国立大学法人・大学共同利用機関法人の改革推進状況(平成23年度)

2012年11月7日
国立大学法人評価委員会

※ ここに取りあげる取組については、国立大学法人評価委員会が把握した各国立大学法人等(90法人)の特色ある取組例をまとめたものであり、取組の成果が見られるものだけでなく、今後成果が期待されるものを含め、他法人の参考となると見られる取組を広く取り上げたものである。また、全法人が一律に行わなければならないものではない。
    なお、過去に取り上げたものについては、具体的取組の一例を幅広く紹介する趣旨から取り上げていない。 

1.管理運営組織の改革と柔軟な資源配分の実施

管理運営組織の改革

1. 管理運営組織のスリム化・効率化

(具体的取組例)

○ 教育研究評議会、役員・部局長合同会議構成員を削減するとともに、各種委員会(全学委員会)の4委員会を2会議に統合し、審議機関のスリム化を実現している。【横浜国立大学】

○ 教授会傘下の入試委員会を法人組織の入試室に機能を集約化し、意思決定の迅速化を図っている。【奈良教育大学】

○ 副学長が掌理する「室」の一部において、教育研究評議会評議員が室長を担うことで、同評議員が大学運営にこれまで以上に積極的に関わる体制を構築している。【奈良女子大学】

○ 技術職員が有する多面的な専門性を教育研究等の大学の業務に活かし、他の専門領域との融合的な技術支援を行うことを目的とする独立した組織として技術支援センターを設置している。【長岡技術科学大学】

○ 全学的な技術支援を行うため、教員と技術専門職員で構成する技術支援室を新設し、組織的な技術支援を行える体制を構築するとともに、技術支援室会議及び技術支援部会を毎月開催し、室の運営、技術支援の在り方等について検討・検証を行っている。【豊橋技術科学大学】

○  コンプライアンス推進体制を強化するため、コンプライアンス推進部(法務課・安全保障輸出管理室・利益相反マネジメント事務室)を設置し、安全保障輸出管理や利益相反マネジメント等の各種研修・セミナーを開催するとともに、安全保障輸出管理については、「教育の基本方針」「監査の基本方針」を策定し、部局や教職員本人に対する注意喚起を行うなど、コンプライアンスの普及啓発を図っている。【東北大学】

○ 国際的な契約及び交渉を円滑に行うとともにコンプライアンスを強化するため、「国 際法務室」を設置し、企業等での国際法務に関する実務経験が豊富な教員やスタッフ の配置による外国の政府機関、企業、大学等との契約・協定の締結支援や、外国人教 員・研究者の雇用契約の締結支援等を行っている。【九州大学】

2. 他大学等との共同実施等の取組

(具体的取組例)

<教育・研究・社会連携等>

○ 獣医学の共同教育課程を実施し、国際水準の先進的な質の高い獣医学教育を行うこととしている。【北海道大学、帯広畜産大学、岩手大学、東京農工大学、岐阜大学、鳥取大学、山口大学、鹿児島大学】

○ 体育・スポーツ分野で先導的役割を果たしている国立2大学が教育研究の連携・協力を目指している。【筑波大学、鹿屋体育大学】

○ 3大学が連携して、それぞれがこれまで培ってきた特色ある取組に関する科目を提供して行うICTを活用した双方向遠隔授業を実施するための遠隔講義システムの整備や連携ファカルティ・ディベロップメント、スタッフ・ディベロップメント研修会を実施している。【京都教育大学、大阪教育大学、奈良教育大学】

○ 京都府立医科大学及び京都府立大学との国公立大学3大学間の包括協定に基づく教養教育の共同化を進めている。【京都工芸繊維大学】

○ 農学部等が連携し、農学教育の継続・発展、質の向上及び相互補完の強化を図る機能的連携体制「農学コンソーシアム四国」を設立している。【香川大学、愛媛大学、高知大学】

<管理運営>

○ 中国・四国地区の国立大学間における大規模災害発生時の連携支援方策に関し、「大学間連携による高等教育業務継続計画」を取りまとめている。【鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学、高知大学】

○ 九州地域で大規模災害等が発生又は発生するおそれがあるときに相互に連携・協力し、被災大学に対し迅速かつ円滑な救援・復旧活動を推進するとともに地域社会の復旧・復興に寄与することを目的に、「九州地域11国立大学法人間の大規模災害等発生時の連携・協力に関する協定」を締結している。【福岡教育大学、九州大学、九州工業大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、鹿屋体育大学、琉球大学】

○ 高等専門学校・両技術科学大学間の教員交流について、これまで転籍出向に限られていたものを、在籍出向も可能とする改善を図っている。【長岡技術科学大学】

大学・機構全体としての戦略に基づく法人内資源配分の実現 

(具体的取組例)

○ 平成24年度予算において、「森田ビジョン」の実現に向けた効果的・効率的かつ戦略的な予算編成を行うため、全学経費を中心に既存経費を抜本的に組み替え、「大学機能強化戦略経費」(23億円)を創設し、同ビジョンに沿った8テーマの区分により編成し、大学が推進する重点分野が具体的に見えるよう工夫を図っている。【岡山大学】

○ 学長が機動的な教員配置を行うことができるよう、各部局からの供出等により学長裁量ポストとして42ポストを確保し、有効に活用するとともに教育研究成果等を定期的に報告させて効果・成果を検証している。【徳島大学】

○ 教育研究組織改革に永続性をもって取り組むため、毎年、部局に配置される教員ポストの1%を原資とし、大学の将来構想に合致した部局ごとの改革計画を募り、優先度の高い改革計画に再配分する「大学改革活性化制度」を開始している。【九州大学】

2.法人としての経営の活性化

業務運営の効率化及び合理化

(具体的取組例)

<業務運営関係>

○ 教員が属するすべての組織を対象に部局と本部執行部の「熟議」を通して、協働で教育研究組織の改革を実施する仕組みを導入している。【京都大学】

○ 附属図書館の全面業務委託を開始し、図書の貸出し等の定型的業務を受託業者に委託し、業者のノウハウや経験、専門性を活かした利用者サービスの向上のほか、図書館職員は学術研究との連携等に専念するなど機能強化を図っている。【京都工芸繊維大学】

○ 中長期的視野に立ち、大学全体が取り組むべき戦略的課題に柔軟かつ機動的に対応しスピード感をもって大学改革を実行するため、全学的組織として総長を機構長とする「大阪大学未来戦略機構」を設置している。【大阪大学】

○ 大学改革のためのツール「佐賀大学版IR(Institutional Research)」について、学長をトップとしたIR-PT(プロジェクトチーム)を立ち上げ、大学の活動全般を対象に多面的に検討するとともに、各部課の事務職員によるIR-事務PTを置き、データ収集・分析の体制や方法の検討を進めている。【佐賀大学】

○ 各種委員会等ごとの構成員や出席状況等を一括入力できる「名簿管理システム」を開発・導入し、当該委員会等の活動状況を容易に把握できるようにしたほか、委員会に関する情報の共有化を図っている。【鹿屋体育大学】

<人事(研修)関係>

○ 学長特別補佐を講師として「本院の診療実績年次比較説明会」と題し、DPC(診断群分類包括評価)別の年次比較や他院とのベンチマーク等の分析結果に関する講習会を実施し、職員の経営意識の向上を図っている。【旭川医科大学】

○ 職員本人の意向を尊重し、個人の能力と意欲に応じた任用を行うことにより、職員の意欲向上、組織の活性化を図ることを目的とした希望降任制度を創設している。【北見工業大学】

○ 複線型人事を推進するため、高度な実践力と専門知識を有する「専門職スタッフ」の配置部署や担当業務に関する方針を策定し、採用している。【筑波大学】

○ 年齢にとらわれない昇任制度の一環として、係長相当職への昇任を希望する若手職員を対象とした「次世代リーダー育成研修」の実施、国際対応能力及び管理・企画能力を有する職員の養成を目的とした米国教育系大学院への留学制度の導入、ベテラン職員(管理職以外の48~55歳の職員)がさらなる貢献と充実した職業生活を送るため「ベテラン職員キャリアフォーラム」の実施など、職員の多様な能力開発に取り組んでいる。【東京大学】

○ 外国人教員のさらなる増加策として、これまでの雇用経費50%を事務局予算での支援としていることに加え、2人目以降の雇用経費の80%を支援することを決定している。【三重大学】

○ 障害者雇用を促進し、障害者の多様な能力活用を図る観点から、語学が堪能な者や学校教員の資格等を有する者等を採用しており、この取組を発達障害者雇用のモデルとして広く紹介を行っている。【大阪教育大学】

○ 障害のある職員が学習環境づくりに関する業務に参画する取組のほか、障害のある職員がよりやりがいをもって働ける職場とするため、「リーダー的職員制度」を導入している。【広島大学】

○ 組織力の向上を目指す観点から、従来の個人に対する評価を見直し、組織パフォーマンスを含めた人事評価方法への変更、職員がキャリアパスを描きやすくするためのガイドラインの導入等を内容とする「組織力」に着目した新しい視点からの事務職員人材育成システム「鹿児島大学モデル」を構築している。【鹿児島大学】

○ 平成23年度からを第2期として新たに策定したアクション・プランに基づき、不要業務削減やマニュアルの整備等10項目となる取組課題に対し、その具体化を進めている。同取組課題のうち、勉強会・セミナーの開催については、11月と1月に「管理局職員セミナー」として開催している。【高エネルギー加速器研究機構】 

人事評価システムの構築

(具体的取組例)

○ 教員業績評価の結果を活用し、次年度の基盤研究経費のインセンティブ配分や賞与に反映させているほか、「教員業績評価に係る教員派遣制度」に基づき高い評価を受けた教員を国内外の機関に派遣している。【弘前大学】

○ 教員人材評価について、自己評価をポイント化し、給与への反映にとどまらず研究費の配分やサバティカル希望者に対する選考の判断材料とするなど、教員の研究活動支援に広く活用している。【上越教育大学】

○ 関門年齢に達する教員89名に対し、過去6年間の貢献度を評価する「関門評価」を実施した結果、「格段に優れている」と評価された教員6名に対しシニア教授称号のインセンティブを付与し、「要努力」教員2名に対する改善指導を行っている。【岐阜大学】

○ 教員人事に関して、各学府・研究科のそれぞれの分野の特質に応じて一定期間ごとに研究指導資格の再審査を実施することとし、研究指導資格の再審査基準の全学的共通指標に基づき、部局ごとに審査基準を検討し、先行して農学府において再審査を実施している。【東京農工大学】

財務内容の改善・充実

1.財務分析結果の活用

(具体的取組例)

○ 財務諸表の公表に当たり、財務諸表だけでは分かりづらい財務データを大学の教育研究活動状況と関連づけ、学生当たりの教育経費の推移を示すなど利害関係者の理解度向上に努めているとともに、財務指標やレーダーチャートを用いて第1期中期目標期間や他大学との比較を行ったほか、学術研究推進の奮起材料にも活用している。【茨城大学】

○ 平成22年度決算の分析を行い、現行の予算配分の問題点等を検討の上、平成24年度予算配分に反映させるとともに、分析結果に基づいて検定料収入等6項目の増収策や新たな自己収入源の検討を進めているほか、決算の分析をした財務諸表等を「財務レポート」としてわかりやすくまとめている。【宮崎大学】

2.外部資金の獲得

(具体的取組例)

○ 室蘭工業大学教育・研究振興会への寄附金の受入れを増加させるため、教職員の給与からの控除を可能とし、さらに一度の申込みにおいて複数月に渡る控除を可能とすることで、教職員がより寄附を行いやすい環境を整備している。【室蘭工業大学】

○ 大学の財政基盤を長期的に支え、教育研究活動、社会連携活動の充実等に資するための寄附金の基盤整備等を推進するため、社会連携活動と連携した寄附募集プロジェクトを開始し、募集については、高い専門性や戦略的に実施する必要があるため、外部コンサルタント会社に企画等を業務委託している。【東京芸術大学】

○ 「科学研究費補助金獲得増加の行動計画」に基づき、上位種目への申請を促し、不採択になった場合でも学内予算により研究費の措置を行うプログラムや、部局長の推薦により獲得が有力視される者に対し研究費を貸与(科研費獲得の場合は返済不要)する制度等の取組を行っている。【新潟大学】

○ 外部資金に措置される間接経費等の獲得を通じた財務上の貢献が特に顕著な者に対し、大学の一層の発展に資することを目的とした財務貢献者報奨制度を創設し、報奨金を支給している。【奈良先端科学技術大学院大学】

○ 教育研究の活性化や研究開発マネジメントの強化等のリサーチアドミニストレーションを担当する「大型教育研究プロジェクト支援室」に、全学的な研究戦略手段の整備など研究企画・支援業務を行う統括マネージャー補佐1名を新規に配置し、「博士課程教育リーディングプログラム」の獲得支援を行っている。【大阪大学】 

3.コスト削減

(具体的取組例)

○ 購買情報の可視化や価格の低減、購買業務の効率化等を図るため、オフィス用品を対象にインターネットを活用した大学専用のマーケットプレイス(認定したサプライヤを対象とするクローズド・マーケット)の開設による新たな購買システムを試行している。【筑波大学】

○ 新たな調達方式(リバースオークション)を試行する中で、仕様策定、市場調査等をサポートするコンサルティング型リバースオークションの試行を実施している。【東京大学】

○ 医療材料について、民間コンサルタント会社と共同で購入価格の値引交渉を実施したほか、施設保全業務について、関連業務を集約するとともに仕様書を見直し複数年契約化するなど、経費削減に取り組んでいる。【新潟大学】

○ 学内で実施している経費削減方策の実施状況をモニタリングし、その結果得られた削減効果や問題点等の情報について取りまとめ、全学的に活用するために、「経費削減Navi」を作成し、教職員向けグループウェアに掲載している。【京都大学】

○ 医薬品費削減に係る取組として、中四国地区の4大学連合で進めている「医薬品購入の共同交渉」により、ジェネリック製品の採用等推進を図っている。【島根大学、岡山大学、愛媛大学、高知大学】

○  ウイルス対策ソフトについて、これまでのライセンス一括購入に代え、大学所有のPCに台数無制限でインストールできる新たな契約形態(アカデミックサブスクリプションプログラム)を導入し、従来から実施していた全学ソフトウェア提供サービスを併せた費用対効果が得られている。【九州大学】

施設・設備マネジメントの推進

(具体的取組例)

○ 新たな共同スペースの確保等、施設の有効活用を図った上で、建物の外部貸出しについて、大学ウェブサイトで施設利用案内を掲載するなど、外部団体への案内強化を図り、また、学生利用との調整や貸出前の施設点検の充実を図るなど貸出サービスの向上に努めている。【京都教育大学】

○ 留学生への支援の一つとして、長崎県等との協議により長崎県職員公舎の提供を受けられることとなり、留学生の居室を確保している。【長崎大学】

○ 施設の有効利用調査において,平均使用人数や平均利用時間・共同利用の有無等を追加した上で全室を対象に調査し、全室の利用状況等のデータを「各室のデータベース」として学内ホームページに公開し「見える化」を図ることで、施設の有効利用を図っていくための環境を整え、利用計画がないと判断した部屋については、学長直轄管理スペースとして運用することを可能としている。【大分大学】

省エネルギー対策・地球温暖化対策の推進

(具体的取組例)

○  教育研究を通した地球環境及び地域環境への配慮等、建築物の省エネルギーや省廃棄物に留まらない環境負荷低減に関する総合的な行動計画「サステイナブルキャンパス構築のためのアクションプラン2012」を策定するとともに、札幌市グリーンMICE推進奨励制度の認証を受けた「サステイナブルキャンパス国際シンポジウム」を開催している。【北海道大学】

○  環境に関する取組として、学生で構成する環境ISO学生委員会が県内外の小中学校に出向き環境に関する企画やエコマーク等の標準化の意義について教える「標準化教室」の出前授業を行うなど、学生の主体的参加を伴う活動が行われている。【千葉大学】

○ グリーンヒルズ1号館の竣工により、既存の大学研究棟比で、60%以上のCO2排出量の削減可能なスマート化の制御システムを構築している。【東京工業大学】

○  総合研究棟(地域環境系)にコミッショニング方式(当初性能検証)を導入し、スーパーエコビルディングとして着工しているなど、省エネルギーを推進している。【名古屋大学】 

○ 地球温暖化対策実施計画の施策として、演習林等の木材資源を再生可能エネルギーとして活用するため、「木質バイオマスボイラー」を附属病院に設置し、温室効果ガス削減につなげているとともに、資源が循環する環境に優しいエコシステムの構築を図っている。【鹿児島大学】

学術情報基盤の整備

(具体的取組例)

○ 2,000台のサーバ提供能力を有する大規模アカデミック・クラウドシステムを導入し、全国共同利用しているとともに、学内の各種サーバの一部をクラウドに集約することで統一的かつ効率的な情報環境を実現するための環境整備を図っている。【北海道大学】

○ 北米研究図書館協会が提供している図書館サービスの質を計るためのツール「LibQUAL+」を利用した大学構成員へのアンケート調査を実施し、サービス項目ごとに図書館利用者の期待度や満足度を推定するとともに、当該ツールを利用している世界の図書館との比較を行うことにより自館の強みと弱みを把握し、図書館運営に反映させることとしている。【東北大学】

危機管理への対応

(具体的取組例)

○ 家畜伝染病予防法の改正を受け、キャンパスマスタープランに基づき、家畜防疫エリアの一部フェンス及び道路整備を実施している。【帯広畜産大学】

○ 総合安全衛生管理機構において、職員のメンタルヘルス管理の一環として、職員健康診断時にメンタルヘルスに関する問診をコンピュータによる自己入力方式により実施し、「うつ」の可能性ありとなった者に対しては、注意喚起をし、必要に応じ面接を行うなどの取組を進めている。【千葉大学】

○ 大学における安全保障貿易管理業務の重要性と専門家のサポートの必要性から、民間の経験者2名を国際連携プランナー教員として雇用する体制を構築し、説明会の開催、処理事例Q&Aのウェブサイトへの掲載等により、当該業務の重要性の認識が高まりつつある。【東京工業大学】

○ 機械、設備ごとに法的管理をする手法として、SDS(セーフティ・データ・シート)活動を取り入れ、届出、点検、資格等、適用法令を確認し適正に使用する制度として定めている。【長岡技術科学大学】

○ 大規模災害時における業務継続を担保するため、学外データセンターにデータバックアップを行うシステムを構築している。【名古屋工業大学】

○ 学長及び理事等による職場巡視を行い、安全体制の確認や意識高揚に努めるとともに、リスクアセスメント講習会を全学で実施するなど、定期的・継続的に安全衛生に関する研修や訓練を行い、安全・衛生等に対する意識改革に努めている。【豊橋技術科学大学】

○ 附属池田小学校事件を語り伝えること、さらに学生に対し安全で安心な学校であるために、どのように考え行動するか等について、附属池田小学校事件の遺族による特別講演の内容を含む「学校安全」の授業を実施し、学校安全に対する理解を深め、重要性を認識する機会となっている。【大阪教育大学】

○ 東北大学と締結した「災害科学分野における連携協力に関する協定書」に基づき、災害科学分野における学術研究、人材養成及び社会貢献を推進することを目的とした学長直属の室である「震災復興支援・災害科学研究推進室」を設置し、都市安全に関する国際ワークショップやシンポジウムの開催、震災関連資料の収集、デジタルアーカイブ構築の協力等の取組を開始している。【神戸大学】

○ 安全教育として、留学生及び外国人研究者を対象に全学共通教育資料の英語版を作成するとともに、放射線・X線業務従事者(新規・継続)に対する安全教育を実施する中で、外国人を対象に英語によるRI、X線講習会を実施している。【奈良先端科学技術大学院大学】

○ 「リスクマネジメント態勢構築年度計画」に基づき、想定リスク一覧を作成し、大学をとりまくリスクの評価、各階層によるリスクの認識傾向の分析、リスクに対する意識の向上を目的として、事務職員92名を対象としたリスク評価を実施している。【徳島大学】

○ 中央労働災害防止協会が毎年主催する全国産業安全衛生大会に多くの一般企業関係者が参加する中、平成23年度を含め4年連続で参加し、職員及び学生に配慮した安全衛生管理管理体制やメンタルヘルス対策を発表している。【九州工業大学】

 

自己点検・評価及び第三者評価

(具体的取組例)

○ 自己点検・評価結果を分析し、志願倍率や教員就職率が低い専攻について対策の検討や委員会等再編、研究を一本化するための教育実践研究推進本部の立ち上げを行うなど、大学運営等の改善に活用している。【東京学芸大学】

○ 「社会からみた大学教育」に関する自己点検・評価の参考とするため、卒業生や就職先企業に対するアンケート調査を実施し、分析を行っている。【一橋大学】

○ 認証評価基準に基づき組織活動を検証・改善するための「組織活動の自己点検評価システム」を新たに独自開発・導入している。【山口大学】

3.社会に開かれた客観的な法人運営

外部有識者の積極的活用

(具体的取組例)

○ 従来の外部アドバイザー会議を、将来構想のほか大学運営についても外部の知見・助言を得られる外部有識者会議に改め、「分散キャンパスの現状と課題」をテーマに遠隔立地の問題を同様に抱える国立大学の理事・副学長を招き、現状と課題についての説明及び意見交換を行っている。【滋賀大学】

○ 広く学外者の意見を聴くために学長の諮問的組織として設置した香川大学構想会議では、現状と今後の進むべき方向性等を月1回議論している。【香川大学】

○ 経営協議会においては、大学共同利用機関法人の意義や機構の在り方、将来構想などについて自由討議を行っているほか、その意見を機構運営の改善に活用することとしている。【高エネルギー加速器研究機構】

監査機能の充実

(具体的取組例)

○ 監査戦略室のもとに組織された業務改善プロジェクトチームにおいて、業務改善の促進や内部統制システムの構築に向けた業務遂行上の課題・リスクの洗い出し等に関する検討を行い、所掌業務のリスクチェックリストのモデル案を作成している。【奈良女子大学】

○ 全学の取組や課題等を共有し、機関全体の視点から実効性のあるモニタリングが実施できるよう、おおむね月1回「学長・監事・監査室連絡協議会」を開催しているほか、「公文書等の管理に関する法律」の遵守状況・運用状況について臨時監査を実施するなど、監査の充実強化を進めている。【和歌山大学】

情報公開の促進

(具体的取組例)

○ 教育研究情報を社会にわかりやすく発信するため、専門職スタッフとして生命科学等分野のサイエンスコミュニケーターを採用し、より理解しやすい内容で研究情報を発信するとともに、ウェブサイトを利用した情報発信を積極的に推進している。【筑波大学】

○ 大学総体としての研究成果の発信と記録を行うため、全学ウェブサイトに新たに「Todai Research」を開設し、最先端の研究成果を和文及び英文でわかりやすく解説し、広く一般に配信・周知している。【東京大学】

○ 広報戦略室に専門的知識を有する広報アドバイザーを配置し、大学の情報発信・広報の充実を図っている。【一橋大学】

○ 長岡技術科学大学・高等専門学校統合図書館システムについて、大学及び51高専55キャンパスの機器及びシステムの導入が完了し、第Ⅱ期の運用を開始し、また、電子ジャーナル及びデータベースコンソーシアムを国立高等専門学校機構と連携して一括契約を行い、各高専に対して安定的な学術情報の提供を維持するとともに、各高専における経費削減、管理の効率化及び事務処理の省力化に貢献している。【長岡技術科学大学】

○ 学生、教員、事務組織からの情報を来訪者及び学内構成員に効果的に報せるため、大学独自で開発した等身大の人物映像を用いた双方向音声案内デジタルサイネージを正門正面に設置し、音声と映像を融合した情報発信を行っている。【名古屋工業大学】

4.教育・研究の活性化に向けた取組

教育方法等の改善

1.指導方法等の改善・充実に向けた取組

(具体的取組例)

○ ティーチング・アシスタント(TA)及び教員を対象として実施したTA実態調査の集計結果を踏まえ、業務内容の明確化を図り、制度の改善を目指すとともに、TAと教員の共通理解を深めるため、新たにTAマニュアルを作成している。【北見工業大学】

○ 学部選択のミスマッチを解消するため、学部の枠を超えた大括り入試を導入し、あ らかじめ学部を定めずに文系や理系の「総合入試枠」で受験し、本人の希望と1年次 の成績によって学部に移行できるシステムを構築するとともに、これに対応した全学 共通の初年次教育課程を編成している。【北海道大学】

○ アクティブ・ラーニングの手法を取り入れた科目やICTを活用した教育方法の改善等を通して、学習の双方向性を確保し、主体的な学びに裏打ちされた情報発信能力を涵養するため、アクティブ・ラーニング・スペース、ティーチング・ハブ、コンテンツ・ラボの3機能を備えたアカデミック・リンクの構築を行っている。【千葉大学】

○ 主体的な学習や確かな学習成果の獲得を支援するシステムとして、到達目標明示型の構造化された教育プログラムである「主専攻プログラム」(42プログラム)を導入するとともに、到達目標の達成状況を数量的に把握するなど学習成果を可視化し、学習過程のアセスメントを支援する「新潟大学学士力アセスメントシステム(NBAS)」の構築を進めている。【新潟大学】

○ 学生が各学年・卒業段階で修得すべき到達目標や確認指標を示した「上越教育大学スタンダード」に準拠させて設定した教科のルーブリックに基づいてカリキュラムの改善を図っている。【上越教育大学】

○ 大学院共通外国語科目「アカデミック・ライティング」(英・独・仏・中)を開講し、チュートリアル、ワークショップを実施している。【名古屋大学】

○ 学生の主体的な学習による教育効果の向上を目指し、「共通教育科目PBL (Problem / Project - Based Learning)セミナー」群をはじめとしたPBL型授業科目を拡充し、全学で開講している。【三重大学】

○ 新入生から大学院生までの一貫した教養教育を統括する組織として、平成24年度から「全学教育推進機構」を設置することを決定し、教養教育や大学院等高度副プログラム等の全学的教育プログラムの統括と、企画・運営を行うこととしている。【大阪大学】

○ 医学部では、チュートリアル教育として「社会医学チュートリアル」及び「PBL(Problem Based Learning)チュートリアル」を実施し、さらにフィールド実習・演習等として「地域医療体験」等を開始するなど、地域に目を向け、医師の地域への定着率を向上させるための指導を行っている。【鳥取大学】

○ 学部教育から大学院教育に至る一貫した教育システムの再構築を目指し、「基幹教育院」を設置し、学外公募等による専任教員約60名及び外国人教員約30名の配置や、「学び方を学ぶ」「考え方を学ぶ」ための姿勢と態度を育成する教育モデルづくりを指向している。【九州大学】 

2.個性・特色の明確化を図るための組織的な取組

(具体的取組例)

○ 世界水準の資源学教育拠点の構築及び我が国の資源確保戦略に貢献する人材の育成を目指し、資源学に関する新たな学部設置に向けた準備を進めている。【秋田大学】

○ 放射線腫瘍学研究と放射線治療に関する多くの蓄積と重粒子線照射施設・装置を有する唯一の国立大学である特色を活かし、重粒子線臨床研究を推進するとともに、この分野をけん引する優れたグローバルリーダーを養成するプログラムの実施や先進医療を推進している。【群馬大学】

○ 国際化に対応する教育システムの構築を目指し、「入学時期の在り方に関する懇談会」を設置し、入学時期を秋季へと全面移行し、学生・教員の国際的流動性を高めること、入学前等のギャップタームを活用して質の高い多様な体験を学生に積ませることなどについて、大学として積極的に検討すべきである旨の「最終報告」をまとめるとともに、広く社会に対して議論を呼びかけている。【東京大学】

○ 情報通信技術分野における創造的な実践教育の推進教育を目的とした、「高度ICT試作実験公開工房」を開設し、大学院生及び若手研究者等が自ら高度情報通信技術に基づいたシステムを創造・試作・実験し、成果を広く公開できる環境を提供している。【電気通信大学】

○ 教養教育の充実を図るため、平成22年度に策定した「教養教育改革の骨子」に基づき、教育目標及び到達目標を明確にした科目区分の見直しや履修基準の見直しを行っているほか、建学の精神と理念を象徴する科目群として、多様な観点から平和について考察する「平和科目」を新設している。【広島大学】

○ 学長が、新入生全員を対象に、「熊本大学学生諸君へ」と題した特別講義を、少人数に分けて行い、国指定重要文化財の第五高等学校化学実験場階段教室を会場に、大学の歴史や伝統、現状や目指すところ、取り組んでいる人材育成等を伝え、学生が夢と希望を持ち、自覚や教養を身につけることを意識付ける機会としている。【熊本大学】

○ 生命科学研究科生理科学専攻を中心に、脳科学に関連する他専攻をつないだバーチャルな「脳科学専攻間融合プログラム」を実施し、開講科目約100コマほぼすべての講義をe-learningコンテンツとして制作し、関連する各専攻へ配信している。【総合研究大学院大学】

学生支援の充実

1.学習支援等の充実

(具体的取組例)

○ 「共に住まい共に成長する」ことをコンセプトとして建設した新しい学生寮「お茶大SCC(Students Community Commons)」について、平成23年度からの学生の入寮に併せ、寮内において、学修プログラム・発表会など、学生支援プログラムを開発・実行している。【お茶の水女子大学】

○ 上級生が下級生の学習や生活の助言を行う学生メンター制度を導入し、履修申告期間に合わせた4月と10月に相談を受け付けている。【電気通信大学】

○ 各学期に学生全体の成績動向と支援対象となるグレード・ポイント・アベレージ(GPA)の低い学生を把握し、学修説明会、各学部専門教育委員による個別面談、修学支援カウンセラーによるメンタル・ケアを含む学修指導等を行っている。【一橋大学】

○ オンラインでの学生支援を目的として開設した学内ソーシャルネットワーク「富山大学PSNS」においては、日記形式のブログに障害学生をはじめとした学生・教職員が書き込んだ学生生活、学習やその支援についての悩みに対し、教職員全員で支援する取組を行っている。【富山大学】

○ 教員と学生又は学生間の情報共有及び意見交換、学生が自らの学習記録や授業の復習を行うなど、教員・学生間の有機的な授業の構築を目的として、AIMS-Gifuに、日誌・ブログ・Wiki等のツールを新たに設け、また、機能を充分に活用できるよう、教職員に加え学生スタッフも参画したヘルプデスクを設置し、支援体制を強化している。【岐阜大学】 

2.就職支援、キャリア教育等の充実

(具体的取組例)

○ 就職活動に関わる交通費の一部補助(最大1万2,000円)を実施したほか、学生の内定が取り消された企業への状況確認や学生の希望に応じた求人情報の提供等の支援を行っている。【福島大学】

○ キャリア支援担当の副学長を新たに配置し、キャリア形成・就職支援体制を拡充・強化している。【北陸先端科学技術大学院大学】

研究活動の推進

1.資源の重点配分による研究活動の活性化に向けた取組

(具体的取組例)

○ 異なる学問領域の教員による共同研究プロジェクトを「重点領域推進研究」として5件を選定し、学内の共同研究の枠組みを越え、韓国の研究者との共同研究に発展して外部資金の獲得につながるなど、国際的・学際的な研究を支援する体制を整備している。【小樽商科大学】

○ 世界的研究拠点の形成を目指す5つの重点研究プログラムに研究費を重点配分しているほか、「研究域附属研究センター」に大学戦略枠を用いた6名の常勤教員を配置するなど研究体制の充実・強化を図り、世界に優位な研究を推進している。【金沢大学】

○ 強みのある研究領域、グループを形成し、組織的な研究を推進することを目的に、年度途中に緊急に経費が必要となった研究科・センター等の研究活動、国際交流事業等を機動的に支援するため、研究基盤支援経費を新たに設けている。【北陸先端科学技術大学院大学】 

2.女性教員・若手教員等に対する支援

(具体的取組例)

○ 自然科学系部局に所属する女子大学院生をサイエンス・エンジェルとして任命し、小・中・高等学校等への出張セミナー、オープンキャンパスイベントへの参加、行政機関や企業等の教育活動と連携した体験型科学イベントの企画・実施等、科学の楽しさや魅力を伝える活動を通して次世代を担う女性研究者育成支援に取り組んでいる。【東北大学】

○ 子育て、介護支援に関する情報を一括して男女共同参画推進室ウェブサイトに掲載するとともに、新たに「教職員のための制度・手続き情報ナビ」を開設し、利用者の利便性向上を図っているほか、定期刊行中のニューズレター「さんかくつうしん」でシリーズ化している女性研究者へのインタビュー記事を掲載するなど、男女共同参画への認知を高めるための広範な活動を展開している。【弘前大学】

○ 女性研究者の出産・育児期、また、病気や介護等で代替要員を必要とする教員等への支援として、県内の6高等教育機関に所属する研究者や教員の情報を約500名分集約し、必要な情報を提供することを目的とする「代替要員制度人材情報データベース」を構築しているほか、出産・育児等に関わる研究者の研究補助を行う「研究支援員」に関する「研究支援員取扱要項」を定め、3名の女性教員に対し、5名の研究支援員を配置している。【秋田大学】

○ 育児、保育等女性の働く環境の改善のため、平成22年度に試行した学童保育の実施結果を検証し、夏休みと春休みの学童保育を正式にスタートさせたほか、多目的保育施設「たけのこ」の整備を行い、業者との協定により一時保育を実施するなど、支援制度の充実を図っている。【静岡大学】

○ 教職員の子どもの一時保育を手伝う学生の託児ボランティア「香大っこサポーター」制度を立ち上げ、ボランティア登録システムを整備するとともに、男女共同参画推進室内に一時保育が可能な託児ルーム「香大っこルーム」を設置し、学生ボランティアや民間託児ボランティア、ベビーシッターを使った託児ができるようにしている。 【香川大学】

○ 男女共同参画推進に関する検討会において、平成27年度までの行程を含むアクションプランを策定しており、平成23年度においては、研究教育職員の人事公募に女性研究者が応じやすくするための方策として、人事公募の要項に、産前産後休暇や育児休業等の場合は考慮することを明記している。【自然科学研究機構】

○ 若手研究者が自立して研究できる環境を整備し、優秀な若手研究者の採用と育成を行うため、「若手研究者育成ステーション」を設置し、テニュアトラック制度を全学的に推進する体制を整備しているほか、テニュアトラック制度により5名を雇用し、スタートアップ経費として各100万円を支援している。【大阪大学】

○ 「若手研究者キャリア支援センター」を設置し、多様なインターンシップやキャリア教育等を実施し、雇用状況や大学院生の多様なキャリアパスを考慮した就職支援を行っているとともに、ポストドクターや博士課程学生等の若手研究者を対象に3~10 か月間の長期インターンシップを柱とし、産業界等の社会で活躍できる人材を育成する「ドクター・キャリアサポート・プログラム」を開始している。【岡山大学】

○ 博士の学位が未取得の教員に対し、一定の研究専念ができる環境を整備することによって博士の学位を取得させるとともに、より高度な専門的知識や研究開発能力を修得させることを目的とした「学位取得促進プログラム」を、平成24年度から実施することを決定している。【高知大学】 

3.研究実施体制の整備

(具体的取組例)

○ スマート・エイジング国際共同研究センターを設置し、国際的な研究拠点として、超高齢社会における新たな統合的加齢科学分野を切り開き、架橋融合的研究、国際共同研究、産学連携研究等を展開している。【東北大学】

○ 筑波研究学園都市における科学技術の集積を活かし、ライフイノベーション・グリーンイノベーション分野で先導的プロジェクトを推進するため、茨城県、つくば市とともに「つくば国際戦略総合特区」の指定を受け、特区を支援するための中核的組織として設置した「つくばグローバル・イノベーション推進機構」のもと、新事業・新産業の創出や我が国の国際競争力の強化に向けた活動を行っている。【筑波大学】

○ 宇宙から飛来する高エネルギー粒子の放射源と放射機構をニュートリノ観測と理論・シミュレーション研究の連携によって解明することを目的とした「理学研究科附属ハドロン宇宙国際研究センター」を設置し、高エネルギーニュートリノ観測と大規模数値シミュレーションによる天体プラズマ研究の両グループを有機的に結び付けた研究を戦略的に推進し、世界に向けて研究成果を発信することを目指している。【千葉大学】

○ 企業等が抱える技術課題等に応えるため、新たに「学術相談制度」をスタートさせ、学術相談から共同研究、受託研究への発展を目指している。【電気通信大学】

○ iPS細胞研究所(CiRA)については、文部科学省と厚生労働省が協働で実施する「再生医療の実現化ハイウェイプロジェクト」の実施や再生医療用iPS細胞バンク構築に向けた独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との薬事戦略相談における対面助言等を開始するなど取組を推進している。【京都大学】

○ 平成22年度創設の「研究費貸付制度」による研究支援に加え、外部資金獲得教員等に対して研究費支援を実施する「インセンティブ制度」を創設し、平成24年度から実施することとしている。【京都工芸繊維大学】

共同利用・共同研究の推進

※ 共同利用・共同研究とは、大学共同利用機関及び国立大学の附置研究所等において、所有する大型研究設備や資料・データを全国の研究者の共同利用に供し、または共同研究や研究会を組織することにより、大学の枠を超えた当該分野の研究を効果的かつ効率的に推進することを目的とした我が国独自のシステムである。(平成23年度現在、4大学共同利用機関法人・17大学共同利用機関、27国立大学86附置研究所・研究施設において実施。)
 

1.共同利用・共同研究を通じた学術研究の推進

(具体的取組例)

○ 低温科学研究所では、国際化を推進するために、新たに「マックスプランク陸生微生物学研究所」、「コペンハーゲン大学ニールスボーア研究所」、「フランス気象庁気象研究センター」との間で部局間交流協定を締結しているほか、ロシア、モンゴル、中国と学術ネットワークを設立するとともに、国際会議を学内で開催している。【北海道大学】

○ 情報基盤センターでは、スーパーコンピュータシステムとクラウドシステムからなる「学際大規模計算機システム」の運用を開始し、拠点共同研究をさらに推進している。【北海道大学】

○ アジア・アフリカ言語文化研究所では、中期的研究戦略の共同研究軸である4つの「基幹研究」へ予算を優先的に配分するとともに、公募による共同研究課題計22件(継続分を含む)を実施している。【東京外国語大学】

○ 資源化学研究所では、「物質組織化学領域部会」において共同研究の公募を行い、一般課題共同研究で29件を採択するとともに、新たにグリーン、ライフの2分野に各一つの特定課題を設定し、7件を採択している。【東京工業大学】

○ 教育研究活動の交流の促進と生命科学研究の発展のため、岐阜薬科大学の間で岐阜大学生命科学総合研究支援センターの利用に関する覚書を締結し、岐阜薬科大学の教員等による同センターの大型機器や動物実験施設等の利用を開始している。【岐阜大学】

○ 地球水循環研究センターでは、京都大学防災研究所、民間企業等との共同研究として、マルチパラメータレーダによる降雨観測を沖縄(2か月)、神戸(6か月)、富士山(2か月)で行い、降水粒子判別に必要な偏波パラメータデータを取得している。【名古屋大学】

○ 防災研究所では、東日本大震災の発生を受けて、特別緊急共同研究枠を設け、11件を採択した。他機関との連携事業についても引き続き実施し、「地震・火山噴火予知研究計画」(東京大学地震研究所等12大学との連携事業)等を推進している。【京都大学】

○ 原爆放射線医科学研究所では、「福島第一原子力発電所事故の復興支援に向けて」をテーマとした国際シンポジウムを2月に開催し、ICRP・IAEA・WHO等の国際機関や福島の研究者を招き、原爆被爆者疫学調査、緊急被ばく医療、福島健康調査、放射線リスクと防御等についての講演・発表を行っている。【広島大学】

○ 放射光科学研究センターでは、特任助教2名を実験ステーション担当者として採用し、また助教2名の採用を役員会において承認し、世界トップレベルの国際的な共同利用・共同研究拠点の形成を大学として支援している。【広島大学】

○ 疾患酵素学研究センターでは、学外及び学内の共同利用・共同研究オープンラボとしての運用を開始している。また、災害等による貴重な生物遺伝資源滅失のリスクを分散させるため、全国の大学・大学院等を対象に、生物遺伝資源の保管を無償で受託する事業を開始している。【徳島大学】

○ 先導物質化学研究所では、ボトムアップ一般研究として33件を採択(応募79件)、トップダウン型重点共同研究として当研究所が代表世話人を勤める6つの課題(「新規電子系化合物の合成と光・電子機能開拓」など)に6件を採択している(応募8件)。また、施設利用38件を採択し研究支援を実施している。【九州大学】

○ 大学共同利用機関4機構が平成23年9月にまとめた「大学共同利用機関の役割と更なる機能強化に向けて(中間まとめ)」により、大学共同利用機関が、世界最高水準の研究体制、研究基盤の充実強化を進めること、大学との連携を拡充強化すること、機構法人内・機構法人間の有機的連携を図り法人化のメリットを最大限活かした取り組みを進めることなどを重点的アプローチとして推進することを広く社会に発信するとともに、この中間まとめを方策の検討に活用している。【人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構】

○ 機構本部の総合研究推進委員会では、同委員会が取りまとめた報告書「人間文化研究機構のあり方の検討状況 -経過報告-」や、委員会の下に若手研究者で構成するタスク・フォースによる人間文化研究の方向性や将来像について検討した報告書を基に、各機関並びに機構全体が将来発展する方策を検討している。【人間文化研究機構】 

2.共同利用・共同研究の体制の整備・充実

(具体的取組例)

○ 難治疾患研究所では、MTT (メディカル・トップトラック)対応非常勤職員1名を難治疾患研究所事務部に配置替えしたほか、拠点研究支援室を整備し、共同研究や連携分野との共同研究の効率化を図っている。【東京医科歯科大学】

○ 応用セラミックス研究所では、事務担当2名、ホームページ及び広報担当1名、技術支援担当1名の人員配置を強化している。【東京工業大学】

○ 脳研究所では、50以上の剖検脳を収集、蓄積するととともに、文部科学省「脳科学研究推進プログラム」における主要な研究協力施設の一つとして、研究者に死後脳を提供するための基盤(ブレイン・バンク)の整備に向けて着手している。【新潟大学】

○ エネルギー理工学研究所では、共同利用・共同研究推進室を設置し、同室に教員3名、研究員3名、研究支援推進員2名を配置している。また、「ゼロエミッションエネルギーカレンダー」をホームページに掲載することで、各課題の実施状況について情報共有している。【京都大学】

○ 乾燥地研究センターでは、国際的に卓越した先端研究を推進するため、学長管理定員により新たに教員(1名)を雇用し、組織の強化を図っている。【鳥取大学】

○ 資源植物科学研究所では、拠点機能の充実を図るため、学内予算措置により研究所敷地内に共同研究員宿泊施設(12部屋)の建設を行っている。【岡山大学】

○ 発生医学研究所では、将来の医学・医療と新しいイノベーションの創出に貢献するために、「将来の医療のために臓器を創る」というミッションを掲げて、平成24年4月に「臓器再建研究センター」を新たに附置することとしている。【熊本大学】

○ 熱帯生物圏研究センターでは、長崎大学熱帯医学研究所との間で「マラリア・結核・住血吸虫感染の臨床免疫疫学解析とワクチン開発」について共同研究契約を締結・実施している。【琉球大学】

○ 外部委員からの意見を参考に、機構の連携研究に関する検討を行い、その結果、「地域文化・環境と復興再生の研究」「大規模災害とミュージアムの連携、活用の研究」及び「大規模災害と資料保存・活用の研究」を3本の柱とした「大規模災害と人間文化研究」を推進することとし、災害関連連携連絡会を設置するなど、今後の研究に向けて体制を構築している。【人間文化研究機構】

○ 国立天文台では、すばる望遠鏡の次世代観測装置である世界最大級の主焦点広視野カメラの製作を東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構、米国プリンストン大学ならびに台湾中央研究院・天文天体物理研究所との共同で進め、主要部分の完成後にハワイへ移送している。【自然科学研究機構】

○ 統計数理研究所では、新しいNOE(Network Of Excellence)型のセンターを発足させたことに伴い、センターのグループ制という固定化された研究の枠組みから、より柔軟性のあるプロジェクト制に移行し、組織の円滑な運営を図っている。【情報・システム研究機構】

○ 国立遺伝学研究所では、近年巨大化するシーケンスデータの共有場所及びデータ処理のための計算資源をコミュニティに提供すべく、スーパーコンピューターの更新に合わせてシステムの大幅な再構築を行っており、さらに生物遺伝資源事業強化の一環として、ショウジョウバエストックセンター施設の建屋を新築している。【情報・システム研究機構】  

3.共同利用・共同研究を活かした人材養成

(具体的取組例)

○  金属材料研究所では、研究代表者及び分担者の申請資格年齢を37歳以下とした「若手萌芽研究」を設け研究費を申請額の100%配分し、若手研究者が主体的に研究を行える機会を提供している。【東北大学】

○ 医科学研究所では、平成24年3月に「第1回感染症国際センターシンポジウム 若手ウイルス研究者たち」を行い、全国及び海外から将来の日本のウイルス学を担う若手研究者10名を招へいしている。【東京大学】

○ 数理解析研究所では、国際交流拠点としての活動を推進するため、関連する学問分野の外国人研究者の招へいを積極的に行っており、475名の外国人研究者等を受け入れている。【京都大学】

○ 応用力学研究所では、研究所経費により、外国人研究者を代表者とする「国際化推進研究」を新設し、米国、ドイツ、中国、韓国等から応募があった9件を採択し実施している。【九州大学】

○ 分子科学研究所では、博士号取得後2年以内(取得見込みを含む)または海外の博士研究員(帰国後1年以内を含む)を5年任期の特任准教授として、教授グループ、准教授グループとは独立した研究室を主宰させる新たな若手独立フェロー制度を開始し、独自の着想で新たな分子科学を切り拓く意欲ある若手研究者の育成を図っている。【自然科学研究機構】

○   総合研究大学院大学の基盤機関として、総研大本部、自然科学研究機構、宇宙航空研究開発機構と連携・協力しながら、同大学院大学高エネルギー加速器科学研究科と物理科学研究科との間で研究科の枠を超えた教育プログラムを実施することについて検討を開始している。【高エネルギー加速器研究機構】

社会連携・地域貢献・国際交流等の推進

1.地域貢献の推進

(具体的取組例)

○ 東日本大震災からの復興・地域再生へ貢献するとともに、災害復興に関する総合研究開発を推進する拠点形成のため、「災害復興新生研究機構」を設置している。【東北大学】

○ 地域の民間金融機関の職員を民間等共同研究員として受け入れ、金融機関の本業支援に関する共同研究を行い、金融機関の戦略を立案するとともに、地域連携推進員として常駐派遣職員を受け入れ、先駆的な地域づくり・地域活性化プロジェクトを展開する等の取組を行っている。【富山大学】

○ 能登半島を中心に、「地域再生人材大学サミットin能登」、「能登キャンパス共同調査研究事業」等、地域社会の課題解決及び活性化並びに地域再生に係る事業を推進している。【金沢大学】

○ 巨大自然災害等の被害軽減方策の研究と災害対策人材を育成するため、「減災連携研究センター」を産官学民による地域密着型の学内共同教育研究施設として整備している。【名古屋大学】

○ 大学周辺地域の防災力の向上を図るため、地域と連携した地域住民参加型の防災訓練を実施し、起震車による震度7の揺れの体験、名古屋市の防災担当者による避難所運営に関する説明、体育館での避難所体験、備蓄品保管倉庫の確認等、実際の避難生活を想定した訓練を実施している。【名古屋工業大学】

○ 愛媛県の主幹産業である第一次産業を発展させるために、安心で安全な食料を安定的に供給する技術とノウハウを蓄積し、地域へと発展させることを目的として設置した「太陽光利用型植物工場」の稼働を開始し、生産技術の実証、担い手となる人材の育成のみならず、様々な栽培方法の実証・展示を行い、広く農業団体や一般見学者の受入れを行っている。【愛媛大学】

○ 宮崎県が進めるソーラーフロンティア構想に連携して、これまで推進してきた太陽光発電プロジェクトに加えて、宮崎県、新潟大学、光学測定装置製作企業との連携協力により、新たに太陽熱プロジェクトを発足している。【宮崎大学】  

2.産学連携・知的財産戦略のための体制の整備・推進

(具体的取組例)

○ 「産学官共同研究センター」を開設し、地域のものづくり技術と医療技術ニーズの融合による健康医療産業の事業を促進する「はままつ次世代光・健康医療産業創出拠点事業」の中核機関として周辺中小企業と共同研究を実施し、医療機器等の開発・事業化を中心に医工連携を推進している。【浜松医科大学】

○ 大学の研究成果のさらなる実用化・事業化のための研究開発拠点として、「窒化物半導体マルチビジネス創生センター」の設置を決定するとともに、研究シーズの実用化を後押しするため、地域産業界の経営者を中心とした特別講演会を開催している。【名古屋工業大学】

○ 共同研究の成果として、論文発表に加え公的機関及び関連企業と共同で特許出願を行う際、企業側との交渉により出願費用の全額が企業負担となり、より少ない費用負担で大学が産学連携に貢献するとともに、企業側による特許活用が促され、大学の研究成果が社会へ還元される可能性を拡げている。【京都工芸繊維大学】

○ 研究成果を海外に発信し、海外企業への技術移転等を目的として米国の民間企業内に設置した「徳島大学シリコンバレーオフィス」の本格運用を開始し、現地企業向けに糖尿病に関する研究等の新技術セミナーを開催するなど、研究シーズについて発信している。【徳島大学】

○ 希少糖D-プシコースの実用化について、企業との共同開発が進み、20社以上の県内食品企業が希少糖を含むシロップを用いたスウィーツ等の開発・販売を開始しており、今後の需要増加に対応すべく県内にD-プシコースの生産工場を建設することが決まっている。【香川大学】

○ 国が推進する国内医療機器産業の成長・強化政策を踏まえ、大分県及び宮崎県にまたがる東九州地域に立地する医療機器製造企業との産学官連携による「東九州地域医療産業拠点構想(東九州メディカルバレー構想)」を、県と一体になって推進している。【大分大学、宮崎大学】  

3.国際交流、国際貢献の推進

(具体的取組例)

○ 国際資源学教育研究センターにおいて、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構と資源分野における連携・協力協定を締結し、タンザニア、マラウイ、モザンビークから研修生を受け入れるほか、モンゴル科学技術大学等協定校から大学院生を受け入れ、資源学教育と現場実習を行うなど、国際資源学の教育研究活動を展開している。【秋田大学】

○ 米国人を教育及び国際交流担当の副学長として登用し、国際プログラムのカリキュラムの改善及び海外学生募集活動において新しい派遣元の開拓をするなど中心的な役割を担っている。【政策研究大学院大学】

○ 北京化工大学(中国)との間で海外事務所設置覚書を締結し、大学初の海外拠点となる北京事務所を同大学内に開設するとともに、同大学駐日事務所を大学内に設置している。【名古屋工業大学】

○ 日本・EU研究のネットワーク構築のための常設・包括的な戦略拠点として「神戸大学EU総合学術センター」を設置するとともに、神戸大学ブリュッセルオフィスを拠点として、EU圏の高等教育機関との学術連携を推進している。【神戸大学】

○ 国際的な産学連携を円滑に行える職員の育成を目的とした「国際人材育成プログラム」を実施し、国内研修として訪問先、訪問調査事項を検討するとともに、領事館等を訪問し、訪問国の高等教育に係る現状把握を行った上で、事務職員4名をドイツ及び英国に派遣し、産学連携に係る国際対応及び語学力の向上に資している。【奈良先端科学技術大学院大学】

○ 留学生のサポート等や海外研修参加等の国際交流活動及び外国語の資格取得をポイント化し、要件を満たした学生に対し、「国際交流活動認定証」を発行している。【京都教育大学】

○ マレーシア・プトラ大学内に設置している海外サテライト・オフィスについて、「マレーシア・スーパー・サテライト・キャンパス構想」として、より教育・研究連携を発展させるため、同大学と「教育・研究活動における特別プロジェクトの推進に係る同意書」を平成24年3月に締結している。【九州工業大学】

○ 熊本県、熊本市との協働による「熊本上海事務所」を中国・上海市に開設し、大学、県、市によるスタッフ5名を配置し、留学生獲得の推進、ビジネス支援、観光客誘致などを目的に協働して活動を行っている。【熊本大学】

○ ハワイ大学との教育研究連携プラットホーム形成に向けた取組として、同大ロースクールによる米国の司法制度等に関する実践的な研修「英米法研修プログラム」に法務研究科学生3名、法学専攻学部学生25名の計28名が参加し、米国法制度等に関する講義や裁判所視察等を通じて、国際的視野を広げるとともに法曹人材に対する意識の向上を図っている。【琉球大学】

附属学校の機能の充実

(具体的取組例)

○ 附属学校、国際交流など喫緊の課題等に集中的・戦略的に取り組むため、新たに「特命担当副学長」を配置し、例えば、附属学校担当の特命担当副学長については、同副学長を中心に附属学校の業務の効率化を図ったほか、附属学校の存在意義の明確化・特色化を図るための議論を重ね、附属学校の特色事業として、北海道教育委員会との連携のもとに、道内公立学校教員の指導力向上に貢献する「授業実践交流事業」を実施するなど、附属学校園の改革を進めている。【北海道教育大学】

○ 教育の質保証をより確かなものにするためのカリキュラムの検証、改善を行うとともに、予防教育科学教育研究センターと附属学校等が共同して予防教育に関する実践的研究を進め、その成果を踏まえた教育実践を徳島市、鳴門市の小学校において実践している。【鳴門教育大学】

○ 附属幼稚園では、新たに「預かり保育」を開始し、地域学部教員の指導の下、その成果と課題、今後の在り方について協議している。【鳥取大学】

附属病院機能の充実・強化

1.教育・研究面

(具体的取組例)

○  全国の医学科学生、初期臨床研修医を対象に、東日本大震災の被災地の医療機関における診療実習を企画し、32名の参加者に対し、被災地の地域医療におけるニーズを学習する機会を提供している。【東北大学】

○ 浜松市と磐田市の6病院(総病床数3,737床)及び浜松市医師会が連携して「とおとうみ臨床試験ネットワーク」を開設し、メガホスピタル規模で治験を実施できる臨床試験体制の基盤を確立している。【浜松医科大学】

○ iPS細胞研究所(CiRA)と共同し、疾患iPS細胞研究の円滑な実行、将来のiPS細胞を使った再生医療立ち上げの基盤整備等を目的として、iPS細胞臨床開発部を創設している。【京都大学】

○ 近い将来に発生が予測されている南海地震に向け、東日本大震災を教訓とした高知県における災害時救急医療体制の構築に関する研究や災害・救急医療に関する人材育成、救急部及び集中治療部との連携による救急医療体制の強化等を目的として、高知県と協定を締結し、寄附講座「災害・救急医療学講座」を開設している。【高知大学】

○ 医工連携による医療機器の研究開発及びこれに係る人材育成事業を推進するため、寄附講座「臨床医工学講座」を設置している。今後、医工連携研究を中心に、とりわけ血液・血管の分野における医療機器等の開発を推進し、医学部及び西日本唯一の治験中核病院である医学部附属病院の体制及び総合臨床研究センター、先端分子イメージングセンター等を活用して臨床応用を促進するとともに、臨床工学の観点から高度職業人の育成を目指すこととしている。【大分大学】 

2.診療面

(具体的取組例)

○ 腫瘍センターに医員を2名増員し、診療機能を強化するとともに、チャイルドライフスペシャリスト1名を配置して手術前の小児がん患者を対象に手術室等の見学及び医療機器の説明を実施したり、子どもを持つがん患者とその子どもが集うことができるがんサロン「わかばカフェ」を開設したりする等、小児がん患者、がん患者の子供への精神的サポート機能を強化している。【北海道大学】

○ 看護師2名がパートナーとなり相互に補完・協力し、看護に係るあらゆる業務の成果と責任を共有する「パートナーシップ・ナーシング・システム」を全病棟に導入している。【福井大学】

○ 栄養サポートチームによる年間667症例の入院患者に対する栄養サポートを行っている。【滋賀医科大学】

○ 広島県、広島市、医師会等と連携し、「広島県新地域医療再生計画」に基づく事業を推進しており、広島大学大学院生が診療支援した場合に県が奨励金を支給する「中山間地域診療支援奨励事業」を実施するとともに、「地域医療を担う医師の確保にかかる協力協定」を締結している。また、「心不全・脳卒中に係る地域リハビリテーション支援体制の整備」事業においては、県内4病院と連携した心不全の地域連携サポート体制の構築に向け、心不全センターを新設している。【広島大学】

○  がん患者等から相談を受ける窓口として、オープンカウンター式の「がん診療相談窓口」を設置するなど、患者からの相談に随時対応できる体制を整備している。【香川大学】

○  ベッドサイド携帯端末としてスマートフォンを導入するとともに、看護師が医療情報をリアルタイムに入力することで、診療に必要な情報を電子カルテで多職種が共有できるようになり、患者誤認・誤薬等の防止を図っている。【宮崎大学】 

3.運営面

(具体的取組例)

○ 社会への正確な情報発信を促進する目的で、最新の医学・医療情報を現場の医師らが語り、意見交換や質疑応答を自由に行う「メディア懇談会」を3回開催し、メディアとの信頼関係の強化、維持を図っている。【東京大学】

○ 東日本大震災の発生に伴い、災害対策WGを設置し、災害対策マニュアルの見直しを行うとともに、大震災を想定した大規模防災実施訓練を実施し、災害発生時の体制を強化している。【東京医科歯科大学】

○ 大規模災害時に、病院の要請に応じて売店の食品など在庫物資を無償で提供を受ける全国初の支援協定を、院内で売店などを運営する財団法人と締結している。【福井大学】

○ 医学部附属病院に「データセンター」を新設し、診療情報管理士6名とデータ管理補助者を配置するとともに、新たにDPC(診療群分類)分析システム「ヒラソル」を導入し、医療情報システムと連携を図り医療の質の向上を目的としたDPCデータの分析と診療諸統計の作成を開始している。【島根大学】

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)