国立研究開発法人審議会 宇宙航空研究開発機構部会(第18回) 議事録

1.日時

令和2年9月24日(木曜日) 16時00分~18時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の第4期中長期目標及び第4期中長期計画の変更(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

部会長 髙橋 德行
部会長代理 古城 佳子
臨時委員 赤松 幸生
臨時委員 黒田 有彩
臨時委員 白坂 成功
臨時委員 中村 昭子

文部科学省

宇宙開発利用課 藤吉 尚之
宇宙開発利用課企画官 笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐 渡邉 真人

【質疑対応】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
経営推進部次長 森 有司
評価・監査部長 佐藤 雅彦

5.議事録

【髙橋部会長】 定刻となりましたので、ただ今より文部科学省JAXA部会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
 本日は、JAXA中長期目標・計画の変更に関する議論を行います。
 はじめに事務局より本日の会議に関する事務的な連絡をお願いします。

【渡邉課長補佐】 文部科学省の渡邉です。はじめに、本日の会議に関する事務的な連絡をさせていただきます。本日の会議の出席者につきまして、委員及び臨時委員7名中6名にご出席いただき、定足数を満たしていることを御報告いたします。(ご欠席:平野委員)
 なお、本日の部会は、文部科学省国立研究開発法人審議会宇宙航空研究開発機構部会運営規則に基づき、公開とさせていただきます。
 続きまして、本日の資料ですが、議事次第のとおりメールにてお送りしてございます。構成は議事次第の他、本体の資料1から5の8点。加えて、参考資料1-1から6までの12点ございます。欠落等の不備がもしございましたら、事務局までお知らせください。
また、本日のネットワークの接続について、映像は常にオンにしていただき、音声についてはご発言いただく際にオンにしていただきますようお願いをいたします。
 ご発言の際は映像内の画面内で挙手をいただきまして、髙橋部会長のご指名がありましたら、マイクをオンにしていただいてご発言いただくということでお願いいたします。
 事務局からの連絡は以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思います。
 最初の議題は、「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の第4期中長期目標及び第4期中長期計画の変更(案)について」であります。まず、事務局より説明をお願いいたします。

【渡邉課長補佐】 それでは、資料1に基づいて、まず概要をご説明させていただきます。資料の1をご覧ください。
 本日の議題となっておりますJAXAの中長期目標・計画の変更については、本年6月30日に閣議決定された宇宙基本計画の変更を受け、JAXA法の第19条に基づいて行うことになります。資料1にあるとおり、JAXA法の19条において、JAXAの中長期目標については、宇宙基本計画に基づかなければならないとされており、こちらに基づいて今回変更を行うということになります。
 国立研究開発法人の中長期目標の変更は、資料1の8ページに参考として記載させていただいておりますとおり、独立行政法人通則法の第35条の4第4項に基づいて、事前に審議会及びその下にある当部会、JAXA部会において委員の皆さまのご意見を頂くということになっております。
 なお、中長期計画のほうについては、主務大臣が法人に指示する中長期目標に基づいて、計画は法人が作成をし、そして、大臣が認可するという形になっております。ですので、審議会の意見を聞くというようなことは特段定められておりませんが、本日は、お配りした目標案に沿って、JAXAに計画案も作成いただいておりますので、併せて委員の皆さまのご意見を頂ければと思います。
 それでは、ページを戻っていただきまして、資料1の1ページご覧ください。
 その他の変更ポイントとして、もう一つ、宇宙基本計画以外の変更ポイントですが、独立行政法人の目標の策定に関する指針というものが、総務省の指針としてございまして、そちらの中に、「目標において、人材確保・育成方針の策定を求めること」というふうに定められており、この人材確保・育成の方針というのも、今回のタイミングでJAXAの中長期目標に記載することとしています。詳細については後ほどご説明をいたします。
 今後のスケジュールについて、まず、9月末までに共管4府省でJAXA部会を開催し、その後、総務省と文科省においては審議会を開催いたします。その後、大臣レクや省内決裁、財務省・総務省との協議を終え、10月23日に予定されております総務省の評価部会に付議をいたします。その後、もろもろの手続きを経て、11月の上旬ごろには法人へ目標を指示するというようなスケジュールで今考えております。
 この後、今回の目標計画の変更点をご説明させていただく前に、今年6月に変更した宇宙基本計画の概要について、まずご説明をいたします。資料5、宇宙基本計画の概要という、1枚のポンチ絵をご覧ください。
 この宇宙基本計画については、20年先の将来を見据えた10年計画というふうにされており、安全保障における宇宙空間の重要性や経済社会の宇宙システムへの依存性の高まり、リスクの深刻化、諸外国や民間の宇宙活動の活発化、宇宙活動の広がり、科学技術の急速な進化など、昨今の宇宙を巡る環境変化を踏まえて、今回改訂したものというふうになります。
 また、多様な国益に貢献するため、同盟国などとも連携をしつつ、宇宙活動の自立性を支える産業・科学技術基盤を強化し、宇宙利用を拡大するということで、基盤の強化と利用の拡大の好循環を実現する自立した宇宙利用大国となることを目指すとしております。
 これらを実現するためにと、基本的なスタンスというものを4つ定めています。1つ目が出口主導として、出口戦略の明確化及びタイムリーな技術実証を行うということです。2つ目が民間活力の活用として、投資の予見性確保や、民間が担える部分は可能な限り民間から調達するというようなことになります。3つ目が資源の効果的活用ということで、安全保障や探査のための先端技術を産業等へ有効活用していく、あるいは、非宇宙分野との人材交流や資金の流れの活発化ということになります。続いて4つ目に、同盟国・友好国との戦略的な連携として、国際的なルール作りや国際協力の推進というものをスタンスとして挙げております。
 その下、青色で書いている部分が具体的な取組ということになります。大きく2つの柱から構成されており、1つ目が多様な国益への貢献。もう一つが、下にありますとおり、産業・科学技術基盤の強化というふうにしています。
 上の(1)の多様な国益への貢献は、さらに4つに細分化されており、宇宙安全保障の確保、災害対策・国土強靭化・地球規模課題解決への貢献、宇宙科学・探査による新たな知の創造、経済成長とイノベーションの実現となっています。
 主にJAXAに関連する部分としては、1つ目の安全保障の確保については、準天頂衛星システムの7機体制確立や今回も評価を頂きました情報収集衛星、また、海洋状況把握(MDA)や宇宙状況把握(SSA)などが主に関係してきます。
 2番目の災害対策・国土強靭化については、主にJAXAの衛星開発になりますが、2つ目の温室効果ガス観測技術衛星や3つ目にある先進光学・レーダ衛星の開発が関係してきます。
 3番目の宇宙科学・探査については、JAXA、特に文部科学省がメインの部分になりますが、「はやぶさ」等の世界的に高い評価を受ける技術等をさらに推進していくということであり、また、2つ目、国際宇宙探査については、米国提案のアルテミス計画への参画機会を活用した取組を推進し、3つ目、国際宇宙ステーションを含む地球低軌道活動というところでは、国際宇宙探査の活動で必要となる技術の実証の場としてISSを最大限活用していくということです。
 4番目の経済成長とイノベーションでは、6つ目、JAXAの事業創出・オープンイノベーションに関する取組強化というのがございます。例えばJAXAではJ-SPARCや探査イノベーションハブで、民間企業と連携した共同研究に取り組んできておりますが、そのような取組をさらに強化していくということです。
 下の産業・科学技術基盤の強化について、1つ目は基幹ロケットの開発・運用ということで、現在運用しているH-ⅡAやイプシロンロケット、さらには、新型基幹ロケットのH3ロケット、というようなロケットの継続的な開発高度化、また、政府衛星の打上げに優先的に使用していくということを記しています。また、2つ目は、将来の宇宙輸送システムということで、抜本的な低コスト化を目指した革新的な将来宇宙輸送システムとして、H3の先を見据えた将来的な宇宙輸送システムを研究開発していくということです。さらに、3つ目は、衛星開発・実証プラットフォームとして、将来のユーザーニーズを先取りした衛星開発・実証ということで、これまで各省ばらばらで取り組んできた衛星開発を一体的に戦略立案しやっていくというプラットフォームになります。加えて、4つ目になりますが、衛星関連の革新的基盤技術開発ということで、フレキシブル化に代表されるような衛星のデジタル化、というような革新的な衛星の技術について取り組んでいくというものです。最後に、9つ目になりますが、宇宙活動を支える人材基盤の強化についても引き続き取り組んでいくということにしています。
 宇宙基本計画の概要としては今ご説明したようなところで、こちらを踏まえて、今回の中長期目標・計画をどのように変えたかという点について、資料1の2ページ目をご覧ください。
 中長期目標の目次構成です。この中長期目標と財務諸表との整合性を図る必要がありまして、セグメントと呼んでおります単位、このローマ数字3.3~ローマ数字3.7までのところの構成は今回は変えないという方針でやっております。
 その上で、項目名、資料では左の赤字になっている部分については、宇宙基本計画に合わせて変更しています。また、下線を引いている部分について、項目順を宇宙基本計画にそろえて入れ替えたりなどをしております。
 続いて、3ページ目をご覧ください。丸2として、JAXAを取り巻く環境という項目が中長期目標・計画内にあり、そこの部分に大きく2つ項目を追加しています。下から2つ、デジタライゼーション及び先進科学技術の急速な進展に伴う産業・科学技術基盤の揺らぎへの懸念ということで、近年、先ほど申し上げた衛星のデジタル化など含むような先進的な取組、技術が出てきている中で、日本がこのような時流に乗り遅れてしまうと、産業・科学技術基盤が揺らいでしまうというような懸念があるということを記載しています。また、ポストコロナにおける社会構造の変革ということで、ポストコロナ社会に対して宇宙も貢献していくべきだということを宇宙基本計画に書いており、そちらを受けて、中長期目標にもポストコロナに関する記載を追記しています。
 続いて、下のJAXAの取組方針について、これまで現行右側の4本柱になっていたところを、左側の3本柱に整理しています。こちらは先ほどの宇宙基本計画の概要でご説明したとおり、多様な国益への貢献というのと、それを支える産業・科学技術基盤ということで、宇宙基本計画で整理されたものに合わせて、この中長期目標・計画の柱を整理したものです。一番下の航空産業の部分については、宇宙基本計画では航空は対象とされていないため、変更せずそのままにしています。
 次、6ページ目以降について、宇宙基本計画に記載されたポイントということで、特に文科省関連の部分で宇宙基本計画の変更を踏まえて中長期目標を直した部分を抜粋しております。1つ目が国際宇宙探査への参画ということで、米国提案によるアルテミス計画に参画し、具体的にどのようなことに取組んでいくのかということを下のほうに赤字で追記をしています。続いて、将来の宇宙輸送システムの研究開発ということで、先ほどご説明した概要にもございましたが、再使用や材料、推進系というような点で革新的な将来宇宙輸送システム技術に取り組むということで、こちらも追記しています。続いて7ページ、衛星関連の革新的基盤技術開発ということで、産学官の主体で構成される衛星開発・実証プラットフォームの体制をまず構築して、その下でもろもろの衛星開発に取り組んでいく、ということが、特に、今回の宇宙基本計画で追記されました、この先端的な衛星技術や開発・製造方式について、小型・超小型衛星によりアジャイル開発・実証を行う小型技術刷新衛星プログラムという新プログラムを追記しています。アジャイル開発というのは、短いサイクルで衛星開発・実証を行うというものです。背景としては、これまで5年~7年ぐらいかけて大型の衛星を作ってまいりましたが、開発時間もかかるため、なかなかチャレンジングな技術に挑戦してこられなかったというような背景を踏まえ、短いサイクルで挑戦的で先端的な技術開発に超小型・小型衛星を使って取り組んでいくというものです。
 続いて、宇宙科学・探査による新たな知の創造の部分です。上に赤字で書いている1つ目のところは、将来の多様なプロジェクトに必要となるようなキー技術について、世界に先駆けて獲得するということで、技術のフロントローディングを実施していくというものです。また、深宇宙探査機の電源系や推進系を革新する基盤的研究開発も推進していく旨が記載されています。さらに、わが国の強みである「はやぶさ」等のサンプルリターン技術について、今後はサンプル分析等のフォローアップが的確に実施できる体制の整備を図りつつ、学術界における成果創出に貢献していくということを、宇宙基本計画を踏まえて追記をしています。
 続いて、8ページに相当する部分がコロナの記載になります。ローマ数字3.1 JAXAを取り巻く環境という項目の中で、宇宙と航空それぞれの部分にウィズコロナ・ポストコロナの社会に対して、宇宙と航空それぞれが貢献していくという内容の記載をしています。また、ローマ数字3.2 JAXAの取組方針という項目の中でも、新型コロナウイルス感染症の拡大防止及びその社会的影響等に係る把握及び解析に資する宇宙システムの活用に取り組むなど、ウィズコロナ・ポストコロナ社会発展への貢献を目指すということを記載しております。
 資料1についての説明は以上です。続いて、資料2-1をご覧ください。資料2-1がJAXAの中長期目標の新旧対照表になっております。赤字が新たに追記・修正等された部分になっており、主な変更点は今ご説明した通りになりますが、最後15ページをご覧ください。15ページの最後の2行のところになりますが、「なお」というところから始まっている部分です。JAXAの人材確保・育成については、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第24条に基づき策定された人材活用等に関する方針に基づいて取り組みを進めるということを今回追記しております。こちらの記載は、先ほどの資料1の1ページ目のところでご説明した総務省の指針を受けて改訂する部分です。総務省の指針が改訂され、このような人材確保育成方針の策定を目標に明記するということになりましたので、今回こちらの部分に記載をしております。
 続いて、資料2-2が、目標に別添として付く政策体系図になります。こちらは先ほど説明した宇宙基本計画の柱の変更を踏まえた修正を行っています。
 また、資料2-3について、こちらも目標の別添になりまして、評価軸と関連指標を定めたものです。こちらは1ページの赤字、下半分のところに「変更点」として記載しておりますが、まず1つ目として、新しい宇宙基本計画に合わせて項目名や項目順を変更しています。また、評価軸については、具体的にJAXAが取り組む内容を記載したローマ数字3.3とローマ数字3.4の項目を新しい宇宙基本計画の柱に合わせて修正をしております。宇宙基本計画変更前は、安全保障と産業振興、宇宙科学・探査分野というような3つの柱になっていましたが、そちらを新しい宇宙基本計画の柱に合わせて5つの柱に整理をしています。さらに、3つ目の修正として、これまで評価いただいた平成30年と31年度の評価を踏まえまして、評価指標の中に取組効果の状況という記載を追加しています。例えば、5ページのところにローマ数字3.6.1、ローマ数字3.6.2という項目がございますが、この項目の箇所の中、取組の状況とあった部分に、その取組の効果の状況という点も評価指標として出してもらうように追記をしています。さらに、こちらの5ページのローマ数字3.6.2の国民の理解増進と次世代を担う人材育成への貢献というところで、モニタリング指標の部分に国民の理解増進の効果及び次世代への教育効果の状況という記載を追加しています。こちらはこれまで評価していただいた中で、「もう少しここの国民の理解が実際にどれぐらい進んだかというような点、あるいは、JAXAの行っている小中学生や高校生への教育の効果が実際にどのようになっているかというような点をしっかりモニタリングすべきではないか」というようなご意見があったことを踏まえて、このような追記をしています。
 資料2-3は以上です。
 続いて、資料3-1は中長期計画の新旧対照表になっています。計画は先ほどご説明した目標に合わせて、若干目標を細分化しているところもございますが、基本的には同じような修正を行っています。
 さらに、資料3-2については、予算、収支計画、資金計画等になりますが、今回の宇宙基本計画を踏まえて特段修正をするというようなところはございません。
 加えて、資料4をご覧ください。事前に委員の先生方から頂いた意見について記載しています。本日、この後実際にご議論いただきますが、事前にどのようなご意見があったのかということをここで少々ご紹介させていただきます。
 はじめに、髙橋部会長から頂いたご意見について、ローマ数字3.3 宇宙政策の目標達成に向けた宇宙プロジェクトの実施という項目の中で、「デジタライゼーションというところと、ウィズコロナ・ポストコロナ社会発展への貢献に直接結び付く技術開発項目・プロジェクトというのをもう少し明確に表現できないか」というご意見を頂きました。また、評価軸と関連指標については、改めて読み直すと、「実施項目ごとの目標を具体的に設定するともっと分かりやすくなると思われる。実施項目ごとに目指す姿、目指すレベル、実現したい成果などをできるだけ具体的に表現するように、今後関係各部署とも相談し、部会で議論できれば」ということで御意見頂いております。
 また、古城委員からは、「中長期目標と計画の原案の作成、これは大変な作業だと思う」というところで、「それぞれを比較しながら読んだところ、記述が詳細になっているという点は評価するが、両者の相違が分かりにくい」「両者の記載に重複が多く、目標における計画の位置付けを確認し、両者の記述をもう少し整理したほうがよいのではないか」「目標の達成に対してどのような計画を立てて遂行していくのかということだと理解している」という御意見、さらに、「国立研究開発法人審議会でも指摘された宇宙プロジェクトの推進に当たり、人材の登用や育成の視点、また、外部登用のみならず内部登用による組織活性化の視点を考慮するという点を計画の中にもう少し入れてもよいのではないか」、「ローマ数字3.6.2の人材育成は、指摘されている人材育成とは異なる観点のことなので、他の箇所、具体的なプロジェクトの計画などに入れてもいいのではないか」「民間事業者との協業については重点を置かれており、人材育成については宇宙科学・探査の箇所では記述されているが、他の項目の計画では触れられていない。人材育成が必要なところはないのか」という御意見をいただいております。また、同様に、こちらも審議会で指摘されている点になりますが、「社会実装を目指す短期的な取組にシフトして、基礎研究や基盤的な研究の停滞が懸念されているため、短期的視点と長期的視点を意識して計画を記載するとよいのではないか」「長期的な視点に立つ計画では、年次計画では、最終年までの達成のプロセスが評価されるような評価ができる」ということです。
 また、中村委員からは「宇宙基本計画にある宇宙科学・探査のところに学生や若手研究者を初めとする多様な人材が宇宙科学・探査プロジェクト等に参加する機会を提供することは人材育成の観点から非常に重要であり、目標・計画に明記すべきである」といったご意見、また、「宇宙基本計画にある科学・探査の基本的な考え方である失敗を恐れず挑戦できる環境作りを重視するという点は非常に重要であるため、明記すべきである」というご意見も頂いております。
 資料についての説明は、以上です。
 なお、文科省を除く共管府省におきましても、現在並行して部会を行っているところです。本日頂いたご意見も踏まえ、4府省とも調整して、全体の意見ということで修正等を行い、最終的には総務省の部会にかけるということで今後進めてまいりたいと思います。
 資料の説明については以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただ今のご説明に対して、委員の皆さまからご意見、ご質問等伺いたいと思います。初めに、今ご説明のあった資料4で、事前に委員のご意見、ご質問等がありましたので、最初にこの件に関して、事務局および関係者の方からご回答いただくということで始めたいと思いますが、よろしいですか。

【渡邉課長補佐】 文科省の渡邉でございます。
 最初に、資料4で頂いたご意見について、ご説明をさせていただきます。
 最初に、髙橋部会長から頂いたデジタライゼーションとポストコロナについて、もう少し明確にできないかというご意見ですが、デジタライゼーションについては、具体的な施策としては、先ほどご説明した小型衛星での小型技術刷新衛星プログラムという取組が該当いたします。そのため、デジタライゼーションについては、例えばこの小型技術刷新衛星プログラムで取り組んでいくという旨を明記させていただければと思います。
 もう一つのコロナのところについては、中長期的な視点で貢献が必要という観点で、今回目標に記載しておりますが、今後の環境の変化や状況を踏まえて、具体的にどのような取り組みをやっていくかというのはまだ検討している段階であり、現時点で直接的にこのプログラムがコロナのプログラムだというような直接的に結び付くような取組の記載は少し難しいかなと考えております。その点は、今後の、毎年度の年度計画等を作っていくところで明確化させていただきたいと思っています。
 いかがでしょうか。

【髙橋部会長】 すみません。続けてどうぞ。

【渡邉課長補佐】 次の御意見、評価軸について、もう少し具体化するというような点について部会で議論できればという御意見になりますが、事務局としても、評価軸について、今回の目標に付いている評価軸は多分に大ざっぱな評価軸になっており、実際先生方に評価していただくに当たっては、この表だけではなく、もう少し深堀りした評価軸の設定含め具体的にどのように評価するのがよろしいかというところを、来年度の評価に向けて、部会で別途議論させていただきたいと考えておりましたので、こちらについては、また別途のご議論とさせていただければと思います。
 少し先ほどの説明では飛ばしましたが、実はJAXAの目標については、年度内にもう一回変更することが見込まれております。内容としては、JAXAに出資機能が追加されることになるということがあり、その機能追加に向けて、今後、12月ぐらいになるかと考えておりますが、年度内にもう一度目標変更の作業が必要になりますので、そのタイミングでこの評価軸などの詳細についても改めて議論させていただければと考えております。
 続いて、古城先生に頂いた1つ目のご意見についてです。確かにご指摘のとおりだと思っているものの、今回中長期目標を反映するに至った、宇宙基本計画の改訂について、実はこの宇宙基本計画自体がかなり詳細なところまで書かれており、先ほどの概要でご説明したとおり、具体的な施策や、プロジェクトに相当するようなところまで詳細に記載されておりまして、そちらを受けて、今回の中長期目標を作成しているという事情がございます。そのため、目標の時点ではかなり詳細化をされてしまっており、あまり計画と違いが出ていないというようなところもご指摘のとおりあるかと思っています。一方で、さらに具体化するということについては、今後、毎年度の年度計画をまた定めていきますが、その中で、さらに具体化した記載の年度計画を定めていきたいと思っています。
 続いてのご指摘についてです。JAXAの人材育成方針について、こちらはJAXA内、JAXA外共に、目標ではローマ数字6.2、人事に関する事項というところに、人材育成でや外部登用、人材の流動化に関する記載がございます。また、人材育成の方針については、先ほどご説明したとおり、目標の最後に、人材活用等に関する方針というものをJAXAで定めて取組を進めるということを今回記載させていただきました。その具体的なJAXAの人材育成の方針は、本日参考資料6という形でお配りしております。参考資料6の中には、JAXAの内部における人材育成、内部登用の活発化に関する記載もあり、基本的にはこちらの人材育成方針という文書の中で、JAXA内部の登用の活発化を明記しているという整理としたいと考えております。
 本日、JAXAも同席をいただいておりますが、もし今のJAXAの人材育成の部分について、補足やコメントがありましたら、JAXAのほうからお願いいたします。何かございますでしょうか。

【JAXA(森)】 JAXA経営推進部の森と申します。音声、聞こえますでしょうか。

【渡邉課長補佐】 はい。文科省は聞こえております。

【JAXA(森)】 お世話になっております。発言の機会を頂きましてありがとうございます。
 今、ご紹介にありました人材育成実施方針については、第4期の中長期期間が始まるに当たり、当機構のほうで定めたものでございます。委員よりご指摘のありました人材登用や育成の視点、あるいは外部登用のみならず内部登用による組織の活性化の視点というものに照らし合わせまして、この資料のご紹介になりますが、まず3ページをご覧いただきまして、3.に実施方針が述べてあります。
 当機構としましては、二本柱の方針を取っております。(1)(2)と2つ書いてございますが、より一層の技術力・専門能力の強化、また、提案力の強化というものになります。
 その柱によりまして、3.2に基本方針が述べてありますが、大きく幾つかの視点で人材育成にわれわれの考え方を述べているものであります。まず、1つ目、丸1のキャリアの軸となる技術力・専門能力の育成としております。こちらについては、専門能力を有するプロフェッショナル集団となることを目指すということはもとより、オープンイノベーションの仕組み、クロスアポイントメント制度などの活用というようなもので学術界・産業界との相互の人材交流等の人材流動性を高める取組を推進するといったところを1つポイントとして記載しているものであります。
 また、次に丸2の新たな価値を創造し、実現する提案力の強化というものになりますが、こちらについしては、2行目にありますとおり、自身の専門領域以外の部署など、さまざまなキャリアを経験する機会を用意するというようなことが特徴として挙げてあります。
 また、丸4技術的知見を有する事務系職員の育成ということで、事務系職員に対しても、事業やプロジェクト業務に活躍の場を広げていくということを意図し、プロジェクトチームに事務系職員を配置するようなことも育成方針の一環として定めているところでございます。
 今現在、当機構ではこの育成方針に基づいて取組を進めているところでございますので、今般、宇宙基本計画の改訂も行われましたので、そちらを踏まえてこちらの方針を維持していく所存でございます。
 補足は以上でございます。

【渡邉課長補佐】 ありがとうございました。
 それでは、続けて、文科省のほうからご回答いたします。
 古城先生に頂いていた3つ目のご質問について、短期的な取組ではなく、長期的な視点を意識して計画を記載し、評価についても長期的な視点を意識してやっていくべきではないかというようなご意見です。こちらも、先ほどの髙橋部会長の2つ目のご意見と一緒で、今後評価していくに当たって大きく関係してくるところだと思っており、こちらについても、また別途、部会のほうで今後の評価に向けてどうしていくのかというところで議論をさせていただければと思います。
 続けて、中村委員に頂いたご意見のところです。
 1つ目が人材育成の部分です。科学・探査のところで、学生や若手研究者を初めとする多様な人材が参画する機会というところについては確かに重要だと思っており、こちらは何かしら目標のほうにも記載するということで、検討させていただきたいと思います。
 同様に、もう一つ頂いたところの失敗を恐れずに挑戦できる環境作りのところも非常に重要だと思っておりまして、こちらも目標のほうに記載をするように検討したいと思っています。
以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 まず、それでは、ただ今の渡邉さん、それから、JAXAの森さんからのご回答を踏まえて、もし、古城委員、中村委員から追加で何かご意見、ご質問がありましたら、よろしくお願いいたします。

【古城部会長代理】 すみません。古城です。

【髙橋部会長】 お願いします。

【古城部会長代理】 どうも、ご回答ありがとうございました。
 宇宙基本計画はかなり具体的なので、そちらを目標のほうに設定すると、計画とうまく区別ができなくなってしまい、私たち委員としては評価する側に回りますので、目標と計画については、髙橋部会長もおっしゃっていましたが、どのようなところが指標になるのかということを計画にもう少し入れていただくと、評価もやりやすくなるのではないかと思い、このような質問をしました。今後、この部分は詰めていくということですので、それで結構だと思います。
 以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 中村委員、何かございますか。

【中村臨時委員】 ありがとうございます。
 ご検討いただけるということですので、ぜひともお願いしたいと思います。
 1点目に関して、オン・ザ・ジョブトレーニングというのは、やはり人材育成で非常に重要なやり方だと思いますので、ぜひとも明記いただければと思います。
2点目に関しては、「失敗を恐れず挑戦」という言葉は、新しい宇宙基本計画には何回も出てくるフレーズです。特に、環境づくりということが私自身大事だと考えておりますので、ぜひとも前向きなご検討をお願いいたします。
 よろしくお願いします。以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 先ほど議論のありました宇宙基本計画と中長期目標と中長期計画が同じような表現が非常に多いということで、こちらについては次の部会を目指してどのようにすれば目標とそれを達成するための計画がうまく分かれて、分かりやすくできるかということを議論したいと思いますので、またその節はよろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは他に、今回の中長期目標の見直しについて、ご意見のあるお方は、すみませんが、画面上で手を挙げていただければと思います。
 白坂委員、どうぞ。

【白坂臨時委員】 ありがとうございます。
 計画はまた今度ということですが、少しすみません。計画に関して1点だけコメントさせてください。あと2つ、目標の話について、少しコメントがございます。
 計画について、共通的にやる施策に関して目標を立てているものと、地球観測衛星や測位衛星のようにプロジェクト単位で目標を立てているものとが両方あります。基本的には、計画は掛け算になってこないといけないはずです。例えば民間活用のような取組の場合、複数のプロジェクトでおそらく行われなければいけないときに、何と何とを掛けた結果、このような計画になっているということを示していただく必要があると思っています。示していただけなければわれわれが分析するしかないのですが。つまり、われわれは評価するときに、共通項目的なものは共通項目で説明を受けるので、例えば民間調達をたくさんやりなさいといったときに、準天頂衛星では民間調達をたくさんやったものの、観測衛星ではあまりやらないという場合でも、準天頂衛星の取組だけでやれば、全体でもやったという評価になっています。本来、共通項目というのは、複数のプロジェクトで行うべきとして共通項目という形で設定している訳ですので、それらがきちんと掛け算になって、計画が立っているということを見なければいけないはずです。それがなかなかぱっと分かりづらい計画になっていると、こちらで、何と何とをどのように掛け算にしたかを、文意を読み解いていかなければならないので、できれば計画のときに、縦軸と横軸というか、プロジェクトと共通項目との掛け算がどのようになっているかということを、資料化しておいていただけると、われわれのほうが評価するときに間違いなく評価できると思いますので、その辺りもご検討いただければと思います。
 今回も、計画は出てきているのですが、見ていくと、網羅的にきちんと掛け算ができているかというと、やはり必ずしもそうではないような感じが見受けられたので、気になったというのが1点です。
 あと2点あります。基本的にはもちろん、JAXAには日本の宇宙開発の中核機関であり、しかも研究開発法人なので、やはりどんどん先を目指して研究開発を行っていただきたいと考えております。しかしながら、先を目指していくだけだと、やったきりの研究成果がぽつぽつ生まれてくるだけで、せっかくできた成果が世の中に根付いていかないということが起きることが懸念になります。衛星データで継続性みたいな言葉をずっと言ってきておりますが、本来、JAXAさんはこのエコシステムを作っていくための最初の新しい技術を生み出し、その技術をトライアルして、役に立つというところまでいったら、その技術等を今度は民間なりどこかが受け取りやり続けてくれるという流れを本来目指しているはずです。目標や計画が、「やること」になってしまっていると、その先が継続されなくても評価できてしまうという点を少し懸念しています。そのため、目標を立てるときにきちんとこのエコシステムの概念を入れておいていただきたい。新しい技術ができることを示したら、その技術が民間に移転され、その先は民間が実施して、JAXAはさらに新しい領域を目指していけるというような流れがあり、だからこそさまざまなプロジェクトで、民との協働や民間調達の活用というような取組を掛け算で実施していただきたいということになります。このエコシステム化を実施することを考えているかどうかがこの文章からは全く読み取れないので、考えていただいているとは思っているものの、もう少しその辺りを意識してもらえればと思います。
 3点目は結構具体的なところではありますが、実際民間との連携というところを見ていくと、大きな意味での民間の話と、具体的な記載のずれみたいな箇所が実はあります。例えば、国際宇宙探査の、有人探査のところでは、民間企業との連携という取組はもちろんベースとしてあるわけですが、文章案を見ると、民間企業との連携はイノベーションハブを活用することになっております。イノベーションハブの取組は、デュアルユースということで、地上と月との両方で使えるような技術をやるような分野を中心的に取り組まれている一方で、民間の中には月そのものでビジネスをやっていこうと思っている人たちのコミュニティがもう既にでき始めており、そのコミュニティとJAXAとの連携は、それほど密にできていないという課題認識があります。そのため、このように、ある範囲だけで民間と強調するかのような記載に計画上になってしまっていると、その先の取組に出ていかなくなるのでは、という懸念もしております。同じような例として、デジタライゼーションで新しいプロジェクトが起きているのは素晴らしいことではありますが、そちらがプロジェクトで終わってしまうというのは、われわれがもちろん目指しているところではなくて、そのプロジェクトの中で獲得した技術ややり方が他のJAXAのプロジェクトの中で使われていって、全てのプロジェクトがデジタライゼーションされていくということを目標にしているはずです。なので、専用プロジェクトで、その範囲だけでやりましたという形で中長期期間が終わってしまうと、残念な形になります。皆さんといつも評価の議論をやっているときに、これはぱっといいところだけ示されているような気がするとおっしゃられる方もよくいらっしゃいますが、そのように受け取られないように、幅広くその技術等が活用されているというような部分も意識して記載してもらえるといいかと思いました。
 すみません。大きく3点で、さっきの対応表を作るときのクロスの話と、エコシステムというのをちょっと意識していただきたいということ、また、具体化する中で取り組む範囲を小さくしない点を意識してもらいたい、という点になります。以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただ今の3つのご指摘について、事務局からでよろしいですか。

【渡邉課長補佐】 聞こえますでしょうか。文科省です。

【髙橋部会長】 お願いします。

【渡邉課長補佐】 ありがとうございます。
 今回、中長期目標と計画についても併せてご意見頂いているので、白坂先生に頂いたご意見は、今回計画のときにも参考にはなると思っています。
 まず、1つ目頂いたところの、実際に、事例としておっしゃったみたいに、準天頂は民間調達しているものの、それ以外の衛星はやっていないという場合にどうなるのか、というような辺りの評価がかなり曖昧になっている点について問題意識をお持ちと受け取りました。確かに、一部で頑張っていて、他のところではそれほどではないという場合の評価の考え方等についてはかなり曖昧になっていると思いますので、その点は今後別途評価の考え方等について議論させていただく際に、一緒に議論させていただきたいと考えています。
 あと2点で頂いたところ、エコシステムというものをもう少し意識して記載できないかというところと、もう一つはあまり計画のところで範囲を絞りすぎてもよくないというようなご意見だったかと思います。その点については、今回の目標ないし計画の変更において、具体的に直すべき、あるいは、記載すべき点があるということなのか、もしくは、今後の評価をやっていくに当たって、そのような点をしっかり整理して評価をすべきという御意見なのか、どちらになりますでしょうか。

【白坂臨時委員】 計画のほうです。目標はずれてはいないと思っています。目標は基本的には、宇宙基本計画の内、JAXAさんでやる範囲を書かれていると思っていますので、私は目標にはあまり文句がないといいますか、よくできているという印象です。以前の目標に比べてすごくアップデートがされて、きちんと書かれているという認識を持っています。
 一方で、今回出していただいた計画は、今回の議論のメインの範囲ではないと思いますが詳細に1対1で対応表を作ってみたわけではないものの、計画を作るときに、今のような辺りが抜けているとまではいいませんが、読み取れない、と感じております。例えば、JAXAはこれこれをやらなければならないというときに、「これをやります」という記載で終わっていると、エコシステムにならず、プロジェクトが終わったらその技術もそこで終わりになってしまうわけです。それでは、それをどのようにして民間に移管し、あるいは、どのように民間を活用していくかというところにつながってこない、あるいは、先程の民間活用連携であれば、「イノベーションハブでやります」と書いてあるものの、イノベーションハブの担っている範囲と、有人宇宙探査の民間企業連携と言われている対象がイコールではないというわけです。そのような計画になっているので、例えば今の具体的な例で言うと、民間連携の中の一つとしてイノベーションハブという取組は分かりますが、そちらだけをやるような計画になっていると、それ以上の取組にはいかないわけですよね。そうであれば、実際にやりたいことと記載された計画とがずれてしまうということになるので、計画を立てるときにその辺りを注意していただけるといいかなということでコメントいたしました。
 以上です。

【渡邉課長補佐】 文部科学省です。ありがとうございました。
 今頂いたところ、計画ということですが、その計画を具体的にどのように直すかということを少し考えてみました。例えば、記載するとしたら、今頂いたようなJAXAの具体的な取組として、プロジェクトとして計画に書いたような範囲にとどまらず、エコシステムの形成なども見据えた取組をやっていくというような趣旨を、具体的に打ち出せるとしたら書くのかなと感じました。
 現状のJAXAの記載はどうかについて、森課長いらっしゃいますでしょうか。例えば、そのような趣旨の文言をJAXAの計画のほうに入れる等についてはどうでしょうか。

【JAXA(森)】 JAXA経営推進部の森でございます。
 そうですね。白坂委員ご指摘のエコシステムについて、われわれの機構だけでエコシステムを描くというのは非常に難しいところもあります。分かりやすい例で申し上げますと、例えば資料3-1の9ページに、ローマ数字1.1.4 宇宙輸送システムという項目がございますが、こちらでは、開発したH3について、しっかり打上げサービス事業への移行を完了していくということまでは述べています。ですので、民間にしっかり渡していくということが計画として明示されているという意味においては、この記載は、エコシステムの中でわれわれが果たせ得る役割であろうといった認識をしておりまして、そのような観点で、他の分野についてもわれわれが民間に渡す、あるいはエコシステムとして果たし得る役割というものの記載が十分であるかをわれわれ自身でまず文章化し、文科省さんにまた改めてご相談させていただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、先生も既にご認識の通り、エコシステム全体をわれわれがコントロールする、あるいは潜れるわけでは当然ないので、その点も踏まえて考えさせていただければと思います。
 以上でございます。

【白坂臨時委員】 白坂です。
 今の件、了解いたしました。もちろんJAXAさんだけで全部をやるわけではないので、JAXAさんのやる範囲において、という観点で立っていただけたら十分かと思います。ありがとうございます。

【JAXA(森)】 承知いたしました。

【髙橋部会長】 よろしいですか。
 今の件になりますが、最初の件は、縦軸・横軸が分かる一覧表のようなものを作って全体を見えるようにするところから始まるのかなと思います。
 2番目の話は時間軸ですので、橋渡しして民間移転した後に、その取組がどのようになっているかということをモニタリングしていくという仕組みも作って、時間軸で見ていくというのが2つ目かなと思います。
 3番目は、こちらは広がりの話かと思います。ですので、1つのテーマ、あるいはプロジェクトがそれで終わらないように、いかにその取組が広がっていくかということについて、そちらが分かるようなツール、あるいは見え方ができていくことで、今の白坂委員のご要望にもある程度応えられるのかなと思いますので、文科省と、それからJAXAの皆さんで少し、一度検討していただければと思いますが、よろしいでしょうか。

【渡邉課長補佐】 文科省です。
 JAXAとも検討してやりたいと思います。

【白坂臨時委員】 白坂のほうも、今ので問題ございません。ありがとうございます。

【髙橋部会長】 それでは、他にご意見等ございましたら、すみませんが、お手を挙げていただけませんでしょうか。よろしいですか。
 中村委員、どうぞ。

【中村臨時委員】 すみません。今回の議題と少しずれるかもしれませんが、前回の部会で情報収集衛星関係の評価に関して再考いただかないと、私たち委員では評価できませんというような議論があったと思いますが、その件についてはいかがな状況でしょうか。

【渡邉課長補佐】 文科省のほうからお答えしたいと思います。
 今、中村先生おっしゃった情報集衛星のところは、機微な情報ということで、JAXAに出してもらった情報だけではなかなか評価が難しいというようなことがここ1~2年ぐらいずっと続いてきたわけですが、今、この中長期目標の改訂に当たっては、そのような評価の際の事情も踏まえ、総務省に対して、例えば、目標の中には情報収集衛星の項目はあるものの、その部分は評価しないというような取り扱いはできるのかというようなところを問い合わせしているところです。
 まだ総務省の正式な検討結果が返ってきておりませんが、そのような取り扱いができるかどうかという総務省の回答も含めて、今後の評価の議論の中で、情報収集衛星のところをどのように取り扱うかということについて、ご相談させていただきたいと思っています。

【髙橋部会長】 よろしいでしょうか。

【中村臨時委員】 承知いたしました。

【髙橋部会長】 他にご意見、ご質問等のある委員の方は挙手でお願いしたいと思います。何かございますか。

【赤松臨時委員】 すみません。赤松です。今、挙手を差し上げておりますが、よろしいでしょうか。

【髙橋部会長】 どうぞ。

【赤松臨時委員】 すみません。私よく理解できていないところがあるのかもしれませんので、最初に文部科学省さまに少しご質問差し上げます。今回、目標と計画というものを改訂いただいておりますが、こちらは、宇宙基本計画に書かれていることを、基本的にそのまま盛り込んでいると考えてよろしいのでしょうか。

【渡邉課長補佐】 そうです。基本的には宇宙基本計画で今回変わったところを反映しているということです。

【赤松臨時委員】 文言もそのままという形でよろしいのでしょうか。

【渡邉課長補佐】 基本的にはほとんどそのままですが、文言を幾つかの部分から取ってきてつなげたり、接続詞のようなところを多少いじったりしている箇所はございます。

【赤松臨時委員】 なるほど。そうであれば、そこに何かを加えたりとかということはできると理解してよろしいのでしょうか。

【渡邉課長補佐】 今回、基本的には宇宙基本計画の変更に伴う中長期目標の計画の変更ではありますが、これまで評価いただいたようなところでの課題等も踏まえ、この際、変えておくべきものがあったら、一緒に変えたいと思っています。

【赤松臨時委員】 分かりました。それでは、そのような意味で、宇宙基本計画を反映した改訂と必ずしも一致しないのかもしれませんが、私のほうから何点かご意見を出させていただきたいと思います。
 実は、昨年度の評価のときに私からもいろいろご意見を出させていただいたのですが、今回評価に参加したときにも引き続き気になった点が幾つかありまして、それらをやはり、この目標なり計画にきちんと書き込んでおかないと、JAXAとしてその点を見ながら活動していくという形にならないのかなと思い、幾つかご指摘差し上げたいと思います。具体的にどこにどう書くかということまでまだ精査できていません。申し訳ないですが、昨日この資料を見させていただいて、かなりボリューミーだったので、具体的にどうということが言えるわけではないのですが、このような視点を全体に書き加えていったほうがいいのではないかというご意見です。
 最初に、何カ所かに書かれていましたが、まず、アウトカム成果を重視するという活動の方向性を強く定義いただければと思います。こちらは何カ所かに書かれておりますが、もう少し必要なところには書き込んでいっていただけたらなと思います。例えばリモートセンシングや宇宙探査の部分に関しても、必要であればそのようなことを書き込んでいただければと思います。
2点目が全体ロードマップを見据えた運営についてです。先ほどの白坂先生のご意見にも関係するかもしれませんが、業務報告で個別的な成果の羅列になっている部分が相当数あるように見受けられましたので、事業全体のロードマップに対して、どのようにプロジェクトや開発がうまく進んでいっているのかを重視するという運営の方向性を書いていただければと思います。
また、KPIないしは目標値を設定して、それらの指標に基づく進行管理をしていくということです。この中身に関しては、具体的にこれから議論する機会があるということでしたので、そのときにいろいろ議論させていただきたいと思います。やはり目標値をしっかりと定めてそこに向かっていくのだと、あまりうやむやにしないで計画なり目標を設定するのだということを、しっかりと書き込んでおいていただきたいと思います。
 加えて、納税者である国民への成果還元や理解増進について、もちろん書かれているところもありますが、例えば、宇宙科学・探査や国際宇宙探査、ISSを含む地球低軌道活動においても必要になってくるものだと思いますので、実利用以外でも必要なところにはしっかり提示いただくことも必要ではないかと思います。
最後に、予算のバランスを考えていくことがこれから必要になってくるのではないかと思います。これは正確な数値ではありませんが、月探査について、800億円ほどの予算要求をされていると聞いています。ISSにも300~400億円がかかってきている中で、全体の宇宙開発のバランスがうまく取れているのかなと懸念されますので、しっかりとバランスを取ってやっていくということを目標の中に書き込んでいただくことが必要になってくるかと思います。
 以上のようなことをぜひ可能な範囲で、目標・計画の中に書き込んでいっていただきたいと考えております。
 また、もう一つ、追加の質問になります。目標のローマ数字3.4.1あるいはローマ数字3.4.2の辺りになるかと考えておりますが、ESAではコペルニクスというプログラムを作って、産官学で連携して、宇宙アセットから得られるデータやサービス等を実際の社会に還元していくということをやっております。これについて、もちろん皆さんご存じだと思うのですが、わが国ではなかなか、しっかりとやれている枠組みがありません。JAXAがその取組をどこまでやれるのかということは、予算面で少し難しい面もあるのかもしれませんが、オープンイノベーションで皆さん集まってやりましょうというだけだと、なかなか、実際の定着した利活用に進んでいけないということもあります。もう少し戦略的・戦術的な視点を持って、産官学が連携した運用の仕組みまで含めて、トータルなサービスの仕組みを作り上げていくプログラムも考えていっていただけないかなと思います。こちらは予算の関係もあるので、ここに書き込めるかどうか分かりませんが、ぜひご検討いただければなと思います。
 以上、長くなりましたが、そのような点をご反映いただければと考えております。以上でございます。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 ただ今赤松委員から多岐にわたるご意見、コメントがございましたので、今回の中長期目標に反映できるものと、あるいは、年末に中長期目標を見直すチャンスがございますので、この2回のチャンスに分けて、もう一回JAXAと文科省事務局で、今言ったご意見、ご指摘に対してどのようにしていくか考えていったらどうかと思いますが、渡邉さん、いかがですか。

【渡邉課長補佐】 渡邉です。
 頂いた御意見の中で、アウトカム等評価に関するご指摘を頂いたのですが、この中長期目標で言うと、例えばローマ数字3.というところに、宇宙航空政策の目標達成に向けた具体的取組について書かれている部分がございます。そちらの項目にも、一部「評価についてはこのように留意してやる」ということが書いてある箇所がございますので、そちらの目標の評価において留意すべき事項という箇所で、例えばアウトカム成果を重視する、あるいは、国民への成果・還元という観点を重視して行うというような今回頂いたご指摘について、何らか書けないかということを検討させていただきたいと思います。
 また、KPIをより具体的に設定をして評価をしていくべきというご指摘については、別途評価について議論させていただく際に、詳細な議論をさせていただければと思います。
 さらに、予算のバランスというところについては、JAXAとして運営費交付金をどう効率的に使っていくかという観点は大事だと思いますが、一方で、予算をどのように宇宙として要求していくかという点については、文科省で考えるべき部分もあると思っております。その点を目標に書くかどうかというところについては、ご相談をさせていただきたいと思っております。
 また、最後頂いたESAのコペルニクスのような、産学官連携の取組については、今回の新しい宇宙基本計画において、衛星開発実証プラットフォームというものを作るということになっております。完全にコペルニクスを代替するようなものではございませんが、この衛星開発実証プラットフォームにおいても、産官学の連携をして、政府全体の衛星開発や利用を進めていくというようなものを新たに作るということになっており、そのような新たなプラットフォームで今ご指摘頂いたような取組も今後一部考慮してやっていくということができるのではないかと考えております。

【赤松臨時委員】 ありがとうございました。
 予算の話に関しては、もちろんJAXAが考えるべきことではないかもしれませんが、先ほど、それによってJAXAの中の活動のバランスが取れなくなることが懸念されるということでしたので、お金の話を書き込むというよりは、やはりJAXAの活動の全体としてのバランスを取っていくという、活動の中身の話に関して、もし書き込めるのであれば、書き込んでおいていただきたいということであります。
 加えて、コペルニクスの件は、衛星開発という話もありますが、どちらかというと利活用の方になります。そのため、もし書き込んでいただくとしたら、そのような利活用の部分もしっかりとやっていくということを追記いただければと考えております。
 以上でございます。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 他にご意見ある委員の方いらっしゃいましたら、映像上でお手を挙げていただきたいと思いますが、よろしいですか。
 1つだけ私のほうから。こちらはお願いになりますが、資料1につきまして、変更のポイントその2に書いてある産学官の主体で構成される衛星開発実証プラットフォームの体制の下という記載があります。こちらは国が衛星を一元管理して、全体をマネジメントしていこうというような趣旨のものではないかと思いますが、どのような体制になるかというのはきっと今後決まっていくと思います。文科省の皆さんやJAXAの皆さんにお願いしたいことは、JAXAがやりにくいような体制に絶対ならないようにしていただきたいと思います。管理者がどんどん増えていって、それぞれの部署が別々な要求をJAXAに言うというようなことになってくると、ますますJAXAがやりにくくなりますので、どのような体制か分かりませんが、JAXAがやりにくくならないようなことに必ず留意して、この体制を作っていくというように、ぜひ文科省のほうからも、また、JAXAの現場としても声を上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 他に何か、渡邉さん、何かありますか。

【渡邉課長補佐】 ありがとうございます。
 このプラットフォームについては、今はまだどのように具体的にやっていくかというようなところは検討中でありますが、髙橋部会長に今頂いたような視点は重要だと思っており、特に衛星開発の分野では、これまで文科省やJAXAが全体の省庁をリードしてきたという立場だと思っております。このプラットフォームにおいて、今後調査がなされ、そして政府全体の衛星の戦略が作られていくことになっておりますが、そのようなところに文科省としても積極的に提案していけるようにしていきたいと思っております。
 また、そのプラットフォームの状況については、今後検討が進んで、ある程度見えてきたところでご報告をしたいと思っています。

【髙橋部会長】 よろしくお願いいたします。
 他にご意見、ご質問、コメント等ございますでしょうか。
 ないようですので、本件についてはここで審議を終了したいと思います。
 今回、各委員の皆さまから頂いたご意見、事前に頂いたご意見も踏まえ、ご意見、ご指摘に対しては、個々にそれぞれの具体的な対応、回答ということで、一つ一覧表か何かにして、そちらをもって委員の方に事前に見ていただいて、何かまた特段ご意見があるか、ないかということで、この中長期目標についての意見集約という形にしたいと思いますが、何かこの進め方に対しましてご意見ございますでしょうか。
 よろしければ、頂いた意見に対して個別に一覧表にして回答していくということで、本件については対応していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、今後のスケジュールとしては、共管4府省の各部会でのご意見を事務局で反映、調整した後に、早ければ今月末から文科省の審議会において意見徴収が行われる予定であります。
 最後に、事務局から何かありますでしょうか。

【渡邉課長補佐】 文部科学省です。
 本日は宇宙基本計画の変更に伴う中長期目標・計画の変更についてご意見・ご議論いただきましてありがとうございました。
 先ほど議論の中でも少し触れさせていただきましたが、本年度は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律が一部改正をされまして、来年4月1日から施行されることとなっております。その際、JAXAに出資機能が追加されるということになっており、こちらについて、12月ごろをめどに、再度、中長期目標・計画の変更ということでご意見を頂くことになります。
 その際、改めて本日頂いたご意見の中で、特に、今後のJAXAの評価に関するご意見については、もう少し深掘りをした議論をさせていただきたいと思っております。具体的な日程などについては改めて事務局からご連絡をいたします。
 事務局からの連絡は以上です。

【髙橋部会長】 ありがとうございました。
 本日は、委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、ご参集いただき、また貴重なご意見を頂きまして誠にありがとうございました。
 以上をもちまして、第18回JAXA部会を終了したいと思います。長時間どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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