国立研究開発法人審議会 量子科学技術研究開発機構部会(第20回) 議事録

1.日時

令和3年3月22日(月曜日)13時00分~17時00分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 量子科学技術研究開発機構に係る令和3年度予算案について
  2. 「人材育成業務」における評価の基準について
  3. 「官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の整備等」における評価の基準について
  4. 核融合エネルギー部門の研究開発について
  5. 「核融合に関する研究開発」における評価の基準について
  6. その他

4.出席者

委員

栗原委員(部会長),山田委員(部会長代理),金子委員,神納委員,小板橋委員,沈委員,本間委員,松前委員,山崎委員

文部科学省

河原量子研究推進室長,西量子研究推進室長補佐,萩谷量子研究推進室長補佐,戸辺量子研究推進室係長,加々美研究開発戦略官付室長補佐,他

オブザーバー

有識者:有馬孝尚東京大学教授
量子科学技術研究開発機構:平野俊夫理事長,木村直人理事,茅野政道理事,野田耕司理事,栗原研一核融合エネルギー部門 部門長,他

5.議事録

【栗原部会長】 それでは、定刻になりましたので、第20回量子科学技術研究開発機構部会を開催いたします。
本日は、対面でサイトビジットさせていただく予定でしたが、このようなコロナ禍の事情でウェブ開催となりました。量研機構の皆様、また事務局の皆様には、サイトビジットのために大変御準備いただいたと伺っておりますので、大変残念だという委員の気持ちと、また、御準備に対してのお礼をまず申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それでは、本日ですが、本日は櫻井委員が御欠席で、その他9名の委員・臨時委員に御出席いただいております。過半数の定足数を満たしています。
本日に議題に関しては、質疑、意見等に対応するため量子科学技術研究開発機構から、平野理事長、茅野理事、木村理事、栗原核融合エネルギー部門長などの皆様に御出席いただいております。
なお、本日の会議は、公開という形で進めさせていただきます。オンラインの傍聴者がいらっしゃいます。
ここで、事務局から委員・臨時委員を紹介していただきます。オンラインでの開催となりますので、また、第3期の本メンバーでは最後の部会になりますので、お顔を見せていただきたいと思います。皆様、ビデオをオンにお願いします。事務局より御紹介いただきます。
【西室長補佐】 事務局、量研室の西でございます。順番に御紹介させていただきます。
まず栗原部会長のほかに、部会長代理の山田委員。
【山田部会長代理】 よろしくお願いいたします。
【西室長補佐】 よろしくお願いいたします。
それから、臨時委員を五十音順で呼ばせていただきます。金子先生、御発言できるでしょうか。
【金子委員】 聞こえますでしょうか。よろしくお願いします。
【西室長補佐】 よろしくお願いいたします。
それから、神納委員が御出席予定ですけれども、今のところログインをできていないということで、ログインされましたらまた御紹介差し上げます。
続きまして、小板橋委員。
【小板橋委員】 小板橋でございます。よろしくお願いいたします。
【西室長補佐】 よろしくお願いいたします。
それから、沈委員。
【沈委員】 沈です。よろしくお願いします。
【西室長補佐】 よろしくお願いいたします。
本間先生、一言お願いできますでしょうか。ミュートが解除できていないかもしれません。
では、ちょっと飛ばしまして、松前委員。いかがでしょう。
【松前委員】 松前です。すみません。よろしくお願いいたします。
【西室長補佐】 よろしくお願いします。
それから、山崎委員。
【山崎委員】 山崎です。本日はよろしくお願いいたします。
【西室長補佐】 よろしくお願いいたします。
本間委員は、いかがでしょう。
事務局のほうでトラブル対応しながら進めさせていただきたいと思います。
栗原先生、以上でございます。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
議題に先立ちまして、事務局より、配付資料の確認、本部会の主旨説明、ウェブ会議の留意事項等の御説明をお願いいたします。
【西室長補佐】 事務局です。資料を御確認ください。
議事次第にありますとおり、資料1から6及び参考資料の1及び2ということで、全部で10点資料を事前に送付差し上げております。資料等、もし不備がございましたら、いつでも事務局まで御連絡いただければと思います。
議事につきましては、6点挙げております。
簡単な主旨説明でございますけれども、議題1では、令和3年度の予算案の概要を事務局より説明させていただきます。
それから、議題2、3、1つ飛んで5のところにつきましては、評価の関係なんですけれども、昨夏の部会で、QSTの自己評価の考え方、それから、委員の皆様の評価や文科省の考え方に少し違いみたいなものもあって、そこが議論になりました。今後、よりスムーズかつ有意義な評価が行えるように、評価の基準を来年の夏の評価に向けて事前に議論したいと、こういう主旨でございます。
それから、議題4、これは評価の基準にも関連するんですけれども、もともと本来はサイトビジットもしていただきたかったところなんですが、核融合エネルギー部門の状況説明、それから、バーチャルサイトビジットということで、御説明いただきたいと思います。
主旨は以上でございます。
次に、本日のウェブ会議システムについて御説明します。委員の皆様におかれましては、事務局からの説明の際は、音声をミュートに、映像のほうは、通信が安定する限り、可能な限りオンにしていただきますようお願いいたします。ネットワークの環境の都合で音声が不明瞭になる場合には、映像をオフにしていただくことも可能ですけれども、審議の間は、できるだけ映像をオンにしていただきますようお願いいたします。
発言の際は、マイクをオンにしてお声を上げていただくなり、発言の意思を示していただければと思います。部会長に指名を頂いてから御発言していただきますようにお願いします。こちらで速記を取らせていただいております。速記の記録のために、御発言の前に、お手数ですけれども、毎回お名前を名乗っていただきますようにお願いいたします。
それから、会議中に接続不良等でWebexから退出された場合につきましては、本部会から一度退席したものと扱わせていただきます。その後回線が復帰して、このWebexに戻ってもう一回ログインされましたら、その時点で再度出席をされているという扱いにさせていただきたいと思います。
以上でございます。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対して、御質問等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、議題に入る前に、QSTの平野理事長より一言御挨拶を頂きます。平野先生、よろしくお願いいたします。
【平野理事長】 皆様、こんにちは。QSTの理事長の平野でございます。本日はよろしくお願いいたします。
本日は、本当は実際に皆様、委員の方々に那珂核融合研究所の研究現場を実際見ていただこうと企画しておりましたが、残念ながら、こういうコロナ禍の状況で断念せざるを得なくなったことは非常に残念に思います。
しかし、後ほど、JT-60SAのバーチャルツアーを予定していますので、少しでも装置の規模を実感していただいて、核融合研究開発の理解を深めていただければうれしく思います。
那珂研で進めていますITER計画やJT-60SA計画のような大型プロジェクトは、ミッションとかマイルストーンが定義されており、それを達成すること自体が極めて難しいにもかかわらず、達成して計画どおりだと当たり前という評価となり、なかなか高い評価を得ることが難しいと実感しております。
そのような状況を考慮いたしまして、本日を迎えるにおいては、今後の業務実績評価に向けて、核融合に関する研究開発における評価基準について、計画を達成するための困難度も含めて議論いただけると伺っております。評価委員の皆様と我々の評価基準に対する認識をできるだけ一致させることができれば、良い評価につながっていくと思いますので、よろしくお願いいたします。
核融合研究開発について、最近の状況を、後で詳しく述べますが、少し紹介させていただきます。
まず昨年3月に、日欧協力の下、約13年の歳月をかけて開発・建設をしてまいりました先進核融合実験装置、JT-60SAの建設が終わりまして、統合試験運転を進めています。昨年の11月には、全ての超伝導コイルは超伝導状態となったことを確認いたしました。現在、ファーストプラズマ生成に向け、いろいろ難しい調整を行っているところであります。
ITER計画につきましては、昨年QSTが製作した超伝導トロイダル磁場コイルをITER機構へ納入し、それに伴い、ITER本体の組立作業が開始されました。昨年7月には、現地でマクロンフランス大統領をはじめ、参加各国首脳や閣僚が出席して、組立開始式典が行われました。日本からは萩生田文科大臣が参加されまして、ウェブでございますが、当時の安倍総理大臣の挨拶も萩生田文部科学大臣が代読されました。今後、超伝導トロイダル磁場コイル納入を本体組立作業に合わせて着実に実施していくとともに、その他の調達責任を持つ機器の製作も進めていきます。
その他、六ヶ所核融合、これは那珂ではないですが、六ヶ所村にある核融合研究所では、原型炉の設計検討やIFMIF原型加速器の開発、効率的なリチウム回収技術開発を進めております。
菅総理が所信表明で2050年温室効果ガス排出実質ゼロを宣言されて、新しいエネルギー源の開発気運も高まっていると感じています。QSTでは、早期の発電実証を目指して、核融合エネルギーの研究開発を加速していきたいと考えております。
また、本日は、核融合研究開発と同じように大型プロジェクトである次世代放射光施設の整備及び本当の意味での成果が表れるまでには時間がかかることから、評価が難しい人材育成業務についても御議論いただけると伺っております。国の重要プロジェクトである次世代放射光施設の整備については、官民地域パートナーシップによって、民間資本とノウハウを取り込んで進める初めての試みでございます。パートナーである一般財団法人光科学イノベーションセンター等と連携しつつ、加速器の製作を進めるとともに、整備するビームラインの設計など、令和5年度中の運用開始に向け着実に取り組んでおります。
さらに、人材育成業務については、量子科学技術の推進を担う機関として、国内外の次世代の人材を育成すべく、コロナ禍における新たな研修事業に取り組んでいるところでございます。
本日の部会は、皆様の貴重な御意見を頂ける好機と捉えておりますので、忌憚のない御議論を頂ければありがたく存じます。
本日、よろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 今日の内容について最初にまとめてご紹介いただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、議題に入ります。議題1は、「量子科学技術研究開発機構に係る令和3年度予算案について」です。事務局より御説明をお願いします。
【西室長補佐】 事務局でございます。それでは、資料1の御説明をさせていただきます。
資料1、QSTに係る令和3年度の予算案の概要でございます。画面は間もなく共有されると思いますが、御説明を始めさせていただきます。
まず運営費交付金(一般会計)ですけれども、今年度216億円ということで、昨年度から同水準を確保しているという状況でございます。
主要な取組例としては、3点例示をさせていただいております。
1つ目が、量子生命科学拠点の形成ということで、こちらは量子技術イノベーション戦略に基づく量子生命科学の研究開発拠点としての運営を行っていただくための予算です。令和3年度は、リサーチ・アドミニストレータ、技術員、研究員を雇用することで、知財管理の体制強化と出口戦略の構築等を行っていただくというような予算となっております。
2つ目、量子ビーム応用研究でございます。こちらは量子ビームの機能を総合的に活用し、量子計測・センシング等の研究開発を推進するために不可欠なイオンの照射研究施設ですとか光量子科学研究施設の維持・管理を行っていただくものですし、それから、新型コロナウイルス感染症対策に資する研究開発というものを行っていただく、そのための予算になってございます。
それから、3つ目が、核融合研究開発ということで、先ほどもいろいろ御紹介ありました那珂研の既存施設・設備の法定点検や放射線管理設備等の定常的な維持管理を行うとともに、日欧で合意した令和5年度からのJT-60SAのプラズマ加熱実験に向けて、令和2年度に再稼働した既存施設の法定点検等のための本体設備などを行っていただくお金になっております。
それから、次の官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進、こちらは12億円ということで、昨年度17億円から減っているように見えるんですが、後から説明する補正予算がございますので、そこを加えれば必要な額をきちんと確保しているということになります。こちらは学術・産業ともに高い利用ニーズが見込まれ、我が国の研究力強化と生産性向上に貢献する、次世代放射光施設というものを、官民地域パートナーシップの役割に基づいて、整備を着実に進めていただくための予算になっております。
2ページ目へ行っていただきまして、2ページの上のところ、こちらはまた別の核融合の補助金関係で、171億円という予算案が計上されておりまして、こちらは核融合エネルギーの実現に向けて、国際約束に基づき、核融合実験炉の建設・運転を通じて科学的・技術的実現可能性を実証するITER計画、それから、原型炉に向けた先進的研究開発を国内で行う幅広いアプローチ(BA)活動等を計画的かつ着実に実行する、こういうための予算になってございます。
今御説明差し上げた金額を全て足し上げて、合計399億円というのが、まず令和3年度の予算案ということになっております。
参考に、別途、令和2年度の第3次補正というものがございまして、こちらはもう予算が可決されておりますけれども、全体で84億円というものが、別途措置をされているところでございます。
御説明、以上でございます。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明のあった事柄について、御質問等ありましたらお願いします。何か御質問ありませんでしょうか。
よろしいでしょうか。よろしければ、次に移ります。では、次に、これからは評価基準の議論に入ります。
初めに、事務局より資料について説明を頂きます。
【西室長補佐】 事務局でございます。
今回、大きく3つの分野についての評価に係る御議論を頂きますけれども、資料2-1、3-1、5-1というのは、今、画面も共有させていただいております、ちょっと細かめの表になっておりまして、それぞれの項目について、困難度、それから、A評価の基準となる「顕著な成果となる事象」、S評価の基準となる「特に顕著な成果となる事象」につきまして、QSTからの案が記載されているものになります。これはちょっと細かいところもあり、多岐にわたりますので、資料2-2、3-2、5-2という別の資料に論点をまとめさせていただいた資料がございます。今、画面を共有させていただいている方でございます。本日は、こちらの論点のポイントをまとめたほうの資料を主に使っていただいて御議論いただければと思っております。
以上でございます。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
では、今、資料の構成について御説明いただいたところですけれども、議題2、「「人材育成業務」における評価の基準について」から議論したいと思います。論点に留意しつつQSTに御説明いただきます。木村理事より、10分にて御説明をお願いいたします。
【石田主査】 QST企画課の石田と申します。では、QSTのほうから資料を共有させていただきます。それでは、QST、木村理事、御説明、お願いいたします。
【木村理事】 人材育成を担当しております、理事の木村でございます。よろしくお願いいたします。
今、資料を出させていただいております参考資料ということで、全体の議論に入っていただく前に、QSTの人材育成、非常に多岐にわたってございます。その上、文部科学省、原子力規制庁という2つの省庁の所管という特殊な事情もございますので、まず全体像を御理解いただくという意味で、この資料を御用意させていただきました。
まず左側半分、青色で書かれているところ、国内外の量子科学技術分野における次世代を担う人材の育成という項目でございますけれども、これはどちらかというと文部科学省の所管と言えると思います。中身は、大学生、大学院生を含めた若手人材育成ということでありまして、リサーチアシスタントの制度、あるいは、大学院生、研究員等の受入れ、それから、夏休みを利用したサマースクール。ちょっと右に行っていただきますと、今度は専門家・指導者養成ということでございます。私ども、重粒子がん治療施設を持ってございますので、特に医療関係者の方々の実務訓練を実施いたしております。それから、真ん中の下のほうへ行っていただきますと、理解促進活動ということで、スーパーサイエンスハイスクールの受入れと、出前授業を実施しているというのが、量子科学技術分野における人材育成ということでございます。
右側、紫のほうでございますけれども、こちらは原子力規制庁の所管と言える分野だと考えられます。放射線に関する専門機関として、放射線防護、あるいは、放射線の安全取扱いに関する専門人材の育成、それと併せて、国民に対して放射線に関する知識を幅広く伝える人材を育成していくということで、左側は専門家養成、放射線利用の分野であり、万が一の際の被ばく事故の対応ということで、技術者の養成でございますとか、万が一の事故が起こった際の初動対応の研修、あるいは、文化系の学生に対して放射線防護の基礎知識を学んでもらうための研修なんかを実施しております。それから、右側は放射線教育支援ということで、子供たちが小さい段階から、初等中等教育の段階から放射線に関する理解を深めていただこうということで、用語事典なんかを作ったり、出前講義等々を実施しているということであります。
私ども、様々な研究施設、特徴ある研究施設を持っておりますが、一番下の特徴というところでございますけれども、そういった様々な分野にわたる研究施設・設備、装置を持ってございますので、そういったものを実際に活用していただきながら、研修・訓練を実施していただくというのが主な特徴になっているかと思います。
その上で、資料2-1に入らせていただきたいと思います。先ほどざっと資料の構成の御説明はございますけれども、これは上から中長期目標、人材育成の業務について何が記載されているか。2番目のカラムですけれども、今度は中長期計画のところで、どのような記載がされているか。さらにブレークダウンして、今度は年度計画のほうでどういう記載がされているかということ。最終的には、これは4つに分かれるわけでございます。左から文科省、規制庁、文科省、文科省というふうに、とりあえずざっと分けてございます。
一番左のほうからまずざっと説明させていただきますけれども、まず文科省の分野でございます。年度計画のほうで書かれてございます、次世代を担う人材の育成ということで、連携協定を締結している大学における客員教員の派遣を行う。それから、連携大学院生や実習生等の若手研究者、技術者を受け入れる。それから、機構における受入れ、そういったものを大学のニーズに合ってやっていこうということでございます。
こういうふうに年度計画に書かれているわけでございますけれども、それに従って、今度は中長期、今年度、来年度、再来年度ということで、どんなことをやっていこうかというざっとしたことを書いてございます。
今年度については、引き続き、昨年度、令和元年度の取組を継続しながら、QSTのリサーチアシスタントの方々がどう感じたという満足度の調査を始めております。
そして、令和3年度、4月以降ですけれども、今年度の取組を継続すると同時に、リサーチアシスタントを対象とした新しい制度を始めます。「黎明的研究制度」と呼ばれているものでありますけれども、リサーチアシスタントの方が海外での口頭発表と論文投稿、こういったものにどうしてもお金がかかりますので、そういった費用を支援して差し上げる制度、これを始めたいと思ってございます。
令和4年度、再来年度、最終年度でございますけれども、令和3年度の取組を継続するとともに、リサーチアシスタントの所属する大学の指導教官の満足度調査みたいなものを開始しよう、こういうふうに考えてございます。
これを実際どう評価していただくかということでございますけれども、私ども非常に頭を悩ませておりまして、できるだけ客観的な指標で示すにはどうしたらいいのかということで、知恵を絞ってまいりました。その上で、特に今回、文科省の所管のところの、特に大学院生を対象にした事業について、例えば、こういったことを達成すれば顕著であると言えるのではないかということで、その下に行きますけれども、令和2年度、丸が3つございます。連携大学院協定に基づくQSTの研究者が客員教員等の委嘱を大学から受けた、その数が過去3年の平均値から20%増加すれば顕著と言えるのではないかということ。
2つ目の丸でございます。リサーチアシスタント、実習生、連携大学院生の受入れ数が過去3年の平均値から20%増加すれば、それは顕著と言えるのではないか。
さらに、今年度から始めますリサーチアシスタントの満足度調査で、満足度が80%を達成すれば、これは顕著な成果と言えるのではないかというふうに考えてございます。
以下の令和3年度、4年度ということで、少しずつ新制度も始まりますので、そういったものも加味しながら指標を作成させていただいております。
一番最後の欄ですが、特に顕著な成果となる事象ということで、まず令和2年度でございますけれども、連携大学院協定に基づいて客員教員の委嘱を受けた大学の数が平均で40%増える。大学院生等の受入れ数が前年度から40%増える。あるいは、リサーチアシスタントの満足度が90%を超える。そうすれば、これは特に顕著な成果と言えるのではないかというふうに私どもは考えて、御提示をさせていただいております。
基本的に以下同様の考え方で、規制庁側のほうも、いろいろな満足度調査なんかもやっています。これは受講生だけではなくて、今後、受講生を送り出した派遣元、地方自治体とか、そういうところの満足度がどれだけ上がっているのかということも指標に入れていきたいと思っております。
規制庁のほうは飛ばしまして、左から3番目のカラムでございます。文科省の事業ということで、年度計画のところを御覧いただくと、国内外の研究機関等との協力によって、研究者、技術者、医学物理士を目指す理工学系出身者を含む医療関係者等を入れて、OJTで人材の資質向上を図るということであります。
これは中長期的な計画といたしましては、令和2年度は、引き続き今年度は昨年度の取組を続けるということで、来年度、受入れ者の満足度調査を始めたいと思っております。それに引き続き、最終年度であります4年度には、受入れ者の所属元の満足度調査を開始したいと考えております。
ここで特に顕著な成果となる事象として考えてございますのが、まず令和2年度、受入れ人数が過去3年の平均値から20%増加した。令和3年度には、さらにそれを継続するとともに、満足度調査を始めますので、その満足度が80%いったかどうかということ。最終年度には、それに加えて、所属元の満足度が80%いったかどうかというのを指標にしております。
最後、一番右端の欄でございます。研究成果の普及活動とか理科教育支援という、理解促進等々でございます。これは中長期的な計画で、令和2年度には、サマースクール生の満足度調査を始めております。さらに、3年度、来年度には、SSHの受入れとか、出前授業をさらに充実していくということ。これを4年度、最終年度も引き続きやっていくということであります。
顕著な成果となる指標として、サマースクール生の受入れが過去3年の平均値から20%増えたか。そして、同時に満足度が80%になったかということ。令和3年度には、それに加えて、SSHの受入れとか出前授業、こういった数がどれだけ増えたか。特に20%増えれば顕著ではなかろうかということ。さらに、最終年度には、出前授業とかSSHの受入れの対象者がどれだけ満足されているか。その満足度が80%を超えれば、顕著な成果なのではないかというふうに考えております。それをさらに上回れば、例えば、サマースクールの満足度が90%上回れば、特に顕著なのではないかということで、まとめさせていただいております。
先ほど理事長からも申し上げたように、この人材育成、非常に長いスパンでものを考えていかなければいけないわけでございまして、こういった瞬間風速的な数値で評価するのはどうなんだろうかという議論はあったのですけれども、やっぱり年度年度で評価しないといけない以上、何らかの客観的な数値が必要だということで、一所懸命考えて、こういったことをひねり出しておりますけれども。ぜひ、この指標について、御助言、御意見等頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私からの御説明、以上となります。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
【西室長補佐】 栗原先生、事務局でございます。よろしいでしょうか。
神納先生が入られましたのと、有馬先生も今入られましたので、議事の途中ですけれども、御紹介よろしいでしょうか。
【栗原部会長】 分かりました。それでは、質疑に入る前に、御紹介をお願いします。神納先生、まず。
【神納委員】 神納です。ちょっとパソコントラブルで遅れまして、どうもすみませんでした。よろしくお願いします。
【西室長補佐】 神納先生、今日はどうぞよろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 また、本日は有識者として、東京大学の有馬孝尚先生に御出席いただくことになっております。物理科学が御専門で、放射光を用いた研究の実績が非常に豊富でいらっしゃり、QSTが整備を進めている次世代放射光施設に係る評価をより適切に行うという観点から、お招きしております。有馬先生には、本QST部会の来月からの次期臨時委員に就任される予定です。
本日は御参加いただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。一言お願いできますでしょうか。
【有馬先生】 東京大学新領域創成科学研究科、有馬と申します。皆様のお役に立てればと思いますけれども、これからどうぞよろしくお願いします。
【栗原部会長】 よろしくお願いいたします。
それでは、今、人材育成業務の評価の基準について、委員の皆様には、資料2-2の論点について、を御覧いただきまして、今の御説明に対する御自由な御質問、御意見とともに、議論のポイントに関しても御覧いただきながら質疑応答ができればと思います。
議論のポイントを簡単に御紹介しますと、各項目や数値目標が「顕著な成果」、あるいは、「特に顕著な成果」として妥当であるかどうか。満足度の定義って何かとか、「以下のうち、何項目を達成」というような記載は適切かとか、定性的な目標も記載すべきではないかなどを議論のポイントとして、事務局、部会長代理の山田先生と私で議論して、挙げさせていただいています。御意見賜ればと思います。
どなたでも。皆さんが手を挙げているかどうか、確認できないかもしれませんので、声も上げていただけると助かります。
【小板橋委員】 小板橋です。
【栗原部会長】 どうぞ。
【小板橋委員】 文科省の方が作ったものなので、こういう点は要らないのかもしれないんですけれども。そもそも子供の数が今急激に減少していて、それに併せて大学の再編も不可欠と言われているこの状態で、大学院生の数というのは、まだ増加傾向があと数年は続くのかなとは思うのですが、数字として大学の数とか院生の数とやること自体が、母数が急激に減少している現状下で大丈夫なのかなとちょっと思いました。こういう評価がどれくらい続くことを念頭に置かれているのかにもよるかとは思うんですけれども。
以上です。
【栗原部会長】 ありがとうございます。これについては、QST、あるいは、文科省の方からお答えいただけますか。
【西室長補佐】 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
御指摘のところもごもっともだと思います。今回、記載案といいますか、評価基準の案を記載いただいたのはQSTなので、QSTさんのお考えもあろうかと思いますし、我々も、そういうところも踏まえて今後指標といいますか、基準というのは策定していかなければいけないと思っています。
なので、今回議論のポイントにも書かせていただいていますけれども、単純な数値目標を達成していればA評価とか、S評価とか、それが本当に妥当かどうかというところも、ぜひ本日御議論いただきたいと思っております。
以上です。
【木村理事】 部会長、よろしゅうございますか。QSTの理事、木村でございますけれども。
今、確かに御意見いただいたように、これから子供の数はどんどん減っていくことになるのはもう間違いないわけでありますけれども、この中長期期間、来年度、再来年度までの2か年間、今年度を含めてあと3か年間ございますけれども、その間で急激に大学あるいは大学院の数が減るとまでは考えてございまして。特にQSTが受入れを今まで実績のある大学でありますとか、これからも受け入れようとする大学については、そうそう簡単に減る、なくなるというようなことはないと考えてございますので、そういった意味では、この数を基準にすることに対して、さほど違和感はないのかなというふうには私ども考えておりますけれども。
【栗原部会長】 今期の残りの期間という意味では、基礎的なデータにはそれほど大きな違いがないだろうというお答えでした。
そういう観点と、あとは長期的に状況が変わっていく中で、新しい考え方も必要かもしれないので、そういう点も併せて、今日いろいろ意見交換できればと思います。
山田先生も手を挙げていらっしゃいますか。
【戸辺係長】 小板橋先生も何かおっしゃっていました。
【小板橋委員】 では、ちょっとだけ。
私、ちょっと記憶が曖昧で恐縮なんですが、たしか来年か再来年か、あと数年までは大学の定員数ってまだ伸びていますよね。文科省の方のほうが詳しいと思うんですけど。その後ががっと減っていくので、数年の間であれば、まだ増加傾向なんだと思うんです。特に大学院のほうであれば時差がありますので。ただ、今後も、どれくらいのスパンでということが分からなかったもので申し上げました。
以上です。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
やはり多様な考え方があったほうがいいのではないかとも思いますので、コメントありがとうございました。
では、よろしいでしょうか、次。
【山崎委員】 山崎ですが、よろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。
【山崎委員】 御苦労されて、顕著な成果とか、特に優れた成果というので、定量的な指標を出されていますけれども。申し訳ないんですが、現状把握というのが、私自身できていません。これまでにどれくらいの数があったのとか、これの数値だけで評価するのではなくて、そのときの数値の意味合いというのを御説明いただいて、そこで判断するというのを評価項目の中の一つに入れておいたほうがいいのではないかと思っています。
過去3年間の平均値からの20%の増ということは、年々10%増加すれば20%になるわけですけれども、それが多いのか少ないのか、顕著なのか顕著ではないのかというのは分からないので、そこで定性的ないろいろなバックグラウンドを説明していただいた上で判断するという、定性的な評価の文言を入れておいていただきたいなと思います。
【栗原部会長】 貴重な御意見ありがとうございます。このような数値を挙げるのであれば、その意味合いをというのは、大変ごもっともな意見だと思いますが。
これについては、木村理事のほうから何かありますか。
【木村理事】 ありがとうございます。
御指摘のとおり、過去がどうだったのかということも含めて、例えば、特殊な事情によって急に増えたり急に減ったりとかいうこともあるでしょうし、そういったこと、全体背景を御説明させていただいた上で、本当にこの増えたということが良かったのか、質も含め良かったのかどうかということは、改めて評価の際に詳細に御説明をさせていただければと思います。
【栗原部会長】 それでは、ほかにありますでしょうか。今、手が挙がっているのが山田先生ですが。
【山田部会長代理】 山田です。ありがとうございます。
平野理事長と木村理事から御説明あったように、人材育成というのは長い目で見ないといけないということで、年度評価では極めて難しいというので、瞬間最大風速でおっしゃいましたけど、そういう点では、この何%増加という変化、年次ごとの変化を追うというのは、まずその出発点になるという意味で、妥当な取組だと私は思います。
その中で、今、山崎委員から御指摘があって、ちょっと思ったんですけど、パーセントだけではなくて、絶対数も併記していただかないと、1人から2人になったら100%増ですから、そういう評価にならないようにというような注意をお願いしたいと思います。
それと、もう一つ、これも既に御指摘されているところですが、人材育成においては、長期という点と、いかに多様な人材がQSTならではの特色を生かしてできたかということなんですが、そういう点で、多様な、と言ったときに、何もいろんなばらばらなプログラムが並立して走っているのではなくて、ぜひともQSTならではの特色を訴えていただきたいんですね。
そういった点で、この議論のポイントで書かせていただいたところで、満足度の定義というところなんですが、ただ、これ、ユーザーに対して、「満足でしたか」「満足しませんでしたか」という感想の寄せ集めというわけではなくて、その満足度の調査を基に、QST自身がどのように改善を図られたかという点を評価において大事にしたいと思うんですが。そういう意味で、満足度の定義ということについて、お考えをお聞かせください。
【木村理事】 よろしゅうございますか、部会長。木村でございますけれども。
【栗原部会長】 どうぞ。
【木村理事】 御指摘ありがとうございます。
確かに御指摘のとおり、ただ「良かった」「悪かった」というだけでは全く意味がないので、何が良くて、今後どんなところをもっと良くしてほしいのか、そういったところまで可能な限りアンケートを取った上で、私どもの今後の研修、あるいは人材育成、これを当然充実させていくのと併せて、先ほどの参考資料で御説明させていただいた人材育成の全体像を見ていただくと、確かにばらばらに何かやっているような感じに取られかねないようなものでありますけれども、それもしっかり体系化した形に持っていけるような工夫はしていきたいと思っております。満足度を調査する際の問いの設計とか、そういうのをこれからきちんと検討してまいりたいと思います。
ありがとうございます。
【山田部会長代理】 付け加えさせていただきますと、大学と同じような教育をしたり、大学を応援するというだけではなくて、ぜひQSTならではのものを出していただきたいんですね。
そういった点で、いろいろなプログラムが走るというのは当然なんでしょうけど、それをぜひ横串を刺す形で満足度というものを考えていただきたいと思います。
【木村理事】 ありがとうございます。ちょっと工夫させていただきます。
【戸辺係長】 すみません、事務局から一点。
議論の大前提として、今回は記載案の検討という形で今議論していますので、今の御指摘されたものについては、来年度の評価で御説明します、ということではなくて、この記載案の修正なり、この記載をこうしたほうがいいのではないかということだと思って、我々、事務局、QSTは受け止めておりますので。なので、頂いた御意見は、この記載案のところに反映させる方向で調整したいと思っています。
以上です。
【栗原部会長】 それでは、金子委員、いかがでしょうか。
【金子委員】 ほとんど山田先生がおっしゃられたので、同じような意見でした。やはり満足度のところがどういう項目なのかということと、あと、やはりQSTならではの強みの部分をより伸ばすということや、魅力的な研究機関でなければ人が集まってこないというところも含めて、何を魅力に感じてもらうのかというところを明確にしていく必要があるかと思っております。
なので、そのあたりは人材育成と直接ではないのかもしれないですが、ここの研究機関に行くとこういうところを自分自身が発揮できそうだとか、そういうことを研究者の皆さんが感じられるような部分をどのように見せていくか、示していくかということが重要かなと思いますし、最初のところで小板橋委員が言われたように、本当に今後人が減っていく中で、どこの研究分野も人の確保が難しくなっていくと、毎年毎年20%増加することは、すごく難しいことで、余程他と比べて魅力がないとそういうことはならないと思っていて、維持することすら難しいというのがどこの研究分野も発生すると思われておりますので、そこのところも、本当にある意味20%の増加というのはチャレンジングな数字ではないかなとも思っております。ぜひ、そこは研究者にとってうれしいなと思える施策を出していただけたらと思っております。
以上です。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
今のご意見について、何かQST側でおっしゃることはありますか。特にはお答えを求めるようなものではなかったかと思いますが。
【木村理事】 御指摘ありがとうございます。
まさにQSTの活動が魅力あるものになってほしいという御指摘は、本当に真摯に受け止めたいと思っておりますし、そういった意味では、量子生命という新しい学術分野、これをQSTが主導して、今、切り開いております。そういった量子というものをキーワードにして、フロンティアを開拓していくという意味で、さらに活動を充実させる。学生さん、それから、研究者の方含めて、魅力ある、そういった組織になっていくように、私どもも努力していきたいと思っております。ありがとうございます。
【栗原部会長】 ほかにありますでしょうか。
もしなければ、私のほうからも、皆様のコメントに通じるんですけれども、今、人数ということが主に書かれているんですが、どういう内容で人材育成業務をされたのかということについて、特に専門家、指導者養成のところに関しましては、もうQSTが日本の中でのリーディングポジションであり、人材育成について、ある程度ミッションもはっきりしていると思いますし、また、それに応えてもいらっしゃると思いますので、その点をもう少し明確にしていただき、そうすれば今後発展するような人材育成の大きな計画、今後の計画に対しても、より充実した形や、よりQSTらしい、日本の中での指導者的立場としての御活動がより明確になっていくと思いますので、ぜひ、そういう視点も御報告いただいて、評価させていただければと思います。
重粒子がん治療にしても、やはりQSTで培われてこられた技術も経験も非常に貴重なものだと思いますし、他のどの分野でも今、専門家養成のところでは同様な点があるので、常に内容のアップデートとか高度化というようなこともおやりであれば、ぜひ御報告いただければと思います。
あと、大学院生の方やリサーチアシスタントの方に関する人材育成に関しては、どういう体制で受け入れるのかとか、少し体系的に特徴を示していただけると、やはり評価する側としては理解しやすいと思いますので、そういうような点を、QSTならではのという、皆さんおっしゃった点なんですけれども、少し補足していただければと思います。よろしくお願いします。
【木村理事】 ありがとうございます。
今、本当に御指摘いただいたとおり、今日はもう時間の関係で限定された説明になってしまいましたけれども、当然、私どもやっていること、QSTならではというところに重点を置いて、それが国から与えられたミッションでもございますので、そういった点が十分に御理解いただけるように、今後の評価の作業の中でお示しをさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 そういう中で数値の説明も頂けると、委員のほうとしては分かりやすいと思いますので、また、今後につながる視点としても重要だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【木村理事】 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【栗原部会長】 今の点に関しては、もうよろしいですね。ほかに委員の方。
山田先生、今、新たに挙げていただいているんでしょうか。山田先生、挙手になっていますが。
【山田部会長代理】 すみません。この評価においても、多様性という観点で海外からの受入れと、あとジェンダーのことについてもぜひ考えていただきたいと思います。
【木村理事】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
少し言い残したというようなことがほかにもあれば、ぜひお願いします。
特に報告いただきたいこと等を伝えていただければ、今後、夏の評価にも準備いただくのに良いと思いますので、具体的な記載内容についても、今回数値の意味ということも言っていただいたのは大変良かったと思います。ほかにもあればお願いします。
それでは、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
木村理事、どうもありがとうございました。
【木村理事】 ありがとうございました。よろしくお願いします。
【栗原部会長】 それでは、次、議題3、「「官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の整備等」における評価の基準について」です。論点に注意しつつQSTに御説明いただきます。茅野理事より、10分で御説明をお願いいたします。
【茅野理事】 担当理事の茅野でございます。A3資料をアップしてもらえますか。
それでは、御説明します。
まず2段目の中長期計画ですが、これは官民地域パートナーシップにより、新たなサイエンスの創出や材料科学、触媒化学、生命科学等の幅広い分野の産業利用等につながる次世代放射光施設の整備等に取り組むということでございます。
それで、本題に入ります前に、官民地域パートナーシップについてなんですが、官、国のほうはQST、それから、パートナーのほうは、代表がPhoSICという財団法人、それから、宮城県、仙台市、東北大、それから、東北経済連合会、こちらがパートナーになっています。国側は光をつくる加速器と3本の最先端ビームライン、それから、パートナー側が建屋と7本の産業利用を中心としたビームラインをつくるということで、今日御説明しますのは、国側の担当する部分でございます。
それで、年度展開ですけれども、ここの中長期的なプロジェクトというところに記載しました。
令和2年度は、光を出すための2つの大型加速器(ライナックと蓄積リング)の構成機器の製作を進めます。それから、施設全体を統括する制御システムやインターロック等の詳細仕様を策定いたします。さらに、運転開始当初から稼働させる3本のビームラインの詳細仕様の策定を進め、特に2年度は、加速器のビーム周回軌道に組み込まれる挿入光源とフロントエンドという部分の製作を開始いたします。
それから、令和3年度は、大型加速器の構成機器の製作、それから、製作したクライストロンや電磁石、真空機器等の基本建屋への搬入及び据付・調整作業の準備を開始します。また、制御システムやインターロック等の製作も開始いたします。それから、さらに3本のビームラインの光学系の詳細設計を完了して、製作を開始いたします。
令和4年度は、大型加速器の構成機器の製作を継続するとともに、架台毎に電磁石の構成機器を精密設置した上で、順次その架台を基本建屋の加速器トンネル内に搬入して、蓄積リングの全体の高精度据付・調整作業を開始する予定です。また、制御システムやインターロック等を構成機器と接続いたしまして、順次部分稼働試験を開始します。さらに、3本のビームラインの最下流部に置きます実験装置群、この詳細設計を完了させ、製作を開始いたします。
最後に、本中長期計画外となりますが、令和5年度が最終年の完成となります。
次に、技術的な困難度の令和2年度ですが、次世代放射光施設は、国内初の軟X線領域に強みを持つ高輝度でコンパクトな放射光施設として、国際的にも最高輝度を達成します。そのため、この4行目あたりからですけれども、高い安定度を実現するために、光学設計や高周波、磁場のオペレーションパラメータの最適化や様々な外乱に対する堅牢性も考慮し、高難度の高い設計となっております。
それから、ビームラインにつきましては、世界最高性能を目指すだけではなく、これまでの世界の同類施設で実現されていない、世界初の試みも多く採用しておりまして、例えば、XMCDというビームラインでは、既存の挿入光源では達成できない高度な偏光制御を実現するために、4分割APPLE型の挿入光源を新たに開発する必要があります。数十Hz以上の高速偏光スイッチが可能となるほか、2-3keVの光子エネルギー領域で高い円偏光度を得られる光源というのは世界に例がなく、各挿入光源から発生する放射光の位相調整という新しい自由度も加わりますので、制御が複雑になるとともに、特性評価にも新しい項目が必要となるなど、実現の困難度は極めて高いものと考えています。
それから、令和3年度ですが、海外の同種施設と比べて非常にコンパクトな設計ですので、その中で同等の輝度とビームラインの本数を達成するために、世界に例のないコンパクトな構造の電磁石で大きな磁場強度を発生させる必要があります。ということで、蓄積リングを構成する電磁石や加速管等の高性能な構成機器を制限された領域にコンパクトに極めて高い設置精度で配置するための困難さを伴っております。
それから、RIXSビームラインの光学設計においては、世界最高のエネルギー分解能を実現するため、光学素子に桁違いの安定性や加工精度が要求されるなど、世界に類を見ない困難度が予想されます。さらに、全てのビームラインを設置する実験ホールを非管理区域化するということを勘案して、国内の既存放射光施設とは異なる思想の人的安全とインターロックを含めた全体設計も必要となります。
令和4年度ですが、国際的に後発である次世代放射光施設、これは他を凌駕するようなビーム仕様の達成だけでなく、完成後に短期間で実稼働させるという使命も負っているわけです。ビームラインについても、学術利用主眼の軟X線領域の装置になりますけれども、利用者や分野拡大に伴いまして、使いやすい装置となるように、データの収集系から処理系まで構築しなくてはいけません。
それから、ARPESというビームラインにおいては、世界初となるナノ集光スピン分解角度分解光電子分光装置を実現するために、日本で開発された超精密加工技術による新しい集光光学素子の製作にチャレンジいたします。
次に、マネジメント上の困難度ですが、令和2年度のところにまとめましたように、次世代放射光施設は、官民パートナーシップによって行います。国の実施機関であるQSTは加速器の製作や3本のビームラインの建設で、民間実施機関が建屋の整備と7本のビームラインのわけですけれども、加速器の整備とそれを収納する建屋の仕様というのは、当然密接に関連してまいります。それから、QSTが整備する3本のビームラインと、パートナー側が整備する7本のビームラインは、人的安全とインターロックにおいて共通思想で整備されていなくてはならず、共通仕様部分で密接にやはり関係いたします。したがいまして、仕様の検討ですとか変更、工程の遅延が生じた場合は、相互に影響を及ぼすことになります。
このように、指揮系統を別に持つ2つの組織が一つのプロジェクトを進めるためには、極めて高度な情報共有と明確な合意形成手順を持つということが不可欠になりまして、高度な意思決定を行うための役員レベルから具体的作業を行う現場レベルに至るまで、各階層での会議体をつくりまして、その会議体をシームレスに連携するなど、プロジェクトの円滑な進捗と緊密な情報共有による連携強化に工夫を要し、計画どおり遂行することの困難度は高いと考えております。
それから、令和3年から4年にかけても、整備が進捗するに従いまして、新たに所掌分担詳細の不明確であった部分ですとか、施設全体の横断的要素の分担をどのようにするか、そういったことは時間的余裕のない中で決定することが求められますし、令和4年度から運用開始に備えまして、利用者支援の携帯についても、利用のしやすさの確保ですとか、成果最大化を勘案した仕組みの構築ということがあり、困難度は引き続き高いと考えています。
次に、顕著な成果ですが、技術的には、令和2年度はシンクロトロン設計を再評価して、工学的にも成熟した設計に仕上げました。それから、ビームライン設計では、世界で類を見ない高速での偏光切り替えを可能にするために、軟X線分光器の機械的安定性の向上に貢献するビームライン光学系要素技術の開発を追加で実施しております。これにより、年度計画である設計検討等の開発にとどまらず、ビームラインの光学的な詳細設計まで完了させました。
令和3年度は、3本のビームラインの光学系の製作の開始にとどまらず、高精度な遮へい計算を基に、従来の既存施設とは異なる思想の人的安全とインターロックを含めた全体設計を行うことで、これは日本で初めてと思いますが、実験ホールの非管理区域化に目途をつけます。
また、令和4年度は、3本のビームラインの最下流部に置かれる実験装置群の製作の開始にとどまらず、使いやすい装置となるようにデータの収集系、処理系の構築を開始できれば顕著な成果となると考えております。
それから、マネジメント面での顕著な成果といたしましては、令和2年度は、パートナー側の基本建屋構成が加速器の仕様策定に影響を与えることから、QST側からも建屋総合定例会議に参加して、役所との調整等についてもQSTが積極的に関与を行っております。その結果、コロナ禍によって、パートナーが担当する基本建屋の建設工程や建屋のユーティリティ設備等の仕様決定での想定外の遅延を防ぎ、年度計画である加速器の機器製作等を着実に進め、機器製作を加速することができました。
令和3年、令和4年度も引き続き情報共有と相互協力で全体工程を加速できれば、こういった官民パートナーシップという初めての試みを成功させることができ、顕著な成果となると考えております。
以上で御説明を終わります。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
今の御説明に対して、御質問、御意見をお願いします。予定時間は25分です。
【戸辺係長】 1点だけ、事務局より補足ですが。今回、官民地域パートナーシップの部分については、主に困難度というところを議論したいというふうにQSTから事前に伺っていますので、3-2の資料については、困難度に特化して記載をさせていただいております。なので、この部分について、皆さんから御意見いただければと思っております。よろしくお願いします。
【栗原部会長】 補足ありがとうございました。
それでは、質問、御意見等あれば、お願いします。どなたか。
【神納委員】 神納です。よろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。声を出していただくのはありがたいです。どうぞお願いします。
【神納委員】 了解です。
この事業が多分始まる少し前に、グリーンの度合い、すなわち、消費電力はどうなるかというような話があったかと思うんですが、その件はどうなっていますでしょうか。特に磁石類は温泉をわかしているようなもので、超伝導なんかにすれば別なんでしょうけど、それにしてもクライオシステムの消費電力があったりして、結構問題になるかと思うんですが、こういう点はいかがでしょうか。
以上です。
【栗原部会長】 今の点はいかがでしょうか。
【茅野理事】 ありがとうございます。
実際にやっている担当の者からお答えさせていただいたほうがいいと思いますので。
【内海センター長】 センター長の内海でございます。画像がなかなか出ませんが、声だけは聞こえていますでしょうか。
【栗原部会長】 はい、聞こえております。
【内海センター長】 内海のほうから答えさせていただきます。
今、神納先生がおっしゃったお話、数年前のQST委員会のときに御指摘いただいた記憶がございます。そのときに、加速器の蓄積リングの磁石、を今までの電磁石から永久磁石に変えることも検討しておりますということを答えた記憶がございます。
今、御指摘いただいたように、今の加速器、SPring-8も含めてですけれど、蓄積リングの磁石は電磁石を用いておりこの部分が一番電気を食うんですね。それを永久磁石で置き換えるということも検討しまして、一昨年に仕様を最終決定するぎりぎりところまで議論をしました。
当然ながら、永久磁石にすると、大きく消費電力量は下がり、技術的には何とかできそうだという目途は立ったんですが、やはり製作コストの面と、それから何としてもリスク要因を減らさないといけないというところで、結局、永久磁石の使用を断念いたしまして、電磁石を使うという決定をしております。
その意味で、ドラスティックに3割、4割の電気量を下げるという形にはならなかったというのはちょっと残念な御報告ではありますが、全体として、当然コンパクトに作っておりますし、今後も省エネを目指していくということには変わりございません。
【神納委員】 どうもありがとうございました。
いや、確かに永久磁石を使うという話をされていたんですが、非常に設計的に難しいことだと思ったので、今、確認させていただきました。
もし電磁石を使いつつも、コンパクト化等によって同等の性能指標に対して、これだけ電力節減ができたというようなことがございましたら、この困難度のところに記載されてはどうかなと思った次第です。
以上です。
【内海センター長】 先生、コメント、どうもありがとうございました。
今、数字をここに書けないのは、そういう事情でございます。今後も、そこには意識を払いながら進めたいと思います。
コメント、大変ありがとうございました。
【神納委員】 ありがとうございました。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
それでは、金子委員、どうぞ。
【金子委員】 ありがとうございます。
私からは、マネジメントのほうといいますか、指揮系統を別に持つ2つの組織が一つのプロジェクトを進めるためにはというところに関してお聞きしたいなと思っております。
やはり別組織となると、どうしてもそこに壁ができやすいと思っておりまして、今回、高度な情報共有と明確な合意形成手順を持つことが不可欠というふうにはなっているんですけれども、基本、会議体だけでこういうことができるのかどうかというところが、やはり会議を多く持たないと情報共有できないというふうな形になると、どうしても短期間でいろいろなことを決めていくというのが難しいのかなと思ったりするんですけれども。
ほかの方法、今、まさにコロナ禍において、いろんな形の情報共有のツールが出てきていたりするんですけれども、組織間において情報共有するツールみたいなものをもっと駆使するとか、そういうところは、この困難度を下げるためというか、より円滑に情報共有するために何か工夫とかはされていかれるのかと思ったのですが、いかがでしょうか。
【茅野理事】 茅野ですけれども。
この部分は、ウェブとかテレビを使った会議をかなり頻繁にやっていて、その形で情報共有をしています。
それで、それは3層ぐらいに会議体は分かれているんですけれども、一番下のほうはビームラインに関するものとか、加速器に関するもの、建屋に関するものという、それぞれ技術的な議論をして、その上で全体がどうなっているか、それから、運営の面で議論は、もちろん経営が入りますけれども、という形でやります。
それで、一番下の層は、後で内海からも補足してもらいますけれども、毎週1回以上議論を重ねていますので、その点はかなりお互いに情報をきちんと持てていると思っていますし、お互い譲れないところはあるんだろうとは思うんですけれども、そこのところは、やっぱり2つでそろってこれを成功させたいという気持ちは同じなので、譲れるところは譲って、きちんと進めているということでございます。
【内海センター長】 内海のほうから補足させていただきます。
金子委員、御質問ありがとうございます。
その会議体以外に、こういう大型プロジェクトですので、図面であるとか、資料であるとか、山のように出てまいります。それの管理というのは非常に重要なんですけれども、共通の大きなファイルサーバを持ちまして、そこにアクセスできる権限者というのを非常に細かく設定して、そこに共通の資料を置いております。例えば建屋の図面だけでもすごい量があって、先ほど茅野のほうから御説明させていただきましたが、建物はPhoSICさんが作って、加速器はこちらが作るので、お互い知らん顔できるかというと、決してそんなことはなくて、建屋の柱の一本、孔の開ける位置一つにしても、喧々諤々の議論をやらないといけないわけです。
コロナのためにそれが加速されましたが、リモートの打合せというのが本当に頻繁にあるのに加えて、やはりフェイス・トゥ・フェイスの議論というのも極めて重要で、出張が極めて制限された状態ではありましたけれども、必要なことに関しては、仙台まで行って打合せをする、リアルな形でやるということを心がけております。
それから、今年度までは、QSTのメイン部隊は播磨におりますが、いよいよ今年の7月に仙台のほうに乗り込む予定です。を諮るうえで、やはり同じ釜の中で、同じ空気の中でやることのメリットは非常に大きく、そういう形で、今後ますますコミュニケーションを図りながら進めていきたいと思っている次第でございます。
【金子委員】 ありがとうございます。
そこのあたりの工夫の部分も、何らかの形で今後示していただけるといいのかなと思います。ありがとうございました。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
今のような具体的な情報が頂けると非常に考えやすいと思いますので、よろしくお願いします。
ほかに御質問ありましたら、お願いします。
【戸辺係長】 有馬先生が手を挙げていますので。
【栗原部会長】 すみません。私のほうで全部の方のお名前が見えていないので。お願いします。
【有馬先生】 有馬ですけれども、初めて参加するので全然筋近いかもしれませんが。
まず、そもそも、これ、評価の基準についてという記載の案があって、これが妥当かどうかということをここで議論していると、そういう理解でよろしいんですかね。
【栗原部会長】 妥当もありますし、こういう観点で評価するとしたら、先ほどの人材育成のところでもありましたように、こういう情報も付け加えていただかないと判断しにくいということもでもいいですし、多面的に御議論いただければと。
【有馬先生】 なるほど。そういう意味で申し上げますと、私が存じ上げる限り、ここで書いてある記載は相当困難なことがたくさん書いてあって、そのときに、これを、例えば2023年のファーストビームのときに全部やるということを目指しているのか、そうではなくて、もう少し中期の話になっているのかとか、その辺が実は見た感じは曖昧かなと思っていて。そのあたり、つまり、例えばビームが出ないと評価できないところもあったりするので、その辺の工程管理という意味で、つまり、ビームが出ない範囲ではどういうことまで管理して、そうするとうまくいくだろうとか、その辺のところが、ちょっと細か過ぎるからここには載せないよということでもいいんですが、ちょっと気になるのがありますね。
それから、もう一つは、先ほど内海先生おっしゃったように、対面は大変大事で、やっぱり対話して信頼関係を築いて、それで、こういうプロジェクトはうまくいくと思うので、そこは難しいので、こういうことをしますというのが、会議体だけではなくて、こういうところまで合意できるというところ、要するに、ここのところまで合意できることを目指すという、その辺があると分かりやすいのかなと思います。
すみません。方向性が、私、言っていることが間違っていたらごめんなさい。でも、そういう印象を受けました。
【栗原部会長】 QSTの機構の研発法人評価というのは、毎年あります。
【有馬先生】 そうですよね。だから、毎年評価できないことが書いてあるので、そこが。
【栗原部会長】 それで、それぞれ令和2年度の計画というのが、多分、次の年に、令和2年度評価では、その計画に基づいて評価するというのが大きな考え方になりますね。
【有馬先生】 普通はそうだと思うんですね。今回の場合、ただ、ものができるのが2年とか3年後なので、だから、そのときにどうやったらこれを評価できるのかなというのが若干よく分からないので。
【栗原部会長】 その点に関しては、もう少し後のほうである核融合もそうなんですけれども、こういう大きなハードウェアを作るときに、そのハードウェアを作る個別のステップと、それから、最終的に性能が出たときのその評価と、ずっと作っている間はB評価なのか、Bは標準ですが、B評価なのかという課題もあるわけですね。
それで、この点はどう評価をしたら、それを超えた達成度だということを見られるのかということも議論の観点になっています。平均的な進捗ではなくて、それ以上の進捗をしているんだということをどう見ていくのかという、そういう議論でもあります。
【有馬先生】 そういうことで言うと、今、世界中でできていない技術を導入するということなんですけれども、世界中でやっていて、ここがボトルネックになっている、そこの要素技術のところをこうやりましたと、それを入れると多分こうなりますという、そのぐらいのことを書くと、その年にそれはちゃんと克服できましたねとか、そういうことが言えるのではないかなと思います。
【栗原部会長】 今、先生のおっしゃったこと非常に大事だと思って拝見しています。例えば、光学設計で世界にないと言っておられるけど、従来あるものに対してどう違うのか、それで、ボトルネック、どう困難でそのレベルにとどまっていたのか、その飛躍はどのくらいなのかを、できれば説明していただけると評価しやすいのではないかなと思っております。
【有馬先生】 そういうことです。栗原先生、どうもありがとうございました。
【茅野理事】 ありがとうございます。茅野ですけれども、今御指摘いただいた点は考慮しながら、夏の評価に備えたいと思います。
それから、確かに、この書き方が、困難度というのは、プロジェクトの場合は、ずっと同じ困難度が続くというような場合があるんですが、一応ここは2年度はこういう困難度、3年度はこういう困難度というような形で、ビームラインを別々に書いているので、じゃ、2年度、XMCDのところ、ここまで実現困難なものを2年度にできちゃうのかというと、そういう見方はできないわけですから、各ビームラインについて、各年度、どういうふうに最終的な困難度に向かって個別に問題点をつぶしていったのかというような書き方、そういう形に年度評価のときには書き換えていきたいとは思っています。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
【茅野理事】 プロジェクト全体の困難度的な書き方は、全体についての困難度というような意味で書かせていただいていますので。
【戸辺係長】 すみません。事務局ですけれども。ここの困難度の書き方は、今の御議論を踏まえて修正できますので、年度ごとにしたほうがいいということであれば、そういうふうに記載するべきだと思いますし、そこは部会で御議論いただいた方向性でQSTにもう一回修正していただこうかなというふうに、我々としては考えています。
【栗原部会長】 今頂いているより細かいほうの資料では、年度別の計画が書いてあって、それに対しての困難度が書いてあるので、それぞれ対応するところを見るのかと思って私は拝見しておりました。
ですから、最後にそれらが集まったところで最終年度なのか。これは核融合のほうも、最後はやはり動かないとというところまで見るのかとか、いろいろ議論あるところだと思いますけれども、それぞれは個別には議論しながら、評価のほうも進めるのかなと思っていました。
山田先生、御意見ありますか。
【山田部会長代理】 私も、年度評価はどうしてもある意味粛々とやらないといけないことがあるので、有馬先生の御指摘あったように、技術的にも、科学的にも、これこれの困難度をここまで克服したとか、栗原先生から御説明あったとおり、そういう説明をしていただきたいということと、でも、最後はやっぱり動かないといけないというのは本当にそのとおりで、その中で、核融合も次世代放射光もそうなんですが、QSTだけが単独で頑張っても、できる事業ではないんですね。だから、QSTとしては、外部性も含めて評価を受けるような形に持っていかないと、これは栗原先生に逆に質問になりますけど、外部性まで含めて成功したかしていないかという観点で、我々、最後は評価せざるを得ないと思いますが、いかがですか。
【栗原部会長】 そこは難しいところもあると思うんですね。相手が自分の思うように動くわけでもないところもあると思うんですが。ある程度は、今、マネジメントの困難さとおっしゃったような点をどう工夫しておられるかは、相手にも問われるのでしょうが、QST側も御尽力いただけるとありがたいなと思います。プロジェクトは評価する者も皆成功してほしいと思っているわけで、皆さんで成功に向かって努力いただくということだと思いますし、それが非常に困難だということが理解できれば、それも評価の観点に入るのではと思っています。
【茅野理事】 茅野ですけれども。
核融合も次世代放射光も、例えば、核融合で言えば、QSTが完全にイニシアティブを取っているわけでもなくて、対等な形でやっています。この次世代放射光についても、対等な形でやっているわけで、例えば、この次世代放射光で、うちが完全にイニシアティブを取ってやっているのであれば、相手側の問題で遅れたとしても、ある程度これは責任あると思うんですが、対等にやっていますので、うまくいったら、そこはやっぱり困難度を乗り越えたんだなというふうに判断していただけるとうれしいなとは思います。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
そのあたりは、表現できることとできないこともいろいろおありと思いますけれども、今工夫していただいている、当然かもしれませんが、サーバに入れてうまく管理するのも、大変手間のかかる作業だと思いますので、そういうことも工夫の一端であると思いますし、特にハードウェアは本当にネジ一つまで合わせていくのは、精密なものですから大変だと思いますので、いろいろな観点から我々のほうも見られたらと思います。ただ、知らないことは評価できませんので、なるべくきちんと御報告いただけると、と思っています。
【茅野理事】 承知しました。
【山田部会長代理】 具体的に申し上げると、今日の資料で見て、正直言って非常に感心したのが、ファイナンスに関する情報を共有できないということをきちっと書いてあって、これは非常に深刻な問題で、解決は恐らく図りようがないような問題なんですね。だから、インタフェースのところで工夫しているというだけではなくて、やはり外部性、要するに、プロジェクト全体のところまでぜひ踏み込んでお考えいただきたい。これは希望です。
【茅野理事】 承知しました。
【本間委員】 すみません、1つよろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。
【本間委員】 今の山田先生のコメントと関連することですけれども、この施設の整備の中長期的な目標としては、幅広い分野の産業利用につながる次世代放射光施設の整備と資料に書いてございます。高性能であり、世界初であり、非常に機器としても立派なものを作るというところにおける困難さというものが令和4年度のところまでに含まれるのか、あるいは、最終的なゴールとして、産学連携といいますか、多くの施設が利用できるような最終的な形としての整備というものに、いろんな人が利用できるに値するような機器を作り上げるというのでしょうか、継続的に運用できるような機器を作るための困難さということが令和4年度までに含まれるのかということを教えていただきたいと思いました。
【茅野理事】 最終的な完成年は令和5年度ですが、令和5年度までにということでよろしいですか。
【本間委員】 その困難さというところがどこまで含まれるのかという御質問です。
【茅野理事】 令和4年度までですと、最先端のものを作り上げるというところが困難さということでございます。
それで、令和5年度に完成して、それ以降は一般に供用するようになりますので、そのときまでには広く使われるような形で運用に持っていくということになります。
【本間委員】 ありがとうございます。
【山田部会長代理】 今の本間先生の御質問をちょっとフォローさせていただいていいですか。
ユーザーファシリティを作るということが一番なのだと私は思いますので、まず設計に当たっては、本当に高性能なものをいかにして作っていくかという観点で、ユーザーと重々、潜在的なユーザーも含めて議論されたと思うんですね。今はもう製作段階に入っているので、一旦それは恐らく一段落しているのだと思います。一義的には、建設する責任がQSTとパートナーシップにあるということですね。
一方、利用が始まると、今度はまた利用者との間でいろんな議論がなされるべきなんですが、高性能化をはかるという縦軸を取れば、非常に多様なユーザー、いろんな使い方ができるという、今度は横軸ですよね。そういった水平方向の展開についても、ぜひ今の段階から、その利便性をいかにして高めるかということを、潜在的なユーザーを含めて議論を始めていただきたいと思います。にらんでおられると思いますが。
【茅野理事】 ありがとうございます。
もうあと3年で利用が始まりますので、既にどうやって利用者のために運用していくかという利用支援のところ、そこについては役員級の会合のところで議論を始めまして、ユーザーズオフィスをどうしていくかとか、それから、ニーズをどうやって拾い上げるかとか、サポートをどうやってやるか、そういったところの議論は始めております。
【山田部会長代理】 その段階から、ぜひユーザーを取り込んでやっていただきたいというのが私の意見です。
【茅野理事】 分かりました。
【栗原部会長】 今の点は、最終的には、官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設というのは、リサーチコンプレックスを作って、この地域に次世代放射光を通じてある程度大きなリサーチコンプレックスができるようにというのも大きなゴールだと思いますが、3つのビームラインということで今御計画ですけれども、QSTにとっても、例えば、産官連携等の機会の発展になることではないかと思いますので、どう地域と連携するのかということも、少し早めに御計画になっていかれるとよろしいかなと思います。
【茅野理事】 リサーチコンプレックスを作って地域の産業に貢献するというのは、もともとパートナーさんの仕事としてなっているわけですけれども、我々も最先端研究のということでビームライン3本を作りますので、それを学術関係、それから、もちろん産業応用にもこれから発展させていきたいと思います。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
ほかにありますでしょうか。
【沈委員】 沈です。
【栗原部会長】 どうぞ。
【沈委員】 この次世代放射光施設は、いろんな新しい技術が取り入れられていて、確かに困難なことはたくさんあるんですけれども、1つ、実験ホールを非管理区域化するというところですけれども、これは日本では初めてで画期的ですけれども、外国では、これはずっと前からやられているんですよね。イギリスの第2世代のときも、既に非管理区域化していたと思いました。
【茅野理事】 そのあたりの事情は、内海のほうから説明させていただきます。
【沈委員】 これ何が難しいでしょうか。
【内海センター長】 御質問、本当にありがとうございます。
今、委員の先生から言っていただいたとおり、実験ホールが管理区域になっているというのは、日本が唯一というわけではないかもしれませんけれど、日本が世界の潮流の逆なんですね。そこにある最大の問題は、技術的な問題というよりも、法律上の問題の話が極めて大きかったと思っています。
実は法律上は、単純に3か月で1.3マイクロシーベルト以下の放射線量であるならば管理区域とする必要はないのですが、日本ではフォトンファクトリーの時代からずっと実験ホールは全体を管理区域にすべしみたいな雰囲気になっていて、規制当局もずっとそういう対応をしていたんですね。
容易に想像されると思いますけれど、管理区域になっていることで、放射光施設へのユーザーのアクセシビリティがすごく悪くなっていたので、産業利用の大きな発展が期待されている次世代放射光では実験ホールを管理区域から外すということを最大の目標の一つにしています。
これに関しては、遮へいの設計が従来よりも厳しくなるとか、インターロックの設計が複雑になるなどの技術的問題もあるんですけれど、それは困難というよりも絶対にやらないといけないこととして対応しています。
むしろ困難度が高いのは規制庁対応のほうです。つまり、法律ではこういうことになっているので当然外しても大丈夫ですねというような話を、一つ一つクリアしていく必要があります。
最終的には規制当局の許認可を受けないといけない合意を取らないといけので、まだ100%絶対大丈夫ですという話にはなっていないんですけれども、これは達成すれば次世代放射光としては非常に画期的なことだとは思っています。困難度という点では、そういう意味で、技術的なことプラス許認可対応に大きなハードルがあるというふうに御認識いただければいいと思います。
【沈委員】 ありがとうございました。ぜひ、そのようにして使いやすくしていただきたいと思います。
【内海センター長】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 それでしたら、マネジメントのほうかもしれないですよね。
【茅野理事】 そうかもしれないですね。
【栗原部会長】 それで、世界ではこうだけれども、こういう壁を取り払ったとなると分かりやすいかもしれません。ありがとうございました。
ほかにございますか。
ないようでしたら、皆さん、活発な御意見ありがとうございました。
ここで休憩となっておりますけれど、10分の休憩を取りますか。それとも、時間どおり、50分で始めたほうがよろしいでしょうか。
【戸辺係長】 事務局です。
10分お取りいただいて構いません。55分開始でどうかなと思っています。
【栗原部会長】 そうですか。それでは、今から休憩で、55分に再開ということですので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【栗原部会長】 それでは、時間になりましたので、再開いたします。続いて、議題4、「核融合エネルギー部門の研究開発について」(那珂研バーチャルツアー等)です。QSTより御説明をお願いいたします。
【栗原部門長】 ありがとうございます。核融合エネルギー部門長をしております栗原でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
「夢の核融合エネルギーがいよいよ現実に!」という題で始めさせていただきます。それでは、早速始めさせていただきます。
核融合発電の利点でございますけれども、これはもう釈迦に説法になってしまいますが、エネルギー問題の究極的な解決になるというところで、左側は資源量を書かせていただいておりますけれども、資源的には、核融合はもうほとんど無尽蔵ということが言えるわけでございます。
また一方で、環境問題というのも非常に重要なポイントになってまいりまして、資源的にはウランもかなりあるわけでございますけれども、一方で、原発の運転で生じます放射性廃棄物という、その処分問題があるということでございますが、核融合はそれがないと。しかも二酸化炭素は出さないということで、下の赤で囲みましたところのように、二酸化炭素を出さない。それから、万年オーダーの廃棄物も出ない。そして燃料は無尽蔵。そして膨大なエネルギーを発生する。燃料1グラムに対して石油8トンということでございます。そして、安全性につきましても、供給停止とか異常時には自動的に反応が停止するという特性を持ってございます。
核融合発電の全体像でございます。一番上に左側から磁場の構成の仕方を書いてございますけれども、一番右側を御覧いただきますと、ここに針金のようなねじれたものがございます。これが磁力線を模式的に表したものでございます。このような磁力線にプラズマが巻きつくことによって、プラズマを閉じ込めるというのが、核融合の今目指しているトカマク型という装置の原理でございます。
下の図にございますようなシステムで発電システムを作ろうとしてございます。炉心プラズマの中では、左側にありますように、重水素と三重水素で核融合反応を起こして、ヘリウム、そして中性子が出てまいります。この中性子、非常に速いスピードでございます。光のスピードの約6分の1ぐらいの速いスピードで出てまいりまして、これが核融合炉の周りに置かれましたブランケットというところで、ベリリウムにまず当てます。これによって中性子が増えてまいりまして、さらにそれがリチウムに当たり、そして再び三重水素を製造するといったような、燃料の三重水素のリサイクルというシステムがブランケットのところにあるということになります。また同時に、ここで熱を蒸気に変えて、そしてタービンを動かすという形で発電につなげていくというものでございます。
これが原型炉、発電の最初の炉のことを原型炉と申しておりますけれども、ここへの道筋でございます。一番右側に原型炉を書いてございます。ここに向かってできるだけ早く到達したいわけでございますけれども、その前の段階が、今、実験炉ITERという段階でございます。熱出力50万キロワットを実現したいということで、現在フランスで作っているところでございます。これにつきましては、後ほどまた御紹介させていただきますが、ここにITERから直接原型炉に行ければ一番いいわけでございますけれども、まだ足りない技術、それから、試すべきことというのがございます。
これは何らかの形で補完をしていかなければならないということで、日欧は幅広いアプローチ活動、図の下側に幅広いアプローチ活動、BAと呼んでございますけれども、Broader Approach活動、これを協定を結んで実施してございます。このBroader Approach活動におきましては、JT-60SAを作る、それから、IFERC事業というところでは、原型炉の設計のR&D、そして、材料照射用のIFMIFという事業を行う、こういったものが中に含まれてございまして、これによってITERを補完し、支援し、また、原型炉にできるだけ早く到達するためのいろんな技術をここで育成するというところでございます。
これがITERプロジェクトでございます。世界7極が参加してございます。実燃料を用いて核融合の燃焼を行うものでございます。エネルギー増倍率10倍、入れたエネルギーの10倍出てくるというのが一番のポイントでございます。現在フランスで建設が続いております。初プラズマは2025年、そして、核融合の運転は2035年を目指して、現在組立てが進んでいるところでございます。もう既に72%を超えて建設、組立てができているというところでございます。
このITERプロジェクト、規模を御紹介するために、このような2つの円グラフを書いてみました。参加極7極は、GDPでは世界の4分の3を担っている国々です。また、人口では約2分の1を占める、そういった7極による史上最大の国際協力科学プロジェクトと言えます。年に2回理事会がございますけれども、ここでは熾烈な交渉と書かせていただきましたが、調整が行われております。日本は、もともとITERでホストを争いましたので、準ホストという立場で、主要先端機器の調達を分担するというところでございます。
これが日本が分担しております調達機器類でございます。左側が超伝導トロイダル磁場コイルという極めて巨大なコイルでございますけれども、これが全部で18個あります。予備を入れますと19個必要になりますが、その半分の9個を日本は担当してございます。
それから、その左下、高周波加熱、それから、そのわきに中性粒子入射加熱装置、これはプラズマを加熱することで、プラズマの中で核融合の燃焼を起こすものでございます。
それから、ダイバータという、これは下側にありまして、熱を除去する、あるいは不純物を除去するための道具立てでございます。
それから、遠隔保守装置、これは本体が放射化をいたしますので、ロボットを使って保守をするものでございます。
そして、トリチウムプラント、それから、計測、そして、右上ですが、超伝導の中心ソレノイド導体、これらの先端機器ほとんど全てについて日本が担当するというものでございます。
各極が製作いたしました機器を持ち寄って組み立てるという非常に特殊なやり方でございます。日本はFOAK機器を担当してございます。このFOAKという言葉、非常になじみのない言葉でございますけれども、ITERではこれをよく使ってございます。FOAK、First-of-a-Kindの略でございますけれども、世界初で唯一無二のそういう機器であるというものでございます。したがってお手本がありませんので、非常に困難を伴うという機器でございます。設計・製作・組立てにおいて、複数の国、研究機関、メーカーをまたいで機器間の仕様の調整が必要になるという、またこれもなかなか困難が伴います。そして、ITER計画自体は一致団結して進めなければいけませんけれども、一方で、それぞれ国々の、どちらが正しいとか、どちらが一部問題があるとかいったような、そういった極間での交渉がやはりありますので、そういったタフな交渉・調整がどうしても伴ってくるというものでございます。令和2年度は670回もの技術調整会合を実績として行ってございます。
その中で1つ御紹介をさせていただきたいのは、この中性粒子入射加熱装置でございます。これは今イタリアのパドヴァというところで、まずは試験用の機器を製作して、実験をしようとしているところでございます。この後に、実機としてフランスのほうにもう2基同じようなものを持ち込むわけでございますけれども、その先陣を切って、この機器をまずイタリアのパドヴァで試験を始めようとしているところでございます。この機器は100万ボルト、そして、電流値としては40アンペアというような、非常に大きなエネルギーを注入するためのそういう装置でございますが、この中でも最も難しい直流超高電圧の電源機器を製作するということが日本の担当でございます。
この左側に図を書かせていただきました。どのくらいのメーカーがこんな機器を作れるのかということを書かせていただきましたが、横軸に電圧を書いてございます。800キロボルトぐらいですと、2社ぐらい。世界でもそれでも2社ぐらいということですが、このように100万ボルトとなりますと、これを作れる会社は世界で1社、これは日本の日立製作所に当たりますが、1社しかないということでございます。
また、その困難度につきましても、右のグラフにありますように、星印のところで、これまでほとんど達成したことのないエリアに点がございます。このような機器を作らなければいけないというものでございます。
しかしながら、今年、コロナが発生いたしましたために、非常に大きな困難が発生いたしました。そこにつきまして、次の動画でちょっと御紹介をさせていただきたいと思います。
(動画再生)
【栗原部門長】 このようなことをやりまして、コロナ禍においても非常に効率の良い試験運転をすることができ、現在、その継続作業が行われているところでございます。
それでは、続きまして、那珂研究所におきますJT-60SAにつきまして御紹介をさせていただきます。
JT-60SAという装置、このプロジェクトは、ITERや原型炉に外挿可能なプラズマの維持時間を達成しつつ、ITER支援研究、それから、経済的な原型炉に必要な高圧力プラズマ研究と両方ができる、そういった装置でございます。下にプラズマの断面を書いてございます。青いのがITERでございますが、ピンク色がJT-60SAです。このように、ITERと同じ形をしていますので、ITERの実験のシミュレーションができるということになります。そして、ITERの完成まで、世界最大の超伝導トカマクですので、非常に世界の中でも注目されていますし、また、先ほど申し上げましたFOAKの機器の集合体でもあるわけでございます。そういうことで、ITERを支援するとともに、原型炉に必要な高圧力プラズマ、こういったものが実施できる唯一の装置ということになるわけでございます。
このITERに先駆けて動く装置でございますけれども、このJT-60SAという装置は、これまで実は長い時間をかけて制作をしたわけでございます。それを簡単に少しだけ振り返らせていただきたいと思います。単年度のことにつきましては、後ほど御紹介させていただきます。
これは縦軸は約13年ちょっとの時間幅になってございます。上のほうから行きますと、Broader Approachが開始しましたのが2007年からでございますけれども、そのところから設計が開始されたわけでございます。これも新しく設計をしたわけでございます。設計した後、JT-60という前の装置の解体をしなければいけないということになります。これは放射線障害防止法の対象の装置の解体としては日本初のものでございますので、解体に関しまして、実施のための計画書等々、安全ルール、解体の許認可等をやったわけでございます。これも全てパイオニア的なところでございます。また、廃棄物を極力減らす必要がございますので、RI規制法上のクリアランスという、新しいそういうシステムも、JT-60という装置を使って、このクリアランスの値を決めたというところでございます。その後、コスト削減のために、サイト内に製造建屋を建設いたしました。そして、その後、組立て等が始まったわけでございますが、特に慎重にやりましたのが、位置の測定でございます。レーザートラッカーを用いまして、高精度の測量法の制定、これは非常に特別なものでございますけれども、これも実施をし、そして組立てを進めていったわけでございます。極めて高精度、大体1ミリ以下の精度で部分によっては製作をしてございます。そして、日欧で合計30件もの調達取り決めを締結実施して、建設をしてきたというものでございます。そして、その後、並行して、リサーチプランという、こういう実験計画の策定も行ってきたわけでございますが、これまで解体作業から含めますと、13年間の長きにわたりまして、無事故・無災害を継続しているというところでございます。今月に入りまして、初のECRプラズマの生成を含む総合試験運転というものの知見は、これがすぐにITERに役に立つということで、ITERからの参加者もこちらに来ているところでございます。
さて、これが今年度のやったことでございます。上から幾つかを説明します。全部を説明する時間はございませんが、このように最初はまず本体周辺の整備からスタートしたわけでございますけれども、手戻りになる作業がないように、戦略的な計画を立てました。そして、中ほどですけれど、500か所以上の接合箇所の真空封止を手戻りなくやるために、またこれも困難な計画を立てたわけでございます。そして、28基のコイルの機器に過大な応力がかからないような形で冷却をしていく方式を選んでございます。このようなことを踏まえて、現在、超伝導化した後、コイル通電試験というのを行っているところでございます。
こういった中で、それぞれ我々はその困難を克服してきたわけでございますけれども、ここに黄色に書きましたような様々な工夫をやってございますが、特に真ん中ほどでございます。手戻り作業を防ぐ品質管理が功を奏しまして、530か所のリーク試験が予定より6日早い9日間で終了したということで、こういったところにも、これまで様々な戦略的な工夫を凝らしたというところが、コロナ禍におきましても功を奏したというところでございます。
次に、六ヶ所核融合研究所の活動でございます。六ヶ所では原型炉の実現を目指して、IFERC事業、原型炉の設計・R&D、それから、IFERC事業の一部でございます計算機シミュレーション、遠隔実験、そして、材料照射用の加速器でありますIFMIF/EVEDAの事業が展開されているところでございます。そして、ブランケットにつきましても、重要なこれからの仕事ということで、建屋が建設中でございます。
まず原型炉でございますけれども、明確化されました原型炉概念を踏まえまして、オールジャパン体制を拡充し概念設計に向かっているところでございます。原型炉設計合同特別チームという、これは文科省さんの下にございますチームでございますけれども、ここでオールジャパン体制の中で炉設計を実施しています。
また、Broader Approachも利用してございまして、左下のほうに、日欧で共通的な課題につきましては、このBroader Approachというフレームを使って日欧で協議をしてございます。この原型炉設計特別チームとBroader Approachを足し合わせまして、原型炉概念設計というものに今向かっているところでございまして、既に基本設計のベースはでき上がってございます。これから概念の確立ということになってまいります。
それから、次は、ブランケットの開発でございます。このブランケットといいますのは、まさに発電をするためのシステムでございまして、プラズマの周りにつけるものでございます。ITER理事会において今年度大きな進展がございました。4つのITERブランケットというものの設置場所にどれを採用するかというところで、我が国の試験体が公式に選定されてございます。これは世界で唯一の水冷却という、そういった方式だということが採用理由でございますけれども、このように、いよいよ発電に向かって我々も設計作業がこれから本格化するというところでございます。そのために、ブランケット工学試験棟というものが今年の6月に完成予定です。これができますと、ブランケット開発、試験体1号機の完全実証試験に進む、そういった準備が整ったことになります。
それから、最後、これはリチウムの回収技術でございますけれども、これはリチウムというのは、先ほど核融合炉のブランケットに入れるものでございまして、トリチウム、三重水素という燃料を再び生産するために必要なものでございます。したがって、トリチウムを作るためにリチウムというものをブランケットに入れておかなければならない。そのために、どうやってリチウムを回収していくか、あるいは、海水中からどうやって取るかというところでございますが、左下にありますように、このようないわゆるイオン伝導体リチウム分離法というものをQSTは開発いたしました。これは膜でございまして、膜の片方にリチウム含有物を入れておきますと、その膜をリチウムだけが選択的に透過するというものでございます。この技術でございますけれども、約850倍のイオン電流というのを実は達成いたしまして、しかも、この技術につきましては、QSTのアライアンス事業として、民間企業も参入していただいて、一緒になってこの開発をしているところでございます。今年度の成果といたしましては、海外の輸入価格の半額以下で使用済みリチウム電池からリチウム回収可能であるということが既に実証されておりますので、いよいよこれを用いましてパイロットプラントへと拡大していくという、そういったフェーズになっていくだろうと考えているところでございます。
少し駆け足でございましたけれども、核融合の研究開発の概況でございました。
ここで一旦御質疑ということでしょうか。それとも、バーチャルツアーまで行くことになりますでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ、バーチャルツアーまでおやりください。お願いします。
【栗原部門長】 ありがとうございます。それでは、一旦この共有を切りまして、花田のほうからバーチャルツアーの共有をさせていただきます。
【花田副所長】 花田です。共有させていただきます。見えていますでしょうか。
【栗原部門長】 私のところからは見えております。黒い画面、バーチャルツアーというのが見えています。
【花田副所長】 それでは、スタートしてよろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。
【花田副所長】 では、那珂核融合研究所の副所長をやっております花田です。本日はよろしくお願いします。
それでは、JT-60SAバーチャルツアーについて報告します。
これが那珂核融合研究所のJT-60の制御棟のロビーへ今向かっているところであります。那珂核融合研究所は、昭和60年4月に発足しております。大体もう30年以上過ぎております。今日御案内するのは、研究企画部の部長であります東島部長が御案内いたします。
ここがロビーになります。まずは、このロビーを見ていただいて、右側のほう、今ターンして正面に見えるのが、これがJT-60SAのプロジェクトに参加した研究所と企業です。日欧の53社のプレートを載せております。それぞれのパネルの真ん中より左側が日本側、真ん中より右側がヨーロッパ側ということになっております。
続いて、これから御紹介しますのは、欧州が製作しましたトロイダル磁場コイルの名前であります。欧州では、作った機器について名前をつけるという習慣がありまして、1号機から18号機まで、この場合ですと、それぞれ女の人の名前をつけていると。主に自分の新しく生まれた子供の名前なんかもつけて、ここに命名しているというような状況です。イタリアとフランス、フランスはフランス原子力・代替エネルギー庁の下で作っております。
これはテロップが出ますね。JT-60が1996年に記録した世界最高温度、5億2,000万℃のときのギネスブックの値であります。
これから先、中央制御室のほうへ歩を進めていきたいと思います。
こちらが中央制御室になります。関係者以外が立ち入りできないように、しっかりと赤字で書いてありますように、施錠管理をしております。
ここに見えるのが中央制御室です。運転に関する人々や研究者が集まります。
もうちょっとズームアップして中を見ていきます。これが内部の様子です。運転状況の監視、制御は、この部屋で行います。手前が主にプラズマの研究者が集まるスペース、右手が計測のスペースで、奥に見えるのが本体設備のスペースです。監視カメラで要所をモニターしています。そのほか、今からスパンするところに加熱装置のスペース、コンソールがあります。班ごとに場所が分かれています。
今からズームアップしていくところが、中央制御室のメインのモニターです。JT-60SAの運転状況をモニターします。
今後、これからシーケンスのデモを開始いたします。
プラズマ放電に向けて何を準備しているかというのを、まず簡単に御説明します。
まずトカマクでは、ドーナツ状のプラズマ中に、ドーナツのリングに沿った方向に電流、プラズマ電流といいますが、これを流さないといけません。このプラズマ電流をどのような速さで、どの値まで立ち上げて、どれだけの時間維持して、また立ち下げるかを、時間に対して進めます。中央の波形みたいなのがそれです。また、トカマクプラズマは、右側の断面、安定性や性能が変わることが知られていますので、断面形状をどのようなタイミングで、このように縦に伸ばしたりするのかを設定します。
シーケンスが今走り出したところであります。コイルの電源や加熱装置やこれらの放電条件に従って動作するように準備を始めます。左側には、プラズマ放電に向けて、今シーケンスがどの状態にあるかが、レーストラック上に表示されております。その他、真空容器やクライオスタットの真空度や温度、超伝導コイルの温度、どの加熱装置を選択するかなどが一目で分かるように表示されています。
今ちょうど真ん中のところにPreparation of subsystemというのが今の状況であります。中央にカウントダウンしている緑の数字があると思いますけれども、この数字がだんだんカウントダウンされていって放電、あと1分10何秒で放電が始まるという状況です。これから7秒ぐらいすると、画面が変わるような状況になります。
今、放電1分前になって、画面が変わりました。こちらに示してありますのは、JT-60SAの断面の模式図です。灰色が真空容器で、青で示してあるのが、プラズマを閉じ込めるためのD型のトロイダルコイルです。緑で示してあるのが、プラズマ電流を制御したり、プラズマの形を制御したりするためのトロイダルコイルの断面です。ちょうど今、左側に赤いところがついたと思います。放電30秒前になると、プラズマ電流の発生・制御用のコイルが赤くなります。この右側の緑になっている四角のところが赤くなってきます。このコイルには、プラズマ発生時に既に電流が流れていないといけないので、これにまず電流を流し始め、プラズマの発生に備えます。
同様に、放電10秒前には、プラズマの形を制御するコイルにもあらかじめ電流を流し始めて、プラズマが発生したときに、それをしっかりと受け止めるための磁場のかごを作ります。
今、プラズマが着火しました。こちらに示してあるのが、真空容器に取り付けた計測信号から推定したプラズマの断面形状、JT-60SAのものを模擬しています。こちら左側に表示されているものは、前の装置、JT-60での実際のプラズマの放電の様子をカメラで捉えたものです。中心部は温度が高いため可視光が発生せず、むしろ透明に見えております。左側のカメラの図です。この白く光っているのが、プラズマから熱や粒子を受けるためのダイバータ領域です。今、加熱パワーを増やしたところです。音がかなり強くなってきたと思います。この加熱フェーズでは、熱や粒子が間欠的に吐き出されており、特にダイバータ部分、この白く光っているところで、ダイバータでその振る舞いが見えるというような状況であります。放電がだんだん収まってきまして、静かに放電が終了する。
今、放電が終了しました。この後、計測されたプラズマの温度や密度などのデータを確認し、今の映像や音から得られる情報も含め、次の放電では、放電条件のどこを修正するかを検討し、それに従って次の放電に備えます。
次は本体室です。JT-60SAは、放射線管理区域内に設置されています。ここは汚染検査室というところで、ここで放射線防護服などに着替えて、装置がある放射線管理区域内に入ります。この白い服が放射線の防護服でありまして、今、着替えているところ、帽子を着けて、靴を履き替えて、ヘルメットを着けて準備ができたというところで、今から中に入るところであります。
ここから先が本体室と呼ばれているところであります。ちょうど今から見えるところが完成していますJT-60SA、正面に見えるのがJT-60SAの本体装置です。これからJT-60SAにもうちょっと近づいていきます。正面に見えるのがJT-60SAです。高さが15メーター、幅が15メーター、総重量が2,600トンという非常に大きな装置で、世界一のトカマク実験装置であります。
この青い装置が負イオンNBI装置です。負イオンビームを用いた中性粒子入射装置です。これでプラズマを加熱します。これも世界最大の大きさです。これを使いまして、プラズマの温度を上げます。また、装置は巨大なコイルで、今見えているのはクライオスタットですけれども、この中に超伝導コイルというものが設置されています。
まずは、この装置の下側の部分を一周回ってみたいと思います。この装置全体は、厚さが2メーターのコンクリートの遮へい体の中に設置されています。幅が30メーター、長さが60メーター、高さが30メーターという非常に大きな空間の中に装置は置かれております。
ちょうどこの部分は装置の下部に当たります。装置自体は、全体を、2,600トンを支えるための土台の上に取り付けられています。土台は、欧州のスペインでその土台を作ってきて、日本に運び込み、それを日本で取り付けております。ちょうどこの部分の円管の配管が見えると思いますけれども、これは装置の熱を取るための冷却室配管が装置の円周方向にずっと設置されている、ここから本体に水を供給しております。これが下から上を見上げたところの本体装置です。
今見えているのは、真空断熱層の壁、クライオスタットであります。これは、いろいろなものを置くための架台です。例えば、各機器で測定した温度などの信号を中継する盤なども、ここに置いております。機器は全体的に非常に大きなものですので、各所各所に支持をするための鋼材が置かれております。それをもって試験装置自体を強固に支持しております。
ずっと真っすぐこれを進んでいきます。今ちょうどJT-60SAの一番土台のところ、一番下部のところを今円周方向に回っているところであります。
この部分が、プラズマに燃料を供給するための装置です。試験では水素と重水素を供給します。今見えているのは、ガスボンベからガス管を通して出てきたガスを電磁弁で操作するための電磁弁がここに見えるかと思います。
また、さらに真っすぐ進みます。このビデオを撮ったときは、まだ完成して間もないときでしたので、幾つか組立てで使っていたような備品等々がまだ置いてありますが、もう現在は、こういうビニールの中に入っている部品、足場材とかは今取り除いてきれいになっているというような状況であります。
ここを真っすぐ行きますと、ほぼ一周しております。ここで大体一周になります。再度、下からJT-60SAを見上げると、こんな感じで、とにかく大きいんです。それでもITERの約半分の大きさでして、逆に言うと、ITERはこれよりも2倍大きくて、重量は10倍ぐらい大きいようなものです。
それでは、このキャットウォーク、らせん階段を上に上がって、装置の全体像を見てみたいと思います。このらせん状の階段を上がっていくと、かなり高いところまで行けまして、大体地上から約20メーターのところまで上がっていくことができ、そこから装置を今度は水平方向、もしくは上から見下ろすような感じになります。
ちょうど上から、ここがキャットウォークと呼ばれているものなんですけれども、このキャットウォークから上から見た景観がここになります。正面に見えるのが、JT-60SAの本体です。この正面に見える円筒形の機器が、後から出てきますかね。今、パンしていますね。このパンして、この青い部分は、先ほど見てもらった負イオン中性粒子入射装置です。プラズマに50万ボルト、10メガワットのビームを100秒間入射します。この今正面に見えるのが、真空断熱層の壁です。この円筒形の円いやつが5つぐらい見えるんですけれども、これは超伝導コイルを冷やすための液体ヘリウムの配管の途中に付いたバルブを操作するためのバルブボックスというものでありまして、この中でバルブを開閉したりする機構がついています。再度、これは負イオンNBIですね。ちょうど真ん中の箱状のところで、負イオンから原子に変換する中性化セルというものが、ちょうど真ん中の箱のところであります。左から右にビームを通して、右側のプラズマのほうへ強力なビームを入射して、プラズマを加熱するような装置であります。
さらに上から見ると、この一番上の頂上についている、きらきら光っている配管みたいなやつは、これが液体ヘリウムを供給するラインです。断熱するために外側に断熱材が巻いてあります。この右側の橙色の出ているものは、これは正イオンNBIの電源の装置の一部です。ちょっとナレーションがずれていますけれども、真ん中のところは、先ほど言ったようなところです。
さらに、ちょっとパンしてもらって、左から右ということですね。頂上がこんなふうになっていると。左側にあるのが、超伝導コイルに電流を流すためのフィーダーです。後から出てきますけれども、アルミの金属の塊になっています。
さらに、今度は正面とは反対側のほうに東島部長が歩いているような状況です。
この下のところに、今、正面、90度回転したようなところから見ています。ちょうど大きな太い配管がつながっています。これが真空排気設備につながっているものです。真空容器やクライオスタットを大気から真空に引くための真空排気設備です。真空容器とクライオスタットを、それぞれ別系統で引きます。真空容器は4台のターボ分子ポンプ、クライオスタットは2台のターボ分子ポンプと2台の市販のクライオポンプで真空に引きます。
さらに歩を進めて、正面とは180度反対側のところに今歩いているところであります。
ちょうど上のところに、見えますかね。きらきら光っているものがあると思います。これが電源に電流を供給するためのブスバーになります。ちょっと時間がずれていますけれども。今、上に見えている、ぐるっとなっているところが先ほどのフィーダーで、これがアルミの金属の塊で、これを通して2万アンペアぐらいの電流を電源からコイルに供給します。
これが、正面と180度反対側にいるところです。右側のこの配管が、冷凍機で作られた液体ヘリウムの輸送管です。管の中は真空に完全に引かれておりまして、この中にマイナス269℃になります液体ヘリウムの配管、80ケルビンの液体ヘリウムのガスの配管等が複数この中に収納されています。これを使って、冷凍機で作られた液体ヘリウム及びガスを超伝導ヘリウムに供給するというものです。
装置は、先ほども説明したかと思いますけれども、非常に大きな放射線管理区域の中に入っております。ちょうど正面のところに、これがJT-60の建設で活躍した大型のクレーンで、最大250トンまで吊り上げることができます。これはJT-60で使用していたときの計測用の架台です。現在、初プラズマに向けて調整運転中であります。
最後に一言付け加えさせていただきますと、JT-60SAは、10メーターを超える機器を1万分の1の精度で製作し、取り付けることを実現しました。機器製作及び設置そのものが開発研究であり、この技術はITERやデモにつながるものでありまして、既にITERとは、我々が開発したものについて情報の交換を行っています。
以上です。ありがとうございました。
【栗原部門長】 以上でございます。
この動画のほうは、一旦これでよろしいですか。それとも、何か御質問、前の元の資料に戻っての御質疑を。
【栗原部会長】 はい。
【栗原部門長】 じゃ、まず元の資料に戻らせていただきます。
【栗原部会長】 どちらも施設についての御説明が主だったと思うので、全体を通じてでもよろしいですか。質問あれば、どうぞよろしくお願いします。
【栗原部門長】 よろしくお願いします。
【栗原部会長】 どうも丁寧に御紹介いただいてありがとうございました。非常に大きなものだというのがすごく実感できまして、すばらしいフィルムでしたね。ありがとうございました。
【栗原部門長】 ありがとうございます。本来であれば現地で御視察いただければと思ったのですが。
【栗原部会長】 それは本当に残念でした。
【栗原部門長】 また次回よろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 皆さん、いかがでしょうか。御質問等あれば、今、御説明いただいた点、あるいは、見学させていただいた点に関して、ぜひよろしくお願いします。
神納委員、いかがですか。
【神納委員】 どうも丁寧に御説明いただいて、ありがとうございました。非常に高度というんですか、精密にいろんなものが組み立てられていると感心いたしました。
ちょっと質問させていただいてよろしいでしょうか。
【栗原部会長】 よろしくお願いします。
【神納委員】 このような難しいというか、非常に長期間、しかも多数の人が関わるプロジェクト、しかも、この場合ですと、ヨーロッパの方ともやっていられるわけですが。こういうのを最近、プロジェクトライフサイクルマネジメントというような言い方をして、非常に高度に電子化されてきておるんですが、JT-60SAの場合も、そのような取組というのはされているんでしょうか。よろしくお願いします。
【栗原部門長】 ありがとうございます。
プロジェクトライフサイクルマネジメント、実はこれはITERのほうではもう一部取り入れられて、動き始めている状況なんですが、実はそれより大分前にJT-60SAのほうがスタートしたこともありまして、現時点では、ダイレクトにプロジェクトそのものに適用は多分まだしていないのではないかと思うんですが、花田副所長、どうですか。そういった観点での動きというのは、現場としてはいかがでしょう。
【花田副所長】 書類の電子化という観点ですかね。
【栗原部門長】 電子化と、それから、さらに、それを全体をそういうライフサイクルマネジメントというような観点で、何か考え直すというんでしょうか、花田さん、どうぞ。
【神納委員】 私が申し上げているのは、書類の電子化ではなくて、最近、自動車メーカーなんかもかなりやるようになってきていると思うんですが、モデルベースドエンジニアリングということで、どうしてもインタフェースのデフィニションというのは、例えば、文書で作ると、皆さんとても誤解をするんですね。
私も以前、非常に複雑な航空機をやっていたことがあるんですが、むしろ英語で文字でとか絵で書くよりも、数式でもらったほうが早いというようなことがよくあって、最近それが実現してきまして、もちろんCATIAとか、そういう絵というものがありますし、それと、ボム、ビルオブマテリアルというのがございます。さらに、それに強度計算、磁場計算といったような、いろんなエンジニアリングモデルがくっついて、初めてこれって有効活用されるのではないかなと思っていまして。さっき放射光のところでも、時間がないかなと思って言うのをやめたんですけど、例えば、30年、40年とこれをマネジメントしようとすると、そういうデジタルベースがないとこれからやっていけないのではないかなとちょっと思いまして、ちょっとそこをお聞きしたかったということでございます。
【栗原部門長】 ありがとうございます。
花田さん、CATIAのところを中心に御紹介いただけますか。
【花田副所長】 まずCATIAについてというか、それは共通の図面のプラットフォームになるわけですね。欧州と日本で共通の、要するに、ある時刻におけるものについては、コモンのものがあって、それぞれ進んだものが、ある時刻よりも進んだときに、どこかのタイミングで、例えば、2週間に一遍ぐらい、ヨーロッパで進んだ機器の設計、日本で進んだ機器の設計をお互いに持ち寄って、コンフィギュレーションマネジメントというような会議みたいなやつをやって、齟齬がないようにやっているというのが1点。
あとは、先生おっしゃられたように、インタフェースのところは、なかなか書類だけでは管理できないところがあって、我々は、先ほどクライオスタットというところがあったんですけれども、実際に取り合いのところを、お互いに、我々の場合ですと、ヨーロッパのスペインに行って、一個一個寸法を採寸しながら、インタフェースを確かめる。それを書類に残していくというようなことをやっていて、さすがに数式というところまではまだ我々のところは行っていないですけれども、そういう書類だけではなくて、現場で採寸しながらインタフェースを合わせているようなところはやっておりますが。
【栗原部門長】 それと、もう一つ、数式というところまでかどうかは分かりません。ただ、モデルベーストという意味では、CATIAの下でANSYSを使って、例えば、熱膨張、熱収縮等も含め、あるいは、応力変形、電磁場の解析等をたしか行っていたと思いますが、間違っていたら…。
【花田副所長】 いやいや、そのとおりです。共通のエンジニアリング計算コードとしては、日欧で同じ計算コード、ANSYSを用いて、その上で計算をやっています。ですので、ヨーロッパからもらった計算結果を、そのまま日本でも計算できるというようなコモンナイズしたものは持っております。
【栗原部門長】 以上でございます。
【神納委員】 どうも、本当にありがとうございました。
これから、やはりモデルベーストエンジニアリングをやらないと、まとめることができなくなってくると思います。
さらに、これ、マルチディシプリナリーって、多分、強度、温度、それと、当然、放射線もございますし、磁場、電気というようなものが複雑に組み合わされてくるので、今はそこまでやっていられないかもしれませんが、実を言うと、CATIAのもう一つ上位に、CATIAの場合ですとENOVIAというのがありますし、シーメンスなんかがやっているものだと、Teamcenterというような、もっと上位のプロダクトマネジメントがございますので、原型炉設計をもし進められているのでしたら、ぜひ、このようなデジタルアプローチというのも併せて進めていただくと、非常に国際的に強くなりますので、どうかと思います。
以上です。
【栗原部門長】 大変重要な御指摘や御助言、ありがとうございます。これからそういう原型炉に向けてのところにも、必ずそういった観点での検討をさせていただきます。どうもありがとうございました。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
ほかに御質問、コメント等ありましたらお願いします。
今の質問にも関係するかもしれないんですが、私、素人質問で申し訳ないんですけれども、例えば、磁場コイルを全体の33%作るとか、非常に精密だとおっしゃって、違う国が何%かずつ作るというのはなかなか難しいというか、全体破綻のないように作るためには、どういう工夫をされるのでしょうか。
【栗原部門長】 後でまた担当の者が補足していただけたらと思います。
私が聞いていましたところは、こういった導体関係、非常に巨大なものにつきましての精度の議論というのは、取り合いのところが非常に重要になってまいります。先生御指摘のとおり、まさにその取り合いの部分で少しでも食い違ってしまいますと大変な問題が生じてしまいますので、その部分については、実は受入れ検査のときに、例えばITERの場合ですと、ITER機構が、その受入れの基準というのを決めてございます。その受入れ基準に対して、実態こういうふうに作ってあるというのを、実はITER機構の職員が遠隔にしろ何にしろ確認をして、そして、これだったら受け入れられるという、ファクトリーアクセプタンステストと呼んでございますけれども、こういったところでかなり厳格に、そういう取り合い部分を中心にチェックをされます。
それにうまくいくためには、あらかじめメーカーのほうで、レーザートラッカーを使った、レーザーできちっと計測して、そういうチェックポイントについてはもうクリアしているということを確認するまではそういったテストには合格しませんので、そこまでしっかりQSTとしてやった上で、ITER機構のチェックを受けると、そんな順序になってございます。
【栗原部会長】 どうもありがとうございました。
ほかに御質問あるでしょうか。
【小板橋委員】 小板橋です。
【栗原部会長】 すみません、どうぞ。私のほうが、この名簿が動いたり動かなかったりするので。小板橋さん。
【小板橋委員】 本当に素人の質問で大変恐縮なんですけれども。安全性に関して、もう少し詳しく教えていただきたいなと思ったんですが。この核融合のメカニズムだけ拝見すると、安全性に関しては分からないもので。想定外とか、何か危惧されるようなものというのは本当に全然ないものなんでしょうか。すみません、何だか変な質問ですけれど。
【栗原部門長】 ありがとうございます。
恐らく1つは、放射化という現象で出てきます中性子が金属材料に当たりますと、これは金属材料の中の不純物でありますコバルト系のものが放射化いたしますと、コバルト60になります。コバルト60ですので、実は、実験を終わった後、人が近づけるような状況にはなりません。したがいまして、どうしてもロボットでメンテをしなければいけないというところがございますが、それに耐えるロボットというのは作ることができるということで、現在、そういったロボットも並行して製作をしているというところが、1つは、まず安全性という意味で、作業者の安全という意味ではそうでございます。
また、もう一つの課題といたしましては、トリチウムが弱いベータ線を出す放射性物質でございまして、福島でのいわゆる処理水ということでも大分新聞をにぎわせてございますけれども、これもきちっとした管理をしなければいけないというところでございますが、これまで我々、トリチウムを使ったいろいろな実験をやってございますけれども、これはきちっと管理をできるものでございますし、また、トリチウムは吸蔵合金という、吸蔵する金属に吸わせた状態で管理をいたしますので、浮遊しているということではなく、吸蔵させた状態できちっと管理をするというものでございます。
また、配管が一部二重配管になってございまして、漏れ出たものは全量回収するというようなシステムも作ってございます。その部分の一部分も、我々、先ほどの資料の中で、5ページですか、ITERの日本が調達する最先端の機器の右下のところに、トリチウム除去系というのがございますが、これの調達を担当してございまして、このものによりまして、室内に漏れたものについては回収をするという、そういったシステムもございますので、そういった意味では、トリチウムの管理は実は非常に重要なポイントでございますので、これはきちっと管理をするという、そういうメカニズムが設計上できてございます。これからそれを確認することになってまいります。
以上でございます。どうもありがとうございます。
【平野理事長】 平野ですけど。今、栗原部門長が答えられたのは、ちょっと質問が違うと思うんですけどね。多分、御質問の本来の趣旨は、福島のまさに原子力発電所がああいう事故を起こしましたよね。ああいうすごい暴走というか、炉が溶けるとか、そういう大事故、それには安全だと思うんですが、今、栗原部門長が説明されたのは、もっとマイナーな環境問題とか放射線汚染のほうの問題であって、質問とちょっと違うと思います。
【栗原部門長】 大変失礼いたしました。
【平野理事長】 多分、質問されたのは、そういうことを非常に頭に置いておかれて、簡単に安全だと言ったけれど、本当にこれは安全なのか、想定外のことが起こったら、あの巨大なITERが爆発するのではないかとか、そういうレベルの話だと思って。
【栗原部門長】 大変失礼いたしました。その観点、まさにそれもすごく重要な、一番重要な観点でございます。
3ページの図でございますが、そこの炉心プラズマの中というところに反応がございまして、重水素と三重水素が反応いたしますと、ヘリウムと中性子が出てまいりますが、実は、ここの反応そのものというのは、これを起こすのに、例えば、燃料を1つ切ってしまうと、もうたちどころにこの反応は止まってしまいます。したがいまして、例えば原子炉の場合ですと、福島のように、崩壊熱がずっと出続けて、そして炉心を溶かしてしまったりするといったようなことがあるわけですけど、これ、炉心の中は非常に希薄な、先ほど一部映像もございましたけれども、非常に希薄なものでございまして、この部分で何かそれによって、例えば壁を溶かしてしまうということが実はありません。
ところが、1億℃というと、恐らくその言葉そのものが非常に高い温度で、金属を溶かしてしまうのではないかということがあるかもしれませんが、実は自然のものから比べますと密度が極めて薄いです。大体10万分の1以下の密度でございますので、そう考えますと、熱容量としては、壁の金属を溶かしてしまうとか、そういった熱容量は決してございません。したがいまして、炉心プラズマ1億℃という温度はありますけれども、これが壁を溶かして、そして、その壁から何か放出をしてしまうとかいったようなもの、あるいは、建物を爆発させてしまうような、そういった事態はなく、極めて静かに止めてしまうことができるというのが炉心の特性としてございますので、そこが原子力発電所の炉心との大きな違いと言えるかと思ってございます。
以上でございます。
【平野理事長】 例えば、福島みたいな大地震が起こって、例えばJT-60SA、あるいは将来の原型炉装置が破損したらどうなるかという、そのときにどうなるかというのは最も大きな質問だと思うんです。安全性に関して。巨大地震で、今、規制庁が原子力発電の規制をいっぱいやっていますよね。もう想定外の巨大な地震が起こって装置が破壊されたときにどうなるかという。
【栗原部門長】 破損、破壊されたときに、免震であるとか、そういう地震対策はもちろんやった上での話ですけど、それでも何かダメージを受けた場合でも、先ほどのトリチウムそのものが漏れるか漏れないかが一番のポイントでございますので、それを漏らさないような設計がまず大事だというところはございますし、それから、それ自身は非常に堅牢な建物でできてございますので、基本的には、つぶれてしまうとかいうことはありませんし、また爆発することも基本的にはないということは言えるかと思います。
これが答えになっていますでしょうか。
【栗原部会長】 小板橋委員、いかがですか。
【小板橋委員】 すみません。すごい素人の解釈で言いますと、この電流が止まれば反応が止まるから、電流が止まった状態で重水素などの補給がもしダダ漏れになって、この中に入ってきたとしても反応は進まない。だけど、もしもダダ漏れで原料が希薄な状態であれば爆発しないけれども、何か供給のほうが暴走していっぱい入ってきちゃって、電源もストップしない状況になったらいかがですか。
【栗原部門長】 まさに圧力が上昇するかということでございますね。
通常、圧力は高圧ガス規制という対象にもちろんなってございまして、圧力が増加いたしますと、圧力弁を、逃がすところに、ある圧力を超えたら、あるディスクが完全に割れながらガスを逃がすというシステムが大体どの高圧ガス機器にも入ってございますので、そういった形で、もし仮に万が一、通常は電気がないと恐らく入るということはないと思いますけど、もし仮にあったといたしましても、圧力が上がったところで、圧力を逃がす圧力逃がし弁が動作して、そして開放されるというところでございますので、装置が爆発するということは決してございません。
【小板橋委員】 ごめんなさい、意地悪なんですけど。それで、もし自動的に壊れたときに、放射線はさらに漏れるという。
【栗原部門長】 いや、それは大丈夫でございます。今の圧力逃がし弁は、本来逃がすためにつけたものでございますので、例えば重水素ガスだとかが建物の中とかいうところに漏れ出しますけれども、それを回収するシステムが、もちろんトリチウムに関してはございます。したがいまして、それが何か外に漏れてということは基本的にはないということでございます。
【小板橋委員】 分かりました。大変御丁寧にありがとうございました。
【平野理事長】 そもそも福島で冷却水がなくなって、制御できなくなったわけですよ。
いや、私の言っていることは間違っているかもわかりません。間違っていたら、栗原部門長が直すと思います。
ところが、核融合の場合は、暴走ということがあり得なくて、事故が起こったら、結局、重水素の供給は止まってしまうので、止まってしまえば自動的に消えてしまうわけです。制御できないというよりは、むしろ反応が自然に止まってしまうので、そのときのことで一部トリチウムが漏れるとかが仮にあったとしても、そこで終わってしまうわけですよね。
【栗原部門長】 そのとおりです。
【平野理事長】 そこが原子力発電と全く違うことで、あちらのほうは制御が不能になるわけですよ。だから大騒ぎしたわけですよね。もっとひどいことになった可能性はある。
それでいいでしょうか。
【栗原部門長】 そのとおりでございます。
【平野理事長】 大丈夫ですか。災害ですごいことが起こってということにならないね。
【栗原部門長】 基本的になりません。ならないという設計になってございます。
【茅野理事】 福島事故の場合も、核分裂は止まったんですよね。同じように。核分裂は止まったんだけれども、核分裂生成物ができて、それが崩壊するときの熱でメルトダウンを起こしているので、正確には核分裂が続いたわけではないですけれども。
【平野理事長】 でも、あれ、海水ぶっかけて冷やさなかったら、ひどいことになっていたのですよね。
【茅野理事】 そうなんですよ。
【平野理事長】 これ、基本的に全然違うのは、放っておいても勝手に止まるというところがものすごく大きな違いだと、判断しているんですけど。
【栗原部門長】 そうですね。
【茅野理事】 核分裂生成物ができないというところが大きいところなんですね。
【平野理事長】 海水もぶっかけて、とにかく冷やして冷やして、何とかしたわけですよね。あれ、放っておいたらもっとすごいことになっていたわけでしょう。
こちらは、そんなことをしなくても勝手に止まるという、要するに、燃料が供給されなくなって止まってしまうんだから、その時点で破損されたこと以上のことは起こらないというふうに私は理解しているんだけど、それが間違っているんだったら。
【栗原部門長】 核分裂のときには、いわゆる反応が止まったといたしましても、どんどん崩壊状態は続きますので、崩壊しているところから熱がどんどん出てきて。
【平野理事長】 だから、要するに、制御できなくなっちゃうわけですよね。
【栗原部門長】 そこの熱は取らないとだめです。
【平野理事長】 こちらはもう止まってしまうから、もうそれ以上進まないわけですね。それはできていたトリチウムは漏れるかもわからない。それはあくまでも一部であって。
【栗原部門長】 基本的に崩壊熱も限られていますので、基本的には、そういったメルトダウン的なことは起こらないというのが核融合の特徴でございます。
【平野理事長】 だから、そういうことを素人も含めて明確に分かるメッセージを伝えないと、先ほどのトリチウムがどうのこうのという枝葉末節的な、いや、決して枝葉末節ではないけれど、栗原さんは多分プロだから、もっと厳密なことをおっしゃろうとするから、ああいう話になるんだと思うんだけど、素人はそんなことを思っていないわけですよ。もっとすごい恐ろしいことを考えているわけですよ。それが起こらないというふうに、ちゃんときっちり説明しないと、安心という概念が、素人が考える安心と、プロが考えるのとは違うと思うんですけどね。
【戸辺係長】 すみません。金子先生が手を挙げていて。
【栗原部会長】 それでは、金子委員、お願いします。
【金子委員】 ありがとうございます。
今、安全の話もあって、原子力発電が止まり、再稼働できないような状況の中で、カーボンニュートラルの話がすごく出てきて、エネルギーに関して、きっと核融合も注目を浴びるのではないかなと思っているんですけれども。
それでいくと、初プラズマ運転が2025年で、核融合運転が2035年。原型炉が日本でいつにできるのか、日本でもしも核融合発電ができるとすると、一体いつのことになるんだろうかと。それまでに再エネ率は上がってくるんだろうかとかと考えると、スケジュール的に、日本としては、もっと早く何とかならないのかなと思ったりするんですけれども、そのあたりはいかがなんでしょう。
ごめんなさい。それこそド素人の質問で恐縮ですが、お願いします。
【栗原部門長】 ありがとうございます。カーボンニュートラルに対しての貢献ができるかどうかは非常に重要なポイントでございます。
現在は、2035年というところで国のチェックアンドレビューの最終チェックが、2035年でITERが本格実験に入りますので、原型炉建設をするかどうかの判断がそこで行われる予定になってございます。
通常、建設ですと、大体10年というのが1つの目安だといたしますと、2045年というのが、早ければ核融合発電ができるというのが1つの皮算用でございますので、2050年にカーボンニュートラルには現状だと貢献できるだろうという、我々、期待を実は持ってございます。
さらに、最近の海外の状況を申し述べますと、アメリカであるとか、イギリスであるとか、あるいは中国もそうですが、実はそれをさらに前倒しをして、我々が今言っています2045年よりもさらに前で、2030年代から40年代のあたりで、まずは発電をやってみようというような動きが、バイデン政権になってから、アメリカは急にそういった話をし出しましたし、また、中国は前からその辺のところを早くやりたいと言ってございます。また、イギリスも非常に意欲的な計画が出てございますので、最近、2045年、あるいは2040年をさらに前倒しするという動きが世界の動きとして出ているというのは、付け加えさせていただきます。ありがとうございます。
【金子委員】 大変注目しておりますので、よろしくお願いいたします。
【栗原部門長】 よろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
ほかに御質問ありますでしょうか。
【神納委員】 神納です。1つよろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。
【神納委員】 このエネルギーというのは、ある意味で戦略物資であると考えているんですね。半導体もそうですし、最近でいくと、コロナのワクチンも戦略物資というんですか、政治とかなり密接に結びついているというところもあるかと思います。かなり日本政府としても投資をされてきたわけなんですが、そこで、国を越える組織がないと言うと叱られますが、国連というのはございますけど、実際のところ、それぞれの国の都合によって勝手な外交が行われるというのが最近目立ってきているんですが、この核融合に関する、ITERもそうなんですけど、それのオープンとクローズを、国家戦略というのはしっかり持っていられるんでしょうかと言うと失礼ですが、どうなるかなと思いまして、1つ御意見をお伺いしたいと思います。
【栗原部門長】 ありがとうございます。
では、最初に私のほうから。実は、そのノウハウ、いわゆる知財に関しましては、非常に重要なポイントでございます。一方、ITERというプロジェクトに関しましては、ITER協定の中に、ITER知財というのは、基本的には7極で核融合のために使う分には自由に使えるよというような形になってございます。
一方、じゃ、そういうふうな知財がどんな形で実際は登録されているかと言いますと、多くのものはパテントとか、そういった形にならないものが多くございますので、各メーカー、各産業界の方のところでいろんなノウハウという形で蓄積されているものについては、ITER計画のいうところの知財にリストアップをされていないものが恐らく多いと思いますので、実際作ったかどうかで、もうその国のある種のノウハウはその国の企業が持っているというのが、実際は恐らくそれに近い状態かと思っているところです。
その意味で、日本を見ますと、日本は、先端機器はほとんど日本が自分で手を出して作りますので、そういう意味では、そのノウハウも含めて、主要な部分についても、日本とかヨーロッパとか限られたところは、もうそのノウハウを含めて手に入れることができるということが、知財戦略としてはきっとこれまで考えてきていたところかと思ってございます。
したがいまして、それを手に入れられない国々は何とか手に入れたいということは思っているかと思いますが、ノウハウに関するところは特許になってございませんので、そこはもう完全にそれぞれの会社あるいは国でそれぞれ保持されているというのが実態でございます。
きれいな国際協力で、ITERの中ではもちろんオープンでということでございますけれども、図面ももちろんコピーはできますけれども、製造のノウハウまでは必ずしもオープンできないというところがございますので、それは実際オープンされていないというのが現状でございます。
以上でございます。
【神納委員】 ありがとうございました。しっかりした戦略があって、非常にいいかと思います。
今まで核融合があまり進まなかったというのは、多分、エンジニアリングマネジメントによるところも多いような気がしていまして、ちょっと聞いた話では、結構ITERもエンジニアリングマネジメントで遅れるというような話もあったりして、ぜひ、先ほど申し上げましたエンジニアリングマネジメントも含めて原型炉設計を進めていただき、それと、もう一つは、政治的な背景ですね。すなわち、気候変動をみんなが気にし出したということも大きなプラスになるかと思いますので、ぜひ早めに成功させていただきたいと思います。
以上です。
【栗原部門長】 ありがとうございます。承知いたしました。引き続き、よろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
まだあるかと思いますけれども、一旦ここで打ち切らせていただいて、どうも御説明、御質問ありがとうございました。
次に、「評価基準について」に移りたいと思います。議題5、「「核融合に関する研究開発」における評価の基準について」です。論点に留意しつつQSTに御説明いただきます。この部分は茅野理事にお願いするのでしょうか。
【茅野理事】 茅野から説明させていただきます。では、資料アップお願いします。
それでは、御説明いたします。
まず2段目の中長期計画ですけれども、中段の下線部のように、ITER計画及び核融合エネルギー研究分野における幅広いアプローチ活動(BA活動)、この2つを着実に推進するということが中長期計画になっています。
まずITER計画なんですけれども、aとして、ITER建設活動、b、ITER計画の運営への貢献、c、オールジャパン体制の構築、この3つを進めます。
以降、時間の関係で、aのITER建設活動について御説明しますが、ここでは年度計画のところに下線部で示した調達機器の製作を、この中長期的なプロジェクト計画というところに記載したように、順次製作試験を進めてまいります。
次に、ITER建設活動の技術的困難度ですが、7極が分担して主要構成機器を調達して、ITER機構が一体の核融合実験炉に組み立てるということ。それから、日本の調達機器がいずれも世界最高性能を発揮することが求められる、人類初のFOAKハイテク機器であるということが最大の困難です。
令和2年度で言いますと、巨大なトロイダル磁場コイルというのは、特殊な高強度材料の溶接加工に加えて、1万分の1の製作精度を要求され、それから、中性粒子入射加速装置の試験施設NBTFの直流大電流の高電圧電源は狭隘な空間で100万ボルトの真空絶縁と制御が必要で、これは十分な絶縁距離が確保できる状態での直流送電機器の実績80万ボルトを超える唯一無二の性能が要求されます。こうしたFOAK機器製作の困難さは、令和3年から令和4年の機器整備でも共通でありまして、別紙1にまとめてありますので、必要に応じて後ほど御説明を追加いたします。
それから、マネジメント面でも、7極が持ち寄る機器でシステムとしての機能を合理的に発揮させるためには、高度なマネジメントに基づく調整が不可欠で、特に令和2年度では、このNBTFの高圧電源のためには、世界で日本の1社のみが実績を有する100万ボルト直流高電圧の発生と絶縁の知識と経験が必要になりました。このため、イタリアでの現地組立てや性能試験においては、日本人技術者の立ち会いによる協議や調整等の直接指導を前提としておりましたが、コロナ禍によりそれができず、先ほど御紹介したように、工程の大幅の遅延の回避のために、テレビ会議システムを急遽使ったりということでございます。ITER計画におけるマネジメントの特殊性についても、別紙2に示してございます。
次に、顕著な成果ですが、一例として、令和2年度では、プラズマ電流密度分布の測定に使用する大出力の遠赤外線レーザーにおいて、当初目的の稼働率を確実にしたことに加えまして、要求出力を5割上回る世界最強クラスの出力を達成しております。
それから、マネジメントの顕著な成果では、令和2年から3年にかけて、NBTF用高電圧電源の100万ボルト統合試験を、高精度な遠隔指示により、日本人が現地不在のままで実施するということを挙げさせていただいております。
それから、特に顕著な成果ですけれども、令和2年度は、別の国が調達した大規模ハイテク機器同士をITER計画において初めて組み合わせて、実際に動作させて、100万ボルト定格出力を発生する、技術的困難度の高い試験を遠隔で達成したことを挙げました。
それから、もう1件、ITERダイバータの温度計測器の開発では、常温から3000℃にわたる、ほかに類を見ない広範な温度レンジで10%という高い測定精度を仕様要求されていましたが、全く新しい汎用性のある温度計測手法を開発して、これを達成すると。
それから、令和3年度では、NBTF用の高電圧電源の絶縁性能を10%以上上回る過電圧発生に耐える性能の実現、それから、2周波数ジャイロトロンを開発して、世界最高クラスの性能を発揮すること。令和4年度には、電子銃の改良による1メガワット高効率ジャイロトロン発振等の達成を、特に顕著な成果として挙げさせていただきました。
こうした顕著な成果と、特に顕著な成果は、単に要求性能を超えたというだけではなく、実機の合理化ですとかコスト削減といったものにつながりますし、また、ITERの実験範囲拡大にもつながるものと考えております。
次のページですが、次に、BA活動を活用して進める先進プラズマ研究開発です。
2段目の中長期計画には、a、JT-60SA計画、b、炉心プラズマ研究開発、c、国際的に研究活動を主導できる人材の育成、この3つがあります。
以降、JT-60SA計画について述べますけれども、年度展開としては、4段目のところの中長期的なプロジェクト計画に示すように、令和2年度に初プラズマ生成を含む統合試験運転、令和3年度は統合試験運転を完了、令和4年度に加熱実験運転に向けた装置増強を実施いたします。
次に、技術的困難さの令和2年度ですが、先ほど説明ありましたように、JT-60SAは、ITERや原型炉に外挿しうるプラズマの維持時間を達成するために超伝導コイルを使用しますが、既存の超伝導トカマク装置に比べまして、規模、性能、精度が数倍から1桁上で、装置全体としてFOAK機器の集合体と言えます。それぞれの機器を完全に動作させて、さらにシステムとして調和動作させること、それによって初めて得られる初プラズマの生成自体、これは極めて困難な目標と考えております。特に超伝導コイルの特性上の理由から、初プラズマの生成に必要な精密な磁界の制御ですとか、電界の発生を実現するための難易度、これも高いものとなります。令和3年度においても、この超伝導コイル特有の困難さというのは継続しますし、令和4年度にJT-60SAに設置する加熱装置、これも同様の装置は世界に存在しないFOAK機器であり、要求性能を満足すること自体、困難なものであります。
次に、マネジメントでの困難さですが、JT-60SAは欧州製と日本製の機器から構成されていて、完成にはマネジメント上の多大な困難さを内在しております。さらに、令和2年から3年度にかけては、コロナ禍による困難さが加わりまして、例を挙げますと、令和2年度は欧州側人員の来日が制限されて、当初予定の90人月の来日作業予定が8人月まで激減した中で、欧州調達の大規模な機器である冷凍機システムと電源システムについて、機器の調整に支障が生じて、計画どおりの実施が極めて困難ということになりました。
次に、研究開発上の顕著な成果です。令和2年度は、13年にわたる建設活動の集大成であり、ITERに直接貢献できる唯一の装置であるJT-60SAの初トカマクプラズマの達成、これはITER計画で、大型の超伝導トカマク装置の組立てですとか試験運転、様々な機種調整などに重要な知見を与える極めて大きなマイルストーンであると考えております。
それから、令和3年度は、プラズマ電流0.5メガアンペア以上のダイバータ配位、これはITERと同じ形のプラズマを作れるという、そういう意味なんですけれども、これを形成できれば非常に顕著な成果であろうと考えています。
それから、令和4年度は、JT-60SAで要求される加熱装置等の世界最高レベルの性能について、年間目標を5%上回る性能を達成できれば、顕著な成果と考えます。
それから、マネジメントの顕著な成果では、特に2~3年度にかけて、コロナ禍において渡航制限の中、欧州調達電源の性能発揮に必要な欧州からの効果的技術支援を可能にするマネジメントを行います。
特に顕著な成果は、技術面では、令和3年度において、JT-60SAにおいて当初より大幅に試験期間が短縮され、また欧州からの現地の直接な支援が受けられない中で、超伝導トカマク装置としては世界最大のプラズマ電流、1メガアンペア以上のダイバータ配位を形成することで考えております。その意義は別紙3に示しております。
それから、令和4年度、加熱装置の世界最高レベルの装置について、年間目標を10%上回る性能を達成できれば、特に顕著な成果と考えます。この10%以上向上するということは、得られた余裕を活用して、他の部分の設計や仕様の合理化、簡略化するなど具体的なコスト削減につながるのみならず、実験運転による運転範囲の拡大と計画以上の領域での研究の可能性を広げるものとなります。
次のページに行って、幅広いアプローチ活動等による核融合理工学研究開発を御説明しています。
ここでは、2段目に示した中長期的計画として、a、国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)事業並びに国際核融合材料照射施設(IFMIF)に関する工学実証及び工学設計活動(EVEDA)事業、それから、bとして、BA活動で整備した施設を活用・拡充した研究開発がございます。年度計画としては、それぞれ4段目の中長期プロジェクト計画に沿って進めてまいります。
次に、まずaのIFERC/EVEDA事業の技術的困難度ですけれども、目標としている大電流の重陽子ビームの連続加速技術は、これまでに世界で例がありません。大電流では、ビーム柱の重陽子の密度が高く、重陽子間の反発力によってビームが広がりやすいので、ビーム伝送損失が起こりやすく、また、連続運転では中性子発生による放射化、課題熱負荷による表面溶融などが起きる可能性が高い状況です。これを抑えるためには、ビーム入射器から大電力ビームダンプまでの全てのビームラインにおいて、非常に高い精度の据え付けが要求されるようになります。
それから、マネジメントの困難度は、ほかと共通なんですけれども、多数の国や機関が個別に機器を製作して、その設計者・製作者が参加して、現場レベルで計画調整を行うという点での困難さがございます。
特にコロナ禍による影響で、欧州側の専門家が来日できず、専門スタッフが半分となってしまって、試験に大きな支障が発生したということがございます。
顕著な成果としては、令和2年度、そういったコロナ禍で欧州スタッフが来日できない中で、IFERC事業と協力して、IFERCの技術を利用した大容量の高速データ通信とオンラインでの欧州からの遠隔実験参加を実現することによって、この問題を何とか解決をしていくというところが、顕著な成果と考えています。
次に、右側のb、BA活動で整備した施設を活用・拡充した研究開発です。
ここでは、原型炉設計やテストブランケット計画などを進めておりますけれども、技術的な困難度としては、令和2年から令和4年度にかけてなんですが、テストブランケットにおいて、極めて高い耐放射線性と、それから、トリチウムの閉じ込めと回収機能、高温高圧水等を用いた効率の良い熱利用等の困難な課題を解決する必要があります。
加えて、ITERでの実機試験に向けては、厳しいフランス原子力規制当局の許認可を得るために、膨大かつ綿密な作業と対応が必要になってまいります。
それから、マネジメントでの困難度は、令和2年度に書きましたように、ITERに持ち込みますテストブランケットシステムの設計は、これは協力してというよりは、各極で独自のもので、ITERを利用して性能を競う国際コンテストに勝利して、国益のためにブランケットの国際標準を勝ち取るという必要がございます。この設計を円滑に進めるためには、多くの知財管理、これを含めて、利害が相反する箇所も出てくる、ITER機構を含む複数の極との間の交渉・調整を不断に行う必要がありまして、マネジメント上、特有の困難さを内在しております。
それと、ブランケットの機能材確保を目標としてリチウムの回収技術やベリリウムの精製技術、これは核融合のみならず、産業利用でも競争力が高いのですけれども、これを社会実装へ向けた戦略的な提携・協力関係を民間企業と構築、調整するためには、やはり困難度が伴ってくると考えております。
顕著な技術的成果としては、令和2年度ですが、マイクロ波加熱によるベリリウム精製技術、これは従来技術と比べて工程数が半分、使用エネルギーが100分の1となるなど優位性がありまして、産業展開に向けて、大型の外部資金を獲得して、産業化の可能性の道を開いていきたいということ。これができれば顕著な成果と考えています。
それから、令和3年から令和4年にかけては、テストブランケットシステム関連事業を前倒しで進め、合理化とコスト低減を推進できれば、顕著な成果と考えます。
それから、マネジメントの顕著な成果としては、令和2年度にITER機構や他極の調整協議により、日本が採用した冷却・増殖方式のテストブランケットの有用さが認められて、初期4計画の一つとして採択されると。
それから、令和3年から4年にかけては、ITER機構とか、それから、試験するポートを共有する相手が中国なんですけれども、そことの設計協議を、ここのポートのポートマスターに指名されることによって、日本側で主導的に進めて、知財流出のリスクを低減するとともに、調整を滞りなく進められることは、顕著な成果と考えております。
それから、特に顕著な成果としては、令和2年度ですが、ブランケットの機能材であるリチウム回収技術を用いた産業展開として、産業界と連携したQSTアライアンス事業の下で、外部資金を活用した使用済みリチウムイオン電池リサイクルのためのリチウム回収分離技術の開発を進めまして、分離膜を従来の単膜から20層にマルチ化したスタック化装置の開発で、海外輸入価格の半額以下という低価格での使用済みリチウム電池からのリチウム回収が可能とのコスト評価を実証いたしました。これは特に顕著な成果ではないかと考えているところです。
以上でございます。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
それでは、今の御説明にあった部分について、御質問、御意見ありましたらお願いします。
【山田部会長代理】 では、皮切りにいいですか。山田です。
【栗原部会長】 どうぞ。
【山田部会長代理】 議論のポイントでも書かせていただいたんですが、このFOAK機器を作った製作の困難さについて述べられていて、中でも、トロイダルコイルとNBIの100万ボルトの絶縁については、現状からどれぐらい技術的ジャンプがあるとか、R&Dを重ねてきたかということを述べられたんですが、FOAK機器であることは間違いないとしても、それがどれぐらい難しいかということが分からない機器が、要するに、あげられた項目が幾つかあるので、メリハリがつくようにお願いしたいということが1つです。
それと、そういった機器を作ったインパクトとして、コスト削減が図られたという表現があるんですが、そのコスト削減がどれぐらいの規模であったか、あるいは、そのコスト削減を図ることによって、どれだけ計画の加速が可能になったかという、そういった次元の話に落とし込んで説明いただかないと、そのコスト削減を評価していいかどうかが判断つきかねます。
以上です。
【茅野理事】 今の資料の下のほうに別添があって、まずFOAK機器について、それぞれどんな困難さがあるかというところが記載されておりますので、そこのところを栗原さんのほうから説明してください。
【栗原部門長】 それでは、5-1の下のほうですね。
【山田部会長代理】 時間の関係で、今、個々の御説明は結構なんですが、納得できるものと納得できないものが正直あるので、御説明を注意していただければということで、その一番下の記載ですね。
【栗原部門長】 承知いたしました。メリハリというところで御指摘いただきましたので、そこはそういうふうな形で再度再検討いたします。
【山田部会長代理】 はい。
【栗原部会長】 例えば、これが適切かどうか分からないんですけれども、世界最大と書いてあるんですけれども、従来はどのくらいの大きさで、どう技術的困難かを、最大、最高性能とおっしゃっているんだけど、比べるものがないのですよね。それで、ぜひ、そういう点を、より優れた点を強調していただくようにメリハリをという御発言だと思います。よろしくお願いします。
【栗原部門長】 ありがとうございます。承知いたしました。
【栗原部会長】 ほかにございますでしょうか。
【神納委員】 神納です。よろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。
【神納委員】 FOAKという言葉が出てきたのは、今回初めてではないかなと思います。以前に出されたかもわかりませんけど。やはりFOAK機器を日本で作るということ自体が非常に重要なので、先ほど山田先生おっしゃった、それと栗原先生もおっしゃった、それが素人に分かりやすい、どれくらい困難かということと、FOAK機器は残らず日本で取って、自分で作ろうと思えば作れるという、そういうことをしっかり訴えていただければと思います。
それと、もう一つなんですが、リチウム回収で、これ、私、リチウムイオン電池というのは、一旦使ってしまうとどうしようもないものかと思っていたんですね。EVが最近ものすごくみんな作る作ると言っていまして、EV車の電池というのは、繰り返し充放電で充電容量が低下していって、充電容量の80%になったら、それは廃棄されて、それをわざわざ定置型の蓄電施設に回すとかいうような話が、早く言えば中古市場ですね。というようなことがあったんですが、やはり中古というのはややこしいことが多いので、そのリチウムを都市鉱山のようにリサイクルできるんだということをもうちょっと訴えていただけると、ものすごく大きな広がりというんですか、副産物が得られたということになるかと思いますので、この2点、よろしくお願いしたいと思います。
【茅野理事】 茅野です。承知しました。
池田さん、何かリチウムについて補足することはありますか。いいですか。
【池田所長】 六ヶ所研の池田です。
今の御指摘、非常にありがたいと思います。実は、リチウムについては、先日もメーカー、DOWAホールディングスさんと出光さんと具体的にやっているんですけど、同じ発言がありました。
と申しますのは、昨年12月に欧州でいろんな計画があったときに、欧州の中でもリチウム電池のリサイクルは非常に大事だと。今度、5年についてはプレス発表しようという議論をしたんですけど、そのときに、むしろコストの問題も重要なんだけど、リチウムのリサイクルができるということがものすごく大事だという御指摘を受けましたので、今の御発言はまさに だと思っておりますし、また、私どももそういう形でアピールしていきたいと思っております。ありがとうございます。
【神納委員】 よろしくお願いします。さっきから戦略物資とばっかり言っていて本当に申し訳ないんですが、リチウムというか、レアアース系も最近戦略物資化していて、それで国の富が決まったりすることもございますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
【池田所長】 ありがとうございます。そういう意味では、ベリリウム関係というか、都市鉱山を含めた、そういううまくリサイクルをするということについても、核融合の技術をうまく産業展開に持っていきたいと思っておりますし、ぜひ、それをうちから実現したいと思っております。ありがとうございます。
【栗原部会長】 このリチウムの回収技術なんですけれども、何となく化学の人間としては、今までなかったのかという気分もゼロでもないので、どう今回工夫されていて、単層から二重層にすることがどう困難なのか、あるいは、コスト的に有利なのかとか、ちょっと細か過ぎる質問かもしれませんが、ここが強調される点であれば、多少詳しく御説明いただけると、どこかに書いて少し説明いただければありがたいです。
【池田所長】 池田ですけど、私から説明よろしいでしょうか。
【栗原部会長】 今ではなく成果として御発表になるときにお願いします。
【栗原部門長】 分かりました。
【栗原部会長】 ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。
【戸辺係長】 すみません。事務局として、1点、皆様に御議論いただきたい点が特にありまして。ぜひ、今回、コロナ禍での研究開発というところで、マネジメントのところ、直接欧州に行けない中、このようなプロジェクトができたということが、果たして困難度として認められるかどうかというところを、ぜひ皆さんに一つ御議論いただきたいなと思っています。お願いします。
【栗原部会長】 この点については、御意見いかがでしょうか。
【神納委員】 神納です。
【栗原部会長】 はい。
【神納委員】 私の属している会社が、大きな設備、特にガスタービンなんか作ったりしているんですが、やはりこの問題は非常に重要だと思います。例えば、普通だったら、ガスタービンに何かあると、もうそれって本当にライフラインに関わることですから、すぐに飛んでいって現地で対処するんですが、このコロナの問題があって、ほとんど行けなかったように記憶しています。
それですけど、それに対して、ここでNBIの電源、特に高圧ブッシングなんかでのそれとか組立てを完全に遠隔化されたというのは、ものすごく大きな成果であって、さらに属人知が形式知に変わったということもあるかと思いますが、これももっと評価をされてしかるべきだと思います。
以上です。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
今回もいろいろ具体的に、どういう困難があったかというのも伺ったので、私も非常に工夫されたと理解しましたが、ほかに御意見いかがでしょうか。
【山田部会長代理】 山田です。神納委員の繰り返しになりますけど、この議論の前、神納委員が、技術継承についてとか、技術の我が国への確保、そういった点で留意してくださいという発言があって、その中から考えていたんですが。
いわゆる暗黙知を形式知に変えるということは極めて大事で、ましてや核融合においては、ITERがあり、原型炉という後がありますので、ぜひ、そういった観点から、このコロナ禍を生かせとは言わないですけど、この経験は暗黙知から形式知に変えることができるといういいきっかけになったと思いますから、そういう点で、どういうことをされたかということを、次に生きるようなどういう工夫をされたかということを述べていただければ十分評価できる内容だと思います。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
文科省の皆様、よろしいでしょうか。大体委員の意見としては、それぞれ工夫されたことをアピールしていただきたいということだと思います。
【戸辺係長】 ありがとうございます。
では、もう1点、3ページのところですが、今度、成果の部分というところですが、結構定量的にパーセンテージを指定して、顕著な成果というふうにアピールされているところがありますが、2点ここで御議論いただきたいなというのがあって、1つは、数字として妥当かというところを、専門家の方々にもし御知見があれば頂きたいということと、もう1個、実際にこの要素要素の機器の性能というところは、どれほど単年度で評価すべきかというところです。
結局は、前回の部会でも議論になったのは、できただけだと、やっぱり評価というよりは、動いて初めて評価されるでしょうという、装置を全部組み立てた完成形として動いて評価されるのではないかという視点もあったので、単年度で個々の機器の性能というのはどこまで考慮するかというところについて御議論いただきたいなと思っています。
【栗原部会長】 今の点、いかがでしょうか。
【神納委員】 神納です。よろしいでしょうか。
【栗原部会長】 はい。
【神納委員】 この10%という数字は、私自身、高電圧を使ったことがあるので、150キロボルトを200キロボルトにするだけで本当に苦しいものだというのはよく分かっているので、1メガボルトを1.1にするというのはもう大変なことだというのはよく分かっているんですが、ここのあたりを素人の方に理解いただけるような表現というのを考えるのも必要かと思います。
それと、ジャイロトロンも同じです。1メガワットのジャイロトロンというのは非常に難しいし、2周波数というのもなかなか困難なことかと思うんですが、いかにその難しさを表すかという、そこを工夫されるのも必要な努力かと思いますので、よろしくお願いいたします。
【栗原部会長】 よろしいでしょうか。
【茅野理事】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 なかなか難しい注文で。
【茅野理事】 なかなか難しいので、例えば、神納先生から、これは難しいんだと一言言っていただいて、そうだねということになれば一番ありがたいと思うんですけれども。
【神納委員】 いや、なかなかそうはいかないので、ぜひ、専門家の御知見を頂くとか、お願いできればなと思いますが、高電圧は難しいかもしれないですね。大体空気のあるところで1メガというのは大変で、SF6のあるところでも2メガ、しかも圧力を上げてそうですからね。ですから、そのあたりをどうやって御理解いただくかというのは、今後議論していただく必要があるかと思います。
以上です。
【栗原部会長】 例えば、何か対比するような技術というのがあれば、そういうものを比べるとか、そういうことが可能であれば、全く同じものでなくてもいいのかもしれないですし、あるいは、前例に対してこのぐらい上がったんだということでもいいのかとも思いますが、少しずつ表現は工夫していただけると、と思いますが。
【神納委員】 今の栗原先生おっしゃったことをちょっと考えてみますと、雷が起こりますよね。これって、最初、空中の空気の放電破壊から始まって、ステップリーダーという形で上から降りてくる、どんどん成長するんですが、その雷の発生する電圧と比較してみるというようなことも、当然これはブッシングですので、碍子ですので、沿面で稼ぐわけなんですが、そのあたりはあまり皆さん御存じないので、雷と比較していただくという手があるかもしれませんね。ちょっと思いつきです。
以上です。
【山田部会長代理】 山田です。絶縁については、神納さんなり私なりが、これはすばらしいと評価できると思いますが、それだけではだめで、10%上回ることが持つ価値ですよね。これによってどういう価値が生まれるかということが皆さんには重要だと思いますね。
その下のジャイロトロンについては、これはそういった運転実証するというので、閉じた話として、これはこれで結構だと思うんですが、絶縁に関しては、そういう説明が大事だと思います。
【茅野理事】 茅野ですけれども。その点、最初に山田先生からお話あったように、一体どれぐらいコスト削減にこれがつながるのかとか、ほかの実験の効率化につながるのかとか、そういったところをもう少し明確にするということですよね。了解しました。
【栗原部会長】 似たようなところはほかにもあるかもしれませんので、できるだけ同様な観点でお願いできればと思います。大変なことをなさっているのだと思いますので、大変さや、それから、出てきたことのうれしさというのが皆さんに伝わるといいと思いますので、よろしくお願いします。
【神納委員】 神納です。ちょっとよろしいでしょうか。
さっきの絶縁なんですけどね。芸術品と工業製品というふうに比較されてはいかがでしょうか。芸術品というのは、一品できれば、もうそれがそれだけでいいわけなんですけど、これは工業製品として、あと何基も作っていかないといけないと。そのための余裕ができて工業製品になったという言い方はどうかなと思います。
【栗原部会長】 ありがとうございます。
【茅野理事】 ありがとうございます。
【本間委員】 発言してよろしいでしょうか。本間です。
【栗原部会長】 どうぞ。
【本間委員】 知財の観点から質問ですけれども、御説明の中でも、例えば、国際ブランケットを、社会実装に伴う共同研究を経て、国際標準を勝ち取るというようなお話がありましたけれども。世界初の新しい技術によって日本の科学技術としての優位性を示すという、知財としての意義ももちろんあると思いますし、それから、関連する日本の産業が振興するというようなメリットもあると思いますけれども、これから10年とか、そういう先を見据えて、ほかにどういったメリットがあるのかということも教えていただきたいなと思いました。
【栗原部会長】 今の質問は、知財に限定していらっしゃるんですか。
【本間委員】 はい、そうです。つまり、そういうところの優位性があるということも強調されるといいのかなと思い質問したのですが。
【栗原部会長】 今、本間先生のほうから、知財としての優位性や将来的な価値をもう少し述べてほしいということでしたので、そういう観点があれば、ぜひ、またそれもお願いいたします。
【茅野理事】 茅野です。承知しました。そういった観点あると思いますので、これからきちんと書き込んでいきたいと思います。
【本間委員】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 ほかにありますでしょうか。
【松前委員】 松前です。よろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。松前委員です。議事録を取っているとおっしゃっているので、お名前を申し上げました。どうぞ。
【松前委員】 成果の測定ということで、価値を、その有効性を示す1つの方法として、コストがやっぱり重要というか、分かりやすい測定値かなと思います。ただ、そのコストを示すだけでは、相対的にどういった記載であるのかという情報がないと、やっぱりそれも判断が難しいかと思いますので、コストプラス成果として、現実に、大変素人で申し訳ないのですけれども、研究がとてもすごくても、それをコストで頭に入れて、さらに、それを目で見て、現実的に自分の生活、末端になってしまいますけれども、どのように効果が出ているかというのを見せていただくというのが一番いいと思っておりまして、それは結局、研究の成果が自分の中の生活のどこかの影響として、どのような変化があったかということを見れれば一番いいと思って、その測定方法とか、どこに関係したら分かりやすいとか、実際には最後の製品というか、そこに出てこないものもあろうかと思うんですけれども、そうであっても、やっぱりどういったところかに影響があるというものを研究されていると思いますので、難しいとは思いますが、コストと成果のものとして目で見たいというところがあると思います。
以上でございます。
【茅野理事】 茅野ですけれども。スピンオフとして挙げたようなリチウム回収とかベリリウムの話、ああいうところは、もうきちんとコストに結びついて出せるんですけれども、核融合本体のほうは、カーボンニュートラルによる温暖化の防止が、どれぐらいそれがこれからの将来のコストに跳ね返るかという話もありますし、あとは、ここら辺でやっている個々のもののパーセントが上がることによって、最終的にできる原型炉のようなもの、そちらのほうのコスト削減にどれぐらいつながるかというところは、これから見ながら御説明していきたいと思っております。
【栗原部会長】 まだずっと先のことだと思いますが、こういう核融合による発電が実現したらば、どのくらいの電力コストになるというのはシミュレーション可能なんでしょうか。
【茅野理事】 誰かやったことありますか。
【栗原部門長】 ITERを誘致するときに、そういういろんなケーススタディ、例えば、原発に比べてどうかとかというケーススタディは、大分昔ですけれどもやりましたが、それ以降、最近ではあまりやられていないというふうには認識しています。
ただ、それは、どちらかというと、目標としてどのくらいを目指すかというようなイメージもあって、必ずしもボトムアップのような積み上げ式で幾らという感じよりは、この辺を目指そうというようなイメージだったかと記憶してございます。
【栗原部会長】 最終的にはそういう部分も大事かもしれないので、おっしゃったように、目標、技術をそこまで持ってくるというのは、1つのゴールかと思います。
【栗原部門長】 ありがとうございます。
【神納委員】 神納です。1つよろしいでしょうか。今の関係で。
二酸化炭素排出権というマーケットがあって、それのトレンドを追えば、日本で二酸化炭素を出さなくなった分、二酸化炭素排出権をどれだけ売れるかというような金銭的価値に変えられるかもしれないと思います。
以上です。
【栗原部会長】 私も少しそういう点が頭にあって御質問しました。ありがとうございます。
【茅野理事】 茅野ですけれども。そういう間接的な効果といいますか、温暖化防止による効果というのは、やっぱり計算型に入れていってもいいのだとは思います。
【小板橋委員】 小板橋です。よろしいですか。
【栗原部会長】 どうぞ。
【小板橋委員】 冒頭にイメージとして、例えば、何基国内に建設したらカーボンニュートラルが達成できるとか、火力と今の原子力と代替できるとか、そういう大きな絵もあると、すごく素人的には納得感が出てくるんだと思います。
【茅野理事】 その辺は核融合のほうで試算されたことがありますか。
【栗原部門長】 いや、多分、まだ原型炉が1基目ということで、その後、コストダウンが図られれば基数が増えていくというシナリオだったと思いますので、何基というのは、具体的な数は多分なかったかとは思います。
ただ、1基当たり、今、150万キロワットぐらいまで目指したいというところですので、原発並みのプラントにはなりますので、それであと何基というのは、原発との対比はできるかとは思います。原発あるいは火力との対比はできるかと思いますが、あまり具体的なところで試算した例は、私はあまり知らないですけど、どうでしょうかね。六ヶ所で何か最近試算した例はありますか。
【池田所長】 六ヶ所研の池田ですけど。例のRITEの試算は、たしか何基、その時間軸は実際100年までですけど、2050年から2100年までに何基が稼働して、核融合はこのぐらいのエネルギーを賄えると示しています。もちろん仮定は入っておりますけど、そういう計算はやっていると思います。
確認すれば、そういうデータは出すことはできると思います。
【栗原部門長】 はい。
【山崎委員】 山崎ですけれども。ぜひ、そういう夢を語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【茅野理事】 承知しました。
【栗原部会長】 今、再生可能エネルギーなどの利用が非常に活発化しているので、かなり具体的なイメージを持って、こういう研究も推進していくことは求められてくるのではないかという気がします。
池田さん、いかがですか。
【池田所長】 私に対する御質問であれば、もちろんおっしゃるとおりだと思います。特にカーボンニュートラルという話が表に出た。それから、先ほど栗原部門長が言ったように、アメリカやヨーロッパは、今、急速に動いておりましたので、我々としてもその辺を見ながら、最終的には産業界というか、日本の社会にどれだけ電力を供給するかということが大事だと思っておりますので、そういう意識でもう少し具体的に分かりやすい説明をしていくことが電力業界などを巻き込むには重要と思います。
【栗原部会長】 核融合の評価からは少し幅広くなってきている話題かもしれませんけれど、社会的意義というのは、やはりアピールすべきことだと思いますので、よろしく御検討ください。
ほかにありますでしょうか。
それでは、時間も少し予定を超えておりますので、どうもありがとうございました。
文科省の方々、これでこの部分よろしいでしょうか。ほかに観点はありますか。
【戸辺係長】 開発戦略官付の加々美さんはよろしいでしょうか。何か御議論いただきたい点があればと思ったのですが、よろしいですか。
いらっしゃらないですね。大丈夫ですか。
【小板橋委員】 すみません、小板橋ですが。
【栗原部会長】 はい。
【小板橋委員】 資料1に関して、戻らせていただくことは可能でしょうか。
【西室長補佐】 事務局です。どうぞ、予算のところですよね。
【小板橋委員】 予算です。ちょっと確認というか、教えていただきたかったことがあるんですけれど。新型コロナウイルスに関する研究として、感染や重症化の兆候を捉えるウェアラブルセンサ実現に向けた云々というのがあるんですけど、もう少し詳しくお伺いさせていただければなと思ったんですが。量子ビームでウェアラブルと言って、新型コロナでというのが、なかなか私の中で結びつかなくて。
【西室長補佐】 事務局でございます。
例えば、量子ビームを使って素材同士を結合するような技術開発をしておられます。なので、例えば、コロナウイルスをキャッチするような素材とウェアラブル端末に別の素材をつけることによって、新しいセンサに向けた材料ができるのではないかということで、例えば、こういう研究が行われるものというふうに承知しておりますが。
【小板橋委員】 ウイルスの捕獲のほうを目指すということですか。
【西室長補佐】 例えば、そうです。
【小板橋委員】 例えばということですよね。
【西室長補佐】 はい。
【小板橋委員】 重症化の因子や、兆候を捉えるためのものというのは大分もう分かってきていると思うんですよね。それで、さらにあえて何かするというところの必要性とか、現場でそれが本当に必要なのかとか、そういう視点も必要なのかなとちょっと思ったもので。ありがとうございます。
【西室長補佐】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
【加々美室長補佐】 すみません、先ほどの開発戦略官付ですが。すみません、量研室から意見ありますかと言われたんですけど、特段ありませんという話をしたかっただけです。パネリストの名前は上がっていなかったんですけど、一応このパートは、開発戦略官付も冒頭から私、傍聴にずっと入っておりましたので、皆さん、御議論いただき、ありがとうございました。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
それでは、特にないと伺いましたので、この部分は終わりたいと思います。どうも長い間、御説明ありがとうございました。バーチャルツアーも、お世話大変ありがとうございました。
【茅野理事】 どうもありがとうございました。
【栗原部門長】 ありがとうございました。
【栗原部会長】 議題6、その他ですが、何か議題はありますでしょうか。
【戸辺係長】 議題6は特段ございません。
【神納委員】 神納ですけど、1つよろしいでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。
【神納委員】 人体への放射線影響の件なんですが、最近、例えば日本も、ゲートウェイ計画とか月基地というような話も出てきていますので、そういう宇宙線というんですか、銀河宇宙線とか、そういうものの人体への影響というのも、今までお聞きしたことがなかったんですけれども、もし何か前向きの取組があったら、やられてはどうかと思います。
以上です。
【木村理事】 ありがとうございます。木村ですけれども。
御指摘の点、HIMACを使って重粒子、鉄イオンとか、そういうのを飛ばしながら宇宙線を模擬した人体影響の研究なんかもやっておりますので、そこら辺の部分もまた後ほど御説明できればと思います。ありがとうございます。
【神納委員】 ありがとうございます。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
それでは、本日予定していた全ての議事を終了いたしました。皆様、お忙しいところ、活発な御議論ありがとうございました。本日、議論したことを踏まえて、資料2-1、3-1、5-1について事務局のほうで修正いたします。修正案を再度検討し、部会として決定したいと思います。なお、今後の資料の扱いに関しては、部会長である私に一任いただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
すみません。一人二人お声が頂けるとありがたいです。
(「異議なし」の声あり)
【栗原部会長】 それでは、そのようにさせていただきます。
本当に今日は長い時間ありがとうございました。夏の部会の前に、非常に幅広い意見交換ができたことは大変良かったと考えております。
最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
【西室長補佐】 事務局でございます。
本日御議論いただきました「人材育成」「次世代放射光」「核融合」の評価の基準につきましては、決定次第、本年7月から8月頃に開催される、今年度の実績評価に係る部会から反映させていただくということにしたいと思います。次の部会の開催日程につきましては、後日また日程調整を御相談させていただきます。
それから、本日の部会の議事録につきましては、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。委員の皆様におかれましては、後ほど御確認の依頼を事務局からお送りいたしますので、御確認願います。
それから、本日の配付資料につきましても、後日文部科学省のウェブサイトに公表させていただきます。
以上です。
【栗原部会長】 ありがとうございました。
今回、委員が気にしていることを、QSTの皆さんと意見交換できて、大変良かったと思いますので、またかみ合った評価ができますように、お手数をおかけいたしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これにて第20回量子科学技術研究開発機構部会を閉会いたします。長時間の御議論ありがとうございました。委員の皆様、またQSTの皆様の御協力に感謝いたします。また来期もどうぞよろしくお願いいたします。

── 了 ──

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室)