国立研究開発法人審議会 物質・材料研究機構部会(第23回) 議事録

1.日時

令和4年12月15日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 国立研究開発法人物質・材料研究機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)に関する変更案について
  2. その他

4.出席者

委員

浅見委員(部会長)、篠藤委員、河野委員、知野委員、バッハ委員、寒川委員

文部科学省

江頭研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)、長田研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付 参事官補佐

5.議事録

【浅見部会長】それでは予定の時刻となりましたので、第23回物質・材料研究機構部会を開催いたしたいと思います。
 本日は、皆様、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。
 それでは最初に、事務局から、出席者の紹介と配付資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【長田参事官補佐】皆さん、こんにちは。文部科学省の長田と申します。本日は、御多忙のところお集まりいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、出席者の確認をいたします。本日は、折茂副部会長と平本委員が御欠席となっております。部会開催の定足数を満たしていることを御報告いたします。
 また、本日は、オブザーバーとして、物質・材料研究機構から宝野理事長以下、役職員の方々に御参加いただいております。
 次に、配付資料の確認をいたします。配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。資料の不足等ございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 また、本日の会議ですけれども、物質・材料研究機構部会運営規則に基づきまして、全て公開となります。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ウェブ会議にて実施させていただきます。
 委員の皆様には、配付しております机上資料2のとおり、自身の御発言時以外はマイクをミュートにしていただくとともに、ビデオもオフにしていただきますようお願いします。また、発言を御希望の場合、Zoom下部のリアクション機能で「手を挙げる」を選択し、部会長または事務局から指名された後に、マイク及びビデオをオンにして御発言いただければと思います。
 それでは、以降の進行を浅見部会長にお願いいたしますので、よろしくお願いします。
 
【浅見部会長】それでは早速、議題1に入りたいと思います。本日の進め方と資料の内容につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【長田参事官補佐】先日の部会で次期中長期目標の案についてお示しさせていただきまして、皆様から様々な御意見をいただきました。本日は資料1で、そのときいただいた御意見をこちらのほうで受け止めさせていただいて、反映して修正させていただいた箇所、その箇所を主に御説明した後、資料2から資料5に関しては、年明けに開催される研発審で提出が求められております様式がありまして、それも作成していますので、そこを簡単に御紹介して、その後、資料7を用いて、総務省独立行政法人評価制度委員会でNIMSの次期中目に関しての御指摘もいただいていますので、そこも御紹介させていただくと。その辺りを最初にざっと説明させていただきまして、その上で委員の皆様から中目について御議論いただくということで考えておりますので、お願いいたします。
 それでは、資料1の中目案の修正部分を御説明します。黄色マーカーで塗っているところが主な修正箇所でございます。
 まず1点目が、今画面上出ております1.2、技術革新を生み出すための研究開発というところ、ここは非常に事務的な修正でございますが、黄色のところで、量子・ナノ材料、高分子・バイオ材料、マテリアル基盤研究、この3つの研究領域をここでは書いておりましたが、前回、マテリアル基盤研究というのが量子・ナノ材料と高分子・バイオ材料の間に入っていました。基盤研究はやはり、その間に入るよりも、順番的に最後のほうが自然かということで、ここは順番だけ修正しているものでございます。
 次、2点目ですけれども、7ページです。2.3、マテリアル人材が集う国際的な拠点の形成のところです。これは前回の部会におきまして折茂先生から、やはりNIMSという機関が技術者を非常に大事にしている機関ということもありまして、ここは研究者だけではなくて、技術者の視点も含むべきではないかという御意見をいただきました。それを踏まえまして、前期の中長期目標の記載ぶりも参考にしながらですけども、黄色の部分として、224から225行目「マテリアル研究開発の多様な研究活動を支える高度な分析、加工等の専門能力を有する技術者の養成と能力開発等に着実に取り組む」という趣旨を入れております。
 また、同じページの下、3.2、研究成果の社会還元のところでございます。こちらは寒川委員や、また浅見部会長からも前回御議論いただきました知財の関係です。ここに関して、やはり今期の中長期目標よりも若干書きぶりを、非常に簡潔に書いておったところですけれども、非常にここは重要な観点なので、もう少し記載を検討してはどうかという御意見をいただきました。また、浅見部会長からは、特許の取り方とかもやはり、やみくもに取るというよりは、企業との連携とかにおいて双方が理解しながら必要な知財を押さえていく、そういった在り方も重要というような観点をいただきましたので、その辺りを踏まえまして、「国内外における権利化を図り、様々な連携スキームを活用して組織的かつ積極的に質の高い実施許諾をはじめとした技術移転に取り組む。その際、企業との連携において双方がメリットを追求できるような柔軟な知的財産の取扱いや、グローバル市場を想定した外国特許への出願等の関係にも留意し、知的財産の戦略的な創出・管理・活用に努める。」という形で記載を追記しております。
 次、9ページの1.2のところです。こちらは篠藤委員から御指摘をいただきました内部統制ですけれども、この表題のところ、やはり内部統制、今までのものを整備構築していくだけではなくて、さらなる「充実・強化」というタイトルで記載したほうが、より強いメッセージが伝わるのではないかという御指摘をいただきましたので、ここを「充実・強化」という形で記載を修正しております。
 あともう1か所、黄色で塗られているのは、別紙の14ページ、こちらマテリアル基盤研究領域のところを黄色で塗っていますが、これは先ほどお伝えしました順番を変えましたという意味ですので、記載内容の変更ではございません。
 これが主な修正点です。なお、前回の部会以降、メールでの追加の修正の御指摘等ありませんでしたので、基本的に前回の部会での御意見で出た範囲につきまして修正を施しています。
 なお、平本委員からは、次世代半導体の関係の政府の取組にNIMSが参画される意向があるということも踏まえた記載ぶりについて何らか検討すべきではないかという意見がありましたが、こちらにつきまして、政府の戦略に基づく様々な取組が今、時々刻々と進んでいっているところでもあります。ですので、その辺りは当然意識はするんですが、目標で確定的にどう書くかというよりも、NIMSさんのほうで今検討していただいている中長期計画、こちらのほうで適切な記載ぶりをお願いしたいと考えているところでございます。
 次に、資料2です。こちらは中長期目標案の概要のポンチ絵でございます。詳細には説明いたしませんけれども、前回、また、今の修正点含め御説明させていただきました中長期目標を一枚ポンチ絵の形に書いております。特にⅢの研究開発の成果最大化の部分に関しまして、主となる事項と強調すべき点、その辺りを見えるような形で1枚にまとめておるものです。
 次に、資料3は、前回の中期目標との新旧対照表ですので、これは非常に事務的な文書ですので、説明を割愛いたします。
 資料4に関しましては、それぞれの研発法人に与えられた使命、ミッションと、あと目標との関係を整理する一枚紙ということで作成しております。使命のところは、我が国唯一の物質・材料研究分野における基礎研究及び基盤的研究開発の中核的機関ということで位置づけられているということや、第6期科学技術・イノベーション基本計画等、このような国の計画等で定められている課題に対応するということが使命として書いております。
 左のところの現状・課題、これは強み、また弱みや課題という形で様式上記載することになっておりますけれども、強みのところは、世界最高レベルの研究開発基盤を有していると、そのような強みを生かして総合的な取組を我が国の中核機関として推進することができるということにしております。
 弱み・課題というところは、どちらかというと課題という点を非常に重視して書いています。1つ目の丸につきましては、マテリアル分野における研究DX、こちらは最近の国の戦略等においても非常に重要度が増していますので、データの収集・蓄積・利活用、このような観点をしっかりと取り組んでいく必要があるということを書いております。2つ目の丸につきましては、これはNIMSだけというよりは、材料分野全体かもしれませんが、国際的な競争が高まる中で、我が国の競争力の優位性の確保のために、マテリアル分野の重要性が高まっているということを踏まえまして、研究開発、産学連携等、様々な取組を戦略的に推進する必要があるということを書いております。
 右側の環境変化は、国の政策の変化等々について記載しておりまして、こちらに書いてある中長期目標のポイントのところは、先ほど概要でお示ししたような中から、特に重要な観点と思われるところ、まず最初は研究開発、2つ目がデータ関連や人材関連、3つ目が産学連携、4つ目が成果発表、また広報・アウトリーチ、最後のポツは業務運営の改善・効率化等という形で、中長期目標の大体構成の重要になるような部分、この辺りを記載させていただいているところです。
 資料5につきましては、前回の部会でお示ししました比較になります。今期の中目と次期中目案の章立ての比較ということになります。
 ここまでの資料を研発審のほうでもお示しするという予定になっております。
 次に資料6、こちらは前回の部会で御説明させていただきました、CSTIのほうから中長期目標に関する意見が出ておりますので、こちらは前回御説明した内容と変わっておりませんので、説明は割愛させていただきます。
 資料7です。今般12月5日に総務省の独立行政法人評価制度委員会のほうで、中長期目標の策定についての決定がなされております。その中で物質・材料研究機構に関しましては、今お示しのページですけれども、4点、留意事項が出されております。
 1つ目が、特定国立研究活動法人として世界最高水準の研究開発成果を創出する観点から、様々な課題に柔軟に対応できるよう大局的、かつ、より実効性を高めた目標となるよう検討してはどうか。2つ目は、法人の研究開発成果を社会実装に結びつけていくため、多様な形態での外部機関との連携構築等を一層推進していくことを目標に盛り込んではどうか。3つ目、法人自身のプレゼンスをさらに高めるため、研究開発成果の活用事例等について、より幅広い層に積極的に情報発信していくことを盛り込んではどうか。また、4つ目のところ、物質・材料の安全性・信頼性を高めるための研究など、必ずしもイノベーション創出に結びつかない取組であっても、適切に評価されるよう目標を検討してはどうかという点を留意事項としていただいております。
 いずれの観点も、現在お示ししている中長期目標のところで、我々としても重要な観点と思いまして、目標、また必要な評価指標等に盛り込んでいると考えておるところですので、この留意事項にあったような目標案と現在なっているものと考えております。
 ざっと資料7までの説明は以上でございますので、ここまで御説明したような内容を踏まえまして、本日、改めまして、中長期目標案について御議論いただければと思います。部会として開催しての議論は本日が最後になりまして、ただ、今週いっぱい、メールでまた御意見を追加で承ることも当然考えておりますので、今日この場だけではないですけど、ちゃんと場を設けて議論するのは本日が、この部会では最後となりますので、ぜひ浅見部会長中心に闊達な御議論いただければと思います。
 なお、中長期計画につきましては、目標を我々が定めた後に法人のほうで作成して、我々が認可するという手続になりますが、御参考としまして参考資料11に、現在検討中の計画案を一応掲載しております。こちらは先日の理事長のプレゼンが、主要な考えとしてお示しされていますので、そういったものの具体化のために、また目標の今の案を踏まえて、現時点版として記載されているものですので、あくまでこちらは御参考として、横に置いていただきながら、目標案について御議論いただければと思います。
 以上です。
 
【浅見部会長】ありがとうございました。そうしましたら、ただいま御説明いただいた修正案を中心に、総合的な討論に入りたいと思いますので、御意見、御質問、特に前回御意見いただいて、それが反映されているかという観点ということと、あと全体のバランスとか、そういう様々な視点から議論いただければと思いますので、御意見のある方は挙手のマークを押していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、寒川委員、お願いいたします。
 
【寒川委員】NTT、寒川です。前回私がコメントしたところはきちんと修正されていたと、そのように理解しております。ただ、いつも私が言っている、地味な研究も大事ですという話のところ、一番最後に御説明あった、必ずしもイノベーション創出に結びつかない取組も適切に評価されるように云々というところ、国研として非常に大事だと思うんですね。特に材料って、いつ芽が出るか分からないので。そこについて何か書きぶりを変更したとか、そういうところはあるんでしょうか。
 
【長田参事官補佐】ありがとうございます。先生からも今いただきましたように、そのような観点というものが重要であること、これらに関しては我々も、また部会の先生方も、もう非常に前提として、そのように考えていると考えております。基本的に、4ページ以降の物質・材料科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発というところは、例えばこの中にも、将来の芽を創出するためのシーズ育成研究の重要性というようなことも踏まえた、そのような研究の推進等についても記載しておるところでございまして、従来もそのように我々も考えておりましたし、次期の目標でもそういったところを引き続き記載させていただいているということで、この辺りは十分に反映した目標になっているのではないかと考えておりまして、あえての修正はしていないところです。
 
【寒川委員】分かりました。とにかく材料は一度やめたら復帰しないので、ぜひ長い目で評価するようなマインドがあればいいと思っております。
 以上です。
 
【長田参事官補佐】ありがとうございます。
 
【浅見部会長】今の点は、ただいま御説明いただいたとおりなんですけれども、私も事務局と事前にいろいろ相談したときに取り上げましたが、これまでのNIMSの研究活動の内容や実績を見れば、材料研究に対して基礎的なところをしっかり押さえていくというのは脈々と続いていますので、これをこのまま継続、発展させていくということでそういう期待には十分応えていけるというふうに考えているところだと思います。
 ほかの御意見、御質問等ありましたら、お願いします。
 それでは、知野委員、お願いします。
 
【知野委員】ありがとうございます。総務省の独法評価委員会の指摘を見ますと、法人自身のプレゼンスを高めることや、より幅広い層に積極的に情報発信をしていくことを目標に盛り込んではどうかということが指摘されています。その書きぶりと比べて受ける印象が、つまり学術界での存在感、産業界での存在というようなことは出しているんですが、一般の人たちに対する存在感や、もっと名前を知られるようにするとか、そういうことに関して、前回も指摘したんですが、あまり反映されていないように思いました。総務省の書きぶりとも距離があるように感じられるので、その辺は何かもうちょっと工夫が必要だというふうに思います。
 
【長田参事官補佐】ありがとうございます。こちらは前回も先生のほうから御質問、御指摘いただいたと承知しています。8ページ目、4.2の広報・アウトリーチ活動の推進というところ、まず最初の段落で「機構の活動を国民目線で分かりやすく紹介する取組を、引き続き戦略的に推進する。」というところや、また、マテリアル研究開発全般に関する国民各層の関心やリテラシーの向上に向けた取組も積極的にさらにやっていただきたいということ、また、4.2の最後のところですけども「新たな視点での広報体制の充実や研究情報の対外発信力の強化」、この辺りが我々としては、今回の指摘、また知野先生の指摘も含めて、しっかりと我々としては受け止めて記載させていただいているところでございますが、もう少しという趣旨でしょうか。
 
【知野委員】そうです。ここは読ませていただいて、反映されているのかなと思いながら読ませていただいたんですが、国民目線という言葉もよく使われますけども、やはりもうちょっと温かい表現がいいのかなと。一般の人たちにも理解してもらえるようにとか、もう少しやはり機構自体が世の中の人たちに知られるようになること、それをもっと強く訴えていくような表現があればいいなというふうに思います。というのは、反映してくださっているんだなとも思ったんですが、ちょっと弱いと思ったので、かつ総務省の指摘を見ると、やはりもうちょっとそこは強く打ち出したほうがいいのかなというふうに感じました。
 以上です。
 
【長田参事官補佐】先生、ありがとうございます。先生のお考え、重々分かっておりますし、今回の総務省の指摘も踏まえてさらにということで、今、御意見受け取りました。さらなる記載ぶりにつきましては、改めて検討させていただけたらと思います。ありがとうございます。
 
【知野委員】すみません。こちらこそありがとうございます。
 
【浅見部会長】ありがとうございました。じゃあ、ただいまの点は、ちょっとまた検討いただくということで、ほかにございますでしょうか。
 バッハ先生、お願いします。
 
【バッハ委員】前回特に変更の提案はしていないんですけど、前回質問したのは、領域の位置づけの変更で、高分子・バイオ材料が基礎研究の領域に移されたんですね。それは、ちょっと理由は分からなかったんですけど、ポリマー材料というのは熟成のある分野で、どういう根本的な新奇性が期待できるかちょっと見えていないんですけど、その質問です。ですので、特に今回の資料に何か変更を求めていることではなくて、この位置づけの変更の理由がちょっと聞きたかったです。
 
【長田参事官補佐】すみません、先生、前回も御指摘いただいたと承知しています。高分子・バイオ材料のところですけれども、当然、社会課題解決のために将来的に重要性が高いということは我々も認識しております。一方で、やはりこのバイオ材料等というのは、実際の現場への活用とかそういったことを考えた場合というのは、非常にまた足が長い分野でもございまして、そういったことも踏まえると、今回NIMSのほうでやるに当たっては、どちらかというとまだアーリーフェーズの研究がやはり主になりますので、そういったところで革新的な技術、また材料を生み出していくというところのほうがNIMSの役割としてはメインになるのではないかということもありまして、位置づけを変えさせていただいたということでございます。
 また前回、宝野理事長からのプレゼンにもありましたけれども、NIMSにおいても、国際的な有識者等との議論の中からも、そのような方向のほうが、より位置づけとしてはよろしいのではないかという意見をいただいたという御紹介もありまして、そういったことも踏まえまして現在の整理とさせていただいたところでございます。
 すみません、我々の御回答としては以上ですけれども、よろしいでしょうか。
 
【バッハ委員】分かりました。主にバイオ材料の技術の発展のためだと思います。分かりました。ありがとうございます。
 
【浅見部会長】ありがとうございました。ただいまのところ、いろいろな解釈が可能ということもあるんですけども、私の受け止めとしては、この辺の高分子・バイオ材料については、かなり基礎的なところからの研究をしっかりやることが大事だという考えはその通りとして、特に応用に近いところをやらないということではなくて、基礎をしっかり押さえた上で応用につなげるというふうに、視点をどこに置くか、起点をどう位置付けるか、上流から下流のほうに向けて考える中で、基礎的なところが重要だと意識しているというふうに受け止めたんですけれども、そういうような考えでよろしいですかね。何かちょっと変な確認の仕方ですけど。
 
【長田参事官補佐】ありがとうございます。おっしゃるとおり、当然、材料としては上流から下流までやらないと出口には行きませんので、重要なんですけれども、やはり今回NIMSの中目として位置づけるに当たっては、実用化に近いところはやらないという趣旨ではないんですけれども、重点としましては、基礎基盤のところをしっかりとNIMSがやって、その後の実用化に向けては、やはり外部との連携等を通じながらしっかりと、より実用化フェーズに近づけていくということが重要だと思いますので、そういった観点から、こちらの1.2のほうがより比重が高いかなということで記載しておるものです。当然ここから出てきた成果が、次期中目の期間の中、またその後に、より実用化に近い研究フェーズ、また実際の実用化に行くこと、そこ自体は非常に、期待自体は持っておりますが、あくまで位置づけとして、こちらのほうが適切かと考えたということでございます。
 
【浅見部会長】ありがとうございました。そういうことでしたら、かなり具体的なテーマがあれば、当然社会課題解決につながる、より具体的なテーマで行われることも十分期待されているという前提で、1.2のところに重点を置いて目標とすると、そういう位置づけだということで受け止めました。
 そうしましたら、ほかの点について御意見、御質問お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 今日は、時間的には少しゆとりのある議論の時間を設けておりますので、ぜひここでいろいろなところを議論いただきたいと思いますが、まだ御意見いただいていないところでいいますと、河野委員はいかがでしょうか。何かございますでしょうか。
 
【河野委員】河野でございます。今拝見する中で特に気になるところはないと思いますけれども、私自身は構造材料のところが、やはり今後、DXというか、データを活用したアプローチというところにシフトしつつあるということで、やはり基準であるとか法的な整備であるとか、そういったものが重要であると思いますので、その辺りのところです。今後国際的に我が国のプレゼンスを発揮するための法的な整備、そういったところは少し考慮していただきたいなというふうに思っておりますけれども、それもカバーされているというふうに思っています。
 
【浅見部会長】ありがとうございます。すみません、その法的な整備というところですが、御専門のほうで検討されていることで、具体的につながりが分かるようなお話ですと、どんなところだと考えたらよいでしょうか。
 
【河野委員】そうですね、やっぱりデータの取扱いであるとか、そういったところだと思います。
 
【浅見部会長】分かりました。よく言われるデータの利活用とデータの保護というところのバランスとか、そういう意味での法的整備ということですね。
 
【河野委員】そうですね。はい。
 
【浅見部会長】分かりました。この点については、事務局のほうでは特に何かございますでしょうか。
 
【江頭参事官】参事官の江頭でございます。今の中長期目標の中では、情報セキュリティ関係のところは内部統制の中で一体的に書かれておりましたけども、やはりNIMSが中核拠点として、マテリアルデータプラットフォームというものを来年度から、いよいよ運用を開始する重要な時期ということも踏まえまして、NIMSの中では、いわゆる情報化の推進という部署と、それからセキュリティという部署、それぞればらばらだったんですけども、これを一体的にやって、推進することによって脆弱性が出るということがあってはなりませんので、そこは組織としても一体的にまとめながら、強化をしながら情報化を推進するという形にしておりますので、そういったことも今回、次期の中長期目標の中に反映させていただいているつもりでございます。そういったことを分かった上での委員のコメントかなというふうに理解しております。
 
【河野委員】ありがとうございます。それで結構でございます。
 
【浅見部会長】ありがとうございます。
 そうしましたら、篠藤委員、いかがでしょうか。
 
【篠藤委員】ありがとうございます。とても分かりやすくおまとめいただいていると思うのですが、細かいことだけ1つ、お聞きしたいことがあります。効率的な職員の業務実績評価のところ、後ろのほうです。そこで前回と次期と比べますと、多様性という言葉を取っていらっしゃるんですけれども、多様性という言葉を取った背景というのはどこにあるんでしょうか。
 
【長田参事官補佐】前回は「それぞれの職務の特性と多様性に十分配慮した」と書いてあったところの「多様性」という言葉を落とした意義ということでございますね。すみません、こちら全く他意はございませんで、研究職、エンジニア職、事務職とそれぞれ書いていますので、意味としては「特性に十分配慮した」で十分かなという趣旨で記載を落としたものでございますが、基本的に評価自体はこれでちゃんとされるかと思いますが、多様性という言葉も、もし何らかあったほうが、例えばメッセージ性とかの観点から重要という御指摘であれば検討させていただきますが、いかがでしょうか。
 
【篠藤委員】細かいことなんですけど、職務の特性と、あと多様性というのは、例えば外国人だったり女性であったり、そういう立場の違いによって、そういうことも配慮した評価というような意味合いなのかなというふうに捉えていたので、多様性がなくなったのがちょっと引っかかっただけなんです。別に特性のところで幅広く取るということであれば、それはそれで結構かと思います。すみません、細かくて。
 
【長田参事官補佐】多様性の観点は、どちらかというと後ろの人事に関する事項のところ等に書いてある観点がメインで書いておりまして、ここでの記載は、あくまで適切に評価をしてくださいという趣旨でございました。ここの多様性という言葉をもって御指摘のようなところも読めるように書いたほうがいいか、ちょっと検討させていただけますか。すみません。
 
【篠藤委員】はい。お願いします。
 
【浅見部会長】ありがとうございます。そうですね、私もちょっと今やり取りを聞いていて、いわゆる人材の多様性ということで、様々な立場の、女性、それから外国の方も含めて、そういう観点と、それから、ここは評価なので、どういう職務であるとか、そこの特性も、職務自身も多様ではあるので、そこも多様性ということがあるかもしれませんけども、そこはそれぞれが分かるように最後出来上がるというのがいいかなと思いますので、そこはちょっと検討いただくということでお願いしたいと思います。
 そうしましたら、ほかの観点はいかがでしょうか。よろしいですか。
 前回から今回のこの議論を通して考えると、やはり中長期の期の切れ目ということはあるんですけれども、現時点の社会的背景として様々な、技術的といいますか、科学技術の進展の、ターニングポイントとまではいかないんですけども、非常に新しい時代に入る入り口に立っているということもあると思います。その中で科学技術それ自体だけではなくて、社会の中の位置づけといいますか、NIMSはじめ、ほかの研発法人もそうなんですけれども、社会の中で技術をどう生み育てて、それを活用していくかということを国と国との関係とか、様々な複雑な社会的要因の中で見ていかないといけないと、そういう時代には入ってきているのかなと思います。
 これも前に文科省からも御説明いただいたんですけれども、経済安全保障であるとか国の安全保障とかも踏まえて、科学技術、それからデータ、情報、知的財産、そういった国益につながる権利をどう確保していくかというのは、まさに国を挙げていろいろ検討されている最中だということです。具体的にそういう国の方針であるとか戦略が策定されてきた後、ではそれを具現化していくために研究開発法人としてはどう取り組んでいくかというところは、両者が相互作用しながら進展していくのではないかと考えております。そういうことを踏まえて、今回この中長期目標というものを位置づけるということで考えていけばいいのかなと思っております。
 そうしましたら、今回の中長期目標の修正案についての御説明、それから議論ということで、一応議論は出尽くしたと思いますので、ここでもう一度、事務局にお戻しして、次のその他のところをお願いしたいと思いますが、その前に、今日また追加で御意見いただいたんですけれども、修正については事務局と私のほうで相談させていただいて、最終案はそこで決定していくということで一任させていただきたいと思いますが、その進め方でよろしいでしょうか。特に御異論がなければ、ただいま述べたような形で進めたいと思いますが、よろしいですか。
 じゃあ、よろしければ、ただいまの進め方でやらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局のほうにお戻ししますので、よろしくお願いいたします。
 
【長田参事官補佐】部会長、また委員の皆様、いろいろとありがとうございました。
 資料8です。最新版のスケジュールを画面上にお示ししております。本日が真ん中、上から3つ目の丸です。12月15日のNIMS部会でございました。本日御欠席の委員の先生もいらっしゃいますし、16日、あしたまでと非常に短い期間ですけれども、メールにて、追加コメントがありましたらいただきまして、それをまた改めて検討させていただきますので、追加のコメントがこの会議の後ありましたら、メール等で提出をよろしくお願いします。先ほど浅見部会長がおっしゃられましたように、部会長と相談して、その上で固めたものを次、年明け1月に国立研究開発法人審議会総会に上げて、審議をいただいて、その後、総務省の評価制度委員会、またCSTI、財務省への協議を経まして、2月末までに文科大臣決定をする予定でございます。
 本日で部会の議論、中目に関して御議論いただく場は終わりですけれども、節目節目でしっかりと、その時点で修正があったところ、また議論があったようなものを反映した中長期目標については、事務的に、委員の皆様にもしっかりと御共有させていただきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。
 本日我々から御説明したい内容は以上ですけれども、今期最後の部会になると思いますので、最後に参事官から御挨拶させていただきます。
 
【江頭参事官】江頭でございます。本日含めまして、現地視察に加えて、5回もの闊達な審議をいただきましてありがとうございます。本年度で終了する現在の中長期期間中、NIMSはかなり、特にデータというキーワードを中心に、大きく日本全体、あるいは世界と戦っていけるようなところを支える研究機関にさらに伸びたのかなと思っております。来年度からの次期についても、引き続きそういったところを、文科省が支えた上でNIMSに担っていただきたいという思いで、次期の中長期目標の検討を文科省の中でもさせていただきまして、世界と戦っていけるような研究成果の創出だとか、あるいは日本全体のマテリアルの中核としての支える部分、そういったところをさらに伸ばすという思いで記載したつもりだったんですけども、今日、特に最後に委員の皆様からいただいた御意見の中では、先ほどの人事の評価のところでも、ちょっと特徴的だったと思うんですけども、世界のための、あるいは世界と戦っていくための研究機関であるNIMSとしてという前に、やはりこれからは、働き方改革というのはありますけども、やはり女性であっても若い人でもシニアの人でも、あるいは場合によっては一部体が不自由な方であっても、しっかり貢献して働けるような社会の構成機関の一つとしての姿勢というものをしっかり改めて示す、分かりやすく示すべきだろうという御趣旨の御意見だったのかなというふうに、改めて受け取っております。少し検討させていただきまして、また改めて来年度、中長期目標の決定に向けて一生懸命取り組んでまいります。
 また来年度から、今まさに予算の大詰めの時期ですけども、何とかNIMSを中心に、日本のためにマテリアルの分野で貢献していけるようなことを、文科省も一生懸命、力強く進めていきたいというふうに思っておりますので、引き続き先生方皆様、NIMS部会という形ではありますけども、いろんな形で御意見、御指導を賜ればというふうに思います。どうもありがとうございました。
 
【長田参事官補佐】事務局からは以上です。
 
【浅見部会長】ありがとうございました。第23回のNIMS部会はこれにて終了ということにしたいと思います。
 それでは、御参加いただきました皆様、お忙しいところ本当にありがとうございました。今回までの議論でつくり上げる中長期目標が、我が国の材料分野の科学技術の発展に貢献していく活動につながることを祈っていきたいと思います。本当に今日はどうもありがとうございました。これにて終了いたします。
 
―― 了 ――
 

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