国立研究開発法人審議会 宇宙航空研究開発機構部会(第12回) 議事録

1.日時

平成30年7月9日(月曜日) 10時00分~13時00分

2.場所

文部科学省 13階1会議室

3.議題

  1. 平成29年度及び第3期中期目標期間における業務実績評価の進め方について
  2. 宇宙航空研究開発機構からのヒアリング
  3. その他

4.出席者

委員

部会長代理 古城 佳子
臨時委員 永原 裕子
臨時委員 平野 正雄
臨時委員 黒田 有彩

文部科学省

宇宙開発利用課長 谷 広太
宇宙開発利用課企画官 山之内 裕哉
宇宙開発利用課課長補佐 佐々木 裕未

【説明者】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事長 山川 宏
副理事長 山本 静夫
理事 中村 雅人
理事 國中 均
理事 布野 泰広
理事補佐 舘 和夫

5.議事録

【古城部会長代理】  それでは、定刻より1分程度早いですけれども、皆さん、おそろいですので、ただいまより文部科学省JAXA部会を開催いたします。本日はお忙しい中、またお暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、髙橋部会長が御欠席でして、文部科学省国立研究開発法人審議会令第5条第5項の規定に基づき、私が議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 昨年度がJAXAの第3期中期目標期間の最終年度だったことから、本日は、JAXAの平成29年度の業務実績に加え、第3期中期目標期間における業務実績のヒアリングを行います。
 まずは事務局の文部科学省宇宙開発利用課、谷課長から御挨拶を頂きます。谷課長、御挨拶をよろしくお願いいたします。

【谷課長】  おはようございます。大変お忙しい中、またお暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。JAXA部会の委員の先生方には、毎回、長時間の御議論、また集中的な御議論を毎回いただいておりまして、大変ありがたく思っております。今期もまたどうぞよろしくお願いいたします。
 昨年度は、JAXAの評価に加えまして、第4期の中長期目標、また中長期計画の策定という大きな山がございましたけれども、これに大変な御尽力を賜りまして、ありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
 JAXAは、今年度から、御議論いただきました中長期目標、また中長期計画に基づいて新しい一歩を踏み出したというところでございまして、引き続き、是非御指導賜りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、今回の評価は、先ほど、古城部会長代理からお話がありましたとおり、年度評価に加えて、前回の中期目標期間全体の評価もお願いをしております。今月、来月、集中的に、また長時間にわたるところもあるかと思いますけれども、どうぞ御忌憚のない御意見を頂戴できればというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【古城部会長代理】  谷課長、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局から、本日の会議に関する事務的な連絡をお願いいたします。

【佐々木課長補佐】  では、事務局から事務連絡をさせていただきます。
 まず初めに、本日の会議の出席者につきまして、委員及び議事に関係のある臨時委員7名中4名が出席し、定足数を満たしていることを御報告いたします。
 次に、本日の議題でございますけれども、議題1については公開、議題2のJAXAからのヒアリングについては一部非公開とさせていただきたいと考えております。議題2の一部につきましては、安全保障機関との協力に関する機微情報が含まれるヒアリングを実施する予定でございまして、機微情報が含まれるヒアリングを公開としますと、JAXAから必要な情報が提示されず、審議の円滑な実施に影響が生じるおそれがありますことから、文部科学省国立研究開発法人審議会宇宙航空研究開発機構部会の運営規則第4条に基づきまして、非公開とさせていただければと思います。また、このヒアリングの非公開部分につきましては、JAXA部会の公開に関する規則第3条及び第4条に基づきまして、会議資料及び議事録についても非公開とさせていただければと考えております。
 事務局からは以上です。

【古城部会長代理】  今、事務局から提案がありましたとおり、議題2の一部については、非公開としたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【古城部会長代理】  では、異議なしということでしたので、議題2の一部については、非公開といたします。
 引き続き、事務局から説明をお願いいたします。

【佐々木課長補佐】  ありがとうございます。機微情報の取扱については、後ほど改めて御説明させていただきます。
 続きまして、本日の資料でございますが、議事次第のとおり配付してございます。なお、資料1につきましては、青色のファイルで年度評価の資料になります。資料2は、中期目標期間全体の評価でオレンジのファイル、参考資料については緑色の備付資料のファイルでとじさせていただいております。
 本日のヒアリングの時間割を兼ねているヒアリング項目一覧については、座席表とともに机上に置かせていただいており、このとおりにJAXAの自己評価を進めてまいります。
 また、机上配布資料としまして、机上配布資料1として、御意見記入シートの記入提出の要領というものと、あと、机上配布資料2として、黄色い付箋が多くついているものがございますが、御意見記入シートそのものを配付させていただいております。
 そのほか机上配布資料3と4がございますが、そちらについては議題2の非公開時に配付させていただきたいと思っております。
 ここまでで御質問や資料の欠落等の不備がございましたら、事務局までお知らせください。大丈夫でしょうか。
 では、続きまして、昨年度御議論いただきましたJAXAの中長期目標、中長期計画を決定いたしましたので、口頭で御紹介させていただきます。緑色のファイルの参考資料5-1と5-2で、インデックスでは15番と16番にとじておりますので、業務実績評価、今回の評価を行うに当たって参考にしていただければと思います。
 なお、目標、計画ともに、昨年度御議論いただいた時点から、軽微な修正はございますが、内容に大きな変更はございません。
 また、参考資料5-3で、インデックスの17番に、中長期目標の策定に伴って共管府省、内閣府、総務省、経済産業省、当省の共管府省における来年度以降、新しい中長期目標、中長期計画での評価項目について、その担当の案を作成しておりますので、御参照いただければと思います。これについて少し御説明させていただきます。評価の担当府省の考え方については、基本的には第3期の担当をベースにしておりますが、第4期中長期目標において、産業振興が重点事項の1つに掲げられて、リモートセンシング衛星や宇宙輸送システム、国際宇宙ステーション等の事業分野において、産業振興や国際競争力強化に向けた取組を行うことが第4期で明確に位置付けられたことや、宇宙科学研究所においても、昨年度、SS-520のロケットの打ち上げ等、産業振興に資する取組が行われてきたことなどを受けまして、経済産業省が担当する項目が第3期に比べて増えております。
 また、新たな項目として追加したローマ数字の3.7に、情報収集衛星に係る政府からの受託という項目が増えていますが、これは宇宙利用に関することでございますので、文部科学省、総務省に加えて、内閣府も担当ということになっています。
 最後に、項目のローマ数字の3.3.5から3.3.7(宇宙状況把握、海洋状況把握・早期警戒機能等、宇宙システム全体の機能保証)という安全保障関係の項目であり、これについて1点補足させていただくと、第4期中長期目標においては、当初、意図したものとは異なる成果も含めて、適切に評価を行うこととしております。これを踏まえまして、今は経済産業省は担当に入っていないのですけれども、今後、JAXAの業務実績報告の中で、これらの項目において、産業振興に係る実績などの成果が記載されるような場合には、その時点で、産業の観点から、経済産業省が評価担当に新たに加わるということになるかと思っております。
 第4期中長期目標期間における評価項目の担当府省の考え方に関する御説明は以上ですけれども、何か御質問等ございますでしょうか。
(質問無し。)
こちらで事務局からの説明を終わります。

【古城部会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入ります。
 まず、議題1ですけれども、「平成29年度及び第3期中期目標期間における業務実績評価等の進め方について」、事務局から説明をお願いいたします。

【佐々木課長補佐】  それでは、また事務局から説明させていただきます。
 資料1の平成29年度及び第3期中期目標期間における業務実績評価等の進め方についてをごらんください。
 まず、独立行政法人の評価は主務大臣が行うものですが、そのための政府統一的な指針としまして、緑のファイルの参考資料3-1、インデックスで言うと、7番に総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」を配付しておりますので、この指針を横に置きつつ説明をお聞きいただければと思います。
 資料1に戻っていただいて、まず1.の今年度の審議内容についてですが、2点、御審議いただく予定です。
 1点目が、平成29年度の業務実績評価です。
 平成29年度業務実績評価については、国立研究開発法人の「研究開発成果の最大化」及び「適正、効果的かつ効率的な業務運営の確保」のため、毎年度実施しているものでございます。今年度においても、JAXAから平成29年度の業務に関する報告及び自己評価をヒアリングし、委員の方々に御意見を頂ければと思います。
 年度評価の詳細な目的・趣旨・基本方針については、参考資料31の17ページの真ん中あたりに、「(1)年度評価」という記載がございますので、適宜御参照いただければと思います。
 2つ目は、第3期中期目標期間全体の評価を審議いただきます。
 JAXAの第3期中期目標期間は、平成25年度から29年度の5年間でございまして、昨年度末で第3期中期目標期間が終わりましたので、当該期間の評価を実施いたします。参考資料31の指針の次の18ページの真ん中あたりに、「(2)中長期目標期間評価」と書いてあるものの2に期間実績評価があるのですが、そこの1に書いてあるとおり、当該期間実績評価につきましては、国立研究開発法人の「研究開発成果の最大化」に資することを第一目的とし、「研究開発成果の最大化」及び「適正、効果的かつ効率的な業務運営の確保」のため、中長期目標の変更を含めた業務運営の改善等に資するものとされております。
 また、その下の2の期間実績評価の3に、期間実績評価時に使用した中長期目標期間終了時の実績見込み、これは昨年度、御審議いただいた見込評価というものですけれども、その実績見込みと実績とに乖離がある場合には、期間実績評価時にその原因を分析するとともに、中長期目標等の変更性を検討するとありまして、期間実績評価においては、昨年度の見込評価時の評価との差異を中心に御確認いただければと思います。
 これについては、資料1に戻っていただいて、資料1の1ポツの(2)のところに下線部及び[参考]という形で書かせていただいております。
 参考資料2-2を机上にお配りしています。A3の大きな資料です。こちらで第3期の見込評価の大臣評定と、今回のJAXAによる期間実績の自己評価との間に違いがある項目については、オレンジで色を付けさせていただいておりますので、適宜こちらも参考にしていただければと思います。
 資料1に再度戻っていただいて、2ポツの昨年度からの主な変更点ですけれども、中期目標は特段の変更はございません。
 中期計画につきましては、平成29年度補正予算の使途を特定する目的で、平成30年3月27日付で変更をしております。参考資料4-3に、中期計画の新旧対照表がありますので、適宜御参照いただければと思います。
 資料1の1ページの最後の辺りに、「3.業務実績評価の進め方」ということで、2ページまで記載しております。本評価の主体は主務大臣ですので、4府省の国立研究開発審議会においては、昨年度と同様に、S、A、B、Cの評定を付すことはせずに、JAXAの自己評価について、その評定や評価内容を変更する必要があると判断される場合に御意見を頂くことを主たる目的とします。評定や評価内容に疑義がない場合でも、当然、御意見等を頂いても結構でございます。
 本日、JAXAの自己評価書を青いファイルとオレンジのファイルを基にヒアリングを実施しますので、ヒアリング後、机上配布資料に、先ほど御紹介した御意見記入シートに御意見等を記入して事務局に御提出いただければと思います。
 共管4府省それぞれが、このヒアリング結果も踏まえた委員の皆様の御意見を事務局において集約してまして、各共管府省の部会の御意見として取りまとめて審議会の御意見として決定するということになります。
 各項目のS、A、B、Cの評定につきましては、4府省の審議会の御意見を踏まえて、4府省で協議の上決定させていただく予定であり、S、A、B、Cの評定を含む評価書については、4府省間の協議に基づくものとなりますので、文科省のJAXA部会、また文科省の審議会で頂いた御意見とは異なる結果となる可能性もありますので、その点は御了承いただければと思います。
 期間実績評価についても、今申し上げた年度評価と同様の進め方とさせていただきます。
 資料1の4.ですが、今後の4府省の部会及び審議会の日程について、3ページ以降に記載しておりますので、適宜御参照ください。
 先ほども御紹介いたしましたが、御意見記入シートの記載要領について御説明をさせていただきます。机上配布資料1の記入要領を御覧ください。
 本日のヒアリングを踏まえまして、御意見をこちらの机上配布資料2のシートに記入していただきます。評価は主務大臣の責任で行うこととなりますので、委員の皆様にS、A、B、Cの評定を書き込んでいただく必要はございませんが、この部会においては、委員の皆様から頂いた御意見を取りまとめますので、各項目に対して基本的にJAXAによる自己評価とはS、A、B、Cの評定を違うものにすべきと判断される場合に、御意見を記入いただけますと幸いでございます。次々回である3回目に委員の皆様から頂いた御意見を取りまとめさせていただきます。4府省の審議会の御意見を踏まえ、最終的に4府省合同で評定を付した評価書を1つ決定させていただく予定です。
 事務局からの説明は以上となります。

【古城部会長代理】  ありがとうございました。
 ただいまの説明において、御不明の点とか確認したい点がありましたら、事務局より補足させていただきますが、何かありますか。
 はい、どうぞ。

【永原臨時委員】  今、最後の御説明で、評価をする必要はなく、変更を必要とするときだけ意見を書くということは、この御意見欄は、もしこれで問題なければ空白のままでよいということでしょうか。

【佐々木課長補佐】  それでも結構ですし、評定を変える必要はないけれども、御意見があるということであれば意見を記載いただければと思います。

【永原臨時委員】  わかりました。

【古城部会長代理】  確認ですけれども、JAXAの評価と自分の評価が違った場合に意見を書くというのが基本だということでしょうか。

【佐々木課長補佐】  基本はそうです。

【古城部会長代理】  よろしいでしょうか。
 それでは、本資料のとおり、主務大臣が行う評価に当たり、審議会として意見を述べるための作業を進めていくことにいたします。

【平野臨時委員】  1つよろしいでしょうか。意見が異なるときには、どう異なるかは書かなければいけないわけですね。

【佐々木課長補佐】  そうです。

【平野臨時委員】  つまり、上方修正なのか下方修正なのか。

【佐々木課長補佐】  例えば、自己評価がJAXAでAだと出てきているときに、自分の意見としてはBだと思うというようなことを記載いただきたいと思います。

【平野臨時委員】  Bが妥当、そこまで書いた方がいいわけですか。

【佐々木課長補佐】  そうです。

【平野臨時委員】  Bが妥当だと思う、といったことを。

【佐々木課長補佐】  はい。

【平野臨時委員】  Sが妥当、相当だと。

【佐々木課長補佐】  はい。

【平野臨時委員】  では、まずそのことを書いて、根拠を書くという、そういうことですね。

【佐々木課長補佐】  はい。

【平野臨時委員】  それ以外も特に評価は妥当だけれどもコメントも書いてほしい、そういうことですか。

【佐々木課長補佐】  はい、コメントもしていただければと思います。

【平野臨時委員】  分かりました。

【古城部会長代理】  よろしいでしょうか。それでは、次に、議題(2)に移ります。
 本日のヒアリングについては、参考資料2-1においてお示ししている本年度の評価の項目の中から、机上にお配りしている本日のヒアリング項目一覧においてお示ししている事項に沿ってヒアリングを行います。
 それでは、まず、新たに着任されましたJAXAの山川理事長から御挨拶を頂きます。どうぞよろしくお願いします。

【山川理事長】  本日は、JAXAの業務実績にかかわる評価のためにお時間を頂戴し、ありがとうございます。今年の4月にJAXAの理事長を拝命いたしました山川でございます。
 本日は、第3期中期目標期間の最終年度でございます29年度及び平成25年4月から始まりました5か年の第3期中期目標期間の実績の評価について御意見を頂きたいと思います。
 第3期は、宇宙基本計画の策定、JAXA法の改正により民間への助言と援助業務の追加、国立研究開発法人への移行、宇宙活動法と衛星リモートセンシング法の成立、さらには国内外における宇宙市場への新興ベンチャー企業の参入など、JAXAを取り巻く環境が大きく変化いたしました。
 その中でJAXAは、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関として、宇宙安全保障の確保、民生分野における宇宙利用の推進及び産業科学技術基盤の維持・強化の観点を踏まえ、研究開発成果の最大化を目指すことが求められてきました。また、戦略的次世代航空機研究開発ビジョンが策定され、我が国の航空機産業が成長産業として発展するための施策が示されました。
 JAXAは、このような変化に対応するため、奥村前理事長のリーダーシップの下、企画力や研究開発力の強化体制を構築し、先進的で社会適用を目指す研究開発を継続して進めてまいりました。この間、ASTRO-Hの失敗もありましたが、それを契機に、プロジェクトマネジメント改革に組織全体で取り組んでおります。
 詳細な成果につきましては、この後、担当より御説明をさせていただきますけれども、理事長として業務実績を評価した結果、数々の優れた成果を出せたと自負しております。
 世界的に変化が厳しい状況の中で、宇宙航空分野は一層厳しい競争環境にさらされていると認識しており、JAXAが一丸となって日本の宇宙航空分野の発展に取り組む姿勢を国民の皆様にも、また職員一人一人にも感じてもらえるような活動を進めていきたいと考えております。そのためには2つのことを考えております。
 1つ目は、これまで取り組んできました研究開発成果が社会に活用され根付いていく世界を実現することでございます。
 2つ目は、JAXAは宇宙航空分野の新たな世界を切り開く挑戦的な研究開発に取り組み、日本の宇宙航空分野を牽引していかねばならないということでございます。
 取組の1つ目につきましては、奥村理事長時代に方向性を定めた様々なプロジェクトや施策をさらに進めて、衛星測位技術の向上・発展や、リモートセンシングデータのオープンフリー化等を通じて、衛星利用を社会インフラとして定着させていきたいと考えております。
 前中期計画に始まりました安全保障分野での宇宙技術の利用については、我が国としての重要事項として捉え、取り組んでいきたいと考えております。
 また、宇宙探査及び航空分野でのオープンイノベーションの活動や、「きぼう」利用におけるこれまで宇宙分野には参画していなかった新しいプレーヤーとの協働や、ベンチャー企業と民間事業者の参加についてもさらに進めてまいりたいというふうに考えております。
 2つ目の新たな世界を切り開く挑戦的な研究開発につきましては、先日、3月に東京で開催されましたISEF2での国際的な月探査の議論に対応できる組織をしっかりとJAXAに立ち上げるなど、その活動を牽引する研究開発を進めたいと考えております。その際は、新しいパートナーや新しい技術を積極的に取り組み、宇宙航空分野の新たなイノベーションを生み出す研究開発を進めていきたいと考えております。
 私が預かりました第4期中長期計画期間中、これまでの私の経験、例えば政府における政策立案の経験、国内外での宇宙機関での勤務経験を生かしまして、JAXAが挑戦し続ける組織となるように尽力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【古城部会長代理】  ありがとうございました。それでは、平成29年度及び第3期中期目標期間における業務実績評価の自己評価結果の総括をお願いしたいと思います。

【JAXA(中村)】  JAXAの理事の中村でございます。まず私から、概要について御説明を申し上げたいと思います。
 一番最初に緑のファイルの備え付け資料の中の資料4-1、中期目標というのがございます。これをお開きいただきたいと思います。これのページ数でいうと2というところに目次がありまして、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項から始まりまして、1.の(1)(2)というように項目が挙げられてございます。今回、評価として御審議いただきたいと考えてございますのが、この各項目に対しまして、JAXAがどんなことをやったのかということを御説明いたしますので、それについての御評価をしていただくというふうに理解をしてございます。
 例えば、一番最初のところが、宇宙安全保障の確保の中で衛星測位ですとか、2.には民生分野における宇宙利用の推進の中の衛星測位というように、同じ衛星測位でも2つございますけれども、こういうふうに番号が打ってございます。
 各項目についての評価でございますけれども、その全体の概要については、先ほど、事務局からも御説明ありましたけれども、参考資料2-2をごらんいただければと思います。これの左側に、1.1.(1)衛星測位から順番に評価項目が書かれてございますけれども、この評価項目1つ1つに当たるのが、先ほど御説明いたしました中期目標のそれぞれの項目に当たっているものでございます。
 私ども、それぞれの項目ごとに、例えば1.1.(1)衛星測位であれば、右側に「(参考)JAXA自己評価」というところにありますように、昨年度1年間の年度評価についてはBである。それから、この5年間の中期計画期間中全体の評価、期間評価についてはBであるというふうに評価をいたしました。それぞれの評価をした根拠について、この青いファイルとオレンジのファイルで御説明を差し上げるというような段取りで御説明をしていきたいと考えてございます。
 特にこのハッチングのところにつきましては、先ほど、事務局からも御説明がありましたけれども、第3期の見込評価としまして、主務大臣によりまして、平成25年から28年度の4年間について、既に評価を頂きました。私ども29年度の年度評価を行い、さらに25年度から29年度をまでを含めた5年間の評価として、第3期の期間評価をしましたところ、それが参考のところの右側の欄になるんですけれども、ハッチングのところは、昨年、主務大臣に頂きました見込評価と異なる評価を私どもさせていただいたところでございますので、ここについてしっかりと説明をさせていただくということを考えてございます。
 また、ヒアリング項目一覧と書かれている資料があろうかと思います。この評価項目のところに、1.3.(2)ですとか、その次の宇宙輸送システムでは1.1.(4)と1.3.(1)と番号が打ってありますけれども、これが先ほど御説明いたしました、この全体の表の中の評価項目の番号に当たるところでございます。一番最初にあります宇宙科学・探査は、1.3.(2)と書いてありますけれども、青色及びオレンジ色のファイルも1.3.(2)宇宙科学・探査と書いてあるところに当たります。本来なら上から順番に御説明するのがよろしいのですけれども、今日の順番としましては、ヒアリング項目一覧の資料の記載順で御説明を差し上げたいと思ってございます。
 また、一番最初に御説明します1.3.(2)宇宙科学・探査というのは、この御意見記入シートですと、37ページからになります。この37ページは、宇宙科学・探査と書かれてございまして、これに対する自己評価が書かれていまして、その下に目標、目標に対する中期計画、次のページには年度計画とありまして、41ページ、42ページには、この宇宙科学・探査に関しての評価をするときの評価軸指標等というものが書かれてございます。この評価軸指標等というのは、大臣からJAXAが頂いているものでございまして、これに基づいて、私ども、自己評価をしてまいったものでございます。こういう内容について御説明をし、委員の皆様方には43ページのところから御意見を書いていただければと、こういうふうな構成で進めていただくものと理解してございます。
 評価でございますけれども、まずこの青色のファイルをごらんいただきたいと思います。表紙にありますように、この青色のファイルが、JAXAが行いました自己評価の平成29年度の、昨年度1年間の評価結果になってございます。
 一方、このオレンジ色のファイルは、表紙にありますように中期目標期間、この5年間の期間の評価についてまとめたものになってございます。
 その概要でございますけれども、1ページ、2ページのところに、昨年1年間、特にどんな特筆すべき成果が得られたかということに関しまして、1ページ目には文章で、2ページ目には表で書かせていただいてございます。特にここに書かれてあるような事項が、私ども、特記すべき事項というふうに取り上げたものでございまして、この後、それぞれこういうことが本来の中期目標に書かれていること以上に高い評価を得たものであるというふうに認識しているという御説明をさせていただきたいと思ってございます。
 それから、これから御説明をする資料のフォーマットについて御説明をしたいと思います。
 この青色のファイルの8ページをお開きいただきたいと思います。
それぞれの資料の構成としまして、どういうところに何が書かれているかということをお示ししております。中期計画に何が書かれているかというものを転載したもの、それから評価軸・評価指標、これらは大臣から頂いておるもの、こういうものをまず書きまして、その次の段には、昨年度までどんなふうに評価を受けてきたかということを書かせていただいてございます。それから、財務、人員に関する情報がありまして、それから特記事項というふうなものを書かせていただいてございます。
 次のページに行きまして、私どもの評定符号と書いてありますけれども、S、A、B、Cという符号をどのように付けたのかということを書いてございます。評価は中期目標を達成できたということですと、Bということになりまして、中期目標の想定以上に良ければ、Sですとか、Aということになるんですけれども、この1年間、中期目標については、各項目とも全て最低限やるべきことはやったというふうに考えてございまして、全体でBが一番低い評価としてございます。さらに、最低限のことができた上で、特記事項があるものについては、特記事項が十分に評価できるものであればA、それ以上に評価できるものであればSというふうに付けておるという状況でございます。
 その概要については、評定符号の下のところに、S、A評定の場合には、その根拠を記載しているというものでございますし、Bの場合には、中期目標に沿ったことができているということで、簡単な説明を付けているという構成にしてございます。
 それから、その次の欄にありますのが、平成28年度の評価、それから昨年度行っていただきました見込評価におきまして、様々なところから御指摘を頂いてございます。その御指摘について、どのような御指摘があったかということと、それに対して、私どもがどのように課題を改善してきたのかということを書かせていただいてございますので、こちらも評価の際に御参考にしていただければと思います。
 さらに、10ページにありますように、9ページの自己評価欄では書き切れないところをさらに詳しく情報を書き込んであるのが、それ以降というような、こういうフォーマットになってございます。
 例示をさせていただきますと、この資料の下の方にA-1というページがあり、1.1.(1)衛星測位という項目がございます。先ほど申し上げたとおり、中期計画を書き、評価軸を書き、評価指標を書き、特記事項としてこんなことがあったということがまず書かれてございます。次のページ、A-2というページで、予算、人員のことが書かれておりまして、A-3というページに、評定、それから、評定に対して評価目次ということで、Bですので簡単な書き方しかしてございません。その次に、平成28年度、それから見込評価の実績評価において指摘された事項がどんなものがあったのかと、それに対してどんな改善をしてきたかということを書かせていただいております。A-4ページに、さらに詳しく書かせていただいているページを設けております。こういうような構成になっておりまして、次の項目、1.1.(2)衛星リモートセンシング等というふうに進んでいくことになってございます。
 このような形で評価をしてまいりましたので、個別の内容については、担当からそれぞれ御説明を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

【古城部会長代理】  ありがとうございました。少し複雑でございますけれども、今までもやってきたことでございます。今の御説明に対して、質疑を行いたいと思いますが、何かございますでしょうか。

【平野臨時委員】  この事務局の方で用意された今日ヒアリングする項目の下に、評価S、A、Bの考え方が記載されていて、左側が研究開発に係る事業に関する評価のSとAが、内容が全く同じ書きぶりになっているんですけれどもこれはどのようなことでしょうか。

【佐々木課長補佐】  SとAの違いは、最後から2行目に、研究開発成果の最大化に向けて、「特に」が入っているか入っていないかです。

【平野臨時委員】  なるほど。「特に」が違うわけですね。

【佐々木課長補佐】  はい。「特に」が入っていたらSです。総務大臣の指針でそのように書かれております。

【平野臨時委員】  分かりました。

【佐々木課長補佐】  その「特に」が何なのかというところの根拠は、JAXAから御説明いただいて、それを妥当とするかどうかということだと思います。

【平野臨時委員】  分かりました。

【古城部会長代理】  はい、どうぞ。

【永原臨時委員】  この29年度の業務実績と、第3期中期目標の期間の業務実績の評価を2つということですが、拝見すると、非常に重複が多くて、これを全てのものをパラで評価することが、やや重複感があるのですが、これは何か特に評価の異なっている事項だけを特別に議論するというようなことはできないのでしょうか。資料の方も、ほとんど同じようにみえますし。

【JAXA(中村)】  私どもとしましては、青色のファイルで各項目に対する29年度の評価の御説明をしたいと思っています。オレンジ色のファイルについては、昨年度、見込評価で評価をしていただいておりますので、29年度の評価と、昨年度行っていただいた評価を足し合わせて、どこに違いがあるかで、オレンジ色のファイルの5年間全体の評価をしていただければよろしいのではないかと思っています。昨年度の時点で4年間分はやっていただいていますから、ただ、今年1年間やったものを付け加えた結果として、評価としては同じだなとか、29年度に追加したことによって、この4年間の評価を少し変えた方がいいかなと、このあたりを見ていただければよろしいのではないかと思っていますので、説明においては、そんなところを中心に御説明したいと思っています。

【古城部会長代理】  よろしいでしょうか。

【永原臨時委員】  はい。

【古城部会長代理】  どうもありがとうございました。では、続きまして、本日のヒアリング項目一覧の項目の番号2「宇宙科学・探査」について、JAXAより御説明をお願いしたいと思います。

【JAXA(中村)】  この記入シートで言いますと、37ページからになります。よろしくお願いします。

【JAXA(國中)】  よろしくお願いいたします。
 それでは、宇宙科学研究所、國中から、「宇宙科学・探査」の部分について御説明申し上げます。皆様の青いファイルのC-22ページ、1.3.(2)宇宙科学・探査の部分になります。
 まず、C-22ページ、中期計画に与えられております、この宇宙科学・探査の領域におけるスコープについて簡単に御説明します。
 まず冒頭の部分ですけれども、人類の知的資産及び革新的・萌芽的な技術の形成を目的に、一定規模の資金を確保しつつ、独創的かつ先進的な宇宙科学研究を推進し、世界的研究成果を上げるということが定義されております。その具体的な方法としまして、1番、大学共同利用システムを基本とした学術研究。ページをめくっていただきましてC-23ページ目、2、宇宙科学・探査プロジェクトの遂行、こういったことを実施せよということが私らに与えられましたスコープとなると考えております。
 もう1つ御説明する必要のあることは、ここまでに至る経緯でございまして、C-25ページ目をごらんください。年表が書いてありまして、単年度評価のところは黄色いハッチングをしました平成29年でございますけれども、この中期計画中には、一番下の天文観測の部分に、ASTRO-Hにつきまして、2016年4月に私どもの不達によりまして運用を断念するという経緯がございました。ここからいかに立ち上げるかということが、新たに発生しました必要なスコープでありまして、ここの分野について御説明をしたいと考えております。
 次は、単年度の部分につきましての自己評価がC-26ページ目に記載してございます。自己評価Aを申請させていただきたいと思っております。
 具体的には、この上半分に書いてあります5つのバレットを根拠にお願い申し上げたいと思っております。
 まず1番目が、プロジェクトマネジメント改革、これは先ほど御説明いたしましたASTRO-Hの運用断念を契機に我々が断行した事象になってございます。
 第2番目が、優れた科学成果の創出。
 第3番目が、国際協力の強化。
 第4番目が、産業化の意味合いで、超小型衛星の地球周回軌道への投入実験の成功。
 それから5番目としまして、年度計画で設定した業務を全て実行いたしました。
 この5点をもちまして、A評価を頂きたいと存じます。具体的な説明に移らせていただきます。
 このページの真ん中から半分の領域に入っていきますけれども、プロジェクト業務改革の浸透による確実なプロジェクトの遂行ということを挙げてございます。プロジェクトマネジメントの仕組みを厳守し、新しいミッションの立ち上げを目指し、今現在行っております、喪失しましたX線天文衛星「ASTRO-H」の代替機につきましては、要求仕様を文書化し明確にし、RFPにおいて開発企業を選定するということを行いました。
 それからまた、将来ミッションといたしまして、火星衛星探査機(MMX)につきましても、新規要素を多く含むプロジェクトであるわけですけれども、企業等との責任分解点を明確にするという作業を行ってまいりました。
 次、第2番目が、学術研究成果の創出でございます。英国科学誌『Nature』に2編の論文を発表するとともに、査読付論文は300編以上を提出させていただきました。
 具体的な内容といたしましては、「あらせ」という地球周辺の磁気圏観測の衛星を打ち上げておりましたけれども、名古屋大学と共同いたしまして、この衛星データの解析と、同時に発生します地上からのオーロラ観測を統合した論文を発出することができております。これは特に宇宙科学研究所と名古屋大学が共同で実施しております宇宙科学連携拠点の機能が大変うまく機能した例であると考えております。
 また、「ASTRO-H」につきましては、これは大変短い期間の観測時間しかなかったわけですけれども、ペルセウス座銀河中心部分のスペクトル分析に成功いたしておりまして、この探査機が持っておりました軟X線分光装置が非常に威力があるということを、その潜在力を示すことができたと考えております。この内容につきましても、『Nature』に発表をすることができております。
 次、ページをめくっていただきまして27ページ目になりますけれども、金星の周回衛星「あかつき」を現在運用しております。このデータを分析することによりまして、金星にはスーパーローテーションという大変早い大気の流れがあるんですけれども、この内容の物理を搭載観測装置によってつまびらかにすることができておりまして、赤道部分にことさら早いジェットを世界で初めて認めることができました。これを金星ジェットと呼んでおりまして、この内容につきましても、『Nature Geoscience』に発表することができてございます。
 「かぐや」という月周回衛星につきましては、既に運用は終わったものでございますけれども、これまでに搭載カメラによって縦穴の入り口を発見することができておりました。さらに、搭載しておりますレーダーサウンダーによって、この縦穴の近傍に地下空間があるということを新たに特定することができました。この内容につきましても論文発表しておりまして、これは縦穴とつながる溶岩チューブというものがあるというふうに考えております。地球にも富士山の周りに風穴というような構造がありまして、これと似たものではないかと考えております。
 太陽観測衛星「ひので」につきましても、太陽表面は6,000度程度の温度にあるのですけれども、その上層大気は数百万度という温度になっておりまして、この加熱機構はよく分かっておりませんが、この「ひので」のデータを分析することによって、「ナノフレア」というものが特定されるに至ってきております。
 (2)番につきましては、インターナショナルトップヤングフェロー制度を設けておりまして、海外の研究者を日本国内に、宇宙科学研究所に招聘するメカニズムを持っております。このような機構を使いまして、宇宙科学研究所の活動を世に広めるということに努力しております。
 3番目、国際協力につきましては、ASTRO-Hの事故におきまして世界的な信頼を失ったわけですけれども、多くのディベート、それから業務改革を行うことによりまして、国際信用を回復いたしまして、NASA/ESAから協力を取り付けて、X線代替機の開発に着手しておるところです。
 また、MMX(火星衛星探査機)につきましてはヨーロッパから、DESTINY+というミッションにつきましてもドイツから協力を取り付けることに成功しております。
 アメリカにつきましてもCAESARという彗星サンプルリターンミッションに、アメリカから要請されまして、サンプルリターンカプセルの提供を軸に共同事業を行うべく検討を行っております。
 「はやぶさ2」につきましても、2020年のカプセル回収に向けて、オーストラリア政府と密に折衝を行っておるということを御説明させていただきたいと思います。
 SS-520は、産業化という意味合いにおきまして、小型のロケットの打ち上げに成功し、JAXAの持っている技術を移転するということを努力しておるものです。
 ここまでが単年度評価の部分になります。
 次に、オレンジ色のファイルに移っていただきまして、期間評価につきまして御説明させていただきたいと思います。ページはC-20ページ目からになります。
 ここは先ほど御指摘のように、重複事項もありますので、差異の部分を中心に御説明したいと思います。C-23ページ目になります。
 ここで少しコメントとしましては、昨年度の大臣見込評価はBでありました。これを我々の活動の成果に基づきまして、自己評価はAとして申請させていただきたいと思います。その差につきまして、特に重点を持って御説明したいと思います。その理由としましては、この3点を挙げております。
 繰り返しになりますが、ASTRO-Hの異常事故を受けまして、我々としては、プロジェクトマネジメントルールを改革し、業務改革を断行してまいりました。その結果としまして、ESA/NASAから信頼を回復し、代替機の開発に取り組んでおるということであります。国際協力も密に行っておるということを第1点と挙げさせていただいております。
 それから第2番目につきましては、業務改革を実施し、ASTRO-Hから得られました成果を論文発表しております。また、大学共同利用システムを大変うまく利用した科学成果の創出ということができていると考えておるものです。
 第3番目につきましては、断行いたしましたプロジェクトマネジメント改革を、ASTRO-Hの代替のみならず、他のミッションにも波及させておるということ。これによって組織運営につきましては回復ができておるということをもちまして、Aを申請させていただきたいと思います。
 具体的な内容といたしましては、2番のところ、プロジェクトや学術研究による成果創出につきましては、この中期計画中、1,700編ほどの論文を発表させていただいておるということ。
 それから、さらにめくっていただきまして、C-25ページ目、幾つかの事例ではございますけれども、「はやぶさ2」につきましては、2014年に打ち上げまして、安定的な運用を行って、これは本年度になってからの事情ではありますけれども、御承知のとおり、目標天体Ryuguに安定な運行を続けております。ここにつきましては、新たな技術開発もありまして、これまでのレンジアンドレンジレートという軌道決定法に加えて、Delta-DORという方法で、非常に短時間で高精度に軌道決定することができます。この技術を組み合わせまして、イオンエンジンの安定な運行も含めて、「はやぶさ2」が小惑星に着実に到達するということができております。
 それから、このページの最後の行になりますけれども、ImPACTなどの外部資金を獲得しまして、宇宙科学研究所、宇宙科学・探査の分野の技術を基に、新たな事業の創出であるとか、成果の社会還元を推し進めております。
 具体的な事例としましては、先ほど御説明しましたSS-520による小型衛星の打ち上げを用いまして、民間企業に技術移転をするであるとか、水素酸素を燃やすロケットエンジンの技術は、水素社会に対しても非常に貢献できる技術と考えておりまして、こういったことの周辺で技術研究開発を行っております。
 短いですけれども、これで御説明を終わらせていただきたいと思っております。

【古城部会長代理】  どうもありがとうございました。

【JAXA(中村)】  1点だけ追加させてください。
 このオレンジの方のファイル、今ご覧いただいたところで、黄色にハッチングしているところと、黄色にハッチングしていないところがあると思います。黄色にハッチングしていないところは、昨年度の見込評価のときに御提出した資料と全く表現が一緒というところでございます。黄色のところは、29年度の結果も踏まえて追加をしたとか、あるいは、表現をさらに改めたということになっておりますので、白いところは昨年既に見たものと同じですので、さっと読んでいただいても結構なのではないかと思います。オレンジのファイルの方は、全部同じようなフォーマットになっておりますので、御参考までにしていただければと思います。

【古城部会長代理】  そうしますと、この黄色のところが29年度に新たに追記した箇所ということでしょうか。

【JAXA(中村)】  平成29年度実績を踏まえて、追加をしたということです。

【古城部会長代理】  踏まえたということですね。

【JAXA(中村)】  はい。一部、表現を少し改めたというところもあります。

【古城部会長代理】  はい、分かりました。
 それでは、これまでの御説明に対して質疑を行いたいと思いますが、何か質問はございますか。永原委員。

【永原臨時委員】  まずお伺いしたい1点目ですが、宇宙科学・探査の評価軸は、何か革新的・萌芽的な技術の形成に貢献したか、世界的に優れた学術研究成果による人類の知的資産の創出に貢献したか、それから世界一級の研究成果の創出及びこれからを担う新しい学問分野の開発に貢献するデータを創出・提出したか、この3点が評価軸なわけです。29年度実績、それから中期計画、いずれも冒頭に書いてあることは、いろいろ改善をしているということです。そのこと自体はもちろん結構なことではありますが、探査についての評価軸のポイントではありません。やはりここはあくまでも評価軸に書かれたこの3つの項目に対して重点的に評価すべきではないかと思います。これは今この場でお答えいただく必要のないことですが、初めにその点を指摘したいと思います。
 それで、肝心の学術的成果の部分ですが、冒頭に書かれていることはASTRO-HのSXSの成果なのですが、これはなかなか難しい点です。日本の開発したものではなく、オランダでしたかどこかの国が開発した検出器ですから、確かに搭載機器により得られた数少ないデータですし、著者はチーム名ですけれども、関係者がたくさん含まれているわけでして、日本の成果と言って、胸を張ってこれを一番に掲げてよいかということはなかなか難しい問題だと思います。この辺は書きぶりを少し御検討いただきたいというのが2点目です。
 それから、評価とは直接関係ありませんが、ASTRO-H、ASTRO-Hと全ての書類に書いてありますが、これはよろしいのでしょうか。社会的にはもう「ひとみ」ということで表に出て、海外の機関のホームページなどを見ても、全て「ひとみ」と書かれています。事務的な問題かとも思いますけれども、確認いただきたいということが1つ。
 学術的成果に関する3点目は、成果のところで、『Nature』、『Science』ばかりが強調されています。これはマスコミやいろいろな学術評価がそういうところに異常に偏っているためではないかと思いますが、本来、そういうものではないのではないでしょうか。『Nature』、『Science』は商業誌であり、確かにおもしろい一般受けするものは『Nature』、『Science』ですけれども、本当に学術的に深いところに立ち入った成果は、それ以外にたくさんあるはずです。特に、宇宙ミッションですので、機器開発などは専門誌に投稿するのが適切なのではないかと思うのですが、それらの成果はどのようなことになっているのでしょうか。この点は、例えば今年度の評価でも、例えば「あかり」の成果などは非常にすばらしいものがあるにもかかわらず、あまり重要視されておらず、『Nature』、『Science』だけが強調されています。マスコミやよその省庁からの評価にはそれでよろしいのかもしれませんが、余りこういうことをやってしまうと、もっとしっかりしたフルペーパーで書いたようなものが評価されにくくなってしまう恐れがあります。この辺は学術の立場からもう少し書きぶりを変えていただいた方がよろしいのではないかというのが3点目です。
 それから4点目は、御説明がなかった点として、人材育成のことです。昨年の評価のときにも、この分野の人材育成がすごく重要であるということをかなり強調して指摘させていただきました。それについてのデータが付いているのですが、修士、博士とも数が余り増えていませんが、これは日本の学術全体の問題であって、宇宙分野はまだ少しよい状況を保っているとさえ言えます。問題は、修士も博士もかなり多くが宇宙分野以外に出てしまっっていることです。特に修士はとても多くが外へ行ってしまっています。これは非常にもったいないことではないでしょうか。数少ない人材を、是非宇宙分野でもう少し活躍してもらう努力は、JAXAとしては是非考えていただきたいと思います。
 その他については、国際協力ですとか、イノベーションとか、大学連携とか、よく進められた非常にいい成果になっていると思います。ただいま問題として気付いた点4つを指摘させていただきました。今この場で御回答いただかなくて結構ですので,文書を少し訂正いただきたいと思います。

【佐々木課長補佐】  この資料は公開されておりますので、今の御指摘に対して、JAXA側から、これはこういうことですというのを説明いただけませんか。

【JAXA(國中)】  前半のほうは、ほとんど答えられません。おっしゃるとおりだと思っております。
 それから、学生の指導、人材育成につきましては、宇宙科学研究分野に学生を多く集めるべく、いろいろ努力をしておりまして、総合研究大学院大学というのが宇宙科学研究所にありますけれども、具体的に金銭的な支援をして人を集めるというような努力をしております。
 また、トップヤングフェローというようなシステムで、海外からポスドクを招聘するというような活動もしておりまして、それはその中でディスカッションを深めて、ポスドクの見識を高めるということとともに、さらに、これまでに15名程度の実績がございますけれども、その何人かは既に宇宙科学研究所を巣立ちまして、海外の研究機関においてパーマネント職に就くというふうに巣立っていっております。これは宇宙科学研究所の活動を世界に広めるという意味で、我々はそういった努力もしておるわけです。
 また、SS-520というようなロケット、大型衛星になりますと、なかなか学生や若い助教を主体とすることもできるわけですけれども、気球や観測ロケット、SS-520というようなプロジェクトを介して、若手の人材を育成するというところに努力をしておるところです。
 本日答えられますのは、以上でございます。

【永原臨時委員】  それに関しましては、十分に高く評価させていただきたいと思っています。残念だと思ったのは、修士、博士を取った人たちが宇宙科学分野に職を得ないで、それ以外の分野に出てしまっているという点です。今後、こういう分野に定着してもらえるように是非ご尽力いただきたいという希望です。

【JAXA(國中)】  ありがとうございます。

【古城部会長代理】  よろしいでしょうか。

【永原臨時委員】  はい。

【古城部会長代理】  それでは、ほかに。どうぞ、平野委員。

【平野臨時委員】  このA評価とB評価の乖離があるというのは、この第3期の中期の評価の乖離という、そういうことですよね。

【JAXA(國中)】  そうです。

【平野臨時委員】  そういうことですよね。それで、このオレンジのファイルのC-23の上に、過去の単年度の評価のパターンが出ているんですけれども、27に、これはJAXAも主務大臣の評価もC、Cになっていますね。これは何でしたか。

【JAXA(國中)】  これは「ひとみ」(ASTRO-H)の事故です。

【平野臨時委員】  「ひとみ」の事故は、年度の考え方として、26年4月に事故が起きたんだけれども、反映されているのはこの2015年の評価に反映されている、そういうことですね。

【JAXA(國中)】  ぎりぎり年度末をまたいでおりまして、3月、4月であった事故です。

【平野臨時委員】  そういうことですね。いずれにしても「ひとみ」が反映されているということですね。

【JAXA(國中)】  はい。

【平野臨時委員】  回復されて、28はAになっていますよね。

【JAXA(國中)】  はい。

【平野臨時委員】  これはなぜAになったのですか。

【JAXA(國中)】  業務改革等を断行したということです。

【平野臨時委員】  さきほど御説明になった部分がA評価に当たるという評価に当時なったということですよね。

【JAXA(國中)】  そうです。

【平野臨時委員】  分かりました。
 私も永原委員と同じ印象です。本来目標で評価をすべきだというのは、そのとおりだと思う一方で、やはりこの単年度、単年度で見ると、27に沈んで、28に浮かび上がってということになっており、延べの中期計画の中でいくと、沈んだ部分をリカバーしてという、そういう努力で、成果自体はさっき御説明があったような評価だということになると、Aというよりは、想定どおり達成されたのがB評価だという定義に基けば、Bが相当というようなところにも落ち着くような気がいたします。

【古城部会長代理】  よろしいでしょうか。
 ほかにございますでしょうか。これはプロジェクトマネジメントを入れたのは、やっぱり「ひとみ」のことが非常に大きいのでということですね。

【JAXA(國中)】  それを語らずには、ここまでの中期計画の流れについては説明できないところがありますので、我々の努力部分を御説明させていただきたかったということではあります。
 また、科学的な成果を創出するためにも、プロジェクトがうまく動かなければ、そういった成果は出しようがありませんので、まず我々の足元を固めるという意味でも、そのことは言及する必要があると考えておるわけです。

【古城部会長代理】  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

【平野臨時委員】  先ほど、組織の回復ということでしたが、余りそういう概念はないと思うのですが。

【JAXA(國中)】  はい。

【平野臨時委員】  回復というのは、やっぱり皆さんがおっしゃっているアウトカムやアウトプット、企業で言えば業績のところでしょうから。なので、当然、組織努力としていろいろと改善をするというのは必要ですし、やるべきですが、回復そのものはみんな結果サイドの方で見るという、そういうことが常識的と思われます。単なるコメントですが。

【古城部会長代理】  はい、分かりました。
 ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 では、休憩を5分ほどとりたいと思います。11時12分ぐらいからでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【古城部会長代理】  それでは、時間になりましたので、よろしいでしょうか。
 それでは、ヒアリングを再開したいと思います。
 本日のヒアリング項目一覧の項目番号3「宇宙輸送システム」について、JAXAより御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【JAXA(中村)】  それでは、御説明いたします。この記入シートで言いますと、11ページと31ページ、それぞれ安全保障の分野と、産業、科学技術の基盤の維持・強化。観点が違いますけれども、同じように宇宙輸送システムが入っておりますので、両方合わせて御説明を申し上げたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

【JAXA(布野)】  輸送系を担当しております布野でございます。今、御説明ありましたように、輸送系資料といたしまして、安全保障確保に関して1.1.(4)、それから技術基盤の維持・強化で1.3.(1)の資料が2つございますが、評価軸、評価指標ともに両方同じでございますので、説明資料に関しましては、1.1.(4)で説明を申し上げます。青いファイルのA-15をごらんください。
 中期計画でございますけれども、宇宙輸送システムに関しましては、今後とも自立的な宇宙輸送能力を保持していくということが大目標として掲げられておりまして、個別の目標といたしまして、液体燃料ロケットシステムに関しましては、新型基幹ロケットH3の開発を着実に推進すること、H-2A/Bロケットの一層の信頼性向上を図るとともに、世界最高水準の打ち上げ成功率を維持すること。H-2Aロケットに関しましては、打ち上げサービスの国際競争力を強化する等が挙げられてございます。
 A-16ページに、固体燃料ロケットシステムについて書いてございますけれども、イプシロンロケットの今後の打ち上げ事業に対応するための打ち上げ能力の向上、衛星包絡域の拡大のための高度化を行うとともに、新型基幹ロケットと固体ロケットブースターのシナジー効果を発揮するとともに、H-2A/Bからの切れ目なく適用できる将来の固体ロケットの形態の在り方の検討を行う等が主な中期計画として記述されてございます。
 A-19ページをお開きください。29年度の自己評価でございます。
 宇宙輸送に関しましては、以下の2つのポイントで特に顕著な成果があったということで、自己評価としてはS評価をさせていただいております。
 1つのポイントが、輸送系技術改良に関したポイントでございまして、昨年12月末に打ち上げましたH-2Aロケット37号機におきまして、気候変動観測衛星「しきさい」と、超低高度技術衛星「つばめ」を異なる2つの軌道に投入する相乗り打ち上げを成功させました。これは、新たに推進系を追加することなく、小規模かつ低コストの開発で多様な軌道投入ミッションに対応が可能であることを実証いたしまして、打ち上げコストの低減と、打ち上げ機会の有効利用に貢献した点。
 それから同じくイプシロンの3号機の打ち上げに関しまして、小型液体推進系を搭載することによりまして、太陽同期準回帰軌道への高精度の軌道投入を実証するとともに、イプシロンロケットで試験機2号機において既に実現しておりました世界トップレベルの衛星搭載環境である音響環境並びに正弦波振動に加えまして、3号機で新たに開発いたしました低衝撃型衛星分離機構の飛行実証を成功させまして、世界トップレベルの衝撃環境も有する強化型イプシロンロケットの開発を完了いたしました。固体ロケットといたしましても、地球観測分野等で主要な需要が見込まれる太陽同期軌道への打ち上げ参入への見通しを付けた点が1つでございます。
 もう1つのポイントは、継続的な信頼性、運用性向上に係る多数機の打ち上げに関するポイントでございまして、昨年はH3ロケットの1段に使用いたしますLE-9エンジンの燃焼試験が種子島射場で開始されました。打ち上げ設備を共有するとともに、安全規制が厳しく敷かれる中、また、昨年度は過去最大の打ち上げ機数6機が計画されてございましたが、継続的な信頼性、運用性の向上の取組によりまして、エンジンの燃焼試験と両立させて、世界水準を凌駕する高い打ち上げ成功率と、オンタイム打ち上げ率を維持した点でございます。こういう取組に関しまして、新たに世界有数の衛星オペレーターでありますインマルサット社から、インマルサット6号の商業受注を三菱重工が受注したというポイント。それから、その受注に際しましては、顧客から、H3ロケットによる更なる打ち上げサービスの供給を要望された点を特に顕著な成果と評価して、S評価とさせていただいております。
 具体的にもう少し補足をさせていただきますが、A-27ページをごらんください。これが相乗り打ち上げに関する御説明でございますけれども、上の真ん中の図をごらんください。
 「しきさい」と「つばめ」の2つの衛星を打ち上げたわけでございますが、まず1番と書いてあるところでございますが、高度800キロの円軌道に「しきさい」と「つばめ」を一緒に2段のロケットで投入いたしまして、まず「しきさい」を分離してございます。約3,000秒のコーストを挟みまして、2段を再着火させまして、軌道を下げるマヌーバを行っております。その後、再度、4番のところで、3,000秒のコーストを挟んだ後に、5番のところでございますけれども、さらに再々着火、2回目のエンジンの着火を行いまして軌道を変更するということで、こういうシーケンスによりまして、「しきさい」は高度800キロの円軌道、それから「つばめ」は640キロと450キロの楕円軌道、異なる軌道に2つの衛星を入れたということを実施してございます。
 これを実施するための工夫といたしまして、主なポイントとしては2つございます。
 1つが、左の上に書いてある点でございまして、軌道遷移の多様性を広げるための微小推力の加速、減速の機能でございます。実際に3番のところで逆噴射をさせておりますが、ここでは、スロットリングという技術、これはH-2Aの高度化で開発したものでございますが、推力60%、燃焼時間10秒という短期間で小推力を発生させてございます。
 左の上の図で見にくくて恐縮でございますが、緑の線、左のポイントで60%のところで10秒間で立ち下がっている、こういう微小の推力を発生させることによって、最初の軌道変換をやってございます。その次に、5番のところで、再度、軌道変換のマヌーバをやっておりますが、ここはアイドルモード燃焼というところで、エンジンの燃焼はターボポンプによって推進薬を加圧して燃焼させる、そういうシーケンスが普通ですけれども、ここではターボポンプを使わずに、タンクの圧力で燃料を押すということで、低圧の推力によりまして、小推力を発生させるというアイドルモード燃焼という技術を使いまして軌道変換してございます。左の上の図で、これも小さくて分かりにくいんですけれども、青いところでございます、推力レベルに関しましては、300から400キロの推力で60秒ぐらい燃やしたという、こういう2つの技術を用いまして、微小な加速、減速の機能を持たせたポイントでございます。
 工夫の2つ目が、高精度に軌道を投入する技術でございまして、第1衛星「しきさい」は普通の衛星と同じように、エンジンを燃焼させながら誘導装置によって所定の軌道に乗せるという制御をやっておりまして、真ん中の図の下の青で囲われているやり方でございます。第2衛星「つばめ」の場合は、2回のコースティング、長秒時のコースティングを挟んで微小推力の軌道変換をするということで、こういうシーケンスをとると、軌道精度を確保することが非常に難しいという中で、今回、下の図の真ん中の上の青い四角で囲ってございますが、まず最終目標に機体を変更させまして、それから燃焼を開始する。必要な速度に達したところでカットオフするという新たな手法を用いることによりまして、高精度な軌道に投入するという技術を獲得いたしました。こういう2つの工夫によりまして、大規模な開発をせずに、開発費としては8億円で終わりましたけれども、2つの異なる軌道に衛星を打ち上げるという技術を開発したところがポイントでございます。
 それから、イプシロンに関しましては、A-28に書いてございますが、固体ロケットは液体燃料と違いまして、燃焼時間や推力をコントロールできないということで、高い軌道投入を実現することは難しいわけですが、今回、新たに最上段に小型の液体の推進系を付加することによりまして、高い精度で軌道投入することを実証してございます。
 28ページの真ん中の下でございますけれども、軌道投入精度、軌道長半径と軌道傾斜角の誤差の割合の中で、実際のイプシロン3号機での軌道投入精度をドットでかいてございますが、極めて高い投入精度で打ち上げが行われたということを示してございます。
 それから、環境条件でございますけれども、3号機で新たに低衝撃分離機構という、これもH-2A29号機の高度化開発で開発したものをイプシロンに適用したものでございます。火工品ではなくて、機構式で分離をさせるというメカニズムを採用することによりまして、低衝撃の衛星環境を実現したというところで、A-28ページの右の方に書いてございますが、イプシロンはH-2Aと併せて、世界トップレベルの衝撃環境を実現したということを示してございます。
 それから、A-29ページには、1号機、2号機から実績のある音響環境、それから正弦波振動に関しまして、競合のロケットに比べて最低レベルの環境であったということが示してございます。
 もう1つ、多数機の打ち上げに関しましての補足でございますが、A-25ページをごらんください。29年度は、種子島から5機、内之浦から1機、過去最大となる計6機の打ち上げが計画されてございまして、真ん中の表に書いてございますが、上に種子島の打ち上げ、内之浦の打ち上げ、一番下に示してございますように、29年度からは、打ち上げ射点設備を共用して、LE-9の燃焼試験が始まったということでございます。
 LE-9の燃焼スタンドは、開発費の大幅な低減を目的といたしまして、既存設備を最大限有効活用するということで、H-2A/Bの打ち上げの組み立て・打ち上げ関連設備と液体水素酸素などの高圧ガスを共有させる世界で類のないコンパクトな設備になってございます。
 非常に分かりにくいのですが、A-25ページの右の図を見ていただきますと、緑の丸でかいてあるところが実際の射点でございまして、ここからロケットが打ち上がります。その斜め上方に緑の四角で書いてありますが、ここが大型ロケットの組立棟でございまして、ここでロケットを組み立てて、打ち上げの10時間前に射点を出して打ち上げるというところでございます。
 燃焼スタンドは、そのそばの赤いドットでかいてあるところでございまして、非常に近接したところで燃焼試験を実施したという、これは設備を共用するためでございますが、このために赤の円がかいてございますが、燃焼試験をするためには391メートル内には人が入れないという制約の中で、打ち上げの整備作業と交錯しながら燃焼試験を実施したということで、エンジン側の要求を満たしつつ、打ち上げを全て成功させたということで、特に顕著な成果があったというふうに評価してございます。
 ということで、2つのポイントでS評価とさせていただいておりまして、他の事業に関しましては、年度計画で設定した業務を全て達成したという評価をしてございます。
 引き続きまして、期間評価につきましては、オレンジ色のファイルの同じく1.1.(4)をごらんください。
 評価でございますけれども、A-19ページでございます。
 昨年実施いただきました見込評価の際に、大臣評価でS評価を頂いておりますが、その見込評価から今も説明申し上げましたように、更なる上回るポイントがあったということで、自己評価をS評価とさせていただいております。
 説明に関しては以上でございます。

【古城部会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、質疑に移りたいと思います。いかがでしょうか、質問をどうぞ。

【永原臨時委員】  全体として非常にすばらしい成果が上がっているものと認識いたしました。ただ、この評価書、青い方の紙ですが、読んで初めに非常に混乱いたしました。Sの選定理由として1項目目は良いのですが、2項目目の方は、安全規制云々で、厳しく敷かれる中とあって、理解できませんでした。今、御説明を聞いて、ようやく理解できました。しかし、これはかなり内輪の事情ですよね。経緯を考えると評価すべきところは、まず、新型ロケットH3の開発が非常に順調に進んでいるということ、次に、非常に信頼性の高い打ち上げ成功率は本当にすばらしいものなので、30回ぐらいの中での1回だけの失敗ということを独立項目として評価したらよいのではないかと思います。別の点としまして、低コスト開発のことをお尋ねいたします。文章中では冒頭の方で小規模かつ低コストでということは強調されているのですが、それが実際にできているということの証拠を示すことは可能でしょうか。

【JAXA(布野)】  実際に予算的には8億です。相乗り打ち上げですよね。

【永原臨時委員】  はい。

【JAXA(布野)】  8億で実施しまして、それも予算で頂いている範囲内でやったということです。

【永原臨時委員】  そうですか。

【JAXA(布野)】  はい。

【平野臨時委員】  この青い年度評価の業務実績報告書のA-24に打ち上げの実績が並んでいて、どれも成功ですばらしいということではあるのでしょうが、もともと三菱重工さんに移管をし、商用化を図っていくというのが大きなテーマとしてある中で、このうち諸外国から受注した衛星を打ち上げたものの中から、収入を上げられたものという区分はできるのですか。

【JAXA(布野)】  打ち上げサービスに関しましては、三菱重工が打ち上げサービスを提供するという中でやっているということで、私どもも打ち上げサービスを購入するという形でやっておりますので、その収入がどうかというのは答えづらいです。

【平野臨時委員】  では、これとは別に重工さんが単独で受注活動をして打ち上げているものがあるという、そういうことではないのですか。

【JAXA(布野)】  打ったのはこれで全てです。例えば、テレサットという衛星を打ち上げています。29号機です。これは三菱重工が商業活動をして受注した。我々は高度化という開発と併せて打ち上げたわけですけれども、そういうものとしては、例えば防衛省さんのエックスバンド衛星に関しても、これはJAXAの衛星ではございませんで、三菱重工が商業活動として受注してきたということになります。

【平野臨時委員】  政府系の衛星も三菱重工が商業活動をして受注して、皆さんがサポートをしている、そういうことですか。

【JAXA(布野)】  そうです。

【平野臨時委員】  これは重工さんの問題になるのだろうけれども、それは利益が上がる持続可能なビジネスになっているのですか。

【JAXA(布野)】  それはちょっと、三菱重工さんに確認いただきたいと思います。

【平野臨時委員】  しかし、現実には皆さんがいろいろと技術的な部分を支援をされていたり、開発をされているわけでしょう。

【JAXA(布野)】  H-2Aの場合は、役割分担の中で、JAXAとしては、1つは安全監理業務ということをやるということと、もう1つが、信頼性の向上、運用性の向上という取組をやっておりまして、現時点では、打ち上げ後、評価して、例えば是正するところがあれば手を打つということに継続的に取り組んでいるというのは事実としてございます。

【平野臨時委員】  そういう彼らとしてみると、ビジネス、事業でやっているという中で、競争力を高めていくためのいろいろな改善は共同で検討されている部分は相当大きいわけですよね。

【JAXA(布野)】  数字が示しますように、信頼性が上がってきているということで、徐々にそういう部分が少なくなっているのは事実でございます。H-2A/Bの場合は、そういう両者の役割分担で、JAXAも信頼性向上等の取組をやるということですが、H3に向けては、もっと民間の主体的な取組を強化するということで、運用段階に入れば民間が主体的にやるという、そういうスキームの中で今、H3の開発をやっているところでございます。

【平野臨時委員】  したがって、H3ロケットの開発目標には、そうした商業衛星としての競争力のあるものをつくるのだということが入っていますか。

【JAXA(布野)】  はい、そうです。

【平野臨時委員】  であれば、事業そのものの収益性云々というのは、それは事業会社の問題かもしれませんけれども、そのような商業的に競争力のある輸送系の開発ということに関する評価、それは例えば打ち上げの成功比率を見れば、世界水準でトップクラスだということは理解できるのですが、トータルのコストを含めた国際競争力をどのように確保していくかということは、評価の項目には入っていらっしゃらないのでしょうか。

【JAXA(布野)】  まず前期と今期で打ち上げ機数が倍増になったという点と、それからもう1つ、受託打ち上げが、つまり、政府衛星とか、商業も含めて、5機から12機になったというところで、要は、JAXAの衛星だけではなくて、そういうほかのユーザーからの打ち上げが増えてきているというのが評価すべきポイントだというふうに認識してございます。

【平野臨時委員】  それは具体的な目標設定もされてやられているんですか。

【JAXA(布野)】  目標設定にはなってございませんでしたけれども、実際問題として、期間の評価とすると、そういう総括ができるというふうに思っております。

【平野臨時委員】  次のH3においては、そういう商業打ち上げとして競争力のあるものを目指されるのですね。

【JAXA(布野)】  H3の目標は、自立性を確保しつつ、国際競争力を持たせるというのが目標にございまして、それから、打ち上げ機数に関しましては、ミッション要求6機というふうになってございまして、官需は大体平均すると年3機とかそういう世界ですから、当然ながら余るところは商業を取っていくという、そういうことになります。

【平野臨時委員】  それに関連してもう1つだけ、最近、民間の打ち上げ等も出てきましたけれども、そこに対する支援とか協力、そういったこともおやりになられているのでしょうか。

【JAXA(布野)】  具体的にはまだございませんけれども、あれば当然できることはやっていくということです。

【平野臨時委員】  なるほど。今がないというのは、そういう要請がないということですか。

【JAXA(布野)】  例えば、「MOMO」がありますけれども、それは過去にエンジンや設備に関するコンサルとか、そういう部分的な協力はございました。今回、打つに当たっては具体的な話はございませんでしたけれども、そういうことはありました。

【平野臨時委員】  先ほどから事務局が強調されていた日本の宇宙産業育成、民間の競争力を高めていくというところにおけるJAXAの役割をもう少し理解をしておきたいのですが、特にロケットということに関しては、どうお考えになっていらっしゃいますか。

【JAXA(布野)】  当然、基幹ロケットとして技術を持っているところはございますが、そのすそ野を広げるという意味では、輸送系が広がっていくことは非常に重要なことだというふうに思っておりますので、積極的にそういう取組は今後も強化していきたいというふうに思ってございます。

【平野臨時委員】  分かりました。

【古城部会長代理】  よろしいでしょうか。
 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、本日のヒアリング項目一覧の項目番号4の「衛星測位」、5番の「衛星通信・衛星放送」、6番の「衛星リモートセンシング」に進みたいと思います。
 では、JAXAより御説明をお願いいたします。

【JAXA(中村)】  資料番号で言いますと、衛星測位につきましては評価書の4ページ、それから衛星リモートセンシングが6ページ、それから、衛星通信・衛星放送が9ページということで、まず安全保障の分野のものがありまして、それから民生の方ですと、衛星測位が17ページ、衛星リモートセンシングが19ページ、衛星通信・衛星放送が26ページからというふうになっておりますので、やはりここも安全保障と民生の分野と2つありますので、数字が2つずつになっております。資料としては、4、5、6の順番で御説明したいと思います。
 お願いします。

【JAXA(館)】  衛星を担当しています館でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず衛星測位から参りたいと思います。衛星測位は、安全保障と民生ともに同じ評価軸でございますので、民生を中心に御説明したいと思います。
 それでは、お手元の青色のファイルでいいますと、1.1.(1)でございます。ページで申しますと、A-1ページでございます。こちらに衛星測位が書いてございますが、技術的には淡々と進めたということで、Bと評価しておりますが、ちょっと注記しておきたいところがございまして、ページで言いますと、A-4でございます。
 ここには29年度に達成したところで特記したいと思っておりますのが、業務実績の2番でございます。MADOCAを利用した事業、MADOCAというのは、JAXAが開発しました精密に軌道を測定するとか、クロックを推定するという技術でございます。この推定精度は、1に書いてございますように、軌道の推定が2.51センチ、そしてリアルタイムでも7センチという、そういう世界最高水準のものを持っているということで、この事業に関してグローバル測位サービス株式会社という会社が設立されまして、ここが世界にこの技術を展開していくということで、準天頂衛星を使って配信を始めたというところが特筆すべきことと思っています。
 続いて、4番目でございます。屋内測位システムです。これもJAXAがずっと開発を維持してきたところでございますが、こちらもIMESコンソーシアムというものができまして、こちらは社団法人でございますけれども、こちらに移管するということで、民間的な展開をするというところがこの29年度の成果と考えております。
 続きまして、期間評価に参りたいと思います。期間評価も同じく評価軸は変わってございませんので、オレンジ色のファイルの1.1.(1)、ページで言いますとA-1ですが、こちらはBと評価いたしました。これは安全保障にどう貢献したかという観点で見ておりますので、Bというふうに評価いたしました。
 一方で、民生分野でございますが、民生分野はB-1、1.2.(1)をごらんいただければと思います。ここは評価をAといたしました。それについて御説明したいと思います。ページで言いますと、B-3ページでございます。
 昨年度の見込評価でもAを頂いておりますが、ここに少し注記させていただきたいのは、やはりこの「みちびき」が打ち上がって以来、我々はGPSを使うチップベンダー全ての9社がそれぞれ採用したということで、「みちびき」がもう既に製品の中に入っている。したがって、我々が携帯を見ますと、GPSで位置を測定していますが、この測定の中にも「みちびき」のデータが使われているというところが上げられます。
 我々は、それを踏まえて、さらに先ほど申しましたように、MADOCAというソフトウエアを使いまして全世界に展開していくという枠組みも1つできた、こういう点が評価できることだと思っています。
 したがって、この2点を含めまして、ここでA評価といたしました。
 続きまして、衛星通信・衛星放送に参りたいと思います。衛星通信・衛星放送は、1.1.(3)と1.2.(3)がございます。これは安全保障と民生分野で若干評価軸が違っていますが、違っているところは、1つ、通信技術の向上及び我が国宇宙産業の国際競争力向上が図られたかという視点でございます。こちらは民生の部分になります。
 まず、安全保障関係につきましては、これは着実に進めたということでBと評価いたしました。
 一方、民生分野につきましても着実に進めているという点では、年度評価につきましてはBというふうにしております。
 今度は、期間評価について説明させていただきたいと思います。期間評価は、オレンジ色のファイルの1.1.(3)で、こちらは安全保障関係でございますけれども、こちらについても、先ほど申しましたように着実に進めたということでBと評価いたしました。
 一方で、民生分野でございますが、民生分野につきましては、今回、期間評価をAとさせていただきたいと思います。その背景を御説明したいと思います。
 まず、評価軸で特に通信技術の向上及び我が国宇宙産業の国際競争力強化が図られたかという視点につきまして、私どもで検討いたしまして、オレンジ色のB-37ページでございますけれども、昨年度の見込評価ではBというふうに自己判断もいたしましたけれども、今回あえてAとした背景について御説明したいと思います。
 この一番大きなポイントは、先ほどの民生分野でどれだけ貢献したか、あるいは国際競争力に貢献したかという視点で、特に技術試験衛星8型(ETS-8)でございます。これにつきましては、この衛星がベースになりまして、国産の通信衛星あるいは海外でも受注したというようなところがございます。ここに書いてございますように、15機の衛星が作られまして、うち13機はもう既に軌道上にあって、2機は今製造中という状況でございますが、このように国際的な競争力強化に役立ったという点がございます。これがまず1点目でございます。
 2点目は、ETS-8の技術の国際競争力の強化に役立ったという視点から、技術試験衛星9型、これはETS-9と呼んでいますけれども、こちらをやるということが検討されたということでございます。これも平成26年から検討が進められていまして、現在、民間の衛星メーカーと協力して進めているところです。この民間衛星メーカーはこの技術を使って商業シェアを10%とろうということを打ち出しておりまして、年間で言うと2機になります。民間の衛星メーカーとも協力して進めるという新たな取組に発展しているという点から考えまして、これはやはり国際競争力に貢献したという点でAと評価しています。
 一方、防災分野でございますが、WINDSという10年前に打ち上げられた超高速インターネット衛星がございまして、こちらにつきましては、現在、D-MATという災害派遣医療チームがみずから地球局を用いまして、災害時の医療目的で高速回線を使うということが定着しております。現実には、熊本地震におきまして、このWINDS局を持って被災地の通信に当たったという実例がございます。
 このように民生分野で使われ始めたという点を踏まえまして、今回、Aとさせていただきたいと思います。
 次ページ以降の資料は、これはアップデートしたものですので省略いたします。
 続きまして、衛星リモートセンシングに参りたいと思います。衛星リモートセンシングは、民生分野と安全保障分野がございますが、安全保障関係については後ほど御説明させていただきますということで、民生分野に話を進めたいと思います。
 民生分野でございますが、1.2.(2)でございます。青色のファイルで言いますと、B-5ページになります。こちらにつきましては、たくさんの衛星がございますけれども、先ほどの宇宙輸送システムの項目でも話にございましたが、昨年12月23日に「しきさい」、そして「つばめ」という2つの衛星が打ち上がっております。これは2つとも順調に運用している段階でございます。
 続いて12ページでございます。評定でございますけれども、ここには3つ、評定の理由を書いてございます。
 まず1つ目が、防災分野において、「防災基本計画」に情報収集手段の1つとして人工衛星が記載された。具体的には、「だいち」の研究開発が防災の行政に取り込まれたということでございます。災害発生時に、国交省とか、あるいは地方自治体でALOSを中心とした衛星データの利用が、政府から自治体まで進展した。
 具体的にここに書いてある事例といたしましては、九州北部豪雨のことが下に書いてございますけれども、先週末から発生しています西日本の豪雨に対しても、本日も含めて毎日観測をしておりまして、そのデータは既に国交省をはじめとした地方自治体に届けるような仕組みになっています。具体的にどう使われたかは、これから検証していきたいと思いますが、もう既にこういう形で取り組まれているということを御説明したいと思います。
 続きまして、我々が主導していますセンチネルアジアでございます。これはアジア付近における防災対応ということで、アジアの防災機関と宇宙機関でデータをそれぞれシェアしようということで、データを取るという作業でございます。これにつきましては、ALOS-2のデータが現地の緊急対策だけではなくて、支援にも役立ったという点で、1つレベルが上がったような形になったと思います。我々が想定していたのはデータを出すだけだったのが、そうではなくて、世界食糧計画とか、国交省が災害派遣を出すためのデータとして使われたという点でも、これは大きな成果だと思っております。
 最後ですが、GOSATの観測データでございます。これは二酸化炭素やメタンの全大気の平均濃度の観測ができるということを初めて示しました。パリ協定を御存知かと思うんですが、温室効果ガスにつきましては、インベントリをして排出量を出さなければいけないという状況がございます。これに対応しまして、衛星データが使えるということを我々は示しましたので、そのインベントリのデータにも、広く衛星データが使えないかという取組を始めました。
 その背景には、2006年にIPCCが出していますガイドラインがあります。そのガイドラインには、まだ衛星データはそんなに使えないというような形になっていまして、そのときはまだGOSATが打ち上がる前だったということもございます。そして我々はこの9年間の運用でGOSATが非常に使えるということを示してきたということで、今度、IPCCのガイドラインが2019年、恐らく日本で開催されるであろうIPCCで改訂を目指しております。
 ただJAXAだけが言っても改訂できるわけではないので、宇宙機関同士で、同じような二酸化炭素あるいはメタンを測定するような衛星につきましては、校正・検証、つまり、それらのデータがお互いに信頼できるということを示していくということで、ヨーロッパの宇宙機関と協定を結びまして、一緒に進めていこうという了解がとれています。
 また、その過程におきましても、それぞれGIOとか、あるいはCEOSという国際的な枠組みがございますので、その枠組みを通じてIPCCに働き掛けるというような取組をして、今、始めたところでございます。
 今申し上げたところがA評価としての根拠のところでございますけれども、これにつきましては、図を使った説明に参りたいと思います。
 まず最初に、B-19ページでございます。これは新燃岳の画像を毎日撮った例でございます。これはALOS-2だけではどうしても撮れない部分がございまして、これをイタリアの宇宙機関にお願いして、COSMO-SkyMedのデータも含めて撮って毎日観測しています。ちなみに、先週の豪雨についても、イタリアのCOSMO-SkyMedにお願いして、今撮っている状況でございます。このようにJAXAとイタリアとの協力関係で撮っているというようなことがございます。
 次のページのB-20ページでございます。こちらは昨年度の九州の北部豪雨ですが、そのときは、ALOS-2の緊急観測を行いました。緊急観測を行ったポイントでございますけれども、データを取りまして、土砂崩れが起きているところへいきなりヘリコプターを飛ばすわけにはいかないので、九州地方整備局は、まず当たりを付けるという点で、このALOS-2のデータを使って実際にヘリを飛ばすという形で、広域な災害にはこういう使い方をしているという状況でございます。
 また、B-21ページには、国交省さんがこの衛星データを地方で使っていただくために、みずから衛星の活用ハンドブックを作っていただいて、それを使って各所で使ってもらうという動きをしております。
 地方自治体との関係については、B-24ページにございますけれども、ここは山口県の例を書いてございます。山口県では、緊急対応マニュアルを作成いたしまして防災訓練が行われたということでございます。
 ちなみに、徳島県もやはり同じようなことをやっていまして、今回は徳島県からの要望を踏まえて観測しているというところがございます。
 35ページですが、IPCCの取組につきましては、ポンチ絵をかいてございますが、ここは先ほど申しましたところでございます。
 以上が年度評価で、評価としましてはAとしました。
 続きまして、期間評価に移らせていただきたいと思います。
 期間評価はオレンジ色のファイルのB-6ページでございます。こちらについても、たくさんの衛星がございますけれども、その中での達成したことにつきまして、簡単に触れさせていただきたいと思います。
 B-11ページ、これは見込評価においてもS評価をいたしましたけれども、今年度も期間評価としてSを要望したいと思います。
 この背景でございますが、1番目が、かなりデータの利用が進んだというところがございます。
 また、民間企業におきましても、代表的な例といたしまして、世界デジタル3D地図がございます。これは民間企業と協力いたしまして作りました。そして、これが民間事業者が展開していくという、そういうフレームができたということで、新たな宇宙利用が広がったというふうに考えております。
 2番目が、先ほど言いましたように、防災等の観測に使われているとか、あるいはGCOM-Wなどは、気象庁の気象予報だけではなくて世界の気象機関が使っているということで、まさに研究開発成果が社会に役立つということで、インフラ化したというところがございます。
 3番目が、GOSATによる国別の温室効果ガス等、あるいはGSMaP、これは世界の降水を見るソフトウエアでございますが、こういうものが使われています。また、ここで熱帯雨林早期警戒システム(JJ-FAST)と呼んでいますが、これはJICAとJAXAが協力いたしまして、世界の違法伐採を取り締まるということでございます。
 このように衛星データは国際的な社会問題解決に役立っているという状況でございます。
 詳細は、ここに書いてございますのでご覧いただければと思いますが、先ほどのJJ-FASTについて、最近入った情報としますと、ブラジルが違法伐採を監視するためにこれを使って、実際に2,600ヘクタールほどの違法伐採地が見つかった。そしてそれを取り締まって、4億円の罰金を与えたというようなことが報道されました。
 以上、このような形で実際に衛星データがなくてはならない状況になっているという状況でございます。
 続きまして、26ページでございますが、これはサイエンスの話も触れていきたいと思います。
 サイエンスといたしましては、GCOM-Wの長期観測の話でございますが、極域は氷が微妙に変動するということで、北極海と南極における氷の量の変動を見ていたところ、通常は北極海は減るのは分かっているのですが、南極の氷も減ってきた。南極の氷は今まで一定と想定されていたのが、これが減り始めているというようなことが今回発見されたということで特筆しています。新たな知見がこれで得られたと思っております。
 続きまして、データが使われているという面では、31ページでございます。先ほど申し上げました世界デジタル3D地図が使われている。我々は30メートルにつきましては無償で公開していますが、それが非常によく使われている。5メートルの方は民間企業さんの方でこれを販売しているという状況でございます。
 32ページは、GCOM-Wの衛星データが、日本だけではなく世界の気象機関に使われているという図でございます。
 データの動きですが、33ページには、ユーザーがこれだけ着実に増えているということを示しております。
 34ページは、先ほど申しました1つの例としまして、JJ-FASTの、これは熱帯雨林のほぼ100%のところを観測していますが、アマゾンの例をここに書いてございます。
 説明は以上でございます。

【古城部会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、質疑に移りたいと思いますけれども、ご質問はありますでしょうか。

【永原臨時委員】  よろしいですか。

【古城部会長代理】  はい、どうぞ。

【永原臨時委員】  衛星データがいろいろな災害ですとか、国内の社会インフラとして非常に有益であるということがあらゆるところで認識されるようになり、広く使われることになったというのはすばらしいことだと思います。他方、評価軸としては、ASEAN諸国の災害問題、スリランカのことは繰り返し説明されたのですけれども、その他の東南アジア全般でいろいろ貢献できるような気がするのですがいかがでしょうか。

【JAXA(館)】  ご説明としては抜けていたかもしれません。バングラデシュなどの洪水などにも使われています。

【永原臨時委員】  ありましたね。

【JAXA(館)】  そういう形で、何も各国だけではなくて、センチネルアジアみたいな形で全体において使われていますので、その観測の頻度は昨年だと30何件あったと思いますけれども、アジアに対しても、このALOS-2のデータは使われております。

【永原臨時委員】  もう少しお伺いしたいですが、先ほど、JAXAが直接やるわけではなく、民間がデータを扱うということでしたが、このリモセンデータなどはどういう扱いになるのですか。

【JAXA(館)】  リモートセンシングは2つございまして、無償で提供している、いわゆるグローバルに見るものは無償で提供しています。

【永原臨時委員】  無償提供ですか。

【JAXA(館)】  一方で、細かく見るものは、これは有償になります。その中で、今回、AW3Dという「だいち」を使った三次元のもの、これは有償で民
間事業者が販売しております。彼らが自分の投資も含めて販売している。

【古城部会長代理】  今のに関連なのですけれども、私も少しASEAN諸国のところで引っ掛かったんですけれども、東南アジア諸国でこういうデータが広くさらに活用されたという例はないのでしょうか。

【JAXA(館)】  27ページに書いてありますけれども、パキスタンやミャンマーなどがあります。このGSMaPというのは雨で、東南アジアは非常に雨が多いので、これを彼らが自分たちの気象予報に使います。これはやはり地上のデータが使えないとか、地上にデータがあるのだけれども、それのメンテナンスがきちんとされていないと使えないという、そういう問題に対して、このGSMaPというのは比較的使えるということで彼らが使っているということです。これは特に東南アジア付近は、今のところ、「ひまわり」がリアルタイムでデータを出してきているというところもあって使っているということです。

【古城部会長代理】  ほかにいかがでしょうか。

【平野臨時委員】  これは確認ですが、結局、主務大臣の見込評価と皆さんの今回の自己評価のギャップがあったのは、リモートセンシングと衛星通信・衛星放送のこの2つがBではなくてAではないか、そういうことですか。

【JAXA(館)】  リモートセンシングは安保のほうですね。

【佐々木課長補佐】  民生の通信は、見込評価の主務大臣評価がBで、JAXAの期間自己評価がAです。

【平野臨時委員】  そうですよね。だから、オレンジのB-37ページに、その説明が書いてあるんですね。

【佐々木課長補佐】  そうですね。

【平野臨時委員】  これは端的にはどういうことなんでしょうか。要するに、B評価に対して、皆さんはやはりAだと主張する一番大きなポイントはどこになりますか。

【JAXA(館)】  一番大きな主張は、やはり国際競争力に貢献したということです。

【平野臨時委員】  国際競争力への貢献。それは具体的にはどこのことでしょうか。

【JAXA(館)】  具体的には、このETS-8になります。これが我々だけではなくて企業さんの努力も含めて、世界の市場に打って出たというところが大きい。

【平野臨時委員】  これはこの見込評価をした時点から現在までの間に大きな進捗があった、そういうことですか。

【JAXA(館)】  ここが我々も昨年度の評価の時点でどこまで入れるかが分からなかったというところがございまして、やはりこのプロジェクト、いわゆる通常プロジェクトの追跡評価がこういう形では入らなくて、年度単位、あるいは期間だけしか見ない、そういう評価ですから、なかなか入りにくかった。しかし、今回はそうではなくて、追跡分も含めて評価していただくのが適切ではないかという形で、我々としては、先ほど申しましたように、26年度に技術試験衛星9号機の話がその結果として生まれ、28年度にETS-8が停波したという、このことを考えるならば、第3期の中期計画上で評価していただくのが一番適切ではないかという形で、今回、私どもとしてA評価でお出ししたという経過でございます。

【平野臨時委員】  なるほど、分かりました。

【古城部会長代理】  今のところで、衛星製造企業が自らの投資を引き出しつつと書いてあるんですけれども、その投資というのはかなりの額を投資していただいているのでしょうか。

【JAXA(館)】  額までは分かりませんけれども、少なくとも今のETS-8。

【古城部会長代理】  8ですよね。

【JAXA(館)】  8の方も恐らくそのまま使えなくて、彼らが自分たちの形で修正はしております。

【古城部会長代理】  それは9号機にもそういう形で行うということですか。

【JAXA(館)】  9号機自身は、JAXAのミッションとしてやりますので、全く新しい、例えば電気通信みたいな形で入れています。これは全然違う話です。

【古城部会長代理】  違う話。

【JAXA(館)】  一方、恐らく次世代の通信衛星につきましては、これはまた企業さんが何らかの形で投資をすると思っています。

【古城部会長代理】  分かりました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、本日のヒアリング項目一覧の項目番号7「その他の取組」、それから8「基盤的な施設・設備の整備」について、JAXAの方から御説明をお願いしたいと思います。

【JAXA(中村)】  記入シートでいきますと、1.1.(5)といいますのが15ページになります。それから、これに対応する民生が、1.2.(4)ですので、資料ですと29ページになります。それから、併せて御説明します1.5.(3)ですけれども、これが記入シートでいきますと67ページになります。この3項目です。それでは御説明いたします。

【JAXA(山本)】  1.1.(5)につきましては、まず青色のファイルでいきますと、A-34ページからになります。その他の取組ということで、評価軸にありますとおり、主としてSSAと、SSAを含む防衛省との関係であります。標題はその他という分かりにくい標題になっていますが、非常にセキュリティにかかわるところだと御理解いただければと思います。そういう意味で、私は企画を担当している山本でございますが、本件は全社的に取り組んでおりまして、説明としては企画部門が代表して説明するという位置付けになっています。
 まず、A-34ページ、評価軸でございますが、繰り返しですが、SSAに対して、これは政府全体でやっておりますので、JAXAの貢献の度合いが1つの軸になっております。もう1つの軸は、防衛省との間で様々なSSA以外を含めてどういう連携が図られてきたかということが評価軸になっておりますので、そのあたりを中心に御説明いたします。時間も限られていますので、35ページの評価理由、あるいは、その根拠のところだけの説明にしたいと思います。
 まず、上にポツが4つありまして、下が数字の1、2、3、この順番が対応していますので、最初の黒いポツと下の1.が関連しています。ここに書いてあることは、防衛装備庁さんが仕組みとして持っておられます外部資金の研究制度であります。この研究制度につきまして、29年度に大きな採択をいただきました。下の方の1.で御覧ください。
 1行目の後半ですけれども、5年間で20億円規模の採択ということで、これは全部で6件ありますけれども、その中の1件がJAXAであったということです。
 それから、これは大型の研究提案でありますけれども、中型あるいは小型につきましても、全部で8件ありますけれども、そのうちの2件をJAXAの提案が採択されたということでありまして、防衛省さんからの研究の部門につきましても高い評価を受けたというふうに考えております。この提案、特に大型研究につきましては、研究開発部門だけではなくて、航空部門、さらにはISASを含めてオールJAXAで取り組む提案になっております。
 それから、2ポツ目と下の2番でありますけれども、SSAであります。これは従来から国のプロジェクトとして進められておりますが、そのうちのJAXAの部分につきましては、計画どおり進めております。特に2.下のほうに書いてありますが、今回、29年度に特筆すべきものとしては、人材交流の中で、特に現場の人材についても交流が始まったということです。これまでは企画部門の交流は行われておりましたが、29年度から、現場、追跡管制部門に防衛省の方に来ていただき、その運用あるいはSSAの開発の状態を見ていただきながら、防衛省さんの開発あるいは運用に役立てていただくという活動が始まったということです。
 それから上の3ポツと下の3.が対応しておりますが、データの利用につきまして、特に海幕、これも新しいユーザーといいますか、お使いいただく組織になりますが、海幕との間で非常に急速な協力関係が深まったということです。
 これは世の中で言われておりますMaritime Domain Awarenessという海上のいろいろな状況把握という観点に関わっていると聞いておりまして、特にこれまでのレーダー衛星だけではなくて、マイクロ波のデータを使って、船以外の海象情報、例えば温度ですとか、波、あるいは流れ、そういった海上の情報も衛星を使って利用していただくということで、大きな協力が始まったとして、A評価とさせていただいております。
 それから、5年間の期間評価につきましては、オレンジ色のファイルの1.1.(5)、ページ数はA-34ページのところから始まりますが、評価軸は共通ですので、そこは割愛いたしまして、評定理由として35ページを御覧ください。
 35ページの上のところは、少し重複がありますので、下のA評価とした根拠のところだけを説明したいと思います。
 まず、評価軸にありますSSAでございますが、これはこの5年間、前期に比べますと、圧倒的にこの分野は進展したわけでございますが、特に日米の政府間の枠組みが整備され、その実施部隊としての我々とアメリカ側の実施部隊、これまた政府の傘の下に、新しく協定を結び、これまで以上にデータの交換、あるいは情報の交換が始まったということで、(1)は、そういう枠組みが大きく動いたということが1点目です。
 それから(2)は、その枠組みを踏まえて、具体的に開発を始めたということで、御案内のとおり、これは我が国の宇宙基本計画の中で、平成30年度前半までに整備し、政府と一体となって運用に入るという指示が出ておりますので、その大きな指示を踏まえて、実施部隊としては34年度を目標に開発を進めているというところであります。
 これにつきましても、防衛省との間で緊密な情報交換を行いながら、連携をとれた開発をやっております。
 それから3番目は、他国間の問題でもありますが、各国の防衛機関が様々な訓練を行っておりますが、テーブルエクササイズと呼ばれる非常に代表的な訓練があります。これは防衛省さんはなかなか、こういうSSAに関わる訓練は御経験がないということで、その運用をこれまでやってきておりますJAXAが、防衛省さんを支援しながら、国として多国間の協力にも参加したということであります。
 防衛省との個別のその他の連携につきましては、2ポツ、このページの後段に書いてあります。これまでもかなりの協力を進めてきましたが、この5年間の中では特にSSA以外にも航空分野、さらには有人の宇宙服の利用、そういったものについても協力が進んでおります。
 (2)は人材交流の問題、先ほど申し上げました。
 それから、(3)、(4)、(5)につきまして、特に5番目が新しく20億円規模の外部資金を取ったということを書いておりますし、(3)のところには、特に2020年に上がりますJAXAの衛星に防衛省さんがこれまで研究されておりました赤外線センサを積むということで具体的な研究が始まっております。今中長期のうちに打ち上がりますので、今中長期に向けて確実に成果が期待できるというところかと感じております。
 もう1つは、エンジンの話でありますが、(4)は、防衛省さんがみずからの航空機に搭載するように開発したF7と呼ばれるエンジンでありますが、これを民間に転用するということで、JAXAの航空部隊がこれまた国際競争力を強化する一環で、今期の中長期計画にも柱として載せておりますエンジン開発の中に防衛省が作られましたエンジンも、その技術について有効活用させていただくという協力が進んでいるということです。まとめますと、第2期中期に比べて非常に大きな進展が第3期にあったと。さらには、今中長期に向けて大きな成果が期待できるというような理由から、A評価を付けさせていただいたという趣旨です。
 以上です。

【古城部会長代理】  どうもありがとうございました。

【JAXA(館)】  続いて、民生分野の方は、その他で1.2.(4)でございます。こちらは宇宙状況把握(SSA)というところで、いわゆるデブリ等の観測になりますけれども、青色のファイルではB-56ページでございます。
 具体的にどんなことをやってきたかということで、評価としてはBといたしました。着実に進めたということで、JAXAにあります岡山県上齋原におけるレーダー、そして美星町における光学望遠鏡を使いまして、それでスペースデブリの接近等を解析しております。
 (2)には、接近のスクリーニングの情報はアメリカから頂きまして、接近の警告等々も含めて、私どもとしては、衝突を回避しなければいけないものがどれくらいあるかということで、昨年度は3回、実際に衛星を動かして接近の回避をいたしました。
 この過程においては、(3)のように、接近の距離ではなくて確率にするなどの工夫を行っております。
 2でございますが、これは皆さん御存知かと思うんですが、3月末から4月にかけて、中国の宇宙実験モジュール「天宮」の1号機が落ちてきたというところで、落ちる24時間前には、24時間の連絡体制を作りまして、それをモニタしていたということでございます。
 続きまして、期間評価のところですが、期間評価につきましてもBと評価いたしまして、オレンジ色のファイルのB-47ページでございます。
 こちらは、先ほど申しましたところが修正されておりますが、1点、デブリの回避の技術ということで、民間への移転がございまして、「ひまわり」の運用事業者の民間へのデブリ回避技術の移転、そして準天頂衛星システムにおける「みちびき」の整備に当たってのデブリの接近解析や回避技術の移転をしたというところでございます。
 着実に進めたということで、両方ともBと評価いたしました。
 続きまして、基盤的な施設・設備の整備を御説明したいと思います。こちらは青色のファイルのE-16ページになります。
 こちらにつきましては、Bとは評価いたしましたけれども、私どもとしては、結構進めていたところがございますので、Bのプラスぐらいのイメージで考えております。それがE-19ページに記載した3件程度は特筆の成果だというふうに考えておりますが、後ほど御説明いたします。
 まず、E-20ページですが、これはいわゆる運用につきまして、着実に進めているとともに、施設と設備の整備を進めて、経費の削減等に貢献したということが書かれてございます。
 E-22ページでございますが、ここで特記したいことを申し上げたいと思います。お手元の資料では、加速度計とか振動試験設備が2つ書いてございますが、民間事業者さんにこれを全部運転していただこうと。そうすることによってJAXAは施設の維持費も払わないという形でセーブをする。同時に民間企業さんは、これはJAXAだけではなくて、ほかの業者さんにも貸して資金を得るという、そういうことを試みました。成果はこれから出ると思うのですが、このポイントは、やはり我々の空いている施設、あるいは使っている頻度の少ないものは、こういう形で民間に有効活用してもらおうというところに焦点があります。こういう振動試験装置とか加速度装置は、そこに書いてありますように、いろいろなところで使っているというところがございます。そういう試みを今始めたというところが1つのポイントになります。
 続きまして、次のページに参りまして、23ページでございます。これは衛星などに搭載すると、機器に対して振動を与えるものと、振動は困るというこの2つの要素がございます。これにつきましては、防震装置で防震するわけですが、この防震装置の配置の仕方を工夫すれば抑えることができるということで特許を取りました。現実にこの技術を使いまして、衛星の回転をして擾乱を与えるものと、光のセンサで擾乱があると困るというものについて、組み合わせて搭載することができるということをここで示したという点がございます。このような技術につきましては、一般の企業についても設計ツールのライセンスを提供したという成果でございます。
 2点目ですが、こちらは、音響試験の40年の過去のデータを詳細に分析することによって、今までどちらかというと、過去はこうだったのでといった経験則でやってきたデータに対して過剰な要求を与えているのではないかということの分析をいたしました。やはり過剰な条件ではなくて、いわゆる質量で決めることができるんだということを見出して、それを使って機器に対する振動、これは衛星本体ではなくて、中に搭載する1つずつの部品なりコンポーネントがあるんですが、これに対する条件を緩和することができた。この背景で、1つは、GOSAT-2と書いてありますが、コンポーネントは米国のコンポーネントが入ってくるので、これに対する試験条件が厳しいのではないかと言われたところが、検討したところ、緩和することができるということで、開発スケジュールの維持やリスクが回避できたという、そういう実例でございます。
 24ページ以降の航空関係の試験設備は、これは着実に進めているということでございます。
 25ページは、電力の設備の維持・更新、あるいは臼田にあります64メートルのアンテナを今、更新しておりまして、その状況でございます。これが年度評価です。
 続きまして、期間評価に参りたいと思います。期間評価が、オレンジ色のファイルのE-13ページでございます。
 こちらにつきましては、先ほどのことも踏まえまして、ページといたしましては14ページでございます。これは見込評価と同じA評価とさせていただきました。
 これは先ほど言いましたように、1つ1つは小さな改善活動でございますけれども、長期間にわたって改善活動をいたしますと、非常に大きな効果があるということで、A評価にしております。ここに書いてありますように、熱サイクルにつきましても、従来のデータを3年かけて分析したところ、今まで8サイクル必要だったところは4サイクルで良いじゃないかということが分かったり、先ほど申しました音響試験のものも分析したところ、もう少し緩和できるのではないかということで、開発経費の削減とか、開発期間短縮に貢献したということでございます。
 また、追跡関係でいきますと、測位衛星群を使用する、GPSを使用することによって、軌道精度を非常によくできるということで、その改善を図っております。
 また、外部共用設備も着実にその件数を増やしておりまして、私どもが使っていないときについては外部に使っていただくということで、他産業の振興にも役立ったというふうに考えております。
 また、老朽化に対しましては、これは数値は直しておりますけれども、最近の数値としましては、年間6億円ぐらいの削減、これは機器を改善するだけではなくて、例えば運用も集約する。具体的には、筑波から全ての追跡局のアンテナを動かすことができるようにしたというような、そういう改善努力で削減をしております。
 説明は以上になります。

【JAXA(中村)】  追加ですけれども、1.1.(5)のその他の取組のところにつきましては、見込評価がBだったものを期間評価Aに変えておるのですけれども、ここについては、この後の非公開の情報も含めて御審議いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【古城部会長代理】  それでは、ヒアリング項目の7、8について、質問はございますでしょうか。

【平野臨時委員】  では、1つだけ。

【古城部会長代理】  はい、どうぞ。

【平野臨時委員】  今、最後に御説明いただいた1.5.(3)の基盤的な設備の中期期間評価は、見込みもA評価で、皆さんもA評価ということですが、単年度だけ見ていくと、ずっとBが続いていて、最後Aになっていますね。それは先ほどの御説明の小さな改善を積み上げてきた結果、大きな成果になって、それを積極的に評価されたという理解でよろしいですか。

【JAXA(館)】  そうです、そのとおりです。

【古城部会長代理】  よろしいでしょうか。

【平野臨時委員】  はい。

【古城部会長代理】  ほかにございますでしょうか。

【永原臨時委員】  すみません、よろしいでしょうか。

【古城部会長代理】  はい。永原委員、どうぞ。

【永原臨時委員】  御説明いただいたその他のところの民生です、ここが茫漠としていてなかなか評価が難しいものがあります.安全保障部分はクリアで、こういう部分が目標に対して前進したとなっていますが、民生部分はそうなっていません。項目でいきますと、1.2.(4)です。

【JAXA(館)】  これは基本的な宇宙状況把握ということを我々はやっていると、デブリとかの観測をやっていますという、そういうことです。

【永原臨時委員】  つまり具体的には、デブリ対策問題だけだという認識でよろしいのですか。

【JAXA(館)】  ここに書かれているのはそうです。

【永原臨時委員】  そうしますと、デブリ対策というようなことは日本独自でやることではなくて、国際的なネットワークの中でやることなのではないかと思うのですが、現状はどのように運用しているのでしょうか。

【JAXA(館)】  先ほども書いてございますけれども、やはりアメリカから情報等を頂いて、もちろん彼らにも情報を出すという形で、その情報をもらって我々が解析をしている。どうしても観測点が我々は限られているので、米国のデータも使って解析をしています。

【永原臨時委員】  それはつまり、やりとりですね、例えば、NASAですか。

【JAXA(館)】  国防省の方です。

【JAXA(山本)】  今、大きく分けて、デブリを発生させる、させないという法的な問題もあり、それから、デブリに対してどうやって安全に運用しないといけないかという問題もあり、さらには、デブリをどうやって取り除くかという、いろいろなデブリの中にもレイヤーの議論があって、政府の説明の方がいいかもしれませんけれども、法的な規制も含めて、今、急激に各国が議論を始めている。それはベンチャー企業も、やっぱり宇宙を活用するというときに、ベンチャーもある種のデブリにぶつかっては困るし、逆に、ある種の被害を与えたときの保障の仕方もあるので、いろいろな観点で国際的にデブリ問題を議論する活動が広がっているというふうに認識しています。

【JAXA(中村)】  あと、デブリにつきましては、たくさんデータを取る必要があるので、日本の上空については日本でしか取れない、アメリカの上空ではアメリカしか取れない、ヨーロッパの上空はヨーロッパしか取れない。だから、取ることは自分たちで情報を取って、それを共有するという分野が1つと、あとはお互い情報をやりとりするのですけれども、やりとりした情報を自分たちがみずから解析をして、自分たちの衛星が危ないかどうかというのを自分たちでも確認をするということをやっていますので、そこは日本が独自でやらなければいけないということになります。
 なおかつ、先ほどの期間評価の方に書いていて、去年やったことではないのでこちらに書いていないんですけれども、この解析の手法については、民間の方に我々としては解析手法を提供するということで、それぞれの事業者が自分たちでデータをもらえば、そのデータを解析できるような技術を蓄積していく、こういうようなことについてもJAXAが作業しているということで書かせていただいています。

【永原臨時委員】  そうすると、トップレベルの国際的な情報のやりとりと、それとは別に、国内においてJAXAと民間の関係があり、それはJAXAが直接やるわけではなくて、JAXAはいろいろなデータ解析を民間に出しているということでしょうか。

【JAXA(館)】  我々が解析をいたしまして、それは我々で、例えば自分たちのJAXAの衛星にぶつかるようなときは、これを全部やっております。
 一方、そういう技術については、ここに書いてありますように、「ひまわり」の運用事業者だとか、あるいは準天頂運用事業者も同じようなことをやらないと、自分たちの衛星も危ないということなので、そういう技術は移転したということです。

【永原臨時委員】  現在、デブリ問題は議論がとても活発になっているので、この1年、あるいはこの5年の中で大きく進展した部分というのは、端的に言うとどのような点なのでしょうか。

【JAXA(館)】  着実に進めているのは事実ですけれども、やはり技術的な面で言いますと、先ほど少し触れましたけれども、解析技術をよくしまして、いわゆるデブリは距離で解析するのか、そうではなくて、確率論でやるかといって、それは技術的に進歩させて、確率論でやると、回避の数が少なくなったというところは大きな成果だというふうに思っています。

【永原臨時委員】  ありがとうございます。

【古城部会長代理】  その回避の数が少なくなったというのは、要するに、余計なことをする手間が省けると、そういうことですか。

【JAXA(館)】  そうです。衛星をそのたびにチェックして、例えば軌道高度を変えないといけないという作業をやらなければいけなかったんですが、それを回避することができるようになる。

【古城部会長代理】  なるほど。

【JAXA(中村)】  回避行動が少なくなるということは、衛星に積んでいる燃料を使わないで済みますので、寿命が延びるというところに直接的にきいてくるということになると思います。

【古城部会長代理】  ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、冒頭、事務局から説明がありましたように、ここからは文部科学省国立研究開発法人審議会宇宙航空研究開発機構部会運営規則第4条に基づきまして、会議は非公開の扱いとさせていただきます。

―― 了 ――

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