令和7年1月21日(火曜日) 15時00分~17時00分
文部科学省 18階 研究開発局 局1会議室及びWeb併用開催
中川部会長、国崎部会長代理、王委員、越村委員、重川委員、新海委員、瀧澤委員、布施委員
梅田地震火山防災研究課長、大慈弥防災科学技術調整官、黒川地震火山防災研究課長補佐、大畑防災科学技術係長 他
【大慈弥調整官】 定刻となりましたので、ただいまより、文部科学省国立研究開発法人審議会第39回防災科学技術研究所部会を開催いたします。
このたびは、委員の皆様におかれましてはお忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。中川部会長、国崎委員、新海委員が文部科学省からの出席で、王委員、越村委員、重川委員、瀧澤委員、布施委員がオンラインでの出席でございます。御出席の委員は8名で全員でございまして、定足数を満たしております。
開会に当たりまして、課長の梅田より挨拶をいたします。よろしくお願いします。
【梅田課長】 昨年8月から地震火山防災研究課長をしております梅田でございます。国立研究開発法人審議会第39回防災科学技術研究部会開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
本日は、昨年8月に私とともに新たに着任しました防災科学技術調整官の大慈弥、そして課長補佐の黒川、係長の大畑、行政調査員の安達も事務局として出席しております。
改めまして、本日は御多用の中、御出席いただき誠にありがとうございます。本日は防災科学技術研究所の中長期目標の変更について御議論いただきたく思っております。
本日の御審議にも関連しますけれども、昨年4月に火山本部が文部科学省に設置されまして、本日も13時半から別の会議室で、火山本部政策委員会の下にあります総合基本施策・調査観測計画部会が開催されております。私も今、中座してきたのですけれども、そちらでは現在、10年計画である総合基本施策の具体的な内容を検討しているところでございます。火山本部の中核的機関としての活動も、防災科研には大いに期待されております。その辺りも含めて、本日の御審議ではぜひ忌憚のない御意見等をいただければと思っておりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【大慈弥調整官】 それでは、議題に入る前に事務的な連絡をいたします。会議室にて参加の委員はお手元の配付資料を、オンラインで参加の委員は事前に送付いたしました電子ファイルを御参照いただければと思っております。議事録作成の都合上、御発言の際は冒頭にお名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。オンライン参加の委員は、ビデオは常時、オンにしていただきまして、通信状況が悪化した場合はビデオを停止していただければと思いますが、御発言していただく際は「手を挙げる」のボタンを押して御連絡いただければと思います。
以上、事務連絡で、それでは議事進行を中川部会長、お願いします。
【中川部会長】 よろしくお願いします。
39回の防災部会です。本日の議題は、中長期目標の変更ということになるわけですが、御存じのとおり、国立研究開発法人審議会の下にあるこの部会ですけれども、大きなミッションは、防災科学技術研究所がやっていることの評価ではありますが、それは何かというと、中長期目標に対するいろんな進捗についての評価でございます。それが「研究開発成果の最大化」に向かっているかを大きな評価軸として考えることが我々にかけられたミッション。ずっと、この研究開発成果の最大化とは何だろうかというようなことを常に頭に置きながら皆さんでやってきていただいたと思いますので、改めて今日の変更についても、そういう視点から御覧いただいて、活発な御議論をしていただければと思っています。
それでは、事務局より配付資料と審議の進め方について御説明をお願いします。
【大慈弥調整官】 議事次第がございますけれども、資料1、資料2、資料3というのが議題1の資料でございまして、基本的には資料1で説明をさせていただければと思っております。
それから、今後のスケジュールでございますけれども、今回、議題1の話について、国立研究開発法人審議会の予定が、1月30日に開催される予定でございます。そこでの審議会において、本日の議論について部会長と事務局から説明するということで考えております。
以上でございます。
【中川部会長】 ありがとうございます。
それでは、議題の1つ目、「国立研究開発法人防災科学技術研究所中長期目標の変更について」、事務局より説明をお願いします。
【大慈弥調整官】 資料1を御覧いただければと思います。
資料1の2ページ目でございますけれども、国立研究開発法人防災科学研究所の中長期目標の変更について、3点ございます。
1つ目は、火山調査研究推進本部(火山本部)の設置に伴う変更、2つ目は、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保・徹底に伴う変更、そして3つ目は、そのほかの更新点ということで、内閣府が令和6年度から新総合防災情報システムを新たに運用したことに伴い、防災基本計画が更新されたことを踏まえて修正するといった内容でございます。
それでは、一つ一つ説明をさせていただきまして、取りあえず全体をまず説明した上で質疑応答という流れで考えております。
では、1つ目は、総括補佐の黒川より説明させていただきます。
【黒川課長補佐】 本日御審議いただきたい内容は、お手元の資料1の3ページの国立研究開発法人防災科学技術研究所中長期目標の新旧対照表に書かれている内容でございますけれども、少し改正の背景のところから、資料1の参考資料を使って御説明をさせていただきます。
お手元の資料1の9ページを御覧ください。火山本部の設置に伴う変更の背景ということでございますけれども、活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律、これは令和5年の通常国会におきまして、議員立法で全会一致で改正されたものでございまして、令和6年4月1日から施行されたものでございます。
改正の趣旨といたしましては、富士山の市街地近くで新たな火口が発見されたことによる想定される火口の範囲の拡大、桜島で大規模噴火の可能性が指摘されたことなど、日本全国で火山活動が活発化した際の備えが急務であるということでありまして、下の「改正内容」にあります丸1から丸7の改正が議員立法によりなされたということでございます。
この中で丸5のところに赤枠で囲っておりますけれども、火山調査研究推進本部の設置ということで、文部科学省に、火山に関する観測、測量、調査及び研究を一元的に推進するための本部を設置するということになりました。私どもの文部科学省には、地震本部は阪神・淡路大震災の後、1995年から設立されておりますけれども、同じような形で令和6年4月から火山調査研究推進本部を設置することになったということでございます。
10ページをおめくりください。火山本部の体制・役割ということでございますけれども、活動火山対策特別措置法に基づきまして、火山に関する観測、測量、調査及び研究をすることによって活動火山対策の強化に資するということで、火山に関する調査研究の推進を所掌としております私ども文部科学省に設置して、司令塔として火山調査研究を一元的に推進していくこととなりました。本部長が文部科学大臣でございまして、御覧のような体制で、現在進めているところです。
左が政策委員会、右が火山調査委員会でございまして、火山調査委員会の委員長には防災科研の清水先生、また、後ほど説明しますが、機動調査観測部会には防災科研の森田先生に部会長をしていただいておるところでございます。
11ページでございますけれども、この中で特に火山調査委員会で、火山の噴火が切迫した状態あるいは火山が噴火したときに、どういうふうに機動的に調査観測・解析を行っていくのかということにつきまして、機動的な調査観測・解析の実施体制ということで、火山調査委員会の下に、機動的な調査観測・解析グループというものを設けまして、この事務局を防災科学技術研究所と海洋研究開発機構に共同で担っていただき、。その主たる役割を防災科学技術研究所に担っていただくということが決定されました。ここでは、機動調査観測部会で立案された実施計画に基づいて調査観測・解析を実施していく。また、噴火が切迫している状況あるいは噴火が発生した場合などにおいては緊急観測計画というものを調査委員会で提案しまして、委員長の承認を受けて調査観測・解析を行っていくということが決められまして、それに基づいて現在、どのように進めていくかということについて関係機関と検討を進めているところであります。
12ページですが、それ以外にも防災科学技術研究所には火山の観測、V-netや、あとは一元的な情報収集システムでJVDNと呼びますけれども、そういったもの、あるいは次世代火山の研究プロジェクトなどを中心として、いろんな火山関係の研究開発をしていただいております。そういったものの全体像を整理したものが、夏に火山調査研究推進本部政策委員会におきまして、火山に関する観測、測量、調査及び研究の推進に係る総合基本施策、火山に関する総合的な調査観測計画の要点ということでまとめられておりまして、現在、これ自体は計画の骨格となる主要事項を整理したものでございます。冒頭、課長から話がありましたとおり、本日も別の審議会におきまして、この計画の具体化の作業の議論が行われているところでございます。
こういった背景を踏まえまして、3ページに戻っていただきまして、国立研究開発法人防災科学技術研究所の中長期目標において、火山本部の設置に伴う変更として、このページに書かれている内容を記載してはどうかと考えてございます。
1つ目は、まず全体像でして、政策体系における法人の位置づけ及び役割ということで、これまでは地震調査研究推進本部の「地震調査研究の推進」というところを引いた上で、「我が国の地震調査研究において、防災科研は中核的な役割を引き続き担っていく必要がある」と書かれているのですけれども、この部分に加えまして、赤字で、「令和6年4月1日に設置された火山調査研究推進本部の方針の下で実施される我が国の火山調査研究において」ということで、文言を追加させていただいてはどうかということでございます。
2つ目が、毎年の年度評価にも関わってくるところでございますけれども、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項ということで、まず2ポツの「レジリエントな社会を支える研究基盤の運用・利活用促進」のところでございます。これまでの記載では、地震調査研究推進本部、科学技術・学術審議会測地学分科会地震火山観測研究計画部会の計画等を踏まえということで、研究開発基盤として、陸域の地震・火山観測網、海域の地震・津波観測網を一元化した陸海統合地震津波火山観測網等の整備・運用の継続、観測データの関係機関との共有・利活用促進、それから国内外の関係機関における研究開発、業務遂行、我が国の地震・津波・火山に関する調査研究の進展に貢献するといったことを定めていたですけれども、今回、火山調査研究推進本部ということを地震本部との並びで書かせていただいてはどうかということでございます。
それから、3ポツの防災行政への貢献、(5)のところで、今までの書きぶりですと、平時においても地震調査研究推進本部等の関係機関等への調査、観測、研究成果を提供すると書いているのですけれども、こちらにも同じように、地震調査研究推進本部や火山調査研究推進本部等の関係機関等へ調査、観測、研究の成果を提供するとさせていただいてはどうかということでございます。
それと、ここに、先ほどの資料の10ページ、11ページに出てきました機動観測に関する事項も併せて明示的に書かせていただければと思っておりまして、「火山調査研究推進本部の方針に基づき、関係機関と連携して機動的な調査観測や解析を実施する体制を整備する」。このようにさせていただいております。
以上が火山関係の変更の背景、それから案でございまして、4ページにありますのは、11ページにも出てきましたけれども、機動的な調査観測、それから総合基本施策、総合的な調査観測計画の要点におきまして、特に防災科研の関連の記載があるところを抜粋しているものでございます。
改正の2つ目が5ページですけれども、研究セキュリティ・研究インテグリティの確保の徹底に伴う変更ということでございます。こちらは、過去の部会でも話題になったこともございますけれども、下のほうにありますとおり、令和6年3月29日の関係府省申合せにおきまして、国立研究開発法人の機能強化に向けた取組ということで、特に機微技術・情報は我が国の安全保障にも影響を及ぼすことから、流出防止措置の強化策について、各法人所管府省・各国研は、中長期目標・中長期計画において、研究セキュリティ・インテグリティの確保について明確に位置づけることとするとされたことを踏まえまして、各法人、横並びで改正の盛り込みを、中長期目標にさせていただくということで考えてございます。
背景は、もう少し詳細をお手元の資料の13ページと14ページに書かせていただいております。これは、3月29日の内閣府科学技術・イノベーション推進事務局が取りまとめました、国立研究開発の機能強化に向けてということでの関係府省申合せの抜粋でございます。問題意識としまして、真ん中のほうですけれども、過去、産総研の外国籍研究者による機密情報の漏洩事案が発生したり、JAXAに対するサイバー攻撃が行われていたことが判明するなど、国研における研究セキュリティ・インテグリティの一層の強化が必要ということで検討が進められてきたものでございます。
14ページですけれども、赤線を引いているところでございます。研究セキュリティ・研究インテグリティの確保は、研究者が安心して研究できる環境を守るためにも不可欠ということで、取組の実効性を高めるために、国研の中長期目標・中長期計画において明確に位置づけるということでございまして、具体的に各法人で取り組んでいく内容としましては、下に書かれているような中身、例えば研究セキュリティで申し上げますと、安全保障貿易管理体制、不正競争防止法による保護を見据えた秘密管理の徹底、情報セキュリティ対策の徹底、右側に書かれているようなもの、それから研究セキュリティ・研究インテグリティの確保につきましては、左側に書かれているような、組織横断的な体制整備ですとか外部専門家によるチェック機能の確立等々、各法人で取り組んでいくべきとされているものについて、防災科研でもしっかり取り組んでいくということでございます。中長期目標の中身としましては、5ページに戻っていただきますけれども、こういったところを端的にということで、国の方針等を踏まえ、機微技術・情報の流出防止措置などの研究セキュリティ・インテグリティの確保を徹底するための適切な対応を講じるという点を、業務運営に関する重要事項の「国民からの信頼の確保・向上」という項目の中に、研究倫理・コンプライアンス、情報セキュリティといった関連する事項は既に記載がありますけれども、(4)ということで位置づけさせていただいたらどうかということでございます。
最後、3つ目の改正でございますけれども、これは時点更新でございまして、6ページです。SIP4Dに関連するところでございますけれども、現在の中長期目標に、「防災基本計画に、総合防災情報システムと並んでSIP4Dも防災情報の集約のシステムとして位置づけられたことを踏まえ」と記載いただいて、過去の法人評価でこのことを高く御評価いただいたものと承知しておりますけれども、下のページにもございますけれども、政府の防災基本計画が少し改定されまして、令和6年から新しい総合防災情報システム、SOBO-WEBというものが、内閣府防災で新しく運用開始されましたので、それに伴って一部分を見直しさせていただこうということでございます。
15ページは内閣府防災が公表しております新総合防災情報システムの概要でございますけれども、災害情報を地理空間情報として共有する。それから、災害発生時に災害対応機関が被災状況等を早期に把握・推計して、災害情報を俯瞰的に捉えて被害の全体像を把握すること、支援することを目的にということで新たに開発されたものでございまして、一番右下のところに、情報流通機能(SIP4D機能の社会実装)ということで、SIP4Dの主要機能がここに位置づけられたということが明確化されているものでございます。
ただ、16ページにありますとおり、過去の法人評価でも議論いただきましたけれども、SIP4Dの主要機能は政府の防災情報システムに取り入れたわけですけれども、それが今、アカデミアでの防災現場の課題を解決するような研究開発の推進、それから、左上になりますけれども、民間団体の協調と競争・共創による社会展開と市場形成というところの取組というものも引き続きやってまいりますので、その辺を並立する形で目標には書かせていただいてはどうかということでございます。6ページの新旧対照表のほうに戻っていただきますけれども、防災行政への貢献というところで、赤字ですけれども、まず位置づけとして、防災基本計画の更新に伴いまして、内閣府により令和6年度から、SIP4Dの主要機能を採用した新総合防災情報システム(SOBO-WEB)が運用開始され、防災基本計画に位置づけられたことも踏まえて、位置づけをアップデートさせていただくとともに、真ん中のところですけれども、SOBO-WEB及びSIP4D等を活用して、災害時情報集約支援チーム(ISUT)をはじめとする関係機関等への適切な災害対応のための情報提供を行っていること等を書かせていただいてはどうかということでございます。
あと、こういった取組をしていくに当たっては予算的な取組も必要でございます。17ページでございますけれども、これは令和7年度の予算額(案)ということで、昨年末に閣議決定されたものでございまして、昨年度、防災科研の予算は約80億円だったのですけれども、1億円増の81億円ということになってございまして、予算的に強化いただいたところが、先ほど申し上げた事項、まず右側の真ん中あたりに「火山本部との連携」と書かせていただいていますし、また、「研究インテグリティ確保のための組織体制強化」ということで、真ん中の下のところ、2,900万円ということです。研究インテグリティや関連する分野に特化した統括的な調整部署を設置して、研究の国際化等に伴うリスクに適切に対応していく。それから、左上のほうにあります、情報セキュリティ対策の強化ということもございます。また、当初予算には出てきませんけれども、右下のほうにあります地震・火山観測網等の施設の整備・更新と、左下にありますデジタル技術を活用した防災・減災の研究開発ということについても所要の予算を確保しておりますので、その裏づけを基にしっかりと来年度から取組を防災科研において進めていただきたいと私どもとしては思っておりまして、こちらを中長期目標に書いていければと思っています。
18ページ、19ページが、特に火山関係の予算の裏づけとなっている資料ということで、御参考でございます。特に機動観測については、18ページの真ん中の2-2.のところに、火山の機動観測体制の構築ということで、これは実は令和6年度からですけれども、予算としまして1億円を防災科研に措置いたしまして、機動的・重点的な観測が必要な火山の観測を行うということで取組を強化していきたいということでございます。
7ページに行っていただきまして、今後のスケジュールでございます。冒頭、大慈弥から少し話がございましたけれども、今日の御審議で中長期目標の変更案を部会としておまとめいただきました後、1月30日木曜日に国立研究開発法人審議会がございまして、私どもの部会からは中川先生と国崎先生に委員になっていただいておりますけれども、ここで各法人の中長期目標の変更というのを御審議いただきます。その後、2月に入りましてから、総務省への諮問、財務省への協議を経まして、2月中を目途に中長期目標の変更指示、それを踏まえて3月中に防災科研から中長期計画について出していただきまして、それを大臣として認可するという流れになってございます。
長くなりましたが、以上でございます。
【中川部会長】 ありがとうございます。
それぞれ項目ごとに中身は違いますが、そもそも中長期目標の変更というのは何なの、どういうことが変更になるのか、予算のことも補足して御説明いただきましたので、皆さんも質問しどころが見えてきたのかなと思いますが、いかがでしょうか。どの点からでも結構ですが、火山本部の話は一番ボリュームが多いので、そこから御質問いただこうかと思いますが、いかがでしょうか。防災科研のことの、中長期目標の変更ということでなくても、そもそもということをこの際聞いていただいてもいいかと思いますが、いかがでしょう。オンラインのほうは、どなたかありますか。手を挙げていただくなり、あとZoomのほうで。
【越村委員】 越村です。
【中川部会長】 越村さん、どうぞ。
【越村委員】 コメントは一つ一つでいいんですよね。
【中川部会長】 どうぞ。そうです。
【越村委員】 火山関係、火山調査研究推進本部の設置に伴う変更に関して異論はありません。非常にいいのではないかと。特に防災科研の研究の位置づけなど、そういうことを踏まえて変更いただいたと思いますので、特にここが問題だと感じるところはありませんでした。ぜひ進めていただければと思います。
以上です。
【中川部会長】 ありがとうございます。火山本部のことについて、ほかにいかがでしょう。王委員、いかがですか。
【王委員】 いいですか。
【中川部会長】 王さん、どうぞ。重川委員、その後で。
【王委員】 私は基本的に同じ意見ですけれども、心配するのが人手の問題です。予算が要求されて、一応できますけれども、やっぱり人員確保ですよね。その問題だけです。これはもうちょっと明確な計画をしたらいいなと思います。
【中川部会長】 ありがとうございます。この中長期目標には具体的に人までは書かれてはいませんけど、予算がこれだけ組まれたということで、何かその背景として人的手当てとか、そういう議論がなされていることがあったら御紹介いただけますか。
【黒川課長補佐】 分かりました。
まず、お手元の資料1の12ページを御覧いただければと思いますけれども、火山に関する観測、測量、調査及び研究の推進に係る総合基本施策、総合調査観測計画の議論をしていく中でも、特に火山研究者の数というのが、まだまだ足りていないのではないかという話もありまして、真ん中のところですけれども、人材の育成と継続的な確保ということで、火山研究人材の育成と継続的な確保、火山実務人材の育成と継続的な確保ということをしっかりやっていくということが、政府全体の方針としても、うたわれているところでございます。こういったものを踏まえまして、防災科研の予算の中でも17ページにございますけれども、特に「自然災害の基礎・基盤的研究開発」の下のところで、火山調査研究推進本部との連携のための人員体制の強化ということで7,400万円計上させていただいておりますし、それとはまた別に、お手元の18ページ、火山の研究開発、専門家の継続的な確保の推進ということで、額としては前年同額なのですけれども、令和6年から始まりました、即戦力となる火山人材育成プログラム、それから次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト、こちらをしっかり進めていくということになってございます。特に次世代火山研究・人材総合プロジェクトは、防災科研も重要な役割を担っておりまして、プロジェクトとしましては、これは御嶽の噴火があってから10年間のプロジェクトでやってきたものなのですけれども、令和7年度が最終年度ということでありますので、来年度、先ほど申し上げた総合基本施策を踏まえながら、その後継というものをどういうふうに発展・拡充していくかということを、今、議論しているところでございます。そういったところを通じて、火山研究人材、実務人材の育成・確保というのをしっかりやっていこうというふうな政府の方針・予算になっておりまして、これを踏まえて防災科研に、しっかりとその中核を担っていただきたいという思いでございます。
【中川部会長】 王委員、よろしいですか。予算も一応、裏づけがありますよということが、人のことについて書かれているところです。
重川委員、いかがでしょうか。
【重川委員】 ありがとうございます。
越村先生と同じように、中長期目標でどういうふうにこれを書き込むかというのは、全く異論はありません。今の人材の話も含めて、やっぱり地震の推本は、阪神大震災から、その後にできて、30年の歴史がありますよね。政策委員会と調査委員会で、どちらもやっぱり年を経るとともにいろいろ膨らんできて、かなり多方面での議論というのがなされていて、一方、火山推本というのはできたばかりなのと、それから、そもそもやっぱり人材がいない。これは、地震と決定的に違うのは、地震は本当に日本全国、断層なり何なりで全国のあれなんですけど、火山災害というのはやっぱりスポット的なものだし、おまけにどちらかというと大都市を直接巻き込む、富士山の大噴火は1回ありますけれども、それとは別に、かなり社会的な関心とか、いろんなことが地震とは違うと思うんです。ですから、「推本ができました」はもちろんいいのですけれども、今後、防災科研さんとして、調査委員会は理学者の世界ですけれども、政策委員会も含めて、やっぱり非常に層が薄いのと、それから政策委員会の中で何を議論していくかというのは、やっぱり地震とは異なった観点も要るだろうし、そういった専門性を持った人材も要るだろうし、そういう中で今後どういう役割を果たしていかれるのか。さっきの予算と人の問題も含めて、それができればなるべくやっぱり年度雇用ではなく、ちゃんとした研究者としての分野で就職できる、しっかりとした場としても、そうなっていただきたいなという気もするのですが、その辺はどうですかね。
【中川部会長】 お願いします。
【黒川課長補佐】 お答えします。おっしゃるとおりだと思っていまして、まず10ページで、火山本部のほうですけれども、先生におっしゃっていただいたとおり、図の右側の火山調査委員会のところが、特に理学的なということで、いろいろ調査結果等の収集・整理・分析ということでございますけれども、左側の政策委員会で、そういった観測・測量・調査及び研究の推進、予算の事務の調整、調査観測計画の策定、それから総合的な評価に基づく広報ということで、こういった取組を一生懸命やっていこうということで、今、政策委員会では議論を進めておりす。まだ立ち上がった段階でございますので、今のところはこの中の総合基本施策、それから調査観測計画の策定に特に力を入れているということでございます。
火山、富士山のお話をいただきましたけれども、全国に111の活火山があるということで、活火山を抱える都道府県が全部で23、日本の約半分にあるということで、特に各地域の方々から期待・関心などは結構寄せていただいているところもありますので、そういったところをしっかりやっていきたいと思っております。
それから、人材のお話をいただきました。こちらにつきましては、18ページにございます火山の研究開発、火山の専門家の育成と継続的な確保と、「継続的な」ということをあえてつけさせていただいているのが非常に重要でございまして、特に次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトでは、これまでに200名弱の卒業生が生まれてきているのですけれども、私ども文科省にも、卒業生に何人か入っていただいていますし、気象庁には21人、就職しているとか、あるいは大学その他、防災科研も含めた研究機関に就職いただいているということで、こういった取組をしっかりと進めていって、研究者の育成、それから次の就職先の確保ということまで、関係機関と連携してしっかりやっていきたいと考えております。特に、防災科研の予算のところが17ページにありましたが、火山本部との連携のための人員体制の強化、これは年度ごとではなくて、定年制としての職員を確保できるような人件費も含めて確保しておりますので、地道ではありますけれども、しっかりやっていきたいと思っております。
以上でございます。
【中川部会長】 ありがとうございます。人材育成については、地震本部ができるときには充分意識が回っていなかったともいえ、さっき重川委員もおっしゃったように、地震本部の経験が、いい意味で人材育成については生きたのではという感じがいたしました。ほかにいかがでしょうか。
布施委員、お願いします。
【布施委員】 17ページで、予算が1億円増えましたという記載と、18ページでも同じく1億円増えているような書きぶりになっているのですが、これは火山系が新たに追加されたので、1億増えましたという理解をするということでよろしいですか。人件費などは上がってきていると思うのですが、それを込み込みで1億円、火山で増えたという理解ですか。
【黒川課長補佐】 17ページは防災科研の運営費交付金全体の予算額になっておりまして、実は火山本部の連携のための人件費につきましては、令和6年度から新たに7,400万円計上しているということなので、ここの増分には大きくは出ていないのですけれども、なので、ここのプラス1億円は、自然災害の基礎・基盤的な研究開発のところの1,500万円と、右側の研究基盤の適切な運用・利活用の促進のところの3,000万円、研究インテグリティの2,900万円、それからその上にあります、これも火山関係ですけれども、火山活動が活発なインドネシア・フィリピンを中心としたASEANとの国際共同研究の強化、3,000万円と、これを足し込んだ数字が約1億円強ということで出てくることになります。
18ページは、必ずしも防災科研に行く予算だけではなくて、文部科学省における火山調査研究推進全体の予算ということになっているのですけれども、その中で、これは四捨五入の関係で、実はこれは1億円ではなくて、1.6億円とか2億円近い額の増になるのですけれども、増えているものとしましては、真ん中の2-1.のところで、精密構造・噴火履歴等の基礎情報調査というところになります。この予算自体はむしろ防災科研向けの予算ということではなくて、本部の直轄の事業ということになりますので、防災科研に行く予算の増という意味での関係は出てこないです。機動観測について、しっかり防災科研のほうで体制を担っていただくための予算ということで、2-2.のところの1億円です。これも令和6年度からつけておりますので、増分としては同じになっているのですけれども、これが措置されているということを申し上げたかったのでつけておりましたが、すみません。一部、関係の説明が不足しておりまして申し訳ございません。
【布施委員】 ありがとうございました。分かりました。
中長期目標の変更に関しては、私は特に異論はございませんというか、そうしていただいたほうがよいかと思っております。
以上でございます。
【中川部会長】 ありがとうございます。ちなみに、研発の中で増えている研発というのはあるんですか。増えるものなのですか。
【黒川課長補佐】 各省の運営費交付金はなかなか増やすのが大変でして、特に今年の文部科学省の科学技術予算は、全体として残念ながら減というところになっている中で、防災科研の運営費交付金は何とか1億以上の増を確保したということでございます。
【中川部会長】 ありがとうございます。そういうことだそうです。
ほかにいかがでしょうか。では、いかがですか。新海委員、国崎委員、火山本部のことは何かありますか。新海委員、どうぞ。
【新海委員】 新海でございます。今回、中長期目標の書換えについては、特に異論はございません。
コメントが2点あります。一つ目は継続的な人材確保の視点です。今回も記載されています大学教育とか社会人の学び直しとありますが、火山分野に注力するに当たり、最近では高校生で火山研究の基礎となる地学を専攻する人がほとんどいないと聞いておりますので、大学教育前の裾野を広げるという視点での取組もぜひ今後やっていただきたいと思います。、先ほどのお話の中で日本国内の半分、23の都道府県が火山噴火の影響があるとありましたが、、このように国民の多くの人にとって身近な問題であるという啓蒙教育も含めて、ぜひ次世代に繋がるような継続性をもった積極的な活動を行っていただけると良いと思いました。
あともう一点は確認ですが、11ページに、今回の機動的な調査観測・解析グループという中に、事務局として防災科研さんと海洋研究開発機構さんが入っています。この2つの部署の所掌範囲といいますか、起きた事象によって事務局が変わる等、等役割のすみ分けができるのかというところについて、教えて下さい。
【黒川課長補佐】 承知いたしました。
11ページの機動観測のところにつきましては、実際に火山の噴火が切迫したときに、どういうふうに動いていくのかというところにつきまして、グループの中で今、関係機関と連携して詰めた議論を進めているところなのですけれども、やはり一義的には防災科研が主となって、事務局となって進めていく。したがって、そのグループは、防災科学技術研究所に設置するということで、火山本部の火山調査委員会で決定されているところでありまして、一応、参考資料2の火山調査委員会の当面の機動的な調査観測の実施体制というところ、ひとつめの丸の「実施体制の概要」のところに、「防災科学技術研究所において」と、まず書いているところでございます。その上で、火山には陸の火山だけではなくて海域の火山もございまして、海域の火山について、JAMSTEC、海洋研究開発機構が海域の地震火山部門をお持ちで、海についていろいろ御知見もありますので、ぜひ連携・協力して機動的な調査観測をやっていこうということになっておりますので、あえて名前が2つ並んで書かれているところでございます。両法人の長所をどう生かして観測の際にやっていくのかというのが、まさに今、このグループで調整がなされているところでございます。
【中川部会長】 海の火山ということですね。よろしいですか。
【新海委員】 はい。
【中川部会長】 ありがとうございます。
国崎委員、何かありますか。
【国崎委員】 いえ。
【中川部会長】 大丈夫ですか。
【国崎委員】 もう最後ということもあって、ほかの委員の方が御質問されたことで、私も気になっていたところも全部クリアになりました。
ただ、1つ、ずっと地震本部に関わってきた立場として、地震本部だけではなく火山もしっかり予算化するために、地震火山調査研究推進本部にしてはどうかという議論があった中で、予算をしっかり立てるという意味ではこのように分けたのもいいのだと思います。今回、火山本部ができたということで、具体的に何をしていくのかというところが明確になり、そこにどのようなお金がどれだけつくのかということも明確になりました。ただ、分かれたことによって、やっぱり、地震は地震、火山は火山というような研究体制にならないように、もちろん考えて、これまでも連携して行われてきましたので、私が懸念することではないのだと思うのですけれども、一応今回の資料には、当然のことながら、火山に関することということで特化して書いていただいているのも理解しておりますので、ただ、研究体制としては、どこかにでも、火山は火山、地震は地震とならないような、連携した研究体制ができたらと思っております。
以上です。
【中川部会長】 何か、その点でありますか。
【黒川課長補佐】 御指摘の点は非常に重要なことでございまして、お手元の資料12ページですけれども、総合基本施策、火山に関する総合的な調査観測計画の要点の一番下のところの「横断的な事項」のところにも、地震調査研究推進本部、それから地震火山観測研究計画(建議)、こちらは科学技術・学術審議会の測地学分科会で議論されている内容ですけれども、こちらとしっかり連携して、地震は地震、火山は火山ということだけではなくて、しっかり、関係する本部・計画と連携するようにということを意識してございますので、いただいた内容でしっかりやっていきたいと思います。
以上でございます。
【中川部会長】 ありがとうございます。瀧澤委員、何かありますか。
【瀧澤委員】 すみません。皆さん、先生方に御指摘いただいた点で特にないのですけれども、ちょっと枠から外れた質問をさせていただきますと、再来年度でしたか、防災庁の設立の話が今出てきていて、石破総理も肝煎りのようです。気象庁の予算を増額したいというような発言もあるようですけれども、やはり防災科研がやっていることというのは、先ほどから先生方が御指摘のように、人材の育成であったり教育であったり、それからまた、神戸の震災以来できたE-ディフェンスのような基盤的なファシリティ、ああいったことが実際に社会に役に立ってきたという実績があるわけですので、何か防災庁の設立に向けて、防災科研としてもさらに強力にサポートできるような体制というのができていくのかなと期待しています。今回、計画の変更というのは、目の前に見えている変更に伴うものなので、そういった将来の防災庁に関わるものは、また将来加わってくるだろうと思いますけれども、もし何かその辺でコメントがあれば、お願いしたいと思います。
【中川部会長】 何か具体的に現時点でしゃべれることはありますか。
【黒川課長補佐】 承知しました。防災庁の設置に向けましては、令和8年度に向けてということで、今、内閣府防災で、御担当の赤澤大臣の下で議論が進められていると承知しております。
その上でなのですけれども、私どもの特に地震本部、それから火山本部ですけれども、特に火山につきましては、10ページにありますとおり、観測、測量、調査及び研究を推進することによって、活動火山対策の強化に資する、それから地震につきましては地震防災の強化につなげるということが設立時からのミッションとしてございますし、防災科学技術研究所の研究も、科学技術の研究開発によって防災科学技術の水準の向上を図ることによって、それをしっかり社会の防災に役立てていくというのは重要なことですので、私ども、その調査研究や科学技術の研究開発をしっかりやって、それをしっかり社会につなげていくというところを、関係機関と連携してやっていきたいということで考えてございます。
【中川部会長】 ありがとうございます。また具体的に、そちらの法的枠組みが決まってきたときには、またこちらの計画に何らかの形で反映させていくような議論が進められるということですかね。ありがとうございます。
ほかに火山本部で何かありますか。
私から1点だけ、前も評価のところで申し上げたことでもありますが、災害発生時にSIP4Dができたこともそうですけれども、事務方も含めて全部、出ていける体制を取っている防災科研というのは、多分かなり国の関係組織機関としても例外的でしょう。実務もそうですけど、研究という面でも。2000年の有珠山噴火のときの議論の中で、ここから研究者でも立ち入り出来ないという話があったのを覚えていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、せっかくこの機動的な調査観測・解析グループが立ち上がるのであれば、研究だけでなく、バックヤードなども含めて、災害現場で活動するための知恵もぜひ共有して、ほかの法人にも役立つようなことをするのも、防災科学の成果の最大化ではないかということを申し上げていました。ぜひそのような点も、こういうところでやっていただく範囲に入ってくるだろうと理解しています。私は今後、この計画について評価をする立場ではなくなるのですが、残った方はぜひこの辺について、“あの話はどうなっていますか”と聞いていただけるとうれしいなと、個人的に思っております。
特に、これは火山だけではなくて地震でも、今回の能登でも、行けた研究所、行けなかった研究所などもあると聞いています。研究倫理とかの議論もある中で、簡単な話ではないと思います。防災科学技術における研究開発成果の最大化をミッションとする防災科研として、そのようなこともぜひ一緒に考えていただきたい。企業の中でも、同じように、行かせるか、行かせないかというのはあるでしょう。我々マスメディアでも。ここで、少しガイドラインみたいなものをつくってもらえればありがたいと思うので、ぜひそんなこともやっていただきたいですね。特に火山というのは結構、分からないところがあると思うので、そんなことも引き受けていただくだろうと期待していますので、ぜひ皆さん、よろしくお願いいたします。
何か言うことがありますか。
【黒川課長補佐】 おっしゃっていただいたとおり、機動的な調査観測・解析グループの中で、特に噴火があったときに、立入規制の問題とか、責任分界をどうするかとか、いろいろ悩ましい問題が出てくると思いますけれども、そのときにしっかりと調査観測をやっていくということと、研究者の安全を守りながらしっかりデータを取っていくということを、どう見ればスムーズにできるかということを、今、議論を進めているところですので、また今後の評価の際にフォローアップをいただければと思います。
【中川部会長】 よろしくお願いいたします。1991年の雲仙普賢岳の火砕流では報道機関として大変恥ずかしいこともしておりますので、ぜひそんなことのないように、いい形で情報共有をされて、うまく研究開発成果の最大化を図るような形で進めていければと思いますが、火山について何かほかに気がついたところはありませんか。
では、次に、研究セキュリティ・インテグリティの話ですが、いかがでしょうか。これは他法人の書きぶりと同じような書きぶりだと私は理解しているのですけれども、いかがでしょうか。特に布施委員とか、コメントはないですか。
【布施委員】 これは、書きぶりはもう恐らく、ほかであった教訓を生かして同じように強化するという理解をしていたので、私も特段、何か申し上げることはないのですが、これが中長期目標に加わることで、より何をどうしなくてはいけないというのを少し考えておかないといけないのかと思います。記載は何か、割と漠然とどうしていこうというような方針でしかないような気がするのですが、その辺はどうなんですか。今日の日経新聞などにもJAXAのセキュリティの話が書いてあったのですが、セキュリティに関しては横断的にどうしていくという話が何かあれば教えていただきたいと思います。
【中川部会長】 お願いします。
【黒川課長補佐】 承知いたしました。予算的には、資料の17ページにございますけれども、緑色の下部の真ん中のところ、「研究インテグリティ確保のための組織体制強化」ということで、これまで防災科研の中では、研究セキュリティ・研究インテグリティの問題、個別の法令遵守の対応ということで統括的・横断的な調整部署というのがなかなかなかったので、それをこの予算を使って設置するとともに、研究の国際化に伴っていろいろなリスク、要は安全保障貿易管理の問題であったり情報セキュリティの問題、いろいろな全部署に関わるような話が出てきますので、しっかり体制をつくってやっていきたいということです。予算はまだついてこれからということですので、具体的な取組は、中長期計画と毎年の年度計画の中で、より詳細はフォローアップしていくことになろうかと思います。その大前提として、国からしっかりこういったことをやってほしいということを方針として書かせていただくということと、文言としては、ざっくりとかもしれませんけれども、国の方針等に基づきということで、御紹介させていただいた関係府省の申合せで、また他法人の取組なども、研究開発法人の連絡協議会などでは議論されていますので、それらを踏まえながら防災科研としてどういうことが特に重要かということを、これから詰めていくということと考えております。
【中川部会長】 布施委員、よろしいですか。
【布施委員】 ありがとうございます。研究所の大きさもいろいろありますから難しい面もあるかと思います。、皆さんの意識づけの話から体制を整備する話、割と今は、さわりの話をこれから頑張りましょうという段階であるという理解をいたしました。
【中川部会長】 今の点、ほかにございませんか。
中川ですが、あえてちょっと申し上げると、特に他法人と比べて、防災科研は災害時に現地に行って現場に観測のための測線を引くとかいう活動が想定されますが、その際にはセキュリティ面で十分な担保ができない状況というのはあり得ると思うのです。そういうことが理由になって、例えば観測が臨時で展開できないとかにならないように、ぜひ防災科研ならではのミッションを踏まえたセキュリティの在り方みたいなものもちゃんと平時に考えておいていただきたいですね。下手すると新規の予算をつけないでそのまま飲み込んで実施しろとやられることが十分想定されると思うんですけど、ここに新規予算についているということは、防災科研らしいセキュリティを考えていただくようなこともやっていただかく。やっぱり現場で何かあったときの観測インフラというか、そういう解析インフラになると思うので、そんなこともぜひ、ここで一応申し上げておきたいなと思いました。
ほかによろしいでしょうか。
最後のSOBOについて、どなたか何かコメントがありますか。
【国崎委員】 すみません。今のことで。
【中川部会長】 国崎委員、どうぞ。
【国崎委員】 セキュリティ・インテグリティのことなんですけど、ガイドラインに沿った組織体制強化をするための予算がついたという認識でよろしいのでしょうか。
【黒川課長補佐】 組織体制強化がメインですけれども、組織の体制を強化した後、必要な取組を行っていく。その予算も含めてということでございます。
【中川部会長】 継続的な予算ということですね。
【黒川課長補佐】 はい。
【国崎委員】 そうなんですね。やっぱりセキュリティというのは、何かトラブルとか不祥事が起きた場合に、何が問題かというと、アクセスを追っていくという部分が非常に難しいんですよね。悪意を持ったほうが一枚も二枚も上手なので、そういった部分のセキュリティシステムの構築に当たり、この組織体制強化の中に入っているという理解でよろしいのですか。例えば人のモラル的なものであったりという、そんなポリシーを掲げて、みんな気をつけましょうねみたいな研修をするとか、そういったところを組織体制強化とするのか。何か、この具体性というのが、今までもやってきたセキュリティと、今回、予算をつけたところでは、具体的に何をどう変えていくのかというのが、ちょっと見えづらいなとは個人的には思いました。
【黒川課長補佐】 この辺、特に予算折衝の議論の中では、防災科研はもともと事務体制がそんなに大きくないというところもございまして、情報セキュリティの問題、それから保障貿易の問題、知財の問題、いろいろなものがそれぞれの担当者の、語弊を恐れずに言えば片手間的なというか、それぞれの仕事の中でやっていたものがあったのですけれども、防災科研の組織全体として統括してチームをつくって回していくための、まず人件費を確保して、ちゃんと部署を設置する。それで、今いただいたような、いろんな問題、それから過去の事案を含めてどうしていくかというのをしっかり考えていく仕組みをつくっていこうというところで、中身はちょっとこれからということになってしまうので、また年度評価で見ていただくことになるとは思うのですけれども、それに先立つ予算を確保して、それを目標につけさせていただいた感じです。
【中川部会長】 そういう意味では、まずは体制を強化したところからということですね。
【黒川課長補佐】 はい。
【中川部会長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。越村委員。
【越村委員】 SOBO-WEBについて、いいですか。
【中川部会長】 どうぞ。
【越村委員】 まず、今のページでいいですか。この次の予算のところです。
【中川部会長】 予算のページ。
【越村委員】 恐らく、SOBO-WEBのほうに、デジタル技術を活用した研究開発ということで約4億が、7年度の予算額としてついているということだと思うんですけど、それを踏まえて見ると、6枚目の新旧対照表で書かれていることはちょっと物足りないなと思ったんです。ここに書かれているのは、SOBO-WEBが運用開始されました。それで、SOBO-WEBとSIP4Dとを活用して情報提供を行いますよとか、職員の派遣更新を行いますよということが書かれているわけなのですけれども、むしろさっきのお金がついたところというのは研究開発ですよね。それで、研究開発の中でも特に、16枚目をお願いします。16枚目では、これは非常にいい図だと思ったんですけど、アカデミアの部分ですよね。学術的・科学的研究開発の推進ということをやるということが本質ではないかなと思うんです。
だから、そういう意味で、私がちょっと物足りないと申し上げたのは、新旧対照表での記載が、SIP4D及びSOBO-WEBを関連とした研究開発に整合していないのではないかと考えた次第です。もちろん、この中長期目標に、デジタル技術の活用に関した研究開発は書かれていると思うのですけれども、この部分が特出しで赤で書かれていると、さっきのついたお金に対して整合していないのではないかと言いたくなってしまいましたので、一応コメントとして発言したいと思いました。
以上です。
【中川部会長】 分かります? どうぞ。
【黒川課長補佐】 新SOBOとSIP4Dのところは、防災基本計画の更新に伴って、今まで防災基本計画にSIP4Dと書いてあったところがSOBO-WEBになったので、それに伴っての書き方というのがメインでございます。だからこそ、防災行政の貢献のところを直しているのですが、先生に御指摘いただいた、デジタル技術を活用した防災・減災研究開発について、予算としては前年同額をしっかり確保させていただきましたということで435百万円ですので、中長期目標には既に記載がございまして、新旧対照表では、ここだけ抜粋してしまったのですが、お手元の資料3の中長期目標、これは全体版ですけれども、その3ページ、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項のところの1ポツ、「レジリエントな社会の実現に向けた防災科学技術の研究開発の推進」の一番下のところに、「研究開発の成果を可視化した情報プロダクツの開発・提供」、「各主体のオールフェーズにおける意思決定に貢献する」、「防災実務の現場における新たな課題の抽出や研究へのフィードバックを行う」という、全体を書かせていただいた上で、(1)「知の統合を目指すデジタル技術を活用した防災・減災に関する総合的な研究開発の推進」のところも、特に下の段落になると思いますけれども、「国、地方公共団体、民間企業、国民等の社会を構成する多様な主体が科学的知見に基づく適切な意思決定を行うことを可能にする。先を見越した積極的な防災行動・対策の推進に貢献する。防災・減災分野における社会課題を解決する共創の仕組みの構築を図る。社会全体のさらなるレジリエンスの向上を目指す」と、既にある程度表現させていただいているかなと思っておりまして、具体は毎年度の年度評価で見ていただければと思ってございます。
【越村委員】 いや、なので、この文章にもそもそも、デジタル技術を活用した防災・減災の言わば新しい研究開発というのがどこにあるのかなというのも、今、さらに説明をいただいて思いましたけど、具体的に書いてありますか。
【黒川課長補佐】 上のところの、「レジリエントな社会を実現するために、防災科学技術に関する知の統合を目指し、デジタル技術を活用した防災・減災に関する」に戻ってしまいます。
【越村委員】 そこなんですよね。その漠然としているところも、さらに気になりました。
【中川部会長】 私も越村さんも、この部会から抜けてしまいますが、皆さん、ここにちゃんと書いてあることが今のことにつながっているので、ちゃんと評価していただきたいえすね。
【越村委員】 そう。要するに、僕が重要だと思うのは、SIP4DとかSOBO-WEBというのは、はい、できましたで、確かに国の対応に組み込まれたのはいいのだけれども、これは絶えずアップデートしていかないと、データの流通とかデータの量・質の増加に対してすぐに耐えられなくなると思っています。なので、絶え間ない研究開発というのは、ぜひこの予算でというか、ぜひ進めていただきたいというのが要望なんです。それが見えてきていないので、ちょっと気になったんです。
以上です。
【中川部会長】 ありがとうございます。まさに、16ページの図の、今、越村さんがおっしゃった、アカデミアというところは実は大事です。よくありがちなのは、ガバメント向けだけつくって、研究もおしまいとなる。多分、我々としても、SIP4DがSOBOに乗るということだけで評価したわけではない。ちゃんとアカデミアもやっていくということも議論した上で、評価したと理解しています。このことは、越村さんの重要な指摘だと思います。私もそう思いますので、よろしくお願いいたします。SIP4Dを防災科研で語るときには、多分、右側上だけではなくて、ちゃんとZone A、それからZone Bも含めてやっていくということですよね。Zone Bに対する研究開発もずっと続けていくのだということであると理解していますので、よろしくお願いいたします。
ほかに何か御意見はありますか。
ということで、実はもう今、少し越村委員と、私も申し上げてしまったのですが、これは今年度最後の部会になっております。残念ながら、私もですが、越村委員も、何人かここで委員を抜けてしまいます。今後もちゃんとこれから考えていただく上でも、また防災科研に何を期待するかということも、最後の場なので、1人ずつ少しコメントをいただいて、今日は公開の場ですので、それを前提にちょっと皆さんからメッセージを出していただいて、防災科研へのある意味で応援と課題と、それから今の段階での注文など、もしあったら聞いた上で、次年度評価に生かしていただくということにする時間をつくりたいと思います。
それと、もう一つ最後に、これは私と国崎委員から皆さんへの宿題になるのですが、今回、参考資料4でおつけしましたが、28回までの研発審の中でやってきた議論の積み重ねの資料があります。それについて、皆さんに宿題としてお願いしたいと思います。まず最初に皆さんから、この間の、今期の終わりで防災科研への期待。ここでオフィシャルに申し上げておいた上で、防災科研の事後評価にもつなげていただきたいと思いますので、議事録に残る形を前提に、短くコメントをいただければありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。せっかくなので、手元の名簿順でお話しいただきましょうか。
国崎委員はまだ引き続き頑張っていただくことになるわけですが、国崎委員、何かここで言っておくべきこと。
【国崎委員】 本当に近年、災害が頻発化して、これまでの研究成果というのを現場で活かすことができて、それをまたフィードバックして、さらに研究開発を高めていくというようなことができておりますけれども、やっぱりそこで防災科研のよさというのは、先ほどから中川さんがおっしゃるように、現場に行って、そこで貴重なデータを取って共有し、非常に重要な活動をされてきました。
今後ますます社会が防災科研に求める期待というのは高まっていくと思います。よい成果を出せば、より期待値というのは高まっていくので、期待値に沿う、もしくは超えていくような成果を出し続ける苦しみというのはまた一方であろうかと思いますし、その体制をどのように構築していくのか。残念ながら、我が国は2024年の子供の出生数の確定値が70万人を切るということが分かってきました。こういった少子化において、民間企業、それからほかの公的機関との優秀な子供の奪い合いというのは一層熾烈になってくるかと思います。そういった中で、人材育成という言葉もありましたけれども、いかに優秀な人材を確保し育成していくのかというところが、今後の防災科研に対する社会の期待を維持する、また超えていくためにも非常に重要なところかと思います。今までいろいろ人材育成に対しても議論がありましたけれども、一層、そこに注力もしていただきたいと思っております。
以上です。
【中川部会長】 ありがとうございます。王委員、いかがでしょうか。
【王委員】 防災科学技術研究所は、やっぱり日本だけではなくて、世界の防災分野においても、土砂災害、水災害、地震災害といった多様な自然災害の研究と軽減対策に取り組んでいる一番重要な研究機関ですので、これらの課題に関しては、やっぱり科学的な知見を深めるということと、現場に直結する実践的な成果の創出ですね。地域社会の安全性向上には直結するものとは考えております。
特に災害の頻発化・激甚化が進んでいる今の社会においては、やっぱり防災科研においては、迅速かつ精度の高い予測技術の開発と、効果的な防災・減災対策の提案といったことを行うことを大分期待しています。そういった期待は、社会においてはますます高まっております。
また、国内外の研究機関や行政、さらに地域社会との連携をさらに深めることで、成果を広く社会に還元して、実効性のある災害軽減対策の推進をしていただきたいと思っています。防災科研が将来を見据えた防災研究のリーダーとして、ますますの発展を遂げることを心より期待しております。委員としてはここで終わりますが、同じ防災をやっていますので、これからも一緒に連携してやっていけたらと思います。
私は以上です。
【中川部会長】 ありがとうございます。越村委員、いかがでしょうか。
【越村委員】 ちなみに、今年度卒業される方は私だけではなくて中川さんも。
【中川部会長】 私もですよ。
【越村委員】 皆さん、そうなんですね。
【中川部会長】 かなりそうです。なので。
【越村委員】 私は10年間、気づいたら10年たっていて、10年以上は駄目よと言われたので卒業ということなんですけど、本当に10年間、ありがとうございました。
ちなみに、今日は公開ということで、防災科研の方も入っていらっしゃるのでしょうか。
【中川部会長】 入っています。
【越村委員】 それは分からないですか。
【中川部会長】 傍聴されています。
【越村委員】 そうなんですか。10年間、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
私自身としては、私なりに防災科研がよりよい研究機関になるように努めさせていただいたというつもりなのですけれども、いろいろなことを自由に言わせていただきましたので、こいつと思っていたときもあるかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。
今後、特に防災科研の皆様と、この部会の皆様にお願いしたいことというのは、アカデミアの人たちは本当にこれまで以上に苛酷な熾烈な競争の中で生き延びていかなくてはいけないということなんです。これは大学人だけではなくて、国の研究所の研究者も、多かれ少なかれ、そういう環境になるのだと思っています。だから、短期的なKPIを出せとかというのを言われたり、すぐに分かりやすい成果を求められたりということは当然想定されるのですけれども、やはり防災科研の皆様にぜひ期待したいのは、我が国の防災技術を支えているのだという矜持を改めて持っていただきたいなという願いと、あと、近視眼的あるいは短期的な研究成果をすぐに出さなくてもいい組織なのだという、全体のコンセンサスというか、先ほどの矜持も含めて持っていただきつつ、部会の評価委員も、やはりここは骨太の研究をやるところなのだという認識を、ぜひこれまで以上に持っていただいて、支えていただきたいなと。防災科研の活動をこれまで以上に支えていただきたいなと思います。
一方、やはり研究者として必要なのは、自分がやっている研究の意義に対する説明責任というのは必ずあるので、自分は骨太の研究をやっているのだという矜持を持つとともに、常に、自分がやっている研究の意義について自分の言葉で語っていただくというのは、これはもう、若い研究者、年寄りの研究者、全て必要なことなのかなと思いますので、部会の、研究者を応援する立場と、やはりこれから防災科研の研究者の皆様、特に若い人たちにお願いしたいのは、その研究の意義というのをきちんと自分自身の言葉で説明できていただきたいというのが、これまでの10年間の委員としての願いです。
私自身も、この研究の意義というのは、常にこの部会の委員をやりながら、自分の研究の意義についてもやっぱり考えさせられる非常にいい機会になりましたということを申し添えて、10年間のお礼に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【中川部会長】 ありがとうございました。重川委員、いかがでしょうか。
【重川委員】 ありがとうございます。私は何年引き受けさせていただいたのか、ちょっと記憶にないのですが、次期は辞退させていただいて、これで卒業ということで最後となります。実際、防災科研のサイトビジットに行かせていただいたり、直接、研究の場を見せていただいたりして、大変楽しい思い出がいっぱいあります。お世話になりました。ありがとうございました。
今後の防災研究についてということなのですけれども、今どうしても、さっきからも出ているように、単年度評価、あるいは社会実装、役に立つ、こういったことがすごく強調され過ぎているのですが、いろんな場で言っているのですけれども、自分がやっていても、やっぱり1つの研究、1本論文を書くのに、最低3年はかかるんです。そういった中で、防災科研さんが守備範囲としている現象の研究というのは、やっぱりかなり長期的な時間がかかるものが多い。だからこそ、国研である防災科研でしかできなかったのだろうと思います。
そう考えると、今、社会実装とか役に立つとかで、いろいろ研究の幅も広がってきているのですけれども、やっぱりもう一度、防災科研にしかできない研究と、防災科研でなくたってできているよ、やれるよ、あるいはそっちのほうが得意だよ。それは、民間も含め、シンクタンクも含め、アカデミア、大学や学会も含めです。そういったものがある中で、あえて防災科研として、しっかりやっていく。特に社会実装ですが、防災研究をやっている人で、社会での効果を考えずに見当違いな研究をやる人はいないんです。災害現象が起き、それに対してどうしていけばいいかという、そことのセットで研究の目標を立て、それに向かって研究するわけですから、結果として社会実装するときに、現場で使い勝手がどうとか、一般の人がどう受け取るとか、そこは本当にプロフェッショナルな知識が要るんです。一見、誰にでもできるように見えますが、実はそれをやらないで、やってしまいがちなことが多々あります。本当はそこの研究というのは一番難しいのですけれども、何かができて、被災地に持っていくとみんな喜んでくれるから、成果はあったとなってしまって、やっぱり社会実装した結果の評価手法の研究というのが全然なされないんです。難しいのですけれども、もしやるとしたら、防災科研さんには腰を据えて、そこのところに叡智を注いでいただきたいという気がいたしました。
期待するというところで、このような内容でいいかどうか分かりませんけれども、以上です。ありがとうございました。
【中川部会長】 ありがとうございます。新海委員、いかがでしょうか。
【新海委員】 今回から火山分野の研究が新しく入ってきた中で、これから色々な最先端の研究を行っていくのは非常に大事だと思っています。、一方で、今回も20ページに記載がありましたが、現状の課題の中に、耐用年数を超えて老朽化しているものがあるとか、必要な部品の交換が困難だとか、そういう設備更新に関わる課題が多々あります。これから長期にわたって様々なデータ計測を行っていく上で、実際に計測したデータの信憑性に疑義が生じないようにするために、必要な設備更新とか維持管理コスト計画的に織り込みながら研究テーマを進めていただきたいと思っております。
以上です。
【中川部会長】 ありがとうございます。実務的なお話。
瀧澤委員、いかがでしょうか。
【瀧澤委員】 大変長い間、私もお世話になりまして、ありがとうございました。先生方がもう御指摘されたことで、ほぼカバーされていると思うのですけれども、先ほどちょっと先走った質問をさせていただきましたけれども、防災へのニーズというのは社会的に非常に高まる一方で、防災庁も新たに立ち上がるということで、防災研がやっているような仕事というのは、やはり社会に10年ぐらいのタイムラグで実装されるようなことを先んじてやっていくということですので、そこの重要性をしっかり社会に訴えていって、確実にこれからも研究所として発展していただくことを大変期待しております。
それとはちょっとまた別の観点で、1点お礼を申し上げたいし、これからも応援していきたいと思っていますのは、実は私はこの部会の委員になってからも、委員であるということは隠して広報課に取材の申込みというのを何回もさせていただいたことがありました。委員であることは割と認識されておらず、ふつうに対応していただいたのですけれども、必ず迅速に対応していただいて、必ずしかるべき研究者を紹介していただいということが100%でした。実は、大学などですと、ばらつきがあって、取材申込みをしてもお返事をいただけなかったり断られたりということもありました。けれども、防災科研さんの場合にはしっかりそこをつないで、国民への情報発信ということもやっていただいていると認識しております。防災科研の仕事というのは、気象庁や、先ほどの内閣府のSOBO-WEBといった現有の機関につながっていくので、国民の目から、割と目に触れないところの縁の下を支えている。ですので、例えば未来の科学者の卵を集めるにしても、防災科研というのはそもそも知られていないよねという歯がゆさが若干あるのです。この期間中、防災科研そのもののブランディング化というのもやっていただいてとてもよかったと思うのですけれども、そういったことも引き続き継続していただいて、国民の目に直接触れるような形で、頼れる研究をやっているのだということを、ぜひ引き続きアピールしていただきたいと思いますし、私自身も微力ながら、そういったところで貢献できればと思います。
【中川部会長】 ありがとうございます。
布施委員、いかがですか。
【布施委員】 最後なので伺って御挨拶をしたかったのですが、今までどうもありがとうございました。私は引き続き3年目でということで、また携わらせていただくのですが、2年前に初めて参加させていただいたときに、専門が防災関連の業務ではないので、新しい話ばかりでしたが、皆様方の御議論がすごく勉強になりました。ほかの委員の皆様方にも、丁寧な説明をしてくださった防災科研の方にも、お礼を申し上げたいと思います。
その上でお話を差し上げたいのが、評価をさせていただいたところで、評価が近視眼的になってきていないのかしらというのがちょっと気にかかるところでした。評価をしなければいけないので、短期的な成果を記載することに注力されるようなことがないようにしていかないといけないのではないのかなということを感じました。評価する目的は、PDCAでサイクルを回してうまく役に立てるようにというところを考えていかなければいけないと思うのですが、なかなか年度評価をすること自体が目的になってこないように、私自身も気をつけながら見ていかないといけないなということは感じました。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【中川部会長】 ありがとうございました。いろいろと皆さんから、ここで、私も含めて終わる委員もいるので言葉をいただいたきました。
私も一言申し上げると、この研究開発法人審議会という枠組み、それから防災部会という枠組みのできる前に、独立行政法人の評価というものが行われていたときは、ありていな話で言うと、安いコストでできるだけサービスしなさいという、やることが定型的な業務を持った法人の評価と同じような評価の仕方が今の研究開発法人にも適用されていた。そのことの反省でつくられたのが、研究開発法人という制度だと理解しています。そういう意味でいうと、今も何人かからお話がありましたけれども、短期的な成果を上げるとか、そこの法人が何か成果をあげていることが大きな目的ではなく、「防災科学技術に関する」という頭がつきますけれども、「研究開発成果の最大化」のためにどれだけ貢献したかということが、評価軸として置かれている。それは、10年前に我々がミッションとしてもらったことで、その議論をずっと10年間やってきたと思います。先ほど越村さんもおっしゃっていたように、それを考えるということが本当に自分たちの足元を変えることになったのかなと思います。
防災科研の場合は、かなりやりやすかった法人だと思います。目的がはっきりしています。ただ、それが自法人の最大化ではなくて、防災科学技術の研究成果の最大化というものはどこまでできたのか。これは、「我が国の」という言葉がつきますけれども、特に防災科研が面倒を見ているMOWLASのデータというのが世界中に貢献していることによって、世界の防災科学技術のというか地震とかの研究の最大化に貢献したわけです。一方で、それがぐるっと回っていくと、日本の国で起きていることをたくさんの国の研究者に最先端で研究していただけるインフラを防災科研が支えている。それはひいては、我が国の災害被害・震災被害の軽減につながるということにもなっている。そこはすごく地味な作業ですけれども、そういうところを支えていただいているインフラになっているということを誇りに思う。そういうことを私たちがどうやって評価するか、ずっとやってきたように思います。
なかなか、すぐ成果が出るものでもないし、新海委員のお話もありましたけど、それをどうやって支え続けるかなどというようなことがどれだけできているかということも、我々はできるだけ評価してきたつもりです。
一方で、何度か申し上げさせていただいて、「指摘事項」にも書かせていただいていることですが、一番研究成果を分かっているのはそれぞれの研究者のはずなんです。それぞれの研究者が、今どこまで研究が進んでいて、何がネックなのかということを、自らのマイルストーンのようなものを、モニタリング指標として考えていただき、そこを自己評価し、我々に正直なところを見せていただく。こちらはそれを、できるだけ頑張れと言ったり、もう少し改善しろというようなコメントをしていく。それによって、我が国の防災科学技術が進むということになるのだと思います。評価軸も自分たちで見いだしてほしいと思います。今後、継続してやっていただく皆さんには、ぜひそのあたりを引き続き意識してもらえればと思っております。
研発審の議論の中で、小さい法人だから成果が出しやすかったと言われたりしましたが、そこで皆さんが頑張っていただいたと思います。研発審の本会議でも、問題点を指摘するだけの評価ではなくて、研究のモチベーションをできるだけ上げてもらって、いい成果を出してもらおうということを意識して議論をしてきて、防災部会でもそういう議論の方向性であったと思いますので、皆さんの御協力に感謝いたします。
改めて、委員の皆さんや法人の皆さんへの感謝と、引き続き自己評価できるように日頃からよく考えてくださいというお願いをして、私からの最後のお話をさせていただきました。
時間があれば、参考資料4の「指摘事項」というペーパーにコメントを頂いて、防災部会からのコメントとして出したいところなのですが、時間がちょっとなくなってきたので、これは宿題として、皆さん改めて読んでいただいて、足りない部分、これを加えたほうがいい、この書き方はちょっと違和感がある、などということがあれば、事務局にメールで連絡頂くようお願いします。それをまとめて、審議会の場で次の期の審議会の方々に引き継ぐ資料としてことになります。よければ、皆さんの宿題でお願いしたいということにしたいと思うのですが、いかがでしょう。国崎委員、それでいいですか。
【国崎委員】 はい。
【中川部会長】 事務局、これは何か段取りなどはありますか。
【大慈弥調整官】 今まだ、10分、15分程度という時間はあるんですけど、でも全員というとなかなか時間がないのかなというと、メールで頂くというのがいいかなと思うのですけれども。
【中川部会長】 メールで頂くとしたら、期限的にはいつ頃までにどうこうというのはありますか。
【大慈弥調整官】 その点については、今おっしゃったのは参考資料4というところの件だと思うので、まだそこは次の審議が、1月30日は中長期目標の変更の議論という場になりますので、そこではまだ報告という形ではならないかと思いますので、もう少し時間があると思います。そこは、次の日程がどうなっているか確認した上で追って、よろしければ事務局のほうから日程を御連絡させていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
【越村委員】 すみません。1点だけ教えてほしいんですけど。
【中川部会長】 どうぞ。
【越村委員】 参考資料4で赤字になっているところは、どういうふうに捉えればいいですか。
【中川部会長】 赤字は、前年度から今年度への書き加わった、平成5年度版から6年度版に書き加えたところです。
【越村委員】 書き加えた場所ということですか。
【中川部会長】 そうです。そこを指しています。だから、この赤字は今現時点では特に意味はありません。すみません。そのまま最新のものというので、赤字が残ってしまったということです。
【越村委員】 そうですか。分かりました。すみません。
以上です。
【中川部会長】 それで、皆さん、多分、越村委員なども分かると思うのですが、これは防災科研で議論したことだなということが、かなり幾つかのところに入っているようには思います。
すみません。事務局から話があったように、1月30日ではなくて、3月にもう一回、今、日程調整中の審議会があります。審議会も10年経って、年度末に委員が大分交代することもあって、「指摘事項」についてを次の人たちに申し送りするために、もう一回、審議会があるという予定です。そのときに、もう少しこの指摘事項についてというペーパーを議論したいと思いますので、みなさんから締切りに間に合うように送っていただければと思うのですが、それでよろしいでしょうか。
よろしいですか、新海さん。
【新海委員】 はい。
【中川部会長】 よろしいですか、越村さん。
ありがとうございます。ということで、私の仕事はそこまでかな。
【大慈弥調整官】 この会議をこの時点で終了させていただいて、今おっしゃった中長期目標の変更については、1月30日に審議をして報告するという形にさせていただきます。
先ほど申し上げた2つ目の指摘事項については、もう少し時間を、審議会の日程を確認した上で、いつまでというところも併せて事務局から御連絡させていただきますので、後ほど事務局にメールを頂ければと思っております。
というので、事務局としての今後のスケジュールは以上となります。
【中川部会長】 ありがとうございます。
それでは、今回の第39回の防災科学技術研究所部会ですが、部会としてはこれで終了させていただきたいと思います。
事務連絡が、あと別途ありますので、委員の方は残っていただくことになりますかね。どうも、最後までありがとうございました。拙い進行でずっとお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
【越村委員】 中川さん、本当に長い間お世話になりました。ありがとうございました。一番大変なお役目だったと思います。お疲れさまでした。
【中川部会長】 ありがとうございます。
では、すみません。部会としては、こちらで終わりになります。
【大慈弥調整官】 終了とさせていただきますので、傍聴の退室の手続をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【中川部会長】 ありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局 地震火山防災研究課