国立研究開発法人審議会 科学技術振興機構部会(第19回)議事録

1.日時

令和2年2月4日(火曜日)15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省 東館13F 13F1~3会議室

3.議題

  1. 国立研究開発法人科学技術振興機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)に関する変更案について
  2. 国立研究開発法人科学技術振興機構の令和元年度における業務の実績に関する評価に関する今後の予定について

4.出席者

委員

五十嵐部会長、ヴィーツォレック委員、金澤委員、久保委員、篠藤部会長代理、瀧澤委員、三上委員

文部科学省

奥野人材政策課長、河原人材政策課長補佐 ほか

5.議事録

【五十嵐部会長】 どうも皆さん、こんにちは。定刻より少し早いんですけれども、全員そろわれましたので、ただいまから文部科学省国立研究開発法人審議会第19回科学技術振興機構部会を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただき、まことにありがとうございます。
最初に、出席者の確認及び配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
【河原人材政策課課長補佐】 ありがとうございます。本日は長坂委員が御欠席となっております。過半数の委員の皆様には御出席いただいておりますので、会議の定足数を満たしていることを御報告させていただきます。
また、本日はJSTの中長期目標の変更について御議論いただきますが、部会運営規則に基づきまして、本日のJST部会は公開にて開催をさせていただきます。
また、資料はお手元のタブレットに保存しておりますけれども、議事次第、座席表、資料1-1から1-8、資料2、そして参考資料が1から9までとなっております。具体的な内容は議事次第に記載のとおりですけれども、議事進行の過程で不備等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
また、机上には、議事次第、座席表、資料1-1から1-8、資料2、参考資料の2と9を配付しております。欠落等ございましたら事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。
事務局からは以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして、本日の部会の進め方について事務局から説明をお願いいたします。
【河原人材政策課課長補佐】 本日の部会の進め方ですけれども、まずJSTの中長期目標の変更に関する概要等について、人材政策課長の奥野から説明をいたします。その上で、中長期目標の具体的な記載内容について事業担当課より説明をした上で、議論を行っていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【五十嵐部会長】 それでは、議題の1番、中長期目標変更案についてに入ります。まず事務局から、今回のJSTの次期中長期目標の変更に関するポイント及び今後のスケジュール及び人材活用の方針について説明をお願いします。
【奥野人材政策課課長】 人材政策課でございます。お手元の資料1-1をごらんください。今回審議をお願いしております中長期目標の変更事項と変更事由について簡単に概要を申し上げます。資料1-1の1ポツ、「平成30年度第二次補正予算に伴う変更」として、ムーンショット型研究開発の評価軸等の設定がございます。こちらにつきましては、後の説明にもございますが、科学技術・イノベーション活性化法及び同法に基づくJST法の規定に基づきまして、JSTの中に基金を造成して事業を行う場合には、法律に基づき中長期目標に記載が必要になってございます。その法定記載事項をムーンショットの際も行っておりますが、その記載を行った時点において、細かい目標等がまだ内閣府等の審議が終わっていませんでした。これが先般、総合科学技術・イノベーション会議におきましてムーンショット目標等が決定されたことを受けまして、この基金造成の中長期目標時に具体化していなかった事項を具体化することが可能になりましたので、今回、それを具体化するものでございます。
2ポツ「令和元年度補正予算に伴う変更」でございます。最初の丸の創発的研究支援事業の追加に係る箇所につきましては、令和元年度補正予算におきまして創発的研究支援事業のための必要経費が計上され、これがJSTに基金を造成して行う旨が決定されてございます。したがいまして、先ほど申し上げたとおり、法律上の規定として、これも法律上記載事項として、基金造成の場合には中長期目標への記載が必要となるという観点から、今回必要な事項を追記するという形でございます。
次の「令和元年度補正予算に伴う変更」の2つ目の丸の「持続可能開発目標達成支援事業の追加」でございます。こちらも同様に補正予算の事業ですが、説明にあるとおり、こちらは補助金交付事項でございますので、先ほど申し上げた基金と違いまして、法律上の必要的な変更事由にはなってございません。ただ、担当課等の判断といたしまして、これまで行っていた事業の範囲の中で読めるかどうか不明な、社会実装に向けた実証試験等を行うというのが現行中期目標の範囲で含まれていることを明示するという観点から、今回所要の改正を行うこととしたものが2つ目の丸でございます。
次に、3ポツ、令和2年度予算案に伴う変更事項です。「共創の場形成支援における分野等の提示の追加」、こちらにつきましては令和2年度予算案において共創の場形成支援で、JSTが拠点形成を行って支援している際に、あらかじめ国の方が、それぞれの拠点に関して必要な研究開発分野等を決定した上で実施していただくという形になってございます。こちらについては、独立行政法人制度におきましては、国の側の法人に対する関与は中長期目標をベースに行うのが制度の基本的な考え方になっておりますことから、国の側が拠点支援において、あらかじめ分野を決める、そういった関与事項を中長期目標の中で明確化しようとするものが3ポツでございます。
ただ、3ポツの「令和2年度予算案に伴う変更」につきましては後ほど御説明申し上げますが、現時点において、国会審議の状況等で、政府の提出した予算案が成立してございません。したがいまして、今回の内容そのものとこの予算案との成立の関係性につきましては、文部科学省ではなくて、最終的には財政当局、財務省において対応方針等が審査されることになります。したがって、3ポツの事項につきましては、予算案の成立のタイミング等を踏まえて、今回の中長期目標の変更の対象たり得るかどうかは、後日、財政当局の側の判断が入りますので、状況によっては、この3ポツの内容は今回、財政当局との調整の過程で、まだ予算未成立という観点で、記載するか記載しないのかに関して事後的な判断が行われ得るという点をあらかじめ明示させていただきます。
次に、4ポツ「その他」でございます。「人材活用の方針の追加」でございます。こちらについては法律ではございませんが、いわゆる独立行政法人全般を所管しております総務省の行政管理局の法人全般に関する共通的な指導といたしまして、各法人において人材確保・育成に関する方針を定めて、それを中長期目標において記載するという一律の各法人への対応が求められておるところでございます。これにつきましては、各法人において所要の方針等を定めた上で、その後、中長期目標変更の一番喫緊の機会において、中長期目標等に当該方針に基づいて人事運営等を行うものを記載することというのが、各法人に対する統一的な指示でなされてございます。さらに追加的には、JSTは研究開発法人でございまして、研究開発法人につきましては、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の中におきまして、人材活用に対する方針を定めることが定められており、その人材活用等に関する方針を、ここで総務省が求めてございます人材確保・育成に関する方針として定めるというのが、これがいわゆる独立行政法人及び国立研究開発法人共通の対応として求められておるところでございます。
説明、担当課が同じでありますので、順番は先後いたしますが、こちらにつきましては、お手元の資料の一番最後の1-8をごらんください。お手元の1-8の事項におきまして、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律に基づく人材活用等に関する方針」というのが添付されてございます。こちら、1ポツ、2ポツとございまして、基本方針の中で一応、JSTとしての人材活用に関する基本的な考え方が定められており、詳細、説明いたしませんが、2ポツに、それぞれ2ポツの(1)から順番に「研究開発等の推進における若年研究者等の能力の活用に関する事項」等、(1)(2)(3)(4)が、科技・イノベーション活性化法に基づいて、当該方針に定めることと法律で定められた事項がそれぞれ定められております。また、最後に3ポツとして、「人材育成・活用等に関する取組」というのが定められておるところでございます。
これを受けまして、お手元の1-2をごらんください。こちら、今回の中長期目標にどのようにこれを記載するかと申しますと、これを順番にめくっていただきまして、1-2の4ページをごらんください。1-2の新旧対照表でございます。こちら、JSTの、いわゆる内部管理等に係る事項の人事に関する事項の中におきまして、機構の職員及び機構の事業を通じた科学技術・イノベーションを生み出す人材の確保・育成については、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第24条に基づき策定された人材活用等に関する方針に基づいて取組を進めるという形で、人事運営の準拠規範が記載されてございます。
ただ、研発法人の中で理化学研究所等は、先ほど言った若年研究者というものと理研の職員というのは同一人格にはなりますが、JSTはファンディングエージェンシーでございますので、ファンディングの対象としている研究者と職員とが必ずしも同一人格にはなりません。そういった意味で、これを準拠規範にしつつ、「なお」以下で、ここは人事に関する事項ですので、機構の職員の部分に関してはそういったものの機構の職員に係る部分を特に準拠した上で人事運営を行う旨というのが、次以下につないで記載されているというとおりになってございます。こちらも一応、制度上の共通的な対応という形で、形式的にこのように対応させていただいてございます。
その上で、次に1-3、今後のスケジュールに関して最初に御説明申し上げます。今回の審議等の律則につきましては、法令制度上は、一連の意見聴取等のプロセスに関しては、最終的には1-3の真ん中の総務省の独立行政法人評価制度委員会における付議を行うことになってございます。これが2月19日に設定されてございますので、これが本件プロセスの律則となってございます。本日のJST部会が終わった後、さらに、その上にあります国立研究開発法人審議会に付議した上で、総務省にこれを提出するプロセスになってございますが、文科省の国立研究開発法人審議会につきましては今回は審議会が開催できませんので、書面審査という形で若干の日数が掛かります。こちらが2月6日から2月12日となってございます。したがって、本日御議論いただいた上で、本日の議論の結果を2月5日中にはまとめて、6日には、研発審の委員に書面審議を付議すると。総務省の独法評価委員会の日程の関係上、極めてタイトなスケジュールとなってございます。これが終わってから、その後に、法令に基づきまして、財務省の財務大臣協議がありまして、こういった一連のプロセスで、先ほどの箇所等の財政当局としての意見を反映した上で、3月中に文科省において中長期目標の決定、さらに中長期計画の認可等の一連のプロセスを今年度中に終えることで、基金の造成その他を年度内に完成させることを現在目指しているところでございます。
以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。
それでは、個別事業の目標変更案に進みたいと思います。本日議論いただくのは、ムーンショット型研究開発の評価軸の設定、創発型研究支援事業の追加、持続可能開発目標達成支援事業の追加、共創の場形成支援における分野等の提示の追加の4つです。
まず、それぞれの分野について事務局から説明をしていただきます。各項目で事実関係等の確認を要する点があれば、その都度3分程度確認の時間を確保しております。最後に全体の質疑応答の時間を30分程度確保しておりますので、内容についての具体的な質疑は最後にまとめてお願いしたいと思います。
それでは、ムーンショット型研究開発の評価軸の設定から説明をお願いいたします。
【黒川課長補佐】 研究開発基盤課でございます。お手元、資料1-4の「ムーンショット型研究開発制度について」の資料を御用意ください。
まず2ページ目でございますけれども、この事業は、未来社会を展望して、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待されて、多くの人々を魅了するような斬新かつ挑戦的な目標を掲げて、関係府省が一体となって研究開発を推進するというもので、平成30年度の補正予算でスタートしたものでございます。制度の枠組みとしましては、下の図にありますとおり、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)でムーンショット目標を定めまして、予算といたしましては、文部科学省に800億円、経産省に200億円ということで、それぞれ基金を作って研究開発を進めていこうというものでございます。
これまでの経緯でございますけれども、昨年の3月に、補正予算を踏まえた基金の造成ということを中長期目標の変更でさせていただきまして、その後、3ページ目でございますけれども、具体の研究開発のムーンショット目標についての検討を進めてまいりました。具体的には、7月までの間、内閣府においてビジョナリー会議というところで、今後、研究開発を推進すべきエリア、ビジョン、ムーンショット目標の例ということで25個の目標例が掲げられまして、その後、諸外国の状況調査等々を行いながら、12月17、18日に国際シンポジウムを開催いたしまして、6つの目標案を候補として出しまして、それを、先月の末ですけれども、1月23日に、総合科学技術・イノベーション本会議で、ムーンショット目標ということで6つの目標を決定いたしました。早ければ今月にも、研究開発を担うプロジェクトマネジャー、PMと研究提案を、JST、NEDOとそれぞれで公募を行い、夏以降、研究開発のスタートをしていきたいと思ってございます。
4ページでございますけれども、具体の研究開発目標でございますけれども、制度全体の考え方としまして、Human Well-being(人々の幸福)を目指して、その基盤となる社会・環境・経済の諸課題を解決すべく6つの目標を決定しようということで、右側の1から6までの目標が決定をされました。このうちJSTで担当をすることになりましたのが、赤で囲っております4つの目標でございます。まず目標1の「人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」、目標2「超早期に疾患の予測・予防することができる社会を実現」、3「AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」、6の「経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」というものでございます。後ろの方に参考ということで、目標の内容の詳細は付けさせていただいてございます。
きょうの中長期目標の変更ということで申し上げますと、まず5ページなんですけれども、全体の制度の運用の方針につきましては、総合科学技術・イノベーション会議で、ムーンショット型の研究開発制度の基本的な考え方を昨年、平成30年度の12月に一度定めておりまして、さらに今年の補正予算で、AMEDと農研機構にも新たに基金を造成するということで、一部改正の作業を進めているところでございます。ここに付けさせていただいていますのは、1月23日に総合科学技術・イノベーション会議で審議をされたものでございますけれども、JSTの役割としましては、6ページでございますけれども、まず左側にございますとおり、研究開発に係る業務を行う研発法人を「研究推進法人」とこの制度で呼んでおりますけれども、科学技術振興機構を位置付けまして、基金を設置するということ。これは去年から書いてあるわけなんですけれども、具体の業務としまして、右側に囲ってありますところですけれども、ムーンショット目標の達成に向けて研究開発の実施を行うということで、研究開発のマネジメントを行うPDを任命する。これは、ムーンショット目標ごとに1名ずつ任命することを予定してございます。その後、目標ごとにプロジェクトマネジャー(PM)を複数公募、採択をしていく。それから研究開発の実施、付随する調査・分析機能を含め、研究開発体制を推進していく。それから、関係府省それぞれにまたがってくる部分がございますので、左側のところに線がありますけれども、関係府省が一体となって研究開発を推進するために、戦略協議会というのを今後設けようということになっておりまして、そこでの議論を踏まえて、関係府省と連携しながら、研究開発を戦略的かつ一体的に推進する。それから、中間評価、終了時評価を含めた研究開発の進捗管理を行うということが定められまして、さらに、先週の総合科学技術・イノベーション会議の有識者会合で、具体の運用評価指針というのを議論しておりまして、もうすぐ確定をする見込みでございます。
それを踏まえまして、中長期目標の変更の案でございますけれども、お手元の資料1-2の7ページをごらんください。本文の方は既に、昨年、ムーンショットについては書き込ませていただいておるんですけれども、評価軸につきまして、昨年度は年度末に基金を造成するということでございましたので、2.6.の表の評価軸、評価指標、モニタリング指標というたてつけになっているんですけれども、去年は基金を設置し、研究開発を推進する体制の整備が進捗したかということを確認することになっておったんですけれども、ムーンショット目標あるいは、その下にあります評価指針というのが定まってまいりましたので、ほかの事業と同様に、業務プロセスと成果の2つに分けて、JSTの取り組むべき事項、それをどう評価するかということで書かせていただいておりまして、まず、業務プロセスの評価軸につきましては、ムーンショット目標達成及び研究開発構想実現に向けた研究開発を適切に推進したか。それから、評価指標につきましては、目標、構想の実現に向けた活動ということで、各目標を統括するプロジェクトディレクター(PD)の任命、具体の研究開発を担うPMの公募、関係府省と一体になって進める戦略協議会への報告、最先端の研究支援に向けた取組ということを指標として掲げまして、さらに、業務のモニタリングの指標としまして、PDの任命実績、PMの採択実績、複数の提案を、プロジェクトを組み合わせて、いいものをどんどん伸ばしていこうというプロジェクトでございますので、ポートフォリオ(プロジェクトの構成)、資源配分等のマネジメント計画の構築、見直し実績、戦略協議会への報告実績、最先端の支援実績などをモニタリングしようとしております。
さらに、そういったプロセスを経て、最終的な成果としましては、評価軸では目標達成及び構想実現に向けた研究成果がきちんと創出をされたか。それを評価する指標としましては、目標達成、構想実現に向けた成果の創出、成果の展開、見通しがどのようにできたか。それをモニタリング指標としましては、外部専門家による各プロジェクトの評価を適時行っていくわけですけれども、その中でマイルストーンが達成されたとみなされるかなど、すぐれた進捗が認められるPMの数、あるいは国際連携ですとか産業界との連携、橋渡しがどういったふうに進んでいるかということを見ていってはどうかというものでございます。
ムーンショットについては以上でございます。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。何か確認を要する点等ございましたら、3分ほど時間がありますけれども。
どうぞ。
【久保委員】 別紙の1-2の7ページ目の中段、評価指標とモニタリング指標には書いています「最先端の研究支援に向けた取組」というのと「最先端の支援実績」というのは、具体的にはどういうものなのでしょうか。
【黒川課長補佐】 ImPACTのときと比べましても、JSTには実はいろいろなことが期待をされてございまして、ばくっと「最先端」と書かれておるんですけれども、例えば運用評価指針の中には、プロジェクトを進めていく上で、PDなどの要望を踏まえて、国内外の研究開発動向、成果の社会実装に向けた取組もしっかり支援していくと。それから、特に倫理的・法制度的・社会的、いわゆるELSIの問題も含むような研究開発もやっていきますので、そういった人文社会の方々とも連携しながらの研究開発をしっかり支援していけるような体制を作っていく。あるいは、先進的なデータマネジメントということで、最近、研究データをどう活用していくかというのも、総合科学技術・イノベーション会議でも議論が出ておるところですので、そういったところも支援していくことが想定をされておるんですけれども、さらに詳細につきましては、今後、各PMが採択されてから、さらにPD、PMの御意向などを踏まえながら検討していくものと思っております。
【五十嵐部会長】 このムーンショットは、先ほどちょっと出ましたけど、ImPACTの後継に近いような事業になりますよね。JSTが担当する4つの目標の内容も含めて、後ほどの全体質疑のときに結構話題になるかと思いますので、この場ではもう……、ありますか。全体の質疑で時間を取ってありますので、この場では次に進めさせていただいてよろしいですか。後ほど時間を取ってありますが、今、いいですか。
【ヴィーツォレック委員】 後でもいいです。
【五十嵐部会長】 ここは話し出したら結構長くなりそうな感じがしますので、後ほど、ゆっくり時間を取ってございますから、その場でやろうと思っています。
それでは、続きまして創発的研究支援事業の追加についての説明をお願いいたします。
【濱田専門官】 研究振興局基礎研究振興室の濱田と申します。創発的研究事業について御説明させていただきます。資料1-5をごらんください。本事業は、令和元年度補正予算によりJSTに500億円の基金を造成し、実施するものです。いわゆるボトムアップ型の研究支援で、研究者がしっかりと腰を据えて、自由で挑戦的な研究に打ち込める環境を作ることを目的としております。
当資料の概略のところをごらんください。本事業の対象者は、大学等における独立した、また独立が見込まれる研究者個人です。本事業は制度設計中ではありますが、博士号取得後何年以内というような年、また、育児、出産等のライフイベントを除くなど、適切に多様性に配慮した設計をすることを想定しております。
予算の規模、期間についてですが、支援単価は平均で700万円を想定しております。平均としておりますのは、研究分野などに応じて一定の幅があることを想定しているからです。支援期間については最長10年としておりまして、3年目と7年目にそれぞれステージゲートを設け、研究機関における環境整備等の研究支援や研究者の研究への取組状況等を評価することとしております。また、他の大型研究費へのステップアップも積極的に奨励していくことを想定しております。
公募の対象分野ですが、自由で挑戦的、有効的な研究を支援するものであり、他のJST事業のように、国が戦略等を定めて実施するというものではなく、事業趣旨に合致するものであれば、JST法の範囲内になりますが、広く採用することになろうかと考えております。採択件数につきましては、基金という特性を生かしまして、3年程度にわたって合計700名程度の個人を採択することを想定しております。
また、予算・期間の下のところに、別途、環境整備改善のための追加的な支援も実施とありますのは、3年目以降に、部局などの組織的な広がりを持った単位による研究環境改善につながる取組に対して、先ほどの700万円とは別途、追加配分を行うものです。1件当たりの規模等につきましては、まだ未定ではございますが、柔軟性を持ったものになることを想定しております。
次のページをごらんください。先ほど御説明させていただきましたとおり、本事業は大学等における独立した、又は独立が見込まれる研究者となっております。最長10年間にわたる柔軟で安定的な研究費の支援と研究に専念できる環境の確保を一体的に推進することによって、若手研究者を中心とする多様な研究人材の潜在能力を最大限に引き出しまして、我が国の基礎研究力の底上げを狙うものです。また、他の施策等も総合的に推進することで、若手を中心としたキャリアパスの好循環を図ることとしております。
今御説明した内容につきましては、政府予算案を基にした現段階の構想でありまして、詳細につきましては今後、実施機関のJSTに置かれるカバリングボード等の検討を経て確定していくことになろうかと考えております。
次のページをごらんください。本事業の設計のために、都市部、地方大学含めて70人以上にヒアリングを実施しておりますので、結果を簡単に御紹介させていただきたいと考えております。
ターゲットとする研究者層につきましては、一番最初のポツになるんですが、独立していない研究者に研究費を支援しても、研究室で自由に使うことができない。野心的な研究の遂行には独立性が担保されていることが重要。2番目、最近は35歳くらいまでの若手支援は手厚くなっており、それ以降の中堅が弱っている。3番目ですが、PIとして独立した若手が本当に困っている。若手研究者を40歳未満といった年齢で区切るのではなく、博士取得後丸年としてほしい。博士取得後15年ぐらいが妥当ではないか。また、採択時の要件につきましては、これも一番最初のポツですが、本事業でテニュアポスト化を要件とするのはよくない。ポストの空きぐあいに依存するため、大学当局の都合で申請できない、させてもらえないなどの問題が起こる可能性がある。
また、一部報道で言われているようなポスドク支援策の位置付けは適切ではない。ポスト確保に向けた取組は大学の中で行われるものであって、一過的な事業の中で取り組むべきではない。
次のページをお願いいたします。審査の観点につきまして、支援期間中、研究計画が変更になることが想定されるため、研究テーマの大きなビジョンとともに人で評価することが重要。2番目、人で見ることを重視すべきであり、このため面接は必須。質疑応答の時間を長く取るべき。また、追加的環境改善支援につきまして、設計として非常によく考えられている。大学の取組に応じた追加的な支援というところも新しい取組でよいと思うという意見を頂いておりまして、これらの意見を参考に制度設計を行っているところです。
また、資料1-2、新旧対照表をごらんください。こちらの2.7.に「創発的研究の推進」ということで追加されております。こちらの資料の4ページに、「創発的研究の推進」という項目がございまして、先ほど申し上げたような趣旨に基づいた趣旨の記載をさせていただいているところでございます。
また、一番最後のページに、創発的研究の評価軸、評価指標、モニタリング指標ということで記載させていただいております。評価軸につきましては、業務プロセスのところで国から交付される補助金による基金を設置し、研究を推進する体制の整備を進捗したか。創発的研究を推進するための研究マネジメントは適切か。成果としましては、新技術の創出に資する成果は生み出されているか。創発的研究の遂行にふさわしい研究環境の整備が進捗したか。これらの評価軸に基づいて、評価指標、モニタリング指標とも記載してございます。
私からの説明は以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。これも大変重要な取組で、これも恐らく、議論をし始めたら切りがないかと思うんですけど、ここの場で何かお聞きしたいことがありましたら、1つか2つ、確認する点がございましたら。これもよろしいですか。では、後ほど、30分の時間のところで議論しようと思います。
それでは、次に移ります。続きまして、持続可能開発目標達成支援事業の追加について説明をお願いいたします。
【福島室長補佐】 国際戦略官付でございます。資料1-6をごらんください。持続可能開発目標達成支援事業ということで、補正で11億円措置される予定になってございます。施策の目的でございますが、我が国の科学技術イノベーションを活用して途上国でのSDGs達成に貢献するとともに、我が国発の研究成果等の海外展開を促進することを目的とした事業でございます。
施策の概要ですが、アフリカ・アジア等の途上国におけるSDGs達成に向けて、規制や社会受容等の壁により、実用化のステップに進めていない我が国の科学技術について、現地での実証試験等を実施することにより社会実装を促進するというものです。
最後にありますけれども、本事業での取組により、我が国発の研究成果等の海外展開を促進するという事業でございます。国際共同研究等で成果が生まれているんですけれども、社会実装にあと一歩のところで進めていないものについて実証試験等を行って、社会実装につなげていく、そういう支援をする事業でございます。
3番の事業スキームですけれども、国からJSTに補助金を交付いたしまして、JSTが研究者を公募して委託をするという形になってございます。支援対象機関は大学、公的研究機関等、支援額は、小規模、中規模それぞれ3,000万、9,000万程度、支援期間は1年間となってございます。
次のページをごらんください。「社会実装化に向けた持続可能開発目標達成支援事業の位置付け」という資料でございますけれども、研究開発から社会実装までを3つのフェーズに分けて整理をさせていただいております。一番左側の研究開発フェーズでございますけれども、こちらについては、JSTでSATREPSという事業をやっておりまして、社会実装につながるような研究成果が出ております。ここから直接社会実装フェーズにつながるものもあるんですけれども、何らかの障壁で足踏みをしているものもありますので、それを真ん中の実証実験フェーズで今回の事業により支援をするという形になってございます。
次のページはSATREPSの概要ですので、参考でごらんいただければと思います。
資料1-2、中長期目標でございますけれども、3ページをごらんください。2.3.「国境を越えて人・組織の協働を促す国際共同研究・国際交流・科学技術外交の推進」、こちらの3つ目のパラグラフの次に、「加えて、我が国の科学技術イノベーションを活用して途上国でのSDGs達成に貢献するとともに、我が国発の研究成果等の海外展開を促進する」という1文を付け足させていただいております。
評価軸でございますが、6ページ、7ページにまたがっておりますけれども、項目のところ、一番左側のところですけれども、こちらに「持続可能開発目標達成支援」という文を2か所追加させていただいております。
評価軸としまして、「我が国発の研究成果等の海外展開が促進されているか」、「SDGs達成に貢献しているか」を追加し、評価指標としまして、「SDGs等の」を文の頭に付けさせていただいております。
モニタリング指標ですけれども、「SDGs達成に向けた実証試験等の実施件数」ということを追加させていただいております。
以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。この場で何か確認する事項がございましたら。きょう、盛りだくさんでございますので、この件に関しても……。
どうぞ。
【三上委員】 簡単な質問なんですが、資料1-6の1ページに、真ん中の段に支援期間1年間とあるんですけれども、これは、例えば他国におけるこういう実装化といいますか、そういうことの活動に対して1年間の年限で支援を行う、そういう意味ですか。
【福島室長補佐】 はい。こちらは、ある程度、国際共同研究等で成果が出ているものを対象としております。
【三上委員】 なるほど。既にもう実装に向けた基盤的な両者の協力関係とかそういうのもあって、その上で1年間、さらにそこを強力にプッシュするという、そういう……。
【福島室長補佐】 そうです。御指摘のとおりでございます。
【三上委員】 分かりました。
【五十嵐部会長】 ほかにどなたか、この場で。よろしいですか。
じゃ、次に進めます。それでは、最後になりますけども、共創の場形成支援における分野等の提示の追加についての説明をお願いいたします。
【鈴野係長】 産業連携地域支援課でございます。資料1-7をごらんください。
本年度より共創の場形成支援といたしまして、JSTの組織的な産学連携支援プログラムのCOI、OPERA、リサーチコンプレックス、イノベーションハブ構築支援事業を組み換えいたしまして、一体的な運用を行っているところでございます。
COIなどの既存のプログラムにつきましては、引き続き各プログラムにおける運用を着実に続けていただくとともに、プログラム間のグッドプラクティスの共有等をJSTにおいて取り組まれているところでございます。
資料の下の青色の四角囲みをごらんください。令和2年度からは、新規採択分としまして、こちらに書かせていただいているとおり、約20億円を措置していただいております。その中で、育成型、本格型の2つのメニューを用意して進めていく予定となっております。
具体的なところとして、次のページをごらんください。新規採択分につきましては、これまでのCOIやOPERAの運用等を踏まえまして、各大学等の強みや特色を生かした多様な分野におけるボトムアップ的な産学連携活動を引き続き支援したいと考えております。これが資料上の下の部分に当たるところでございます。
また、特に本格型の一部の支援につきましては、資料の上の方にありますとおり、政府の重点施策の要請に対応した分野に限定して、トップダウン的な支援をすることを予定しておるところでございます。資料上にはないんですけど、この支援に当たっては、今年度中にも文部科学省内に設置した検討会におきまして、政策的に重視する分野を決定して、JSTに提示するといったことを予定しております。そして、国の関与というところをあらかじめ中長期目標に記載しておくというのが本会の変更の趣旨となっているところでございます。
実際の変更というところで、資料1-2の2ページ、下の方をごらんください。赤字で書かせていただいておりますとおり、「共創の『場』の形成を支援する。その際、文部科学省から支援すべき分野等の提示があった場合には、それらを含めた支援を実施する」といったところを、中長期目標に追記する変更案とさせていただいております。
この政策的な重点分野の、あくまで現時点では候補ではございますが、候補といたしましては、内閣に設置された統合イノベーション戦略推進会議で決定されておりますAI戦略、バイオ戦略、量子技術イノベーション戦略、革新的環境イノベーション戦略に掲げられている産学連携拠点等を現時点では候補として想定しているところでございます。
なお、先ほど御説明ありましたとおり、この政策分野の決定ですとか、JSTの提示というところは今年度中の実施を予定しておりますが、事業としては来年度からの新規採択、来年度予算からとなりますので、今後の政府内の調整におきましては、可能性としましては、今期は来年度の変更事項として整理されて、今年度の変更には反映しない可能性があることを改めて申し上げさせていただきます。
以上になります。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。これまで御質問、何かございましたら。
私から1点だけよろしいですか。先ほどの修正のポイントで、文部科学省から支援すべき分野等を決定してJSTに提示するとのことでした。現時点での候補として、内閣府で決定したバイオ、量子、AI、それに最近の革新的環境イノベーション戦略、大体そういうふうな、国が資源を集約すべきところに、この拠点もいくべきではないかと、そんなお考えでしょうか。
【鈴野係長】 そうです。先ほどの資料の2ページ目で御説明しましたとおり、そういったところにも重点的に支援するとともに、これまでCOIやOPERAで支援していたような多様なところも、そういった2段構えで進めていきたいと考えているところでございます。
【五十嵐部会長】 そうですね。COIとかOPERA、多様にやってきて、その多様な中からいいものが出てきています。先ほどの選択と集中から戦略と創発へについて、これ、経団連で私も提言に関わったんですけども、そういう中で、国としては選択して集中するべきものを戦略的にやろうと。本件はそういった戦略の方へのすみ分けだと思うんですが、こちらも余り集中をし過ぎてしまうと、せっかく多様に育ってきたところがどうなのかということもございます。そこはJSTさんで、やっぱり多様なことも多様なところでやろうと考慮しながら進めていく、そう考えてよろしいですか。
【鈴野係長】 おっしゃるとおりでございます。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。
それでは、4つの説明が終わりましたので、先ほどからいろいろ御意見ございましたと思うんですけれども、全体の質疑に移ろうと思います。先ほど、ムーンショットのところでいろいろ手が挙がっていました。どの項目でも構いませんけれども、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
どうですか。瀧澤さん、先ほどムーンショットのところで。
【瀧澤委員】 じゃ、簡単に。ImPACTとの比較の話、先ほどありましたけれども、イメージとしては、今回のこのムーンショットというのは、JSTの事業として、例えば、ほかの「さきがけ」ですとか、ERATOとかいろいろ事業ありますよね。ああいうものと並列するような新しい事業としての、だから全部を見るという、そういうイメージで理解してよろしいんでしょうか。
【黒川課長補佐】 そういう意味ですと、ImPACTのときには、割と運用につきまして、総合科学技術・イノベーション会議から全体の方針が、かなり細かく御指示もあって、それに基づいてJSTが執行するということだったかと思うんですけれども、今回のムーンショットにつきましては、大きな目標は政府全体で掲げるんだけれども、それの達成に向けての研究開発、あるいはその支援につきましては、JSTの方で主体的にしっかり見ていくということが、全体の方針としてなっているということが1つ大きな違いとしてあるかと思います。
【河原人材政策課課長補佐】 御質問の趣旨は、今までJSTが行っていた戦略事業がもともとあって、今回新たにムーンショット等ができて、その関係がどうなるのかというご指摘だと思いますけれども、戦略事業につきましては、そこは変わらず、JSTとして、当初予算の内容でやっていくことになっています。それとは別に、またムーンショットや創発という補正事業が新しくできていますので、そこはJSTが追加的に実施する事業として今後取り組んでいくと、そういう整理になってございます。
【五十嵐部会長】 よろしいですか。
どうぞ。
【金澤委員】 ムーンショットの議論になっていましたので、2つ、評価指標とモニター指標について質問したいんですが、1つは、総合科学技術・イノベーション会議の基本方針では、研究開発の実施、JSTは実施機関としてあるわけですけれども、研究開発を実施するとともに、付随する調査・分析機能を持つということになっています。こういった分野について、研究開発をマネジメントする上で非常に重要だと思うんですが、これは評価指標の中の基金の設置及び研究開発を推進する体制の整備の進捗の中で評価指標としては評価されるんだと思うんですが、それに対応するモニタリング指標があってもいいんじゃないかという気がいたします。現在は関係規定の整備状況だけをモニタリング指標としているんですが、そのようなことについて何かお考えがあれば教えていただければというのが1点。
もう1点は、成果のところにも、スピンアウトを含む、社会実装にどうつなげるかというところが、モニタリング指標に上がっているとおり、非常に強く意識されているんですが、業務プロセスの中に適切な公募とかアウトリーチ活動だとか、そういったことを掲げて、それに対応するモニタリング指標を設けるとか、そういう必要性が結構高いんじゃないかという気がいたしますが、その点は入れられなかったのはどのような御判断だったかということ。
ついでに、さきの創発研究の方も、公募とかアウトリーチ、非常に重要だと思うんですが、それについても同様のことを考えたんですが、いかがでしょうか。
以上です。
【黒川課長補佐】 まず、アウトリーチにつきましては、実は6ページでございますけれども、競争的資金等に共通するモニタリング指標とございまして、ここはムーンショットも創発も関係するんですけれども、一番右側の成果のところに、例えば、事業説明会あるいはその下に成果の発信数とかいうこともございますので、ここのところで、ムーンショットも当然ながら、ほかも含めて全体が書いているので、重複しては書かなかったんですけれども、当然アウトリーチも含めてやっていくということでございます。
それから、調査・分析のところにつきましては、研究開発を推進する体制の整備のところと、もう一つ、最先端の支援というところで、これまでPDあるいはPMへの調査・分析の支援というところが、これまで以上にJSTに期待があるということで、ここの中の1つとして見ていくことを考えておりましたので、文言としては出しておらなかったんですけれども、そういったところも、実はCSTIの運用評価指針の中に、JSTに期待されている項目としてございますので、そこは見ていくということで考えております。
【金澤委員】 分かりました。全体で見ていますということですけど、前は書き分けてあったかと思いますので、今回、あえて外されたような印象を受けたものですから質問しました。そういうことではないということですね。
【黒川課長補佐】 はい。
【金澤委員】 分かりました。
【五十嵐部会長】 どうぞ、ヴィーツォレックさん、お待たせしました。
【ヴィーツォレック委員】 2つありまして、先にムーンショットについての質問なんですけど、せっかく、中長期目標に関してはいろんな変化がありますけど、その中には、多様性を守るべきとか、PDとか、プログラムディレクターとかプログラムマネジャーの場合には、もう多様性を守ってほしいんですね。だから、そういうこともどこかで書いていただければ非常にありがたいんですね。だから、ムーンショットがこれから非常に大きなインパクトになると思いますので、国際的なイメージも非常にムーンショットとも関わっていますので、若手研究者とか女の人も含めて多様性を守らないのはよくないと思いますので、もしその中で何か書いていただけることが、可能性があるかどうか分からないんですけど、でも、せっかくいろんな変化がありますので。
2つ目なんですけど、2つ目は、今、その質問は言うかどうか分からないんですけど、いろんなプロジェクトでJSTの予算を増やしますね、ムーンショットも含めて、若手研究者。でも、参考資料9を見ますと、全体的にJSTの予算がそんなに増えてないんですね。だから、どこかで戦略的に予算が減ったかとか、その理由を教えていただければありがたいんですけど。
【黒川課長補佐】 まず、多様性についての御指摘ですが、非常に重要な御指摘だと思ってございまして、中長期目標の親といいますか、制度全体につきまして資料1-4の5ページでございますけれども、ムーンショット型研究開発制度の基本的な考え方というところで、制度全体の趣旨を一生懸命書いているわけなんですけれども、そこの中に、例えば5ページの左側ですけれども、応募者の中からチャレンジ精神に富んだ優秀な人材をしっかり抜てきをするですとか、いろんな知識、アイデアを融合していくですとか、右の方でも、2段落目あたりに、様々なビジネス・アイデアとの融合を図っていく。マル1というところに、世界中から研究者の英知を結集する。その際には、マル2に、失敗も許容しながら、しっかり引き出していく。あるいは、その上のところに、様々な知見、アイデアが驚異的なスピードで変わっていっているという、こういう状況認識の中で、いろいろなアイデアをしっかり補給をしていって、チャレンジをして次につなげていくという、その基本精神の下に全体を運用していきたいということは掲げております。
【ヴィーツォレック委員】 なかなか日本の状況が変わらないので、もうちょっと強いプレッシャーをどこかで掛ける必要があると思いますので、もしどこかで、その中で、もちろんみんなが意識としては多様性を守りたいんですけど、でも、なかなか変わらないんですね。だから、文部科学省から何かできるか分からないんですけど、何とかもうちょっと、どこかでプレッシャーを掛けたい。どこかで書いてありますけど、紙の上なんですけど。
【河原人材政策課課長補佐】 御質問の2点目、よろしいですか。
【五十嵐部会長】 はい。
【河原人材政策課課長補佐】 JST予算につきましては、参考資料9に全体の来年度予算、前年度との比較の資料がございまして、基本的には運営費交付金が来年度約1,005億円が措置されておりまして、厳しい財政状況の下ではありますが昨年度と同規模を確保しているという認識を持っています。それに加えて、今回御紹介したような補正予算によって措置された創発的研究事業、これが左側の戦略的な研究開発の推進の中に両括弧で書いておりますけれども、500億円が措置されておりますし、また、SDGsの持続可能開発目標達成支援事業、これは国際共同研究の推進のところで両括弧で書いておりますけれども、11億円ということで、補正予算を含めた全体的なJSTの予算の状況は、他に比して減少しているわけではないという認識を所管課としては持っております。
以上です。
【五十嵐部会長】 よろしいですか。
どうぞ。
【三上委員】 ムーンショット型について2点ほどお聞きしたいんですけど、1つは、この6つの目標というのは、まさにここに書かれているように、サステーナブルな人類社会、どうするかということに関する技術的なチャレンジ目標として、多分、非常に重要な課題であることは私も非常に納得しています。
ただ、やっぱりこれはムーンショットと言うだけあって、ここを見ると、5年間、最長で10年間の活動を支持するということなんですが、多分これは非常に時間も掛かって、社会実装に行くまでの道程はかなり必要であろうかと思います。ここで、5年、10年で支援したことによって、こういう技術に関するフィージビリティーがちゃんとできてきてというステップを考えると、そこの次をどうするんだということを、私、非常に心配していまして、例えば資料1-6の2ページ目には、ダイダイ色の表があって、研究開発フェーズから実証実験フェーズ、社会実装フェーズというふうにステップアップしている。はしごの次というのはどういうものをこれから考えておられるのかと、これの裏側には、人というのがあって、若手の研究者が独創的な新しい分野で研究する人がそこで生まれ育っていく。そういう彼らが社会的にやっぱり専門性を生かして、次のフェーズで活躍できるような場も同時に作っていく必要があるので、そこは是非、次はこれだというビジョンがあればお聞かせ願いたいというのが1つです。
もう一つは小さな質問で、先ほどの御説明にもあったように、予算のことがありまして、補正予算で1,000億とか800億とか付けてくださっている、これは非常にありがたいとは思うんですが、基金ということで、それを基金として数年にわたって活用していく、そういう理解でよろしいですか。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。ほかに御質問。
【篠藤部会長代理】 このムーンショットの目標というのは2050年ということで、とても長期的に考えていくものだと思うんですが、そのときに評価指標やモニタリング指標が短期的な視点で評価に向かわないかというのが私は心配がありまして、余り数字の面が出てはいないとは思うんですけれども、今やっていることを、この評価指標、モニタリング指標で長期的な視点で評価ができるものかというのはいかがなものでしょうか。
【黒川課長補佐】 先ほど、三上先生から頂いたものから先にお話をしていきますと、まず2050年まで、かなり長いので、社会実装までの道筋ということがございましたけれども、これは総合科学技術・イノベーション会議の有識者会合の中でも、そういう御議論がございまして、当座5年、最大10年ということをやっていくわけなんですけれども、しっかり2050年までに政府でどういうふうにやっていくか。それから、民間に渡せるものは早く渡すとか、いろんなやり方があると思いますので、そこは、今回の目標は政府の決定になっておりますので、それを引き続き政府の方針に位置付けていくとともに、研究開発のステップアップに応じて、どういうつなぎ方をしていくかというのをしっかり見ていくとなってございます。
それから、今頂きました評価につきましても、今回御審議いただいていますのは、JSTの、法人としてどういうふうに研究支援を行ったか、あるいは研究開発の目標達成に向けて、どういう取組をしたかというのが書いてあるんですけれども、その具体の取組の進捗につきまして、どういうふうにチャレンジを評価するかというところが、同じく総合科学技術・イノベーション会議の有識者会議で、かなり頭を悩ませているんですけれども、その際にはしっかり大胆な発想に基づく調整的な取組ということを、各研究者のマイルストーンに基づき、というふうに評価していくというのを議論しておりますので、そこでの議論をしっかり踏まえてやっていくということで思っております。
【五十嵐部会長】 よろしいですか。ほかにどなたか。
どうぞ。
【久保委員】 まず、持続可能開発目標なんですけど、先ほど、1年という期間については、今、それなりになっているものというのであれば、もう公募とかせずに、もともとのシステムとリンクさせて、こういうふうに持っていくんだとした方が早いんではないかなという気がするんですが、いかがでしょう。特に中規模の実証となると、本当に1年間できるのかというリスクもあると思いますし、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
【福島室長補佐】 要求の段階ではそういったことも考えておりましたが、先ほど御説明させていただいたように、JSTにはSATREPSという事業があるんですけれども、そのほかにも、いろいろと国際共同研究を推進している事業がございまして、もちろんSATREPSにも支援の対象となる成果は出ているんですが、ほかにもいろんなところで成果が出ているので、そうしたものも広く支援をしたいということで、公募をさせていただくことになってございます。
【久保委員】 分かりました。ありがとうございます。
あと、創発的研究の方の資料1-2の8ページ目のところで、モニタリング指標の中に採択された若手研究者の割合というのがあるんですけど、これが本当に意味があるのかなと思っておりまして、若手を活用することも大事なんですが、やはり本来の目標というのは、ちょっとそこはそれも含まれているんですけれども、もっと挑戦的にやっていくとかいう話だったりとかするのは、これを資料としていいのかなというのはちょっと思うんですけど、いかがでしょうか。
【濱田専門官】 今の点につきましては、もちろん成果の方も非常に重要ではあるんですけど、資料1-5の2ページ目にありますが、やはり若手のPIクラスをきちんと支援したいという思いも別途ございまして、こういう視点もちょっと加えさせていただいているというところでございます。
【久保委員】 本件とは直接関係ないんですが、やはり博士コースに行くかどうかというところというのは、こういうふうな形の支援ではなくて、やっぱり安定的な大学でのポストがあるかどうかが非常に重要だと思っています。博士コースまで行って、その後どうなるんだというところに不安があると、やはりそれは先に企業に行った方がいいかとか、やっぱり行く方というのはアカデミアの世界でやっていきたいというのがベースにあるわけなので、こういう形の一過性の10年間、お金をもらっても、その後どうなるのかという不安があればなかなか定着しない。ある母数がやっぱりないと、やはり日本の科学技術力を上げられないと思うんですが、ちょっと今回の話と違うんですが、そのあたり、文科省としてはどう考えていらっしゃるのか。
【奥野人材政策課課長】 人材政策課としての立場で御説明申し上げます。この点に関しては、基本的な考え方は、やはり人材政策というのは、内閣府の科学CSTIの方でも若手研究者支援パッケージというような形で先般、決定されておりますが、特定施策、特定事業のみでもって、今、言った若手人材の施策に関して全ての処方箋になるものではございません。したがって、創発は人材政策の中の1つの位置付けとして機能を発揮するものですが、それが御指摘のとおり全ての若手人材施策ではございませんで、別途パッケージの中では、大学院生に対する経済的支援の問題ですとか、今度、大学の中における若手ポストの創出等も別途政策全体として実施しているところですので、特定施策一本のみをもって全ての若手の人材政策に対応できるものとはなっていない中で、創発は創発としてこういったポジションは大事ですし、また、研究政策においてもこの時期には、国際的にも極めて質の高い、またノーベル賞につながるような研究は若手の時期に出てきているという実績等ございます。そういう意味で、研究政策として、創発は創発で若手人材の中で1つの有意義な施策と思っておりますが、御指摘のとおり、まさに安定したポストを作っていく。これはどちらかというと大学自身の人事マネジメントの世界、若しくは博士課程の人のキャリアパスを示していくというのは、これもまた大学自身の教育、そういった中の施策を一体的にやっていくという立場が今の文部科学省の考え方でございます。
【五十嵐部会長】 どうぞ。
【瀧澤委員】 今の創発のところでちょっと理解ができなかったんですが、ヒアリングの2の中間ぐらいのところの追加の研究環境改善支援についてというところで、大学の取組の評価に応じた追加的な支援というところもあるので新しい取組でよいと思うというヒアリング結果があるんですが、これはどういう意味なんでしょうか。教えてください。
【濱田専門官】 創発的研究事業につきまして、支援期間中にステージゲートを設けまして、その際に研究機関による環境整備とか研究支援、あるいは研究者の研究実施への取組状況等を評価しまして、追加的に研究機関に対する支援を行うということを今、考えております。そのことについて記載をしてございます。
【瀧澤委員】 追加的に研究機関への支援を行うと、大学への支援を行う。
【濱田専門官】 研究環境を整備するようなことに対して使えるお金を支援しようということで、今、制度設計しているところでございます。
【瀧澤委員】 済みません。ちょっと理解ができないんですけれども。
【河原人材政策課課長補佐】 具体的な環境整備の方で想定しているメニューを御紹介できる範囲でお願いします。
【濱田専門官】 設備の購入ですとか、要は、一番簡単にイメージできるのは、ある程度の研究機器等を整備して使えるようにするようなことができたら、非常に研究自身も進むというふうなことを含めて検討しているところでございまして、ちょっとこちらの方にも書いてあるんですが、具体論につきまして、まだ制度設計中でして、ガバニングボードを立ち上げて議論することとなっているところでございます。
【瀧澤委員】 分かりました。是非よろしくお願いします。
【五十嵐部会長】 どうぞ。
【篠藤部会長代理】 今のヒアリングのところなんですけれども、このヒアリングをされたというのはすごくいいことだと思っていまして、本当に欲しいものを欲しいような形で、やはりお金を出していただくというのは重要だと思います。ほかの制度設計をされるときにも、こういったヒアリングというのは行われるんでしょうか。今回だけですか。
【河原人材政策課課長補佐】 例えばムーンショットにつきましては、先ほど担当課から御紹介あったように、海外の研究者の声などを聞いた上でムーンショット目標を定めると。当然その中には国内の研究者からのヒアリングというのも入ってございます。
今回、創発的事業については、現場の研究者からの要望も非常に強い事業でありますので、丁寧に担当課の方でヒアリングを実施しているという理解でございます。
【五十嵐部会長】 よろしいですか。ほかに。
では、私からも。今回はムーンショットも創発型も、かなり大きい事業がJSTにほぼ同時におりてきた感じです。これらのすみ分けと言ったら変なんですけども、各事業の役割といいますか、さっきの若手研究者の育成ということを例にとって考えてみます。ドクターを取った後は、まずは科研費がありますね。科研費は基礎研究寄りで、これは研究者のいわゆるキュリオシティドリブンで自分の興味を掘り下げていって、その中から新しい発想や技術シーズが出てくる。JSTの役割は、そういった新しい発想や技術シーズを拾い上げて、社会実装まで結び付けていくと。イシューオリエンテッドというんですか、ちょうどムーンショットの6つの目標、そのうちのJSTが担当するのが4つ、かなり長期的な目標ですけれど、社会課題の解決に向けてJSTが取り組むべきものです。30年先の課題の解決に向けて今何をするかというところだと思うんですけど、現実的には若手の研究者が5年、10年とチャレンジングな取り組みをして育っていくことになります。
その中で例えばムーンショットについては、研究を行う若手研究者にはこういうことを期待すると。一方で創発的研究事業については、若手研究者には、ムーンショットと違ったこういうことを期待すると。JSPSがやっている科研費との違いはこうであると。その全体像を俯瞰した上でJSTとして各事業を位置付ける、これがすごく大事かと思うんですけども、何かその点でお考えがありましたら、どなたからでも結構なんですけども。
【河原人材政策課課長補佐】 後ほどJSTの方からも御説明いただければと思いますが、冒頭、奥野課長から申し上げた人材活用に関する方針というのを、JSTの方で昨年10月に定めておりまして、これに基づいてJSTの中でファンディングを通じた人材育成をどう進めていくかというような議論をまさに進めているところでありますので、その中には当然ムーンショット、あるいは創発を通じてどういった育成をしていくかというのも入ってくるという理解でおります。
【JST】 経営企画部長の次田でございます。今、御質問いただいたように様々なファンディング事業がある中で、そのポジショニングというか、役割分担ということになるかと思うんですけれども、1つ御指摘いただいたJSPSが行っている科研費等の支援の事業と、特に今回の創発的研究推進の事業の区別というか、そこをまず最初に御説明するのがよろしいかと思うんですけれども、JSPSの方の支援というのは、あくまで研究者のキュリオシティドリブンの発想に対する補助の事業でございます。JSTが行う今回の創発的研究活動の推進事業については、資料1-2の中期目標の4ページ目のところに、2.7で創発的研究の推進というのが新しく追加されていることになっているんですけれども、ここのところでこの研究の事業の趣旨が書いてございまして、また3行目の真ん中ぐらい、特定の課題や短期目標を設定はしないんですけれども、多様性と融合によって破壊的イノベーションにつながるシーズ創出を目指す創発的研究を進めるんだということでございます。すなわち、ちゃんとアウトプットを出してくださいね、そのためのマネジメントはJSTはやりますよという事業の一ポジショニングになっております。純粋に研究者のキュリオシティドリブンで研究だけをやっていただくというものとは、もう少し出口の方を見据えた制度設計を考えているというものでございます。
あと、創発的事業とムーンショット事業の区別でいきますと、ムーンショット事業については、目標がCSTI、総合科学技術イノベーション会議の方から示されて、そこからバックキャストする形で、最初の5年、10年の部分についてまず今回、取り組んでいただくという形になっております。すなわち、完全にその目標、ターゲットを2050年という意味で、相当遠いところにありますけれども、それを定めた上での研究開発の取組というようなムーンショットになっておって、逆に創発的研究、科学通信事業については、ブルースカイリサーチというか、それこそ発想そのものは研究者の独創的な発想に委ねた上で研究開発を進めていただくんですけれども、きちんとその破壊的イノベーションにつながるような、技術シーズにつながるような研究をしてくださいと、そういうような形で整理をして進めさせていただきたいというふうに考えております。
【五十嵐部会長】 大変よく分かりました。ありがとうございました。関連する質問なんですけれども、創発的研究に関しましては、1ページのところの事業スキームに文科省からの基金造成があり、JSTでガバニングボードができて、こういった中で研究者と一緒に行きますよということが明確です。ムーンショットの方の資料には、これに対応するようなものが書かれてはいないんですが、似たような感じでガバナンスを、もちろん似ていなくとも良いのですが、どのようなガバナンスをJSTさんでやろうとしているのですか。
【黒川課長補佐】 補足があれば、後ほどJSTの方から頂きますけど、JST全体には同じようにガバニング委員会のようなものを設けてJSTへの取組全体を見ていただくことにしていまして、さらに各目標ごとにプロジェクトディレクター、PDを置いて、その中で各PMの取組全体を見ながら、その目標の達成に向けた取組を見ていくようなマネジメントスキームを考えてございます。
【五十嵐部会長】 分かりました。ムーンショット資料の2ページ目のところに制度の枠組みとあって、PDがいてPMがいると。これのもう少し精密な枠組みがJSTの中にできるというか、そういうようなことをJSTがやるということですね。そういう中で、さきほど次田部長がおっしゃったような考え方でもってテーマを選ぶ、研究者を選ぶ、そして研究成果を評価する。そういうことが行われると考えてよろしいですね。分かりました。ありがとうございます。
どなたか、ほかに御質問、どうぞ。
【久保委員】 創発的研究支援事業というのは、非常にハンドリングが難しいかなと思っていまして、そのシーズ、その特定の課題や短期目標を設定しないという課題の場合に、その中身がいいかどうかという採択はどういう判断をするんだろうとか、破壊的イノベーションをするというのは、基本的には大きな仮想課題を置いておいて、それに対してトライアルする結果としてイノベーションで生まれると思っていまして、単純にシーズ先行型が本当にうまくいくかというと必ずしもそうでないと思うんですけど、これの採択基準ですとか、あるいはその取組、進め方みたいなことに関して、今、想定されている範囲でいいので御回答いただければ。
【JST】 採択基準ですね。基本的には創発の考え方ですけど、先ほどの1-5の資料の5ページです。おっしゃるとおり、採択は正直に難しいと思っています。今回、選択と集中というところが例えばムーンショットなり、今までのJSTの事業というのはそういった目標を立てて、そこに集中してやると。今回は、どちらかというとここの周りにいる研究をいかに拾い、いろいろなアイデアをいかに拾うかというところも重視しています。それだけではまずいので、右の方の図、なので、そういった意味ではアドバイザーにいろいろな視点を持っている人、アイデアの多い人というのをいろいろな多様、そういった意味では多様性、創発というのは多様性なので、研究者もどこまで集められるかはこれからなんですけど、性別から、大学もいろいろな大学からというところを考えているといったところで、今、その選定に入っているところです。
【久保委員】 ムーンショットとかも長期的ですけど、先ほどバックキャストでやられているとなると、それなりの成功性を考えてやられると思うんですけど、ここはまさに失敗してもいいということだと思うんですね。そこをもっと明確にして、期限は本当見えないよと、すごく挑戦的に、失敗してもいいからやらせてくれという極端なものをなるべく応募させるような形にしていただいて、そういうのを取り上げていくというふうな取組をしていただければありがたい。
【JST】 ありがとうございます。昨日、ちょうど理事長から、総括とか、アドバイザーが今回、この採択した研究者を導いていくんですけど、とにかく我慢できる、そういう人間を選ぶべきだとおっしゃるのは多分同じ意味だと思います。
【五十嵐部会長】 よろしいですか。ほかにどなたか御質問。
ありがとうございました。よろしいですか。
では、本日の議題は以上になりますけれども、各委員から何かこの機会に御発言などございますか。どうぞ。
【金澤委員】 中長期計画とは関連しないんですが、ずっとお話をお伺いしていて、JSTに対する期待というのは非常に高いというか、イノベーション政策はみんなJSTが引き受けているという形になっています。人材について、質を高めるというお話があって、一人一人が闘うJST職員になられるということですけれども、併せて仕事がどんどん多様化していくと、数もたくさん必要になるということかと思います。それには予算の裏付けがあってということになるわけですけれども、これはJSTにお願いというか、是非文部科学省に、難しいことは百も承知で申し上げたいのは、やはり質とともに、必要な人材が十分そろうような手当ても、既にたくさんされていると思うんですが、一層お願いできないかと、JSTの活躍に期待する1人として是非発言しておきたいと思います。
【五十嵐部会長】 どなたかコメントございましたら。よろしいですか。
では、順番に。それでは、三上委員から。その次、瀧澤委員、どうぞ。
【三上委員】 質問ではなくて、所感みたいなものなんですけど、こういう政府の仕組みというのは、予算があって、その予算をどう効率的に日本のために役立てるかという知恵を絞って執行するという仕組みなんですけど、私、学会とか大学、研究所でずっと何十年か見ていて、本当に若手が研究者として世界的な研究者に育っていくということについて、学会賞の記念解説とか、本に書いたのを大体読んでみると、やっぱり研究費が突然ぽんと来たので化けたということはなくて、いや、これが無駄とは全然言っていません。こういうのがあると人は育っていくと僕は思うんだけど、研究者として目覚めたというのは、大体すごい研究者のところに留学だとか、たまたま共同で一緒にやったときに感化されるということがかなり多いと思うんですね。だから、こういう枠組みではどうしても予算があって、それをどう使うか、そのための話、議論になってしまうので、どうも質問にはできないんですけれども、やはり非常に日本にもすぐれた研究者、この人から褒められたい、頑張れるぞという人がどの分野にも必ずいらっしゃると思うんで、そういう人との人と人の相互作用みたいなものを通じて研究者が成長していくような機会を、あるいは場を作るというような、そういううまい方法はないのかと常々思っているんですけれども、これは所感です。
【五十嵐部会長】 どうぞ。
【奥野人材政策課課長】 今の点は、様々な施策が実施できているところです。ただ、先ほどJSTの次田が言ったように、JSPSのように研究者そのものを助成するという形ではなくて、JST自身はネットワークを作ったりするような形で積極的な介入等を行っております。したがって、ファンディングに関してもJSPSの科研費と違って、まさにPDだとかPMだとか、そういった階層構造によって,そういった職にある者はまさに実施している研究者に対して方向付けを与えたり、いい影響を与えるような側面はございますし、また、定常事業でやってございます、さきがけだとか、そういったファンドの実施の際にはJSTの側はネットワーク的なものを積極的に介入して作っていくという観点から、研究者同士の交流だとか、そういった点も、単に研究費を渡す以上にJSTの側でもやっております。そういったものが、JSTだけでは今、頂いたお話全てにお答えできませんが、先ほど次田が申し上げたようなJSTのまさにリードして介入をするような形のファンディングエージェンシーとしての機能は、今、御指摘いただいた点の幾らかはカバーできるものですし、JSTの現場においても、そういった御指摘のような取組というのは、現場において日々実施しているところでございます。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。じゃ、瀧澤委員。
【瀧澤委員】 今回のムーンショットにしても、創発的研究にしても、評価軸に例えばインパクトファクターの高い論文を幾つとか、そういうけちなことが書かれていないので、非常によかったなと思います。こういう大きな目標を立てて野心的な研究をするときには、やはり時間が掛かりますので、例えば高度化研究と言いますと、最近、大分、生命の仕組みとして、例えばサーチュイン遺伝子とか、ああいったものが深く、深く理解することによって高度化の具体的な方法論が見えてきているというようなことは、やっぱり30年ぐらい掛かっているんですね。ですから、やはりすごく、今回、この補正で5年から10年ということですけれども、本質的にはもっと長く継続的に支援できるような体制を作っていく取っ掛かりとして、今回の事業を是非成功させていただきたいと思います。
以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。私、勘違いしていまして、まだ議題2がございました。
それでは、今、委員から頂いた御意見につきましては、中長期目標への具体的な反映につきましては、部会長、私に一任とさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
続きまして、議題2のJST令和元年度業績評価に関する今後の予定についてに移ります。こちらも事務局の方から説明をお願いいたします。
【河原人材政策課課長補佐】 ありがとうございます。それでは資料2をごらんください。資料2に基づきまして、来年度実施いたしますJSTの令和元年度実績評価に係る予定について、御説明を簡単にさせていただきます。
資料上、1ポツには来年度、令和2年度の予定、それから、2ポツには、今年度実施しました評価の実績が記載してございます。来年度のスケジュールにつきましては、基本的に昨年実施した平成30年度の実績評価の際のスケジュールと同様の段取りを予定しておりますが、まず5月から6月にかけまして、委員の皆様にも参加していただくJSTの事業関係のサイトビジット、これは2か所程度予定しております。
また並行して、JSTの方でも自己評価をこの期間に行って、6月の下旬から8月の上旬にかけましてJST部会を3回程度開催する予定にしております。1回目は、JSTからの自己評価結果に基づいたヒアリング、それから、(2)、(3)で書いてありますように、それを基にして文科省による評価案を2回に分けて審議を頂きまして、その結果を8月中旬頃の研発審議会の総会に報告し、評価結果を取りまとめていくというような予定になっております。
サイトビジットにつきましては、昨年6月5日に東大に行っていただいて、COIとか戦略・未来事業を見ていただきました。それから、6月21日には東工大に行って、産学連携事業のA-STEP事業を見ていただきましたので、来年度の評価に当たって具体的にどこにサイトビジットに行っていただくかということについては、また近づきましたら、事務局より御紹介、御案内をさせていただければと思います。
以上でございます。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。
では、ただいま御説明について御質問等ございましたら、お願いいたします。よろしいですか。
ありがとうございました。これで本当に本日の議題は以上となりますけれども、各委員から何かまた御発言等ございますか。よろしいですか。
では、最後に、連絡事項等ございましたら、事務局より説明をお願いいたします。
【河原人材政策課課長補佐】 本日御議論いただきましたJSTの中長期目標の変更案につきましては、今後、研発審議会での書面審議、それから、財務省、総務省との協議を進めてまいりますが、協議の過程で中長期目標案の追加の変更点などが出てきましたら、また事務局の方から委員の皆様にもお知らせをさせていただきたいと思います。
また、本日のJST部会での委員から頂いたものは、御意見あるいは御指摘につきましては、事務局で整理をいたしまして、明日以降、早めに委員の皆様にも共有させていただきたいと思います。
なお、次回のJST部会につきましては、先ほど御説明したとおり、令和元年度の業績評価に関する審議を予定しておりますけれども、事前のサイトビジットでありますとか、あるいは具体的な部会の日程調整等につきましては、改めて事務局の方から御案内したいと思います。よろしくお願いいたします。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局 人材政策課

(科学技術・学術政策局 人材政策課)