国立研究開発法人審議会 科学技術振興機構部会(第8回) 議事録

1.日時

平成28年12月13日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省東館16階 科学技術・学術政策研究所会議室

3.出席者

委員

広崎委員 五十嵐委員 ヴィーツォレック委員 友永委員 三上委員

4.議事録

文部科学省国立研究開発法人審議会 科学技術振興機構部会(第8回)

平成28年12月13日


【広崎部会長】  それでは、定刻となりましたので、これより文部科学省国立研究開発法人審議会、第8回になりますけれども、科学技術振興機構部会を開催したいと思います。
 本日は、お忙しい中お集まりいただいて、ありがとうございます。
 最初に、出席者の確認及び配付資料の確認を事務局からお願いします。
【豊田人材政策課長補佐】  事務局豊田です。よろしくお願いいたします。
 本日は、金澤委員、滝澤委員、筒井委員が御欠席となっております。
 また、ヴィーツォレック委員が少し遅れてこられることになっております。
 続いて、配付資料について確認させていただきます。資料については、議事次第に記載のものを配付しております。欠落等ございましたら、事務局までお知らせください。
 よろしいでしょうか。
 事務局からは以上です。
【広崎部会長】  それでは、本日の部会の進め方について、事務局から説明をお願いしますけれども、お手元の議題、大きく2つ、1と2になっておりまして、1番目が、前回御議論いただいた次期中長期目標(案)です。前回御議論いただいたコメント等を盛り込んで、文部科学省サイドで目標(案)を完成させたというものであります。これを確認させていただくというのが1番になります。
 それから2番目が、きょうの本題でありますけれども、この目標達成のための次期中長期計画(案)です。これにつきましては、JST側から御説明いただいて議論に入りたいと思います。
 それでは、事務局からの説明をお願いします。
【豊田人材政策課長補佐】  早速、資料1-1について御説明いたします。
 前回のJST部会で中長期目標について御意見を頂いた点について修正したものを赤字で示してございます。
 まず2ページ目でございますが、前回の部会でネットワーク型研究所という特長を前面に出して、冒頭や各柱で記述すべきとの指摘がございました。まず冒頭に赤字のように、「機構は、研究開発戦略立案機能や科学技術情報基盤を自ら有しながら、国立研究開発法人や大学、企業等とのパートナーシップに基づく組織の枠を超えた時限付で最適な研究開発推進体制を構築するネットワーク型研究所としての特長を最大限生かし」という文言を入れてございます。
 次に、3ページでございます。冒頭も同様に、「ネットワーク型研究所」の文言を入れてございます。また、最後の行に、「評価に当たっては、別添の評価軸及び関連指標等を基本として評価する」としてございます。これは後ほど説明いたしますが、資料1-2の方に示しておりますが、総務省等からの指針等に基づいて作成を行っております。
 4ページでございます。4ページは、てにをはの修正で、5ページでございますが、同様に冒頭に「ネットワーク型研究所」の文言を入れているのと、前回御指摘のあった基本特許等も含めた知的財産化も次期目標期間中に実施可能とすることを明確化ということで、「基礎研究から実用化支援、知的財産化まで一貫して実施可能な体制を構築する」というふうにしております。
 6ページでございます。6ページの冒頭にも、「ネットワーク型研究所」の文言を入れてございます。
 7ページでございますが、ここは修正していない部分でございますけれども、2段落目、戦略的な基礎研究について、「出口を見据えた基礎研究」という文言について、備考欄に書いてございますが、前回、「基礎研究は、出口は意識するが、まだ見えない段階ではないか」ということを踏まえて、書き方について確認しております。CSTIの「科学技術イノベーション総合戦略2016」等においても同様の文言が用いられているということで、今回は修正しないというふうにさせていただいておりますが、この事業については、基本原理を追求しつつ、将来の社会的・経済的価値の創造を志向する研究として、「出口を意識する」という御指摘の趣旨を踏まえて、今後、事業推進していきたいというふうに思っております。
 8ページでございます。8ページの下の部分も「ネットワーク型研究所」の文言を入れてございます。
 10ページから11ページにかけてですけれども、知財のことについて、大学等の知財マネジメント力の強化について、JSTの実施する各研究開発事業と連携し、終了後も含めて支援する旨を追加しております。
 また、前回の部会以降に、経産省と文科省で、産学官連携による共同研究評価のためのガイドラインが策定されておりまして、それを踏まえた支援を行っていくという旨を記載しております。
 13ページでございます。2点ほど修正をしてございますが、この部分は主に総務省からの指摘事項も踏まえて修正しております。本日、参考資料5に示しておりますけれども、1枚目の裏の2.のところに、JST個別に指摘されている部分がございます。科学技術文献情報提供事業の見直しについてということで、その「したがって」と書いてあるところですけれども、「本事業については、安定的に業務運営を行うことができるビジネスモデルに転換するなど、抜本的な見直しを行うこと」とされております。
 また、その下のところで、JSTが収集した科学技術関係の論文等が40万件ほど保管されている情報資料館筑波資料センターについてですけれども、次のページにわたって書いていますが、今後も引き続き、同センターで保管する必要性の低いものの廃棄、同センターのみが保管しているものの国立国会図書館等への移管を進める。同センターで保管する論文等の処分及び移管を進め、それらが完了した際には、センターの廃止を検討することが触れられております。
 また、そのほか他法人を含めた共通事項として、1.ですけれども、見直し内容に関する内容と、3.でございますけれども、目標設定に関する内容についても指摘をされております。
 また、関連して参考資料6でございますけれども、現時点では、指摘事項まではいかないまでも、今後、総務省と文科省で議論していきたい気付きの点、留意事項として、研究資金配分機能を十分活用した橋渡しに関する具体的な取組がどの程度達成したのかを測定するための目標の設定等が述べられているところでございます。
 資料1-1に戻っていただいて、13ページでございますが、先ほどのJSTへ個別に指摘のあった2点について、それぞれ修正をしてございます。「オープンサイエンスの潮流等も踏まえたサービス内容の抜本的な見直しを行いつつ」ということと、「情報資料館筑波資料センターで保管する資料等の処分及び国立国会図書館等への移管を進め、それらが完了した際には、センターの廃止を検討する」ということです。
 15ページでございますが、15ページは、てにをはの修正でございます。
 16ページでございますが、前回、理数系の強化に加えて、人文・社会科学のようなリテラシーの強化を考慮すべきとの御指摘がございました。これを踏まえて、「各取組の推進にあたっては、科学技術イノベーションと社会との関係深化が求められている現状を踏まえつつ、広い視野を持つ人材の育成を目指す」として、また、17ページでございますけれども、国際的な観点からも、「科学技術分野における海外の青少年との交流を進める等により、次世代の科学技術人材の育成について国際性を涵養する取組を検討、実施する」と加えてございます。
 17ページの下から18ページにかけては、前回、リスクをとってチャレンジするプログラム・マネージャーの育成について御指摘がありました。これを踏まえて、「挑戦的な課題にも積極的に取り組むプログラム・マネージャーを育成するため、実践的な育成プログラムの更なる改善等の検討により効果的な運営を行う」としておりまして、18ページでございますけれども、「研究開発事業での実践の中で、リスクを適正に評価し挑戦することなどプログラム・マネージャーによるマネジメントを適切に評価する仕組みを構築していく」と書いてございます。
 20ページでございます。先ほどの総務省の指摘の2点についてでございますけれども、下側については、引き続き、財務省と協議中でございますけれども、「繰越欠損金の縮減に向けた抜本的な見直しを行うとともに、新たな経営改善計画を策定し、着実な実施を図る」というふうにしてございます。
 21ページでございます。先ほどの総務省の留意すべき事項の橋渡しに対応した部分でございますけれども、「組織の編成に当たっては、事業間連携を強化し、戦略策定から革新的研究、産業界・社会への橋渡しまでを効果的に実施」というふうに修正してございます。
 その下の各事業での「研究プロジェクト業務から共通する研究契約業務の分離・集約化」という部分と、次の22ページの「及び課題採択と研究契約業務の分離」については、前回、第三者認証の仕組みを取り入れてはどうかという御指摘を頂いた部分でございまして、現在、戦略創造事業において、その課題採択と研究契約業務の分離を進めているという取組をJSTの方でやっており、それをうまく活用していくということを想定しているということでございます。
 以上でございます。
【広崎部会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、次期中長期目標に別添される、先ほどちょっと触れられましたけれども評価軸・指標、これも併せて説明を頂いて、その後、JST側からの中長期計画を御説明いただいて全体の討議に入りたいと思います。
 評価軸・指標についての説明をお願いします。
【豊田人材政策課長補佐】  次は、資料1-2、A3でお配りしている資料でございますが、中長期目標の別添として今回位置付けられるものでございます。これについては、参考資料2でございますけれども、最後のページ、10ページ目でございますけれども、上側の説明で、中長期目標策定に当たっての変更事項をまとめてございます。その最後の3つ目のポツでございますけれども、総務省やCSTIの方針を踏まえて、評価軸及び評価指標、モニタリング指標を設定して、中長期目標の別添とするということが示されてございます。
 具体的には、総務省の指針の中で、法人のところですけれども、主務大臣は、「目標策定時に適切な評価軸を設定し、法人に提示する」こと、「評価・選定の基準として取り扱う指標(評価指標)と、正確な事実を把握し適正・厳正な評価に資するために必要な指標(モニタリング指標)とを適切に分け、当該指標がどちらなのかを明示する」ことが求められているのと、CSTIからの評価軸の設定についての方針の中では、当初設定した評価軸を維持することに固執し過ぎることは必ずしも適当ではない。柔軟に見直すことをも可能とすることが重要ということで、「評価軸は、中長期目標、中長期計画の中に記述するのではなく、別添のような形で整理する」ということが述べられてございます。
 その上で、資料1-2に戻っていただいて、左から項目ですけれども、まず、中長期目標の柱と、評価軸、評価指標、モニタリング指標、参考として、後ほど、JSTの安藤理事からも御説明がございますけれども、中長期計画に書かれている達成すべき成果という表を作成しております。
 また、それぞれの項目において、JSTのファンディングエージェンシーとしての特性を考慮して、活動の成果のみならず、どのような体制、マネジメントでそれらを行うのかが分かるように、成果だけではなくて、業務プロセスも併せて設定している部分が今回の特徴かと思います。
 今回、この表について主に見ていただく観点でございますけれども、右端の参考の達成すべき成果に対して、評価指標やモニタリング指標を参考にしていただきながら、主に評価軸が適切に設定されているかどうかについて御意見を頂けたらというふうに思っております。
 まず1ページ目の柱の1.1.の戦略の立案・提言については、業務プロセスに関する達成すべき成果として、様々なステークホルダーによる参画を得て、先見性のある質の高い研究開発戦略・シナリオを立案する。
 評価軸は、戦略・シナリオ等の立案に向けた活動プロセスが適切か。
 評価指標は、調査・分析体制構築、ステークホルダーの参画、内外との連携。
 モニタリング指標は、品質向上の取組の進捗や様々なステークホルダーの参画等の取組の進捗、事業及び経営等における活用状況・連動性の強化、中国文献データベースの運用等を挙げてございます。
 また、成果の部分、下側の部分についても、達成水準として、右側ですけれども、モニタリング指標が同水準で、戦略やシナリオ等の成果物等が機構や機関等において広く活用される。
 評価軸は、先見性のある質の高い戦略やシナリオ等を立案し、政策・施策や研究開発等に活用されているか。
 評価指標は、シナリオの立案の成果、戦略やシナリオ等の成果物や知見・情報の活用ということで、モニタリング指標で、戦略等の立案の成果や成果の発信数、機構内外の研究開発成果を挙げてございます。
 続きまして、2ページ、3ページ目でございます。柱の2.1.でございますけれども、未来の産業創造と社会変革に向けた研究開発の推進ということで、ハイインパクト、戦略、産学の研究開発が対象になっております。
 2ページは、業務プロセスについては、例えば、一番上に書いていますけれども、ハイインパクトの研究開発。
 達成水準は、モニタリング指標が順調に推移し、「研究期間(8年~10年)終了時に、採択された挑戦的な研究開発課題のうち約2割が、企業等への引き渡しが可能となる技術成熟を実現する成果の創出を達成すると期待される研究開発活動を行っていること」としております。
 ほかは記載のとおりで、説明は省略いたしますが、評価軸の方は、イノベーションに繋がる独創的・挑戦的な研究開発マネジメント活動は適切か。
 評価指標は、研究開発マネジメントの取組の進捗。研究開発成果の展開活動の進捗。ハイインパクトについては、来年度からの新規事業ということで、事業の制度設計書自体。
 モニタリング指標については、一番下にそれぞれの事業の略称が書かれていて、該当する部分それぞれについて記載してございますけれども、例えば、ハイインパクトについては、未来社会創造事業ということで、(未)と書いていますけれども、それがそれぞれその指標に対応しているという書き方にしております。
 PMのマネジメントの評価の結果とか、全体の課題選定や評価などを行うJST内に設置された有識者会議、ここでは事業統括会議、研究開発運営会議と書かれていますけれども、それらの取組の進捗や目標達成への貢献などを挙げてございます。
 3ページ目が、成果についてでございますが、例えば、ここでもハイインパクトの研究についてでございますけれども、モニタリング指標の数値が順調に推移、顕著な研究成果や実用化等、社会的インパクトのある成果が創出されていること、研究開発過程で得られた知見等の活用が見られること、副次的効果、波及効果が見られる場合には当該効果について評価するとしております。
 評価軸は、新たな価値創出や経済・社会課題への対応に資する成果が生み出されているか。
 評価指標は、研究成果の創出及び成果の展開(見通しを含む)。
 モニタリング指標については、論文数、特許出願などに加えて、外部専門家による評価により、価値の高い基本特許、周辺特許の取得がなされたとみなされるもの、インパクトのある論文が出されたとみなされたもの、優れた進捗が認められる課題数、最後のポツの括弧書きの中に書いていますけれども、外部専門家による修了評価や追跡評価・研究者自身へのアンケート等による社会インパクトなど顕著な研究成果や実用化等が創出されている、または創出される可能性があると認められる課題の件数、成果の展開や社会還元につながる活動が行われたと認められる課題の件数や割合、挑戦的な研究開発などで、その特性を踏まえて、失敗した場合の扱いとして、社会還元についても副次的効果や波及効果を含めた課題の件数や割合について扱うこととしてございます。
 4ページでございます。4ページは、柱の2.2.でございます。人材、知、資金の好循環システムの構築ということで、4プロセスの達成水準、産学官の共創の場の構築を促進するための研究開発マネジメントが適切に実施されていること。フェーズに応じた優良課題の確保及び次ステージにつなげるためのマネジメントが適切に実施されていること等が書かれております。
 評価軸は、優良課題の確保、適正な研究開発マネジメントを行っているか。成果の実用化促進(出資・ベンチャー支援、知財支援等)の取組は適切に機能しているか。
 評価指標は、優良領域・課題の作り込み、ベンチャー支援、知的財産マネジメント等が挙げられております。
 モニタリング指標は、そこに記載のとおりでございます。
 また、成果の達成水準は、モニタリング指標の数値が同水準であり、成果の下側です、産学官共創の場において、人材の仕組みの糾合等により、組織対組織の本格的産学官連携の強化につながる活動が見られること。フェーズに応じた適切な研究開発の創出や次ステージへの展開をしていること。ベンチャー企業の創出に資する研究開発や出資、ハンズオン支援を行い、その成長に貢献していること。知財マネジメントの高度化、研究成果の保護・活用に向けた取組が着実に実施されていること。
 評価軸は、産学官共創の場が形成されているか。新たな価値創出や経済・社会課題への対応に資する成果が生み出されているか。成果の実用化・社会還元が促進されているか。
 評価指標は、産学官共創の場の形成の進捗。研究成果の創出及び成果展開。研究開発成果の実用化に向けた取組の進展。
 モニタリング指標は、論文数、その他書いていますけれども、記載のとおりでございます。
 5ページ目、6ページ目は、柱の2.3.でございます。国際関係でございますけれども、国際共同研究、外国人宿舎、海外との青少年交流について書いてございます。
 まず業務プロセスの達成水準については、国際共同研究については、国際共通的な課題の達成や我が国及び相手国の科学技術水準向上に資する国際的な枠組みの下、実施される共同研究マネジメント、及びイノベーションにつながるような諸外国との関係構築について適切な取組が行われていること。外国人宿舎については、入居者に対するアンケート結果を参照して、宿舎の運営や各種生活支援サービスの提供を効果的に実施していること。青少年交流については、招聘する青少年の選抜スキームが特に優秀な者を選抜できるスキームとなるよう、効果的に実施すること。招聘者が帰国後も日本の科学技術に対して高い関心を継続するよう実施していること等が挙げられております。
 国際共同研究については、評価軸については、共同研究等のマネジメントは適切か。
 また、評価指標、モニタリング指標は、記載のとおりでございます。
 外国人宿舎、青少年交流については、評価軸は、科学技術交流を促進するための取組は適切か。
 評価指標、モニタリング指標は、記載のとおりでございます。
 成果の達成水準については、国際共同研究については、国際共通的な課題の達成や我が国及び相手国の科学技術水準向上に資する研究成果を得る、科学技術外交強化に貢献するということが挙げられております。また、目標の達成に資する十分な成果が得られた課題と社会実装に向けた次のフェーズへの展開が図られた課題の割合が前中長期計画の達成指標と同水準であること。
 外国人宿舎は、滞在期間が平均3か月程度となることを想定して、毎年600人以上の入居を挙げております。
 青少年交流については、本プログラムに参加した青少年について、再来日者数が毎年1%以上になること。受入機関の4割以上において、本プログラムを契機に再来日または新規の招聘につながったと回答があったこと。アンケート調査で、8割以上から、本プログラムの参加により、日本の科学技術に対する印象について肯定的な回答。アンケート調査で、8割以上から、将来、日本への留学、就職または日本での研究に関心があるとの肯定的な回答を得る。
 評価軸について、国際共同研究については、国際共通的な課題の達成や我が国及び相手国の科学技術水準向上に資する研究成果や科学技術外交強化への貢献が得られているか。
 外国人宿舎、青少年交流は、科学技術イノベーション人材の獲得に資する交流が促進されているかでございます。
 7ページでございます。柱の2.4.でございますけれども、情報基盤でございますが、業務プロセスについては、情報事業の達成水準については、情報の流通を促進するため、他の機関・サービスとの連携を拡充する。論文その他の文献情報を抄録等の形式で整備することにより科学技術情報基盤の充実をするに当たっては、新たな経営改善計画を策定して、その内容を着実に実施する。
 また、ライフサイエンスデータベースについては、統合化の基盤となる研究開発、分野ごとのデータベース統合化及び統合システムの拡充にオープンサイエンスの観点から取り組む。
 評価軸は、効果的・効率的な情報収集・提供・利活用に資するための新技術の導入や開発をすることができたか。ユーザーニーズに応えた情報の高度化、高付加価値化を行っているか。ライフサイエンス分野の研究推進のためのデータベース統合の取組は適切か等が挙げられております。
 また、成果については、情報事業の達成事業として、データベースの利用件数について中長期目標機関中の累計で4億2,000万件以上を目指す。また、サービスの利用者について調査を行って、回答者の8割以上から有用であるとの肯定的な回答を得る。
 ライフサイエンスデータベースについては、データベースの統合に資する成果やライフサイエンス研究成果の活性化に資する成果を得るということです。
 評価軸は、情報事業について、科学技術イノベーションの創出に寄与するための科学技術情報の流通基盤を整備し、流通を促進できたか。ライフサイエンス研究開発については、効果的・効率的な研究開発を行うための研究開発環境の整備・充実に寄与しているか等が書かれております。
 8ページでございます。柱の2.5.のインパクトについてでございます。内閣府のCSTIの事業部分でございますけれども、達成すべき成果水準については、革新的な新技術の創出に係る研究開発を行い、実現すれば産業や社会の在り方に大きな変革をもたらす科学技術イノベーションの創出を目指すということです。
 評価軸は、業務プロセスについては、研究開発を推進するためのPMマネジメント支援体制は適切か。成果の評価軸については、研究開発を推進するための適切なPMマネジメント支援ができているかということで、評価指標、モニタリング指標については、現行と同様で、そこに記載のとおりでございます。
 9ページ目でございます。柱の3.1.でございますけれども、未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化についてでございますが、業務プロセスの達成水準としては、科学コミュニケーターを継続的に育成し、国内外の様々なステークホルダーとの対話・協働を推進、研究者と一般市民との対話・協働の場を創出・提供。
 評価軸については、科学技術と一般社会をつなぐ科学コミュニケーション活動は適切か。
 評価指標、モニタリング指標については、そこに示しているとおりでございます。
 成果達成水準については、日本科学未来館等を活用して、社会における科学技術への期待や不安等の声を収集。研究開発戦略や政策提言・知識創造へ生かす取組を行う。またアウトリーチ活動を行う研究者等、科学技術コミュニケーション活動の実施者を支援する等を書いております。
 評価軸は、多様なステークホルダーが双方向で対話・協働し、科学技術イノベーションと社会との関係を深化、研究開発戦略立案活動と有効に連携しているか等を書いてございます。
 10ページ、11ページ目でございます。柱の3.2.でございます。SSH等の次世代人材育成についてでございますけれども、業務プロセスの達成水準でございますけれども、業務改革・見直しや実施機関等の支援の更なる改善を及び理数教育に関する取組の普及など、次世代の科学技術人材育成に向けた取組が適切に実施。
 評価軸は、JSTみずから行っている実施事業については、次世代の科学技術人材育成に向けて適切に取り組んでいるか。継続的に科学技術人材を輩出するための仕組み作りに努めているか。支援事業については、支援機関に効果的な支援を実施できているかということで、評価指標、モニタリング指標については記載のとおりでございます。
 同じく成果の達成水準については、事業を通じて輩出された人材の活躍状況の事例や次世代の科学技術人材育成に向けた取組の波及・展開の事例など、次世代の科学技術人材が継続的・体系的に育成されていること。
 評価軸については、実施事業については、次世代の科学技術人材が継続的・体系的に育成できているか。支援事業については、支援機関が持続的運営に向けて効果的な活動を行っているかということを書いてございます。
 12ページでございます。12ページは柱の3.3.でございますけれども、イノベーションの創出に資する人材の育成ということで、JREC-INのような人材支援、プログラム・マネージャーの育成、公正な研究活動の推進が該当いたします。
 業務プロセスの達成水準については、人材の育成・活躍に向けた有効な取組を実施ということで、必要に応じた改善を行っていること。事業の改善・強化等に向けて、他機関と効果的な連携を行っていること。調査・アンケートにおいて、研究倫理研修の参加機関における意欲的な取組状況を把握して、必要に応じて改善を行っていること。
 評価軸は、人材の育成・活躍に向けた取組状況ということで、指標は記載のとおりでございます。
 また、成果の達成水準については、調査・アンケートにおいて、制度・サービスの利用者から有用である若しくは満足しているとの回答を回答者の8割以上から得る。PM研修においてJST内外の事業における実践的なマネジメント体験の仕組みを構築し、その取組を充実させていく。研究倫理研修に参加した機関における研究倫理教育の普及・定着や高度化を図るということが書いてあります。
 評価軸は、科学技術イノベーションに資する人材を育成・活躍させる仕組みを構築し、それぞれの目的とする人材の活躍の場の拡大を促進できたかということが書いてございます。
 また最後に、資料1-2については以上でございますけれども、参考資料7をごらんください。ここでは、資料1-2の評価軸、評価指標、モニタリング指標をチャート化したものを御参考までに用意してございます。
 スライドの7を見ていただくと、例えば、2.1.についての絵がありますけれども、これはInput、Actionに当たるものがこれまで言ってきた業務プロセスに当たります。Output、Outcomeに当たるものがこれまでの成果ということで、青字をモニタリング指標、赤字を評価指標として、このような形でまとめております。
 ほかの部分についても同様に、御参考までにですがまとめてございます。
 説明は以上でございます。
【広崎部会長】  ありがとうございました。
 かなり分量がありますので、先ほど、私の方から、JSTさんの中長期計画も説明していただいた後で、まとめて議論というお話をしたんですが、一旦ここでちょっと御意見を伺いたいと思います。よろしいですか。
 ちょっと分量が多かったので、多少復習させていただきますと、まず、冒頭申し上げましたように、前回御議論いただいた次期中長期目標、これについては前回のコメント、先ほどありましたように、3点ほどございました。それを反映させたということで、これを御確認いただきたいと思いますが、3点ほどの御指摘、1点目は、かなり詳細に盛り込んでいただいたんですけれども、ネットワーク型R and D機能、これを推進するというのがJSTとしての重要な役割だと、これをもっと前面に出すべきだということで、これはかなり詳細に反映していただいたというふうに思います。
 それから2点目は、基礎研究論なんですけれども、基礎研究というのは、その性質上、出口が最初から分かっているわけではない。したがって、ここの表現をどうするかということで御議論を頂いたのですが、基本的には、総科技の方でもこういう表現を使っているということで、基礎研究を大事にするという含みは大事にしながら、この出口が見える、見えないということは盛り込まないということにしております。
 それから、3点目、あるいはその他の指摘事項で、シンクタンク機能の強化です。これについても以前よりもしっかり目標設定されているかなというふうに思いますし、それから、緒戦的なプロマネの育成、それから、総務省の指導にありました橋渡し機能の強化、このあたりも具体的に盛り込まれているように思います。それから、オープンサイエンスの対応ですね。科学技術文献、これのオープンな活用、これについても具体的に目標が設定されるように思いますので、まずこの目標の御確認を頂いて、それに関連しながら、今、詳細の御説明を頂いた評価軸、評価指標の資料1-2、この内容について、もし今の段階でコメント等があったらお願いしたいと思いますけれども、委員の皆様、いかがでしょうか。
 それでは、議論を整理するために、まず資料1-1が目標の確認ということですね。今申し上げた前回の議論を反映させて、この赤字で書いたように修正したということで、これについては、特段御意見がなければ、これで確認できたということにしたいと思いますけれども、よろしいですか。
 では、次に、今るる説明のございましたこれから中長期計画を見ていく上での評価軸、評価指標、目標達成のための評価軸、評価指標、達成すべき成果、このあたりについては、今の段階でコメントがあれば受け付けたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 時間が2時間と限られているので心配ではあるんですけれども、私の方から二、三質問させてください。
 順不同で申し訳ないんですけれども、1-2の資料の5ページの2.3.の国際協調あるいは国際共同研究・交流のところなんですけれども、以前もちょっと議論したことがあるんですけれども、やはり日本のやや弱点となっているのが、国際的な共著論文あるいは共同出願といった共同研究が国際的な平均値、OECD加盟30数か国の平均値から比べると、結構顕著に下回っているんですね。片や、前々回の議論にありましたように、JSTさんは、グローバルイノベーター25のトップ3に入っている。したがって、そのJSTさんの力をもっともっと活用して、こういった国際共著論文あるいは共同出願、こういったものがモニタリング指標なり、何らかの指標にあらわな形で明示的に入ってきてもいいのではないかと思うんですけれども、それについて文科省さんの方でどう考えられているかというのを教えていただきたいというのが1つです。
 それから2つ目は、7ページ、2.4.項の情報基盤の強化というところですけれども、ここの業務プロセスの達成すべき成果の右上の箱の中のポツの2つ目です。様々な学問分野の論文その他の文献情報云々かんぬんで、整備することにより科学技術情報基盤の充実をするということで、これはこれでいいんですけれども、この知の基盤作りといいますか、JSTさんの直接管轄されている基盤以外のところも含めて、国全体としての科学技術の知の総合基盤、これをどうするかという視点が本当はあってほしいなと思うんですけれども、ここに書くべきかどうかは分からないんですけれども、集合知の時代というか、オープンサイエンスの時代には、もっともっと総合的な知の基盤が必要になるのではないかと、これに対しては今後どういうふうな取組の可能性があるかぐらいで結構なんですけれども、文科省さんの方で多分議論があったと思うんですけれども、お聞かせいただきたいというのが2つ目です。
 それから3つ目は、何か所か出ているんですけれども、自然科学だけではなくて、社会科学、人文科学との連携、要は、リベラルアーツです。ということを言われているんですけれども、このあたりは、リベラルアーツが大事だよと一般論で言うだけではなくて、例えば、社会科学との連携ということであれば、マクロ経済的な分析を含むとか、あるいは、人文科学との連携ということであれば、ソーシャルキャピタルの評価とか、もう少し具体的な中身があってしかるべきではないかと思うんですけれども、そのあたりについて文科省さんの見解を教えていただきたい。その3点をお願いします。
【出口戦略官付(国際担当)補佐】  国際戦略官付の出口と申します。
 国際についての御指摘ですけれども、それについては、共著論文について国際的な地位が相対的に低いのではないかというような統計データなどもございまして、そのような点を踏まえた形で、科学技術・学術審議会の国際戦略委員会で国際的なネットワークの強化等々について、今議論しているところです。
 このJSTの事業で、その点について指標等できるかというところなんですけれども、必ずしもこの事業だけでそこを全てカバーできるかというのは、少し難しいのではないかというところはございます。人材流動や、ネットワークの強化等があって共著論文が増えていくということや、また、共同出願などを、見ている別の事業もあると思うんですけれども、この国際関係事業の中でどこまでモニタリング指標、評価指標、評価指標とするのは少し難しいかもしれません。モニタリング指標としてできるかどうか等について、検討させていただいてもよろしいでしょうか。
【広崎部会長】  そこはよろしくお願いします。OECDのサイエンス・テクノロジー・アウトルックで日本は評価がいつも低いんですね。それが非常に気になっているので、それは是非御検討をお願いしたいと思います。
【栗原参事官(情報担当)付専門官】  2点目の知の基盤を作るべきということをしっかり書き込むべきではないかという趣旨で御指摘いただいた、情報基盤の強化の科学技術情報の流通、連携、活用促進に関しましては、科学技術文献情報提供事業及び科学技術情報連携流通促進事業に関する記載の部分でございまして、科学技術文献情報の提供を行うプラットフォーム、J-STAGEのような総合電子ジャーナルプラットフォーム、また、研究者の情報の管理を行うresearchmap事業、及び様々な他省庁等の、例えば特許のデータベース等も含めて提供しているJ-GLOBALの事業に関する記載の部分もこちらでございますので、併せてそのようなJST以外も含む国全体の基盤としての集合知という御趣旨で、他機関の科学技術情報との連携、CiNiiですとか、特許情報データベースであるとか、今でもリンクしているところはございますので、そこをしっかり高めていくべきだということを、評価指標等に入れ込んで修正したいと思います。
【石橋人材政策課長補佐】  人材政策課の石橋と申します。
 3点目のご指摘について、主に人文・社会科学との連携を深めているところの1つとして、社会技術、RISTEXの事業があるかと思います。一般論ではなく、具体的にという御指摘ですけれども、確かに具体的に書けるところがあれば良いのですけれども、それぞれの社会実装、RISTEXの事業でいけば、どういうところについての社会実装を行うのかという、ものによって重視すべき分野が変わってくるところもございますので、確かに御指摘のとおり具体的に書けるところは書いていくべきだとは思いますので、検討はさせていただきたいと思いますけれども、そういう背景があって、なかなか具体的な記載までには至っていないという現状でございます。
【広崎部会長】  ありがとうございました。
 委員の方、ほかにございませんか。よろしいですか。評価軸、評価指標、モニタリング指標に関してコメントがあればということです。
 それでは、これはまた中長期計画を御説明していただいた後で、併せて議論を進めていただければと思いますので、JSTさんの方から、中長期計画の説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【安藤理事】  JSTの理事の安藤でございます。よろしくお願いいたします。
 資料の2-1と2-2で御説明をさせていただきたいと思いますが、大部に及びますので、基本的に資料2-1、次期中長期計画(案)の概要についてを使わせていただきたいと思います。
 まず、2ページでございますけれども、濱口プラン。これを踏まえて計画の方も作成をさせていただいているところですが、既に御説明をさせていただいておりますので、この説明については捨象させていただきたいと思います。
 3ページ目をごらんいただきたいと思います。
 中長期計画の構成でございますけれども、第4期の柱立てを変更してございます。
 まず1つ目、ポイントのところに書いてありますけれども、社会の声・期待を踏まえた研究開発戦略立案を行う、こういった視点で構成しております。
 それから2つ目、見直し内容の「事業横断的な一体運営体制の構築」を受け、研究開発事業を整理・集約をしていく、こういった考え方が示されております。これが知の創造と経済・社会的価値への転換という柱でございます。
 そして3つ目、人材育成の重要性と共創に向けた対話・協働の強調という観点で、3つ目の柱、未来共創の推進と未来を創る人材の育成、こういう柱にしてございます。
 4ページ、中長期計画の構成でございますけれども、大柱と小柱で構成をしておりまして、大きなコンセプト、例えば資料2-2の9ページをごらんいただきますと、知の創造と経済・社会的価値への転換という大きな柱がございます。これが大きなコンセプトということで、1枚めくっていただきますと、2.1.未来の産業創造と社会変革に向けた研究開発の推進、こういう小柱を幾つか立てた構造になっております。この中で、10ページ下の方に、[推進方法]と書いたところがございます。これはコンセプトを達成するための具体的な方法を書いたものということです。
 それからもう1つ、小柱のところで言えば13ページでございますけれども、達成すべき成果(達成水準)という項目、を設けており、全体においてこういう基本的な構造になっています。
 この達成すべき成果(達成水準)のところでは、中長期目標で定められる評価指標に対する達成水準として、B評価相当の水準ということで記載をしたものでございます。先ほども少し説明がありましたけれども、国立研究開発法人化に伴いまして、評価軸、評価指標を用いた評価へと変更されたということで、達成すべき成果については再定義をした形で記載をしたというものでございます。定量的あるいは定量的・定性的視点という形で、囲みの中にあるような書き方で書かせていただいておりますけれども、これはまた後で出てまいりますので、そのときに御説明をさせていただきます。
 5ページ、達成すべき成果の書き方のところでございますが、これを作るに当たって、作り方においての課題として認識しておくべきということで幾つか挙げさせていただきました。
 まず、現行中期計画の課題というところですけれども、数値目標の達成が「目的化」され、ハイリスク・ハイインパクトな課題の採択を妨げる恐れがあるといったこと。
 それから、評価委員会(事後評価委員会等)の評価結果、そこでの達成水準を掲げたものがありました。これはJST部会とは別の評価の仕組みの結果で実質評価が決定されることになってしまっているのではないかと、こういう問題意識です。具体例で、事後評価を行う領域の7割以上という、こういう規定が現行の計画にはございました。
 機構は特定の分野にとどまらない幅広い領域をカバーしております。柔軟に運営をしていく、こういう特徴を生かすためには、技術目標を他の法人のように定めることがなかなか難しいといった事情も考慮して作る必要があるのではないかと。そこにNIMSの例が書いてございますけれども、なかなかJSTはこういう形で規定するのが難しいといったところが3つ目です。
 それから、定量的観点をこの中でどう出していくかということですけれども、評価指標とは別に、正確な事実を把握し適正・厳正な評価に資するための指標としてモニタリング指標という概念が既に使われてきておりますので、モニタリング指標の数値を前中期目標期間と同水準ということで、定量的観点は確保しつつ、それらを踏まえまして、定性的な観点を含めて総合的に評価をしていただくということでございます。
 達成すべき成果の例として書いてございますけれども、例えば、「関連するモニタリング指標の数値が前中期目標期間と同水準であり、下記が認められること。顕著な研究成果や実用化等、インパクトのある成果が創出されていること」としています。関連するモニタリング指標は、先ほど文科省の方から説明がありました資料1-2にありますような形で定めてあるということでございます。
 これから具体的な中長期計画の中身の方でございますけれども、6ページをごらんいただきたいと思います。
 まず、前文でございます。これは資料2-2の1ページのところの規定でございますけれども、ここに書かせていただきましたのは、まず科学技術基本計画の中核的な役割を担う機関ということ。それから2つ目、組織の枠を超えた時限付で最適な研究開発推進体制(ネットワーク型研究所)、これで成果の最大化に貢献をする。そして3つ目、マネジメントの戦略性を強化し、主体的な研究開発を行う。そして人材の育成と社会の対話・協働、すなわち共創が必須という考え方。これらを踏まえまして、以下の3つの柱を設定して、事業間連携を強化して、総合的に推進する、こういう考え方が前文に書かれておるものでございます。
 7ページでございますが、これにつきましては、まず大きな柱、未来を共創する研究開発戦略の立案・提言、本文の方では6ページ以下にございます。1.1.先見性のある研究開発戦略の立案・提言ということですけれども、概要として書かせていただいていますのは、様々なステークホルダーによる対話・協働、共創、そしてエビデンスに基づいた先見性のある戦略シナリオを立案・提言をする。そして機構だけでなくて、我が国全体の研究開発戦略に貢献をするということでございます。
 幾つかポツがございますけれども、2つ目にありますように、最先端の研究動向を含む科学技術分野の俯瞰などによって調査・分析をし、実用化までも見据えた研究開発戦略の立案・提言を行うといったこと。それから、中国の科学技術政策、研究の動向等についての調査・分析、あるいは、低炭素社会実現についての質の高い社会シナリオ・戦略の立案・提言。最後のポツにありますように、機構内の研究開発戦略立案機能の相互連携、そして機構の経営や研究開発事業との連動性を強化するといったことでございます。
 先般、御意見・御指摘を頂きましたところにつきましては、この青字で書かれたところですが、具体的な方法、活用の促進で、状況の把握と品質向上の取組に生かすということを規定しております。達成すべき成果の例でございますけれども、そこに書かれたようにモニタリング指標が前中期目標期間と同水準、それから機構、関係府省、関係機関等において広く活用される、こういった内容でございます。
 8ページ、大柱の2の知の創造と経済・社会的価値への転換でございます。
 これは新旧対照表の本文の方では、9ページ以降でございます。ここは幾つかカテゴリーを整理して書いたものでございますけれども、まず、戦略的研究開発というくくりで書かせていただいたものでございます。
 創造的な新技術の創出のための研究開発という1つ目のポツ。それから、4つ目のポツにあります社会を対象とした研究開発、自然科学、人文・社会科学等の知見を活用した研究開発といったこと、これが1つ目のまとまりで、未来社会に向けたハイインパクトな研究開発、これは2つ目のポツにありますように、未来社会創造事業という形で新しく事業を推進するというものでございますけれども、このカテゴリーが2つ目。そして、それらに関連するものといたしまして、3つ目のポツにありますように、運用制度の抜本的な再編、それから基礎研究から実用化等まで一貫した実施可能な体制といった話です。それからもう1つのカテゴリーが、産学が連携した研究開発成果の展開という最後の5つ目のポツでございます。
 この考え方を書いた上で、この計画におきましては、上記についてとありますように、研究開発課題、あるいはPM・PO等の具体的な選定・評価方法、そしてマネジメントの、あるいは支援体制、研究開発の加速とか中止・統合、そして斬新なアイデアを取り入れる仕組み、こういったところをこの計画の中に規定しておるものでございます。
 そして、達成すべき成果のところでございますけれども、モニタリング指標の数値が前中期目標期間と同水準、そして顕著な研究成果や実用化インパクトのある成果、こういったところでございます。
 また9ページ、2つ目の小柱でございます。人材、知、資金の好循環システムの構築というところでございますけれども、これも3点書かせていただいておりますが、1つ目が、共創の「場」の形成支援ということで、拠点型事業によって好循環システムを作る、こういったものが1つ目。
 そして起業家あるいは開発ベンチャー支援出資、こういう項目が2つ目でございます。迅速かつ大胆な挑戦が可能なベンチャー企業の支援ということです。
 それから3つ目にありますような知財の活用支援ということでございまして、特に大学等の知的財産・技術移転のマネジメント力の強化を促す支援に転換を図る、こういう考え方でございます。
 計画におきましては、上記についてとありますように、PD・POの具体的な選定・評価の方法、そしてマネジメントあるいはマネジメント強化のためのマーケティングモデルの導入といったようなことが具体的に書いてありますけれども、マネジメントの方法、これは知財の活用支援のところでございます。それから、ベンチャー支援や出資の方法、こういったところを規定したものでございます。
 それから、達成すべき成果のところですけれども、これは先ほどと同様の前中期目標期間と同水準であるといったところに加えまして、フェーズに応じた優良課題の確保、次ステージにつなげるためのマネジメントが適切に実施されている。それから、フェーズに応じた適切な成果の創出や次ステージへの転換をしている、こういったことが、本文の方では20ページ、21ページに書かれております。
 10ページ、小柱3つ目、国境を越えてということで、国際共同研究等でございますけれども、これはまず地球規模対応、国際科学技術協力と、ODAと連携した戦略的な国際共同研究という、こういった項目で、1つ目、2つ目のポツを書かせていただいております。
 それから2つ目のカテゴリーが、外国人宿舎の話で、3つ目のポツでございます。生活環境を提供するということで、受け入れに貢献。
 そして3つ目が、海外との青少年交流、これは本文の方では26ページ以降に規定をされているものでございます。
 具体的には、研究開発課題、PO等の具体的な選定・評価方法、そして国際シンポジウム・ワークショップのようなマネジメントの方法、そして支援サービスのモニタリング・改善といった宿舎の運営等々が規定されております。
 それから、達成すべき成果のところですけれども、これも先ほどと同様の前中期目標期間と同水準であるといったところに加えまして、国際的な枠組みの下で共同研究マネジメント、イノベーションにつながるような諸外国との関係構築についての取組、あるいは、我が国、相手国の科学技術水準の向上に資する成果を得るとともに、科学技術外交にも貢献といった事柄でございます。
 11ページ、情報基盤の強化という小柱でございます。これは本文の方は29ページ以降でございますが、これも大枠ですと2つですけれども、科学技術の流通、連携、活用の促進といったこと、そこの資料ですと、1つ目のポツから3つ目のポツまでがこれに該当いたしますが、2つ目のポツにつきましては、オープンサイエンスの潮流を踏まえたサービス内容の抜本的な見直し等と、科学技術文献情報提供事業についての記述でございます。
 それからもう1点が、ライフサイエンス分野のデータベースの統合の推進というカテゴリーで、4つ目のポツの記述でございますけれども、ライフサイエンス分野のデータベースの統合の推進です。
 そして、これらにつきまして、情報の収集・整備・提供等の推進方法。研究データを対象とすると明記をしたこと。それから、学術情報とのリンクの推進。研究者等相互の意思疎通を可能とするようなプラットフォーム。あるいは、他機関、サービスとの連携。そしてライフサイエンスデータベース統合の推進方法、これはポータルサイトの拡充、維持等々、具体的に推進方法を規定しております。
 それから、総務省の意見に対応した見直しと申しますのは、ここのポツで言うと、2つ目、3つ目のところの規定。先ほど、これも説明がありましたところでございます。
 そして、これについての達成すべき成果は、下をごらんいただきますと、電子ジャーナル出版のためのプラットフォームに搭載する論文のダウンロード件数。それから、科学技術文献情報提供事業については、新たな経営改善計画を作成し、内容を着実に実施等としています。
 次に、12ページをごらんいただきたいと思います。これは革新的新技術研究開発の推進でございますけれども、これは内容的に現行計画と特に変更はございませんので、説明を省略させていただきたいと思います。機関名称の変更は反映してございます。
 それから、13ページでございます。大きな柱、未来共創の推進と未来を創る人材の育成ということで、まず、小柱、未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化ということでございますが、これは新旧対照表の本文の方では、34ページ以降をごらんいただきたいと思います。
 これにつきましては、特に日本科学未来館、共創の場の提供、研究開発推進に資する活動、そしてサイエンスアゴラ、ネットワークの拡充、対話プラットフォームの構築、こういったところの具体的な取組を、この計画の中で規定したものでございまして、これが2つ目、3つ目のポツのところでございます。
 その他、国民の科学リテラシー、研究者のリテラシーの涵養の話。そして、最後のポツにありますように、やはり社会の声を戦略・シナリオの立案・提言に組み込む、生かすと、こういった活動の重要性をこの中でも規定したものでございます。
 達成すべき成果(達成水準)ですけれども、ここはモニタリング指標の数値が順調に推移と、ややこれまでと違った書き方になっておりますけれども、これは評価軸がここにおきましては、これまで現行目標・計画と変わっておりまして、イノベーションと社会の関係深化であったり、あるいは戦略立案活動との連携、こういったところが評価軸になっておりますので、現行計画との対比がしにくいということがあり、こういう規定ぶりをしたところでございます。
 そしてまた横にありますように、未来館のコミュニケーションの場の参加者数を725万人以上、こういう数値目標も、これまで順調に来ているところではございますけれども、この人数というよりは、この活動を通じた、先ほどの社会との関係の深化、こういった質の向上の方に向けていきたいと、こういった思いもあり、規定はしてございません。
 それからあとは、社会における期待や不安の声を収集して戦略立案等に生かす、こういったことでございます。
 14ページ、未来を創る次世代イノベーション人材の重点的育成ということで、新旧対照表の本文の方で言いますと36ページ以降でございますが、優れた資質を有する児童生徒の発掘、それから児童生徒の関心、学習意欲、能力を高める取組を促進する。そして、広い視野の人材の育成を図るということで、特にスーパーサイエンスハイスクールの支援、国際科学オリンピック等の具体的取組を規定したほか、それぞれ各プログラムの成果の把握、改善、こういった取組についても規定をしたところでございます。
 具体的には、4つ目のポツにございますように、関係者、関係機関と連携をして、取組に参加した生徒の追跡調査を可能にする仕組みを構築していく、こういうところでございます。
 そして、達成すべき成果、これは前中期目標期間と同水準であるということ。それから、取組の波及・展開の事例など、次世代の人材が継続的・体系的に育成されていることといったものでございます。
 15ページ、新旧対照表の本文の方では38ページからでございますけれども、イノベーションの創出に資する人材の育成ということでございます。これも3つに大きく分けられますが、1つは、求人、キャリア開発といったことで、研究人材の支援を行うポータルサイトの運用、こういったところを内容としているものが1つ目でございます。キャリア開発に資する情報の提供、能力開発に資する情報の提供ということ。それから、挑戦的な課題にも積極的に取り組むプログラム・マネージャーの育成といったところ、2つ目のポツでございます。そして、公正な研究活動ということで、研究倫理教育の普及・定着や高度化の取組、こういったものを3つ目のポツに規定してございます。
 それから、この達成すべき成果(達成水準)でございますけれども、これらいずれも制度の改善、強化、こういったところをこれから進めていく段階であるということで、現行との比較をした書き方にはしておりません。ですので、必要に応じた改善をするといったこと、事業の改善・強化に向けて他機関との連携、そのようなことが本文の40ページのところに規定してございます。
 16ページでございますが、業務運営の効率化、財務内容の改善といったところで、これは囲み枠のすぐ下に記載のある経費の合理化・効率化及び人件費の適正化については、今後の作業になりますので、ここには規定してございませんが、計画の概要としては、保有資産の見直しという話、それから調達の合理化という観点で、そこにある2つのような規定をしております。調達合理化計画の策定、契約監視委員会等による自己点検、そして契約に関するPDCAサイクルといったものでございます。
 そして、財務内容の改善ですけれども、そこに3つ書かせていただいていますが、自己収入の増加、そして繰越欠損金の縮減に向けた見直し、それから、予算の計画的な執行、こういった観点でございます。
 そして17ページ、最後でございますが、内部統制の充実・強化といった観点でございまして、これは研究開発成果の最大化という法人の目的、そして法人の業務運営の理念の達成に向けて、業務の適正化を図ることにより、機構におけるPDCAサイクルを循環させる。そして、内部統制の推進体制を構築して、事業の選択と集中、そして事業部の管理体制の検討、そして採択・課題管理業務と契約締結業務の分離。そして、経営資源配分の全体最適化という規定でございます。
 その他、他機関との連携あるいは顔が見える広報活動、そしてリスクの評価・対応、内部監査、監事監査のモニタリング機能を通じた内部統制の機能状況の点検。そしてコンプライアンスの推進、利益相反マネジメント等々、こういったところの規定を内部統制の充実と強化という形で規定してございます。
 長くなりましたが、以上でございます。議論のほど、よろしくお願いいたします。
【広崎部会長】  ありがとうございました。
 それでは、内容が盛りだくさんなので、少しずつ分けて議論を進めさせていただきたいと思います。
 まず、1.の未来を共創する研究開発戦略の立案・提言について議論をしていただければと思いますが、概要のページで言うと7ページになります。この未来を共創する研究開発戦略の立案・提言について、御議論をお願いしたいと思います。
 先ほどの評価軸、それから指標、期待される成果、これも含めて、御質問等、あるいはコメント等あれば、よろしくお願いします。
 私から1点確認ですけれども、この概要表の7ページの一番下の達成すべき成果の例で、現行から次期計画、新しい計画になったときに、こういうふうに変えていますよという変更点が強調されているんですけれども、モニタリング指標については、客観的なデータは少なくとも前中期目標期間と同程度か、それ以上で、その上でなおかつこういう顕著な成果が得られることというふうに書きぶりを変えたというふうに理解してよろしいんですね。
【安藤理事】  そのような理解で結構でございます。
【五十嵐委員】  よろしいですか。
【広崎部会長】  どうぞ。
【五十嵐委員】  ネットワーク型研究所とも関連するんですけれども、最初にある最新の価値ある情報の収集を可能とする人的ネットワークを構築する。これは、ネットワーク型研究所に属するというか、そういう仕組みの中での人的ネットワークを差されているのか、あるいは、もう少し広く、一般とは言わないんですけれども、そういうさらに別のネットワークというのをお考えなんでしょうか。
【安藤理事】  CRDS等既に人的ネットワークを構築して、こういう取組を進めてきておりますので、その点はきちんと踏まえた上で、さらに事業との連携等の中でも、ネットワークの構築は充実できると思いますので、ネットワーク型研究所としてのよさも生かしていきたいというふうに思います。
【五十嵐委員】  新たな人材の発掘というのもここに入ってくるんですか。そういう方を……。いろいろな新しいシーズ技術が出てきたときに、そういう研究者をどんどんネットワークに組み込んでいく、そういうイメージでよろしいですか。
【甲田理事】  理事の甲田と申します。
 御指摘の点は、人的ネットワークの意味が、ネットワーク型研究所の関係者にとどまっているのか、それともその外側まで広く伸ばしていき、いろいろな知見を集めるのかという御指摘だと理解しました。
 まず、ネットワーク研究所がどこまでをバウンダリーとするかというお話は、狭義で言いますと、何らかのJSTとの契約関係がある、狭く言うとそれがネットワーク研究所ですが、ここで言う人的ネットワークは、もう少し広いものを想定しております。今、安藤から申し上げましたとおり、CRDSあるいはLCS、CRCC、いずれも既に日々お付き合いをしていない研究者あるいは企業の方にネットワークを日々伸ばしながら知見を集めておるということがここには込められております。
【五十嵐委員】  はい、分かりました。ありがとうございます。
【広崎部会長】  ほかにございませんでしょうか。
【三上委員】  この7ページの概要の下から3番目、低炭素社会実現について、社会シナリオ・戦略の立案・提言を行うという記述があります。まさにこれは必要な課題だと思っているんですが、実際には、低炭素社会が仮にあす実現するとしても、温暖化は進んでいくわけで、要するに、近未来、あと20年、30年後までのいわゆる適応策に踏まえた、しかも日本の社会は少子高齢化社会をこれから世界に先駆けて迎えるわけで、そこも踏まえた近未来社会シナリオを、低炭素という意味では、緩和策だけではなくて、適応策も踏まえた立案・提言という中身で是非検討していただければと思います。
【広崎部会長】  よろしいでしょうか。
【甲田理事】  はい、承りました。
【広崎部会長】  お願いします。
 今のところにも若干関係しますけれども、先ほど、私が指摘といいますか、コメントした人文・社会科学からの参画もあるというのであれば、この各論のところに、先ほど議論したような具体的にどういう評価軸を入れていくのかということを、例えばマクロ経済評価軸であるとか、ソーシャルキャピタル評価軸であるとか、ここに書くか書かないかは別として、今おっしゃった少子高齢化も含めて、低炭素の将来像をどう課題設定して取り組んでいくかということを明確にする上でも、もう少し計画の中にそのあたりを具体的に記述していただけるといいかなというふうに感じたんですけれども、いかがでしょうか。
【甲田理事】  今の御指摘を繰り返しますと、まず1つ目の御指摘は、この低炭素シナリオということについて、近未来の社会をゴールにする。実際、この概要ペーパーには書かれておりませんが、今、機構の方では、2050年あたりが1つのターゲットということで低炭素のシナリオが書かれております。
 おっしゃるとおり、もう1つ、部会長の御指摘のとおり、そういった低炭素シナリオにおいては、技術論だけではなくて、社会的なお話でありますとか、経済的な話が当然密接に絡むわけでございますので、そういったものも見据えながら、このシナリオ策定を進めていくということを、どういった形になるかは考えさせていただきたいと思いますが、当然、シナリオは技術論だけではないということを書かせていただくということで、一旦承らせていただきたいと思います。
【広崎部会長】  カバーされているという理解でよろしいですね。
【甲田理事】  はい、さようでございます。今、カバーされております。
【広崎部会長】  ほかにございませんでしょうか。
 また何かあったら後で戻って質問等をお願いしたいと思います。
 次に、2.の知の創造と経済・社会的価値への転換、これに進みたいと思います。
 ここが研究開発の推進に関するメーンボディー、柱となりますので、ボリュームが非常にありますが、まず8ページ、9ページ、2.1.の未来の産業創造と社会変革に向けた研究開発の推進。それから、2.2.の人材、知、資金の好循環システムの構築。これについて、先ほどの評価軸の議論も併せて御議論いただきたいと思います。御質問、コメント、何でも結構ですけれども、よろしくお願いします。
 それでは、考えている間に、私の方から1点確認させていただきたいんですけれども、9ページの知的財産、あるいは技術移転、このあたりのマネジメント力強化というところは、明示的に示されているので非常にいいと思うんですけれども、このポツの2つ目ですか、イノベーションを結実させる主体である企業の意欲をさらに喚起して云々かんぬんで、「ベンチャー企業の支援等を通じて民間資金の呼び込み等を図る」とありますけれども、ここがなかなか我が国といいますか、ベンチャー企業は必ずしも十分育つ風土になっていない。このあたりに対して、例えば新中長期計画の期間に具体的に大体どういう方向の手を打っていこうとされているかという、この文章の裏にある考え方、もし教えていただければ有り難いと思うんですけれども、御説明いただけませんか。
【後藤理事】  ベンチャーについては2つ考えております。
 1つは、私どもの基礎的な研究あるいは産学連携でやっている研究の段階で、ベンチャーの創業を考えておられるような研究者の方に、研究をやっている段階からベンチャーに関していろいろ御案内をするとか、具体的に私どもの企業支援の事業の御説明をするといったようなことをやっていきたいと思っております。
 さらに、具体的にベンチャー企業をするための研究資金を提供する「START」という事業がありますので、基礎的な研究をされている方にこのSTART事業の活用について御案内をさらに強化していく。今もやっておりますけれども、さらに強化をしていく。
 さらに、起業した後にベンチャー企業への起業の資金を提供する事業「SUCCESS」をやっておりますので、これについても起業した後のベンチャー企業に対して御案内するだけではなくて、その前の段階の研究されている方にも御案内をしていくといったことをやっていきたいと思っています。
【広崎部会長】  そのあたりは是非強力に進めていただきたいと思うんですが、一般論で言うと、日本のベンチャー企業が育ちにくいというか、アメリカとの相対関係で言うと、やや育ちにくいように見えているその原因には2つあるように思えるんです。
 1つは、やっぱりファンドの面ですね。ここでは民間資金の呼び込み、積極的に手を打っていくとありますので、ここは是非JSTさんのみならず、他省庁のファンドの仕組みとも協力しながら、国全体としてこの手当てを厚くするような工夫をしていただければいいかなと思います。
 それから、ベンチャー企業が育ちにくい2つ目は、これは民間企業でこれまで散々経験していることなんですけれども、スピンアウトをしてベンチャー企業を育成する。そこまではいいんですけれども、スピンアウトしたその優秀な技術者が、あるビジネスのライフサイクルが終わった後、次の技術の種が1人ではなかなか出てこないんですね。やっぱりその技術の、どこかに「場」という言葉がありましたけれども、技術を育成する場があって、場の支えがあって、次の技術の、ビジネスの種が生まれてくる、こういう仕掛けがその技術者の配下にないと、なかなかベンチャーとして長続きしないというふうな面もあります。
 したがって、是非このJSTの先ほど来出てきているネットワーク型の強みを生かして、そういうベンチャーの意欲ある人を技術の総合力で支えるような、こういったことも何らかの工夫を入れ込んでいただけると有り難いかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
【後藤理事】  ちょっとよろしいですか。
【広崎部会長】  はい。
【後藤理事】  今の御指摘に1点、私どもファンディング機関にとりまして、ベンチャー企業ができた後、次のネタといいましょうか、要するに、創薬系だとパイプラインを増やしていくというような話ですけれども、非常に大事だと思っておりまして、具体的には、今回、企業に対する研究開発費の支援をする「NexTEP」という事業がありますけれども、今回、補正予算でベンチャーに対する支援の枠を頂きましたので、今、それを鋭意進めているところでございます。
 それから、ほかの研究資金についても、ベンチャーの方からの公募を増やしていくように、実際に幾つかはもうそういう御提案を頂いて御支援させていただいていますけれども、これも増やしていくようにしたいと思っております。
【広崎部会長】  それは是非よろしくお願いします。
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、続けて、2.3.の国境を越えて人・組織の協働を促す国際共同研究・国際交流・科学技術外交の推進から、2.4.の情報基盤の強化、それから2.5.の革新的新技術研究開発の推進、この3つをまとめて議論していきたいと思います。よろしくお願いします。先ほどの評価軸も含めて御議論いただければと思います。
 よろしいですか。
【三上委員】  では。
【広崎部会長】  お願いします。
【三上委員】  まず1つは、2.3.の人・組織の協働を促すという部分ですけれども、日本での大学等研究機関の研究力とか人材育成力は、やっぱり国際的に比較すると、いろいろな指標で相対的には厳しい状況にある。JSTさんは、ネットワーク型研究所という強みで、やっぱりある意味、国際的なアジア・太平洋地区においても、こういう研究交流のハブになり得る資質を持っておられるというふうに期待しておりまして、特にアジア・太平洋地区の若い研究者、あるいは研究者になる予備軍といいますか、将来そういう国々でリーダーとなるような人たちをハブとしてJSTが交流を深め、育成に協力していくという、それがやっぱり投資として何十年にもわたってアジアの中で日本が科学技術立国として生き続けるという1つの大きな条件になろうかというふうに思っていまして、そういう意味で、ここに書かれている科学技術分野でのアジアとの青少年交流を促進ということに非常に期待する次第なんですけれども、具体的には、この交流というのは、どういうイメージで考えておられるのでしょうか。
【安藤理事】  今、アジアで35か国を対象に、その国から、2週間ほどの短期間で、大学の方に一、二週間受け入れて、非常に先進的な活動をされている研究者の方と対話をしてもらう。それから、同年代の学生といろいろディベート、ディスカッションをしてもらう、こういった場を作るのと、実際に研究活動がどういうものが行われているか、こういったところを実際に見てもらって、短期間ではありますが、実際にできる限りそこでもいろいろ活動に参加をしてもらうような、こういったことで、とにかく日本を知ってもらうといったところをまず重点的にやっているものでございます。
【三上委員】  そういうことは非常に必要だと僕も思いますけれども、その場合、例えば大学のある分野の研究者の方が、こいつはできるというふうになった場合に、何か、2年間とか、マスターあるいはドクターに呼んで、将来の柱に育てていく、あるいは自分たちの研究を加速させるという、何か次のステップみたいなものがもしあれば、より効果的にメカニズムが働くような気もするんですけれども、いかがなんでしょうか。
【安藤理事】  そこは、今、そこを促進する、あるいは奨励する仕組みをJSTの事業の中には特に持っておりません。これは各大学の自主性に任せているというのが現状でございます。
 そういう活動を奨励するために、今言われたようなことをどう進めていくか、事業の中にどう入れていくかというのは、これから課題だという認識でおります。
【広崎部会長】  よろしいですか。
 多分、JSTさんは、各大学にこういう国際協力を呼び掛けていくような触媒役の役割もあると思うんです。そういう意味から言うと、実際の現場の大学のこういう国際交流に対する反応は、関心が高いのか、それとも意識がそれほど高くないのか、そのあたりはどうなんでしょうか。ちょっと気になっているところなんですけれども。
【安藤理事】  これ、公募でいろいろ大学から募っていますけれども、まさに受け入れを希望する場所を募っておりますが、非常に関心が高いという実感を持っております。その中でかなり審査も厳しくやっていますので、私どもとしては、これを非常に重要な事業として、もっともっと、まだ手を挙げていない大学であったり、研究機関であったりありますから、もう少し広げていかないといけないかなということは、拡大の方は考えながらやらないといけないと思います。
 それと、さっきの話とも共通するんですけれども、やはり人材育成という観点をどう研究機関の中にうまくそういう考え方を根付かせていくかというところは、今、JSTの中でも研究事業の中でどういうふうな奨励ができるのか、これはまさに検討課題だということで、しっかりとこれから考えていかないといけないかなというふうに認識しております。
【五十嵐委員】  よろしいですか。
【広崎部会長】  はい。
【五十嵐委員】  今のに関連するんですけれども、実は学振の123委員会が耐熱鋼の国際会議をやったときに、東南アジアから学生さんを呼びたいということで、ポスターセッションを募集をかけまして、15名程度来ていただいたんですけれども、やっぱりそのときに渡航費とか、ある程度サポートしないと全員は呼べなかったんです。協力会企業にお願いして、そのサポートを少しさせていただいてやったんですけれども、彼らは非常に研究熱心で優秀な学生さんがたくさんいらっしゃって、日本人と交わって非常にいい交流ができたんです。国際会議にそういう学生さんを招聘するような、そういう基金ですとか、そういう制度みたいなものは今はないのでしょうか。
【安藤理事】  今、JSTにはそういう枠組みはございません。
【五十嵐委員】  何かそういうものがあれば、非常にいいんじゃないかと思うんですけれども。
【広崎部会長】  そうですね。これはいろいろな考え方があるのだろうと思いますけれども、幹事役の団体なり学会があって、それを周りがどうサポートするかということで、多分、JSTさんは、こういう枠組みであれば、周りからサポートする側に入るのかなというふうに思いますけれども。
 いずれにしても、今御指摘の海外の若い優秀な研究者をサポートするというのは、長い目で見ると非常に重要な日本の宝になり得るので、それは是非今後御検討いただければと思います。
【五十嵐委員】  あと、情報基盤に関してよろしいですか。
【広崎部会長】  はい。
【五十嵐委員】  情報基盤の強化のところなんですが、データインフォマティクスですとか、いろいろなところで今、データベースのオープン化、共有化という議論があるかと思います。企業から見て、例えば、ランダムな公開情報は、それは知的財産ではないんですけれども、ランダムな情報からいろいろな尺度で整理されたデータは、全て知的財産だと思うんです。ですから、情報基盤を強化していって、どんどん知のデータベースがたまっていくと、それは全て知的財産、ある見方をすれば、非常に価値の高い有益な情報を含んだ知的財産になるんだと、そういう視点で是非データの取得、それから管理、運用みたいなところをお考えいただけたら有り難いなと思います。
 それともう1点は、先ほどの2.2.のもしかしたら人材育成と関わるかもしれないんですが、大学で萌芽段階の研究から基本特許が出るというお話を前回させていただきましたが、そういう観点で、大学で今どんな研究がされていて、それが実は分野によっては非常に将来のシーズ技術になるかもしれない。そういうデータが、恐らく今は系統的には情報が整理されていないんじゃないかと思うんですけれども、そういうところを文科省さんなのか、あるいはJSTさんなのか、やっぱりちゃんと見ていただけると、そういう中から将来の社会を本当に革新するような技術が生まれるんじゃないかと思うんです。ですから、情報基盤強化なのか、あるいは人材育成、あるいは基礎研究の知財化なのか、どう整理していいかよく分からないんですけれども、そういうところにも目配りいただけたら非常にうれしいなと思います。
【白木澤理事】  貴重なお話を頂きまして、どうもありがとうございます。1つ目のランダムな情報とかも整理されただけで、それが、ある程度、財産になっていくというところは、おっしゃるとおりだと思います。今、私どもの方では、例えばですけれども、ライフサイエンス分野のデータの中では、どこでどんなデータがある、どこでどんなツールがあるということをカタログ化してごらんいただけるような取組をやっておりますので、それに似たようなことをほかの分野にも広げていくとかというようなことを私どもの中でも検討していきたいと考えております。直接今回の中の計画に具体に盛り込めるかどうかは別でございますけれども、取組としてそのようなことを引き続き力を入れてやっていきたいと思っております。
 それからあともう1点、大学で今どんな研究がされているか。私どもが今、把握しようとしているのは、やっぱりファンディングエージェンシーという面が強うございますので、そのファンディングをしている研究課題に対する情報をきちんと把握しなければいけないということは、1つ取り組んでいるところでございますが、あともう1つの観点といたしまして、今お話しいただいた研究者の方のデータを充実していくということも1つのポイントになってくるのではないかと思っております。私どもの方で、今、researchmapという日本の研究者の方々のデータを整理するようなものをやっておりますので、そこの内容の充実などにも努めてまいりたいと考えております。
【広崎部会長】  今の2点、2点とも非常に重要なところなので、是非システマティックなアプローチをお願いしたいなと思います。
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、最後の柱になりますけれども、3.の未来共創の推進と未来を創る人材の育成に進みたいと思います。
 それでは、ここはまだ御説明いただいていないんですね。
 では、安藤さんの方から。もう御説明いただいたのでしたか。失礼しました。
【安藤理事】  簡単ではありましたが。
【広崎部会長】  では、この3.について、御議論をよろしくお願いしたいと思います。
 3.の中の3.1.が未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化です。リスクコミュニケーションでありますとか、科学技術コミュニケーション、こういった内容を含みます。それから3.2.が、未来を創る次世代イノベーション人材の重点的育成ということで、これはSSHの話であるとか、初等中等教育の強化といったものが入っています。それから3.3.が、イノベーション創出に資する人材の育成ということで、プロマネの話、それから研究者倫理等の話です。こういったものが含まれております。
 それでは、この3についての御議論をよろしくお願いしたいと思います。
【三上委員】  では。
【広崎部会長】  はい。
【三上委員】  これ、どの項目も非常に重要なことばかり、ポイントをきちんと押さえて書かれているので、コメントというのは困るんですが、大切だと個人的に考えているのは、やっぱり今、日本の、分野にもよって違うと思いますが、博士課程に行く学生が、非常に優秀な学生が激減しているということだと思います。それは大学の研究力を下げるというだけではなくて、将来のコアになる人材育成が機能しないということでして、それの大きな背景は、端的に言うと、先輩たちが博士課程に行って苦労しているのを見ているということだと思うんですが、ですので、そういう博士課程に進んでも、きちんとJSTが何らかのいろいろな情報の手立てとか、サポートがあって、きちんと彼の専門性を生かした企業に行ける、あるいは企業が博士課程の子は使えるんだというところのマッチメーキングをJSTがきちんとやってくださるということが少しでも機能すると、その辺の流れも少しずつ変わってくるかもしれないという期待がございまして、是非この辺のことについて効果的な施策を進めていただければなと思う次第です。
【広崎部会長】  そのあたりは、何か具体的に考えておられることがあるんじゃないかと思いますけれども。
【安藤理事】  実際に産学連携といったことを具体的に進めていく中で、やっぱり学生にも企業における研究活動がどういうものかというのは見えてくるというところもあると思いますので、今、JSTが進めている中で、やっぱり企業の協力も非常に重要だと思っておりますので、これはこういうコミュニケーション活動においてもそうですし、研究開発の実際の活動の中でも、企業と大学との間の連携ということを企業の側からのコミットを強めるような形でうまく進められないかというところは考えていきたいと思います。
【広崎部会長】  このあたりは、大分時代背景が激しく変わってきていますので、是非JSTさんとして積極的に働きかけていただきたい。
 といいますのは、例えば、私などは民間企業ですけれども、民間企業は、過去10年、20年というのは、最も効果的な技術者の人材育成というのはOJTだったんです。ところが、これだけイノベーション競争の時代になってくると、現場でたたき上げたからといって、イノベーション力が上がるわけではないんですね。あるいは、課題設定能力が上がるわけではない。そうすると、学と産がもっと従来の枠組みを越えて、お互いのクロスアポイントメントであるとか、もっと深いレベルのインターンシップであるとか、こういったことを通じて、より付加価値の高い人材を互いに育てていくようなことをやらなければいけないし、それに対するカタリスト役もやっぱりJSTさんが一番適しているのではないかと思うんですけれども、是非よろしくお願いします。
【友永会長代理】  15ページのところのプログラム・マネージャーの育成の問題なんですが、現行計画の中で、40名程度、採用をして、何人かものになればいいなというようなお話が前にあった記憶があるんですけれども、今期、次期計画においては、より内容的に戦略的、挑戦的な課題にも積極的に取り組むマネージャーであるとか、そういった内容的な変更も含めて、次のステージに移っていくようなイメージを出していらっしゃるのだと思うんですけれども、そこで、その取組の現状の状況と、将来像というか、この次期計画中での将来像みたいなところをちょっと教えていただければと思うんです。
【安藤理事】  JSTにおけるこのPM人材育成事業は、昨年始まり、今年、2期目の募集をしていた状況です。そして、昨年の採択した30名弱が、第1ステージを終わって第2ステージに入ります。7名が第2ステージに入って、みずから考えた計画を実践して、研究者と、あるいは技術者との協働の中で自分の研究を実践していくという、こういう場面でございます。これはもう既に開始されているんですけれども、やはり実際に実践をしていく中で、JSTのいろいろなプログラム、事業の中で、PMが実際に引っ張ってくれている事業もありますし、それも含めていろいろ実践の場を作っていくということが非常に大事だというふうに思っていまして、この仕組み作りをきちんとしたものにしていかないといけないと、これはJSTだけではなくて、他機関との連携も、協力も得ながら作らないといけないと思っていますが、まずその実践の場をしっかりと作っていって、自分が作った計画をしっかりと実施できるような環境を作りたい。そのためにまた今、メンターにもついていただいて、いろいろ指導をしていただいているんですけれども、やはり実践活動する中でも、メンターがどういう関わりをしていくかというところも、もう少し具体的なものとして形を作っていかないといけないかなというふうに、今、それも非常に大きな課題として感じて進めているところでございます。
【広崎部会長】  では、よろしいでしょうか。
 そろそろ時間になりましたので、本日、各委員に頂いた御意見を反映した後に、中長期目標(案)、それから中長期計画(案)、これをまとめまして、来週12月21日に開催されますけれども、研究開発法人審議会総会に報告させていただく予定にしております。期間が非常に短こうございますので、文書の修正等の内容については、部会長一任ということでお任せいただけると有り難いのですけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【広崎部会長】  ありがとうございます。
 では、最後に、今後のスケジュールを事務局より説明をお願いします。
【豊田人材政策課長補佐】  資料3でございます。先ほど、部会長から御紹介いただいたとおり、本日の議論を踏まえまして取りまとめさせていただいて、12月21日の研発審議会で御報告させていただきたいと思います。そこでの議論を踏まえて、年明けの1月27日に、再度JST部会を開かせていただいて、再度、2月になると思いますけれども、研発審議会の方でセットしていくという流れになってございます。
 以上でございます。
【広崎部会長】  ありがとうございます。
 年明けの第9回には、是非明るい議論をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 きょうはどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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