国立研究開発法人審議会 日本原子力研究開発機構部会(第27回)議事録

1.日時

令和3年11月5日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の次期中長期目標(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

佐々委員(部会長)、山口委員(部会長代理)、井上委員、小澤委員、東嶋委員、藤田委員、横田委員
他、経済産業省国立研究開発法人審議会日本原子力研究開発機構部会委員

文部科学省

松浦課長、岡村補佐 他

5.議事録

【佐々部会長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより文部科学省国立研究開発法人審議会・日本原子力研究開発機構部会及び経済産業省国立研究開発法人審議会・日本原子力研究開発機構部会、合同部会を開催いたします。
 お忙しいところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は議事次第のとおり、日本原子力研究開発機構の次期中長期目標(案)等について議論を行います。
 なお、本日の会議については、新型コロナウイルス感染症対策の観点からWeb会議での実施といたします。
 それでは、まず事務局から配付資料等の確認をお願いいたします。
【岡村補佐(文科省)】  ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、本日の配付資料について御案内申し上げます。資料は議事次第にありますとおりに配付してございますけれども、もし欠落等ございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 また、委員の御出欠についてですけれども、本日文部科学省部会のほうからは中熊委員、そして山本委員から御欠席の御連絡をいただいております。また、経済産業省部会のほうからは神津委員、そして山崎委員から御欠席の御連絡をいただいております。したがいまして、本日は文科省部会委員9名中7名が御出席、経済産業省部会は5名中3名が御出席されておりますので、両部会とも定足数を満たしております。
 以上でございます。
【佐々部会長】  ありがとうございます。
 続きまして、原子力課の松浦課長より御挨拶をお願いいたします。
【松浦課長(文科省)】  原子力課長を務めております松浦です。本日委員の先生方、御多忙中本会議にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 当機構部会では、夏にかけて原子力機構の業務及び組織の見直しについて御審議いただきまして、8月末には3省庁の連名の形でその内容を公表しております。
 本日はそれを踏まえまして、具体的な中長期目標のテキストを事務局のほうで立案をし、お諮りしている次第です。向こう7年間の原子力機構としての大きな方針を示す重要な文書ですので、先生方の御忌憚のない御意見、御指導をよろしくお願いいたします。
【佐々部会長】  ありがとうございます。
 それでは、日本原子力研究開発機構の次期中長期目標(案)について、議題1となりますけれども、まずは事務局から御説明をお願いいたします。
【岡村補佐(文科省)】  それでは、御説明させていただきます。
 この中長期目標ですが、独立行政法人通則法の第35条に基づき主務大臣が定め、法人に指示し、そして公表することになっているものです。
 具体的な資料1にございます記載内容について、一つ一つなぞってというよりも、まず先に、この案の作成に当たっての全体の考え方ですとか、あるいは前提ですとか、整理学ですとか、そういったものについて少しお時間をこちらにいただいて、その御説明をまずさせていただければと思っております。
 参考資料の2としてお示ししております研究開発法人審議会について。こちらのファイルを、まず御覧いただければと思いますけれども、こちら夏の評価部会のほうでも一度御説明を差し上げたものですが、今がどういう位置づけであるかというのを、ごく簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 お手元の参考資料2ですけれども、そちらの2ページ目を御覧いただきますと、右下に目標・評価のサイクルという図がございます。その、さらに一番下に業務実績の評価①から④まである中の②の見込評価、これが夏の時点で終わっておりまして、その下、7月と8月に開いた部会で御審議いただいたものを踏まえて、その右上にあります組織・業務全般の見直しと。こちらも参考資料の6としてお示ししておりますが、8月に策定したところです。
 それを受けて、このたびは、そのさらに上、中長期目標の策定ということで、その案が資料1になっております。
 それから、同じ資料の少しページをおめくりいただきまして、5ページ目を御覧いただきますと、大まかなスケジュールでございますけれども、この表で申しますと右から2番目の2部会と書かれているもの、JAEAはこちらに該当しますが、7月・8月にかけて年度評価・見込評価の御審議をいただいたところです。
 それから、その下のほう11月から12月にかけてとありますところの部会③~④、本日はこちらに該当してございます。中長期目標の改定案について御審議をいただくと。
 その後ですけれども、親の審議会でございます研発審ですね、審議会のほうに12月予定されておりますが、そちらに諮られ、その上で、一番左の文部科学大臣とあるところですけれども、これは原子力委員会の意見を聴取した上で、1月下旬から2月上旬くらいにかけてかと見込んでおりますが、中長期目標の改訂を設定しております。
 それから2月末までには、大臣から法人に指示をして、それを踏まえて3月の末までに中長期計画の改定案を文科省として認可する。こういった形で進む見通しでございます。
 それから資料1の中長期目標(案)の資料に戻っていただきますけれども、これまで文部科学省そして経済産業省において、原子力機構とコミュニケーションを取りつつ、こういうふうに案を策定してきたものです。
 大変恐縮なんですけど、昨日いただいた御意見、これまだ反映しきれていないところもございます。ですので、次回、11月26日予定してございますが、それに向けて本日いただく御意見も合わせて、また反映をしっかり検討していきたいと思っております。
 それから中長期目標ということで申し上げますと、簡素化というものが言われている中で、資料が少し分量が多めだということであれば、精査の上で多少スリム化していく必要もあろうかということも事務局としては思っております。
 それから、原子力機構の業務の範囲、非常に多岐にわたりますので、本日は文部科学省の原子力課からも各担当者が、対面であったり、Webからのリモート参加であったりで御参加させていただいておりますので、本日いただきますいろいろな御指摘ですとか御質問には、そうした体制でも対応させていただければと思っております。
 ほかの資料についてですけれども、この資料1に加えまして資料2というものがございます。これは、これから策定していく次期の中長期目標の柱立てと、現行の中長期目標との比較対応表を準備させていただいているものですので、こちらも適宜、議論の中で御参照いただければと思います。
 また、この中長期目標(案)、資料1の御説明に続いて、後ほど資料3といたしまして評価軸についての御説明もさせていただきます。
 加えまして、資料4としまして政策体系図。こちらも、これから御説明する資料1と併せて御覧いただければと思いますが、今申し上げた資料1の中長期目標(案)、それと資料3の評価軸と資料4の政策体系図、この3点がセットとなって、これから12月の研発審議会のほうでも上がって審議されていくものになります。
 続きまして、この資料1の2ページ目、おめくりいただきますと目次がまずございます。こちらも少し全体の構成、あるいは考え方、つくりとして、御説明を先にさせていただきたいと思っております。
 まず、このローマ数字で大きくⅠからⅦまでございますけれども、このうちのⅡ、中長期目標の期間、そしてⅣ、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項、それからⅤ、業務運営の改善及び効率化に関する事項、Ⅵ、財務内容の改善に関する事項、そしてⅦ、その他業務運営に関する重要事項。今申し上げたものは、独法の通則法上掲げられている事項になっておりまして、ですので、そのセクションをそのまま準備しておるというところです。
 それからローマ数字で申しますⅠ、政策体系における法人の位置付け及び役割。こちらは参考資料の8として準備しておりますけど、目標策定指針というものがございまして、そちらにおいて、こうしたセクションを設けるというふうにされておりますので、それを反映したものです。
 それからローマ数字のⅢ、安全を最優先とした業務運営に関する事項、こちら現行の中長期目標にも、こういうセクションがございますけれども、それに引き続き設けているものです。
 それから先ほど申し上げたⅣ、これが実際のいろいろなこの業務、研究開発成果の最大化に係る業務が整理されているものですけれども、アラビア数字で1から7までございます。こちらは先ほど冒頭、課長の松浦からも話がありましたが、本年8月に業務及び組織の見直しについてというものを主務省庁間で取りまとめておりまして、こちら参考資料の6に準備しておりますが、そこで掲げている課題を今の整理学で申し上げますと、そのまま1から7まで入れ込んでいるものというふうになっております。
 先ほど申し上げた目標策定指針においても、この見直しの内容を次期の中長期目標に反映していくというふうにされておりますので、それを踏まえたものです。なお、この見直しの内容ですけれども、これはもともと文部科学省のほうでは、科学技術・学術審議会、別の審議会のものですけれども、そちらの中で設けられている作業部会において、7月に議論をして取りまとめている、政策的な観点からの議論の結果を反映したものがございまして、次期中長期目標計画の策定に向けた提言というものが、その作業部会の中で取りまとめられたんですけれども、そちらを踏まえて、その見直し内容がつくられておりました。今回はその見直しを踏まえて、実際に次期中長期目標に反映させていくという形になっております。
 それから最後にローマ数字のⅦ番目の、その他業務運営に関する重要事項の考え方ですけれども、このうち1番目、施設・設備に関する事項、それから3番目の人事に関する事項。こちらは別途定められている主務省令、文科省・経産省の命令ですね、こちらの原子力機構の業務運営に関する省令というものの中で、この二つについては中長期計画に、こういった内容を入れ込むことというふうな内容がございますので、この後中長期計画をつくることをも踏まえて、ここでも1、3と、こういう形で同じ項目を準備しているものです。
 それ以外のものについては、また後ほどそちらのセクションのところで御説明をさせていただきます。
 以上が、まず全体のつくりでございます。
 それから1ページおめくりいただいて、具体的な内容でございますけれども、3ページ御覧いただきます。全体の御説明にこれから当たって、現行の中長期目標と同じベースでの記載のところもございますので、時間も限られておりますので、特に変わったところですとか、あるいは新しい要素がある部分を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 まずⅠ番目、政策体系における法人の位置付け及び役割ですけれども、先ほど申し上げたとおり、目標策定指針においてこれを立てるということになっておりまして、具体的には、国の政策を実現するために求められる使命ですとか、あるいは法人の現状、そして課題の分析に関すること。そして法人を取り巻く環境の変化、そうしたことについて書くことが期待されている部分です。
 一行一行なぞって読み上げてということはいたしませんけれども、いろんな最近つくられた国の政策文書、あるいは策定に当たる議論の動向を踏まえたものになっており、例えばエネルギー基本計画、先月閣議決定されておりますけれども、であったり、あるいはその3ページの下のほう、グリーン成長戦略、それから科学技術イノベーション基本計画ですとか、そういった最近の政策文書、あるいは政策動向を踏まえた、その前提、政策的背景について書かせていただいているものです。
 1ページおめくりいただいて4ページですけれども、こちらもそういった意味ではいろいろキーワードがございまして、例えばDX(デジタル・トランスフォーメーション)ですとか、あるいは先ほどの科学技術イノベーション基本計画において打ち出されている「総合知」といった概念であるとか、それから原子力を取り巻く状況としては、民間支援・国際連携、そういった観点、あるいは人的基盤の脆弱化が進んでいることの問題意識や背景。そういったことを書かせていただいています。
 それから、先ほど少し申し上げた科学技術学術審議会の中で、こうした政策的な観点に向き合い議論してきたという背景についても、こちらで書かせていただいています。
 4ページの最後、「以上を踏まえ、機構の新しい中長期目標を策定する」というふうにしております。
 続きまして、5ページですが、まず中長期目標の期間でございます。こちらは、多くの国立研究開発法人でもそうであるんですけれども、長期的な視点を含む研究開発の特性を踏まえてということで、中長期目標期間は令和4年4月1日から令和11年3月31日までの7年間とするというふうにしております。
 続きまして、ローマ数字Ⅲの安全を最優先とした業務運営に関する事項ですが、こちらは現行第3期の中長期目標に引き続き位置づけております。3期が終了したからといって、その重要性が少しも薄れるものではないという趣旨でございます。
 中身の内容といたしましては、機構の理事長も常に強調なさっている、職員一人一人が徹底した安全意識を持つと。それを組織として定着させていく。その上で、不断の見直しを行っていく。そういった中身でありますとか、あるいは原子力安全、核セキュリティーの向上ということにつきましては、核セキュリティーの強化、プルトニウムの平和利用、それから核燃料物質の輸送、こういったものを着実にやっていくということを書いております。
 こうした取組について常に改善し、高度化させていくこと。そして、あってはならないですが事故やトラブル、そういったときには積極的かつ迅速に公表していくと。そうしたことをここで、まず冒頭で書いてございます。
 続きまして、ローマ数字のⅣ番目、これが具体的ないろいろな業務の中身が、研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項に関することが取りまとめられている大きなセクションになりますけれども、先ほど申し上げましたような参考資料6にあります見直しの内容について、こちらで整理された柱立てをそのまま使っているものになります。
 おめくりいただいて6ページですが、まずここは具体論に入る前の総論の部分として書かせていただいているところでして、1ポツに入る前の「本事項の評価に当たっては」という部分ございますけれども、そこでは別途定める評価軸等を基本として評価するといったことであったり、あるいはその評価軸、指標の設定に当たっては定性的な観点や定量的な観点、双方を適切に勘案して総合的に評価するといったことを書かせていただいていることに加え、これは研発審議会全体として求められている観点の一つですけれども、「総合知」の活用・創出の観点を重視していくということを書いております。
 具体的にまず、7個あるうちの一つ目ですけれども、1.が安全性向上等の革新的技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献ということを目標として掲げております。
 構造といたしましては、この中にさらに三つのサブセクションございまして、一つが一層の安全性・経済優位性を追求した原子力システムの研究、二つ目が高温ガス炉に係る研究開発、そして三つ目が高速炉・核燃料サイクルに係る研究開発となっております。
 一つ目の原子力システム、これ自体がカーボンニュートラルに貢献するということでもありますし、二つ目の高温ガス炉で申し上げれば、そういった固有の安全性、多様な熱利用、そういったものを通じたカーボンニュートラルへの貢献というのもございます。
 また、新しい要素で申し上げますと、7ページ目御覧いただきますと、まず政策動向あるいは施設の動向としての変化で申し上げれば、「グリーン成長戦略」という2050年カーボンニュートラルに向けた、まず国としての政策文書があるという中にあって、本年7月に機構の高温工学試験研究炉(HTTR)が再稼働を果たしているという状況です。こういった状況の変化を踏まえて、今後何をやっていくか。そういった新規要素といたしましては、そこにも書かせていただいておりますように、水素製造プラントへの接続技術の実証に係る研究開発を進めると。それとともにカーボンフリーな水素供給に向けて、民間と協力分担しつつ研究開発を進めると。そういった内容を反映しております。
 三つ目の高速炉・核燃料サイクルに関する研究開発のところですけども、こちらも昨今の政策動向ですとか、状況の変化を反映して目標を更新しております。高速炉の部分については、特に「常陽」のところですね。7ページの一番下の段落の「また」の直前ですけれども、「「常陽」については、新規制基準への適合性確認を受けた後、一日も早い運転再開を目指す」と、そういった目標としております。それから核燃料サイクル、こちらも現行の中長期目標ベースの書きぶりではございます。
 続きまして、8ページ目。二つ目のセクションといたしまして、原子力科学技術に係る多様な研究開発の推進によるイノベーションの創出というセクションです。
 こちらもサブセクション三つございますが、順番に申し上げますと、一つ目が原子力基礎基盤研究、先端原子力科学研究、中性子利用研究及び原子力計算科学研究の推進といった内容でございまして、例えば、こちら先ほども記述がありました「常陽」につきましては、先ほどのエネルギー利用、そちらの観点の文脈だけではなくて、そこの文章にも書かせていただいているように、物質・材料科学ですとか、ライフサイエンスですとか、そういった分野を支える照射場としての利活用、こういったものを通じた価値の発現であったり、成果の還元であったり、そうしたことについても位置づけております。
 それから、その下のパラグラフで「さらに」から始まるところですけれども、読み上げますと、「「もんじゅ」サイトに設置することとされている新たな試験研究炉の設計に係る検討に関係自治体や大学等と連携して取り組む」と。こちら平成28年12月に原子力関係閣僚会議でこうした方針が示されていること。それに向けて、JAEA、京都大学、福井大学のほうが中核的機関として、これは令和2年度からですけれども、概念設計を実際に今始めて、取り組んでおるところでして、それを踏まえた記載というふうにしております。
 そして最後にありますように、学術的・技術的に大きなインパクトを伴う世界最先端の原子力科学研究成果を創出する。それがこのサブセクションの目標でございます。
 それから二つ目ですけれども、特定先端大型研究施設の共用促進・高度化並びに供用施設の利用促進です。前段の部分は、いわゆる共用法に基づく取組業務でして、J-PARCをしっかりと円滑に運転をし、取組を進めるというものもございます。それからJRR-3など、その他の外部供用の施設をきちんと活用していくと。そうした目標を引き続き位置づけております。
 3番目のサブセクション、産学官の共創によるイノベーション創出への取組の強化。すみません、9ページですけれども。こちらも従来の、例えば最初のパラグラフの真ん中ほど御覧いただきますと、東京電力福島第一原子力発電所事故の対処という、それに加えて2050年カーボンニュートラル実現への貢献といったような、新たに加わった政策的な背景に関する記述が加わっています。
 それから、この3番目のサブセクションの一番最後、「特に」で始まるパラグラフありますけれども、「機構の試験研究炉等を活用し」、この試験研究炉というのは、具体的にはJRR-3であったり、あるいは運転再開後の「常陽」であったりを念頭に置いておりますけれども、国内の医療現場から高い利用ニーズの寄せられている医療用RIの製造や関連技術の研究開発に取り組むと。それで国内の供給体制の確立に貢献する、そういった文章が新規に加わっております。
 続きまして、3番目のセクション、産業界や大学等と連携して我が国全体の研究開発や人材育成に貢献するために必要なプラットフォーム機能の充実というものも書いております。これは非常に外からの期待が大きいセクションでございまして、先ほど冒頭でも申し上げましたように、いろんな研究開発基盤ですとか、人的基盤ですとか、そういったのが脆弱してきている状況というのがあります。それを打開していくための取組として、原子力機構に期待される役割と、そういったものをまとめているセクション、それをオールジャパンの視座で必要な人材育成、そういった観点でまとめております。
 やはり個別の施設ですとか、場所ですとか、そういったものだけを見て目標を立てていくと落ちてしまう取組であったりしますけれども、例えば核不拡散・核セキュリティー、これに関する人材、そのネットワークの強化ですとか、そういったものも重要な観点ですので、このセクションにまとめてございます。
 10ページを御覧いただきますと、今申し上げたようなことを、二つのサブセクションで書かせていただいていますが、その一つ目のサブセクション、大学や産業界等と連携強化による原子力・イノベーション人材の育成のところでは、イノベーション人材という言葉を現行と比べて新しく使っております。機構のほうでも新原子力であるとか、あるいは原子力イノベーションといったことを掲げて、これまでも取組を進めてきておりますが、国のほうでも科学技術イノベーション基本計画と、やはりそういったものの位置づけの中で、中長期目標にもそれを反映している格好でございます。
 それから核不拡散・核セキュリティーの強化、これにやっぱり貢献していく上での人的基盤の強化ですとか、ネットワークの強化ですとか、そういったプラットフォーム機能の提供を通じて貢献していくと。こちらにも人材育成に加えて、アジアを中心とした諸国への能力構築支援、そういった内容も書いておりますけれども、このセクションに位置づけております。
 続きまして、4番目のセクション、東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発ですけれども、これは従来の取組を着実にやっていくという現行の中長期目標ベースの記載が大宗を占めますが、11ページ御覧いただくと、こちらも三つのサブセクションあるんですけれども、初めの二つが研究開発に関するものでして、一つ目は廃止措置等に向けた研究開発。新しい記載といたしましては、二つ目のパラグラフで、福島での廃止措置に向けた研究開発のフェーズも移っていく中で、燃料デブリの取り出し等に関する研究の部分が少し具体的に書かれているということ、それから福島でのこうした経験を、ほかのバックエンドの取組ですね、東海再処理施設などをはじめ、そうしたところでの取組と相互に連携して協働して、成果を相互に展開して応用していく、そういった仕組みの話などを書かせていただいております。
 二つ目のサブセクションは、環境回復に関する研究開発ということで、現行と比べるとより広いフィールドでの環境動態研究ですとか、線量の可視化ですとか、そうした研究の内容が加わってございます。
 12ページ御覧いただきますと、それに加えまして、成果の地方自治体等への還元ということを書いております。
 3番目のサブセクション、研究開発基盤の構築・強化ですが、これは最後のところに東京電力との連携強化ということを書いてございます。
 続きまして、5番目のセクション、高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する技術開発の着実な実施。こちらも現行の中期目標と比べて何かがとても大きく変わるというところはないのですけれども、二つサブセクションございまして、一つ目は、高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究開発。
 13ページの二つ目のパラグラフ「具体的には」というところを御覧いただきますと、マイナーアクチノイド分離のための共通基盤技術の研究開発、それから加速器駆動システム(ADS)を用いた核変換技術の研究開発。こちらの研究開発は、したがって、この大きな5番目のセクション高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する技術開発というところに含めております。
 それから2番目のサブセクション、高レベル放射性廃棄物等の地層処分研究開発ですけれども、こちらの新しくなっている部分といたしましては、最初のパラグラフの中ほどにあります超深地層研究所計画については、坑道埋め戻し後の瑞浪のほうがもう終わっておりますので、そちらを反映した記載になっておりますし、最後のパラグラフの「これらの取組により」のところでは、処分に関する技術的信頼性のさらなる向上を目指すということを書いております。
 それから6番目のセクション、安全を最優先とした持続的なバックエンド対策の着実な推進。これは次の14ページを御覧いただきますと、新しい要素の部分といたしましては、最後のパラグラフ「加えて」というところにありますし、こちらは規制委員会のほうでも現在議論がなされているところと承知していますが、「加えて、利用実態のない核燃料物質の集約管理に関する関係行政機関における検討に協力・貢献する」と。これが現行の中長期目標にはない記載でございますけれども、新たに目標として書き加えているところでございます。
 あと二つサブセクションございますけれども、二つ目が敦賀地区の原子力施設の廃止措置実証のための活動がございまして、これも現行の中長期目標ベースの記載となってございます。
 次の3番目のサブセクション、東海再処理施設の廃止措置実証のための活動。こちらは現行の中長期目標には、こういった形でのセクション立った記載というものはなかったものですけれども、今後70年、それから長大なコストがかかると。そういった大きなものに向き合っていく中で、それはきちんと目標として位置づけていくことが適切であるといった省内議論を踏まえて、バックエンドに係る顕著な大きな取組として追加しているものになります。
 特に、一行目に書いております「保有する液体状の高放射性廃棄物に伴うリスクの早期低減を最優先課題とし」と。こういったことは、これまでの規制当局との間でのやり取りを踏まえた記載となってございます。
 最後に、15ページの7番目のセクション、原子力安全規制行政及び原子力防災に対する支援とそのための安全研究の推進。こちらは今、規制委員会側、規制庁側のほうでの部会で議論もされており、これからされていくところでして、今書かれているこのテキストは、ちょうど先日、11月2日に原子力規制委員会が開かれておりますが、そこで使用されたテキストのバージョンをそのまま今こちらに落とし込んでございます。ただ、今後また規制庁部会のほうで御議論されていくものになります。本部会において、ここを中心的に扱うということはございません。
 16ページを御覧いただきますと、ローマ数字Ⅴ番目、業務運営の改善及び効率化に関する事項。こちらも16ページに書かれている内容は、現行の中長期目標ベースの内容が主なのですけれども、17ページ御覧いただきますと、2番目の業務の改善・合理化・効率化とあるうちの一つ目、経費の合理化・効率化とあります。これ最初のパラグラフ御覧いただきますと、パーセンテージのところが○ということで、まだ埋まってないところがございます。令和3年度に比べて中長期目標期間中に何%と書かれている部分ですけれども、こちらは今後の財政当局との協議、議論の中で決まっていく部分ですので、現状では浮いてございます。
 それから(2)の契約の適正化。こちらも最後の部分が新しくなってございまして、こちら読み上げますと、「業務の専門性や特殊性により一者応札が続く、あるいは一般競争入札ではコスト削減が見込まれないと判断される契約については、契約監視委員会の監視の下、単に外形的な一者応札率を下げることを追求するのではなく、専門性を有しない一般的な業務と専門性や特殊性のある業務を切り分けた上で最適な契約形態を適用する」と。
 昨年の秋の行革のレビューでの指摘を踏まえて、これまで様々、契約監視委員会も含めて議論をしてきたところの結果を、こういった中長期目標の中においても反映しているものです。
 17ページ、最後にローマ数字Ⅵ番目の財務内容の改善に関する事項。こちらはおおむね現行ベースでございます。
 18ページ、御覧いただきまして、ローマ数字のⅦ番、その他業務運営に関する重要事項ですが、先ほど申し上げましたように、1番目の施設・設備に関する事項、そして3番目の人事に関する事項、こちらは主務省令において、中長期計画において、こういったセクションを設けることとされているものとの対応が分かりやすく設けているものでございます。
 2番目には、国際連携に関する事項というものがございまして、特に国際連携の観点が重要な取組について、ここに横断事項としてまとめてございます。高速炉・高温ガス炉であったり、廃止措置・廃棄物管理の中であったり、諸外国とのリソースの分担や国際的な英知の結集、そういった観点が重要なところ、戦略的かつ多様な国際協力を推進する。そういったものを書いております。
 18ページの一番下の行の「国際機関における国際的な基準作り等へ参加するなど」とありますけれども、こうした部分、今も政策的に強く、これ研究開発法人に共通したことだと思いますけれども、求められているところでございまして、それも含め、原子力の平和利用等において国際貢献につながる活動を行うという目標の案にしております。
 それから4番目が、業務改善のデジタル化及び情報セキュリティー対策の推進。こちらもデジタル庁が先般発足し、いろんなデジタル関係の政府会議も動き、政策的には大きく動いている分野でございまして、情報セキュリティーは常に重要性を増しているというところでして、一つこういった重要事項としてセクションを設けています。
 最後に5番目、広聴広報機能及び双方向コミュニケーション活動の強化ですけれども、これは8月までのこの部会でもそうでしたし、先月総務省側の独法評価委員会のほうでも、次期中長期目標をつくるに当たっての留意事項として具体的に示されている中身、基本的にそれをきちんと受けて、目標案としているのがこちらでございまして、受け手のニーズを意識し、立地地域や国民に対する丁寧かつ分かりやすい情報発信、双方的・対話的なコミュニケーション活動を推進するといったこと。そして、機構の取組に係る情報に限定することなく、日本全体の原子力に関する取組に関する情報発信にも貢献するということを書いております。
 以上、駆け足でございましたが、まず資料1に基づく中長期目標(案)についての御説明でございました。
【佐々部会長】  ありがとうございました。
 経産省のほうから何か補足の説明がございますでしょうか。
【中谷補佐(経産省)】  経済産業省の中谷でございます。技術総括をしてございます。
 先ほど、岡村補佐から説明がありましたとおり、先月10月にはエネルギー基本計画が閣議決定してきてございます。今回の中長期目標のこちらの案に、軽水炉について新たなセクションを設けていただいていますけれども、軽水炉については、エネ基においても軽水炉の一層の安全性等の向上を進めること、また経年劣化や長期運転に係る試験拡充検討等について記載してございます。関係機関の技術的支援を含め、JAEAには期待されるところでございます。
 高速炉・高温ガス炉については、まさにカーボンニュートラルというところで、非常に次世代のニュースとしては期待されるところであるかと思ってございます。エネルギー基本計画のほうでも2030年までに、高速炉については国際連携を活用した着実な推進、高温ガス炉についても水素製造に係るヨウ素技術確立等を進めるということが明記されてございます。
 世界では、こちらの高速炉・高温ガス炉にとどまらず、革新炉に諸外国も活路を見いだして、2030年前後に実用化というところを目指して大規模予算投入をして、推し進めているところでございます。
 そういう中で、世界からも日本技術にも期待の声というのが聞こえてまいります。我が国の技術、規格基準の国際的普及、国際協力含めた技術戦略の立案において主導的な役割を担うということを、今回の案にも記載いただいていますが、まさにそういったところが期待されるというふうに思ってございます。
 イノベーションのところにRI製造について書いていただきましたけれども、特に高速実験炉の「常陽」においては、最先端のがん治療にも活用可能なんですね。アクチニウムも安定的な大量製造することが可能であるということで、医療業界の研究開発業界からも期待の声が上がっていると承知してございます。
 また、福島のところも中長期的に非常に重要なところだというふうに考えてございます。デブリ取り出しに向けて進展しているという状況を踏まえて、JAEAとしても役割はしっかりと果たしていただけたらというふうに考えてございます。
 放射性廃棄物の処理処分についても、原子力の在り方を考えていく上で、非常に重要な研究開発分野だと思ってございます。特に昨今では放射性廃棄物の処分というところで、こちらも非常に皆さんの関心分野かと思ってございます。
 「もんじゅ」廃炉、「ふげん」廃炉につきましては、例えば「もんじゅ」ですと、高速炉開発に有益なデータ・知見の蓄積というところも期待されますし、「ふげん」についても軽水炉廃止措置を進める産業界の有益なデータ・知見を共有することが期待されるかと思ってございます。
 こうした案が現在できてきておりますが、まさにJAEAには原子力イノベーションのエコシステムの中心となって、我が国唯一の原子力の国立研究所としての役割を果たすことを経済産業省としても期待しております。
 以上でございます。
【佐々部会長】  中谷補佐、どうもありがとうございました。
 それでは、これから議論に入るんですけども、その中身に入る前に内容以外のところで中長期目標の今回の位置づけであるとか、スケジュールだとか、審議会の役割だとか、そういった入る前の段階のところで何か質問しておいたほうがいい、あるいは整理していただくことがあったら御意見ください。
 マイクをミュートにして、発言の方はお名前を言っていただければ、こちらから御指名させていただきますが、よろしゅうございますか。中長期的目標のこれから議論する内容の位置づけなど、大丈夫ですね。
 それでは、早速これから中身の議論に入るんですけれども、議論に移る前に、本日御欠席の山本委員から、事前に意見・質問含めて資料を提出いただいております。資料5として、皆さんのところにも行っておりますので、欠席の山本委員からの資料につきまして、事務局から補足説明ないし回答のほうをお願いいたします。
【岡村補佐(文科省)】  ありがとうございます。資料の5番目、山本委員提出資料があります。今、画面に映されています1枚ものを基に御説明、御回答させていただきます。
 5点、御質問をいただいておるんですけれども、一つ目が中長期目標の案に関わるところ、そして2番目から5番目までが、後ほど御説明させていただく評価軸と指標の部分かと思いますので、まずここでは1番目のことについて御回答させていただいて、また話題が移って、評価軸、指標のところになったときの冒頭辺りで、2から5の部分も御回答させていただければと思っております。
【佐々部会長】  それで結構ですので、よろしくお願いします。
【岡村補佐(文科省)】  ありがとうございます。
 1番目ですけれども、そこに書かれておりますようにカーボンニュートラルへの貢献、そしてイノベーションの創出、これら二つについては研究や取組の内容が重なる部分があると思われるということに基づいて、それぞれを担当する部署が異なるということなのか、どのように仕分を行うのか、あるいは相互連携を行うのかという御指摘をいただいておって、大変、我々事務局といたしましても難しい部分だと思っております。
 その上で、まず本来的な我々側の考え方として申し上げますと、責任ある体制において中長期目標にきちんと向き合って、中長期計画を実行していくということが、まず大事であると考えています。現行の体制、あるいは組織立て、あるいは担務がどうである、それを前提としてしまって、それと目標がそろっていないと向き合いにくいとか、だから向き合いやすいように中長期目標のほうを立てるべきという順番の思考ではなく、本来的には国の方針であるとか、世の中の期待・要請であるとか、そういったものがあった上で、それが中長期目標に適切に反映されて、それを実行するために最適な体制というものが法人側できちんと構築されるというのがあるべき姿と考えています。そのための組織と業務の一体的な見直しであろうと。参考資料の6もそのために作成されているものですから、まず本義的な順番としては、そのような理解であろうと思っております。ただ、その上で、なかなか今後中長期計画を立てて、それを実務に落とし込んで、実際の研究開発あるいはマネジメントの現場でということになると、そこはやっぱり、しっかりかみ合った形として現実的にやっていく必要があると思っています。
 山本委員の問題意識の中に、まず、この場で事務局として明確化しておく必要があるという点としましては、今から申し上げる二つを区別して議論をしておく必要があると思っております。まず一つは達成すべき目標ですとか、あるいはその生み出していくアウトカム、こういったものがきちんと後に評価軸や指標に照らしてちゃんと評価されていくと。そのために、目標やアウトカムの観点というのを、きちんと仕分けて切り分けておくという話がまず一つ目です。
 それから、二つ目には、その目標といったものを達成する手段としての個別の施設や取組、何個かありますけども、それ自体を切り分けるという話。達成手段を切り分けるという話。これは、二つ分けて考えておく必要があると思っておりまして、例えば一つの施設ですとか業務ですとか、あるいは研究開発の成果、これが今回の柱立てというところの複数の目標の達成ですとか、アウトカムにつながっていくということはありますし、むしろそれは自然なことであろうというふうに考えております。
 先ほどの私からの説明で申し上げれば、「常陽」が1か所ではなく、こういったカーボンニュートラルのところにも表れましたし、イノベーション創出のところにも表れましたけれども、一つの施設は目標の柱立てという1か所しか表れてはいけないということにはなりませんし、それぞれの箇所で適切な評価軸、そして指標を持ってきちんと評価されていくべきものと。そのためのきちんとした責任ある体制が法人側でも構築されて、目標に向き合われ、計画を実効性あるものたらしめることということが重要であるというふうに考えております。
 山本委員の御質問の中には、それぞれ担当する部署が異なるということかということについては、これは実際これから中長期計画、それから組織の見直しに向けた検討を進められていく中にあって、結果的には同じところになることもあれば、役割分担のあるところもあると思いますので、そこは実際の実務をよく念頭に置いて、引き続き原子力機構ともよくコミュニケーションを取って、調整をしていきたいというふうに思っているところです。
 以上でございます。
【佐々部会長】  岡村補佐、どうもありがとうございました。
 議論に入る前に山本先生からの、冒頭の質問、今の岡村補佐の回答、結構今回の中長期目標の内容を検討するに当たって大事な内容が含まれているかなと、私は今聞いて思っておりました。やはり現在の組織であるとか研究を前提に、それに合わせてつくるのではなくて、あるべき目標を議論して策定する。これがまさに政策立案という立場ですけども、それに対して、理事長が今度は業務の執行という立場で、目標達成できるように組織の変更であるとか人員配置、予算配分の見直しを推進していただけるということで、非常に重要な問題の提起であり回答であると思います。
 そうはありながら、実際これをどうやってやっていくのか、そして終わった後に評価していくのかというと、なかなか現実的には難しいことが出てくるのも事実でありまして、その辺を踏まえながら、この後、内容に入っていきたいと思います。
 今後の議論の進め方ですが、一つには今日議論をしました後、もう一度今月会議が予定されております。ですから、今日は自由に御意見をいろいろ言っていただいて、いろんな視点から御覧いただく、いろんな観点で御意見をいただく。あるいは抜けているものがないかということについて、いろいろな御意見をいただきまして、事務局には大変御苦労かけますけども、そういった内容、論点を整理していただいた上で、次回までに、そういったものを共有していくと。そして最終的な議論を詰めるという形で進めたいと思いますので、今日は本当に自由に御議論いただければいいなというふうに、部会長としては思っております。
 早速ですが、資料の1の今回の中長期目標(案)ですが、2ページの目次を見ていただきまして、目次を御覧いただいた全体の体系みたいなことを御議論いただきまして、その中で解決すべきものがあったら個別の議論をしていただくと。次いで、時間があれば、さらに個別の内容についても議論をしていくというような形で進めたいと思います。
 それでは、初めにこの全体の目次の構成、こういった辺りで見ていただいて、何か気になることとか、意見とか、質問とかあったら、どうぞお願いします。
【小澤委員】  すみません、小澤でございます。しゃべってよろしいでしょうか。
【佐々部会長】  どうぞ、お願いします、小澤さん。
【小澤委員】  ありがとうございます。日本電機工業会小澤でございます。
 目次のところですけれども、ローマ数字のⅠからⅦまでには特に異論はないのですけれども、Ⅳ番目、研究開発の成果の最大化その他云々と書いてあるところの、1からの数字のところを少し考えていきたいというふうに思います。
 この中で、1、2、3、4の、その下の項目(1)、(2)、(3)というのがあるかと思うんですけど、これを眺めるには資料2と並べてみたほうがいいかなと思っているんですけれども、まず一つ目は、4番目の福島第一原子力発電所の廃炉、これは、いよいよデブリ取出しという本丸に突入していく時期に入るということで、次の7年間というのは非常に重要だというふうに思います。
 もう一つは、高レベル廃棄物の処理処分に関する技術開発の着実な実施の中の(2)番のほうですね、地層処分の研究開発というところも二つの自治体が手を挙げているというところで、いよいよ調査活動のほうに突入していくということでありますので、これも次の7年間としては、機構さんには全力でサポートしていただく必要があるのかなというふうに思います。
 一方で、最初のほうにあるカーボンニュートラルへの貢献ということは、先ほどエネ庁さんからも御説明いただいたように、2050年カーボンニュートラルではありますけれども、2030年というのが結構目前に迫っているというところであります。今後の7年間ということは、2028年まで入ってくるので、結構この7年間さらに重要になってくるのではないかなというふうに思いますので、一つのメリハリとしては、こういった目先の最重要課題というんですかね、そういうのを、まず意識することが重要であろうかと思います。
 それから、選択肢を広げる意味で、いろんな可能性を追求する研究開発、それから基盤の研究開発、いろいろあろうかと思うんですけども、全体の目次としては、そういったメリハリの中で議論していくんだろうなというふうに思います。
 以上でございます。
【佐々部会長】  小澤さん、ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございますでしょうか。
【井上委員】  井上です。
【佐々部会長】  井上さん、お願いします。
【井上委員】  御説明ありがとうございました。質問的になりますが、4ページの上のところに、「総合知」というような文言、言葉が上がっていました。この「総合知」という言葉が、ⅠからⅦまでの間にどういう形で、串刺しで進められていくのかということが、ちょっとよく見えない感じでしたので、その辺りでどういう工夫をされているのか、この「総合知」というところをどういう形で取り入れられたのかというのが1点です。
 2点目は、同じ「総合知」の関係なんですけども、文科省のサイトを拝見すると、「総合知」で築くポストコロナ社会の技術基盤」ということで、コロナという言葉が入っています。要は社会環境が変わったということから、いろんなものの進め方を変えていきましょうというような文章が、文科省の戦略目標として掲げられています。したがって、やはりコロナに関する何らかの社会変化における対応ということを前提としているような気がするんですが、ⅠからⅦの今日御説明いただいた中には、そういったコロナに対する記載がなかったのですけれども、その辺りも追加でお聞きできればというふうに思います。
 以上です。
【佐々部会長】  井上委員、ありがとうございました。
 「総合知」について、事務局から少し説明いただけますか。
【岡村補佐(文科省)】  御回答差し上げます。今の御質問の、まず、御質問の趣旨を私が正確に捉えられたか確認させていただきたいのですが、まず一つ目は4ページもそうですし、6ページにも表れる「総合知」という、この言葉について、この目標案の中で、横串的にというのか、どのところに具体的にこれが反映されているかという観点についての説明をということだったかと思います。1点目はそれでよろしいでしょうか。
【井上委員】  はい、結構です。
【岡村補佐(文科省)】  2点目は、コロナ禍を受けての、コロナ禍があっての社会の変化、そういったことを踏まえての対応とか、その観点がどこにあるかということでしょうかね。
【井上委員】  はい、それで結構です。
【岡村補佐(文科省)】  ありがとうございます。
 1点目については、御指摘のとおり、確かにこの「総合知」ということが、今申し上げたところ以外で具体的に語られているところというのは、今の目標案中にはないのですけれども、例えば最後の部分「広聴広報機能及び」というところがございます。「総合知」というのは、内閣府のほうの科学技術イノベーション基本計画に盛り込まれたときの経緯などを拝見しますと、今自然科学分野の中での横断性、分野融合性というものはもとより、人文社会科学までを含めた総合的な科学を通じて社会への向き合い方、課題解決、そういったことが語られています。
 SDGsなどはじめ皆そうですけども、地球規模の大きな課題ですとか、エネルギー問題もそうですけれども、それに向き合うに当たっては、単一の分野であるとか、それだけの科学的な知見であったりリソースであったり、それだけでは向き合いきれないと。ますます複雑化、高度化する社会課題に向き合うに当たっては様々な分野の知見を組合せて取り組まないといけないと。そういった問題意識の下で「総合知」といった、この言葉が、科学技術政策の一つの、今回の基本計画の目玉として位置づけられているところです。
 ですので、文部科学省の中の研究開発法人審議会の中でも、研究開発法人としてそういう強みを持ち寄って、相乗的にかけ合わせて「総合知」という形で貢献していくんだということが、今、期待されているところです。
 今、最後のというところを申し上げましたのは、原子力分野固有の難しさ、チャレンジ、それはリスクコミュニケーション上のチャレンジもありますし、新しい原子力技術であっても、世の中に価値を生み出していく過程にあっても、実際にその研究開発に取り組む時点から、それが将来的に社会に及ぼし得るいろんな影響ですとか、そのリスク評価、それからそれに付随した様々なコミュニケーションの観点、そういった人文社会学的な知を盛り込んだ上でのR&Dプロジェクトに仕上げていかなければいけないと。
 そういったことが原子力もそうですし、ほかの分野で申し上げるならライスサイエンスでの生命倫理、色々なところで世の中とコミュニケーションをきちんと取って研究開発を進めていくということが、これまで以上に一層求められていく時代になっています。ですので、仮にその「総合知」というものを、具体的に取り入れていくこととしては、今申し上げた社会受容性の観点であるとか、リスクコミュニケーションの観点であるとか、経済社会的な合理性の観点であるとか、そういったこととの連携の中で、単純にその研究開発だけを進めればいいんだというものではない、世の中への向き合い方というものが、今後機構にもさらに強く求められていくという側面があると思っています。
 今、人文社会科学というところのことを申し上げましたけれども、「総合知」という概念の中には、当然自然科学の中での分野間の横断であったり、連携、融合であったり、そういった観点もございますので、原子力機構どの施設、どの取組一つとっても、それ単独で語られるものではなく、色々なものが色々な政策背景、経緯、そして技術的な親和性も含めて一体的に進めていかなければいけないというところがありますので、「総合知」というものが、そういった観点からも、この4ポツの研究開発の成果の最大化の中にも書き込んでいくべきところがあれば、引き続き検討をしたいと思っています。
 それから、二つ目の御質問でありました、コロナ禍にあるということを踏まえての、この社会変化にどう向き合うかどうこうという話。これも御指摘のように、ここという明確な箇所というのは現状ないかなと思っています。
 一つは、コロナ禍にあってデジタル化が進んだと。そういうことにあって、政府レベルでもいろんな検討の中で、デジタル化、スマート化、DXという言葉で語られる取組というのがあります。それも、先ほどの最後のページの上での、業務環境のデジタル化というところがございまして、そういったところで、これまでの中長期目標期間の上にさらに立って、今回のコロナ禍で、国レベル、世界レベルで加速したデジタル化に向き合っていくというところは、一つここには位置づけられるとは思いますけれども、委員御指摘のとおり、今明確にここという文章があるわけでもありませんので、そこも引き続き検討したいと思っています。
 雑駁ですが、以上です。
【井上委員】  どうもありがとうございました。
【佐々部会長】  よろしいでしょうか。
【井上委員】  御説明ありがとうございました。確かに今のこの文章、読ませていただくと、4ページのところだけ「総合知」という言葉が出てきて、その後出てこない。今おっしゃった広報のところ以外には、例えばⅣの5の高レベル放射性廃棄物の処理処分なんかは、地質学とかいったほかの知見、科学的な知見も関係するでしょうし、当然住民とのコミュニケーション等もあると思うので、そういったポイントポイントにおいて、この「総合知」という言葉を入れていったほうが全体のつながりがよくなるのではないかというふうに思います。
 コロナの件も、文科省の戦略目標にもなっていますので、ここに目標が三つあるようですけれど、異文化総合研究とかデータを活用したとか、人文社会分野との連携とかいう項目がありますので、それに従ったところで、もしポストコロナ的な文言が入れられるようであれば入れたほうが良いのではないかというふうに思います。すみません。長くなりました。
【佐々部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ほかに目次、全体を通してありますか。
【藤田委員】  すみません、藤田ですけれど。
【佐々部会長】  藤田さん、お願いします。
【藤田委員】  2点ありまして、1点は今の井上さんのコメントに対する文科省からの回答にありました、今まで原子力って社会科学的観点が非常に抜けていて、いつも技術的観点というのみ議論をしていたということに対して、社会科学的な観点を入れるってことは非常に重要になるので、ぜひそこは推進していただきたいというのが1点。
 で、もう1点の質問は、この中にJAEAさんが作成された2050年ビジョンという単語、ちょっと私の読み方がいけないのかもしれないですけれども、一言も出てきてないのに私は違和感があってですね。どこかに書いていらっしゃるんだったら別なんですけれども、やはり2050年カーボンニュートラルというような新しい方針ができたところで、2050年ビジョンもそれに合わせてどういうふうに変えるか、あるいはより強化するかというような項目も、全体の方針のところに入れていただければありがたいなと考えます。
 以上です。
【佐々部会長】  藤田さん、ありがとうございました。
 この2050年のビジョンは、JAEAのビジョンですか。あれは、やはり先ほど冒頭でお話しした政策の立案と執行という中では、執行機関であるJAEAが自らああいったものを目指してやっていこうということで書かれたものですから、それをそのままというか、それを取り込むということはなかなか難しいとは思うんですが、目標の中に、今までJAEAが一生懸命議論してきた様々なJAEA2050に入っているようなものは、恐らく幾つか具体的に今の目標の中にも取り込まれているのではないかなというふうには思いますが、この辺事務局のほう何か説明ございますか。
【岡村補佐(文科省)】  ありがとうございます。今、藤田委員から御指摘のあったJAEAのビジョンのほうですね、2050+ですけれども、その言葉自体は確かにおっしゃるように今位置づけられていなくて、しかしこの中身といたしまして、気候変動問題の解決であるとか、エネルギーの安定確保であるとか、あるいはSociety5.0未来社会に向けた取組であるとか、そういった「新原子力」を標榜して機構のほうでこれまで掲げられてきているものについての内容や趣旨といったものは、十分にこれからもよくコミュニケーションを取って、今部会長おっしゃったように反映をしていって、それを実効性あるものたらしめていくことが大事だと思っています。
 実際にこの文書名とか、それに基づきどうこうという文言自体は、これから策定される中長期計画などにおいて使われることはあると思っておりますけれども、あくまで国の目標という中身において、きちんとそれは中身として、やるべき取組として位置づけられていくこと。そちらが大事であると思っておりまして、その点については引き続きよく調整を進めてまいりたいと思います。
 以上です。
【佐々部会長】  岡村補佐、ありがとうございました。藤田さんいかがですか。よろしいですか。
【藤田委員】  私がちょっと気になったのは、実際に細かいところは、項目4のところで議論することになると思うんですけれども、やっぱり個々の分野のビジョンが重要なんですね。ビジョンをきちんとつくっといて、それに対してどういうふうに研究開発を進めていくかというふうにすべきで、その一番上にあるのが2050年ビジョンだというふうな理解ですと、やっぱりビジョンがなくて個々の開発ばっかりやっていても方向性が間違っちゃう場合もあるので、ここの研究会でも皆さんよく「そのビジョンどうなっているの」とおっしゃっているように、やっぱりビジョンをまずきちんと個々の分野については明確にするということと、その上に立つのが恐らく2050年ビジョンで、それが全く触れられてないことに対して、ちょっと違和感を感じました。
 個々には入れていらっしゃるというのはよく分かるんですけれども、やっぱりJAEAさんって日本で唯一の原子力の研究開発の組織だったら、組織としてのビジョンということをもうちょっと重要視すべきではないかなというふうに感じました。これは私の個人的なコメントです。
【佐々部会長】  藤田さん、ありがとうございます。
 さっきも申し上げましたように、私から言わせていただきますと、やはりそのビジョンも含めて、ある意味もっと大きな次元で国民の目線で、この原子力研究開発機構にこういうことをやってもらいたいという、さらにビジョンのもうちょっと上ぐらいの目標が、本当は中長期目標の中に入ってくるんだろうと。
 そういう意味で、その中から機構側がそれを受けて、それを様々な具体的な分野での事業に落としていくというような、ビジョンが先か目標が先かみたいな議論になっても何なんですが、そういったこともあるかなと個人的には思いました。
 ほかに何かございますか。
【竹下経済産業省部会長】  すみません、竹下ですがよろしいでしょうか。
【佐々部会長】  はい、お願いいたします。
【竹下経済産業省部会長】  やっぱり藤田さんと同じような考えなんですが、例えばカーボンニュートラルへの貢献というようなことをいうと、カーボンニュートラルのために原子力が役に立ちそうだねというのは、何となくそれはそうかなとは思うんだけども、実際にどんなふうに原子力がカーボンニュートラルに貢献するのかという目標値をつくっておかないと、何となく原子力をやったらカーボンニュートラルになりそうというぐらいしか見えないのかなという気がします。
 例えば高温ガス炉なんて、これ水素をつくりますとか書いてありますけど、このエネルギーキャリアみたいなものをつくったとして、それで全体のエネルギー社会にどう役に立つのかというようなところを、やっぱり十分な論議しとかないと、これ幾ら開発しても水素の持っていき場所がなくなったりしますしね。
 それとあと、熱源として役に立つのか、そういう意味では、例えば製鉄等の役に立ったりするんですけど、だけどそういうような、具体的にカーボンニュートラルに、こういう原子力をどこまで役に立たせるのか、その目標値をやっぱりある程度決めておかないと、カーボンニュートラルの貢献というふうになかなかならないんじゃないかなというふうに思いました。それが一つです。
 それとあと、高速炉なんかのところを見てみると、意外と今後重要になりそうな、例えばSMRみたいな将来の原子力システムを支えるようなことについては、全くこの辺に触れられてないような感じもします。
 多様な原子力システムがNEXIPなどでいろいろ出てくるんでしょうけども、そういうところも触れられてない。「常陽」だけが出てくるんですが、やっぱりそこのところの、何か未来志向ではないような感じがしてしょうがありませんでした。その辺いかがでございましょうか。
【佐々部会長】  ありがとうございました。
 ここのところですね、例えば最初の点、安全性向上等の革新的技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献という言葉につきましては、やはり今、先生も御指摘のようにカーボンニュートラルへの貢献が、先ほど来出ているビジョンなのか、安全性向上等の革新的技術開発なのか、どっちなんだと。それは、当然のごとく結びつくんじゃないかと。原子力やっていれば当然カーボンニュートラルというふうに位置づけてこれをつくっても、その辺のワーディング、目的なのか手段なのかのワーディングがちょっと難しいんじゃないかというような議論もあるかと思います。
 その辺も含めて、ほかの方どうでしょうか。
【岡村補佐(文科省)】  もし、部会長よろしければ。
【佐々部会長】  じゃあ事務局のほうでよろしくお願いします。
【岡村補佐(文科省)】  御指摘いただいた2点ありましたところについて、個々にお答えしたいと思いますけれども、何かまとまった答えというよりは、我々もそこは非常に悩みつつ試行錯誤しているところではありまして、今御指摘のあった、では具体的に原子力がどうカーボンニュートラルに役に立つのかと、どう貢献するのかって、やっぱりそういうことがきちんと書かれていないと、という御指摘だったと思います。
 国レベルのこういった議論、原子力とカーボンニュートラルへのどういった貢献が、そういったものを定量的に評価していたり、あるいはそのターゲットを設定していたり、そういったものは、昨今、この間もエネルギー基本計画が閣議決定されて策定しておりますけれども、そして先ほど経済産業省のほうからも補足がありましたけれども、あのような議論をつくる中で、国全体のエネルギー基本計画の中で原子力の位置づけ、そしてそれはどういったエビデンスに基づいたものであるか。それに基づくいろんな専門家、有識者の方々の議論を踏まえてああいった形で策定されているという、そういったものであったり、グリーン成長戦略、そしてその他の行動計画であったり。政府レベルでは色々な政策的な議論の中で、原子力がカーボンニュートラルにどう貢献するか、また、その限界やチャレンジはいかなるものか、そういった議論がなされています。
 その上で、我々この目標案をつくる際にその辺をバイパスしてしまっている部分があるのかもしれません。ですので、この目標の中で、ある程度そこがきちんと分かるような形で、少し整理を工夫したいというふうに今、御指摘を受けて思っております。
【竹下経済産業省部会長】  ありがとうございます。
【松浦課長(文科省)】  じゃあ、2点目について御説明します。今回の中長期目標の構造にも関わってくるんですけれども、まず掲げる目標としては、機構が直接実施するものという観点で、例えば高速炉であれば「常陽」を中心とした取組になるので、民間事業者との連携、あるいは他省庁、経産省の公募プログラムの事業者と貢献していくというところは、むしろ2ポツの産学官の共創の取組とか、そういったところで読んでいくという形になっていくので、ちょっと分かりにくい構造になるかもしれませんけれども、そういう形で機構が取り組むべきところ、あるいは産業界と連携して取り組むところというのが多少書き分けられているという構造になるのかというふうな気がします。
【竹下経済産業省部会長】  どうもありがとうございました。
【佐々部会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
【竹内経済産業省部会委員】  すみません。竹内でございますけれども、よろしいでしょうか。
【佐々部会長】  はい、竹内さん、お願いします。
【竹内経済産業省部会委員】  すいません。ちょっと、ごめんなさい、映像が映らないようで大変恐縮です。このまま音声にて失礼いたします。
 ちょっと先ほどの皆さんの御発言に戻ってしまうかもしれないんですけれども、改めましてちょっと「総合知」という言葉、こちら非常に重要なワードだなと思ったので、私もちょっと追加で御発言をさせていただければというふうに思ったんですけれども。非常に重要な言葉なんですけれども、ただ一方で皆さんが同床異夢になりがちな、ちょっと漠然として言葉であるというふうに思っております。
 こういったところが同床異夢になっていかないように、やはり使うのであれば定義を記載をしていただく。これは、その上のエネルギーの総合科学技術計画ですか、上部の計画で定義されているからというようなところもあるのかもしれませんけれども、改めてこれを原子力の技術開発で使うに当たって、今まで欠けていたこういったところを補っていくために、こういう言葉の基にみんなでやっていくんだというような、ある意味、原子力の技術開発において、この「総合知」という言葉をどういうふうに定義するかというのは、当然あるべき話だというふうに思いますので、そういった定義づけをちょっとしていただくというようなことが必要かなというふうに感じました。
 その際に、ちょっとここからはお願いベースと言いますか、意見になるんですけれども、やっぱりこの「総合知」、何のために必要かといいますと、この技術を社会実装を意識して技術開発していくというような、社会との接点ですとか、アウトプット・アウトカムというような言葉というのは、これまでのこの委員会の御議論でも大分聞かれたところかというふうに認識をしておりますけれども、技術だけではなくて、先ほど社会とのコミュニケーションというようなことは、相当言葉として出ていたんですけれども、やっぱりその規制ですとかそういった部分、この技術をどうやって社会に実装するのだというようなところを含めて考えていく必要があるんだと、そういう体制をつくっていく必要があるということで、やっぱり「総合知」という言葉を使うというようなことが必要だというふうに思っておりますので、定義づけの際には、ぜひ、その点をお願いできればなというのが1点でございます。
 もう1点目が、先ほど藤田委員が言われたところと若干重なるんですけれども、私もこの計画をつくっていただくに当たって、現場といいますかJAEAの方たち、あるいはもっと広く原子力技術に関わる方たちとのヒアリングじゃないんですけれども、連携といいますか、どういうコミュニケーションでつくられたかなというところが若干気になっておりまして、その辺につきまして補足をいただければなと。
 日常的にコミュニケーションがあり、方針は国が示すんだと、政府がこの委員会で示すんだというようなことなのかもしれないんですけれども、ただ、どういった方向性、あるいは実態があるかというようなところは、やはりよく踏まえる必要があるかなというふうに思っておりまして、この計画策定に向けて、方針策定に向けてどのようなコミュニケーションがあったのかというところをちょっと教えていただければありがたいなというふうに思いました。
 これはちょっと、3点目ちょっと内容に入ってしまうかもしれませんけれども、先ほどの言葉の定義というところでお願いをした延長線上になりますので、もう一言だけ申し上げさせていただくと、イノベーションというような言葉がちょっと、私は手段だと思っているんですが、目的化して使われているところが散見されるなというふうに思っております。
 4ページ目辺りに、日本のエネルギーセキュリティーであるとか脱カーボンといったような、そういう目的とイノベーションを実現するんだというような、並べて書かれていたりしますと、それってイノベーションによって日本のエネルギーセキュリティー、あるいはカーボンニュートラルといったような目的というものを果たしていくというようなものであるのではないかなというと、何かちょっとイノベーションが目的化しているような記載ぶりがあるのが若干気になっておりました。
 その延長線上で言いますと、イノベーション人材というような言葉が使われて、それが新しいワードだということなんですけれども、イノベーションというものがそもそも、何というんでしょう、いろんなものをつなげて既存の技術を変えるとか、ビジネスモデルをつなげてその改善をするというようなところからすると、そのイノベーション人材というのは何だろうなというようなところ。新しいワードであるだけに、ここもちょっと改めて定義が必要かというふうに思って伺っておりました。
 すみません、ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。
【佐々部会長】  竹内さん、どうもありがとうございました。3点ございましたけれども、1点目の「総合知」の定義づけをしっかりするいうことは、先ほど来何人かの方から意見を述べてありますので、少し事務局で御検討いただければと思います。
 それから、3番のイノベーションのところですけども、これも、ここに限らず、先ほど言った1番のカーボンニュートラルの話もそうです、今の大きな項目の2番、イノベーションがありますけども、その辺、目的なのか手段なのか、WhatなのかHowなのかWhyなのか、その辺がちょっと混同しているところもあるかなと思いますので、その辺も含めて事務局のほうがまた、少し見直していただければと思います。
 あと、2番目の御質問の、この目標をつくるに当たって、文科省で勝手につくったわけじゃないでしょうと、いろんな方の御意見聞いてつくっているんでしょうって、その辺のコミュニケーションをどうだったんですかということを教えてくださいということだったんで、ここは事務局で今お答えいただけますでしょうか。
【岡村補佐(文科省)】  事務局からお答えいたします。最後に御質問をいただいている部分ですけれども、今回の中長期目標(案)を策定するに当たって、もともとこれは8月に、この部会でも御議論いただいた見直しですね、業務・組織の見直し。あちらを大分ベースとして策定はしております。
 そもそも、その見直しをどのように国の政策の議論としてつくったかですけれども、冒頭詳しく御説明差し上げていなくて恐縮ですが、文部科学省の中の科学技術・学術審議会というものの中に研究評価部会がございまして、その中に原子力科学技術委員会というものがあるのですけれども、その中の作業部会で、科学技術・学術審議会としての議論の中で、個別には本年2月になりますけれども、電気事業連合会を含めた電気事業者、それから日本電機工業会、こちら原子力のメーカーですね、それから原子力業界全体という意味では、日本原子力産業協会、それからアカデミア、日本原子力学会ですとか、そういった多様なステークホルダーの方々からのヒアリングというのも行って、この科学技術・学術審議会での議論に反映させてきたという経緯もございます。
 それから今、一つ抜けておりました原子力規制庁、こうした規制当局とのこういった対話、意見交換を通じて、まず取りまとめられた作業部会の提言ございまして、それが見直しの内容となり、それをベースとして今回、この目標案という形でつくっているものにつながっています。当然、それとは別に個別の日常的な、当然原子力機構の皆様とのコミュニケーション、その他の科学技術行政全体広く捉えたときに原子力がどう置かれているかということでも、より広い視野での関係行政機関、産学官いろんなセクターの方々とのコミュニケーションを通じて整理されていく中身というものが、この目標案にどこまでできているかというのがありますけれども、とりまとめ経緯としては、そういうことを意識してつくられているものです。
 それから、先ほど御指摘いただいた「総合知」の部分。まさにここはもう、おっしゃるとおりだと思っていまして、漠としたこの言葉が同床異夢になりがちであるということは、そのとおりだと思っています。
 やっぱりこの「総合知」というものの概念への向き合い方は、いろんな分野特性であったり、あるいは研究機関の特性であったりに応じて変わり得るものですし、変わるべきものでもあると思います。原子力の文脈で原子力機構がこれを主導して、それをどのように位置づけるか、半ば再定義のようなことがきちんとできることも、それはそれで意義のあることだというふうに思っております。それを概念論で終わらせるのではなく、実際にそれを中長期計画の今後の議論の中でも、実効性のあるものとして具体的なアクションにつなげていけるように、この部会の中でも評価をいただけるようなものに仕上げていければと事務局としては思っております。
 そのことが、先生の指摘にもありました社会との接点ですとか社会実装ですとか、こういうものを強く意識した国としてのビジョンを示すということにもつながっていくと思いますので、また本日いただいた指摘を踏まえて、よく文章のほう、目標としてきちんとメッセージが出るように工夫してまいりたいと思います。
 以上です。
【佐々部会長】  ありがとうございました。
 それでは、さらに議論を進めたいんですが、目次のところに限らず、今度は中身の個別の項目に関わることでも結構ですので、どんどん御意見をいただけたらと思います。
【小澤委員】  小澤でございますが、よろしいでしょうか。
【佐々部会長】  小澤さん、お願いします。
【小澤委員】  ありがとうございます。個別の意見ということで、全体いっぱいあるんですけども、幾つかピックアップしながら意見を述べたいというふうに思います。
 まず、3ページ目のところで、政策体系における法人の位置付け・役割と、いろいろと政策が並んで書かれているわけでございますけれども、ちょっと気になったのは先ほどコロナの話も出てきましたけれども、下のほう「近年」で始まるパラグラフの中で、「COVID-19禍で急速に進んだ社会のデジタル化等の影響もあり」と、その後ろに「我が国における原子力を取り巻く政策的課題は更に多面化・複雑化している」というところが書かれていますけれども、この「、」を挟んで前と後ろが結構理論が飛んでいるなあという印象がございます。
 それからCOVID-19で、デジタル化が進んだというのはそのとおりかもしれないんですけども、後ろに書かれている計算科学とか情報セキュリティーとかという話は、COVID-19があるなしに関わらずがんがんやっていかなければいけない話だというふうに思いますので、この辺の位置づけはすっきりとされたほうがいいのかなというふうに思います。
 それから6ページ目に書かれているところでは、上のほうの4行目「機構は」から始まる文章の中で、「常に社会とのつながりを意識しつつ」とあって、その2行下に「国民の理解と信頼の確保」、それから「国民視点を念頭に取り組む」と書かれていて、これはしっかり書かれているなというふうに思いまして、きちんとここを意識しながらこの全体目標を策定していただければよいのではないかなというふうに思います。
 それから、その下に続くカーボンニュートラル。冒頭、目次のところで指摘した中でございますけれども、(2)の高温ガス炉も先ほど出てきた話でございますけれども、グリーン成長戦略ということで、カーボンニュートラルが具体的に水素社会と連携していくと思いますので、ここに掲げられたというからにはS+3Eの中の経済性も忘れずに、経済性と安定供給に取り組んでいく必要があるので、これをいかに機構が支えていくかという視点が重要になろうかというふうに思います。
 ちょっとまとめて申し上げてしまいますと、全体の大きい項目番号が作業部会の重要項目の中から順番が決められているとは思うんですけども、12ページ目の高レベルのところ、(1)が放射性廃棄物の処理に関する研究開発、それから(2)が地層処分の研究開発ということで、恐らく処理、処分の順番に書かれているんではないかなというふうに思いますけども、先ほど6ページで指摘したような国民目線でいきますと、目の前にぶら下がっている地層処分が、調査活動というものが大きく掲げられているというふうに思いますし、逆に(1)のほうは、幅広い選択肢を確保するというメリハリの中では、こういった順番も少し意識されたほうがいいのではないかなというふうに思った次第でございます。
 同様にといいますか、冒頭のあるなしに関わらずというところで申し上げますと、一番最後19ページ目、上から2行目「なお国際連携の活性化に伴い」と書いてあるんですけども、後ろに続く「輸出管理」というのは、法律に定められている義務ですので、国際連携が活性化するか否かに関わらず、必ずやっていかなければいけない話だと思いますので、ちょっと文章が飾られているかなという印象がございますので、ここは業務としてしっかりやっていくということが明確になればいいのではないかなというふうに思います。
 全体としては、まとめて申し上げましたけども、以上でございます。
【佐々部会長】  小澤さん、どうもありがとうございました。いろんな御意見を承りました。事務局のほうで今の時点で特にお答えしておきたいところございましたら、どうぞ。なければ、また後で反映していただくということで。よろしゅうございますか。
【岡村補佐(文科省)】  今いただいた点について、一つ一つきちんともう1回省内議論の中で検討していきたいと思っています。
 特に申し上げれば、最初の3ページで御指摘いただいた、あるなしに関わらずというところは、確かにそこは御指摘のとおりだと思っておりまして、「COVID-19禍で急速に進んだデジタル化」というのが、ではその次の「更に多面化して複雑化する政策課題」にどういうふうにそこがつながるのかとかですね、そこがすっと腑に落ちるような形、実際には、COVID-19禍で原子力施設もほかと同様に、特に共用施設などがJ-PARCも含め立入りが制限されたり、本来期待されるそこのミッションがどこまで達成できるか、難しいか、新しいチャレンジを突きつけられたりという状況があり。ですので、スマート化していくだとか、無人でもきちんとやれるようにしていくとか、もともと大きなオープンサイエンスの流れの中ではありますが、その潮流がさらに加速したと。それに急速に対応が迫られる、資源を振り向けて知恵を使ってやっていく必要が出てきたと。それが様々に複雑化、多面化した課題につながってきていると認識をしていますけれども、そういったことがきちんと、ある程度分かるようには工夫をしたいと思っております。
 最後の「輸出管理」のところもおっしゃるとおりだと思いますので、そして今政策的にも非常にここは重要性を増していって、政府として一体的な取組が求められているところですので、しっかりそこは正しくメッセージとして伝わるように、記載ぶりを工夫していきたいと思っています。ありがとうございました。
【佐々部会長】  ありがとうございます。COVID-19については、ほかの方々からもそういう意見が出ていましたけども、それによる目先の影響というよりは社会の価値観の変化、こういったものもこの中にどう取り込んでいくかということも大事かと思います。7年後にどうなっているかは分からないんですけれども。
 ほかに何か御意見はございますでしょうか。
【藤田委員】  藤田ですけれども、よろしいでしょうか。
【佐々部会長】  お願いします。
【藤田委員】  今、小澤さんの言われたこと、すごく私気になって、先ほど12ページ、13ページで高レベル廃棄物の処理処分のときに、処分が先に来るべきというお話をされたんですけど、それって今エネ庁でやっているもののとおりになっているなと思いました。
 なぜかというと、本当は廃棄物の処分って処理と切り離しては議論できないものなんですよ。で、処分を低減するためには必ず処理が必要なんです。なんですが、今エネ庁の進め方は高レベル廃棄物の処理、有害度低減とかボリュームを減らすとかいうところを全部ネグレクトして処分だけを議論しようというふうにしているので、小澤さんみたいな方が出てきちゃって、私はそれすごく問題だと思っているんですね。
 廃棄物、現に減容化して発生量を少なくして処分の負担を減らすというのが便利なので、順番はこれでいいと思いますし、それに関してもう一つ言わせていただくと、高速炉燃料サイクルに関する研究開発の7ページ目と、13ページ目の2番目の高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究開発。この「具体的には、MA分離のための共通基盤技術の研究開発をはじめ」という、これってダイレクトに関係しているんですよ。
 高速炉で今、マイナーアクチノイド(MA)をリサイクルしないで、今までどおりウランとプルトニウムだけを取り出す高速炉のニーズってはっきり言ってほとんどないんですね。かといってMAを分離回収して高速炉で燃やすというコンセプトに対して、きちんと議論がなされてないのが一番問題であると思っていて、この7番のところには、ぜひMAをリサイクルする高速炉の観点をきちんと、JAEAさんが一番専門家でいらっしゃるので、議論するなり戦略を立てるなりをしていただきたいし、それを入れていきたいと思うんですね。
 これは、どう頑張っても、失礼ですけれども、エネ庁さんとか政治家とかお役人じゃなくて、やっぱり基礎研究力のある人たちが自分たちの持っている、いわゆる基礎的な知識の延長線上で議論しないと開発できない項目なので、高速炉とMA分離回収、高レベル廃棄物の処理処分とが別に議論されているというところがすごく違和感がありまして、ぜひこの7ページにはMAをリサイクルする高速炉の議論という項目を、具体的に入れていただきたいと思うんです。
 ですから、そうすると逆に言うと、高速炉の戦略ロードマップというもの自身をある程度見直さなくちゃいけないんですけれども、高速炉で今MAをリサイクルしない高速炉のニーズって、はっきり言ってほとんどない。それだったらSMRも含めてですけれども、軽水炉を使ったほうがいいわけなので、そこら辺をきちんとニーズを把握した記述にしていただきたいと思います。
 以上です。
【佐々部会長】  藤田さんありがとうございました。御意見を承りました。
【竹下経済産業省部会長】  すみません、竹下ですが。
【佐々部会長】  はい、竹下先生。
【竹下経済産業省部会長】  藤田さんの本当に言うとおりでございまして、僕も同じことを思っていました。この7ページ目のところに、高速炉での核変換処理のことが何も書いてないんですよね。核変換処理は、この後13ページにADSでの核変換処理という言葉が唯一出てくるだけで。
 これは将来的に考えれば、高速炉時代になって、そこで核変換処理を高速炉でしていくことが前提になって高速炉開発ってしていくはずなのに、そこの部分が全く抜けているというのは、やはりちょっとよろしくないんじゃないかなと思います。
 やっぱりADSだけで核変換するわけではないので、特にADSと高速炉を考えた場合には、22世紀の頭ぐらい考えると高速炉時代になったら、そちらで核変換していくということになるので、「常陽」を活用するとは書いてあるんだけど、そういうところに踏み込んでないので、直していただけたほうがいいんじゃないかなと思うんです。
 高速炉の活用を考えますと、核変換処理は重要になるので、「常陽」を使って核変換の研究を進めてほしいなと思いました。その辺は、原子力の将来を考えたら大変重要な点なので、ぜひJAEAの7年間の計画に加えていただきたいなと思っています。
【佐々部会長】  竹下先生、ありがとうございました。
 時間も迫っているんですが、非常に議論が盛り上がっていますので、その辺の中身に関する御意見、御質問、さらに受け付けたいと思います。どうぞお願いします。
【中谷補佐(経産省)】  資源エネルギー庁の中谷でございます。藤田委員、竹下部会長、御意見いただきましてありがとうございます。
 まさにおっしゃった点、非常に我々も記載に悩んでいたところでございまして、今回、おっしゃるように放射性廃棄物の減容化・有害度低減というところを、高速炉の戦略ロードマップにもやはり重要な要素として書かれてございますし、将来的には資源の有効利用というところも戦略ロードマップでも書かれてございます。
 やはりJAEAにおかれては、そうしたサイクルの開発、MAの焼却といったところも含めてしっかりやっていただくべく、今回のこの高速炉のセクションにサイクルというところも併せて記載いただいているというふうには認識してございます。
 ちょっとこのMA分離のところが、後ろのほうに記載、そこだけがされているというところがいびつであるなというふうに私も思いますので、ここは内部で議論の上、ぜひ調整させていただけたらありがたいなというふうに思ってございます。
【小澤委員】  すみません、小澤でございますが、よろしいでしょうか。
【佐々部会長】  はい、小澤さん。
【小澤委員】  ちょっと先ほどの発言が随分と盛り上がってしまったわけですけれども、資料2の中で、現行の中長期目標、6番目に核燃料サイクルそれから処理処分と一括でくくられていたものが、高速炉が冒頭のカーボンニュートラルに組み込まれ、高レベル放射性廃棄物が2項目めのところに入ってきてというところで、整理の副作用が単に出ているだけかなというふうに思っております。
 それから、処理があっての処分という意見もありますけれども、やはり処分が今進んでいるところで、処理がないと処分できないというふうな話になってきますと、今ある、進めている地層処分はいつになってしまうんだろうかという疑問がさらに湧いてきてしまうところが、若干不安の要素としてはございますので、一つはカーボンニュートラルの中の高速炉におきましても、放射性廃棄物の減容化・有害度低減というのはうたわれていますので、その辺を上手にリンクすれば、時間軸とともに整理していけばよろしいのではないかなというふうに思います。
 以上です。ありがとうございます。
【佐々部会長】  どうもありがとうございます。
【藤田委員】  すみません、藤田ですけれども、それはね、全く認識が間違っていて、処理が進まないから処分が進まないんじゃないんですよ。処分を進めるのと並行して処理ってどんどんやっていくというのが、今までの原子力産業のやり方なんですね。で、十分高レベル廃棄物の場合は、処理して負担が軽減できれば、負担が大きくなるほどいかないので逆作用なんですよ。で、それは地元も少しでも少なくしてくれればありがたいし、先ほどから出ているMAの分離、核変換の研究開発と並行してやってくれというのは、青森県もそうだし、今の北海道の二つの市町村も、地元は言っているわけですよ。
 それを全く無視したやり方をしているというのが、今エネ庁の進め方なので、逆にそれに乗らないでほしいなと思います。だから、小澤委員がそう思われたということは、エネ庁の完全に戦略に乗られちゃったということで、私は逆にすごく危惧しているので。処分のためには、少しでも減らすということと並行してできる原子炉じゃないので、途中で変更というのはそれほど大変じゃないんですよ。
 それは廃棄物を30年以上研究開発して、実際にいろんなところに、発電所にもいっぱいプラントを入れているメーカーの出身者として申し上げるんですけれども、そこはちょっと考え方を変えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【佐々部会長】  藤田さん、ありがとうございます。いろいろ議論はあるところだと思いますけれども、ここは藤田さん、JAEAの中長期目標を考える場ということでありまして、処理もやるし処分もやると書いてありますので、両方やらないと言っているわけじゃないので、両方やるという前提でお話を進めていただければと思います。
 申し訳ありませんが、ほかの論点で、さらにこんな議論していただきたいとか、意見があるという方がいましたら、どうぞお願いします。
【横田委員】  横田です。
【佐々部会長】  どうぞ。
【横田委員】  すみません、ちょっと今までの議論と全然違うので恐縮なんですけれども、今日は評価軸のことは言わないんですよね。
【佐々部会長】  すみません、評価軸、これ終わったらすぐ次に入りますので。
【横田委員】  じゃあ、そこでお話にまた出るかもしれないんですけど、毎回評価のときに、どこでも人材育成という言葉は出てくるんです。それで、とても大事な問題だと思うんですけれども、時間のかかることですし、中長期目標にもこの組織なりの人材育成のことが出てくるかなというふうに思ったら、最後のほうに、何でしょう、法律で決められた方針について取組を進めるって書いていますけれど、大事な技術を持っている人材に対して、評価軸でいろんなところにちりばめるようなことをせずに、もうちょっと考え方を明確にしてもいいのかなというふうに思いました。
 軸のところで考えていただいてもいいんですけれども、すみません、ちょっとレベルが違うことで申し訳ありません。よろしくお願いします。
【佐々部会長】  いえいえ。横田さん、どうもありがとうございました。人材育成も確かにいろいろ出てきますので、この中でどう扱うかということ、大事な点だと思います。
 今ちょうど評価軸の話がございましたので、一旦評価軸の説明を事務局からしていただきまして、その後また、評価軸と、それから中長期目標、両方について御意見を伺いますので。事務局のほうから簡潔に評価軸の説明をしていただけますか。
【岡村補佐(文科省)】  それでは、事務局から御説明をさせていただきます。資料の3を御覧ください。こちらは、先ほど御説明した資料1の中長期目標(案)というローマ数字のⅣ番目のところに係る主な評価軸等について、という資料の案でございます。
 御覧いただきますと表の形式になっていますけれども、一番左側が先ほどお示しした柱立ての中長期目標のそのまま書かせていただいています。真ん中の列が、これ主な評価軸となっておりまして、科学的・技術的な観点、社会的・経済的な観点、国際的な時間的な観点もあれば、妥当性とかマネジメントの観点、政策的な観点、色々な観点がある中での、果たして今回の中長期目標を評価していく上で、どういった大枠としての評価軸があることが適切にあるかという観点に照らして、案としてお示ししているものです。
 今、横田委員がおっしゃったように、確かに、その人材育成というものを、どういった単位で、あるいはどういった場所で、評価軸に含めていくかというのは大変難しい点であると思います。それだけ切り出して評価が果たしてできるのか、ほかの評価軸との関係がどうであるか、常に、研発法人に限らないと思いますけど、付きまとう話で、この目標策定指針参考資料の8によると、確かにいろんなものに関わってくる評価の観点があっても、それを網羅的にということではなく、きちんと強弱の重みづけをして、厳選した上で評価軸と指標を設定するということになってございますので、今の委員の御意見も踏まえて、さらに精査していくということが必要であると思っております。
 一番右の備考の欄、こちらに評価指標とモニタリング指標というふうに書いております。これも実際この二つに分けて指標を書くということが、指針上も定められているのですけれども、評価指標というのは、あくまでその評価とか評定の基準となる指標です。何々という技術レベルを達成したとか、これこれを整備したとか、それができたかできていなかったかという、そういう評価の指標になるものです。
 対しまして、モニタリング指標は、正確な事実把握に関して適正で厳正な評価に資する指標であるということで、例えば論文を書くこと、それがアウトプットとしてなじむところであれば論文の発表数であるとか、あるいは共同研究の件数、資金の獲得状況、人材の流動状況であるとか、そういった事実の把握の観点で評価に資する指標というものが、モニタリング指標ということになっています。
 ですので、論文成果みたいなものが一義的な成果となるような取組・業務であるのか、あるいは社会実装なのか。原子力機構の場合でしたら安全管理とか対策であるのか、着実な施設の廃止措置であるのか、人材育成であるのか。本当に多様な業務がある中で、その性質に応じて適切な評価軸の立て方であったり、指標の置き方であったりというのが変わってくると思いますので、ぜひ本日そして次回の部会の中でも、そういった観点から厳選された評価軸と指標についての率直な御忌憚のない御意見をいただければというふうに思っております。
 今ちょっと個別に一個一個の、これを挙げて御説明することはいたしませんけれども、全体の状況としては、以上でございます。
【佐々部会長】  どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様から、先ほどの議論の続きでもよろしいですし、今の評価軸に絡んでの事項でも結構ですので、御意見引き続きお願いいたします。
【横田委員】  横田です。さっきの続きで。
【佐々部会長】  横田さん。
【横田委員】  これで終わりにします、すみません。さっきの人材育成についてなんですけれども、どういう単位で見ればいいかというのはとても難しいと思うんですが、先ほどの御意見、お話で、この目標が例えば組織別になってくれば、組織の長がそれぞれ人材育成についてどれぐらい取り組んだかということを判断することは可能だと思うんですけれども、今回のような抽象的な目標の立て方において、その人材育成のメソッドを突っ込んだところで、結局何を見たらいいか分からないと思います。
 どういうふうにすればいいか、あんまりよい案はないんですけども、マネジメントのところで試してみるようにするとか、論文数についてはそれぞれ見ると思うので、ちょっと工夫をしていただけるとありがたいなというふうに感じました。
 先ほどの続きということで、先に言わせていただきました。ありがとうございます。
【佐々部会長】  横田さん、ありがとうございました。今、横田さんから御説明があった人材育成、いろんなところに入ってくるじゃないかと。どうやって評価していくんだということと関連して、若干私のほうから問題提起させていただきますと、今日先ほど来、Ⅳの1から7を議論していますが、大きな項目の7というところには、ちょっといろんなものが混ざっていまして、この中に国際連携に関する事項とか、デジタル化とか、そういったものが書かれています。
 よく考えたら国際連携というのはⅣの1から7の中にもたくさん出てくるわけで、これをどういうふうに整理していくんだとか、それから産学官については、前中長期期間までは一つ項目立てしましたが、今回はいろんなところにそれを、実際やっていく上でのばらまいているという形になっていたり、あるいは2の(3)に産学官のイノベーションという形で出てきたりしています。
 このように全項目に共通するようなものを、中長期目標の中でどういうふうに説明していくかというと、目標を立てたからには必ず評価結果を出さなきゃいけなくなりますので、どういうくくりで評価していくのか、その辺を踏まえて皆さんにはお考えいただけたらと思います。
 何か引き続き、今の件でもそれ以外でも結構です。お時間がある限り意見を伺いたいと思います、どうぞ。よろしいですか。
 それじゃあ、私のほうはちょっと質問で1件、事務局のほうで、もし今分かっていることがあれば教えていただきたいのですが、目標を立てて、最終的に我々評価していかなきゃいけないわけなんですが、そのとき過去の例に、3期までの例ですとⅣの1から7をそれぞれ評価していくと。
 それからⅦのところはそれぞれ評価したのかⅦ全体で評価したのか、ちょっと今覚えてないんですけども、その辺、評価のくくりとしては、どのようにお考えになっているんでしょうか。そこを教えていただければと思います。
【岡村補佐(文科省)】  事務局からお答えいたします。現状の、検討中ではございますが、想定といたしましては、資料1の2ページ目の目次を御覧いただきますと、現行の目標における評価の単位と同じですけれども、まずローマ数字でいうⅢ番目、安全を最優先としたと、これが一つのくくり。それからローマ数字のⅣ番目、これはアラビア数字の1から7までが、一つ一つが一定の事業等のまとまりということで一個一個ごとが評価のくくりであると。それからⅤ番目、業務運営の改善及び効率化に関する事項、これはローマ数字Ⅴ番目全体として一つ。それからⅥ番目、財務内容、これも一つのくくり。Ⅶ番目も、その他業務運営に関する重要事項。今、部会長から御指摘のあったように、様々な軸の観点を含むものではありますが、これは全体としてやはり一つのくくりということで、これはこれまで、そして他法人の例にも照らしてですけれども、今回も今の想定ではそのように考えております。
【佐々部会長】  ありがとうございました。
 それでは、ほかの方、引き続き御意見があればお願いいたします。
【岡村補佐(文科省)】  部会長、もしよろしければ山本委員の資料について。
【佐々部会長】  そうですね。評価軸に関する質問があったと思いますので、この部分に関して、事務局のほうからお願いします。
【岡村補佐(文科省)】  ごく簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。
 資料5を御覧いただきますと、2番目から5番目までの御指摘、御質問が、全てこれ評価軸に関するものです。
 一つは2番目、定量的モニタリング指標の選び方についての考え方をということです。こちら、先ほどの横田委員からの御指摘・御質問にお答えする際にも、多少触れてございますが、目標策定指針に基づいて網羅的に上げるというよりは、きちんとその研究の段階だとか、研究の特性とか方法を踏まえて重みづけを行った上で、厳選して設定するということにはなってございます。
 その上で、外部発表件数、これは学会発表ですとかプレスリリースですとか、そういったものも含みますし、論文発表数、これは基本的には査読付き論文を念頭に置いておりますが、そういったものが評価として、成果をモニタリングするのになじむ指標である場合には、これを採用するということで、ここの評価軸や指標の考え方も含めて原子力機構のほうとコミュニケーションを取って、この取組であれば、この指標がなじむ、そういったところは、よく相談を、これまでもそしてこれからもしっかりしていくところです。
 最後のほうにあります件数は少なくても、規模が大きい研究もあると。そうした場合に、件数だけで評価するのはいかがかという、そういう趣旨だと思いますけれども、これも御指摘のとおりだと思っておりまして、実際これが、じゃあどういう、件数でなければ何がいいのかということで申し上げれば、一言で言えばインパクトということであろうかと思います。
 これは量的な意味の話もあり質的な意味もあり、必ずしも件数ではかれないインパクトもあるということですので、それがしっかり実際の評価の場面で使っていけるようなものにきちんと落とし込んでいくことを考えていきたいと思っています。
 3番目の御指摘は、例えばその解析のコードとか所有技術の提供件数、外部問合せの対応実績ですとか、つまり原子力技術の基礎基盤を担う性格、これをきちんと使命を果たすということを評価できるような定量モニタリング指標を設定してはいかがかということですけれども、これは御指摘の点、大変重要だと思っておりまして、反映する方向で今考えていきたいと思っています。
 4番目にありますのが、いろんな国内会議、国際会議それから関連学会の活動ですとか、そういった研究コミュニティ活動への貢献、これも定量的なモニタリング指標に入れるべきではないかという御指摘ですけれども、こちらも重要な指摘だと考えておりまして、反映する方向で考えてございます。
 最後、DXを進めるに当たり、GitHubなどの様々なクラウドサービスを使用することが必須になっていると。これは色々なクラウドサービスであったり、それを念頭に置かれていると思いますけれども、情報セキュリティーを確保しつつよりよいデジタル技術の導入を加速する必要があると。
 これは、そうですね、評価軸の観点もあると思いますし、中長期目標への文言上の反映、両方あろうかと思いますが、実際先ほどコロナ禍といろんなデジタル化との関係をというお話もありましたけども、もともとオープンサイエンスの潮流というのがあって、それに研発法人も対応していかなければいけないと。
 デジタル化、スマート化というものが社会からの期待として寄せられているという中にあって、当然そのDXというものを進めていって、それが着実に成果を上げているかということを評価していくことは必要だと思っています。
 新しいデジタル技術や、そういう基盤などを導入するとなった場合には、いろんなそこにかかるコストですとか予算面での制約であるとか、優先度であるとか、そういった観点はあるとは思うのですけれども、方向性としては委員がおっしゃるように、よりよいデジタル技術をしっかり導入して、よい価値を社会に向けて出していくということにしっかり視線を合わせる必要があると思いますので、そのような方向で評価軸・目標案ともに検討していきたいと思います。
 以上です。
【佐々部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、そろそろ時間となっております。特別なければ、ここで議論を打ち切りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、大変有意義な活発な御議論、ありがとうございました。
 それでは、本日の部会を終了したいと思いますが、今日まだ言い足りなかった、あるいは後で気づいたということがあれば、ぜひ次回までにまた文書などをいただければ、大変助かります。
 それでは最後に、事務局から御連絡事項があればお願いいたします。
【岡村補佐(文科省)】  ありがとうございます。次回の部会ですが、11月26日金曜日10時からを予定しております。今回御議論いただいた内容を踏まえ、改定した次期中長期目標の案について再度御議論をいただければと思います。その際、次期の中長期計画の案についても、原子力機構から御説明をいただく予定ですので、そちらも踏まえて、次期中長期目標の案について御議論をいただければと考えております。
 その後の流れですけれども、冒頭も少し御説明差し上げましたように、12月の中旬頃に、親審議会である国立研究開発法人審議会のほうで、次期中長期目標案について御議論をいただくと。その上で、年明け以降、各省庁との協議を行い、2月末頃をめどに中長期目標の決定及び法人への通知、そして年度末をめどに中長期計画の認可を行う予定でございます。
 以上です。
【佐々部会長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、本日の審議を終了し、閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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研究開発局 原子力課