国立研究開発法人審議会 宇宙航空研究開発機構部会(第22回) 議事録

1.日時

令和3年10月22日(金曜日) 16時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の業務実績評価の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

部会長 髙橋 德行
部会長代理 古城 佳子
臨時委員 赤松 幸生
臨時委員 黒田 有彩
臨時委員 白坂 成功
臨時委員 中村 昭子
臨時委員 平野 正雄
臨時委員 李家 賢一

文部科学省

宇宙開発利用課長 福井 俊英
宇宙開発利用課企画官 笠谷 圭吾
宇宙開発利用課専門職 横井 奈央

【オブザーバー】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
評価・監査部 部長 佐藤 雅彦
経営推進部 次長 森 有司

5.議事録

【髙橋部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより文部科学省JAXA部会を開催いたします。
 本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日はJAXAの業務実績評価の在り方に関する議論を行います。
 初めに、事務局より本日の会に関する事務的な連絡をお願いします。

【事務局】 事務局でございます。
 初めに、本日の会議に関する事務的な連絡をさせていただきます。
 本日の会議の出席者につきまして、委員及び臨時委員、8名全員に御出席いただき、定足数を満たしていることを報告いたします。
 なお、本日の部会は、文部科学省国立研究開発法人審議会宇宙航空研究開発機構部会運営規則に基づき、公開とさせていただきます。また、議事に鑑み、JAXAの方にも御出席いただいております。
 続きまして、本日の資料ですが、議事次第のとおり、メールにてお送りしております。構成は、議事次第、資料1-1から1-2の2点、参考資料1-1から4-3の13点になります。欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせ願います。また、同資料は既に文部科学省のホームページにも公表しております。
 接続につきまして、映像は常時オン、音声は御発言時のみオンでお願いいたします。御発言の際は、画面内で挙手いただくか、WebExの挙手機能を使っていただき、髙橋部会長の御指名の後、マイクをオンにして御発言いただくというルールでお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思います。
 議題は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の業務実績評価の在り方についてであります。それでは、事務局より説明をお願いいたします。

【事務局】 資料1-1、1-2にもとづき、まずは概要を説明させていただきます。
 資料の構成ですけれども、資料1-1「業務実績評価の改善に関する論点整理」ということで、これまでのJAXA部会における議論や、前回の第21回部会における議論をまとめた資料になります。こちらにて、評価の方法に関する具体的な改善案を整理させていただきまして、これに基づき、前々回の第20回部会にて作成しております「プロセス・アウトプット・アウトカム評価の評価基準」という資料の改定案という形で、資料1-2として用意をさせていただいております。まず、資料1-1に基づき全体を説明させていただき、資料1-2で具体的な改定の提案をさせていただく流れとなります。どうぞよろしくお願いします。
 まず、資料1-1、1ページ目を御覧下さい。
 こちらは業務実績評価方法に係るこれまでの議論ということで、第19回、第20回の部会資料より、そのコアとなる考え方について一部抜粋させていただいております。
緑の四角のところ、評価の考え方そのものや評価方法の整理ということで、プロセス・アウトプット・アウトカム評価に基づき評価をすべきということで、第19回のときに整理をさせていただいているものになります。
 さらに、そのうちのアウトカムにつきましては、赤の四角のところ、イベント型アウトカム、累積型アウトカム、プロジェクト型アウトカムの考え方に基づき評価を行うべきではないかという議論がありました。
 また、右下の青の四角のところ、評価制度上の考え方ということで、こちらは総務大臣決定として「独立行政法人の評価に関する指針」というものが策定されております。JAXAにおける評価というのもこれに基づきされるものになりますが、今回、これをベースとしながら改定の御提案をさせていただくものになります。
次に、2ページ目を御覧下さい。
 2ページ目、3ページ目におきまして、前回の第21回部会にて色々と委員の先生に御議論いただきましたものを、事務局にて大きく七つの問題意識、課題に分類させていただき、それぞれに対する、部会にてありました具体的意見、またそれに対する事務局としての対応方針また改善策の案を示しております。順を追って、1ポツから簡単に御説明をさせていただければと思います。
 1ポツ、プロジェクト途中段階における評価基準ということで、プロジェクトについて計画どおりに進捗しているか否かという視点以外に評価することができないか、という御意見があったかと存じます。
 また、2ポツ、プロジェクトの完了段階においても、計画の達成度のみならず、計画そのものの困難度――その計画を達成することがどの程度困難なことか、そういったものを考慮に加え、総合的、多角的に評価をするべきではないかという御意見があったと思います。
 それに対して、事務局として対応方針を御提案させていただきたいなと思っているものが、右の対応方針/改善策(案)というところです。先ほど申し上げました「独立行政法人の評価に関する指針」というものの中に、重要度や困難度の高い案件について、比重をかけた評価を行うことができるという旨の記載がございます。
 まず、困難度につきましては、実は一部の基準で既に導入がされております。例えば、プロジェクト型事業の場合については、困難度等を考慮したサクセスクライテリアという形でアウトプット評価基準が設定されているほか、プロセス評価基準におきましても、当初定めた計画について、「特に困難と思われる計画を達成した」ということでA評価とするといった基準を設けております。そうしたことから、この困難度の考え方を、より一層明確化するという形での提案させていただきたく、資料1-2にて具体化しております。
 一方、困難度と異なり、重要度につきましては、計画の段階において事業の優先度を付すということになってしまいます。それはやはり政策的に難しいと申しますか、評価として適さないというところで、今回、これは考慮の対象外とさせていただいております。
 続きまして3ポツ、アウトカムの評価タイミングについて、アウトプットに対してアウトカムが生じるのはどうしても将来、先の話になると。そういったものについて、現在は出ていないけれども、期待感をもって評価することが適切なのかどうかといった御意見がありました。
 こちらについて、評価指針に基づき、少し考えを整理させていただきまして、研究開発成果の最大化に向けた好循環の創出を促すため、将来の具体的な成果創出を見通した期待先行の形で評価を行うことができるという趣旨の記載が設けられております。ベースとしてこちらを適用できないかという考えから、資料1-2に追記をしております。
 一方で、結果として成果が将来的に出なかった際には、要は評価の先取りをする形になってしまいますので、そのバランスをどう保つかといった点が懸念されます。その点では、当事者予測はバイアスが生じやすいというところで、客観的な評価ができる第三者の存在の確保といったところが一つ課題になるかなと思っております。この後、委員の先生方の御意見等もお伺いさせていただきたいと思っております。
 4ポツ、アウトカム評価とJAXAの特異性というところで、アウトカムの評価基準として、JAXAの担う役割に応じた基準を設定すべきではないか。具体的に申し上げますと、JAXAは研究開発機関としての性質及び行政に直結した業務遂行任務型機関としての性質の二つの性質を持ち合わせているのではないかという委員からの御指摘があったかと思います。それぞれにおいてアウトカムの対象とすべき範囲が異なるのではないかという趣旨でございまして、研究開発機関としての性質で考えますと、アウトカムの入り口までを評価し、そこから先の成果の定着や拡大といったところは国や民間の責任になるのではないかという話と、その一方で、業務遂行任務型機関としての性質を踏まえますと、社会実装や定着といったところまで評価の中に組み入れてすべきではないか、また社会的意義の観点といったものも評価に反映すべきではないかというような御意見であったと思います。
 それに対しまして、対応方針、改善案といたしましては、まず、アウトカム評価、アウトプット評価、プロセス評価の考え方の前提になるものでございますが、アウトカム評価が困難なものはアウトプット評価、アウトプット評価が困難なものはプロセス評価において評価を行うということをまず一つ前提として明記させていただくと。
また、アウトカム評価につきましては、プロジェクトの性質に合わせて、アウトカムの対象とする範囲を柔軟に設定して評価を行う、例えば、先ほど申し上げましたとおり、研究開発において、アウトカムの拡大等については国、民間の責任の範囲ではないかというところで、そうしたものについては、入り口までを対象に評価を行うということを資料に追記させていただいております。
 3ページ目をご覧下さい。5ポツ、評価項目内の全体、個別の捉え方というところで、評価項目の全体をもって評価するのか、そのうちの一部を切り出して評価するのか、考え方の統一を図るべきではないかということで御議論があったと思います。御議論の中ではアラカルト的評価という言葉が使われていたかと思いますけれども、全体の中の一部が計画以上であったことをもって全体をS評価とすることに対する是非について、意見が出ていたかと思います。
 こちらにつきましても、評価指針が一つのよりどころになると考えております。特に優れた取組や成果等に対して積極的な評価を行う旨の記載がされております。今回、評価基準資料の改定案におきましても、このことを追記させていただきました。
 一方で、一つが良ければ全体の評価を蔑ろにしてよいかというと、決してそうではないというところで、実績を記載する際に、最初に計画しているものが体系的にきちんと記載され、計画と実績がより対応した形になるように、実績を記載する際に工夫をすることが必要だということで、こちらについては、自己評価等を記載いただきますJAXAとも調整が必要かなと考えております。
 また、当該年度の計画及び実績の説明の際に、項目ごとの全体像、戦略を踏まえた説明を行っていただくと、より全体像を意識した評価を行うことができてよいのではないかと。
 では、6ポツ目、評価項目ごとの特性の考慮というところで、評価項目ごとの特性を考慮した上でフェアな評価を行うべきではないか。具体的に申し上げますと、複数の個別案件を持つ項目は、どうしても成果が出やすいというところでS評価が出やすい。一方で、一つの案件がそのまま評価項目となっているものは、成果が生じるのはそのプロジェクトないし事業が完成したときになりますので、完成タイミング以外においてB評価になりやすい。また、管理系、組織運営系の評価項目も、一般的に見て、やって当たり前というふうに思われがちであり、B評価とされやすい。これはやはり項目ごとの特性に応じてそうなってしまっているというところで、評価のフェアネスや担当部署のモチベーションに関係してくるということで、改善をすべきであろうという御意見があったと思います。
 こちらに対する対応方針、改善策といたしましては、まず、マネジメントに係る評価というものの考え方を明確にすべきであるというところで、マネジメントについては、研究開発成果に対する直接的・間接的寄与を明確にして評価するとともに、年度を積み重ねることでどんどんレベルが向上していくような性質のテーマにつきましては、年度ごとにその評価がばらつくというのではなくて、中長期期間終了時の評価の際に、期間全体を踏まえた、振り返ったとき全体を見て評価を行うことに配慮するというところで追記させていただいております。
 また、評価指針の中におきましても、法人に共通的なマネジメントに係る評価、こちら管理系、組織運営系のことと考えておりますけれども、これについては、中期目標管理法人に対して示されているものと同様の評価の視点を踏まえて評価するということで、必ずしもアウトカム、アウトプット、プロセスの基準に当てはめられるものではないと。こちらについても資料1-2に参考として改めて掲載させていただいております。
 7ポツ、評価実績と年度計画の対応関係というところで、中々、年度計画の記載と実績の記載内容が対応する形になっていない。というのも、中長期計画から年度計画への具体化が十分ではないのではないかといった御指摘がありました。PDCAを評価ないし計画で回しているところでございますけれども、計画の部分をもっと重視すべきではという御意見がありました。
 これに対して、令和3年度の計画からですけれども、記載の具体化・詳細化を実施しているところでございまして、その取組の成果を踏まえまして、改めての検討とさせていただければと思っております。
 一方で、5ポツとの関係になりますけれども、実績を記載する際に、現行の計画と実績がより対応した形になるよう記載するというところで、こちらも同様の対応とさせていただければと思っています。
 資料1-1は以上になります。次に、資料1-2を御覧下さい。
 こちらは、今の資料1-1で事務局から提案させていただいております対応方針、改善策の案を、具体的に評価基準資料へ反映したものになっています。これは第20回部会の資料をベースとしており、赤字のところが今回の変更点ないし追記をさせていただいた箇所になります。また、7ページ、8ページにつきましては、前回の資料には掲載がなかったのですけれども、先ほど申しました「研究開発に係る事務及び事業以外」、共通的なマネジメントに係る部署の評価として、参考として入れさせていただいております。
 1ページ目から順を追って、変更箇所について説明させていただければと思います。まず、真ん中の赤字のところ、本プロセス・アウトプット・アウトカム評価の評価基準の前提及び位置づけというところでございます。これは前回の資料にも記載があったところですが、今回、改めて強調させていただきたく、赤で追記させていただいております。
 今回のこの資料は、評価指針を変更、または新たに評価の基準を付け足すというようなものではなくて、あくまで評価指針に沿って、文科省JAXA部会において評価する上での参考とするものであると。また、これまで一部曖昧だった考え方をより一層明確化することで、よりよい評価を行うという趣旨であり、過去の評価との整合性の観点でも、矛盾を生じるものでないと整理しております。
 また、先ほど申し上げましたアウトカム評価、アウトプット評価、プロセス評価の優先度の話についても、同様に強調させていただいています。
 2ページ目です。評価指針にあるSからDまでの評価の考え方については、そのまま変更ありません。
 今回、先ほどの資料1-1の1番と2番で御提案をさせていただいております困難度の考え方について、同じく評価指針の中に記載があるところを一部抜粋させていただいております。「評価の時点において、目標・計画の達成及び進捗状況の把握の結果、困難度が高いものと認められる場合は、評定を一段階引き上げることについて考慮する」こと、その根拠についても「具体的かつ明確に記述するものとする」とのことで明記しております。
 評価指針のSからDの基準と、困難度の考え方をベースとして、具体的にアウトカム、アウトプット、プロセスのそれぞれの基準にどのように落とし込むかを整理したものが、次のページ以降になります。次ページのプロセス評価のところを御覧ください。
 赤字、S評価のところについて、現行までは基準が入っていなかったものですけれども、A評価のところに記載がございます「特に困難だと考えられる計画を達成した。または」のところの「または」を「かつ」という記載に変えて追記しました。
 また、ここで言う困難度のイメージですけれども、プロセスからアウトカム共通のものとして考えていて、具体的には「目標策定の際に考慮すべき視点」という行政管理局長決定の文書があるのですが、ここから一部抜粋をさせていただいております。研究開発業務に係る記載例として、この例自体は宇宙のものではないのですけれども、こうしたイメージをもって困難度を考えるというものです。
 4ページ目です。現行の基準においても、プロジェクトごとのサクセスクライテリアを参照してアウトプット評価をするとしており、このサクセスクライテリアというものは、困難度だけではないというところがございますが、困難度等を考慮して設定されているということで、困難度の考え方と整合性を取る形で記載をさせていただいております。
 5ページ目です。同じくこれまでの考え方に従い、困難度があるものについては1段階評価を引き上げることについて考慮し、従来A評価のところに入っておりました「顕著な成果の創出や将来的な成果の創出」というものも、「特に困難と考えられる計画」に対しては、それをSとするというようなことで、整合性を図る形にしております。
 6ページ目です。こちらも同様に、Aのところに「特に困難と考えられる計画に対し」ては、1段階評価を引き上げることで、整合性を図っております。
 その他、米印のところに赤字のところを今回つけさせていただいておりまして、先ほどの資料で言うところの3ポツ、4ポツ、5ポツのところを反映させる形で、研究開発成果の最大化に向けて、一つの取組をもって重みをつけた評価を行うこと、また将来の成果への期待先行の形で評価を行うことができるということで明記をしております。
米印の二つ目、アウトカム評価に際しては、プロジェクトの性質に合わせてアウトカムの対象範囲を柔軟に設定するというところで、その具体例、イメージを付けさせていただいております。
 また、米印の三つ目、こちらは先ほどの資料で言うところの6ポツにありましたマネジメントに係る評価についてですけれども、同様に記載をさせていただいております。
7ページ、8ページにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、今回新しく何かを整理したというわけではないのですが、「研究開発に係る事務及び事業以外の評価基準」として、アウトカム、アウトプット、プロセスの考え方とは別に、こうした考え方で管理系、組織運営系について評価を行うとしております。
 7ページ、8ページの評価のAのところを見ていただきますと、こちらについても困難度という概念が出てきておりまして、評価の先ほどの整理と全体として整合性が取れたと考えております。
 駆け足になりましたが、事務局からの説明は以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、委員の皆様から御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 赤松委員、お願いします。

【赤松委員】 幾つかあるのですけど、まとめて述べてよろしいでしょうか。最初の1-1の資料について意見を述べさせていただきたいと思います。最初に前提として申し上げておきたいのは、私もJAXAさんが出している成果を積極的に取り上げてアプリシエーションしていく、ないしはエンカレッジしていくということは非常に重要だと思っていまして、その前提の下での評価の考え方の明確化と共有がフェアな評価の上でも重要だという意見としてお聞きいただければと思います。
 まず、論点の1番と2番です。困難度については一部の基準で既に導入されているという話もありまして、例えば、サクセスクライテリアのところにある程度困難度ということを入れていたとして、また成果のところで困難度を評価してしまうと、二重になってしまう可能性があると思います。今回、改めてそういうことを設定するのであれば、クライテリアと成果で評価する考え方を一本化することが必要ではないかというのが一つ目の意見です。
 二つ目は3番です。将来の具体的な成果創出を見通した期待先行の形で評価を行うことができるというのは、反対ではないですけれども、この将来の見通しというのはどういう形で見るのかとか評価をするのかということですね。逆に、これが入ることによって曖昧になってしまう可能性があるので、例えば基準や例示が必要になってくるのではないかというふうに思います。
 それから、4番目、プロジェクトの性質に合わせてアウトカムの対象範囲を柔軟に設定して評価を行う。これは前回の21回の会議のときもかなりいろいろ議論がありましたので、反対ではないですけれども、民間での利用を想定しているのか、それとも行政の1機関としての利用を想定しているのかということによってその扱いが変わってくると思いますので、その仕分を明確にしていく必要があるのではないかと思います。
 その中で、例えば、民間が既にやっているようなことは、そもそも実施計画から外していくという考え方も出てくるのではないかと思います。ですから、公的な利用に関してはしっかりとアウトカムまで責任を持っていただく、民間がやるようなものはあえてやらなくてもいいのではないかということが出てくるかというふうに考えております。成果をつくって民間に委ねるということであれば、そもそもつくっているものがちゃんと民間のニーズを踏まえているのかというところを今度は評価しなければならないということになりまして、そこの部分はしっかりと記載もしておくべきですし、意識の共有を図っておく必要があるのではないかと思います。
 それから、次のページの7番目です。中長期計画から年度計画への具体化が十分でないということで、具体化を別途実施しているということで、これはぜひやっていただきたいなと思っておりますけれども、今の一つの課題として、かなりたくさんの項目を長い資料で提示されているので、委員がそれを全部理解するのは厳しいというところもあります。もしここの記載の具体化というのをやる場合には、全体が見通せるような資料の作成をまず一つやっていただいて、その後に、例えば個別の説明を参考資料としてつけていただくというような構成も考えていただきたいなと考えております。
 もう一つは質問ですけど、6番の複数の個別案件を持つ評価項目はS評価が出やすいということですが、B評価が連続して出ているものに対して、S評価とのバランスでB評価の底上げをするというのは今回の対策で出されているのですけれども、このS評価が連続して出やすいことへの対応はどうするのかというのが今回の中にはなかったので、そこに関してはどうなのかという御意見をいただければと思います。
 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、今の件、事務局からお願いできますか。

【事務局】 御意見をいただき、ありがとうございました。
 1点目、1ポツ、2ポツの困難度のところで、サクセスクライテリアと二重になってしまうのではないかということで、この点についてはサクセスクライテリアの要件のところと二重にならないように整理をさせていただきたいと思います。
 2点目、将来の期待先行で評価を行うというところで、何かしらの基準ないし例示をつくるべきではないかと。こちらについても検討させていただきたいと思います。

【赤松委員】 もし今お答えがなければ、御検討いただければと思いますし、今回の改訂の中で、一部曖昧であった考え方をより明確にするということがありますので、逆に言うと、曖昧にならないように、ちゃんと定義をしておくということが必要だという意見ですので、御参考いただければと思います。

【事務局】 はい、承知しました。曖昧にならないように基準を設けるということで考えたいと思います。
 3点目の御意見は、4ポツのところでしょうか。アウトカム評価に際しては、性質に合わせてアウトカムの対象範囲を設定するというところについて、民間で行うべき役割のところと行政が担うべき役割のところ――民間が担うところについてはそもそも評価の対象として落とすか、あるいは民間のニーズを酌み取ってできているのかをもって評価すると。こちらについても、その評価のための考え方を整理する必要があるということになるかなと思います。

【赤松委員】 これも同じでございます。「柔軟に」という一言を入れることで曖昧にならないようにしていきたいということでして、この間の議論では、やはり公的な利用と民間のようなところにアウトプットを渡していくというものは扱いが違うでしょうということもありましたので、そこら辺を御考慮いただければということです。

【事務局】 承知しました。こちらについても1度、曖昧にならないよう考え方の検討をさせていただきたいと思います。
 4点目、7ポツのところ、おっしゃるとおりかと思います。全体を見通せるような形で実績の記載ないし評価の際の説明を行うというところで、こちらについても、JAXAと評価の際の記載の仕方ないし説明方法について調整等をして工夫をさせていただきたいと思います。
 6ポツのところ。複数の個別案件を持つ評価項目はSになりやすいというところを御指摘いただきました。これについては、事務局としてもよいアイデアというか解決案が例示できておりませんでした。もしほかの委員の先生方、何か意見等があれば、この場で少しお伺いできればというふうに考えております。ほかの項目も含めまして、何か今御指摘いただきました点について御意見はございますか。

【赤松委員】 たしかS評価が続くものに対する結論は第21回では出なかったかなと思っていますので、これはまた少し時間をかけてということでもいいのかもしれません。

【髙橋部会長】 髙橋ですけれども、その件についてよろしいですか。複数の個別案件でSが出やすいということですけれども、一つは、1ポツの所でも言っているように、個別案件が複数あったとしても、非常に飛び抜けた成果があれば、それを積極的に評価しましょうということで、例えば、10個のテーマがあったとして、仮に二つ、三つが非常によかったと。残りの七つ、八つが普通であったとしても、その二つ、三つが飛び抜けてよければ、積極的に評価しましょうというのが独立行政法人の指針の中で示されているということです。まずそれが根拠としてはあるのかなと思います。あくまでもそれは本当に飛び抜けていいという前提ですけれども。
 もう一つは、S評価が続く、例えば航空や観測衛星ですが、本当に問題なのかと私は個人的に思っていまして、要は、絶対評価をした上で、よければいいのではないかと。本当に国際的な競争力があって飛び抜けてよければ、それが2年、3年続いたとしても、国際水準に照らし合わせてSに匹敵するものであれば、あまり課題にすることもないのではないかなという感じはしています。
 一方、B評価になりやすい項目があります。中長期目標策定段階で、単独の開発テーマがそのままひとつの評価項目になっている場合などです。成果を出すのに時間がかかり、しばらくB評価が続くケースもあります。中長期目標における項目の建付けによってこのようなケースが生じる場合があることを認識しておく必要があると思います。
 今の件ですけど、赤松委員、いかがでしょうか。

【赤松委員】 おっしゃるとおりだと思います。Sが続くからいけないということでもありませんし、テーマが一つだからできないということでもないかなと思っています。その中身をどうしっかり評価できるかということが共通されていれば、テーマが一つでも、しっかりとした成果を出せば評価されますし、Sが続いても問題ではないというふうに私は思っておりますので、今部会長がおっしゃったとおりだと思います。
 以上でございます。

【髙橋部会長】 あと、先ほどのサクセスクライテリアの件で、二重にならないかという御懸念ですけれども、まさにそのとおりで、プロジェクトのクライテリアにプラスして困難度を入れるということではなく、クライテリアそのものの中に困難度を加味して、S、A、Bの基準を設けるということで、困難度を、新たにまた別な基準をつけるということではないということですが、事務局、よろしいですよね。

【事務局】 ありがとうございます。さようでございます。すみません、説明が不十分でございました。

【髙橋部会長】 この書きぶりが少し、別途、クライテリア以外にも困難度というのがあるようなイメージになってしまいますので。もともと困難度を加味した上でのクライテリアになって運用していますという理解でいいと思います。

【事務局】 修正、補足いただきまして、ありがとうございます。

【赤松委員】 ありがとうございました。おっしゃっているとおりで、クライテリアの中にしっかりと埋め込んでいくという形であれば、そのように定義をしたほうがよろしいかと思います。
 以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 ほかに御意見のある委員の方、挙手をお願いいたします。今、李家委員と白坂委員が手を挙げているので、李家委員、よろしいでしょうか。


【李家委員】 李家でございます。
 今議論になっておりましたS評価が続くものの評価という点ですが、その中で、髙橋座長のほうから、飛び抜けたものが二、三あればよい、そしてその飛び抜けたものをどのように評価すればよいのか、そういうお話があったかと思います。先ほどの事務局からの御説明で、資料1-2の3ページ、プロセス評価の話ですが、その中の赤字のところで、1行目の真ん中あたりに「かつ当初の計画に対し、著しく上回る進捗を達成した」とあります。今回、評価を行って感じたのは、なかなか全体の計画が見えないということで、当初の計画をいつも示しながら、それに対してどれくらい進捗したかということを見せていただけると、評価のときに、飛び抜けて進捗したのかといったことを理解しやすいと思います。そのようにしていただくと、S評価が続くもの、または幾つもの項目の足し合わせになっているものに関して、進捗があったという評価をしやすいのではないかと感じましたので発言させていただきました。
 以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、続けてまずコメントをいただきたいと思いますので、白坂委員、お願いします。

【白坂委員】 白坂です。
 1点だけです。評価の中で、Sとかで、将来の成果に対する期待感というのを認めるというのがあったと思います。これを認めるのはいいのですけれども、単に言葉で、将来に対する期待ができるみたいな書き方だけで、これを期待感と読み取ってくれというのが今回かなり厳しいなと、正直、やっていて思いました。やっぱり期待感であれば、なぜ期待感が持てるのかという何らかの理由づけを説明の中にぜひ入れてもらうようにしないと、今回、幾つかの場所で、期待感があるということで、何となく期待感を読み取ってほしいというところがあったような気がするので、そこのエビデンスというか、理由づけですよね、だけ追加してもらえればと思います。先ほど、例のところ見ても、期待感のところの例示があまりなかったような気がしたので、難しいかなと思いながらも、評価する側からすると、そこを入れるようにしてもらえると助かるなと思いました。
 以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 古城委員ですか、今挙手されていますので、お願いします。

【古城部会長代理】 今白坂委員が指摘したところと同じところですけれども、期待感のところで、対応策のところに「客観的な評価ができる第三者の存在があると望ましい」というふうに書いてあるのですが、これが、評価の中にどういうふうに取り入れるのか分からないのです。評価する際に、JAXAのほうが第三者の意見を提示するということになるのか、それとも独自に評価委員会が第三者に意見を求めるのか。仮に後者とすると結構難しいと思いますし、前者ですとバイアスをあまり取り除けないのではないかなという気もするので、この第三者というのはどういうイメージなのか説明していただければと思います。
 以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 今、2点ありまして、李家委員からは、計画そのものの全体像をきちんと示していただいた上で、困難性の評価をお願いしたいという件、それから白坂委員、古城委員から、アウトカムの予測にいかに客観性を持たせるか、その根拠となるもの、あるいは第三者の評価、第三者の存在、そういったものについての考え方についての質問がありましたので、事務局よりお願いいたします。

【事務局】 順番が前後してしまいますけど、まず後者についてです。第三者ということを案に記載しているところですけれども、問題意識としては、委員の先生方に今御指摘いただいたとおりでございまして、将来の成果の見込み、期待というと、少し曖昧な形になってしまいますので、それをより具体的に、より分かりやすい形で示すべきと考えており、そのための一つの手段として、例えば第三者からの意見、ここではJAXAの中に既にある仕組みの活用をイメージしておりますけれども、第三者が評価したものの結果として記載していただくとか、なぜ期待ができるのかというのを、必ずしも第三者の評価でなくてもよいかもしれないですが、その理由をしっかり明記するという形で、ここの点については対応する方向かなと、お話を聞いて考えておりました。こちらについてもJAXAと相談をさせていただければと思っています。
 次に、前者についてです。全体が見える形で、計画の中の進捗がどのようにあったか分かるような形でというところで、ご指摘の通りと思っております。こちらについても、評価の記載ないしは説明をいただくときに、JAXAのから全体像をまずお示しいただいた上で、その中でどんな計画の進捗があったのか、あるいはその中のどのテーマについてよりすばらしい、特に優れた成果が見られたのかといった、全体像ないし戦略が見えるような形で説明いただくということで、こちらについても説明方法を工夫していく方向でいかがかなと、御意見をいただき考えておりました。
 もしよろしければですが、今のこの二つのテーマについて、JAXAから評価の際に説明ないし、実績の記載を工夫いただくところと思いますので、JAXAからも御意見をいただければと思うのですが、髙橋部会長、いかがでしょうか。

【髙橋部会長】 JAXAのどなたにお聞きすればよろしいですか。

【JAXA】 JAXAの評価・監査部の佐藤と申します。

【髙橋部会長】 お願いいたします。

【JAXA】 期待先行の形での評価の点につきまして、私からコメントをさせていただければと思います。今回の評価、昨年の評価でも、例えば航空部門など、こういう技術を取得し、製品化のめどが立ったとか、今後の商品化への期待が持てるとか、そういうような記述、これはあるいは研究開発部門とかでもあったかと思います。文章としては、今後期待さが持てる、で終わるかもしれませんが、その手前には、こういう技術を開発して、企業との間で例えばライセンスの枠組みを整えたとか、そういう根っこの部分があって、それで将来に対する製品化への期待が持てるようになったというようなものがあったかと思います。
 ですから、そういう場合は、技術を獲得できたという点と具体的に企業との間でそれが製品化されるための枠組みというか素地をつくったというところを御評価いただければいいのかなと思って聞いておりました。実際、製品化されるかどうかは、その技術を供与した先の企業の努力次第というところもありますので、JAXAの取組に対する評価の対象としては、技術を獲得して、企業にそういう技術を渡すところまでしっかりできたというところまでかなというふうに聞いておりました。それが1点です。
 もう一点は、具体的なプロジェクトの進捗状況の中身をもう少し詳しくという話でしょうか。

【髙橋部会長】 ありがとうございます。一つは、計画を全体像の中でJAXAが示しいただくということで、やっていただければ結構だと思います。
 もう一つ確認ですけれども、アウトカム予測の中で、JAXAさんの中で、比較的客観的に評価できるような第三者的な機能を持つということは可能なのでしょうか。

【JAXA】 既にそれぞれの分野というか取組の中で、外部委員を入れた技術的な観点での検討委員会、評価委員会のようなものを持っているものもあります。
 ただ、評価のために改めて、自己評価、理事長評価の過程にこういった第三者の評価委員会を入れるというのは、できれば避けていただければというのが率直な気持ちです。個別の分野では、既に外部の専門委員を交えた会議などもありますので、そういう中から得られた見解を独法評価の中でお示しするということは可能だと思います。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。JAXAの中で、そのような諮問委員会のようなものにかけて、内部的な客観性を持たせるということについては可能だというふうに理解いたしました。
 古城委員、いかがでしょうか。

【古城部会長代理】 ありがとうございます。今の御説明で分かりました。そういう形でしたら、あまりバイアスもかからず、できるのではないかと思います。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問等はございますか。挙手の機能を使っていただければと思いますけれども、ほかにありますか。
 赤松委員、今、挙手されていますか。

【赤松委員】 今のところにちょっと関係するので、一言だけ申し上げたくて。例えば外部の諮問委員会とかそういった機能というのは非常に大事だと思っていまして、先ほどのアウトカムをどう評価するのかということに今の佐藤さんのお話は関わってくるかと思います。実際にそれがもうかるかどうかというのはもちろん民間の話だというふうに私も理解しているのですが、つくったものは本当にちゃんと民間のニーズや事業のニーズを踏まえてやってきているのかということの責任はやっぱり必要だと思っておりますので、外部の諮問委員会などの評価としての「成果が出ています」ということがあれば、それは評価書の中に明確に記載をしていただきたいなと思います。それがあって初めて、ここまで到達したという仕切りができるのではないかと思いますので、ぜひそこのところは評価を提示するときにお願いしたいなと思います。
 以上でございます。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 平野委員が挙手されていますので、お願いいたします。

【平野委員】 どちらかというと、意見というよりも質問ですが、二つあります。
 一つは、これ、また大変精緻に詰めていただいたのだと思います。JAXAの評価に関しては、私の記憶では、毎年こうやって詰めているということで、どんどん精緻になってきているということですが、当然、文科省傘下に限りませんけれども、こうした官の研究開発機関というのは多々あるのだというふうに思っています。JAXAだけ突出してこうやって精緻な評価をしていくのか、それともこの評価はそれぞれほかの法人の評価にも反映されたり、例えばアウトプット、アウトカムみたいなところの定義であるとか考え方だとか、JAXAの中でのフェアネスを語るのであれば、法人間のフェアネスというのもあると思うのですけど、そういうことをされているのかどうかというのがまず一つです。
 それから、もう一つは、今度、JAXA内で、企業の方はよく御存じのように、こうした評価はもちろんフェアで透明なものをやらなければいけないというのはそのとおりですけど、と同時に、やっぱり組織のモチベーションであるとかインセンティブであるとか、そういうところも含めてトータルで経営というのは評価をしていくというところがあるのだろうと思います。
 今回、我々もそういう議論をして、地味な情報システム部門みたいなものの評価は、長年の努力も含めてS評価にしたらいいのではないかというときのコンテクストとしてそういう話もあったかというふうに思いますが、実際に、ここで行われる厳密な評価と、今度はJAXAの組織内の部門評価なり最終的には個人評価というところにつながるのですけど、これはどういう関連性を持ってやっているのか、そこについてちょっと教えていただきたい。そうした組織としての評価自体というのは、これを参考に当然しつつも、今度は組織体としてのJAXAの経営陣がそうした裁量的な部分も含めて、組織のモチベーションやインセンティブも含めて評価をされているというようなことなのか、どういうふうに活用されているのかということを教えていただけますか。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 1点目の御質問については、事務局よりお願いいたします。

【事務局】 御質問ありがとうございます。1点目についてですけれども、ほかの法人にもJAXAのよい取り組み事例として紹介したいと思っております。実際、文部科学省も、研究開発法人全体を審議する審議会におきまして、「JAXAとしては評価の指針について検討していきたいです」ということを既に伝えております。そこからほかの文部科学省内の研究開発法人、また本資料は共管の総務省、内閣府、経産省にも共有しておりまして、文科省としてはこういう活動をしていますということを伝えて水平展開していきたいと考えております。

【髙橋部会長】 補足ですけれども、既に前回、去年行いました改善につきましては、他の研究開発法人に対しても展開をしておりますので、今回の改定版につきましてもまた展開していきたいというふうに思っています。
 2点目の質問ですが、JAXAの佐藤さん、よろしいでしょうか。

【JAXA】 JAXA評価・監査部の佐藤です。
 独法評価でいただいた評価あるいはいろいろなコメント等も含めまして、JAXAの中ではかなり重く受け止めているというのが実態です。具体的に何に結びついているかというと、例えば、それぞれの細分化項目を所掌する役員の退職金に影響しているとか、非管理職の職員のボーナスに影響しているとか、そういう実利的な反映みたいなものもありますけれども、全社的には、例えば、この部門は3年連続でSを取っているからとか、そういう議論は結構社内では出てきています。かといって、だからそこに予算を重点配分するとか、人員を重点配分するというところまではもちろん行かなくて、そこは是々非々で、こういうプロジェクトがこの分野で必要であるから、そこに当然必要な予算、人員を配分するというような形でやっていますので、そういうところに直結しているわけではないのですけれども、非常に重く受け止めています。
 あと、そもそも財務省への予算要求の段階で、やっぱりJAXAがちゃんと評価されているというのはかなり重みがあるなというふうに、予算要求の過程でも感じながら対応しております。というような実態がございます。
 すみません、お答えになっているかどうか分からないですが。

【平野委員】 いや、大体分かりました。当然重く受け止めていただいているというふうな理解をしているのですけど、ただ、そのままオートマチックにこの評価が、予算はもちろんそうですし、部門評価や人事評価に使われているということではなく、これを重視しながらも、その他の要素も含めてマネジメントとして評価、判断をしているという理解でよろしいのですよね。

【JAXA】 はい、もちろんおっしゃるとおりです。社内の評価という意味では、いわゆる理事長評価、自己評価の段階で基本的には一旦なされて、そこに客観性を持たせるというか、与えていただいているという意味で、独法評価を活用させていただいております。

【平野委員】 分かりました。
 そうすると、我々の役割のところで、そうした組織的な意味合いというのはあまり配慮する必要がないと。例えば、プロジェクトの性質上、どうやってもSが出ないということで、ずっとそれがつかないというのはややつらいのではないかとか、そういう議論は無用で、ひたすらここで整理された結果に基づいて、なるべく客観的にSなりAなりを判断していくという整理でよろしいのですかね。

【髙橋部会長】 確認ですけれど、平野委員は、今の評価の在り方について、具体的に何をどのように改善したほうがいいのではないかと、何かそういう考えをお持ちなのでしょうか。

【平野委員】 いえいえ、評価のポリシーをどう置きますかという質問で、こういう組織運営上の視点みたいなことを我々の評価には特に反映することなく、基本的には、ここで定めているようなアウトプットなりアウトカムなり、そういうパフォーマンスだけを見て評価をするということでやっていけばいいということなのかということの確認です。

【髙橋部会長】 私は個人的にはそのとおりだと思います。あくまでも研究開発成果そのものの評価を重点にしていくべきだと思いますね。ただし、例えば、何か特段不具合といいますか、パフォーマンスが落ちたり、あるいは何らかの失敗が続いたり、さらには不祥事あるいは不正問題、そういったものがもし起きたとすれば、JAXAの中で体制や組織風土、風通しのよさがどうのこうのとかそういったことも考えなければならない局面も出てくると思いますけれども、現時点では、特にそのようなことまで立ち入ることがなくてもいいのかなというふうに思っています。

【平野委員】 分かりました。したがって、例えば、管理部門であって成果が出づらくて、相当努力していることは明らかなので、成果だけ見ればB相当だけど、しんしゃくしてAにしましょうとか、そういう議論は不要だということでよろしいですか。

【髙橋部会長】 いや、そういうことではなくて、それは風土とかそういう問題ではなくて、それぞれ組織やチームの努力の問題ですよね。むしろプロセスですよね。プロセスはしっかりと見て、当たり前の結果だけれども、これだけの少ないマンパワーといいますか、少ないリソースでやっていることも評価する。アウトプットは、必ずしもS、Aがなくても、インプット側が物すごく工夫をしていて、少人数で、マンパワーあるいはリソースを抑えていれば、それはそれで非常にレバレッジが利いた組織運営をしている、レバレッジが利いたアウトプットが出ているというふうに僕は思います。

【平野委員】 私もそのほうがいいとは思うのですけど、相当な努力をしても、なかなか成果が出づらい項目があります。そういうものに対しても、プロセスとして見ると相応の努力であるということで、我々の評価はそこを加味して考えるという整理でよろしいと思います。プロジェクトの性格からいって、構造的に成果が出ないとか、JAXA自身が定めたものではないけれども、役割としてやらなければいけないといったときに、アウトプットとして見ると物足りない、あるいは劣後しているということかもしれないけど、組織として見ると最善の努力をしているという場合は、プロセスの部分をそれなりに評価するということです。

【髙橋部会長】 はい。そのために、前回もプロセスを明確にしようというふうに判断して、評価基準という物差しをつくったわけです。いずれにしましても、私も平野委員も認識は一緒だと思うのですけれども、要は、JAXAは本当によくやっていると思うのですよ。少ないリソースの中で、NASAやESAみたいな10倍以上の規模があるようなところと互角に戦っていること自体が既に十分評価すべきことであって、なおかつモチベーションをどうやって維持していくのかということもありますし、基準には明確に書いたりするような話ではないと思うのですけれども、まずはそういう視点に立っていくべきではないかなというふうに思っています。

【平野委員】 私もその考えに同意です。これを詰めていって、なるべく客観的に評価できるようにしたり、透明性を高めるとかそういうことは必要ですけど、最後はそういう要素も加味して評価をしていくというところがどうしても必要なのではないかなというふうに思いますので、今のような整理で進めていければいいかなとは思います。

【髙橋部会長】 なかなかこういう紙には書きづらい側面もありますので、委員間の共通の考え方として、それぞれの頭の中に入れていただければというふうに思います。
 すみません、大分時間が押しておりまして、ほかに意見等もあるかと思いますけれども、この辺りで集約したいと思いますが、どうしても御意見、御質問をしたいという方はいらっしゃいますか。

(「なし」の声あり)

【髙橋部会長】 なければ、今回の改訂案で、特段ここを修正すべき、あるいは反対だということはなかったかと思いますので、今日の御意見、御質問を踏まえまして、修正すべきところは修正するということで、事務局と私のほうでさらにもう少しモディファイするということで進めていきたいと思いますけれども、何か御意見はございますか。

(「なし」の声あり)

【髙橋部会長】 改めて2回目をやるということはいたしませんので、ここで1度、今回の意見を集約して、モディファイした形で、改訂案を見直すという形にしたいと思います。また、これについては、最終版を委員の皆さんに御確認いただく機会をまた設けるということで、事務局、よろしいですよね。それでは、そのような形で進めさせていただきたいと思います。
 最後に、事務局より連絡事項等はありますでしょうか。

【事務局】 御議論いただきまして、ありがとうございます。御議論いただきました内容を踏まえまして資料を修正し、髙橋部会長と相談しました後に、委員の皆さんにご確認いただく機会を設けさせていただきたいと思っております。本日は本当にありがとうございました。
 以上でございます。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございました。様々な御意見、御質問をいただきましたので、改訂版に反映させていただきたいと思います。
以上をもちまして、第22回JAXA部会を閉会したいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

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