国立研究開発法人審議会 科学技術振興機構部会(第23回)議事録

1.日時

令和3年1月29日(金曜日)13時00分~14時30分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立研究開発法人科学技術振興機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)に関する変更案について
  2. その他

4.出席者

委員

五十嵐部会長、ヴィーツォレック委員、篠藤部会長代理、金澤委員、久保委員、瀧澤委員、長坂委員

文部科学省

奥野人材政策課長、塩原学術機関課長、三輪人材政策課人材政策推進室長、澄川人材政策課長補佐 ほか

5.議事録

【五十嵐部会長】 どうも皆さん、こんにちは。御無沙汰しております。定刻となりましたので、これより文部科学省国立研究開発法人審議会、第23回科学技術振興機構部会を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
本日は三上委員が御欠席となっております。過半数の委員の皆様には御出席いただいておりますので、会議の定足数を満足していることを報告いたします。
本日の会議は、前回に続きウェブ会議による開催となります。また併せて、議事の公開に関する規則に従い、公開とさせていただきます。
最初に、配付資料について確認いたします。事務局から説明をお願いいたします。
【澄川課長補佐】 人材政策課、澄川です。よろしくお願いいたします。まず本日、資料につきまして、事前にメールで送付をさせていただいているところです。併せまして本日、画面共有のほうでも資料をお示しさせていただこうとしておりますので、よろしくお願いします。
資料としましては、まず議事次第、資料が1-1から1-5までございます。併せて参考資料が1から7となってございます。
具体的な内容は、今お示ししています議事次第のとおりですが、議事進行の過程で、資料の不備、あるいはウェブ接続の不調等ございましたら、事務局のほうまでお知らせいただければと思います。また、会議途中でウェブ回線の音声等が途切れるといったような方がおられましたら、お手数ですが事務局のほうにお電話をいただければと思います。
また、ウェブ会議に入室をされます当方文部科学省、あるいはJST側の方々につきましては、発言時以外はミュートの徹底をお願いいたします。
以上になります。何かありますでしょうか。
よろしいでしょうか。事務局からは以上となります。
【五十嵐部会長】 分かりました。続きまして、本日の部会の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。
【澄川課長補佐】 本日、部会の進め方でございますが、まず、今回JSTの中長期目標の変更案につきまして、人材政策課長の奥野のほうから説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【五十嵐部会長】 それでは、議題の1番、中長期目標変更案についてに入ります。
今回のJSTの中長期目標の変更案について、説明をお願いいたします。
【奥野人材政策課長】 人材政策課長の奥野でございます。お手元の資料1-1、1-2、1-3の順に、今回の御審議をお諮り申し上げます中期目標の変更案に関して御説明申し上げます。
資料1-1におきまして、今般の変更理由について。1-2におきまして、変更の内容について。そして1-3の資料におきまして、この中長期目標変更の今後のスケジュールに関して、順番に御説明させていただければと思います。
なお、今回の変更事由に関連いたします事業の内容につきましては、資料1-4、資料1-5に記載がございます。適宜御参照ください。
それでは、お手元の資料1-1、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の中期目標の変更についてを御覧ください。この資料には、今回の変更内容、変更事由がございます。
1ポツ、令和2年度補正予算案及び令和3年度当初予算案に伴う変更についてでございます。
令和2年度補正予算につきましては、昨日、国会のほうで御審議いただいており、審議が成立していたかと思います。
今回、御審議をお願いします変更点は2点ございます。まず1点目、創発的研究の推進の記載の追加についてでございます。
こちらにつきましては、令和2年度第三次補正予算におきまして、創発的研究推進基金補助金に、博士後期課程学生支援のための予算を含む307億円が計上されたことに伴い、博士後期課程について、各大学が生活費相当額程度の処遇を確保することを支援する旨を本文に定めるとともに、これに関連いたします評価軸を併せて指定させていただくものでございます。
創発的研究の推進につきましては、既に基金が造成された時点におきまして、中長期目標においては所要の記載がございます。したがって、一般的な予算の増につきましては、基本的には中長期目標に大きな変更点は加わりません。ただ、今般の創発的研究の推進に伴う創発的研究推進基金の中におきまして、新たな政策として、博士後期課程の学生の処遇の改善に関する政策内容に伴う予算が、307億円のうちに200億円措置されてございます。
こちらの博士後期課程の学生支援に関する部分を、今回、中長期目標の中に新たに追記する必要が生じたというのが、1点目の大きな変更事由でございます。
続きまして2点目、世界レベルの研究基盤を構築する大学ファンドの創設の追加でございます。
こちらにつきましては、令和2年度第三次補正予算におきまして、JSTに対して5,000億円の政府出資金が、さらに令和3年度財政投融資の当初計画額案におきまして、JSTに関して来年度、4兆円の財政資金融資が計上されてございます。
これらの措置につきましては、既に報道等ございますし、また昨日、国会におきまして、科学技術振興機構法案が可決・成立してございます。この第三次補正予算、及び来年度の財政融資資金の融資等におきまして、新たに科学技術振興機構(JST)の中に、最終的には10兆円規模のファンドを造成いたしまして、このファンドの資金をまずは元本として、これを投資活動に充て、その投資で獲得いたしました投資収益というのを、新たに大学の研究環境の整備の支援、併せて博士後期課程の学生の支援の財源に充てていくという新たな事業でございます。
こちらにつきましては、新規の事業の創出という観点で、新たに中長期目標の中に必要な項目を立てて、それを記載していくという点でございます。
今回はこの2点について、中長期目標の変更について御審議をお願いしているところでございます。
次に、資料1-2を御覧ください。まず1ページでございます。1ページにおきまして、まずは中長期目標の大きな柱立ての変更について御説明申し上げます。
JSTの事業につきましては、1ページ目のローマ数字の3、研究開発成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項といたしまして、JSTの事業を大きくこれまで3つに、アラビア数字1ポツ、未来を共創する研究開発戦略の立案・提言といたしまして、主として政策立案・シンクタンク機能を、そしてファンディングエージェンシーが行っている事業といたしまして、アラビア数字の2ポツ、知の創造と経済・社会的価値への転換。そして3本目の柱として3ポツ、未来協創の推進と未来を創る人材の育成といたしまして、いわゆる未来館等におきます科学技術の理解の増進でございますとか、もしくは次代の科学技術を担っていく中高生等の支援といった事業を、3ポツで人材の育成事業として立ててございます。
今般の変更事由につきましては、創発については、既に2ポツの知の創造と経済・社会的価値への転換の中に項目立てされてございます。新たに大学ファンドの創設をどこに項目立てするかという観点がございます。
大学ファンドも、形といたしましては、確かに2ポツの中にありますファンディングエージェンシーという形での大学の研究環境整備、もしくは研究現場におります博士後期課程の学生の支援という形でございまして、2ポツに入るのではないかという御指摘もございます。
これまでも、JSTにおきましては、新たな基金の造成につきましては2ポツの中に、直近では創発、その前のムーンショット型研究開発等を立てていたところではございました。
ただ、今般の大学ファンドの創設につきましては、この事業の運営形態が、これまでの国費をそのまま大学等の支援に充てる、もしくは国費を一旦基金にプールした上で順次取り崩すという方法の運営を行っておりましたが、今般の大学ファンドにつきましては、先ほど申し上げました5,000億円の政府出資金、さらには新たに調達いたします財政融資資金といった資金を、直接支援の財源に充てるのではなく、これらの資金を元本として投資・運用を行うという新たなマネジメント、運用の体制、業務の実施方法等が異なってまいります。
そういった観点から、新たに4ポツといたしまして、大学ファンドに関しては新しい柱を1つ立てるという形で整理させていただきました。こちらが様式3、1ページの説明でございます。
次に、2ページ目を御覧ください。まず、2ページ目の中の3ポツにつきましては、先ほど新たな柱を1つ立てた点につきまして、この業務の質の向上に関する事項の中に、4本目の柱を追記させていただきました。
次に、3ページを御覧ください。3ページの中におきまして、まず、創発的研究の事業について、今回、博士課程の学生支援という観点から、2か所の追記がございます。
まず1か所目につきましては、下線で書いてございます「その遂行に」以下、「必要な博士後期課程学生の参画促進など」という形で、既存の創発的研究の推進事業の中で行われております研究開発の中において、より当該研究に参画する博士後期課程学生に対して、主としてRA等で参画いただくことになりますが、そういったところに配分できる経費を手厚くするという観点で、先ほど申し上げました200億円の中の26億円相当を、まず既存の創発研究の中で予算措置することとしてございます。
さらに、その下の段で、「また、博士後期課程学生による挑戦的・融合的な研究を推進し、その推進に当たって、各大学が当該学生に生活費相当額程度の処遇を確保することを支援する」という項目がございます。こちらは、既存の創発的研究の推進の中で措置しておりました研究者の研究チームだけでなく、より広く、大学等が行っております博士後期課程学生に対する支援を、創発の研究者以外のところにも広げていこうという、新たな博士後期課程学生の支援のスキームというのを構築することとしてございます。
こちらに関しては約174億円の予算を充てることとしてございまして、博士後期課程学生に、新たに6,000人規模の支援というのを今後実施していくという事業でございます。
こちらに関しては、既存の創発のプロジェクトとは別建ての新たな事業をこの基金の中に造成するという観点で、「また」以降の記載を行っているところでございます。
次に4ポツ、新たな柱を立てました、世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンドの創設に関する新設事項でございます。
「資金運用益の活用により、国際的に卓越した科学技術に関する研究環境の整備・充実、並びに優秀な若年の研究者の育成、及び活躍の推進に資する活動等を通じて、我が国のイノベーション・エコシステムの構築を目指し、大学ファンドの創設に向けた取組を進める」とございます。
こちらにつきましては、まずは今般の補正予算におきまして、5,000億円の政府出資金というのが措置されてございます。この5,000億円の政府出資金は、今後、科学技術振興機構が、最終的には10兆円規模になる運用の原資となるファンドを調達するための自己資本、いわゆる資本性資金として、まずJSTの資本金を増資するために措置が講じられてございます。
今般の記載事項は、当該増資等の行為を行い、大学ファンドの運用体制を整備していく、まずは事業の立ち上げに必要な準備行為として、4ポツに記載されている創設に向けた取組を進めるという形での中長期目標への記載が行われてございます。
なお、具体的な事業の実施の詳細等につきましては、昨日、国会で成立いたしましたJST法の改正法案が公布・施行された後、法律に基づいて、JSTにおいて新たな運用体制の整備・運用方針等が定められた後、本格的な資金運用を開始する前に、改めて、恐らく来年度になろうかと思いますが、中長期目標を変更し、その過程で、この4ポツ、今は4行程度の追記ではございますが、この中に、具体の事業の運営について、より詳細な事項というのが改めて追記されることになろうかと存じます。
次に、当該中長期目標の追加に伴いまして、必要となってございます評価軸に関して御説明申し上げます。資料の5ページを御覧ください。
まず、5ページの右下の欄にございますとおり、創発的研究の推進の中におきまして博士後期課程の学生支援が加わった観点から、支援を受けております博士後期課程の学生の数というのがモニタリング指標として追記されてございます。
これは創発的研究の枠内におきまして、博士後期課程学生の処遇の改善という形で、国の政策に基づいて、一定数の博士後期課程学生の生活費相当額程度の支援を行うという政策目標が明確に設定されていることに伴い、モニタリング指標中にも当該数値を使うこととしたものでございます。
次のページを御覧ください。大学ファンドの創設につきましては、先ほど申し上げたとおり、まずは大学ファンドの創設に向けた準備を滞りなく終了するという観点から、業務プロセス、成果につきまして、まずはファンドの創設を完了することを最初の目的として、必要な所要の改定を加えてございます。
評価指標といたしまして、まず、JSTの中に、今後新たに、来年度におきましては最低でも4.5兆円、そして最終的には10兆円規模の資産の投資・運用を行うという観点で、改正された法律に基づいて、この投資・運用を担当する専門の運用の責任者である理事の任命から、投資運用をガバナンスするためのチェック機関として文部科学省が置きます運用監視委員会というお目付け役をしっかりとして支援する体制、さらには資金運用を行うに当たって、国の政策に基づいてJSTが資金運用を行う基本となります基本的な方針を作成し公表すること。こういった業務プロセスを経た上で、最終的には資金の運用といたしまして資金運用体制、つまり具体の4.5兆円の資金を実際に投資に振り向けるために、JSTにおいては基本的にはこの4.5兆円の資金については、これまでの大規模なファンドと同様に、基本的には信託会社等の投資の専門家において投資を行わせるという観点から、まずはJSTから信託会社等に関して、この資金の運用を委託するための必要な枠組みをつくり、そして委託先の金融機関等との関係を構築する運用委託機関の選定を終える、ここまでを、まずは大学ファンドの創設に向けた必要な準備行為として、中長期目標の中に記載することとしたものでございます。
最後に、今後の中長期目標の変更のスケジュールにつきましては、資料1-3にございますとおり、これは例年の大まかなスケジュールと基本的には同じではございますが、2月上旬に当省の研発審議会における書面審議を経た上で、総務省の独立行政法人評価委員会に付議し、その上で財務大臣協議、そして文部科学省における中長期目標の決定等を、おおむね2月中に完了したいと考えてございます。
なお、昨日、国会で可決・成立いたしましたJST法案の改正案につきましても、2月下旬には施行されるという形になってございますので、新たなJST改正法案の施行に合わせた形で、必要な業務等がスタートできるように、今回の所要の改正措置というのを講じたところでございます。
私どもからは以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。以上で中長期目標の変更案の説明は終了となります。
続いて質疑に移りたいと思います。どの項目に対しての質問でも構いませんので、全体を通して御質問等ございますでしょうか。大変大きな話です。
長坂先生、どうぞ。
【長坂委員】 長坂です。大変なことだと私は認識しました。個人的には私は非常にお金に関してはコンサバティブな人間なので、文科省系で投資ファンドを使って、その運用益を要するに研究者のサポートに使う。リスクが当然あるわけで、ゼロになってしまうことだってあるわけでして、そういうことが果たしてあり得るのかというのは、これはもう大々的な疑問です。研究には本質的にリスクが伴うわけですが,さらにその支援をする資金そのものにもリスクが新たに発生する可能性がある。これはもう国会で決まってしまい、戻れないのかもしれませんが、幾つか聞きたいことがあります。
1つは今申し上げたように、基金の運用をするということは、今後、JSTでもちろん初めてでしょうけれども、国でもこういうことをやったことがあるのでしょうかというのが1つ目の質問です。
2点目の質問は、どういうふうなお金をサポートするか、金額は決まっているわけですが、一体運用益が幾らになるのか、これはもちろん分からないわけで、バブルの時代だったら良いのかもしれませんが、こんな時代にこれを実行して、万が一リスクが生じたときは誰が責任を取るんだろうか。JSTが取るのでしょうか、文科省が取るのでしょうか。というのが非常に気になるところです。それが2番目です。
それで、最終的にはそのリスクはどこへ行くかというと、若手の研究者とか、良い研究をする人をサポートしたいというところが最終のゴールですから、そういう人たちが、最初の年はもらえたけれども次の年はなくなってしまいました、ということが万が一起きたときには、一体誰が責任を取るのでしょうか。というのが、結局かわいそうな人たちはそういうところに至ると。個人的には、立場上フリーですから、あり得ないというのが個人的感想です。
それで、3点目は、いつから公募を始めるのでしょうか。もし公募をするのであれば、このお金はなくなる可能性がありますとか、何か最低限それを書かないと、ちょっと言葉はきついですが、詐欺になるのではないかというふうなことすら思いました。
私はこの件に関しては非専門なので、委員の方でもっと御専門の方がいらっしゃると思うので、ぜひこの点は極めて重要だと思うので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。では文科省のほうから、資料1-5がありますよね。あれをもしよろしければお使いになりながら、御回答をお願いします。
【奥野人材政策課長】 では、御質問に対してお答え申し上げます。まず、こういったファンドの運用の前例についてでございます。公的なファンドの運用等に関しては、これまでは主として年金等の基金において、ファンドを運用して運用益等を獲得するという事業は、主としてパブリックセクターにおいては年金等の基金において行ってきた前例等がございます。
次に、運用益が幾らになるのか、もしくは運用に関する責任関係の所在についてでございます。こちらに関しては、昨日成立いたしましたJST法の改正におきまして、運用に関しての責任の所在として、運用の基本的な方針、つまり、この運用でどれぐらいのベネフィットを取りにいって、どれぐらいの金額を大学への配分に充てるのか等に関しては、政府の側がJSTに対して運用の基本的な指針を示し、それを受けた形でJSTが運用するとなっています。
したがって、どれぐらいの運用益を目標にし、どれぐらいの運用益を配分するのか等に関する決定の責任の所在は、JSTの側ではなくて政府、したがってJSTを所管する文部科学省の側にございます。
なお、具体の運用益が幾らになるのか等につきましては、ただいま申し上げた形で、まず政府において運用の基本的な指針といいますものが、この法律が施行された後、当然、私ども文部科学省だけでは金融の専門知識にたけているわけではございませんので、内閣府の下で、文部科学省が内閣府と中心になって、政府の関係各省一丸となった形で、御指摘のとおり、最新の金融状況等を見ながら、一体どれぐらいの運用益を確保するのかに関しての検討というのを定め、それが具体的になった上で、当該決定に基づいてJSTの側が方針をつくり、その方針の内容がこの中長期目標の改定という形で改めて反映されていくという形になろうかと思います。
3点目の御質問。では、JSTが博士後期課程の学生、大学等に支援を行った場合、先生御指摘のとおり、支援を受ける側としては、そういった経費というのは固定的・経常的な経費として財源として計画に盛り込むものでございます。
当然、これが日々の運用実績において、毎年毎年増減いたしますと、この助成を受ける大学において、財源の確保が不透明・不安定になるのではないかという御懸念かと承知いたします。
この点につきましては、基本的には、やはり助成額というのを安定させるために、一般的にはこの基金においては、毎年発生した運用益を全て配分に充てるのではなく、必要な助成額に加え、毎年毎年収益が上がったときにおいては、内部留保として法人の中に積み立てておき、その積立金の厚さでもって、短期的な運用益の増減を吸収することで、具体の配分額に影響が出ない形の助成を行っていくというのが、この種のファンドの運用の一般的な運用手法でございまして、大学ファンドも同様の方法を考えてございます。
したがいまして、4点目の御質問にございましたとおり、では、この運用益の配分をいつ始めるのかにつきましても、来年度、資金が入った時点で即運用益の配分を始めるのではなく、当初はこの元本を運用に回して、数年間は当該収益を運用益として内部留保した上で配分を開始するという形になります。
したがって、JSTにおいては、まずは運用の開始を行い、運用益が十分にたまった段階から助成を始めるということにしております。
ただ、先ほど御説明申し上げた中で、ファンドの運用の2つの柱のうちの1つでございます博士後期課程の学生の支援につきましては、ファンドの運用益が配分可能になるのを待たず、喫緊の課題という形で、このファンドの運用益ではなく、創発的研究推進のための基金を補強するという観点で、取崩し型として、こちらは国費の真水を入れた形で実施しておきまして、その真水の支援を行った上で、運用益が十分にたまった段階から、大学ファンドのほうに財源を切り替えるという形の措置を検討しております。
御質問に対する回答は以上であったかと存じます。
【長坂委員】 ありがとうございました。まだまだたくさん聞きたいのですが、取りあえず、私は以上で結構です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。ほかにどなたか、御意見、御質問はございますでしょうか。
どうぞ、イリスさん。
【ヴィーツォレック委員】 ありがとうございます。大学のファンドを設立することに関して、今おっしゃったようないろいろな質問もあったのですが、背景は大体分かっていますが、本当に大きな改革だと私は思います。一番最初にはコロナウイルスの関係も書いてありますので、コロナウイルスがどのぐらい大きな影響を持っているかどうか分からないですが、もちろん何かはしないといけないのですが、でも、いろいろなリスクもあるかもしれない。大学のファンドで。だから、大学の側から見るとどういう理解をするかに関しては、私はちょっと疑問なのですが。
私の質問が、私は何回もサイエンスコミュニケーションは言いますので、資料1-2のページ1で、3のほうで、目標としてはサイエンスコミュニケーションがいつか入らないといけないと思います。
今、いろいろなことが書いてありますが、サイエンスコミュニケーションは、私の理解ですと未来館ではなく、これはもちろん科学と社会の橋渡しなのですが、全体的に研究者としてサイエンスコミュニケーションでうまく担うための支援が必要と思います。あとは、JSTは全体的にサイエンスコミュニケーションで、運営だけではなく、戦略的に、その将来のために何か考えなくてはいけないと思います。
だから、RISTEXがありますけれど、これも、いろいろな調査もできたと思いますが、でも、例えば瀧澤さんと一緒に、これからも委員会とか、何か議論のグループとか、何でもいいのですが、これももうちょっと、本当に詳しく何か考えないといけないとは思います。だから、なかなか負けないための戦略をつくりたいのですが。
以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。
文科省のほうから。
【奥野人材政策課長】 ありがとうございました。まさに御指摘のとおりでございます。サイエンスコミュニケーションの観点につきましては、未来館等のようにサイエンスコミュニケーションのコミュニケーター的な人を育成したり、もしくはそういったモデルをつくるという活動だけではなくて、まさに個々の施策の実施においても、個々のプロジェクトそのものがやはり社会との関係性を築いていくという上で、サイエンスコミュニケーションという観点が全ての事業にかかっているという考え方については、私ども政府においても、現行の科学技術基本計画、次の基本計画の中においても、御指摘のように特定の事業としてではなくて、科学技術のプロジェクト全体を俯瞰する取組の1つとして位置づけられているという点は、まさに御指摘のとおりでございます。
特に、おっしゃるとおり、この大学ファンドに関しては関心も高く、恐らく、これで行われていきます事業等に関しては、より一層強い関心が向けられておりますので、私ども文部科学省及び事業の実施主体であるJSTについては、これまでのコミュニケーションだけではなくて、御指摘のように様々な不満、不安や疑問、もしくはそのプロジェクトの意義、そして、恐らくニーズのくみ上げといったものをより丁寧に行っていく必要はあろうかと思います。
そういった点も含めて、今後も、次の基本計画等の中においても、そういった観点というのは恐らく、現在パブリックコミュニケーション等がかかっておりますが、入ってきておりますので、JSTの事業にもしっかりと実装できるよう努めてまいりたいと思います。
【五十嵐部会長】 イリスさん、よろしいですか。
【ヴィーツォレック委員】 はい、ありがとうございました。
【五十嵐部会長】 サイエンスコミュニケーションは、この間の研発法人審議会でも、私のほうから少し話をさせていただきました。イリスさんがずっと前からおっしゃっている話なので、これは本当に大事だと思っています。ありがとうございました。
次、瀧澤さんから手が挙がっていますが、瀧澤さん、御質問がございましたら。
【瀧澤委員】 今、イリスさんが御指摘の点は非常に重要で、サイエンスコミュニケーションをやっている当事者として、すごく責任を感じております。
質問は大きく2つなのですが、1点は、先ほどの創発の博士後期課程の生活費相当分をという話なのですが、今の予算で全体の国公私立の学生のうちの何%ぐらいが、月幾らぐらい受け取れるようなイメージで考えていらっしゃるのかというのと1点伺いたいことと、もう1点はやはりファンドの話なのですが、これは本当に、私も最初に聞いたときには「えっ」と思って、国がこういうことをして研究予算をこういう形でひねり出すという仕組みが、海外の先進国に果たしてあるのだろうかというのが1つ聞きたいところなのですが、本質論を言えば、基礎的な国の機能の1つとして、安定的な財源を充てるべきだと、当然そういうふうに思うのですが、なかなか緊縮財政の中でそういったところに到達できないという中で、苦肉の策でこういう形になったのかなと思うのですが、ただ、結局、投資のファンドという全く新しい仕組みを入れるためには、それなりの経費がかかるわけで、ファンドマネジャーの民間の方々に相当程度のお給料をお支払いしてというようなこともあると思いますので、長期的に見るとちょっとどうなのかなと思うのですが、今のところしようがないのかなという感じですが。
それで、そのファンドですが、軌道に乗ってくると年に幾らぐらい使えるようになるのかというのを、研究開発費のほうに年間の予算がどれぐらい使えるようになるのかというのをお伺いしたいと思います。全部で3点ですが、よろしくお願いします。
【五十嵐部会長】 文科省のほうから、よろしくお願いします。
【三輪人材政策推進室長】 文部科学省の人材政策推進室長の三輪でございます。幾つか御質問いただきましたが、大学ファンドが運用益を出して、博士後期課程支援が大学ファンドから始まるまでのつなぎの博士後期課程支援事業の制度設計を担当しておりますので、この点、まず私からお話しさせていただきたいと思います。
資料1-4です。ちょっと、つなぎの事業も幾つか分かれていてややこしいのですが、一番メインとなりますのは、今御覧いただいている資料の一番下に4行ほどあります、創発的研究若手挑戦事業174億円というものが最も大きいものになります。繰り返しになりますが、大学ファンドが運用益で博士後期課程学生の支援をスタートするまでのつなぎとして、別途、補正予算に計上している予算でございます。
先生方、御案内の方も多いと思いますが、一応おさらいしますと、今、日本の博士後期課程学生が大体7万5,000人おりまして、推計値も含んではいるのですが、このうち約1割に相当する7,500人が180万円以上の生活費相当額程度の支援を公的に受けているという推計値がございます。7万5,000人のうちの7,500人が180万円以上を受けているという現状がありまして、これに対して、これとは別に、今回つなぎとして用意しているのが、こちらにございますように、6,000人程度の博士後期課程学生に対して、生活費240万円を含む、研究費も込みで290万円程度を学生に支給するというプランニングで、今、急遽、制度設計を進めているという状況でございます。
私からは以上です。
【五十嵐部会長】 これが1点目ですね。もしよろしければ1つずつ。
【奥野人材政策課長】 では、2点目以降に関しても御説明申し上げます。次は、このファンドのような例の海外での例についてでございます。
まず、海外において、研究費等をこういった投資等から捻出するという方法は、米国、英国等において、主として大学が主体になって、プライベートセクターの大学等は、十分な資産をベースに、毎年毎年、安定的な運用益において、自己の研究投資を安定的に捻出しているという例がございます。また一部、米国等におきましては、そういったものをプライベートセクターに委ねずに、例えば州政府等の単位において、同様に運用益を安定的な研究資金に充てているという例もございます。
先生御指摘のとおり、基本的に研究開発の投資等は必要な分の国費等において、この創発的研究等の所要の経費を確保していくというのが基本であるとは私どもも考えてございます。ただ、一方で今後、我が国の研究を支えていく大学等の研究力というものを整備しようといたしますと、毎年国から措置される運営費交付金ですとか私学助成金、また短期的・中期的な観点で確保されます競争的資金という財源だけではなく、新たに大学自身が英米のような形で十分な自己の資産というのを運用して、その運用益を財源にしていくというのは、大学の研究力の強化において極めて重要であると考えてございます。
ただ、海外においても、こういった十分な運用資産の確保というのは、一定の年月をかけて各大学等が行ってきたものでございまして、早急に、例えば我が国の特定の大学に、海外に比するだけの十分な資産を積み上げること、また同時にその資産を運用することがなかなか困難であるという観点から、最初の財源の捻出というのは、まずはJSTという公的なファンディングエージェンシーというものを土台にし、また、先ほど申し上げたように、当初は公的資金でもって下支えを行います。
ただ、こういった事業を行っておく最終的なゴールとしては、こういった機能を徐々に我が国の大学においても実装していくための最初の公的な立ち上げ、及び下支えというのを、このJSTが行っていくといった形で、極めて長期的レンジにおいては、海外の、大学が自己の資産を運用して、その運用益を研究費として安定的に獲得できるような研究機関像というものをつくっていくときの最初の一歩にしたいという考え方で行われているものでございます。
そして、3点目の運用益の見通しについてでございます。運用益の見通しにつきましては、基本的には一定の長期間に資産を保有し、それを分散的に投資する形で運用益を算出し、その運用益の中から、一定の流動的な現金を捻出した上で、これを助成の財源に充てていくことといたします。
そのベースとなる運用益の考え方につきましては、この種の大規模なファンドにおいては、分散投資の投資先の比率において一定の運用益を捻出するという方法を取ってございます。
具体の運用益につきましては、法案が施行された後に、どのような投資戦略を組むかが運用益を確定することにはなりますが、ほかのファンド等の例におきますと、例えば一番公的ファンドで大きなGPIF等の運用益の平均値を見れば、大体3%程度の数値等が出ております。
したがって、最終的に10兆円規模のファンドが造成されたときに、平均して獲得できる運用益というのは、そういった1%台の前半に値するような形での運用益というのが、今後の検討で算出されてくることになろうかと思いますが、現時点ではまだ具体的な投資戦略は決まっておりません。
ただ、一つの現行での相場感とした、そういったパーセンテージが乗ぜられるような形の収益を目標とする形で、今後、基本指針、基本方針の検討が行われていくことになるのではないかと考えております。
御質問に対する回答は以上であったかと思います。
【五十嵐部会長】 瀧澤さん、よろしいですか。何かありましたら。
【瀧澤委員】 どうもありがとうございます。また時間がありましたら。取りあえず質問したことにお答えいただきましたので、ありがとうございます。また後で質問したいと思います。
【五十嵐部会長】 どなたか、ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。今のところ、手が挙がっておられる方はいないのですが。
【篠藤部会長代理】 すみません、篠藤です。よろしいでしょうか。こちらを新聞などの報道で読みましたときに、結構思い切った、新しいことをされるのだなと思った反面、やはりほかの委員の方がおっしゃっていることと重なりますが、これはリスク管理というのをどうやっていくかというのが非常に大きな問題になってくると思います。
ほかの方と重ならない質問としまして、モニタリング指標のところに書かれている、運用監視委員会の支援という指標がございましたが、具体的に、この運用監視委員会というのはどのようなメンバー構成で、どのような役割を担うのかというのを、分かる範囲で結構ですので教えてください。
【奥野人材政策課長】 お答え申し上げます。運用監視委員会につきましては、このJST法の改正後に、主として金融経済、資産運用の実務家・専門家の方5名以内を文部科学大臣が任命し、これをJSTに設置する形になります。
運用監視委員会の機能としては、大きくは2つの機能が期待されております。1点目は、JSTの資金運用に関しての重要な決定事項、例えば中長期目標でございますとか、この資産を運用する金融機関の選定に関します業務方法書の策定、投資に関する基本方針といった、投資に関するJSTの重要な決定事項を行う際には、理事長、運用担当理事は、必ずこの運用監視委員会の議を経なければならないとしております。
したがって、ある意味チェック機関として、この投資判断の適切性を担保する意味で、より多くの投資の専門家のチェックを経るという機能が1点目。
さらには、同委員会は運用状況をモニタリングするという機能も付与されております。従って、適宜、運用の状況を、このJSTの執行部門から聴取し、必要に応じて運用の方針等に関して建議等を行う。したがって、重要な運用に関する決定事項に関する諮問、そして議決のチェック機関としての機能、及び運用状況をモニタリングする、この2つの大きな機能が運用監視委員会に期待されているところでございます。
【五十嵐部会長】 篠藤さん、よろしいですか。
【篠藤部会長代理】 ありがとうございます。また後から質問させていただきます。
【五十嵐部会長】 分かりました。ありがとうございました。
ほかに。どうぞ。
【金澤委員】 金澤でございます。大学ファンドのことについてですが、頂いた資料の中に、大学の参画とか参画大学とかいうのがあって、大学がそのファンドに参画すると。その時には資金の拠出も求められるというようなことが書かれているのですが、いろいろと助成されるときの助成先を選定するに当たって、参画大学というのは何か特別なステータスを持つのでしょうか。あるいは、参画大学に対して助成するという形なのでしょうか。
参画大学、参画するとどのようなことがあるのかというのを教えていただきたいと思ったのが1つです。
もう1つは創発のほうで、この事業は大学と国のマッチングファンドになっていて、大学のほうにも負担を求める形になっているかと思うのですが、それはどうしてでしょうか。
多分、大学院生の就職は大学が一義的に担うものであるので、その前提になっているのかと思いますが、この2点を教えていただければと思います。
【奥野人材政策課長】 それでは、まず1点目です。大学ファンドの支援の対象となります大学の具体的な選定の要件等につきましては、この法律の成立後、文部科学省において、内閣府と共に具体の要件等を検討していくことになろうかと思います。
ただ、その検討の前提として既に決定されてございます、この補正予算の前提となります国の総合経済対策等におきましても、このファンドの造成に関しては、下の記載にあるとおり、大学等と連携し、さらに外部の資金等も活用してつくっていくという形で、参画大学の側からの一定の資金的なコミットメントというのは、閣議決定等に示されているところでございます。
では、この参画大学において、具体的にどのような形で資金のコミットメントを行い、どういった形の資金の拠出ができるか等については、これから政府における検討等を行った上で、特に国立大学法人等については、こういった財務的な行為については国立大学法人法の規程等がございます。必要に応じて、そういった諸規程の改定等も視野に入れる形で、最初に申し上げたとおり、具体的に運用益が蓄積されて支援が開始されるまでは数年間ございます。したがって、その過程において、特に具体的な研究環境の整備として、世界に伍する大学の要件をどのようにして、支援を受ける際には大学側にどういった要件が必要になり、そして大学側から具体的にどういった資金の拠出を求めるのかについては、これから具体の検討が行われることになろうかと思います。
ただ、一方で、大学ファンドの支援、JSTの支援については、もう1点、博士後期課程の学生に対する支援がございます。こちらに関しては、先ほど申し上げた形の、主として重点的に研究環境の整備を支援するというところとは違って、より広く、我が国の研究人材を支えている博士後期課程学生の支援を行っていくという側面がございます。
こちらにおける支援の対象の負担の考え方については、これは一般的な補助事業の考え方になってございまして、各大学等が行っていかれる、博士後期課程の学生に対する活動を支援するという観点、これは通常の補助金の考え方でございます。したがって、博士後期課程学生への支援における大学側の負担の考え方は、通常の補助事業のいわゆる補助率の考え方を取ってございます。
JSTは、これまでどちらかというと補助事業的な観点を行わずに、委託事業的な観点で、基本的にJSTの名前で全ての事業を行っていただくという事業が中心になってございましたが、この博士後期課程の支援に関しては、大学が行っている事業を補助するという形の事業形態を取る形にしていくことを考えておりまして、そういった形での負担の考え方というのをお示ししているものでございます。
【金澤委員】 分かりました、ありがとうございます。よく理解できました。
あと、具体的にファンドのほうで支援をするときには、これはまた、今、実際、いろいろとJSTは大学支援を行っていらっしゃるわけですが、そういった部局が具体の支援内容だとか、支援先の選定だとか、内容の審査とかを行われると考えてもよろしいですね。
【奥野人材政策課長】 これからまさに大学ファンドを立ち上げるに当たりまして、文部科学省におきましても、私ども法人所管課の人材政策課ではなく、大学ファンドの運用につきましても、省内において、JSTにおける事業部門及び事業担当部門を整備して、こちらで内閣府等とも連携しながら、制度の具体化を進めてまいることになろうかと思います。
また、先ほど申し上げました博士後期課程の学生支援につきましては、人材政策推進室のほうが中心になって、当初の補正における基金の造成等に関して、将来の取りまとめ調整を進めているところです。
【金澤委員】 ありがとうございました。
【五十嵐部会長】 ほかにどなたか御質問は。
【久保委員】 久保です。よろしいでしょうか。創発の件とファンドの件、それぞれ聞かせてください。
まず、博士後期課程の生活支援でございますが、これそのものは非常に意義があると思うのですが、ここで描く効果というのは、研究とかに集中してもらうような環境をつくりたいのか、もっともっと博士人材を増やしていきたいのか、どちらに重点を置かれているのか。
もし後者だとすると、本当にこの生活支援が、博士課程を魅力と皆さんが感じて増えていくのか、その後のポストも含めてどうなっていくのかというのが一連として形にならないと、ただ単純に支援するだけでは、効果としてはどうかなと思っているので、その辺りのことについてお聞かせいただきたいと思っています。
2つ目のファンドの件は、こういう施策に関しては、何をしたいかというwhatと、それをどうやっていくかというhowの2つだと思っていて、今回はwhatはまだ決めていなくて、今後決めていくけれど、まずhowでファンディングという制度を入れましょうというふうに言われているという認識をしました。
whatの部分の中期計画の変更は以降ということなので、その時に議論させていただければと思うのですが、でも本来は、what、何をしたいかという使途を明確にすることによってファンディングの意味合いが出てくる。
そうなってくると、そもそも初めに10兆円というのが成り立つのか。先ほどの、1%ぐらいの運用益があるというときに、じゃあ1,000億というもので何をしようとしているのか。
基本的には、何をしたいかというある程度具体的なイメージがあって、それでファンディングをどう使っていくかということがないと、ちょっと中途半端かなと個人的には感じておりまして、まだ確定していない中でも、実はこういうことに使っていきたい、この規模、全体に対する教育予算の中のこれぐらいの規模をこれで賄っていきたいという遠景なイメージがあれば、お聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
【五十嵐部会長】 文科省のほうから。
【奥野人材政策課長】 はい。まず博士支援についてでございます。博士後期課程学生支援、当然、科学技術振興機構(JST)が行っていくという観点がございますし、財源を研究費としております。
したがって、基本的な支援の第一義的な目的につきましては、我が国の研究開発を支えております博士後期課程の学生の必要な研究環境を整備して、博士後期課程の学生が研究に専念できる環境をつくっていくための経費として、研究環境に専念できるためには、やはり生活的支援が必要であるという観点が、まずJSTの事業の第一義的な目標としてございます。
ただ、先ほど申し上げたように、中長期目標の中において、支援する学生の数等が加えられたという点は当然、アウトカムとして、我が国の研究環境の整備の観点、及び人材の観点から、研究を支える博士後期課程の学生の質及び数等の厚みを増していきたいという政策的期待というのが反映されて、具体的な博士後期課程の学生の数というのが、一つの目標値として入っているところです。
また、御指摘のとおり、最終的なアウトプット、アウトカムとして、博士後期課程の厚みを増していくのに対して、この生活費支援というのがどのような効果があるのかについては、これまで我が国が科学技術政策研究所、及び研究者等が様々な調査・アンケートを行っております。
これはやはり具体の現場の博士後期課程の学生の方、及び研究室のほうのニーズとして、この博士後期課程学生に対して、やはり諸外国と比べると非常に経済的環境が悪い、十分な処遇を受けていない、したがってこういった支援が必要である、というニーズは十分把握できております。
ただ、これが具体的に層の厚み、もしくは優秀な博士課程の学生が集まるのにどれだけの効果があるのかという点については、当然、こういった博士後期課程の学生支援は必要ではございますが、当然これだけではなく、先ほど久保先生もおっしゃったように、この当該若手の研究者の方のキャリアパスの見通しが立つのか等も、具体的な進路選択の中の重要な要因であるというデータも出ております。
この点に関しては、我が省の博士後期課程の学生支援においても、当該支援を受けている間の研究環境だけではなく、当然、若手研究者ですので、次のポストにどのように接続していくか、そして最終的には若手の方の全体のキャリアパスとどう整合するか。これはJSTのこの事業だけではなく、人材政策全体の中に、うまくこれを組み込んでいく必要があると、私どもも現時点では考えているところでございます。
次に、ファンドについてでございます。もし補足があれば事業担当課のほうで補足していただくことになろうかと思いますが、基本的な、どのようなことをしたいのかという点に関しては、現時点での法改正及び予算においては、先ほど申し上げた2つ、大学の研究環境の整備というのを、特に今後世界に伍する研究大学となっていくような大学に関して行っていくという助成方式と、より広い基盤として、博士後期課程の学生――これは「若年の研究者」と書かれてございますが、博士後期課程の学生の支援を行うという、この2つを具体的な支援の対象として規定した上で、その支援の財源を確保するための方法として、新たに運用益という財源を今回措置した形になります。
当然、御指摘のとおり、べき論として、まず支援する対象の施策があって、それに必要な資金を確保するというのが、一般的な政策形成の正しい方向であるというのはまさに御指摘のとおりでございます。
ただ、一方で、こういった運用益で行う事業につきましては、先ほど御説明申し上げたとおり、支援が開始できるまでの間には一定の運用益の蓄積等の期間がございます。そういった意味では、まずは必要な財源の確保というのを早急に行っていくということが、トータルとして、大学等に関する国の支援の全体としての質と厚さを増していく上で、よりベターな方法ではないかと考えて、まずは運用体制の整備と運用益の蓄積に着手しつつ、具体の支援の内容に関しては、支援開始まで時間がありますので、そこはむしろじっくりと意見を聞きながら考える、そういった時間が確保できるというのも、具体の政策をつくっていくという現実的プロセスにおいては、必ずしも非効率なものにはならないのではないかと考え、こういった順番で必要な法的措置、財源措置を行ったところです。
もし支援対象に関して事業所管課から補足等があればお願いします。
【塩原学術機関課長】 すみません、事業担当をしております、研究振興局学術機関課長の塩原と申します。先ほど奥野課長からも説明しましたとおり、今後のこの事業により、どのような支援を行っていくのか、whatの部分について詳細は、内閣府におきまして有識者会議等で決めていきたいと思いますが、基本的な考えといたしましては、昨年末に閣議決定されました総合経済対策の中でも、例えば世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学の共用施設やデジタル研究基盤の整備、博士課程学生などの若手人材支援・育成というような文字も、この閣議決定された中で記載もされております。
考え方といたしましては、今までの競争的資金、ないしは運営費交付金などでは、必ずしも十分な整備がなされてこなかった、言わば国家レベルでの共通インフラとなるような研究環境整備への投資をきちんとやっていきたいという発想に基づくものでございます。
それがさらに、どこにどういうニーズがあり、それをどのように配分していくのか等について、今後さらにしっかりと設計してまいりたいと思っております。
以上でございます。
【五十嵐部会長】 久保委員、よろしいですか。
【久保委員】 はい、ありがとうございます。
【五十嵐部会長】 1点目の御質問に関しては、ちょうど1年ぐらい前に、CSTIで研究力強化・若手研究者支援の総合パッケージを出していますよね。
あれで、ドクターから若手研究者からシニアに至るまで切れ目のないパッケージをつくっていると。今回のドクターの支援はそこの一番初めの部分であると、そんな感じに捉えればいいのでしょうか。
【奥野人材政策課長】 まさにお見込みのとおり、そのパッケージというのを早急に達成するという観点から、大幅な財政出動を行ったということでございます。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。ほかに。
瀧澤さん、これは新しく手が挙がっておられるのですか。
【瀧澤委員】 すみません、ありがとうございます。先生方からの御質問とお答えで、大体イメージがつかめてはきたのですが、ぜひ1つ要望なのですが、私がいろいろなところで取材で回っていますと、やっぱり地方の国立大学とか、実力はあるのだけれども運営費交付金が減らされてあっぷあっぷしているという話を物すごくよく聞くんです。
そういう実情を踏まえていただけるような大学ファンドというのが期待できるのかなと思ったら、どうもそうとは言えないような感じで、今、理解したのですが。
実はエコシステムというのは、生物多様性も同じなのですが、恐らくプレーヤーが非常に多様で、複雑な関係性を持っている系のほうが安定性が高まるんです。これは最近の研究で分かっていることなのですが、それも恐らく経済学とか、こういう研究環境とかのエコシステムも恐らく同じではないかな、相似形のところが結構あるのではないかなと思っているのですが、最初から当たりくじと分かっているくじなどはないわけで、研究者だって、何が自分の研究が当たるかというのは、やっぱり長期的にいろいろ試行錯誤する。それも、いろいろな環境で教育を受けてきた、いろいろな人たちがやるということがすごく重要なことだと思うので、一部の、今、特に日本はそうなのですが、第2グループとか第3グループの大学が非常に力を落としてしまっていて、それが全体のエコシステムを脆弱化させているという説がありますが、それにならえば、やっぱり運営費交付金に相当するようなものを厚くしていっていただくように、今後ぜひ考えていただきたいなと。
恐らく内閣府のほうで、そういう議論はされるのではないかと思うのですが、一方で、JSTさんの事業でファンディングを受けている研究者の方々、非常に職員の方々が支援を手厚くされていて、効率的な研究をされているというのはすごくよく分かるのですが、両面が多分必要だと思いますので、そういったこともぜひ今後、考えていただきたいと思います。
以上です。
【五十嵐部会長】 何かコメントはありますか、文科省のほうから。
【奥野人材政策課長】 御指摘の点につきましては、まさに、国立大学の中でございましたら、様々な大学の研究力というものの総合力が、まさに我が国の研究力でございます。
そういった観点から、地方大学においても極めて優れた実績を上げております研究者の方、また、拠点としても大きな取組を上げている研究者の方がございます。
文部科学省としては、先ほどございました運営費交付金ですとか競争的資金、そして中長期的にはこういった形の大学ファンドといった様々な財源を総合的に活用する形におきまして、必要なところはしっかり支援していくという方法で取り組んでございますし、JSTにおきましては、先ほどの創発的研究におきましても、特定の大学ではなくオールジャパンの中から優れた研究者を見いだすための取組、もしくは拠点の形成といたしまして、競争の場の支援等においても地方大学でしっかりとした成果を上げているところがございます。
したがって、国の政策資源の配分につきましては、このファンドで具体的にどこの大学を支援するのかは、現時点でアプリオリにこの大学というのを決めておりませんで、まさに世界に伍する研究大学とはどういった要件の大学かというのは、予断なくこれから検討していくことにはなろうかと思いますが、それだけではなくて、総合的に、ファンドの対象が決まった前提の中でも、ほかの財源等も踏まえて、行政資源を最適に配分するに当たっては、今いただいた御指摘のところにも必要な研究支援を行っていくという考え方は、文部科学省及びこのJSTの目標、計画の中において実装されていくことになると考えてございますので、そういった観点で、引き続き御指導等賜ることができればと思います。ありがとうございました。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。どなたか、ほかに御意見、御質問はございませんか。
どうぞ。
【長坂委員】 長坂です。今までのお話を伺って、文科省が目標としていること、世界に伍する研究とか、若手研究者育成とか、その大義名分はもちろん全く異論がないわけです。
それで、ファンド運用というのも、アメリカにおける私立大学が長年かけてやっているものとは全然違うものなので、どうなのかなと思いますが、どうもやらざるを得ないというのもある意味分かるのですが、あまり我々が立場的に何でも分かってしまうと、我々の存在意義がないので伺いたいと思います。やはりそういう意味で、この年金――年金を先ほど例に挙げていましたが、年金の運用の資金というのは、さらにその10倍ですか、100兆とか200兆とかいう額ですから、実際、運用を失敗して1割ぐらい吹き飛んだりした例もあるように聞いていますので、これから長い時間をかけてつくっていくとは言いながらも、やはり大きなリスクがあって、それをJSTではなくて文科省が責任を引き受けるとはおっしゃっていますが、担当者もどんどん代わり、一体どうなるんだろうというのは、これはもう質問ではないのですが、正直不安を感じるところがあります。
その中で、産業界や大学からも寄附金を、と書いてありますが、2年後に10兆円ということは、5兆円を企業・大学からと言っていますが、この状況では極めて難しいし、それから国立大学の話が出ておりますが、国立大学から寄附金を、一部からは得られるかもしれませんが、ほとんど望みがないと私は思うわけです。いろいろな現状を聞いていますと。
従いまして、この辺の見込みはあまりに、誰が見ても甘いことであって、それに対して、それでいいよね、頑張って、と言って良いはとても思えない気がするので、よくお考えいただきたいと思います。
それから、学生の支援についてですが、日常の生活支援というのは、これは結構だと思うのですが、先ほど久保先生もおっしゃったように、こんな額で、優秀な人が魅力を感じるかというと、企業へ行ってしまうわけですよね、当然。
それで、多くの博士課程へ行きたいと思う人は魅力を何に感じるか。やっぱり研究そのもので、大学に勤めたい、学者になりたいという人が圧倒的に日本は多いと思います
ですから、やはり文科省としては、大学のポストというのと一緒にして考えないと出口がない。幾ら支援して、ドクターを取っても、その先は、あれっ、ということになってしまって、JST側もせっかく支援したけれども企業に行ってしまう。
行ってもいいんですけど、その辺のパッケージとおっしゃっていますが、やはり大学のポストもパッケージで考えるというのを、もちろんお考えになっていると思うのですが、何か見える形でお見せいただければ、文科省も新しいことをやっているなと、本当にプロの方が思うのではないかと感じました。
もう1点は言葉の問題なのですが、瀧澤先生もおっしゃったのですが、「イノベーション・エコシステム」というのは私にはとても受け付けにくい言葉で、エコシステムのイノベーションなら分かるのですが、イノベーションとエコシステムのアナロジーを使ってこの言葉を使うというのは、言わば言葉だけが一人で踊っていると。言葉だけがダンスしているわけで、中身を非常に伴わない、こういうものが、財務省か政治家か分かりませんが、非常に好むのかもしれませんが、やはり、もうちょっとしっかりした言葉で言っていただきたいなと、これも希望でございます。
以上です。
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。文科省のほうから。
【奥野人材政策課長】 では御説明申し上げます。まずリスクについてでございます。当然、リスクという観点では、先ほど言った責任を明確化するという観点と同時に、やはり具体的なリスクの発生というのを防ぐ、発生したときにどのように対応するかというリスクマネジメントが極めて重要だと考えてございます。
これは今後、運用の基本的指針、方針の議論の中で具体化していくことになりますが、今日御指摘いただいたように、特に私ども、3つの観点でのリスクの対応が必要でございます。1点目は、やはり大学等に関して安定的な支援額を出していくという意味で、まず支援額というのが、この運用状況によって乱高下することが、助成対象との関係において大きな支障が起こるというリスク。これに関しては、基本的には十分な運用益の積立てを行うことで対応するという形のマネジメントを、今後検討していくことになろうかと思います。
第2のリスクマネジメントといたしましては、元本の保全という考え方がございます。これは当然、運用益で回していくという観点は、これは先ほどと同様の考え方にはなりますが、十分な積立てを行って元本を毀損しないようにしていく形での、恐らくリスクコントロールというのが今後の運用方針の中で反映されていきます。
そして、一番クリティカルなリスクになりますのは、委員の皆様から御指摘いただいたように、この元本の中には自己資本、資本性の資金以外に、財政融資資金等、外部から借り入れた資金がございます。したがって、償還確実性、デフォルトを起こさないという一番クリティカルな財務上のリスクがございます。
こういった償還確実性の担保、そして元本の保全、そして毎年毎年の安定的な支援額の捻出のために、どういった金額を積み立て得るのか、また運用リスクとして、投資に際して許容しているリスクの値をどのように算出して設定するのかについて、今後検討してまいる必要があろうかと思います。1点目です。
2点目、資金の調達に関してでございます。今般、5,000億円の資本性資金としての政府出資金と4兆円の財政融資資金がございました。残りの資金を、全て大学からの寄附、企業からの寄附によって調達できるとは、私どもも考えてございません。
ただ、公的資金の投入に関しては、また改めて財政当局とも折衝・調整等が必要ではございますが、最初に申し上げましたとおり、スタート時点におきましては、やはり公的資金の下支えというのが必要となってございます。
したがって、引き続き、例えば財政融資資金の追加的な融資という方法が必要であるのかどうかという検討も、今後行われていくことになろうかと存じます。
また、基金からの調達につきましては、全てを企業からの寄附金のみで確保できるとは考えてございません。したがって、これも今般のJST法の改正によりましては、財政融資資金だけではなくて、いわゆる銀行等からの長期借入れ、もしくは債券発行による、いわゆる寄附ではなくて、そういった形での資金調達というのも一定規模行っていくことを視野に入れてございます。これに加えての、大学からの一定の資金の拠出でございますので、残りの資金を全て寄附及び大学の拠出金で回すのではなく、いわゆる融資、もしくは他者資本という形での元本の造成・積み上げというのがないと現実性がないというのは、まさにおっしゃるとおりだと思います。
そして3点目、博士支援に関しては、先ほど申し上げましたとおり、在学中の経済的な支援があるというのは必要最小限の条件でございまして、当然、その後のポストというのも必要でございます。2つの観点があろうかと思います。
まず、研究者として大学に入っていく方に関して必要なポストを確保するという観点で、ここはJSTの守備範囲の外には出ますが、政府全体の施策としては、今後の科学技術イノベーション基本計画等においては、この博士課程での支援を充実する観点だけではなく、大学等における若手の研究者のポストの数をどのように増やしていくのかという目標設定、そのための、国立大学法人等における人事給与のマネジメントを変えていこう、そういった形での若手のポスト確保に関する施策、これはJSTの守備範囲の外には出ますが、政策としては、そういった観点も支援していくこととしてございます。
そして最後に、「イノベーション・エコシステム」という語につきましては、この語自身が非常に新しい語であるというのは御指摘のとおりでございます。
この語の引用につきましては、先ほどの資料1-5の参考としてございます総合経済対策の閣議決定の中において、「イノベーション・エコシステム」という概念が提起されてございます。こちらの閣議決定の定義によりますと、「生態系システムのようにそれぞれのプレーヤーが相互に関与して自律的にイノベーション創出を加速するシステム」を、政策的に「イノベーション・エコシステム」として総合経済対策で定義されてございまして、この閣議決定を引用しているという点でございます。
また、言葉のイメージ等につきましては、そういった言葉を受け取られる方々に正確に伝わるという観点で、より新しい言葉でございますので、丁寧な説明というのを心がけてまいりたいと思います。
以上です。
【五十嵐部会長】 よろしいですか。この「イノベーション・エコシステム」って、産業界もよく使うのですが。実際に「エコシステム」と定義しているもの、企業と大学の産学連携、そしてベンチャー、ここのところも連携したシステムと言いながらも、これがなかなかうまく動いていない。
長坂先生がおっしゃったのは、この「エコシステム」と定義をされているものの「イノベーション」を図るなら分かる、というのは私も何となく分かる気がします。どうしても、こういう言葉を使っちゃいますよね。これは何とかしたいなと思っています。
ありがとうございました。大分時間もたっていますが、せっかくの機会ですから、まだ御意見、御質問がございましたら。かなり大きな話ですので。よろしいですか。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
本日、委員の皆様からたくさんの貴重な御意見をいただきました。この御意見に関してですが、これは中長期目標へ具体的に反映しますが、それに関しましては、この後、文科省とやりますけれど、部会長の一任とさせていただくということでよろしいでしょうか。皆様の御意見をまとめて、必要によって改定して出しますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【五十嵐部会長】 ありがとうございました。よろしいですか。
本日の議題は以上になりますが、各委員から、本日の議題に限らず、何かこの機会に御発言などございますでしょうか。
よろしいですか。ちょっと私のほうから1点なのですが、皆様にお願いしているこの部会ですが、イリスさんが、今期をもちまして部会をお辞めになるというようなお話を伺っています。もしイリスさん、何か一言御挨拶があれば、お願いできますでしょうか。
【ヴィーツォレック委員】 私は長い間、8年間ぐらいJST部会で委員として参加したので、コロナウイルスの関係でいろいろなこともあって、私のビジネスも考えなければならないので、2年間ぐらい一回休みたいんです。
一回休んで、ほかの方から何かフレッシュアイディアが入ればいいかなと私は思っていましたが、もし何か私の意見とかが必要であれば、いつでもどうぞ。
だから、ずっと辞めたいとかそういうことではないのですが、取りあえず8年間はちょっと長いので、一回休みたいので。
今までは、私の場合は本当に文部科学省のいろいろな改革を見ながら、JSTのことも非常に心から関心を持っていますので、ぜひ、いい方向に進みたいと思います。
今まで、日本も大好きなのですが、楽しいこともあったし、私のほうも、いろいろなことも勉強になりましたので、感謝しています。これからもよろしくお願いいたします。
【五十嵐部会長】 どうもイリスさん、ありがとうございました。これまで御苦労さまでした。急にお話をいただきまして、すみませんでした。ありがとうございました。
それでは最後に、連絡事項等がございましたら、事務局より説明をお願いいたします。
【澄川課長補佐】 ありがとうございます。本日、御議論いただきましたJST中長期目標の変更案につきましては、今後、国立研究開発法人審議会におきましての審議、総務省の独立行政法人評価制度委員会におきましての審議、財務省との協議もございますので、こういったものも進めてまいりますが、協議の過程で中長期目標案の追加の変更点等ございましたら、事務局のほうから委員の皆様にはお知らせさせていただきたいと思っております。
【五十嵐部会長】 よろしいですか。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局 人材政策課

(科学技術・学術政策局 人材政策課)