国立研究開発法人審議会 宇宙航空研究開発機構部会(第19回) 議事録

1.日時

令和2年12月11日(金曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の第4期中長期目標及び第4期中長期計画の変更(案)について
  2. 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の業務実績評価の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

部会長 髙橋 德行
部会長代理 古城 佳子
臨時委員 赤松 幸生
臨時委員 黒田 有彩
臨時委員 白坂 成功
臨時委員 中村 昭子
臨時委員 平野 正雄

文部科学省

宇宙開発利用課長 藤吉 尚之
宇宙開発利用課企画官 笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐 渡邉 真人

【質疑対応】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
評価・監査部長 佐藤 雅彦
経営推進部次長 森 有司

5.議事録

【髙橋部会長】 音声は聞こえますでしょうか。

【渡邉課長補佐】 文科省、渡邉です。聞こえております。それではよろしくお願いいたします。

【髙橋部会長】 お願いします。
 本日は、委員の皆さまには大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、JAXAの中長期目標・計画の変更に関する議論及びJAXAの評価に関する議論を行いたいと思います。
 初めに、事務局より本日の会議に関する連絡をお願いします。

【渡邉課長補佐】 文部科学省の渡邉でございます。
 初めに、本日の会議に関する事務的な連絡をさせていただきます。
 本日の会議の出席者につきましては、委員および臨時委員、7名全ての方にご出席をいただき、定足数を満たしていることをご報告いたします。
 なお、本日の部会は、文部科学省国立研究開発法人審議会宇宙航空研究開発機構部会の運営規則に基づき公開とさせていただいております。そのため、一般傍聴の方、JAXAの方にもご出席をいただいております。
 続いて、本日の資料について、お配りしております議事次第のとおりでございます。構成は議事次第の他、本体の資料が1-1から2-4の7点、参考資料が1-1から5-3までの13点になります。もし欠落等、不備がございましたら事務局までお知らせください。
 また、接続について、映像は差し支えなければ常時オンにしていただき、音声については、ご発言いただくときのみオンにしていただくということでお願いいたします。また、ご発言いただく際には、今使っているWebexの方に挙手するという機能がございますので、この挙手機能を使っていただき、髙橋部会長の方からご指名いただきましたら、マイクをオンにしてご発言いただくということで、よろしくお願いいたします。
 事務局からのご連絡は以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 事務局も、説明のときは映像をオンにしていただいた方がいいかと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思います。
 最初の議題は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の第4期中長期目標および中長期計画の変更案についてです。事務局より説明をお願いします。

【渡邉課長補佐】 それでは、資料1-1に基づいて、まずは概要をご説明させていただきます。
 本年の9月にも宇宙基本計画の変更に伴うJAXAの中長期目標と計画の変更についてご議論いただきましたが、今回は、本年6月に科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律というのが改正されたことを受け、JAXA法の第18条にJAXAの出資等に関わる業務というのが追加されましたので、こちらを受けて中長期目標と計画の変更を行うというものです。
 なお、前回と同様になりますが、国立研究開発法人の中長期目標の変更については、資料1-1の7ページに参考として記載させていただいておりますとおり、独立行政法人通則法に基づき、事前に審議会と、その下にある当部会、JAXA部会において委員の方々のご意見を伺うということになっております。一方、中長期計画の方については、委員の意見を聞くというようなことは求められてはおりませんが、本日は目標と併せて計画の方もお配りしております。併せてご意見があれば頂けますと幸いです。
 それでは、資料1-1の1ページをご覧ください。
 上半分が、現在申し上げました法律の改正を受けて、JAXA法に業務が追加されているというところの説明です。下半分のところが改正のポイントになっており、AIやIoTなど科学技術・イノベーションの急速な進展により、人間や社会の在り方と科学技術・イノベーションとの関係が密接不可分となっている現状を踏まえ、人文科学を含む科学技術の振興とイノベーション創出の振興を一体的に図っていくというような目的から、先ほどの科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律、さらに、科学技術基本法等その他の関連する法律が一部改正をされました。施行は令和3年の4月1日ということになっております。
 本法律の改正により、法人の成果を活用する事業者等に出資ができるという研究開発法人にJAXAを含めた法人が追加されたということになっております。
 続いて2ページ目をご覧ください。
 具体的に、JAXAがどのような人たちに出資をすることができるかという点を記載しています。3種類ございまして、1つ目が、出資等を行う研究開発法人の研究開発成果を活用するベンチャー、2つ目が、この成果を活用するベンチャーに対して必要な助言、資金提供等を行うベンチャーキャピタルまたはファンド、3つ目が成果活用等支援法人とされております。この法人は、成果を民間事業者に移転する、また共同研究開発等についての企画等により、この研究開発法人の成果の活用を促進するものとされております。
 これらを受けまして、続いて3ページ目をご覧ください。これが今回、本日審議いただく中長期目標と中長期計画の記載の変更案です。この赤字に書いておりますところを今回追記するということです。科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律に基づいて、JAXAの研究開発の成果に係る成果活用事業者等に対して、出資ならびに人的および技術援助の業務等を行うことでという、この文言を追加することを考えております。
 また、現在、共管府省の内閣府と総務省、経産省においても、同じくこれについて委員の方々からご意見を頂くことになっているという状況です。
 事務局からの説明は以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただ今のご説明に対してご意見、ご質問等、ございましたらお願いいたします。
 平野委員、今挙手されたでしょうか。では、平野委員、お願いいたします。

【平野臨時委員】 今、音声聞こえますか。

【髙橋部会長】 はい。今、聞こえております。

【平野臨時委員】 すみません。調整しました。
 この方式だと、2ページの図、特に真ん中の法人からベンチャーキャピタル出資ということで、お金の流れだけが書いてありますが、本来のこの趣旨というのは、下の文章のところで若干書いてあります通り、技術や人材というところかと思います。
 私自身、大学ベンチャーに関わりを持っていており、うまくいっているところ、うまくいっていないところ、共に存じておりますが、重要なのは必ずしもお金ではないです。むしろ、おそらくより重要なのは、JAXAの持っているさまざまな技術的なシーズに対して民間のファンド等が評価し、お金と人を付けて、そのようなものを事業化していくということだと思います。実際、そのようなことが機能としても必要だということだと思いますので、ここの図で表されているような出資をできるというようなところが本質ではないと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

【渡邉課長補佐】 すみません、文科省です。
 出資と申し上げましたが、出資だけでなく、出資並びに人的及び技術的な支援ということも行うことができるようになり、今頂いたように、出資といってもお金を出すだけでなく、それ以外の選択肢も含めて、来年度からどのように実施していくかというところを、今JAXAの方でも検討いただいているものと理解しております。

【平野臨時委員】 その前提を改めて確認したいのですが、いわゆる世間ではオープンイノベーションというブームがあり、外部の技術を内部に取り込むということで、民間企業はコーポレートベンチャーキャピタルというものを盛んに始めています。こちらは出資になります。目的は、外部の技術を内部に取り込むということが一応建前になっておりますが、この枠組みは、その外部の技術をJAXAに取り込むことがメインなのか、JAXAの技術を外部の民間の発想や資金を使って事業化をしていくことが主なのか、どちらなのでしょうか。

【渡邉課長補佐】 すみません。まず法律の目的としては、この法人の成果を社会に広げていくというようなことで、ベンチャーなどに出資ができるというように……。

【平野臨時委員】 ですよね。なので、繰り返しになりますが、出資はあまり重要ではなく、お金はいろいろなところにありますので、むしろJAXAの知財等をうまく外部化する枠組みがあり、そこに外部の民間の資金や人材を入れて事業化していくことができるかということの方が重要だと思います。おそらく法律の趣旨もそのようなところではないかと思いますので、出資ができることを制限する必要はありませんが、やや絵の描き方も含めて誤解を招くかなと思いました。

【渡邉課長補佐】 すみません。この今ご説明した2ページのところの絵になりますが、こちらは内閣府、文科省の今回の法改正に関する趣旨のガイドラインを踏まえて、今書かせていただいております。平野委員にご指摘いただいたみたいに、お金だけではなく、人や技術も実際には関係してくるところですので、実際、その出資の業務をやっていくに当たっては、出資とは言っているものの、人的、技術的な支援も意識して進めていただくようにJAXAの方にも伝えたいと思います。

【平野臨時委員】 そのとき、知財の処理が相当ポイントになりますので、そういうことをする機能が既に内部にあればいいですが、そのような機能もセットで整備していただくことが必要だと思います。

【渡邉課長補佐】 はい、ありがとうございます。

【平野臨時委員】 以上です。

【髙橋部会長】 今のお話、平野委員のお話に対して、まだ少し理解が共有されていなかったと思います。要は、この出資はJAXAのシーズがあり、そのシーズを基に民間に対して促進するのか、あるいは、全くJAXAとは関係ないものの、宇宙産業ということで、いわゆるJAXAとして出資して、インキュベーションしていくのか、どちらになるのでしょうか。その辺りは、渡邉さん、答えられますか。

【渡邉課長補佐】 はい。JAXAのシーズを世の中にもっと活用していただくという視点と、もう一つはインキュベーションという視点。

【髙橋部会長】 要は、平野さんの質問に対しては両方ありますということでいいですか。

【渡邉課長補佐】 はい。両方あり得ると思っています。

【髙橋部会長】 シーズがあって、そちらにふさわしい民間の研究組織に出資する場合もあるし、あるいは、直接シーズはないものの、民間の宇宙産業、宇宙研究開発に関わる支援もするというような両面がありますということの理解でよろしいですか。

【渡邉課長補佐】 はい。両方の側面があると思っています。

【髙橋部会長】 平野委員、よろしいでしょうか。

【平野臨時委員】 そういうことだろうと思いますが、その点がもう少し分かるように、大きな総論の箱の中のところは結構ですが、各論のところは絵も文言も工夫をしていただいた方が誤解を招かなくていいと思います。

【渡邉課長補佐】 分かりました。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 他にご質問、ご意見ございますでしょうか。
 この画面で全員が映っていないものですから、画面で手を挙げていただいたときに、誰が手を挙げているか分からないので、このシステムの挙手の機能がありますので、そちらでやっていただいてもよろしいですか。
 すみません。赤松委員、どうぞ。

【赤松臨時委員】 ありがとうございます。中座していて、ご説明があったかどうか分からないところもありますが、6ページの方に今回の出資先ということの定義が書かれているかと思います。こちらの中で、多くの法人はベンチャーのみという形になっておりますが、今回JAXAはベンチャーキャピタルと支援法人にも出資できるという形になっており、こちらの違いの意味合いというのはどのような点なのか、教えていただけますでしょうか。

【渡邉課長補佐】 こちらは、今回法律改正がある前に、各省、各法人にどのような出資を希望するかということが内閣府からあり、JAXAの中でも検討いただいた結果として、この3つの類型、ベンチャーとベンチャーキャピタルと成果活用等支援法人全てに対して出資等が人的・技術的支援も含めてできるというようなことに対し、今後JAXAとしても検討していきたいというようなことがありましたので、そちらを踏まえて、JAXAとしては、この3つの類型全てができるようにということで、今回改定をしています。

【赤松臨時委員】 なるほど。JAXA側の希望によってこのようになっているということですね。

【渡邉課長補佐】 はい。

【赤松臨時委員】 分かりました。逆に言うと、他の機構さんがあまりそのようにされていないということには、何か理由があるのでしょうか。

【渡邉課長補佐】 詳細な理由までは把握しておりませんが、他の機構はベンチャーという一番左のところだけできるところが多く、恐らく最初から全部に広げるというよりは、まずはベンチャーでやってみて、例えばこの表にあるように、物質・材料研究機構や産業技術総合研究所が新たに一番右の成果活用等支援法人に赤で二重丸が付いていることからも、さらに広げていこうと考えているのではないかと思っています。

【赤松臨時委員】 JAXAはその辺りを先取りしながらやっていきたいと考えているという理解で良いですか。

【渡邉課長補佐】  JAXAは選択肢を広く見て検討されている、と私たちも理解しております。

【赤松臨時委員】 分かりました。
 加えて、1つ意見になります。先ほど平野委員が言われていたことについて、両面の出資の考え方があるということは理解できておりますが、やはりJAXAの場合、自分たちの中にシーズを持っていて、こちらをどのように社会に還元していくのかというところが非常に重要なポイントだと思っています。よくある、いわゆるファンドが単にお金を投資していくということではなく、自分たちのリソースやシーズを出して協働することとセットでやっていくことを、少し重視してやられた方が良いのではないかと私も思いましたので、意見として差し上げておきます。
以上です。

【渡邉課長補佐】 ありがとうございます。

【髙橋部会長】 他にご意見、ご質問ございますでしょうか。
 私から1つお願いというか、コメントです。実際に出資していく段階で、JAXAに目利きの方がいればいいですが、得意な分野もあれば、あまり携わっていない分野もあると思います。出資する、しないの判断をする目利きの方をどのようにしていくかということも課題としてぜひ挙げて、場合によっては第三者による評価という判断が必要かもしれませんので、お願いしたいと思います。

【渡邉課長補佐】 はい。目利きも重要だと思っており、JAXAは出資に関してできるようになるのは今回初めてですが、これまでもJ-SPARCや探査イノベーションハブのような取組で民間企業と連携して共同で成果創出するということに取り組んでくる中で、民間企業との間でコーディネートをするような方が活躍されてきましたので、そのような知見等もうまく活用してやっていただくようにしていただきたいと思っております。

【髙橋部会長】 はい、お願いします。
 他にご意見がないようですので、この案件については、文案に関わる大きな変更はないということで、今日出ましたご意見を踏まえ、実際に取り組む段階のときには、平野委員、赤松委員の言われたコメントを踏まえて取り組んでいただければと思いますが、そのような形でよろしいでしょうか。何かご意見ありますでしょうか。

【平野臨時委員】 結構です。

【髙橋部会長】 それでは、この部会としては、この文案にて了承ということにしたいと思います。
 今後のスケジュールについては、文科省以外の府省の各部会での意見も反映して、年明けの国立研究開発法人審議会において、また意見聴取が行われる予定であります。
 続きまして、議題の2番目ですが、JAXAの業務実績評価の在り方について議論していきたいと思います。
 まず事務局より説明をお願いします。

【渡邉課長補佐】 資料の説明に入る前に、委員の先生方にご連絡をさせていただきます。
 冒頭も申し上げましたとおり、本日は公開となっており、一般の傍聴やJAXAの方も同席されております。この後、JAXAの評価の在り方について議論していただきますが、ご発言頂く際には、今年度の評価で各委員の先生方がどのようなご発言されたか、また、このJAXA部会において各項目がどのような評定になったかといったようなことについては非公開の情報になりますので、その点はご留意いただいてご発言いただければと思います。
 それでは、資料2-1に基づいてご説明させていただきます。
 こちらの議題は、昨年度と本年度のJAXAの業務実績評価に関する議論、あるいは、前回第18回の部会でのJAXAの中長期目標の変更に関する議論等を踏まえ、委員の先生方からJAXAの評価の在り方についていろいろご指摘頂きましたので、それらを整理した上で、来年度以降の評価についてはこのようにしてはどうかという点をまとめさせていただきました。
 まず、こちらで整理した課題が6つありまして、1つ目が評価の考え方そのものや評価方法の整理についてのご意見です。2つ目が目標や計画と評価の関係性について、3つ目が各項目ごとの関連について、4つ目が評価指標についてになりますが、計画と評価において参照すべき数値、KPIのような数値をどうするかという考え方についてです。丸5も評価指標についてになりますが、こちらはもう少し個別具体的な、各項目ごとにどのような情報が提示されるべきかという点について、になります。最後、6つ目がその他として、例えば情報収集衛星のような安全保障に関するような評価方法をどのようにしていくかという点です。
 本日の部会においては、議論がかなり幅広く多岐にわたりますので、まずは上記の丸1から丸4のところを優先して議論いただきまして、時間が余りましたら、この丸5や丸6のところについても議論をしていくというようにさせていただきたいと思います。
 また、今お話ししたような課題への対応について、幾つかのレベルで対応できると思っております。このAと書いたような評価の運用の範疇で対応できるようなもの、例えばJAXAの自己評価書である業務実績等報告書の書き方やヒアリングの実施方法で工夫できるもの、それから、BのようなJAXAの経営で対応すべきもの、JAXAの年度計画も含めた計画への反映方法についてというものです。Cは、政府の宇宙政策として対応すべもの。こちらは宇宙基本計画や工程表のレベルで対応が必要となるもの。最後に、Dとしては、独立行政法人の評価制度自体の変更を要するような、このような大きいものもあると思っています。
 本日の部会においては、まずはAというところで、評価の運用の工夫のところで対応できるものでどのようなものがあるのかというところについて、こちらからご提案し、議論していただきまして、必要に応じてBからDのような対応が必要になるものもありましたら、そのような御意見・ご指摘は関係府省やJAXA、関係各課など含めて、このJAXA部会からの提言ということでお伝えするという形にしたいと思っています。
続いて2ページ目をご覧ください。
 先ほど1ページ目で分類した課題の中の1つ目の評価の考え方や評価方法の整理についてということで、最初は、このプロセス評価とアウトカム評価というものについてです。こちらは、評価の中で委員の方から、プロセス評価、アウトカム評価を意識して評価をするということにしてはどうかというご意見を頂きました。実際に今、プロセス評価、アウトカム評価という言葉は、この独立行政法人の評価においては明確な定義はありませんが、アウトカムやアウトプットという言葉については、この箱で囲わせていただいたとおり定義がなされています。アウトプットというものについては、法人の直接的な活動の結果ということで、個別具体なサービスや法人活動の直接的な産出物とされています。一方で、アウトカムは、主としてサービスを受け取る側の視点から論じられるものとされており、国民生活や社会経済に及ぼされる影響や効果とされています。その下には、もう少し具体的に書かれておりますが、例えばアウトプットとしては、投稿された論文や出願された特許、また企画の原案や設計図、プロトタイプというようなものと例示が挙げられています。一方でアウトカムの方では、研究活動自体や、その成果物、先ほどのアウトプットによって、受け手に研究開発活動実施者が意図する範囲でもたらされる効果・効用ということになっています。例えば科学コミュニティーに生じる価値、あるいは製品やサービスなどに係る社会的・経済的に生み出される価値というようなものとされています。
 このような定義も踏まえた上で、事務局としては、この下に書いているとおり、プロセス評価とアウトカム評価という考え方を整理してはどうかと考えています。まずプロセス評価が、当初の計画どおりにプロジェクト等が進行したかどうかという観点、アウトカム評価が、どのようなアウトプットが創出されて、それがどのように社会的にアウトカムにつながったかというような観点です。この2つの考え方で評価をするということで、委員の先生方、あるいはJAXAも含めて、この整理を意識して来年度以降評価を行っていってはどうかということです。
 次のページ以降で、このプロセス評価とアウトカム評価というものについて、もう少し詳しく説明をしています。
 まず後ろのアウトカム評価について、3ページ目です。複数年度に事業がまたがる場合の評価や、高評価が続く場合の評価基準は見直すべきかというような観点にも関係しますが、こちらに3つ挙げておりますとおり、アウトカム評価をするに当たっては、それぞれのJAXAの取組が、この3つの類型どれに該当するのかという点を意識して評価してはどうかということで書かせていただきました。1つ目がイベント型のアウトカム評価というものです。こちらは個々のイベントについて、それぞれの単一のイベントの成果として成果が評価されるべきものです。例えば、新たな科学的知見が発見されたとか、ロケットの打上げ、研究開発成果の創出等になりますが、直近の事例でいうと、はやぶさ2で科学的成果が創出されました、あるいは、MIMOのような通信実験で成果が出ました等の個別のプロジェクトの取組についても、社会的なインパクトが大きい成果については、このイベント型アウトカムということで、一定の期間を要するプロジェクトとは切り離して、これまでも評価を行ってきていると考えており、引き続きそのように評価をしていくべきではないかと考えています。
 2つ目が累積型のアウトカム評価というものです。こちらは複数年、努力や成果が蓄積されて、その結果として一定のレベルに達したということで評価をされるべきものです。直近の事例でいうと、衛星データの利用が普及した、広報が拡大した、あるいは、ISSで10年間の成果の積上げにより、例えばアルテミスへの参画につながった等々のものと考えています。このような累積型のアウトカム評価というもので、SやAのようないい評価が出たという場合については、次の年度以降は同じ観点で、同じようなレベルを達成しましたということで、またSやAを付けるというのはやはり望ましくないと考えており、JAXAは、この累積型のアウトカム評価というものを行う場合には、どの項目がそれに該当するのかということを明示するとともに、翌年度評価する際は、アウトカム、その前年度の評価の観点の違い、及び、前年度に比べて、さらにどのような成果の上乗せがあったのかという点が明確に分かるような説明をしていただくべきではないかと考えています。
 3つ目のプロジェクト型のアウトカム評価、こちらは標準的なものですが、期限が示されたような事業について、その期間が終了したときに成果としてどうだったかということを評価するものです。例えば直近では、SLATSのような衛星やイプシロンロケットの開発が該当すると考えています。
 このような3つの類型を意識して、来年度からJAXAも説明していただき、評価する側もこのような類型を意識して行ってはどうかと考えています。
 また、アウトカム評価の際には、これらに加えて3つの軸で評価をすることも必要ではないかと考えています。例えば、時間軸と書いておりますが、同じ法人のJAXAの中の過去の実績との比較・分析、また空間軸と書いておりますが、同じ業種の民間企業との比較・分析や、国際的に見てどうかというような比較、最後に、こちらも委員の先生から幾つかご意見を頂いておりましたが、納税者たる国民の目線から見てどのような成果が出ているのかというような観点も必要と考えています。
 続けて4ページ目をご覧ください。
 こちらで制度の立上げの評価の考え方にも関係するところになりますが、成果創出の好循環を促すためということで、総務省の評価の指針において、こちらの四角囲いで囲ったようなことが打ち出されており、3種類の評価、evaluationとappreciationとassessmentという評価を行うということになっています。evaluationというのは、通常の業務の実績についての評価、appreciationというのは、優れた取組の成果等に対する積極的な評価、最後のassessmentというのは、将来性について先を見通した評価となっています。JAXA評価においても、このような観点で評価すべきではないかということを下に書いており、evaluationとしては、先ほどのプロセス評価、アウトカム評価を意識した評価を実施すること、appreciationとしては、優れた評価について、その取組1つを持って高い評価を付すというような軽重を付けたような評価をすることです。こちらは今までもやってきたと思いますが、このような観点での評価を引き続きということです。最後のassessmentについては、制度の立上げ、例えばJAXAで直近の例でいうと、J-SPARCという民間と連携した取組については、平成30年度に立ち上がって、まだ事業化につながるような成果が出ているような状況ではありませんでしたが、制度を立ち上げたということをもって将来的な成果創出が見込めるということで評価をしたということがありました。引き続きそのようなものについても評価をしていくことが大事ではないかと考えています。
 その下がJAXAの業務実績報告書、自己評価書、あるいは、ヒアリングの在り方についてということです。
 まず業務実績等報告書については、昨年度の評価を頂いた際に、幾つか先生方の方から、ローマ数字3.4.2のような宇宙産業基盤、科学技術基盤の維持・強化、あるいは、ローマ数字3.5のような航空科学技術については、出てきた成果と、そちらがアウトプットとしてどうだったか、アウトカムにどのようにつながったかということが明示的で分かりやすい記載になっており、非常に良かったというようなご意見を頂きましたので、次年度以降はこのような項目を参考にして、他の項目についても書いていくとしていただきたいと思っています。
 また、自己評価書のボリュームについて、既に大容量になっており、2019年度の実績の評価書でいうと180ページありました。こちらが委員や法人の負担になっているというようなご意見もありましたが、一方で、さらに情報開示が必要というようなご意見も頂いておりまして、こちらでは情報の取捨選択が必要ではないかと考えています。
 また、ヒアリングの開催について、4つの府省でなるべく合同にやるということで、会が長時間になってしまっているという課題があります。今年度はなるべく休憩を取ってということでさせていただきましたが、来年度以降のヒアリングはどうすべきかということについても、もしご意見があれば伺いたいと思っています。
 資料2-1は以上でして、続いて資料2-2をご覧いただけますでしょうか。
 この資料2-2というのは、今年の夏に評価を頂いたJAXAの評価書に、来年度以降はこのような記載を追加してはどうかというようなことをサンプルとしてお示しているものです。こちらはJAXAと相談させていただいて作っているものです。
 資料2-2は宇宙科学・探査の事例になりますが、最初3ページのところの赤枠で囲っている部分は追加をしている部分であり、この中長期計画と年度計画と実績という3つを並べて書くことで、その計画に対してどの部分が進捗したかどうかが分かるようにしてはどうかというものです。この凡例にあるとおり、赤で示しているところは顕著な成果という部分でして、このサンプルには出てきませんが、次年度以降に実施するようなものというのは灰色で、また、計画どおりではなかった実績については青で塗るということとし、色を付けていないところは計画どおりということで、一目見て分かるようにしたいと思っています。
 もう一つが、その資料で、A-18頁と右下に書かれている次のところから3枚、またこちらは赤枠で囲ったページを追加しております。こちらは月の探査機のSLIMの事例になりますが、弊省の宇宙開発利用部会において、このプロジェクトが開始する際に、どのような目的で、またどのような基準を設けてプロジェクトを開発するかということに対する事前評価を行っています。その資料を抜粋したものを3つ入れておりまして、SLIMでいうと、1ページ目にどのような目的で取り組むのか、2ページ目に他国との比較ということで、着陸精度はどのようなところを目指すのか、また、3ページ目には、ミニマムサクセスとフルサクセスとエクストラサクセスということで、どこまで行けばこの基準を満たすのかということを定めております。
 JAXAのプロジェクトは衛星やロケットも含めて事前評価を行っておりますので、このような基準が分かるように資料を追加してはどうかと考えています。
 続けて、資料の2-4というのをご覧ください。
 資料2-4は、評価軸と評価指標のクロス表ということで、左側に各評価項目が並んでおり、上の方に評価軸、安全保障から始まり、災害、防災、科学・探査のような新たな知の創造、また産業、基盤、一番右に航空となっています。この表については、JAXAの中長期目標に別添として付けられている評価軸というのがありまして、この評価軸本体は、このような表の形式にはなっておらず、各項目について文章でそれぞれどういう評価軸かというのを書いてありますが、そちらを表形式でまとめたものがこちらになります。この表をなぜ作ったかといいますと、ご意見の中に、例えば産業振興のように各評価項目にまたがるような成果というものについては、きちんと漏れなく成果実績が積まれているのか、都合のいいところだけを取ってきて書いているということがないかということをチェックするようにしてはどうかというご意見を頂きまして、この表で丸が付いている部分については、この評価軸で評価しなければならないということが定められており、この丸を付けた部分については、この当該年度の実績はどうであったかということを評価書に漏れなく書いてもらうようにしたいと思っております。
 具体的には、資料の2-3というものをご覧ください。
 こちらが先ほどの表でいうと、右から3つ目の経済成長とイノベーション、産業振興に関するようなところを抜き出してきたものです。ローマ数字3.3.1から始まる、この左の項目が、先ほど丸が付いていた項目になっており、例えば一番上の準天頂では、ここに括弧書きで書いているとおり年度計画どおり実施している、また、例えばローマ数字3.3.5 リモートセンシングについては、顕著な成果ということで、インフラ監視ツールに関するものや衛星データプラットフォームに関するものについて、このような成果がありましたということが分かるようになっています。このような形で各項目にどのような成果があったのかということを一覧的に分かるようにしているものです。このような工夫は産業振興に限らず、他にも基盤の部分や国際連携、あるいは人材育成や広報のような各分野にまたがるものと考えております。
 長くなってしまいましたが、資料についての説明は以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただ今の説明に対してご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。
 平野委員、今手を挙げていますか。

【平野臨時委員】 はい、挙げています。

【髙橋部会長】 では、平野委員、お願いいたします。

【平野臨時委員】 はい。非常に論理的、緻密に整理をしていただいたという印象で、これはこれで非常にクリーンだと思いますが、問題は、これをどのように運用していくかというところだと思います。
 まず説明していただいた資料でいくと、最後の2-4というのが、皆さんが言われるところのアウトカムの領域かと思います。また、途中で見せていただいた、ミニマムサクセスとかエクストラサクセスのようなものがアウトプットかなと思いました。
 おそらく、ここで使う言葉として、かつてミニマムサクセスとかフルサクセスも使っていたものの、今回はプロセス、アウトプット、アウトカムという用語を標準言語にしてみていこうということですよね。その中でS、A、B、Cという評価付けを行っていくのですね。そうであれば、JAXAで作っていただく資料について、付属資料が増えていくこと自体は、構わないわけですが、まとめ表として見ると、今の3点、プロセスと、アウトプットとアウトカム、それぞれの項目ごとに自己評価で書いていただくと、それが出発点になり非常に評価がしやすくなり、また統一性が取れて良いという印象を持ちました。それをまとめとして最初に付けるのか、あるいは最後に付けていただければ非常に良いと思いました。
 例のassessmentなのか、appreciationなのか、evaluationなのかという点は、若干言葉遊びみたいにもなっていますが、このような視点を持って考えていくということで、ここは了解をすればいいと私自身は受け取りました。
 以上です。

【髙橋部会長】 ただ今の平野委員のコメントに対して、事務局、もしくはJAXAから何かございましたらお願いします。

【渡邉課長補佐】 文科省です。ありがとうございます。
 確かに、この整理をしても、運用でうまいことやっていかないと意味がないというところはおっしゃるとおりだと思います。今日は取りあえず、この整理というものをお示しさせていただいて、認識について、こういう見方があるという点はJAXAも委員の方々も共有いただけるかなと思っておりますが、実際は自己評価書で、先ほどお話ししたプロセスやアウトプット、アウトカムがどれなのかという点が分かるようにしていく必要があると思っています。
 全体を一覧で見られるようにというところで、資料2-2の最初に書いたような計画と実績を照らしたような表を作ってはどうかと考えていますが、こちらについても、事前に髙橋先生ともご相談させていただいたときにも、もう少し目指しているところがどのようなものかという点が分かるようにした上で、このような実績につながったという点が照らして分かるようにしてはどうかというようなご意見も頂いておりましたので、そちらは書き方のところで明確に分かるように、引き続き、JAXAと来年に向けて詰めていきたいと思っています。
 もう一つのassessmentやappreciationというようなところは、ご紹介させていただきましたが、その言葉が重要ではなくて、このような意識を持って評価していくように、平野先生がおっしゃったようなところが重要と、事務局としても考えております。
 以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 今、赤松委員、挙手されているでしょうか。

【赤松臨時委員】 はい、しております。

【髙橋部会長】 では、赤松委員、お願いします。

【赤松臨時委員】 幾つかありますので、最初に簡単な質問からいきます。資料2-2の冒頭に赤と灰色と青とがあって、赤と青は分かりますが、灰色の意味は先に延ばしたという理解でよろしいのでしょうか。

【渡邉課長補佐】 この真ん中の年度計画のところは、この単年度で行うことを書いているので、灰色は出てきませんが、中長期計画は、JAXAでいうと7年間でどこまでやるかというのを書いておりますので、そちらはその当該年度には実施しないものの、次年度以降で実施するものというところが出てくると思います。

【赤松臨時委員】 なるほど。全体と、単年度の違いだというところを、この灰色で表現しているということですね。

【渡邉課長補佐】 はい。

【赤松臨時委員】 この中長期計画の中で灰色が付いているところは、今年はやらないが、先の年度でやるということと理解すれば良いですか。

【渡邉課長補佐】 この実績を書いている年度ではやらないものの、その先の年度で……。

【赤松臨時委員】 年度でやるということですね。だから、こちらは評価対象外だということですね。理解いたしました。
 では、少しご意見を述べさせていただきますが、先ほど平野委員の方から、プロセス、アウトプット、アウトカムという整理をした上で、それぞれに対してどのような結果だったのかというのが分かるように整理するという話もあったかと思います。今の資料2-2の3ページを見ると、例えばはやぶさ2のところは、年度計画上は「小惑星探査機はやぶさ2」としか書いていません。実績はこうなりましたということですが、おそらく計画が何かあって、そちらに対して実績がこのようになりましたということだと思うので、その整理をしていくときに、やはり計画がなにであり、実績がどうであるということは整理していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【渡邉課長補佐】 ありがとうございます。
 このはやぶさのところは、「はやぶさ2」としか計画の方では書いていませんが、こちらをもう少し詳しく書いていくというようなご意見でしょうか。

【赤松臨時委員】 そうですね。実績があるということは計画があったわけで、計画に対してどのような実績が出たのかという対比が評価していく上では重要かなと思いますので、そこの計画部分を、この年度計画のところに、記載する必要があると思っています。

【髙橋部会長】 こちらは、少しJAXAとも相談させていただきたいと思います。

【赤松臨時委員】 そうですね。こちらはおそらくアウトプットになるのかもしれないですが、それぞれ、プロセスとアウトプットとアウトカムをどのように整理するかという点については、もう少し議論の余地があるかと思います。今日はそのような整理がされているわけではないと思いますので、どのように整理するかという点は今後の課題として考えていただければと思います。

【渡邉課長補佐】 はい、ありがとうございます。

【赤松臨時委員】 資料2-1の2ページ目について、こちらではプロセス評価とアウトカム評価と2つに分かれてありますが、先ほど平野委員のお話を受けると、こちらはプロセス、アウトプット、アウトカムとしていくのではないかと思います。私はどちらかというと、プロセスとアウトプットが一つのセットで、そこから出てくるアウトカムがもう一つと思いますが、どのように切り分けて整理していくのかということについては、いかがですか。

【渡邉課長補佐】 プロセスの方にアウトプットまで含めるべきではというようなご意見。

【赤松臨時委員】 そういうことです。

【渡邉課長補佐】 はい。こちらでは、アウトプットの定義があまりはっきりと書いておりませんが、このアウトプットについても幾つかのレベルがあると思っております。例えばプロセス評価でいうと、計画どおりで進捗して、計画をどこまで達成できたのかというようなところが一つあると思います。この資料では、その達成をアウトプットに含めるかどうかというところまでははっきりと整理し切れておりませんが、一方で、アウトプットは、単にメルクマールを達成したかという点以上に、論文につながった、こういう研究成果が出た、あるいは、特許を取った、というような、もう少し進んだものもあるかと思っており、その点の整理については、事務局でこの資料を作成した際も、どのようにすべきか、というところで、きれいに整理がし切れず、今の資料では論文特許につながったというような、メルクマールよりはもう少し進んだアウトプットという意味合いで、記載させていただいております。

【赤松臨時委員】 分かりました。何をここでアウトプットとして指すのかということと、今のご説明は関係してくると思いますが、その定義はしっかりして、切り分けをしていく必要があると思いますので、ご検討いただければと思います。

【渡邉課長補佐】 はい。ありがとうございます。

【髙橋部会長】 赤松委員、少しよろしいですか。
 今の赤松委員のプロセスとアウトプットの話に関して、私も事前にこの話を聞いたときに、いろいろと意見を言わせていただきました。例えばH3ロケットを例に挙げると、アウトプットは何でプロセスは何かというような点で事務方と話をしたときに、当初は、例えば燃焼試験が成功したというようなこともアウトプットであるというようなこともあるという話があったものですから、それは少し違うのではないかと。燃焼試験に合格したというのは、H3ロケットにとっては一つのマイルストーンであって、あくまでプロセスでしょう、と。アウトプットというのは、打上げが成功したときが始めてH3ロケットの成功であり、それまでのさまざまなマイルストーンはプロセスだろう、と。特に、プロセスに関する委員の方々の問題意識というのは、H3でいうのであれば、まだ飛ぶ前の段階の4~5年間の評価はなかなかしにくい、ということです。やはりそのような段階で評価する上で、プロセスという面で定義をして整理し、実際に打ち上げる前までの評価も必要ではないのかという意見が今まで部会でもありました。ですから、アウトプットやアウトカムだけを評価するのではなく、プロセス評価、特にプロセス評価の中でも、マイルストーンは勿論、マネジメントが大きな評価の対象だと僕は思っています。なので、そのような点も含め、これから定義についてぜひまた議論していただいて、プロセス、アウトプット、アウトカム、アウトプットとアウトカムはこちらに書いてあるようなところですが、特にプロセスの定義についてご意見を言っていただいて、整理していったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

【赤松臨時委員】 私も、今、髙橋部会長のお話を伺って理解できました。プロセスというのは、例えば3年間のプロジェクトの中で初年度、2年度とマイルストーンがあると思いますが、それもプロセスの中に含まれるのだとしたら、アウトプットの切り方は少しまた考えないといけないと理解しました。
 最終的な、例えば3年間の出来上がりでロケットが出来上がったというところがアウトプットだとして、各年度の成果はプロセスの中に入るというようないろいろなパターンのケースがあると思いますので、うまく整理いただいて、どの点をプロセスとして評価して、どの点をアウトプットないしはアウトカムとして評価するかということを整理していただく必要があると思いました。

【髙橋部会長】 事務局、JAXAを含めて、恐らく項目ごとやプロジェクトによって、プロセスの中身が変わってくると思いますので、ぜひ整理して、また意見を伺えたらと思いますので、よろしくお願いします。

【平野臨時委員】 髙橋委員長、平野です。今の点について、整理をしていただくとしても、プロセスという点は基本的には途中段階で、例えば3年度であれば初年度、2年度という段階においてSやAという評価はどのような形であり得るのかということのクライテリアを定めておくことも重要だと思います。基本的に予定どおり進んでいれば、それはもう予定どおりなので、B評価ではないかということにもなってしまい、逆に途中年度においてなかなかS評価を取ることは、どのプロジェクトも難しくなると思いますが、プロセス評価におけるSやAというのはどういうことなのかというところの基準、考え方を整理いただくと良いと思います。

【髙橋部会長】 そうですね。プロセスの、まず対象は何かということと、今度、そのクライテリア、S、A、Bとはどういうことかということ、両方について整理し、まとめておいた方がいいと思います。

【赤松臨時委員】 あと、もう少しありますが、よろしいですか。

【髙橋部会長】 はい、どうぞ。赤松委員、どうぞ。

【赤松臨時委員】 すみません。またページを進めて、3ページにイベント型アウトカム評価という記載があります。もう1ページ行って4ページに行くと、appreciationということで、特に優れた取組・成果については、その取組1つをもって高い評価とするというところがあります。私、それ自体に反対ではありませんが、ただ、例えばある技術領域の中で10個のプロジェクトが走っている中、1個のプロジェクトが飛び抜けて良ければ、それで全体がSになるかというと、そういうことではないと考えております。もちろんその飛び抜けた成果を出したものについては高く評価をするものの、その1件をもって全体がSになるということではないということは、ここに注記しておく必要があるかと思いました。
 加えて、もう一つ、報告書のボリュームですね。さらなる情報開示が必要という部分もあるかと思いますが、こちらも先ほど平野委員がおっしゃっていたように、付随資料としてたくさん付けていただくのはかまいませんが、報告書の基本として、全体像が見えて評価ができるように、計画に対してどこまでできたのかとかいうことがしっかりと書き込まれた、コンパクトにまとまったものを作っていくという考え方で進めていただければいいと思っております。その上で、必要に応じて、先ほど平野委員がおっしゃっていたように付随の資料を見るという形が良いと思っております。
 以上でございますが、いかがでしょうか。

【髙橋部会長】 文科省の事務局より、どうですか。今の赤松委員に対するコメントはできますか。

【渡邉課長補佐】 ありがとうございます。
 まず最後、付随の資料というところについて、事務局の方でもどうしようか悩んでいるところです。先ほどの例えば資料2-2の中で、SLIMという探査機の事例を入れさせていただきましたが、このような資料を全てのプロジェクトについて入れるということになりますと、その分また評価書が一気に増えてしまうということになりますので、こちらを評価書本体に入れなくても、例えば付随の資料集みたいな形で、各プロジェクトのサクセスクライテリアがどうなっているのかというものだけを集めたようなものを作るというようなことも一つあると聞いていて感じました。そちらについては、またJAXAとも、どのようにするのがいいか相談したいと思っています。
 もし他の先生方からも、評価書を見る立場として、このような立付けの方がいいのではないかというご意見があれば、伺いたく思います。

【赤松臨時委員】 私が申し上げたかったのは、むしろ全体としてはボリュームを絞って、全体像が俯瞰できるような整理の仕方をメインにしていっていただければということです。あまりボリュームを増やすことを考えておらず、むしろ必要なものに絞り、全体がコンパクトに俯瞰できるような整理の仕方をしていただきたいということですので、ボリュームを増やさないような方向でお願いしたいと思っています。

【髙橋部会長】 それでは、古城委員、挙手をされておりますので、古城委員、どうぞ。

【古城部会長代理】 ありがとうございます。古城です。
 1点目は、平野委員がおっしゃったように、プロセス評価について、どのようにSやAを付けるのかというところを分かりやすくしていただければよいと思いました。プロセスの場合、やはりどうしても最終的な段階ではじめてSが付くということになってしまうので、途中の段階での評価をどのように考えるのかというところをはっきりしていただくと、評価する方としてはありがたいということで、こちらは平野委員がおっしゃったことと同じことです。
 加えて、もう一点は、資料の2-1の3ページ目の評価の考え方ということで、具体的に3類型挙げていただいています。この2番目の累積型アウトカム評価というところについて質問ですが、こちらはSが途中で付いた時、ずっと何回も同じレベルだとすればSを付け続けるのかという問題があったことへの回答だと思います。その場合、例えばこちらに記載された例では、衛星データ利用の普及がある程度の量ができて、それを維持した上で、次に別の観点からの評価軸をJAXAの方が提示しないと、もうSは付かない、ということなのでしょうか。ここのところ、もう少し説明していただけると分かりやすいと思うので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【渡邉課長補佐】 事務局の方からお答えします。
 一度SやAを取ったときに、次にまたS、Aを取るにはどうすればいいのかというところですが、幾つかあると思っています。一つは、同じ観点でさらに前年度を上回るようなものを達成したという場合もあると思います。衛星データの普及であれば、前年度はここまで普及しましたということで、何かデータ配布の数で例えば表したとしたときには、同じデータ配布の数で見たときに、それを大きく上回るような結果を出すということで、また再びSやAということもあるかなと思います。
 一方で、また別の観点で新たなアウトカムというのができましたということがあれば、前の年度とは別の観点で出てきた成果というのを評価してSやAにするということもあるとは思っています。

【髙橋部会長】 古城委員、よろしいでしょうか。

【古城部会長代理】 ということであれば、例えば広報の拡大の場合、前年のレベルを維持した上で別の観点か、あるいはさらなるものということで、その前のときの観点というのは維持したままということになるわけですよね。例えば、広報の拡大があるやり方で減ったとしたら、よくないわけですよね。なので、前年に出した観点は維持した上でということになるのでしょうか。

【渡邉課長補佐】 すみません。事務局です。
 累積型のアウトカムということですので、基本的にはその成果というものは減ることはなく、累積したものは増えていくことになるかと思います。それでは、その増えた分がどうであったのか、そちらが前年度と同じ観点ということもあれば、また別の観点というのもあると思います。その増え幅がどうであったかというところだけを見るのかというようなご指摘もあるとは思いますが、例えば今年度の夏にやったJAXAの評価では、これまでとは違って、どの対象に広報を仕掛けるのかという年齢層をJAXAの方でも分析し、そのターゲットを明確にして広報しましたというように、これまでやってきた広報とは少し違った視点というアプローチがありました。そのような観点も踏まえて今年度は評価されたと認識しており、単に数を増やすだけではなく、さまざま調査・分析の結果も踏まえて、JAXAでの新たな視点での成果につなげたと思っています。

【髙橋部会長】 よろしいですか。

【古城部会長代理】 分かりました。実際に出てきたもので見てみたいと思います。ありがとうございます。

【髙橋部会長】 よくある例では、観測衛星等を使って実際に社会に実装されて、毎回Sだということがあります。量的に増やした場合もあれば、あるいは全く新しい視点で観測衛星を使って新しい領域に対する社会実装をしたとか、いろんなことがあるかと思います。こちらは実際に、そのときの項目を見ながら個別に判断していくということになるかもしれませんね。
 いずれにしても、このような観点でSが継続するときはきちんとチェックをしていくということについては大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 白坂委員、2時半でご退席と伺っておりますが、今までのところで何かあれば、コメントお願いできますか。

【白坂臨時委員】 1つだけ。少々お待ちください。
 すみません。ありがとうございます。この評価の仕方、すごく論理的に整理されている点は、まさに平野委員のおっしゃるとおりだと思っています。私も一番難しいところは、今まさにご指摘のあった、こちらの累積型と正直思っていますので、実際やりながら、と思っています。
 1つ大きいと思っていますのは、ぜひJAXAさんが計画を立てるときに、この評価の枠組みを見ながらやってもらえればと思います。計画を立てるときにこちらをしっかりと加味しておかないと、無理やりと言うと言い方は悪いですが、結局合わせ込む方向に持っていかなければいけなくなってしまうので、ぜひ計画をする人たちが見てもらって理解してもらうということをやってもらえればと思っています。
 もう一つは、複数の評価のパターン・軸があるときに、この中での選び方がかなり恣意的にできてしまうところも正直あると思っておりますので、そのあたりは実際やりながらになってくると思いますが、うまくそのあたりも分かるように、例えば、3つの評価のイベント型、累積型、プロジェクト型があるのであれば、この取組はこれですと、計画でもできればいいと思いました。
 以上です。

【髙橋部会長】 事務局、いかがですか。

【渡邉課長補佐】 事務局です。
 まずJAXAに自己評価書を書くときに、このような点を加味して書くところは引き続きJAXAと調整をしていきたいと思っています。
 3つの評価のやり方について、どれに該当するのかというところも分かるようにということでしたが、JAXAが評価書を書くときにも、どの形態かを意識して実績を書いているかというところが分かるような形で記載し、説明のときにも、例えばこの累積で見たときに今回はSあるいはAですというように分かるようお伝えできるようにと、JAXAとも相談していきたいと思っています。

【髙橋部会長】 お願いします。
 黒田委員、今挙手されていますか。

【黒田臨時委員】 はい、挙手しております。

【髙橋部会長】 では、よろしくお願いします。

【黒田臨時委員】 はい。黒田です。ご説明ありがとうございます。
 項目でいろいろと議論を交わす中で、毎年毎年最終的にふわっとしている印象をどうしても持ってしまいます。SやAの基準が曖昧であるという点がやはり根本にある気がしていて、もう少し前の段階で点数制のような加点方式みたいにできれば、いくつか項目がある中で、毎年平等に評価ができるのではないかと思っておりますがが、どうでしょうか。

【髙橋部会長】 文科省、いかがですか。

【渡邉課長補佐】 ご指摘ありがとうございます。基準が曖昧という点、比較する基準がなかなかなく、絶対評価だけでは難しいというご意見も他の先生から頂いていましたが、そちらとも関連するご指摘かなと思っています。
 点数ということを今ご提案いただきましたが、いろいろなタイプのJAXAのプロジェクト事業がある中で、これこれは何点ということがイメージ的に分かれば評価する側にとっては一番理想的だとは思いますが、一方で、業務が多岐にわたっており、毎年度毎年度で出てくる成果も、さまざまな観点から見ていく必要もあると思っています。そういうところもあり、統一的に全ての項目を点数のようなもので評価することは、なかなか難しいとは思っておりますが、一方で、本日ご提案した月探査機SLIMのように、点数とまではいかないものの、このレベルまで行けばフルサクセス、このレベルまで行けばエクストラサクセスというような評価、成功基準はありますので、そのような既存の基準を有効的に活用していくことが重要だと事務局としては考えています。

【黒田臨時委員】 ありがとうございます。そうですね。エクストラサクセスのように、もともときちんと決めていれば分かりやすいと思いますが、さきほどのプロセスの話のように、あるレベルまで行くまでの過程もきちんと評価していきたいと思ったときには、そのような方法もあっていいのかなと思った次第であります。ありがとうございます。

【渡邉課長補佐】 ありがとうございます。
 プロセスというと、先ほどプロセスかアウトカムかというところで議論がありましたが、アウトプットまではつながらないにしても、メルクマールということで、このレベルまでは達成できたというようなところは、そのときそのときで評価は一定程度できると思っております。一方で、どこまで行けばSあるいはAに、プロセスでSやAになるのかというところは、まだ課題としては残っていると思い、その点は引き続き検討していきたいと思っています。

【髙橋部会長】 そうですね。アウトプットについては、先ほどの説明のあった成功基準というもので随分評価しやすいと思いますが、プロセスとアウトカムは、あまりそのようなものはないものですから、このプロセスとアウトカムについても、S、A、Bの定義というものを少し検討していく必要があると思いますので、またこちらも宿題として取り上げていきたいと思います。
 他にご意見、ご質問のある方、いらっしゃいますでしょうか。
 最後にまとめというわけではないですが、最初に平野委員から、非常に論理的にできていると、あとはどう運用していくかだという課題があり、赤松委員からも、年度計画と実績の対比をできるだけ分かりやすく、一対一対応できるような表現が要るのではないか、さらに、イベント型、累積型、プロジェクト型が分かるような整理の仕方も必要という話がありました。
 その上で、実績業績報告書の凡例というページがありますよね。参考資料の5-1だと思いますが、そちらを画面で映していただけますか。JAXAの業務実績報告書の書き方を凡例として表しているところがありまして、つまるところ、その凡例をどう見直していくかということが非常に重要になってくるのではないかと考えております。
 ここですね。今、ここに画面で映しているように、1/4から4/4までありまして、このようなフォーマットで実績報告書を書きなさいとなっています。こちらはまだ少しアバウトな感じになっていますので、例えば目標はどうなっているか、年度計画との対比、それから国際水準との比較を示すというようなことを凡例の中でもう少しブレークダウンして、改善をしていけば、項目ごとにばらばらになったりというような心配もなくなり、随分運用上も分かりやすくなると思います。凡例の内容を検討していただいて、今度の6月、7月に行う2020年度の評価で凡例のモデルチェンジをしてもらえれば、と思いますが、文科省、事務局の方、いかがですか。

【渡邉課長補佐】 事務局です。
 この凡例の部分は法人の方で工夫して書くことができるようになっておりますので、今頂いた観点がなるべく分かりやすいようにということで、こちらの凡例の部分も少し工夫して書くように引き続きJAXAとも相談していきたいと思います。

【髙橋部会長】 よろしくお願いします。中長期目標や中長期計画は、既に決まった文言になっていて、そこまで遡って変更することは非常に困難になっている一方、この業務実績報告書の中身は各法人が比較的フリーハンドで書けるものですから、こちらについて、今いろいろ頂いた課題を整理してやっていったらどうかと思います。

【渡邉課長補佐】 はい、ありがとうございます。確かに目標・計画自体を変えてしまうと大変ですが、工夫することで、例えば一覧的に見られるように等、より分かりやすく、他との比較がなるべくぱっと見て分かるようにというところを意識してやっていきたいと思っています。

【髙橋部会長】 運用は、この凡例を見直すこと、及び、先ほどありましたプロセスとアウトプットとアウトカムに識別することプラス、それぞれのS、A、Bの定義をもう一回検討すること、の2点あったと思いますので、この2点についても、検討を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【渡邉課長補佐】 はい。引き続きぜひご相談させてください。

【髙橋部会長】 他にご質問なければ、事務局からありますか。

【渡邉課長補佐】 すみません。このタイミングで事務局から1点、ご報告をさせていただきます。
 今年度の評価の中でも議論がありましたが、情報収集衛星の評価については、先生方からいろいろご意見を頂きました。安全保障に関わる情報ということで、JAXAから十分に情報が提示をされず、かつ自己評価がSであったということもあり、評価するに当たっては、かなりのご苦労をいただいたと考えております。
 事務局としても、この問題を解決したいと思っており、評価制度を所管する総務省にも相談をいたしました。総務省からは、法人の業務として定められている以上、その評価を行わないこと自体は難しく、評価は行われるべきという回答があり、一方、十分な情報がないということで、その点をもって評価を下げることはやむを得ないとも併せてコメントを頂いております。
 そのため、次年度以降については、引き続き可能な限り情報公開をJAXAからいただき、情報収集衛星についての評価は引き続きやっていくということとさせていただければと思っております。
 以上です。

【髙橋部会長】 ということで、情報収集衛星に関しては、来年6月か7月に2020年度の評価、がございますが、このときも継続して行うという中身です。何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。
 ないようですが、他にも、今回の議題も含めて、文科省、あるいはJAXAの方にお聞きしたいこと等ございますか。

【渡邉課長補佐】 部会長、すみません。文科省です。
 今日はJAXAの方にも参加していただいておりますので、もしこれまでの議論を踏まえて、JAXAから何かコメント・発言があれば、頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

【髙橋部会長】 JAXAはどなたに……。佐藤さん、お願いします。

【JAXA(佐藤)】 JAXA評価監査部長の佐藤と申します。ご議論いただきましてありがとうございます。
 プロセスとアウトプットとアウトカムを識別して自己評価し、評価資料を作るというところはよく腑に落ちるというか、評価資料を作る側にとっても非常にありがたい整理だと考えております。われわれでは、どうしても、評価に必要な資料や情報をできるだけ自己増殖的に盛り込んでいくようなことになってしまい、評価委員の皆さまには非常に分かりづらいというような印象を持たれているとも思いますので、そのように識別をして評価をしていただくことは非常にいいことかと思います。こちらは各現場の方ともディスカッションをしながら、できるだけいい評価資料を作っていきたいと思っております。
 その中で評価資料のボリュームも、このままいくとどんどん増えていくということになりますが、先生方からご指摘いただきましたとおり、できるだけ俯瞰的なシートで整理をする等の工夫も含めて考えていきたいと思っております。
 JAXAから、コメントは以上になります。ありがとうございました。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 今のボリュームが増えないようなことも含めて、凡例の見直しもぜひお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【JAXA(佐藤)】 はい、分かりました。ありがとうございます。

【髙橋部会長】 あと、他にご意見、ご質問等、全体を通してでも構いませんので、ありましたらお願いします。

【渡邉課長補佐】 今、古城先生、手を挙げていただいていると思います。

【髙橋部会長】 古城委員、どうぞ。

【古城部会長代理】 すみません、古城です。
 先ほどの安全保障の情報収集衛星のことについて、評価項目に入っている以上、評価せざるを得ないだろうという総務省の見解ということですが、JAXAの側でも機微な情報を出すことができない中で、評価する側にとって見ると、非常に限られた中で評価しろというのはかなり無理があると思います。ですので、杓子定規に評価しなければいけないといって出すのも、評価されるJAXAさんの方も困るでしょうし、評価する私たちも非常に困るので、もう少し考えていただいた方がいいのではないかという気がしますが、駄目でしょうか。少し個人的な意見になりますが。

【渡邉課長補佐】 すみません、文科省の事務局です。
 確かに情報が限定されている中で評価するのはなかなか難しいというところは、事務局としても思っており、そのような点も含めて、総務省とは話をさせていただきました。
 先ほども申し上げたとおり、総務省からは情報が十分に得られなかったということであれば、それをもって評価を下げるということもやむなしというような回答ではありましたが、一方で、事務局として考えているのは、この情報収集衛星についてもかなりの税金が投入をされて、JAXAでもかなりのリソースを割いてされている事業であるので、評価なさる委員の方々からすると、すごく大変なこと承知しておりますが、評価を可能な限りすべく、今年もJAXAからは定性的な成果でも構わないから、なるべく情報を多く出してもらうようにということで、昨年よりも工夫してもらうようにしていますが、引き続き、そのような努力をJAXAとも相談してされていただいた上で、世の中に対しては事業の成果ということで何かしら示していけるようにしたいと考えています。
 以上です。

【古城部会長代理】 意図としてはよく分かりました。

【髙橋部会長】 大変難しいと思いますが、確か情報収集衛星は内閣官房でしたっけ。

【渡邉課長補佐】 そうです。

【髙橋部会長】 実際に委託している部署の評価等も加味して、少ない情報の中で判断するしかないという感じですかね。
 他にご意見、ご質問のある方、いらっしゃいますでしょうか。

【平野臨時委員】 髙橋委員、よろしいでしょうか、委員長。平野です。

【髙橋部会長】 どうぞ。

【平野臨時委員】 このように毎年評価のところも非常に工夫をして、進化していると評価いたします。ただし、評価のための評価であってはいけないと思います。実際にこれを作るのも大変な作業で、多大な労力をJAXAの方々が負担され、その上で評価者の方々も負担を変えていると思います。したがって、この評価について、JAXAの活動の質を上げていくこと、例えば、JAXAの内部の組織評価や、場合によっては人事の評価にも公正性の観点で適切に使われることをJAXAにお願いしたいと思います。
 以上です。

【髙橋部会長】 今の、いいですか。事務局、あるいはJAXAの方、ぜひこの評価をさらに活用して、また次年度なり次の評価期間に対してもさらに活用していくということですので、よろしくお願いします。
 もう一つ、今回、文科省の事務局とJAXAで評価の在り方を随分検討、議論していただきました。私と古城委員は国立研究開発法人審議会にも出ていますが、このJAXA評価のいろいろな課題というのは、実は他の研究開発法人でも同じような課題が共通としてあります。今回、JAXAの評価の在り方を改善していくことによって、他の研究開発法人にも普及・展開できると思いますので、そのような面でも今回の価値はあるのかなと思います。こちら、また別途、展開についてはしていきたいと思いますので、ご理解お願いいたします。
 他に何かご意見ございますか。
 最後に全く関係ない話ですが、少し気になっていることがあります。政府が2050年、カーボンニュートラルの低減を10月末に宣言しましたが、この政策によってJAXAの中長期目標・中長期計画を変更するような予定、あるいはニーズがあるのかないのか、今もし分かれば教えてほしいのですが、いかがですか。

【渡邉課長補佐】 すみません、文科省事務局です。
 今のところ、JAXAの目標や計画を変更するようなことは予定していないです。

【髙橋部会長】 そうであれば、2050年排出ガスゼロというのは、あまりJAXAの事業には影響していないということですか。

【渡邉課長補佐】 事務局としては、JAXAの業務の中でカーボンニュートラルに関係してくるところはあると思っています。例えば、現状は、GOSAT-GWという二酸化炭素濃度を測れるセンサを搭載した衛星を環境省と共同で開発しており、その衛星が完成すれば、全球世界中の二酸化炭素濃度の状況がより詳しく把握できるということで、先ほどのカーボンニュートラルにも資するものということにもなると思います。また、JAXAの業務の中でも省エネのような取組は、設備の更新等も含めて取組みされていると思いますので、全く関係がないということはなく、既存の取組の中でも、カーボンニュートラルも意識してやっていくということができると思っています。

【髙橋部会長】 まさにそのとおりで、異論なく、JAXAもいろいろCO2濃度の測定や海水温の上昇等さまざまやっておりますが、問題は、2050年と区切った瞬間に、あと30年しかなく、従来の取組とは世界が変わってきます。なので、最近の新聞記事を見ても分かるように、産業界はじめ、がらっと意識も変わり、世界が変わったという感じですので、この2050年ということも踏まえて、本当に今やっている延長線上でいいのかどうかということについては、ぜひJAXAの中でもしっかりと議論をしていただきたいと思います。これは個人的なコメントですが。

【渡邉課長補佐】 はい。JAXAにも伝えたいと思います。

【髙橋部会長】 他にないようでしたら、最後に事務局よりお願いします。

【中村臨時委員】 すみません、質問があります。

【髙橋部会長】 ごめんなさい。中村委員、どうぞ。すみません。

【中村臨時委員】 前の議論に戻ってしまって大変申し訳ありませんが、資料2-1の3ページのアウトカムの評価する場合の3軸として時間軸と空間軸と国民の目線とあります。一方、資料2-4に、評価軸と評価指標クロス表というマトリックスがありますが、この評価軸は、資料2-1の時間、空間、納税者たる国民の目線という軸と関係付けられる評価軸という理解でよろしいでしょうか。こちらに書いている、例えば多様な国益への、2番目の災害対策・国土強靱化というところに関しては、評価軸として、時間軸や国民目線になると読めばよろしいんですか。

【渡邉課長補佐】 すみません、文科省の事務局です。
 まず、資料2-4の表の方の評価軸というのは、新しく変更された宇宙基本計画において目標としているようなものが柱になっており、この観点ごとに評価軸が立てられております。それぞれについてアウトカムを自己評価書に記載していくに当たっては、この軸とはまた別の観点にはなると思いますが、もう一つの資料2-1の3ページに記載したような時間軸、空間軸、また納税者の目線から見てどうかというような観点が、評価書の記載や委員の先生から評価していただくときに、必要ではないかと考えております。

【中村臨時委員】 その納税者の目線というのが、評価する側からどう評価していいかというのがよく分からなかったのですが、どのようなことを具体的に考えたらいいでしょうか。

【渡邉課長補佐】 本当に例えばの話になりますが、衛星の開発においては、最近打ち上げました光データ中継衛星がありますが、この衛星は実際にはALOS-3、4のような衛星のデータを地上に中継して即座に落とせるようにということになっています。こちらについて、そのような技術ができましたというようなところまでではなくその衛星ができたことで、では、時間で見たときにはどれぐらい速くデータが落とせるようになったのかというようなところが、国民の目線というものになるのではないかと考えており、そのような点を意識して成果を書いていただく、というところかと思っています。

【中村臨時委員】 では、評価する側がいろいろ考え、絞り出さなくていいように、書く方の側で工夫していただけるということですかね。

【渡邉課長補佐】 はい。まずは書くJAXAの方に工夫していただきたいと思います、一方、そのような目線での評価が足りないということであれば、ぜひ委員の先生方からも、このような実績の書き方をするべきではないかということもご指摘をいただければと思います。

【中村臨時委員】 分かりました。ありがとうございます。お時間を頂いてどうもありがとうございました。

【髙橋部会長】 今の中村委員のご質問も踏まえて、先ほど申し上げた凡例に、このような時間軸、空間軸、納税者の目線というようなものも含め、改善のアイテムとして検討していただければいいと思いますので、よろしくお願いします。
 他にご意見、ご質問、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、最後に事務局よりお願いします。

【渡邉課長補佐】 本日、評価に関してご議論いただきましたが、今年の夏の評価においては、JAXAのサイトビジットについてもご意見を頂きました。われわれ事務局やJAXAでも、サイトビジットという機会が評価をしていただく上で有用であると承知しており、可能であれば来年度の夏の評価までにはサイトビジットが実施できるようにと考えております。
 一方で、昨今、新型感染症の状況もある中、本当に実際に現場に赴いてサイトビジットいただけるかというところは、状況も見てということになると思いますが、その場合でも、例えばオンラインを活用して現場の様子が見ていただけるようにというようなことも考えたいと思っています。詳細については、改めて事務局からご相談させていただきます。
 以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 本日は、委員の皆さまからお忙しい中ご参集いただきまして貴重なご意見を賜りましてありがとうございました。
 以上をもちまして、19回JAXA部会を閉会したいと思います。ご出席ありがとうございました。

―― 了 ――

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