国立研究開発法人審議会 理化学研究所部会(第22回) 議事録

1.日時

令和2年12月18日(金曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館17階 研究振興局会議室
(〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号)

3.議題

  1. 理化学研究所の次期中長期目標(案)について
  2. 理化学研究所の次期中長期計画(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

部会長   永井 良三
委員    栗原 和枝
臨時委員 雨宮 慶幸
臨時委員 伊地知 寛博
臨時委員 上野 裕子
臨時委員 内海 渉
臨時委員 佐藤 忍
臨時委員 高木 俊明
臨時委員 東嶋 和子
臨時委員 村岡 裕明

5.議事録

【永井部会長】  それでは、ただいまから文部科学省国立研究開発法人審議会第22回理化学研究所部会を開催いたします。
 本日は、理化学研究所の中長期目標の一部変更について御議論をいただく予定でございます。
 では、事務局から出席者について報告をお願いいたします。

【大榊補佐】  ありがとうございます。事務局の大榊でございます。本日、10名の委員に御出席をいただく予定でございます。
 今、雨宮先生が遅れてございますけれども、ヴィーツォレック先生から御欠席の連絡をいただいております。
 なお、栗原先生は、30分程度遅刻される予定であると伺っております。
 雨宮先生、入られましたね。すみません。
 以上でございます。

【永井部会長】  ありがとうございます。
 本日の部会は公開会議となりますので、御発言内容を確認いただいた後に議事録として公表されることになりますので、御了承いただきたいと思います。
 では、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【大榊補佐】  資料について確認させていただきます。議事次第に記載のものを事前に事務局から送付してございます。
 本日の議事次第に加えまして、資料1-1から資料2、さらに、参考資料1、参考資料2をお送りしてございます。資料1-1が中長期目標の変更案について。それから、資料1-2が中長期目標新旧対照表(案)でございます。資料1-3は、政策体系図(案)、資料1-4が評価軸等(案)でございます。また、資料2は、中長期計画の変更案についてとしてございます。
 なお、参考資料1として、中長期計画の新旧対照表(案)、参考資料2として、部会の委員名簿をお送りしてございます。
 資料に関して不足等ございましたら、事務局までお知らせいただけると幸いでございます。

【永井部会長】  ありがとうございます。では、本日の部会の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

【大榊補佐】  本日の部会の進め方でございますが、今回の中長期目標の変更に係る背景及び変更の必要性について、文部科学省から説明をさせていただき、その後、中長期計画の変更案について、理研から御説明をいただきます。その上で中長期目標の変更案の内容について御議論をいただければと思ってございます。
 以上でございます。

【永井部会長】  ありがとうございます。また、事務局からウェブ会議のルールについても説明をお願いいたします。

【大榊補佐】  ウェブ会議のシステムについて御説明いたします。委員の皆様におかれましては、プレゼンテーションの間については音声をミュートに、映像は可能な限りオンにしていただけますようお願いいたします。
 もしネットワーク環境等の都合で音声が不明瞭になる場合でしたら、プレゼンテーション中は映像をオフにしていただくことも可能でございます。
 一方、質疑応答の際には、可能であれば、映像をオンにしていただければと思います。
 質疑応答の際は、御発言いただく前に挙手ボタンを押していただくか、画面内で確認できるように挙手いただいて、部会長に御指名いただければと思います。当てられた方のみミュートを解除して御発言していただきます。
 挙手ボタンにつきましては、画面右側、参加者欄の御自身の名前の横にある手のマークを選択していただくか、画面下にあります点々々というマークから、「挙手」、「手を下げる」というのが選択できますので、質問が終わりましたら、同じボタンを選択して、手を下げるようにしていただければと思います。
 以上でございます。

【永井部会長】  ありがとうございます。これまでの説明について、御質問、御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしければ議事に入ります。議題1、国立研究開発法人理化学研究所中長期目標の一部変更等について御議論いただきます。
 まず事務局から、今回の議論の背景となります中長期目標の一部変更を行う背景・変更の必要性について、説明をお願いいたします。

【大榊補佐】  それでは、資料に基づきまして、基礎研究振興課から御説明させていただきます。まず資料1-1を御覧いただければと思います。国立研究開発法人理化学研究所中長期目標の変更案についてというところを表示してございます。
 まず、今の中長期目標の件でございますけれども、昨今の内外情勢ですとか政府文書等に掲げられました内容の重要性等を踏まえまして、理化学研究所において、量子情報科学、また、データサイエンス等の推進に対応していくために必要な中長期目標の変更を行うというものでございます。
 今般、2つ、主な変更点を検討してございまして、これを変更することによって、当該分野に係る研究の推進というのを目標で示して、研究成果の最大化ですとか社会への還元に貢献していただくということを検討してございます。
 中段、主な変更点のところに、マル1、マル2として、それぞれ項目を2つ書かせていただきました。項目の1つ目でございますが、量子コンピュータ研究領域の設定というものでございます。量子技術につきましては、本年の1月に量子技術イノベーション会議等で、量子技術イノベーション戦略が策定されたということも踏まえまして、量子技術というのが現行、特に近年、直近の状況で経済社会に変革をもたらして、安全保障の観点からも重要だということはかなり言われているところでございます。
 このため、国内で量子技術イノベーションの創出に向けて、量子技術イノベーション拠点を形成するという動きが進められているというところでございます。また、量子技術イノベーション拠点というものをつくることについて、量子技術イノベーション戦略等でも掲載されているということでございます。
 続きまして、理化学研究所として、量子コンピュータ研究開発、また、量子制御や観測技術の性能の追究、また、量子計算プラットフォームの構築、また、それに加えて人材育成を実施しまして、超伝導量子コンピュータ研究拠点を整備していくということが検討されますので、国内外の大学とか拠点、研究機関、企業等を結んでいく国際ハブ機能というのを理研に担っていただくことを考えております。
 すなわち、理化学研究所が有する量子技術ですとか計算科学というものの知見を集約しまして、量子コンピュータシステムの実現、社会実装を目指していくということで、理科学研究所を超伝導量子コンピュータに関する量子技術イノベーション拠点という形で形成したいと考えてございます。
 この中長期計画におきましては、ちょうど理化学研究所から御説明がありますけれども、量子コンピュータ研究事業という形で、量子コンピュータ、特に超伝導量子コンピュータに関する研究拠点という形で、量子情報処理の中核拠点として、内外と連携して研究開発を進めていただくことを検討してございます。
 もう1点、マル2に移らせていただきます。マル2に、情報統合本部の新設というのを掲げてございます。現在、オープンデータですとか、ICT、デジタルトランスフォーメーションという研究手法の研究方法論の変革が進行してございます。国内外で、まさにデジタル庁の設置も踏まえまして、国内外でのデータサイエンスの推進というのがかなりうたわれているところでございます。
 これについて、理化学研究所においてもオープンサイエンス、また、データ駆動型研究という形に対応していくために、研究データ基盤の構築ですとか、情報科学研究の推進、情報科学の知見を用いた組織・横断的な取組を実施していくということを検討してございます。特に理化学研究所は非常に多岐にわたる分野の研究開発が進んでございまして、ライフサイエンス、マテリアル、環境・エネルギーと様々な分野を情報科学の形で横断的に統合して、新しいサイエンスを切り開いていくということをやっていきたいと考えてございます。
 一方、今までの中長期目標では、そういったものの記載がございませんでしたので、新たに情報、いわゆるデータサイエンスをきちんと位置づけるという形を取りまして、情報環境ですとか情報セキュリティーの強化ということに中長期計画のほうでも対応していきたいということを考えてございます。
 以上、2点のところが主な変更内容でございまして、それを新旧対照表に表したものが資料1-2でございますので、資料1-2をお開きいただければと思います。
 まず中長期目標の(変更案)を左に、(現行)の中長期目標を右に記載してございます。研究データ基盤の構築等による情報環境の強化というものを新設しているというのが1ページに記載してございます。
 2ページ目をお開きいただきますと、科学技術基本計画の部分について、これは科学技術基本法の改正に基づきまして、科学技術イノベーション基本計画という形で名称を変更するものでございます。
 3ページ目のところに、先ほど御説明いたしましたオープンサイエンス、また、量子コンピュータ研究というものの記載がございますが、(5)のところに、研究データ基盤の構築等による情報環境の強化ということを書かせていただきました。すなわち、優れた研究成果ですとかイノベーション創出に向けて、オープン化、また、オープンサイエンス等の動きが活発化しているということを踏まえて、研究データの管理、利活用を可能とする研究データ基盤の構築を進めるということと、情報科学研究の推進、情報科学の知見を用いた研究所内の組織・分野横断的な取組の推進を掲げたものでございます。
 同じ3ページの下に量子コンピュータ研究を書かせていただいております。量子科学の基本原理ということで、情報処理・通信・計測への変革をもたらす量子情報科学研究を推進するということを掲げてございまして、量子コンピュータ研究開発、量子情報科学の基盤となる量子制御・観測の性能の追求。また、応用への開拓、社会課題解決のための量子計算プラットフォームへの貢献、及び新たな学術分野の形成を図るということに加えまして、量子コンピュータの研究開発領域において国際的に主導的な役割を果たすために、若手人材の育成、また、国内外の大学等とのイノベーション創出に向けた先駆的な取組を行うということを掲げてございます。
 4ページの「また」以下で記載してございますが、国際連携ハブとしての役割を果たすということでもって、ほかの量子技術関係の研究開発を推進する国内外の大学ですとか研究機関と連携して、研究の共有や普及を促進するということを掲げたものでございます。それが国際ハブとしての機能ということで記載をしているものでございます。
 4ページ目の下のところにございますのが、変更してございますのは、ポスト「京」であったものを「富岳」に変更しているものでございまして、これはテクニカルな修正でございます。
 最後は、5ページのところに記載しておりますのが、研究所の人材確保・育成についてという項目でございまして、これは総務省からも指示がございましたけれども、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」、すなわちイノベ活性化法と呼んでございますが、こちらに「人材活用等に関する方針」が定められてございますので、これを法人の中長期目標のほうにも記載するという形で修正しているものでございます。
 資料1-2については、以上でございます。
 資料1-3は、政策体系図でございますが、これは先ほど科学技術基本法の改正に伴います修正のみでございまして、これも科学技術基本法を科学技術イノベーション基本計画という形に改めたものでございます。
 最後、資料1-4を御説明いたしますが、資料1-4は評価軸に関する資料でございます。左側の赤字のところに修正箇所を書いてございますけれども、項目の中で、研究データ基盤の構築による情報環境の強化と量子コンピュータ研究というのをそれぞれ書いてございまして、右に「モニタリング指標等」を記載してございます。情報環境の強化につきましては、情報技術等を駆使した研究開発成果の最大化、イノベーション創出の促進に係る取組状況をモニタリングする、評価指標として加えるということと、モニタリング指標として研究データの収集、管理、利活用の状況というのを記載しているものでございます。
 量子コンピュータ研究につきましては、国家戦略等に基づく戦略的な研究開発の1項目として記載してございますので、評価指標はそれぞれ従来の評価指標を使って、評価、また、モニタリングを行っていくということで、特段、これに基づく追加というのは行ってございません。
 駆け足で申し訳ありませんでしたけれども、以上でございます。

【永井部会長】  ありがとうございます。
 続きまして、理化学研究所から、中長期計画の変更案についての説明をお願いいたします。

【小安理事】  どうぞよろしくお願いいたします。理化学研究所の小安でございます。今日は、私、小安と美濃の2人から御説明を申し上げる予定でございます。資料2に基づきまして御説明差し上げたいと存じます。
 2ページ目に移ってください。主な内容は、先ほど文部科学省のほうから示された中長期目標の変更にのっとって、ここに大きく2つの中期計画の変更を書かせていただきました。さらに、研究の進捗等に応じて対応させていただきたいという項目をマル3に掲げてございます。
 1番目は、先ほどお話でありました量子コンピュータ研究事業を推進するということで、新たに量子コンピュータ研究センターを新設させていただきたいと思います。ここにおきましては、超伝導量子コンピュータ開発等、量子技術イノベーション創出に向けた研究開発を推進すると書いてあります。
 2番目は、研究データ基盤の構築等による情報環境の強化ということで、ここは現在、情報システム本部と呼んでいますところを情報統合本部に再編いたしまして、オープンサイエンスの推進、ICTやデジタルトランスフォーメーションによる研究方法論の変革等への対応。その中には健康医療分野におけるデータサイエンスの発展や、次世代ロボティクス研究の推進ということを含んでおりまして、これに関しましては、後ほど美濃から詳しく御説明をさせていただきたいと思います。
 3番目は、研究の進捗等に応じた対応でございまして、これまで理研における研究開発項目としてNMR、超高磁場NMRもございまして、この要素技術開発を放射光科学研究事業の中で推進してまいりましたが、このたび一定の成果が得られて、安定した電源の開発等が進みました。そして、1ギガを超えるNMRが実際に動いたということから、これを実際に動的な生体分子構造解析のための基盤技術を開発するという目的で、生命機能科学研究事業へ移して、さらに展開を進めたいと、これが一つでございます。
 それからもう一つは、スーパーコンピュータ「富岳」がおかげさまで動き始めます。そのスーパーコンピュータ「富岳」を用いまして、創薬プロセスの高度化に関する共通基盤構築に向けて研究を推進したいということで、一部、これまで生命科学系のセンターで行ってまいりました事業を計算科学研究事業の中に組み入れたいということで、これが3番目の内容になります。
 その次のスライドに参ります。まず量子コンピュータ研究事業でございますけれども、来年4月から量子コンピュータ研究センターを新設させていただきたいと考えております。この中では超伝導量子コンピュータの開発を進めさせていただきます。さらに、その上での実際の計算プラットフォーム構築へ向けた研究をするということで、その応用展開のための基盤技術の研究も進めたいということでございます。
 また、それに加えまして、先ほど文部科学省からも説明のありました、量子コンピュータ拠点形成のために中核組織として仕事をさせていただきたいと、そのように考えております。この超伝導量子コンピュータ開発研究を行いますセンターと、さらに、理研内の数理科学あるいは計算科学研究センター等の緊密な連携を通じて、この分野を発展させたいと思っておりますし、また、Q-LEAP等の外部資金で行っております事業に参画されておられます他の大学や研究機関ともタッグを組む。そして、さらに民間企業や海外機関とも手を取り合って、この超伝導量子コンピュータの完成に向けて進みたいということです。この分野をオールジャパン体制で行うということに貢献したいと思っております。
 次のスライド、お願いいたします。これはその中身を書いてあるものでございますけれども、先ほど文部科学省から御説明がありましたように、背景といたしましては、量子技術イノベーション戦略が国で策定されたということが最も大きな背景ということになります。この分野は、皆様御存じのように、非常に国際競争の激しい分野でございますけれども、私どもが中に持っているマテリアルや様々な技術を結集いたしまして、計算機の実用化に向けて進みたいということでございまして、データの入力装置やソフトウエア等も総力戦で取り組むことを考えています。そのために、私どもだけではなくて、他の企業や大学・研究機関と協力するイノベーションの場を構築して、オールジャパンで、先ほど申し上げましたように進めたいと、そのように考えております。
 この動きに向けましては、実は本年10月に、創発物性科学研究センターの中に、量子コンピュータ研究領域というのをまず作りまして、来年4月からセンター化に向けて本格的に現在準備をさせていただいているところでございます。
 そのような流れの中で、来年4月からは、このセンターを立てまして、国内の各技術領域拠点を結ぶ中核機能も担わせていただきたいと、そのように考えておるところでございます。そのようなことから、この中期計画の中に新たに量子コンピュータ研究事業を記載させていただきました。
 その次は情報関連になりますので、次のページから、美濃が御説明を申し上げます。

【美濃理事】  理化学研究所、美濃でございます。よろしくお願いいたします。
 研究データ基盤の構築等による情報環境の強化という項目を追加させていただきました。この図の右側の3つの枠の一番下に情報システムがありまして、今まで情報システム本部というのは、理研内の情報環境をつくろうということに専念していました。そちらのほうでオープンサイエンスの基盤をつくって、いろいろな分野のデータを集めるというところまではやってきました。他機関の人のためにオープン化していくだけでなく、自分たちもそれを使って研究しなければならないので、データサイエンスをやっている研究部門も一緒に取り組んで、他の分野と連携しながら、データサイエンスを進める必要があるだろうということ。
 もう一つ、ロボティクスも取り組みます。情報技術というのは、この抽象的な話だけをやっているものではありません。Society5.0でも情報の世界とフィジカルな世界をつないで一体化させるもので、そのつなぐものとして、我々はロボティクスを考えようと。つまり、今、これをつないでいるのは、皆さんがお持ちのスマホなんですね。基本的にはスマホでもって、フィジカルな世界と情報の世界をつないでいるわけです。
 このスマホの次に何が来るかと考えたときに、スマホというのは、徹底して受動的で、こちらが操作しないと動かないというようなものです。そこにロボティクスという概念を入れて、自立的に動いて人間を支援するロボットを作るということ。そういうインターフェースとしてのロボティクス研究をしようということで、そのために重要なのは何かというと、やはり人間の認知機能です。世の中をきちんと理解する認知機能を持ったロボットを構築することで、それが能動的に情報収集して能動的に人間を支援するということを目標とします。このロボットが情報の世界とフィジカルな世界をつなぐだけでなく、それが脳科学、AIを広く含む研究領域であるということで、これも情報統合本部で取り組みます。これに加えて、国内外の他機関のオープンデータを活用して進める研究、理研の中の研究センターから研究データを出してもらって、オープンサイエンスを進めると。これらを情報系として統合的にやって、理研内の研究センターの連携のためのハブとなるような組織として情報統合本部をつくりたいということでございます。
 次のページに行っていただきますと、背景、その他、文科省から説明がありましたけれども、ICTやデジタルトランスフォーメーションによる研究方法論の改革が今、進んでおりますので、これをいかにして理研内で進めていくかということでございます。
 それから、オープンサイエンスについては、令和3年度からの次期科学技術基本計画に関わる「科学技術・イノベーション基本計画の検討の方向性」等において、そのオープンサイエンスが重要だということが言われております。したがって、理研としての情報統合本部において、様々な領域からデータを集めて、オープンサイエンスを推進する、同時にそのデータをきっちり管理する基盤をつくる。この基盤が国内の他の研究期間と連携して、さらに世界的にも連携していきたいと思っております。本年3月に、理化学研究所のデータポリシーを策定しました。現在、それを受けて準備を進めております。
 最終的には、オープンサイエンスやデータ駆動型研究の対応の取組を今後強化して、理研が世界をリードする研究を情報科学の技術からも支援しながら、情報科学の研究においても世界をリードできるような体制をつくりたいと思っております。
 私からの説明は以上でございます。

【小安理事】  それでは、引き続き次のページに行っていただきまして、研究の進捗等に応じた対応ということで御説明をさせていただきます。
 1つ目は、NMRの要素技術の開発についてでございますけれども、この変更は、放射光科学研究において実施された当該取組を削除させていただきまして、それを生命機能科学研究に記載させていただきたいということでございます。
 細かい書きぶりに関しましては、参考資料1のほうに書かせていただいておりますけれども、その背景、変更の必要性、喫緊性等に関しましては、これまでNMRの要素技術開発といいますのは、放射光科学研究事業において取り組んでまいりました。これは材料系の問題でありますとか、安定電源の開発の問題でありますとか、非常に工学的な部分が多かったということから、これまでそういう技術に長けておりました放射光科学研究事業において進めてまいりましたが、これらの開発が一定程度進みました。
 そして、これからは実際にそれを利用して、動的生体分子構造解析のための高度基盤技術等の開発への展開も可能になる。これは例えばプローブの開発とかそういうことを言います。また、構造生物学分野での、これを利用することによって、創薬等への応用展開も期待されます。このようなことから、この技術開発を生命機能科学研究事業において実施したいと、そのように考えておるところでございます。
 次のページにお移りいただけますでしょうか。最後が「富岳」を用いた創薬プロセス高度化ということでございます。変更内容は、産業界との連携を支える研究、生命医科学研究としてこれまで実施してまいりました当該取組を、新たに計算科学研究の取組として記載させていただきたいということでございます。
 背景でございますけれども、創薬プロセスの高度化ということに関しましては、医科学イノベーション推進プログラム、これはもともとはJSTの実施しておりましたイノベーションハブ構築支援事業をベースにした事業でございましたが、この本年3月にそれが終了しておりますが、ここで進めてまいりましたことをさらに発展させたいということでございまして、この中で、健康・医療データプラットフォーム形成事業ということで推進してまいりましたけれども、その中の創薬プロセス高度化のための機械学習やシミュレーション等につきましては、これを用いることによって、医薬品等の開発に貢献できるということで、さらに、皆様御存じのように、「富岳」の開発が進みまして、この「富岳」を使いますことによって、例えば、モレキュラーダイナミクスのシミュレーションなどの方法論が非常に進みました。したがいまして、このスーパーコンピュータ「富岳」と一体的に連携することによって、さらにこの取組が加速できるということが考えられますので、この取組を計算科学研究において、発展、実施をしたい、そのように考えているところでございます。
 最後にもう一枚おめくりいただきますと、これまで申し上げてきた内容を体制図に盛り込みますと、2つ、新しいものを書かせていただいておりますが、情報統合本部という部分と、それから、量子コンピュータ研究センター、この2つが新たに、情報統合本部は、情報システム本部の再編でございますけれども、このような形で、次年度より研究開発を進めさせていただきたいと、そのような計画を立てているところでございます。
 私からの説明は以上になりますので、御審議、御指導のほどよろしくお願いいたします。
 以上です。

【永井部会長】  資料1-1から1-4、及び資料2の内容について、皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 高木先生、どうぞ。

【高木委員】  高木です。量子コンピュータ研究センターの新設についてなんですが、ハード、ソフトの開発力は、やはり日本企業の、また、大学の強みでもありますので、理研とともにオールジャパン総力戦で、今後開発していけば、グローバルでの競争優位に立てるものと私も確信しています。そういう意味で、今回の変更については賛同したいと思います。
 それで、質問というよりは再確認になりますが、ベースとなる量子情報処理技術の確立や、ここにも載っています量子チップの開発に関して、世界的競争力として、現在どのレベル、どのぐらいの位置にいるのかということと、また、それをさらに高めてアップデートしながら、グローバルリーダーとなっていくことを同時並行的に進めていくとの理解でよいのか、教えていただければと思います。

【小安理事】  御質問ありがとうございます。現状では、御存じのように、蔡、中村という、最初の量子ビットを開発した2人が中心メンバーとなって、現在、超伝導電子で16ビットほどのものを開発しており、それを実際に大きくしていくということを目指して、今、これから計画をしていこうと思っております。
 また、同時に、シリコンベースの量子コンピュータの開発というのを並行して進めていく予定にしておりまして、それらに対する、さらにシステムの構築、それからソフトの開発等は計算科学研究センターや、数理科学研究のメンバーとも一緒になって進めております。ということで、ここにおります美濃の担当部署と緊密な連携して進めていきたいと、そのように考えております。
 また、連携に関しましても、現在、機関、企業と実際に話をさせていただいておりまして、この量子コンピュータ研究センターの中に連携研究室あるいはそういうものをつくっていただくようなことを進めておりまして、まだ決定はしておりませんけれども、企業とともに歩いていくというようなこともやっていきたい、そのように考えております。
 以上です。

【高木委員】  グローバルに十分戦っていけるレベルであって、これからそれもどんどん推進していきたいというお話だと理解しました。グローバルリーダーとなって研究開発で世界をリードしていくチャンスだと思いますので、事業を推進され、大きな成果が出ることを期待しています。よろしくお願いします。

【永井部会長】  いかがでしょうか。村岡委員、どうぞ。

【村岡委員】  私も、今高木先生おっしゃったとおり、量子コンピュータ技術は非常に大事な取組をタイムリーに、スタートしてくださったなと思っておりまして、組織も大変よく練られた組織で連携のところも力強いというふうに拝見させていただきました。ぜひお進めいただいたらと思っております。
 御質問としては、今、高木先生もおっしゃっておられましたけど、量子技術がグローバルにすごい競争になっていて、私は日本が勝っていくというのはやっぱりそう簡単ではないかもしれないということも思っておりまして、そういう意味で、今回、いろんなところと連携して、拠点として進めていくというお考えは非常に賛成するところです。そこでなんですけれども、創発物性科学のお名前も出ていましたけど、これを進める強みのような技術あるいは特有のストラテジーのようなことを理研さんのほうで何かお考えなのかどうか。例えば、今、シリコンデバイスというお話がありましたけど、そういうところに強みのあるチップを開発する期待があるのか。そこら辺を教えていただけたらと思います。

【小安理事】  ありがとうございます。超伝導量子コンピュータに関しましては、これは確かに、現在、世界中で、特にGAFAのところが強力に進めておるところで、なかなか厳しい戦いだということは重々承知しております。ただ、それ以外にも、今、触れていただきましたように、創発物性科学研究センターでは、材料分野でも非常に革新的なものを生み出しているということもあり、そういう部分で我々が世界と戦っていける部分を構築していきたいと考えています。
 それから、さらに理論的な部分に関しましては、やはりもともとの中村、蔡からスタートして、それから、現在、日本の中で非常に強力にその分野を進めております方々に、この量子コンピュータ研究センターに参加していただくことを今、お願いしておりまして、そういう形で、日本一丸となって進めるというところで、何とか戦っていきたいと思っております。
 また、加えまして、シリコンベースの研究というもの、これも現在、創発物性科学研究センターでこれまで進めてまいりました。そういうところも並行して進めていく。また、それ以外の部分に関して言いますならば、光量子工学研究センターという私どもの事業の中では、光を使った様々な取組というのも行われておりますので、いろいろなところを結集して進めていきたいと考えております。
 これはなかなか責任が重くて、いついつまでに世界で勝てるというようなことはなかなか申し上げられないので申し訳ないのですが、とにかくそれでも日本の力を結集して頑張る、中核拠点として頑張っていく覚悟を決めたと、そのように御理解いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【村岡委員】  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【永井部会長】  ほかにいかがでしょうか。上野委員、どうぞ。

【上野委員】  御説明ありがとうございました。社会情勢や国の政策に対応する時宜を得た改定だと思います。内容面では、異論はなく、大いに賛成でございます。目標等にどのように書き込むか、その記述面について意見を述べさせていただければと思います。
資料1-2の中長期目標の「3.1 研究開発成果を最大化し、イノベーションを創出する研究所運営システムの構築・運用」において、今回「(5)研究データ基盤の構築等による情報環境の強化」が新設されておりまして、「研究データの適切な管理と利活用を可能とする研究データ基盤の構築を進めるとともに、情報科学研究の推進及び情報科学の知見を用いた研究所内の組織・分野横断的な取組を推進する」ということが新たに加筆されています。
 こちらにも書かれており、また先ほどの御説明にもありましたように、データを提供するだけではなく、自らもそれを使って研究も推進するということが書かれておりますので、(5)の見出しに、「研究の推進」という要素も入れてはどうかと思いました。
 資料2では、「次世代ロボティクス研究の推進」ということも書かれていますので、「研究データ基盤の構築等による情報環境の強化」ということだけではなくて、研究を推進するということも見出しに入っていると、より良いのではないかと思います。
 さらに申し上げますと、研究基盤を整えながら研究も行うという、このたびの取組は、放射光科学研究やバイオリソース研究などと同じような枠組みに近いように思いましたので、今の3.1の「研究開発の成果を最大化し、イノベーションを創出する研究所運営システムの構築・運用」というところよりも、3.3の「世界最先端の研究基盤の構築・運営・高度化」というところに入れたほうがいいのではないか、なぜこちらではないのか、ということを、最初にこの資料を拝見したときに思いました。3.3のほうにもし記載されれば、論文等の研究の側面からも評価されるようになりますので、情報統合本部に配属される方々にとっても、よりモチベーションが高まるのではないかと思います。
 今後、活動が評価されていきますけれども、評価は枠組みに沿って行われますので、情報統合本部の取組をどの観点で評価されたいのかという意味で、どこに記述するのかということは結構重要なことかと思います。それが1点目です。
 もう一点も評価に関わることなんですけれども、資料1-4の右端の枠で、今回の「(5)研究データ基盤の構築等による情報環境の強化」は、目標が「情報環境の強化」で、評価指標が「情報技術(ICT)を駆使した研究開発成果の最大化・イノベーション創出の促進に係る取組状況」、モニタリング指標が、「研究データの収集、管理、利活用の状況」と書かれております。
 
 評価指標は、その目標との間で因果関係のロジックがあることが必要です。しかし今の記載は、目標が「情報環境の強化」であるのに、評価指標のほうが「研究開発成果の最大化・イノベーション創出」という目標より大きな話になってしまっておりまして、逆になっていると申しますか、バランスがあまりよくない印象があります。「研究データ基盤の構築」で、「研究開発成果の最大化・イノベーション創出」まで求めるのはちょっと酷かなという気がいたします。モニタリング指標も、「研究データの収集、管理、利活用の状況」という、あくまで「研究データ基盤の構築」状況を測る指標となっておりますので、そうであれば、「研究開発成果の最大化・イノベーション創出」への寄与、といったぐらいが評価指標としては適当ではないかと思います。
 あるいは、先ほどの1点目と関係しますけれども、今回の取組を「3.1 研究開発成果を最大化し、イノベーションを創出する研究所運営システムの構築・運用」という枠組みに入れるとこうなってしまうんですけれども、同じ資料1-4の下のほうに行っていただきますと、放射光科学研究ですとかバイオリソース研究が「3.3 世界最先端の研究基盤の構築・運営・高度化」とう枠組みの中に載っています。こちらの3.3では、評価指標として「利活用のための卓越した研究開発成果の創出、成果の社会還元」、モニタリング指標として「学術論文誌への論文掲載数、論文の質に関する指標(Top10%論文数等)」が書かれており、研究業績面でも評価されることとなっておりますので、こちらに入れるほうが、データ基盤の構築に加えて研究の推進についても評価されることから、より自然であるような気がいたしました。
 以上でございます。

【永井部会長】  ありがとうございます。今の点、いかがでしょうか。

【大榊補佐】  文部科学省からお答えさせていただきます。上野先生、ありがとうございます。まず1点目のところでございますが、情報科学研究の推進のところについては、(5)のところに、「このため」以下で、情報科学研究の推進ということは、項目としては入れているつもりですが、もし弱ければもう少し補記するという必要があるかなとは思ってございます。その上で、入れている場所の話でございますが、これは今回、理研の研究体制を考えるに当たって、これまで理研のほうでは、戦略研究センターとして、各センターを整備して、それから、研究基盤のほうで、例えば計算科学ですとか放射光とかバイオリソースというのをそれぞれ載せてございますけれども、今の中長期目標の評価のつくりですと、いわゆる戦略センター関係のところを3の2に入れて、それから、研究基盤のほうを3の3に入れさせていただいておりますが、それよりももう少し広い概念、例えば科学技術のハブの産学連携本部であるとか開拓本部、そういったような観点の広い概念の部分を3の1のほうに記載しているものでございます。
 今般、情報統合本部という形で、基盤センターではなくて、本部の形に置いてございますのは、一つは情報セキュリティーという、戦略センターにも基盤センターにも係る広い概念であるということと、それから、情報データサイエンス自体が戦略研究センターに加えまして、基盤センターのほうにもかかってくる、さらに上位の概念であるということから、もう少し包括的に各センターを横断的に見られるようにということで、3の1のほうに記載しているという趣旨でございます。
 もう1点の評価軸のほうにつきましては、御指摘の点を踏まえて、その点については少し中で検討させていただいて、修正ができればと思ってございます。

【上野委員】  ありがとうございました。「研究の推進」という言葉は、確かに3.1の(5)の説明のところには書かれているんですけれども、(5)の見出しが「情報環境の強化」で終わっているので、見出しにも「研究の推進」ということを、可能であれば、入れてはどうかという趣旨で申し上げました。
 どこに書くかについては、いろいろと全体的なバランスもあると思いますので、お任せするところではあるんですけれども、その活動に取り組まれる理研の方々が、研究をされて、そして、例えば論文を書かれた際には、論文で評価されるほうがモチベーションは高まるという側面があると思います。資料1-4によれば、3.1のモニタリング指標は、現状、「研究データの収集、管理、利活用の状況」であり、研究業績を評価する指標が書かれていないため、素晴らしい研究成果を上げたとしても、それを評価する観点がないということになる懸念があるように思えました。この活動に取り組まれる理研の方々が、何をもって評価されたいのかというところで決まってくるかと思います。ありがとうございます。

【大榊補佐】  ありがとうございます。まさに研究の評価のところにつきましては、モニタリングの指標の中でも論文の評価等をさせていただいておりますけれども、理研がセンターを構築していくに当たって、きちんと研究成果のところもよりしっかり評価として対象に加えてもらえるように、こちらからもお願いしたいと思いますので、先生の御指摘、どうもありがとうございます。

【上野委員】  ありがとうございました。

【永井部会長】  栗原委員、どうぞ。

【栗原部会長代理】  今の評価の指標とモニタリング指標について意見を申し述べたいと思います。評価は必ず定性的な評価と定量的評価を組み合わせてやるというような大きな方針があると思っています。モニタリング指標は、どちらかというと、定量的評価ができる部分について、それに対して、評価指標のほうは、視点というものになる部分が多いと思います。従ってモニタリング指標のみで評価をするものではないと、少なくとも文部科学省の研発法人評価についてはずっとそういう合意があると思いますので、付け加えさせていただければと思います。
 以上です。

【永井部会長】  ありがとうございます。

【上野委員】  栗原先生、言葉足らずなところがあったとしたら申し訳ありません。評価に定量的側面と定性的側面があることは承知させていただいておりました上で意見を述べさせていただきました。すみません。それだけ補足させていただきます。

【栗原部会長代理】  ありがとうございます。でも、上のほうは、だから、取組状況とか最大化というのはどちらかというと、もっと単純に指標化できないものも、数値化できないものもあるだろうということで、そういう視点を書き込んでいらっしゃるんだと思っています。

【永井部会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。伊地知先生、どうぞ。

【伊地知委員】  2点申し上げます。1つは中長期目標変更案に関することですけれども、資料1-2の3ページ目から4ページ目にあるところで、「量子コンピュータ研究」の「また、...」のところ、一番最後の段落に、「社会的・科学的課題の解決に向けた研究成果の共有や普及等を促進する」という表現になっています。なぜこういった表現になっているのかと思って、ほかのところを検索するなどして探したところ、たまたま今、そこの資料の中にも含まれているのですけれども、今回の変更の対象とはなっていない計算科学研究、同じ4ページの一番下の部分になるのですが、ここで「社会的・科学的課題の解決に資するよう」ということがあるということが分かりました。ただ、「解決に資するよう」と「解決に向けた」ということで、どこが違うのかなということはあったのですが、そこはそこで置いておいて、この2か所しかないですので。
 一つ気になりましたのは、今回の量子コンピュータ研究というところの枠組みは、3.2は「国家戦略等に基づく戦略的な研究開発の推進」ということで、まずは戦略的に研究開発を推進していただこうということからすると、どちらかというと、まずはやはり「科学的課題の解決」のほうがより先、あるいは、より上位に来るのではないかと思いました。もし可能であれば、ここの順番を変えていただく、つまり、「科学的・社会的課題の解決に向けた...」ということがあり得るのかなと思った次第です。これが1点目になります。
 それから2点目は、中長期計画変更案に関することですが、ただ、資料2での御説明では含まれていなかったので、今回のこの審議の対象に含まれないということかもしれませんので、そのときには単なるコメントとしてお聞きいただければ、お取扱いいただければと思います。参考資料1を拝見していて、2ページ目に、今回、これは研究所全体に関わるところかと思うのですけれども、「研究成果を最大化し、イノベーションを創出する研究所運営システムの構築・運用」というところの「加えて、...」といったところで、参考資料1の2ページになります。今お示しいただいたところですけれども、ここで、「被引用数の順位で上位10%以内」という表現があります。現状の中長期計画の中でも、例えば、「高被引用論文著者」あるいは「被引用回数Top10%論文」、そういった表現がある。あるいは、こういったところの指標の基になる文科省の科学技術・学術政策研究所のレポート等では、例えば「Top10%補正論文数シェア」、そういった表現もあるのですが、以前もこの会合の中でもしかしたら申し上げたかもしれないのですけども、やはり理化学研究所は非常に幅広い研究領域を持っていらっしゃるとすると、その領域ごとに引用のされ方、あるいはそこの数値の在り方というのはかなり違ってくると思うのです。そうすると、「被引用数の順位で上位10%」という、ある意味、何か固有のものに特定されてしまうような表現は、かえってその多様性をゆがめてしまう可能性があるような気がしました。
 ですので、例えば「高被引用度上位10%」というように、あまり特定の指標を意味しないような表現にとどめられて、むしろどういった指標等で見ていくのが本当に研究所として好ましいのかということについて、さらに御検討いただくとよろしいのではないかと思います。
 以上になります。

【永井部会長】  ありがとうございます。ただいまの点、いかがでしょう。

【大榊補佐】  文部科学省からよろしいでしょうか。

【量子研究推進室】  文部科学省量子研究推進室の戸辺と申します。よろしくお願いします。
 今、伊地知先生からいただいた御意見のまず1つ目について、分野担当課の量研室からお答えいたします。まず、そもそもこの位置づけなんですが、中長期目標のここの後段の部分、「また」以降のところでございますが、基本的にここは量研の研究機関が国内の中核拠点として推進していくという意味で書かせていただいております。そして、社会的・科学的の順番になっている理由としましては、基本的に、政府の量子戦略上、社会実装、社会的な課題を解決するというのを目的としてつくられているため、この順番になっていると認識していますが、ただし、伊地知先生おっしゃるとおり、研究機関ということになりますので、ここの順番を入れ替えるということについてはやぶさかではないと思います。検討させていただきます。
 ただ、計算科学のところはまた個別の事情が多分あると思いますので、そこは分野によって個別に判断していければいいかなと思っています。
 以上でございます。

【永井部会長】  よろしいでしょうか。

【小安理事】  後段の質問に関して、理化学研究所からお答えさせていただきたいと思います。今お話がありました、その分野に関して、いろいろ分野の違い等もあるということはおっしゃるとおりでありまして、これは私どもの中でも評価というのは常に永遠の課題として常に議論しております。
 これに関しましては、分野補正等も含めて、今後、指標についてぜひ検討させていただきたいと思います。現在は、前中長期計画のやり方を踏襲させていただいているというのが本当のところでございまして、今いただいた御意見を含めて、この指標に関しては検討させていただければと思います。いかがでしょうか。

【永井部会長】  伊地知先生、よろしいでしょうか。

【伊地知委員】  はい。

【永井部会長】  ほかに御発言。どうぞ。

【雨宮委員】  雨宮です。理化学研究所の方に、資料2に関して質問です。新しく量子コンピュータ研究センターをつくるとのこと、これは非常に頼もしく期待しているところですが、これの予算や人員数の規模感、あと、どういう分野の人を採って、今まで創発物性科学研究センターでやっていたことを広げようとしているのかをお聞きしたいと思います。

【小安理事】  ありがとうございます。今、中心となる準備室長としては中村泰信を配置しておりまして、若い中村に中心となってもらって、研究開発は進めたいと思っております。また、そこに連なる、やはり開発にこれまで関わってまいりました東京大学や大阪大学で研究を進めてきた方々にも、このセンターに参加していただけることになっています。さらに理化学研究所の中で、この分野に貢献できる候補を数名、ここに関わってもらおうと思っております。
 また、この量子コンピュータの研究の推進においては、シミュレーションが非常に重要だということがこれまで言われておりますので、そういう観点から計算科学研究センターにその面では協力してもらうというような体制、これも考えております。実際にもう既にこの領域の中には、現在、阪大で、この分野でトップを走っておられます藤井さんにも、センターに参加していただきまして、一緒にやってもらうというようなことも既にスタートしておりますので、そういう意味でもオールジャパンということをこれからやっていきたいと思います。
 規模感については、交付金と外部資金を合わせた適正規模を、これからの資源配分の中で検討していきたいと考えている次第です。
 以上です。

【雨宮委員】  どうもありがとうございました。

【永井部会長】  栗原委員、どうぞ。

【栗原部会長代理】  今回、研究の推進に関わって変更された部分について御質問したいと思います。性能の向上の確認の後、NMRを生命のほうへ移すというのは、適切だと思います。放射光による結晶構造解析、最近、非常に発展が著しいクライオTEMと、これらはどちらかというと結晶とか単分子というところと、溶液中ができるNMRということで、構造生物学の非常にパワフルな研究推進体制ということだと拝見しまして、楽しみだと思います。これに関し、これらの設備の置いてあるところと研究者がいらっしゃる場所と、それが大体どういう関係に理研の中でなっていて、そこの連携をどう今後推進していらっしゃる御予定なのかというところ、そこが非常に重要だと思いますので、伺えたらと思います。よろしくお願いいたします。

【小安理事】  栗原先生、ありがとうございます。これまでもNMR開発そのものは、組織としては放射光科学研究センターの中ではありましたけれども、実際の研究場所としては横浜のキャンパスの中で行ってまいりました。横浜のキャンパスには、生命系の、構造生物学の人間もかなりたくさんおりまして、それから、現在、クライオ電顕も横浜のキャンパスに300KeVのハイエンドのものがございます。先生おっしゃったように、実はNMRとクライオ電顕は非常に相性のいい構造生物学的な手法であるということが、今回の変更を後押しした一つの大きな理由にもなっております。
 一方で、結晶構造解析に関しましては、やはりSPring-8、SACLAが最先端ですけれども、現在では非常にリモートの測定が進んでおりまして、結晶を研究者が自分で運んでいかなくても、郵送のような形で送って、データを取るということが可能になっておりますので、資料をつくる場所が、例えば横浜であったとしても、SPring-8、SACLAも活用することはできるということで、生命系の構造生物学部門があります横浜にNMRやクライオ電顕を結集して、それを進めていこうというふうに考えております。
 また、もう一つ、放射光科学研究センターでもクライオ電顕の研究を実はしておりまして、SPring-8、SACLAのために開発した検出器などがやはりこのクライオ電顕にも非常に有用です。こちらのほうはどちらかというと、利用よりも国産のクライオ電顕を何とか造りたいという大目標がございますので、そういう観点から引き続き放射光科学研究センターではそちらの研究を進めていきたい、このように考えております。
 以上です。

【栗原部会長代理】  ありがとうございました。SACLAによる構造解析も期待できると思いますし、クライオTEMとも全部つながっていくと思いますので、大変楽しみにしております。ありがとうございました。

【永井部会長】  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 もし御質問、御意見ございませんでしたら、本日御議論いただきました中長期目標の変更案につきまして、部会として了解ということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい。ありがとうございます。
 それでは、議題2、その他についてお願いいたします。本日議論した内容の取扱い、それから、国立研究開発法人審議会への報告等について事務局から説明をお願いいたします。

【大榊補佐】  ありがとうございました。本日、先生方からいただいた御意見を基にしまして、事務局にて部会長と御相談の上、中長期目標の変更案、また、それを基にして理化学研究所が作成する中長期計画についていただいた御意見等を整理させていただきたいと思います。
 また、それらの結果も踏まえて、1月13日水曜日に開催予定の国立研究開発法人審議会におきまして、本日御議論いただいた内容の御報告をさせていただくほか、資料の一式について審議会で諮る予定でございます。
 その後、内閣府、総合科学技術・イノベーション会議、また、独法の制度評価委員会等との協議を行うことになりますが、これらの状況を踏まえまして、皆様にも必要な際に御相談をさせていただきたいと思ってございます。
 なお、本日の議論につきましては、後日、文部科学省のウェブサイト上で公表させていただきますが、議事録については、後日、皆様に御確認のお願いをメール等でさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。

【永井部会長】  よろしいでしょうか。今の御説明に何か御質問、御意見ございませんでしょうか。
 栗原委員、どうぞ。

【栗原部会長代理】  終わったところで恐縮なんですけれども、前年度というか、前回の評価のときに、総合評価についていろいろ議論があったと思います。総合評価Sについて、特定研発法人としての理研のSはどうだろうかというような御意見がいろいろあったと思うので、これは次回に関しても議論が継続になるものだと思いますが、研発法人審議会のほうでもそういう話題が出ておりますので、議論を深めるために幅の広い御意見をいただければと思います。
 私の個人的な意見ですが、今回、御紹介いただきました資料1-3には、理研の特定国立研究開発法人としての役割が、3点等として、世界最高水準の研究開発成果の創出と普及・活用、イノベーションをというようなことでまとめられておりますので、例えばこういうような観点がどういうふうに総合評価に反映していくのかということもあるのかと思って、この資料も拝見したところです。

【永井部会長】  ありがとうございます。理研として、あるいは特定研究開発法人としてのSというのはどういう基準で考えるべきかという、非常に大きな問題だと思いますが、もし御発言があればお願いしたいと思います。あるいは次のときまででも結構ですので、事務局のほうへお寄せいただければと思います。
 よろしいでしょうか。それでは、本日の議事は以上で終了したいと思います。長時間、御議論ありがとうございました。第22回理化学研究所部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課