国立研究開発法人審議会 科学技術振興機構部会(第32回)議事録

1.日時

令和4年12月15日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立研究開発法人科学技術振興機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)に関する変更案について
  2. その他

4.出席者

委員

五十嵐部会長、篠藤委員、金澤委員、久保委員、瀧澤委員、長坂委員、川北委員

文部科学省

橋爪人材政策課長、近藤人材政策課長補佐 ほか

5.議事録

文部科学省国立研究開発法人審議会 科学技術振興機構部会(第32回)

令和4年12月15日

 
【五十嵐部会長】  皆様、おはようございます。定刻となりましたので、これより文部科学省国立研究開発法人審議会第32回科学技術振興機構部会を開催いたします。本日は、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
 本日はベントン委員が御欠席で、川北委員が御参加の予定なんですがまだ入っておりませんけれども、過半数の皆様には御出席いただいておりますので、会議の定足数を満たしていることを報告いたします。
 本日の会議は、前回に引き続きウェブ会議による開催となります。また、併せて議事の公開に関する規則に従い、公開とさせていただきます。
 最初に配付資料につきまして確認します。事務局から説明をお願いいたします。
【近藤課長補佐】  おはようございます。人材政策課でございます。
 川北委員、今入っておられます。よろしくお願いいたします。
 資料につきまして、事前にメールでお送りさせていただいておりますが、議事次第、資料1-1から1-7、参考資料1から4となっております。資料の不備等ございましたら、事務局までお知らせください。
 また、会議中に接続不具合等が生じましたら、お手数ですがお電話にてお知らせください。
 会議に参加されている文科省、JST側の皆様は、発言時以外はミュート及び画面オフの徹底をお願いいたします。なお、本日公開となっておりますので、その他傍聴者がライブ配信で聞いております。
 以上でございます。よろしくお願いいたしました。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、早速、議題の1番、中長期目標変更案についてに入ります。本日の進め方と資料の説明について、事務局から説明をお願いします。
【近藤課長補佐】  本日の部会の進め方ですが、まず、私から資料1-1、1-2、1-3に基づき、現行中長期目標案の変更の概要について御説明いたします。その後、1-1の概要の柱ごとに区切って詳細説明と委員の皆様の御質問、御意見を賜れればと思ってございます。
 具体的には、1ポツ、令和4年度補正予算に伴う変更、3つの観点がございます。担当課より御説明させていただきます。そこで一旦区切って、続いて2ポツ、経済安全保障重要技術育成プログラムの制度設計の進捗に伴う変更の観点。ここで一旦区切って、最後3つ目の要素として、大学ファンドによる助成開始に向けた変更。これのそれぞれについて担当課より御説明させていただきます。
 私からまず概要を御説明させていただきます。資料1-1を御覧ください。先般の臨時国会で成立した令和4年度補正予算に伴う変更についてでございます。
 まず1つ目、スタートアップ創出の推進に関する記載の追加でございます。補正予算において、大学発ベンチャー創出の観点で補正予算が計上されていることに伴う変更になってございます。これに関連する本文の記載の追加と関連する評価軸の規定を定めることについて、案を作成させていただいております。
 2点目はGX関係で、革新的GX技術創出の推進の記載の追加についてでございます。こちらも補正予算においてGX技術創出事業基金補助金を造成しておりまして、大学等での基盤研究開発を推進するための予算が計上されてございます。これに関して、本文の追記あるいは関連する評価軸を定めることについて御審議いただければと思っております。
 補正予算関係で最後の3点目についてでございます。先端国際共同研究基盤の強化の記載の追加についてでございます。こちらも基金造成補助金により国際頭脳循環を推進するための予算が計上されておりますので、このことについて本文の追記、評価軸の策定について御審議いただければと思ってございます。
 要素の2つ目については、経済安全保障重要技術育成プログラム、通称Kプロと呼ばれるプログラムの制度設計の進捗に伴う変更でございます。こちらは本文の追記ではございませんが、評価軸が規定されておりませんでしたので、これについて更新させていただいたので、そのことについて御審議いただければと思ってございます。
 最後が大学ファンドの助成開始に向けた変更についてでございます。令和4年11月15日に法が施行されて、基本的な方針あるいはJSTの助成の実施方針ということが大臣認可されておりますので、令和6年度以降の助成開始に向けた所要の体制整備などについて、中期目標案を変更したいと思ってございますので、このことについて御審議いただければと思います。
 資料1-1については以上です。続いて資料1-2を御覧ください。
 1ページ目、今、冒頭申し上げた変更について、それぞれ新旧の形で記載させていただいてございます。柱立てとしては、2ポツの2.4のところにGX関連の記載を追記させていただいております。
 続いて5.3のところに国際共同研究について追記したいと思ってございます。
 ページをめくっていただいて、3ページ目です。こちらの2ポツのところにGX関係を追加するための頭書きのところを追記しているのと、具体的には4ページ目のところに、今回の基金の造成について、イノベ活性化法に基づいて造成することについて、2.4のところにGX基金のことについて記載させていただいているのと加えて、従来ありました大学発ベンチャー創出の柱立てのところに、スタートアップ関係の基金の造成のことについて追記させていただいてございます。
 ページをめくっていただいて5ページ目です。5.3の柱立てとして、国際共同研究基盤の強化ということで、新たな基金の造成について追記させていただいてございます。
 最後に6ポツのところ、本文については最後の修正点、変更点でございます。大学ファンドによる世界レベルの研究基盤の構築の観点の項目のところに、11月15日、文部科学大臣認可による助成の実施方針関連の記載を追加させていただいてございます。
 そして、本日の御審議のメインになる評価軸のところです。9ページ以降に、それぞれ今申し上げた要素について、評価軸、評価指標、モニタリング指標について追記させていただいてございます。ここは担当課からの事業概要の説明と併せて考え方を御説明させていただければと思っております。
 簡単ですが、概要について、私からは以上になります。よろしくお願いいたします。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、一番初めのページに戻りましょうか。今のところで資料1-1の1ポツです。令和4年度補正予算に伴う変更についてです。初めに、スタートアップ創出の推進の記載の追加について、産業連携・地域振興課より説明をお願いいたします。
【産業連携・地域振興課】  私の声は入っておりますでしょうか。
【五十嵐部会長】  はい。
【産業連携・地域振興課】  おはようございます。産業連携・地域振興課でございます。それでは、スタートアップ創出の推進の記載の追加に関して御説明申し上げます。
 まず、追加の背景です。今、御覧いただいている資料1-4のポンチ絵を御覧いただければと思います。先月28日に、新しい資本主義実現会議におきまして、スタートアップ育成5か年計画というものが決定されました。その中で、大学でのスタートアップ創出に向けた支援を含め、人材ネットワークの構築というものが柱の一つとして掲げられてございます。
 こういったことを踏まえまして、第2次補正予算におきまして、資料1-4の1ページの真ん中のオレンジのところにございますけれども、大学発スタートアップ創出の抜本的強化のために988億円の基金を新たに造成することとなりました。補正予算全体といたしましては、高校生等へのアントレプレナーシップ教育の拡大というものもございますけれども、今回、対象となる基金は、ギャップファンドプログラムの新設と、地域の中核大学等のスタートアップ創出体制の整備という2点でございまして、今般の中長期目標の変更はそれを踏まえたものでございます。
 まず、ギャップファンドプログラムの新設につきましては、スタートアップ・エコシステム拠点都市ですとか地域の中核大学等の技術シーズに対しまして、海外の専門家等からのメンタリングなどとセットで、国際市場への展開可能性を検証するギャップファンドプログラムを創設するということで、これを通じて国際展開する大学発スタートアップの創出に取り組むものでございます。ギャップファンドは、これまでも大学発新産業創出プログラム、いわゆるSTART事業で取り組んでまいりましたけれども、今回、基金化をするということで、より柔軟にかつ弾力的に支出することが可能になったというところでございます。
 2つ目の地域の中核大学等のスタートアップ創出体制の整備につきましては、大学発スタートアップ創出の抜本的強化に向けまして、地域の中核大学等を中心に、地域の金融機関ですとか他大学等と連携して、技術シーズを活用した起業を進めるためのエコシステム形成に取り組むものを新たに予算措置したものでございます。具体的には、STARTのエコシステム形成支援のような取組を地域の中核となる大学へしっかりと浸透させていくといったことをイメージしております。
 中長期目標の変更案につきましては、先ほど人材政策課よりも説明がございましたけれども、基金造成のために、新たに一段落を追加するということと、併せて評価軸等の修正を考えてございます。
 資料1-2の9ページ目の評価軸の辺りをちょっと御説明申し上げればと思います。こちらの上段の2.1、新たな価値の共創に向けた産学官連携・スタートアップ創出の推進というところです。まず、評価軸のところに、基金の目的に合わせまして、国際市場を見据えた事業の創出や多様な地域の大学におけるスタートアップ創出の推進という観点を新たに加えさせていただいております。
 この評価軸を踏まえて、評価指標、モニタリング指標の中でしっかり見ていくというところではございますけれども、モニタリング指標のほうを御覧いただきますと、1つ、大学等発の研究開発成果の事業化に向けた支援件数というものをモニタリング指標として追加してございます。こちらは、スタートアップ育成5か年計画で、数値目標として5年間で5,000件以上の案件について、大学発の研究成果の事業化を支援するということが記載されてございますので、それに対応したものをモニタリング指標としてしっかり見ていくということを追記したところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして革新的GX技術創出の推進の記載の追記について、環境エネルギー課より説明をお願いいたします。
【環境エネルギー課】  環境エネルギー課の吉元です。聞こえてますでしょうか。
【五十嵐部会長】  もうちょっと大きな声がいいですね。聞こえてますけれども。
【環境エネルギー課】  環境エネルギー課の吉元です。大丈夫ですか。
【五十嵐部会長】  はい、大丈夫です。
【環境エネルギー課】  資料1-4で、まず御説明させていただきます。
 GXということで、昨今この言葉が聞かれますけれども、もともと2年前に当時の菅総理から、カーボンニュートラル2050ということを目指すということが表明されて、それから日本政府としても、主に経済産業省を中心として様々な研究ファンドも含めて立ち上がってきたと。今年になってからグリーントランスフォーメーションという言葉も出てきていて、その意味というのは、カーボンニュートラルと経済成長の2つを両立させながら目指していくというところです。
 この辺りで文科省でも幾つか事業はあったんですけれども、この辺の諸外国の動きを見ていると、基礎研究の投資というところが非常に重要であると。特にやはり産業サイドの技術開発というところだけではなくて、しっかり大学で研究シーズと人材というところを育成していくところが大事じゃないかということで、今般の第2次補正予算において、これは当面5年分ということなんですけれども、496億円の措置をいただいたということになっています。
 基本的には、この事業では蓄電池、水素、バイオものづくり。これは産業成長につながって、かつ日本の大学は研究シーズを持っているというところで、我々もいろいろな有識者を呼んで議論をして、この3領域を設定しております。
 ここのポイントは、例えばJSTの事業とかでも、要素技術をやっていくような事業というのはこれまであったんですけれども、そこを例えば蓄電池。この右のほうに資料があります。小さいんですけれど、例えば活物質。正極とか負極とか。正極の界面だけ研究するということじゃなくて、しっかり正極、電解質、それからシステムの評価をする。こういったチームの研究開発を大規模に進めていくための事業費として約500億円、5年分用意しております。
 アウトプット、アウトカムの考え方ですが、この辺は論文とか、それから質の高い論文というところはあるんですけれど、やはりこの事業の特徴として、しっかり出口までつなげるというところの意識が大事なので、例えば中期アウトカムのところにもありますけれども、TRLの増加です。やはりJSTの事業でもTRL1、2あたりが多いんですが、これをしっかり上げていくような取組。
 あと、これはチーム型で進めていくのが特徴ですので、国内外のネットワーク数の増加。蓄電池とか水素とかバイオものづくりの世界で、国内だけに閉じていても、世界最先端の知見が得られない可能性もあるので、ここのしっかりネットワーク数も増加していくというようなところです。
 最終的には長期アウトカムのところで、革新技術によるCO2排出削減。こうしたところにしっかりつなげていくというところを意識して事業をマネジメントしていくことが重要だと考えています。
 資料1-2の評価軸のところに行っていただければと思います。評価軸は、JSTの評価軸というところになるんで、CO2の削減、将来産業の成長につながるような研究開発事業にしていくという意味で、JSTのマネジメントということが求められるので、そういったものを書かせていただいています。
 モニタリング指標のほうですが、これについても特に2ポツのところにありますが、応用研究や実用化の発展につながった課題の件数だったり。論文もそうなんですが、論文被引用数。それから特許出願・登録件数というところをモニタリング指標として示させていただいております。
 簡単ですが、以上です。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、最後に、先端国際共同研究基盤の強化の記載の追加について、国際担当参事官付より説明をお願いいたします。
【国際戦略担当参事官付】  国際参事官付の佐々木です。先端国際共同研究基盤の強化の部分について、私から説明をさせていただきます。
 まず、本事業を立ち上げた趣旨について御説明です。近年の地政学的な変化を受けまして、欧米等の先進国からは、科学技術協力パートナーとしての日本の引き合いというのがますます強まってきています。
 他方で、日本においては、国際共著論文数が諸外国に比べて相対的に低いことですとか、世界における研究者の流動ネットワークの中に日本人研究者が入っていけていないということが課題として存在していると認識しております。要因の一つですけれども、欧米のようないわゆる科学技術レベルが高い国が打診してくるような国際共同研究の予算規模とか支援期間といったものに、既存の事業では十分な対応がしてこられなかったがために、海外の方からは、日本は国際共同研究の予算規模も小さいし、実際に研究できるようになるまでのスピード感もないというところで、そういう意味でtoo little, too lateというような、残念な評価が定着してしまっているということがあると考えています。
 こういう日本の国際共同研究があまり元気がないという状態があって、例えば学会みたいなオープンな場ではなくて、インナーで最先端のトピックについて議論しているようなトップサークルに日本人研究者が参画する機会だったり、あとは若手研究者の海外経験といったような、人材育成のための機会といったものが失われています。また、そうやって日本人研究者と世界との接点が少なくなっていることで、日本の国際共同研究の質自体もなかなか効果的なものができないと。そうするとますます世界との接点が減っていくと。そういった状態になっていると考えております。
 この事業においては主に欧米を想定しておりますけれども、そういう諸外国との大型の国際共同研究につきまして、分野や領域、組むべき相手国を内閣府でトップダウンで決めて、日本側のファンディングエージェンシーであるJSTが、相手国側のファンディングエージェンシーとしっかり協働しながら、お互いの国の研究者チームによる共同研究の支援をしていく、また、課題の単価とか支援期間というのもこれまでより柔軟に設定できるように、基金という形で今回予算をJSTに440億円計上したところです。
 ここで行われる共同研究を通じて、当然外交的な観点で、同じ価値観を共有する国からの日本への期待や引き合いにしっかり応えていきたいというところもありますし、日本のトップ研究者の方々に、もっと国際的なネットワークの輪の中に参画していただくですとか、あとはトップ研究者について研究をしているお互いの国の若手研究者の方々の交流とかコネクションの強化をしていただく。そういうことをやっていく事業になります。
 今、御説明したような内容をJSTの中長期目標に今回盛り込ませていただいております。12ページに移っていただけますでしょうか。この赤字の部分に評価軸、評価指標、モニタリング指標ということで、国際共同研究として優れた研究成果が創出できたかという観点と、研究者の国際交流というのが活発に行われているかという観点で、それぞれ設定させていただいております。
 なお、国が設定する分野・領域というのがどういうものになるかということにつきましては、決定方法も含めて内閣府で方針を検討しているところではあるんですけれども、この補正予算を要求する基になった10月に閣議決定された総合経済対策の文書においては、量子、AI・情報、通信、半導体、バイオ、エネルギー、マテリアル、健康・医療分野に関する国際共同研究の強化を推進するという記載になってございます。そういった分野を念頭に置いて検討していくものと認識しております。
 簡単ですが、私からの説明は以上です。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 では、ここまでの説明について、皆様からの御質問、御意見等ございますでしょうか。大変コンパクトに説明していただきましたので、討議の時間はたっぷりございます。よろしくお願いいたします。
【長坂委員】  よろしいですか。
【五十嵐部会長】  どうぞ、長坂先生。
【長坂委員】  長坂です。よろしくお願いいたします。
 質問を1つさせていただきたいんですが、最後の先端国際共同研究推進事業プログラムのことについて、教えていただきたいことがあります。これのもともとのtoo little, too lateいうのは、まさに私もいつもそう思っていまして、そのとおりだと思うんですが、このことに対応するというプログラムだと考えると、第一にこの補正予算の額とスピード感がそれに見合っているのかと。つまり、too littleでなくてtoo lateでもないと言えるのかどうかというのを、この額が5年間で最大1億円ですか。
 ですから、それは私は足りないとは思うんですが、これは補正予算で決まったことなんで致し方ないんでしょうが、特に評価軸ですね。最後に見せていただいた評価軸にtoo little,too lateではないかどうかという評価軸がそこにないように見えまして、それでいいんでしょうかと。お題目としては非常によく分かるし、つけられたことは非常に価値があると思うんですが、じゃ、そもそもそうしたいと言っていた、改善したいと思っていた問題に対応できているのかどうか。まさにそこが日本のtoo late,too littleの根源なんじゃないかと思ったりするので、その辺の御見解を伺いたいと思います。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、よろしくお願いいたします、回答のほう。
【国際戦略担当参事官付】  国際参事官付の佐々木です。御質問ありがとうございます。
 先生のおっしゃるtoo little,too lateというのは、我々、本当に課題として、先生と同じように認識してございます。littleのほうは、先生は1億円だと足りないんじゃないかとおっしゃっているんですけれども、海外から直接打診を受けているJSTから聞いていると、海外からの打診がある額としては、数千万円から1億円というのが非常に多いと。
 今、既存でやっているSICORPというのが最大3,000万円ぐらいまでしか出せないので、そうすると海外としては、その額しか出せないのであれば話を進めるのは難しいといった反応になることが多く、今まで海外から、共同研究を進めるのがちょっと難しいと言われてきたというところがあります。今回1億円を設定したというのは、欧米のような科学技術水準が高い国とやっていくのには十分な額なんじゃないかと、こちらとしては思って設定しているというところですけれども。
【長坂委員】  私、ちょっと勘違いしたんですが、1年に1課題、最大1億円。
【国際戦略参事官付】  そうです。1課題あたり1年で1億円ということです。支援期間全体で1億円ではないです。
【長坂委員】  1課題について、1つのテーマについて。だけど、テーマについては、これは内閣府が主導すると。
【国際戦略担当参事官付】  そうです。
【長坂委員】  国で決めると。
【国際戦略担当参事官付】  はい。
【長坂委員】  そうすると、too lateのほうはどうなんでしょうか。もう、すぐやるぐらいじゃないと、とても追いつかないと思ったりするんですが、これからテーマが決まって、公募をしてということを考えると、始まるのに1年。これ、実際、公募するのが来年度なんですか。
【国際戦略担当参事官付】  来年度できるだけ早期にということで始めたいと思っております。今まで基金ではない当初予算という形でSICORPも全部予算がついてきたので、夏に概算要求をして、冬に政府案として決定されて、次の4月から執行していくみたいな形であったんですけれども、それを今回、基金にすることによって、当初予算の年間のスケジュールに必ずしも全部を載せていくということではないので、諸外国からの引き合いというものが来たら、すぐに着手できるような形にはしていきたいということで、基金という形で積んでいるところです。
【長坂委員】  そうすると、基金化したということがtoo lateに対応しているんだという。
【国際戦略担当参事官付】  そうです。
【長坂委員】  それでよろしいと。
【国際戦略担当参事官付】  さようです。
【長坂委員】  それ以外のプロセスは、従来どおりの公募をしたり外からの引き合いとか。そこは特に新しい手を打つわけではないと。
【国際戦略担当参事官付】  それ以外のプロセスというのは、例えばどういうことでしょうか?
【長坂委員】  分からないんですけど、すごく早くやらなきゃいけないという観点からすると、そこの手順が、今まで何か月かかったのを短くするとか。そこのところはこれから決めるんですかね。
【国際戦略担当参事官付】  基本的に、今まで長くかかっていたのは、やっぱり公募に着手するまでの予算取りというところなので、そこを基金化して縮めたというのが今回一番大きなところです。
【長坂委員】  基金化の効果が大きいとおっしゃっているわけですね。
【国際戦略担当参事官付】  はい。
【長坂委員】  分かりました。ありがとうございました。
【五十嵐部会長】  評価軸のほうは、先生、よろしいんですか、記載はあのままで。
【長坂委員】  だから評価軸はあったほうがいいと思いますけれど、私、今、どう書いたらいいかという代案はないので、そこについてお考えがあるかということがもしあれば、聞きたいということです。
【国際戦略担当参事官付】  今回の基金が、too little, too lateのところを解決するための予算だったので、それを達成したかしていないかを、JSTの評価の中でどこまでの貢献とするかはちょっと悩ましいところです。
【長坂委員】  私もそこの難しさは分かっているのですが、一方では、だからこそ一番の問題点としては、書いている部分に対して評価軸がないというのは、やっぱり分かりにくいですよね。
【国際戦略担当参事官付】  はい。
【長坂委員】  普通の人が見たら、これが問題だから、これを解決できているかを評価したいというのが普通と思うんですが、それがかなり見えにくいのは、何か改善がもしできればと思います。
【国際戦略担当参事官付】  先生の御意見は承りましたので、もう一度JSTと検討させていただければと思います。
【長坂委員】  ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、金澤先生から手が挙がっています。どうぞ。
【金澤委員】  ありがとうございます。金澤でございます。
 私からは大学発スタートアップの創出の件です。この事業、今度、補正の事業は、再展開する大学発スタートアップというのがポイントだと思いますし、評価軸の中にも、国際市場を見据えた事業の創出や多様な地域のということで書かれていて、その点が反映されていると思いますが、それに対して、評価指標とモニタリング指標については、国際展開、国際市場ということに対応する項目が挙がっていないと思いました。評価指標については、それは今挙がっている項目の中で併せて評価できるのかもしれませんが、モニタリング指標について、ぜひ国際展開した大学発スタートアップがどのくらい生まれているか。国際展開の定義は難しいと思うんですが、いろいろあろうかと思うんですが、ある定義をした上で、その指標をぜひ集めていただければと思います。後ほどこの事業を評価するときにそういった指標が必要なんじゃないかと考えます。
 併せてもう1点よろしいでしょうか。
【五十嵐部会長】  どうぞ。
【金澤委員】  GXのほうなんですけれども、この事業も一気通貫で統合的に研究開発をするとか産学連携、それから国際連携、産業界への人材供給。こういったことが事業の中で非常に重要な項目になっているかと思うんですが、それに対応するモニタリング指標がやはり挙がっていないんじゃないかと思います。そういった統合した取組あるいは産学連携、国際連携といったことをモニタリングする指標をぜひ追加していただきたいと考えます。
 以上です。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは回答をお願いします。まず、スタートアップのほうから行きましょうか。
【産業連携・地域振興課】  御質問ありがとうございます。産業連携・地域振興課の鈴木でございます。
 評価指標、モニタリング指標なんですけれども、現行の書きぶりでもかなり広く読めるという表現になってございます。例えば評価指標におきましては、2つ目の自立的・持続的な産学官共創の拠点の体制整備状況ですとか、その下のベンチャーの創出支援といったところがございます。こういったところに評価軸に加えた国際市場、国際展開ですとか多様な地域の巻き込みといった観点を含めて定性的な評価をしていくというようなことを考えてございます。また、モニタリング指標も、これも実際、非常に広い書きぶりとなってございます。実際この下に個別にこういった指標を見てこうというところは、各事業、内々ちょっと考えているところはございます。そういったところに先生がおっしゃったような指標を加えていくということを考えてございます。
 例えば海外展開に関しましては、海外展開とかグローバルなエコシステムの形成に向けた活動状況ですとか、もしくは地域に関連するものであれば、地域で中心となる大学との連携数といった形というのを考えてございます。そういったところをモニタリング指標のさらに下のほう、この1レイヤー下のところに項目をつくって、その評価の中ではちゃんと見ていくということを考えてございます。
 スタートアップ創出ということにつきましては、実際、今回ギャップファンドが中心となってくるものですから、ギャップファンドとその技術シーズを事業化、スタートアップ創出まで支援していくというものではございますけれども、過去のSTART事業なんかを見ておりますと、やはり支援を終了してから二、三年ぐらい、創業までどうしても時間が空いてしまうというところがございます。この5年間の基金の中で、スタートアップ創出がすぐに増えるといったことがなかなか難しいようなところもございます。もうちょっと実際の活動指標的なところをしっかり見るということと、あとは体制整備の状況ですとか、実際にベンチャーの創出支援という観点の評価指標の中でも見るということを考えてございます。
【金澤委員】  ありがとうございます。評価指標については分かりました。モニタリング指標については、この項目のもう一段下のレイヤーで十分モニタリングされるということですので、ぜひこの事業の評価をする段階でそういったものが出てくるということを期待して待っております。その際に、今お話がありましたけれども、ギャップファンドプログラムが新設されるわけですから、それについてももう当然ながらモニタリングされると思いますけれども、具体的にどれぐらいギャップファンドが供給されて、そこからどれぐらい事業化に結びついたかみたいな資料もぜひ併せてお願いいたします。ありがとうございました。
【産業連携・地域振興課】  ありがとうございます。そういった指標を御用意して、また事業評価の際に御説明できるようにいたします。
【五十嵐部会長】  じゃ、こちらはよろしいですか、金澤先生。
【金澤委員】  はい。分かりました。
【五十嵐部会長】  それでは、GteXのほう、よろしくお願いします。
【環境エネルギー課】  ありがとうございます。
 先生も御指摘のとおり、この事業の一つの特徴というのが統合的にやると。そこから人材なり研究成果というのをどれだけ展開していけるかというところが一つの大きな事業の目標になってくるので、そういった観点でモニタリング指標のほうで、要はこの事業の中で、どういう広がりを持たせたかというのが多分一つの指標の考え方になると思うので、その観点で例えば産業界なりに人材を輩出した数とか。具体的にというのはちょっと今すぐには申し上げられないですけれど、どうやってこの広がりが出てきたかという観点で、モニタリング指標のところで何かしら書けることがないかということで、ちょっと検討させていただきます。
【金澤委員】  ぜひともよろしくお願いいたします。それがこの事業の肝というか、非常に方法論として新しいところというか、目指すところだと思いますので、そこが的確に評価できるように、ぜひ指標を検討していただき、追加していただければと思います。よろしくお願いします。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 ほかにどなたか委員の方から。
 どうぞ、久保さん。
【久保委員】  すいません、どうも。ちょっと通信状態が悪いようで申し訳ありません。
 まずGXのところについて1つ確認したいのですけれども、御説明の中では、基盤研究の強化ということが1つ重要だとおっしゃっていたと思います、当然アウトカムとかもスコープには入れるべきとは思いますが、基盤研究でやっていくという一方でアウトカムの発現もやりながらというようになると、そこに差異があるような気がします。そこに関してはどう理解したらよろしいでしょうかということがお聞きしたいところです。
 それから、スタートアップのところにつきましては、資料1-4の右側のところに、いわゆる起業する上で難しい点に関するアンケート結果では、失敗してもどんどんサポートしてくれるわけですけれども、我々日本の取組として、こうした要望に対して何か対策として想定されているところがあるのでしょうか。あるいはそういう観点で協力していくことも1つモニタリング指標に入れたりするのはどうかというところについて、お聞きしたいです。この2点よろしくお願いします。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 じゃ、初めにGteXのほうからよろしくお願いします。
【環境エネルギー課】  ありがとうございます。
 先生の御指摘は、恐らく、基礎とか基盤研究をやるということのフェーズと、CO2の排出削減なり将来環境につながっていくというところにちょっと距離感があるという御指摘なんだと思います。
 これに関して御指摘のとおりで、我々、実は先ほど説明しなかったんですけれども、この事業に関しては、例えば経産省さんのグリーンイノベーション基金事業、2兆円ぐらい、一昨年度に予算措置された事業ですけれど、そういった経産省のNEDOさん系の事業というところとしっかり連携をするという枠組みは、今しっかりつくっています。例えば向こうの事業に橋渡しをするといったところで、実用化に向けてもうワンクッション置かないと、やはり大学のほうで何か最後、最終的な製品を出すというわけじゃないので、しっかり産業界に渡していくというところがJSTの役割なんじゃないかなと考えています。
 その意味で、モニタリング指標のほうに、一応、応用研究や実用化の発展につながった課題の件数ということで示させていただいております。
【久保委員】  分かりました。今のGI基金とかのスキームの中で、2050年に向かって実現していくだけではなくて、さらに将来に向かって非常に革新的な、これまで誰もやっていなかったような基盤技術をつくっていくということも大事だと思っています。今のスパンの中で考えていくだけではなく、もっと将来を見据えた上での取組もしてもらったほうがいいと思います。技術としてすごく画期的なことをするということにより着目していただきたい。出口論に、あるいは応用技術に展開していくということにあまり傾注すると、本当にやるべきことができなくなるのではないかなという懸念もありまして、コメントさせていただきました。
【環境エネルギー課】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、やっぱりJSTでやるというところの意味で、大学の非常に面白い技術ということをつくっていくというのは非常に大事だと思っています。その意味で、この事業というのは、もちろんJSTでは2030年というところをひとつ目指しているので、そこにつながっていくということだけじゃなくて、2050につながるような革新的技術ということもしっかりこの事業でやっていければなと考えています。
【久保委員】  ぜひよろしくお願いします。
【五十嵐部会長】  じゃ、もう一件のほう。スタートアップのほうはよろしいですか。
【産業連携・地域振興課】  御質問ありがとうございます。
 久保先生のおっしゃっている点、非常に重要なことだと私ども思っております。やっぱりベンチャー、スタートアップというのは、もう失敗するほうがむしろ多いと。多分研究開発もそうだと思うんですけれども、そういったところに対する危惧、もしくは失敗を評価しないような環境といったところはぜひとも変えていきたいというふうには考えてございます。
 失敗に対する危惧に関して、多分観点は2つあるかなと思ってございます。1つは、研究者ですとか起業を志す方のマインドというか。そういったところで、失敗を恐れてなかなか踏み出せないといったところがあるのかもしれないというところと、あとは評価の側ですよね。評価の側で、失敗したから、じゃ、悪い評価をするとか。そういったところがこれまであったんじゃないかというところがあろうかと思ってございます。
 前者につきましては、やはりアントレプレナーシップ教育というところで、失敗をむしろ許容して、どんどん失敗して、失敗し続けて最後成功するというチャレンジ精神といったところを育むようなアントレ教育というのをしっかりやっていくということは、これまでもやってございますし、今回、基金の中ではございませんけれども、高校生向けにも展開していくというところを考えてございます。高校生向けのほうは、ちょっと今回の中長期目標の変更のところから外れてはしまいますけれども、今後しっかりJST事業を評価していく中でも、そういった観点をちゃんと取り組んでいるというところをお示しできればなと思ってございます。
 その次の評価する側の立場というところで、ここもなかなか難しいところではございますけれども、例えば今回モニタリング指標として追加させていただいたところで、資料1-2の9ページ目なんですけれども、事業化に向けた支援件数ということを書かせていただいております。例えば大学発スタートアップ創出でいきますと、スタートアップを創出したかどうかとか、ギャップファンドを何件採択したかといったところも一つの指標としては考えるところもございますけれども、例えばギャップファンドを採択したけれど起業まで至らなかったものもございますし、ギャップファンドの応募した段階で結局採択に至らなかったといったところもございます。
 やっぱり、チャレンジした方々、それをしっかり支えてきた大学の方々ですとかJSTの方々も含めですけれど、そういった活動全体をこちらのモニタリング指標の中で広く捉えて積み上げていければと思ってございます。そういったところで、起業には至らなかったけれども、しっかり準備をしてチャレンジしたといったところを支援件数という形でうまく拾って積み上げて、評価できたらなと思ってございます。
 こういった感じでいかがでしょうか。
【久保委員】  分かりました。
 もう一つは、やはり何度やってもいいような環境づくりが必要ですよね。駄目だったらそれはやめて次にというスクラップ・アンド・ビルドがうまく回り、また誰でも、同じ方が何度やってもいいような形の環境づくり。そういう実績があってもいいのかなと思います。
 アメリカの知り合いを見ると、起業して失敗しても普通に皆さん、ちゃんとした生活を送られています。そういう挑戦に対ししっかりサポートされる仕組みがあるということです。失敗しても次から次へとサポートというのは、本来、民間ファンドによりされるものかもしれませんけれど、今回それに近いことを大学発ベンチャーに対してやろうとするならば、失敗した方がもう一度トライできるという実績をどんどんつくっていただくことにより、安心して挑戦しようよいう教育にもつながると思います。いいシナリオを作れば、確かに何度も採用されるんだということを、皆さんに実績として見てもらうようなことも大事な活動だと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
【産業連携・地域振興課】  ありがとうございます。実際START事業の現場では、ギャップファンドで、採択には至らなかったけれども、再チャレンジ的に少し少額でやってみようかとか、もしくはもう一年待って、案件をブラッシュアップしてもう一回やりましょうとか、そういった形で大学の先生方が一生懸命支援されているといったところもございます。なるべくそういった中で、うまくいった事例といったものをちょっと御紹介できるような形にしたいなと思っております。
【久保委員】  分かりました。よろしくお願いします。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、瀧澤さん、手が挙がっています。
【瀧澤委員】  どうもありがとうございます。今日御紹介の3つの事業は、とてもそれぞれすばらしいと思うんですけれども、私も今お話のあったスタートアップの部分ですね。JSTは特にずっとこれまでSTARTですとかSBIRとか、いろいろな事業を通じて、こういった事業をやってこられているので、様々な蓄積があってこういうものを出してこられていると思っています。
 むしろ私のほうが教えていただきたいんですけれども、今回のこの事業で一番のポイントとして、今までできなかった壁になっていたところを突破できる制度の仕組みというのが、アピールポイントみたいのがあったらぜひ教えていただきたいのと、あと、高校生などへのアントレナーシップなんですけれども、これもすごく大事なことなんだと思いますけれども、今日は時間がなかったこともあったと思いますが、それに関して具体的に何をされるかというのを聞き逃してしまったんですけれども、その辺のことをもう少し詳しく教えていただければうれしいと思います。
 それから、ちょっと質問が多くて申し訳ないんですけれども、今、岸田政権でスタートアップ元年というふうに掲げてやっていて、いろいろな支援をしようとしている中で、この1,500億円ですか。988億円なんですかね。どっちなのかよく分からないんですけれども。1,500億円ですね。それが、政府全体のこの事業に対しての割合というか。ほかにはどういった事業が動いているのかというのを、もし御存じでしたら教えていただきたいということです。
 ちょっとほかにもまだあるかもしれませんけれども、取りあえずお願いいたします。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、よろしくお願いします。
【産業連携・地域振興課】  御質問ありがとうございます。
 これまでも特に補正予算を中心に昨年度、今年度もそうですけれども、ギャップファンド、スタートアップ拠点のほうに措置させていただいていたというところはございますけれども、現場の方の声として、どうしても単年度予算だと、採択も含めてやると半年しか期間がないとか、あと金額の高さですね。そういったところで、なかなかやりづらいといった声もあったと聞いてございます。今回、基金化をするということのメリットの一つとしては、例えば年度を越えて1年間支援しますとか、公募の時期をもう年度当初から開始できたりとか。そういったいろいろな柔軟性があるというところもございますし、実際、基金の規模が1,000億円というこれまでにない規模の支援にはなっているんですけれども、そういったところへ、実際大きな案件についてはしっかり支援するとか。そういったことで、小さなものだけじゃなくて、大きく育てるといったことも可能になってくると思います。そういったところをぜひ大学の方々にも活用いただきたいなと思っているところでございます。
 2点目の高校生のアントレ教育についてですけれども、実は基金ではなくて、単年度補助金等ということになってございましたので、今回の中長期目標の変更の対象ではないというところもあって、あまり深くは御説明差し上げなかったので、ちょっと申し訳ないなというところではございます。
 これは、基本的にスタートの拠点都市で、大学生を中心にこれまでアントレ教育をしっかりやってきたという実績がございますので、そういった経験ですとかノウハウというのを今度は高校生以下に展開していくということを、自治体ですとか民間企業さんとも連携しながらやっていただくと。実際もう幾つかの拠点都市の中では先行する事例もございます。そういったところを横展開するとか、そこに大学のノウハウを注入して、しっかり良いものをつくっていくといったことを通じて、なるべく多くの小中高生の皆さんにアントレ教育に触れていただくという機会をつくっていきたいと思ってございます。
 最後の御質問の点なんですけれども、スタートアップ5か年計画の中では、総額1兆円規模という形で金額が出ております。実際、真水としての政府支出が幾らかというのは、私もすぐに数字は出てこないところがございますけれども、その中でも文科省の基金で創出するのは1,000億円なんですが、それは比較的大きな規模ではないかなと思ってございます。1兆円の中の1,000億円でも1割というところではございますので、かなり大きな規模になっているかなというところはございます。
 他省庁さんのほうでも、やはりスタートアップを創出した後の支援ですとか、もしくは大学の外での起業家の育成とか獲得といったところもやられていますし、予算以外でもいろいろな制度改正ですね。例えば株式市場に対する改善策はないかとか、各種税制といった議論が進んでいるというふうには承知しておりますので、そういったものを5か年計画として総合的に進めていくというところになってございます。
【瀧澤委員】  どうもありがとうございました。私もある大学で話をして、学生さんの声なんかも聞くと、やっぱり新しい、自分の力で立って何かやりたいという学生さんも多くなってきていると思いますので、本当に先ほどおっしゃられたように、失敗を恐れずにどんどんいろいろな挑戦ができる。それもディープテックですよね、やっぱり。研究が直結して社会を変えていくんだというふうな実感ができるような制度に育っていただきたいなと思っておりますので、応援したいと思います。広報活動もぜひ充実させて、JSTがこういうことをやっているんだということを若い人を中心に知っていただくことも大事かと思いますので、よろしくお願いいたします。
【産業連携・地域振興課】  ありがとうございます。広報活動も含めてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 最後の質問ですけれど、たしか経産省がディープテックスタートアップ支援事業ってやっているはずです。NEDOじゃなかったでしたっけ、補正予算で。その辺、もし調べてお分かりになるようでしたら、後で連絡いただければと思いますが、いかがですか。
【産業連携・地域振興課】  承知しました。また皆さんに御連絡できるようにいたします。
【瀧澤委員】  ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 篠藤先生、何か御質問、御意見ありますでしょうか。
 どうぞ、川北先生。
【川北委員】  川北です。すみません。今のスタートアップのところで質問があるんですけれども、これに一回応募して支援をされて、その後、例えば研究開発していくと、追加の支援が必要になってくることが出てくると思うのですけれども、そういう追加の支援というのは、制度設計上、考えられているのか。これが1点目の質問です。
 もう一つは、どうしてもこういうスタートアップの支援をやっていくと、小粒なものが出てきやすいような印象を私自身は持っています。そういう意味で、かなり大がかりなものというのか、難しくて誰も今まで手をつけてこなかったものがあると思います。難しいというのは、金額的にも結構大規模になるということも含まれますが、今回は1件当たりの支援金額的なものを指標として使うつもりがあるのかないのか。そして、使う、もしくは使わない理由みたいなものがあれば教えていただきたいと思います。この2点です。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、よろしくお願いします。
【産業連携・地域振興課】  御質問ありがとうございます。
 まず、1点目なんですけれども、前提としては、START事業の支援が創業に至るまでの支援にはなってきてしまうところはございますけれども、例えばギャップファンドで研究開発を進めていく中で、大分起業に近づいてきていたけれども、もう一回ちょっと研究に立ち戻ってやらないといけないというところが出てきた場合に、例えば追加的にアドオンするといったことは、制度設計上は可能ではございます。そういったことも、現場のいろいろな声も踏まえつつ、より柔軟に使いやすいような形で考えていきたいなと思ってございます。
 2点目も同様ではございますけれども、1件当たりの単価もかなり柔軟に設計できるということにはなってございます。例えばこれまで起業実証支援ですと、1件当たり年間3,000万円弱で2.5年程度という形で支援はしておりましたけれども、例えばこの金額をもうちょっと膨らませるといったことも可能ではございます。そういった枠組みについて、ちょっとJSTとも相談しながら設計していきたいと思ってございます。
 指標に関して、どういうふうに使うかというところなんですけれども、ちょっと難しいのは、大きなものってかなり件数も小さいですし、本当に年に数件出てくるか出てこないかぐらいにはなってくると思いますので、指標として見るというよりは、多分こんな事例がありますといった形の紹介になってしまうかなと思ってはございます。そういう形だといかがでしょうか。
【川北委員】  分かりました。そういう画期的なものがあって、支援金額も大きかったんだけれども成果が出てきたという事例がありましたら、ぜひそれを示していただいて、今後のベンチャー的なものを起こす際の励みというか促進剤になるような、そういうことを期待したいと思います。よろしくお願いします。
【産業連携・地域振興課】  ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、篠藤先生、何かございましたら。よろしいですか。
【篠藤部会長代理】  じゃ、簡単にすいません、2つほどお願いしたいと思います。
 同じく大学発スタートアップのところなんですけれども、まずこの988億円という基金は、この2つの大学発スタートアップギャップファンドと地域のほうですね。これは振り分けるとどのぐらいの金額規模になるのかということと、すみません。もう一つは、地域の中核大学に振り分ける。これ、すごく大切なことだと思うんですが、この地域の金融機関や他大学などと連携してというところで、具体的に連携してというところをどのような感じを描いてらっしゃるのか教えていただければと思います。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 よろしくお願いします、文科省のほうから。
【産業連携・地域振興課】  御質問ありがとうございます。
 基金の988億円のギャップファンドと地域中核大学のスタートアップ創出体制にどう振り分けるかという点ではございますけれども、そこも含めて、今まさに議論を進めているというところでございます。ただ、ざっくりとしたイメージで申し上げると、恐らく右側のほうが全体の2割とかそれぐらいの規模になって、左側に残りをつけるというようなイメージではおりますけれども、その多寡は若干増減するところはございますので、そこは今後、制度設計していく中でしっかりと固めていきたいと思ってございます。
 一方で、基金のいいところは、そこも含めて5年間の中で柔軟に対応できるというところもございますので、執行状況も見ながら、より効果的な使い方というのをきちんと見ていきたいなと思ってございます。
 地域の中核大学のスタートアップ創出体制のところで、地域の金融機関とか他大学との連携というところでございますけれども、これもどういう形の連携がベストかというところは、実はまだ模索しているところがございます。最後はその地域にしっかり人材が残るというところが重要ではございますので、例えば地域のある意味主幹的な大学と金融機関ですとか他大学さんの方が一緒にチームアップをして、そういった方たちがしっかり案件の発掘からギャップファンドを回して、起業までつなげていくといったことを、もう既にそういうことができている拠点都市の大学から支援を受けながら経験値を積んでいくとか、そういった形で、そこの地域にいるアクターの方々が、スタートアップ創出の一連の流れをしっかり実感して体験して、経験値を積んでいく。そういった形の体制を、システムをつくっていくということを今イメージはしてございます。
 ただ、いろいろな大学の方ですとか、スタートアップ関係の方々のお話も聞きながら、より効果的な連携の在り方というのをしっかり考えて、常にブラッシュアップしていきたいなと思ってございます。
【篠藤部会長代理】  ありがとうございます。いい事例が出てきたら、それをまた普及させていくような活動もお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【産業連携・地域振興課】  ありがとうございます。これもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に参ります。続きまして2ポツですが、経済安全保障重要技術育成プログラムの制度設計の進捗に伴う変更について、国際担当参事官付より説明をお願いいたします。
【国際戦略担当参事官付】  先ほどの先端国際事業に続きまして、国際戦略担当参事官付でございます。私、経済安全保障を担当しています遠藤です。昨年に引き続きまして、どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
 それでは、次のページを映していただけますでしょうか。昨年も大体この時期だったと思いますけれど、先生方にはいろいろ御指導いただきまして、通称になりますけれど、K Programに関しましても、おかげさまで制度設計が進みまして、先々週の月曜日から最初の公募が始まっております。また、さらに申し上げますと、令和4年度の第2次補正予算におきまして、令和3年度と同額の1,250億円の積み増しという形で基金が措置されまして、都合2,500億、NEDOにも同額がついておりますので、政府全体としては5,000億円の規模でのプログラムに育っております。本当に先生方、ありがとうございました。
 昨年はまだ予算案だったかもしれませんけれども、ついたばかりということで、まだ制度設計が進んでおりませんでしたので、特に評価指標の部分をP、ペンディングという形にさせていただいておりましたが、本日は、この1年でいろいろ制度設計が進みまして、それを反映する形で評価指標の部分をリバイスいたしましたので、御審議いただきたいと思います。
 最初におさらいとして、このK Programはどういうものだったかということだけ、簡単に御説明いたしますと、一番左下です。灰色の箱の中にプログラムの特徴というのがございます。特にこの3点目でございます。このK Programの研究成果は、民生利用のみならず、成果の活用が見込まれる関係府省において公的利用につなげることを指向。特にその公的利用という部分が、JSTのこれまでの、例えば戦略創造とか、あるいは今日御説明したような事業といったものに比べて特徴的なところだと我々認識しております。
 続きまして、国主導による研究成果の社会実装や市場の誘導につなげていくという視点を重視ということで、これは次に御説明しますけれど、経済安保推進法という法律に基づく仕組みがビルトインされることによりまして、特に社会実装あるいは公的利用というところを担保するという形になっております。
 それでは、1枚戻っていただきまして、今もちょっと言及いたしましたけれど、経済安全保障推進法が、本年5月に可決・成立しております。法律は大きく4つの柱で、2ポツから5ポツです。左側になります。黄色、オレンジ、水色、青と、この4つの大きな柱になっております。本当はいろいろ御説明したいところもあるのですが、時間の関係で、今日は関係する赤枠の先端的な重要技術の開発支援に関する制度のところだけ、抜き出して御説明いたします。
 この法律でどういうことが行われるかというのは、右側のところに拡大しております。2ポツの官民パートナーシップというところに協議会の設置というところがございます。法律に基づきまして、このK Programに官民協議会というものを置くということになっております。実は、この官民協議会に関しては、K Programには必ず置かなくてはいけないと。必置になっているのですが、実はK Programに限らず、例えばそれこそ科研費だとか戦略創造、もっと言えば大学の運営費交付金とかで行われる研究開発プログラムにも置くことができるんですが、それは今回は別の話ということで、K Programに関してはこの協議会を必置することになっております。
 その協議会で一体何をするのかというのが、(3)協議会の機能というところになります。研究開発の推進に有用なシーズ・ニーズの情報を共有したり、社会実装に向けた制度面での協力など、研究者の研究開発に対する積極的な伴走支援、政府職員あるいは企業といった方がみんな入って伴走支援をしていくための仕組みと。これによって、公的利用も含めた社会実装への蓋然性を高めていくということになっております。非常に端的に申し上げれば、みんなで茶話会的にいろいろな情報交換をして社会実装につなげていこうということです。
 特に法律に基づいて設置しているということで、これは守秘義務をかけることができます。もちろん何でもかんでもかけるということではなく、特に公的利用ということを考えた場合に、国、政府側からある程度どういうものをつくってほしいか、どういう研究開発をしてほしいかという公的利用の基になるようなニーズ情報を提供する際に、ある程度機微な情報も出てきますので、守秘義務を守っていただいた上で、そういう情報を安心して政府側も提供することができるようになると。
 もちろん研究者の先生側から、研究開発の途中の成果とか、そういうのをちゃんと守秘義務の下で提供してもらって、みんなで共有するというような、お互いの情報のキャッチボールを安心して行うことによって、しっかり情報共有を進めていこうという制度でございます。
 これが特にK Programに関して、法律に基づいてしかるべく置かれるということが非常に特徴的なプログラムということで、今回それを指標に特徴的に入れさせていただいているということでございます。
 それでは、指標に行っていただきまして、評価軸、評価指標、モニタリング指標がございますけれども、基本的には、既に規定されておりますムーンショットあるいはその他の研究開発事業と並んでいる部分は並べているということになります。先ほど来の御説明で、若干仰々しいようなプログラムだという印象を受けた先生方もいらっしゃるかもしれませんが、JSTが実施する研究開発事業ですので、まず基本的なところに関しては、先端的な研究開発をしっかり実施していただく。それがもう大前提です。
 ただ、そこで、論文を出しました、特許を出しましたというところで終わらず、その成果をしっかりと公的利用も含めた社会実装につなげていきたいということです。具体的に申し上げますと、この評価軸でありましたら、「創出され」以降、「その成果の公的利用や民生利用に向けた展開がなされているか」という後段の部分を特にしっかり見ていくということでございます。
 評価指標の部分も基本的には同じになっております。モニタリング指標のところに関しましては、例えばその下側の論文数や特許数といったところは、もちろん先端的な研究を行うという意味で、まず基本的な指標としてほかと並びで入れておりますが、上から2つ目、公的利用や民生利用に向けた連携等の件数といったところが特徴的なモニタリング指標として入れ込んでいるところでございます。
 具体的にどういうふうにカウントしていくかというのは、先ほど御説明した協議会。このアクティビティーがまだ一部制度設計中ですので、決まり切っていないところはあるのですが、その協議会に参加した件数とか、そこのアクティビティーに参加した件数といったことを一つのカウントとしてモニタリングしていきたいと考えている次第でございます。
 あと、最後、1点、申し上げ忘れました。協議会に関しては、あくまでも国が設置するものでして、JSTの事業活動とは厳密には別物になります。協議会の活動自体は、今回の評価指標の評価とは別枠ということで制度設計しております。
 すみません。ちょっと長くなりましたけれど、以上でございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 では、今の説明について御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 どうぞ、金澤先生。
【金澤委員】  ありがとうございます。大分理解できたと思いますが、1点、この事業の大事なキーワードの一つは、技術流出対策だと思います。そのことは、この制度の中でも非常に重視されていると思います。この点を評価するということについて、評価軸指標、モニタリング指標などに盛り込むというようなことは検討されましたでしょうか。質問です。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。よろしくお願いします、それでは。
【国際戦略担当参事官付】  ありがとうございます。冒頭御紹介したポンチ絵の最後の部分にもありましたとおり、まさに金澤先生おっしゃるとおり、技術流出対策がポイントであることは間違いございません。
 それを我々も指標に落とすかどうかというのを考えた際に、アウトカムというか、実際に流出しているかや流出を止めたかどうかというのは、本当にカウントするのは難しいですし、そうするとどうしてもアウトプット止まりになると。さらに申し上げますと、協議会が設けられることによって、どういう技術流出対策をTRL、技術成熟度に応じてやるかというのも、実はこの協議会でみんなで話し合って決めていくということになっております。そういう意味で、一義的に一律にと申し上げますか、JSTの評価指標として入れづらい部分がありまして、今回その部分は評価指標としては明確には入れていないところです。
 ただ、今回のモニタリング指標の中にある公的利用に向けた連携等の件数と。こういう中で、今後、協議会の中で技術流出対策のいろいろ議論が行われて、じゃ、こういうことをやってくださいということが決まったときに、それがちゃんと履行されたかどうかというのを、事実上のカウント数として――カウントというのはちょっと違うかもしれません、ちょっと定性的になるかもしれませんが――対応しているかどうかというのを年度評価などで見ていくということはあり得ると思います。
 すみません。検討状況としては、今申し上げたような状況です。
【五十嵐部会長】  よろしいですか。事業を実施していく上で大前提であるということですね、技術流出対策に関しては。
【国際戦略担当参事官付】  そうですね。もちろん大前提ではございますので。ただほかの事業に比べると、ちょっとレベルの高いものを求めるというのは事実でございますけれど、そこはまた協議会の中でいろいろ議論して、これから決めていくというような状況になっております。
【金澤委員】  ありがとうございます。
 技術流出対策って、今、委員長からもお話がありましたように、どこの部門にとっても重要な取組ですので、ここでいろいろと試行錯誤されたり、検討され、工夫されたことが、その仕組みがいろいろと使えるように、幅広く使えるように情報を発信するのは大事だと思いますので、そういったことも意識していただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【国際戦略担当参事官付】  ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 ちょっと関連する質問で私も1点なんですけれども、論文数、特許出願・登録件数がありますよね。論文もそうですけれど、特許出願。これ、さっきのところのKプロ……。4ポツの下に5ポツがありますよね。特許出願の非公開化に関する。
【国際戦略担当参事官付】  特許非公開制度ですね。
【五十嵐部会長】  特許非公開制度ですね。これとの関わりというのも当然あると思うんですが、ここも協議会で議論するんですか。
国際戦略担当参事官付】  今クリアカットにお答えするのが大変難しい状況なんですが、この5ポツの特許出願の非公開制度は、まだ法律も施行されておらず、まさに今、政府の中で国家安全保障局を中心に制度設計している途中でございます。ですので、どういう形になるかというのは、今この時点で私から申し上げられないのですが、ただ、もしこれが施行されたら、法律に基づく制度として全国民が守るべき制度として決まりますので、それはJSTの評価というよりも、ある種義務として当然履行していくということになると思います。
 ただ、これは個人的な感覚になりますけれど、もともとこの特許出願の非公開制度自体は、かなり軍事転用の蓋然性が高い特許の技術に関して、例外的にクローズにしようというものになります。特にTRLが、技術成熟度が低い研究開発を実施するJSTの成果が、そんなにこれに該当することはないのではないかなと見ております。このK Programが全然特許が出せなくなるということはないと見込んでおります。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。いや、それは分かるんですが、先ほどの指標のところに論文の数とか特許の数とかありますけれども、それは法律が制定されたら、それに従って出せなくなるものが出てくるということを前提であそこが書かれているということでよろしいですね。
【国際戦略担当参事官付】  そうです。それは、今、一部繰り返しになりますけれど、特許非公開制度が施行されたとしても、特許数がそれこそ激減するような状況にはならないと見込んでおりますので、通常の指標として用いることができると考えております。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 どうぞ、久保さん。
【久保委員】  久保ですけれど、聞こえますか。大丈夫ですか。
【五十嵐部会長】  はい、聞こえます。
【久保委員】  ありがとうございます。
 1点だけ教えてください。この分野は技術的な優位性というのは非常に重要だと思います。つまり我々以外の他国が同じレベルのことをやっていたら、その技術を一生懸命やる意味がないわけですね。そうすると、単純に特許だとか論文だけじゃなくて、常に技術的に優位であることを確認し指名していくことが必要であり、そこも一つのモニタリング指標になるような気がしますけれど、そこあたりはどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 よろしくお願いします。
【国際戦略担当参事官付】  そうです。もう久保先生がおっしゃるとおりで、技術的な優位性、ひいては不可欠性と呼んでおりますけれど、優位性を持ち、かつ世界にとって日本のこの技術あるいは研究成果がなければ、みたいな状況をつくっていきたいというのが、このプログラムでございます。
 そもそもK Programで、どういう技術を対象にするかというのが、今日は資料を入れておりませんが、研究開発ビジョンというのが、既に政府全体として決めております。公開できている部分というのはその一部になるのですが、その途上の議論の中で、有識者の先生方からいろいろなそういう情報もインプットしていただきながらつくった研究開発ビジョンに基づいて、この研究を実施していきますので、ある種、久保先生の御指摘の部分というのは大前提ではございます。
 ただ、具体的な実施の中で、果たしてどこまでそれがJSTの事業として具現化できているかという部分に関しては、1つモニタリング指標としては、この一番上の「研究開発ビジョン等の達成に向けて進捗が認められる研究開発課題数」と。こういう中の具体的な評価の視点として、そういうところをしっかり入れていきたいというふうには思っております。
 なので、恐らくJSTの中間評価とかいう中で、そういうまさに優位性というものがちゃんと担保されているかということを、その評価委員の有識者の先生方にしっかり見ていただくということになろうかなと思っております。
【久保委員】  分かりました。もともと想定したビジョンのとおりやったときに、本当にそれで勝ち得るのか。他国も同じようなビジョンなりさらに上のビジョンを考えていることもあるので、やっぱり常に周りとの比較をしながらということは大事かなと思っています。そういう目で見ていければと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。
【国際戦略担当参事官付】  本当に、こちらこそありがとうございます。今申し上げたビジョンも、先生御指摘のビジョン自体もしっかり見直していくというのが、これはJSTというより政府の仕事になりますけれど、そちらも行っておりますので、また御指導をよろしくお願いいたします。
【久保委員】  承知しました。よろしくお願いします。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
【近藤課長補佐】  瀧澤委員が一度、手を挙げられておられたように見えましたけれど……。
【瀧澤委員】  すみません。気づいていただいてありがとうございます。
 先ほどの部会長の御質問の論文数とか特許出願の数を挙げてしまっていいのかなと思ったんですが、お答えで、JSTが対象とするところが、もっと基本的な、基礎的なところなのでという、それも加味して考えているというお答えでしたので、それで結構です。ありがとうございます。
【国際戦略担当参事官付】  ありがとうございました。実は特許だけではなく、論文に関しても、やはりこのプログラムは論文が出せなくなるのではないかという、何か多少誤解を含めたうわさがあろうかと思うのですが、まさに経済安全保障推進法をつくるに当たって、有識者会議で御議論いただいている段階で、研究成果は公開が前提であると。まずそれは大前提なんだと。ただ、一部どうしても、これは一般的に従前の研究開発プログラムでも、あるいは先生方もオープンクローズ戦略というのを当然やられていると思いますけれど、そのオープンクローズ戦略は、ほかよりももうちょっとしっかり考えていきましょうねというところはもちろんあるのですが、ただ、成果公開が前提というところは、このK Programはほかのものと変わらないというところでございますし、特許も日本版バイ・ドール制度の適用が大前提ということは、これは全体方針としても決めているところでございますので、そこは御安心いただければと思います。
【瀧澤委員】  どうもありがとうございました。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。今の話、そのとおりだと思うんですけれど、これ、経産省も同額やっていますよね。
【国際戦略担当参事官付】  はい、NEDOでですね。
【五十嵐部会長】  NEDOのほうで。そちらは若干毛色が違ってくるんですか、評価指標は。論文数、特許云々ではなくて。いやいや、これは関係ないですけれど、ちょっと興味があって。
【国際戦略担当参事官付】  すみません。ちょっと今、手元に出てこないのですが、ただ、一般論としましては、技術成熟度、TRLが、NEDOのほうはやっぱり高くなりますので、JSTよりはその部分をもっと考えなくてはいけないというのはあろうと思います。そもそもの研究開発の委託先が、NEDOの場合は企業あるいは技術研究組合になると想定されますので、そこのオープンクローズ戦略のクローズの部分の毛色がやっぱり強くなるというのは、一般論としてあろうかと思います。
【五十嵐部会長】  なるほど。そちらをNEDOのほうの基金でやればいいということになるかもしれないですね、K Programの中でもね。
【国際戦略担当参事官付】  そうです。まさにJSTとNEDOが両方あるというのは、そういう役割分担の下で、もちろん連携と技術の受渡しはありますけれど、基本的な役割分担としては、今、五十嵐部会長がおっしゃったようなところと考えております。
【五十嵐部会長】  分かりました。ありがとうございました。
 それでは、ほかにまだ御質問あるかもしれませんが、お時間も少し過ぎておりますので、最後の3ポツの大学ファンドによる助成開始に向けた変更について、大学研究基盤整備課より説明をお願いいたします。
【大学研究基盤整備課】  聞こえておりますでしょうか。
【五十嵐部会長】  はい。
【大学研究基盤整備課】  研究振興局大学研究基盤整備課でございます。10分の説明時間をいただきましたので、資料が大部にわたり恐縮ですが、現在の進捗状況も含めて説明させていただきます。
 まず、資料1-6を用いまして、大学ファンドを通じた世界最高水準の研究大学の実現に向けた制度の概要について説明いたします。
 おめくりいただいて3ページ目です。御承知のとおり世界における我が国の大学の研究力というのは相対的に低下傾向にあります。その背景には、欧米の主要大学は、自ら数兆円規模のファンドを形成し、この図の右の辺りの部分ですけれども、その運用益を活用して、研究基盤や若手研究者への投資を拡大していることが指摘されております。そういったことから、今般、国の資金を活用して10兆円規模の大学ファンドをJSTに創設し、その運用益により大学の研究基盤への長期的・安定的な支援を行うこととしました。
 この3ページ目の図というのが、大学ファンドの支援により目指している国際卓越研究大学の将来像のイメージでございます。左側ですけれども、世界最高水準の研究環境で世界トップクラスの人材が結集し、そこでは英語と日本語が共通言語で、次世代の研究者である学生は授業料が免除され、生活費の支給も受け、思う存分研究しながら博士号を取っていくと。右側ですけれども、人材・知の好循環で、学術研究ネットワークを牽引し、資金の好循環も実現して、社会の多様な主体と対話・協調しながら、イノベーションエコシステムの中核的役割を担う。そういった研究環境整備に係る費用を大学ファンドで支援し、新たな知・イノベーションの創出につなげていくというものです。
 次のページです。こうした大学ファンドによる支援の対象となる国際卓越研究大学は数校程度と限られますけれども、こちらのページ、日本全体の大学の国際競争力を高めていくために、総合振興パッケージと大学ファンドを連動させまして、個々の研究大学の強みを引き上げると同時に、組織や研究領域を超えた連携により、研究大学群全体で研究力を伸ばしてまいります。
 これを模式図にしたものが次の5ページ目です。世界と伍する研究大学である国際卓越研究大学。一番上にございますが、それを大学ファンドで、また、特定分野で世界トップレベルの大学ですとか、産学官共創の地域中核・特色ある研究大学を総合振興パッケージにより支援するとともに、右側の部分ですが、大学ファンドでは、各研究大学にいる優秀な博士課程学生への経済的支援も行ってまいります。
 次の6ページ目はスケジュールです。下半分の緑のうち資金運用の部分、令和3年のJST法の改正により、資金運用業務と助成業務がJSTに位置づけられまして、このうち資金運用業務については、昨年度、令和3年度に体制整備を進めまして、令和4年3月より大学ファンドの資金運用が開始したところでございます。
 一方、上半分の青の大学改革につきましては、昨年度、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)と文科省で検討を進めまして、今年の5月に国際卓越研究大学法が成立いたしました。この法施行日である11月15日には、文科省で基本方針を文科大臣決定したとともに、緑の部分に書いておりますが、JSTが策定した助成の実施方針も文科大臣認可となったところでございます。そして、最後、右です。年内、つまり今月中には国際卓越研究大学の公募を開始いたしまして、来年度にかけて選定し、令和6年度中の支援開始を目指しているところでございます。
 続きまして、7ページ目からは、先月決定しました基本方針のポイントを御紹介した資料でございます。ポイントを絞って説明させていただきます。
 8ページ目の1ポツは、先ほどの3ページ目の説明と重複しますので、省略します。
 2ポツ目は、大学の認定に関する基本的な事項です。これまでの実績や蓄積のみで大学を選んで判断するのではなく、ビジョンとコミットメントに基づき判断することとしております。また、先ほども申し上げたとおり大学数は数校程度に限定し、大学ファンドの運用状況などを勘案しながら段階的に認定・認可してまいります。認定の要件としては、1、研究力、2、事業・財務戦略、3、ガバナンスの3点を見ていくということなどを書いております。
 9ページ目は、国際卓越研究大学が作成する研究等体制強化計画を文部科学大臣が認可し、そしてその認可した計画にJSTが助成をしていきますが、この認可に関する事項でございます。目標には、アウトプットだけではなくアウトカムについても記載するということと、世界トップレベルの研究大学をベンチマークしてくださいということが書いてございます。
 また、人材・知・資金の好循環を生み出すことができるように、具体的には下にありますイ、ロ、ハ、ニ、ホのこれらに該当する事業の計画に対して、ファンドの助成を行っていきます。研究インフラの整備ですとか若手研究者の育成、また技術者の確保と育成、そして研究成果活用といった研究環境整備に対して支援してまいります。
 10ページ目でございます。認可の具体的な基準としまして、世界の学術研究ネットワークを牽引し、既存の制度に縛られず、研究ポテンシャルを向上し続ける方策が示されていること。また、ロの部分ですけれども、年平均5%以上の外部資金の獲得の増加と、また、事業規模全体も年平均3%以上伸ばすということを実現するとともに、大学に独自基金を造成すること、それについても実現可能性が高いことが要件の一つです。また、ハのところで、しっかりとしたガバナンスを有することも要件となっております。また、計画期間については、最長で25年としております。
 11ページ目でございます。大学ファンドによる助成額ですけれども、こちらは計画に対して幾らというものではなくて、外部資金獲得額や大学ファンドへの資金拠出額を踏まえて算定するということが基本方針に書いてございます。また、大学が受け取った助成金については、その使途は可能な限り柔軟に決定していくとしています。また、国際卓越研究大学は、自分たちの大学だけではなくて、周りを牽引していくことや、文科省としても研究大学が世界と伍していく中で、必要とする規制緩和があったら、それを一緒に緩和を目指していきましょうということが書いてございます。
 12ページ目です。参考として大学の認定基準を、やや細かい資料ですが、つけております。7つ基準がありますけれども、①、②、⑦の3つが定量的な指標で、③から⑥の4つは定性的な指標です。
 飛びまして15ページ目でございます。今、御説明しました、文部科学省でつくった基本方針に基づく大学の認定や計画の認可など、助成対象の大学を選ぶという部分は文部科学省で行いまして、認定・認可された大学に対する助成の部分はJSTが担っていきますので、このJSTの助成の実施方法をまとめた資料でございます。
 この次の17ページ目でございますが、こちらのJSTの実施方針については、文科省の基本方針を受けて作成された位置づけですので、内容は先ほど申し上げた基本方針と重複する部分が多くございますが、JSTに適切な助成を行っていただくために、2ポツに書いてあるような助成金を交付する際の大学への確認事項などを定めております。また、運用業務のほうは既に動いておりますけれども、そちらとの連携ということも書いてございます。
 18ページ目以降に審査のスケジュールというものを、まさに今動きはじめるところで、先ほど申し上げましたように、今月公募を開始しまして、3月末に締切り、来年度、令和5年度に段階的審査を行ってまいります。
 ちょっと前置きが長くなりましたが、このような基本方針、実施方針の決定を受けまして、助成事務をJSTの中長期目標にきちんと位置づけるということで変更案を御説明します。
 資料1-2の6枚目です。
 大学ファンドに関する中長期目標としては、既に資金運用については定めてございまして、今般、助成業務を書き加えるものでございます。1段落目の運用業務部分は形式的な修正のみでして、今般、国際卓越研究大学への助成に関する基本方針と実施方針を定めましたので、基本指針、基本方針という運用業務に関する文書の略称と混乱が生じないように変更させていただきました。
 2段落目が丸々追記でして、助成業務部分です。先ほど御説明しました国際卓越研究大学法に基づく基本方針と助成の実施方針に基づいて、助成の継続的・安定的な実施に必要な機能及び体制を整備し、助成の適正な実施を図るとしております。
 続いて評価軸を映していただけますでしょうか。評価軸は書いてあるとおりでございますが、制度の趣旨を踏まえ、助成の継続的・安定的な実施に必要な機能及び体制を整備し、助成を適正に実施しているかとしております。
 評価指標については、基本方針・実施方針に基づく体制の整備状況と、助成の適切な実施状況の2点としまして、それをモニタリングする指標としては2点ございます。助成の実施方法及び実施条件の整備状況と、助成金の管理及び執行状況の確認等としております。また、今後、運用の担当部署と助成の担当部署の2つができますので、助成業務と運用業務の適切な連携状況もモニタリング指標に加えております。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。大変分かりやすい説明でした。
 それでは、委員の皆様から御質問、御意見等ございますでしょうか。
 どうぞ、久保さん。
【久保委員】  久保ですけれど、御説明ありがとうございました。
 最後の評価軸のところで、機能・体制を整備し、新しい部署もできるということですけれども、人員とかはJSTさんのほうでどんどん増やしていけるという理解でよろしいでしょうか。いつもいろいろな業務が増える中で、体制的にどうなのかというのは非常に懸念事項ではあるんですけれども、そこら辺は問題ないと理解してよろしいでしょうか。
【大学研究基盤整備課】  今、準備室もできまして、皆さんは併任の方々と聞いておりますけれども、しっかりとした体制を整備していただいております。ほかのファンディング事業と違いまして、大学の選定や評価というところの責任は全て文部科学省にあって文部科学省がやりますので、既にできている大学ファンドの運用で出た運用益を、大学に対して助成していくという業務がJSTに加わります。これまでのファンディングといろいろ実務的な部分は違いがあるので、新しいチャレンジングなところはありますが、執行や経理といった実務に慣れた方々を集めていただいて、今、準備室が動いているという状況でございます。
【久保委員】  分かりました。ありがとうございます。
 あと1点だけ、ちょっと違う質問ですけれど、この国際卓越研究大学は、仕組みとしては非常に興味深いし大事だと思うのですけれど、最初に御説明された将来像があるじゃないですか。今回のこの制度をやることによって、こういう将来像になってほしいのですけれども、もしうまくいかないとしたら、どういうところに懸念点がありますでしょうか。もうこの制度でやれば本当にこのとおり行くのか。もしかしたらちょっとこの辺りが懸念だなというものをもしお持ちであれば教えていただきたいんですけれど。
【大学研究基盤整備課】  まず、左側の研究力の部分については、今までも大学はかなり取り組んできているところですけれども、独自基金をつくって運用していく部分は、私立大学で頑張っているところもありますけれども、まだあまり多くないので、ここはかなり新しいところなのでハードルが高いと思います。
 ただ、そこで運用益が生み出せますと、運用益は自由に使えるお金ですので、そこをきちんとガバナンスを利かせて、マネジメントして使っていくことができれば、大学のやりたいことが実現していくのではないかと期待しております。
【久保委員】  ちなみに、予算があれば、マネジメント、ガバナンスとしてはやっていけるだろうと期待されているということですね。承知しました。ありがとうございます。以上です。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 1点目の質問、JSTから何か御意見ございますかね。受ける側のJSTのほうで、こう考えているであるとか、何か懸念があるとか、大丈夫ですか。
【JST(鎌田)】  JST経営企画部長、鎌田でございます。どうもありがとうございます。
 先ほど文科省さんから御説明ありましたように、まずJSTで助成の準備室も立ち上げて、今、体制も整えつつあるところでございます。助成の実務につきましては、今後、公募が行われて、実際にその大学が認定・認可を受けてから実務が始まりますので、まだ現時点ではまさに準備室ということで、それの基となる体制をまず築いてきているというところでございます。JSTといたしましても、今実際にかなりの人数をかけて体制を組んでおります。運用の業務としっかり連携した体制を取りながら、助成の実務もしっかりやっていこうと考えております。
 以上でございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に参ります。川北先生から手が挙がっていますけれども。
 ミュートです。
【川北委員】  すいません。川北です。
 1点は質問で、単純な質問なんですけれど、モニタリング指標のところに助成事業と運用事業の適切な連携状況を見ていくと書いてあるんですけれど、これは具体的にはどういうことを想定されているのか教えていただきたい。もう1点は、国際卓越研究大学に関して、将来像として、自分で稼ぐ力があるのかどうか。これを評価していくんだということなんですけれども、これに関しては、JSTさん自身は、毎年毎年、選ばれた大学が、自分で稼ぐ力に関してどういう状況になっていくのか見ていかれるのかどうか。見ていかないというのであれば、それはむしろ文科省さんの業務だという、そういう位置づけなんでしょうか。
 この2点を教えていただきたいんですけれども。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 じゃ、文科省から。
【大学研究基盤整備課】  まず1点目のモニタリング指標の助成業務と運用業務の連携の部分を具体的にどう見ていくかです。大学ファンドが運用して出た運用益を大学への助成の原資としますので、ちゃんとファンドの元本を守りながら運用益を出していく運用業務と、なるべくたくさん助成をしてあげたい助成業務というところで、若干の利益相反のようなこともあるかと思いますし、担当理事も別で独立してはいますが、他方、運用益から助成を受ける大学に対して、運用の状況、市況によっては、来年度の次の運用益については、少し見通しがきついかもしれないから、大学のほうで執行に当たっては少し留意してほしいという注意喚起や情報交換をしてもらって、大学が安心して計画を進めていけるようにしたいと思っております。具体的には、連携の打合せの回数といったことを想定しております。
 あと、すみません。先ほど説明が足りなかった部分ですが、大学ファンドの助成については、大学がなるべく自由に使えるように、繰越しについても、評価のタイミングを除いては、基本的には大学のほうで裁量的にできるようにしていきたいと思います。大学のほうで、運用益が助成されなくて急に困ることがないように、見通しを持って事業を進めていけるように運用側の情報も適宜、もちろん機密性の高い情報もあるので難しい部分はありますけれども、一般的なことも含めて伝えていくようなことがあると思います。
 2点目の御質問の将来像、自分で稼ぐ力を見ていくのは、大学の評価をするのは文科省になります。ファンドの運用の知見は、これからJSTの運用部門にどんどん蓄積されていきますので、例えば大学と人事交流をするですとか、何か参考になるレポートをまとめるといった形で、JSTの運用部門から大学に対して知恵を授けていくようなことは、今後行っていくことを想定しておりますが、大学が自分で稼ぐ力があるかを評価するのは文科省の役目となります。
【川北委員】  今おっしゃったように、JSTさんが大学ファンドを運用されるに当たって、大学との人事交流みたいなものをやっていくんだということを以前におっしゃったのを思い出しましたが、それは人事交流の人数とか、そういうふうなものも将来的にはモニタリングの指標の中に入れていくということなんでしょうか。
【大学研究基盤整備課】  そうですね。卓越大学の選定が終わった後に、加えていくことも検討したいと思います。
【川北委員】  分かりました。ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 瀧澤さんから先に手が挙がっていました。
【瀧澤委員】  どうもありがとうございます。すみません。私の勉強不足でいろいろと分からないところを教えていただきたいんですが、欧米の世界的な大学との比較で、研究者1人当たりの研究費がやっぱり日本の大学は総じて低くて、トップレベルでも10分の1とか30分の1といったすごく貧困な状態だと思います。そういった中で、こういう大幅なてこ入れを一部の大学でもしていくことはすごく大事なことだと思って、歓迎しています。
 この卓越研究大学というものに一度認定された後は、その大学はもう未来永劫、認定条件を得られて、先ほど自分で基金を設けて自分で運用していくような力もつけていただくということもあったんですけれども、それが充実してきたら、その認定から外れるようなイメージになるんでしょうか。
 すみません。基本的なことで申し訳ないんですけれども、そうしたときに、安定的に国から最初に認定されたとして、それが外れるのだと、逆にモチベーションの面からすると逆方向の力が働くような気がするんです。基本的な制度設計についての質問で、JSTさんの事業に対する質問じゃなくて申し訳ないんですけれども、教えていただければと思います。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 どうぞ、文科省から。
【大学研究基盤整備課】  ありがとうございます。すみません。認定と認可という2つの言葉を使っており、丁寧に御説明できておらず申し訳ございません。
 文部科学省のほうで、まず国際卓越研究大学を認定しまして、その大学がつくる研究等体制強化計画を認可して、その計画に対してお金を、大学ファンドの助成をしてまいります。その計画の期間は最長で25年間ですので、助成をするのは25年間ですが、計画期間が終わっても国際卓越研究大学の認定自体は続きます。計画が終わった後も、大学ファンドの助成は終わりますが、国際卓越研究大学という認定はそのまま、認定条件を満たす限りは残ってまいります。
 この説明でよろしいでしょうか。
【瀧澤委員】  認定されると、その大学はどういう恩恵があるわけですか。
【大学研究基盤整備課】  認定されただけではお金はもらえないですけれども、認定された上でつくった計画が文部科学大臣に認可されれば、その認可された計画に対して25年間、大学ファンドからの運用益が1校当たり数百億円ぐらいと見込まれますけれども、支援が行われるということでございます。
【瀧澤委員】  ありがとうございます。最大25年間ということですね。
【大学研究基盤整備課】  最大25年間の支援をしている中で、大学の独自基金を積み立てていただいて、25年間の期間中にJSTからの支援を受けて大学で研究環境整備に使っていたお金というのは、26年目以降は大学が積み立てた独自基金を運用した運用益で相当の額を生み出せるような、そういった体制を25年間かけてつくっていくことを求めています。
【瀧澤委員】  分かりました。途中の打切りとかもなくということですね。
【大学研究基盤整備課】  10ページ目の「3-(4)計画期間」の一番下にありますけれども、もちろん途中で、6年から10年を目安に、一定期間ごとに支援の継続の可否に係る評価はしっかり行ってまいりますが、25年間を終えたときには、しっかりとした運用益で自ら支援を受けた分はカバーできるようなものが達成できるような計画をつくってもらって、それを認可していくということになります。
【瀧澤委員】  分かりました。
 あともう1点なんですけれども、年度ごとに新たに国際卓越研究大学が増えていくというイメージでなくて、最初に決めた、一斉にスタートした数校が、25年間、一斉にやるというイメージですか。毎年、1校、2校ずつ増やしていくんではなく。
【大学研究基盤整備課】  こちら、まだ大学ファンドもできたばかりで、目標として3,000億円の運用益を毎年出していくことを目標にはしていますけれども、最初はそこまで出せませんので、運用状況を見ながら、全体でも数校程度ですし、さらに最初の今回公募を開始する部分では、数校全部を一度に決めるのではなくて、まず最初の何校かを選んで、また次の公募をして、何回かやりながら、それでも全体で数校程度ということで考えております。
【瀧澤委員】  分かりました。ありがとうございました。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 どうぞ、長坂先生。
【長坂委員】  ありがとうございます。長坂です。毎回、この話を聞かせていただいて、どんどん具体的になっていくんですけれども、もちろん大変チャレンジングで、今までやったことのない、金額においても、年月においても、それからアイデアにおいても、全くチャレンジングであるのはすばらしいと思う一方、これが失敗したら、もう日本の大学は研究大学として世界中で存在し得ないというふうなことだと私は思っているので、これが成功しない限り、日本にはもう大学というのは、国際的な意味の大学はもうないぐらいに思っています。
 そういう意味で、このやり方というか制度設計は大変重要なことだと思う中で、文科省の役割とJSTの役割が最初からとても気になっています。分けなきゃいけないんだと思うんですが、認定とか認可とかそういう基本的なルール的な部分は文科省が担う一方、JSTは、これはなんですかね。お財布なんですかね。資金を運用して、それを管理して、執行するということだと思うんですが、そういう分け方を最初から非常に厳しくやってしまうと、不可分な部分がたくさん出てきて、例えばですけれども、認可してファンディングをしたけれども、何か問題が仮にあったとした場合に、じゃ、どっちの責任だとかどういうふうに。もう、これ、成功しなきゃいけないものだと思うので、駄目だったらすぐ変えなきゃいけないという要素もあるに違いないと思うんですよね。
 そういう場合に、責任のなすり合いという言葉はちょっと悪いですけれども、どっちのことでこうなっちゃったんだろうというのは、結局誰も分からないまま先に進んで、25年先というと、ここにいる方のほとんどの人はこの仕事をしていないし、この世の中にいないかもしれないので、もっと誰も責任が取れなくなると。それで日本の大学は……。
 すごく悪いほうをイメージして、すみません。最悪のことをいつも考えてやる人間なので、最悪になった場合にはどうするんだろうと思うんですね。そういう制度上の問題はないんですかね。というか、いつも修正をし続けないと、これはできないと。一回やったらうまくいかないから、ここのところはちょっと直さなきゃいけないなというような臨機応変な部分が、チャレンジングであるがゆえに不可欠と思うんですが、その部分は何かやり方みたいなものを既にお考えなんでしょうか。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 どうぞ、文科省から。
【大学研究基盤整備課】  ありがとうございます。今まさに新しいチャレンジングなことをやっているので、まず最初の組立てを一生懸命頑張っているところです。最初から完璧なものを頑張って目指しはしますが難しいですし、また時代も当然、25年と長い間支援していくと社会の状況も変わっていきますので、軌道修正はしていく必要がありますし、基本方針についても、文部科学大臣決定ですけれども、これも時々に変わっていくとは思います。
 ただ一方で、大学側としては、計画が認可されたら数百億円、25年間もらえると思って計画をたてたのに、途中で打切りになってしまうというのは、もちろん運用益の変動によって、思ったほど助成を受けられない年はもしかするとあるかもしれないものの、事前に予想されないところで突然制度がなくなることはないように、長坂先生もおっしゃったように、随時見直しをしていくということは大事だと思っております。
 文部科学省は当然としても、政府も、この新しい試みで、これでうまくいかなかったらという危機感は持っております。その点は、もうかなり大学側にも伝わっていると感じております。数百億円というお金自体は魅力的なものかもしれないですけれども、大学側にもきちんと覚悟を持って取り組んでいただく必要がありますし、文科省側もその覚悟でやっていっているところでございます。
【長坂委員】  確認ですけれども、具体的に、いつも修正をするとか見直しをするメカニズムというか、そういうグループというんですか、そういうものは最初に設置されるわけではないんですか。
【大学研究基盤整備課】  そうですね。修正のメカニズム、何年か後に必ず基本方針を見直すというような組み込み、制度設計は今の時点ではしていません。
【長坂委員】  してあるんですね。
【大学研究基盤整備課】  そこはまだないです。
【長坂委員】  ないですか。
【大学研究基盤整備課】  はい。
【長坂委員】  法律上で何年後かに見直すとか、そういうようなことは、用意はないんですね。
【大学研究基盤整備課】  法律を確認します。
【長坂委員】  何かそれがないのがちょっと怖いなあと。今ここで私が言ってもどうにもならないことかもしれませんが。
【大学研究基盤整備課】  具体的にいつ見直すという規定はございません。
【長坂委員】  ないんですね。
【大学研究基盤整備課】  はい。こちらは、動かしていく中で文科省だけで進めるのではなくて、認定・認可のプロセス等で財務大臣に協議することや内閣府に協議すること、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)や文部科学省の科学技術・学術審議会の意見を聴取するなど、そういった仕組みを認定・認可の部分ではつくっていますので、例えば財政的な面でこのままではよくないという状況になってくれば、当然財務省からいろいろあるでしょうし、また、国の科学技術政策の全体を見て、内閣府からも厳しい目でいろいろ言われることもあると思いますので、そういった中で随時改善は、当然していくものと考えています。
【長坂委員】  そういう意味で、だから国民がみんな見えるようにしておかないと、普通の人が見て、これは相当大きいことなので、大学のことは関係ないやみたいに思っている人にも分かるような発信というんでしょうかね。何かそういうものも、これからなんでしょうけれど、しておくといいのかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【大学研究基盤整備課】  ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 時間も押していますが、篠藤先生、何か御意見、御質問ございますでしょうか。
【篠藤部会長代理】  先ほど挙手しておりましたが、長坂先生の御質問で大体分かりました。
 あと1点だけ、すみません、簡単なところで。モニタリング指標のところですが、2つ目と3つ目、リスク管理状況や運用状況もモニタリングしていくということになりますが、ここは体制がどうであったかということを評価すればよくて、運用状況の数字的なところは評価の対象にならないというふうに考えたらよろしいんでしょうか。
【大学研究基盤整備課】  資料の黒字の部分、今回の変更はない運用の部分ですけれども、体制の部分を評価していって、運用がうまくいったとか失敗したといったところは直接評価の対象ではなく、あくまでモニタリングしていくということとしております。
【篠藤部会長代理】  ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問あるかもしれませんが、もう時間も来ておりますので、ここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
【大学研究基盤整備課】  ありがとうございました。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、皆様からいただいた評価軸とか評価指標ですね。御意見がございましたけれども、これを修正するかしないか、具体的な反映につきましては、部会長の一任とさせていただきますが、よろしいでしょうか。
(「大丈夫です」の声あり)
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は以上になります。
 各委員の皆様から、本日の議題にかかわらず、何かこの機会に御発言等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、最後に連絡事項等ありましたら、事務局より説明をお願いいたします。
【近藤課長補佐】  ありがとうございます。長時間にわたって盛りだくさんでしたが、本日、御議論いただきましたこの中期目標の変更案につきましては、いただいた御意見を踏まえて部会長と御相談させていただきまして、今後のスケジュールとしましては、年明け1月に文科省の中の研究開発法人審議会総会での審議。その後、財務省、総務省との協議を進めてまいります。協議の過程で、また追加の変更点等出てきましたら、委員の皆様にもお知らせさせていただきたいと思ってございます。
 最後に、人材政策課長の橋爪から一言いただければと思います。よろしくお願いします。
【橋爪課長】  先生方、お忙しい中、本日もありがとうございます。
 令和3年4月からほぼ2年間ということで、まだちょっと早いのは早いのですが、今期のJST部会の会合、御参集いただく機会というのが今回で最後ということを、うまくいけば予定しておりますので、少し早くなりますが、感謝の気持ちを述べさせていただきたいと思います。
 本当に、令和3年4月からほぼ2年間、お忙しい中、JSTの運営に関しまして、お時間を割いていただきまして、ありがとうございます。令和3年度からは、先ほどの議論でも改めて感じておりましたけれども、国の科学技術イノベーション政策も大きく変化、飛躍してきている年、期間であったのではないかと感じております。
 同時期に科学技術イノベーション基本計画の第6期がスタートしております。イノベーションという言葉が入りまして初めての計画になっております。また、今日も御議論いただきましたけれども、大学ファンドによる支援という、非常に長期で新しい手法を活用した支援というのも具体的に動き出しているという状況でございました。
 そういう中で、JSTは非常に役割が大きくなっていて、期待も大きくなってきているという状況でございます。新しい中長期目標についてもスタートするという時期でございました。そういう節目の中で、先生方には、JSTの今後の運営も見据えた非常に活発な御議論をいただきまして、私自身は着任が7月なので、直接御指導いただくのは短い期間ではございましたけれども、その間にも、評価のみならず、中長期的な視点からもいろいろと御助言いただいて、大変感謝申し上げております。
 これまでの先生方の御議論、その目標期間で完了したことと、まだもう少し先を見据えてやっていかないといけないこと、それから、JSTに対する御指摘もありますれば、私ども文科省のこの評価、PDCAサイクルに対する御意見もいただいております。ぜひ事務局といたしましても、これまでの議論は次期のJST部会にもしっかり持っていって、つなげて、さらにJSTが期待に沿って活動していけるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 本当に少し早くて恐縮ではございますけれども、部会長はじめ先生方の御尽力に感謝申し上げまして、最後、まとめの挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございます。
 以上でございます。
【五十嵐部会長】  橋爪課長、ありがとうございました。
 ほかにありますか、近藤補佐、何か。よろしいですか。
【近藤課長補佐】  大丈夫です。
【五十嵐部会長】  大丈夫ですか。
【近藤課長補佐】  ありがとうございます。
【五十嵐部会長】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局 人材政策課

(科学技術・学術政策局 人材政策課)