ごとにそれぞれ声を掛けて,人材と予算というものを出し合って,ドリームチームによるオープンプラットフォームを形成して,オープンイノベーションを促進させるという取組を理事長自らが前面に立って,企業のトップと交渉を行って,トップダウンでこういう仕組みを作って進めたという事例でございます。
 続きまして,12ページに行きまして,マル2体制整備でございますけれども,研究人材の多様性を確保するということで,国際ポスドクの受入れという事例でございます。海外から研究者,スター研究者を呼び込むためには,非常にお金が掛かるということで,そういう研究者を1人雇うということも難しいのですが,そういうことではなくて,若手の研究者を海外からポスドクとして受け入れるというものです。これまで法人の研究者が海外の研究者と共著の論文が多いであるとか,共著であっても同じ研究分野の研究者との共著では大概,研究コミュニティの内部に成果がとどまってしまう場合もあるという問題意識の下に,海外から研究者を受け入れて,任期付の研究員として採用する国際ポスドクの制度を運用したという事例です。
 一見して,組織のミッションに関係しないようなテーマも含めて,募集・採用するということで,組織の新陳代謝や能力の底上げにもつながるというようなことが考えられるということで,進めてきたということでございます。こちらは年間5名程度を採用しているということです。
 あと,13ページのマル3企画・テーマ創出で,戦略的理事長ファンドの運用ということでございますけれども,もともと縦割りで研究テーマを設定しているところを,横割り組織にして,チャレンジングな研究であるとか,将来的に花開くような研究というものを進めようということで,理事長ファンドというものを作って,横断的な取組をするということを条件に,組織横断的な研究の開発を進めたということです。萌芽研究と創成研究ということでございますけれども,未来の種になるようなテーマに対して投資し,予算を付け,人材を張り付けるという,ポジティブサイクルにつなげるようなマネジメントをしているということでございます。萌芽研究につきましては,1件100万程度で,合計20件採用したということです。また,創成研究については,1件700から800万円程度で,合計7件程度ということで,萌芽研究につきましては,若手を中心に採用しているということでございます。
 企画・テーマ創出から,評価・資源配分,人事・労務管理ということで,理事長が直接関わったマネジメント事例というものを整理しておりますので,詳しくは報告書本文を御参照いただければと思います。
 最後,18ページでございます。今回,調査研究を行った上で,法人のマネジメント体制の機能強化を検討する際に必要な検討事項についての考察ということで,内部統制とマネジメントそれぞれについて挙げております。内部統制につきましては,規程類の内容の適切性につきましては,他法人の取組状況との比較であるとか,当該法人のマネジメントの実態との相互関係というものを考慮しながら,法人の組織規模や事業内容,ミッション等を勘案して,今後,継続的に検討していくことが望ましいというふうに考えております。
 マネジメントにつきましては,今後,必要となるアクションとしまして,マネジメント事例を収集・蓄積・共有化していくことが重要であり,具体的に申し上げますと,先ほど申し上げましたように,今回把握した事例は着手して日が浅いということで,今後成果の継続的なモニタリングが必要であること。研究開発法人や民間の企業のマネジメントのケーススタディを積み重ねて,参考にし得る事例の充実化と組織内の定着,そういうことをする上での課題・対応策等の整理が必要であろうということです。
 あと,国立研究開発法人協議会というものがございますが,この協議会の場を活用して,各法人の考え方や取組状況に関して,理事長・理事が直接意見交換を,それぞれの法人間で行う場や機会を確保することが必要なのではないかということでございます。
 検証すべき事項としましては,マネジメントの取組というものがどう成果につながっていくか。アウトプットが,アウトカム,インパクトにどうつながっていくのかということを可視化し,モニタリングするためのKPIを開発するとか,マネジメントを見直していくための仕組みを今後整備していくことが望ましいというふうに考えております。
 以上,簡単でございますけれども,報告をさせていただきました。

【門永会長】  ありがとうございます。これのフルバージョンの報告書は参考資料10です。報告書は固有名詞を省いて,サニタイズされていますが,それでも,かなりリッチな内容になっているかなと思います。何か御質問ございますか。

【中川委員】  よろしいですか。固有名詞が省いてあるので,しようがないのかなと思いつつ,各部会の担当には分かるようなことになる予定はないのですか。

【工藤科学技術・学術戦略官】  各部会の担当事務局をしている文部科学省内の各課には分かるようにお示ししてありますので,そこの表向きどうするかというのはまた御議論いただく必要あるかなというところではございます。

【中川委員】  防災科学技術研究所部会では,海洋研究開発機構が行ったものをまねして,アンケートを実施して,理事長のヒアリングもして,それはそれで有効だったという総括になっています。今回の調査も,何らかの形でフィードバックした方が良いのではないかと思います。理事長は,この場のメンバーに何らかの形で届けたつもりでいるのではないかと思います。それが当該部会員に届いていないとすると,評価のときのやりとりも十分でないような気もいたしますので,できれば前向きに考えていただければ有り難いなと思います。まとめはまとめとして,何らかの形で分かるようにするのがよいかなと個人的には思いますが,いかがでしょうか。

【鈴木評価・研究開発法人支援室長補佐】  文部科学省も理事長ヒアリングに同行させていただいておりまして,理事長の生の声を聞き取らせていただいております。そのときのメモについては順次,各法人に確認いただいて御許可いただける場合には,その範囲で共有できればよいのではないかと考えています。一方で,貴重なノウハウが含まれておりますので,出せるかどうかは各法人の判断になります。

【中川委員】  それでよいと私は思います。

【門永会長】  浅見委員。

【浅見委員】  ただいまのこの資料は評価を進めていく上で非常に重要な資料だと思います。ただ,こういう取組概要の施策が,どういうプラスの結果,成果に結び付いたかというところが明示されると更に有用だと思います。理事長サイドの意識として手応えがあると思うので,それをもう少し客観的な成果とどうつながっているかというのを分かるように,ということです。自分たちが部会で議論しているところについては,具体的なところが分かるのでいいのですが,よその部会の事例としては,やはり客観的にこういう成果にこういう取組が結び付いているというのがあると分かりやすいと思います。フィードバックの中に,できるだけそういうところが反映されていると,参考になると思います。
 ちょっと意見として,申し上げておきます。

【福井シニアマネージャー】  はい。おっしゃるとおりです。

【門永会長】  ありがとうございます。レポートの中に書かれているように,着手したばかりのものが多いので,それがどうなったかというのが大事です。理事長のマネジメントの実態というか,苦労されているところも含めて,いろいろ試行錯誤の状況であり,それがどういうものであるかというのを理解するきっかけになる大変いい調査であったと思います。是非活用していきたいと思います。

【栗原会長代理】  やはりこういう好事例は,実際に実施されている方もそうですけれども,それぞれの評価委員の方にとっても,ある程度いろんな事例を知ることは,先ほどの評価のスケールを考える上でも非常に重要だと思うので,一遍に全部は無理でしょうけれども,委員の評価スキルも上がっていかなければいけないと思いますので,法人に展開するのと同時に,評価する側にとってもこういうものがうまく今後いろいろなことを考える助けになるといいなと思いますので,よろしくお願いします。
 あともう一点,評価に関わる段階で,中止された議題や,改善事項やマネジメントの好事例をここで共有するのはもちろん大変いいと思いますが,法人にフィードバックする場合,それは先ほど言われた法人の連絡会か何か,そういうところに出していくという考えでいらっしゃるのでしょうか。

【工藤科学技術・学術戦略官】  まず栗原委員がおっしゃった委員の先生方にシェアするということにつきましては,今後そこは部会の日程や時間,それから,内容についても,先ほど鈴木から御説明したとおり,どこまでお話しできるかというのも法人ごとにございますので,その辺を精査して,考えさせていただきたいと思います。
 また,各法人に対する共有につきましては,国立研究開発法人協議会,こちらは,いわゆる文部科学省の法人だけではなくて,全27法人が入った協議会になってございます。そこも事務局がしているところと若干調整は要りますが,最低でも文部科学省関係,8法人につきましては,この成果について共有できるようにさせていただきたいと考えます。

【栗原会長代理】  ありがとうございます。

【門永会長】  福井シニアマネージャー,ありがとうございました。
 それでは,最後に中長期目標・中長期計画の変更について少しお時間頂きますが,それまでは時間がありますので,皆さんから一言ずつ。今日は第1回目ですので,御挨拶いただくとともに,御意見あればお聞かせいただきたいと思います。

【中川委員】  中川でございます。第1期に引き続きまして仰せつかりました。先ほど冒頭に,プロセスですかということをお伺いして,それを正にずっと走りながらやっていく役回りを頂いたのかなと思っております。私は防災科学技術研究所の部会を受けさせていただいていて,少し防災の研究を横目で眺めていたときに,かつて独法のときには,法人の名前を売るということがどうしてもミッションになっていて,例えば大学と共同研究をやるときに,どうも防災科学技術研究所と一緒にやると,防災科学技術研究所に持っていかれてしまうというような見られ方を大学からされていた時期がり,大変不幸だなと思っていたのですが,研発になったことによって,そういうことをしなくてもよい。全体を含めて最適解をどうやってやるのかということがミッションだということになったので,大変話が整理されて,すごくやりやすくなって,よいなという感じがしております。
 一方で,同じように独法化して,苦労されている大学というところが文部科学省の中にあって,それは何度かこの中でも議論が出ていたと思いますが,大学の評価も,まだ大学の最大化みたいなものでとどまっているような感じがあり,もちろん大学は研究開発だけをやるわけではありませんが,とにかく削減の中で,何かお金を取ってきて,とにかくやっていく。もちろん国研とも一緒にプロジェクトもやっていくわけですが,その中でどんどん研究の資源が減らされていて,大変な状況になるという愚痴ばかりを聞かされるのですが,それはここの評価みたいなものをしっかり作っていくということによって,そういうところを支えていく。本来は日本全体の研究成果が最大化するように,よりなっていくためにどうしたらいいか。それもここの一つ,表立ってのミッションではないですけれども,隠されたミッションなのかなと思っていて,そんなことも研究者じゃない,少し横から見ていた科学者としての私のお手伝いの役どころかなというふうに思っていますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【門永会長】  廣﨑委員。

【廣﨑委員】  改めまして,廣﨑でございます。先ほどもちょっとお話ししましたが,第1期で,いろんな議論がありましたけれども,その結果,きょう説明があったように,かなり考え方が整理されてきているなと感じております。
 私自身は,科学技術振興機構の評価部会を引き続き担当させていただきますけれども,おかげさまで,科学技術振興機構もここ数年の戦略的な議論を深める中で,センター・オブ・イノベーションであるとか,いろんな産学連携の仕組み,そのほか大学や他研究機関との横連携の仕組みが強化されてきているなと感じております。今日の話題に,各研究機関のトップマネジメントの調査結果もありましたけれども,更に国全体として戦略的に動くにはどうしたらいいかということを,この審議会の御意見を頂きながら進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

【福井臨時委員】  臨時委員を務めさせていただいております,聖路加国際大学聖路加国際病院の福井と申します。門永会長のリーダーシップの下,マネジメントに関する調査に私も関わらせていただいて,大変勉強になりました。何人かの理事長に直接お話を伺う機会がございました。委員の先生方,皆さんおっしゃいましたように,非常に有用な資料となっていて,これをどのように活用するかということが今後の課題だと思っております。福井さんが説明された最後のページに書いてある今後必要となるアクション,それから,検証すべき事項というところにサマライズされているように思います。
 私自身は,厚生労働省の方で,国立研発法人の評価に関わっておりますが,文部科学省のこの審議会の議論が先進的で,厚生労働省の評価にも是非活用させていただきたいと思っています。
 理事長のお話をいろいろ伺って,私の頭に残ったキーワードが2つございます。縦割りの集団に横の連携をどのようにしてとるかということ,そして内向きの傾向をいかに外にオープンにしていくかということの2点について,皆さんいろいろ工夫をされているように思います。何かの方法でこのような経験に基づいたノウハウを多くの,理事長を始め,マネジメントに関わる方々が共有することで,各施設で役に立つのではないかと強く思った次第です。私がどのように貢献できるか分かりませんけれども,委員をやらせていただく中でいろいろ勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【山口委員】  東京大学の山口でございます。前期に引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。
 2点ほど申し上げたいと思うのですが,1点目は,資料10で,指摘事項についてというお話がありました。この中では,ずっと,例えば部会の判断に過度な差異が生じないよう,一定程度方向性があるとよいという形で,評価の物差しをそろえるというアプローチが書かれている。それはそれで大切なことである一方,この審議会における,一つ重要なポイントは,その次にある「研究開発成果の最大化」をいかに達成するかということだと思います。
 そこで,1つ目に,研究開発のタイプの違いによって,最大化の在り方を検討するとありまして,これは非常に重要な意味があって,必ずしも一つの物差しだけではなくて,研究開発のタイプによって,違う尺度,違う考え方を持つべしと,そういうことをおっしゃっている。これは大切な点で,先ほど中川審議官が研究開発の方の評価が甘いというお話をされましたけども,それはある意味では当然という面もあると思います。是非この指摘事項の中の研究開発のタイプの違いによって,成果最大化の在り方がどうあるのかというのを各法人の方で,審議会で御議論いただきたいなというのが一つ要望です。ちなみに,私は原子力研究開発機構の審議会におりますが,そういう面を感じます。
 2つ目が,会長代理も先ほどおっしゃったのですが,マネジメントに関する調査について,これは非常に興味深く聞かせていただきました。評価する我々も決してこういう評価のプロではなくて,そういう意味では,組織マネジメントなどよく知らないことが多々あるわけです。以前に資源エネルギー庁の会合で,アメリカの電力中央研究所,EPRIの方がいかに研究開発成果を最大化しているかという,そういう紹介をされて,非常に感銘を受けたことがありまして,そういったグッドプラクティスなところを,この場なり,あるいはそういう情報インプットを集めていただいて,各審議会に発信をしていただくと,非常にそれが評価のクオリティを上げるという意味で有効ではないかと思いました。
 どうぞ,今期もよろしくお願いいたします。

【山田委員】  新しく委員を仰せつかりました山田弘司です。岐阜県にあります自然科学研究機構の核融合科学研究所というところから参っています。
 部会での経験は随分長い間ありますが,この審議会は初めてだということで,少し不安になることがあって,ちょっと今日まで心配になるところ,分からないことがありました。それは門永会長もおっしゃったように,レイヤーの,下の部会もあるし,上は総務省もあるということで,あと,特定研発法人については内閣府との関係もあるし,あるいは法人によっては,経産省とか内閣府とかそういったところと共管になっている部分もあるので,いろんな評価委員会がある中,この文部科学省の審議会のアイデンティティはどういうところにあるのかなというようなことをいろいろ考えていました。今日の議論で,門永会長とか,特に中川審議官がおっしゃったことで,随分,何となくではありますけれども,会長がおっしゃったように走りながら考えていく中での審議会のアイデンティティが分かったような気がしています。
 一つには,伊藤局長から,法人ごとの特性を踏まえた方向性というのを大事にしてくださいという話がありましたけれども,特性というのは往々にして内発的な分野からとか,そういったことで出てくると思われがちですが,やはりそれは1回,外から,特性というものをふかん的に眺めていくことが大事だなというふうに感じました。
 よろしくお願いいたします。

【若林委員】  公認会計士をしております若林和子と申します。審議会の委員は初めてで,きょう初めての参加でございます。
 今,マネジメントということで,この調査報告書の概要をお聞きし,あと,ほかにもいろんな御説明で,マネジメントというのがすごいキーワードになってきているということを今改めて思いました。マネジメントというのは割とその他の事項という中にくくられていたような気がしますが,大きくこの辺が,方向性が変えられてきたのだな,理事長のリーダーシップとかマネジメントとかとても重要な要素になってきたのだなというのを改めて感じました。これがまたオールジャパンに貢献できるようになっていくのだなということを今日,参加して改めて教えていただきました。
 私は事務所がここから歩いて5分のところにありますので,6分前に事務所を出て,走ってまいりました。遠い先生もいらっしゃる中で,とても恵まれているなと思います。よろしくお願いいたします。

【浅見委員】  富士フイルムの浅見でございます。この審議会は,今期から初めて参加させていただいています。前期,物質・材料研究機構部会に参加させていただいて,いろいろ悩みながらやってまいりました。私は,企業の中で,研究開発に携わっていた期間が8割以上ありまして,研究開発に対して特に経営の方から言われてきたのは,企業の中のマネジメントをどうするか,つまり,どういう成果を狙い,それをどう達成していくかという点です。マネジメントということでいうと,企業の組織の中で,やはり研究開発が一番難しいというのは,これは経営の方で非常に実感しているところであります。
 そういう中で悩みながらやってきた視点から,研究開発法人についてのいろいろな議論ができるといいなと思っています。それをもう少し詳しく申し上げますと,大学があって,国立研究開発法人があって,産業界があって,それぞれ研究開発に対する視点とか目的とかがあるわけですが,企業からしてみると,一番難しいのは目的基礎研究でありまして,企業として社会的な成果を出すための基盤になるところを自分たちで作っていくというのが非常に難しい。そこは,やはり国立研究開発法人や大学と一緒にやっていくというのが必要です。そういう意味で,日本の中でそれらをしっかり維持していかなくてはいけないということと,それから,これは企業と共通ですが,社会価値にいかに結び付けるかという視点を持つということが重要だと考えております。
 よく最近は,イノベーションという言葉が切り口になって,どの組織でも必ず出口戦略だとか実用化とかそういうところに走りがちですが,それを短期的に追うのではなくて,将来を見据えた社会価値にどう結び付けていくかという視点を持ちながらやっていくことが,特に国立研究開発法人,大学では重要かなと思っています。そういうところから議論に参加して貢献できたらなというふうに思っています。
 これまで物質・材料研究機構部会の方だけでしたので,今回こういう審議会で,ほかの研究開発法人と全体で見ることで,先ほど申し上げたようなことを少し一般化して,何か国の競争力を上げていくことにつなげる議論ができたらなというふうに思っておりますので,是非よろしくお願いいたします。

【古城委員】  東京大学の古城と申します。私は今回,前期に引き続きまして,また担当させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
 私は宇宙航空研究開発機構の部会で評価に携わらせていただいておりますが,宇宙航空研究開発機構は,文部科学省だけではなくて,ほかの省庁の評価も入ってくるということで,その点でも難しいので,前期はいろいろと戸惑うことも多くて,この審議会に出させていただいて,文部科学省としてのこの評価の軸をきちんと設定しようという,そういう心意気といいますか,そういうのが感じられて,それは非常に私としても有り難かったと思います。
 評価する上で,評価の功罪というのは,いつも私は考えてしまいまして,大学にいるせいか,評価を受ける側でもありますので,評価が入ることによって,非常に効率が悪くなるという部分も大変多く感じているところでありますので,なるべくいさおの方をきちんと伸ばすような評価の軸というのを作っていくのが非常に重要なところではないかというふうに思っています。
 ですので,研究成果の最大化ということも先ほど山口先生もおっしゃいましたけれども,やっぱり一律に尺度があるわけではないと思いますので,その辺のことを注意しながらやっていきたいというふうに思っています。
 以上です。

【三枝委員】  国立環境研究所の三枝と申します。この審議会は,前期に続いて2回目です。前期は,私自身がこのような研究開発法人の評価に関わる審議会に参加したのが初めてでしたので,見るもの,聞くもの,初めての経験ということで,ただ,幸い,会長でいらっしゃいます門永先生と一緒に,海洋研究開発機構の部会に参加させてもらえたことから,大変新しい取組,特に理事長によるマネジメントに関する調査ですとか,そういうところに最初から一緒に参加させていただきまして,非常に勉強になりました。
 こうやって新しい取組を始めるのかというような,非常にすばらしい経験もさせていただいたと同時に,難しさも同じくらい感じました。既に何人かの方から御指摘いただいているように,新しい審議会では,研究成果の最大化とは何かといったところを十分議論するというのが大きな役割だと,最初のときからそういう指摘がありましたが,やってみますと,やはり評価をする側も,評価を受ける側も従来どおりの,ある種,研究項目を短冊状にしまして,それがAなのか,Bなのか,Aプラスなのかとか,そういった議論になってしまう。そういう議論の方がやりやすいものですから,どうしてもそこへ引っ張られて戻っていくということを何度も感じました。
 ただ,それは審議会ですとか,部会ですとか,議論の時間が限られているからそうなるのかなと最初は思いましたが,必ずしもそうではなく,私自身が環境省の国立研究開発法人にいるものですから,その法人の中でも同じような議論があるのですが,ベテランの研究者らが一生懸命時間を掛けて議論しても,どうしてもそこへ行ってしまう。評価の基準は何なのか,論文の数なのか,質なのかといった,やはり評価しやすい指標を細かく切って,それに1,2,3,4,5を付けるような,そこにどうしても引っ張られてしまって,大きな議論ができない。これは本当に時間を掛けて,そういう考え方というか,文化というか,そういうものを作っていくと多くの方々が認識しないとできない非常に難しい問題なのだなということを実感しました。
 またこれからも勉強させていただく機会があるということで,これから務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【角南臨時委員】  政策研究大学院大学の角南でございます。門永会長からお話のあった臨時委員を務めさせていただきます。臨時委員というのは確かに,独法というか,研究開発法人全体を眺めながらということは,私の与えられたミッションかなと思っています。そういう意味で,独立行政法人の中にあった研究法人が国立研究開発法人,そして,特定研究開発法人という形で,少しずつその制度を変えてきたと。そのプロセスに割と近いところに会長とともにいたものですから,頭の中では常に誰かが,当初,何で独立行政法人ではできないのですかと,もう散々その質問を問い掛けられて,研究というものは独法の中でやるような中で,非常に特質性があって,これは独法では駄目なんですと。ですから,制度を作ってくださいという議論だったと思います。
 そのときに幾つかポイントが上がってきたものをもう一点原点に返って,この法人全体の評価のプロセスの中で,なぜこの新しい制度の下でこれができるようになったのか。あるいは,まだ古い制度が残っている部分においては,まだまだ課題があるのだという,そもそもの制度論に立ち返って,いろいろと考えを考えていきたいなと思っています。
 それから,もう一点,今回マネジメントの件につきましては,会長と一緒にこのマネジメントの調査に関わらせていただきましたけれども,この次のステップとしては,今回,課題として上がっておりましたけれども,それ以外に,今度は財務の担当者,あるいは人事,総務の担当者のヒアリングをやって,そもそもこの制度を変えなきゃいけなかった幾つかの理由の中に,やはり人事,財務の在り方が制度上,独法の中では非常に研究開発にそぐわない,最大化にそぐわないといったところのポイントがあったので,そこをもう一回洗い直すというか,整理したい。
 最後にもう一点,評価,先ほどほかの委員の先生方がおっしゃったように,評価のための評価にならない,してはいけないということで,この評価のプロセスの中で,一つ大きなポイントが上がってくる。つまり,それはエビデンスを集める作業になるのかなと思っています。
 そもそも法人が努力した結果,得た成果なのか,あるいはたまたま,あるいはほかの状況が変わる中で,成果が上がってきた中に法人があったのか。つまり,企業でいうところの,非常に世界の経済の好景気に恵まれて,業績が上がったと。だけど,企業努力の部分はその中のどれぐらいになったのかということもあると思いますし,逆に不幸にも世界の非常に大きなクライシスがあって,経済が破綻したと。企業としての問題というよりは,世界経済の問題によって業績が下がってしまった。だけど,その下がった部分を企業努力によって,最低限に抑えたというところを評価していくということも重要だと思います。
 ですから,研究成果の最大化の部分をやはり全体の我が国の科学技術の置かれている厳しい状況,あるいは大学が置かれている厳しい状況というもののファクターをうまく取り除いて,そして,法人そのものの評価にどういうふうに我々が見ていったらいいのかというところも大きなチャレンジになる。だけど,そこをやっていかないと,多分いろんなものとごちゃごちゃの議論になって,成果が上がらなかったときに,またいろんな批評というか,逆に言えば,不本意な評価にさらされる可能性もあるということで,そういう意味に耐え得るエビデンスをこのプロセスでやっぱり積み上げていくというのが重要になるのかなと思っています。
 以上です。

【髙橋委員】  トヨフジ海運の髙橋でございます。なぜ海運会社がここにいるのかということですけれども,トヨフジというのはトヨタグループの海運会社でして,私もずっと30年間余りトヨタ自動車で技術開発を担当しておりました。ちょうど10年前から,トヨタにいたときからですけれども,10年間続けてずっと宇宙航空研究開発機構の評価をしております。この10年間,宇宙航空研究開発機構を見ていますと,大きく使命,ミッション,役割が変わったなというふうに思います。一言で言うと,国の成長と発展に直結するようなテーマに取り組んでいると。あるいは防災ですとか,減災,それから,安全保障についても直結しているようなテーマに取り組んでいるということで,随分この10年間で宇宙航空研究開発機構の役割が大きく変わったというふうに実感しております。
 今,評価においては,私,心掛けていることがありまして,できるだけこの6月,7月の評価の前に,現場視察をするようにしています。宇宙航空研究開発機構は,筑波,調布,そして,相模原にございまして,その現場に行って,直接研究あるいは技術開発をしている人たちからの報告を受けて,現状の課題ですとか,いろいろな困りごと,そういったものを聞きながら,そのときの年度評価ですとか期間評価をするように心掛けています。
 その現場を見ると,本当に現場は限られた施設,予算,リソースでよくやっていると,どこの現場に行っても実感しております。きっとそれは宇宙航空研究開発機構に限らず,どこの法人でも現場は同じように限られた状況,環境の中で最大限の努力をしているのではないかと思っています。この評価もただS,A,B,C付けるのではなくて,現場で頑張っている人たちのパフォーマンスを最大限伸ばす,引き上げる,そういったことができるように評価をしていくのがこの評価の目的の一つではないかなというふうに思っています。
 宇宙航空研究開発機構は,平成29年度で中期を一旦終えまして,次の中期目標,計画を策定するフェーズに入ってまいります。この次期中期目標の設定においては,目標がどのような背景,どのようなニーズ,どのような国際情勢の変化から生まれてきたのか,目標を導き出すプロセスが分かるような形で審議できるようなものを作り上げられたらいいなというふうに思っております。その辺も今年度の課題ではないかというふうに思っております。
 以上です。

【栗原会長代理】  資料13にある部会からの報告事項というのが,最初に,評価に対する主な意見や何かをまとめるというようなことで,先ほど三枝先生の言われた大くくりな評価というのをしやすいフォーマットになっていると思います。
 それで,これをもとに報告を上げていくためには,それぞれの法人についてミッションや最大化を踏まえた上で,部会が議論していくということが非常に重要だと思いますので,そういう部分がきちんとできるように努力したいと思いますし,これをそのように活用させていただければということで,今回,シンプルな形にフォーマットをまとめていただいてありがとうございました。
 それからもう一点ですが,先ほど中川審議官から,研究開発法人はAやSが多いと言われているということですが,研究開発は具体的で,専門家にとっては優劣が見やすいので,どうしてもそうなると思うのですが,説明をきちんとということに関しては,私も研究者の一人として,常に研究をどう発信するのかということは頭の隅に置いているところでございますけど,これについては常にそういう問いを掛けたいと思います。
 一方,全てBが並ぶ評価というのはいかがなものかということもあると思うので,他の項目についても,S,A,Bというふうにならないにしても,AとかBとか,ある程度めりはりがついた評価ができるような活動もしていただきたいし,評価もしたいのではないかと思います。この場合には一評価項目の中に常に何も変わらないで粛々とやるようなものは,必ずしも評価しなくてもいいのではないかということもあるかもしれません。現場の方々に頑張っていただくためには,めりはりのある評価というのは非常に大事だと思いますので,他の活動も何かもう少し両側に工夫する余地があれば,そういうところも議論させていただければと思います。
 以上です。

【門永会長】  ありがとうございました。
 私の自己紹介をしておりませんでしたので,簡単にさせていただきます。私はもともと経営コンサルタントでして,マッキンゼーというところに25年近くおりました。今はコンサルティングを続ける傍ら,ビジネス・ブレークスルーという,BBTと呼んでいるのですが,株式会社立の大学院がありまして,そこの副学長をしております。それから,大手メーカーの社外取締役を長くやっておりまして,今月末から銀行の社外取締役もやることになっております。
 私の役割ですが,幾つかの部会の評価に関わってきました。どの部会においても私の専門知識は生かせていないのではと思います。しかし,独法から研発法人になってという中で,15年近くやっていますと,担当の方は次々と変わられるのですが,私が良きにつけ悪しきにつけ,継続性というか,コンティニュイティを担保しているのではないかと若干自負しておりまして,そういう観点からお役に立てればと思っております。
 皆さん,御意見ありがとうございました。
 それでは,最後,中長期目標・中長期計画の変更について,工藤戦略官,お願いします。

【工藤科学技術・学術戦略官】  それでは,議題3の日本原子力研究開発機構の中長期目標及び中長期計画の変更について,御説明させていただきます。
 こちらは今年3月に書面による議決を経たものでございます。内容といたしましては,資料15-1で御説明させていただきますけれども,高速増殖原型炉「もんじゅ」について,昨年12月の原子力関係閣僚閣議において決定された「高速炉開発の方針」及び「『もんじゅ』の取扱いに関する政府方針」を踏まえて,「もんじゅ」の原子炉としての運転再開は行わず,廃止措置を着実かつ計画的に進めるよう内容を変更いたしております。
 また,東海再処理施設につきまして,高レベル放射性廃液の固化・安定化処理を平成40年度に完了すべく,原子力規制委員会からの指示に基づき提出した東海再処理施設の廃止に向けた計画等,これらを着実に実施することを明確化させていただきました。
 ほかにも材料試験炉でございますJMTRについて,これを再稼働しないということを反映した内容を考えております。
 資料15-2,15-3につきましては,それぞれについて,中長期目標・中長期計画と,それから,評価につきまして,新旧対照表という形で,御参考までに付けさせていただいております。
 以上です。

【門永会長】  何か御質問ございますか。よろしいですか。
 なければ,本日はこれで終わりにしたいと思います。事務局から御連絡をお願いします。

【工藤科学技術・学術戦略官】  今回の議事録につきましては,事務局にて案を作成させていただきまして,各委員に御確認いただいた後,ホームページに公表させていただきたいと考えております。
 また,本日の配付資料につきまして,郵送を御希望される場合は,お手元の封筒にお名前を御記入いただければ,机上にそのままお残しください。後日,事務局から郵送させていただきます。
 次回につきましては,先ほど簡単に触れましたが,8月3日木曜日の開催を予定しております。詳細については,改めて事務局より御連絡させていただきたいと存じます。
 ありがとうございました。

【門永会長】  皆さん,本日は長時間にわたり,ありがとうございました。

- 了 -


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