令和元年度JAXA業務実績ヒアリング(第1回) 議事録

1.日時

令和2年7月27日(月曜日) 13時00分~18時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 宇宙航空研究開発機構の令和元年度における業務実績評価の進め方について
  2. 宇宙航空研究開発機構からのヒアリング
  3. その他

4.出席者

委員

【総務省JAXA部会】
部会長代理 水野 秀樹
委員 知野 恵子
専門委員 入澤 雄太
専門委員 生越 由美
専門委員 小紫 公也
専門委員 末松 憲治
専門委員 藤野 義之
専門委員 藤本 正代
専門委員 矢入 郁子

【経済産業省JAXA部会】
部会長 坂下 哲也
臨時委員 芦邊 洋司
臨時委員 大貫 美鈴
臨時委員 笹岡 愛美
臨時委員 多屋 淑子
臨時委員 堀内 保潔

文部科学省

【その他省庁】
総務省国際戦略局宇宙通信政策課課長補佐 中村 元

【説明者】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事 布野 泰広
理事 寺田 弘慈
理事 佐々木 宏
理事 國中 均
理事 張替 正敏
理事 石井 康夫
理事 中村 雅人
理事補佐 五味 淳
総括チーフエンジニア 久保田 孝

5.議事録

【中村課長補佐】 時間になりましたので、令和元年度のJAXA業務実績のヒアリングを開始いたします。
 本日はオンラインということで、ご発言されない時間については、マイクと映像についてはミュートにしていただきますように、よろしくお願いいたします。質疑の時間、質問がある場合については音声をオンにしていただいて、質問がある旨をご発言いただければ、こちらから指名いたしますので、それに合わせてご質問いただければと思います。資料は本日見えづらいケースもあるかと思います。JAXAの自己評価書等々、事前に送付しておりますので、手元のほうでもファイルを開いていただき、発表される方はページ番号で、今どこを説明しているかというところを分かりやすくご説明いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 本日の流れは以上のとおり考えております。
 続きまして、事務局から資料1の説明を差し上げたいと思います。
 宇宙航空研究開発機構の令和元年度における業務実績の評価の進め方について、皆さまご案内のところもあるかと思いますが、簡単に概略を説明させていただきたいと思います。
 今回の国立研究開発法人の制度について、2.にありますように、平成27年4月から元々の独立行政法人という分類をさらに3つに分け、下の点線枠囲みにありますように、研究開発に係る事務・事業を主要業務とし、研究開発成果の最大化を目的とする法人については、国立研究開発法人ということで、いわゆる通常の独立行政法人とは異なるような法制上の措置というものが与えられているところでございます。
 続いて2ページをご覧いただければと思います。この国立研究開発法人については、その評価に当たって、1.にありますように、独法通則法に基づきまして、共管する総務省・文部科学省・経済産業省に国立研究開発法人審議会を設置しており、内閣府は宇宙政策委員会を設置しております。このような審議会等において、この国立研究開発法人に関し、特に3.の赤字になっている業務実績の評価に当たって、審議会の委員の皆さまに科学的知見に即した意見等を頂きながら、我々の方で評価をする際に当たっての助言を頂くということを考えてございます。今年度は、中長期目標期間7年の間の2年目の評価ということになりますので、丸1の年度評価だけが該当するというところになってございます。
 続きまして3ページ目をご説明させていただきます。今回の業務実績評価のスケジュールでございますが、一番右の列にございますように、本日JAXAからこの業務実績報告書に関してヒアリングを受け、各委員の皆さまより意見を頂きます。そのご意見を各府省の部会、分科会で取りまとめ、その後審議会がある総務省・文部科学省においては審議会としての意見を取りまとめます。その後、主務大臣の評価ということで、各府省による協議を経て、最終的に9月中旬頃に業務実績の評価を決定するという流れになっております。今年度については、新型コロナウイルス感染症の影響があったこともあり、例年より1カ月遅れの完了をさせるというスケジュールで今動いているところでございます。
 続きまして、今年度の業務実績評価の進め方について、資料1の4ページをご覧いただければと思います。
 基本的にこの審議会の場においては、各委員の皆さまからご意見を頂くということで、評定をこの場で決めるということではなく、意見を頂くということになってございます。2ポツにあるように、各府省からご意見記入シートというものを送付させていただいておりますので、本日の実績報告書の説明を聞きながら、その評価が妥当であるか、あるいは評価内容を変更する必要があるかどうかについて、ご意見を記入いただいて提出いただきたいと考えております。また、評定・評価内容に異議がない場合においても、必要に応じてご質問や、来年に向けた課題などをぜひ頂きたいと考えております。
 本日、先ほどご説明したように、ヒアリングの進め方については、別途お配りしている資料3の業務実績等報告書に基づいてヒアリングを実施いたします。なお、一部の評価項目につきましては非公開ということで、本日のヒアリング終了後に資料をお送りいたしますので、メールベースで確認いただき、ご質問があればメールベースで頂ければと考えております。
 また、本日のヒアリングの結果においては、各部会等の意見として取りまとめ、最終的に審議会等の意見として各府省が決定をし、その後4府省で協議をした結果で、主務大臣として統一した評価書を作成するという流れになってございます。
 5ページ目の運営方針につきましては、これまでと大きな変更はございませんので、説明は割愛させていただきます。6ページについて、主にどういったところが変わっているかについて、これまでの説明と多少重複するところがございますが、ご説明させていただきます。
 スケジュールにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響がございましたので、例年より1カ月遅れているということでございます。また、年度計画につきましては、令和2年1月31日付で、独法の会計基準およびその解釈に基づいて、運営費交付金配分額の見直しに係る計画変更というものがありました。また、令和2年3月16日付で、同じく財務に関わるものとして、令和元年度の補正予算に関する計画の変更の2点がございました。
 また、(3)につきましては、今年度はWeb会議での開催となっておりますが、オンラインによる場合の規定ということで、Web会議システムの利用に関する記載が追加されております。
 また、7ページ目につきましては、各府省の個別のヒアリングのスケジュールでございます。本日のヒアリングが終了した後、特に総務省の委員の皆さまには、なかなか短期間のスケジュールで様々な作業をお願いすることになりますが、是非この辺りの審議会のスケジュールでうまく取りまとめに進めるようご協力いただければと思っております。
 資料1の説明は以上とさせていただきます。立て続けで恐縮ですが、資料2のほうをご覧いただければと思います。
 資料2の1ページ目が、各府省が担当している評価項目及び自己評価の結果になっております。こちらアジェンダにも記載しておりますが、ご確認いただければと思います。
 また資料2の2ページ目、3ページ目は、S・A・B・C・Dの考え方について記載がされてございます。特に3ページ目をご覧いただければと思います。どういったものがS評定に該当するのかという考え方の例示を記載してございますので、JAXAの自己評価が妥当かどうかを判断するに当たっては、こちらの指針上の評価軸、このS評定の具体例を参考にしていただきながら、是非ご意見のほうを頂きたいと考えております。中長期目標の評価軸として、一例として、宇宙科学・探査分野における世界最高水準の成果創出および国際的プレゼンスの維持・向上等の評価軸に関して言えば、例えば、世界で初めての成果や、従来の概念の覆す成果などによる当該分野でのブレイクスルー、画期性をもたらすもの、あるいは世界最高水準の達成、というようなものがS評定に該当する事例ではないかと考えてございます。その他、宇宙利用拡大と産業振興及び航空産業の振興・国際競争力強化につきましては、当該分野での世界初の成果の実用化への道筋の明確化による事業化に向けた大幅な進展というようなことがS評定に該当するのではないかと示されております。このように中長期目標上の評価軸に対応して、どのようなものがS評定に該当するのかという考え方の例示を示しておりますので、是非こちらもご参照いただければと考えております。
 駆け足で大変恐縮ですが、以上で事務局からの説明について終了します。ここまでで何かご質問等ありましたらお受けしたいと思いますので、ご質問のある方はご発言いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、こちらで事務局からの説明は終了して、続いてJAXAからの説明に移りたいと思います。
 個々人の端末によってはうまくPDFが共有されないケースもございますので、大変恐縮ですが、資料3をお手元でも開いていただきますようお願いいたします。
 それではJAXAから説明いただければと思います。最初に総括として、10分程度のお時間でご説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【JAXA(中村)】 お時間を頂きありがとうございました。JAXAの理事の中村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。声が届いていますでしょうか。

【中村課長補佐】 はい。こちら聞こえております。

【JAXA(中村)】 昨年度も評価をしていただき、ありがとうございました。今年度もまた、私どもが昨年度やりました事業の状況につきまして、ご報告を申し上げたいと思います。そちらをお聞きになりまして、私どもの励みになり、また気付きができるようなコメント等を頂ければと思っております。先生方のコメントを踏まえて、また改めて業務に務めてまいりたいと考えてございます。
 では、本日は各省庁の合同ヒアリングと聞いております。先生方の名簿を事務局のほうから頂きましたところ、経産省のJAXA部会において、経団連の産業技術本部長が堀内先生に代わられたと聞いておりますが、その他の方々につきましては、全て昨年度から継続の先生方と聞いてございます。昨年度と概ね同じ構成になっておりますので、ポイントについては絞った形でご説明をさせていただきたいと思います。
 まず資料の8ページをご覧いただけますでしょうか。タイトルは業務実績に係る自己評価結果一覧となってございます。
 2018年度の評価が書かれておりまして、その隣に2019年度におけるJAXAで行った自己評価の評定を付けてございます。2018年度のところに書いてあるものは自己評価であり、これに対して、昨年度は先生方にご審議いただいた結果、主務大臣の評定としては3カ所変更になってございます。ローマ数字3.4.1項について、自己評定はSでございましたが、主務大臣からはAと評価いただいてございます。加えて、ローマ数字3.6.2項について、自己評価はSでございましたが、主務大臣からはAと評価いただいてございます。さらに、ローマ数字3.6.4項について、自己評価はAにさせていただきましたが、主務大臣よりはBと評価いただいてございます。それ以外については、自己評価と同じ評価を主務大臣からも頂けたということでございました。
 今年度は同じような項目構成でございますが、自己評価をしたものがこのページにございます。各項目の全体の構成につきましては、資料の13ページにありますので、そちらを見ていただければと思います。
 JAXA評価項目の相関関係というタイトルのものでございます。中央に記載ありますローマ数字3.3宇宙プロジェクトの実施について、各々のプロジェクトを記載しております。衛星測位から始まり、国際有人宇宙探査まで、各プロジェクトがあり、それに対して、宇宙輸送という形で全体を支えるプロジェクト、さらには、追跡運用や環境試験のように全体を支える基盤技術としてのプロジェクトという記載があり、これらがプロジェクトとなっております。
 このプロジェクトに対する横断的な取組がローマ数字3.4になり、民間等の協業あるいは産業振興という項と、宇宙産業基盤・科学技術基盤という項がございます。さらに、これら全体を支えるための取組として、ローマ数字3.6項がございまして、国際協力・調査、理解増進・教育、プロジェクトマネジメント等々があります。
 加えて、これら全体を支える事務的な業務関連事項として、同ページ一番下に業務運営の改善・効率化、財務内容の改善、内部統制、人的資源等がございます。
 これらの項目全体で中長期目標、計画に定めている、安全保障の確保、安全・安心な社会の実現、宇宙利用拡大、産業振興、宇宙科学・探査分野での国際的プレゼンスの向上等々を実現していくという内容になってございます。そのような関係にある前提で、先ほど8ページで示したような項目に分けてご説明させていただくものになります。
 資料を戻っていただき、全体を総括している記載が1ページにございます。2019年度の業務実績と自己評価についてというタイトルで、本日ご説明いたします報告内容の概要について書かせていただいております。先ほど事務局からもご紹介ありましたように、2019年度は第4期の中長期目標期間の2年目にあたるところでございます。後ほどご説明申し上げますように、この2019年度につきましても、多くの成果を上げることができたと自負してございます。社会環境は随分大きく変化をしており、当初の予定どおりに進んだというだけではなかったと考えてございます。
 まず安全保障分野について、国内外においてますます重要視されるようになっておりますとだけ書いてございます。ここには書いてございませんが、世界各国では、宇宙軍というような、宇宙と名が付いた軍種ができたというように、宇宙そのものが新たな重要な領域と認知されるようになり、日本国内においても宇宙については安全保障上非常に重要なものになってきているという認識が高まってきていると理解してございます。
 また、その次にありますように、宇宙利用の裾野というようなものが随分広がってきております。これまでの宇宙関連企業のみならず、SONY、トヨタ自動車、キヤノン等宇宙にこれまで関わってこなかったさまざまな企業が宇宙に参入してきており、また、ベンチャー企業も増えてきてございます。さらに、地方自治体でも活発な活動をするようになってきました。例えば和歌山県においては民間打上げ射場の動きがございます。他にも、福井や九州でも自治体が積極的に取り組んで宇宙の活動をするようになってきました。それらに対して対応をしていくというような活動が求められるような年でございました。
 また、月や火星を目指す国際プロジェクトが米国から提唱され、我が国においては安倍首相が参加の意思表明を行うという状況にございました。
 さらに、航空の分野においては、新型コロナ対策で需要が落ち込み、国際的な競争環境が厳しくなっているという状況でございます。
 社会環境が予想以上に大きく変化をしましたが、このような状況において、JAXAはわが国の宇宙航空開発利用を技術で支える中核的実施機関といたしまして、基礎的な研究開発プロジェクト及びこれらを支える業務等全ての面で役職員一丸となって挑戦を続けた年でございました。
 中長期目標に掲げられました4項目に沿ってご説明申し上げますと、(1)の安全保障の確保および安全・安心な社会の実現という項目では、国の安全保障関係機関との連携を強化しました。特にプロジェクトにおいては、スペース・デブリ対策や、船舶の検出、データ転送の秘匿性向上等々に着実に取り組み、情報収集衛星の着実な研究開発を受託事業として実施しました。
 基幹ロケットについては、世界最高レベルの能力・品質を維持するとともに、新型の基幹ロケットであるH3ロケットについて、2020年度に打ち上げるべく、着実に開発を進めてございます。
 また、大型デブリ除去サービスについては、JAXAが技術的な支援を行う新たな取組として、民間とのパートナーシップ型の契約を締結いたしました。
 安全・安心な社会の実現に向けては、国の防災・災害対策、インフラの維持管理、地球温暖化のモニタリング等の幅広い分野で有効性を示しました。特に、昨年発生した台風の15号・19号の災害に対しては、「だいち2号」により緊急観測を行い、各自治体でデータを使っていただくことができました。
 また、宇宙利用拡大と産業振興という点でも、多くの貢献をできたと考えてございます。
 最初に超低高度衛星技術試験機つばめ(SLATS)についてご紹介したいと思います。このSLATSは、200kmから300kmという超低高度で観測を行いました。普通の地球観測衛星は600kmから800kmという高度で観測をしております。ただ、低いところで観測をすると、地球から近いということになりますので、小さなレンズでも非常に精度の良い画像を得ることができます。従って、観測衛星はできるだけ低い高度を飛びたいところですが、低いところでは空気の抵抗があって、なかなか長い間飛ぶことができないという問題がありました。今回SLATSは、その領域での撮影に挑戦をし、非常に良いデータを採ることができました。この成果は宇宙利用の領域の新たな開拓の1つであると考えてございます。
 また、合成開口レーダーのデータによって、インフラの変位を監視するというシステムであるANATISを開発することができ、これの利用も広がりました。
 さらに、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」を軸として、プラットフォーム化を進めてございます。このプラットフォーム化を進めることによって、SONYによる実験が進められ、また、小型衛星搭載用の光通信機器による通信も進めることができました。
 さらに、宇宙ステーションについては、国連との協同で、「きぼう」からの小型衛星の打出しというプログラムも行っており、利用の拡大、人材育成、国際協力の促進に貢献できたと考えてございます。
 加えて、民間が新たに発想することに対してJAXAが応えていこうという取組である、宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)も引き続き進めております。
また、JAXA初の取組としては、筑波宇宙センターの試験設備を民間事業者の運営に委託をすることを開始いたしました。
 さらに、3番目は、宇宙科学・探査分野における宇宙最高水準の成果創出および国際的プレゼンスの維持・向上でございます。この分野においても、世界的に優れた研究成果の創出ができたと考えております。2019年においては、小惑星探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウへの人工クレーターの生成及びその過程前後の詳細な観測、地球圏外の天体の地下物質へのアクセス、最小・複数の小天体周回人工衛星の実現という形で、幾つもの工学的な世界初を達成することができました。加えて、ジオスペース探査衛星あらせによる成果も創出することができました。
 また、米国が発表したアルテミス計画に対して、我が国はそもそもこの分野においては、国際プレゼンスの維持・向上及びわが国の権利と技術の確保を目指しておりますので、この米国の計画と日本の方針との調整が必要になっておりました。2019年度は、JAXA理事長とNASAの長官による月探査に向けた協力に関する共同声明に署名をいたしました。この活動は、安倍首相がアルテミス計画への日本の参加を決定する、あるいは内閣府の宇宙基本計画の工程表に、月周回有人拠点ゲートウェイを入れることによって参加を表明していく等というような参加検討の下支えをすることができたと理解しております。
 また、2019年度はHTV8号機でISSの安定的な運用に貢献することもできました。さらに、宇宙探査イノベーションハブ事業にも取り組んでございますが、当事業については、事業委託元のJSTにより事業評価があり、5段階中最高評価のS評価を獲得することができました。
 最後に、航空産業の振興・国際競争力強化の分野でございます。この分野においても、我が国の航空科学技術の国際優位性向上や国際基準策定に貢献することができました。2019年度では、多機関・多数機の飛行計画調整機能を追加したD-NETの運用を開始し、複数の防災機関で実際に運用をしていただくことができました。また、離着陸の間隔を短縮化するRECATシステムを国土交通省の航空局が導入し、実際に混雑時の離着陸の遅延低減に期待されております。さらに、国際民間航空機関(ICAO)においては、航空予想に関するJAXA提案の予測モデルや、大気乱流の影響を考慮したソニックブームの解析結果を評価していただくという形で、JAXAの国際的なプレゼンスも大きく向上したのではないかと考えております。
 日本は、自律的に宇宙活動を行うことができる、世界でも数少ない国の1つでございます。昨年度も多くの成果を上げることができましたが、これからもこの分野においてしっかりと努めてまいりたいと考えております。
 これらが今年度の主な成果の概要でございます。詳しくはこの後、各担当理事からご説明させていただきたいと思います。
 最後に9ページでございます。昨年同様のフォーマットで資料は作らせていただきました。昨年、先生方にはご覧いただいておりますので、おなじみの形だとは思いますが、簡単にご説明しますと、最初に中長期計画があり、主な評価軸・視点・指標が書かれております。その次にスケジュールが書かれております。その次に自己評価の付表を付けており、その評定の理由・根拠を書かせていただいているという形式です。その後は参考情報、年度計画、財務および人員に関する情報等、参考となるような情報を付けているところでございます。このような資料でこれからご説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【中村課長補佐】 ありがとうございました。それでは、ご質問は個々の項目に係るものだと思いますので、今後のヒアリングの中で個々にご質問いただくこととし、アジェンダに記載のとおりローマ数字3.3.1衛星測位、ローマ数字3.3.2衛星リモートセンシング、ローマ数字3.3.3衛星通信について、JAXAより自己評価書のご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【JAXA(寺田)】 それではJAXA理事の寺田のほうから、ローマ数字3.3.1、ローマ数字3.3.2、ローマ数字3.3.3についてご報告させていただきます。
 改めまして、4月1日に理事に就任しました寺田です。よろしくお願いいたします。
 まずローマ数字3.3.1衛星測位ですが、A-4ページをご覧ください。こちらが全体のスケジュールを俯瞰したものになります。
 衛星測位技術につきましては、2017年にみちびき初号機が内閣府に移管され、2017年に2号機、3号機、4号機が打ち上げられたことで4機体制が整備され、2018年11月から実用準天頂衛星の測位サービスが開始されました。これと並行して、7機体制に向けて高精度測位技術の研究開発が行われ、2019年度より高精度測位システムの開発が行われているという状況です。
 A-5ページ、衛星測位でございますが、関係する政府機関と密接に連携しつつ、先進的な測位技術の研究開発や測位利用ビジネスの推進に取り組み、年度計画で設定した業務を計画どおり実施したということで、自己評価はBとしております。
 具体的に、高精度測位システムの開発につきましては、7機体制構築に向け、2017年度から5、6、7号機の開発・整備に着手し、この中でJAXAは開発の一部として測位ミッションペイロード等を含む高精度測位システムの開発を実施することになりました。これは内閣府から受託するという形で行っておりまして、この高精度測位システムの開発においては、7機体制構築時にユーザー測位精度を向上させるために、新たに衛星間測距システムおよび衛星地上間測距システムを開発し、地上検証システムによって測位信号精度を大幅に向上するという技術実証を行うものであり、2019年度は測位ミッションペイロード、衛星間測距、衛星/地上間測距、高安定時刻生成等の技術および地上系の基本設計を進めました。
 また、高精度軌道時刻推定技術に関する研究開発・利用推進という観点で、MADOCAの性能向上として、パラメータチューニングによって準天頂衛星の軌道時刻推定制度の向上を継続して行い、精度劣化や計算機異常を感知して、計算機の系統を自動で選択する機能を実装することで、年間不稼働率1%未満を達成しております。
 また、東京大学・三菱電機との三者共同研究を開始し、衛星稼働率向上に関する研究に取り組んでおります。
 さらには測位航法学会と連携し、2019年度より、今後JAXAが取り組むべき衛星測位全体の研究開発ロードマップ策定を目指した測位航法学会との議論を開始して、いろいろと測位技術向上のための意見交換を始めております。
 その他の研究としては、PPP(単独搬送波位相測位)が持つ弱点である初期収束時間が長いという課題に対して、性能向上を図る研究に着手し、あるいは、現在準天頂衛星にはルビジウムの原子時計が搭載されておりますが、その原子時計をしのぐ性能を持つ衛星搭載用周波数基準の国産化に向けまして、光コムを用いた周波数基準の研究に着手しております。
 それから、3番目に測位利用技術の推進ということで、グローバル測位サービス株式会社(GPAS)に対して、リアルタイム軌道時刻暦の配信や技術開発に関する助言等の技術支援を実施しており、この助言を行った結果、2020年の1月よりベータ配信サービスというものが開始されております。
以上がローマ数字3.3.1の衛星測位でございます。
 続きまして、ローマ数字3.3.2の衛星リモートセンシングです。
 最初にA-12ページをご覧いただき、全体を俯瞰させていただきます。まず、今、運用中の衛星としては、GOSAT、GCOM-W、GPM/DPR、ALOS-2、SPAISE、SPAISE2、加えてALOS-2に搭載されているCIRC、GCOM-C、SLATS、GOSAT-2、これらが運用中の衛星であります。さらに開発中の衛星としては、EarthCARE/CPR、ALOS-3、ALOS-4、GOSAT-GWというものがございます。
 特にこの運用中の衛星のデータを使いまして事業を実施しており、関係府省等と連携を取りつつ、リモートセンシング衛星の研究開発運用成果を踏まえた社会実装化に取り組んだ結果、衛星データの利活用が安全保障分野を含めた幅広い分野に拡大・浸透・定着したということで、研究開発成果の最大化に向けて特に顕著な成果の創出があったと自己評価をして、Sの評価を付けてございます。
 具体的には、まず超低高度軌道利用の開拓・実証ということで、SLATSは2019年9月に軌道保持運用を成功裏に終了して、10月1日に運用を終了しております。イオンエンジンを用いて、271.1kmから167.4kmの7段階での軌道高度にて軌道保持技術を実証し、超低高度からの小型の望遠鏡による良好な画質の地表画像取得に成功したということで、この成果において、超低高度軌道利用の多様な可能性が開かれました。これらの成果は、日本機械学会宇宙工学部門のスペースフロンティア賞を受賞しております。また、167.4kmでの軌道保持運用ということでは、ギネスの世界記録に認定されてございます。
 A-17ページにSLATSの概要が示されてございます。ミッションとしては、超低高度衛星技術の実証、大気密度データの取得、原子状酸素データの材料劣化データの取得、小型高分解能光学センサによる高分解能撮度ということで、300kmから180kmを目標に実証を行っておりましたが、実際には180kmよりさらに低い167kmで、大気データの取得等さまざまな実証が行われ、その成果を良いものとして自己評価しております。
 また、気候変動対策等のための衛星利用の推進として、気象情報提供分野におけるJAXAの開発技術の浸透・拡大ということで、ひまわりの観測データから大気浮遊物質の光学特性を推定する新しいアルゴリズムをJAXAが開発いたしました。この開発成果は、黄砂予測図というものになりまして、2020年1月29日から気象庁のホームページで提供されています。これにより、黄砂の予測精度向上が実現したというものであります。従来、十分に得られなかった黄砂の主な発生源であるゴビ砂漠や、あるいはタクラマカン砂漠等の情報を用いて、黄砂の飛来予測を実現してございます。静止気象衛星による大気浮遊物質の観測データを気象予測で現業利用した世界初の事例ということで評価しております。
 さらに、パリ協定に基づく温室効果ガスの排出削減及びSDGsに向けた国際取り組みへの貢献ということで、2019年にIPCCにおいて人工衛星が温室効果ガスの排出量の検証手段の一つとして認められたということを踏まえ、CEOSの会合をJAXAが事務局として開催しております。また、COP25ではサイドイベントを実施するなど、国際取組に継続的に貢献しております。さらに、いぶき(GOSAT)の開発および運用による地球温暖化対策への貢献が評価され、文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しております。加えて、SDGsの実現に向けては、SDGsの指標の6.6.1の公式全球データとして、JAXAプロダクト等に基づく全球マングローブ地図データがUNEPに採用されています。
 続いて、GSMaPの普及・定着化についてになります。GSMaPの取組はこれまでも何度もこの部会で説明されておりますが、2019年度については、国連及び世界気象機関による年次声明におけるオーストラリア干ばつの記載部分の中でGSMaPが活用されているということが記載されております。WMOが日本の衛星データあるいはプロダクトを活用して声明を示した事例はまれであるということで、気象学研究におけるJAXAの衛星データの信頼性が権威ある国連の気象機関から国際的に示されることになりました。
 また、このGSMaPについて、2018年度まではアジア・太平洋地域、欧州、アフリカを対象領域として、雨分布のリアルタイムを提供しておりましたが、2019年度からGOESのデータも追加し、アメリカ大陸や太平洋島嶼国も対象としてリアルデータを提供しております。これにより、世界中の雨の様子をリアルタイムでWeb上で閲覧できるようになったということです。2019年度は台風の被害も非常に頻発して生じたということもあり、台風被害が顕著だった10月にはそのページビューが15万になったということで、量的にも非常にアクセスがあったということ、さらにはGSMaPユーザーの登録数については倍以上伸びているという状況でございます。加えて、GSMaPの開発と社会での実利用推進に関わる取組が評価され、日本気象学会岸保・立平賞を受賞してございます。
 また、SARによるインフラ点検の低コスト化に貢献するインフラ変位モニタリング技術の実用化の推進ということで、大規模なインフラ変動をmm単位で解析可能なモニタリングツール(ANATIS)につきまして、2019年度に国交省のNETISに登録されました。これを受け、さらに同技術を広く普及・展開し、また社会実装することを目的に商業利用についての公募を実施し、民間事業者5社と利用許諾契約の締結に至ったということで、研究開発成果の実用化を進め、新たな衛星データの利活用市場を拓いております。また、これらの取り組みについては、インフラメンテナンス大賞 情報通信技術の優れた活用に関する総務大臣賞を受賞してございます。
 防災災害に対する衛星利用の推進に関して、2019年は、台風15号、19号、千葉豪雨と非常に災害の多い年でありましたが、特に台風19号の際は従来行っていない対応ということで、発災前に国際災害チャーター、センチネルアジアの国際協力体制を活用し、災害発生の当日から観測データ収集により、一刻を争う災害対応のさらなる迅速化を実現しております。
 さらに、政府の宇宙政策と協調・連携ユーザーによる衛星データ利用の拡大ということで、Tellusで公開するJAXA衛星データも拡大しております。また、国立環境研究所のホームページを通じてJAXAの衛星データの公開も開始しており、衛星データの普及に向けた対応強化、新規ユーザーの利用等を推進してございます。
 続いて、ローマ数字3.3.3衛星通信でございます。A-37ページで全体のスケジュールを俯瞰すると、2019年度に運用中の衛星はございません。光データ中継衛星と技術試験衛星9号機(ETS-9)が開発中という状況です。
 衛星通信については、国際競争力を持つ次世代の通信衛星バス技術及び光衛星間通信技術の実証に向けた通信衛星の開発に取り組んだということで、年度計画で設定した業務計画どおりに実施したということで、Bの自己評価をしてございます。
 光データ中継衛星について、2019年度には衛星システムのプロトフライト試験を実施するとともに、光ターミナルのプロトモデルの製作・試験を実施いたしました。地上システムについても現地据付後の総合試験まで実施しております。
 ETS-9については、国際競争力強化ということで、2020年代に世界の商業衛星市場で一定のシェアを獲得するという観点で、全電化衛星技術、大電力化技術、高排熱技術、静止GPS受信機による自律軌道制御技術等の技術を取り入れた、次世代静止通信衛星バスを開発しております。2019年度はサブシステム及びシステムの詳細設計とエンジニアリングモデルの開発を進めております。また、2019年度は民間事業者によるETS-9の有効活用方式に関する公募を行い、軌道上デブリ等の状況を把握する静止軌道の光学モニタを搭載するという取組を行っております。
 以上、衛星測位、衛星リモートセンシング、衛星通信についての報告です。

【中村課長補佐】 ありがとうございました。それでは質疑の時間に入りたいと思います。ご質問等ある委員の方がいらっしゃいましたら、マイクをオンにしていただき、お名前をおっしゃっていただければと思います。また、差し支えない範囲で結構ですので、もし可能であれば、ビデオのほうをオンにしていただければと思います。それではご質問のある方、いらっしゃいましたらご発言をお願いいたします。

【知野委員】 知野ですが、質問よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 よろしくお願いいたします。

【知野委員】 A-14ページ、SLATS(つばめ)になりますが、中村理事からのご説明でも、宇宙の新領域を開かれたという、非常に意義あることだというご説明をいただきましたが、その成果をこの後どのように活かされるのか、例えば、次のプロジェクトや後継計画のようなもの等はどのようになっていますでしょうか。

【JAXA(寺田)】 お答えいたします。具体的な後継機については、そのミッションを現在いろいろと検討しているという状況です。
 低高度での観測機器と非常に相性が良いものは、例えばLIDARというレーザー技術があります。この技術によって、例えば風の観測をするというような技術とマッチングさせることによって、後継機を生み出す検討をしております。
 
【知野委員】 この成果を見て、例えばどこか民間企業や外国等から引きはなかったのでしょうか。あるいはまだこれからでしょうか。

【JAXA(寺田)】 民間企業等も様々に絡むことなので、明確にどのような企業がどのような検討をしているかということは答えることはできませんが、いろいろ可能性についての引きは幾つか受けてございます。

【知野委員】 分かりました。ありがとうございます。

【中村課長補佐】 そのほか、ご質問ございますでしょうか。

【藤野専門委員】 藤野です。質問よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 よろしくお願いいたします。

【藤野専門委員】 衛星測位について、衛星搭載用の周波数標準の国産化の話があったかと思います。この件について、周波数のことをしっかりとやる意味では、やはり非常に重要な研究開発だと思いますが、JAXAさんが光コムの時計について直接やられることの優位性はどういうところにあるのでしょうか。それとも他国や他機関等と一緒にやられていると思ってよろしいのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 本研究につきましては、大学との共同研究を行っております。

【藤野専門委員】 そういうことであれば、衛星搭載の有無ということが大変重要だと思います。その点でエポックメイキングができれば、今後の測位衛星の基幹部分をかなり日本が押さえることができるかと思いますので、頑張ってやられてください。

【JAXA(寺田)】 ありがとうございます。

【中村課長補佐】 そのほか、ご質問のある方いらっしゃるでしょうか。

【坂下部会長】 坂下ですが、1点いいですか。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【坂下部会長】 A-14ページの気象変動対策等のための衛星利用の推進について、これらのデータはTellusでも公開されていますか。

【JAXA(寺田)】 基本的にはTellusでも公開しているものと思いますが、具体的にどのデータが公開されているかどうかについては正確な答えができません。すみません。

【坂下部会長】 おそらく全部は出てないと思いますが。

【JAXA(寺田)】 全部は出ていないと思います。

【坂下部会長】 データ利用は、素材に触れる機会をつくってあげないと利用が進みません。今のTellusは実験場みたいなもので、できればこのようにアウトリーチできているデータについては、どんどんデータ公開し、成果を伝えて、触れる人を増やしていくというようにやると、マーケットが広がると思いますので、今後ぜひご検討ください。
 以上です。

【JAXA(寺田)】 ありがとうございます。検討させていただきます。

【中村課長補佐】 そのほか、ご質問ある方いらっしゃるでしょうか。よろしいでしょうか。
 それではここでローマ数字3.3.1からローマ数字3.3.3までの項目のヒアリングを終了したいと思います。
 続いて、ローマ数字3.3.4の宇宙輸送システムについてご説明をお願いいたします。自己評価書はA-44ページからとなっております。

【JAXA(布野)】 JAXA輸送系を担当しております、理事の布野でございます。宇宙輸送システムについてご報告いたします。
 評価調査のA-47ページをご覧ください。
 宇宙輸送システムにつきまして、まずH3ロケットについて、各種開発試験並びに維持設計を着実に実施し、当初予定どおりの打ち上げに向けて開発を進捗(しんちょく)させております。また、イプシロンロケットに関しては、H3ロケットとのシナジー効果を発揮し、国際競争力を強化する総合システムのシステム定義審査を完了して、開発に移行しております。打上げに関しては、宇宙基本計画に定められた衛星の打上げを確実に行って、世界トップ水準の打上げ成功率98%を維持するなど、年度計画に設定された業務を着実に実施したということで、自己評価はBとさせていただいております。
 具体的な内容でございますが、H3の主な開発進捗としては、1段メインエンジンのLE-9の燃焼試験を、種子島宇宙センターにおけるH-ⅡA、H-ⅡBの打上げと両立させ、必要なデータを取得した後、認定試験を開始したととともに、タンクとエンジンを組み合わせたステージ燃焼試験について、エンジン2基形態、3基形態の試験を完了し、設計を確定しております。また、固体ロケットブースター、第2段エンジン等、各種の認定試験を完了しており、主要サブシステムにおいて設計を確定し、試験機初号機の製作を進めておりまして、当初の計画どおりの打上げに向けて開発を着実に進捗させております。
 イプシロンロケットに関しては、2段階で開発を進めているところでございますが、宇宙基本計画の工程表において、2段階目の開発として、H3ロケット等のシナジー効果を発揮し、国際競争力を強化するとともに、民間事業者主体の打上げサービス事業化を見据えた検討をすることとされておりまして、2019年度の成果としては、ロケット開発及び輸送サービス事業を担う民間企業を選定し、共に設計を進め、第1段階の成果を継承しつつ、衛星フェアリングのカプセル化による整備期間の短縮、3段姿勢制御方式の変更による衛星側の制約条件の緩和等、ユーザーフレンドリー化を図るとともに、H3ロケットとのシナジー効果として、固体ロケットブースター、アビオニクス等の部品等を共通化することにより、国際競争力を強化した総合システムのシステム定義を完了し、開発に移行してございます。移行に際して、このロケットの名前を変更し、シナジー、即応性、高性能、競争力、打上げサービス等の意を示すSということで、イプシロンSということで開発に移行してございます。また、シナジー効果の一例として、H3ロケットの固体ロケットブースターの地上燃焼試験において、イプシロンロケット1段の開発を兼ね、H3では使用しない可動ノズル機能を試験で実施することにより、開発費の削減等の効果を得ております。
 継続的な信頼性、運用性向上、確実な打上げに関する取組としては、工程表で定められた打上げを確実に実施し、世界トップレベルの打上げ水準を維持しております。打上げの際に発生した設備の不適合に関しては、是正措置・水平展開を図るとともに、設備保全の抜本的な改善策を強化するということで取組を進めてございます。
 継続的な運用性の改善の取組として、2019年度はロケット打上げ時の投棄物の落下域を、これまでの打上げ実績に基づいて誤差を見直すことによって、大幅に縮小するということで、打上げ時の協力者等への影響を緩和するという成果を上げてございます。
 具体的な成果を補足で説明させていただきます。
 A-51ページに、H3の開発の進捗として、各種試験の状況及び種子島射点設備の整備状況を示してございます。A-52ページは、タンクとエンジンを組み合わせたステージ燃焼試験の概要で、左側にエンジン3基形態での日本初のステージ燃焼試験の写真が載っております。A-54ページには、イプシロンの開発のスペックが記載されております。イプシロンロケットはM-Vロケットのフェーズアウト後段階的に開発をすることとして進めており、第1段階としてコンパクトな打上げ運用、世界トップレベルの衛星環境の実現等の成果が上がっておりますが、第2段階のシナジー開発として、国際競争力を強化するという取組を開始しており、民間企業を選定して開発に着手しているところでございます。A-55ページに、シナジー効果の例として青字で囲ってありますが、H3ロケットとの部品技術を共通させ、開発の効率化、価格の低減を図るものでございます。加えて、赤字の設備についても、共用化を図る計画でございます。A-56ページに、国際競争力のベンチマークとして、環境条件の比較を示してございます。A-57ページに、イプシロンSロケットの国際競争力の強化という観点で、イプシロンSロケットではフェアリング内に衛星を収納するというカプセル化を図ることにより、衛星とロケットのシナジーをさらに進めるということで、運用期間を大幅に縮める等の取組をしてございます。A-58ページに、打上げ成功率、オンタイム打上げ率のベンチマークを示しております。世界トップレベルの数字を維持してございます。A-59ページに、落下区域の縮小の例を示しており、実績に基づき誤差を見直すことにより、落下区域について約4割以上の低減を図ったということでございます。
 ご説明は以上でございます。
 
【中村課長補佐】 ありがとうございました。ただいまのご説明についてご質問がある方は発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、こちらで宇宙輸送システムの項目のヒアリングを終了し、続いてローマ数字3.3.8の宇宙科学・探査のヒアリングに移りたいと思います。自己評価書についてはA-84ページからとなっております。ご説明のほうをお願いいたします。

【JAXA(國中)】 それでは、聞こえますでしょうか。宇宙科学研究所から説明させていただきます。宇宙科学・探査の領域になります。
 A-84ページ上段右側に記載させていただいておりますように、自己評価はSでご評価をお願いしたいと考えております。飛んでA-88ページ目になります。ここから2ページにわたって、本日ご説明させていただきます骨子を文章で記載させていただいております。本日は図面を使いながら、本内容をご説明させていただきたいと思います。
 A-90ページは、はやぶさ2の取組になります。2019年度、はやぶさ2は小惑星リュウグウの探査を行っておりました。2019年4月に衝突装置を用いて小惑星リュウグウに人工クレーターを開けるという取組に成功いたしました。また、7月にはこの人工クレーターの近傍に2回目の着陸を実施し、地下物質を採取することに成功いたしました。同ページの中央部分に小さな写真が掲げられておりますが、これは探査機から衝突装置を分離した直後の映像になっており、この装置が作動することによって、小惑星の表面にぶつかり、クレーターを作るという実験を行った模様がその右側の写真になります。Impact ejecta observed by DCAM3と書いたものでして、小惑星の表面から土煙が上がっている様子を捉えることに成功しております。しばらく経った後、このクレーターの上空に舞い戻り、観測した結果がその下の写真であり、直径が13m程度の半円型のクレーターを観察することに成功いたしました。また、別のカメラで観測した結果が、このオレンジ色の写真になっており、中央部分の赤い半円が先ほどお示ししたクレーターになります。その周辺が少し黒っぽくなっていることがご覧いただけると思いますが、これはクレーターから吹き飛ばされた内部の物質が堆積している領域と考えております。そのすぐそばの黄色い丸で示したところに2回目の着陸を実施したというものでございます。その着陸時に接近したクローズアップの写真が、左側の縦長の写真になっており、人工クレーターや着地点等が写り込んでおるものでございます。これらによって、2018年度の2つの成果と合わせ、計7つの世界初の成果を達成することができました。人工クレーターの生成、高精度着陸、2地点への着陸成功、小惑星内部物質のサンプル採取が実施できたものと考えております。
 A-91ページに列挙させていただいておりますものは、はやぶさ2に関する外部表彰の状況であり、JAXA外の組織からも高く評価を頂いておるものと考えております。
 A-92ページでは、具体的な科学成果の創出状況をご説明させていただいております。ここでは特に2つの論文を紹介させていただきたいと思います。「小型衝突装置と分離カメラによる小惑星リュウグウにおける宇宙衝突実験のその場観測」という取組がサイエンス誌に掲載され、この論文については、米国CNNやニューヨークタイムズ等でも紹介され、世界にもアピールができたものと考えております。もう1点は、「始原的小惑星リュウグウの熱撮像によって明らかにされた超多孔質な物質的特徴」という論文がネイチャー誌に掲載されております。このように、はやぶさ2については科学的な成果出しについても積極的に行われております。
 A-93ページは、はやぶさ2以外の成果出しになります。現在、JAXA宇宙科学研究所では、火星の月衛星フォボスへのサンプルリターンを目指している火星衛星探査計画(MMX)を実施しております。このMMXが目指す天体フォボスに、科学的な分析の結果、火星表面の物質が多く体積している可能性を定量的に見いだすことに成功いたしました。火星表面にはたくさんの隕石が衝突しており、その隕石が衝突する際に多くの物質が上空に舞い上がり、その一部が火星衛星の表面に体積しているということが仮説として疑われたわけですが、この仮説を定量的にひも解くことができました。この仮説は、火星衛星のサンプルリターンによって、火星の表面物質をまんべんなく採取することができるという意味を持ってございます。それによって、火星の歴史を包括的に分析することができ、すなわち、MMXによって採取するフォボスの土壌サンプルは火星史を分析することに非常に有効であるということを論文で証明することができました。今週末にはNASAがパーセベランスPerceivellanceという火星表面着陸機の打上げを控えておりますが、同探査機が採ってくるサンプルは非常に局所的であるということがあり、MMXのサンプルと補完して非常に総合的な分析が進められるものと考えております。従って、MMXの価値出し、意義出しに大変大きな貢献ができる論文をまとめることができたと考えております。
 また、A-94ページ目は、ジオスペース探査衛星あらせの成果出しに係る記載になってございます。こちらの探査衛星は2016年に打ち上げられ、地球の磁気圏を観測しております。右側に2つの図面を掲載させていただいておりますが、縦軸が磁気の量を、横軸は分子量を示しているというようにお考えください。右側の図面は宇宙磁気嵐が起きている最中の模様、左側は静粛な場合の比較になってございます。特に着目していただきたいところは、横軸が130ぐらいの目盛りのところを見ていただきますと、右の図では青い線で示しましたように、ある高まりが見えてございます。これは分子イオンのピークを示しております。一方、左側の図面のように磁気嵐が起きていないときには、同じ場所にピークが見当たらないことがお分かりになろうかと思います。これは、宇宙磁気嵐の最中に、電離圏から分子が流れ出しているということを示しておるものと考えております。この結果は地球の大気の流出を示すエビデンスと考えておりまして、この成果は、このGeophysical Research Letters誌に発表され、米国地球物理学会の2019年度 Editor’s Highlightsに選ばれました。
 さらに、A-95ページは、あかつきの成果です。あかつきは2010年に打ち上げられた金星探査機ですが、高層の温度分布を細密に計測することができました。右側の図面が温度分布になり、赤い部分がプラス3度、青い部分がマイナス3度という、プラスマイナス3度の温度分布があることを示しており、特に横軸がローカルタイムを示しております。縦軸が経度でして、太陽の絵が書いてあるところは太陽の直下を表しております。地球の場合は、太陽の直下から少し過ぎた13時ごろが一番暑い時間帯になりますが、金星では不思議なことに午前中や日没後の方が暑くなるという現象が発生していることを見て取ることができます。これは熱潮汐波という現象であり、この減少が金星の高速大気の流れであるスーパーローテーションに寄与しているということを示唆する論文をまとめることができてございます。
 また、カロリーメータ型宇宙電子線望遠鏡CALETが、2015年より国際宇宙ステーション(ISS)で運用されてございます。ISSという実験プラットフォームで、大変安定した長期の観測が実施できており、その成果を右の図に示しております。横軸がエネルギーレベルで、104というところが10TeVというようなエネルギー領域になってございます。ここには各色の打点が見えますが、各国の衛星の観測データを示してございます。赤いデータがこのCALETの成果であり、縦と横にエラーバーが刻まれておりますが、他の衛星と比べ、エラーバーが各段に小さなデータが取られていることがお分かりになろうかと思いますが、大変高精度なデータを積み上げることができております。対極的に見ていただくと、大きなうねりを持ったスペクトルが見て取れることができ、これにより宇宙の構造等を調べることができると考えております。この成果は米国学術誌Physical Review Lettersのハイライト論文として選定されてございます。このように、はやぶさ2だけに偏重しないような科学的な成果出しが進められております。
 また、世界の宇宙機関と対等な関係で共同して宇宙開発を進めており、XRISM(X線分光撮像衛星)はNASAとの協力、MMXではフランスのCNES、ドイツのDLRと協定文を結んだ上で国際協調を進めてございます。この写真は、マクロン大統領と安倍首相の前で、CNESのル・ガル総裁とJAXAの山川理事長間で調印を実施したときの写真になってございます。
 A-97ページ目が人材育成の説明になります。現在、宇宙科学研究所では宇宙研人材育成委員会というものを立て、特に若手に傾斜した人材育成計画を立てるべく活動を行っております。この活動の中で抽出された内容としては、女性の活躍促進でございます。特に宇宙科学含む理系分野には女子学生の数が少ないということが大きな課題だと考えており、同委員会で、丸1女性研究者、エンジニア、事業推進系部署の職員等と学生との交流の場を立ち上げること、丸2女性研究者を目指す層を拡大させること、丸3女性活躍の視点から見たアウトリーチ素材を増やすこと、等の活動を推し進めているところです。また、学生を宇宙活動に誘導するために、これまでははやぶさ2の運用現場に学生を誘導するという活動を今現在行っておるところです。また、2019年度は、MMXのフロントローディングという費用枠をお認めいただきましたところですが、MMXを話題に、重力天体着陸・表面探査技術を拡充するということで、技術成熟度(TRL)の準備状況を拡充するという作業を実施いたしました。これにより、MMXプロジェクトを速やかに移行させることに成功してございます。本年度2020年度は、技術のフロントローディングという費用枠をお認めいただいており、現在これを実装するべく活動を行っております。
 A-98ページについて、宇宙科学領域のみならず、産業振興の部分でも活動しております。はやぶさ初号機、はやぶさ2が利用しているイオンエンジンを産業機材にするという技術開発を民間企業として実施しており、真空炉中でのワークの帯電を除去する装置として、現在製品化しているところです。また、2019年度は相模原キャンパス移転30周年、人工衛星おおすみ打上げ50周年といったイベントがあり、この機を捉え、相模原でのイベントや国立科学博物館とのタイアップでシンポジウムを行う等、広い年齢層にアウトリーチをかけております。
 概ねの説明は以上とさせていただきます。

【中村課長補佐】 ありがとうございました。
 それでは質疑の時間に移りたいと思います。ただ今のご説明について、質問等ございましたらご発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。

【藤野専門委員】 藤野です。1点、ご説明がなかったのですが、気になりますので。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【藤野専門委員】 A-100ページで、やはり博士の学位の取得状況がどんどん減っていっているような気がいたします。いろいろな課題があるかと思いますが、今後どのような具合に推移する予定なのか、あるいはどのような具合にしていきたいというような展望等がございましたらお願いします。

【JAXA(國中)】 博士に進む学生がなかなか減ってきているという状況と、各大学が学生の取り合いになっているという事情があると分析してございます。従って、魅力的な教育環境であるということを学生にアピールすることが必要であると考えており、その意味においても、先ほどご説明させていただいたように、衛星運用現場や、ロケット、大気球の運用現場を教育のツールとして使うということを積極的に進めていきたいと考えております。それによって、学生を宇宙科学領域に動員するというように差し向けていきたいと考えております。

【藤野専門委員】 分かりました。ありがとうございます。

【知野委員】 すみません。質問です。

【中村課長補佐】 よろしくお願いします。

【知野委員】 A-97ページの人材育成ですが、この女性の研究者、エンジニア等を増やす試みを2019年度始めたというものだけでしょうか。どの程度成果が上がっているかや、そのような指標を出していただくことは可能ですか。

【JAXA(國中)】 各大学、特に女性比率の高い大学に出掛けていき、宇宙理工学に関する授業を1コマ持たせていただいておるということをここ数年実施しております。これらの対象はまだ現状は大学生ということになっており、大学院からが宇宙科学研究所の教育対象になっているということがございまして、すぐさま成果をお示しすることは難しい状況になっていると考えております。また、大学院に進学をしていただくという意味では、大学や、さらに若い年齢層になりますが、高専に出向き、宇宙科学の魅力をお伝えするという活動も並行して実施しております。残念なことに、この件につきましても、大学院に進学するまではまだ数年時間が必要ですので、定量的にご説明する状況にはないと考えております。

【知野委員】 ちなみに、大学院に入ってくる女性は、宇宙研の場合、だいたいどの程度の割合なのでしょうか。

【JAXA(國中)】 今は数字を申し述べることができませんので、改めて数字を取りまとめさせていただきたいと思います。

【知野委員】 分かりました。ありがとうございます。

【中村課長補佐】 そのほかよろしいでしょうか。

【坂下部会長】 坂下ですが、1点いいですか。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【坂下部会長】 はやぶさ2等いろいろなミッションで非常に立派な功績を上げておられると理解していますが、これらを支えている日本の企業名あるいはその企業が持つ技術のようなものをJAXAさんが情報発信しておられますか。

【JAXA(國中)】 基本は請負契約等で研究開発が進んでおりますので、特別なイベントがない場合には、なかなかそういう説明をする機会がないという状況にあります。しかしながら、今後はやぶさ2が帰還すれば、大きなプレゼンスが発揮できると思いますので、初号機の時同様に、協力企業を前広に、世間にお知らせするような機会を設けたいと考えております。

【坂下部会長】 ぜひお願いします。宇宙産業に人が集まっていかない理由の1つは、キャリアパスを見ることができず、自分が何をやれるのかという情報がないからです。そのため、日本の企業がどのようにJAXAの宇宙技術を支えているかということを発信していただけると、私も大学で教鞭を取っていますので、大学生に紹介し、学生もそれを理解して、このような方面に行くということが分かるようになりますから、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

【JAXA(國中)】 かしこまりました。

【多屋臨時委員】 多屋ですが、質問させていただきます。

【中村課長補佐】 よろしくお願いいたします。

【多屋臨時委員】  産業振興に係る記載で、除電機の開発は世界で初めて成功した素晴らしいことだと思います。この案件について、JAXAさんから春日電機株式会社に働きを掛けたのか、あるいは相手方から逆にJAXAさんに共同研究をしたいという申し出があったのか、その辺のところを教えていただければと思います。

【JAXA(國中)】 JAXA内にある宇宙探査イノベーションハブ事業の一環で行われた案件であり、宇宙探査イノベーションハブでは、民間企業との情報交換はRFIという方法で行っております。その方法で、春日電機様がJAXAに共同研究を申し入れてきたということです。当初はどのような共同研究ができるかどうか、互いに分かりませんでしたので、ディベートを重ねた結果、互いに持ち出しができる領域を見出して、そしてこのイオンエンジンのプラズマ技術というところに着目し、両者のアンドが取れたところで研究開発が始まったという流れになってございます。

【多屋臨時委員】 ありがとうございます。そのような取組はますます進めていただきたく思います。

【中村課長補佐】 そのほか、ご質問がある方がいらっしゃいましたら発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、こちらで宇宙科学・探査のヒアリングを終了して、ローマ数字3.3.9の国際宇宙ステーション及びローマ数字3.3.10の国際有人宇宙探査のヒアリングに移りたいと思います。JAXA自己評価書はA-114ページからです。それでは説明をお願いいたします。

【JAXA(佐々木)】 4月1日より国際宇宙ステーション及び国際宇宙探査、イノベーションハブを担当している佐々木のほうからご報告させていただきます。声は大丈夫でしょうか。

【中村課長補佐】 はい、届いております。

【JAXA(佐々木)】 時間の関係で、国際宇宙ステーション及び国際宇宙探査をまとめてご報告させていただきます。
 まず国際宇宙ステーションになりますが、A-114ページからで、自己評価をSとさせていただいています。国際宇宙ステーションについては、A 114ページにあるように、地球低軌道利用の拡大と事業化に向けた取組、さらにISS計画を通じた国際的プレゼンスの維持・向上に対する取組という視点で評価をさせていただいています。概要につきましてはA-117ページからA-119ページ、さらに総論としてA-120ページにまとめさせていただいております。
 2019年度ですが、きぼうの運用が当初計画された10年を迎え、当初計画を超えた運用が開始された年であり、また、宇宙ステーション補給機「こうのとり」も当初の補給計画であった7機を超えた8機目を打ち上げた年という節目の年になりました。また、さまざまな利用に対する取組についても、いろいろな成果が出てきたといったところで、S評価というふうにさせていただいています。
 A-120ページ目を見ていただき、一番左が総論になりますが、先ほど述べたように、きぼう、こうのとりの安定な運用を一つ成果として挙げております。この成果を踏まえ、国際的にも、参加当初ではマイナーな参加国であった日本が、現在では非常に重要な宇宙先進国として位置付けられるといったところで、単に補給だけではなく、例えば電源の機器等ISSに必要な機器・設備について日本の成果が取り込まれるといったような取組になっています。
 また、宇宙飛行士が活躍した結果として、昨年度、野口宇宙飛行士が米国の民間の宇宙船の最初の国際パートナーの宇宙飛行士として選ばれました。
 また、先ほど中村理事からも紹介がありましたが、米国が提唱しているアルテミス計画、月探査計画について、日本に対しても最も信頼できるパートナーとして参加要請があり、日本が参加を表明するという成果につながったところについても、やはり今までの10年間の成果として見られるのではないかと考えております。
 個々のお話をさせていただきますが、まず、地球低軌道利用の拡大と事業への取組になります。きぼうの運用は2009年から開始していますが、きぼうは単なる実験施設ではなく、宇宙飛行士がさまざまなサポートができる、また補給に関しても定期的に物資が行われるといった、通常の人工衛星にない宇宙へのアクセス性、それから自由度を持った技術実証の場という位置付けになります。さらに、民間の商業利用、及び事業化のような取組も開始しており、中央上の図にあるように、外部の有償の民間の利用については、2015年から民間商業利用、有償利用が開始され、さらに2018年からは超小型衛星放出等民間での事業化が進められています。その結果として、当初年間数件だった民間の利用が、昨年度40件を超えるものになったというような成果が上がっています。この超小型衛星による実証については、さまざまな成果がありますが、それに加えて、宇宙探査イノベーションハブの成果として、SONYさんがEthernetを使った双方向の光通信というような、きぼうの外部のプラットフォームというアセットを利用して宇宙空間での技術実証を行っています。この実証は、トライ・アンド・エラーをして宇宙実証ができたということで、効率的に実証ができる場としてSONYさんからも評価を頂いており、その結果として、宇宙開発利用大賞の内閣総理大臣賞の受賞に、このきぼうが貢献したと考えております。
 また、科学利用の成果におきましても、タンパク質の結晶の実験、0Gから1Gまで重力を変化させたマウスの飼育、さらに、2000度以上の高融点の材料を非接触で浮遊させた実験装置というような、日本独自の技術で実験のシステムを構築し、限られたリソースの中で最大限活用するというような取組をしてきました。A-124ページ中央下の図の右側にありますが、この図は、実際に実験を行える利用総数と、利用の実際の効率を評価したものです。利用総数については、米国が圧倒的なリソースをかけておりますが、JAXAもNASAに比べて半数以上の実験を行うことができています。実際には利用リソースは宇宙飛行士等のクルータイムのかけ方というものに影響していますが、全体の約12.8%しかありませんので、そのリソースに対した利用総数を換算すると、圧倒的に日本が有効に利用しているということを、ここの図で示すことができると思っています。
 また、きぼうによる人材育成及びプレゼンスの観点について、超小型衛星放出の事業に関しては、アジア、アフリカのさまざまな国の参加を引き出しています。A-125ページに示していますが、きぼうから衛星を放出した国は世界で19カ国27機になります。昨年はその中で、スリランカ・ネパール・シンガポール・ルワンダ・エジプトと、5カ国の超小型衛星を放出しましたが、特にネパール・スリランカにとっては初めての人工衛星ということで、政府の要人、大臣等からの謝辞を受けているというところになります。その成果を踏まえ、昨年横浜で開かれましたアフリカ会議においては、この超小型放出の事業について取り上げられたというような成果もございます。
 さらに、併せて日本の独自の技術として、日米協力の加速ということで、JAXAで、先ほど述べました可変重力環境における実験装置については、米国も高い関心を持っており、NASAのリソースを使いつつ、この実験システムを使いたいということで、共同ミッションを計画しております。なお、この動物飼育システムについては、文部科学大臣賞を受賞しており、さらに高い評価を受けているところになります。
 このように、さまざまな当初の計画に従って、さらにそれを越えた成果を上げているという評価をしております。また、それ以外にも民間の自由な発想によるきぼうの利用として、東南アジアの各国の有償の利用等、さまざまな新たな取り組みが進んでいるところになります。
 また、昨年10年間の成果を振り返るシンポジウムを開催させていただきましたが、YouTubeあるいはTwitterについては100万件以上のアクセスを頂いたということで、世の中においてもかなり関心を頂いたのではないかと考えている次第です。
 ローマ数字3.3.9国際宇宙ステーションは以上になります。
 続きまして、国際宇宙探査のご説明に入らせていただきます。A-133ページからになります。
 国際宇宙探査は、中長期計画では現段階計画立案と、それから技術検討、そして技術開発というところが位置付けられており、それにのっとり評価をさせていただいています。自己評価についてはAといったところでご報告をさせていただきます。
 概要につきましては、A-136ページ以降になりますが、国際宇宙探査計画の推進ということで、国際調整と国際政策の議論をリードしたこと、それに向けた活動を展開すること、及び優位技術の実証と、この3点で評価をさせていただいています。
 次のページに、計画の推進ということで概要を書かせておりますが、先ほど冒頭で説明がありましたように、JAXAとして政策の議論をリードするために、技術検討した成果として、昨年9月にJAXA理事長とNASA長官の間において、火星探査を見据えた月近傍及び月面における持続的な探査活動の実現に向け、科学的・技術的な協力を拡大するといった共同声明の署名を実現しています。この結果を踏まえ、政府レベルの議論が加速され、宇宙政策委員会の議論、さらに宇宙開発戦略本部において、米国提案による国際宇宙探査への参画方針について決定がなされ、宇宙基本計画工程表の改訂が実現をしています。参画に向けては、個々のプロジェクトの具体化が重要ですが、それぞれ示された月周回の有人拠点、月面での極域の探査機、HTV-Xを利用した補給、そしてMMXについて検討を進め、その成果が宇宙戦略本部決定につながったと考えています。
 また、その国際的なシナリオ全体として、ゲートウェイ、それから月探査の国際的な協力の枠組みについては、宇宙機関で、国際宇宙探査共同グループ(ISECG)という場を使い、シナリオ・技術検討を進めているところです。こちらについては、主要のISSに参加している主要パートナーだけではなく、中国やアジアの国も含めた22カ国が参加しておりますが、このグループにおける議長機関に日本が2018年から就任をし、活躍をしております。その中で、月・火星のシナリオ・技術検討及びゲートウェイの計画や月面の探査計画のシナリオ/アーキテクチャ等の議論を主導して、昨年の10月には日本でこの具体的な目標についての会合を開き、3月にはそのシナリオ/アーキテクチャを完成させております。この成果が国際的な政府レベルでの活動にも貢献しているといったところになります。
 また、有人宇宙探査における優位性の技術実証について、シナリオの検討及びシステム検討の前提となる個々の技術の事前実証といった形で行っています。こちらは4つの技術というものを識別し、重点的に行ってきておりますが、重力天体表面の探査技術においては、月面という厳しい環境の中で高エネルギー密度を持つリチウムイオンの開発、また、探査・補給に必要なローバの連続走行を可能にする技術等においても国際的にも最高の値の技術を立証してまいりました。また、深宇宙滞在の技術としては、水の再生システムというような軌道上の実証の準備を進めており、NASA含む世界的に比べても省電力となるシステムを構築させていただいています。
 さらに、重力天体への着陸技術において、将来の極低温の推進力を使ったミッションを念頭において、高い断熱性を有する高性能の多層断熱材の開発研究を進めております。現在、海外同等品よりも断熱性能を2倍にすることができており、また、液体水素等の燃料を使った着陸機の開発にめどを付けているというところで、このような技術を今後反映するべく準備を進めているとところです。
 国際宇宙探査については、現在の準備状況ということで、Aということで選ばせていただいております。
 以上です。

【中村課長補佐】 ご説明ありがとうございます。
 それでは、ただ今のご説明についてご質問等ございましたらご発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。

【大貫臨時委員】 大貫ですが、よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 大貫先生、お願いいたします。

【大貫臨時委員】 ご説明ありがとうございました。
 私のほうから2つあります。1つはISSにおいて、タンパク質結晶成長やマウス飼育、高融点の材料実験等国際的にも特色のある成果が出ているということなのですが、これらの事業化に向けた動きは何かあるのでしょうか。

【JAXA(佐々木)】 われわれでも既に超小型衛星放出事業は事業として展開をいただいて、2つの会社さんが頑張っておられるということがございますが、これと同様に、タンパク質等についても、ある程度技術が固まった段階で、この1、2年の中で速やかに事業化を進めたいと考えてございます。

【大貫臨時委員】 ありがとうございます。
 もう1つは、国際宇宙探査なのですが、先ほど國中理事から、いろいろな成果が国際的にも認められて、いろいろな賞も受賞しており、プレゼンスが上がっているというお話もあったのですが、この国際宇宙探査、あるいは月面でもアルテミス計画の中で、科学の面での期待というのは大きいのでしょうか。

【JAXA(佐々木)】 私の立場から述べるということも難しいところがありますが、昨年秋以降、科学のコミュニティーから、この探査の計画に対していろいろな意見を頂いており、それを取り込む形で進めていきたいと考えております。

【大貫臨時委員】 先ほどのISSの質問に、もう1つ付け加えたいことがあります。ポストISSで、ISSのさらに一歩踏み込んだ商業利用という話も今後あると思うのですが、米国ではAppendix Iで商業モジュールがISに接続され、Appendix Kで独立した有人フリーフライヤーが実行される等、今後に向けた計画が出てきているのですが、日本としてISS後の低軌道の拠点の運用・利用という部分で、次への検討のようなものはあるのでしょうか。

【JAXA(佐々木)】 今後のところについては、宇宙基本計画の工程表にも書かれているように、将来に向けた検討を進めるというご指示も頂いておりますので、まさに今、JAXA内も含めて検討を進めさせていただこうとしているところです。

【中村課長補佐】 そのほかご質問ございますでしょうか。

【知野委員】 知野ですが、よろしいですか。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【知野委員】 ISSにしろ、国際有人宇宙探査にしろ、去年は確か自己評価もAでしたよね。一方、今年はSということは、時間が経って、いろいろな案件がたくさん出てきたということなのでしょうか。あるいは、さまざまなトピックスが書かれておりますが、特にこれがすごいというものは何になるのでしょうか。

【JAXA(佐々木)】 2つあると思っておりますが、技術の観点で、当初の目標を超えた期間もしくは機数を安定的に運用して、その結果が先ほど述べたように、アルテミス計画に対する日本への期待につながったという点で、非常に大きな成果を上げたというように思っている点が1つです。
 もう1点は、商業利用及び事業化の観点での取組です。どうしてもその年にやってすぐに成果が出るものではないのですが、この数年かけてやってきたことがまさしく伸びてきており、実際に使ったミッションでさまざまな表彰を受けるような成果が上がり、実際の件数も大幅に伸びたといった点で評価できると考えています。
 お答えになっていますでしょうか。

【知野委員】 ありがとうございます。

【中村課長補佐】 そのほかご質問ございましたら、ご発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、こちらで国際有人宇宙探査のヒアリングを終了したいと思います。
 これより休憩に入りたいと思います。5分程度押していますが、休憩は予定どおり15分ということで、次は14時55分から、ローマ数字3.3.11のヒアリングを再開したいと思います。15時から再開としたいと思いますので、15時になりましたらまたお集まりいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【中村課長補佐】 それでは、時間になりましたのでヒアリングを再開したいと思います。ローマ数字3.3.11の人工衛星等の開発・運用を支える基盤技術(追跡運用技術、環境試験技術等)になります。JAXA自己評価書はA-150ページからです。それでは説明をお願いいたします。

【JAXA(張替)】 張替のほうからご説明いたします。
 A-150ページになります。2019年度は自己評価をSとしております。こちらは、人工衛星等の開発・運用を支える基盤として施設・設備を着実に維持・運用するとともに、技術の向上を目指した研究開発や技術と設備の利用拡大に取り組みつつ、人工衛星以外の新たな分野や、民間企業などによる実利用に広げる取り組みを進めた結果、特筆すべき成果があったということでS評価としております。
 (1)追跡運用技術等についてです。こちらは、人工衛星の長距離通信の課題を克服し、宇宙機群の相互協調(情報や資源の共有)を可能とするするシステムの研究開発で、大きな技術的進展がございました。
 また、(2)環境試験技術についてです。こちらは筑波にございます宇宙環境を模擬する環境試験設備によって衛星等の環境試験を行っておりますが、長年の課題である老朽化対策、職員が減る中での確実かつ効率的な環境試験設備の維持・運用、及び培った環境試験技術を特に異業種の方々に使っていただく設備利用拡大の3点で抜本的な解決策を実装したということによります。
 それでは、それぞれ2つの内容について補足説明資料を用いて説明させていただきます。
 1つ目は、A-156ページになります。ネットワーク技術の開発として、DTN(Delay/Disruption Tolerant Network)は、長距離の通信で課題となる通信時間の遅延や切断等を克服するネットワーキング技術でございます。わが国やNASA等も将来の国際月探査プログラムへの適用を目指しており、また、地球近傍の衛星でも高速データ通信について有効であると考えられています。また、非宇宙分野でも、災害時において、地上のネットワークが切断されてしまうような場合に、その応用が期待されているものです。この技術については、2019年度に国際標準化へ大きな貢献がございました。2つの成果がございます。まず、国際標準規格の策定に向けて、われわれJAXAは宇宙データ諮問委員会「CCSDS」の作業グループの副議長として国際標準策定活動に貢献しておりますが、その中でこのDTNのグループにおいて、日本の人材が正・副議長へ選出されているという一つの大きな成果が出ています。この正・副議長に選出されるということは、その規格標準に対する技術提案活動を多く行っていること、並びに、その規格の実現可能性の検証、及びその基になっているISO規格への適合性を検証するためのプロトタイプの製作等を行って実際のエビデンスをきちんと出しているということということが、直接的な国際標準化活動で認められているということで、正・副議長に選ばれたということです。どのような内容かというと、A-157ページにあるように、実際の宇宙インターネット通信の輻輳条件等を含む環境を模擬するシステムを左下の図にあるようにつくりました。この環境では、地上・静止衛星間の往復時間に相当する500ミリ秒の通信遅延、及び現在のパケットに関して、宇宙通信を見立てて、全体の15%のパケットがランダムにロスするという100万倍劣悪な環境を強制的に入れて20MBのデータを送るという実証実験を行いました。比較対象としたものは、普通のインターネットプロトコルTCP/IPの100Base-Tと呼ばれるもので、結果として右下の左側の図にあるように、横軸が時間、縦軸が伝送レートで、インターネットの通知の受信では1時間以上かかったわけですが、われわれの提唱する技術では、これは横軸の単位が先程とは違っておりますが、数十秒間でデータ通信を完了するということで、伝送速度は約200倍、通信時間としては200分の1でデータ通信が完了できるということを初めて実証しました。この技術は、非宇宙分野でも利用が可能であり、既に民間企業と共同で検討を行い、2021年までの実証実験の実現を目指しております。
 続いて、2つ目の顕著な成果でございますが、設備運営の効率化と利用拡大への取組ということで、PPP(Public Private Partnership)的手法による民間事業者主体の新しい事業形態での運営を2020年度に開始しました。こちらは、A-158ページ左下にありますように、筑波の10建屋18施設について、アセットとして民間事業者へ運営権を設定するものです。事業スキームは、右下の図にあるように、JAXAと民間事業者の間で事業契約を結び、運営権を移管するとともに性能要求を出します。民間事業者は、運営業務として管理、性能要求に基づく保全・修理、及び運転を行います。この取組の特徴は、利用拡大ということで、民間事業者が積極的な営業を行うことによって、自分で業務を外部から取ってくるということができるようになっています。
 このようなPPP的契約が成功した背景には、A-159ページにあるように、4つの大きな試み、工夫がございます。1つ目は、事業成功のための環境づくりをしっかりやったということで、ニーズ調査を綿密に行いました。また、2つ目は事業の予備検証ということで、2018年度及び2019年度に、一部施設においてこのPPP的手法を試行的に実施いたしました。右上の図にあるように、従来では、JAXAだけでは20件ぐらいの外部供用であったところ、赤印のように、最高で47件まで増えた、ということで事業性が確認できました。さらに、3つ目として、官民相互のメリットということで、このような機構外部の事業を企画等して取ってくることの経済的メリットが業者側のみにあるわけではなく、われわれ官のほうにも一部収益として還元してもらい、設備の修繕等に使えるようになったということがございました。これは、国立研究開発法人では初めての試みということで、規制緩和等を行い、このようなことが初めて実証できたということになります。以上でございます。

【中村課長補佐】 ありがとうございます。ただ今のご説明につきまして、質問等ございましたらご発言をお願いいたします。

【藤野専門委員】 東洋大学の藤野でございます。よろしいですか。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【藤野専門委員】 リテールの件について、確かに衛星通信でTCP/IPが通らないことは当然の話であり、そのためTCP/IPを使おうという人間はおそらくいないと思いますが、特にSを出されている関係上、技術的にどこが新しいのか、あるいは、国際標準として何を獲得したのか等、どのような面をもってSとしているのかということを、技術的なところが気になりましたので、質問させていただきます。

【JAXA(張替)】 DTN自体は、先生のおっしゃるとおり、必ずしも新しい技術ではないですが、これを宇宙機の国際基準として適合させる標準規格をつくり、その規格を搭載した機器をつくって実証したというところが新しい点でございます。

【藤野専門委員】 定められた規格をきちんと守ってくれるところがあればよいのですが、宇宙の分野なので、おそらく国際標準とはいうものの、システムごとで大きく変わっているような気がします。なかなか言いづらいところはあるかという気はしますが。

【JAXA(張替)】 国際宇宙探査等において、国際標準の下、月へ行くとなった際、日本も米国も同じ標準でということが要望される場合がございますので、そのような意味合いにおいてもリーダーシップを取っていることが非常に大きな価値であると考えております。

【藤野専門委員】 分かりました。

【中村課長補佐】 その他、ご質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。

【生越専門委員】 東京理科大学の生越です。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【生越専門委員】 今、藤野先生がお伺いしたことと重なりますが、当初の計画に比べて、今回の昨年度の実績がどの点で計画よりもはるかに優れていると考えられているか、そのような観点でご説明いただけませんか。

【JAXA(張替)】 その点については、国際標準の議論の中で、正・副議長としての役割において、きちんとしたエビデンスを出す環境をつくったということ、及びその環境が多国間で利用してもらえるようなものになっているということ、の2点が昨年度の成果として新しいということでございます。

【生越専門委員】 ありがとうございました。

【中村課長補佐】 その他、ご質問のある方はいらっしゃいますか。

【大貫臨時委員】 大貫ですが、よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【大貫臨時委員】 環境試験につきまして、PPPの手法で官民両方にメリットがある形で利用の拡大に取り組めたということなのですが、施設に関しては共有化して利用の拡大をしていくと同時に、施設のアップグレードや老朽化への対策にもお金がかかったりするところだと思います。その仕組みの中で、そのようなアップグレードや老朽化への対策にまで踏み込めるような内容だったのか、あるいはそちらは別扱いで利用の拡大だけを今回は目的としたのか、その辺りのことを教えていただけますでしょうか。
 
【JAXA(張替)】 大きな修理、大規模換装ということになりますと、やはりこの事業の中でやることは不可能になりますが、先ほどA-159ページの官民相互のメリットで述べましたように、従来にない利用者からの収益の一部はJAXAに還元していただくということで、サービスの提供が伸びれば、中規模の修理等は、この収益を使ってできると見込んでございます。

【大貫臨時委員】 ありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他、ご質問のある方はいらっしゃるでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、こちらでローマ数字3.3.11のヒアリングを終了し、続いてローマ数字3.4.2「新たな価値を実現する宇宙産業基盤・科学基盤技術基盤の維持・強化(スペース・デブリ対策、宇宙太陽光発電含む)」についてご説明いただければと思います。自己評価書については、B-25からとなってございます。
 それでは、ご説明をよろしくお願いいたします。

【JAXA(張替)】 引き続き、張替のほうからご説明いたします。
 B-25ページになります。2019年度は自己評価をSとしております。こちらは、中長期計画の中で、将来も見通せる基盤技術の強化に大きな成果、特筆すべき成果が4つ出たということでS評価としております。
 1つは、(1)宇宙開発における新たな価値を創出する先導的な研究開発の丸1安全保障の確保及び安全・安心な社会の実現について、スペース・デブリ対策の事業化を目指す民間事業者と連携したという点で大きな成果が1つ出ております。
 また、丸2宇宙利用拡大と産業振興に貢献する研究開発ということで、宇宙産業だけでなく地上でも産業規模の大きい、低コスト・大容量な高速衛星通信ネットワークを実現する光デジタル通信技術で大きな成果が出ております。
 丸3宇宙科学・探査分野における国際プレゼンスの向上に関しては、オープンイノベーションの場を活用した宇宙探査イノベーションハブで人材・知の糾合を促進し、異分野も含めた最先端技術を広く取り込むという点で大きな成果が出ました。
 さらに、最後4つ目は、(2)宇宙産業およびプロジェクトを支える科学技術基盤の強化において、基幹的部品や新規要素技術の軌道上実証について、革新的衛星技術実証1号機の成果として、大きなアウトカムが出たということでございます。
 それでは、補足資料を用いて、それぞれについて簡単にご説明いたします。
 最初に、スペース・デブリ対策につきまして、B-31ページにありますように、世界初の低コストの大型デブリ除去サービスの技術実証を行うということで、この実証に対して民間事業者が事業戦略に基づいて主体的に宇宙機開発・技術実証を行うためのJAXAによる総合マネジメント及び技術的支援の取組をパートナーシップ型の契約として実現させました。この契約は、民間事業者の自立を促すということで、JAXAは衛星ではなく、サービス・研究開発成果を調達すること、ベンチャー企業も入りやすいように、マイルストン・ペイメント方式として、各段階でお金を支払うことで資金繰りを緩和させること、民間事業者と資金を出し合うパートナーシップということで、JAXAは技術アドバイスと試験設備の供与を行うとともに、民間は民間として自分たちの実証をやってもらうこと、という形で、株式会社アストロスケールと契約を結び、この効果によって事業費の投資を大幅に引き出して、JAXA単体より大きな資金をこの実証に使っていただくという形になっております。
 また、研究開発の成果としても、カーボンナノチューブ電子源の電子放出能力を従来の40倍に拡大した結果をベンチャー企業のALEさんが使っていただけるという成果も出ております。
 続いて、B-33ページにありますように、世界初の低軌道衛星MIMO通信技術の技術実証についてです。MIMOとは、アンテナを用いる空間多重伝送によって、同じ通信路で容量がアンテナの数だけ増すという技術でございまして、地上では携帯電話、あるいはWi-Fiなどでよく使われているものです。この技術を宇宙で初めて実証するということで、NTTさんと共同で、下の図にあるようなシステムを組み上げております。特徴として、1つは、JAXAが保有している衛星通信路のモデル化技術、2つ目が衛星MIMOのアンテナ切り替え技術というもので、この技術はJAXAとNTTさんの共同で発明したものになります。通常であれば2対2のアンテナになるところ、衛星側に3つ持たせ、3パターンの組み合わせを使うことによって、さらに通信路の容量を広げるという技術なります。さらに、3つ目は、NTTさんが保有している、地上でも使われている干渉・分離の技術です。この技術の効果として、2030年ごろを想定した20Gbps以上の超大容量伝送を必要とする通信に適用できます。この通信を実証するため、革新的衛星技術実証3号機に搭載することとしています。この技術の大きなところは、ダウンリンクだけではなく、NTTさんの独自実証として、アップリンク側も開発をしております。この実証は、ワイドカバレッジで多数のユーザーからの少量のデータを採るというIoT実験になっているということになります。
 さらに、B-39ページになりますが、オープンイノベーションによる宇宙分野の研究システム開発および研究成果の創出、社会実装の実現ということで、宇宙探査イノベーションハブでDual Utilizationという新しいコンセプトの下、企業との連携を行っております。事業4年目以降はJAXAの投資額に比して企業さんの自己投資額のほうが上回っているという状況であり、昨年度は事業最終年度として、このイノベーションハブの支援事業の評価をJSTで行っていただいたところ、総合評価で5段階中、最高評価のS評価を獲得しております。取組の内容としては、異分野との連携が成ったということで、154の機関が共同研究に参画することになったこと、また、成果が創出され社会実装されているということで、95個の共同研究のうち製品化に進んだものが14%、宇宙展開がほぼ決定したもの、あるいは展開済みのものが7件ということが評価されたものと考えております。B-40ページで宇宙展開したものについて、先ほど国際宇宙ステーションの項目でも話題に上がりましたソニーのSOLISS、浜松ホトニクスさんと共同で宇宙科学研究所が開発したROICという読み出し回路、その他、研究開発部門において、Flash LIDARと呼ばれる可動部のないLIDARセンサが、地上では自動運転の中核技術、宇宙では自動ランデブ、ドッキングのためのセンサとして使われることを予定しております。
 さらに、革新的衛星技術実証1号機の成果として、B-36ページにありますように、RAPIS-1で1年間、軌道上実証を行いました。こちらは前年度に打ち上げられたものになりますが、1年間の内で搭載された部品・コンポーネントについて大きな成果が出ています。同成果の例として、FPGAの成果を踏まえ、ナノブリッジFPGAを販売する会社が設立される予定となっております。また、軽量太陽電池パドルでは、確認された性能の高さにより、深宇宙探査機DESTINY+に採用されることが決定し、既に製造が始まっております。X帯の高速通信機については、民間のスタートアップ企業に活用されております。超小型・省電力GNSSは、既に41台の販売が進んでおります。また、深層学習を応用したスタートラッカでは、天の技という会社が設立されているところになります。
 最後にB-51ページの参考情報をご覧ください。JAXAが高い技術力を持っている1つの根拠として、知財が非常に多く出ているということ、技術移転が多いということが確認できます。さらに、外部からの資金を多く入れているということで、外部資金の獲得額が昨年度より増して9億円、さらに宇宙探査イノベーションハブに見られるように相手方が自己投資をしてくれた結果8億円ということで、JAXAの予算を呼び水として外部の方々の予算も大きく増えており、併せて民間の事業者の自立を図っている点が特徴になっております。以上でございます。

【中村課長補佐】 ご説明、ありがとうございます。
 では、ただ今のご説明につきまして、ご質問がございましたらご発言をお願いいたします。

【末松専門委員】 末松ですが、質問よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【末松専門委員】 B-33ページで、MIMOの通信技術の実証実験を行ったということをご報告いただきましたが、記載の詳細を確認すると、提案及びシミュレーションによる確認はしているものの、実際の衛星実機を使った実証実験という訳ではないようですので、今回の成果は実証実験への道筋がついたというような理解をしてよろしいでしょうか。

【JAXA(張替)】 記載は「革新的衛星技術実証3号機ミッションの技術実証テーマに提案した」ということまでになっておりますが、同テーマに採択されており、2年後に打ち上げになりますが、3号機へ搭載することが決まっております。そちらの製造は開始しており、地上ではシミュレーターも使った実験も行っておりますので……。

【末松専門委員】 ただ、実証実験という表現は、衛星に搭載して、軌道上で実際に実験した後での記載が正しく、まだ提案をして実際に製造が始まった段階で実証実験と書いていいのかということは少し疑問がありますね。

【JAXA(張替)】 地上では技術実証はできていて、衛星にも搭載することは決まっておるという段階でございます。

【末松専門委員】 はい。ですので、もう少し実際に合った題目にしていただいたほうがよいのではないかと思いました。

【JAXA(張替)】 はい。

【中村課長補佐】 その他、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。

【藤野専門委員】 藤野ですが、よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【藤野専門委員】 B–39ページのイノベーションハブにつきまして、非常に大きな成果を出されていることは理解しましたが、このJSTの資金は5年間の時限付であって、その先にどういう方向でJAXAさんがこの事業を展開していくのか、あるいは民間企業さんをどういう具合に巻き込んでR&Dを継続していくのか、もしくは資金の切れ目が縁の切れ目になってしまうのか、というようなところの戦略等をどうお考えかお聞かせいただきたいのですが。

【JAXA(張替)】 この事業は非常に大きな効果が出ましたので、B-39ページにありますように、JST資金はなくなりますが、JAXAが出す探査ハブの資金といったところは、JAXAの中で戦略的に今年度からも確保しており、この取組が継続できるようにしております。

【藤野専門委員】 しかしながら、その部分は、JST資金を全て補塡(ほてん)するようなものではないわけですよね。

【JAXA(張替)】 具体的な予算金額は、陪席の五味さんからお願いいたします。

【JAXA(五味)】 五味から補足をさせていただきます。
 昨年度は、JSTさん分も含み5.7億でしたが、今年度も、ほぼ同額ぐらいをJAXA資金の中から確保させていただいて、さらにこの事業を進めていこうというつもりでございます。

【藤野専門委員】 分かりました。非常に大きな成果を出し続ける必要があるという観点で、このようなご決断されたという観点は非常に高く評価したいと思います。

【中村課長補佐】 その他、ご質問がある方がいらっしゃいましたら、ご発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、こちらでローマ数字3.4.2のヒアリングを終了いたします。
 続きまして、ローマ数字3.4.1「民間事業者との協業等の宇宙利用拡大及び産業振興に資する取組」ということで、JAXAからのご説明をお願いいたします。自己評価書はB-2からでございます。

【JAXA(石井)】 JAXAの石井と申します。4月1日から経営、調査国際、新事業、広報、教育、及びセキュリティ・情報システムを担当させていただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、B-2ページから始まりますが、説明としてはB-4から入りたいと思います。自己評価はAとさせていただいております。
 冒頭に書いてありますとおり、昨年度から始動した宇宙イノベーションパートナーシップに引き続き取り組み、新しい活動を始めただけではなく、先に進むというところに進んだ案件が複数件創出されました。加えて、民間主体の事業化というところでは、H-ⅡAのロケット相乗り事業を、今までJAXAに蓄積したノウハウ等も踏まえ民間に移管するという形で実現することができました。これらの取組が大きな成果であったということでございます。
 もう少し具体的なところをプレゼンテーションの資料を中心に説明していきたいと思います。基本的なところのおさらいをさせていただきますと、宇宙での産業界の広がりというところを頑張って大きくしていくためには、JAXAだけで進めることはやはりできません。この取組については、政府全体でさまざまな府省での企画・イベントが進められております。そのような活動にJAXAも積極的に協力をしつつ、JAXAが中心となって主体的にできるところに大きく貢献をすることで、全体の産業が大きくなっていくことに貢献をしている努力している状況にございます。
 B-7ページをご覧ください。先ほど、複数の案件が新しいステップに歩み始めたと申し上げましたが、1つは、株式会社ワンテーブルとの宇宙食と備蓄食の類似性に着目した新たな食ビジネスの共創でございます。2019年5月に製造拠点が完成して、商品の製造試験販売を開始しております。今年も新しい製品が出るというような段階に進んでいると伺っております。2つ目は、グリー株式会社とのJAXA月科学データを活用した宇宙VR教育事業の共創でございます。こちらは商品のパッケージ化を行い、VR体験サイエンスツアー「ありえなLAB」の市場投入を実現するというところまで進んでおり、1都1県での試験イベントが行われております。新しい技術を入れて、宇宙科学探査のデータの新しい活用法を開拓したというものになります。さらに、宇宙食料マーケットの創出ということで、「SapceFoodX」という活動を進めております。昨年度、30の産学官メンバーで開始しておりますが、今年度はさらに50のメンバーまで拡大し、シナリオを作成した上、この活動の発展として、今年度当初に一般社団法人としての活動をスタートさせました。このように、昨年度は準備が進んだというところでございます。
 B-8ページにまいります。さらにJ-SPARCの中で新しいステップを歩み始めております取組が、株式会社ALEとの宇宙デブリ拡散防止装置の事業共創です。この技術自身は、先ほど研究開発の中での活動としてご紹介いたしましたが、この技術についてALEと共創し、事業としての実証をする段階に進みました。2021年度に超小型衛星として打ち上げるという計画になっており、経済産業省のSERVIS事業に採択をされております。
 さらに、三井不動産株式会社との共創として、宇宙ビジネス創出の場というものをX-NIHONBASHIという形で開始しております。この取組が好評を得まして、三井不動産の日本橋再生計画の次期構想にも入るということになるなど、民間による都市計画の中に「宇宙」というのが掲げられているというようなところに進んでおります。
 B-9ページは、それら以外でも新しい活動が進んでいる点をご紹介しておりますが、一例として、株式会社QPS研究所とJAXAの軌道上画像圧縮化技術の研究開発成果を提供するということが合意されており、あるいは、株式会社バスキュールとスカパーJSAT株式会社との共創という形で、宇宙からの双方向ライブ通信放送という新しい事業を開始するということで、この取組では、機材が既にH-ⅡBロケットで軌道上に運ばれ、2020年の8月に放送開始という準備が進んでおります。
 B-10ページに記載ございますのは、もう一つの大きな成果として最初に触れた、H-ⅡAロケット相乗り事業の民間移管でございます。民間事業としての自立化ということを目指して公募を行い、Space BD株式会社と基本協定を締結しました。これまで合計32機の小型衛星をH-ⅡA相乗りで放出しており、企業や大学等の新たな宇宙活動への参画機会を提供してまいりました。この取組により、多くの宇宙起業家が育成されたと見ております。技術が成熟したこの取組を外に出せるところまで持っていき、このような事業創出の形にたどり着けたという点で、大きな成果が実を結んだと評価しております。
B-11ページはJAXAベンチャーの状況でございまして、大きな成果は出ておりませんが、2019年度に新しく2件がベンチャーとしてスタートしておりますとともに、計画どおりに黒字化に進んだものが2件ということで、ご説明させて頂きます。以上でございます。

【中村課長補佐】 ありがとうございました。ただ今のご説明について、ご質問等がありましたらご発言をお願いいたします。

【坂下部会長】 坂下ですが、いいですか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【坂下部会長】 1点質問があるのですが、JAXA発ベンチャーの概要で表がB-11ページに出てきますよね。順調に進捗していることや、計画どおり黒字化しているということが書いておりますが、産業の面でいくと、ベンチャー企業は投資をどれだけ集められるかという尺度で見ていく必要があると思っています。宇宙産業だとSynspective社が100億円程度を調達しており、これが一つの指標になっていますが、そのように、投資をしたいというような申し出はこれらの会社にはあるのでしょうか。

【JAXA(石井)】 株式会社DATAFLUCTにつきましては、事業進捗の欄に書いてありますとおり、エンジェル投資家からの資金調達や大手商社との連携ができております。
 他の会社についても、資金を取りに行くというようなことも行われているようですが、あまり大きな発表にたどり着いたような事例はまだ出ておりません。

【坂下部会長】 この資金調達は大体どれぐらいだったのでしょうか。
 分からなければ後日でいいです。

【JAXA(石井)】 すみません、後日ご連絡を差し上げたいと思います。

【坂下部会長】 ありがとうございます。

【藤本専門委員】 藤本です。1点よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【藤本専門委員】 B-8にある、対話・マッチングの場の共創という取組が面白いなと思ったのですが、このような場を通して実際に具体的に始まった取組の例があればお話しいただきたい、ということ、及び、このような共創の場に関する他の動きなどがあれば教えていただきたいです。

【JAXA(石井)】 イベントがかなり多く開催されました。実際に集まる方々も非常に幅広で、その場で出会って様々なお話が生まれているということは漏れ聞いておりますが、これらの場をきっかけとして大きな具体化というお話という点では、ご紹介できるようなものは今はございません。しかし、交流会やワークショップ等の形で提案しており、非常に多くのご参加をいただいている状況です。
 他の場所でというようなお話でございますが、このコロナの状況になりまして、リモートでのWeb会議やWebイベントは多くスタートしていると聞いております。さらに、X-NIHONBASHIについても新しい場所を探すという活動もしており、同じぐらいの資金規模でありながら、もっと大きな設備をよい条件で利用できるというようなところも、こちらは今年度になってですが、見つかっておる状況です。

【藤本専門委員】 ありがとうございました。きっかけはとても大事だと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

【JAXA(石井)】 ありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他、ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、こちらでローマ数字3.4.1のヒアリングを終了したいと思います。
 続きまして、ローマ数字3.6.1「国際協力・海外展開の推進及び調査分析」ということで、自己評価書の資料はD-2からとなります。JAXAからのご説明をお願いいたします。

【JAXA(石井)】 引き続きまして、石井のほうからご説明させていただきます。
 ページはD-2から始まりますが、説明としてはD-3ページをご覧ください。自己評価はAとさせていただいております。例年、この項目はBということなのですが、顕著な成果が出たと考えております。その成果の1つが、日米月探査協力の立上げ支援です。先ほど佐々木理事から、国際月探査に関し、国際宇宙探査センターで提案していくことで中身の検討が進んだという説明がありましたが、国際協力の推進という意味で、われわれとしてサポートしてきたものが花を開いたというところがございますので、それをご紹介したいと思います。もう1つは、APRSAF-26につきまして、昨年度、名古屋で開催させていただきました。このAPRSAFでは、初の試みとして、宇宙関係のスタートアップ、投資家等々を集めた産業フォーラムを開催し、また「名古屋ビジョン」というものを採択するといったようなことも行われました。後ほどご紹介したいと思います。
 さらに、調査分析につきましても、この辺をより戦略的に取り組むべきではないかといったお話をこれまでいただいておりましたところ、今年度、検討の成果が出てきたのではないかということで、ご紹介をさせていただきたいと思います。
 D-5ページをご覧いただきますとおり、政府の支援を行ってまいりました結果、最終的には、10月の宇宙開発戦略本部決定として、国際協力の下、月探査計画に参画するという決定に結び付きました。個別に説明しますと、アメリカについては、JAXAとしてワシントン駐在員事務所を持っており、駐在事務所とアメリカ政府関係者との太いパイプを活用して、日本の状況を相手方にインプットする、あるいは、逆にアメリカ政府の状況を日本政府関係者にインプットする、といったことを通じて、政府の準備をスムーズに進めていただくことにまずは注力しました。双方の関心事項、背景等を情報収集し、インプットするという活動が、結局のところ、5月の日米首脳会談や、7月の政府間宇宙対話での成果創出につながった重要な活動になったと考えております。機関間での推進として、NASA長官とのトップマネジメント層での協力というか、コミュニケーション継続という点にも注力をし、タイミングよく長官に来日していただいて、どのようなメッセージを出していただきたいかというような点を日米の間に入り情報の補完を進めるという準備を行って、NASA長官との会談を実現させております。
 さらに、機運の醸成として、長官の来日時や、IAC、APRSAFといった国際的なイベントの場において、この国際宇宙探査に向けた機運を醸成するための各種イベントを行ってまいりました。このようなことがサポートとして大きく作用し、中身の検討の国際宇宙探査センターとのコラボレーションがうまく実を結んだのではないかと考えております。
 D-6ページにまいります。名古屋で開催されたAPRSAF-26に計469名の参加をいただきました。この会では、宇宙機関長をはじめとする各国宇宙分野のリーダーによるラウンドテーブルの議論を行い、広範な地上課題の解決、人材育成・科学技術の向上、地域の共通課題に対する政策実施能力向上、及び地域のニュープレーヤーの参画促進という4つの目標を「名古屋ビジョン」として採択しております。
 加えて、具体的な施策としてスタートしたものも3つあり、1つはSAFE Evolutionという、各国の衛星データを提供し合って多国間での利用を推進するプログラムです。こちらはもともとJAXAと他国とのバイの衛星データ利用という取組をやっていたところ、この取組を多国間で利用するプログラムに進化させて、さらに地球観測の非常に重要なプレーヤーの1国であるインドも参加させ、日印のリーダーシップで進めるという形で形成されました。
2つ目が、長期宇宙人材育成というプログラムをスタートした点です。JAXAとJICAさんとの連携のプログラムでございまして、今後5年にわたり計20名を受け入れる予定です。第1号は既に東大への受入れが決まっているものの、コロナの関係があり、残念ながら受入れ自体はまだスタートしてない現状ですが、プログラムとしては既にスタートを切っております。
 3つ目が、宇宙法制イニシアチブでございまして、各国共同で宇宙法制に関する報告書をまとめ、日本の宇宙活動法やグッドプラクティスのようなものを共有し、広めていくということで、同調するような国々が宇宙政策的にアジアに増えていくことを画策して始めているものでございます。
 さらに、調査分析につきまして、D-7ページにありますように、より高度で複雑なテーマを考え、かつ戦略的に対応していくということを課題として昨年度取り組みました。成果の1つとして、ベーシックに情報提供を進めていく調査分析情報ポータルについて、政府関係の皆さんにもご利用いただいておりますが、そちらの利用者数が順調に伸びているということ。もう1つが、実際の調査分析の活動について、2019年度は、アジア・太平洋地域における環境変化を踏まえたJAXAとしての宇宙協力シナリオの作成というものを重点的に調査するテーマとして設定し、取り組みました。そのレポートは、宇宙基本計画変更の議論や、JICAさんとの対話にも活用させていただきました。この取組が新しい切り口でさまざま分析できていると高い評価をいただいており、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターなどとの連携の際に成果を活用しております。
 こういう調査活動については、調査国際部単独でやるのではなく、JAXA内で問題意識をもっている若手職員を糾合し、知見を集め、意見交換をしながらまとめたというもので、このような活動の中で、われわれの調査分析能力の向上も進んだのではないかと評価しております。以上でございます。

【中村課長補佐】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、ただ今のご説明について、ご質問がありましたら発言をお願いいたします。

【坂下部会長】 坂下ですが、いいですか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【坂下部会長】 資料のD-12ページに、慶應義塾大学との宇宙の国際ルールの形成に関する検討がなされているという表記がありますが、こちらについて1点お伺いしたいです。確か日本の場合は、ハードワーキングで国際的レジームをどのようにしてつくるかという話で議論に参加していたのが去年のことだったと思います。この議論を受けて、JAXAさんとして、文科省や経産省とともに、何か法的整備を訴えかけていくという活動予定はありますか。

【JAXA(石井)】 われわれとしては、いろいろな観点で政府支援は行っております。具体的に政策提言みたいなところまでは進んでおりません。現状は、今お読み取りいただいたとおり、慶應大学の青木先生のところを中心に議論を深めているという段階です。

【坂下部会長】 分かりました。宇宙資源開発等で法整備をかけていった後に、産業的なものをどうやって育成するのかということを議論するという理由でハードワーキングのところは取りまとめられていると理解しております。そのため、この議論での知見を、慶應義塾大学からでも、あるいはJAXAさんからでも、発信して流れをつくっておかなければ、産業を取り巻くソフトローの部分の整備ができなくなってしまうと思います。大変重要ですので、引き続きこの検討はお願いしたいと思います。以上です。

【JAXA(石井)】 ありがとうございます。重要性は、まさに今おっしゃっていただいたとおりでございまして、政府でも検討されていると漏れ聞いておりますが、それに遅れることなく、今おっしゃっていただいたようなソフトロー関係の検討は関係者の間で進めていきたいと思っております。ありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他、何かございましたら、ご発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。

【JAXA(石井)】 申し訳ありません。先ほどのご質問に答えられなかった点があり、今申し述べてよろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【JAXA(石井)】 1つ前の項目で、DATAFLUCTというJAXA発ベンチャーの得た資金規模についてご質問いただきました。個人投資家からということで額はあまり大きくはないのですが、4,600万円の投資を得ているというデータが手元にまいりました。

【中村課長補佐】 ありがとうございます。先ほどの質問は坂下委員からいただいたと思いますが、こちらで答えていただいたかと思います。

【坂下部会長】 ありがとうございます。

【中村課長補佐】 それでは、こちらでローマ数字3.6.1のヒアリングを終了いたしまして、続いてローマ数字3.6.2「国民の理解増進と次世代を担う人材育成への貢献」ということで、自己評価書D-17から、JAXAよりご説明をお願いいたします。

【JAXA(石井)】 引き続きまして、石井のほうからご説明をさせていただきたいと思います。
 D-21ページをご覧ください。今回、理事長評価としてはSとさせていただいております。昨年、評価をいただいた際に、いろいろな数字がすごく大きくなっている点はよいが、やはり質の向上やターゲットを考えて広報活動すべきではないかというご指摘をいただきました。われわれとしては、そのご指摘を真摯に受け止め、今年度は、「質の向上」「ターゲットの明確化」「興味・関心の薄い人々への理解増進」、というようなことを軸に広報活動を大幅に改善したつもりでございます。
 D-21ページにありますように、質という点で、JAXAが実施したプロジェクト等の内容が大きな影響力を持つ報道・メディアに対して、取組の中身や成果の意義・価値等を分かりやすく正確に伝えるということを考え、詳細な説明を行う記者説明会を定期的に開催いたしました。また、新たにメディア向けの勉強会も開催し、基礎的な事項から世界のベンチマークに至るまで、対象分野を総合的に伝えるという取組をさせていただきました。D-26ページ辺りに参考資料も付けてございますが、このような勉強会をさせていただくことで、皆さんにご理解を深めていただくということに注力いたしました。
 また、D-22ページにありますように、10年先を見据え、20代、30代の男女を新たなターゲットと考えました。実は、われわれの分析からすると、この世代がなかなか訴求できていないということが分かっており、10年先の重要な世代になる人たちだと考えると、彼らに対する訴求は非常に重要であるとして、アプローチしました。初めに、公開のWebサイトやYouTubeのJAXAChannelページを改善し、若い皆さんからのアクセスが多くなるように改善を行っており、YouTubeのJAXAChannelの利用者数が前年度比の2倍、登録者数24%増、総視聴回数も30%増と、そのような状況まで行けることができました。
 さらに、機関誌の「JAXA's」についても一新し、明らかに見た目がスタイリッシュで、若い人が手に取りたくなるようなものに変えるということを行いました。加えて、若い人たちが興味を持ちそうな人たちとの対談等を行い、親しみやすさにも気を配って対応してまいりました。また、JAXAシンポジウムのテーマの先鋭化ということにも取り組んでまいりました。
 さまざまな人たちにリーチするという意味での1つの方策として、異文化・異業種団体との連携を進めました。映画やヤクルトスワローズ、東京オリンピック企画等々と積極的に連携した結果、訴求数としては延べ100万人規模の人たちへの訴求ができたと考えております。
 それらの活動の結果として、このような質の向上ができたこともあり、メディア露出、Web・SNSでの情報発信、シンポジウム・イベント等々、およそ全ての活動において、量の面でも前年度を上回る過去最高の成果を更新しております。テレビの広告費換算調査については、首都圏内ではありがたいことに1位の評価をいただきました。全国規模でも2位ということで評価をいただいております。この分析については、実はテレビ放送の回数や新聞の記事掲載回数でいうと昨年度より下回っておりますが、例えば扱われている時間帯がゴールデンタイムであるということや、新聞であれば1面であるということなど、そのような広告効果の高いところに記事を掲載していただいたということが、この効果に結び付いたのではないかと考えております。その理由としては、やはり最初に申し上げましたように、質の向上ということで、勉強会等を積極的に行うことでマスコミの皆さまのご理解をいただけて、価値の高いところに記事を扱っていただけたのではないかと考えました。
 次世代を担う育成への貢献について、こちら人材の育成ということで評価はなかなか難しゅうございます。定量的な活動も第3期中期目標期間と概ね同等に、コズミックカレッジ等積極的にイベント等をやらせていただいておりますが、2019年度においては、WebサイトリニューアルとSNSの効果の連動によってアクセス数が2倍以上に増えたというところを評価させていただいております。お子さんたちのイベントへの参加に対するアンケート結果を見ると、お子さんたち自らが参加したいという動機もあるものの、やはり親御さんたちが子どもを行かせたいと思うという動機付けが非常に重要であると分析しており、子育て世代の方々にアピールするためにも、このようなWebやSNSを活用していくことが非常に重要なのではないかと考え、対応しています。
さらに、コロナが3月以降大変な状況になったわけですが、臨時休校の支援についても、「宇宙de春休み~いっしょにチャレンジ」というサイトをすぐに立ち上げ、休校期間でも子どもたちが積極的に学べるような環境を準備して対応しておりました。
 その下の多様な組織との協力促進について、各地で協力をさせていただいておりますが、さまざまな学習支援活動に関する情報共有、指導者ネットワークを広げ、桑名で行った宇宙教育地域フォーラムでは、地域主体での開催という状況までたどり着いております。
 申し訳ございません。少々長くなりましたが、以上でございます。

【中村課長補佐】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、ただ今のご説明についてご意見等がございましたら、発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、こちらでローマ数字3.6.2のヒアリングを終了したいと思います。
 こちらで休憩に入りますが、経済産業省の委員の皆さまは、こちらで項目が全て終了となりますので、これ以降はご退室いただければと思います。よろしくお願いいたします。本日のヒアリングを通してまた追加のご質問等がございましたら、経済産業省さんの事務局のほうまでメール等でご連絡いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 総務省の委員の皆さまは、まだこの後ございますので、休憩に入りたいと思います。今、16時ですので、16時15分から再開ということで休憩に入りたいと思いますので、また16時15分からお集まりいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

【中村課長補佐】 それでは、時間になりましたのでヒアリングを再開したいと思います。
 続きまして、ローマ数字3.3.5「宇宙状況把握」から、ローマ数字3.3.7「宇宙システム全体の機能保証」まで、3項目通してでございますが、JAXAより説明をお願いいたします。自己評価書は、先ほどから少し戻りましてA-64からとなります。
 それでは、よろしくお願いいたします。

【JAXA(寺田)】 それでは、ローマ数字3.3.5「宇宙状況把握」について、JAXA寺田のほうから説明いたします。
 A-66ページに、この宇宙状況把握の事業としての全体が記載されていますが、既存の設備でのスペース・デブリの観測、解析及び衝突回避の制御、並びに新しいSSAシステムの整備というものを行っております。
 A-67ページで、2019年度は、人工衛星の運用を確実に行い、安全保障分野、民生利用分野における宇宙空間の持続的・安定的な利用の確保に貢献するため、国の政策に対応した組織体制の構築に貢献するとともに、宇宙状況把握の活動および高性能な新たなシステムの整備を継続し、中長期で設定したSSAに関する研究開発等を計画どおり実施したということで、自己評価はBとしております。
 A-68ページに、JAXAの新しいSSAシステムの概要を記載しております。岡山県の井原市美星町に1メートル級の望遠鏡を更新するもの、また、同じく岡山県の上斎原にレーダーを構築するというものであります。レーダーは、現在の設備は高度650キロで1.6メートルの観測能力があるというものになりますが、これを10センチ級の物体を観測できる設備に今現在整備しているというものであります。こちらについては、システムの維持設計を実施し、製作を継続して行ったということです。
 また、関係政府機関が一体となったSSA体制の構築に向けて、関係機関との人的交流、政府におけるSSAシステムの具体化に向けた技術支援を行っております。
 さらに、現在の設備で観測を行い、その観測結果についてJAXAの運用中の衛星に対するデブリの接近解析を行っているということで、2019年度は日米間の宇宙状況監視の了解覚書に基づき、CSpOCからデブリ接近のスクリーニング結果の通知、計1万4,903件を踏まえて衛星プロジェクトの接近警報を181件行ったということで、接近の可能性が高いというものについては、衝突回避判断会議を18回実施して、実際のマヌーバーを3回行ったことが実績となります。これが宇宙状況把握についてです。
 引き続き、ローマ数字3.3.6「海洋状況把握・早期警戒機能等」でございます。こちらについては、大変申し訳ありませんが、今回のWeb会議でのご説明、質疑応答が実施できるのは、今、掲載されている公開資料についてのみでありまして、その点をご理解いただきたいと思います。国の安全保障機関への事前確認を得まして、公開資料、非公開資料の区別がされております。非公開資料については、後ほど事務局より別途メールで送付させていただき、質疑応答もメールベースで実施させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日公開の資料に関するご説明でございますが、A-75ページからになります。わが国の周辺海域を取り巻く情勢が一層厳しさを増しており、海洋権益が深刻な脅威・リスクにさらされているという状況の中、国の安全保障機関における衛星観測データの利活用がさらに進展し、MDAの能力向上が図られたということで、わが国の安全保障の確保に貢献する研究開発成果の最大化に向けて顕著な成果があったとし、Aの評価をしております。
 成果の事例として、公開の資料では3つ掲げております。1つ、国の安全保障機関のMDA能力向上への貢献ということで、ALOS-2のSARの観測データ及び船舶自動識別装置「AIS」で取得した船舶情報や地球観測データと、並びに海外の衛星データや海外モデルのデータを複合的に利用して恒常的な提供及び利用技術の支援を行って、国の安全保障機関における海洋状況把握への衛星情報の利活用の定着、能力向上に貢献しました。加えて、GCOM-Cの衛星観測データによる詳細な海面水温、クロロフィル濃度等のデータの提供も2019年度に開始しております。
 また、政府における海洋情報の効果的な集約、共有、情報の提供ということで、GCOM-Cの観測データの提供の準備を行い、2020年度には、「海しる」側の準備でき次第、これらのデータを提供する予定としております。GCOM-Cにより観測される沿岸域の海水温データや漁業者の要望が高いクロロフィル濃度の提供によって、「海しる」の機能強化に一層貢献できるという見通しです。
 さらに、防衛装備庁から受託している2波長の赤外線センサの開発は順調に行われており、年度計画で設定した業務は全て完了いたしました。状況を含めて全て完了し、納入しております。
 すみませんが、提供できる情報は以上です。ローマ数字3.3.6の説明は以上です。

【中村課長補佐】 ご説明ありがとうございました。
 ただ今のご説明について……、失礼しました。これはローマ数字3.3.7も通しで。

【JAXA(石井)】 ローマ数字3.3.7は石井のほうから説明いたします。
 A-78ページからになります。「宇宙システム全体の機能保証」、評価はBとさせていただいております。
 A-79ページをご覧ください。評定としまして、宇宙システム全体の機能保証強化ということで、安全保障関係機関との連携を強化して対応させていただいております。実績・成果は次のとおりでございます。
 1番目に、宇宙システム全体の機能保証に資する防衛省防衛装備庁等の関係府省との連携強化ということで、衛星利用に係るリスクシナリオ等の政府におけるケーススタディーの支援を行いました。また、ミッションアシュアランスの強化を視野に入れ、防衛省防衛装備庁との連携強化として2波長赤外センサの実証研究、宇宙状況監視というような重要プロジェクトをまず確実に実施しております。2つ目ですが、宇宙空間の安定的利用を確保するため、防衛大綱・中期防にて導入が明示されたSSA衛星について、防衛装備庁から宇宙設置型光学望遠鏡衛星へ適用する技術に関する調査検討の公募が行われました。われわれJAXAで入札させていただきまして、落札し、検討結果を昨年度末にご報告してございます。3つ目ですが、防衛省防衛装備庁との間での人事交流等を行っており、さまざまな場面での講師の派遣等も拡充をしております。
 A-80ページにありますように、JAXAが保有する宇宙システムの脆弱性評価について、宇宙機関連のシステムとして、どのようなセキュリティ対策を行うべきかというものを関連企業、あるいは国内の制御系セキュリティの専門組織とも協力の上検討し、宇宙システムセキュリティ管理標準・セキュリティ対策標準を作成いたしました。具体的には、宇宙機システムというものはさまざまシステムがあり、地上システムとも連携する、さらには地上の中でのシステム間でも連動するというようなシステム・オブ・システムズになっているわけですが、このようなシステムそれぞれに対してのセキュリティの考え方というのを持たねばならないといったところのガイドラインのようなものを作ってございます。2つ目が、種子島宇宙センターのインフラ設備の脆弱性評価です。こちらは、国内の制御系セキュリティ専門組織の長のような外部のセキュリティ専門家の方に高水準であるという評価をいただいております。3つ目が、制御系セキュリティ専門家や海外宇宙機関とのチャンネルということで、宇宙機関間での担当役員レベルの会合がございますが、個別の委員会といったところで国際動向の把握をしております。
 資料としては、あとはA-81ページに防衛省さんと協力・連携の状況の進展を青字で示してございますので、ご覧いただければと思います。以上でございます。

【中村課長補佐】 ご説明ありがとうございました。
 ただ今の3項目につきましてご質問がございましたら、ご発言をお願いいたします。

【矢入専門委員】 上智大学の矢入です。よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【矢入専門委員】 ご説明、ありがとうございました。資料にもございましたが、ローマ数字3.3.5宇宙状況把握とローマ数字3.3.7宇宙システム全体の機能保証は、9名という人員の方々で予算も一緒にやっていらっしゃるということなのですが、恐らくローマ数字3.3.5の方が研究的な内容が強く、ローマ数字3.3.7の方は実務としていろいろやっていらっしゃるのかなという印象なのですが、それで正しいでしょうか?そうであれば,少ない人数で研究も実務も両立されている方々の成果であるローマ数字3.3.5がBと大変遠慮がちに評価されている一方で人数の多いローマ数字3.3.6の海洋状況把握はAと評価されており、このような違いはどうしてなのかという疑問がございます。その辺、差し支えのない範囲でご説明いただけると幸いです。

【JAXA(寺田)】 実務という意味でローマ数字3.3.5も非常に実務的なことであり、日々、衛星の接近情報や宇宙状況の監視を行っており、必要に応じて接近解析の上、衝突するというような事態が発生する可能性がある場合には、回避運用をするという活動です。また、もう1つはSSAシステムの整備ということで、先ほどもご紹介したように、地上系のシステムの開発整備を行っております。こちらは、Bという自己評価ですが、現在はほとんどルーティン的に業務を行っていること、また、まだ新しいシステムは開発途中であること、ということであり、開発が完了した暁には、この施設で新しい観測を行い、新しい知見が得られることになったら、自己評価もいい評価にしていくと考えています。
 それから……。

【JAXA(石井)】 ローマ数字3.3.7のほうは、私のほうからよろしいですかね。

【JAXA(寺田)】 お願いします。

【JAXA(石井)】 ご指摘のとおり、ローマ数字3.3.7は横串的な仕事でございます。取りまとめは経営推進部というヘッドクオーターにある部署でやってございますが、機能保証の検討という業務は、衛星運用でもあり、ロケットの射場でもあり、さらには防衛省さんとの協力という観点でもあり、多くの部署との協力人員が参画をしてもらうという形でやっておりますので、このローマ数字3.3.7は、そのような意味では部署単体ではお金や人員があまりかからずに実行できているというようにご理解いただければと思います。

【矢入専門委員】 ありがとうございます。
 気になった点は、これまでのご説明をお聞きしながら思っていたところでもございますが、大変重要な宇宙の制御の技術やこのようなスペース・デブリの監視などはとても大事な業務にもかかわらず、このような地味な業務につかれている研究の方々は割と控えめに評価を出されている印象があります。一方、それに対してマスコミ等の注目を浴びやすい華やかな業務やパフォーマンスは、SやAを出しやすい傾向にあるのではないかなと。その辺りについて、現場の研究者の方々は少しやるせない気持ちをお持ちなのではないか、というような気持ちもあってお尋ねしてしまいました。今後、このような地道で重要な業務にも人員や予算が拡充されていく可能性があるのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 高い評価をいただきまして、ありがとうございます。
 特に接近解析や、それに基づいて衝突を回避することは、本当に衝突してしまったら大事故、大損失につながるので、回避できているということ自体が一つの成果なのかなと思います。また、よりこれを正しく、あるいはより効率的に行うために、ぶつかる確率について、より高い確率・精度で評価ができれば、余計なことをしなくていいということで、解析技術というものも日々向上している状況です。さらに言えば、新しいシステムができれば、よりそのような状態に近づくということであり、日々精度が向上しているところですで、次年度については、どれぐらい、その精度等が向上したのかというものを提示して、自己評価も上向きにしていきたいと思います。

【矢入専門委員】 ありがとうございました。

【中村課長補佐】 その他、ご質問はございますでしょうか。

【知野委員】 すみません、1つよろしいでしょうか。知野です。

【中村課長補佐】 よろしくお願いします。

【知野委員】 この防衛省との協力、あるいは防衛協力について、こちらは今大体、人員のどのぐらいを割いていらっしゃるのでしょうか。また、こちらは年々増えてきているのでしょうか。

【JAXA(石井)】 石井のほうからお答えいたします。
 専任の人員というのは非常に限られており、本当に数名の専任での対応になっております。なぜかと申しますと、職員は研究開発はじめいろいろな仕事をやっている中で、防衛省さんとの協力ができるものは協力して研究をするという形になっておりますので、いわゆるエフォート率の中でその辺を対応している現状でございます。防衛省さんの競争的資金を頂くというようなものも実現できているわけですが、そのような事業については少しエフォート率を高く対応しているというような状況にございます。
 今後どうなっていくかについては、われわれも想像が難しいところであり、宇宙関係で知見のあるところでわれわれに協力を期待されるところについては、可能な限り対応したい、と、このような定性的なお答えになります。後半の業務効率化に関する項目で、JAXAの人員が全然足りていないというようなお話もご紹介いたしますが、期待されて頑張りたいところではあるものの、なかなか現実は難しいところもございます。

【知野委員】 分かりました。ありがとうございます。
 非常にさまざまな意味において、宇宙が安全保障で注目されていますので、おそらくいろいろと仕事が増してくるのではないかと思っているのですが、やはりそういうことですね。

【JAXA(石井)】 そのような状況かなと感じております。

【知野委員】 分かりました。ありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他、ご質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、これでローマ数字3.3.5からローマ数字3.3.7までのヒアリングを終わりまして、引き続いてローマ数字3.7「情報収集衛星に係る政府からの受託」について、自己評価書E-1からでございますが、JAXAよりご説明をお願いいたします。

【JAXA(寺田)】 それでは、また寺田のほうから説明いたします。
 本項については、なかなか情報がこの場に出せないということもありますが、E-3ページ目で、政府から受託した事業については、必要な人材、連携体制を確保して情報収集衛星に係る事業を実施しております。宇宙基本計画の工程表どおりに光学7号機の打上げを行ったということで、各衛星システムの開発実施、解像度を含む情報の質等の向上の施策の提案・採用及び将来衛星システムに向けた新しい研究、構想提案等を着実に実行いたしました。この活動が政府から求められる水準を上回る成果を上げまして、技術集団として大きく貢献したと評価しておりまして、自己評価Sとさせていただいております。
 本受託事業については、CSICEとの幹部レベル及び現場レベルでの緊密な連携・調整の下に実施しており、開発・運用による政府目標への貢献、または最先端の商業衛星を凌駕する水準で継続的に良好な成果を出せるように着実に実施しているところであります。
 今回ご提示できる資料はCSICE殿に事前に確認いただきまして、資料の内容が事実であることは確認いただいているところでございます。
 紙面での情報公開という観点では、引き続き限られている状況ではございますが、以下についてS評価の理由を述べさせていただきたいと思います。
 まず、1番目は、宇宙基本計画工程表どおり打ち上げた光学7号機で政府要求を上回る性能を達成したということで、解像度を含む情報の質等を最先端の商業衛星を凌駕する水準まで向上させ、また姿勢駆動装置の搭載台数の増強によりまして、俊敏性の向上を実現しております。また、2つ目は、技術集団として政府の将来衛星構想の段階的実現及び新たなセンサーの導入ということで、関心対象の動態的な監視のための時間軸多様化衛星について、経費削減を考慮した開発を開始しております。また、新たなセンサーの導入に向け、波長の異なるセンサの研究を継続して行っております。さらに、3番目は、政府の定常運用を支援することにより、総合的な付加価値を付与したということで、地上システムにデータ中継機能を搭載し、質、量、即時性に関して格段に能力を向上させ、情報収集衛星等を最大限に活用しているということで、情報収集衛星の4機体制を確実なものとしております。加えて、4番目は、わが国全体の宇宙開発利用・発展に資する情報収集衛星技術の利用促進制度の新たな運用の開始ということで、わが国の衛星技術基盤の評価を図るため、先端技術である情報収集衛星技術の利用をより促進する制度の新たな運用を開始しております。最後に、5番目は、宇宙システム全体の機能保証強化と新しい安全保障分野への貢献ということで、情報収集システムの安全保障分野における活用を一層強化するため、機能保証を総合的かつ継続的に保持・強化するための方策の調査・検討を行い、特に重要な先端技術の研究開発を実施しております。
以上の理由によってS評価ということにさせていただいております。以上です。

【中村課長補佐】 ご説明ありがとうございました。
 ただ今のご説明についてご質問がありましたら、ご発言をお願いいたします。

【知野委員】 質問ですが、よろしいでしょうか。知野です。

【中村課長補佐】 知野先生、よろしくお願いします。

【知野委員】 このSの理由の4つ目の利用促進制度の新たな運用の開始とは、どういうものなのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 こちらは、この情報収集衛星の開発で得られた知見を活用するという制度であります。欧米・海外では、このように開発で得た知見というものが活用されて、宇宙産業や関連産業の高度化や産業競争力の強化に活かされるというような仕組みが構築されておりますが、なかなかわが国ではそのような活用が積極的に行われていないという状況であります。こちらでは本当に最先端の技術が開発されておりますので、その部分を民間の産業や、あるいは後続するJAXAの衛星開発等にも活用する仕組みをつくっていきたいというものであります。

【知野委員】 それはJAXAとしての事業としてということなのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 JAXAとしての事業というよりは、言ってみれば、そのような情報を持っているところに対して働き掛けて、われわれはその情報をむしろ活用する側という観点で活用させていただく、というような制度をつくっていくということだと思います。

【中村課長補佐】 知野先生、よろしいでしょうか、今の回答で。

【知野委員】 具体的によく見えないので分かりにくいのです。そのように言いますのは、Sを付けられた理由に関わってくるわけですが、1番は何となく技術が上がったのだなということが分かるものの、2、3、4に関しては、これがSに値するという理由のところでもあるので、例えば2番目は将来衛星構想に関して助言をしたということや、新たなセンサを開発したこと、等がその根拠なのか、また、3番は、総合的な付加価値というのは何なのか、4番は、今のご説明であれば、何か政府が持っている知見を使うように働き掛けたのか、Sに値するとおっしゃる根拠がいま一つよく分からなかったので、確認をさせていただきたかったのですが。

【JAXA(寺田)】 今、4ポツについての利用促進制度の新たな運用の開始というところで、もう少し説明をさせていただきますと、新たな運用という観点で、いわゆる開発に基づいていろいろ得た知見について、それを利用するに当たって、こちらからはさまざまな申請を行うわけですが、利用の可否を判断するための判断基準、あるいは技術区分というようなものを具体化して、その基準等を企業と共有していくということで、企業側にとって、あるいはJAXAにとっては技術利用の申請を考えやすくし、利用の可否の判断が迅速化されるというものにつながっていくということで、われわれ自身もこのような情報、技術を使いたいということで、JAXA側でいろいろ判断基準や技術区分などを整理しているということであります。

【知野委員】 例に挙げた2つについて、将来構想の段階的な実現というのは、何か技術に関して提言や助言をしてきたというような意味でよろしいのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 はい、よろしいです。

【知野委員】 それと、3番目の総合的な付加価値というのはどういう意味なのでしょうか。

【JAXA(寺田)】 情報収集衛星について、E-2ページにどのような衛星が運用されているかを記載しております。このようにあるシステムとして、1機だけではなくシステムとして確立して、この体制がより確実なものになっているということ、加えて、データ中継機能というものを搭載し、質、量、即時性に関して能力を向上するということで情報収集衛星を最大限活用するという取組をしています。即ち、衛星機体だけではなく、地上系、あるいはネットワークを含めて、総合的な付加価値を上げるという努力をしているというものであります。

【知野委員】 分かりました。ありがとうございます。

【中村課長補佐】 それでは、他にご質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 こちらの項目は、なかなか具体的なところまではお伝えしづらいことがあると思いますが、ひとまずこちらでローマ数字3.7のほうのヒアリングを終了したいと思います。
 続きまして、自己評価書D-44から、ローマ数字3.6.3からローマ数字3.6.5まで3項目ございます。こちらについて、JAXAよりご説明をお願いいたします。

【JAXA(久保田)】 JAXAの久保田ですが、聞こえていますでしょうか。

【中村課長補佐】 聞こえております。

【JAXA(久保田)】 それでは、ローマ数字3.6.3の「プロジェクトマネジメント及び安全・信頼性」について、2019年度の実績を報告いたします。ページ数がD-51ページ目からになります。
 JAXAではご存じのとおり、プロジェクト活動の安全・確実な遂行をしてきておりますが、2019年度に成果を上げたと認識しておりまして、自己評価をAとしております。その理由について、これから述べたいと思います。
 D-52ページに、昨年度の主な実績と評定理由を上げております。大きな成果としましては3つあります。1つ目が、プロジェクト上流段階におけるSE/PM能力の向上ということで、プロジェクトになる前の段階で今まで得られた教訓を取り込むという活動を反映したこと、及び若手プロフェッショナルの早期育成を行った点です。後ほど紹介します。
 また、2つ目が、安全・信頼性の確保という観点で、安全・信頼性に関する技術的標準を整備及び制定したことが大きな成果となっております。
 3つ目の成果としては、外部機関への支援・貢献ということがあり、JAXAが宇宙系システム開発などで蓄積してきた知見等を外部機関へ紹介、共有したということも大きな成果となっております。
 具体的な内容がD-53ページ目以降に上げております。1つ目がプロジェクト経験事例の伝承ということで、経験事例と教訓を研修という形でプロジェクトになる前の段階に伝承を行ったということで、成果としましては、月極域探査ミッションの検討を加速しまして、プリプロジェクト化を約半年で早期に実現したという点が上げられます。
 また、D-54ページ目は若手の育成ですが、30代の若手エンジニアを対象に、実務経験に基づく体験学習を演習として行いました。こちらの演習は、実際にプロジェクトを進めているものを題材として、若手を対象に演習を行ったもので、こちらも将来のプロフェッショナル、プロマネ等を育成するために有効になっていると考えております。こちらは2019年度に初めて行った試みになっており、今年度も引き続き行っている次第です。
 さらに、D-55ページの安全・信頼性について、2019年度は3つの技術標準を制定いたしました。軌道上サービスミッションに関して安全基準を設け、デブリ除去等で人工衛星が他の物体に接近する際の安全基準を設けることに取り組み、これに対して欧米のESA/NASAに対しても提案した結果、彼らの合意を得ました。日本が世界に先駆けてこのような標準をつくったことも大きな成果になります。これらの基準等が商業用のデブリ除去実証ミッションにも適用されることになります。また、打上げ等に関しては、サイバーセキュリティ対策の管理標準、対策標準をつくっております。さらに、実際のミッションを運用するに当たっては、運用準備に関する標準とも制定しており、2019年度は3つの大きな標準を制定した次第でございます。D-56ページでは信頼性の向上、及び不具合の低減活動に積極的に取り組んでおり、2016年度にこのプロジェクト業務改革を開始して、約半減を目安として行っており、2019年度も約半分になっているという状況でございます。
 D-57ページに移り、3つ目の大きな成果について、JAXAが獲得した知見というものの外部機関への情報共有ということも積極的に行っており、こちらでは3つ上げております。1つ目が、JAXAのプロジェクトマネジメント品質信頼性管理について、福島第一原子力発電所の廃炉事業への情報提供ということも行い、取り入れるということで意見を頂いております。また、2つ目が、ロケット等の構造のロバスト制御手法をJAXAで開発し、支援ツールをつくっているものを適用して、建築耐震設計のロバスト設計に対し京都大学と共同研究して計算高速化への貢献を行いました。東日本大震災以後の耐震補強の拡充に高速に解を得る方法を提供して、品質工学会等でも発表して成果を評価されております。さらに、HTV-Xの安全評価に用いた手法を用い、自動車の安全確保についても貢献をしており、このような手法が今後の自動車の安全確保及び自動運転に使われると聞いている次第です。
 以上で、プロジェクトマネジメント、安全・信頼性についての業務報告でございます。以上です。
 
【JAXA(石井)】 続きまして、情報セキュリティの項目、ローマ数字3.6.4です。D-72ページ以降をご説明いたします。
 自己評価は、今回はAとさせていただいております。基盤的な活動になりがちな情報システム活用、情報セキュリティですが、2019年度は高い水準を維持しながら顕著な成果が出たと考えておりますので、ご紹介をさせていただきたいと思います。
 D-75ページをご覧ください。全社共通で利用しております情報システムについて、4点成果を出しております。
 1つ目が、ネットワークの更新について、SINETは皆さんご存じかと思いますが、SINETを使いつつ各事業所の中での接続がうまくいくようにということを工夫し、設計はJAXAで行うことで、実現のための契約を競争入札のような形で行いましたところ、帯域としては100倍となりながら、回線の費用としては46%削減ということが実現できる見通しを得ました。また、Microsoft Teamsも皆さんもよくご存じかと思いますが、このコラボレーションツールの機構内での利用者が増えるような活動を行ってまいりました。結果としてMicrosoft社から成功事例として講演してほしいというような依頼を受けております。この辺はコロナの影響でリモートワークが一気に広がりましたが、非常に役に立った内容でございます。さらに、携帯電話及び社内電話について、今までPHS主体でやっておりましたが、PHSが本年7月でサービス終了を迎えるということもあり、携帯電話の必要な内容、状況を詳細に調査した結果、一括での調達によって料金の66%減が達成できるという成果を実現いたしました。加えて、コロナ禍でのテレワークについては、機構外からのアクセスが約6倍になるというような状況にも対応ができるように準備をいたしました。
 D-76ページにまいります。スパコンの状況でございますが、競争入札を行いました。今までは1社応札ということでなかなか費用削減の難しかったところを、競争的に入札を行えるよう工夫をし、性能は13倍で費用は10%削減できるようなものになりました。また、スパコンの高い運用技術についても、データ転送技術ということで国際競技会にNICTと参加して受賞をすることができました。
 また、全社的な情報セキュリティの確保状況でございますが、JAXAは一般と比べますと非常に狙われているといいますか、約7倍の攻撃通信を受けています。こちらは、2019年度実績でございます。このような中でも重大なインシデントが発生していないという状況を維持しており、その維持に関するセキュリティ水準の向上とガバナンスの強化ということで、階層別の教育を行う、及び各職員の受講も100%を実現してございます。非常に地道な努力でございますが、このようなところも1つ成果を維持しているとご理解いただければと思います。以上です。

【JAXA(中村)】 続きまして、ローマ数字3.6.5「施設及び設備に関する事項」について、中村からご説明させていただきたいと思います。
 最初にD-91ページをご覧いただきたいと思います。
 JAXAは全国に事業所を持っており、重要基盤のインフラの老朽化対策は非常に重要な案件だという位置付けをいたしました。各施設では、さまざまな作業をしておりますが、施設設備は、企画・計画のフェーズにおいて、大体出来上がるものの8割方が決まるという状況になっております。従いまして、JAXAとして施設の評価をするときには、計画がしっかりと立てられたかということ、及び施設が実績として出来上がって、当初想定された実績が出たかということを、同じように評価している状況でございます。JAXAでは経年30年以上の施設が50%程度と、非常に重大な状況にあるということです。D-83ページについてこのような施設に対して、中長期目標で何が要求されているかというと、老朽化した施設・設備の更新、自然災害対策、安全化等のリスクの縮減、エネルギー効率改善等の計画を策定すること、及び確実に実施することの2本柱になっています。さらに、各部署からの要求に対して専門性を生かした技術提案を行っており、実際には、その提案をもとに各部門が行うということになります。再度に、調査・研究を行うことが求められており、これらの取組がしっかりできたかどうかということが評価軸になってございます。
 D-84ページについて取組の成果として、施設の維持・運用については、ESCO事業という省エネルギー改修に係る費用を光熱費の削減費で賄うというような仕組みがあり、この事業を筑波宇宙センターの動力棟の高効率熱源システムに適用しました。計画を立てたのは前年でしたが、昨年度は実際にこれをつくり、3月には成果として実際に金額が安いという結果が出てきたということです。さらに、2019年度は計画の段階ではありますが、相模原キャンパスにおいて新しいESCO事業の計画を取りまとめたというところまで来ました。2020年度は、これを実施するということになります。
 また、2つ目の施設の更新・整備について、種子島の老朽化した発電機に関しては、大容量の蓄電池システムの導入ということで、これまでの発電機の単純な更新ではない新たな計画を立てるということができ、さらにその工事を実施することができました。さらに、調布の基盤電力再構築については、新たに計画をまとめるというところまででき、いよいよ2020年度から実施という段階にございます。
 さらに、種子島にあるフェアリング組立棟という建屋について、ロケットの輸送部門が実施している事業ではありますが、われわれ施設部のほうで専門性を生かした提案を行いまして、通常であれば1年間以上かかるところを大幅に作業期間を短縮することができたということで、専門性を持って各部門に貢献することができたという例になっております。
 加えて、調査・研究について、これらのさまざまな技術を進めるに当たり、施設部自身が調査・研究を外部と実施してございます。こちらで上げております事例は、例えば建築研究所との連携として、衛星測位データに基づく被災建物の損傷の性状の評価を行うための検討を進めて建築研究所の屋根に試験的にシステムを導入すること、また、大阪府の建物にシステムを一部導入するというような実施のところまでこぎ着けることができました。
 また、勝浦地区の通信所では、土砂災害の危険度情報についての配信を進めることができ、さらに角田宇宙センターでも危険斜面の警戒システムの整備を始めるということをしてございます。
 最後は、地域の方との共同調達になります。自分の組織だけではなく、外部との共同調達で資材の購入を効率化できたというような事例でございます。
 このようなことを進めた結果、大きな成果を上げたと評価してございます。ありがとうございました。以上でございます。

【中村課長補佐】 ご説明、ありがとうございました。
 ただ今、3項目の説明でございましたが、ご質問がございましたらご発言をお願いいたします。

【藤本専門委員】 藤本です。

【中村課長補佐】 お願いいたします。

【藤本専門委員】 D-57ページについて、外部機関へいろいろとノウハウ等培ってきたものを展開されている素晴らしい活動だと思ったのですが、どのようなことを行った結果としてこのような外部展開が実現されたのか、何か働き掛け等の活動をされたのでしょうか。

【JAXA(久保田)】 久保田から回答いたします。
 JAXAでは、ロケット、人工衛星等のミッションを遂行している中で、成果のときに対外的に発表し、または学会等でこのようなものを開発した、ないし、このようなやり方をしているというようなことを積極的に発表している中で、その発表を聞いた企業から、ぜひお願いしたいというような観点で依頼があるということで、情報発信とともに、そのような情報を共有したいというような依頼があった次第でございます。

【藤本専門委員】 なるほど、よく分かりました。ありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他はよろしいでしょうか。

【生越専門委員】 東京理科大学の生越です。

【中村課長補佐】 お願いします。

【生越専門委員】 プロジェクトマネジメントのところでお伺いしたいのですが、いわゆる形になっている知識、形式知については、さまざまなチェックをすることは非常にやりやすいと思うのですが、一方で、さまざまなノウハウ等は、人間の頭の中にある、いわゆる暗黙知の中である部分も多いと思います。そのようなものをどのようにしてプロジェクトマネジメントでチェックする努力をされているかということをお伺いしたくて質問させていただきました。

【JAXA(久保田)】 久保田です。どうもありがとうございます。
 JAXAでもその辺を大変苦労しているところでございまして、D-53ページに経験事例と教訓ということで、埋もれていた経験など形にならないものをどのようにして引き出すかということを大変苦労しているところでございます。実際、人がやっていることですので、各人にインタビューする形でなるべく経験を取り寄せたり、プロジェクト推進室の中でも気が付くことはたくさんありますので、そのようなものをなるべく残すようなことも各プロジェクトにお願いしたり、などということを通じて、プロジェクトを推進する傍らで、経験、教訓というのをまとめています。人へのインタビューと、あるいはそのような経験をまとめるということを行いつつ、プロジェクトが終わった後にも、その知見を振り返るような形で、なるべく埋もれていた、あるいは形にならないものを引き出そうとしておりますが、まだまだ今、そこをしっかりとやっている最中でございます。

【生越専門委員】 お返事、ありがとうございます。インタビューの記録等を残しておかなければ、その担当の方がいなくなると二度と得られないものがあると思うので、是非アーカイブ的に残されることを期待しております。ありがとうございます。

【JAXA(久保田)】 どうもありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他、ご質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、こちらでローマ数字3.6.3からローマ数字3.6.5のヒアリングを終了したいと思います。
 続きまして、項目としては最後となります。ローマ数字4.「業務運営の改善・効率化」から、ローマ数字6.2の「人事に関する事項」まで、4項目合わせてでございますが、自己評価書F-1からということになってございます。こちらについて、JAXAよりご説明をお願いいたします。

【JAXA(石井)】 それでは、石井でございます。「業務運営の改善・効率化に関する事項に係る措置」ということでご説明させていただきます。
 F-1ページにありますように、自己評価はBとさせていただいております。
 F-2ページをご覧ください。評定理由・根拠として、年度計画で設定した業務は計画どおりに実施したということ、また、調達合理化についても確実に進めたという状況でございます。
一方で、経費の削減、特に一般管理費の削減等が目標に定められておりますが、こちらは非常に厳しい状況にあります。また、人件費ということで、先ほど別の場面で触れさせていただきましたが、今の人件費では、今後、JAXAに求められる要請に対するための十分な人員確保が難しいという認識をしております。
 (1)からご説明いたします。はじめに、新しい価値創造に向けた組織体制の整備ということで、今まで第一宇宙部門ということで、輸送と衛星と1つ大きな組織としておりましたが、やはりそれぞれが重要な研究開発を担っているということで、専任の部門長を1名ずつ配置し、開発体制を強化することをしております。特にH3ロケットの開発が佳境を迎えておりますところ、輸送専任の組織を1つつくったということでございます。
 2つ目が、準天頂の衛星システムの研究開発について、こちらも受託をさせていただいておりま、そこに人員を集結し、検討を進めるために、衛星測位を技術統括する人員の配置を行っております。
 また、3つ目について、知財は非常に重要なものでございますが、宇宙関係では検討が遅れているところでございます。2019年10月に知的財産課を新設し、既に知財ポリシーを策定しているところであり、本年5月にはプレスに対しても説明会を行っております。
 (2)の効率的・合理的な業務運営の推進について、一般管理費の削減ということで2.3%削減ということができておりますが、こちらは財務会計システムを改修したりRPAを導入したりとさまざまな取組を行って、ようやく達成したところでございます。第1期から第3期の中期目標期間で一般管理費は既に4割の削減を行っておりますので、非常に厳しい状況であるところでございます。また、生産性向上ということで、総務系の業務の集約化として、JAXAビジネスサポートセンターという組織を設置し、徐々に拡充もしております。その他事業費については、さまざまな努力をして経費の削減に取り組んでおります。詳細は割愛いたします。
 F-3ページにまいります。合理的な調達、及び国際競争力強化ということで、合理的な調達については、調達合理化計画を策定し、公平性や透明性を確保して取り組んでおります。国際競争力につながるという効果的な調達としては、研究開発のところでもご紹介いたしましたが、商業デブリ除去実証プロジェクトということで、民間企業の積極的な提案を受け入れて契約するという形を可能といたしました。
 さらに、(4)の人件費の適正化について、繰り返しではございますが、機構の人員が3機関統合から198人、約200人少ないという状況になっており、JAXA全体の仕事が増える状況の中、非常に大変な状況にございます。こちらについて、われわれとしては、受託費の非経常収入を原資に経験者採用ということに着手をしており、採用においてもWeb面接導入等々様々工夫を行いまして、人員増に努めておるところでございます。人件費の増というのは一筋縄ではなかなかいかないところではございますが、引き続き努力をしてまいる所存でございます。以上です。

【JAXA(中村)】 続きまして、ローマ数字5の「財務内容の改善に関する事項に係る措置」を中村からご説明申し上げます。ページ数はG-1からでございます。
 ここは、中長期計画にありますように、予算、短期借入金の限度額がどうなっているか、不要財産の処分を行っているか、重要財産の譲渡・担保化はどうなっているか、剰余金はどうなっておるか、自己収入増加に対して努力をしておるか、等を記載するところでございまして、結果については、G-8ページをご覧いただきたいと思います。
 財務内容のことについては、計画どおりに実施をしてございます。具体的には、(1)から書いてございますが、年度計画で設定した業務を実施し、財務諸表を適切に取りまとめてございます。また、不要財産については、松戸宿舎の土地の調整を今実施してございます。さらに、重要な財産の譲渡・担保化について、SDS-4を初めて公募を経て民間事業者に譲渡いたしました。加えて、自己収入増加への努力については、いわゆる運営費交付金や補助金というもの以外に自己収入として33億円ほど、さらに、情報収集衛星関連を除いた受託収入については251億ということで、外部からのお金については、受託収入を増やすということで自己収入増加の努力をしております。しかし、それ以外についても、寄付金についても銀行との協力をすることや、競争的資金等の外部資金については、グッドプラクティスを共有するというような手法を使うなどで増やそうという努力をしてございます。
 さらに、「きぼう」の利用促進の一環としての情報提供、あるいは機会の提供を継続的に実施し、自己収入の増加につなげているところでございます。
 このようなことを着実に行ったということで、評価としてはBにしているところでございます。
 続きまして、ローマ数字6.1「内部統制」についてご説明申し上げます。ページ数はH-1でございます。
 ここでは、中長期計画において、理事長のリーダーシップの下、関係法令等を順守しつつ合理的に業務を行うということが求められてございます。その状況については、H-2ページでご説明をしたいと思います。自己評価はBにしてございます。初期の目標を達成したと評価しているということでございます。
 具体的に2019年度の特徴につきまして、全役職員に対してコンプライアンス総合研修を実施しました。さらに、新入職員40名、管理職昇格者に対する研修20名ということで階層別のコンプライアンス研修を行ってございます。
 加えて、今年度からは外部連携がさらに多くなってきましたので、利益相反に対するマネジメントが重要になってきたという認識の下、規定を変え、全役職員に対して自己申告書を提出することを義務化したところでございます。
 また、内部統制に関する点検、さらに必要に応じた見直しということも着実にやってございます。 (1)の体制については、昨年度と同様でございます。
 さらに、(2)のリスク縮減活動について、プロジェクト等の事業については、先ほどご説明がありましたように、リスクマネジメントをしっかりとやっておるところでございます。
 加えて、それ以外の業務以外の一般業務についてのリスクについては、総合リスク対応チームを設置し、重点管理リスクを定めて対応してございます。今年度につきましては、11の重点リスクを選定して対応しました。
 内部監査につきましても、例年どおり着実に実施したというところでございます。
 また、研究費不正及び研究不正対策について、ガイドラインがありますので、このガイドラインにのっとって必要な取組を実施しております。(2)に記載ありますように、2019年度は特に最近散見された注意すべき事例というものを受け、改善策を取りまとめて織り込みました。具体的には、受け入れた外国人研究者に関しての対応やギフトオーサーシップの問題等に積極的に取り組んでございます。
 さらに、人間を対象とする研究開発業務に関する関係規程類の改正を行ってございます。このように着実に実施をしたところでございます。
 続いて、最後の項目になりますが、ローマ数字6.2 人事に関する事項でございます。H-10ページをご覧いただければと思います。
 人事に関しては、中長期計画にありますように、社会に対して科学技術で新しい価値を提案できる組織を目指し、人材マネジメント及び労働環境の恒常的な改善を戦略的に推進することが要求されているところでございます。こちらについてはH-11ページでご説明をしたいと思います。自己評価はAとしてございます。
 特に2019年度においては、人材流動化の促進の分野、あるいは人的リソース不足への対応、多様な働き方の促進、働き方改革への対応等々の分野において先進的な制度を導入したということで、顕著な成績を上げたと評価をしたものでございます。
 (1)は、高い専門能力等を有する優秀かつ多様な人材の確保、人的リソース不足への対応によるプロフェッショナル集団へのシフトということでございます。人材の流動性を高める必要があるということに対応しては、従前終身雇用を前提として自己都合退職の場合には退職金を減額するという制度がありましたが、こちらを撤廃しました。また、人的リソース不足については、昨年度の評価において先生方からも指摘をいただきましたが、受託費の中の非経常の収入を原資にして、一般職のプロパーを採用するということにトライしてはどうかというお話がございました。昨年度は経験者採用にこちらを使いまして努力してみました。特に経験者採用の場合でしたので、採用時期の通年化を行い、また海外の方含む遠方の方も受けてこられやすいようにWeb面接の導入というような制度も併せて導入をしました。この結果として、一昨年度には経験者1名の採用でしたが、昨年度は年間の採用ということで、ずいぶん増やすことができました。
 さらに、職員が多様な経験機会を得ることが大事だということで、兼業の見直しを行いました。具体的には、兼業については、従前は原則禁止ということでしたが、昨年度からは業務時間外での兼業は届出の形で実施可能とし、その兼業の条件についても、業務遂行に有益か否か、能力向上に有益か否かというようなこれまでの兼業要件を撤廃し、兼業がしやすい状況にしました。
 加えて、兼業や長期の休職制度を簡易に活用できるようにベンチャー支援制度を充実いたしました。
 また、内部の管理業務を外注し、その外注した分だけ、これまでの職員の業務が減らすことで、そのリソースをプロジェクトにも回せないかということで、2018年度に試行を開始しました総務系業務の集約実施体制、「JBSC」については非常にいい成果が出たということで、2019年の10月からは定常運用に移行をいたしました。さらに、対象となる部署も増やしてございます。
 さらに、職員が自主的に課題を設定して、創造的・チャレンジングな取組が行えるようにということで、研究開発部門及び航空技術部門では、エフォートの2割を自分で好きなことに充てられるというような制度もやってまいりました。
 このように、新たな制度をいくつも導入したというところでございます。
 加えて、H-12ページで民間事業者との相互の人材交流について、2つの組織に同時に雇用されつつ、それぞれの組織の業務に従事するクロスアポイントメント制度、及び一定期間100%相手方の組織の業務に従事する出向制度それぞれにおいて、多くの人を外部に出すことができ、前年度よりも対象者を増やすことができたという状況でございます。
 また、ワークライフ変革の促進と生産性向上に資する制度の改正ということでございます。
 JAXAが運営しております保育園につきまして、いずれも定員数の園児を受け入れて運営を続けることができました。また、これまでは厚生労働大臣の優良企業認定のえるぼし最上級という認定を受けておりましたが、昨年度は、今度は厚生労働省認定のくるみんの認定を受けることができました。
 さらに、一般事業主行動計画については、着実に実施ができました。
 加えて、昨年度施行された改正労働基準法の対応として、5日間の年休取得義務化について、JAXAではWLB休暇というものを創設し、この事業主行動計画の目標を超える休暇取得の達成ができました。
 テレワークについては、かねてよりセミナーを開催する等をして促進をしてきましたが、これが功を奏してか、テレワークには円滑に移行することができました。特に政府が基本方針を出した2020年の2月25日において、多くの方に対し、テレワークないしフレックス制度への移行の指示を行い、それに対して職員が積極的に取り組んでくれたという状況でございます。3月1日時点で、テレワーク勤務の登録者は当初と比べて1,800人増え、1,886名と、対象職員の約80%がテレワーク勤務のできる状況になり、フレックスタイムの適用者は120名増の970名となってございます。最後に、今年度になってからの実績でございますが、4月17日時点では、常勤職員全体の出勤率を20%以下まで落とすことができたという実績になってございます。
 ご説明は以上でございます。

【中村課長補佐】 ありがとうございます。
 それでは、これまでの説明に関しまして、ご質問がございましたらご発言をお願いいたします。

【生越専門委員】 東京理科大学の生越です。

【中村課長補佐】 お願いします。

【生越専門委員】 先ほど知的財産のポリシーをつくり、プレスリリースで発表されたとお伺いしたのですが、その知的財産のポリシーをホームページなどで見ることはできるのでしょうか。

【JAXA(石井)】 石井でございますが、外に出すバージョンのものというものをつくっておりますので、ご覧いただけるものと思っております。

【生越専門委員】 では、ホームページを見れば探せるということですね。

【JAXA(石井)】 と思います。確認してURLをお送りするようにいたします。

【生越専門委員】 ありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他、ございますでしょうか。

【知野委員】 よろしいでしょうか。知野です。

【中村課長補佐】 お願いします。

【知野委員】 兼業しやすい体制をつくられたということですが、今、兼業されている方はどのぐらいいらっしゃるのでしょうか。

【JAXA(中村)】 中村でございます。
 今、手元に最新のデータ、あるいは年度末のデータがないので、後ほどデータをお送りしたいと思います。

【知野委員】 分かりました。
 それとテレワーク、常勤職員全体の出勤率を20%以下ということで、かなりテレワークが進んでいますが、開発部門等はどのようにされているのでしょうか。

【JAXA(中村)】 現場のほうへ行かなければならないところは確かにありまして、そういう部門は出勤をしておりました。具体的には、ロケットの打上げや受託の部門等はどうしても職場に出なければいけないというところがありました。それ以外のところは積極的にテレワークを進めたということで、全職員の平均でこの数字が出せたというところです。

【知野委員】 分かりました。ありがとうございます。

【中村課長補佐】 その他、ご質問はございますでしょうか。

【藤野専門委員】 藤野です。よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【藤野専門委員】 受託費を活用して人件費に充てて非定常収入で人員を増員されている、ということで、特に独立行政法人の場合、運営費交付金でプロパーの人件費を出さないといけないというもともとの縛りがあり非常に大変なご苦労をされていると思います。そのような意味では、工夫の一つとして、そのような取組が出てきたということだと思います。特にさまざまな点で推進したほうがいいような気がいたしますが、こちらについて逆に問題点等はありますでしょうか。あるとしたら、どういうところが問題かということを教えていただければと思います。

【JAXA(中村)】 ありがとうございます。
 委託費でプロパーを雇った場合、その委託がなくなった時は、そのプロパーの方の人件費をどのようにして手当てできるだろうかということが一番の問題になると理解をしております。JAXAの場合には、例えばCSICEさんからいただいているような受託につきましては、既にずいぶん長い期間、受託が続いており、恐らくこの受託はこれからも続くだろうと見込みがありますので、経営として決断ができたということが一番大きなところだろうと考えております。

【藤野専門委員】 了解しました。そのような意味では、自己収入が増えれば、もう少し雇えるのに、というような話はあるかと思いますが、そのような面の拡充をかなりしないといけないということもある上、さらに言うと、運営費交付金の上のキャップがどんどん下がっていってしまうことがおそらく問題になるかと思いますが、いずれにしてもきちんと工夫されてやられているということを評価させていただければと思います。

【中村課長補佐】 その他、ご質問等はございますでしょうか。

【入澤専門委員】 入澤ですが、よろしいでしょうか。

【中村課長補佐】 お願いします。

【入澤専門委員】 人事に関する事項の内部管理業務のJBSCに関して、これは組織内の人を集めてつくった部署なのでしょうか。それとも、外部委託しているものなのでしょうか。
 加えて、その範囲を拡大したと書いてありますが、こちらは筑波、調布だけで、相模原は入らないのでしょうか。

【JAXA(中村)】 ありがとうございます。この総務系業務の集約を実施しているJBSCについては、プロパーの職員は数人おります。しかしながら、多くは外の方に来ていただいて常駐してやっていただいているという形の外注になります。
 こちらの成果については、まずは総務系の業務ということで導入しておりますが、その実績を見てJAXA全体に広げていきたいと考えております。これからますますJAXA全体に広がっていくと思いますので、その中では相模原もこれから対象になっていく、対象にしていかななければならないと思っております。

【入澤専門委員】 ありがとうございます。
 この外注費等も含めて、全部で効率化されているという理解でよろしいのでしょうか。

【JAXA(中村)】 そうです。

【入澤専門委員】 分かりました。

【中村課長補佐】 その他、ご質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ローマ数字4からローマ数字6.2のヒアリングを終了したいと思います。
 本日通して、また追加のご質問等がございましたら、事務局までご連絡いただければ、JAXAに確認の後、ご回答するようにしたいと思っております。
 以上で、本日のヒアリング項目は全て終了いたしました。大変長時間の中、委員の先生、またJAXAの皆さま、ご参加いただきまして、ありがとうございました。
 総務省の委員の皆さまは、これからご意見を記入シートにご記入していただいて、大変短い期間で恐縮ですが、8月4日の15時までということで期限を設定しておりますので、ご協力いただければと思います。
 また、本日ご説明もありましたが、非公開資料についてはまた後ほどお送りいたしますので、こちらについてもご質問があれば、事務局経由でJAXAに確認するという流れにしたいと思います。
 また、JAXAの皆さまにおかれましては、大学院生の女性比率や兼業の人数、知財ポリシーのURL等確認事項がございますので、そちらについては総務省の事務局までお送りいただければ、われわれのほうから委員の皆さまにお伝えするという形を取りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日、長時間にわたりましてご参加いただきまして、ありがとうございました。こちらでJAXAヒアリング第1回を終了したいと思います。本日はありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課