国立研究開発法人審議会 防災科学技術研究所部会(第30回) 議事録

1.日時

令和4年7月27日(水曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立研究開発法人防災科学技術研究所の第4期中長期目標期間終了時の業務及び組織の見直し内容案について
  2. その他

4.出席者

委員

中川部会長、国崎部会長代理、越村委員、重川委員、新海委員、瀧澤委員、Mori委員、若林委員

文部科学省

小林研究開発局地震・防災研究課長、福田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、山田研究開発局地震・防災研究課室長補佐、新宮研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室係長 他

5.議事録

【山田室長補佐】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第30回国立研究開発法人審議会防災科学技術研究所部会を開催いたします。
 現在は6名の委員に御出席いただいており、定足数を満たしております。また、若林委員と越村委員は13時半より御参加を予定しております。
 それでは、議事進行を中川部会長にお願いいたします。
【中川部会長】  皆さん、こんにちは。暑いところ御苦労さまでございます。なかなか急な、こんな拡大になるとは思っていなくて、この7月終わりぐらいは対面でできるかなと思いましたけど、残念ながら、またオンラインになってしまいました。
 本日の議題は、今話があったかもしれませんけど、国立研究開発法人防災科学技術研究所の第4期中長期目標期間終了時の業務及び組織の見直し内容についてということになります。特に評価ではないので、非公開とする理由はないと思いますので、これは公開にすることとしてよろしいですか。よろしいですか、皆さん特に御反対の意思はないようですけど。
【中川部会長】  それでは、公開とさせていただきますが、その前に一言、公開をする際には、先日御議論いただきました法人評価の結果については、まだ確定しておりませんので、その評価結果についての発言は避けていただきたいと思います。結果ですね、いろんなことをしゃべるのはしようがないにしても、SとかAとかいう話は避けていただきたいと思っています。そのことについて事務局から補足、何かありますか。
【新宮係長】  文部科学省地震・防災研究課の新宮でございます。補足させていただきますと、法人評価につきましては、今し方、中川部会長からもお話がありましたとおり、現時点では公表前となりますので、本日のご議論では、法人評価の評定案および評定理由等に関する内容につきまして、言及いただかないよう御注意いただければと思います。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。ちょっと声が聞き取りにくかったりするので、すみません、近くでしゃべっていただけるとありがたいと思います。
 それでは、傍聴者がおられる場合は手続をお願いいたします。事務局、よろしくお願いします。
【山田室長補佐】  少々お待ちください。傍聴の手続き完了いたしました。
【中川部会長】  ありがとうございます。それでは、議題に入りたいと思います。
 事務局より配付資料及び審議の進め方について説明をお願いいたします。
【新宮係長】  事務局より御説明させていただきます。本日は、国立研究開発法人防災科学技術研究所の第4期中長期目標期間終了時の業務及び組織の見直し内容案等について御審議をお願いしたく存じます。資料につきましては、議事次第にも記載されているとおりではございますが、見直し内容案の議論に関するものとして、資料1-1の論点例、また資料1-2の見直し内容案がございます。加えて、今後のスケジュールに関する資料2と、そのほか参考資料1から7がございます。委員の皆様には事前にメールにて送付しておりますが、欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 御説明は以上になります。
【中川部会長】  よろしいですか。皆さんお手元に御用意いただければと思います。
 それでは、この審議の進め方について何かありますか。資料についてとか、よろしいですか。
 それでは、見直し内容案の資料について、中身の説明を事務局からお願いいたします。
【新宮係長】  事務局より、見直し内容案及び御議論いただきたいポイントについて御説明いたします。ただいま画面に資料1-2を投影しております。
 国立研究開発法人においては、中長期目標期間の終了時に、独立行政法人通則法第35条の7に基づき、業務及び組織の全般にわたる検討を行い、所要の措置を講ずるものとされております。文部科学省では、この所要の措置について、見直し内容という形で公表することとしております。見直し内容は次期中長期目標の骨子、方向性になるものです。こちらを8月中にまとめ、次期中長期目標を作成していくこととなります。他方で、この見直し内容は、法令に基づき、各法人ともおおむね一定のフォーマットに沿って定型的な内容を記載すべき箇所も多く、なかなか柔軟な書きぶりがむずかしいところがございます。つきましては、本日の部会においては、まずは見直し内容案を御覧いただきつつ、今後の事務局における検討や調整を見据えまして、さらに大所高所から様々な御意見を賜りたいと考えております。別途主立った論点についてまとめております。
 それでは、資料の順番が前後してしまい恐縮ではございますが、まず資料1-2の見直し内容案について御説明いたします。
 構成としましては、まず1ポツ目の政策上の要請及び現状の課題と、2ポツ目の講ずるべき措置という、大きく2つのパートに分かれております。近年のほかの国立研究開発法人のものとも、大まかな構成や内容の書き方のトーンについては合わせております。
 内容の御説明に移ります。まず1ポツ目、政策上の要請及び現状の課題についてです。
 (1)の政策上の要請には、1段落目で、国立研究開発法人防災科学技術研究所法によって定められている法人の目的と、防災科研の役割について記載しております。その後、2段落目以降では、第6期科学技術・イノベーション基本計画等、近年の政策文書における防災科学技術分野で推進が求められている研究開発について記載しております。
 2ページ目の39行目からの段落、「防災科研は、これまで我が国における」から始まる段落です。こらちと、その次の段落では、ここまでに記載してきたような政策上の要請も踏まえ、次期中長期目標期間では、防災科研は、これまでの役割に加えて、防災・減災分野のDX、デジタルトランスフォーメーションを通じたレジリエントな社会の実現への貢献、また、災害の各フェーズにおいては、各主体のニーズを踏まえること、さらに、研究開発成果の提供により各主体における災害への対応能力を向上させる役割を果たすことが求められるということについて記載しております。
 続いて、3ページ目の(2)現状の課題の項目についてです。こちらでは、大規模自然災害から国民生活や国民経済等を守るため、発災前の予測・予防力の強化のみならず、効果的な災害対応手順の一般化、発災後の事業継続等の対応力、早期の復旧・復興力の向上等に資する取組のさらなる推進が喫緊の課題である旨を記載しております。防災科研では、現行の第4期中長期目標期間において、防災科学技術の中核的機関として様々な研究開発に取り組んできたところですが、次期目標期間においても、さらに研究開発の取組を統合、発展させ、防災科学技術の総合知の拠点としての取組を強化する必要があると考えております。取り組むべきと考えられる具体的な課題を、以下箇条書にしております。
 以上の政策上の要請と現状の課題を踏まえまして、次期中長期目標期間で講ずるべきと考える具体的な措置を、4ページ目からの2ポツ目「講ずるべき措置」に記載しております。
 (1)の中長期目標期間については、これまで同様、7年間としたいと考えております。
 (2)の中長期目標の方向性には、今後の目標策定の際に留意していく次期中長期目標の骨子となる内容を記載しております。内容について順番に御説明してまいります。
 まず、レジリエントな社会の実現に向けた防災科学技術の研究開発については、1つ目の白い丸の箇所で、次期中長期目標の大きな目玉として、防災科研が防災・減災DXの拠点として、総合知による中核的機関としての役割を果たすことが重要だと考えております。また、2つ目の白丸では、様々な災害の予測・予防、応急対応、復旧・復興に係る研究開発を担う機関として、基礎・基盤的な研究開発の推進に取り組むことを記載しております。
 続いて、レジリエントな社会を支える研究基盤の適切な運用・利活用については、地震、津波、火山の各種ハザードに関する観測網の整備・運用の推進についても記載しております。レジリエントな社会を支える中核的機関の形成では、産学共創や防災科学技術の成果の発信、ほかの研究開発法人や民間企業等との連携、国際協力体制の構築、また指定公共機関としての防災行政の活動の支援等について記載しております。
 さらに、以上のような取組を支える基盤的な取組として、6ページ目以降、こちらには部門間の連携強化や業務・組織改革に関する記載である「効果的かつ効率的な組織運営及び組織体制の見直し」や、「財務内容の更なる改善」「人材確保・育成に係る取組の推進及び公表」「情報セキュリティ対策及び情報システム整備・管理等の推進」についても記載しております。
 以上が次期中長期目標の策定に向けての方向性として、文科省として重要と考えているポイントを見直し内容案として記載しております。
 次に、先ほど申し上げた大所高所から本日御議論賜りたい論点として、資料1-1について説明させていただきます。こちら画面にも資料1-1を投影させていただいております。
 ここに掲げた論点につきましては、おおむね先ほどの見直し内容案にもキーワードとして掲げられているものが多いのですが、これらの論点につきましては、次期中長期目標の期間が7年間にわたることも踏まえますと、技術の動向や今後の災害発生の可能性など、なかなか現時点で見定めることが困難な点もございます。つきましては、本日はこちらの論点を基に、あるいはそれ以外に議論すべき論点も含め、防災科研として中長期的に取り組むべき、あるいは次期中長期目標期間を見据え考慮すべ事項等、今後の大きな方向性について御自由に御議論賜りたく存じます。
 本日御議論いただいた内容につきましては、今後の次期中長期目標案等の検討や、あるいは概算要求を含め、防災科研に関係する様々なプロセスにも反映させていただければと思っております。
 事務局としての御説明は以上となります。本日は御議論のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【中川部会長】  ありがとうございます。今、見直し内容の案というものを御説明いただき、それから、ここで皆さんで議論していきたい論点例として挙げられたものについて、ぜひ自由な議論をというこでございました。今日はこの後14時55分まで、時間がたっぷりあります。皆さん既に読まれてきたかと思いますし、今お話もあって、見ていただいたと思いますが、この後13時半になったらお二人入られますので、そこでさらに議論したいと思います。
 一応この論点例というものを、せっかく今画面に出してもらっていますし、あまり論点が散らかると、せっかくの議論がもったいないので、この論点例を一個ずつ、御意見を伺っていくのがよいかなと思いましたけど、いかがでしょうか。何かほかに方法があれば。あとは、もう最初から、この論点例以外にも幾つか、一緒に皆さんで、御指摘いただきたいことがあったら、先にお話をいただければなと思うんですが、どなたかいかがでしょうか。とりあえずこの論点例をやりながら、ほかにも論点あるよねというのが出てきたら付け加えていくということでよろしいですか。
 新海委員、ありがとうございます。うなずいていただくのは大変心強く。ぜひ顔を見せていただきながらお話しいただけるとありがたく思います。よろしくお願いいたします。
【中川部会長】   ありがとうございます。お顔を拝見しながらですとお話がしやすいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 なかなかこの論点例の中核機関の在り方というところへいきなり行くと、大変かなと思うのですが、どうしましょうか。2番目以降のほうが、まだ比較的話がしやすいかなと思って、それで中核機関というところへ戻ったほうがいいかなと思ったりもするんですが、どうですか。
 重川委員、いかがでしょうか。
【重川委員】  1番目の防災科学技術の中核的機関というとちょっと大き過ぎて、これが一番最後、各論を議論した姿がここの在り方になっていくんじゃないかなというふうに思っているんですけれども。
【中川部会長】  ありがとうございます。私もそう思いましたので、取りあえず2番目ぐらいのところからお話しいただいてと思っておりますので、いかがでしょうか。各論10分ずつぐらいはあるので、長くならないように、お一人二、三分程度で、それぞれ思っていることがあったら、いただければと思いますし、同じ御指摘があれば、同じ御指摘だということで、順番に、私が見えているところから、新海委員、瀧澤委員、重川委員、モリ委員、国崎委員という感じで画面上見えていますので、その順番で、次、国崎委員まで行ったら、今度は瀧澤委員、重川委員、モリ委員、国崎委員、新海委員と、その間にきっと2人参加するでしょうから、いけるかなと思っています。よろしくお願いいたします。
 それで、いきなり新海委員、最初にうなずいていただいて大変申し訳ないんですけど、直近の自然災害とか気候変動、社会情勢等を踏まえた対応の在り方、割とこういうことをずっと、この7年間の中期計画で防災科研はすごくやってきたと思うんですが、これをどういうふうにして次に考えていくかとか、見直しに向けて何か必要なことがあるかということについて、この見直し案、こちらの文科省が出してきたものを眺めながら御意見いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
【新海委員】  新海でございます。これは自然災害、直近ということもあるんですけど、直近という言葉だと、時間軸が結構あるかなと思っておりまして、この数年、まさに線状降水帯の話もありましたけど、そういったレベル感の話なのか、やはり自然災害ですと5年、10年、あるいは100年スパンというのもありますので、これの時間軸の取り方のイメージが、どのぐらいをイメージされているかなというのが物によって変わってくるかなという感じがしますので、そのイメージに合わせればいいかなと思っております。当然、短期的なものもあれば、中長期の研究もあると思っていまして、特に今回、書いてあります複合災害という言葉が、最近やはり社会的にもお話あるかと思っておりまして、我々民間としましても、やはり複合災害に対する備えというのは、今まで単発だったものが同時に起きるのでということがありますので、この複合災害に対する取組というのは、非常に私どもニーズとしてはございます。
 ということで、地球規模の変動という長い視点での、温暖化を見据えた気候変動のこととか、あるいは今起きていることとかによって、何となく対策の取り方も違うかと思いますので、その辺の時間軸、イメージ軸を合わせるようなことがあるといいかなと思っていまして、そういった意味で、前提条件のイメージが少し、この方向性を示す上で一つ議論があるといいなという感じがしました。
 以上でございます。
【中川部会長】  ありがとうございます。多分民間側からすると、四半期ごとの決算とか、いろいろ短期のところで追われたりするところがあるので、民間さんはやっぱりそれなりに中長期計画を社内で立てられると思うんですけど、そういうときのメルクマールみたいなものをいただけるとありがたいという感じもありますよね。
【新海委員】  はい、そのとおりです。
【中川部会長】  ありがとうございます。そういう意味では、そういうものを先取りしたようなことを示していただきたいということですかね。ありがとうございます。
 次は瀧澤委員、いかがでしょうか。
【瀧澤委員】  ちょっと今日は外からつないでいまして、なかなかソフトがままならなくて申し訳ないんですけど。
【中川部会長】  はい、了解。じゃあ無理やり顔を出さなくてもいいですよ。
【瀧澤委員】  既に案のほうにかなり盛り込んでいただいているので、少し外れたような話をあえてして、何か引っかかるかという話なんですが。
【中川部会長】  いいと思います。
【瀧澤委員】  やっぱり研究機関ですので、次の期間、7年とは言いつつも、10年先、20年先、あるいは50年、100年みたいなこともちょっと頭の隅に入れて、着手すべきものが何なのかというのを考えたほうがいいと思うんですけれども、とかく技術が精緻化していくと、非常にぜいたくなシステムになりがちだと思うんですけれども、ぜいたくって、お金をかけるという意味ではなくて、平時を前提としたシステムというんですか、これから温暖化が進んでいって、気温がどんどん上がっていくとか、そうするとCO2の排出削減の話も、もちろんもっと対応しなきゃいけないことがあるでしょうし、あるいは自然災害が起きて、いろんな通信が寸断された場合にも、地方自治体がちゃんと業務遂行できるようなシステムとか、私たちが今当たり前と思っている衣食住が足りている状態ではない環境でいかに生き延びるかというようなことが、結構、今私たちは恵まれた環境にいるので、どんどん技術を精緻化していくと、それが前提になって、当たり前になって開発していくと思うので、それを1回外したような技術開発というのが、結構これは長期、長時間かけないとできない課題って出てくると思うんですけれども、ちょっと抽象論で申し訳ないですけれども、そういったところで専門的に、こういう技術が必要だということがもしあるならば、早く着手して、やったほうがいいかなと思います。
 すみません、ここまでが今精いっぱいで、また思いついたら発言させていただきます。
【中川部会長】  ありがとうございます。研究機関だからこそできる長い目線とか、あと社会情勢というのも、ぜいたく化というか、一方で、もうちょっと引き算したほうがいいんじゃないのということも含めてということかなと、聞いていて思いました。ありがとうございます。
 重川委員、いかがでしょうか。
【重川委員】  ありがとうございます。話題になっている2番目の丸なんですが、この社会情勢等を踏まえた対応の在り方の、「対応」の主語というのは、中川さん、これは誰を。
【中川部会長】  これは防災科研ということですかね、研究所の対応ですね。
【重川委員】  防災科研の振る舞い方という。
【中川部会長】  そういうことだと私は、我々に今与えられているのは防災科研の中長期目標の見直しの内容ですので。文科省、そうですよね。
【新宮係長】  防災科研の対応について御議論いただければと思います。
【中川部会長】  ですよね。この対応は防災科研です。
【重川委員】  分かりました。そうすると、この2番目の項目と、それから4番目のデータの利活用とか分かりやすい情報提供、それから、最後から2番目の政策上の要請とか民間の連携とか、実は私の頭の中ではこれは一体化していることなんです。いずれをやるにしても、やっぱり一番ここの肝になるのは、理学、工学、科学的という言葉がいいかどうか分かりませんが、言ってみれば、ハザード、様々な現象を観測・研究する分野と、もう一つは、社会情勢とか民間との連携とか、有効な、分かりやすい情報提供とか、そちらではない、社会科学的なチームがあるんですけれども、そことの連携に尽きるのかなと、それがベースになっていて、ここに書いてある幾つかの丸というのは満たされるのかなというふうに考えています。
 ですから、今話題になっている2番目の丸そのものについて、じゃあ防災科研がどう対応すべきかというと、ちょっと具体的にイメージが湧かない。やっぱりやるべきというのは、今申し上げたように、特に組織内部での連携強化というところ、それから風通しのいい環境づくりというところが1点あるのと、それともう一つは、直近の自然災害、気候変動というふうにあるんですが、直近という言葉がちょっと引っかかっておりまして、自然現象、もちろん直近、気候変動でここ数年、明らかにかなり特徴的なものもあれば、桜島の噴火もあるんですけど、非常に長いスパンで動きつつある自然現象。あるいは、過去に起きたものではなくて、将来的な問題、気候変動なんていうのはもしかしたらそうなのかもしれないんですけれども、そういう意味では「直近の」というワードが、ちょっと私には違和感があって、直近ばかりを気にしていただくのではなく、やっぱり自然現象ってとてもサイクルの長い出来事、それから人間の営みというのも、ここのところ非常に変化が激化していますけど、それでもゆっくりとした営みの中で、いろんな物事が、社会情勢というのは変わってきているので、そこのところをもうちょっと長いスパンで捉えていただくようなほうがいいのかなというふうに思っています。
 今申し上げられるのは、そのぐらいです。ありがとうございます。
【中川部会長】  ありがとうございます。重川さんの、先ほどの理学、工学の話と社会学的な話も、多分次の3つ目の話と絡むと思うので、またそこでも少し突っ込んだ議論ができればと思いますが、ありがとうございました。
 モリ委員、いかがでしょうか。
【モリ委員】  この五、六年の間で防災科研、物すごく変わったと思う。社会情勢とか、そういう向きの研究とか、そんなのが多くなって、大体いい方向とか、いい結果になっていると思う。将来にどのぐらい続くとか、どのぐらい増えるかは、多分、防災科研、考えられたと思う。例えば、僕が前に言ったのは、論文が少なくなっている、普通の研究論文、これ、当然と思う。こういういろんなプロダクトとか、そんなのをつくったら研究の時間が少なくなる。そして、今だったらバランス的に悪くないと思う。でも、これがずっと続いたら、もう研究、だんだん少なくなる、そして研究者も、多分ちょっと迷っていると思う、時間、どう使うかで。だから、五、六年前ぐらいは物すごく少なくて、そして今は結構行っている。でも将来に、これが本当に物すごく多くなったら、研究の時間とか、そういうのは多分、すごぐ少なくなる、あまりよくないと思う。だから、何がいいか分からない、でも、ちょっと議論して、いいバランスは必要と思います。
【中川部会長】  ありがとうございます。先ほどの重川委員とちょっと重なっているようなところもあるような気がして、重川委員は内部での議論、風通しという話をおっしゃっていましたし、今、モリ委員のいいバランスというのは、すごくそういうことにもつながるのかなと思って、聞いておりました。それは、なかなかそこまで書いていないところで、その辺どうやって書くかというのは一つのポイントかなと思いました。
 続いては国崎委員、いかがでしょうか。
【国崎委員】  直近の自然災害や気候変動、社会情勢を踏まえた対応の在り方というところで、私自身は、この地球温暖化の影響というのは、我が国だけではなくて、世界共通の課題だと思っています。特に風とか水ですね、洪水であったりハリケーンであったり、こういった共通の課題に対して我が国が国際的にどのようにリーダーシップを持って対応できるのかとか、もしくは連携できるのかというところの部分を、今後もさらに研究体制として、国際連携というような体制を踏まえながら実施していくということがやはり重要なのかな、一層重要になっていくのかなというふうに思いますし、災害事象によっては、重川委員のように、長期的にしっかりと研究をしていくというところも大事なんですが、気象災害に関しては、今後の人類の歩み方によっては、より加速して変化をもたらすということもあるかもしれません。
 そのことからも、やはりある意味スピードを持って研究する分野もあるんだろうと思いますし、さらに社会の動態を見ていきますと、マスメディアから、いよいよマイクロメディアの時代に入ってきて、気象庁を通じて国民に発信するというよりも、もうダイレクトに今何が起きているのかを知りたいということで、フェイスブック、ツイッター、ブログ、メールマガジン、ウェブサイト、いろいろな受け手があるかと思うんですけれども、ますます、今自分がどういう状況に置かれているのか知りたい、それを社会として、ニーズとして求められているかと思いますので、メッシュの問題もあるのかもしれませんが、もっとマイクロメディアに対応できるような、そういった発信の仕方というのも視野に入れながら研究していくというところも必要なのかなというふうに思っております。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。多分、今の国崎委員の話は、下から2つ目の民間との連携の在り方とか、その辺のことにも絡んでいることかなと思います。そういう個別のニーズに対してどうやってやっていくかということは、ある意味、研究でなければできないところもありますから、実務である気象庁とかはできないところだと、そんなのが期待されていることだと思います。
 若林委員もお入りになられていることは分かっているんですが、聞こえていますか。
【若林委員】  はい、聞こえております。
【中川部会長】  今何をしているかというと、今目の前に見えているのは資料1-1の見直しに向けた論点のところで、お手元に既にお届けしている資料2の業務及び組織の見直し内容、次の中長期計画をつくるためのベースになる資料なんですが、それについてざっと文科省から御説明いただいて、そこのポイント、議論してもらいたい論点として抜き出したのが資料1-1で、取りあえず今、それを基にして皆さんから御意見を伺うということをやっています。
 ポツの一番上が中核的機関の在り方というもので、それは全体なので、ちょっと重いので、個別に行こうということで、2番目の直近の自然災害というような文章について、この見直し内容を見ながら、足りないもの、もう少し強調したほうがいいものとか何かがありましたらコメントいただくという格好で、今やっています。
 順番に、私が見えているところから、新海委員から順番に来たので、最後は若林委員で、まだ入っておられないので、そこは若林委員まで行ったら、次は今度、瀧澤委員と、順番になる予定でございますので、若林委員から、直近の自然災害や気候変動、社会情勢等を踏まえた対応の在り方ということに関して御意見、コメント、この見直し内容について足りないところとかありましたら、コメントをお願いします。
【若林委員】  特に私、直近の自然災害が多い中で、先ほども御意見ありましたけど、もっと前面に出て、社会実装なり、そういったことができないのかなというふうに思うんですけど、それは仕組み的にできないのかしら。ずっとその辺が聞きたいところです。
【中川部会長】  例えばSIP4Dみたいなものができて、もうちょっと早くみんな使えばいいのにと、そういうようなイメージですか。
【若林委員】  そうですね。そんなのはやっぱり難しいんでしょうね。
【中川部会長】  いろいろ予算があって、それぞれの。今かなり可及的速やかにやっていると思ってはいて、都道府県がみんな、何年かに一度のシステム入替えのところを、こっちを使ってと、ちょっとずつやっていっているんじゃないかと思うんですけど……。
【若林委員】  はい。やっているんですよね。
【中川部会長】  それでもかったるいという話は、よく分かります。
【若林委員】  そうなんですよね、そこを。だって、皆様やっぱり……。
【中川部会長】  やり方はないのかなということですね。
【若林委員】  なかなか進捗度合いがゆっくりかなと思ったりしています。
【中川部会長】  何というか、王道のやり方と、もう少し、バイパスじゃないですけど、さくっと使える。そういう意味で言うと、SIP4Dとかのところで言うと、ちゃんとシステム構築して入れるやり方と、今のウェブ上での進み方、それで取りあえず見てもらうみたいなことはやってはいないけど、ちょっと物足りないというところですか。
【若林委員】  そうですね、はい。
【中川部会長】  ありがとうございます。
 最後にちょっと私のほうから、もう皆さんから出た御意見にも重なるんですが、やっぱり直近と言われると、文部科学省、それから政治的要請とか含めて、どうしても直前災害がこんなことがあったから、これに対して対応しましょうということが政策目標として出がちなのはよく分かりますが、それに振り回されないようにしていただきたいということは思っています。そもそも基盤観測網と言われていたものがどうしてスタートしたかというと、阪神・淡路で、1,000年に一回クラスの内陸の断層による地震についても評価しましようと、それはやっぱり我が国として必要であるという、大きな犠牲の下につくられた方針ですから、そういう長い視野を持っていなければいけない。そういう社会情勢が変化しても対応していかなきゃいけないということも一方で置いておかないと、目先に振り回され過ぎるなというところは気をつけなければいけないなと思います。
 この書きぶりは少し、ニーズ、ニーズ、ニーズで行ったら、ちょっとよくないぞと思っています。それは多分、さっき重川委員がおっしゃっていた、自然科学のところから見えてくることだと思いますし、九州北部豪雨のときに議論がありましたけど、河川防災とかをやっていらっしゃる方は想定外ということを言うんですけど、地形的に見れば、過去に起こったことによって実はあの地形ができてくることからすると、繰り返されてきた災害とも言える。そこに人の暮らしがあったどうかは別として、そういう自然というようなものを読み解く力、それをまた社会と共有する力というようなことも考えると、やはりかなり、1,000年オーダーとか、そういう視点も持っていただいて、そこをベースにしながら今の気候変動とか社会情勢の変化にどうやって対応していくかというようなことが必要なんだろうと思っているので、少し、どうしても直近の対応だけに振り回されないようにしていただきたいと。そこはやはり長年の蓄積のいろいろなベーシックな研究、地質学的なものも含めて、そういう研究を、さっき重川委員がおっしゃっていたような、今の生の防災、それから社会とかと合わせていく、そこが研究開発になるんだと思いますので、その次にありますけど、総合知みたいなところにつながっていくのかなと思っています。そこがちょっとここのところで気になったところです。
 ということで私のほうからで、まだ来られませんよね。
【越村委員】  すみません、遅くなりました。先ほど、2分ぐらい前に入りました。
【中川部会長】  どうもありがとうございます。今何をやっているかというと、資料1が正面に出ていますけども、資料2の業務及び組織の見直し内容という紙のほうを説明いただいて、その中で、文科としてここのポイントを皆さんに議論いただきたいということで、一人ずつお話をお伺いしていっています。一番上の中核機関の在り方というのはあまりに重たいので、まず2つ目ぐらいから1つずつお話しいただきながら、多分、1個議論すると、ほかの話も全部出てくるので、そこは芋づる式的に話をしていただいても構わないと思いますが、お一人ずつお話をお伺いしていきながら進めたいと思っています。
 ちょっと今、話を聞かれたと思うんですが、2番目の直近の自然災害や気候変動、社会情勢等を踏まえた対応の在り方ということについて、特に、例えば4ページ目の講ずるべき措置の辺りに書いてあることに該当するんじゃないかと思うんですけど、御意見をいただければと思います。
 よろしいですか。いきなりで申し訳ないですけど。
【越村委員】  私も、先ほど中川さんがおっしゃっていた、要するに、起きた後の対応を一生懸命やるということも重要なんだけれども、やっぱり気候変動とかも少し、歴史ですよね。過去の災害の教訓とか歴史も踏まえた、比較的長い時間的スケールでの研究を行っていくということという考え方だと思うので、それについては私も重要だというふうに思っている次第です。
【中川部会長】  ありがとうございます。その書きぶりはもう少し、そういうことができる人がいるはずなのでということをきちんと書いてほしいということ。
【越村委員】  だから歴史学の視点とか、そういうことかな。
【中川部会長】  なるほどね。多分それは次の総合知の話にもちょっとかかってくると思うので、覚えておいていただいて、その話はまた次に強調いただければと思います。
 次は、瀧澤委員、重川委員、モリ委員、国崎委員、若林委員、越村委員、新海委員の順番で行きますから、すみません、瀧澤委員、次です。総合知です。いっぱい瀧澤委員は総合知と関わっているところ、会議体にいろいろ出られていると思いますけど、防災科研の総合知、いかがでしょうか、在り方。
【瀧澤委員】  総合知というのは具体的に言葉の定義がよく分からないんですけど、文理融合みたいなことをイメージされているんでしょうかね。
【越村委員】  これ、ちょっと私のほうでも説明したいんですけど、いいですか。
【中川部会長】  はい。そっちから先にいきますか。
【越村委員】  総合知って、今すごく、国のイノベーション会議でも非常に特出しして重要視されていて、もともと文理融合という言葉も要素としてあったんですけれども、それよりもうちょっと高い次元での新しい社会問題の解決を人文・社会科学との連携によってやっていこうということを、国のイノベーション会議の、言わば科学技術政策の重要な一つとして位置づけられたというものです。
 ただ、総合知の定義って実は、国として与えられているのは一文だけなんですよね、人文・社会科学と自然科学の融合によって新しい価値を創出するという、総合知の活用によって新しい価値を創出するということをうたわれていて、だから問題は、それをどう具現化していくかということが、言わば研究者側に問われているということです。
 それで、内閣府が総合知キャラバンというのを始められたんですよ。これからいろんな研究機関を回られて、実は東北大学に先日来られたんです。それで総合知について議論したんですけれども、全国的に総合知キャラバンというのをやっていかれるというふうに伺っています。
【中川部会長】  イノベーション基本計画に書いてある言葉なので、これは次の、たしか今回の若干の見直しの段階で、もう既に総合知という言葉が防災科研の計画の中に盛り込まれてはいるんですが、後づけですね。次の第5次では、最初からこの総合知というものをきちんと計画の重要なところに位置づけて、それで書いて、防災科研らしい総合知というものをどう書くかというところをここで議論していただきたいということだと思いますが、そういうことで言うと、ちょっと一旦、最初に、越村さんいろいろありそうなので、越村さんからのを聞いてもらって、それから皆さんに聞いたほうがよさそうな気が。
【越村委員】  はい。すみません、ちょっと画面お借りしていいですか。
【中川部会長】  どうぞ。事務局、いいですか。
【越村委員】  もう一回あれなんですけど、これが言わば定義なんですよ、「多様な知が集い、新たな価値を創出する知の活力を生むこと」ということが、科学技術・イノベーション会議で言われています。そもそもの経緯はこんな感じなんですね、令和3年に、人文・社会科学の知と自然科学の融合による総合知というのが強調されるようになりました。4月に一応イノベーション基本法ができて、これが言わば特出しされて出てきたと、最終的に令和4年2月に、この推進事務局のほうで総合知の定義が明確にされて、要するに新たな価値を創出してくださいよと。ここでいう新たな価値というのは、安心安全の確保であったり、Well-beingの最大化、社会実装に向けた、要するに社会の変革ということを指しますよということです。
 ですから、恐らく防災科研に問うこと、命題としては、総合知というものを防災科研はどのように考えていて、多様な知が集い、どのような新たな価値を創出する、あるいは、どのような知の活力をこれから生んでいきますかということが防災科研に対する質問というか、課題提起になるんじゃないかなというふうに思っています。
 以上です。
【中川部会長】  それでさらに、だからここから先で、越村さんとしては、今一応、この見直し案のところに総合知という言葉は書いてはあるものの、こういう書きぶりでいいのか、もう少し書きぶりをはっきりさせたほうがいいのか。今おっしゃった、単に理学、工学、社会学というふうに書いてあるだけではなくて、さっきの歴史学とかそういうようなことも含めて、もうちょっと何か防災なら書くべきではないかとか、今の安心安全の確保みたいなところで言うと、もうちょっと踏み込んで書いておいたほうがいいんじゃないかとか、一方で、総合知ふうな、ふりかけだけかけてあるのではなくて、さっきちょっと越村さんが来られる前に重川委員がおっしゃったんですけど、内部の風通しの話も出ていたんですが、あとモリ委員からもバランスという言葉が出ていたんですが、そういうのもきっと総合知として重要だと思うんですけど、その辺何か多分お考えがあるのではないかと思いますので、ぜひ、そこをお伺いして。
【越村委員】  私の考えですか。
【中川部会長】  そうです。防災科研に求めるところ。
【越村委員】  僕自身が防災科研の総合知、組織としてこうあるべきだという意見は特にないです。ただ要するに、ここで我々求められているのは、やっぱり防災科研が関係する総合知って何ですかと、それを明らかにして取り組んでくださいよということです。
【中川部会長】  逆に、ある意味でね。
【越村委員】  はい。
【中川部会長】  これをしっかり考えろと。
【越村委員】  そうですね。だから、それに対して一応今のところ防災科研が言ってくれているのは、DIKWという文脈というか、アプローチでの知識の創出であるとか、あるいはDXを基盤とした新しい形での知の創出というのが今のところ取り組む内容ですよということがここに書かれていると思うんですね。理事長のスピーチにもDIKWのモデルというのは、DIKWって何かというと、Data、Information、Knowledge、Wisdomの4つの階層モデルなんだけれども、これのアナロジーを使って知を創出していきますよということを一応、理事長は明言されているので、その方向で総合知というのをこれから具現化していくんですねということを確認するということです。
【中川部会長】  それが書かれているようなというか、その方向でちゃんと動けば総合知というものが出てくるだろうけど、そのプロセスをちゃんと動かして、続けてくださいねということですかね。ありがとうございます。
【越村委員】  はい。
【中川部会長】  すみません、瀧澤委員、いかがでしょうか。
【瀧澤委員】  何か禅問答みたいで、ちょっと理解できないんですけど、正直言って。
【越村委員】  分かります。これ、僕も一生懸命勉強したんです。
【瀧澤委員】  研究機関の……、聞こえますか。(音声途切れ)
【中川部会長】  ちょっと瀧澤委員が止まっちゃったみたいですね。
【新宮係長】  中川先生、瀧澤先生のパソコン上でのマイク表示が消えていますので、恐らく音声などが落ちている状態だと思われます。
【中川部会長】  今落ちましたね。私も見えました。瀧澤委員が戻ってこられるまで、次、重川委員の順番です。お願いします。
【重川委員】  分かりました。私も、その総合知というのが、概念的には分かるんですけども、例えば安心安全の確保のために求められる総合知って具体的にこういうものなんだということを、委員長、例示していただけたりできますでしょうか。
【中川部会長】  この現状の課題のところには、総合知の拠点としての取組を強化する必要があると書いてあって、それからあと、どこだ。
【重川委員】  ではなく、例えばこれが総合知と言われるものの具体的な一つですよという。
【越村委員】  重川先生、これもまたすごい悩ましいところなんですけど、内閣府が言っているのは、あるいはイノベーション会議が言っているのは、総合知はこういうものですよということを研究者に明示してくださいとは望んでいませんと言っています。というのは、何か総合知、ある決まった、ソフトウエアみたいに、はい、総合知ができましたということをやりたいわけじゃないんですと、だからそれぞれの考え方、それぞれ研究者が考える総合知というものを追求してくださいと、そういうことをおっしゃっていますね。
【重川委員】  なるほど。つまり、明確なものはないけど、何とかこんな感じで考えてねという程度ですね。
【越村委員】  そこにやっぱり研究者としての、何ていうんでしょう、位置づけとかが問われるというところです。
【重川委員】  了解です。分かりました。そうすると、やっぱり総合知の「知」って、知恵の「知」だと思うんですよね。知恵というのは、単にデータを集めて組み合わせればできるものではなくて、どんなデータをどう組み合わせ、つくり上げていくか、そして、やっぱりどのような知をつくり出すかというところそのものが防災科研に求められているというふうな理解をすると、引っかかるのは、何でデジタル技術の活用に限定しているのかというのが私にはよく分からず、もちろんデータのアーカイブのために、あるいは組み合わせていろいろ加工するために、デジタル化することももちろん必要だし、デジタル技術が大きくプラスに働くことも分かりますけれども、一方で、さっき越村先生がおっしゃったんでしたっけ、古いデータとか、紙だから残っているとか、それから、なかなかデジタル化しにくい知恵の部分とか、そういうものがあるので、総合知をつくり上げるための、どういう知を創出するかということ、それからどういうデータなり情報を組み合わせていくかということ、それを組み合わせるために、新しいもの、古いものいろいろありますが、様々な技術を利活用し、重要なのは、やっぱりそれが100年たってもちゃんと見れる、100年たったら誰もデータを見ることができないではなく、100年たっても必ずそれに立ち戻って利活用ができる、そういうようなことを防災科研さんにはぜひやっていただきたいなというふうに思います。
 ちょっと明確に総合知というのが、いま一つ私の中で、こういうものをつくっていけばというのが、ビジョンがないものですから、ちょっと明確ではなく申し訳ないんですけれども、以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。先ほど越村さんが言ったみたいに、総合知という言葉がそもそもそういうことでもあるので、まさにデジタルだけじゃないだろうという御指摘はすごく大事なところだと思いますし、そうだと思います。これを活用したという話でね。
【福田室長】  失礼します。事務局ですけれども、一言だけ。
【中川部会長】  どうぞ。
【福田室長】  今画面に出ている2ページ目ですけれども、確かにこの文章は「総合知による防災科学技術の研究開発の中核的機関として」で、その後にDXですとかDIKWというふうにつながっていて、デジタル技術を活用した総合知という冒頭の書きぶりもあるんですけれども、ただ、総合知イコール、デジタル技術、あるいは防災においてはデジタルだけなんだというふうな趣旨で書いているわけではございませんで、あくまでそれはどういった方向でやるかというようなことが書かれている。したがって、その中身について規定するものでは必ずしもないというように考えております。
 その意味では、この2ページ目はあくまで前文でございますので、もともとこの文章は目標そのものではなくて、あくまで見直す内容にとどまるものではあるんですけれども、その意味で、4ページのほうに行っていただくと、中長期目標の方向性というところで、実際の中身、まさしく今、重川先生御指摘いただいたとおり、その中身、つまり、防災あるいは安全安心においての総合知はここなんだ、逆に言うと、ここは違うというように切り分けるというのは、難しいというか、もともとそういったものが求められているわけではない、これはまさしく越村先生おっしゃられたとおりでございます。
 したがいまして、今、私どもの書きぶりとしても、多様な社会課題の解決に貢献できるよう、併せて総合知の創出・活用の観点も重視すると。なので、ここで言う「観点を重視する」のは、これ以降の下のところにある方向性のうち一部とかいうことではなくて、基本的には全部に関わり得ると。なので、その中で個別個別に、どこまでどのように総合知というようなことを考えながらやっていくかというところは、ある意味、委ねられる部分というところがあるのかなと。
 そもそも防災科学技術という、このジャンル自体、ある種の科学技術、要は理学とか工学とか法学とかいう中では、総合知に近いような、実践に近い科学技術の体系というふうに言えないこともないと思いますので、その辺りをどのように捉えるかというところに関して、必ずしも規定し過ぎずに書いているというのが今の案でございます。
【中川部会長】  声が落ちちゃったかな。多分今のお話は、4ページの(2)のところに書いてある部分が大事で、その後の「レジリエントな」の下の「デジタル技術を活用した」というところに個別に総合知が書いてあるけど、そこだけで書いているつもりではなくて、上に書いてあるのでいかがでしょうかと、そういうことであったように思いますが、事務局さん、声、戻りましたか。
【福田室長】  先ほど聞こえなかったでしょうか。大変恐れ入ります。
【中川部会長】  はい。途中で止まりました。
【福田室長】  少し音声が不調のようで、失礼いたしました。今、部会長おっしゃられたとおりであります。
【中川部会長】  ありがとうございます。もうちょっとほかも書けよという指摘のようにちょっと思いましたので、ありがとうございます。それが今の重川委員の指摘です。
 モリ委員、いかがですか。総合知。
【モリ委員】  僕聞いたのは、いろんな分野、社会学とか工学とか科学、一緒に、同じデータを使うように、いろんなデータ、様式とか。この話は、林理事長、一番しているじゃない。社会的にどういう科学のものを使うとか、そんなのとか。
 だから、いろんなものが考えられる。今までやった研究で、例えばよく聞くのは、地震とか火山の避難センターで、メディカルはどうしているとか、いろんな、今まで別々に考えている問題を一緒に考えないといけないという話はよくある。だから、そういうものと一緒ではないかなと思う。
 だから防災科研がやるべきかは分からない。例えばメディカルの専門家はいないから。だから、こういう話を始めたら、もう切りがないので、全部入ってくる。だから多分議論していいのは、どこまでやっていい、そしてそういう専門の人を雇って、そしてちゃんとそういう研究をやるべきと思います。全部、総合知をやるのは多分無理で。
 そしてもう一つ、多分、無理に関係つくるのもよくないと思う。それもよく見たことあるから。だから、意味ある違う分野、一緒の研究考えて、専門家雇って、それが一番いい方法と思います。
【中川部会長】  ありがとうございます。結構大事な指摘がありましたね。無理にやることはないだろうと、無理やり関係性があるように見せて総合知だというようなことを言うのもねという話とか、全部やるのは無理だよねという話なんかも結構大事なところだと思います。ありがとうございました。
 国崎委員、いかがですか。
【国崎委員】  私が捉える防災科研の総合知のイメージというのは、今皆様の意見を聞いていて浮かぶものがあって、それは何かというと、一例としてE-ディフェンスがあって、家具、什器類の挙動の実験をしていますよね。どういった壁に、どういった固定器具をつければ什器類はどう動くのか、その前にどういった波を入れたときにどう動くのかという、そういった什器類の挙動実験をしているんですけども、今、社会的に、どういった条件で、どういう固定がいいのかというのが定まっていないんですよね。それを、固定器具を売っているメーカーさんも、しっかりとした基準があって作っているわけではない。
 これを考えると、ある意味、実証実験から得られた有効な家具の転倒防止対策に対して、例えば家具メーカーはどんなものを作るべきなのかとか、それに対してどういう固定方法が有効なのかというところであったり、そこに、例えば法学的なところで、社会制度を変えていく必要があるかもしれない。もう我が国は家具はこういうふうな作りでなくてはならないとか、必ず転倒防止器具を標準化してつけなくてはならないとかというようなところもあるのかもしれませんし、それから、家具の倒れ方によって、社会学とか心理学的な、住民の行動変容にもつながってくるかもしれませんし、それから防災教育といったところにも、その実験データからエビデンスから関わってくるのかもしれませんし、多分そういった、既に防災科研が行っていることから、できることを規格化、標準化、それによって社会が変わっていく、それによって社会の防災の高度化が図れるとか、まだまだ多分できるところはたくさんあって、やっているところ、今既にできているというか、成果として得られるところがあるのにもかかわらず、まだ総合知として進んでいないというところの部分も多分にあるような気がするので、そこを、一例としてお伝えしましたけれども、防災科研ができるところあるんじゃないかなというふうに、皆様の総合知という話を伺いながらイメージしていました。
【中川部会長】  ありがとうございます。まだまだアウトプットしていくところ、総合的にいろんな形で使えるぞという御指摘だったと思います。
 若林委員、いかがですか、何かこの分野で。
【若林委員】  大変判断が難しいんですけど、どうですかね。ちょっと判断がまだ、皆さんの御意見をよく聞いてからと思っております。
【中川部会長】  ありがとうございます。さっきの、ぼやっとした話だよという話も含め、総合知があればこしたことはないというところだと思いますけど、具体的に何がという話はなかなか難しいかなと思いますが、新海委員、いかがですか。
【新海委員】  いわゆる総合知というお話がありましたので、全般的になることだと思うんですけど、今回、デジタル技術という話が枕言葉にある中で、資料にあるシミュレーション技術だったりとかセンシング、モニタリング技術という話もあって、多分、我々としますと、予測とか、そういうときにはかなりそういった技術を使うというようなイメージがありまして、実際、今回書いてもらっていますとおり、予測技術に限らず、やはり発災時のとき、あるいは発災後の事業継続性であったりとか、あとは早期復旧とか復興力、こういうところにも、こういったデジタル技術が活用できることを期待しておりますので、その全体含めて、新たな価値創造といいますか、そうなっていけばいいなと感じております。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。そこら辺使えそうな感じはしますのでね、ぜひ期待したいところだと思います。
 瀧澤委員、今いけますか。大丈夫ですか。
【瀧澤委員】  先ほどはすみませんでした。今日はレンタルスペースからつないでいるんですけど、レジリエンスが著しく悪くて、自分の携帯からつなぎ直しています。今度は大丈夫だと思います。
 総合知ですよね。皆さんおっしゃっているように、防災科研が生み出した新しい知、知識とか知見とか、そういったものをアウトプット側につなげていく、市民のレベルにまでつなげていく。先ほど国崎先生がおっしゃったように、法体系までを含むような形でやっていくのも総合知だと思いますし、インプット側も何ができるのか、私は具体的にはちょっと分かりませんけれども、例で言えば歴史地震をきちんと検証していくとかということはあると思いますけど、もしかしたら心理面とか、インプット側の知識を、もっと防災に使えるもの。
 あと、安全保障というんですかね、安全保障というとちょっと意味合いが違ってくるかもしれないんですけれども、有事の際の対応の戦略、戦術みたいなものには結構学べるところがあるんじゃないかと思うんですけれども、いろんなインプット側の関係機関とも関係をよく結んでおく、そういう体制を整えておくというような、アウトプット、インプット両方の可能性もあらゆる限り探って、やるべきことは何なのかというのはやっぱり、モリ先生おっしゃるように、よく吟味して、防災科研がやるべきことということで計画を立てて進めていただければいいんじゃないかなと思います。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。確かに、モリさんも言ったように、全部できないという話の中で、どう計画をつくるかということが多分みそだと思うんですけれども、ちょっと私のほうから、今の話にちょっと絡むんですけども、モリ委員も、今、瀧澤委員もおっしゃったように、全部やるというのは無理だと思うんですけど、人を抱えたりとかするのは。一方で、防災科研が求められているのは防災科学技術の最大化ですので、防災科学技術研究所の最大化ではありませんので、我が国、もちろん世界も含めた防災科学技術について、総合知というのであれば、防災科学技術研究所が持っている総合知ではなくて、いろんな社会にある防災科学技術に関する研究の得られた知、それは当然のことながら、先ほど越村さんのお話にあった歴史的な分野を含めた、そういうような紙でしかないようなものも、ある意味でデジタルにするのは大事なことだと思うんですけど、全部自分でやることもないのですが、そういうことも併せて総合知にしていくとすると、まさに研究開発法人で求められている防災科学技術の最大化ということにつながっていくんだと思いますので、ぜひ、この課題解決に貢献できるような総合知をするために、防災科学技術研究所だけでなく、幅広い防災科学技術の研究に視野を向けて、少なくともその視野について、その分野について分かっているというぐらいのことは必要だと思うんですね。
 そこの分野を全部、専門家を雇うというのは無理だと思うんですけども、SIP4Dが成功したのも、いろんな分野のセミプロになることによって成功していったということもあるので、そういう意味では、プロは何人かいると思うんですけど、いろんな分野、他分野についてもセミプロ的な人が必要だったりとか、それを雇用の分野で、両方に足をかけたような雇用の在り方とかいろいろあると思いますので、それによって総合知がより実現していく可能性があるのかなと思っていますので、まさに防災科学技術の最大化ということに向けて、ぜひ総合知という考え方がしっかり入っていくのがよいと私も思いました。ありがとうございます。
 次が、観測データとデータ利活用、分かりやすい情報提供の在り方ですが、この項目、いろいろとここは御意見いっぱいありそうで、最初にやはりここは、順番でいくとモリ委員ですし、一番お話がありそうなところですので、モリ委員からお願いします。モリさん、国崎さん、若林さん、越村さん、新海さん、瀧澤さん、重川さんの各委員の順番でお願いします。
 モリ委員、いかがですか。
【モリ委員】  みんな分かっていると思うけど、観測データは防災科研のベースだから、ずっとこれは続けなければならないと思う。1つちょっと言いたいのは、観測網をつくって、そしてその後、観測、つくるのはお金かかる、でもその後、メンテナンスとか、そんなのはあまりお金かからないとみんな思っていて、でもそれは違う。僕の経験で、つくるお金と、続くお金は、少し安い、でもほとんど一緒。だから、続くのが一応、コミットメント、やらなきゃならないと思う。お金かかるから。そして防災科研は今まで、一番ベースとしては、特に地震のほうとか気象のほうだから、今までそういうデータなかったら、今までのいろんな、ユーザーアプリケーションとかプロダクツはできなかった。だから続くのは物すごく必要と思う。ただ、続くのがお金かかると、みんな分かってほしい。
 あと、今まで結構、防災科研がうまくいっていると思う。続いて、いいシステムつくって、どんどん新しいものを入れて、だからそれはその方向を変えないでいいと思う。ただ、続く、そしてみんな応援して、支援してください。
【中川部会長】  そうですね、そこの応援、支援をしてもらえるようなことにつながるような書きぶりがもう少し欲しいと私も思います。ありがとうございます。
 国崎委員、いかがですか。
【国崎委員】  今のモリ委員の話にも関係することなんですけども、観測データが必要だと思ってもらうには、やはり私たちの生活の中に必須というような、やっぱりその価値を見いだしていく必要があるのかなと思っています。そのためには、今、JR等でも利活用されていますけれども、もっともっと他分野においても、この観測データが利活用できるような道筋をつけていくというところは大事なことかなというふうに思っています。なので、そこをどのように書いていくのかというのはお任せするんですけれども、まずは、もっともっとやはり社会に、観測データの恩恵を受けられるような、今は気象庁とかJRなんですけど、まだまだほかにもあると思うので、そこに期待していきたいというふうに思っています。
【中川部会長】  ありがとうございます。そういう書きぶりをもう少し強化できればということですかね。
 若林委員、いかがですか。
【若林委員】  データの利活用をもっと進めやすく書いてほしいんですね。使っていきたいところはもっともっとあると思うんですよね。だから、その辺の企画提案をもっとすべきだと思います。
【中川部会長】  ありがとうございます。なかなか昔からある程度やってきたところが少しずつ通ってきたところだと思うんですけども、何せ、あの動かなかった気象庁がようやく動いているところまで来た感じはありますが、それでもまだ足りないぞと。
 越村委員、このことについてはまたいろいろ御意見がありそうですけど、いかがですか。
【越村委員】  要するに観測機関としての防災科研の役割というのは、僕は、今100点満点に近いと思っていて、やっぱり一番求められるのは観測データの蓄積なんですよね。だから、さっきモリ先生も言っていたけども、やっぱりこれを継続するための措置というのは必ず必要になる。そうじゃないとAIも何もあったものじゃないのでね、だから観測機関として重要なのは、質の良いデータの取得を継続するということが、やはり第一義的な仕事になるということです。
 次に来るのがデータの利活用だと思うんですけれども、これも結局、データはもっと活用されるはずだという御意見が多かったと思うんですけども、データを使うのは、要するにプロでいいんですよ。ユーザーがデータを扱う必要はなくて、ユーザーは情報プロダクツを扱えばいいんですよ。なので、プロがデータを扱うことができるということをきちんとサポートする機関だという意味で言うと、このままでいいんじゃないかと思います。
 やっぱり重要なのは、どちらかというと情報プロダクツのほうで、分かりやすい情報提供の在り方というところだと思います。といって、ここ数年、僕がかなりすごく評価しているのが、風水害関係のチームの人たちの情報プロダクツの出し方と、雪氷関係の人たちですね。風水害の人たちは特に、ソラチェクとか、要するに分かりやすいネーミングでの情報の出し方を非常に研究されているし、雪氷の人たちも、雪おろシグナルというような、より具体的な、ユーザーに訴えかけるようなプロダクツをつくろうという努力をされています。
 だから、そういう方向での努力というのを研究として成立させていて、それを横展開していくということが、ひいては情報プロダクツを充実させることになるし、ひいては、さらなるデータへの希求ということ、プロフェッショナルの、さらなるデータを活用するという希求、ニーズを生むんじゃないか、そういうサイクルを防災科研がつくっていくということ、これが重要だなというふうに思います。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。そうですね、気象、雪氷、営業力ありますよね。地震のほうは、すみません、ちょっと私も関わったジオパークの「地震だねっと!」というのが、本当はもうちょっと、私は展開できる力を持っていると思うんですけどね、足りないんですよね。
【越村委員】  そうですね。彼らの地震の情報はちょっと難し過ぎるというのがあると思うので、やっぱりキュレーションだと思うんですよね。ユーザーがどういう情報というか、インフォメーションを求めていて、データをあげるんじゃなくて、インフォメーションとかインテリジェンスを提供する。そのためにキュレーション的な役割というのがやっぱり要りますよねということですね。
【中川部会長】  そうです。ちょっと工夫はしたつもりなんですけど、ありがとうございます。まだまだ足りないぞと、雪氷に比べたらと、そのとおりだと思います。
 新海委員、民間として、やっぱりこの部分、情報プロダクツという考えもありますし、一方でデータそのものというものもニーズがあったりするんじゃないかと思いますが、そこを逆に一緒につくるというのは、多分次の、先の民間との連携という話もあると思いますけど、これについて何か、今の書きぶりで、もう少し書いてほしいこととか強調したいことはありますか。どうぞ。
【新海委員】  今までお話あったとおり、やはり観測データというお話、まさに本当に取る手間といいますか、その維持管理のところが非常に大変だというのは理解しておりまして、これはきちんとした、長期的にきちんと取れる仕組みという意味では、今取れている仕組みにしても大事なんですけど、やはり先ほどお話あった継続性は非常に大事だと思っております。民間としましても、やはり定点観測する中で、従前から含めていろいろデータを追っていますので、これが本当に、観測データが今はあるんでしょうけども、これがきちんと続くような形の、そういった仕組みづくりというのをお願いしたいなと思っております。
 また、データ利活用につきましても、個々に本当に、社内でもそうした利活用はプロが使っている部分がありますけども、実際その後に、政策メンバーといいますか、実務で使うときには、それをかみ砕いてやっておりますので、誰が使うかという形の、ターゲットといいますか、求めるレベルですね。誰が使うかということも含めて、私ども社内でも検討はしているんですけれども、やはりこの防災科研さんが取られているデータにつきましても、分かりやすい情報提供の在り方というところにつきましては、今回、自衛隊の方との連携もありましたけども、実際幅広く使っていただくためには、そういう方たちのニーズなり意見を聞いていただくと非常にいいかなと思っております。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。多分、新海委員も社内でSUPREMEの経費の必要性とかそういうのも、やっぱり社内的に理解を得るための努力は相当されているんだと思うので、そこも同じようなことでいうと、やっぱりちゃんと知恵の共有というか、メンテには金かかるんだということを、ぜひお互いに、安全文化としてつくりたいですよね。ありがとうございます。
 瀧澤委員、いかがですか。
【瀧澤委員】  大体先生方と同じ意見なんですけれども、今、ソラチェクのホームページなんかも見ているんですが、何というんですかね、ユーザー側から見ると、やっぱり気象庁とか、いろんな気象関係の民間の会社から出ている情報に比べて、知名度というか、情報の信憑性を、ユーザーから見てですよ。私がというわけではなくて、一般の人から見て信憑性をはかる防災科研というものの、ブランド力と言ってはあれなんですけれども、何かそういうものがもう少し欲しいなというのは思うんです。あまり知られていないんじゃないかなと思うんです、一般の人に。
 例えば気象庁から出す情報、あるいは天気予報会社から出す情報に、パワード・バイ防災科研みたいな形にして、こういった技術で研究機関が支えていますよといった形で出していくと、その防災科研がやっている活動というものも皆さんからもっと知られるようになる。そうすると信頼度が分かりやすい形で伝わっていくんじゃないかなと思う。すごく小手先の話で申し訳ないんですけれども、何かそういった、情報の内容がいいので、それをもっと皆さんにダイレクトに伝えるような方法ももう少し工夫されてはどうかなと思います。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。なかなかパワード・バイは難しいところがあって、基盤観測網とか、昔、大学の研究室で取ったということで、パワード・バイ何たら大学みたいな話もあって、なかなかこれもややこしいなと思ったところがあって。
【瀧澤委員】  ややこしいんですけど、ちょっともったいない。
【中川部会長】  もったいないですよね。せっかくね。
【瀧澤委員】  気象庁の気象業務の発表と似たようなことをやっているんだけど、ちょっとふわっとしている感じがするんですよね。普通の人から見てですよ。
【中川部会長】  あれですよね、研究機関が一緒に動いているというのがもっと見えるといいですよね。
【瀧澤委員】  そうなんです。その後ろには大学が基本的な観測のところで進めていますというのが、やっぱり実際の形がちゃんと世間の皆さんに伝わるのが本来の在り方だと思うんですね。ちょっとその辺もぜひ工夫していただきたいなと思います。
【中川部会長】  ありがとうございます。
 重川委員、いかがですか。
【重川委員】  ありがとうございます。まず前半の部分の、様々な防災科学技術に関するデータの利活用というところでいいますと、防災科研独自に集めて観測していらっしゃるデータ以外の、他の機関のデータも一緒に利活用できるように、何かプラットフォーム的なものをつくり、そういった役割を果たされ始めている、あれはすごく重要なことで、あれは中核的機関として防災科研の重要な役割として、これからもぜひ積極的にそれを展開していただきたいというふうに思います。
 それから、文章後半の、分かりやすい情報提供の部分なんですが、私、どうしてもこういうお役所の文書で「分かりやすい」と書くと、昔ながらの、よらしむべし知らしむべからず的な感じがすごくしてしまいます。分かりやすいというよりもむしろ、民間企業さんにしても、ほとんどの国民にしても、やっぱりすごくいろんなものをチョイスする目があり、賢いと思っているんですね。そういう人たちの基本的なリテラシーを信じた上で防災行動を促進するような情報提供の在り方、「分かりやすい」という言葉は、ちょっと私には引っかかりがあって、今申し上げたような情報提供の在り方というのを、ぜひ防災科研さんに突き詰めていっていただきたいと思います。
 といいますのも、例えば洪水が起これば、ある省庁で、避難の情報、どういう言葉を使うかとか、各省庁で自分の管轄することについて情報提供の在り方というのはそれぞれ議論されるんですが、依然として、やっぱりどういう基本的なスタンス、どういうふうな立ち位置で住民、国民に対して防災情報を出していくのか。多分出されていない情報って山ほどあって、その一つには、これを出すと混乱するとか、これを出すと誤解されるとか、これを出すとこういう批判が来るとか、そういうところもあるんだと思うんですが、やっぱりちょっと、もう時代的に、役所――防災科研はもちろん役所ではないですけれども、そういったことをどうしていくべきかというところを、ぜひ防災科研さんのほうで筋道を立てていただけるとありがたいなというふうに期待をしています。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。私もまさに今のところが引っかかっていて、駄目だよね、「分かりやすい」というのは。正確で分かりやすいというと何の情報も出ないということがこれまでの経験なので、正確さというのもなかなか難しいし、分かりやすいということもとても難しいので、さっきのセミプロの話もそうですけど、あまり分かりやすさということをこだわってほしくないなと思って、改めて文章を見ると、どこにも「分かりやすい」っていう言葉は、そっちの中にはないなと思っていてという感じはしました。幅広いステークホルダーにレジリエンス能力向上の重要性を認識させるとか、そういうことが書いてあるので、それを総じて「分かりやすい」という言葉を言ったんじゃないかと思いますけど、ちょっと情報提供の在り方として、もっとステークホルダーとの対話とかいうことも踏まえて、今、重川委員がおっしゃったような、やっぱり社会を信頼して出していく。コミュニケーションって、基本的には社会対話ですから、そういうところで「分かりやすい」という言葉的な概念が入らないようにするというのは、結構私も大事だなと思いました。ありがとうございます。
 そんなところで、次です。基盤観測網、それから大型実験施設の運用、さっきメンテの話、お金かかるよということを言いました。そういうことがもう少し欲しいという話もありましたけど、ほかに、利活用促進の在り方についても含め御意見をいただきたいと思っています。
 今はモリ委員から始まったから、次は国崎委員からですね。お願いします。
【国崎委員】  先ほどは総合知のところで一例ということで出したんですけれども、改めて、この利活用といったところ、大型実験施設から得られたデータで社会の防災力向上を目指すということでいうと、法的な面のところに関与していくかもしれませんが、やっぱり基準づくりとか規格化とか、そういったことで社会はやっぱり変わっていくんじゃないかなと思うので、ぜひその部分を強化していただくといいのかなというふうに思っております。
 あと、全く関係ないことなんですけど、防災科研で津波も取り扱ったらいいのにと常々思っていて、複合災害とかいろいろな防災全般をやる上で、あともう一つ足りないのは津波だなと日頃から思っていたので、津波に関する実験施設もあってもいいんじゃないかと思ったりもします。もちろんほかが津波の実験施設を持っているのは承知しているんですけれども、また防災科研の視点から見て、様々な防災に貢献できるんじゃないかというふうに思っております。
 大型実験施設に関しては、やはりメンテナンスという話もありましたが、プラス、アップデートしていく。例えば熊本地震が起きれば、熊本地震の地震波を入力しなくちゃいけないし、その前に長周期もあったから長周期もというように、やっぱりアップデートしていく必要があると思うので、そこの部分をしっかりとアップデート、必要に応じて、社会の動きに応じてアップデートできるような体制づくりというのも必要なのかなというふうに思っております。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。基準づくり、随分この間、林理事長になって、そこをポイントとしてつくっていただいたと思っていますし、官民合わせてやってきたかなと思っていますが、そこをもう少し、もっと推進できるようにということですね。ありがとうございます。
 若林委員、いかがですか。
【若林委員】  やはり先ほども御意見ありましたとおり、すごくメンテナンスとか、それに本当に大きなお金がかかるので、ちょっと費用対効果というのもありますけど、今やっぱり防災意識、国民全体に高いので、ぜひともそれを、見学というか、いろいろ触れるチャンスを国民にもっと与えていく立ち位置にあるべきだと思います。
【中川部会長】  ありがとうございます。そこの費用対効果のところをもう少し、みんなが納得できるような数値づくりとかいうのも本当は大事なところだなと、ずっとこれは私は思っていたりします。ありがとうございます。
 越村委員、いかがですか。
【越村委員】  基盤観測網の話は先ほど申し上げたので特にないんですけれども、大型実験施設とか設備の適切な運用というのは、これは防災科研が将来どういうふうに研究を進めていくかによると思います。というのは、昔は、要するに実際現象が分からないから実験しましょうと、例えば津波もそうなんですが、波を実験しましょうと、そこの観測とか観察を通じて新しい現象を明らかにしましょうということだったんですね。今それが、かなりコンピューターシミュレーションが進んでいて、例えば波で言うと数値波動水槽という考え方もあるんですよ。つまり数値的に実験施設をつくって実験しましょうという考え方もあるんですね。なぜそれができるようになったかというと、実験とモデルの検証というサイクルをずっと数十年も回してきていたからなんです。
 今回の、特にE-ディフェンスの話を聞いていて僕が思ったのが、彼らが強調していたのは、サイバーフィジカル空間というのを強調していましたよね。それまではそんなこと一言も言わずに、とにかく実スケールの実験が重要なんだということをおっしゃっていたんだけれども、サイバーフィジカルの話をされたということは、将来的にフィジカルワールドで得たデータというのをサイバーワールドに展開して、要するに数値震動台みたいなものをつくっていくということを、もしかしたら方向性として持っている、持ち始めたんじゃないかなというふうに僕自身は推察したんですね。
 だから、最終的に数値震動台といって、全てコンピューター上でできるようになれば、実験施設持たなくてもいいわけで、そういう意味でいうと、だから防災科研が今後、5年、10年は変わらないと思いますけれども、今後どういう実験施設というのを維持し、それを研究に活用していくというふうに考えていくのか、そういうことが分かるといいかなというふうに思いました。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。ようやくそこまで来つつある感じを持って、今どうやって考えていくか、その間に残された課題をちゃんとここでやれるかみたいなことも含め、この位置づけを次の中長期あたりにはもう少し考えていけるんじゃないかなという御指摘ですかね。ありがとうございます。
 次は新海委員、まだまだ使えるぞということもたくさんあるかと思いますが。
【新海委員】  今お話ありましたが、大型実験といいますか、世界的に類を見ないといいますか、実験施設だという認識でございまして、E-ディフェンスであったりとか、大型降雨設備がありまして、こういうものにつきまして、まさにこの機械ならではの、できないことにつきまして、ぜひ利活用という意味では、しっかり、方向性といいますか、やり方につきましても、何か具体的に提示していただくといいかなと思っております。当然、先ほど費用対効果の話がありましたけど、やっぱりこういう設備を持つわけですので、非常にやはりメンテナンスもかかりますので、せっかく持っているのであれば、そういう基準類であったりとか、ほかにもシミュレーション技術を生かした利活用等があると思いますので、今持っている設備の中で、やはりこれの最大化ということで、より世界的に見ましても類を見ない規模の装置につきまして、最大限の利活用をもう少し具体化できればいいなと思っております。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。本当にここしかないというものでありますからね。
 瀧澤委員、いかがですか。
【瀧澤委員】  どうもありがとうございます。先ほど越村先生がおっしゃっていただいた考え方、この分野って、今まで大規模なファシリティーを、そこで実際のデータを蓄積してきた結果、これからデジタルツインみたいな考え方がどんどん加速していくんだと思うんですね。そうしてくると、今度は個別化、今医療の分野では個別化医療がどんどん進んでいますけれども、自治体の中で脆弱な部分についての個別化の評価ですとか、もっともっと多様な使われ方がしていく時代に入っていくと思います。
 そうすると、ある意味防災というものが、本当に日本、世界に冠たる災害国家なわけですけれども、一つの科学分野として非常に面白い分野になっていくんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひ子供たちにも、そういった知識とか、ただ災害というのが恐ろしいというだけではなくて、科学で乗り越えていける部分もあるんだということで、こういった最先端の情報技術とか、いろんな技術が進んでいるということもきちんとツールで、例えばユーチューブで動画を配信するですとか、そういったことで面白さも加えた形で、こういった世界に、将来の優秀な人たちを引きつけるような広報もしていただけたらいいなと思います。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。本当にE-ディフェンスは特に、映像を割と初期からたくさん公開されて、それが少し、そこの利用料というか、それに公開すれば少し安くするよみたいなことをやってインセンティブを与えていただいていて、そういうものも。でも、なかなか思ったように使われていないのはもったいないなと、私も思っていました。
 重川委員、いかがですか。
【重川委員】  ありがとうございます。基盤観測網の適切な設置運用というのは、評価書のほうにも書かせていただいたとおり、引き続き着実に進めていただきたいというふうに望んでいます。
 それでE-ディフェンスについては、あれができるきっかけとなった阪神・淡路大震災からもう27年たっております。それから、その間いろいろな実験をされてきましたけれども、やっぱり予算の制約というのが一番、当然あるわけで、その制約の中でできることを一生懸命やってきたけれども、やっぱり、じゃあこのままずっと続けるのか、あるいは、予算の制約が取れるとはなかなか思えないので、そうすると、その制約の中で画期的に存在意義のあるような実験というのが何か考えられるか。それを考えていくということも一つの方法かもしれませんけれども、もう一つは、先ほど来何人かの委員がおっしゃっていたとおり、私は学生時代に火災実験をいろいろやっていまして、実際、実大の火災をやることもあります。市街地耐火の実大実験をやることもたまにはありますけれども、やっぱりほとんどの場合、模型実験なんですね。そうすると、実大とその場合との相似則をどう考えるとか、すごく重要なことなんです。
 そういうところの検証、あるいは先ほど瀧澤委員がおっしゃったような方向への転換も含めて、少し、今ある大型実験設備で得られた知見を、次のいろんな実験とかシミュレーションに、うまくその成果をつなげていけるような在り方を、やっぱり次のあたりからは考えておいていただくべきかなというふうに思っています。とにかく30年が次の期では経過するものですから、そういう時期に差しかかっているのかなというふうに思っています。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。まさに阪神から30年というのが次の期に入ってくるわけですもんね。その中でE-ディフェンスがどれだけ働けたのかとか、そもそも、さっき越村さんの話にありましたが、どこまでデジタルツイン的なとか、シミュレーションでできることと、やっぱりこういう装置でなければできないこととか、どれだけそういう、我々がこれまで、シミュレーション、コンピューター化できない生データみたいなものは、今後どういうことがあり得るのかみたいなことをちゃんと用意しておかないと駄目ですよということも、さっき越村さんがおっしゃっていただいたことにつながるのかなと思います。今の重川委員のもそういうことかなと思いました。
 モリ委員、いかがですか。
【モリ委員】  今、中川さんが言ったのは、阪神・淡路大震災の後で、こういう大きいプロジェクトつくった。あのとき僕はまだアメリカにいて、でもアメリカ人とか、日本を外から見えているものが、みんなかなり驚いた、この大きい研究プロジェクトつくったのは。1つは観測、Hi-net、F-net、K-NET、KiK-netのものをつくって、物すごいお金かけて、そしてこの25年間で、あれは物すごく成果がよかった、多分みんな思ったよりデータがよかった。もう一つは、JAMSTECが「ちきゅう」を造った。これも新しいもので、また大きい、みんな大きいお金で、よく日本は造れると思っていて、でもあれもかなり成果出ている。いろんな新しいものが出た。そしてもう一つはE-ディフェンス、これも世界中で一番大きい震動台を造ったのを僕もよく覚えている、あのときには。
 その3つの大きいプロジェクトの中で、E-ディフェンスは多分、みんな期待ほどに、あんまりいい成果がなかった。造るときにはもちろんそれは分からない。だから造って、やっていいと思うけど、ほかの大きいプロジェクトと比べたら、悪くない、でも、みんな驚く結果とか、サイエンスに大きい影響があまりなかった。だから、別に批判しない、でもこれからそれをちょっと考えていいと思う、どう続くとか、そんなの。最近は防災科研から出しているお金の実験が物すごく少なくなっている、1年に1回ぐらいしかないとか、だから、ただ続くのは多分よくない。だからあれはよく考えて、やめるとか、方向変わるとか、それは重要と思う。
 僕は越村さんの意見とほとんど一緒で、造ったときも結構、シミュレーションもできるんじゃないかなという話あったけど、最近もっと進んでいる。だからそれを考えて、多分これからE-ディフェンスどうするかは、防災科研、考えなければいけないと思います。
【中川部会長】  ありがとうございます。まさにこれから、まだやり残したこととか、やり続けなければいけないことは何なのかということを、ここで単に利活用を引き続き進めるということだけではなく、それをもう一歩積極的に考えて価値づけをしていけということに聞こえました。ありがとうございました。
 あまり時間なくなってきて、残りが、政策上の要請への対応、連携等の在り方ということと、多分、中核的機関の在り方というのはかなり近い話だと思うので、この両方についてまとめてお話をお伺いしようと思っています。
 今、モリ委員で終わったので、次は若林委員からですね。すみません、政策上の要請への対応、それから中核的機関としての在り方も含めて、両方何か、この書き方について。大きいね。
【若林委員】  大き過ぎましてね。でも、まあ私自身は【若林委員】  ずっと見させていただいていて、関わらせていただいたときと比べたら、もう本当に活躍されているんですよ。皆様の意識もすごく高くなっている、高揚しているというか、貢献しなきゃという意識も皆さんすごく高いので、このまま、もっとアピール、PRできたり、もっと自分たちの行動を実現化、実装できるようになったらなと常に思っているところです。
【中川部会長】  ありがとうございます。ある意味でそれは私も似た感想を持っています。
 越村委員、そうはいっても、やっぱりちゃんと、もっとやるべきことあるでしょうとか、この書きぶりでは足りないでしょうということがきっとあるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
【越村委員】  いや、そこまで強いのはないですけど、やっぱり研究所だから、研究者なんですよね。だから研究者は研究者であって、スーパーマンじゃないので、全部やりなさいというのはやっぱり厳しい要求だと思うんです。だからこそ、どこまでが研究で、どこまでが言わば社会実装というか、民間との連携によって実現するのかということを改めて問い直すというような、そういう体制が、これはいい意味なんだけれども、できつつあるので、改めて、研究とは何ぞやとか、防災科研の研究はどこまでやりますと、要するに民間事業との連携はこういう形でやって、社会実装あるいは運営をやっていきますよということを改めて問い直すということが必要だろうというふうに思いました。
【中川部会長】  ありがとうございます。かなり本質的な問いであって、この6ページ目だとか、その辺に書いてあるところで、そういう言葉でいいのかとかいうところは……。
【越村委員】  すみません、私の今までのコメント、もしかしたら、この文章の内容の向上に全然貢献していないかもしれません。
【中川部会長】  いやいや、別に添削しろなんていうことを無理やり言っているわけじゃないですけど、ありがとうございます。私も同じようなことを考えていました。
 新海委員、いかがですか。民間との連携の在り方を含めて、どういうふうに中核機関であったらいいのか。
【新海委員】  防災科研さんはやはり、立ち位置的な話として、非常に我々民間にとりまして、研究開発部門としましていろいろ連携させてもらっている部分であるんですけど、今会社の中でありますのは、やはり課題認識だったりとか、イメージといいますか、お互いに何がウィン・ウィンの関係になるかということをやはりきっちり合わせておかないと、継続性という意味で、民間と長い期間を通して研究開発したり実装というところに続きませんので、単発的でなくて、やはり長くするためには、お互いの、今必要なものが何であるかという課題認識、あるいは本当にどこまでアウトプットするかということはやって、我々民間にとっても、あるいは研究者にとってもウィン・ウィンの関係性をつくるためには、それの前提条件といいますか、最初のステップが大事かなと思っております。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。そういう意味で民間とも、一方的に提供する、使ってねではなくて、いろいろと民間と一緒に考えることによって、また研究者も新しい視座を得るということですね。そういうことをもう少し考えていけば、お互いもっとウィン・ウィンになるんじゃないかという部分をもう少し書いてもいいのかなということですかね。ありがとうございました。
 瀧澤委員、いかがですか。
【瀧澤委員】  ありがとうございます。そうですね、今日いろいろ希望を持って要望を言っているんですけれども、この部分というのは、今回の期の間で相当進んでやられてきたところだと思うんですね。さらにこれを進めなさいというふうに言うんでしたら、やっぱり防災科研、研究所という、研究者の方々がやられているわけなので、必要な人材を雇える。私、臼田さんでしたっけ、SIP4Dの人員は結局何人になったんですかと聞いたら、2人ですというふうにおっしゃっていたのが結構ショックで、記憶に残っているんですけど、やっぱりそういうところは人件費を、新しい人を雇用するなり、必要な部分については充てていくということはどうしても必要なことじゃないのかなと思います。何か要望するからには、ここの部分は特にそういった予算的な手当てもする必要があると思いますし、さらにそうすれば期待できるのではないかなと思っています。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。そうですよね、それを結局お金で私たちがどれだけそういうことを、くれと言っていることをリアルに書かないで、かつ後押しできるようなことになるかということ、そうかなと私も思いました。ありがとうございます。
 重川委員、いかがですか。
【重川委員】  またまたここでちょっと引っかかる言葉が1つあって、政策上の要請っていう言葉がすごく、ちょっと引っかかっています。もちろん安全安心、防災の中で、政策的に当然正しいことを言うという要請があるというのもあるんですけれども、必ずしも、時々の様々な圧力によって、結構ころころ変わる政策に振り回されることなく、本来あるべき防災、安全安心の目標というのをしっかり見定めておいていただきたいというのが実はもう一つあります。先ほど民間との連携とあったんですが、私も関係省庁、研究開発法人は当然のことながら、むしろ民間とか、あるいは大学、そういったところとの積極的な連携のほうが、もっと様々ないい効果、成果が得られるような気がしているんですね。
 例えば国立研究開発法人の中でも、建研さんとか土研さんというのは、あれはもうはっきりと政策上の様々なものを、法律とか基準改正に沿って、そういったものに対して実験なり研究をしていくという、そういった役割の色合いが強いんですけれども、そういう中で防災科研さんというのは、もちろん文科省さんはいるんですけれども、文科省の実務とは関係ないところでの研究開発をすることができるという意味では、すごく、ある意味で自由に防災、安全安心に関する研究技術開発ができる組織だというふうに私は認識をしています。
 ですから、繰り返しになりますけれども、政策上の要請への対応と書くのか、じゃあどう書けばいいかというのはなかなか難しいんですけれども、プラス民間とか大学などとのよりしっかりとした連携で、新たな研究成果、技術開発に取り組んでいただきたいというふうに大きく期待しています。ありがとうございます。
【中川部会長】  ありがとうございます。見直し内容案の政策上の要請って、一番上に(1)で書いてあって、イノベの基本計画とか国土強靱化計画だとか、デジタル社会の実現の計画、デジタル田園都市国家構想とか、何となく重川委員がおっしゃりたいことも分からなくないわけですが、そこをあまり振り回されないようにしたいねというのは多分みんな共通認識ではないかと思います。5ページの下のところには、大学や高専とかいろいろ書いてあって、オール・ジャパンというようなことも書いてあるので、そこはすごく、一番やっぱり研究機関として大事で、さっき越村委員もおっしゃった、どこまで研究なのか、研究ちゃんとやろうというところとしての中核的機関というのは、書いてはあるわけですが、もう少し振り回されないような部分をどうやって意識していただくかというのは大事だなということですね。ありがとうございます。
 モリ委員、いかがですか。
【モリ委員】  前に僕が言った、多分バランスの問題と思うので、全部できない。だから基盤的観測とか科学の研究とか、情報プロダクツとかレジリエンスの研究のものが、今までそういう、僕の頭の中で3つの大きいものがあるので、そしてこれから防災科研がどこに力を入れるとか、どういうみんなの時間とかお金で、そのバランスかけるのは重要と思うので、今までは情報プロダクツとか、そんなのはあまりなかった。だからこの五、六年間でいろんな新しいものをつくったところ、面白い結果が出た。でも、これからどういう割合にするとか、どう続くのが重要と思う。だから前に言ったのは、バランスの関係で、その3つのものでうまくいって、それで防災科研が進むと思います。
【中川部会長】  ありがとうございます。それは多分全体について言えることで、最後の組織運営上の課題への対応の在り方なんかにも多分この言葉がはまるのかなと思って、私は先にそこの部分はメモしてありました。ありがとうございます。
 国崎委員、いかがですか。
【国崎委員】  今回の評価を通じて、やっぱり民間等との連携の在り方というところで、I-レジリエンスの株式会社の設立というように、今後防災科研として民間とこのように連携していくんだと、それから、その成果の普及をこのように行っていくんだという道筋を見せていただきました。ですので、今後もその株式会社を通じてどのように社会普及していくのかというところは本当に期待したいところなんですけれども、一方で気になるのが、5ページのレジリエントな社会を支える中核的機関の形成というところなんですけれども、まず社会が、防災科研が中核的機関であるという認識を、その場合に研究者だけではなくて、広く社会が、または国際的に、防災科研というのは我が国日本の防災科学技術の中核機関なんだというところの認識であったり、そういったところをやはり深めていく、広めていくというところも重要かなというふうには思っております。民間、民間といっても、やはり一部を民間と指しているような気もしまして、世の中には本当に多様な民間があるわけで、そこといかに連携していくのかというところを鑑みますと、まだまだ実は防災科研という名前が広く知れ渡っていなくて、先ほど瀧澤委員でしょうか、おっしゃったように、気象庁の線状降水帯の発表のときにも、その技術、支えているのは防災科研ですよというところが見えにくいとか、そういうお話があったような気がするんですが、そういったところで、まさに我が国の中核機関であるという部分のアプローチ、PR、もっともっとあってもいいのかなというふうにも思っております。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。なかなか難しいところで、あれですよね。防災科学技術の最大化は目的なんですけど、防災科学技術研究所の最大化ではないので、あまり宣伝するなというところと、宣伝しろみたいなところ、なかなかそこはバランスが難しいところだと思いますけど、もうちょっと言っていいんじゃないのというのは、そうですよね、本当にそう思います。ありがとうございました。
 私がここのところで強く思っているのは何かというと、この何年間か議論してきたところでもありますし、研発審のほうでもお話はしてきたところですが、6ページのところにも防災行政の活動を支援するという言葉があります。先ほど越村さんからも、どこまでが研究かという話がありました。相当実務のほうにいろいろなことを支えているときに、その部分というのは実務としてきちんと受け取っていただいて、実務で動くようにしていく、その中のどの部分が研究なのかみたいなことをちゃんと切り分けていくのも一つの研究であろうと思うので、それをやはり今期やっていかないと、いつまでも研究で抱えたままだと、本当に先ほどの、人が少ない中でやりきれないと思うんですね。
 だからある意味で、ちゃんと実装として受け渡して持っていてもらうようにしていくような形にしないと、この部分はちゃんと持っていてもらうところというようなことを今期もう少しやっていこうというようなことがちょっと見えないなというふうには思いました。そこはやっぱりここで、中長期計画のところで位置づけておかないと、ずっと持ち続けなければいけないということになってしまうと、その部分で、人なり、それから予算なり固定化してしまって取られてしまうということは、いろんな研究を最大化するためにあまりよろしくないことだと思いますので、そこはやはりより積極的に、防災行政全体の中で研究機関としてやるべきこと、それから社会、民間のほうはかなり、割と話が進みやすいと思うんですけども、特に政府機関のところで指定公共機関としての防災科研がやるべき範囲と、それからそれをやっぱり実際に我が国全体で使っていく部分のところをどうやって考えていくかというところについて、少し文言を付け加えたいなということはちょっと、これを見ていて思いました。
 すみません、全然最後時間がなくなってしまって、組織運営上の課題への対応の在り方については、皆さんの話をお伺いしていて幾つか出てきたところで言うと、風通しとバランスというのが、ここに書いてある言葉に少し足りないかなというふうには思いましたが、特に、「適確」とか「一体的な組織運営」とかいう言葉の中に、もう少し、横断的なとか総合知、実装を可能にするような風通しのよいとか、いろんな分野を超えたみたいな言葉が少しあるといいかなというふうに思います。
【越村委員】  越村です。1点いいですか。
【中川部会長】  どうぞ。
【越村委員】  組織運営上でちょっと気になったのが、今回ちょっといろいろ評価指標の話があったときに、だから文科省のほうに聞いたほうがいいのかな。トップ10%論文については特にカウントしていませんよというか、チェックしていませんよというような、そういう回答だったと思うんですね、防災科研側の。それで、今って大学なんかは特に、自分たちが出版した論文が世界に対してどのぐらいのインパクトを与えられるかということをきちんと数値化するということが、言わばマストになってきていて、だからそれぞれ各論文が何回引用されていますよというのがもう数値として分かってしまうという、非常に残酷な世界なんですよね。
 防災科研がやっぱり研究組織としてやっていくということは、そういう世界の研究機関と競争していかなきゃいけないんですよね。そういう意味では、自分たちの成果がどれぐらいのインパクトを持っているかということをきちんと把握しておく必要があるというわけです。そのために、通常、大学とかだと、例えばScopusという、物すごい大きなお金なんですけど、契約して、様々なメトリクスを出すようにしているんです。
 だからちょっと確認したかったのは、防災科研のほうでそういう、要するにジャーナルの数値化するようなサイトとの契約をされているかどうかということと、恐らく、これは物すごい高い、大学でさえ高い高いと言っているぐらいだから、多分防災科研だと契約されていないんじゃないかなと思うんですね。だからそういう意味でいうと、そういった数値化するための様々なサービスを活用するということは一つ、課題として挙げたいなと思うと。
 もう一つは、やっぱり戦略上の、重要なリソースが限られているだけに、どういうふうにして戦略を練っていこうと、どこで勝負しよう、あるいはどういう論文がどういう社会に対して影響を与えているかということを、それぞれ大学では今、リサーチアドミニストレーターという職業の方を、そういう仕事を担っていただくようにしているんです。それに対応するのが、多分防災科研だとイノベーション共創本部なのかなと思うんですけども、ですから、そのイノベーション共創本部の中でリサーチアドミニストレーター的な機能を付加する、そういうことで世界と闘っていく、研究機関として成長していくということを目指す、そういったことをサジェスチョンしたいなと思います。
 以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。それはすごい大事な視点だと思いますし、どこの辺でどうやって書き加えたらいいのかということもそうですし、多分Scopusのほうは、研発全体のところでどう使うのみたいなところは、研発審とか研発審の事務局とか、そういうところでもちょっと議論してもらったほうがいいのかもしれないですし、一方で、大学も大変な思いをしているので、メディアからの斜め見かもしれませんが、あれに振り回されているのもかわいそうだなとちょっと思ったりするところもあって、どういうものが本当はいいのかみたいな議論というのもあった上で、ちゃんと使っていかなきゃいけないかなと個人的には思うんですが、その辺どうですか、越村さん。
【越村委員】  その議論に対する発言権を得るためには、今の土俵でいい位置にいないといけないわけですよ。じゃないと誰も聞いてくれないので、そういう意味で我々頑張っています。本当はああいう数値化って、要するに……、いや、本当はないんですよ。日本の研究力落ちている、落ちていると言うけれども、論文数とかは絶対的には上がっているんですよ。ただ、中国とかアメリカが今、そういう戦略で数値的に増やそうとしているので、それに対して、その土俵に乗っていないというだけなので、それは間違った土俵だよと言うためには、ある程度その土俵で勝っていくということが重要なので、そういうことですね。
【中川部会長】  そうですね。
【越村委員】  今の話を入れていただくとすると、効果的かつ効率的な組織運営のところで、リサーチアドミニストレーターの活用など、より学術的なインパクトを高めていくような組織運営の効率化というのが求められるとか、そういうぐらいですかね。
【中川部会長】  それを研発法人の言葉に言い直すと、より防災科学技術成果の最大化に帰する研究のみたいな、そんな感じですかね。そういう言葉が入ってくると、まさにそれがここにあって、そういう視点でやらないと、みんながやりたいというだけでは駄目でしょというのが多分研発のミッションだと思うので、そういう感じだと。そういう感じの意味ですよね、越村さん。
【越村委員】  はい。もし一言入れてくださいとお願いするとしたら、リサーチアドミニストレーターの活用です。
【中川部会長】  はい、ありがとうございます。皆さん、何となくイメージ分かりましたでしょうか。本当に研発審のほうでもその辺というのは難しいところで……、ごめんなさい。アドミニストレータの活用ではなくて、評価のところの基準とか、研発審全体にはノーベル賞級がごろごろいたりするような研究所もあるので、ちょっと防災科研と話が違ったりするかもしれませんけど、そういう評価軸みたいなものを、どうやって闘うかというのも大事な視点だと思うので、そこはそこにまず乗らないと駄目でしょうというのも、研発審自体は文科だけですから、そこだけで闘っていては駄目でしょという話も、まさに越村さんの御指摘のところだと思います。そこはちょっと意識しなければいけないかなと、聞いていて思いました。
 特に組織体制のところで、もう少しどなたかコメントはありますか。すみません、時間がもう過ぎてしまいました。進行がまずくて越えてしまったんですが、よろしいですか。
【瀧澤委員】  すみません、瀧澤ですけれども。
【中川部会長】  はい、どうぞ。
【瀧澤委員】  すみません、もうすぐ出なきゃいけないので。今のメトリクスの話は結構悩ましくて、乗らないと駄目でしょうというのはある程度分かるんですけど、乗っちゃうと駄目でしょうというのもまた真なので、何かつまらない研究が多くなってきちゃう部分もあると思うので、よくよく注意されたほうがいいかなと思います。
 すみません、ちょっともうこれで出なきゃいけませんので、申し訳ないですが。
【中川部会長】  はい、もうここで終わりますので大丈夫です。ありがとうございました。本当に最後まで議論ありがとうございました。
 今の両方の御指摘、まさにそこだと思いますし、そこでどうやって、本当に越村さんが言いたいのはそこだと思いますから、その上でちゃんと物が言えるようにならなきゃいけないんだなと思います。ありがとうございました。
 今日の話は、幾つかキーワードをいただいたと思いますし、その部分を、基本的に、最初に話があったフォーマットが入っているので、なかなか直せない文章が多いんですけども、もう一度、事務局と私のほうで少し詰めさせていただいてよろしいですか。それによって、また皆さんにお返しして、やりたいと思うんですが、それでよろしいですか。
 ありがとうございます。事務局、それでよろしいですか。
 それでは、これをもちまして、すみません、5分遅れてしまいましたが、審議を終了したいと思います。事務局より今後の取扱い等について御説明お願いできますか。
【新宮係長】  こちら事務局でございます。本日は様々御議論いただきましてありがとうございました。本日の御議論でいただいた御意見につきましては、先ほど中川部会長からもありましたとおり、見直し内容案に盛り込むものを検討し、また別途、今後の議論のために、いただいた御意見につきましては、例えば別紙などにまとめて対応するということもあるかと思っております。この扱いも含めて、今後また中川部会長にも御相談して進めさせていただければと思っております。
 こちら今回見直し内容案につきましては、法人評価と同様に、8月4日の研発審を経て、8月から9月頃に文部科学省として公表予定となります。プロセスにつきましては、今後並行して総務省プロセスなども行われますので、状況に応じて適宜委員の皆様に御連絡させていただきます。
 また、今後のスケジュールにつきましては、今投影した資料の2番にもございますとおり、秋以降に、次は次期中長期目標案について部会を開催させていただく予定でございます。部会の詳細な日程につきましては、別途既に委員の皆様にメールで御案内させていただいておりますので、引き続き御対応、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
【中川部会長】  ありがとうございます。本当にこの資料にあるように、まだまだ今年はいろいろ皆さんにお願いしなければいけないことがあります。研究開発法人として初めての最終年度に向けて進行していますし、それに伴う様々なやらなければいけないことがあります。これも全てチャレンジでありますので、皆さんにもぜひそのチャレンジにお付き合いいただければと思っていますし、引き続きいろいろ貴重な御意見をいただければと思っています。
 それでは、本日の議論はこれまでとしたいと思います。長時間の御審議どうもありがとうございました。すみません、最後ちょっと押してしまいまして申し訳ございませんでした。御苦労さまでした。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局 地震・防災研究課 防災科学技術推進室

(研究開発局 地震・防災研究課 防災科学技術推進室)